JP2013055852A - 交流電動機の駆動装置およびそれを搭載する車両、ならびに交流電動機の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】変調PWM制御および正弦波PWM制御を切換えて制御する交流電動機の駆動装置において、交流電動機の回転速度が急変した場合の緊急切換動作時におけるトルク急減を抑制する。
【解決手段】車両100は、ECU300によってPWM制御を用いてインバータ130が制御されてモータジェネレータ140を駆動することによって走行する。ECU300は、正弦波PWM制御および過変調PWM制御を含む複数の制御モードを切換えてインバータ140を制御する。ECU300は、過変調PWM制御を実行中に、駆動輪160がスリップ状態からグリップ状態に変化することに伴って電流が急増した場合に、過変調PWM制御から正弦波PWM制御に強制的に切換えるとともに、正弦波PWM制御における変調率の上限値を緩和して、正弦波PWM制御において通常時よりも大きなトルクが出力できるようにする。
【選択図】図1
【解決手段】車両100は、ECU300によってPWM制御を用いてインバータ130が制御されてモータジェネレータ140を駆動することによって走行する。ECU300は、正弦波PWM制御および過変調PWM制御を含む複数の制御モードを切換えてインバータ140を制御する。ECU300は、過変調PWM制御を実行中に、駆動輪160がスリップ状態からグリップ状態に変化することに伴って電流が急増した場合に、過変調PWM制御から正弦波PWM制御に強制的に切換えるとともに、正弦波PWM制御における変調率の上限値を緩和して、正弦波PWM制御において通常時よりも大きなトルクが出力できるようにする。
【選択図】図1
Description
本発明は、交流電動機の駆動装置およびそれを搭載する車両、ならびに交流電動機の制御方法に関し、より特定的には、正弦波変調モードおよび過変調モードを有するパルス幅変調(Pulse Width Modulation:PWM)制御が適用される交流電動機の制御に関する。
直流電源を用いて交流電動機を駆動制御するために、インバータを用いた駆動方法が一般的に採用されている。インバータは、インバータ駆動回路によりスイッチング制御されており、たとえばPWM制御に従ってスイッチングされた電圧が交流電動機に印加される。
また、電圧利用率を向上させてモータ回転速度の高い領域で高出力を得るために、正弦波PWM制御(以下、「正弦波変調モード」とも称する。)よりもモータ印加電圧の基本波成分が大きい変調方式による交流電動機制御として、過変調PWM制御(以下、単に「過変調モード」とも称する。)および矩形波電圧制御が適用されている。
特開2010−041901号公報(特許文献1)は、過変調モードおよび正弦波変調モードを用いる交流電動機の制御装置において、過変調モードから正弦波変調モードへの切換判定に用いる判定値を、スイッチング状態に基づいて可変に設定する構成を開示する。
特開2010−041901号公報(特許文献1)に開示された構成によれば、過変調モードでのPWM制御実行中に、過変調モードから正弦波変調モードへの制御モードの切換えにおいて、スイッチング回数が多くデッドタイムの影響により、正弦波変調モードと過変調モードとの間で制御モードの切換えが頻繁に繰り返されるチャタリングが生じやすい状態において、過変調モードから正弦波変調モードへの切換えが起こりにくくなるように変調率の判定値を設定することで、チャタリングの発生を抑制することができる。
過変調PWM制御は、正弦波PWM制御に比べて大きなトルクを出力することができるが、正弦波PWM制御よりも少ないパルス数により電圧波形を生成するため、一般的に正弦波PWM制御に比べて制御応答性がやや劣る傾向にある。
そのため、過変調PWM制御が行なわれている際に、駆動輪がスリップした状態からグリップ状態へ移行したような場合には、急激な減速トルクの増加により交流電動機で生じる発電電力について、この制御応答性の遅れのために電力変換動作が追従できず過電圧状態となってしまうおそれがある。そして、このような状況に対応するために、急激な速度変動が生じた場合には、過変調PWM制御から応答性のよい正弦波PWM制御へ緊急的に制御モードを変更させることによって制御応答遅れを回避する手法(以下、「緊急切換動作」)が採用される場合がある。
このような緊急的な回避制御がなされた場合、過変調PWM制御に即座に復帰してしまい制御のチャタリングを生じないように、一般的には、所定の期間は過変調PWM制御への復帰が禁止される場合がある。
ところが、正弦波PWM制御においては、過変調PWM制御に比べると制御応答性は優れているものの、逆に出力可能なトルクが過変調PWM制御に比べて制限されるため、蓄電装置の過充電や急激なトルク低下を招くおそれがある。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、過変調PWM制御および正弦波PWM制御を切換えて制御する交流電動機の駆動装置において、交流電動機の回転速度が急変した場合の緊急切換動作時におけるトルク急減を抑制することである。
本発明による交流電動機の駆動装置は、インバータと、制御装置とを備え、交流電動機を動作指令に従って動作させるための正弦波状の電圧指令信号と搬送波信号との比較に基づくパルス幅変調制御を用いてインバータを制御し、交流電動機を駆動する。制御装置は、パルス幅変調制御において、搬送波信号の周波数が電圧指令信号の周波数の整数倍となるように制御する過変調モードと、搬送波信号の周波数を電圧指令信号の周波数とは無関係に設定する正弦波変調モードとを含む複数の制御モードを切換えてインバータを制御する。制御装置は、過変調モードの実行中に、交流電動機に流れる電流に基づいて、過変調モードから正弦波変調モードへ強制的に切換える緊急切換機能を有する。制御装置は、緊急切換機能によって過変調モードから正弦波変調モードへ制御モードを切換える場合に、正弦波変調モードにおいて電圧指令信号の振幅を制限するための上限値を緩和する。
好ましくは、制御装置は、緊急切換機能によって過変調モードから正弦波変調モードへ制御モードを切換える場合に、搬送波信号の周波数が大きいほど、正弦波変調モードにおける上限値を大きく設定する。
好ましくは、制御装置は、緊急切換機能によって過変調モードから正弦波変調モードへ制御モードを切換える場合に、交流電動機の回転速度が小さいほど、正弦波変調モードにおける上限値を大きく設定する。
好ましくは、制御装置は、緊急切換機能によって過変調モードから正弦波変調モードへ制御モードを切換える場合に、電圧指令信号の一周期の期間にインバータへ与えられるパルス幅変調信号が矩形波1パルスとならないように上限値を設定する。
好ましくは、制御装置は、交流電動機に流れる電流のq軸電流が、d軸電流に基づいて定められるq軸電流の所定のしきい値を上回った場合に緊急切換機能を実行する。
好ましくは、しきい値は、正弦波変調モードにおけるq軸電流指令値よりも大きな値に設定される。
好ましくは、制御装置は、インバータへの入力直流電圧と交流電動機へ与えられる電圧指令値とによって定められる変調率に基づいて、正弦波変調モードから過変調モードへの制御モードを切換える。上限値は、正弦波変調モードから過変調モードへの制御モードの切換えを判定するためのしきい値である。
本発明による車両は、交流電動機により発生される駆動力を用いて走行することが可能な車両であって、交流電動機の印加電圧を制御するためのインバータと、インバータを制御するための制御装置とを備える。制御装置は、交流電動機を動作指令に従って動作させるための正弦波状の電圧指令信号と搬送波信号との比較に基づくパルス幅変調制御を用いてインバータを制御する。制御装置は、パルス幅変調制御において、搬送波信号の周波数が電圧指令信号の周波数の整数倍となるように制御する過変調モードと、搬送波信号の周波数を電圧指令信号の周波数とは無関係に設定する正弦波変調モードとを含む複数の制御モードを切換えてインバータを制御する。制御装置は、過変調モードの実行中に、交流電動機に流れる電流に基づいて、過変調モードから正弦波変調モードへ強制的に切換える緊急切換機能を有する。そして、制御装置は、緊急切換機能によって過変調モードから正弦波変調モードへ制御モードを切換える場合に、正弦波変調モードにおいて電圧指令信号の振幅を制限するための上限値を緩和する。
本発明による交流電動機の制御方法は、インバータにより印加電圧が制御される交流電動機についての制御方法である。制御方法は、交流電動機を動作指令に従って動作させるための正弦波状の電圧指令信号と搬送波信号との比較に基づくパルス幅変調制御を用いてインバータを制御するステップと、パルス幅変調制御において、搬送波信号の周波数が電圧指令信号の周波数の整数倍となるように制御する過変調モードと、搬送波信号の周波数を電圧指令信号の周波数とは無関係に設定する正弦波変調モードとを含む複数の制御モードを切換えてインバータを制御するステップと、過変調モードの実行中に、交流電動機に流れる電流に基づいて、過変調モードから正弦波変調モードへ強制的に切換える緊急切換機能を実行するステップと、緊急切換機能によって過変調モードから正弦波変調モードへ制御モードを切換える場合に、正弦波変調モードにおいて電圧指令信号の振幅を制限するための上限値を緩和するステップとを備える。
本発明によれば、過変調PWM制御および正弦波PWM制御を切換えて制御する交流電動機の駆動装置において、交流電動機の回転速度が急変した場合の緊急切換動作時におけるトルク急減を抑制することが可能となる。
以下において、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰り返さない。
[車両の基本構成]
図1は、本発明の実施の形態に従う交流電動機の駆動装置を搭載した車両100の全体ブロック図である。本実施の形態においては、車両100が電気自動車である構成を例として説明するが、車両100の構成はこれに限定されるものではなく、蓄電装置からの電力によって走行可能な車両であれば適用可能である。車両100としては、電気自動車以外にたとえばハイブリッド車両や燃料電池自動車などが含まれる。
図1は、本発明の実施の形態に従う交流電動機の駆動装置を搭載した車両100の全体ブロック図である。本実施の形態においては、車両100が電気自動車である構成を例として説明するが、車両100の構成はこれに限定されるものではなく、蓄電装置からの電力によって走行可能な車両であれば適用可能である。車両100としては、電気自動車以外にたとえばハイブリッド車両や燃料電池自動車などが含まれる。
図1を参照して、車両100は、蓄電装置110と、システムメインリレー(System Main Relay:SMR)115と、コンバータ120と、インバータ130と、モータジェネレータ140と、動力伝達ギヤ150と、駆動輪160と、ECU(Electronic Control Unit)300とを備える。
蓄電装置110は、充放電可能に構成された電力貯蔵要素である。蓄電装置110は、たとえば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池あるいは鉛蓄電池などの二次電池や、電気二重層キャパシタなどの蓄電素子を含んで構成される。
蓄電装置110は、電力線PL1,NL1を介して、コンバータ120のコンバータ120に接続される。蓄電装置110は、モータジェネレータ140を駆動するための電力をコンバータ120へ供給する。また、蓄電装置110は、モータジェネレータ140で発電された電力を蓄電する。蓄電装置110の出力はたとえば200V程度である。
SMR115に含まれるリレーは、蓄電装置110と電力線PL1,NL1とにそれぞれ接続される。そして、SMR115は、ECU300からの制御信号SE1によって制御され、蓄電装置110とコンバータ120との間での電力の供給と遮断とを切換える。
コンデンサC1は、電力線PL1と電力線NL1との間に接続される。コンデンサC1は、電力線PL1と電力線NL1との間の電圧変動を低減する。
コンバータ120は、スイッチング素子Q1,Q2と、ダイオードD1,D2と、リアクトルL1とを含む。
スイッチング素子Q1およびQ2は、電力線PL2,NL1の間に、電力線PL2から電力線NL1に向かう方向を順方向として直列に接続される。なお、本実施の形態において、スイッチング素子として、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を例として説明するが、IGBTに代えて、電力用MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタあるいは、電力用バイポーラトランジスタ等を用いてもよい。
スイッチング素子Q1,Q2には、逆並列ダイオードD1,D2がそれぞれ接続される。リアクトルL1は、スイッチング素子Q1およびQ2の接続ノードと、電力線PL1との間に設けられる。すなわち、コンバータ120はチョッパ回路を形成する。
スイッチング素子Q1,Q2は、ECU300からの制御信号PWCに基づいて制御され、電力線PL1,NL1と、電力線PL2,NL1との間で電圧変換動作を行なう。
コンバータ120は、基本的には、各スイッチング周期内でスイッチング素子Q1およびQ2が相補的かつ交互にオン・オフするように制御される。コンバータ120は、昇圧動作時には、蓄電装置110からの直流電圧を昇圧する。この昇圧動作は、スイッチング素子Q2のオン期間にリアクトルL1に蓄積された電磁エネルギを、スイッチング素子Q1および逆並列ダイオードD1を介して、電力線PL2へ供給することにより行なわれる。
また、コンバータ120は、降圧動作時には、インバータ130からの直流電圧を降圧する。この降圧動作は、スイッチング素子Q1のオン期間にリアクトルL1に蓄積された電磁エネルギを、スイッチング素子Q2および逆並列ダイオードD2を介して、電力線NL1へ供給することにより行なわれる。
これらの昇圧動作および降圧動作における電圧変換比は、上記スイッチング周期におけるスイッチング素子Q1,Q2のオン期間比(デューティ比)により制御される。なお、昇圧動作および降圧動作が不要の場合には、スイッチング素子Q1およびQ2をオンおよびオフにそれぞれ固定するように制御信号PWCを設定することで、電圧変換比=1.0(デューティ比=100%)とすることもできる。
なお、本発明においては、コンバータ120は必須ではなく、蓄電装置110からの出力電圧がインバータ130に直接供給される構成であってもよい。
コンデンサC2は、コンバータ120とインバータ130とを結ぶ電力線PL2,NL1の間に接続される。コンデンサC2は、電力線PL2,NL1の間の電圧変動を低減する。電圧センサ170は、コンデンサC2にかかる電圧を検出し、その検出値VHをECU300へ出力する。
インバータ130は、電力線PL2,NL1を介して、コンバータ120に接続される。インバータ130は、ECU300からの制御指令PWIにより制御され、コンバータ120から出力される直流電力を、モータジェネレータ140を駆動するための交流電力に電力変換する。
インバータ130は、U相アーム131と、V相アーム132と、W相アーム133とを含み、これらにより三相ブリッジ回路が形成される。U相アーム131、V相アーム132およびW相アーム133は、電力線PL2と電力線NL1との間に並列に接続される。
U相アーム131は、電力線PL2と電力線NL1との間に直列接続されたスイッチング素子Q3,Q4と、スイッチング素子Q3,Q4にそれぞれ並列に接続されるダイオードD3,D4とを含む。ダイオードD3のカソードはスイッチング素子Q3のコレクタと接続され、ダイオードD3のアノードはスイッチング素子Q3のエミッタと接続される。ダイオードD4のカソードはスイッチング素子Q4のコレクタと接続され、ダイオードD4のアノードはスイッチング素子Q4のエミッタと接続される。
V相アーム132は、電力線PL2と電力線NL1との間に直列接続されたスイッチング素子Q5,Q6と、スイッチング素子Q5,Q6にそれぞれ並列に接続されるダイオードD5,D6とを含む。ダイオードD5のカソードはスイッチング素子Q5のコレクタと接続され、ダイオードD5のアノードはスイッチング素子Q5のエミッタと接続される。ダイオードD6のカソードはスイッチング素子Q6のコレクタと接続され、ダイオードD6のアノードはスイッチング素子Q6のエミッタと接続される。
W相アーム133は、電力線PL2と電力線NL1との間に直列接続されたスイッチング素子Q7,Q8と、スイッチング素子Q7,Q8にそれぞれ並列に接続されるダイオードD7,D8とを含む。ダイオードD7のカソードはスイッチング素子Q7のコレクタと接続され、ダイオードD7のアノードはスイッチング素子Q7のエミッタと接続される。ダイオードD8のカソードはスイッチング素子Q8のコレクタと接続され、ダイオードD8のアノードはスイッチング素子Q8のエミッタと接続される。
モータジェネレータ140は、たとえば、永久磁石が埋設されたロータと、中性点でY結線された三相コイルを有するステータとを備える三相交流電動発電機である。U相,V相,W相の3つのコイルは、各々一方端が中性点に共に接続され、U相コイルの他方端はスイッチング素子Q3,Q4の接続ノードに接続され、V相コイルの他方端はスイッチング素子Q5,Q6の接続ノードに接続され、W相コイルの他方端はスイッチング素子Q7,Q8の接続ノードに接続される。
モータジェネレータ140の出力トルクは、減速機や動力分割機構によって構成される動力伝達ギヤ150を介して駆動輪160に伝達されて、車両100を走行させる。モータジェネレータ140は、車両100の回生制動動作時には、駆動輪160の回転力によって発電することができる。そして、その発電電力は、インバータ130によって蓄電装置110の充電電力に変換される。
また、モータジェネレータ140の他にエンジン(図示せず)が搭載されたハイブリッド自動車では、このエンジンおよびモータジェネレータ140を協調的に動作させることによって、必要な車両駆動力が発生される。この場合、エンジンの回転による発電電力を用いて、蓄電装置110を充電することも可能である。
なお、図1においては、モータジェネレータおよびインバータの対が1つ設けられる構成が示されるが、モータジェネレータおよびインバータの数はこれに限定されず、モータジェネレータおよびインバータを複数設ける構成としてもよい。たとえば、2つのモータジェネレータを備えるハイブリッド車両の場合には、一方のモータジェネレータを専ら駆動輪160を駆動するための電動機として用い、他方のモータジェネレータを専らエンジンにより駆動される発電機として用いるようにしてもよい。
電流センサ180は、インバータ130とモータジェネレータ140との間の電力伝達経路に設けられる。モータジェネレータ140の各相に流れる電流の合計は常にゼロとなるので、電流センサ180は、電力伝達経路の少なくともいずれか二相に設けられれば足りる。図1においては、たとえば、電流センサ180は、U相およびV相の電力伝達経路に設けられ、検出された電流Iu,IvはECU300に送られる。
回転角センサ190は、モータジェネレータ140に設けられる。回転角センサ190は、モータジェネレータ140の回転角θを検出し、その検出値をECU300へ出力する。ECU300は、回転角センサ190からの回転角θに基づいて、モータジェネレータ140の回転速度または角速度を演算する。
ECU300は、いずれも図1には図示しないがCPU(Central Processing Unit)、記憶装置および入出力バッファを含み、各センサ等からの信号の入力や各機器への制御信号の出力を行なうとともに、車両100および各機器の制御を行なう。ECU300における制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で処理することも可能である。
なお、図1においては、制御装置として1つのECU300が備えられる構成を例として説明するが、制御装置の構成はこれに限定されない。たとえば、ECU300は、機器ごとや機能ごとに制御装置が設けられる構成としてもよい。
ECU300は、蓄電装置110からの電圧VB,電流IBを受ける。ECU300は、電圧VB,電流IBに基づいて、蓄電装置の充電状態(State of Charge:SOC)を演算する。
[制御モードの説明]
ECU300によるモータジェネレータ140の制御についてさらに詳細に説明する。図2は、本実施の形態におけるモータジェネレータ140の制御モードを概略的に説明する図である。
ECU300によるモータジェネレータ140の制御についてさらに詳細に説明する。図2は、本実施の形態におけるモータジェネレータ140の制御モードを概略的に説明する図である。
図2に示すように、本実施の形態による交流電動機の駆動装置では、モータジェネレータ140の制御、すなわち、インバータ130における電力変換について、3つの制御モードを切換えて使用する。
正弦波PWM制御は、一般的なPWM制御として用いられるものであり、各相上下アーム素子のオン・オフを、図3に示されるように、正弦波状の電圧指令(図3中の波形W11)と搬送波(代表的には三角波)(図3中の波形W10)との電圧比較に従って制御する。この結果、上アーム素子のオン期間に対応するハイレベル期間と、下アーム素子のオン期間に対応するローレベル期間との集合について、一定期間内でその基本波成分が正弦波となるようにデューティが制御される。正弦波PWM制御においては、非同期PWM制御が適用され、モータジェネレータ140の回転速度とは無関係に搬送波のキャリア周波数が設定される。正弦波PWM制御におけるキャリア周波数は、可聴周波数帯より高く、かつ、スイッチング損失が過大とならない範囲(たとえば、5〜10kHz程度)に設定される。
正弦波PWM制御と過変調PWM制御との切換えは、インバータ130の直流リンク電圧(すなわち、システム電圧VH)に対するモータ印加電圧(線間電圧)の基本波成分(実効値)の比で表わされる「変調率」を用いて行なわれる。具体的には、変調率が所定の上限値UL以下の場合は正弦波PWM制御が選択され、変調率が上限値ULを上回る場合は過変調PWM制御が選択される。
なお、本明細書においては、この変調率は、モータジェネレータ140へ印加される電圧指令を、三相−二相変換(d−q軸変換)した電圧指令値をVd,Vqとした場合には、以下の式(1)によって表わすことができる。
変調率=(Vd2+Vq2)1/2/VH …(1)
正弦波PWM制御は、代表的には、正弦波の電圧指令の振幅が搬送波振幅以下の範囲と設定され、その場合には、上限値ULは約0.61に設定される。また、搬送波振幅以下の範囲の正弦波成分に3n次高調波成分(n:自然数、代表的には、n=1の3次高調波)を重畳させて電圧指令を生成する制御方式も提案されており、その場合には、上限値ULは、たとえば約0.71に設定される。なお、本明細書においては、正弦波の電圧指令の振幅が搬送波振幅より大きい場合であっても、非同期PWM制御が行なわれる場合には正弦波PWM制御と称する。
正弦波PWM制御は、代表的には、正弦波の電圧指令の振幅が搬送波振幅以下の範囲と設定され、その場合には、上限値ULは約0.61に設定される。また、搬送波振幅以下の範囲の正弦波成分に3n次高調波成分(n:自然数、代表的には、n=1の3次高調波)を重畳させて電圧指令を生成する制御方式も提案されており、その場合には、上限値ULは、たとえば約0.71に設定される。なお、本明細書においては、正弦波の電圧指令の振幅が搬送波振幅より大きい場合であっても、非同期PWM制御が行なわれる場合には正弦波PWM制御と称する。
一方、矩形波電圧制御では、上記一定期間内で、ハイレベル期間およびローレベル期間の比が1:1の矩形波1パルス分を交流電動機に印加する。これにより、変調率は0.78まで高められる。
過変調PWM制御は、正弦波PWM制御と矩形波電圧制御の間の変調率において用いられる。過変調PWM制御においては、同期PWM制御が適用され、モータジェネレータ140の回転速度に応じて搬送波のキャリア周波数が制御される。すなわち、キャリア周波数がモータジェネレータの回転速度に従う電圧指令の周波数の整数倍(好ましくは、3・(2n−1)倍、n:自然数)となるように、電圧指令の位相と同期させた搬送波が生成される。
一般的には、過変調PWM制御は、電圧指令(正弦波成分)の振幅が搬送波振幅より大きい範囲で上記正弦波PWM制御と同様のPWM制御を行なう(図3中の波形W12)。電圧指令を本来の正弦波波形から歪ませること(振幅補正)によって基本波成分を高めることができ、変調率を正弦波PWM制御モードでの最高変調率ULから0.78の範囲まで高めることができる。過変調PWM制御では、電圧指令(正弦波成分)の振幅が搬送波振幅より大きいため、モータジェネレータ140に印加される線間電圧は、正弦波ではなく歪んだ電圧となる。
モータジェネレータ140では、回転速度や出力トルクが増加すると誘起電圧が高くなるため、必要となる駆動電圧(モータ必要電圧)が高くなる。コンバータ120による昇圧電圧すなわち、システム電圧VHはこのモータ必要電圧よりも高く設定する必要がある。その一方で、コンバータ120による昇圧電圧すなわち、システム電圧VHには限界値(VH最大電圧)が存在する。
したがって、モータジェネレータ140の動作状態に応じて、モータ電流のフィードバックによってモータ印加電圧(交流)の振幅および位相を制御する、正弦波PWM制御または過変調PWM制御によるPWM制御モード、および、矩形波電圧制御モードのいずれかが選択的に適用される。なお、矩形波電圧制御では、モータ印加電圧の振幅が固定されるため、トルク実績値とトルク指令値との偏差に基づく、矩形波電圧パルスの位相制御によってトルク制御が実行される。
図4には、モータジェネレータ140の動作状態と上述の制御モードとの対応関係が示される。
図4を参照して、概略的には、低回転速度域A1ではトルク変動を小さくするために正弦波PWM制御が用いられ、中回転速度域A2では過変調PWM制御、高回転速度域A3では、矩形波電圧制御が適用される。特に、過変調PWM制御および矩形波電圧制御の適用により、モータジェネレータ140の出力向上が実現される。このように、図2に示した制御モードのいずれを用いるかについては、基本的には、実現可能な変調率の範囲内で決定される。
[過変調モードにおける速度急変時の問題点]
車両走行時、たとえば雪道や濡れた路面を走行するような場合に、駆動輪がスリップした状態および路面をグリップした状態が繰り返されることがある。この場合、駆動輪がスリップするとモータジェネレータの回転速度が急激に増加し、スリップ状態からグリップ状態になると回転速度が急激に減少する。このような、速度急変時において、特に駆動輪がスリップ状態からグリップ状態に変化したときには、急激に減速トルクが増加することによって、モータジェネレータの誘起電圧が上昇する。
車両走行時、たとえば雪道や濡れた路面を走行するような場合に、駆動輪がスリップした状態および路面をグリップした状態が繰り返されることがある。この場合、駆動輪がスリップするとモータジェネレータの回転速度が急激に増加し、スリップ状態からグリップ状態になると回転速度が急激に減少する。このような、速度急変時において、特に駆動輪がスリップ状態からグリップ状態に変化したときには、急激に減速トルクが増加することによって、モータジェネレータの誘起電圧が上昇する。
過変調モードにおいては、上述のように、正弦波の電流波形に高調波成分を重畳させて波形を意図的に歪ませているため、電流フィルタが一般的に用いられる。この電流フィルタの制御周期(たとえば、250ms(=400Hz))によって、電流フィードバック制御の制御周期が制限され制御応答性を十分に上げることができない場合がある。
このため、上述のようにスリップ状態からグリップ状態になった場合に、それによって生じる電圧上昇を抑制するための制御が追いつかず、過電圧状態になってしまうおそれがある。
これに対応するために、過変調モードにおいてスリップ状態からグリップ状態になった場合に、過変調モードから、制御応答性が優れた正弦波変調モードへ強制的に切換えて、高応答で電圧を低減する緊急切換機能を有するように、駆動装置が構成される場合がある。
この緊急切換動作を、図5を用いてより詳細に説明する。図5は、モータジェネレータに流れる電流をd−q座標軸で示したものであり、横軸には界磁方向成分電流Idが示され、縦軸にはトルク方向成分電流Iqが示される。
図5を参照して、図5中の曲線W30は、正弦波変調モードにおける電流指令値を示す曲線であり、正弦波変調モードの場合には、たとえば曲線W30上の点P1で示される電流指令値となるように電流フィードバック制御が実行される。
過変調モードにおいては、正弦波変調モードよりも高トルクを出力するために、たとえば図5の点P2に示されるように、Id電流に対してIq電流が正弦波変調モードの曲線W30よりも大きくなるように制御が実行される。
そして、スリップ状態からグリップ状態に変化して、Iq電流が破線の曲線W31で示される切換ラインを超過したことに応答して緊急切換動作が実行されて、制御モードが過変調モードから正弦波変調モードへ強制的に切換えられる。
正弦波変調モードでは、上述のように実行可能な変調率が過変調モードよりも制限されるため、これに伴ってIq電流も制限されて、図5の点P3から点P1へと動作点が変更される。そうすると、結果的にトルク方向成分電流Iqが低下するので、図6の曲線W20のように、正弦波変調モードへ切換えられることにより急激に出力トルクが減少して、トルク指令値TRに対してトルク不足となってしまう可能性がある。
[実施の形態における駆動制御の説明]
そこで、本実施の形態においては、緊急切換動作によって過変調モードから正弦波変調モードへ制御モード切換えられた場合に、それに伴って、図7のように、正弦波変調モードにおける変調率の上限値ULをUL1からUL2へ緩和させるモード切換制御を実行する。
そこで、本実施の形態においては、緊急切換動作によって過変調モードから正弦波変調モードへ制御モード切換えられた場合に、それに伴って、図7のように、正弦波変調モードにおける変調率の上限値ULをUL1からUL2へ緩和させるモード切換制御を実行する。
これによって、正弦波変調モードにおいて、図5における点P1と点P3との間の中間的なIq電流(すなわち、トルク)を出力することができるので、緊急切換動作によって制御モードが過変調モードから正弦波変調モードに切換えられたときの出力トルクを徐々に変更させることができ、トルクの急減を抑制することが可能となる。
なお、このときに変調率の上限値を、図8における曲線W12Aのように、電圧指令信号の半周期において、PWM制御におけるパルスが少なくとも2パルス含まれるような範囲内で緩和することが好ましい(図8の中段)。すなわち、曲線W12Bの場合における図8の下段に示されるPWM信号のように、正弦波変調モードにおいて、PWM信号が矩形波1パルスとならないようにすることが好ましい。これは、正弦波変調モードから図2で説明した矩形波電圧制御へ制御モードが切換えられた際に、制御が不安定になってしまうことを防止するためである。より詳細に説明すると、正弦波変調モードにおいては電流フィードバック制御がなされて電圧位相は制御されないが、矩形波電圧制御においては電圧位相のみが制御される。そのために、正弦波変調モードにおける矩形波制御から矩形波電圧制御へ制御モードが切換わった場合に、同じ矩形波の指令であるが電圧位相が変化して、制御が不安定となってしまうからである。
また、変調率の上限値について、このような矩形波1パルスのPWM信号とならないようにする条件は、図8からわかるように、電圧波形の周期と、その周期内に含まれる搬送波の数に依存する。すなわち、モータジェネレータの回転速度および搬送波のキャリア周波数によって、変調率の上限値ULを緩和可能な範囲が定められる。具体的には、回転速度が相対的に遅い場合あるいはキャリア周波数が高い場合は、電圧指令の一周期に含まれる搬送波の数が相対的に多くなるので、矩形波1パルスのPWM信号になりにくく上限値をより大きく設定することができる。
図9は、本実施の形態において、ECU300で実行されるモード切換制御を説明するための機能ブロック図である。図9で説明される機能ブロック図に記載された各機能ブロックは、ECU300によるハードウェア的あるいはソフトウェア的な処理によって実現される。
図1および図9を参照して、ECU300は、変調率演算部310と、変調率上限設定部320と、緊急切換判定部330と、記憶部340と、モード切換部350と、指令生成部360とを含む。
変調率演算部310は、電圧指令値Vd,Vqおよびシステム電圧VHを受ける。変調率演算部310は、これらの情報を用いて、上述の式(1)を用いて変調率RATを演算し、演算した変調率RATをモード切換部350へ出力する。
変調率上限設定部320は、回転角センサ190から取得されるモータジェネレータ140の回転角θから算出される回転速度MRNと、搬送波のキャリア周波数Fcarと、後述する緊急切換判定部330から出力される緊急切換動作の実施フラグFLGとを受ける。変調率上限設定部320は、緊急切換動作が実行されていない場合には、正弦波変調モードにおける変調率上限値ULを、図7で示されるUL1に設定する。また、緊急切換動作が実行されている場合には、回転速度MRNとキャリア周波数Fcarに基づいて、UL1よりも大きくなるように変調率上限値ULを設定する。そして、変調率上限設定部320は、設定した変調率上限値ULを指令生成部360へ出力する。
緊急切換判定部330は、d−q座標軸におけるモータジェネレータ140に流れる電流値Id,Iq、およびモード切換部350で選択された制御モードMODを受ける。
緊急切換判定部330は、記憶部340に予め記憶された図5のようなマップを用いて、取得した電流値Idに対応する緊急切換しきい値Iq_thを演算する。そして、緊急切換判定部330は、制御モードMODが過変調モードを示している場合に、電流値Iqがしきい値Iq_thを超過したときに緊急切換動作を実行するための実施フラグFLGをオンに設定して、変調率上限設定部320およびモード切換部350へ出力する。
モード切換部350は、変調率演算部310で演算された変調率RAT、および緊急切換判定部330からの実施フラグFLGを受ける。
モード切換部350は、実施フラグFLGにより緊急切換の実行が指示されていない場合は、変調率演算部310からの変調率RATに基づいて、過変調モードおよび正弦波変調モードを切換える。また、緊急切換の実行が指示されている場合は、変調率RATにかかわらず、モード切換部350は、過変調モードから正弦波変調モードへ制御モードを切換える。
そして、モード切換部350は、設定した現在の制御モードMODを緊急切換判定部330および指令生成部360へ出力する。
指令生成部360は、変調率上限設定部320で設定された変調率上限値UL、モード切換部350からの制御モードMOD、トルク指令値TR、モータジェネレータ140の回転速度MRN、およびキャリア周波数Fcarを受ける。
指令生成部360は、変調率上限値ULを超えない範囲内で、回転速度MRNおよび指令トルクTRから電圧指令値を演算する。そして、演算された電圧指令値の波形と、キャリア周波数Fcarの搬送波とを比較することによって、インバータ130へのPWM制御信号PWIを生成する。
図10は、本実施の形態において、ECU300で実行されるモード切換制御処理の詳細を説明するためのフローチャートである。図10および以降に説明する図11に示すフローチャートは、ECU300に予め格納されたプログラムがメインルーチンから呼び出されて、所定周期で実行されることによって処理が実現される。あるいは、一部のステップについては、専用のハードウェア(電子回路)を構築して処理を実現することも可能である。
図1および図10を参照して、ECU300は、ステップ(以下、ステップをSと略す。)100にて、電圧指令値Vq,Vdとシステム電圧VHから定まる変調率RATから、制御モードがPWM制御モード(正弦波変調モード,過変調モード)であるか否かを判定する。
制御モードがPWM制御モードである場合(S100にてYES)は、次にECU300は、S110にて、制御モードが過変調モードであるか否かを判定する。
過変調モードである場合(S110にてYES)は、処理がS120に進められ、ECU300は、電流値Iq,Idを取得する。そして、ECU300は、S130にて取得した電流値Idから緊急切換動作を行なうか否かを示すしきい値Iq_thを演算するとともに、S140にて取得した電流値Iqがしきい値Iq_thを上回っているか否かを判定する。
電流値Iqがしきい値Iq_thを上回っている場合(S140にてYES)は、ECU300は、緊急切換動作が必要であると判断し、S150にて、過変調モードから正弦波変調モードへ制御モードを切換える。
その後、ECU300は、モータジェネレータ140の回転速度MRNおよび搬送波のキャリア周波数Fcarを取得するとともに(S160)、それらを用いて、上限値UL2を演算して、変調率上限値ULにUL2を設定する(S170)。
そして、ECU300は、S180にて、演算した変調率上限値ULを超えない範囲で、回転速度MRNおよび指令トルクTRから電圧指令値を演算するとともに、演算された電圧指令値の波形と、キャリア周波数Fcarの搬送波とを比較することによって、インバータ130への制御信号PWIを生成する。
S140にて、電流値Iqがしきい値Iq_th以下の場合(S140にてNO)は、ECU300は、緊急切換動作は不要であると判断して過変調モードを継続する。そして、ECU300は、S175に処理を進めて、正弦波変調モードの変調率上限値ULにUL1を設定する。その後、ECU300は、S180にて、過変調モードで、インバータ130への制御信号PWIを生成する。
また、S110にて、正弦波変調モードである場合(S110にてNO)は、ECU300は、S175に処理を進めて、変調率上限値ULにUL1を設定し、S180にて、正弦波変調モードでインバータ130への制御信号PWIを生成する。
S100にて、制御モードが矩形波電圧制御モードである場合(S100にてNO)は、処理がS180に進められて、ECU300は、トルク指令値TRに応じた電圧位相を設定して、インバータ130への制御信号PWIを生成する。
なお、図10においては詳細には示されていないが、矩形波電圧制御モードからPWM制御モードへ切換える場合には、電流位相と所定のしきい値との比較に基づいて切換えの要否が判断される。
以上のような処理に従って制御を行なうことによって、過変調モード実行中において、スリップ状態からグリップ状態に変化したような速度急変が生じた場合に、過変調モードから正弦波変調モードへ緊急切換動作を行なって過電圧となることを防止するとともに、変調率上限を緩和することでトルクの急激な低下を抑制することが可能となる。これによって、機器の破損や故障が防止できるとともに、走行中の急激なトルク変動を低減することができる。
また、過変調モードから正弦波変調モードへの緊急切換動作の際の変調率上限値を、正弦波変調モードにおいて矩形波とならない範囲で緩和することで、矩形波電圧制御モードへ切換わったときに電圧位相が不安定になることを防止し、制御安定性を維持することが可能となる。
なお、本実施の形態における「インバータ130」と「ECU300」との組合せが、本発明における「交流電動機の駆動装置」に対応する。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
100 車両、110 蓄電装置、115 SMR、120 コンバータ、130 インバータ、131 U相アーム、132 V相アーム、133 W相アーム、140 モータジェネレータ、150 動力伝達ギヤ、160 駆動輪、170 電圧センサ、180 電流センサ、190 回転角センサ、300 ECU、310 変調率演算部、320 変調率上限設定部、330 緊急切換判定部、340 記憶部、350 モード切換部、360 指令生成部、C1,C2 コンデンサ、D1〜D8 ダイオード、L1 リアクトル、NL1,PL1,PL2 電力線、Q1〜Q8 スイッチング素子。
Claims (9)
- 交流電動機の駆動装置であって、
前記交流電動機の印加電圧を制御するためのインバータと、
前記交流電動機を動作指令に従って動作させるための正弦波状の電圧指令信号と搬送波信号との比較に基づくパルス幅変調制御を用いて、前記インバータを制御するための制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記パルス幅変調制御において、前記搬送波信号の周波数が前記電圧指令信号の周波数の整数倍となるように制御する過変調モードと、前記搬送波信号の周波数を前記電圧指令信号の周波数とは無関係に設定する正弦波変調モードとを含む複数の制御モードを切換えて前記インバータを制御し、
前記制御装置は、前記過変調モードの実行中に、前記交流電動機に流れる電流に基づいて、前記過変調モードから前記正弦波変調モードへ強制的に切換える緊急切換機能を有し、
前記制御装置は、前記緊急切換機能によって前記過変調モードから前記正弦波変調モードへ制御モードを切換える場合に、前記正弦波変調モードにおいて前記電圧指令信号の振幅を制限するための上限値を緩和する、交流電動機の駆動装置。 - 前記制御装置は、前記緊急切換機能によって前記過変調モードから前記正弦波変調モードへ制御モードを切換える場合に、前記搬送波信号の周波数が大きいほど、前記正弦波変調モードにおける前記上限値を大きく設定する、請求項1に記載の交流電動機の駆動装置。
- 前記制御装置は、前記緊急切換機能によって前記過変調モードから前記正弦波変調モードへ制御モードを切換える場合に、前記交流電動機の回転速度が小さいほど、前記正弦波変調モードにおける前記上限値を大きく設定する、請求項1に記載の交流電動機の駆動装置。
- 前記制御装置は、前記緊急切換機能によって前記過変調モードから前記正弦波変調モードへ制御モードを切換える場合に、前記電圧指令信号の一周期の期間に前記インバータへ与えられるパルス幅変調信号が矩形波1パルスとならないように前記上限値を設定する、請求項2または3に記載の交流電動機の駆動装置。
- 前記制御装置は、前記交流電動機に流れる電流のq軸電流が、d軸電流に基づいて定められるq軸電流の所定のしきい値を上回った場合に前記緊急切換機能を実行する、請求項1に記載の交流電動機の駆動装置。
- 前記しきい値は、前記正弦波変調モードにおけるq軸電流指令値よりも大きな値に設定される、請求項5に記載の交流電動機の駆動装置。
- 前記制御装置は、前記インバータへの入力直流電圧と前記交流電動機へ与えられる電圧指令値とによって定められる変調率に基づいて、前記正弦波変調モードから前記過変調モードへの制御モードを切換え、
前記上限値は、前記正弦波変調モードから前記過変調モードへの制御モードの切換えを判定するためのしきい値である、請求項1に記載の交流電動機の駆動装置。 - 交流電動機により発生される駆動力を用いて走行することが可能な車両であって、
前記交流電動機の印加電圧を制御するためのインバータと、
前記交流電動機を動作指令に従って動作させるための正弦波状の電圧指令信号と搬送波信号との比較に基づくパルス幅変調制御を用いて、前記インバータを制御するための制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記パルス幅変調制御において、前記搬送波信号の周波数が前記電圧指令信号の周波数の整数倍となるように制御する過変調モードと、前記搬送波信号の周波数を前記電圧指令信号の周波数とは無関係に設定する正弦波変調モードとを含む複数の制御モードを切換えて前記インバータを制御し、
前記制御装置は、前記過変調モードの実行中に、前記交流電動機に流れる電流に基づいて、前記過変調モードから前記正弦波変調モードへ強制的に切換える緊急切換機能を有し、
前記制御装置は、前記緊急切換機能によって前記過変調モードから前記正弦波変調モードへ制御モードを切換える場合に、前記正弦波変調モードにおいて前記電圧指令信号の振幅を制限するための上限値を緩和する、車両。 - インバータにより印加電圧が制御される交流電動機の制御方法であって、
前記交流電動機を動作指令に従って動作させるための正弦波状の電圧指令信号と搬送波信号との比較に基づくパルス幅変調制御を用いて前記インバータを制御するステップと、
前記パルス幅変調制御において、前記搬送波信号の周波数が前記電圧指令信号の周波数の整数倍となるように制御する過変調モードと、前記搬送波信号の周波数を前記電圧指令信号の周波数とは無関係に設定する正弦波変調モードとを含む複数の制御モードを切換えて前記インバータを制御するステップと、
前記過変調モードの実行中に、前記交流電動機に流れる電流に基づいて、前記過変調モードから前記正弦波変調モードへ強制的に切換える緊急切換機能を実行するステップと、
前記緊急切換機能によって前記過変調モードから前記正弦波変調モードへ制御モードを切換える場合に、前記正弦波変調モードにおいて前記電圧指令信号の振幅を制限するための上限値を緩和するステップとを備える、交流電動機の制御方法。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20141202 |