[go: up one dir, main page]

JP2013157219A - 非水電解質二次電池 - Google Patents

非水電解質二次電池 Download PDF

Info

Publication number
JP2013157219A
JP2013157219A JP2012017363A JP2012017363A JP2013157219A JP 2013157219 A JP2013157219 A JP 2013157219A JP 2012017363 A JP2012017363 A JP 2012017363A JP 2012017363 A JP2012017363 A JP 2012017363A JP 2013157219 A JP2013157219 A JP 2013157219A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
positive electrode
material layer
secondary battery
heat dissipation
negative electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2012017363A
Other languages
English (en)
Inventor
Masahiro Morita
昌宏 森田
Tatsuya Hashimoto
達也 橋本
Hideaki Fujita
秀明 藤田
Yuji Yokoyama
友嗣 横山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2012017363A priority Critical patent/JP2013157219A/ja
Publication of JP2013157219A publication Critical patent/JP2013157219A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Landscapes

  • Secondary Cells (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Abstract

【課題】捲回電極体の捲回中心側と外側との性能差が小さい非水電解質二次電池を提供すること。
【解決手段】本発明により、正極と負極とが捲回されてなる捲回電極体を備える非水電解質二次電池が提供される。この非水電解質二次電池は、前記捲回電極体の径方向における温度差が減少するように前記正極と前記負極の少なくとも一方に放熱材層が形成されており、前記放熱材層は、前記正極と前記負極の少なくとも一方の捲回方向の一部範囲にのみ形成されている。
【選択図】図3

Description

本発明は、非水電解質二次電池に関する。
近年、リチウムイオン二次電池やニッケル水素電池その他の二次電池は、電気を駆動源とする車両搭載用電源、あるいはパソコンおよび携帯端末その他の電気製品等に搭載される電源として重要性が高まっている。特に、軽量で高エネルギー密度が得られるリチウムイオン二次電池その他の非水電解質二次電池は、車両搭載用高出力電源として好ましく用いられるものとして期待されている。かかる非水電解質二次電池の典型的な構成では、正極と負極とが捲回されてなる捲回電極体が用いられている。
ところで、上述の非水電解質二次電池では、充電処理を行う際に、例えば充電対象電池が不良電池であった場合や、充電装置が故障して誤作動を起こした場合に、電池に通常以上の電流が供給されて過充電状態に陥り、不具合が生じる虞がある。そこで、かかる不具合を未然に防止するため、過充電状態を電池温度、電池内圧等により検知し、過充電状態を検知した場合に電流を遮断する機構(電流遮断機構)を設けた電池が採用されている。このような電流遮断機構を設けた電池では、電解液の非水溶媒よりも酸化電位の低いシクロヘキシルベンゼン(CHB)、ビフェニル(BP)等のガス発生剤を電解液中に含有させる手法が知られている。上記ガス発生剤は、電池が過充電状態になると電解液が分解する前に反応してガスを発生する。これを利用して、過充電状態になったときの電池内圧の上昇量や上昇速度を引き上げ、電流遮断機構を精度よく作動させることによって、電池の安全性を高めている。この種の従来技術に係る文献として特許文献1が挙げられる。
特開2006−324235号公報
本発明は、捲回電極体を用いる非水電解質二次電池の改良に関するものであり、その目的は、捲回電極体の捲回中心側と外側との性能差が小さい非水電解質二次電池を提供することである。
上記目的を実現するべく、本発明により正極と負極とが捲回されてなる捲回電極体を備える非水電解質二次電池が提供される。この非水電解質二次電池は、前記捲回電極体の径方向における温度差が減少するように前記正極と前記負極の少なくとも一方に放熱材層が形成されており、前記放熱材層は、前記正極と前記負極の少なくとも一方の捲回方向の一部範囲にのみ形成されている。
捲回電極体を用いる非水電解質二次電池においては、捲回電極体の捲回の程度が増大するほど捲回中心側は放熱されにくくなり、熱がこもる結果、捲回中心側の諸特性は捲回外側より劣化しやすい。そのため、電池を使用しているうちに、捲回電極体の中心側と外側とで性能が異なってくる。そこで、上述のように、正負の電極の少なくとも一方に、捲回電極体の径方向における温度差が減少するように放熱材層を形成することで、捲回電極体の捲回中心側と外側との性能差を小さくする。これによって、例えば捲回電極体の捲回中心側と外側との反応ムラが小さくなり、サイクル特性が向上する。また、上述の構成によると、放熱材層は、正負の電極の少なくとも一方の捲回方向の一部範囲にのみ形成されているので、放熱材層による利点を得ながら、放熱材層に起因する電池特性の低下(例えば電池抵抗の上昇)を抑制することができる。したがって、本発明によると、優れた出力特性および耐久性を有する非水電解質二次電池が提供される。また、かかる構成は部品点数の増加もなく、実用上有利である。
ここで開示される非水電解質二次電池の好適な一態様では、前記放熱材層は、前記捲回電極体の径方向における捲回厚の中央から捲回中心側で画定される範囲内に形成されている。これによって、捲回電極体の捲回中心側と外側との性能差をより小さくすることができる。また、放熱材層の形成は、捲回電極体の中心側に制限されているので、放熱材層に起因する電池特性の低下が好適に抑制される。
ここで開示される非水電解質二次電池の好適な一態様では、前記放熱材層は、前記正極と前記負極の少なくとも一方の捲回方向に直交する方向に延びるように形成されている。これによって、捲回電極体の中心部に蓄積した熱は、正極または負極の捲回方向(典型的には長手方向)に直交する方向(典型的には幅方向)から捲回電極体の外部に放出されやすい。
ここで開示される非水電解質二次電池の好適な一態様では、前記放熱材層は、前記正極と前記負極の少なくとも一方において、該正極および該負極をそれぞれ構成する集電体と活物質層との間に形成されている。このように構成することで、放熱材層に起因する電池特性の低下が抑制される。
ここで開示される非水電解質二次電池の好適な一態様では、前記放熱材層は、放熱材として結晶性グラファイトを主成分として含む。放熱材として結晶性グラファイトを用いることで、捲回電極体中心部に蓄積した熱を好適に放出することができる。
ここで開示される非水電解質二次電池の好適な一態様では、電池ケースの内圧が上昇することによって作動する電流遮断機構を備えており、前記非水電解質二次電池を構成する非水電解質は、過充電状態になったときに前記非水電解質に含まれる非水溶媒の分解より先にガスを発生するガス発生剤を含む。かかる構成に、上記放熱材層を適用することにより、次のような具体的なメリットが得られる。すなわち、捲回電極体を備える非水電解質二次電池においては、捲回電極体の捲回中心側に熱がこもりやすいため、捲回中心側の諸特性は捲回外側より劣化しやすい。そのため、過充電状態になったときに、捲回中心側でのガス発生量は低下する傾向にある。そこで、上述のように、正負の電極の少なくとも一方に、捲回電極体の径方向における温度差が減少するように放熱材層を形成する。これにより、捲回中心側の諸特性の劣化が抑制され、捲回中心側においても充分量のガスが発生し、過充電状態になったときに電流遮断機構を精度よく作動させることができる。
また、本発明によると、ここで開示されるいずれかの非水電解質二次電池を備える車両が提供される。かかる非水電解質二次電池は、ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車のような電動機を備える自動車等の車両に搭載されるモーター(電動機)用の電源として好適に使用され得る。
一実施形態に係るリチウムイオン二次電池の構成を模式的に示す図である。 図1の捲回電極体の構成を模式的に示す図である。 (a)は図2の正極シートを模式的に示す上面図であり、(b)は(a)の正極シートの断面図である。 図1の捲回電極体の捲回軸に直交する断面を模式的に示す図である。 過充電試験における捲回電極体の温度測定ポイントを示す図であって、(a)は捲回電極体を捲回軸に平行する方向から見た模式図であり、(b)は(a)の捲回電極体の側面図である。 図3に対応する図であって、(a)は例9の正極シートの上面図であり、(b)は例9の正極シートの断面図である。 一実施形態に係るリチウムイオン二次電池を備えた車両(自動車)を模式的に示す側面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明による一実施形態を説明する。なお、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。また、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、正極および負極を備えた電極体の構成および製法、セパレータや電解液の構成および製法、電池(ケース)の形状等、電池の構築に係る一般的技術等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。
ここで開示される非水電解質二次電池に係る好適な一実施形態として、リチウムイオン二次電池を例にして説明するが、本発明の適用対象をかかる電池に限定することを意図したものではない。例えば、リチウムイオン以外の金属イオン(例えばナトリウムイオン)を電荷担体とする非水電解質二次電池に本発明を適用することも可能である。また、本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充放電可能な電池一般をいい、リチウムイオン二次電池等の蓄電池(すなわち化学電池)のほか、電気二重層キャパシタ等のキャパシタ(すなわち物理電池)を包含する。さらに、本明細書において「リチウムイオン二次電池」とは、電解質イオンとしてリチウムイオンを利用し、正負極間におけるリチウムイオンに伴う電荷の移動により充放電が実現される二次電池をいう。
図1に示すように、一実施形態に係るリチウムイオン二次電池100は、捲回電極体80が、非水電解液(図示せず)とともに、扁平な直方体形状の電池ケース50に収容された構成を有する。捲回電極体80は、ケース本体52の開口部を蓋体54で塞ぐことによって封止されている。かかる構成によって、リチウムイオン二次電池100は、電池ケース50の内部が密閉された構造を有する、いわゆる密閉型電池として構築されている。
電池ケース50は、上面に開口部を有する扁平箱形状のケース本体52と、その開口部を塞ぐ蓋体54とを備える。電池ケース50の上面(蓋体54)には、正極端子70および負極端子72が設けられている。正極端子70は正極(正極シート)10の幅方向の端部に付設された正極集電板74と電気的に接続されている。負極端子72は負極(負極シート)20の幅方向の端部に付設された負極集電板76と電気的に接続されている。
電池ケース50の内部には、電池ケース50の内圧上昇により作動する電流遮断機構30が設けられている。電流遮断機構30は、蓋体54に固定した正極端子70と捲回電極体80との間に設けられ、電池ケース50の内圧が上昇したときに正極端子70から正極10に至る導電経路を電気的に分断するように構成されている。
電流遮断機構30は、例えば第一部材32と第二部材34とを含み得る。そして、電池ケース50の内圧が上昇したときに第一部材32および第二部材34の少なくとも一方が変形して他方から離隔することにより上記導電経路を電気的に分断するように構成されている。この実施形態では、第一部材32は変形金属板であり、第二部材34は変形金属板32に接合された接続金属板である。変形金属板(第一部材)32は、中央部分が下方へ湾曲したアーチ形状の湾曲部分33を有する。湾曲部分33の周縁部分は、集電リード端子35を介して正極端子70の下面に接続されている。また、変形金属板32の湾曲部分33の一部(先端)は、接続金属板(第二部材)34の上面と接合点36にて接合されている。接続金属板34の下面(裏面)には正極集電板74が接合されており、正極集電板74は捲回電極体80の正極10に接続されている。このようにして、正極端子70から正極10に至る導電経路が形成されている。
電流遮断機構30は、プラスチックにより形成された絶縁ケース38を備えている。なお、絶縁ケースの材質はプラスチックに限定されるものではなく、絶縁性を有し、気密性を有するものであればよい。絶縁ケース38は、変形金属板32を囲むように設けられ、変形金属板32の上面を気密に密閉している。絶縁ケース38には、変形金属板32の湾曲部分33を嵌入する開口部が形成されており、変形金属板32の湾曲部分33は、該開口部に嵌入されることで該開口部を封止している。これによって、絶縁ケース38内は密封状態に保持されるため、密閉された湾曲部分33の上面側には、電池ケース50の内圧は作用しない。これに対して、絶縁ケース38外、すなわち電池ケース50の内部に露出した湾曲部分33の下面には、電池ケース50の内圧が作用する。かかる構成の電流遮断機構30において、過充電電流に起因して電池ケース50の内圧が高まると、該内圧は、変形金属板32の下方へ湾曲した湾曲部分33を上方へ押し上げるように作用する。この作用(力)は、電池ケース50の内圧が上昇するにつれて増大する。そして、電池ケース50の内圧が設定圧力を超えると、湾曲部分33が上下反転し、上方へ湾曲するように変形する。かかる湾曲部分33の変形によって、変形金属板32と接続金属板34との接合点36が切断される。これによって導電経路は電気的に分断され、電流は遮断される。
上記のような電流遮断機構は、正極端子側に限らず、負極端子側に設けてもよい。また、電流遮断機構は、電池ケースの内圧が上昇したときに、正負の電極の少なくとも一方と電池ケース外部に露出する外部端子(正極端子または負極端子)とを導通する導電経路(例えば充電経路)を電気的に分断するように構成されていればよく、特定の形状、構造に限定されない。さらに、電流遮断機構は、上述した第一部材の変形を伴う機械的な切断を行うものに限定されない。例えば、電池ケースの内圧をセンサで検知し、該センサで検知した内圧が設定圧力を超えると充電電流を遮断するような外部回路を設けた電流遮断機構であってもよい。なお、電流遮断機構はなくてもよい。
図2は、図1の捲回電極体の構成を模式的に示す図であり、捲回電極体80を構築する前段階における長尺状のシート構造(電極シート)を示している。図2に示すように、捲回電極体80は、正極10と負極20とを備えている。正極10と負極20とは、セパレータ40A,40Bを介して扁平に捲回された構成を有する。具体的には、これら正極10、負極20、セパレータ40A,40Bはそれぞれ長尺状のシート形状を有しており、正極(正極シート)10と負極(負極シート)20とは、2枚のセパレータ40A,40Bを介して重ね合わせられている。これによって積層体が形成されている。言い換えると、上記積層体は、正極シート10、セパレータ40B、負極シート20、セパレータ40Aの順に積層されている。捲回電極体80は、この積層体を長尺方向に捲回し、さらにこの捲回体を側面方向から押しつぶして拉げさせることによって形成されている。なお、捲回電極体の形状、構成は特に限定されず、電池の形状や目的に応じて適切な形状、構成を適宜採用することができる。
図3に示すように、正極シート10は、正極集電体12と、正極集電体12の少なくとも一方の表面の上に形成された正極合材層14とを備える。正極合材層14は、長尺状の正極集電体12の長手方向(捲回方向)の全体に亘って設けられているが、正極集電体12の幅方向の一端には形成されていない。つまり、正極シート10の幅方向の一端には、いずれの面にも正極合材層14が形成されていない正極合材層非形成部分15が設けられている。この正極合材層非形成部分15には、上述の正極集電板74が電気的に接続される。
また、正極シート10には、正極集電体12と正極合材層14との間に放熱材層16が形成されている。言い換えると、正極シート10は、正極集電体12と、正極集電体12上の一部に形成された放熱材層16とを備えており、さらにその上に形成された正極合材層14とを備える。放熱材層16は、正極シート10の捲回方向(長手方向)の捲回中心側の一部範囲にのみ形成されている。具体的には、放熱材層16は、正極シート10の捲回方向の捲回中心側の端部から捲回方向外側に延びる一部範囲に形成されている。この実施形態では、放熱材層16は、捲回電極体80の径方向における捲回厚の中央から捲回中心側で画定される範囲内に形成されている。また、放熱材層16は、正極シート10の幅方向の全体に亘って形成されている。そのため、放熱材層16は、正極合材層14からはみ出しており、正極合材層非形成部分15において露出している。これによって、放熱材層16による放熱性がさらに向上する。
放熱材層の形成範囲は、この実施形態の形成範囲に限定されない。また、放熱材層は、正極シートではなく負極シートに形成されていてもよく、正極シートと負極シートの両方に形成されていてもよい。電流遮断機構を備えるリチウムイオン二次電池においては、過充電状態になったときにガス発生剤は正極近傍で分解することから、かかる分解を好適に行うため、放熱材層は正極に形成されていることが好ましい。また、図3では、正極集電体12の両面に放熱材層16と正極合材層14とが形成されているが、放熱材層と正極合材層とは、正極集電体の一方の表面(片面)に形成されていてもよい。
負極シート20は、長尺状の負極集電体22と、負極集電体22の少なくとも一方の表面(典型的には両面)に長手方向に沿って形成された負極合材層24とを備える。また、負極シート20の幅方向の一端には、いずれの面にも負極合材層24が形成されていない負極合材層非形成部分25が設けられている。この負極合材層非形成部分25には、上述の負極集電板76が電気的に接続される。
次に、上述のリチウムイオン二次電池を構成する各構成要素について説明する。リチウムイオン二次電池の正極(典型的には正極シート)を構成する正極集電体としては、導電性の良好な金属からなる導電性部材が好ましく用いられる。例えば、アルミニウムまたはアルミニウムを主成分とする合金を用いることができる。正極集電体の形状は、正極の捲回性を考慮して、板状、シート状、箔状、メッシュ状等の形態であり得る。正極集電体の厚さは特に限定されず、例えば5μm〜30μmとすることができる。正極合材層は、正極活物質の他、必要に応じて導電材、結着材(バインダ)等の添加材を含有し得る。
正極活物質としては、リチウムおよび少なくとも1種の遷移金属元素(好ましくはニッケル、コバルトおよびマンガンのうちの少なくとも1種)を含む複合酸化物が挙げられる。上記複合酸化物としては、例えば、上記遷移金属元素を1種含むいわゆる一元系リチウム含有複合酸化物、上記遷移金属元素を2種含むいわゆる二元系リチウム含有複合酸化物、遷移金属元素としてニッケル、コバルトおよびマンガンを構成元素として含む三元系リチウム含有複合酸化物、固溶型のリチウム過剰遷移金属酸化物が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記一元系リチウム含有複合酸化物としては、例えばコバルトリチウム複合酸化物(LiCoO)、ニッケルリチウム複合酸化物(LiNiO)、マンガンリチウム複合酸化物(LiMn)が挙げられる。上記二元系リチウム含有複合酸化物としては、例えばニッケル・コバルト系のLiNiCo1−x(0<x<1)、コバルト・マンガン系のLiCoMn1−x(0<x<1)、ニッケル・マンガン系のLiNiMn1−x(0<x<1)やLiNiMn2−x(0<x<2)で表される二元系リチウム含有複合酸化物が挙げられる。上記三元系リチウム含有複合酸化物としては、例えば一般式:
Li(LiMnCoNi)O
(前式中のa、x、y、zはa+x+y+z=1を満足する実数)で表される三元系リチウム含有複合酸化物が挙げられる。上記固溶型のリチウム過剰遷移金属酸化物としては、例えば、一般式:
xLi[Li1/3Mn2/3]O・(1−x)LiMeO
(前式中、Meは1種または2種以上の遷移金属であり、xは0<x≦1を満たす)で表される固溶型のリチウム過剰遷移金属酸化物が挙げられる。なかでも、遷移金属元素としてニッケル、コバルトおよびマンガンを構成元素として含む三元系リチウム含有複合酸化物が好ましい。
また、正極活物質として、一般式がLiMAO(ここでMは、Fe,Co,NiおよびMnからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素であり、Aは、P,Si,SおよびVからなる群から選択される元素である。)で表されるポリアニオン型化合物も好ましく用いられる。上記一般式においてAがPおよび/またはSiであるもの(例えばLiFePO、LiFeSiO、LiCoPO、LiCoSiO、LiFe0.5Co0.5PO、LiFe0.5Co0.5SiO、LiMnPO、LiMnSiO、LiNiPO、LiNiSiO)は、上記ポリアニオン型化合物の好適例である。
また、正極活物質は、アルミニウム(Al),マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca),クロム(Cr),バナジウム(V),チタン(Ti),銅(Cu),亜鉛(Zn),ガリウム(Ga),ジルコニウム(Zr),ニオブ(Nb),モリブデン(Mo),インジウム(In),スズ(Sn),ランタン(La),タングステン(W)およびセリウム(Ce)からなる群から選択される1種または2種以上の金属元素がさらに添加されたものであってもよい。
正極合材層に占める正極活物質の割合は、凡そ50質量%を超え、凡そ70質量%〜95質量%(例えば75質量%〜93質量%)であることが好ましい。
導電材としては、カーボン粉末やカーボンファイバー等の導電性粉末材料が好ましく用いられる。カーボン粉末としては、種々のカーボンブラック、例えばアセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、グラファイト粉末等が好ましい。また、炭素繊維、金属繊維等の導電性繊維類、銅、ニッケル等の金属粉末類およびポリフェニレン誘導体等の有機導電性材料等を、1種を単独でまたは2種以上の混合物として含ませることができる。結着材としては、各種のポリマー材料が挙げられる。例えば、水系の組成物(活物質粒子の分散媒として水または水を主成分とする混合溶媒を用いた組成物)を用いて正極合材層を形成する場合には、結着材として水に溶解または分散する(水溶性または水分散性の)ポリマー材料を好ましく採用し得る。水溶性または水分散性のポリマー材料としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)等のセルロース系ポリマー;ポリビニルアルコール(PVA);ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂;酢酸ビニル重合体;スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)等のゴム類;が例示される。あるいは、溶剤系の組成物(活物質粒子の分散媒が主として有機溶媒である組成物)を用いて正極合材層を形成する場合には、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)等のハロゲン化ビニル樹脂;ポリエチレンオキサイド(PEO)等のポリアルキレンオキサイド;等のポリマー材料を用いることができる。このような結着材は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、上記で例示したポリマー材料は、結着材として用いられる他に、正極合材層形成用組成物の増粘材その他の添加材として使用されることもあり得る。
正極合材層に占めるこれら添加材の割合は、特に限定されないが、導電材の割合は、正極活物質100質量部に対して、凡そ1質量部〜20質量部(例えば2質量部〜15質量部、典型的には3質量部〜12質量部)とすることが好ましく、結着材の割合は、正極活物質100質量部に対して、凡そ0.8質量部〜10質量部(例えば1質量部〜7質量部、典型的には2質量部〜5質量部)とすることが好ましい。
正極集電体上への正極合材層の単位面積当たりの目付量(正極合材層形成用組成物の固形分換算の塗付量)は、特に限定されるものではないが、充分な導電経路(導電パス)を確保する観点から、正極集電体の片面当たり3mg/cm以上(例えば6mg/cm以上、典型的には12mg/cm以上)であり、45mg/cm以下(例えば28mg/cm以下、典型的には18mg/cm以下)とすることが好ましい。また、正極合材層の厚さは、正極集電体の片面当たり30μm以上(例えば50μm以上、典型的には70μm以上)であり、120μm以下(例えば100μm以下、典型的には80μm以下)とすることが好ましい。
正極および負極の少なくとも一方には、放熱材層が形成されている。ここでは、正極に形成される放熱材層について説明する。放熱材層は、捲回電極体の径方向における温度差が減少するように形成されており、かつ捲回方向の一部範囲にのみ形成されていればよく、その限りにおいて形成箇所は限定されない。また、放熱材層は、正極集電体と正極合材層との間に形成されていることが、放熱材層に起因する電池特性の低下を抑制する観点から好ましい。さらに、放熱材層は、正極の捲回方向(長手方向)に直交する方向(幅方向)に延びるように形成されていることが好ましい。これによって、捲回電極体の中心部に蓄積した熱を幅方向から捲回電極体の外部に放出しやすい。そのような観点から、放熱材層は、正極の幅方向の全体に亘って形成されていることがより好ましい。
また、放熱材層は、正極の捲回方向の捲回中心側の端部から捲回方向外側に延びるように形成されていることが好ましい。放熱材層は、図4に模式的に示す捲回電極体80の径方向における捲回厚A1に占める放熱材層16が形成された範囲(径方向の厚さ)A2の比率(A2/A1)が、5%以上(例えば10%以上、典型的には20%以上)となるように形成することが好ましい。これによって、捲回電極体の捲回中心側と外側との性能差をより小さくすることができる。具体的には、捲回電極体の捲回中心の熱が好適に放出されるため、捲回中心側の劣化の進行が抑制される結果、捲回電極体の捲回中心側と外側との反応ムラが小さくなり、サイクル特性が向上する。また、放熱材層に起因する電池特性の低下(例えば電池抵抗の上昇)を抑制する観点から、上記比率(A2/A1)は、70%以下(例えば60%以下、典型的には50%以下)とすることが好ましい。
放熱材層は、放熱材を主成分として含み、必要に応じて結着材等の添加材を含む。放熱材層を構成する放熱材としては、500W/(m・K)以上(例えば700W/(m・K)以上、典型的には900W/(m・K)以上)の熱伝導率を有する放熱材が好ましい。熱伝導率の上限は特に限定されないが、例えば2000W/(m・K)以下であってもよい。かかる熱伝導率は、放熱材が長径と短径を有する場合、放熱材の少なくとも一方向の熱伝導率であればよい。放熱材が平板形状を有する場合、上記熱伝導率の範囲は、面方向熱伝導率の範囲として適用されることがより好ましい。ここで面方向熱伝導率とは、平板形状の放熱材の面方向の熱伝導率のことをいう。上述の面方向熱伝導率を有する放熱材を、放熱材層の面方向(厚さ方向に直交する方向)に沿うように配置することで、放熱材層の面方向熱伝導率が向上し、放熱性が向上する。面方向熱伝導率を含む熱伝導率は、従来公知のレーザーフラッシュ法で測定することができる。レーザーフラッシュ測定装置としては、真空理工製熱定数測定装置TC−7000型を用いることができる。
上記の熱伝導率(典型的には面方向熱伝導率)を有する放熱材としては、結晶性グラファイトが挙げられる。例えば銅やアルミニウムを放熱材として用いた場合では、面方向および厚さ方向にかかわらず熱伝導率は、それぞれ凡そ400W/(m・K)、230W/(m・K)という低い値である。したがって、高い熱伝導率(典型的には面方向熱伝導率)を有する結晶性グラファイトは、捲回電極体の捲回中心の放熱性という観点において優れた放熱材となり得る。なかでも、面方向に結晶成長した結晶性グラファイト粒子が特に好ましい。かかる結晶性グラファイト粒子の平均粒径は、長径(典型的には面方向の長さ(直径))が0.5μm〜20μm(例えば1μm〜15μm、典型的には3μm〜8μm)、短径(典型的には厚さ方向の長さ(直径))が3nm〜300nm(例えば20nm〜180nm、典型的には40nm〜100nm)であることが好ましい。平均粒径の測定方法としては、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)で撮影した結晶性グラファイト粒子の100個を任意に選択して長径と短径とを測定し、それぞれ平均値を求める方法を用いることができる。放熱材層に占める放熱材の割合は、凡そ50質量%を超え、75質量%〜99質量%(例えば90質量%〜95質量%)であることが好ましい。
結着材としては、水に溶解または分散する(水溶性または水分散性の)ポリマー材料として、カルボキシメチルセルロース(CMC)等のセルロース系ポリマー;ポリビニルアルコール(PVA);ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂;酢酸ビニル共重合体;スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)等のゴム類;が例示される。溶剤系の組成物(活物質粒子の分散媒が主として有機溶媒である組成物)を用いて放熱材層を形成する場合には、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)等のハロゲン化ビニル樹脂;ポリエチレンオキサイド(PEO)等のポリアルキレンオキサイド;等のポリマー材料を用いることができる。このような結着材は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。溶剤を用いて放熱材層を形成する場合、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)が好ましい。
放熱材層に占めるこれら添加材(典型的には結着材)の割合は、特に限定されないが、放熱材100質量部に対して、凡そ1質量部〜30質量部(例えば2質量部〜20質量部、典型的には5質量部〜15質量部)とすることが好ましい。
放熱材層の厚さは、捲回電極体の捲回中心側と外側との性能差を小さくし、放熱材層に起因する電池特性の低下を抑制する観点から、正極集電体の片面当たり0.5μm以上(例えば0.8μm以上、典型的には1.5μm以上)であり、15μm以下(例えば9μm以下、典型的には5μm以下)とすることが好ましい。また、所定の面方向熱伝導率を有する放熱材を用いる場合、放熱材の面方向熱伝導率を放熱材層の面方向熱伝導率に反映させるため、放熱材層の厚さは、放熱材の面方向の長さより小さくすることがより好ましい。
上述したような正極は、例えば以下の方法によって作製することができる。まず、放熱材と必要に応じて結着材等の添加材を適当な溶媒で混合して、ペースト状またはスラリー状の放熱材層形成用組成物を調製する。混合操作は、例えば適当な混練機を用いて行うことができる。上記組成物を調製するために用いられる溶媒としては、水系溶媒および非水系溶媒のいずれも使用可能である。水系溶媒は全体として水性を示すものであればよく、水または水を主体とする混合溶媒を好ましく用いることができる。また、非水系溶媒の好適例としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、メチルエチルケトン、トルエン等が例示される。調製した上記組成物を正極集電体上の所定の範囲に塗付し、乾燥により溶媒を揮発させる。なお、正極集電体に上記組成物を塗付する方法は特に限定されず、例えばスリットコーター、ダイコーター、グラビアコーター、コンマコーター等の従来公知の塗付手段を採用することができる。また、乾燥方法としては、自然乾燥、熱風、低湿風、真空、赤外線、遠赤外線および電子線を、単独でまたは組み合わせて用いることができる。また、必要に応じて、従来公知のロールプレス法、平板プレス法等の圧縮方法により圧縮(プレス)してもよい。このようにして正極集電体上に放熱材層が形成される。
次いで、正極活物質、必要に応じて導電材、結着材等を適当な溶媒で混合して、ペースト状またはスラリー状の正極合材層形成用組成物を調製する。調製した上記組成物を正極集電体に対して塗付し、乾燥により溶媒を揮発させた後、圧縮(プレス)する。また、厚さを調整するにあたり、膜厚測定器で該厚さを測定し、プレス圧を調整して所望の厚さになるまで複数回圧縮してもよい。このようにして、正極合材層が正極集電体上に形成されており、かつ正極集電体と正極合材層との間の所定の範囲に放熱材層が形成された正極が得られる。なお、混合、塗付、乾燥、圧縮方法は、従来公知の手段を適宜用いることができ、例えば上述の放熱材層の形成方法と同様の手段を採用することができる。
負極(典型的には負極シート)を構成する負極集電体としては、従来のリチウムイオン二次電池と同様に、導電性の良好な金属からなる導電性部材が好ましく用いられる。例えば、銅または銅を主成分とする合金を用いることができる。負極集電体の形状は、負極の捲回性を考慮して、板状、シート状、箔状、メッシュ状等の形態であり得る。負極集電体の厚さは特に限定されず、例えば5μm〜30μmとすることができる。
負極合材層には、電荷担体となるリチウムイオンを吸蔵および放出可能な負極活物質が含まれる。負極活物質の組成や形状に特に制限はなく、従来からリチウムイオン二次電池に用いられる物質の1種または2種以上を使用することができる。かかる負極活物質としては、リチウムイオン二次電池で一般的に用いられる炭素材料が挙げられる。かかる炭素材料の代表例としては、グラファイトカーボン(黒鉛)、アモルファスカーボン等が挙げられる。少なくとも一部にグラファイト構造(層状構造)を含む粒子状の炭素材料(カーボン粒子)が好ましく用いられる。なかでも天然黒鉛を主成分とする炭素材料の使用が好ましい。かかる天然黒鉛は鱗片状の黒鉛を球形化したものであり得る。また、黒鉛の表面にアモルファスカーボンがコートされた炭素質粉末を用いてもよい。その他、負極活物質として、チタン酸リチウム等の酸化物、ケイ素材料、スズ材料等の単体、合金、化合物、上記材料を併用した複合材料を用いることも可能である。負極合材層に占める負極活物質の割合は、凡そ50質量%を超え、凡そ90質量%〜99質量%(例えば95質量%〜99質量%、典型的には97質量%〜99質量%)であることが好ましい。
負極合材層は、負極活物質の他に、一般的なリチウムイオン二次電池の負極合材層に配合され得る1種または2種以上の結着材や増粘材その他の添加材を必要に応じて含有することができる。結着材としては、各種のポリマー材料が挙げられる。例えば、水系の組成物または溶剤系の組成物に対して、正極合材層に含有され得るものを好ましく用いることができる。かかる結着材は、結着材として用いられる他に、負極合材層形成用組成物の増粘材その他の添加材として使用されることもあり得る。負極合材層に占めるこれら添加材の割合は、特に限定されないが、凡そ0.8質量%〜10質量%(例えば凡そ1質量%〜5質量%、典型的には1質量%〜3質量%)であることが好ましい。
負極集電体上への負極合材層の単位面積当たりの目付量(負極合材層形成用組成物の固形分換算の塗付量)は、特に限定されるものではないが、充分な導電経路(導電パス)を確保する観点から、負極集電体の片面当たり3mg/cm以上(例えば6mg/cm以上、典型的には10mg/cm以上)であり、40mg/cm以下(例えば25mg/cm以下、典型的には18mg/cm以下)とすることが好ましい。また、負極合材層の厚さは、負極集電体の片面当たり20μm以上(例えば40μm以上、典型的には60μm以上)であり、100μm以下(例えば80μm以下、典型的には70μm以下)とすることが好ましい。
上述したような負極の作製方法は特に限定されず、従来公知の方法を適宜採用することができる。例えば以下の方法によって作製することができる。まず、負極活物質を、結着材等とともに上記適当な溶媒(水系溶媒、有機溶媒またはこれらの混合溶媒)で混合して、ペースト状またはスラリー状の負極合材層形成用組成物を調製する。こうして調製した上記組成物を負極集電体に塗付し、乾燥により溶媒を揮発させた後、圧縮(プレス)する。これによって上記組成物を用いて形成された負極合材層を負極集電体上に備える負極が得られる。なお、混合、塗付、乾燥および圧縮方法は、上述の正極の製造方法と同様に従来公知の手段を用いることができる。
なお、負極には放熱材層が形成されていてもよい。かかる場合、放熱材層の形成範囲は、上述の正極に放熱材層を形成する場合と基本的に同様の範囲とすることができる。すなわち、正極の放熱材層に関する説明において、正極集電体を負極集電体に置き換え、正極合材層を負極合材層に置き換えて参照することにより負極に放熱材層を形成することができる。かかる放熱材層は、正極に形成された放熱材層と同等の効果を奏することができる。放熱材層の構成成分、その割合、形成方法等も、正極に形成される放熱材層の場合と同様とすることができるため、ここでは説明は繰り返さない。
正極と負極とを隔てるように配置されるセパレータ(セパレータシート)は、正極合材層と負極合材層とを絶縁するとともに、電解質の移動を許容する部材であればよい。セパレータの好適例としては、多孔質ポリオレフィン系樹脂で構成されたものが挙げられる。例えば、厚さ5μm〜30μm程度の合成樹脂製(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、またはこれらを組み合わせた二層以上の構造を有するポリオレフィン製)多孔質セパレータシートを好適に使用し得る。このセパレータシートには耐熱層が設けられていてもよい。あるいは例えば、正極合材層または負極合材層の表面に形成された絶縁性を有する粒子の層で耐熱層を構成してもよい。ここで、絶縁性を有する粒子は、絶縁性を有する無機フィラー(例えば金属酸化物、金属水酸化物等のフィラー)、または絶縁性を有する樹脂粒子(例えばポリエチレン、ポリプロピレン等の粒子)であってもよい。なお、液状の電解質に代えて、例えば上記電解質にポリマーが添加されたような固体状(ゲル状)電解質を使用する場合には、電解質自体がセパレータとして機能し得るため、セパレータが不要になることがあり得る。
リチウムイオン二次電池に注入される非水電解質を構成する非水溶媒と支持塩は、従来からリチウムイオン二次電池に用いられるものを特に限定なく使用することができる。かかる非水電解質は、典型的には適当な非水溶媒に支持塩を含有させた組成を有する電解液である。上記非水溶媒としては、例えばエチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、アセトニトリル、プロピオニトリル、ニトロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトンが挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。なかでも、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)およびエチルメチルカーボネート(EMC)の混合溶媒が好ましい。
また、上記支持塩としては、例えばLiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiCFSO、LiCSO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiI等のリチウム化合物(リチウム塩)の1種または2種以上を用いることができる。なお、支持塩の濃度は特に限定されないが、凡そ0.1mol/L〜5mol/L(例えば0.5mol/L〜3mol/L、典型的には0.8mol/L〜1.5mol/L)の濃度とすることができる。
非水電解質はまた、ガス発生剤を含み得る。ここで、ガス発生剤とは、非水電解質中に溶解または分散し得る化合物であり、電池が過充電状態になったときに反応し、非水電解質に含まれる非水溶媒の分解より先にガスを発生する化合物をいう。かかるガス発生剤は、電池の稼働電圧では酸化されないが、過充電状態になったときに非水電解質の非水溶媒の酸化分解よりも先に反応(酸化)する。したがって、ガス発生剤の酸化電位(酸化開始電位)は、稼働電圧の最大値に対応した正極の上限電位より高い。また、非水電解質の非水溶媒の酸化電位(酸化開始電位)より低い。上記の観点から、ガス発生剤の酸化電位(vsLi/Li)は、正極の上限電位(vsLi/Li)より0.1V以上(例えば0.2V以上、典型的には0.3V以上)高いことが好ましい。また、非水溶媒の酸化電位(vsLi/Li)より0.1V以上(例えば0.2V以上、典型的には0.3V以上)低いことが好ましい。例えば、正極の上限電位が4.2V以下(典型的には4.0V〜4.2V)の二次電池の場合、ガス発生剤の酸化電位の好適な範囲は、4.3V以上(例えば4.4V以上、典型的には4.5V以上)であり、また5.0V以下(例えば4.9V以下、典型的には4.8V以下)である。
また、ガス発生剤は、ベンゼン環を有し、該ベンゼン環を構成する炭素の少なくとも1つに第3級炭素が結合した化合物であることが好ましい。かかる第3級炭素は活性が高いため、上記第3級炭素を有するガス発生剤は、過充電状態において反応しやすい。ベンゼン環を構成する炭素に結合する第3級炭素の数は、好ましくは1〜3個(例えば1〜2個、典型的には1個)である。また、上記第3級炭素を有する基は、フェニル基、炭素数(炭素原子数)3〜6のシクロアルキル基、炭素数3〜6の分岐鎖状アルキル基であることが好ましい。ガス発生剤の分子量は特に限定されないが、非水電解質への溶解性(分散性)等の観点から、100〜400(例えば120〜250、典型的には150〜200)であることが好ましい。
ガス発生剤の好適例としては、例えば分岐鎖状アルキルベンゼン類、シクロアルキルベンゼン類、ビフェニル類、ターフェニル類、ジフェニルエーテル類、ジベンゾフラン類が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、分岐鎖状アルキルベンゼン類、シクロアルキルベンゼン類、ビフェニル類、ジフェニルエーテル類が好ましく、シクロアルキルベンゼン類、ビフェニル類がさらに好ましい。
分岐鎖状アルキルベンゼン類としては、例えば、炭素数3〜6の分岐鎖状のアルキル基を有する分岐鎖状アルキルベンゼンと、分岐鎖状アルキルベンゼンのハロゲン化物(典型的にはフッ化物)が挙げられる。分岐鎖状アルキルベンゼン類の具体例としては、例えばクメン、ジイソプロピルベンゼン、t−ブチルベンゼン、t−ジブチルベンゼン、t−アミルベンゼン、t−ジアミルベンゼン等の分岐鎖状アルキルベンゼンが挙げられる。シクロアルキルベンゼン類としては、例えば、炭素数3〜6のシクロアルキル基を有するシクロアルキルベンゼンや、該シクロアルキルベンゼンを構成する炭素原子に結合する水素原子の少なくとも1個が直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基および/またはハロゲン原子(典型的にはフッ素原子)に置換したアルキル化シクロアルキルベンゼン、シクロアルキルベンゼンのハロゲン化物(典型的にはフッ化物)が挙げられる。直鎖状または分岐鎖状のアルキル基の炭素数は、1〜6個(例えば3個または4個)が好ましい。シクロアルキルベンゼン類の具体例としては、例えばシクロペンチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン(CHB)等のシクロアルキルベンゼン、t−ブチルシクロヘキシルベンゼン等のアルキル化シクロアルキルベンゼン、シクロヘキシルフルオロベンゼン等のシクロアルキルベンゼンの部分フッ化物が挙げられる。ビフェニル類としては、ビフェニル(BP)や、BPを構成する炭素原子に結合する水素原子の少なくとも1個が直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基および/またはハロゲン原子(典型的にはフッ素原子)に置換したアルキルビフェニル、ビフェニルのハロゲン化物(典型的にはフッ化物)が挙げられる。ビフェニル類の具体例としては、BPのほか、プロピルビフェニル、t−ブチルビフェニル等のアルキルビフェニル、2−フルオロビフェニル、2,2’−ジフルオロビフェニル、4,4’−ジフルオロビフェニル等のビフェニルの部分フッ化物が挙げられる。ターフェニル類、ジフェニルエーテル類、ジベンゾフラン類としては、ターフェニル、ジフェニルエーテル、ジベンゾフランや、それらを構成する炭素原子に結合する水素原子の少なくとも1個が直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基に置換した各アルキル化物(アルキル化ターフェニル、アルキル化ジフェニルエーテル、アルキル化ジベンゾフラン)および/またはハロゲン原子(典型的にはフッ素原子)に置換したターフェニル、ジフェニルエーテル、ジベンゾフランの各ハロゲン化物(典型的にはフッ化物)が挙げられる。ターフェニルは、その一部に水素原子が付加したターフェニルの部分水素化物であってもよい。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ガス発生剤の使用量(添加量)は、非水電解質中に凡そ0.01質量%〜10質量%(例えば0.1質量%〜5質量%、典型的には1質量%〜3質量%)とすることが好ましい。
上述の構成を備えるリチウムイオン二次電池は、各種用途の電池として使用に供される。かかるリチウムイオン二次電池は、捲回電極体の捲回中心側と外側との性能差が小さいため、捲回電極体の捲回中心側と外側間における反応ムラが小さくなり、サイクル特性が向上している。また、電流遮断機構を設けた電池では、捲回電極体の捲回中心側においても充分量のガスが発生し、過充電状態になったときに電流遮断機構が精度よく作動する。かかるリチウムイオン二次電池は、特に自動車等の車両に搭載されるモーター(電動機)用電源として好適に使用し得る。したがって、本発明は、図7に模式的に示すように、リチウムイオン二次電池100(典型的には複数直列接続してなる組電池)を電源として備える車両1(典型的には自動車、特にハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車のような電動機を備える自動車)を提供する。
次に、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、以下の説明において「部」および「%」は、特に断りがない限り質量基準である。
<例1>
[正極シートの作製]
放熱材として、面方向に結晶成長したグラファイト粒子(結晶性グラファイト)を用意した。この結晶性グラファイトは、面方向熱伝導率が1000W/(m・K)、厚さ方向の熱伝導率が15W/(m・K)であり、面方向の長さが5μm、厚さ方向の長さが60nmであった。この結晶性グラファイトとポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、これらの材料の質量比が100:10となるようにN−メチル−2−ピロリドンで混合して、ペースト状の放熱材層形成用組成物を調製した。
正極活物質としてニッケルマンガンコバルト酸リチウム(Li[Ni1/3Mn1/3Co1/3]O)粉末と、導電材としてアセチレンブラック(AB)と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、これらの材料の質量比が100:5:3となるようにN−メチル−2−ピロリドンで混合して、ペースト状の正極合材層形成用組成物を調製した。
上記放熱材層形成用組成物を、長尺シート状のアルミニウム箔(正極集電体:厚さ15μm)の両面に、図3に示すように、正極集電体12の捲回方向の捲回中心側の端部から捲回方向外側に延びる一部範囲に、正極集電体12の幅方向の全体に亘るように均一に塗付した。その後乾燥することによって放熱材層を形成した。放熱材層は、図4に模式的に示す捲回電極体80の径方向における捲回厚A1に占める放熱材層16が形成された範囲(径方向の厚さ)A2の比率(A2/A1)が10%となるように正極シートの捲回方向の一部範囲に形成した。放熱材層の厚さは、片面当たり3μmであった。次いで、上記正極合材層形成用組成物を、放熱材層が形成された正極集電体の両面に均一に塗付した。上記組成物を乾燥した後、圧縮し、裁断することによって、長さ4500mm、幅94mm、総厚さ170μmのシート状の正極(正極シート)を作製した。
[負極シートの作製]
負極活物質として天然黒鉛粉末と、結着材としてスチレン−ブタジエン共重合体(SBR)と、増粘材としてカルボキシメチルセルロース(CMC:第一工業製薬(株)製BSH−6)とを、これらの材料の質量比が100:1:1となるようにイオン交換水で混合して、ペースト状の負極合材層形成用組成物を調製した。この組成物を、長尺シート状の銅箔(厚さ14μm)の両面に均一に塗付し、乾燥した後、圧縮することによって、長さ4700mm、幅100mm、総厚さ150μmのシート状の負極(負極シート)を作製した。
[リチウムイオン二次電池の構築]
作製した正極シートと負極シートとをセパレータを介して楕円状に捲回して捲回電極体を作製した。セパレータとしては、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレンからなる長尺シート状の三層構造フィルム(厚さ:20μm)を用いた。また、このとき、捲回電極体の捲回中心側と外側の温度を測定するため、図5に示す2箇所(捲回電極体の捲回中心Pinと捲回電極体の捲回外側端部Pout)にK型熱電対を設置した。次いで、捲回電極体の正負の電極集電体の端部にそれぞれ電極端子を接合し、アルミ製の電池ケースに収容した。その後、非水電解液を注入して密封することにより、定格容量が24.0Ahの角型リチウムイオン二次電池を作製した。この角型リチウムイオン二次電池には、図1に示すような電流遮断機構(CID:Current Interrupt Device)を正極集電体と正極端子との間に設けた。CIDの設計遮断圧は0.7MPaとした。非水電解液としては、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)との3:4:3(体積比)混合溶媒に、支持塩として約1mol/LのLiPFを溶解し、さらにシクロヘキシルベンゼン(CHB)を1%、ビフェニル(BP)を1%の濃度で含有させた電解液を用いた。注入した非水電解液量は125gであった。
<例2〜例5,例7>
放熱材層を、上記比率(A2/A1)が表1に示す範囲となるように正極シートの捲回方向に形成した他は例1と同様にして正極シートを作製した。この正極シートを用いた他は例1と同様にして角型リチウムイオン二次電池を作製した。
<例6>
放熱材層を形成しなかった他は例1と同様にして正極シートを作製し、この正極シートを用いた他は例1と同様にして角型リチウムイオン二次電池を作製した。
<例8>
放熱材層を形成するにあたって、放熱材として結晶性グラファイトに代えてアセチレンブラックを用いた他は例4と同様にして正極シートを作製し、この正極シートを用いた他は例4と同様にして角型リチウムイオン二次電池を作製した。
<例9>
例1で調製した放熱材層形成用組成物を、長尺シート状のアルミニウム箔(正極集電体:厚さ15μm)の両面に、図6に示すように、正極集電体12の捲回方向の全体に亘るように、かつ正極集電体12の幅方向の中央近傍の一部範囲に均一に塗付した。その他は例4と同様にして正極シートを作製し、この正極シートを用いた他は例4と同様にして角型リチウムイオン二次電池を作製した。この例の放熱材層の形成面積は、例4の放熱材層の形成面積と同じとした。
[過充電時CID作動数]
各例のリチウムイオン二次電池を10個づつ用意して、温度25℃の環境下で24A(1C相当)の充電を行い、充電上限電圧20Vまで充電した。充電終了後、各電池につき、電流遮断機構(CID)が作動したか否かを電池電圧を測定することにより確認した。CIDが作動した個数を表1に示す。
[捲回電極体の捲回中心側と外側との温度差]
各例のリチウムイオン二次電池につき、温度25℃の環境下で24A(1C相当)の充電を行い、充電上限電圧20Vまで充電した。SOC(State of Charge)160%の充電状態における捲回電極体の捲回中心側と外側の温度を、捲回電極体に設置したK型熱電対により測定した。測定した捲回電極体の捲回中心Pinの温度Tinと捲回電極体の捲回外側端部Poutの温度Toutとの差ΔTを、式:ΔT=Tin−Toutから求めた。結果を表1に示す。
[容量維持率]
25℃の温度環境において、4.1Vまで1Cの充電を行って5分間休止した後、3.0Vまで1Cの放電を行って5分間休止した。その後、定電流定電圧(CC−CV)充電(4.1V、1C、0.1Cカット)とCC−CV放電(3.0V、1C、0.1Cカット)を行った。このときの放電容量を測定し、これを初期容量とした。初期容量を測定した後、50℃の恒温槽で2CのCCサイクル充放電を1000サイクル繰り返し、1000サイクル後の放電容量を測定した。式:
容量維持率(%)=1000サイクル後の放電容量/初期容量×100
から容量維持率(%)を求めた。結果を表1に示す。
[IV抵抗]
各例のリチウムイオン二次電池につき、IV抵抗試験を行った。温度25℃の環境下で充電を行い、SOC60%の充電状態に調整した。その後、25℃にて10Cの電流で10秒間のパルス放電を行い、放電開始から10秒後の電圧降下量からIV抵抗(mΩ)を求めた。結果を表1に示す。
Figure 2013157219
表1に示されるように、放熱材として結晶性グラファイトを用い、かつ捲回方向の一部範囲に放熱材層を形成した正極シートを用いた例1〜例5のリチウムイオン二次電池は、放熱材層を形成しなかった例6、放熱材としてアセチレンブラックを用いた例8、放熱材層を正極シートの捲回方向の全体に亘るように、かつ幅方向の中央近傍の一部範囲に形成した例9と比べて、捲回電極体の捲回中心側と外側との温度差ΔTが小さくなり、CIDの作動率が高かった。特に例2〜例4では、過充電状態になったときにCIDが確実に作動した。これは、放熱材層を正極シートの捲回方向の一部範囲に形成することによって、捲回電極体の捲回中心側と外側との性能差が小さくなり、その結果、捲回電極体の捲回中心側においても充分量のガスが発生したためと考えられる。また、放熱材層を形成することによって捲回電極体の捲回中心側と外側との温度差ΔTを減少させることと、放熱材層の形成範囲を所定の範囲に制限することとのバランスにより、容量維持率が向上する傾向が見られた。この結果から、放熱材層は、サイクル特性向上の点で有効であることが示された。一方、放熱材層を、正極集電体の全面(捲回方向の全範囲)に形成した例7では、CIDは確実に作動したものの、容量維持率は低下し、IV抵抗も上昇する傾向が見られた。また、放熱材としてアセチレンブラックを用いた例8は、放熱材層を形成しなかった例6と比べて、捲回電極体の捲回中心側と外側との温度差ΔTが大きかった。この結果から、例8の放熱材層は捲回電極体の径方向における温度差を減少させるようなものでなかったことがわかる。同様の傾向が例9でも見られた。
これらの結果から、捲回電極体の径方向における温度差が減少するように、かつ正極の捲回方向の一部範囲にのみ放熱材層を形成することによって、捲回電極体の捲回中心側と外側との性能差が小さくなり、その結果、サイクル特性が向上し、優れた耐久性を実現し得ることがわかる。また、かかる放熱材を形成することによって、電流遮断機構を設けた電池において、捲回電極体の捲回中心側でも充分量のガスが発生し、過充電状態になったときに電流遮断機構を精度よく作動させ得ることがわかる。なかでも、放熱材層を、比率(A2/A1)が20%〜50%の範囲内となるように形成したものは、より優れた効果を実現し得ることがわかる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。ここで開示される発明には上述の具体例を様々に変形、変更したものが含まれ得る。
1 自動車(車両)
10 正極シート(正極)
12 正極集電体
14 正極合材層
15 正極合材層非形成部分
16 放熱材層
20 負極シート(負極)
22 負極集電体
24 負極合材層
25 負極合材層非形成部分
30 電流遮断機構
32 変形金属板(第一部材)
33 湾曲部分
34 接続金属板(第二部材)
35 集電リード端子
36 接合点
38 絶縁ケース
40A,40B セパレータ
50 電池ケース
52 ケース本体
54 蓋体
70 正極端子
72 負極端子
74 正極集電板
76 負極集電板
80 捲回電極体
100 リチウムイオン二次電池
inin温度測定ポイント
outout温度測定ポイント

Claims (7)

  1. 正極と負極とが捲回されてなる捲回電極体を備える非水電解質二次電池であって、
    前記捲回電極体の径方向における温度差が減少するように前記正極と前記負極の少なくとも一方に放熱材層が形成されており、
    前記放熱材層は、前記正極と前記負極の少なくとも一方の捲回方向の一部範囲にのみ形成されている、非水電解質二次電池。
  2. 前記放熱材層は、前記捲回電極体の径方向における捲回厚の中央から捲回中心側で画定される範囲内に形成されている、請求項1に記載の非水電解質二次電池。
  3. 前記放熱材層は、前記正極と前記負極の少なくとも一方の捲回方向に直交する方向に延びるように形成されている、請求項1または2に記載の非水電解質二次電池。
  4. 前記放熱材層は、前記正極と前記負極の少なくとも一方において、該正極および該負極をそれぞれ構成する集電体と活物質層との間に形成されている、請求項1から3のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
  5. 前記放熱材層は、放熱材として結晶性グラファイトを主成分として含む、請求項1から4のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
  6. 電池ケースの内圧が上昇することによって作動する電流遮断機構を備えており、
    前記非水電解質二次電池を構成する非水電解質は、過充電状態になったときに前記非水電解質に含まれる非水溶媒の分解より先にガスを発生するガス発生剤を含む、請求項1から5のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の非水電解質二次電池を備える車両。
JP2012017363A 2012-01-30 2012-01-30 非水電解質二次電池 Pending JP2013157219A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012017363A JP2013157219A (ja) 2012-01-30 2012-01-30 非水電解質二次電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012017363A JP2013157219A (ja) 2012-01-30 2012-01-30 非水電解質二次電池

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2013157219A true JP2013157219A (ja) 2013-08-15

Family

ID=49052189

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012017363A Pending JP2013157219A (ja) 2012-01-30 2012-01-30 非水電解質二次電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2013157219A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013225415A (ja) * 2012-04-20 2013-10-31 Toyota Motor Corp 密閉型二次電池
WO2018181243A1 (ja) * 2017-03-30 2018-10-04 三井化学株式会社 リチウムイオン二次電池
CN110993872A (zh) * 2019-12-26 2020-04-10 东莞市沃泰通新能源有限公司 磷酸铁锂圆柱电池

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11144771A (ja) * 1997-11-11 1999-05-28 Japan Storage Battery Co Ltd 電池の放熱装置
JP2000232284A (ja) * 1998-12-10 2000-08-22 Fujitsu Ltd 電子機器筐体及びそれに用いる熱伝導パス部材
JP2005011660A (ja) * 2003-06-18 2005-01-13 Nissan Motor Co Ltd 二次電池用電極及びその製造方法並びにこれを用いた二次電池
JP2006324235A (ja) * 2005-04-20 2006-11-30 Matsushita Electric Ind Co Ltd 非水電解質二次電池

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11144771A (ja) * 1997-11-11 1999-05-28 Japan Storage Battery Co Ltd 電池の放熱装置
JP2000232284A (ja) * 1998-12-10 2000-08-22 Fujitsu Ltd 電子機器筐体及びそれに用いる熱伝導パス部材
JP2005011660A (ja) * 2003-06-18 2005-01-13 Nissan Motor Co Ltd 二次電池用電極及びその製造方法並びにこれを用いた二次電池
JP2006324235A (ja) * 2005-04-20 2006-11-30 Matsushita Electric Ind Co Ltd 非水電解質二次電池

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013225415A (ja) * 2012-04-20 2013-10-31 Toyota Motor Corp 密閉型二次電池
WO2018181243A1 (ja) * 2017-03-30 2018-10-04 三井化学株式会社 リチウムイオン二次電池
CN110495044A (zh) * 2017-03-30 2019-11-22 三井化学株式会社 锂离子二次电池
JPWO2018181243A1 (ja) * 2017-03-30 2020-02-06 三井化学株式会社 リチウムイオン二次電池
EP3605713A4 (en) * 2017-03-30 2020-12-23 Mitsui Chemicals, Inc. LITHIUM-ION ACCUMULATOR
CN110993872A (zh) * 2019-12-26 2020-04-10 东莞市沃泰通新能源有限公司 磷酸铁锂圆柱电池

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101960581B1 (ko) 비수전해질 이차 전지
JP5822089B2 (ja) 密閉型リチウム二次電池
JP6017978B2 (ja) 正極活物質及び該活物質を用いたリチウム二次電池
KR101811935B1 (ko) 비수 전해액 이차 전지
CN107078280B (zh) 非水电解质二次电池
JP5963022B2 (ja) 非水電解質二次電池およびその製造方法
WO2013125305A1 (ja) 密閉型非水電解質二次電池
JP5930331B2 (ja) 非水電解質二次電池の製造方法
JP6536563B2 (ja) 非水電解質二次電池
JP6152825B2 (ja) 非水電解液二次電池
CN103959520A (zh) 锂二次电池及其制造方法
JP2020035634A (ja) 非水電解質二次電池
JP5962956B2 (ja) リチウム二次電池
JP2013152874A (ja) 密閉型リチウム二次電池
JP5835617B2 (ja) 密閉型リチウム二次電池
JP2013239375A (ja) リチウムイオン二次電池およびその製造方法
JP6849066B2 (ja) 二次電池、電池パック、電動車両、電力貯蔵システム、電動工具および電子機器
JP5618156B2 (ja) 密閉型リチウム二次電池の製造方法
JP2013239374A (ja) リチウムイオン二次電池およびその製造方法
JP2013157219A (ja) 非水電解質二次電池
JP6120101B2 (ja) 非水電解質二次電池およびその製造方法
JP5839233B2 (ja) 非水電解質二次電池
JP5904366B2 (ja) 非水電解質二次電池およびその製造方法
JP6016015B2 (ja) 非水電解質二次電池
JP2022158172A (ja) 非水電解質二次電池の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20141202

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150713

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150723

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20151210