JP2013121623A - 電子ビーム表面処理装置及び電子ビーム表面処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】被処理物の表面の溶融領域の湯流れを抑制し、微細な表面粗さに仕上げることができる電子ビーム表面処理装置を得る。
【解決手段】真空チャンバ2内に設けられ、XYZ方向に移動するように構成されたXYZテーブル4に、被処理物Wを載置し、電子銃8から発射された電子ビームを収束レンズ9及び偏向レンズ10を通して、被処理物Wの表面に照射するように、収束レンズ9と偏向レンズ10とを制御装置7及び偏向制御装置11により制御して、電子ビームをこの電子ビームの進行方向に対し局所的に円の軌跡を描かせながら前進させ、被処理物Wの処理対象領域を電子ビームによって走査させる。
【選択図】図4
【解決手段】真空チャンバ2内に設けられ、XYZ方向に移動するように構成されたXYZテーブル4に、被処理物Wを載置し、電子銃8から発射された電子ビームを収束レンズ9及び偏向レンズ10を通して、被処理物Wの表面に照射するように、収束レンズ9と偏向レンズ10とを制御装置7及び偏向制御装置11により制御して、電子ビームをこの電子ビームの進行方向に対し局所的に円の軌跡を描かせながら前進させ、被処理物Wの処理対象領域を電子ビームによって走査させる。
【選択図】図4
Description
この発明は、電子ビームを用いて金属の表面処理を行う電子ビーム表面処理装置及び電子ビーム表面処理方法に関するものである。
一般に、金型は切削加工機械や放電加工によって粗加工した後、表面の仕上げ加工が必要である。従来は、この仕上げ加工は熟練者による研磨で行われており、多大な時間とコストが必要となっていた。そこで、手作業によらずに被処理物の表面を平滑化するために、被処理物の表面の広い範囲にわたって電子ビームをパルス照射して表面処理を行うようにした技術(例えば、特許文献1参照)や、電子ビームを被処理物付近に焦点を合わせ、二次元走査して表面処理するようにした技術(例えば、特許文献2参照)がそれぞれ提案されている。
特許文献1に記載されている技術は、微細な表面粗さに仕上げることが可能であるが、広い面積にわたって電子ビームが照射されるため、表面層が溶融凝固した後に引っ張り残留応力が生じ易く、被処理物の表面に微細なクラックを生じる。また、被処理物の形状が複雑なものでは、その表面に均一に電子ビームを照射することができない。このため、表面粗さに局所的なむらを生じ易い。
特許文献2に記載されている技術では、被処理面の表面に焦点を合わせ、ビーム径がφ 0.03mmくらいで、電子ビームをデジタル的に微少量(例えば0.01mm〜0.05mm)ずつ予め設定された位置をデータ通りに動かし、二次元走査を行うため、複雑な形状であっても表面処理が行えるが、表面粗さが1μm程度までにしか改善されない。
被処理物の特性を改善する物質を被処理面に塗布し、電子ビームを照射して被処理面に一体化させ、特性を改善する処理を行う場合、従来の照射方法では照射後に塗布物質の存在に偏りが生じ、均一な表面特性を得られないという問題があった。
特許文献2に記載されている技術では、被処理面の表面に焦点を合わせ、ビーム径がφ 0.03mmくらいで、電子ビームをデジタル的に微少量(例えば0.01mm〜0.05mm)ずつ予め設定された位置をデータ通りに動かし、二次元走査を行うため、複雑な形状であっても表面処理が行えるが、表面粗さが1μm程度までにしか改善されない。
被処理物の特性を改善する物質を被処理面に塗布し、電子ビームを照射して被処理面に一体化させ、特性を改善する処理を行う場合、従来の照射方法では照射後に塗布物質の存在に偏りが生じ、均一な表面特性を得られないという問題があった。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、被処理物の表面の溶融領域の湯流れを抑制し、微細な表面粗さに仕上げることができる電子ビーム表面処理装置及び電子ビーム表面処理方法を得ることを目的にしている。
この発明に係わる電子ビーム表面処理装置においては、被処理物に電子ビームを照射するための電子ビーム照射装置、この電子ビーム照射装置により照射された電子ビームを偏向させる偏向レンズを制御する偏向制御装置、及び電子ビーム照射装置を制御する制御装置を備え、制御装置及び偏向制御装置は、偏向レンズを制御し、電子ビームを、この電子ビームの進行方向に対し局所的に円の軌跡を描かせながら前進させ、被処理物の処理対象領域を電子ビームによって走査させるものである。
この発明は、以上説明したように、被処理物に電子ビームを照射するための電子ビーム照射装置、この電子ビーム照射装置により照射された電子ビームを偏向させる偏向レンズを制御する偏向制御装置、及び電子ビーム照射装置を制御する制御装置を備え、制御装置及び偏向制御装置は、偏向レンズを制御し、電子ビームを、この電子ビームの進行方向に対し局所的に円の軌跡を描かせながら前進させ、被処理物の処理対象領域を電子ビームによって走査させるので、処理対象領域内の溶融による湯流れを抑制することができ、平坦性を改善することができる。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による電子ビーム表面処理装置を示す構成図である。
図1において、電子ビーム表面処理装置1は、真空チャンバ2内に、被処理部Wを載置するXYZテーブル4(テーブル)と、被処理部Wに向けて電子ビームを発生する電子銃8と、この電子銃8からの電子ビームを収束する収束レンズ9と、収束レンズ9によって収束された電子ビームを偏向する偏向レンズ10とを有している。電子銃8と、収束レンズ9と、偏向レンズ10は、電子ビーム照射装置3を構成する。
真空チャンバ2の外部には、真空排気装置5、電源装置6、および制御装置7が設けられている。真空排気装置5は、被処理物WをXYZテーブル4上に載置した後、真空チャンバ2内が所定の真空度に達するまで真空引きを行う。制御装置7は、マイクロコンピュータ等から構成され、予め設定された制御プログラムに基づいて電子ビーム照射装置3、XYZテーブル4、真空排気装置5、および電源装置6の各動作を制御し、さらに、電子ビームが被処理物Wの表面の照射位置に常に焦点を結ぶように収束レンズ9を制御する。偏向制御装置11は、偏向レンズ10を制御する。
図1は、この発明の実施の形態1による電子ビーム表面処理装置を示す構成図である。
図1において、電子ビーム表面処理装置1は、真空チャンバ2内に、被処理部Wを載置するXYZテーブル4(テーブル)と、被処理部Wに向けて電子ビームを発生する電子銃8と、この電子銃8からの電子ビームを収束する収束レンズ9と、収束レンズ9によって収束された電子ビームを偏向する偏向レンズ10とを有している。電子銃8と、収束レンズ9と、偏向レンズ10は、電子ビーム照射装置3を構成する。
真空チャンバ2の外部には、真空排気装置5、電源装置6、および制御装置7が設けられている。真空排気装置5は、被処理物WをXYZテーブル4上に載置した後、真空チャンバ2内が所定の真空度に達するまで真空引きを行う。制御装置7は、マイクロコンピュータ等から構成され、予め設定された制御プログラムに基づいて電子ビーム照射装置3、XYZテーブル4、真空排気装置5、および電源装置6の各動作を制御し、さらに、電子ビームが被処理物Wの表面の照射位置に常に焦点を結ぶように収束レンズ9を制御する。偏向制御装置11は、偏向レンズ10を制御する。
図2は、この発明の実施の形態1による電子ビーム表面処理装置の電子ビーム軌跡を示す説明図である。
図2において、偏向制御装置11によって電子ビームを微小振動軌跡12のように進行方向に対し前後に微小に振動させる。制御装置7の制御により、全体としての電子ビーム軌跡13が被処理物Wに描かれる。
図2において、偏向制御装置11によって電子ビームを微小振動軌跡12のように進行方向に対し前後に微小に振動させる。制御装置7の制御により、全体としての電子ビーム軌跡13が被処理物Wに描かれる。
図3は、この発明の実施の形態1による電子ビーム表面処理装置の処理対象領域内の電子ビーム軌跡を示す説明図である。
図3において、被処理物Wの表面処理が必要な処理対象領域14内を二次元走査された全体としての電子ビーム軌跡13が示されている。
図3において、被処理物Wの表面処理が必要な処理対象領域14内を二次元走査された全体としての電子ビーム軌跡13が示されている。
次に、動作について説明する。
実施の形態1の電子ビーム表面処理装置1は、鋼等の鉄系金属、あるいはアルミニウム合金、チタン合金、超硬合金等の非鉄金属からなる被処理物Wの表面処理を行うものであって、真空チャンバ2内に電子ビーム照射装置3とXYZテーブル4とが配置されている。
被処理物WをXYZテーブル4上に載置した後、真空排気装置5により真空チャンバ2内が所定の真空度に達するまで真空引きを行う。真空チャンバ2内が所定の真空度に達すると、制御装置7は、XYZテーブル4を駆動して表面処理が必要とされる処理対象領域に電子ビームが照射可能な位置まで被処理物Wを移動させた後、電源装置6を起動して電子銃8から電子ビームを発生させる。
電子ビーム照射装置3は、被処理物Wの表面に電子ビームを照射するもので、電子ビームは収束レンズ9で収束された後、偏向レンズ10で偏向されて被処理物Wの表面に照射される。
マイクロコンピュータ等から構成された制御装置7は、予め設定された制御プログラムに基づいて電子ビーム照射装置3、XYZテーブル4、真空排気装置5、電源装置6の各動作を制御するとともに、電子ビームが被処理物Wの表面の照射位置に常に焦点を結ぶように収束レンズ9を制御する。このとき、ビーム径は処理領域に対し十分小さい。
実施の形態1の電子ビーム表面処理装置1は、鋼等の鉄系金属、あるいはアルミニウム合金、チタン合金、超硬合金等の非鉄金属からなる被処理物Wの表面処理を行うものであって、真空チャンバ2内に電子ビーム照射装置3とXYZテーブル4とが配置されている。
被処理物WをXYZテーブル4上に載置した後、真空排気装置5により真空チャンバ2内が所定の真空度に達するまで真空引きを行う。真空チャンバ2内が所定の真空度に達すると、制御装置7は、XYZテーブル4を駆動して表面処理が必要とされる処理対象領域に電子ビームが照射可能な位置まで被処理物Wを移動させた後、電源装置6を起動して電子銃8から電子ビームを発生させる。
電子ビーム照射装置3は、被処理物Wの表面に電子ビームを照射するもので、電子ビームは収束レンズ9で収束された後、偏向レンズ10で偏向されて被処理物Wの表面に照射される。
マイクロコンピュータ等から構成された制御装置7は、予め設定された制御プログラムに基づいて電子ビーム照射装置3、XYZテーブル4、真空排気装置5、電源装置6の各動作を制御するとともに、電子ビームが被処理物Wの表面の照射位置に常に焦点を結ぶように収束レンズ9を制御する。このとき、ビーム径は処理領域に対し十分小さい。
次に、実施の形態1での電子ビーム照射方法を、図2、図3を用いて説明する。
図2に示すように、偏向制御装置11によって電子ビームを、微小振動軌跡12のように電子ビームの進行方向に対し、前後に微小に振動させながら、制御装置7と偏向制御装置11により偏向レンズ10を制御して、全体としてのビーム軌跡13を描かせる。
この全体としての電子ビーム軌跡13は、図3に示すように、被処理物Wの表面処理が必要な処理対象領域14内を、溶融ムラが生じないように二次元走査することによって得られる。
このように、電子ビームを被処理物Wの処理対象領域内で走査の際、局所的に進行方向に対して振動しながら走査することで、走査の際に形成される溶融領域に対し、進行方向後方にも入熱が行われる。これにより、溶融領域内の温度場が均一、もしくは温度勾配が減少する。
溶融領域内の温度勾配が減少すると、溶融領域内で生じる対流や振動を低減させることができ、凝固後、表面の平坦性が改善され、一度の走査で0.5μm程度の微細な表面粗さに仕上げることができる。
図2に示すように、偏向制御装置11によって電子ビームを、微小振動軌跡12のように電子ビームの進行方向に対し、前後に微小に振動させながら、制御装置7と偏向制御装置11により偏向レンズ10を制御して、全体としてのビーム軌跡13を描かせる。
この全体としての電子ビーム軌跡13は、図3に示すように、被処理物Wの表面処理が必要な処理対象領域14内を、溶融ムラが生じないように二次元走査することによって得られる。
このように、電子ビームを被処理物Wの処理対象領域内で走査の際、局所的に進行方向に対して振動しながら走査することで、走査の際に形成される溶融領域に対し、進行方向後方にも入熱が行われる。これにより、溶融領域内の温度場が均一、もしくは温度勾配が減少する。
溶融領域内の温度勾配が減少すると、溶融領域内で生じる対流や振動を低減させることができ、凝固後、表面の平坦性が改善され、一度の走査で0.5μm程度の微細な表面粗さに仕上げることができる。
実施の形態1によれば、電子ビームを被処理物Wの処理対象領域内で走査する際、局所的に進行方向に対して前後に振動しながら走査することで、走査の際に形成される溶融領域に対し、進行方向後方にも入熱が行われることにより、溶融領域内の温度場が均一、もしくは温度勾配が減少し、溶融領域内で生じる対流や振動を低減させることができ、凝固後、表面の平坦性が改善され、一度の走査で0.5μm程度の微細な表面粗さに仕上げることができる。
実施の形態2.
実施の形態2は、実施の形態1において、偏向制御装置11によって電子ビームを進行方向に対し前後に微小に振動させながら、制御装置7により、被処理物Wを載置したXYZテーブル4を移動させることにより、全体としてのビーム軌跡13を描くようにしたものである。このとき、XYZテーブル4と電子ビームの両方を制御して、全体としてのビーム軌跡13を描くようにしてもよい。
実施の形態2は、実施の形態1において、偏向制御装置11によって電子ビームを進行方向に対し前後に微小に振動させながら、制御装置7により、被処理物Wを載置したXYZテーブル4を移動させることにより、全体としてのビーム軌跡13を描くようにしたものである。このとき、XYZテーブル4と電子ビームの両方を制御して、全体としてのビーム軌跡13を描くようにしてもよい。
実施の形態3.
図4は、この発明の実施の形態3による電子ビーム表面処理装置の電子ビーム軌跡を示す説明図である。
図4において、偏向制御装置11によってビームを被処理物Wの表面上に、局所的に円の走査軌跡15を繰り返し描くように走査する。この状態で電子ビームと被処理物Wとを相対的に移動させると、局部的には円の走査軌跡15を繰り返し描くような電子ビーム軌跡16が得られる。全体としては一方向に走査する電子ビーム軌跡17となる。
図4は、この発明の実施の形態3による電子ビーム表面処理装置の電子ビーム軌跡を示す説明図である。
図4において、偏向制御装置11によってビームを被処理物Wの表面上に、局所的に円の走査軌跡15を繰り返し描くように走査する。この状態で電子ビームと被処理物Wとを相対的に移動させると、局部的には円の走査軌跡15を繰り返し描くような電子ビーム軌跡16が得られる。全体としては一方向に走査する電子ビーム軌跡17となる。
実施の形態3は、実施の形態1の図1のような構成で、電子ビームの走査を次のような走査方法にする。
偏向制御装置11によってビームを被処理物Wの表面上に、局所的に円の軌跡15を繰り返し描くように走査する。この状態で、偏向レンズ10を制御することにより、局部的には円の軌跡15を繰り返し描くような電子ビーム軌跡16となり、全体としては一方向に走査する電子ビーム軌跡17を描かせる。
この全体としての電子ビーム軌跡17は、図3に示すように、被処理物Wの表面処理が必要な処理対象領域14内において溶融ムラが生じないように二次元走査することで得られる。
このように、電子ビームを被処理物Wの処理対象領域14内で走査の際、局所的に円の軌跡を繰り返し描くように走査することで、走査の際に形成される溶融領域に対し、進行方向後方にも入熱が行われる。これにより、溶融領域内の温度場が均一、もしくは温度勾配が減少する。溶融領域内の温度勾配が減少すると、溶融領域内で生じる対流や振動を低減させることができ、凝固後、表面の平坦性が改善され、一度の走査で0.5μm程度の微細な表面粗さに仕上げることができる。
偏向制御装置11によってビームを被処理物Wの表面上に、局所的に円の軌跡15を繰り返し描くように走査する。この状態で、偏向レンズ10を制御することにより、局部的には円の軌跡15を繰り返し描くような電子ビーム軌跡16となり、全体としては一方向に走査する電子ビーム軌跡17を描かせる。
この全体としての電子ビーム軌跡17は、図3に示すように、被処理物Wの表面処理が必要な処理対象領域14内において溶融ムラが生じないように二次元走査することで得られる。
このように、電子ビームを被処理物Wの処理対象領域14内で走査の際、局所的に円の軌跡を繰り返し描くように走査することで、走査の際に形成される溶融領域に対し、進行方向後方にも入熱が行われる。これにより、溶融領域内の温度場が均一、もしくは温度勾配が減少する。溶融領域内の温度勾配が減少すると、溶融領域内で生じる対流や振動を低減させることができ、凝固後、表面の平坦性が改善され、一度の走査で0.5μm程度の微細な表面粗さに仕上げることができる。
実施の形態3によれば、電子ビームを被処理物Wの処理対象領域14内で走査の際、局所的に円の軌跡を繰り返し描くように走査することで、走査の際に形成される溶融領域に対し、進行方向後方にも入熱が行われることにより、溶融領域内の温度場が均一、もしくは温度勾配が減少し、溶融領域内で生じる対流や振動を低減させることができ、凝固後、表面の平坦性が改善され、一度の走査で0.5μm程度の微細な表面粗さに仕上げることができる。
実施の形態4.
実施の形態4は、実施の形態3において、偏向制御装置11によって局部的には円の軌跡15を繰り返し描きながら、制御装置7により、被処理物Wを載置したXYZテーブル4を移動させることにより、全体としてのビーム軌跡17を描くようにしたものである。このとき、XYZテーブル4と電子ビームの両方を制御して、全体としてのビーム軌跡17を描くようにしてもよい。
実施の形態4は、実施の形態3において、偏向制御装置11によって局部的には円の軌跡15を繰り返し描きながら、制御装置7により、被処理物Wを載置したXYZテーブル4を移動させることにより、全体としてのビーム軌跡17を描くようにしたものである。このとき、XYZテーブル4と電子ビームの両方を制御して、全体としてのビーム軌跡17を描くようにしてもよい。
実施の形態5.
実施の形態5では、被処理面の特性を改善する物質を被処理面上に均一に塗布する(第一の工程)。塗布する厚みは被処理面への入熱が妨げられないように50μm以下が好ましい。被処理面への塗布後、実施の形態1〜実施の形態4に示した照射方法による電子ビーム照射を行う(第二の工程)。このとき、電子ビームの出力を制御することで、塗布物質の一部を昇華させ、残留する塗布物質量を調節することができる。
一般に、塗布物資は、被処理面が溶融すると溶融領域に入り込み、そのまま凝固することで一体化する。このとき、溶融領域に湯流れが生じると、塗布物質は溶融物に流され、残留時に偏りが生じる。これにより、特性にばらつきが生じ、さらに表面粗さの悪化も起きる。
これに対して、実施の形態1〜実施の形態4の電子ビーム照射方法では、溶融領域の湯流れを抑制できるため、均一に塗布されていれば、処理後も偏りなく均一に塗布物質が残留する。これにより、良好な特性、微細な表面粗さを得ることができる。
実施の形態5では、被処理面の特性を改善する物質を被処理面上に均一に塗布する(第一の工程)。塗布する厚みは被処理面への入熱が妨げられないように50μm以下が好ましい。被処理面への塗布後、実施の形態1〜実施の形態4に示した照射方法による電子ビーム照射を行う(第二の工程)。このとき、電子ビームの出力を制御することで、塗布物質の一部を昇華させ、残留する塗布物質量を調節することができる。
一般に、塗布物資は、被処理面が溶融すると溶融領域に入り込み、そのまま凝固することで一体化する。このとき、溶融領域に湯流れが生じると、塗布物質は溶融物に流され、残留時に偏りが生じる。これにより、特性にばらつきが生じ、さらに表面粗さの悪化も起きる。
これに対して、実施の形態1〜実施の形態4の電子ビーム照射方法では、溶融領域の湯流れを抑制できるため、均一に塗布されていれば、処理後も偏りなく均一に塗布物質が残留する。これにより、良好な特性、微細な表面粗さを得ることができる。
実施の形態5によれば、被処理面の特性を改善する物質を塗布した上で、電子ビーム照射を行うので、この物質を被処理面に偏りなく均一に一体化させ、表面特性を改善することができる。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
1 電子ビーム表面処理装置、2 真空チャンバ、3 電子ビーム照射装置、
4 XYZテーブル、5 真空排気装置、6 電源装置、7 制御装置、8 電子銃、9 収束レンズ、10 偏向レンズ、11 偏向制御装置、12 微小振動軌跡、13 全体としての電子ビーム軌跡、14 処理対象領域、15 走査軌跡、16 電子ビーム軌跡、17 全体としての電子ビーム軌跡。
4 XYZテーブル、5 真空排気装置、6 電源装置、7 制御装置、8 電子銃、9 収束レンズ、10 偏向レンズ、11 偏向制御装置、12 微小振動軌跡、13 全体としての電子ビーム軌跡、14 処理対象領域、15 走査軌跡、16 電子ビーム軌跡、17 全体としての電子ビーム軌跡。
Claims (2)
- 被処理物に電子ビームを照射するための電子ビーム照射装置、
この電子ビーム照射装置により照射された電子ビームを偏向させる偏向レンズを制御する偏向制御装置、
及び上記電子ビーム照射装置を制御する制御装置を備え、
上記制御装置及び上記偏向制御装置は、上記偏向レンズを制御し、上記電子ビームを、この電子ビームの進行方向に対し局所的に円の軌跡を描かせながら前進させ、上記被処理物の処理対象領域を上記電子ビームによって走査させることを特徴とする電子ビーム表面処理装置。 - 電子ビームを偏向させる偏向レンズを制御することによって、上記電子ビームを、この電子ビームの進行方向に対し局所的に円の軌跡を描かせながら前進させ、被処理物の処理対象領域を上記電子ビームによって走査させることを特徴とする電子ビーム表面処理方法。
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