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JP2013087153A - 共重合ポリエステル及びそれからなる吸湿性に優れたポリエステル繊維 - Google Patents

共重合ポリエステル及びそれからなる吸湿性に優れたポリエステル繊維 Download PDF

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Kenichi Tsutsumi
賢一 堤
Yoshitaka Aranishi
義高 荒西
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Abstract

【課題】ポリエステルの優れた特性を維持しながら、高い吸湿特性を有するポリエステル及び繊維を提供する。
【解決手段】ナフタレンジカルボン酸を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコールを主成分とするジオール成分とよりなるポリエチレンナフタレート樹脂において、親水性化合物を全ポリマー重量に対して10〜50重量%共重合したポリエステルであって、ガラス転移温度(Tg)が50〜100℃であることを特徴とする共重合ポリエステル及びそれからなる繊維。
【選択図】なし

Description

本発明は吸湿性を有する共重合ポリエステル及びそれからなる繊維に関する。更に詳しくは単独で紡糸可能な優れた吸湿性を有した共重合ポリエステル及びそれからなる吸湿性に優れたポリエステル繊維に関するものである。
ポリエステルは、強度や熱安定性、耐薬品性などに優れるため、繊維やフィルム、成型体などの用途に広く用いられている。しかし、ポリエチレンテレフタレートは本質的に疎水性であるため、きわめて吸湿性に乏しく、衣服として用いる場合には、高湿時において“むれ感”を生じたり、冬場の低湿時には静電気を生じたりと、着用快適性においては好ましい素材とはいえない。また、樹脂やフィルムなどとして用いる際には低吸湿性のため帯電し、問題となることがある。
この欠点を解消するため、側鎖にオキシアルキレングリコールを有するジオールの共重合(特許文献1)、スルホン酸金属塩含有ジカルボン酸の共重合(特許文献2)など、吸湿性能を有する化合物をポリエステルに共重合する方法が提案されている。しかし吸湿成分を共重合することによってポリマー全体が改質されてしまい、優れた機械的特性というポリエステルの持つ本来の利点が失われてしまうという問題を抱えていた。
また、ポリエステル繊維にアクリル酸やメタアクリル酸をグラフト重合すること、更にグラフト重合後にそれらのカルボキシル基をアルカリ金属で置換することにより吸湿性を付与する方法が知られている(特許文献3)。しかし、耐光性の低下、吸湿成分が組成物あるいは繊維表層に付着していることによるぬめりの発生や経時的な強度低下の問題を有していることから、実用化には至っていない。
後加工段階で吸湿性を付与する方法では染色時あるいは得られた布帛特性の点で種々の問題がある。そこで、繊維を製造する段階で吸湿性を付与し、かつ前記問題を解消するため、高い吸湿性を有する吸湿性樹脂を芯部とし、ポリエステルの鞘部を覆った芯鞘型複合繊維が提案されている(特許文献4〜8)。しかしながら、これら芯鞘型複合繊維では精練や染色などの熱水処理時に芯部の吸湿性樹脂が水を含んで大きく膨潤するため、繊維表面にひび割れ(鞘割れ)が発生し、吸湿性樹脂の外部への流出や染色堅牢性の著しい悪化など布帛品位が低下する欠点があった。
この鞘割れを抑制する目的で、予め溶融紡糸の段階から吸湿性の芯成分に隣接する中空部を設けておく方法が提案されている(特許文献9、10)。しかしなから、中空部を有する形状に繊維化した場合には、繊維に撚糸加工や仮撚加工を施した場合にはかかる工程で中空部のつぶれが生じ、その後の熱水処理によって前述の場合と同様に吸湿ポリマーが膨潤して鞘割れが生じてしまう欠点があった。
特開昭48−8270号公報 特開平2−26985号公報 特開昭52−074020号公報 特開平2−99612号公報 特開平4−361616号公報 特開平4−341617号公報 特開平8−198954号公報 特開平9−132871号公報 特開平9−111579号公報 特開昭52−55721号公報
本発明の目的は、従来技術の問題点を克服して、ポリエステル本来の優れた特性を維持しながら、高い吸湿特性を有するポリエステル及びそれからなる繊維を提供することにある。
上記課題は、ナフタレンジカルボン酸を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコールを主成分とするジオール成分とよりなるポリエチレンナフタレート樹脂において、親水性化合物を全ポリマー重量に対して10〜50重量%共重合したポリエステルであって、示差走査熱量分析(DSC)測定で降温速度16℃/minにて測定したガラス転移温度(Tg)が50〜100℃であることを特徴とする共重合ポリエステル及びそれからなる繊維により達成される。
本発明の共重合ポリエステルは吸湿性が高く、かつ成形性が良好であり、繊維であれば単独で紡糸することが可能であるので、単独糸からなる織編物等として下着、スポーツウェア、裏地等の快適素材として用いることができる。
本発明の共重合ポリエステルはナフタレンジカルボン酸を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコールを主成分とするジオール成分とよりなるポリエチレンナフタレート樹脂において、親水性化合物を全ポリマー重量に対して10〜50重量%共重合したポリエステルである。
本発明において、酸成分として使用されるジカルボン酸成分は、2,6−または1,4−ナフタレンジカルボン酸及びこれらのエステル形成誘導体を主成分とするものであり、好ましくは全酸成分中に占めるナフタレンジカルボン酸及びそのエステル形成誘導体が80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上である。これは、ナフタレンジカルボン酸及びそのエステル形成誘導体の含有量が少ないと、ガラス転移温度(Tg)が低下し、高い温度域での使用に耐えられなかったり、得られる成形品の機械的強度が低下する傾向にあるためである。また、繊維を製造するために用いる際には単独糸で用いることができなくなる。特に、2,6−ナフタレンジカルボン酸及びこれらのエステル形成誘導体を主成分とすると製糸性が良好となり好ましく用いられる。
また、ほかのジカルボン酸成分、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、5−スルホイソフタル酸の金属塩等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸及びこれらのエステル形成誘導体を本発明の効果を損ねない範囲、例えば20モル%以下の範囲で共重合させても良い。使用するこれら酸成分のエステル形成誘導体としては、ジアルキルエステル及びジアリールエステル等が挙げられる。
ジオール成分としては、エチレングリコールを主成分とするものであり、好ましくは全ジオール成分中に占めるエチレングリコールが80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上である。エチレングリコール以外のジオール成分として、シクロヘキサンジメタノール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール等を本発明の効果を損ねない範囲、例えば20モル%以下で共重合することもできる。
本発明において共重合ポリエステルに吸湿性を付与するためには親水性化合物を共重合することは必須である。
共重合ポリエステル中の親水性化合物の共重合量は、吸湿性の観点から10重量%以上が必要である。親水性化合物の共重合量が10重量%より少ないと共重合ポリエステルの吸湿性が得られず、親水性化合物を共重合しないポリエステルと同等程度の吸湿性となる。特に好ましくは20重量%以上、更に好ましくは25重量%以上である。また、溶融成形性、例えば製糸性の観点から親水性化合物の共重合量は50重量%以下である必要がある。50重量%を超えると高い温度域での使用に耐えられなかったり、得られる成形品の機械的強度が低下する傾向にあるためである。また、繊維を製造するために用いる際には単独糸で用いることができなくなる。親水性化合物の共重合量を40重量%以下とすることで紡糸性が向上し、紡糸速度を速くすることが可能となり生産性が向上、更には細繊度繊維を得ることができる。更に好ましくは35重量%以下である。
本発明の共重合ポリエステルは示差走査熱量分析(DSC)測定で昇温速度16℃/minにて測定したガラス転移温度(Tg)が50〜100℃であることを特徴としている。このような範囲とすることで樹脂組成物の耐熱性が向上し、該樹脂組成物を用いた最終製品の機械的強度が向上する。また、繊維を製造するために用いる際には単独で紡糸することが可能となる。85℃以上とすることでポリエチレンテレフタレート繊維の製造装置のような汎用的な溶融紡糸設備を用いて繊維を製造することが可能となるためより好ましい。
本発明の親水性化合物としては、エステル形成基を1個以上含有する化合物であれば特に限定はしないが、代表的な化合物としてポリオキシアルキレン化合物、ポリオキサゾリン類、ポリアクリルアミドとその誘導体、ポリスルホエチルメタクリレート、ポリ(メタ)アクリル酸及びその塩、ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリビニルアルコール、及びポリビニルピロリドンなどが挙げられる。その中でもポリオキシアルキレン化合物が好ましい。ポリオキシアルキレン化合物としてはポリオキシエチレン化合物、ポリオキシトリメチレン化合物、ポリオキシテトラメチレン化合物等があり、その中でもポリオキシエチレン化合物が好ましく、特にポリエチレングリコールが好ましい。
ポリエチレングリコールの数平均分子量はポリエステルとの相溶性及びポリエステル中の分散性の点で6000以下であることが好ましい。また、ポリエチレングリコールの数平均分子量が1000以上のポリエチレングリコールを用いると吸湿性が向上することから好ましく、2000以上が更に好ましい。
従来公知の吸湿性能を有した共重合ポリエステルはポリエチレンテレフタレートを主成分とした共重合ポリエステルであった。ポリエチレンテレフタレートと親水性化合物を共重合した場合、ガラス転移温度が大きく低下する。そのため、十分な吸湿性能を有した共重合ポリエステルではガラス転移温度(Tg)が室温以下となり、常温でゴム状となるため、単独で紡糸すると太さ斑(太細化)が生じたり、繊維同士が接着するなどの問題があり、必然的に繊維表面を汎用的なポリマー、具体的には共重合されていないポリエチレンテレフタレートなどで覆った芯鞘型複合繊維とするなどの必要があった。
しかし、本発明のポリエチレンナフタレートと親水性化合物を共重合した共重合ポリエステルはポリエチレンテレフタレートと親水性化合物を共重合したものと比較しガラス転移温度(Tg)の低下が特異的に小さいという現象を見出した。そのため、十分な吸湿性を付与するために親水性化合物を共重合したとしても本発明の共重合ポリエステルはガラス転移温度(Tg)が室温以上となるため、例えば繊維に成形する場合でも単独で繊維化が可能となる。
本発明の共重合ポリエステルは、耐熱性が高く吸湿性に優れた共重合ポリエステルであることから、溶融成形して繊維、フィルム、成形体などに好適に用いられるが特に合成繊維の原料として好適に用いることができる。その場合、十分な吸湿性を有するためには吸湿パラメータ(ΔMR)が2%以上であることが好ましい。より好ましくは4%以上である。共重合ポリエステルの吸湿性パラメータが10%以下であると、紡糸性や延伸性が良好となる傾向にあり好ましい。
ここで、吸湿パラメータ(ΔMR)とは20℃×65%R.H.の標準状態で調湿安定化させた試料を30℃×90%R.H.の高湿状態に移して24時間後の重量増加量(g)を試料の絶乾重量(g)で除した値(%)を意味している。絶乾重量(g)とは、105℃で乾燥を行い、重量変化が見られなくなるまで乾燥した試料の重量をいう。
本発明の共重合ポリエステルには、本発明の目的を損なわない範囲で酸化チタン、カーボンブラック等の顔料、アルキルベンゼンスルホン酸塩等の界面活性剤、従来公知の酸化防止剤、着色防止剤、耐光剤、帯電防止剤等が添加されていても良い。
本発明の共重合ポリエステルは、公知のエステル交換法やエステル化法等の重合方法によって製造される。エステル交換法ではナフタレンジカルボン酸のエステル形成誘導体とエチレングリコールを反応容器内に仕込み、エステル交換触媒の存在下150〜250℃で反応させた後、安定剤、重合触媒等を添加し、500Pa以下の減圧下で260℃〜300℃に加熱し、3〜5時間反応させることによって得ることができる。
また、エステル化法ではナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールを反応容器に仕込み窒素加圧下150〜250℃でエステル化反応を行い、エステル化反応終了後、安定剤、重合触媒等を添加し、次いで500Pa以下の減圧下で260℃〜300℃に加熱し、3〜5時間反応させることによって得ることができる。
本発明の共重合ポリエステルの親水性化合物の添加時期は特に限定されず、エステル化反応やエステル交換反応前に他の原料とともに仕込んでもよく、また、エステル化反応やエステル交換反応が終了後、重合反応が始まる前までに添加してもよい。
本発明の共重合ポリエステルを製造する際に使用されるエステル交換触媒としては、酢酸亜鉛、酢酸マンガン、酢酸マグネシウム、チタンテトラブトキシ等が挙げられ、重合用触媒としては、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウム等が挙げられる。
本発明のポリエチレンナフタレート樹脂は、押出成形、ブロー成形、真空成形、射出成形等の公知の成形方法を使用し、各種の樹脂成形品とすることができるが、溶融紡糸により繊維化すると吸湿性能が発揮しやすく好ましい。
本発明の共重合ポリエステルを用いた繊維としては、繊維全体の20〜100重量%が本発明の共重合ポリエステルよりなることが好ましい。20重量%よりも少ない場合には吸放湿性を向上させる効果はほとんど見られない。十分な吸放湿性という観点からは、繊維を構成する組成物の50〜100重量%が本発明の吸放湿性ポリエステル組成物よりなることがよい。
特に繊維全体(100重量%)が本発明の共重合ポリエステルよりなる、すなわち実質的に単独型繊維とすることで、繊維の吸湿性が最大限に発揮できるためより好ましい。また、従来公知の芯鞘型複合繊維では吸湿による膨潤により鞘割れが生じるなどの問題も単独糸によって解消される。更に単独糸とすることで共重合ポリエステルが表面に露出されるため吸湿速度が速くなる。
また、驚くべきことに本発明の共重合ポリエステルを単独で繊維とした場合、吸湿パラメータ(ΔMR)が樹脂形態よりも向上することがある。原因は明らかではないが、表面積が大きくなることや分子の配列(配向)が影響していると考えられる。
本発明の繊維の吸湿性は暑熱時の衣服の快適性を決定する重要な尺度である。衣料としたときに快適性を与えうるためには、吸湿パラメータ(ΔMR)が2.0%以上であることが良い。更に吸湿パラメータ(ΔMR)が4.0%以上であることが快適性の観点からより好ましい。共重合ポリエステル繊維の吸湿性パラメータが20%以下であると繊維の特性、たとえば強度や耐光性が向上し、衣料用途などでの好適となる。より好ましくは10%以下である。
本発明の繊維の形態として、マルチフィラメント、短繊維、モノフィラメントであることが好ましい。これらの形態とすることで本発明の効果を十分に発揮することができる。
本発明の繊維の単繊維繊度は用途により適宜決めればよく、通常0.1〜10000dtexである。特に単繊維繊度が10dtex以下とすると吸湿性が必要とされる衣料用途に適しているため好ましい。更に好ましくは5dtex以下である。また、本発明の繊維は単独糸であるため、更に細い繊度の繊維を得ることも可能である。
また、本発明の繊維の断面形状は、丸断面、中空断面、扁平断面、三葉断面等の多葉断面、W断面、X断面その他の異形断面についても自由に選択することが可能である。比表面積が大きくなると吸湿性が向上する傾向にあり、特に多葉断面など比表面積の大きな断面形状とすると好ましい。
更に、糸長手方向の品質の指標である糸斑U%は、0.1〜2.0%であることが好ましい。共重合ポリエステルのガラス転移温度(Tg)が低いとバラス効果が生じやすく、口金孔間や長さ方向に繊度斑を生じるが、本発明はガラス転移温度(Tg)が高く、糸斑のないマルチフィラメントにすることができる。糸斑U%は0.1〜1.5%がより好ましく、0.1〜1.0%がさらに好ましい。
本発明の共重合ポリエステル繊維の製造方法は、公知の溶融紡糸工程を採用して製造することができる。具体的には、本発明の共重合ポリエステルを280〜300℃に加熱溶融して口金より溶融吐出される。口金から吐出した糸条は、通常、紡出後に冷却され巻き取ることにより得られる。
また、紡糸速度は500m/分〜10000m/分にすることで分子配向が生じ、後の延伸工程での工程通過性を高めることができ好ましい。
また、製造プロセスも一旦巻き取り公知の延伸機を用いて延伸する方法や、一旦巻き取ることなく紡糸延伸工程を連続して行う直接紡糸延伸方式などのプロセスが適用できる。
A.吸湿パラメータ(ΔMR)
測定試料を3g用意し、その絶乾重量(Wd)を測定した。この試料を20℃×65%R.H.の状態に調湿された恒温恒湿機(エスペック製LHU−123)中に24時間放置し、平衡状態となった試料の重量(W20)を測定し、次いで、恒温恒湿機の設定を30℃×90%R.H.に変更し、更に24時間放置後の重量(W30)測定し、下記式1により求めた。
吸湿パラメータ(ΔMR)=(W30−W20)/Wd(%) 式1
B.ガラス転移温度(Tg)
示差走査熱量分析(DSC)を用い、JIS−K−7122(1987年)に従って測定・Tgを算出した。試料を100℃で24時間真空乾燥した後、290℃で2分間保持して完全溶融させ、液体窒素にて急冷し、樹脂中に結晶が存在しない状態とした。続いて、0℃から200℃まで16℃/分で昇温しTgを求めた。
装置 :TA Instruments製 DSC Q2000
データ解析:TA Instruments製 ユニバーサル アナリシス 2000
C.紡糸性
150℃で10時間、真空乾燥し、紡糸温度290℃、紡糸速度1250m/min、金口径0.23μm−12H(ホール)の条件で1kg紡糸を行ったときの糸切れ頻度を評価した。
一度も糸切れしなかったものを○、糸切れは認められたが少なく操業性に支障がない範囲を△、糸切れが多発したものを×とした。
D.延伸性
紡糸により得られた未延伸糸を延伸温度80℃、延伸倍率2.7倍の条件で延伸を行ったときの糸切れ頻度を評価した。
一度も糸切れしなかったものを○、糸切れは認められたが少なく操業性に支障がない範囲を△、糸切れが多発したものを×とした。
実施例1
共重合ポリエステルとして、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル353g、エチレングリコール179g、エステル交換触媒として酢酸マンガン0.1gを加え、160〜240℃でメタノールを留出しつつエステル交換反応を行った後、リン酸トリメチル0.15g及び数平均分子量4000のポリエチレングリコール150g、抗酸化剤としてIrganox1010(BASF社製)0.1g、消泡剤としてシリコンを0.1g及び重合触媒として三酸化アンチモン0.15gを加え100Paの減圧下で290℃の条件下で3時間重合を行った後、冷水中にストランド状に吐出、直ちにカッティングして共重合ポリエステルチップを得た。
この共重合体に共重合されたポリエチレングリコールの割合は30重量%であった。また、得られた共重合ポリエステルのΔMRは6.5%であり、ガラス転移温度(Tg)は85℃であった。
次いで、得られた共重合ポリエステルチップを150℃で10時間、真空乾燥し、紡糸温度290℃、紡糸速度1250m/min、口金口径0.23μm−12H(ホール)の条件で紡糸を行った。紡糸性は良好で糸切れは認められなかった。次いで延伸温度80℃、延伸倍率2.7倍の条件で延伸を行った。延伸時に糸切れや単糸の巻きつきは発生せず、延伸性についても良好であった。
得られた繊維のΔMRは7.4%であり、吸湿性に優れた繊維であった。
実施例2〜5、比較例1〜3
PEGの共重合率を変更した以外は実施例1と同様にして行った。結果を表1に示す。
比較例4
共重合ポリエステルとして、テレフタル酸ジメチル455g、エチレングリコール300g、エステル交換触媒として酢酸マンガン0.1gを加え、140〜240℃でメタノールを留出しつつエステル交換反応を行った後、リン酸トリメチル0.15g及び数平均分子量4000のポリエチレングリコール50g、抗酸化剤としてIrganox1010(BASF社製)0.1g、消泡剤としてシリコンを0.1g及び重合触媒として三酸化アンチモン0.15gを加え100Paの減圧下で290℃の条件下で3時間重合を行った後、冷水中にストランド状に吐出、直ちにカッティングして共重合ポリエステルチップを得た。
この共重合体に共重合されたポリエチレングリコールの割合は10重量%であった。また、得られた共重合ポリエステルのΔMRは0.5%であり、ガラス転移温度(Tg)は45℃であった。
次いで、得られた共重合ポリエステルチップを150℃で10時間、真空乾燥し、紡糸温度290℃、紡糸速度1250m/min、口金口径0.23μm−12H(ホール)の条件で紡糸を行った。紡糸時に糸切れが認められるものの許容範囲であった。次いで延伸温度80℃、延伸倍率2.7倍の条件で延伸を行ったが、糸切れが発生し延伸糸を得ることができなかった。
比較例5、6
PEGの共重合率を変更した以外は比較例4と同様にして行った。結果を表1に示す。
Figure 2013087153
本発明の範囲内のものは吸湿性の高い繊維を得ることができるが、本発明の範囲外のものは紡糸時または延伸時に糸切れが多発し繊維を得ることができなかった。
特にPETにPEGを共重合したものは共重合比率を少なくしても単独で紡糸することができない。すなわち、PEG共重合による紡糸性の改善はPEN特有のものであることがわかる。
実施例6〜8、比較例7
ポリエチレングリコールの分子量を変更した以外は実施例1と同様にして行った。結果を表2に示す。
Figure 2013087153
PEGの数平均分子量が大きくなると吸湿性が高くなるが、6000を超えると吸湿性が低下する。PEGの数平均分子量が10000ではTgが120℃となり、繊維がフィブリル化し紡糸性、延伸性が悪化した。これはPEGの数平均分子量が10000であるために、PEGが共重合反応せず、ブレンドされた状態となったためである。
実施例9
ポリエチレングリコールを数平均分子量4000のビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物(BPA)を用いた以外は実施例1と同様にして行った。結果を表3に示す。
実施例10
ポリエチレングリコールを数平均分子量4000のビスフェノールスルホンのエチレンオキサイド付加物(BPS)を用いた以外は実施例1と同様にして行った。結果を表3に示す。
Figure 2013087153

Claims (5)

  1. ナフタレンジカルボン酸を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコールを主成分とするジオール成分とよりなるポリエチレンナフタレート樹脂において、親水性化合物を全ポリマー重量に対して10〜50重量%共重合したポリエステルであって、示差走査熱量分析(DSC)測定で降温速度16℃/minにて測定したガラス転移温度(Tg)が50〜100℃であることを特徴とする共重合ポリエステル。
  2. 吸湿パラメータ(ΔMR)が2〜10%であることを特徴とする請求項1記載の共重合ポリエステル。
  3. 親水性化合物がポリエチレングリコールであることを特徴とする請求項1または2記載の共重合ポリエステル。
  4. ポリエチレングリコールの数平均分子量が1000〜6000であることを特徴とする請求項3記載の共重合ポリエステル。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載の共重合ポリエステルからなる吸湿性に優れたポリエステル繊維。
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