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JP2013036107A - 靭性に優れたAl−Zn−Mg合金押出材およびその製造方法 - Google Patents

靭性に優れたAl−Zn−Mg合金押出材およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【目的】靭性に優れ、自動二輪車の材料として好適に使用し得るAl−Zn−Mg合金押出材を提供する。
【構成】Zn:7.0〜9.5%、Mg:1.0〜3.0%、Cu:0.5%未満、Zr:0.05〜0.30%を含有し、さらにMn:0.70%以下およびCr:0.50%以下の1種または2種を含有し、残部Alおよび不可避不純物からなるAl−Zn−Mg合金の押出材であって、マトリックスの結晶粒内に20nm以上200nm以下の大きさのMn含有化合物あるいはCr含有化合物が7個/μm以上分散していることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、靭性に優れたAl−Zn−Mg合金押出材およびその製造方法に関する。
自動二輪車は、軽量性が重要であるため、材料としては高強度7000系アルミニウム合金が多用されている。特にモトクロスやエンデューロなどのオフロード系の競技車はジャンプを行うため、素材には強度と共に高い靭性が求められ、ハンドルバーやリムなどには1.0%を超えるCuを添加したAl−Zn−Mg−Cu合金が多用されている。これらの合金は500MPaを超える高い引張強さを有するが、その反面生産性が悪く、コストが高くなるため、生産性に優れた高強度かつ高靭性合金の開発が要望されている。
一般に、Cu含有量が0.5%未満のAl−Zn−Mg合金は、Al−Zn−Mg−Cu合金に比べて押出加工性に優れることが知られており、その代表合金であるJIS A 7N01合金はフレームなどの溶接構造体などに使用されている。しかしながら、その強度はT6調質でも430MPa程度であり、ハンドルバーやリムなどに用いるには強度が十分でないという問題がある。また、一般にはZn量、Mg量が多いほど強度が高くなることが知られているが、靭性が低下するため、強度と靭性の両立が大きな課題となっている。
高強度で耐応力腐食割れ性に優れたハイドロフォーム成形用アルミニウム合金押出材として、Zn:6.0〜9.0%、Mg:0.8〜2.0%、Cu:0.6〜2.0%、Mn:0.1〜0.5%、Cr:0.1〜0.3%、Zr:0.1〜0.3%を含有し、残部Alおよび不可避的不純物からなり、不可避的不純物のうちSiが0.05%以下に制限され、望ましくはMgとCuの合計含有量が3.6%以下の組成を有し、ポートホール押出により押出成形され、表面再結晶層の厚さが70μm以下であるアルミニウム合金押出管が提案されているが、このものにおいては、ポートホール押出は可能であるが、Cu:0.6〜2.0%を含有するため融点が低く押出加工性に劣り、また靭性については何ら考慮されていない(特許文献1)。
圧壊特性に優れるアルミニウム合金押出材として、Mg:0.5〜1.8%、Zn:4.0〜8.0%、Ti:0.005〜0.3%、Cu:0.05〜0.6%を含有し、さらにMn:0.1〜0.7%、Cr:0.03〜0.3%、Zr:0.05〜0.25%のうちの1種または2種以上を含有し、残部Alおよび不可避的不純物からなる組成を有し、繊維状組織をそなえ、JIS5号引張試験片で引張試験を行った場合の破断面の肉厚減少率が20%以上の特性を有するものも提案されているが、このものにおいても、全体的に強度が十分ではなく、引張強さが500MPaを超えるものでは押出性や耐SCC性が劣るという問題点がある(特許文献2)。
特開2010−196089号公報 特開2008−274441号公報
本発明は、生産性に優れ、かつ高強度で高靭性をそなえたAl−Zn−Mg合金押出材を得るために、Al−Zn−Mg合金の組成、合金マトリックスの結晶粒内に分散する化合物の性状と衝撃特性の関係について試験、検討を重ねた結果としてなされたものであり、その目的は、靭性に優れ、自動二輪車の材料として好適に使用し得るAl−Zn−Mg合金押出材およびその製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するための請求項1による靭性に優れたAl−Zn−Mg合金押出材は、Zn:7.0〜9.5%(質量%、以下同じ)、Mg:1.0〜3.0%、Cu:0.5%未満、Zr:0.05〜0.30%を含有し、さらにMn:0.70%以下およびCr:0.50%以下の1種または2種を含有し、残部Alおよび不可避不純物からなるAl−Zn−Mg合金の押出材であって、マトリックスの結晶粒内に20nm以上200nm以下の大きさのMn含有化合物あるいはCr含有化合物が7個/μm以上分散していることを特徴とする。
請求項2による靭性に優れたAl−Zn−Mg合金押出材は、請求項1において、前記アルミニウム合金押出材が、さらにTi:0.15%以下、B:50ppm以下のうちの1種または2種を含有することを特徴とする。
請求項3による靭性に優れたAl−Zn−Mg合金押出材は、請求項1または2において、JIS Z 2202に規定される深さ2mmのUノッチ試験片を用いたシャルピー衝撃値が、(−2.3×[Zn%]−8.1×[Mg%]+42)(J/cm)以上であることを特徴とする。
請求項4による靭性に優れたAl−Zn−Mg合金押出材の製造方法は、請求項1〜3のいずれかに記載のAl−Zn−Mg合金押出材を製造する方法であって、請求項1または2記載の組成を有するAl−Zn−Mg合金を溶解し、凝固過程における溶湯保持温度から640℃の間の平均冷却速度が0.10℃/秒以上になるよう制御してビレットに造塊し、得られたビレットを420℃以上550℃以下の温度で2時間以上50時間以下の時間均質化処理した後、熱間押出および調質処理を行うことを特徴とする。
本発明によれば、マトリックスの結晶粒内に20nm以上200nm以下の大きさのMn含有化合物あるいはCr含有化合物を7個/μm以上分散させることにより、JIS Z 2202に規定される深さ2mmのUノッチ試験片を用いたシャルピー衝撃値が、(−2.3×[Zn%]−8.1×[Mg%]+42)(J/cm)以上となり、靭性に優れたAl−Zn−Mg合金押出材を得ることができる。当該Al−Zn−Mg合金押出材は、自動二輪車の材料として好適に使用することができる。
本発明による靭性に優れたAl−Zn−Mg合金押出材の合金元素の意義および限定理由について説明すると、Znは、Mg原子と結合して強度を向上するよう機能する元素であり、好ましい含有量は7.0〜9.5%の範囲である。下限未満では強度が不十分になり、上限を超えると耐SCC(応力腐食割れ)性が低下する。Znのさらに好ましい含有範囲は7.5〜9.5%、最も好ましい含有範囲は7.5〜9.0%である。
Mgは、Znと結合して強度を向上するよう機能する元素であり、好ましい含有量は1.0〜3.0%の範囲である。下限未満では強度が不十分になり、上限を超えると耐SCC性が低下する。Znのさらに好ましい含有範囲は1.2〜2.7%、最も好ましい含有範囲は1.4〜2.4%である。
Cuは、耐SCC性を向上するよう機能する元素であり、好ましい含有量は0.5%未満の範囲である。Cuを含有しないと耐SCC性が低下する。また、上限を超えて含有されると、押出圧力が著しく上昇して限界押出速度が低下し、また、押詰りが発生し易くなるとともに、押出で割れが発生し易くなる。
Zrは、押出材のミクロ組織を繊維状にすることにより、強度および耐SCC性を向上するよう機能する元素であり、好ましい含有量は0.05〜0.30%の範囲である。下限未満では押出材のミクロ組織が再結晶組織になり、強度と耐SCC性が低下する。上限を超えて含有されると、鋳造時に粗大晶出物を生成し靭性の低下を招く。Zrのさらに好ましい含有範囲は0.10〜0.20%である。
MnおよびCrは、後述する鋳造条件と均質化処理条件との組合せによって、押出材マトリックスの結晶粒内に化合物を生成し、靭性を向上するよう機能する。好ましい含有量は、Mn:0.70%以下、Cr:0.50%以下の範囲である。Mn、Crのうち1種でも含有しない場合、押出材内部の結晶粒内に、20nm以上200nm以下の大きさのMn含有化合物あるいはCr含有化合物が存在しなくなり、靭性が低下する。それぞれ上限を超えて含有されると、鋳造時に粗大晶出物を生成し、靭性の低下を招く。MnおよびCrのさらに好ましい含有範囲は、Mn:0.50%以下、Cr:0.30%以下である。
TiおよびBは鋳造組織を微細化し、アルミニウム合金押出材の製造過程において、鋳造時の割れを抑制するよう機能する。好ましい含有量は、Ti:0.15%以下、B:50ppm以下の範囲である。それぞれ上限を超えて含有されると、粗大な金属間化合物が増加して靭性が低下する。TiおよびBのさらに好ましい含有範囲は、Ti:0.10%以下、B:20ppm以下である。なお、上記のCu:0.5%未満、Mn:0.70%以下、Cr:0.50%以下、Ti:0.15%以下、B:50ppm以下の含有量には0%を含まないことは勿論である。
不可避不純物としてFeおよびSiが含有される。FeおよびSiは、その含有量が多いほど、鋳造時にAl−Fe−Si系晶出物を生成し、最終製品の靭性を低下させるため、極力少ない方が好ましいが、純度の高い地金を使用するとコストが上昇するので、コストと靭性とのバランスを考慮すると、許容されるFeおよびSiの含有量は、Fe:0.4%以下、Si:0.3%以下の範囲である。
本発明による靭性に優れたAl−Zn−Mg合金押出材においては、マトリックスの結晶粒内に20nm以上200nm以下の大きさのMn含有化合物あるいはCr含有化合物が7個/μm以上分散していることが好ましい。Mn含有化合物あるいはCr含有化合物が分散することにより、衝撃変形の際の亀裂伝播が抑制され、靭性が向上する。20nm以上200nm以下の大きさのMn含有化合物あるいはCr含有化合物の数が7個/μm未満の場合には、亀裂伝播を抑制する効果が小さくなり、靭性が低下する。
また、本発明において、靭性はシャルピー衝撃試験により評価されるが、本発明によるAl−Zn−Mg合金押出材は、JIS Z 2202に規定される深さ2mmのUノッチ試験片を用いたシャルピー衝撃値が、(−2.3×[Zn%]−8.1×[Mg%]+42)(J/cm)以上であることが好ましい。この場合、シャルピー衝撃試験の方向は、最も靭性の低い方向で行われる。例えば長方形断面の押出材の場合、試験片の長さ方向が押出材の幅方向に平行になるようにし、さらに衝撃試験の亀裂進展方向が押出材の厚さ方向になるように試験を行うと、シャルピー衝撃値は最も低くなる。シャルピー衝撃値が下限未満の場合には、二輪車部品などに用いた場合に、靭性が不足する場合がある。
本発明による靭性に優れたAl−Zn−Mg合金押出材の製造方法について説明する。
まず、前記の組成を有するAl−Zn−Mg合金を溶解し、凝固過程における溶湯保持温度から640℃の間の平均冷却速度が0.10℃/秒以上になるよう制御してビレットに造塊する。溶湯保持温度から640℃の間の平均冷却速度が下限未満の場合、粗大晶出物が生成することがあり、押出材の靭性の低下を招く。さらに押出材内部の結晶粒内に分散するMn含有化合物あるいはCr含有化合物が7個/μm未満になることがあり、靭性の低下を招く。溶湯保持温度から640℃の間のさらに好ましい平均冷却速度は0.15℃/秒以上、最も好ましい平均冷却速度は0.20℃/秒以上である。
つぎに、得られたビレットを420℃以上550℃以下の温度で2時間以上50時間以下の時間均質化処理した後、熱間押出および調質処理を行う。均質化処理の保持温度または保持時間が下限未満の場合には、押出材内部の結晶粒内に分散するMn含有化合物あるいはCr含有化合物の大きさが20nm未満になり、靭性の低下を招く。保持温度または保持時間が上限を超えると、押出材内部の結晶粒内に分散するMn含有化合物あるいはCr含有化合物の大きさが200nmを超え、靭性の低下を招く。
均質化処理後、熱間押出および調質処理を行う。調質処理とは、用途に合わせてT5、T6、T7などの質別に適宜調質することを言う。調質処理は、基本的には、溶体化処理、焼入れ、人工時効処理により構成される熱処理であり、溶体化処理温度は400℃以上の温度で行うのが好ましく、焼入れは100℃以下までの平均冷却速度を1℃/秒以上として行うのが好ましい。また、押出工程でプレス焼入れを行うことにより、溶体化処理および焼入れを省略することもでき、プレス焼入れも調質処理に含まれる。人工時効処理は、100℃以上170℃以下の温度で行うのが好ましく、保持時間は、それぞれの人工時効処理温度でT5およびT6の場合はピーク強度、T7の場合は過時効になるよう適宜設定される。
以下、本発明の実施例を比較例と対比して説明し、その効果を実証する。なお、これらの実施例は本発明の一実施形態を示すものであり、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
表1に示す組成を有するアルミニウム合金(合金A〜M)を溶解し、半連続鋳造法によりビレット(直径400mm)に造塊した。このとき、鋳造時の溶湯保持温度を700℃とし、鋳造速度を1mm/sとすることにより、ビレット中心部における640℃までの平均冷却速度を0.20℃/秒に制御した。
各ビレットについて、450℃の温度で10時間の均質化処理を行った後、室温まで冷却し、再度400℃の温度まで加熱して、厚さ20mm、幅80mmの断面長方形状に熱間押出を行い、室温まで冷却した。得られた押出材について、450℃の温度で1時間の溶体化処理を行った後、室温の水中に焼入れし、さらに150℃の温度で6時間の人工時効処理を行い、試験材1〜13を得た。
試験材1〜13について、以下に示す条件で結晶粒内の化合物数、シャルピー衝撃値、引張耐力、SCC試験での割れの有無の調査を行った。結果を表2に示す。
結晶粒内の化合物数:試験材の幅および厚さ中央部から厚さ約1mm、幅約5mm、長さ約5mmの試験片を切断、採取し、耐水研磨紙で約40μmの厚さまで研磨を行った後、ツインジェット研磨法により透過電子顕微鏡(TEM)組織観察用試験片を得た。各試験片について、TEMにて20000倍の組織観察を行い、EDXでMn含有化合物あるいはCr含有化合物を確認した後、組織写真をそれぞれ5枚撮影し、結晶粒内の20nm以上200nm以下大きさのMn含有化合物あるいはCr含有化合物の個数を測定し、観察視野面積で除した。
シャルピー衝撃値:JIS Z 2202に準拠した深さ2mmのUノッチを有する厚さ10mm、幅10mm、長さ55mmのシャルピー衝撃試験片を成形し、JIS Z 2242に準拠して、常温でシャルピー衝撃試験を行い、衝撃値を測定した。このとき、シャルピー衝撃試験片の長さ方向(55mm)が押出材の幅方向に平行になり、Uノッチの深さ方向が押出材の厚さ方向に平行になるよう、押出材の中央部からシャルピー衝撃試験片を採取した。
引張耐力:試験材の幅および厚さ中央部から、引張試験方向が押出方向に平行になるように、JIS Z 2201に記載の14A号試験片を作製し、JIS Z 2241に準拠して室温で引張試験を行い、公称ひずみ0.2%における引張耐力を測定した。このとき、引張試験片の平行部の直径は6mmとした。引張耐力500MPa以上を合格の基準とした。
SCC試験での割れの有無:試験材の幅および厚さ中央部から、JIS H 8711の附属書5に記載のCリング試験片を作製した。このとき、外径を19.05mm、厚さを1.50mmとし、Cリング試験片の長さ方向が押出材の長さ方向に平行になり、Cリング試験片のスリットの位置がJIS H 8711付属書5図1の厚板の図と一致する向きでCリング試験片を作製した。それぞれ、引張試験で得られた耐力の90%の引張応力が負荷されるよう、Cリング試験片をネジで締め込み、電食が起こらないよう、Cリング試験片とネジの接触部をビニール樹脂塗料で被覆し、3.5%の塩水交互浸せきによるSCC試験を行った。SCC試験はJIS H 8711に準拠し、30日の試験を行った後、割れの有無を拡大鏡で検査した。
Figure 2013036107
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表2にみられるように、本発明に従う試験材1〜13はいずれも、結晶粒内の化合物数が7個/μm以上、シャルピー衝撃値が(−2.3×[Zn%]−8.1×[Mg%]+42)(J/cm)以上であり、SCC試験においても割れの発生は認められなかった。また、引張耐力は500MPa以上の高い値を示した。
実施例2
表1に示すアルミニウム合金Dを溶解し、半連続鋳造法によりビレット(直径400mm)に造塊した。このとき、鋳造時の溶湯保持温度を700℃とし、鋳造速度およびビレット中心部における640℃までの平均冷却速度を表3に示す条件とした。
各ビレットについて、表3に示す条件で均質化処理を行った後、室温まで冷却し、再度400℃の温度まで加熱して、厚さ20mm、幅80mmの断面長方形状に熱間押出を行い、室温まで冷却した。得られた押出材について、450℃の温度で1時間の溶体化処理を行った後、室温の水中に焼入れし、さらに150℃の温度で6時間の人工時効処理を行い、試験材14〜17を得た。
Figure 2013036107
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試験材14〜17について、実施例1と同一条件で結晶粒内の化合物数、シャルピー衝撃値、引張耐力、SCC試験での割れの有無の調査を行った。結果を表4に示す。
表4にみられるように、試験材14〜17はいずれも、結晶粒内の化合物数が7個/μm以上、シャルピー衝撃値が(−2.3×[Zn%]−8.1×[Mg%]+42)(J/cm)以上であり、SCC試験においても割れの発生は認められなかった。また、引張耐力は500MPa以上の高い値を示した。
比較例1
表5に示す組成を有するアルミニウム合金(合金N〜Y)を溶解し、半連続鋳造法によりビレット(直径400mm)に造塊した。このとき、鋳造時の溶湯保持温度を700℃とし、鋳造速度を1mm/sとすることにより、ビレット中心部における640℃までの平均冷却速度を0.20℃/秒に制御した。なお、表5において、本発明の条件を外れたものには下線を付した。
各ビレットについて、450℃の温度で10時間の均質化処理を行った後、室温まで冷却し、再度400℃の温度まで加熱して、厚さ20mm、幅80mmの断面長方形状に熱間押出を行い、室温まで冷却した。得られた押出材について、450℃の温度で1時間の溶体化処理を行った後、室温の水中に焼入れし、さらに150℃の温度で6時間の人工時効処理を行い、試験材18〜29を得た。
試験材18〜29について、実施例1と同一条件で結晶粒内の化合物数、シャルピー衝撃値、引張耐力、SCC試験での割れの有無の調査を行った。結果を表6に示す。表6において、本発明の条件を外れたものには下線を付した。
Figure 2013036107
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表6にみられるように、試験材18はZn量が下限未満のため強度が低かった。試験材19はZn量が上限を超えたためSCC試験で割れが発生した。試験材20はMg量が下限未満のため強度が低かった。試験材21はMg量が上限を超えたためSCC試験で割れが発生した。試験材22はCuを添加しなかったためSCC試験で割れが発生した。試験材23はCu量が上限を超えたため押出加工で割れが発生し、試験片が作製できなかった。
試験材24はZr量が下限未満のため押出材が再結晶組織になり、強度が低く、SCC試験で割れが発生した。試験材25はZr量が上限を超えたため粗大晶出物が生成し、靭性が低下した。試験材26はMn、Crをどちらも含有しなかったため結晶粒内の化合物数が下限未満になり、靭性が低下した。試験材27はMn量が上限を超え、試験材28はCr量が上限を超え、試験材29はTiおよびB量が上限を超えたため、いずれも粗大晶出物が生成し、靭性が低下した。
比較例2
表1に示すアルミニウム合金Dを溶解し、半連続鋳造法によりビレット(直径400mm)に造塊した。このとき、鋳造時の溶湯保持温度を700℃とし、鋳造速度およびビレット中心部における640℃までの平均冷却速度を表7に示す条件とした。
各ビレットについて、表7に示す条件で均質化処理を行った後、室温まで冷却し、再度400℃の温度まで加熱して、厚さ20mm、幅80mmの断面長方形状に熱間押出を行い、室温まで冷却した。得られた押出材について、450℃の温度で1時間の溶体化処理を行った後、室温の水中に焼入れし、さらに150℃の温度で6時間の人工時効処理を行い、試験材30〜34を得た。なお、表7において、本発明の条件を外れたものには下線を付した。
試験材30〜34について、実施例1と同一条件で結晶粒内の化合物数、シャルピー衝撃値、引張耐力、SCC試験での割れの有無の調査を行った。結果を表8に示す。表8において、本発明の条件を外れたものには下線を付した。
Figure 2013036107
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表8に示すように、試験材30は溶湯保持温度から640℃の間の平均冷却速度が下限未満のため粗大晶出物が生成し、結晶粒内の化合物数が下限未満になり、靭性が低かった。試験材31は均質化処理温度が下限未満のため、試験材32は均質化処理温度が上限を超えたため、試験材33は均質化処理時間が下限未満のため、試験材34は均質化処理時間が上限を超えたため、いずれも結晶粒内の20nm以上、200nm以下の大きさのMnあるいはCrを含有する化合物数が下限未満になり、靭性が低下した。

Claims (4)

  1. Zn:7.0〜9.5%(質量%、以下同じ)、Mg:1.0〜3.0%、Cu:0.5%未満、Zr:0.05〜0.30%を含有し、さらにMn:0.70%以下およびCr:0.50%以下の1種または2種を含有し、残部Alおよび不可避不純物からなるAl−Zn−Mg合金の押出材であって、マトリックスの結晶粒内に20nm以上200nm以下の大きさのMn含有化合物あるいはCr含有化合物が7個/μm以上分散していることを特徴とする靭性に優れたAl−Zn−Mg合金押出材。
  2. 前記アルミニウム合金押出材が、さらにTi:0.15%以下、B:50ppm以下のうちの1種または2種を含有することを特徴とする請求項1記載の靭性に優れたAl−Zn−Mg合金押出材。
  3. JIS Z 2202に規定される深さ2mmのUノッチ試験片を用いたシャルピー衝撃値が、(−2.3×[Zn%]−8.1×[Mg%]+42)(J/cm)以上であることを特徴とする請求項1または2記載の靭性に優れたAl−Zn−Mg合金押出材。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のAl−Zn−Mg合金押出材を製造する方法であって、請求項1または2記載の組成を有するAl−Zn−Mg合金を溶解し、凝固過程における溶湯保持温度から640℃の間の平均冷却速度が0.10℃/秒以上になるよう制御してビレットに造塊し、得られたビレットを420℃以上550℃以下の温度で2時間以上50時間以下の時間均質化処理した後、熱間押出および調質処理を行うことを特徴とする靭性に優れたAl−Zn−Mg合金押出材の製造方法。
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