以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
図1〜図6は本発明による一実施の形態を説明するための図である。このうち図1および図2は、それぞれ、表示装置および光学モジュールの概略構成を示す斜視図および側面図である。図3は、光学モジュールを示す平面図であり、光学モジュールの偏向光学シートと、光源の発光部(発光体)と、の位置関係を示している。図4は、反射シートの反射特性を説明するための側面図であり、図5は、偏向光学素子を示す斜視図である。
図1に示された表示装置10は、液晶表示装置であって、液晶表示パネル15と、液晶表示パネル15の背面側に、言い換えると、液晶表示パネル15に関して観察者側とは反対側に配置された反射シート(反射板、反射素子、反射部材)21と、偏向光学シート50と反射シート21との間の領域に側方から光を照射する光源25と、を有している。液晶表示パネル15は、光の透過または遮断をカラーフィルタの画素毎に制御するシャッターとして機能して、画像を形成する装置である。
液晶表示パネル15は、詳しくは後述するように、一対の偏光板12,40と、一対の偏光板間に配置された液晶セル11と、を有している。そして、液晶表示パネル15の最も入光側に位置する一方の偏光板40の偏向光学シート50と、光源25と、反射シート21と、によって、光学モジュール20が形成されている。また、本実施の形態においては、偏向光学シート50と反射シート21との間を延びる補助反射素子31が、光源25と対向して配置されており、この補助反射素子31も光学モジュール20の一部分を構成している。なお、以下においては、液晶表示パネル15に含まれる一対の偏光板を区別するため、表示装置10の配置状態に関係なく、入光側の偏光板40を下偏光板と呼び、出光側の偏光板12を上偏光板と呼ぶ。
図1、図2、図5および図6に示すように、本実施の形態において、液晶表示パネル15、並びに、液晶表示パネル15をなす構成要素としての一対の偏光板12,40および液晶セル11、さらには、後述する下偏光板40において偏光子41の保護フィルムとしても機能する偏向光学シート50は、平面視において四角形形状となるように構成されており、結果として、各部材(各構成要素)は、第1方向d1に対向する一対の縁部と、第2方向d2に対向するもう一対の縁部と、の二対の縁部を有している。したがって、偏向光学シート50は、第1方向d1に対向する一対の縁部50c1,50c2と、第2方向d2に対向するもう一対の縁部と、の二対の縁部を有している。また、本実施の形態において、第1方向d1と第2方向d2とは、互いに直交している。
詳しくは後述するように、光源25の発光部26で発光された光は、補助反射素子31で反射されて、及び/又は、反射シート21で反射されて、或いは、直接、液晶表示パネルの入光側面をなす偏向光学シート50に入射する。以下、反射シート21、補助反射素子31、光源25、液晶表示パネル15について、順に、説明していく。
なお、本明細書において、「出光側」とは、対象となる部材において、観察者へ向かう予定された光路における下流側(図1及び図2においては紙面の右側)、すなわち観察者側のことであり、「入光側」とは、この予定された光路における上流側のことである。また「背面側」とは、正面方向における「出光側」とは反対の側のことである。
また、本明細書において、「シート」、「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。したがって、例えば、「シート」はフィルムとも呼ばれ得るような部材も含む概念であり、その名称のみによって区別されない。一具体例として、「偏向光学シート」には「偏向光学フィルム」と呼ばれ得る部材も含まれる。同様に、「反射シート」には、「反射板」と呼ばれ得る部材も含まれる。
さらに、本明細書において、「正面方向」とは、光学モジュール20を構成する偏向光学シート50の後述する本体部55の入光側面(反射シート21に対面する側の面)55bへの法線方向ndのことを指している。本実施の形態での正面方向は、液晶表示パネル15の最も観察者に近い側(最出光側)の面によって形成される表示装置10の表示面10aへの法線方向、液晶表示パネル15のパネル面への法線方向、下偏光板40の板面への法線方向、偏向光学シート50のシート面への法線方向、偏向光学シート50の後述する本体部55のシート面への法線方向等と一致する。また、本明細書において、「パネル面(シート面、フィルム面、板面)」とは、対象となるシート状の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状部材の平面方向と一致する面のことを指す。
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば、「平行」や「直交」等の用語については、厳密な意味に縛られることなく、同様の光学的機能を期待し得る程度の誤差を含めて解釈することとする。
まず、反射シート21について説明する。反射シート21は、液晶表示パネル15の入光側面をなす偏向光学シート50に正面方向から対面する位置に配置されている。そして、反射シート21は、偏向光学シート50に対面する面として、光を反射する反射面22を有している。反射シート21は、反射面22へ入射してくる光を、偏向光学シート50の入光側面50b、すなわち、液晶表示パネル15の入光側面に向けて反射する。
反射シート21は、少なくともその反射面22を例えば金属等の高い反射率を有する材料から構成されている。とりわけここで説明する反射シート21は、光の入射方向に依存した指向性を持つ反射特性で、当該光を反射する。ここで、「光の入射方向に依存した指向性を持つ反射特性」とは、入射方向が変化すれば各方向への反射光の反射光量分布が変化する特性のことである。すなわち、「光の入射方向に依存した指向性を持つ反射特性」とは、入射方向に依存することなく各方向への反射光量が均一となる完全拡散ではない反射特性を意味している。図4には、特定の方向から入射する光を反射した際における各方向への反射光量が、実線および二点鎖線で示されている。図4における実線が、「光の入射方向に依存した指向性を持つ反射特性」の一例であり、図5における二点鎖線が、完全拡散の場合の反射特性を示している。とりわけ図4の実線で示した例では、鏡面反射された光が、反射光に最も多く含まれるようになっている。すなわち、図4に示されて例では、入射方向へ依存して、反射光の光量が最も多くなる方向が変化する。
図30に示された導光板Aを用いた従来の光学モジュールおよび面光源装置では、入射光を完全拡散する反射特性を有した反射シートDが広く用いられてきた。最も広く用いられている導光板Aの裏面には、完全拡散反射機能を有した白色ドットが印刷されており、この白色ドットと同様の反射特性を反射シートDに付与するため、完全拡散反射機能を有する反射シートDが用いられる傾向があった。また、導光板Aと反射シートDとの光学密着を防止する目的からも、表面に凹凸を有し拡散性の強い反射シートDが用いられてきた。
本件発明者らは、鋭意研究を重ねた結果として、後述する実施例でも実証されているように、次のことを知見した。従来用いられてきた完全拡散反射特性を呈する反射シートに代えて、光の入射方向に依存した指向性を持つ反射特性を有した反射シートを、ここで説明する構成の光学モジュール20に組み込むことによって、第1方向d1に沿った明るさの分布を効果的に均一化することができる。より定量的に説明すると、第1方向d1に平行となる面内を進んで60°の入射角度で入射する入射光を用いてJISZ8741に準拠して測定された反射シート21の鏡面光沢度が、24以上となる場合、より効果的に第1方向d1に沿った明るさの分布を均一化することができる。さらには、反射シート21の偏向光学シート50に対面する反射面22が平滑面である場合、さらに効果的に第1方向d1に沿った明るさの分布を均一化することができる。
なお、ここで用いる「平滑」とは、光学的な意味合いでの平滑を意味するものである。したがって、例えば、反射シート21の反射面22の十点平均粗さRz(JISB0601)が最短の可視光波長(0.38μm)以下となっていれば、十分、平滑に該当する。
ただし、反射シート21は、図4に実線で示された反射特性のように、光の入射方向に依存した指向性を持つ反射特性である限りにおいて、拡散反射機能を有していてもよい。反射シート21での反射が拡散反射の場合には、当該反射は、等方性拡散でもよく、あるいは、異方性拡散でもよい。例えば、エンボス加工等によって、反射シート21の反射面22に凹凸を形成することによって、反射シート21での反射を等方拡散とすることができる。また、例えば、反射シート21の反射面22にヘアライン加工を及ぼすことによって、反射シート21での反射を異方性拡散とすることができる。さらには、反射シート21の平坦な反射面22上に、プリズム、レンズ、マイクロレンズといった透明な光学要素が設けられ、これらの光学要素に起因して、反射シート21が、等方性拡散反射機能または異方性拡散反射機能を発現するようにしてもよい。
図1および図2に示すように、この反射シート21は、偏向光学シート50から正面方向にずれた位置に配置されている。より詳細には、反射シート21は、偏向光学シート50の入光側面50bよりも、正面方向に沿って背面側へずれた位置に配置されている。これにより、反射シート21の反射面22で反射された光は、偏向学シート50の入光側面50bに直接入射すること、言い換えると、他の部材を介すことなくそのまま入射すること、が可能となっている。とりわけ本実施の形態では、図2に示すように、反射シート21は、少なくとも一部分が偏向光学シート50と正面方向ndに直面するように、配置されている。すなわち、反射シート21の少なくとも一部分と偏向光学シート50のとの間には、他の部材が介在しておらず、反射シート21の少なくとも一部分で反射された光は、直接、偏向光学シート50に入射することができる。
以上のような反射シート21として、例えば、反射面22が銀で構成されて鏡面反射機能を有する反射シートを用いることができる。また、完全拡散でない拡散反射性を有した反射シート21として、例えば、反射面22の表面粗さが低く又は反射面22が平滑であって、内部に拡散成分21a(図4参照)を含有した反射シートを用いることができる。この反射シートの拡散成分21aは、特に限定されるものではなく、例えば、金属化合物であってもよいし、気体を含有した多孔質物であってもよいし、さらには、単なる気泡であってもよい。
次に、光源について説明する。図1〜図3に示すように、光源25は、矩形状の平面形状を有した偏向光学シート50の一つの縁部50c1に対応して当該縁部50c1の近傍に設けられている。そして図3に示すように、発光部26は、平面視において、この縁部50c1を横切るように光を放射する。
光源25をなす発光部26として、種々の既知な発光部、例えば冷陰極管、とりわけ配光方向が絞られた冷陰極管を用いることができる。ただし、図示する例では、複数の点状の発光部26、典型的には、複数の発光ダイオード(LED)26によって光源25が構成されている。光源25をなす多数の点状発光部26は、対応する偏向光学シート50の縁部50c1の長手方向に沿って並べて配置されている。すなわち、本実施の形態では、光源25をなす多数の点状発光部26は、第1方向d1に直交する第2方向d2に並べて配置されている。
図3および図2によく示されているように、この表示装置10では、光源25をなす発光部26は、エッジライト型の液晶表示装置と同様に、液晶表示パネル15の外輪郭に沿って当該外輪郭の外方に位置している。より詳細には、光源25の発光部26は、正面方向からの観察において、偏向光学シート50の縁部50c1の外方となる位置に配置されている。すなわち、図3に示すように、正面方向からの観察において、光源25をなす発光部26は、液晶表示パネル15(より厳密には、液晶表示パネル15のうちの映像を形成する表示面10aをなすようになる領域)と重ならない位置に配置されている。
また、本実施の形態に係る表示装置10では、図2に示すように、光源25をなす発光部26が、液晶表示パネル15から正面方向にずれた位置に配置されている。より詳細には、光源25をなす発光部26は、偏向光学シート50の入光側面50bよりも正面方向に沿って背面側へずれた位置であって、反射シート21の反射面22よりも正面方向に沿って観察者側へずれた位置に配置されている。このような配置により、光源25は、反射シート21と偏向光学シート50との間の領域に光を投射し、当該光は、第1方向d1において偏向光学シート50一方の縁部50c1の側から他方の縁部50c2の側へ進むようになる。したがって、反射シート21の反射面22および偏向光学シート50の入光側面50bは、光源25で発光された光の少なくとも一部を、直接、すなわち他の部材を介することなく、受けることができる。
ところで、LEDのような点状発光部26を含んで構成された光源25は、光を均一な光度で放射状に射出するのではなく、指向性を有している。すなわち、LEDのような点状発光部26を含んで構成された光源25は、各方向に異なる光度(単位:カンデラ)で光を放射する。一般的には、光源から射出される光は、特定の方向pdにピーク光度を持つ。そして、当該特定の方向pdに対する傾斜角度が大きくなるにつれて、光度の値はしだいに低下していく。好ましくは、このような光源25の指向特性(配光特性、さらに言い換えると、光度の角度(方向)分布)を考慮して、光源25をなす発光部26の配置が決定される。なお、本明細書では、ピーク光度をもたらす上記特定の方向を「光軸」と呼ぶ。
図2に示すように、本実施の形態では、正面方向ndおよび第1方向d1の両方向に平行な断面において、光源25から射出される光の光軸pdが、偏向光学シート50と反射シート21との間を延び、偏向光学シート50および反射シート21に接触しないようになっている。すなわち、光源25は、光源25から射出される光の光軸pdが偏向光学シート50と反射シート21との間を延びて補助反射素子31上の位置へ向くよう、構成されている。さらに本実施の形態では、光源25から射出される光の光軸pdが、第1方向と平行となるように、光源25の発光部26が位置決めされている。
このような配置によれば、光源25の発光部26で発光された光の多くが、偏向光学シート50および反射シート21に入射することなく、補助反射素子31へ入射することが可能となる。本件発明者らが、鋭意研究を重ねたところ、このような光源25の光軸pdの配置を、ここで説明する光学モジュール20に適用した場合、第1方向d1に沿った明るさ分布を効果的に均一化することができた。
次に、補助反射素子31について説明する。補助反射素子31は、第1方向d1に沿って光源25の発光部26と対面する位置に配置されており、偏向光学シート50と反射シート21との間を延びている。より厳密には、補助反射素子31は、偏向光学シート50の他方の縁部50c2と、この縁部50c2に対面する側の反射シート21の縁部との間の隙間を塞ぐように、偏向光学シート50と反射シート21との間を延びている。
このような補助反射素子31によれば、発光部26からの光の多くが、概ね第1方向d1に沿って一側から他側へ向けて進み、第1方向d1における他側において液晶表示パネル15と反射シート21との間から漏れ出してしまうことを防止することができる。したがって、発光部26で発光された光の損失を効果的に防止することができる。すなわち、光源25からの光の利用効率を効果的に向上させることができ、光学モジュール20および表示装置10のエネルギー効率を効果的に向上させることができる。
また、本実施の形態においては、光源25は、図2の断面において、その光軸pdが偏向光学シート50と反射シート21との間を延びて補助反射素子31上の位置へ向くよう、構成されている。このため、発光部26から投射された光の多くが、補助反射素子31に入射し、補助反射素子31は多量の光を反射するようになっている。したがって、補助反射素子31は、第1方向d1の他側に配置された発光部のように機能することができる。この結果、光学モジュール20は、あたかも、第1方向d1における両側方に発光部を有した構成となり、第1方向d1に沿った明るさの分布を効果的に均一化することができる。
このような補助反射素子31の機能を有効に発揮し、明るさ分布のバラツキを緩和する観点からは、JISZ8741に準拠して測定された補助反射素子31の鏡面光沢度が、第1方向d1に平行となる面内を進んで60°の入射角度で入射する入射光を用いてJISZ8741に準拠して測定された反射シート21の鏡面光沢度以上であることが好ましい。より好ましくは、補助反射素子31の反射面32が平滑であり、さらにより好ましくは、補助反射素子31が鏡面反射機能を有していることである。このような補助反射素子31によれば、反射による光量損失を効果的に防止しながら、第1方向d1に沿った明るさ分布を効果的に均一化することができる。
また、補助反射素子31の機能を有効に発揮し、明るさ分布のバラツキを緩和する観点からは、補助反射素子31の発光部26に対面する反射面32が、第1方向d1に対して90度以外の角度で傾斜しており、補助反射素子31が、第1方向d1と平行な方向に進む光を偏向光学シート50上の位置に向けて反射するようになっていることが好ましい。この形態によれば、光源25から射出された光の光軸pdに沿って当該光源25から射出される光が、偏向光学シート50と反射シート21との間を進んで補助反射素子31に直接入射し、補助反射素子31で反射された後に偏向光学シート50に直接入射することができる。したがって、反射による光量損失を効果的に防止しながら、第1方向d1に沿った明るさ分布を効果的に均一化することができる。
さらに、光源25からの光の利用効率の改善を図る目的から、図2に二点鎖線で示すように、第1方向d1の一側での液晶表示パネル15と反射シート21との間の隙間を塞ぐ反射材23を設けるようにしてもよい。
次に、液晶表示パネル15について説明する。液晶表示パネル15は、上述したように、一対の偏光板12,40と、一対の偏光板12,40の間に配置された液晶セル11と、を有している。このうち偏光板12,40は、入射した光を直交する偏光成分に分解し、一方の偏光成分を透過させ、もう一方の偏光成分を吸収する機能(吸収型の偏光分離機能)を有している。
偏光板12,40は、入射した光を直交する偏光成分に分解し、一方の偏光成分を透過させ、もう一方の偏光成分を吸収する機能(吸収型の偏光分離機能)を有している。一方、液晶セル11は、一対の透明基板と、この透明基板間に設けられた液晶層と、を有している。この液晶層に対して、一つの画素を形成する領域毎に、電界印加がなされ得るようになっており、電界印加された液晶層の配向は変化するようになる。入光側に配置された下偏光板40を透過した特定方向(透過軸と平行な方向)の偏光成分は、一例として、液晶セル11のうちの電界印加されている液晶層の領域を通過する際にその偏光方向を90°回転させ、電界印加されていない液晶層を通過する際にその偏光方向を維持する。このため、液晶層の各領域への電界印加の有無によって、下偏光板40を透過した特定方向の偏光成分が、下偏光板40の出光側に配置された上偏光板12をさらに透過するか、あるいは、上偏光板12で吸収されて遮断されるか、を制御することができる。
ここで、下偏光板40についてさらに詳述しておく。下偏光板40は、吸収型の偏光分離機能を発揮し得る偏光子41と、偏光子41と接着された偏向光学シート50と、を有している。図2に示すように、偏向光学シート50は、液晶セル11に対面しない側から、言い換えると入光側から偏光子41に積層されており、偏光子41を外部から保護する保護フィルムとして機能するようになっている。
また、偏光子41および偏向光学シート50に隣接するようにして偏光子41および偏向光学シート50の間に位置し、偏光子41および偏向光学シート50を互いに接着する接着層(図示せず)を、設けるようにしてもよい。偏光子41および偏向光学シート50の密着性を高めるための接着層は、従来からある種々の接着剤を用いて形成され得る。一具体例として、例えばポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする水性接着剤を用いて接着層を形成することができる。なお、本明細書における接着は、粘着や糊付けを含む概念であり、同様に、本明細書における接着剤とは、粘着剤や糊を含む概念である。
今日まで種々の偏光子が開発されてきており、これらの任意の偏光子を偏光子41として用いることができる。一具体例として、ポリビニルアルコール系フィルムを基材とした偏光子41を用いることができる。ポリビニルアルコール系フィルムを基材とした偏光子41は、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素や染料などの二色性色素を吸着あるいは染色させ、その後、一軸延伸して配向させることによって、光の吸収異方性がポリビニルアルコール系フィルムに付与され得る。
次に、偏向光学シート50について説明する。ここで説明する偏向光学シート50は、光の進行方向を変化させる光制御機能を有している。具体的な構成として、偏向光学シート50の入光側面50bが、図2および図5によく示されているように、並べて配置された単位光学要素(単位プリズム)60によって形成された光学要素面(プリズム面)として構成されている。この光学要素面によって、偏向光学シート50は集光機能(偏向機能)を発現するようになっている。また、偏向光学シート50は、バインダー樹脂中に分散された拡散成分59bを含んでおり、この拡散成分59bによって、偏向光学シート50は光拡散機能を発現するようになっている。なお上述したように、偏向光学シート50は、液晶表示パネル15の最も入光側に位置しており、偏向光学シート50の入光側面50bは、液晶表示パネル15の入光側面を形成している。以下、偏向光学シート50の構成について、さらに詳述する。
図5によく示されているように、偏向光学シート50は、シート状の本体部55と、本体部55の入光側面55bに並べて配置された単位光学要素60と、を有している。各単位光学要素60は、その配列方向と交差する方向であって且つ偏向光学シート50のシート面と平行な方向に、延びている。また、偏向光学シート50に含まれる単位光学要素60は、互いに同一に構成されている。図1〜図3に示すように、本実施の形態において、単位光学要素60の配列方向は、第1方向d1と平行となっており、各単位光学要素60は第2方向d2に沿って直線状に延びている。
なお、本明細書における「単位光学要素」とは、屈折や反射等の光学的作用を光に及ぼして、当該光の進行方向を変化させる機能を有した要素のことを指し、「単位形状要素」、「単位プリズム」および「単位レンズ」といった要素と呼称の違いのみに基づいて区別されるものではない。同様に、「プリズム」および「レンズ」は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。
ところで、液晶表示パネル15は、多数の画素を画成する。液晶表示パネル15は、この画素毎に光の透過および遮断を制御することによって、映像を形成する。そして、単位光学要素60の配列方向d1は、正面方向ndから観察した場合、液晶表示パネル15の液晶セル11の画素の配列方向と交差、すなわち、画素の配列方向に対して傾斜または直交していることが好ましい。具体的には、正面方向から観察した場合に、単位光学要素60の配列方向と液晶セル11の画素の配列方向とが、1°以上45°未満の角度で傾斜していることが好ましく、5°以上30°以下の角度で傾斜していることがさらに好ましい。この場合、画素の規則的な配列に起因した周期性と、単位光学要素60の規則的な配列に起因した周期性と、の干渉によって生じるモアレ(干渉縞)を効果的に目立たなくさせることができる。また、モアレを目立たなくさせる観点からすれば、単位光学要素60の配列ピッチが、30μm以下となっていることが好ましい。
図2に示された断面は、単位光学要素60の配列方向とシート状からなる本体部55への法線方向との両方向に沿った断面(以下、単に「偏向光学シートの主切断面」とも呼ぶ)にも相当する。図2に示すように、各単位光学要素60は、主切断面において、三角形形状となっている。とりわけ図示する例においては、単位光学要素60の主切断面における断面形状は、偏向光学シート50のシート面への法線方向を中心として左右対称に配置された二等辺三角形状となっている。この二等辺三角形形状の頂角の角度θ1(図2参照)は、集光機能を考慮して、例えば15°以上100°以下とすることができる。また、二等辺三角形状の配列方向に沿った幅W1(図2参照)は、例えば5μm以上250μm以下とすることができ、二等辺三角形状の正面方向に沿った高さH1(図2参照)は、例えば2.5μm以上250μm以下とすることができる。
また、偏向光学シート50は、上述したように、拡散成分59bを有しており、この拡散成分59bによって、偏向光学シート50は光拡散機能を発現するようになっている。より厳密には、偏向光学シート50は、樹脂からなる主部59aと、主部59a中に分散された拡散成分59bと、を有する光拡散層51aを含んでいる。
本実施の形態における偏向光学シート50は、図5によく示されているように、光拡散層51aと、拡散成分59bを含有していない樹脂層51bと、を有している。図示する例において、樹脂層51bは、光拡散層51aよりも入光側に配置されている。すなわち、光拡散層51aは、樹脂層51bよりも偏光子41の側に配置されている。樹脂層51bは、上述した単位光学要素60と、本体部55の入光側の部分と、を構成している。一方、光拡散層51aは、樹脂層51bに隣接する本体部55の出光側の部分を構成している。
このような偏向光学シート50は、一例として、共押し出し成形により、光拡散層51aおよび樹脂層51bを二層押し出しし、さらに、成形時に単位光学要素60を賦型することによって、製造され得る。このような製造方法で作製された偏向光学シート50では、光拡散層51aの主部59aと樹脂層51bとの間に、光学界面が存在しない。すなわち、光は、偏向光学シート50内において樹脂層51bから光拡散層51aへ、光学作用を及ぼされることなく入射する。
樹脂層51bをなす樹脂材料および光拡散層51aの主部59aをなす樹脂材料として、優れた光学特性を有する種々の樹脂材料、例えば、ポリカーボネート系樹脂を用いることができる。一方、光拡散層51aに分散された拡散成分59bは、主部59aとは異なる屈折率を有した粒状物、あるいは、それ自体が反射性を有した粒状物等から構成され得る。この拡散成分59bをなす粒状物は、金属化合物であってもよいし、気体を含有した多孔質物であってもよいし、さらには、単なる気泡であってもよい。また、粒状物からなる拡散成分59bの形状は、特に問われることはない。したがって、拡散成分59bは、図示された例のように球状(粒子状)である必要はなく、例えば回転楕円体形状や線状等の種々の形状を有することができる。
ただし、偏向光学シート50は、電離放射線硬化型樹脂を用いた賦型によっても作製可能である。
偏向光学シート50は、拡散成分59bを含んだ光拡散層51aに起因して、光を拡散させる拡散機能を発現することができる。このように内添された拡散成分59bに起因した偏向光学シート50の光拡散機能の程度は、主部59aをなす樹脂材料、主部59aの厚み、拡散成分59bの構成(形状、大きさ(粒径)、屈折率等)、拡散成分59bの濃度等を適宜設定することにより、極めて広い範囲内で調節可能である。具体的には、単なる表層部をマット面化(粗面化)しただけでは通常到達することが不可能な程度、例えば60%以上90%以下の範囲内に、光拡散層51aのヘイズ値を設定することも可能である。
ところで、下偏光板40の入光側面、さらには液晶表示パネル15の入光側面をなす偏向光学シート50の入光側面50bは、単位光学要素60からなる光学要素面として形成されている。一方、偏向光学シート50の出光側面50aは、平坦面として形成されている。これにより、空気等の混入を防止しながら、偏向光学シート50と偏光子41とを安定して積層および接着することが可能となる。
なお、本明細書において、偏向光学シート50の偏光子41に対面する側の面50aに対して用いる「平坦」とは、偏向光学シート50と偏光子41との安定した積層および接着を確保し得る程度の平坦を指す。例えば、偏向光学シート50の偏光子41に対面する側の面50aの表面粗さが、JISB0601(1982年)に準拠して十点平均粗さRzとして測定された場合に、1.0μm以下であれば平坦と言える。
このように偏向光学シート50が拡散成分59bを内添されているにもかかわらず、偏向光学シート50の出光側面50aが平坦であることから、いわゆる「水貼り」によって、偏向光学シート50および偏光子41を積層および接着することができる。具体的には、水、或いは、界面活性剤等の好適な添加剤が混合された水溶液(または、懸濁液)を間に介在させた状態で、偏向光学シート50および偏光子41を互いに重ね合わせていく。これにより、空気等の異物の混入を防止しながら、偏向光学シート50および偏光子41を積層することができる。またこの際、水あるいは水溶液(または懸濁液)に接着剤(例えば糊等)を混合しておくことにより、あるいは、偏向光学シート50および偏光子41の少なくとも一方に接着層を予め設けておき、偏向光学シート50および偏光子41を積極的に接着するようにしてもよい。
なお、「水貼り」後に、偏向光学シート50および偏光子41からの水分の除去を促進するため、偏向光学シート50の透湿度が、温度40℃、湿度90%RHでの状況下で、10g/m2・24hr以上となっていることが好ましい。ただし、透湿度が高すぎると、吸湿に起因した反りや曲がりが発生し得るため、透湿度が、温度40℃、湿度90%RHで測定して400g/m2・24hr以下であることが好ましい。なお、本明細書における透湿度とは、JISZ0208に準拠してカップ法を用いて測定された数値を指す。
次に、主として図2を参照しながら、表示装置10および光学モジュール20での作用について説明する。
上述したように、図2に示された断面において、光源25から射出される光の光軸pdは、補助反射素子31の反射面32上の位置へ向けて延びている。とりわけ、本実施の形態では、光源25から射出された光の光軸pdは、補助反射素子31の反射面32上の位置へ向けて第1方向d1と平行に延びている。このため、光源25の発光部26から投射される多くの光L21が、直接、つまり他の部材に入射することなく、補助反射素子31の反射面32に入射する。この光L21は、補助反射素子31の反射面32で反射して、液晶表示パネル15へ入射することになる。ただし、発光部26からの光は、光軸pdから傾斜した方向にも射出される。したがって、光源25の発光部26から射出された一部の光L23は、直接、つまり他の部材に入射することなく、液晶表示パネル15に入射する。また、発光部26からの他の一部の光L22は、直接、つまり他の部材に入射することなく反射シート21に入射し、反射シート21で反射した後に、直接または補助反射素子31を介して、液晶表示パネル15に入射する。
ところで本実施の形態では、発光体25からの光の照射方向(導光方向)に沿った光量分布を均一化させるための、導光板A(図30参照)が設けられていない。したがって、光源25の発光部26から離れた領域における明るさが著しく低下してしまうことが予想される。
しかしながら、本実施の形態では、光源25から射出される光の光軸pdは、補助反射素子31の反射面32上の位置へ向けて延びている。発光部26から投射された光の多くが、補助反射素子31で反射して、その後、液晶表示パネル15に入射することができる。このため、発光部26から離れた領域において液晶表示パネル15に入射する光の量を確保することができ、液晶表示パネル15の第1方向d1に沿った各位置に入射する光量の分布を均一化させることができる。このような効果は、補助反射素子31の反射面32が第1方向d1に対して傾斜しており、補助反射素子31が第1方向d1に進む光を液晶表示パネル15の入光側面をなす偏向光学シート50上の位置に反射する場合に、とりわけ有効に発揮され得る。また、JISZ8741に準拠して測定された補助反射素子31の鏡面光沢度が高い場合に、補助反射素子31での反射時の光量損失を防止し、発光部26から第1方向d1に離間した領域における光量をより効果的に確保することが可能となる。
加えて、本実施の形態では、反射シート21は、光の入射方向に依存した指向性を持つ反射特性を有している。すなわち、反射シート21は、従来用いられていた完全拡散の反射特性を有した反射シートとは異なる反射特性を有している。この点について本件発明者らが、実験に加えてシミュレーションを行ったところ、次のことが知見された。反射シートでの反射が完全拡散であると、図2に二点鎖線で示すように、反射シートに入射した光L22aは、反射シートの反射面上で拡散され、反射光L22aの多くは、第1方向d1への進行を停止する。したがって、完全拡散の反射特性を有した従来の反射シート21を用いた場合、光源25の発光部26の近傍において光量が多くなり過ぎ、第1方向d1に沿った明るさ分布に視認され得る程度のバラツキが生じていたものと考えられる。
一方、本実施の形態では、完全拡散ではない反射シート21を用いているので、反射シート21で反射した光のうちの或る程度の光L22が、第1方向d1に沿って進み続ける。このため、光量が少なくなってしまう傾向のある発光部26から離間した領域、すなわち、第1方向d1における他側の領域において液晶表示パネル15に入射する光線の密度を上昇させることができる。これにより、液晶表示パネル15の第1方向d1に沿った各位置に入射する光量の分布を均一化させることができる。この点について、本件発明者らが鋭意研究を重ねたところ、後述する実施例でも実証されているように、本実施の形態の構成によれば、導光板を用いなくとも、液晶表示パネル15(偏向光学シート50)への入射光量の第1方向d1に沿った分布を適宜調節することができ、さらには、実際の表示装置の用途、とりわけ、大型のテレビ受像器の用途において要望される程度にまで、液晶表示パネル15(偏向光学シート50)への入射光量の第1方向d1に沿った分布を十分に均一化することができた。
液晶表示パネル15の最入光側には、偏向光学シート50と偏光子41とを有した下偏光板40が設けられている。そして、下偏光板40の偏向光学シート50が、液晶表示パネル15の最入光側面を形成している。
偏向光学シート50は、上述したように、光の進行方向が正面方向ndに対してなす角度を全体的に小さくするように当該光の進行方向を変化させる集光機能(偏向機能)と、光を拡散させる光拡散機能を有している。このうち集光機能は、偏向光学シート50の単位光学要素60によって発現され、光拡散機能は、偏向光学シート50の光拡散層51aによって主として発現される。そして、単位光学要素60が、偏向光学シート50の入光側面を形成し、光拡散層51aは、偏向光学シート50の出光側に設けられている。このため、偏向光学シート50に入射した光には、まず、集光機能が及ぼされ、その後に光拡散機能が及ぼされるようになる。
図2によく示されているように、断面三角形状を有する単位光学要素60による集光機能の基本原理は、単位光学要素60の一方の面(入射面)60b1から入射した光L22を、他方の面(全反射面)60b2において全反射させることにより、当該光の進行方向が正面方向ndに対してなしている角度を減じるものである。すなわち、単位光学要素60による集光機能は、主として、単位光学要素60の配列方向と平行な光の成分に対して及ぼされる。そして、単位光学要素60の断面形状を適宜設計しておくことにより、図2に示すように、偏向光学シート50の単位光学要素60での集光機能が効果的に発揮されるようになる。具体的には、単位光学要素60の形状、単位光学要素60の屈折率等を適宜設定することにより、偏向光学シート50内における集光機能の程度を極めて広い範囲内で調節可能である。
このように、偏向光学シート50の単位光学要素60は、正面方向輝度の向上に役立つ。とりわけ本実施の形態においては、単位光学要素60中に拡散成分59bが分散されていないため、入射面60b1および全反射面60b2として機能する単位光学要素60の表面(プリズム面)が、拡散成分59bに起因した凹凸のない平滑面として高精度に形成され得る。これにより、偏向光学シート50の単位光学要素60が、期待された所望の光学機能を発揮することができる。
単位光学要素60を介して偏向光学シート50へ入射した光は、その後、本体部55内を、樹脂層51bから、光拡散機能を有した光拡散層51aへと進む。この光拡散層51aは、主部59aと、主部59a中に分散された拡散成分59bと、を有しており、この内添された拡散成分59bに起因して光拡散機能を発現する。このような内添された拡散成分59bに起因した光拡散層51aでの光拡散機能は、例えば賦型によって表面をマット面化すること或いは表層部に粒状物を設けることによって表面をマット面化することに起因した光拡散機能と比較して、程度(拡散の強さ)および質(拡散の均一性)において格段に優れる。
具体的には、単に表面がマット化されたに過ぎない場合には、素抜けしてしまう光(進行方向を変化させられない)が必然的に生じてしまう。その一方で、内添された拡散成分59bによれば、平面方向だけでなく厚さ方向にも拡散成分59bが分散することになる。このため、光拡散層51aに入射した光は、高い確率で、一回以上拡散成分59bに衝突して、その進行方向を変化させるようになる。また、上述したように、主部59aをなす樹脂材料、主部59aの厚み、拡散成分59bの構成(形状、大きさ(粒径)、屈折率等)、拡散成分59bの濃度等を適宜設定することにより、極めて広い範囲内で光拡散層51aの光拡散機能の程度を調節することができる。
以上のようにして、面光源装置20からの光を偏向光学シート50の光拡散層51aで或る程度拡散させることができる。これにより、偏向光学シート50の単位光学要素60によって集光された後での、輝度の角度分布を滑らかに変化させるようにすることができる。
偏向光学シート50の光拡散層51aで拡散された光は、その後、偏向光学シート50の出光側に配置された下偏光板40の偏光子41、液晶セル11および上偏光板12に向かうことになる。この際、液晶セル11は、画素毎に光を選択的に透過させ、これにより、表示装置10の観察者が、映像を観察することができるようになる。
以上のように、本実施の形態における表示装置10に組み込まれた光学モジュール20によれば、光源25をなす発光部26を、正面方向ndからの観察において表示領域から第1方向d1にずれた位置に配置しながら、導光板A(図30参照)に依らなくとも、しかも光源25が第1方向d1における一側にしか設けられていない場合であっても、第1方向d1に沿った光量分布を十分に均一化させることができる。これにより、光学モジュール20および表示装置10から導光板を排除することができ、導光板の存在に起因した不具合を解消することができる。すなわち、厚みが厚いことに起因して材料費が高額となってしまう導光板の費用を、削減することができる。また、厚みが厚いことから必要となることのある導光板を支持するための特別な支持構造を、光学モジュール20および表示装置10から排除することができる。さらに、導光板を排除することによって、光学モジュール20および表示装置10を薄型化および軽量化させることができる。
加えて、本実施の形態において、偏光子41に接合されて偏光板(下偏光板)40をなすようになる偏向光学シート50が、光の進行方向を変化させ得る優れた光制御機能を有している。具体的には、偏向光学シート50は、樹脂材料中に分散された拡散成分59bに起因した優れた光拡散機能と、発光体26の側へ向けて突出し偏向光学シート50の入光面をなす複数の単位光学要素60に起因した優れた集光機能と、を発揮することができる。この偏向光学シート50による優れた光制御機能により、導光板だけでなく、図30に示された従来の表示装置1の面光源装置内に組み込まれていた偏向シートBおよび光拡散シートC等の光学シート類も削除することが可能となる。
これにより、表示装置に組み込まれる部材(光学シート)の数量を大幅に減じることができ、表示装置の製造コストを直接的に大幅に低減することができる。また、表示装置あるいは面光源装置の組み立て時に必要となる光学シート類の位置決めといった煩雑な作業を省くことが可能となり、この点からも表示装置の製造コストを低減することができる。また、表示装置に組み込まれる部材(光学シート)を省くことにより、表示装置の薄型化も可能となる。さらに、光源25をなす発光部26から偏光板40の偏向光学シート50までの光源光の光路中に反射シート21および補助反射素子31しか配置されていないので、光学シートの曲がり、撓み、反り等の変形に起因した表示画質の劣化の程度を大幅に低減することができる。
加えて、従来の表示装置に組み込まれていた光学シート類は、光の進行方向を補正するための部材であったが、その反面、入射光の一部を吸収してしまっていた。そして、従来の表示装置においては、多くの光が、液晶表示パネルに入射する前に、多数設けられた光学シート類のいずれかで反射していたものと予想される。結果として、光源25となる発光体26で発光された光の多くが、いずれかの光学シートに吸収され、映像の表示に使用され得なかった。一方、本実施の形態では、光源25の発光部26で発光された光は、直接、或いは、反射シート21及び/又は補助反射素子31で反射された後に、液晶表示パネル15の偏光板40へ入射することができる。このため、発光部26で発光された光の利用効率を大幅に上昇させることができる。この結果、例えば、従来の表示装置と比較して光源25の出力を増強することなく、正面方向輝度を維持しながら視野角を大幅に広げることも可能となる。
また、上述した例においては、光制御機能(光の進行方向を変化させる機能)を有した偏向光学シート50が、偏光子41と接合されて偏光板40を構成している。このような形態によれば、図30に示された形態、すなわち、集光シートBおよび拡散シートCが偏光板13とは別途に設けられた形態と比較して、光が透過すべき空気層の数が減少する。このため、空気層との界面で反射、とりわけ全反射して、出光側とは反対側に進む光の発生を効果的に防止することができ、結果として、光の利用効率を改善することが可能となる。
とりわけ、上述した例では、集光機能を発揮し得る単位光学要素60を有する偏向光学シート50が、偏光子41と接合されて偏光板40を形成している。本件発明者らが鋭意研究を重ねたところ、このような形態によれば、光源25からの光の利用効率をより安定して向上させることが可能になることが知見された。このような現象が生じる理由は以下のとおりであると推定される。
図6に模式的に示すように、偏向光学シート50と偏光子41との間に空気層が存在しない場合、光源25の発光体26からの光L6は、極めて高い透過率で偏向光学シート50と偏光子41との間の界面を透過することができる。しかしながら、偏向光学シート50から偏光子41へと進む光L6の進行方向が、正面方向ndから大きく傾斜している場合、当該光L6aは、その後に大きく進行方向を変化させることがないとすると、次に到達する空気層との界面において、光が液晶表示パネル15中を進む例では表示面10aと空気層との界面において、全反射することになる。このような光L6aは、理論的には、その後にいずれかの界面で反射されることにより、再利用され得る。しかしながら実際には、液晶表示パネル中を進む光の大部分は、下偏光板40の偏光子41、カラーフィルタを含む液晶表示セル11および上偏光板を透過する際にこれらの部材で吸収されてしまう。結果として、液晶表示パネル15を往復した光を有効に再利用することはできない。すなわち、偏向光学シート50内を進む光L6の進行方向が正面方向ndから大きく傾斜している場合、偏光子41に入射することなく、むしろ、偏向光学シート50と偏光子41との間に空気層が介在し、偏向光学シート50と空気層との界面で反射された方が、光源25からの利用効率が上昇する(図6における光L6b)。
その一方で、上述した形態のように偏向光学シート50が集光機能を発揮し得る単位光学要素60を有していれば、以上のような不具合を来すことなく、光源25からの光の利用効率をより安定して向上させることが可能になる。なお、本件発明者らが鋭意研究を重ねたところ、単位光学要素60で集光されて偏向光学シート50内を進む光に起因した輝度の角度分布であって、単位光学要素60の配列方向および偏向光学シート50のシート面への法線方向ndの両方に沿った面内での輝度の角度分布における半値角(ピーク輝度の半分の輝度が測定される方向と偏向光学シート50のシート面への法線方向とによってなされる角度の値)が、偏向光学シート50が空気層に隣接するとの仮定における当該偏向光学シート50から出光面50aを介して空気層へ進む光の全反射臨界角度以下となっている場合、この偏向光学シート50を偏光子41と接合することによって、光源光の利用効率を極めて効果的に向上させることができた。
また、上述した例においては、光制御機能(光の進行方向を変化させる機能)を有した偏向光学シート50が、偏光子41と接合されることによって、安定して支持されている。一方、図30に示された形態では、集光シートBおよび拡散シートCの各々を、その他の構成要素に対して位置決めした状態で、保持する必要がある。このため、上述した表示装置10および液晶表示装置15は、搬送等の取り扱い中に振動や設置場所の環境条件(温度や湿度等)の変化等に起因した種々の不具合に対して、優れた耐性を呈するようになる。このため、繊細な構造を有した単位形状要素60の頂部の欠損を効果的に防止することができ、偏向光学シート50が期待された光学機能を発揮することが可能となる。
上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を適宜参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いており、重複する説明を省略する。
上述した実施の形態において、偏向光学シート50が、樹脂材料からなる主部59aおよび主部59a中に分散された拡散成分59bからなる光拡散層51aと、拡散成分59bを含有せず樹脂材料のみからなる樹脂層51bと、を有していた。言い換えると、拡散成分59bは、偏向光学シート50の一部分のみに分散されていた。しかしながら、拡散成分59bが偏向光学シート50の全域に分散されるようにしてもよい。このような例においては、偏向光学シート50が、樹脂材料からなる主部59aと、主部59a中に分散された拡散成分59bと、を有する光拡散層51aのみから構成されることになり、単位光学要素60は光拡散層51aの一部として構成される。この場合、偏向光学シート50の光拡散機能の程度を、さらに自由に調節することができる。
その一方で、光学モジュール20および表示装置10に求められる光学特性や、光学モジュール20および表示装置10の他の構成要素の構成等に応じて、偏向光学シート50に光拡散機能を付与する必要はない。すなわち、偏向光学シート50に拡散成分59bを分散させず、偏向光学シート50が、樹脂材料のみからなる樹脂層51bのみによって構成されるようにしてもよい。
さらに、上述した実施の形態において、偏向光学シート50の単位光学要素60の主切断面における断面形状が、三角形形状からなる例を示したが、これに限られず、偏向光学シート50の単位光学要素60の主切断面における断面形状は種々の形状に設計され得る。例えば、偏向光学シート50の主切断面における単位光学要素60の断面形状をなす三角形形状の頂部が面取りされていてもよい。また、図2に二点鎖線で示すように、偏向光学シートの主切断面において、上述した三角形形状の本体部55から延び出る二辺のうちの少なくとも一辺が、外方に膨出した曲線となるように変形されてもよい。
さらに、図7に示すように、偏向光学シート50の主切断面において、単位光学要素60が、曲線状の外輪郭を有するようにしてもよい。すなわち、単位光学要素60の入光面が曲面として構成されてもよい。具体的な形状の例として、偏向光学シート50の主切断面において、単位光学要素60が、楕円の一部(一例として半楕円)または円の一部(一例として半円)に相当する形状を有するようにしてもよい。さらに、図8に示すように、偏向光学シート50の主切断面において、単位光学要素60が、上述した主切断面における三角形形状の頂部を取り除いてなる形状を有するようにしてもよい。具体的な形状の例として、偏向光学シート50の主切断面において、単位光学要素60が、図8に示すように等脚台形形状となるようにしてもよいし、或いは、当該等脚台形形状の上底を曲線に変更してなる形状を持つようにしてもよい。なお、図7および図8に示された偏向光学シート50は、上述の実施の形態の偏向光学シート50と同様に、押し出し成形によって作製され得る。
また、図9および図10には、偏向光学要素50に含まれる単位光学要素60の一変形例が示されている。ここで、図9および図10を参照して、この一変形例について説明する。なお、図9および図10に示された変形例は、上述の実施の形態と、単位光学要素60の断面形状が異なるだけであって、単位光学要素60の配列等、他の構成は同一に構成され得る。
ここで説明する単位光学要素60の外輪郭62は、その長手方向に直交する断面において、異なる複数の放物線をつなぎ合わせてなる形状を有している。とりわけ図9および図10に示された例では、単位光学要素60の長手方向に直交する断面(上述した主切断面に相当する断面)において、単位光学要素60の外輪郭62は、本体部55から最も離間した頂部61aの側と、本体部55に接続する基端部61bの側と、に区分けされ、異なる二つの放物線に沿って延びている。具体的には、単位光学要素60の外輪郭62のうちの頂部61aを中心として含む頂部側区間62aが放物線P1に沿って延び、単位光学要素60の外輪郭のうちの基端部61bを含む一対の基端部側区間62bが放物線P2に沿って延びている。
この構成によれば、放物線P1および放物線P2の交点61cが、単位光学要素60の外輪郭62上の頂部61aと基端部61bとの間に存在することになる。放物線P1および放物線P2によって画定されるそのままの交点は、微分不可能な外側に尖った尖点となるが、輝度の角度分布を滑らかにする観点から、放物線P1および放物線P2の交点を含む領域にいて、単位光学要素60の外輪郭62が、放物線P1および放物線P2とそれぞれ微分可能に接続する線分、例えば、円、楕円、放物線、双曲線、スプライン曲線等の一部分や、その他自由曲線分に沿って延びるようにしてもよい。
なお、放物線P1および放物線P2をつなぐ線分の範囲は、正面方向において、単位光学要素60の高さH1の50%以下とすることができる。そして、「単位光学要素の外輪郭が放物線に沿って延びている」とは、単位光学要素の外輪郭が、異なる二つの放物線の接続部分において、当該二つの放物線を滑らかに接続することを目的として、正面方向において単位光学要素60の高さH1の50%以下となる範囲において、放物線以外の他の線分に沿って延びていることを含む。
次に、図9および図10に示された単位光学要素60の外輪郭62を画成する放物線P1,P2について説明する。まず、図10に示すように、単位光学要素60の長手方向に沿った断面において、本体部55の入光側面55bと平行なX軸と、このX軸に直交するZ軸を用いた座標軸を定義する。このX軸およびZ軸で画定される座標系において、単位光学要素60の頂部61aの位置をX軸およびZ軸の原点Oとするとともに、原点Oから見て本体部55の側をZ軸の負の側とする。この座標系を用いた場合、頂部側区間62aを画成する放物線P1は「Z=−aX2」で表され、基端部側区間62bを画成する放物線P2は「Z=−bX2+h」で表される。ここで、式中の「a」、「b」および「h」は、次の式(x)および式(y)を満たす。
0<a<b ・・・式(x)
0<h ・・・式(y)
一例として、放物線P1,P2中の変数「X」および「Y」の単位を〔μm〕として単位光学要素60を設計する場合、放物線P1を表す関数の係数aを、0.01以上0.06以下の範囲の数値、例えば0.02とすることができる。同様に、放物線P1,P2中の変数「X」および「Y」の単位を〔μm〕として単位光学要素60を設計する場合、放物線P2を表す関数の係数bを、0.01以上0.06以下の範囲の数値、例えば0.05とすることができる。
放物線P1と放物線P2との交点61cは、Z軸方向において(正面方向において)、本体部55の入光側面55bから、正面方向ndに沿った単位光学要素60の高さH1の25〜75%の範囲内に位置するようにしてもよい。また、放物線P2を特定する関数における係数hは、放物線P1および放物線P2同士が交差するように設定する。放物線同士の交点の位置は、放物線P1および放物線P2を特定する関数中の係数a、b、hの値によって変えることが可能である。
また、図9および図10に示された単位光学要素60の断面形状は、単位光学要素60の幅W1および高さH1が「(W1)/2≧(H1)」を満たすように設定されていることが好ましい。ただし、広い視野角を確保する観点からは、図9および図10に示された単位光学要素60の断面形状は、単位光学要素60の幅W1および高さH1が「(W1)/2≦(H1)」を満たすように設定されていることが好ましい。なお、単位光学要素60は、素抜けを防止する観点から隙間なく配置されることが好ましく、この場合、単位光学要素60の配列ピッチと単位光学要素60の幅W1は等しくなる。
以上のような図9および図10に示された単位光学要素の寸法の一例として、幅W1を20〜200μm、高さH1を10〜100μmとすることができる。
なお、図9および図10に示された単位光学要素の断面外輪郭を特定するための「放物線」とは、数学的概念としての厳密な意味での放物線には限定されない。厳密な意味での放物線に僅かな変調を加えた線も、ここでいう放物線に包含される。例えば、(1)厳密な意味での放物線を接線近似したもの、具体的には、(1−1)放物線上に配列した離散的な複数(好ましくは10以上)の点について、隣り合う点同士を線分で結んだ多角形;(1−2)放物線に内接する多角形(好ましくは10角形以上)。(1−3)放物線に外接する多角形(好ましくは10角形以上);(2)放物線の一区間または全区間において変形を加えて放物線を僅かに変位(好ましくは各座標値の5%以内)させた曲線、等が挙げられる。これらの厳密な意味での放物線を変調させた線によって特定される単位光学要素を含んだ偏向光学シートが、厳密な放物線によって特定される単位光学要素を含んだ偏向光学シートの光学特性および光学作用と、実用上において有意差の無い光学特性および光学作用を有する場合、厳密な意味での放物線を変調させた線を「放物線」とみなす。
以上のような図9および図10に示された偏向光学シート50によれば、単位光学要素60の断面外輪郭が複数の放物線によって画成されているため、正面方向輝度を適度に維持しながら、さらに視野角を拡大することができる。
引き続き他の変形例について説明する。上述した実施の形態において、単位光学要素60が同一に構成されている例を示したが、これに限られず、例えば図11に示すように、偏向光学シート50に含まれる単位光学要素60の間で、断面形状が異なるようにしてもよい。図2から理解され得るように、光源25の発光部26から偏向光学シート50へ入射するようになる光の進行方向は、当該発光部26から偏向光学シート50上の入射位置までの偏向光学シート50のシート面に沿った距離に応じて変化する。図11に示す図においては、単位光学要素60の断面形状が、発光部26から各単位光学要素60までの距離に応じて変化しており、この結果、偏向光学シート50に含まれる複数の単位光学要素60によって、いわゆるフレネルレンズが形成されている。なお、このような変形例においては、単位光学要素60によって形成されるフレネルレンズは、発光部26の配列に応じて、後に参照する図18および図19に示すようにサーキュラーフレネルレンズとして形成されてもよいし、リニアフレネルレンズとして形成されてもよい。
さらに、上述した実施の形態において、単位光学要素60が全反射によって光の進行方向を変化させることによって、集光機能が発揮されるようにした例を示したが、これに限られない。例えば、図12に示すように、各単位光学要素60が、屈折によって光の進行方向を変化させるように構成されてもよい。また、一つの偏向光学シート50に含まれる複数の単位光学要素60の一部が、屈折によって光の進行方向を変化させ、他の単位光学要素が、反射によって光の進行方向を変化させるようにしてもよい。さらに、図13に示すように、一つの単位光学要素60が、光を反射させる機能および光屈折させる機能の両方を有するようにしてもよい。
さらに、上述した実施の形態において、偏向光学シート50が押し出し成形によって得られた押し出し材からなる例を示したが、これに限られない。射出成型等のその他の製造方法によって製造された偏向光学シートを用いることもできる。ここで、図14〜図17には、一例として、基材フィルム53上に塗布された樹脂、例えば電離放射放射線を所望の形状に成型することによって作製され得る偏向光学シート50の一例が示されている。図14に示された偏向光学シート50は、基材フィルム53上に、拡散成分59bを含有させた樹脂を賦型することにより、作製され得る。図14に示された偏向光学シート50では、入光側面50bをなす単位光学要素60が光拡散層51aの一部として形成され、当該光拡散層51aの出光側に基材フィルム53からなる樹脂層51bが設けられている。
図15に示された偏向光学シート50では、拡散成分59bを含有して光拡散層51aをなす基材フィルム53上に、樹脂を賦型することにより、作製され得る。この拡散成分59bを含む基材フィルム53として、例えば押し出し材を用いることができ、この基材フィルム53が光拡散層51aを構成する。
図16に示された例においては、基材フィルム53上に樹脂を賦型して単位光学要素60が形成されているが、基材フィルム53の単位光学要素60が形成されていない出光側面50aには、凹凸面を有したマット層54が形成されている。このマット層54は、拡散成分59bと、バインダー樹脂として機能する樹脂材料(例えば電離放射線樹脂)と、から構成されており、バインダー樹脂としての樹脂材料が主部59aとして機能することによって光拡散層51aを構成する。マット層54は、単位光学要素60の賦型前または賦型後のいずれかに基材フィルム53上に作製され得る。
図17に示された例においては、基材フィルム53と単位光学要素60をなす樹脂材料との間に、拡散成分59bおよびバインダー樹脂として機能する樹脂材料(主部59a)からなるマット層54が形成されている。図17に示された態様では、基材フィルム53上にマット層54が形成され、当該マット層54上に単位光学要素60が賦型されている。
なお、基材フィルム53上に塗布した樹脂を成型して偏向光学シート50を形成する場合には、図14〜図17に示されているように、基材フィルム53上に塗布された樹脂が、複数の単位光学要素60だけでなく、基材フィルム53と単位光学要素60との間に配置され基材フィルム53を覆うランド部52と、を形成するようにしてもよい。この場合、偏向光学シート50の本体部55の一部をランド部52が構成することになる。
また、上述した実施の形態において、偏向光学シート50の単位光学要素60の配列方向が第1方向d1と平行である例を示したが、これに限られない。光学モジュール20および表示装置10に要望される光学特性等に応じて、偏向光学シート50の単位光学要素60の配列を適宜変更してもよい。例えば、上述した実施の形態においては、偏向光学シート50の単位光学要素60が直線状に延びる例を示したが、これに限られず、例えば、図18および図19に示すように、単位光学要素60が曲線状に延びるようにしてもよい。さらに、単位光学要素60は、一次元配列された線状の要素に限られることなく、二次元配列されてマイクロレンズ(フライアイレンズ)を構成する点状の要素であってもよい。
さらに、上述した実施の形態における偏向光学シート50の光拡散機能は、等方性光拡散機能であってもよいし、異方性光拡散機能であってもよい。偏向光学シート50が異方性光拡散機能を有している場合、偏向光学シート50が、第1方向d1よりも第2方向d2により強い光拡散機能を発揮するようにしてもよいし、第2方向d2よりも第1方向d1により強い光拡散機能を発揮するようにしてもよい。さらに、偏向光学シート50が、第1方向d1および第2方向d2以外の方向に最も強い光拡散機能を発揮するようにしてもよい。このような形態によれば、例えば、表示装置10に要求される光学特性(例えば視野角特性)をより高い自由度で実現することができる。
一例として、図20に示すように、長手方向ldを有する拡散成分59bを、所定の方向odへの配向を持つようにして、偏向光学シート50の光拡散層51a内に配置することにより、異方性光拡散機能を偏向光学シート50に付与することができる。ここで、拡散成分59bの長手方向とは、対象となる拡散成分59bの最も長さが長くなる方向として特定することができる。また、「長手方向ldを有する拡散成分59bが、所定の方向odへの配向を持つ」とは、各拡散成分59bの長手方向ldが所定の方向odに対してなす角度が、0°以上45°以下となることであり、拡散成分59bが、所定の方向odを基準とした方向的な規則性を持って配置されることを意味している。
なお、図20に示された偏向光学シート50の光拡散層51aは、長手方向を有する拡散成分59bを、主部59aをなすようになる樹脂材料とともに、原料として用いた押し出し成形によって、製造され得る。長手方向を有する拡散成分59bは、押し出し機のダイを樹脂材料とともに通過する際に、高圧下でその長手方向ldが押し出し方向(機械方向)に沿うように、向けられる。これにより、押し出し材中の拡散成分59bが、特定の方向odへの配向を持つようにして、偏向光学シート50内に分散されるようになる。
長手方向ldを有する拡散成分59bの形状としては、一例として、板状、粒状(米粒状)、針状、鱗状、微細板状等の種々の形状を採用することができる。また、具体的な例として、平均アスペクト比(長手方向ldに沿った拡散成分59bの長さの、長手方向ldに直交する方向に沿った当該拡散成分59bの長さに対する比の平均値)が、1.5以上50以下であって、拡散成分59bの平均粒径(体積相当法で算出された粒径、すなわち体積相当径の算術平均、以下同様)が0.5μm以上100μm以下の気泡を、長手方向ldを有した拡散成分59bとして、用いることができる。また、有機繊維からなる拡散成分59b、例えば、アラミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリイミド繊維等の耐熱性有機繊維からなる拡散成分59bを用いることもできる。また、無機繊維からなる拡散成分59b、例えば、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維等の繊維状フィラーからなる拡散成分59bを用いることもできる。さらに、薄板状フィラー(マイカ)からなる拡散成分59bを用いることもできる。さらに、不定形フィラーからなる拡散成分59b、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、クレー、タルク、二酸化チタン等の無機系白色顔料からなる拡散成分59bを用いることもできる。
長手方向ldを有する拡散成分59bは、その長手方向と平行な方向よりも、その長手方向に直交する方向へ、強い光拡散機能を呈するようになる。例えば、上述した実施の形態において、光源25は、多数の発光部26を第2方向d2に並べることによって構成されている。そして、第2方向d2に沿った明るさの分布は、光源25aの構成、例えば発光部26の配置ピッチに影響を受ける。
したがって、上述した実施の形態において、光源25の構成によって第2方向d2に沿った明るさの分布が十分に均一化されている場合には、第1方向d1に主として拡散させることが好ましい。この点から、長手方向ldを有する拡散成分59bの配向方向odが、光源25をなす発光部26の配列方向である第2方向と平行であることが好ましい。この場合、偏向光学シート50へ入射した光を必要以上に拡散することが効果的に防止され、光の有効利用を図ることが可能なる。
その一方で、図18や図19に示す例のように、発光部26の数量が少ない場合には、第2方向d2に沿った明るさのむらが生じ得る。この場合、長手方向ldを有する拡散成分59bの配向方向odが、光源25をなす発光部26が配列されている第2方向d2と直交する第1方向d1と平行となり、拡散成分59bが、第2方向d2に主として拡散させることが好ましい。光学シート50の光拡散層51aが、第1方向d1への光拡散能よりも第1方向d2と直交する第2方向d2へ強い光拡散能を呈する異方性拡散機能を有している場合には、単位光学要素60によって集光された第1方向d1に沿った光の成分の進行方向を維持しながら、第2方向d2に沿った光の成分を集中的に拡散することができる。これにより、単位光学要素60に起因した集光機能よって正面方向輝度を上昇させながら、同時に、光拡散層51aに起因した異方性拡散機能によって発光部26の構成(配列)に応じた明るさのバラツキを解消することも可能となる。
さらに、上述した実施の形態において、偏向光学シート50が水貼りによって偏光子41に接合される例を示したが、これに限られず、接着層が偏向光学シート50と偏光子41との間に配置されるようにしてもよい。この変形例において、接着層が、接着剤と、接着剤内に分散された拡散成分と、を含むようにしてもよい。この場合、偏向光学シート50における光拡散機能の有無あるいは偏向光学シート50の光拡散機能の程度から独立して、接着層よる光拡散機能の程度を適宜調節することができる。これにより、下偏光板40が発揮し得る光拡散機能の程度をより自由に設計することができる。なお、接着層に含有される拡散成分は、偏向光学シート50に含まれ得る拡散成分59bとして例示したものを同様に用いることができる。また、接着層による光拡散機能の程度は、偏向光学シート50における光拡散機能の程度と同様の手法により、適宜調節され得る。さらに、接着層の光拡散機能は、等方性であってもよいし、異方性であってもよい。接着層の光拡散機能が異方性である場合には、接着層が、第1方向d1、第2方向d2、第1方向d1および第2方向d2以外のいずれかの方向に、最も強い光拡散機能を発揮するようにしてもよい。
さらに、上述した実施の形態において、下偏光板40が、偏光子41と、偏光子41に入光側から接合された機能する偏向光学シート50と、からなる例を示したが、これに限られない。例えば、偏光子41の出光側にも、TACフィルム等からなる保護シートが設けられていてもよい。また、光の位相差を補償するための位相差板が下偏光板40と液晶セル11との間に設けられることもがあるが、この場合、下偏光板40の出光側の保護シートが、位相差板の入光側の保護シートを兼ねるようにしてもよい。
また、偏向光学シート50と偏光子41との間の中間フィルムとして、特定の偏光成分を透過させるとともに、その他の偏光成分を反射して再び光源側へ戻す機能を有した偏光分離フィルムが設けられていてもよい。この例によれば、偏光分離フィルムを設けることによって、偏光子41を透過し得る偏光成分の光を選択的に偏光子41へ入射させ、その他の光を光源側に戻すことができる。光源側に戻された光は、その後の反射等によって、偏光状態を変化させて偏光分離フィルムへ再度入射し得る。輝度の向上に役立ち得る偏光分離フィルムとして、米国3M社から入手可能な「DBEF」(登録商標)を用いることができる。また、「DBEF」以外にも、韓国Shinwha Intertek社から入手可能な高輝度偏光シート「WRPS」や、あるいは、ワイヤーグリッド偏光子等を、偏光分離フィルムとして用いることができる。
さらに、下偏光板40の偏光子41と偏向光学シート50との間の中間フィルムとして、光拡散機能を有した光拡散シートが設けられていてもよいし、或いは、単なる樹脂フィルム、例えば、一対の平行な主面を有するトリアセチルセルロース製フィルム(TAC製フィルム)が設けられてもよい。
さらに、反射シート21に対しても種々の変更が可能である。例えば、上述した実施の形態では、反射シート21が偏向光学シート50と平行な平らな反射面22を有する例を示したが、これに限られない。例えば、図21に示された例のように、反射シート21の反射面22から偏向光学シート50の本体部55の入光側面55bまでの、本体部55の入光側面55bへの法線方向に沿った、距離sdが、第1方向d1において一方の縁部50c1の側(一側)から他方の縁部50c2の側(他側)へ向け小さくなるように変化してもよい。このような変形例によれば、光量が少なくなってしまう傾向のある発光部26から離間した領域、すなわち、第1方向d1における他側の領域において液晶表示パネル15に入射する光線の密度を上昇させることができる。これにより、液晶表示パネル15の第1方向d1に沿った各位置に入射する光量の分布を均一化させることができる。
図21に示された変形例において、反射シート21の反射面22のうちの第1方向d1における一側の領域が本体部55の入光側面55bと平行な平らな面として形成され、反射シート21の反射面22のうちのその他の領域が曲面として形成されている。ただし、反射シート21の反射面22から偏向光学シート50の本体部55までの距離sdを変化させる観点からは、反射シート21の反射面22が、偏向光学シート50の本体部55の入光側面55bに対して傾斜して配置された平らな面のみから構成されていてもよいし、反射シート21の反射面22の全領域が曲面として構成されていてもよいし、さらには、反射シート21の反射面22が折れ曲がった折れ面として構成されていてもよい。
また、図21に示された例では、補助反射素子31が設けられていない。この例においては、光源25から射出される光の光軸pdが、反射シート21上の位置に向くようにしてもよいし、偏向光学シート50上の位置に向くようにしてもよい。なお、図21に示された例においては、反射シート21の第1方向における他側縁部と、偏向光学シート50の他方の縁部50c2とが近接しており、発光部26から照射された光が、第1方向d1における他側において、反射シート21と偏向光学シート50との間から漏出して映像の形成に使用され得なくなることを、効果的に防止することができる。
さらに、補助反射素子31に対しても種々の変更が可能である。例えば、図22に示すように、補助反射素子31の反射面が曲面、とりわけ凸曲面として構成されていてもよい。図22に示された例によれば、光源25の発光部26から射出された光を、一定の角度範囲に拡散させて反射することができる。これにより、液晶表示パネル15の第1方向d1に沿った各位置に入射する光の光量を、より均一化することができる。
さらに、上述した実施の形態において、光源25の発光部26で発光された光が、直接、偏向光学シート50および反射シート21の間の領域へ投射される例、すなわち、光源25の発光部26で発光された光が、他の部材を介することなく偏向光学シート50および反射シート21の間の領域へ投射される例を示したが、この例に限られない。図31〜図33に示すように、光源25の発光部26で発光された光を受けて偏向光学シート50と反射シート21との間の領域に向ける光学素子84が、設けられてもよい。光学素子84は、種々の目的、例えば、発光部で発光された光の進行方向を偏向光学シート50および反射シート21の間の領域へ向けることを目的として、あるいは、発光部26の指向特性(配光特性、さらに言い換えると、光度の角度(方向)分布)を解消または補正して、偏向光学シート50および反射シート21の間の領域に進む光の光量分布を調節することを目的として、設けられ得る。発光部26からの光の進行方向を変化させたり発光部26の指向特性を調節するための光学素子84として、図31〜図33に示すように、レンズ、プリズム、反射ミラー等を用いることができる。また、図31および図32に示すように、反射ミラーからなる光学素子は、曲面状の反射面を有するようにしてもよいし、平面状の反射面を有するようにしてもよい。また、発光部26が第2方向d2に配列されている場合や発光部26が第2方向d2に沿って延びている場合等には、光学素子も第2方向d2に延びるようにしてもよいし、或いは、複数の光学素子が第2方向d2に配列されていてもよい。
一例として、図25に示す例においては、光源25が、第2方向d2(図25における紙面の奥行き方向)に沿って延びる基台81と、第2方向d2に沿って基台81上に配列された多数の発光体26と、第2方向d2に沿って延びる光学素子85と、を有している。発光体26で発光された光は、光学素子85を透過して、偏向光学シート50および反射シート21の間の領域に進む。図25に示された例において、基台81と光学素子85との間の空間は、反射シート21と、反射シート21に正面方向から対面する位置に配置された反射材83とによって囲まれており、発光体26で発光された光が意図しない方向に漏れ出すことが防止されている。
図25に示された例において、光学素子85は、単位レンズや単位プリズム等の単位光学要素を有するようにしてもよい。例えば、光学素子85は、第2方向d2に沿って配列された多数の単位光学要素を有するようにしてもよい。光学素子85の各単位光学要素が、その配列方向(第2方向d2)と直交する方向に延びる場合、すなわち、偏向光学シート50と反射シート21とを結ぶ方向に延びる場合、光学素子85は、第2方向d2に沿った明るさ分布の調節を行うことが可能となる。すなわち、この光学素子85は、発光体26の配列に起因した明るさのムラ、例えば、縞状模様となって現れる明暗ムラを目立たなくすることが可能となる。光学素子85に設けられる単位光学要素の断面形状としては、種々の形状を採用することができるが、一例として図9および図10に示された断面形状の単位光学要素を50μmのピッチで配列してなる光学素子85を用いることができる。
なお、図25に示された例では、第2方向d2に直交する断面において、すなわち、偏向光学シートの主切断面において、光学素子85の反射シート側端部が、光学素子85の偏向光学シート側端部よりも、第1方向d1に沿って外方に位置している。言い換えると、光学素子85の法線方向が、第1方向d1よりも反射シート21の側を向くように傾斜している。図示された光学素子85の傾斜は例示に過ぎないが、光学素子85の向きを調節することによって、光源25から射出される光の光軸pdの向きを調節することが可能となる。本件発明者らが実験を繰り返したところ、光学素子85の法線方向が、第1方向d1よりも反射シート21の側を向く場合、光源25から射出される光の光軸pdが反射シート21の側へ向きやすくなる傾向が生じ、光学素子85の法線方向が、第1方向d1よりも偏向光学シート50の側を向く場合、光源25から射出される光の光軸pdが偏向光学シート50の側へ向きやすくなる傾向が生じた。
なお、以上の説明では、光学素子85の単位光学要素がレンチキュラーレンズをなす例を示したが、これに限られず、種々の光学機能を発現し得る要素を用いることができ、例えば、光学素子85の単位光学要素が、二次元配列されてフライアイレンズ(マイクロレンズ)を構成するようにしてもよい。
また、他の例として、第2方向d2に延びる光学素子85が、特定の偏光成分を透過させるとともに、その他の偏光成分を反射して再び発光体26の側へ戻す機能を有した反射型の偏光分離フィルムであってもよい。この際、反射型の偏光分離フィルムとして構成された光学素子85は、偏光子41が透過し得る偏光成分を、透過し得るにように構成される。例えば、液晶表示パネル15の偏光子41の透過軸が第1方向d1と平行になっている場合には、光学素子85の透過軸を、第2方向d2と直交する方向、すなわち、偏向光学シート50と反射シート21とを結ぶ方向にすればよい。このような形態によれば、光源25自体が、光のリサイクル機能を発現するようになり、光学モジュール20における光の利用効率を向上させることができる。また、このような形態によれば、液晶表示パネル15の偏光子41と平行に反射型の偏光分離フィルムを配置する場合と比較して、比較的に高価な偏光分離シートの使用面積を少なくすることができる。なお、反射型の偏光分離フィルムとしては、米国3M社から入手可能な「DBEF」(登録商標)を用いることができる。また、「DBEF」以外にも、韓国Shinwha Intertek社から入手可能な高輝度偏光シート「WRPS」や、あるいは、ワイヤーグリッド偏光子等を、偏光分離フィルムとして用いることができる。
図25に示された例では、第1方向d1に沿って、光源25と対面する位置に補助反射素子31が設けられている。図25に示された例において、第2方向d2に直交する断面において、すなわち、偏向光学シートの主切断面において、補助反射素子31の反射シート側端部が、補助反射素子32の偏向光学シート側端部よりも、第1方向d1に沿って内方に位置している。言い換えると、補助反射素子32の法線方向が、第1方向d1よりも偏向光学シート50の側を向くように傾斜しており、反射した光を偏向光学シート50の側に向けるようになっている。
さらに、他の例として、二以上の光学素子を光源25に設けることも可能である。例えば、単位光学要素を有する光学素子と、反射型の偏光分離フィルムからなる光学素子とを、一つの光源25に組み込むようにしてもよい。
さらに、光源25に関する変形例について説明する。上述した実施の形態において、光源25から射出される光の光軸pdが補助反射素子31の反射面32上の位置に向く、さらに、光源25から射出される光の光軸pdが単位光学要素60の配列方向d1と平行な方向に向くようにした。しかしながら、光源25から射出される光の光軸pdが、単位光学要素60の配列方向d1に対して傾斜していてもよいし、さらに、反射シート21の反射面22上の位置に向く或いは偏向光学シート50上の位置に向くようにしてもよい。
また、上述した実施の形態において、光源25の点状発光部26として、LEDを例示したが、これに限られず、その他の点状発光部を用いてもよい。例えば、点状発光部として、レーザ光を生成するレーザ光源を用いてもよい。また、上述した実施の形態では、図3によく示されているように、液晶表示パネル15の一つの縁部の全長に沿って、発光部26を並べて配置した例を示したが、これに限られない。例えば、レーザ光源に代表されるような高出力の発光体(発光部)を用いる場合には、既に言及した図18および図19に示すように、光源25をなす発光体26の数を減らすことができる。
ここで、図18および図19は、偏向光学シート50とともに光源25を示す平面図である。図18に示す例においては、光源25は、一つの発光体26によって形成されている。図18に示す例において、偏向光学シート50は、正面方向からの観察において光源25をなす単一の発光体26を中心とした同心円上を延びる複数の単位光学要素60を有している。一方、図19に示す例においては、第1方向d1に直交する第2方向d2に並べられた三つの点状の発光体26によって、光源25が形成されている。図19に示す例において、偏向光学シート50は、正面方向からの観察において三つの発光体26のうちの真ん中の発光体を中心とした同心円上を延びる複数の単位光学要素60を有している。また、最も内側の単位光学要素60は、平面視において三つの発光体26を全て取り囲むような大きさの円上を延びるように形成されている。
さらに、光源25の発光体26は、点状発光体に限られず、例えば冷陰極管等の線状発光体を用いてもよい。
さらに、上述した実施の形態において、第1方向d1において偏向光学シート50の一方の縁部50c1の側(一側)から他方の縁部50c2の側(他側)へ向かう光を偏向光学シート50と反射シート21との間の領域に照射する光源25のみが設けられる例を示した。しかしながら、図23に示すように、第1方向d1において偏向光学シート50の他方の縁部50c2の側(他側)から一方の縁部50c1の側(一側)へ向かう光を偏向光学シート50と反射シート21との間の領域に照射する第2光源27が、さらに設けられるようにしてもよい。すなわち、偏向光学シート50の第1方向における両縁部50c1,50c2のそれぞれに対応して、各々が発光部26,28を有した一対の光源25,27が設けられるようにしてもよい。
なお、図23に示された例においては、第1方向d1に沿って第2光源27と対面する位置に、偏向光学シート50と反射シート21との間を延びる第2補助反射素子33が設けられている。補助反射素子31および第2補助反射素子33は、第1方向d1に沿って第1光源25と第2光源27との間に設けられており、正面方向ndに沿って液晶表示パネル15と反射シート21との間に位置している。そして、図23に示された例においては、第1光源25および第2光源27、並びに、第1補助反射素子31および第2補助反射素子33は、正面方向ndと平行な中心軸(中心面)を中心として、対称に構成されている。
上述した補助反射素子31と同様に、第1方向d1に沿った明るさ分布を均一化する観点から、第2補助反射素子33は、JISZ8741に準拠して測定された第2補助反射素子33の鏡面光沢度が、第1方向に平行となる面内を進んで60°の入射角度で入射する入射光を用いてJISZ8741に準拠して測定された反射シート21の鏡面光沢度以上となっていることが好ましい。
図23に示された例において、各光源25,27は、一以上の発光部26,28を有しており、光源25,27は、光源から射出される光の光軸pdが偏向光学シート50と反射シート21との間を延びて対応する補助反射素子31,33上の位置へ向くよう、構成されている。さらに、各補助反射素子31,33の反射面32,34は、第1方向d1に対して傾斜しており、各補助反射素子31,33は、第1方向d1に進む光を偏向光学シート50上の位置に反射するようになっている。このような構成によれば、上述した実施の形態と同様に、第1方向d1に沿った明るさ分布を効果的に均一化することができる。
さらに、上述した実施の形態において、偏向光学シート50が偏光子41と接合されて液晶表示パネル15の一部分をなす例を示したが、これに限られない。偏向光学シート50が液晶表示パネル15から分離して設けられていてもよい。この例において、液晶表示パネル15と偏向光学シート50との間に、偏光分離フィルム、等方性光拡散シート、異方性等光拡散シート、集光シート等の光学シートが設けられていてもよい。
同様に、液晶表示パネルが、一対の偏光板12,40と、一対の偏光板12,40の間に位置する液晶セル11と、からなる例を示したが、これに限られない。例えば、反射防止フィルム、防眩フィルム、耐電防止フィルム、ハードコートフィルム等の種々の機能性光学シート類が液晶表示パネル15に設けられていてもよい。
一例として、図24には、液晶表示パネル15が、上偏光板12の出光側に配置された光制御部材70を有する例が開示されている。光制御部材70は、光の進行方向を変化させる機能を有した部材であって、光透過部(主部)71と、間部(充填部)72と、を有している。図24に示された例において、間部72は、柱状に形成されており、図24の紙面の奥/手前側に延びている。そして、光透過部71は、間部72の両側方に隣接して設けられており、略台形形状の断面を有して柱状に延びている。
光透過部71は、光を透過させることを主要な機能とする部位である。図24に示すように、光透過部71の断面台形形状は、長い下底が入光側を向くとともに短い上底が出光側を向くように、配置されている。光透過部71は、液晶表示パネル15のパネル面に沿って所定の間隔で配列されている。そして、隣り合う二つの光透過部71の間に、略三角形断面を有した間部72が形成されている。したがって、間部72によってなされる断面三角形形状は、光透過部71によってなされる断面台形形状の上底側に底辺を有し、光透過部71によってなされる断面台形形状の下底側に頂点を有する。
このような光制御部材は、次のようにして作製され得る。まず、電離放射線硬化型樹脂を透明基材73上に賦型することによって、光透過部71を形成する。次に、光透過部71の間に、電離放射線硬化型樹脂を塗布および硬化させることによって、間部72を形成する。これにより、透明基材73と、透明基材73上に形成された光透過部71および間部72と、を有した光制御部材70が得られる。
この光制御部材70は、光透過部71および間部72を異なる屈折率の材料から形成されることにより、光透過部71と間部72との界面における反射や屈折等に起因した光拡散機能を発現するようになる。
なお、間部72の断面形状は、三角形形状に限られることなく種々の形状に変更することができ、また、間部72の断面形状に応じて、光透過部71の断面形状を台形形状から変更してもよい。例えば、間部72の断面形状を、台形形状としてもよいし、断面台形形状の側部をなす間部72の斜辺が折れ線状または曲線状となるようにしてもよい。
以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
実施例1〜3に係る光学モジュールおよび比較例1に係る光学モジュールを実際に作製して、第1方向に沿った明るさの分布を調査した。各光学モジュールは、光源、反射シート、偏向光学シートおよび補助反射素子を、上述の実施の形態と同様に配置することによって、作製した。すなわち、偏向光学シートおよび反射シートを互いに対面するように配置し、光源および補助反射素子を、偏向光学シートおよび反射シートの側方に配置した。各表示装置は、反射シートのみが異なり、反射シート以外については、同一に構成した。
実施例1〜3では、光の入射方向に依存した指向性を持つ反射特性で当該光を反射する反射シートを用い、比較例1では、入射光を完全拡散して反射する反射シートを用いた。より具体的には、実施例1では、銀によって反射面が形成された、鏡面反射性を有した反射シートを用いた。実施例2、実施例3、比較例1では、内部に拡散成分を混入された白色PET製の反射シートとした。比較例1に用いられた反射シートの内部拡散能は、実施例2および実施例3に用いられた反射シートの拡散能よりも強く設定されていた。
各光学モジュールの第1方向に沿った長さを略400mmとし、各光学モジュールの第2方向に沿った長さを略700mmとした。各光学モジュールの正面方向に沿った厚みが略30mmとなるようにした。
偏向光学シートは、幅W1が50μmで頂角θ1が66°の断面二等辺三角形状となっている直線状の単位光学要素を隙間無くリニア配列してなる光学シートとした。この光学シートは、図5に示された偏向光学シートと同様に、単位光学要素を含んで構成された樹脂層と、樹脂層の出光側に位置する光拡散層と、からなるようにした。
光源は、第2方向に並べて配置されたLEDおよびLEDを覆うキャップを含むようにした。LEDの第2方向に沿った幅は3mmとし、キャップの第2方向に沿った幅は23mmとした。LEDは、第2方向に沿って25mmのピッチで配置した。補助反射素子は、銀蒸着フィルムからなる反射面を有するものとした。LEDを含んで構成される光源から射出される光の光軸は、第1方向と平行な方向に向くようにした。補助反射素子は、LEDの光軸に沿った方向から入射する光を偏向光学シートに向けて反射するように、配置した。
各光学モジュールに組み込んだ反射シートについて、鏡面光沢度および表面粗さを測定した測定結果を表1に示す。鏡面光沢度については、JISZ8741に準拠して測定し、測定に用いた入射光は、第1方向(偏向光学シートの単位光学要素の配列方向)および反射シートの法線方向の両方に平行となる面内を進んで60°および20°の入射角度で、対象となる反射シートに入射する光とした。鏡面光沢度の測定には、HORIBA製のIG−331を用いた。なお、表1では、鏡面光沢度が199(%)を超えた反射シートについて、199超と表示している。一方、表面粗さは、JIS B0601に準拠して、十点平均粗さRzおよび算術平均粗さRaを測定した。測定に用いた測定器は、KOSAKA LAB.製のSurfcorder SE1700αとした。なお、実施例1で用いた反射シートの反射面については、表面が平滑であり、表面粗さを測定することができなかった。
また、図26〜図29には、それぞれ、実施例1〜3および比較例1に係る光学モジュールについて測定された正面方向輝度(偏向光学シートのシート面への法線方向から測定された輝度)の面内分布が示されている。図26〜図29中において、四角形の枠で囲まれた領域は、各光学モジュールの偏向光学シートの出光側面のうちの、第1方向に沿った長さ400mm×第2方向に沿って中心に位置する第2方向に沿った長さ180mmの領域に相当する。また、図26〜図29には、光源の位置を示している。
図26〜図29では、各光学モジュールの偏向光学シートの出光側面上で測定された最高の正面方向輝度に対する割合として、偏向光学シートの出光側面上の各位置で測定された正面方向輝度の値を評価した。図26〜図29において、各光学モジュールで測定された最高の正面方向輝度値の90%以上100%以下の正面方向輝度が測定された領域をS1として示し、各光学モジュールで測定された最高の正面方向輝度値の80%以上90%未満の正面方向輝度が測定された領域をS2として示し、各光学モジュールで測定された最高の正面方向輝度値の70%以上80%未満の正面方向輝度が測定された領域をS3として示し、各光学モジュールで測定された最高の正面方向輝度値の60%以上70%未満の正面方向輝度が測定された領域をS4として示し、各光学モジュールで測定された最高の正面方向輝度値の50%以上60%未満の正面方向輝度が測定された領域をS5として示し、各光学モジュールで測定された最高の正面方向輝度値の50%未満の正面方向輝度が測定された領域をS6として示している。
また、各光学モジュールの偏向光学シートの出光側面における明るさの分布を目視で確認したところ、実施例1および実施例2に係る光学モジュールにおいては、明るさのムラを感知することができず、実施例3に係る光学モジュールにおいては、注意深く観察することによってやっと感知することができる程度の明るさのムラが生じているが、実用上許容可能である。一方、比較例1に係る光学モジュールにおいては、明るさのムラがはっきりと感知された。