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JP2012524083A - アジュバント癌治療 - Google Patents

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JP2012524083A JP2012506004A JP2012506004A JP2012524083A JP 2012524083 A JP2012524083 A JP 2012524083A JP 2012506004 A JP2012506004 A JP 2012506004A JP 2012506004 A JP2012506004 A JP 2012506004A JP 2012524083 A JP2012524083 A JP 2012524083A
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ロバート ディー. マス,
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ジェネンテック, インコーポレイテッド
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Abstract

ここに開示されるものは、アジュバント癌療法において用いられる抗VEGF抗体を含んでなる方法及び組成物である。

Description

(関連出願)
この出願は、各々の内容が出典明示によりここに援用される2009年4月20日出願の米国仮出願第61/171008;2009年4月21日出願の米国仮出願第61/171318;及び2009年5月26日出願の米国仮出願第61/181195の優先権を主張する。
(発明の分野)
本発明は、一般にヒトの疾病及病態の治療に関する。より具体的には、本発明は、アジュバント癌治療における抗血管新生剤の使用に関する。
癌は、ヒトの健康に対する最も致命的な脅威の一つである。米国だけで、毎年約130万人もの新しい患者が癌に罹患しており、循環器疾患に次いで第2番目の死因であり、ほぼ、4人に1人の死亡を占める。固形腫瘍がその死亡のほとんどの原因である。ある種の癌の医療治療には顕著な進歩があったが、全ての癌に対する全体的な5年生存率は、過去20年間で約10%改善されたにすぎない。癌、又は悪性腫瘍は、制御できない形で転移し急速に増殖し、適時な検出及び治療は極めて困難にする。
癌治療の現行手法の大半は、比較的に非選択的でありまた一般的に癌がより悪性の状態に進行した後に腫瘍を標的とする。外科手術は患部組織を取り除き、放射線治療は固形腫瘍を収縮させ;化学治療は急速に分裂する細胞を殺す。化学治療は特に数多くの副作用を生じさせ、場合によっては可能な投薬を制限する程重症となり潜在的に有効である薬剤の使用を妨げる。さらに、癌はしばしば化学治療剤への耐性を生じさせる。
手術可能な癌であると新たに診断された殆どの患者にとって、標準治療は根治手術とその後の化学治療である。このような治療は、再発を防ぎ及び生存期間を改善するために、可能な限りの原疾患及び転移性疾患を取り除くことを目的とする。実際、これらの患者の殆どは手術後に残存腫瘍の巨視的証拠を持たない。しかしながら、彼らの多くは後に再発させ、そして最終的には病死しうる。これは、例えば少量の生腫瘍細胞が手術前に転移性となり、手術を逃れ、そして現在の検出技術の限界により術後に未検出となるなどして起こる。
従って、これらの残存微少転移性癌細胞が再生息し難治性となる前に該癌細胞を取除くために、術後アジュバント治療が手術の補助手段として重要になる。過去数十年にわたって、アジュバント療法における進歩が、様々な化学療法剤の使用において一般的に増加し中心となってきた。肺、乳房、及び結腸直腸癌等の主要な癌の早期兆候を伴う患者のアジュバント的治療において、多くの化学療法投薬計画が臨床的有効性を見せてきた。Strauss等 J Clin Oncol 22:7019 (2004); International Adjuvant Lung Cancer Trial Collaboration Group N Engl J Med 350:351-60 (2004). Moertel等 Ann Intern Med 122:321-6 (1995); IMPACT Lancet 345:939-44 (1995); Citron等 J Clin Oncol 21:1431-9 (2003)。
化学療法をベースとしたアジュバント療法の実証された有効性にもかかわらず、何れの種の化学療法に伴う一つの主要な制限が著しい毒性である。一般的に化学療法剤は腫瘍部位を標的とされておらず、正常細胞と腫瘍細胞を区別することが不可能である。長期にわたる治療及び患者の生活の質への継続する影響のため、アジュバント療法における毒性の問題は特に課題となっている。さらに、再発の危険性が低い患者においてはアジュバント化学療法の有効性は不明であり、彼らが化学療法の副作用を被る価値があるか疑問となる。
血管新生は、細胞性事象の重要な一環であって、血管内皮細胞が増殖し、その不要部を切り詰め、再組織化して既存の血管網から新生の血管が生成される。血管分布の発達は、正常及び病理学的な増殖過程に必須であるとの有力な証拠がある。酸素及び栄養分を届け、また異化産物を除去することは、多細胞生物で起こる増殖過程の大部分での律速段階となる。
新血管の誘導は腫瘍血管新生の主要な態様であると考えられるところ、最近のデータは、ある種の腫瘍が既存の宿主血管を同時選択することによって増殖しうることを示している。ついで、同時選択された脈管構造が退行し、腫瘍縁部における低酸素誘導血管新生によって結局は逆転される腫瘍退行に至る。
正常及び異常血管新生双方の重要な正の調節因子の一つは、血管内皮増殖因子(VEGF)−Aである。(VEGF)−AはVEGF−B、VEGF−C、VEGF−D、VEGF−E、VEGF−F、及びPlGFを含む遺伝子ファミリーに属する。VEGF−Aは主に、二つの高親和性レセプターチロシンキナーゼであるVEGFR−1(Flt−1)及びVEGFR−2(Flk−1/KDR)に結合し、後者はVEGF−Aの血管内皮細胞分裂促進シグナルの主要な伝達物質である。更に、ニューロピリン1が、ヘパリン結合性VEGF−Aのアイソフォームのレセプターとして同定されており、血管発生に関与すると考えられる。
血管新生因子であることに加えて、VEGFは、多面的増殖因子として、例えば内皮細胞の生存及び増殖、血管透過性及び血管拡張、単球化学走性、及びカルシウム流入等のその他の生理学的プロセスにおいて複数の生物学的効果を示す。さらに、他の研究が、網膜色素上皮細胞、膵管細胞、及びシュワン細胞などのいくつかの非内皮細胞型におけるVEGFの分裂促進作用を報告している。
病態におけるVEGFの血管新生の主要調節因子としての認識は、病理学的血管新生を伴う状態においてVEGF活性化を遮断する数多くの試みへと導いた。
大半の悪性腫瘍でVEGFの発現は上方制御され、またVEGFの過剰発現は多くの固形腫瘍でより進行したステージ又はより不良な予後と相関する。従って、VEGFシグナル伝達経路を阻害する分子が、血管新生が指摘された比較的進行した固形腫瘍の治療のために使用されてきた。
癌は未だ最も致死的な疾病の一つであるため、アジュバント療法等の追加治療が望まれる。本発明はこれら及び他のニーズを取り上げ、以下の開示の考察により明瞭となるだろう。
化学療法との併用でのVEGF特異性アンタゴニストの使用は、例えば転移性結腸直腸癌、非小細胞肺癌、乳癌などの癌を有する患者において有用であることが示されているが、アジュバント療法における抗VEGF抗体の使用についてはあまり知られていない。本発明は、非転移性の結腸直腸癌を有する被験者における、AVASTIN(登録商標)のアジュバント使用の臨床研究で得られた結果に関係する。
これに伴い、本発明は、癌患者に、有効量のVEGF特異性アンタゴニスト、例えば抗VEGF抗体を一年以上投与することを含んでなるアジュバント療法の方法を取り上げる。幾つかの実施態様では、アジュバント療法の方法は、患者の無病生存率(DSF)又は全生存率(OS)を延長する。幾つかの実施態様では、例えば治療の開始から約2から5年後に分析される等してDFS又はOSが評価される。また、癌患者に有効量のVEGF特異性アンタゴニストを投与することを含んでなるアジュバント療法の方法であって、VEGF特異性アンタゴニストを用いた積極的治療の間癌の進行は防止又は遅延され、積極的治療が一年以上続く方法も提供される。幾つかの実施態様では、VEGF特異性アンタゴニストを用いた積極的治療を停止した後、癌の進行は約3ヶ月から6ヶ月防止又は遅延される。本発明は、癌患者にVEGF特異性アンタゴニストの有効量を投与することを含んでなるアジュバント療法の方法であって、VEGF特異性アンタゴニストを用いた積極的治療の間癌の再発は防止又は遅延され、またVEGF特異性アンタゴニストを用いた積極的治療が一年以上続く方法を更に提供する。幾つかの実施態様では、VEGF特異性アンタゴニストを用いた積極的治療が停止した後、約3、4、5、又は6ヶ月癌の再発は防止又は遅延される。ある実施態様では、患者は、根治手術後にVEGF特異性アンタゴニストが投与される。ある実施態様では、抗VEGF抗体の投与を含んでなるアジュバント療法が、治療の開始から少なくとも2年間、少なくとも3年間、少なくとも4年間、少なくとも5年間、少なくとも10年間、又はそれ以上継続される。
本発明は、癌のための根治手術を受けた患者に、患者のDFS又はOSを延長するために有効量のVEGF特異性アンタゴニストを投与することを含んでなるアジュバント療法の方法であって、VEGF特異性アンタゴニストは1年以上投与される方法を提供する。幾つかの実施態様では、DFS又はOSは治療の開始から約2から5年後に評価される。また、例えば原発腫瘍などの癌の根治手術を受けた患者に有効量のVEGF特異性アンタゴニストを投与することを含んでなるアジュバント療法の方法であって、VEGF特異性アンタゴニストを用いた積極的治療の間癌の進行は防止又は遅延され、積極的治療は1年以上継続される方法が提供される。幾つかの実施態様では、癌の進行は、VEGF特異性アンタゴニストを用いた積極的治療が停止した後、約3、4、5、又は6ヶ月防止又は遅延される。本発明は、例えば原発腫瘍などの癌の根治手術を受けた患者に有効量のVEGF特異性アンタゴニストを投与することを含んでなるアジュバント療法の方法であって、VEGF特異性アンタゴニストを用いた積極的治療の間癌の再発が防止又は遅延され、VEGF特異性アンタゴニストを用いた積極的治療は1年以上継続される方法を更に提供する。幾つかの実施態様では、癌の再発は、VEGF特異性アンタゴニストを用いた積極的治療が停止した後、約3、4、5、又は6ヶ月防止又は遅延される。ある実施態様では、抗VEGF抗体を投与することを含んでなるアジュバント療法は、治療開始から少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、少なくとも5年、少なくとも10年、又はそれ以上続けられる。
本発明は、患者のDFS又はOSを延長するために有効量のVEGF特異性アンタゴニストを癌患者に投与することを含んでなる、例えば原発腫瘍等の癌の根治手術を受けた患者を治療する方法であって、VEGF特異性アンタゴニストは1年以上投与される方法を更に提供する。幾つかの実施態様では、DFS又はOSが、治療開始の約2から約5年後に分析される等して評価される。また、有効量のVEGF特異性アンタゴニストを含んでなるアジュバント療法を患者に実施することを含んでなる、例えば原発腫瘍等の癌の根治手術を受けた患者を治療する方法であって、癌の進行が、VEGF特異性アンタゴニストを用いた積極的治療の間防止又は遅延され、積極的治療が1年以上継続される方法が提供される。幾つかの実施態様では、癌の進行は、VEGF特異性アンタゴニストを用いた積極的治療の停止後約3、4、5、又は6ヶ月防止又は遅延される。本発明は更に、有効量のVEGF特異性アンタゴニストを含んでなるアジュバント療法を患者に実施することを含んでなる、例えば原発腫瘍等の癌の根治手術を受けた患者を治療する方法であって、癌の再発が、VEGF特異性アンタゴニストを用いた積極的治療の間防止又は遅延され、積極的治療が1年以上継続される方法が提供される。幾つかの実施態様では、癌の再発は、VEGF特異性アンタゴニストを用いた積極的治療の停止後約3、4、5、又は6ヶ月防止又は遅延される。ある実施態様では、該方法は、治療の開始から少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、少なくとも5年、少なくとも10年、又はそれ以上抗VEGF抗体を投与することを含む。
本発明は、例えば抗VEGF抗体等のVEGF特異性アンタゴニストの有効量を1年以上患者に投与することを含んでなる、患者の癌再発を防止又は遅延する方法であって、抗VEGF抗体等のVEGF特異性アンタゴニストの該投与が癌再発を防止する方法を提供もする。本発明は、例えば抗VEGF抗体等のVEGF特異性アンタゴニストの有効量を一年以上患者に投与することを含んでなる、患者の癌再発の可能性を減少する方法であって、抗VEGF抗体などのVEGF特異性アンタゴニストの該投与が癌再発の可能性を減少させる方法を更に提供する。
本発明の何れの方法の幾つかの実施態様では、VEGF特異性アンタゴニストの該投与は臨床的に検知可能な腫瘍又はそれの転移の発生の可能性を防止または減少させる。
本発明の各方法では、例えば抗VEGF抗体等のVEGF特異性アンタゴニストの投与は、治療開始後少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、少なくとも5年、少なくとも10年、又はそれ以上続けられる。
幾つかの実施態様では、例えば抗VEGF抗体等のVEGF特異性アンタゴニストの投与は死亡まで続けられる。本発明の各方法では、抗VEGF抗体は、下記のように、例えばVEGFレセプター分子又はキメラ化VEGFレセプター分子等のVEGF特異性アンタゴニストと置換されてもよい。抗VEGF抗体は、モノクローナル抗体、キメラ化抗体、完全ヒト抗体、又はヒト化抗体でもよい。本発明の方法において有用である例示的な抗体は、ベバシズマブ(AVASTINR(登録商標))、G6−31、B20−4.1、及びその断片を含む。幾つかの実施態様では、抗VEGF抗体は、以下のアミノ酸配列を含んでなる重鎖可変領域:
EVQLVESGGG LVQPGGSLRL SCAASGYTFT NYGMNWVRQA PGKGLEWVGWINTYTGEPTY AADFKRRFTF SLDTSKSTAY LQMNSLRAED TAVYYCAKYPHYYGSSHWYF DVWGQGTLVT VSS(配列番号:1)
及び以下のアミノ酸配列を含んでなる軽鎖可変領域:
DIQMTQSPSS LSASVGDRVT ITCSASQDIS NYLNWYQQKP GKAPKVLIYF
TSSLHSGVPS RFSGSGSGTD FTLTISSLQP EDFATYYCQQ YSTVPWTFGQ
GTKVEIKR(配列番号:2)
を含む。
本発明の方法のある実施態様では、抗VEGF抗体はベバシズマブである。
本発明の各方法は、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病を含む癌の治療に関係して実施されてもよいがこれに限らない。このような癌の更なる具体例は、 扁平上皮癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、腹膜の癌、肝細胞癌、胃腸癌、膵臓癌、神経膠芽腫、子宮頚癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝細胞腫、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜又は子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌(kidney cancer)、肝臓癌(liver cancer)、前立腺癌、腎細胞癌(renal cancer)、外陰癌、甲状腺癌、精巣癌、肝細胞癌(hepatic carcinoma)、胃癌、メラノーマ、及び様々な種類の頭頸部癌が含まれる。本発明の方法の幾つかの実施態様では、被験体は非転移性結腸直腸癌を持つ。本発明の方法の幾つかの実施態様では、被験者は転移性結腸直腸癌を持つ。幾つかの実施態様では、被験体は結腸癌の切除ステージII又はステージIIIを持つ。
被験者が根治手術を受ける実施態様では、被験者が手術から回復する一定期間後に、例えば抗VEGF抗体等のVEGF特異性アンタゴニストが一般的に投与される。この期間は、創傷治癒又は外科的切開の治癒に必要な期間、創傷離開の危険性を低減するのに必要な期間、又は被験者が手術前の健康のレベルと本質的に同程度又はそれ以上のレベルに回復するのに必要な期間を含む。根治手術の完了と抗VEGF抗体の初回投与との間の期間は休薬に必要な期間を含んでもよく、被験者は治療レジメン間の一定期間を必要又は要求する。一般的に、根治手術の完了と抗VEGF抗体治療開始との間の期間は、1週未満、1週、2週、3週、4週(28日)、5週、6週、7週、8週、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、1年、2年、3年、又はそれ以上を含んでもよい。一実施態様では、根治手術と抗VEGF抗体投与との間の期間は2週より大きく及び1年未満である。一実施態様では、根治手術と抗VEGF抗体投与の間の期間は少なくとも28日である。
各上記態様は、癌の再発に対する被験者のモニタリングを更に含んでもよい。モニタリングは、例えば無病生存率(DFS)又は全生存率(OS)を評価することによって成されてもよい。一実施態様では、DFS又はOSは治療開始の約2から5年後に評価される。一実施態様では、被験者は治療後少なくとも1から5年間無病である。
疾病のタイプ及び重症度によるが、例えばベバシズマブ等の抗VEGF抗体の好ましい投薬量がここに記載され、約1μg/kgから約50mg/kg、最も好ましくは約5mg/kgから約15mg/kgの範囲が可能であり、5mg/kg、7.5mg/kg、又は10mg/kgに限らないがこれを含む。投与の頻度は疾病のタイプ及び重症度に依存して様々であろう。数日間又はそれ以上にわたる反復投与では、状態によるが、治療は所望の治療効果が得られるまで持続され、ここに記載される又は当該技術で周知の方法によって測定される。一実施態様では、本発明の抗VEGF抗体は、週に一度、二週毎、又は三週毎に、約5mg/kgから約15mg/kgの範囲の用量で投与され、5mg/kg、7.5mg/kg、又は10mg/kgに限らないがこれを含む。しかしながら、他の投薬レジメンが有用であり得る。本発明の治療の進行は従来の技術及びアッセイで容易にモニターされる。
上記の態様の各々の更なる実施態様では、例えば抗VEGF抗体等のVEGF特異性アンタゴニストが局所的に又は全身に(例えば、経口で又は静脈内に)投与される。幾つかの実施態様では、抗VEGF抗体を用いる治療は、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年、11年、及び12年からなる群から選択された期間、患者が無癌となるまで延長される。
他の実施態様では、VEGF特異性アンタゴニストを用いた治療は、単独治療、又はVEGF特異性アンタゴニスト治療の期間中単独治療であり、臨床医によって又はここに記載される方法で査定される。
他の実施態様では、VEGF特異性アンタゴニストを用いた治療は更なる抗癌治療と組み合わせられ、手術、放射線療法、化学療法、分化誘導療法、生物療法、免疫療法、血管新生阻害剤、及び抗増殖性化合物を含むがこれに限らない。また、VEGF特異性アンタゴニストを用いた治療は、上記のタイプの治療レジメンの任意の組合せを含んでもよい。更に、細胞障害性剤、抗血管新生剤及び抗増殖性剤が、VEGF特異性アンタゴニストと組み合わせて使用されてもよい。一実施態様では、抗癌治療は化学療法である。例えば、化学療法剤は、アルキル化剤、代謝拮抗物質、葉酸類似体、ピリミジン類似体、プリン類似体及び関連阻害剤、ビンカアルカロイド、エピポドフィロトキシン、抗生物質、L-アスパラギナーゼ、トポイソメラーゼ阻害剤、インターフェロン、白金配位錯体、アントラセンジオン置換尿素、メチルヒドラジン誘導体、副腎皮質抑制薬、副腎皮質ステロイド、プロゲスチン、エストロゲン、抗エストロゲン、アンドロゲン、抗アンドロゲン、生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン類似体等からなる群から選択される。幾つかの態様では、化学療法剤及びVEGF特異性アンタゴニストが併用投与される。
追加の抗癌療法を含む実施態様では、被験者はVEGF特異性アンタゴニストの投与の前、間(例えば、同時に)、後に追加の抗癌治療でさらに治療されうる。一実施態様では、抗癌療法は、オキサリプラチン、5−フルオロウラシル、ロイコボリン、又はその組合わせを含む化学療法である。一実施態様では、投与されるVEGF特異性アンタゴニストは、単独で又は抗癌療法を伴って投与され、維持療法として投与され得る。
本発明の方法は、例えば原発性腫瘍の除去後に存続する休眠腫瘍等の腫瘍の再発又は腫瘍の再増殖を防止、又は微少転移の発生又は増殖を防止する場合にも有効である。
本発明の上記各態様の更なる実施態様では、VEGF特異性アンタゴニストは、一定量又は一定時間(例えば、期間にわたる特定の治療レジメン)で、結腸直腸癌を治療するために根治手術を受けた被験者の生存を増加又は延長する(例えば、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、又はそれ以上の割合)ために投与される。一例では、生存率は被験者のDFS又はOSで測定され、DFS又はOSは、VEGF特異性アンタゴニストを用いたアジュバント治療の開始から約2から5年後に評価される。幾つかの更なる実施態様では、VEGF特異性アンタゴニストは、被験者の癌の再発又は癌の進行の可能性を防止又は減少させるために使用される。
本発明の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明、図面、及び請求項から明らかになるだろう。
図1はC−08試験のための治療レジメンを図示する。アームA:修飾FOLFOX6(1日目にオキサリプラチン(85mg/m)とロイコボリン(400mg/m)及び5−FU(400mg/mIVボーラス)との併用、及び1日目及び2日目に46時間にわたって5−FU(2400mg/m))を14日毎に12サイクル(6ヶ月);アームB:修飾FOLFOX6を14日毎に12サイクルに加えて各化学療法サイクルの一日目オキサプラチンの前に投与されるベバシズマブ(5mg/kgIV)を14日毎に1年を投与。 図2は、NSABP C−08試験の研究デザインを図示する。グループ1:修飾FOLFOX6(1日目にオキサリプラチン(85mg/m)とロイコボリン(400mg/m)及び5−FU(400mg/mIVボーラス)との併用、及び1日目及び2日目に46時間にわたって5−FU(2400mg/m))を14日毎に12サイクル(6ヶ月);グループ2:修飾FOLFOX6を14日毎に12サイクルに加えて各化学療法サイクルの一日目オキサプラチンの前に投与されるベバシズマブ(5mg/kgIV)を14日毎に1年を投与。
(詳細な説明)
I.定義
「VEGF」又は「VEGF-A」なる用語は、Leung等 Science, 246:1306(1989)、及びHouck等 Mol. Endocrin., 5:1806(1991)によって記載されているように、165アミノ酸のヒト血管内皮増殖因子と、関連した121、145、189、及び206アミノ酸のヒト血管内皮増殖因子、並びにそれらの天然に生じる対立遺伝子型及びプロセシング型を意味する。VEGF−Aは、VEGF−B、VEGF−C、VEGF−D、VEGF−E、VEGF−F、及びPlGFを含む遺伝子ファミリーに属する。VEGF−Aは主に、二の高親和性レセプターチロシンキナーゼ、VEGFR−1(Flt−1)及びVEGFR−2(Flk−1/KDR)に結合し、後者はVEGF−Aの血管内皮細胞分裂促進シグナルの主要な伝達物質である。さらに、ニューロピリン1が、ヘパリン結合性VEGF−Aのアイソフォームのレセプターとして同定されており、血管発生に関与すると考えられる。「VEGF」及び「VEGF-A」なる用語は、マウス、ラット又は霊長類等の非ヒト種由来のVEGFも意味する。特定の種由来のVEGFは、ヒトVEGFはhVEGF、マウスVEGFはmVEGFなどの用語で表されることがある。「VEGF」なる用語は、165アミノ酸のヒト血管内皮増殖因子のアミノ酸8〜109又は1〜109を含んでなるポリペプチドの切断型又は断片を意味するためにも使用される。このようなVEGF型のいずれへの言及は、本願では、例えば「VEGF(8−109)」、「VEGF(1−109)」、又は「VEGF165」によって識別される。「切断された」天然VEGFのアミノ酸位置は、天然VEGF配列に示されるように番号付けされる。例えば、切断型天然VEGFでのアミノ酸位置17(メチオニン)は、天然のVEGF中での位置17(メチオニン)でもある。切断型天然VEGFは、天然VEGFに匹敵する、KDR及びFlt−1レセプターへの結合親和性を有する。
「抗VEGF抗体」は十分な親和性と特異性をもってVEGFに結合する抗体である。選択される抗体は通常はVEGFに対して結合親和性を有しており、例えば抗体は100nM−1pMの間のKd値でhVEGFに結合しうる。抗体親和性は、表面プラズモン共鳴ベースアッセイ(例えばPCT出願公開番号WO2005/012359に記載されたようなBIAcoreアッセイなど);酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA);及び競合アッセイ(例えばRIAのもの)によって決定されうる。ある実施態様では、本発明の抗VEGF抗体は、VEGF活性が関与する疾患又は症状を標的とし、それを妨害する際の治療剤として使用することができる。また、例えば治療剤としてのその有効性を評価するために、抗体に他の生物学的な活性アッセイを施してもよい。このようなアッセイは当該分野で知られており、標的抗原と抗体の意図される用途に依存する。例として、HUVEC阻害アッセイ;腫瘍細胞増殖阻害アッセイ(例えば国際公開第89/06692号に記載のもの);抗体依存性細胞障害性(ADCC)及び補体媒介性細胞障害性(CDC)アッセイ(米国特許第5500362号);及びアゴニスト活性又は造血アッセイ(国際公開第95/27062号を参照)などがある。抗VEGF抗体は、通常は、VEGF-B、VEGF-Cなどの他のVEGFホモログにも、PlGF、PDGF又はbFGFなどの他の増殖因子にも結合しないであろう。
「VEGFアンタゴニスト」は、一又は複数のVEGFレセプターへの結合を含む、VEGF活性を中和、遮断、阻害、抑止、低減、又は干渉することができる分子を意味する。VEGFアンタゴニストは、抗VEGF抗体及びその抗原結合性断片、VEGFに特異的に結合しこれによりVEGFの一又は複数のレセプターへの結合を差し押さえるレセプター分子及び誘導体、VEGFRチロシンキナーゼの小分子阻害剤等の抗VEGFレセプター抗体及びVEGFレセプターアンタゴニストを含む。
「天然配列」ポリペプチドは、天然由来のポリペプチドと同じアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。よって、天然配列ポリペプチドは任意の哺乳動物からの自然に生じるポリペプチドのアミノ酸配列を有することができる。このような天然配列ポリペプチドは天然から単離することができ、又は組換え又は合成手段によって生産されうる。よって、「天然配列」ポリペプチドなる用語は、特に、ポリペプチドの自然に生じる切断又は分泌形態(例えば、細胞外ドメイン配列)、自然に生じた変異型(例えば、選択的スプライシング型)、及びポリペプチドの天然に生じる対立遺伝子変異体を包含する。
ポリペプチド「変異体」は、天然配列ポリペプチドと少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性を有する、生物学的に活性なポリペプチドを意味する。このような変異体には、例えば一又は複数のアミノ酸がポリペプチドのN末端又はC末端で付加又は欠失されたポリペプチドが含まれる。通常は、変異体は、天然配列ポリペプチドと、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性、及び更に好ましくは少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性を有するであろう。
「抗体」なる用語は、最も広義に使用され、モノクローナル抗体(完全長又はインタクトのモノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多価抗体、多重特異性抗体(例えば二重特異性抗体)、及びそれらが所望の生物活性を示す限り抗体断片(以下を参照)も含む。
本明細書及び請求項を通して、免疫グロブリン重鎖における残基の番号付けは、出典明示によりここに明示的に援用される、Kabat等, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5版 Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1991)のEUインデックスである。「KabatのEUインデックス」はヒトIgG1 EU抗体の残基番号付けを意味する。
本発明の「Kd」又は「Kd値」は、段階的な力価の非標識VEGFの存在下で、最小濃度の(125I)-標識Fab(109)にてFabを均衡化して、抗Fab抗体コートプレートにて結合したVEGFを捕獲することによってVEGFに対するFabの溶液結合親和性を測定するアッセイで示されるような(Chen等, (1999) J. Mol Biol 293:865-881)、抗体およびVEGF分子のFab型(バージョン)を用いて実行される放射性標識したVEGF結合アッセイ(RIA)で測定される好ましい一実施態様のものである。アッセイの条件を決めるために、ミクロタイタープレート(Dynex)を5μg/mlの捕獲抗Fab抗体(Cappel Labs)を含む50mM炭酸ナトリウム(pH9.6)にて一晩コートして、その後2%の(w/v)ウシ血清アルブミンを含むPBSにて室温で2〜5時間(およそ23℃)、ブロックする。非吸着プレート(Nunc#269620)に、100pM又は26pMの[125I]VEGF(109)を段階希釈した所望のFab、例えばFab−12と混合する(Presta等, (1997) Cancer Res. 57:4593-4599))。ついで対象のFabを一晩インキュベートする;しかし、インキュベーションは確実に平衡状態に達するまでに65時間かかるかもしれない。その後、混合物を捕獲プレートに移し、室温で1時間インキュベートする。そして、溶液を取り除き、プレートを0.1%のTween20を含むPBSにて8回洗浄する。プレートが乾燥したら、150μl/ウェルの閃光物質(MicroScint-20;Packard)を加え、プレートをTopcountγ計測器(Packard)にて10分間計測する。最大結合の20%か又はそれ以下濃度のFabをそれぞれ競合結合測定に選択する。他の実施態様によると、〜100反応単位(RU)の固定したhVEGF(8−109) CM5チップを用いて25℃のBIAcoreTM2000又はBIAcoreTM-3000(BIAcore, Inc., Piscataway, NJ)にて表面プラズモン共鳴アッセイを行ってKd又はKd値を測定する。簡単に言うと、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5, BIAcore Inc.)を、提供者の指示書に従ってN-エチル-N'-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩(EDC)及びN-ヒドロキシスクシニミド(NHS)で活性化した。ヒトVEGFを10mM 酢酸ナトリウム(pH4.8)で5μg/ml(〜0.2μM)に希釈し、結合したタンパク質の反応単位(RU)がおよそ10になるように5μl/分の流速で注入した。ヒトVEGFの注入後、反応しない群をブロックするために1Mのエタノールアミンを注入した。動力学的な測定のために、2倍の段階希釈したFab(0.78nMから500nM)を25℃、およそ25μl/分の流速で0.05%Tween20(PBST)を含むPBSに注入した。会合及び解離のセンサーグラムを同時にフィットさせることによる単純一対一ラングミュア結合モデル(simple one-to-one Langmuir binding model) (BIAcore Evaluationソフトウェアバージョン3.2)を用いて、会合速度(Kon)と解離速度(Koff)を算出した。平衡解離定数(Kd)をKoff/Kon比として算出した。例として、Chen, Y.,ら, (1999) J. Mol Biol 293:865-881を参照。上記の表面プラスモン共鳴アッセイによる結合速度が10−1−1を上回る場合、分光計、例えば、流動停止を備えた分光光度計(stop-flow equipped spectrophometer)(Aviv Instruments)又は撹拌キュベットを備えた8000シリーズSLM-Aminco分光光度計(ThermoSpectronic)で測定される、漸増濃度のヒトVEGF短型(8−109)又はマウスVEGFの存在下にて、PBS(pH7.2)、25℃の、20nMの抗VEGF抗体(Fab型)の蛍光放出強度(励起=295nm;放出=340nm、帯域通過=16nm)における増加又は減少を測定する蛍光消光技術を用いて結合速度を測定することができる。
「遮断」抗体又は抗体「アンタゴニスト」は、それが結合する抗原の生物学的活性を阻害又は低減するものである。例えば、VEGF特異性アンタゴニスト抗体はVEGFに結合し、VEGFの、血管内皮性細胞増殖又は血管透過性を誘導する能力を阻害する。好ましい遮断抗体又はアンタゴニスト抗体は、抗原の生物学的活性を完全に阻害する。
特に示さない限り、「多価抗体」なる表現は、本明細書全体を通して、三又はそれ以上の抗原結合部位を含んでなる抗体を示すために用いる。例えば、多価抗体は、三又はそれ以上の抗原結合部位を持つように遺伝子操作され、一般に、天然配列のIgM又はIgA抗体ではない。
「抗体断片」はインタクトな抗体の一部のみを含み、一般にはインタクトな抗体の抗原結合部位を含み抗原に結合する能力を保持している。本定義に包含される抗体断片の例には、(i)VL、CL、VH及びCH1ドメインを持つFab断片;(ii)CH1ドメインのC末端に一又は複数のシステイン残基を持つFab断片であるFab'断片;(iii)VH及びCH1ドメインを持つFd断片;(iv)CH1ドメインのC末端に一又は複数のシステイン残基とVH及びCH1ドメインを持つFd'断片;(v)抗体の単一アームのVL及びVHドメインを持つFv断片;(vi)VHドメインからなるdAb断片(Ward等, Nature 341, 544-546 (1989));(vii)単離されたCDR領域;(viii)ヒンジ領域がジスルフィド架橋によって結合された2つのFab'断片を含む二価断片であるF(ab')断片;(ix)単鎖抗体分子(例えば単鎖Fv;scFv)(Bird等, Science 242:423-426 (1988);及びHuston等, PNAS (USA) 85:5879-5883 (1988));(x)同一のポリペプチド鎖中で軽鎖可変ドメイン(VL)に結合した重鎖可変ドメイン(VH)を含む、2つの抗原結合部位を持つ「ダイアボディー(diabodies)」(例えば、欧州特許出願公開第404097号;国際公開第93/11161号;及びHollinger等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:6444-6448 (1993)を参照);(xi)相補的軽鎖ポリペプチドと共に一対の抗原結合領域を形成する一対のタンデムFdセグメント(VH-CH1-VH-CH1)を含む「線形抗体」(Zapata等, Protein Eng. 8(10):1057-1062(1995);及び米国特許第5641870号)が含まれる。
ここで使用される「モノクローナル抗体」なる用語は、実質的に相同な抗体の集団から得られる抗体を意味し、すなわち、集団を構成する個々の抗体が、少量で存在しうる自然に発生可能な突然変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一の抗原に対して指向される。更に、異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製と比較して、各モノクローナル抗体は抗原の単一決定基に指向される。「モノクローナル」との形容は、抗体を何か特定の方法によって生産しなければならないと解釈されるべきではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、最初にKohler等(1975) Nature 256:495に記述されたハイブリドーマ法によって、又は組換えDNA法によって作製されうる(米国特許第4816567号を参照)。「モノクローナル抗体」は、また、例えばClackson等(1991) Nature, 352:624-628又はMarks等(1991) J. Mol.biol.,222:581-597に記載される技術を使用してファージ抗体ライブラリーから単離されてもよい。
「Fv」断片は、完全な抗原認識及び結合部位を含む抗体断片である。この領域は、例えばscFvにおいて、自然では共有結合でありうる密接に結合した一の重鎖及び一の軽鎖可変ドメインの二量体を含む。この構造内にて、各可変ドメインの三つのCDRが相互作用してV-V二量体の表面に抗原結合部位を決定する。集合で、六つのCDR又はそのサブセットが抗体に抗原結合特異性を付与する。しかしながら、単一の可変ドメイン(又は抗原に特異的な3つのCDRのみを含んでなるFvの半分)でさえ、通常は全結合部位より低い親和性であるが、抗原を認識し結合する能力を持つ。
ここで使用される場合、「抗体可変ドメイン」は、相補性決定領域(CDR;すなわち、CDR1、CDR2、及びCDR3)、及びフレームワーク領域(FR)のアミノ酸配列を含む抗体分子の軽鎖及び重鎖の一部を意味する。Vは重鎖の可変ドメインを意味する。Vは軽鎖の可変ドメインを意味する。本発明で使用される方法に従い、CDR及びFRに割当てられるアミノ酸位置は、Kabat(Sequences of Proteins of Immunological Interest (National Institutes of Health, Bethesda, Md., 1987及び1991))に従い定義されてもよい。また、抗体又は抗原結合断片のアミノ酸番号付けも、Kabatに従う。
ここで使用される場合、「相補性決定領域」(CDR;すなわち、CDR1、CDR2、及びCDR3)なる用語は、その存在が抗原結合に必要である、抗体可変ドメインのアミノ酸残基を意味する。各可変ドメインは、典型的には、CDR1、CDR2及びCDR3とされる3つのCDR領域を有する。各相補性決定領域は、Kabatらにより定められる「相補性決定領域」からのアミノ酸残基(つまり、軽鎖可変ドメイン中の残基24−34(L1)、50−56(L2)及び89−97(L3)と、重鎖可変ドメイン中の残基31−35(H1)、50−65(H2)及び95−102(H3);Kabat等, Sequences of Polypeptides of Immunological Interest, 5版 Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD(1991))、及び/又は「超可変ループ」からの残基(つまり、軽鎖可変ドメイン中の残基26−32(L1)、50−52(L2)及び91−96(L3)と、重鎖可変ドメイン中の26−32(H1)、53−55(H2)及び96−101(H3);Chothia及び Lesk J. Mol. Biol. 196:901-917(1987))を含む。幾つかの例において、相補性決定領域は、Kabatに従い定められたCDR領域と、超可変ループの双方からのアミノ酸を含有可能である。例えば、抗体4D5の重鎖のCDRH1は、アミノ酸26〜35を含む。
「フレームワーク領域」(以後FR)は、CDR残基以外の可変ドメイン残基である。各可変ドメインは、典型的にはFR1、FR2、FR3、及びR4と同定される4つのFRを有する。CDRがKabatに従い定められたとすると、軽鎖FR残基は、ほぼ残基1−23(LCFR1)、35−49(LCFR2)、57−88(LCFR3)、及び98−107(LCFR4)に位置し、重鎖FR残基は、重鎖残基のほぼ残基1−30(HCFR1)、36−49(HCFR2)、66−94(HCFR3)、及び103−113(HCFR4)に位置する。CDRが超可変ループからのアミノ酸残基を含有している場合、軽鎖FR残基は、軽鎖のほぼ残基1−25(LCFR1)、33−49(LCFR2)、53−90(LCFR3)、及び97−107(LCFR4)に位置し、重鎖FR残基は、重鎖残基のほぼ残基1−25(HCFR1)、33−52(HCFR2)、56−95(HCFR3)、及び102−113(HCFR4)に位置する。幾つかの例において、CDRが、Kabatにより定められたCDRと超可変ループのものの双方からのアミノ酸を含有している場合、FR残基はそれに応じて調節されるであろう。例えば、CDRH1がアミノ酸H26−H35を含有している場合、重鎖FR1残基は1−25位に存在し、FR2残基は36−49位に存在する。
「Fab」断片は、軽鎖の可変及び定常ドメインと重鎖の可変ドメイン及び第一定常ドメイン(CH1)を有する。F(ab')抗体断片は、間にヒンジシステインによりそれらのカルボキシ末端近傍で一般的に共有結合しているFab断片の対を含む。また、抗体断片の他の化学結合も当該分野で公知である。
「単鎖Fv」又は「scFv」抗体断片は、抗体のV及びVドメインを含み、これらのドメインは単鎖ポリペプチド鎖に存在する。一般的に、FvポリペプチドはV及びVドメイン間にポリペプチドリンカーを更に含み、それはscFvが抗原結合に望まれる構造を形成するのを可能にする。scFvの概説については、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, Vol 113, Rosenburg及びMoore編 Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994)を参照。
「ダイアボディ」なる用語は、二つの抗原結合部位を持つ抗体断片を称し、その断片は同一のポリペプチド鎖(V-V)内で軽鎖可変ドメイン(V)に重鎖可変ドメイン(V)が結合してなる。非常に短いために同一鎖上で二つのドメインの対形成ができないリンカーを使用することにより、ドメインは別の鎖の相補ドメインと強制的に対形成され、二つの抗原結合部位を作る。ダイアボディは、欧州特許第404097号;国際公開第1993/01161号;Hudson等, Nat.Med., 9:129-134(2003); 及びHollinger等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:6444-6448(1993)に、更に詳細に記載されている。
「線状抗体」との表現は、Zapata等(1995 Protein Eng, 8(10):1057-1062)に記載の抗体を意味する。簡単に言えば、これらの抗体は、相補的な軽鎖ポリペプチドと共に一対の抗原結合領域を形成する一対の直列のFdセグメント(V−C1−V−C1)を含む。線状抗体は二重特異性又は単一特異性でありうる。
ここでモノクローナル抗体は「キメラ」抗体(免疫グロブリン)を特に含み、これは重鎖及び/又は軽鎖の一部が、特定の種由来又は特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応配列に一致又は相同であるが、残りの鎖は、別の種由来又は別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応配列に一致又は相同する抗体であり、所望の生物学的活性を表す限りこのような抗体の断片も含まれる(米国特許第4816567号;及びMorrison等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851-6855(1984))。
非ヒト(例えばマウス)抗体の「ヒト化」形態はキメラ抗体であり、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小の配列を含む。大部分では、ヒト化抗体はヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)であり、レシピエントの超可変領域の残基が、マウス、ラット又、ウサギ、又は非ヒト霊長類等の所望の特異性、親和性、及び能力を有する非ヒト種(ドナー抗体)の超可変領域の残基によって置換される。ある場合には、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基が、対応する非ヒト残基によって置換されている。更に、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にもドナー抗体にも見出されない残基を含んでもよい。これらの修飾は抗体の特性を更に洗練するために行われる。一般に、ヒト化抗体は、実質的に全ての、少なくとも一つ、典型的には2つの可変ドメインを含み、全ての又は実質全ての超可変ループは非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、全ての又は実質的に全てのFR領域はヒト免疫グロブリン配列のものである。ヒト化抗体は、場合によっては少なくとも免疫グロブリン定常領域(Fc)の一部も含み、典型的にはヒトの免疫グロブリンのものである。更なる詳細については、Jone等, Nature, 321:522-525(1986);Reichmann等, Nature, 332:323-329(1998);及びPresta, Curr. Op. Struct. Biol.2:593-596(1992)参照。
「ヒト抗体」は、ヒトによって生産される抗体のアミノ酸配列に一致するアミノ酸配列を有するもの、及び/又はここにおいて開示されたヒト抗体を製造するいずれかの技術を使用して製造されたものである。このヒト抗体の定義は、特に非ヒト抗原結合残基を含んでなるヒト化抗体を除く。ヒト抗体は、当該分野で知られている様々な技術を使用することによって生産することが可能である。一実施態様では、ヒト抗体は、ヒト抗体を発現するファージライブラリーから選択される(Vaughan等, Nature Biotechnology 14:309-314 (1996):Sheetsら. PNAS, (USA)95:6157-6162(1998);Hoogenboom及びWinter, J. Mol. Biol., 227:381 (1991);Marks等, J. Mol. Biol., 222:581 (1991))。また、ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン座位をトランスジェニック動物、例えば内因性免疫グロブリン遺伝子が部分的又は完全に不活性化されたマウスに導入することにより産生することができる。この試みに際して、ヒト抗体の生産が観察されており、遺伝子再構成、構築、及び抗体レパートリーを含むあらゆる点でヒトに見られるものと密接に類似している。このアプローチ法は、例えば米国特許第5545807号;同第5545806号;同第5569825号;同第5625126号;同第5633425号;同第5661016号、及び次の科学文献:Marks等, Bio/Technology 10:779-783 (1992);Lonberg等, Nature 368:856-859 (1994);Morrison等, Nature 368:812-13 (1994);Fishwild等, Nature Biotechnology 14:845-51 (1996);Neuberger, Nature Biotechnology 14:826 (1996); Lonberg及びHuszar, Intern. Rev. Immunol. 13:65-93 (1995)。あるいは、ヒト抗体は、標的抗原に対する抗体を生産するヒトBリンパ球の固定化によって調製されてもよい(そのようなBリンパ球は、個から回収されてもよいし、インビトロで免疫化してもよい)。例えば、Cole等, Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss. p.77(1985)及びBoerner等, J. Immunol., 147(1):86-95(1991);及び米国特許第5750373号を参照のこと。
「親和性成熟」抗体とは、抗体の一以上のCDRにおいて一以上の変更を伴う抗体であり、これらの変更を持たない親抗体と比較して、抗原に対する抗体の親和性に改良を生じせしめるものである。好ましい親和性成熟抗体は、標的抗原に対してナノモル又はピコモルの親和性を有する。親和性成熟抗体は、当該分野において知られている方法によって生産される。Marks等. Bio/Technology, 10:779-783(1992)は、VH及びVLドメインシャッフリングによる親和性成熟について記載している。CDR及び/又はフレームワーク残基のランダム突然変異誘発は、Barbas等, Proc Nat Acad. Sci, USA 91:3809-3813(1994); Schier 等, Gene, 169:147-155(1995);Yelton等, J. Immunol., 155:1994-2004(1995);Jackson等, J. Immunol., 154(7):3310-9(1995);及びHawkins等, J. Mol. Biol., 226:889-896(1992)に記載されている。
抗体の「機能的抗原結合部位」は、標的抗原に結合可能なものである。抗原結合部位の抗原結合親和性は、抗原結合部位が由来する親抗体ほど必ずしも強くはないが、抗原に結合する能力は、抗原への抗体結合性を評価するために、様々な公知の方法の任意の一つを使用して測定可能なものでなくてはならない。更に、ここで多価抗体の各抗原結合部位の抗原結合親和性は、定量的に同じである必要はない。ここで多量体抗体について、機能的抗原結合部位の数は、米国特許出願第20050186208号の実施例2に記載されたように、超遠心分離分析を使用して評価することができる。この分析方法によれば、多量体抗体に対する標的抗原の様々な比率が組合せられ、複合体の平均分子量が、仮定される異なる数の機能的結合部位で評価される。これらの理論値は、機能的結合部位の数を評価するために、得られた実際の実験値と比較される。
指定された抗体の「生物学的特徴」を有する抗体は、同じ抗原に結合する他の抗体とは区別される抗体の一又は複数の生物学的特徴を有するものである。
関心ある抗体が結合した抗原上のエピトープに結合する抗体をスクリーニングするために、常套的なクロスブロッキングアッセイ、例えばAntibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Ed Harlow及びDavid Lane(1988)に記載されたものを実施することができる。
「種依存性抗体」は、第2の哺乳動物種からの抗原の相同体に対してよりも、第1の哺乳動物種からの抗原に対してより強い結合親和性を有するものである。通常、種依存性抗体はヒト抗原に「特異的に結合する」(すなわち、約1×10−7M以下、好ましくは約1×10−8M以下、及び最も好ましくは約1×10−9M以下の結合親和性(Kd)値を有する)が、第2の非ヒト哺乳動物種からの抗原の相同体に対しては、ヒト抗原に対する結合親和性よりも、少なくとも約50倍、又は少なくとも約500倍、又は少なくとも約1000倍弱い結合親和性を有する。種依存性抗体は、上述した様々な種類の抗体の何れであってもよいが、典型的には、ヒト化又はヒト抗体である。
ここで使用される場合、「抗体突然変異体」又は「抗体変異体」は、種依存性抗体のアミノ酸配列変異体を意味し、ここで種依存性抗体の一又は複数のアミノ酸残基が修飾されている。このような突然変異体は、種依存性抗体と100%の配列同一性又は類似性を有する必要はない。一実施態様では、抗体突然変異体は、種依存性抗体の重鎖又は軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列と、少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更に好ましくは少なくとも85%、また更に好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列同一性又は類似性を有するアミノ酸配列を含むであろう。この配列に関する同一性又は類似性は、最大パーセント配列同一性を達成するために、必要であるならば、配列を整列させ、間隙を導入した後に、種依存性抗体残基と同一(すなわち同じ残基)又は類似(すなわち、共通の側鎖特性に基づき、同じ群からのアミノ酸残基)である候補配列中のアミノ酸残基のパーセントとして定義される。可変ドメインの外側の抗体配列への挿入、N末端、C末端、又は内部の伸長、欠失の何れも、配列の同一性又は類似性に影響を与えると解されるべきではない。
この発明のアミノ酸配列を含む抗体又はポリペプチドの半減期を増加させるために、例えば米国特許第5739277号に記載されているように、抗体(特に抗体断片)にサルベージレセプター結合エピトープを結合させることができる。例えば、サルベージレセプター結合エピトープをコードする核酸分子を、遺伝子操作された核酸分子により発現される融合タンパク質が、サルベージレセプター結合エピトープと、この発明のポリペプチド配列を有するように、この発明のポリペプチド配列をコードする核酸にインフレームで結合させることができる。ここで使用される場合、「サルベージレセプター結合エピトープ」なる用語は、IgG分子のインビボ血清半減期を増加させる原因であるIgG分子(例えば、IgG、IgG、IgG、又はIgG)のエピトープを意味する(例えば、Ghetie等, Ann. Rev. Immunol. 18:739-766(2000)、表1)。また、そのFc領域で置換され、血清半減期が増加した抗体は、国際公開第00/42072号、国際公開第02/060919号;Shields等, J. Biol. Chem. 276:6591-6604 (2001);Hinton, J. Biol. Chem. 279:6213-6216(2004))に記載されている。他の実施態様では、血清半減期は、例えば他のポリペプチド配列を結合させることによっても増加させることができる。例えば、本発明の方法に有用な抗体又は他のポリペプチドは、血清ルアルブミン、又はFcRnレセプターに結合する血清アルブミンの一部、又は血清アルブミンが抗体又はポリペプチド、例えば国際公開第01/45746号に開示されているようなポリペプチド配列に結合するように、血清アルブミン結合ペプチドに結合可能である。一実施態様では、結合される血清アルブミンペプチドは、DICLPRWGCLWのアミノ酸配列を含む。他の実施態様では、Fabの半減期はこれらの方法によって増加させられる。また、血清アルブミン結合ペプチド配列については、Dennis等 J. Biol. Chem. 277:35035-35043(2002)を参照。
「キメラVEGFレセプタータンパク質」は、少なくとも2の異なるタンパク質に由来するアミノ酸配列を有するVEGFレセプター分子であり、その少なくとも一方はVEGFレセプタータンパク質である。ある実施態様では、キメラVEGFレセプタータンパク質は、VEGFに結合可能で、その生物活性を阻害することができる。
「単離された」抗体とは、その自然環境の成分から同定され分離され及び/又は回収されたものである。その自然環境の汚染成分とは、抗体の診断又は治療への使用に干渉する物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質様又は非タンパク質様溶質が含まれる。ある実施態様では、抗体は、(1)ローリー法で測定して抗体の95重量%を越え、最も好ましくは99重量%を越えるまで、(2)スピニングカップシークエネーターを使ったN末端又は内在するアミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度まで、又は(3)クーマシーブルー又は銀染色を用いた還元又は非還元条件下でのSDS-PAGEにより均一になるまで、精製される。単離された抗体は、抗体の自然な環境の少なくとも一成分が存在しないことから、組換え細胞内におけるインサイツでの抗体を含む。しかしながら、通常は、単離された抗体は少なくとも一の精製工程によって調製されるであろう。
「断片」は、好ましくは参照核酸分子又はポリペプチドの全長の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又はそれ以上を含むポリペプチド又は核酸分子の一部を意味する。断片は、10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は100、200、300、400、500、600,又はそれ以上のヌクレオチドあるいは10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、190、200のアミノ酸又はそれ以上を含みうる。
「抗血管新生剤」又は「血管新生阻害剤」は、直接的か間接的かの何れかで、血管新生、脈管形成又は望ましくない血管透過を阻害する小分子量の物質、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、単離されたタンパク質、組換えタンパク質、抗体、又はそれらのコンジュゲート又は融合タンパク質を意味する。抗血管形成剤には、結合して血管形成因子又はそのレセプターの血管形成活性をブロックする作用剤が含まれることが理解されなければならない。例えば、抗血管形成剤は、本明細書を通じて定義され又は当該分野で知られている血管新生剤に対する抗体又は他のアンタゴニスト、例えば、限定しないがVEGF-Aに対するか又はVEGF-Aレセプター(例えばKDRレセプター又はFlt-1レセプター)に対する抗体、VEGF-トラップ、GleevecTM(イマチニブメシレート)などの抗PDGFR阻害剤である。また、抗血管新生剤には、天然の血管新生阻害剤、例えばアンジオスタチン、エンドスタチンなどが含まれる。例えば、Klagsbrun及びD’Amore, Annu. Rev. Physiol., 53:217-39 (1991);Streit及びDetmar, Oncogene, 22:3172-3179 (2003) (例えば、悪性メラノーマの抗血管新生療法を列挙している表3);Ferrara及びAlitalo, Nature Medicine 5:1359-1364 (1999);Tonini等, Oncogene, 22:6549-6556 (2003) (例えば、既知の抗血管新生因子を列挙している表2);及びSato. Int. J. Clin. Oncol., 8:200-206 (2003) (例えば、表1は臨床試験で使用されている抗血管新生剤を列挙)を参照のこと。
ここで「負荷投与」とは、一般的に患者に投与される治療剤の初回投与を包含し、一以上の維持投与が続く。一般に、単回の負荷投与が投与されるが、ここでは複数回の負荷投与が考えられる。通常は、投与される負荷投与の量は投与される維持投与の量を上回り、及び/又は負荷投与は維持投与より頻繁に投与され、治療薬の所望される定常状態濃度が、維持投与で達成されるより早く達成される。
ここでは「維持」投与とは、治療期間にわたって又は治療後患者に投与される治療薬の一以上の投与を意味する。通常、維持投与は治療間隔をあけて投与され、例えば毎週、約毎2週、約毎3週、又は約毎4週等である。
「手術可能」な癌は、原発性器官に限局され、外科手術に適している癌を意味する。
「生存」は、依然生存している患者を指し、無病生存率(DFS)及び全生存率(OS)を含む。生存率はカプラン・マイヤー法によって推定され得、生存率の違いは層別ログランク検定を用いて計算される。
「無病生存率(DFS)」は、治療の開始から又は初期診断から一定期間、例えば約1年、約2年、約3年、約4年、約5年、約10年などの間癌を再発せずに生存している患者を指す。本発明の一態様では、DFSは包括解析(ITT解析)の原則に従って分析され、つまり、患者は割り当てられた療法に基づいて評価される。DFSの分析に用いる事象には、局所的、領域的及び遠位的な癌の再発、二次癌(secondary cancer)の発症、及び既往(例えば結腸直腸癌の再発又は二次原発性癌(second primary cancer))のない患者における全死因の死亡が含まれうる。
「全生存率」は、治療の開始から又は初期診断から、例えば約1年、約2年、約3年、約4年、約5年、約10年等一定期間の間依然生存している患者を指す。本発明の基礎となる実験において、生存率分析に使用される事象は全死因死亡率であった。
「延長生存率」又は「生存の可能性の増加」は、未処置の患者と比較して(例えば抗VEGF抗体等のVEGF特異性アンタゴニストを用いて治療された患者と比較して)、又はコントロール処置プロトコル、例えば、結腸直腸癌の標準治療で使用されるロイコボリン、5−フルオロウラシル、オキサリプラチン、イリノテカン、又はこの組合せ等、化学療法剤のみによる処置と比較して、DFS及び/又はOSの増加、又は処置した患者の任意の時点における依然生存している及び/又は無病である確率の増加を意味する。生存率は、処置開始後又は最初に診断された後、少なくとも約2ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、又は少なくとも約1年、又は少なくとも約2年、又は少なくとも約3年、又は少なくとも約4年、又は少なくとも約5年、又は少なくとも約10年等の間モニターされる。
生存率分析における「ハザード比」は、2つの生存率曲線の間の差のまとめであり、所定の追跡調査期間にわたり、コントロールと比較した治療に対する死亡リスクの減少を表す。ハザード比(HR)は事象の比率に対する統計的定義である。本発明の目的では、ハザード比は、任意の特定の時点において、実験アームにおけるイベントの確率をコントロールアームにおけるイベントの確率で割ったものを表すと定義される。
「併用」なる用語は、投与の時間の少なくとも一部がオーバーラップしている、二以上の治療薬の投与を意味するためにここで使用される。従って、併用投与には、一又は複数の薬剤の投与が一又は複数の他の薬剤の投与をやめた後に続く場合の投薬計画が含む。
「単独療法」は、治療期間の経過中、癌又は腫瘍の治療に単一の治療薬のみを含む治療レジメンを意味する。VEGF特異性アンタゴニストを用いた単独療法は、治療期間の間に更なる抗癌治療をすることなくVEGF特異性アンタゴニストが投与されることを意味する。
ここでの「アジュバント(補助)療法」は、手術後に施される治療を指し、疾患の再発のリスクを低減するために、残存する疾患の所見が検出されないものとする。アジュバント療法の目的は、癌の再発を予防することによって、癌関連の死亡の機会を低減することである。
「維持治療」とは、初期の治療介入で有益な結果が得られた後、疾患再発又は進行の可能性を低減するために施される治療レジメンを意味する。維持治療は、患者の寿命まで延長された時間を含む任意の長さの時間に提供されうる。維持治療は、初期治療の後又は、初期のないしは更なる治療と併せて提供されうる。維持治療のために使用される投薬量は変化してもよく、他のタイプの治療に使用する投薬量と比較して、低減された投薬量を含みうる。
ここでは、化学療法の「標準治療」とは、特定の癌を治療するために定期的に使用される化学療法剤を意味する。
「根治手術」は、医学界で用いられる用語として用いられ、典型的には結果が治癒が期待できる手術を意味する。根治手術には、例えば、肉眼で認められる腫瘍の全てが除去又は切除されるものを含む、腫瘍が除去又は切除される手順、手術その他のものが包含される。根治手術には、例えば、腫瘍の完全ないしは治療上の切除又は完全な全体の切除が含まれる。根治手術には、一又は複数の段階で生じる手順が含まれ、例えば一又は複数の手術又は他の手順が腫瘍の切除前に行われる複数の段階の手術手順が含まれる。根治手術には、罹患臓器、臓器及び組織の一部、並びに周辺臓器、例としてリンパ節、臓器の一部又は組織を含む腫瘍を除去ないしは切除するための手術が含まれる。
「癌」及び「癌性」という用語は、典型的には調節されない細胞増殖を特徴とする哺乳動物における生理学的状態を指すか又は記述する。この定義には良性及び悪性癌、並びに休止状態の腫瘍又は微小転移巣である。癌の例には、限定されるものではないが、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病が含まれる。このような癌のより特定の例には、乳癌、扁平細胞癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、及び肺の扁平上皮癌を含む)、腹膜の癌、肝細胞癌、胃(gastric)又は腹部(stomach)癌(胃腸癌を含む)、膵臓癌、神経膠芽細胞腫、子宮頸管癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜又は子宮癌、唾液腺癌、腎臓(kidney)又は腎(renal)癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝臓癌及び様々なタイプの頭頸部癌、並びにB細胞リンパ腫(低級/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球(SL)NHL;中級/濾胞性NHL;中級びまん性NHL;高級免疫芽細胞性NHL;高級リンパ芽球性NHL;高級小非分割細胞NHL;バルキー疾患NHL;外套細胞リンパ腫;エイズ関連リンパ腫;及びワルデンストロームのマクログロブリン病を含む);慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球白血病(ALL);ヘアリー細胞白血病;慢性骨髄芽球性白血病;及び移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)、並びに母斑症に関連した異常な血管増殖、浮腫(例えば脳腫瘍に関連したもの)、メイグス症候群を含む。
「転移」は、原発部位から体の他の場所への癌の広がりを意味する。癌細胞は血流を通して原発腫瘍から離れ、リンパ及び血管中に入り込み、血流を通して循環し、体のどこか他の正常組織における遠位の病巣で増殖(転移)が可能である。転移は局所的又は遠位でありうる。転移は、原発腫瘍から別れ、血流を移動し、遠位の部位で止まる腫瘍細胞に随伴性の連続的な過程である。新しい部位で、細胞は血液供給を得、増殖して命を脅かす塊を形成しうる。腫瘍細胞内の刺激性及び阻害性分子経路の双方がこの挙動を調節し、遠位部位での腫瘍細胞と宿主細胞の間の相互作用がまた重要である。
「微少転移」は、原発腫瘍から体の他の部位に広がった少数の細胞を意味する。微少転移は、スクリーニング又は診断検査で検出される場合もあればされない場合もある。
ここでの「癌再発」は、治療後の癌の再来を意味し、原発臓器での癌の再来並びに、癌が原発臓器外に再来する遠隔再発を包含する。
「癌再発の危険性が高い」被験者は、癌の再発を経験する可能性がより大きい者である。例えば、比較的若い被験者(例えば、約50才未満)、リンパ節陽性であり、特に4以上の罹患リンパ節(4−9の罹患リンパ節及び10以上の罹患リンパ節を含む)を有する者、及び例えば乳がん患者などで直径2cm以上の腫瘍を有する者である。被験者の危険性レベルは、熟練した医師によって決定することが可能である。一般的にこのような高い危険性の被験者は罹患リンパ節を持つと考えられる(例えば4以上の罹患リンパ節)が;しかしながら、罹患リンパ節を持たない被験者も危険性が高く、例えば腫瘍が2cm以上である場合等である。
「癌再発の危険性の低下」とは、癌の再発を経験する可能性を減少することを意味し、未治療患者と比較(つまり、例えば抗VEGF抗体等のVEGF特異性アンタゴニストで治療されていない患者と比較)、又は例えば結腸直腸癌の標準治療において使用される、例えばロイコボリン、5−フルオロウラシル、オキサリプラチン、イリノテカン、又はこれらの組合せ等の、化学療法剤のみを用いる治療等の、コントロール治療プロトコルと比較される。癌再発は、治療開始後又は初回診断後、少なくとも約2ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、又は少なくとも約1年、少なくとも約2年、又は少なくとも約3年、又は少なくとも約4年、又は少なくとも約5年、又は少なくとも約10年等の間モニターされる。
「治療開始」とは、腫瘍の外科的除去後の治療レジメンの開始を意味する。一実施態様では、術後の一以上の化学療法剤の投与を意味してもよい。別法では、抗VEGF抗体等のVEGF特異性アンタゴニスト及び一以上の化学療法剤の初回投与を意味してもよい。
癌「治癒」 とは、ここでは、癌のタイプによるが、アジュバント療法開始後約2、3、4、又は約5年での癌再発の不在を意味する。
ここで用いられる「腫瘍」は、悪性又は良性に関わらず、全ての腫瘍形成細胞成長及び増殖、及び全ての前癌性及び癌性細胞及び組織を意味する。
「腫瘍休止」は、腫瘍細胞が存在するが、腫瘍進行は臨床上見られない、持続性の不活発状態を意味する。休止腫瘍はスクリーニング又は診断用試験において検出される場合もあればされない場合もある。
「被験者」とは、ヒト又は非ヒト哺乳動物、例えばウシ、ウマ、イヌ、ヒツジ、又はネコに限定されないが、それらを含む哺乳動物を意味する。好ましくは、被験者はヒトである。患者もここでは被験者である。
被験者の「集団」は、臨床試験等において、又は癌のアジュバント治療等、特定の適応症に対してFDAの承認後に腫瘍学者によって見られるような、癌の被験者の群を意味する。
「抗癌療法」なる用語は、癌の治療において有用な療法を意味する。抗癌療法剤の例には、限定されるものではないが、例えば手術、化学療法剤、増殖阻害剤、細胞障害剤、放射治療に使用される薬剤、抗血管新生剤、アポトーシス剤、抗チューブリン剤、及び癌を治療する他の薬剤、例えば抗HER2抗体、抗CD20抗体、上皮成増殖子受容体(EGFR)アンタゴニスト(例えば、チロシンキナーゼ阻害剤)、HER1/EGFR阻害剤(例えば、エルロチニブ(Tarceva(登録商標)))、血小板由来増殖因子阻害剤(例えば、GleevecTM(Imatinib Mesylate))、COX-2阻害剤(例えば、セレコキシブ)、インターフェロン、サイトカイン、一又は複数の次の標的ErbB2、ErbB3、ErbB4、PDGFR-ベータ、BlyS、APRIL、BCMA又はVEGFレセプターに結合するアンタゴニスト(例えば、中和抗体)、TRAIL/Apo2、及び他の生理活性剤及び有機化学剤等が含まれる。二以上のこれら薬剤の組合せも本発明に含まれる。
ここで用いられる「細胞障害剤」なる用語は、細胞の機能を阻害又は抑制する及び/又は細胞破壊を生ずる物質を意味する。この用語は、放射性同位体(例えば、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32及びLuの放射性同位元素)、化学療法剤、及び細菌、真菌、植物又は動物由来の小分子毒素又は酵素的活性毒素といった毒素、又はその断片及び/又はその変異体を含むことを意図する。
「化学療法剤」は、癌のような症状の治療に有用な化学的化合物である。化学療法剤の例には、チオテパ及びシクロホスファミド(CYTOXAN(商品名))のようなアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファンのようなスルホン酸アルキル類、;ベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、及びウレドーパ(uredopa)のようなアジリジン類;アルトレートアミン(altretamine)、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド(triethylenethiophosphaoramide)及びトリメチローロメラミン(trimethylolomelamine)を含むエチレンイミン類及びメチラメラミン類;アセトゲニン(acetogenins)(特にブラタシン(bullatacin)及びブラタシノン(bullatacinone));カンプトセシン(合成類似体トポテカン(topotecan)を含む);ブリオスタチン;カリスタチン(callystatin);CC−1065(そのアドゼレシン(adozelesin)、カルゼレシン(carzelesin)及びバイゼレシン(bizelesin)合成類似体を含む);クリプトフィシン(cryptophycin)(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン(dolastatin );デユカロマイシン(duocarmycin )(合成類似体、KW-2189及びCBI-TMIを含む); エレトロビン(eleutherobin);パンクラチスタチン(pancratistatin );サルコデイチン(sarcodictyin);スポンジスタチン(spongistatin );クロランブシル、クロロナファジン(chlornaphazine)、チョロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシドヒドロクロリド、メルファラン、ノベンビチン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン(prednimustine)、トロフォスファミド(trofosfamide)、ウラシルマスタード;ニトロソ尿素、例えばカルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムヌスチン(ranimnustine);エネジイン(enediyne) 抗生物質等の抗生物質(例えば、カリケアマイシン(calicheamicin)、特にカリケアマイシンγ1I及びカリケアマイシンθI1、例えば、Agnew Chem Intl. Ed. Engl., 33:183-186(1994)を参照のこと;ダイネミシンA(dynemicinA)を含むダイネミシン(dynemicin);ビスフォスフォネート、例えばクロドロネート;エスペラマイシン(esperamicin); 同様にネオカルチノスタチン発光団及び関連色素蛋白エネジイン(enediyne) 抗生物質発光団)、アクラシノマイシン(aclacinomysins)、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン(bleomycins)、カクチノマイシン(cactinomycin)、カラビシン(carabicin)、カリミノマイシン(carminomycin)、カルジノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトロビシン(detorubicin)、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ADRIAMYCIN(登録商標)ドキソルビシン(モルフォリノ−ドキソルビシン、シアノモルフォリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン(esorubicin)、イダルビシン、マセロマイシン(marcellomycin)、マイトマイシン(mitomycins)C等のマイトマイシン(mitomycins)、マイコフェノール酸(mycophenolic acid)、ノガラマイシン(nogalamycin)、オリボマイシン(olivomycins)、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、クエラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン(tubercidin)、ウベニメクス、ジノスタチン(zinostatin)、ゾルビシン(zorubicin)などの抗生物質;メトトレキセート及び5−フルオロウラシル(5−FU)のような抗-代謝産物;デノプテリン(denopterin)、メトトレキセート、プテロプテリン(pteropterin)、トリメトレキセート(trimetrexate)のような葉酸類似体;フルダラビン(fludarabine)、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンのようなプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン(azacitidine)、6-アザウリジン(azauridine)、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン(enocitabine)、及びフロキシウリジン(floxuridine)のようなピリミジン類似体;カルステロン(calusterone)、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン(testolactone)のようなアンドロゲン類;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンのような抗副腎剤;フロリン酸(frolinic acid)のような葉酸リプレニッシャー(replenisher);アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン(amsacrine);ベストラブシル(bestrabucil);ビサントレン(bisantrene);エダトラキセート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルシン(demecolcine);ジアジコン(diaziquone);エルフォルニチン(elfornithine);酢酸エリプチニウム(elliptinium acetate);エトグルシド(etoglucid);硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン(lonidamine);メイタンシン(maytansine)及びアンサマイトシン(ansamitocin )のようなメイタンシノイド(maytansinoid);ミトグアゾン(mitoguazone);ミトキサントロン;モピダモール(mopidamol);ニトラクリン(nitracrine);ペントスタチン;フェナメット(phenamet);ピラルビシン;ロソキサントロン(losoxantrone);ポドフィリン酸(podophyllinic acid);2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PKS(登録商標)多糖類複合体(JHS Natural Products, Eugene, OR);;ラゾキサン(razoxane);リゾキシン(rhizoxin);シゾフィラン;スピロゲルマニウム(spirogermanium);テニュアゾン酸(tenuazonic acid);トリアジコン(triaziquone);2,2',2''-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(trichothecenes)(特に、T−2トキシン、ベラキュリンA(verracurin A)、ロリデンA(roridin A)及びアングイデン(anguidine));ウレタン;ビンデシン;ダカーバジン;マンノムスチン(mannomustine);ミトブロニトール;ミトラクトール(mitolactol);ピポブロマン(pipobroman);ガシトシン(gacytosine);シトシンアラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えばパクリタキセル(タキソール(登録商標)、Bristol-Myers Squibb Oncology, Princeton, NJ)、ABRAXANE(登録商標) クレモフォール(Cremophor)を含まない、アルブミン設計のナノ粒子形状のパクリタキセル (American Pharmaceutical Partners, Schaumberg, Illinois),及びドキセタキセル(タキソテア(登録商標)、Rhone-Poulenc Rorer, Antony, France);クロランブシル;GEMZAR(登録商標)ゲンシタビン(gemcitabine);6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;シスプラチン、オキサリプラチン、及びカルボプラチンのようなプラチナ類似体;ビンブラスチン;プラチナ;エトポシド(VP−16);イフォスファミド;ミトキサントン;ビンクリスチン;NAVELBINE(登録商標)ビノレルビン;ノバントロン(novantron);テニポシド;;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;キセローダ(xeloda);イバンドロナート(ibandronate);イリノテカン(Camptosar, CPT-11) (5-FU及びロイコボリンを用いるイリノテカンの治療レジメンを含む);トポイソメラーゼインヒビターRFS2000;ジフルオロメチロールニチン(DMFO);レチノイン酸等のレチノイド;カペシタビン(capecitabine);コンブレタスタチン;ロイコボリン(LV);オキサリプラチン、オキサリプラチン治療レジメン(FOLFOX)を含む;細胞増殖を低減するPKC-alpha, Raf, H-Ras, EGFR(例えば、エルロチニブ(Tarceva(登録商標))及びVEGF-A、並びに上述したものの製薬的に許容可能な塩類、酸類又は誘導体が含まれる。
また、この定義に含まれるものには、腫瘍でホルモン作用を調節又は阻害するように働く抗ホルモン剤、例えば抗エストロゲン及び選択的エストロゲン受容体調節物質(SERM)であり、例えば、タモキシフェン(NOLVADEX(商品名)タモキシフェンを含む)、ラロキシフェン(raloxifene)、ドロロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン(trioxifene)、ケオキシフェン(keoxifene)、LY117018、オナプリストーン(onapristone)、及びFARESTON(商品名)トレミフェン;副腎のエストロゲン産生を調節する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤、例えば4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド、MEGASE(商品名)酢酸メゲストロール、AROMASIN(商品名)エキセメスタン、フォルメスタン、ファドロゾール、RIVISOR(商品名)ボロゾール、FEMARA(商品名)レトロゾール、及びARIMIDEX(商品名)アナストロゾール;及び抗アンドロゲン、例えばフルタミド(flutamide)、ニルタミド(nilutamide)、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴセレリン;並びにトロキサシタビン(troxacitabine)(1,3-ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体);アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に付着細胞の増殖に結びつくシグナル伝達経路における遺伝子の発現を阻害するもの、例えばPKC-α、Raf、及びH-Ras;リボザイム、例えばVEGF発現阻害剤(例えば、ANZIOZYME(登録商標)リボザイム)及びHER2発現阻害剤;遺伝子治療ワクチン等のワクチン、例えばALLOVECTIN(商品名)ワクチン、LEUVECTIN(商品名)ワクチン、及びVAXID(商品名)ワクチン;PROLEUKIN(商品名)rIL−2;LURTOTECAN(商品名)トポイソメラーゼI阻害剤;ABARELIX(商品名)rGnRH;及び上記のものの製薬的に許容される塩類、酸類又は誘導体を含む。
「サイトカイン」という用語は、1つの細胞集団から放出され、他の細胞に細胞間メディエータとして作用するタンパク質の総称である。このようなサイトカインの例は、リンホカイン、モノカイン、及び従来のポリペプチドホルモンである。サイトカインに含まれるのは、成長ホルモン、例えばヒト成長ホルモン、N-メチオニルヒト成長ホルモン、及びウシ成長ホルモン;副甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;レラキシン;プロレラキシン;糖タンパク質、例えば濾胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、及び黄体形成ホルモン(LH);上皮増殖因子;肝細胞増殖因子;線維芽細胞増殖因子;プロラクチン;胎盤ラクトゲン;腫瘍壊死因子-α及び-β;ミューラー阻害因子;マウス生殖腺刺激ホルモン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮増殖因子;インテグリン;トロンボポエチン(TPO);NGF-β等の神経成長因子;血小板増殖因子;TGF-α及びTGF-β等のトランスフォーミング増殖因子;インシュリン様成長因子-I及びII;エリスロポエチン(EPO);骨誘発因子;インターフェロン-α、-β、及び-γ等のインターフェロン;コロニー刺激因子(CSFs)、例えばマクロファージ-CSF(M-CSF);顆粒球-マクロファージ-CSF(GM-CSF);及び顆粒球-CSF(G-CSF);インターロイキン(ILs)、例えばIL-1、IL-1α、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-11、IL-12;腫瘍壊死因子、例えばTNF-α及びTNF-β;及びLIF及びキットリガンド(KL)を含む他のポリペプチド因子である。ここで用いられる際、用語サイトカインは、天然供給源から、又は組換え細胞培養からのタンパク質を含み、天然配列サイトカインの生物学的な活性等価物である。
ここで使用される場合の「増殖阻害剤」とは、インビトロ又はインビボのいずれかにおいて、細胞の増殖を阻害する化合物又は組成物を指すものである。よって、増殖阻害剤とは、S期におけるそのような遺伝子の過剰発現細胞のパーセンテージを有意に低減させるものである。増殖阻害剤の例には、細胞周期の進行をブロックする薬剤(S期以外の場所において)、例えばG1停止及びM期停止を誘発する薬剤が含まれる。伝統的なM期ブロッカーには、ビンカ(ビンクリスチン及びビンブラスチン)、タキソール、及びトポIIインヒビター、例えばドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、及びブレオマイシンが含まれる。G1を停止させるこれらの薬剤、例えばDNAアルキル化剤、例えばタモキシフェン、プレドニソン、ダカーバジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキセート、5-フルオロウラシル、及びara-CがS期停止へ波及する。更なる情報は、例えば、Murakamiらにより「細胞周期の調節、オンコジーン、及び抗新生物薬(Cell cycle regulation, oncogene, and antineoplastic drugs)」と題された、癌の分子的基礎(The Molecular Basis of Cancer)、Mendelsohn及びIsrael編、第1章(WB Saunders;Philadelphia, 1995)、特に13頁に見出すことができる。
本出願で使用される「プロドラッグ」という用語は、製薬的に活性な物質の前駆体又は誘導体形態を意味し、親薬物に比べて、腫瘍細胞に対する細胞障害性が低く、酵素的に活性化又はより活性な親形態に転換されるこが出来る。例えば、Wilman, 「Prodrugs in Cancer Chemotherapy」, Biochemical Society Transactions, 14, pp.375-382, 615th Meeting Belfast(1986)及びStella等,「Prodrugs:A Chemical Approach to Targeted Drug Delivery」, Directed Drug Delivery, Borchardt等,(編), pp.247-267, Humana Press(1985)を参照。 限定するものではないが、本発明のプロドラッグには、ホスファート含有プロドラッグ、チオホスファート含有プロドラッグ、スルファート含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、D-アミノ酸変性プロドラッグ、グリコシル化プロドラッグ、βラクタム含有プロドラッグ、任意に置換されたフェノキシアセトアミド含有プロドラッグ又は任意に置換されたフェニルアセトアミド含有プロドラッグ、より活性のある細胞毒のない薬剤に転換可能な5-フルオロシトシン及び他の5-フルオロウリジンプロドラッグが含まれる。限定するものではないが、本発明で使用されるプロドラッグ形態に誘導体化可能な細胞障害剤の例には、上記の化学療法剤が含まれる。
「放射線治療」とは、細胞の正常に機能する能力を制限し、破壊させるために、細胞に十分なダメージを誘発させる、指向性ガンマ線又はベータ線を使用することを意味する。線量及び治療時間を決定するために、当該分野で知られている多くの方法が存在すると理解されるであろう。典型的な治療法は、1日当たり10〜200単位(グレイ)の範囲の典型的線量、及び時間投与が付与される。
「低減又は阻害」とは、好ましくは20%以上、より好ましくは50%以上、及び最も好ましくは75%、85%、90%、95%、又はそれ以上の全体での低下を導く能力を意味する。低減又は阻害は、治療される疾患の徴候、転移又は微少転移の存在又はサイズ、原発腫瘍のサイズ、休眠腫瘍の存在又はサイズ、又は血管新生障害における血管のサイズ又は数を指すことが可能である。
「静脈内注射」なる用語は、約5分以上、好ましくは約30〜90分の間動物又はヒト患者の静脈への薬剤の導入を意味するが、本発明に従うと、静脈内注入はあるいは10時間以下で投与される。
「静脈内ボーラス」又は「静脈内プッシュ」は、体が約15分以下、好ましくは5分以下で薬剤を受け入れるような動物又はヒトの静脈中への薬剤投与を意味する。
「皮下投与」は、比較的ゆっくりと、薬剤容器からの送達が維持されることによって、動物又はヒト患者の皮膚の下に、好ましくは皮膚及び皮下組織の間のポケットに薬剤を投入することを意味する。ポケットは、皮膚を上につまんで引き上げ皮下組織から離すことにより作成されてもよい。
「皮下注射」は、比較的ゆっくりと、これに限らないが30分以下又は90分以下を含む時間、薬剤容器からの送達が維持されることによって、動物又はヒト患者の皮膚の下に、好ましくは皮膚と皮下組織の間に薬剤を導入することを意味する。場合によっては、注入が、動物又はヒト患者の皮膚の下に差し込まれた薬剤送達ポンプの皮下挿入によって成され、ポンプは決定された時間、例えば30分、90分、又は治療レジメン長にわたる期間、定められた量を送達する。
「皮下ボーラス」という用語は、動物又はヒト患者の皮膚の下への薬剤投入を意味し、ボーラス薬剤送達は好ましくは約15分以下、より好ましくは5分以下、及び最も好ましくは60秒以下である。投与は、例えば皮膚をつまんで引き上げ、皮下組織から離すことによりポケットが形成される、皮膚と皮下組織の間のポケット内が好ましい。
「疾患」は抗VEGF抗体で治療することで恩恵を得るあらゆる症状のことである。これには、問題の疾患に哺乳動物を罹患させる素因になる病理状態を含む、慢性及び急性の疾患又は疾病が含まれる。ここで治療される疾患の例は、これに限定されるものではないが、良性及び悪性の腫瘍;白血病性及びリンパ性悪性腫瘍;ニューロン、神経膠、星状細胞、視床下部及び他の腺、マクロファージ、上皮、ストローマ及び割腔の疾患;及び炎症性、血管新生及び免疫性の疾患が含まれる。
「治療的に有効な量」なる用語は、哺乳動物における疾患又は疾病を治療又は予防するための薬剤の量を意味する。癌の場合、薬剤の治療的に有効な量は、癌細胞の数を減少させ;腫瘍サイズを減少させ;周辺器官への癌細胞の浸潤を阻害し(つまり、ある程度まで遅くさせ、好ましくは停止させ);腫瘍転移を阻害し(つまり、ある程度まで遅くさせ、好ましくは停止させ);腫瘍増殖をある程度まで阻害し;及び/又は疾患に伴う徴候の一又は複数をある程度軽減しうる。休止腫瘍又は微少転移の治療では、治療上有効な量の薬剤は、微少転移の数又は増殖を低減;休眠腫瘍の増殖を低減又は防止;又は治療又は切除例えば、手術、放射線治療、又は化学療法等の抗癌療法を使用)後の腫瘍の再発を低減又は防止しうる。薬剤が増殖を防止し、及び/又は存在する癌細胞を死滅させうる程度まで、それは細胞分裂阻害性及び/又は細胞毒性でありうる。癌治療では、インビボでの効能は、例えば生存期間、無病生存率(DFS)、無増悪期間(TTP)、無増悪生存率(PFS)、奏功率(RR)、奏功期間、寛解持続期間、及び/又は生活の質を評価することにより測定することができる。有効な量は無病生存率(DFS)を改善、全生存率(OS)を改善、再発の可能性を低下、再発までの時間を延長、遠隔転移(つまり原発部位外での再発)までの時間を延長、癌治癒、癌の症状を改善(例えば癌に特化した調査を使用して計測)、二次原発癌の出現を低減等しうる。
「治療」とは、治療的処置及び予防的又は防止的手段の両方を意味する。治療の必要があるものは、既に疾患があるもの並びに疾患が防止されるべきものを含み、癌の発生又は再発が防止されるべきものも含まれる。
ここで使用される「積極的治療」とは、治療薬が患者に投与されている期間を意味する。例えば、治療薬が一年にわたって2週毎に患者に投与され、その後の治療又は他の療法がなされていない場合、治療薬を用いた積極的治療は、患者に薬剤が投与されていた期間の1年間である。
「標識」という語は、ここで用いられる場合、ポリペプチドに直接的又は間接的に結合する検出可能な化合物又は組成物を意味する。標識はそれ自身が検出可能でもよく(例えば、放射性同位体標識又は蛍光標識)、あるいは、酵素標識の場合には、検出可能な基質化合物又は組成物の化学的変換を触媒してもよい。
本明細書で言及された刊行物、特許出願、及び特許は、刊行物、特許、又は特許出願各々が出典明示によりあたかも明瞭及び個々に援用されているかのように、出典明示によりここに援用される。
II.抗VEGF抗体及びアンタゴニスト
(i)VEGF抗原
抗体の生産に使用されるVEGF抗原は、例えばVEGF165分子並びにVEGFの他のアイソフォーム又は所望のエピトープを含んでなるこれらの断片等でもよい。本発明の抗VEGF抗体の生成に有用なVEGFの他の形態は、当該技術者には明瞭であろう。
ヒトVEGFはハイブリダイゼーションプローブとしてウシVEGFcDNAを使用して、ヒト細胞から調製されたcDNAライブラリーを最初にスクリーニングすることによって得られた。Leung等 (1989) Science, 246:1306。それによって同定されたcDNAの一つはウシVEGFに対して95%を超える相同性を有する165アミノ酸のタンパク質をコードしている; この165アミノ酸のタンパク質は典型的にはヒトVEGF(hVEGF)又はVEGF165と呼ばれる。ヒトVEGFの分裂促進活性は、哺乳動物宿主細胞中でヒトVEGFcDNAを発現させることによって確認された。ヒトVEGFcDNAが形質移入された細胞によって条件化された培地は毛細血管内皮細胞の増殖を促進する一方、コントロール細胞は促進しなかった。上掲のLeung等(1989) Science。
血管内皮細胞増殖因子は引き続く治療用途のために天然源から単離及び精製できるが、濾胞細胞中での比較的低い濃度と、労力と費用の双方の面でのVEGFの回収の高いコストのため商業的には利用できないことが分かった。従って、組換えDNA技術によってVEGFをクローニングし発現させるために更なる努力がなされている。(例えば Ferrara (1995) Laboratory Investigation 72:615-618、及びそこに引用された文献を参照のこと)。
VEGFは、選択的RNAスプライシングから生じる複数のホモ二量体型(単量体当たり121、145、165、189及び206個のアミノ酸)として様々な組織中に発現される。VEGF121はヘパリンに結合しない可溶型マイトジェンである;VEGFのより長い型は漸次的により高い親和性でヘパリンに結合する。VEGFのヘパリン結合型はプラスミンによってカルボキシ末端を切断してVEGFの拡散性形態を放出することができる。プラスミンでの切断後に同定されるカルボキシ末端ペプチドのアミノ酸配列はArg110−Ala111である。ホモ二量体として同定されたVEGF(1−110)のアミノ末端「コア」タンパク質は中和モノクローナル抗体(例えば4.6.1及び3.2E3.1.1と呼ばれる抗体)と、無傷のVEGF165 ホモ二量体と比較して同様の親和性を持つVEGFレセプターの可溶型に結合する。
胎盤増殖因子(PIGF)、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D及びVEGF-Eを含む、VEGFと構造的に関連する幾つかの分子がまた最近同定されている。上掲のFerrara及びDavis-Smyth (1987) Endocr. Rev.; Ogawa等(1998) J. Biological Chem. 273:31273-31281; Meyer等(1999) EMBO J., 18:363-374。レセプターチロシンキナーゼFlt-4(VEGFR-3)はVEGF-C及びVEGF-Dのレセプターとして同定された。 Joukov等(1996) EMBO. J. 15:1751; Lee等(1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:1988-1992; Achen等(1998) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:548-553。VEGF-Cはリンパ性血管新生の調節に関与していることが最近示されている。Jeltsch等(1997) Science 276:1423-1425。
Flt-1(VEGFR-1とも呼ぶ)とKDR(VEGFR-2とも呼ぶ)の二つのVEGFレセプターが同定されている。Shibuya等(1990) Oncogene 8:519-527; de Vries等(1992) Science 255:989-991; Terman等(1992) Biochem. Biophys. Res. Commun. 187:1579-1586。ニューロピリン-1はヘパリン結合VEGFアイソフォームに結合可能な選択的VEGFレセプターであることが示された(Soker等 (1998) Cell 92:735-45)。Flt-I及びKDRは両方ともレセプターチロシンキナーゼ(RTK)のファミリーに属している。RTKsは多様な生物学的活性を持つ膜貫通レセプターの大きなファミリーを含んでなる。現在では、少なくとも19の別個のRTKサブファミリーが同定されている。レセプターチロシンキナーゼ(RTK)ファミリーには、様々な細胞型の成長と分化に重要なレセプターが含まれる(Yarden及びUllrich, Ann. Rev. Biochem. 57:433-478, 1988; Ullrich及びSchlessinger, Cell 61:243-254, 1990)。RTKsの本来の機能はリガンド結合の際に活性化され、レセプター及び複数の細胞基質のリン酸化を生じ、続いて様々な細胞応答を生じる (Ullrich及びSchlessinger, 1990, Cell 61:203-212)。よって、レセプターチロシンキナーゼ媒介シグナル伝達が、特異的成長因子(リガンド)との細胞外相互作用によって開始され、それに典型的にはレセプターの二量体化、本来的なプロテインチロシンキナーゼ活性の刺激及びレセプタートランス-リン酸化が続く。それによって結合部位が細胞内シグナル伝達分子のために作り出され、適切な細胞応答を容易にするある範囲の細胞質シグナル伝達分子と複合体を形成する。(例えば細胞分裂、分化、代謝効果、細胞外微小環境の変化)Schlessinger及びUllrich, 1992, Neuron 9:1-20を参照。構造的には、Flt-1とKDRの両方共、細胞外ドメインに7の免疫グロブリン様ドメイン、単一の膜貫通領域、及びキナーゼインサートドメインによって中断されているコンセンサスチロシンキナーゼ配列を有している。Matthews等(1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:9026-9030; Terman等(1991) Oncogene 6:1677-1683。
(ii)抗VEGF抗体
本発明の方法において有用である「抗VEGF抗体」は、VEGFに十分な親和性及び特異性を持って結合し、VEGFの生物学的活性を低減又は阻害することが可能である何れの抗体又はその抗原結合断片を含む。抗VEGF抗体は、通常はVEGF−B又はVEGF−C等の他のVEGF相同体にも、PlGF、PDGF、又はbFGF等の他の増殖因子にも結合しない。
ある実施態様では、抗VEGF抗体には、ハイブリドーマATCC HB 10709により生成されるモノクローナル抗VEGF抗体 A4.6.1と同様のエピトープに結合するモノクローナル抗体;Prestaら Cancer Res. 57:4593-4599 (1997)に従い産生された組換えヒト化抗VEGFモノクローナル抗体が含まれる。一実施態様では、抗VEGF抗体は、「rhuMAb VEGF」又は「アバスチン(登録商標)」としても公知の「ベバシズマブ(BV)」である。それは、そのレセプターへのヒトVEGFの結合をブロックするマウス抗hVEGFモノクローナル抗体A.4.6.1からの、抗原-結合相補性-決定領域及び変異したヒトIgG1フレームワーク領域を含む。ほとんどのフレームワーク領域を含む、ベバシズマブのアミノ酸配列の約93%が、ヒトIgG1から誘導され、配列の約7%がマウス抗体A4.6.1から誘導される。
ベバシズマブ及び他のヒト化抗VEGF抗体は、2005年2月26日に公開された米国特許第6884879号に更に記載されている。付加的な抗体には、これらの特許出願の内容が出典明示によりここに明示的に援用される、PCT出願WO2005/012359号、PCT出願WO2005/044853、及び米国特許第60/991302号に記載されるような、G6又はB20シリーズ抗体(例えば、G6−31、B20−4.1)が含まれる。さらなる抗体について、米国特許第7060269号、同6582959号、同6703020号;同6054297号;国際公開第98/45332号;国際公開第96/30046号;国際公開第94/10202号;欧州特許第0666868B1号;米国特許出願第2006009360号、同20050186208号、同20030206899号、同20030190317号、同20030203409号、及び同20050112126号; 及びPopkovら, Journal of Immunological Methods 288:149-164 (2004)を参照。他の抗体には、残基F17、M18、D19、Y21、Y25、Q89、I91、K101、E103、及びC104を含有する、又は残基F17、Y21、Q22、Y25、D63、I83及びQ89を含有する、ヒトVEGFにおける機能的エピトープに結合するものが含まれる。
本発明の一実施態様では、抗VEGF抗体は以下のアミノ酸配列を含んでなる重鎖可変領域:
EVQLVESGGG LVQPGGSLRL SCAASGYTFT NYGMNWVRQA PGKGLEWVGW
INTYTGEPTY AADFKRRFTF SLDTSKSTAY LQMNSLRAED TAVYYCAKYP
HYYGSSHWYF DVWGQGTLVT VSS (配列番号:1)
及び以下のアミノ酸配列を含んでなる軽鎖可変領域:
DIQMTQSPSS LSASVGDRVT ITCSASQDIS NYLNWYQQKP GKAPKVLIYF
TSSLHSGVPS RFSGSGSGTD FTLTISSLQP EDFATYYCQQ YSTVPWTFGQ
GTKVEIKR(配列番号:2)
を含む。
この発明の「G6シリーズ抗体」は、その全開示が出典明示によりここに明示的に援用される、PCT出願WO2005/012359の、図7、24−26、及び34−35の任意の一つのG6抗体又はG6−誘導抗体の配列から誘導された抗VEGF抗体である。更に、その全開示が出典明示によりここに明示的に援用される、PCT出願WO2005/044853を参照。一実施態様では、G6シリーズ抗体は、残基F17、Y21、Q22、Y25、D63、I83及びQ89を含有するヒトVEGFにおける機能的エピトープに結合する。
この発明の「B20シリーズ抗体」は、その全開示が出典明示によりここに明示的に援用される、PCT出願WO2005/012359の、図27−29の任意の一つのB20抗体又はB20−誘導抗体の配列から誘導された抗VEGF抗体である。更に、その全開示が出典明示によりここに明示的に援用される、PCT出願WO2005/044853及び米国特許出願第60/991302号を参照。一実施態様では、B20シリーズ抗体は、残基F17、M18、D19、Y21、Y25、Q89、I91、K101、E103、及びC104.Aを含有するヒトVEGFにおける機能的エピトープに結合する。
この発明の「機能的エピトープ」は、抗体の結合性にエネルギー的に寄与する抗原のアミノ酸残基を意味する。抗原のエネルギー的に寄与する残基の任意の一つが変異することにより(例えば、アラニンによる野生型VEGFの変異又はホモログ変異)、抗体の相対的親和性比(IC50変異VEGF/IC50野生型VEGF)が5以上になるように、抗体の結合性が乱れるであろう(国際公開第2005/012359号の実施例2を参照)。一実施態様では、相対的親和性比は、溶液結合性ファージディスプレイELISAにより測定される。簡単には、96−ウェルMaxisorp免疫プレート(NUNC)を、4℃で一晩、Fab形態の抗体でコーティングし、PBSに2ug/mlの濃度でテストし、室温で2時間、PBS、0.5%のBSA、及び0.05%のトゥイーン20(PBT)でブロックする。PBTにおいて、ファージディスプレイhVEGFアラニン点変異(残基8-109形態)又は野生型hVEGF(8-109)の連続希釈を、室温で15分、Fab-コーティングされたプレート上でまずインキュベートし、プレートをPBS、0.05%のトゥイーン20(PBST)で洗浄する。結合したファージを、PBTにおいて1:5000に希釈された抗M13モノクローナル抗体西洋ワサビペルオキシダーゼ(Amersham Pharmacia)コンジュゲートで検出し、3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン(TMB, Kirkegaard & Perry Labs, Gaithersburg, MD)基質で、約5分発現させ、1.0MのH3PO4でクエンチし、450nmで分光光度的に読み取る。IC50値の比率(IC50,ala/IC50,wt)は、結合親和性における低減倍数(相対的結合親和性)を表す。
(iii)VEGFレセプター分子
2つの最も明らかにされているVEGFレセプターは、VEGFR1(Flt-1としても知られている)及びVEGFR2(マウスホモログについてはKDR及びFLK−1としても知られている)である。各VEGFファミリーメンバーに対する各レセプターの特異性は異なるが、VEGF-AはFlt-1及びKDRの双方に結合する。完全長Flt-1レセプターは、7のIgドメインを持つ細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、及びチロシンキナーゼ活性を有する細胞内ドメインを含む。細胞外ドメインはVEGFの結合に関与し、細胞内ドメインはシグナル伝達に関与している。
VEGFに特異的に結合するVEGFレセプター分子又はその断片は、VEGFタンパク質に結合して差し押さえこれによりシグナル伝達を防止させるために、本発明の方法において使用することができる。ある実施態様では、VEGFレセプター分子、又はVEGF結合断片は可溶化形態、例えばsFlt-1である。可溶化形態のレセプターは、VEGFに結合することによりVEGFタンパク質の生物活性に阻害効果を及ぼし、よって、標的細胞の表面に存在するその天然レセプターへの結合が防止される。また、その実施例が以下に記載されるVEGFレセプター融合タンパク質が含まれる。
キメラVEGFレセプタータンパク質は、少なくとも2の異なるタンパク質から誘導されたアミノ酸配列を有するレセプター分子であり、その少なくとも一は、VEGFに結合し、その生物活性を阻害可能なVEGFレセプタータンパク質(例えば、flt-1又はKDRレセプター)である。ある実施態様では、本発明のキメラVEGFレセプタータンパク質は、2のみの異なるVEGFレセプタータンパク質から誘導されたアミノ酸配列からなる;しかしながら、flt-1及び/又はKDRレセプターの細胞外リガンド結合領域からの、1、2、3、4、5、6又は7つ全てのIg様ドメインを含むアミノ酸配列は、他の関連しないタンパク質、例えば免疫グロブリン配列からのアミノ酸配列に結合可能である。Ig様ドメインが組合せられた他のアミノ酸配列は、当業者には容易に明らかであろう。キメラVEGFレセプタータンパク質の例には、例えば可溶性Flt-1/Fc、KDR/Fc、又はFLt-1/KDR/Fc(VEGFトラップとしても知られている)が含まれる。(例えば、PCT出願公開番号97/44453号を参照)。
本発明の可溶性VEGFレセプタータンパク質又はキメラVEGFレセプタータンパク質には、膜貫通ドメインを介して細胞表面に固定されないVEGFレセプターが含まれる。しかして、キメラレセプタータンパク質を含むが、VEGFに結合して不活性にする、可溶化型のVEGFレセプターは膜貫通ドメインを含まず、よって一般的に、分子が発現される細胞の細胞膜に結合しない。
III.治療的使用
本発明は、例えば抗VEGF抗体等のVEGF特異性アンタゴニストを、1年以上被験者に投与することを含んでなるアジュバント療法の方法を提供する。いくつかの実施態様では、被験者は非転移性結腸直腸癌を持つ。該方法の幾つかの実施態様では、VEGF特異性アンタゴニストは根治治療後に投与される。ここで治療を受ける被験者は、一般的に癌再発の危険性にある。
幾つかの実施態様では、アジュバント療法の方法は、患者の無病生存率(DSF)又は全生存率(OS)を延長する。幾つかの実施態様では、DFS又はOSは、例えば治療の開始から約2から5年後に分析される等して評価される。また、癌患者に有効量のVEGF特異性アンタゴニストを投与することを含んでなるアジュバント療法の方法であって、癌の進行は、VEGF特異性アンタゴニストを用いた積極的治療の間防止又は遅延され、また積極的治療は一年以上続く方法を提供する。幾つかの実施態様では、VEGF特異性アンタゴニストを用いた積極的治療を停止した後、癌の進行は約3、4、5、又は6ヶ月防止又は遅延される。本発明は、癌患者にVEGF特異性アンタゴニストの有効量を投与することを含んでなるアジュバント療法の方法であって、VEGF特異性アンタゴニストを用いた積極的治療の間に癌の再発は防止又は遅延され、またVEGF特異性アンタゴニストを用いた積極的治療は一年以上続く方法を更に提供する。幾つかの実施態様では、VEGF特異性アンタゴニストを用いた積極的治療が停止した後、癌の再発は約3、4、5、又は6ヶ月防止又は遅延される。ある実施態様では、患者は、根治手術後にVEGF特異性アンタゴニストが投与される。ある実施態様では、抗VEGF抗体の投与を含んでなるアジュバント療法が、治療の開始から少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、少なくとも5年、少なくとも10年、又はそれ以上続けられる。
本発明は、例えば原発腫瘍等の癌の根治手術を受けた患者に、患者のDFS又はOSを延長するよう有効量のVEGF特異性アンタゴニストを投与することを含んでなるアジュバント療法の方法を提供し、VEGF特異性アンタゴニストは1年以上投与される。幾つかの実施態様では、DFS又はOSは、例えば治療の開始から約2から5年後に分析される等して評価される。また、例えば原発腫瘍等の癌の根治手術を受けた患者に、有効量のVEGF特異性アンタゴニストを投与することを含んでなるアジュバント治療法を提供し、癌の進行はVEGF特異性アンタゴニストを用いた積極的治療の間防止又は遅延され、また積極的治療は1年以上続く。幾つかの実施態様では、VEGF特異性アンタゴニストを用いた積極的治療を停止した後、癌の進行は約3、4、5、又は6ヶ月防止又は遅延される。本発明は、例えば原発腫瘍等の癌の根治手術を受けた患者に、有効量のVEGF特異性アンタゴニストを投与することを含んでなるアジュバント治療法を更に提供しており、VEGF特異性アンタゴニストを用いた積極的治療の間癌の再発は防止又は遅延され、またVEGF特異性アンタゴニストを用いた積極的治療は一年以上続く。幾つかの実施態様では、VEGF特異性アンタゴニストを用いた積極的治療が停止した後、癌の再発は約3、4、5、又は6ヶ月防止又は遅延される。ある実施態様では、抗VEGF抗体の投与を含んでなるアジュバント治療が、治療の開始から少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、少なくとも5年、少なくとも10年、又はそれ以上続けられる。
本発明は、例えば原発腫瘍等の癌の根治手術を受けた患者を治療する方法であって、患者のDFS又はOSを延長するための有効量のVEGF特異性アンタゴニストを含んでなるアジュバント療法を実施ことを含んでなり、積極的治療は1年以上継続される方法を更に提供する。幾つかの実施態様では、DFS又はOSが、治療開始の約2から約5年後に分析される等して評価される。また、有効量のVEGF特異性アンタゴニストを含んでなるアジュバント療法を実施ことを含んでなる、例えば原発腫瘍等の癌の根治手術を受けた患者を治療する方法であって、癌の進行が、VEGF特異性アンタゴニストを用いた積極的治療の間防止又は遅延され、積極的治療が1年以上継続される方法を提供する。幾つかの実施態様では、癌の進行が、VEGF特異性アンタゴニストを用いた積極的治療の停止後約3、4、5、又は6ヶ月防止又は遅延される。本発明は、有効量のVEGF特異性アンタゴニストを含んでなるアジュバント療法を実施ことを含んでなる、例えば原発腫瘍等の癌の根治手術を受けた患者を治療する方法であって、癌の再発が、VEGF特異性アンタゴニストを用いた積極的治療の間防止又は遅延され、積極的治療が1年以上継続される方法を更に提供する。幾つかの実施態様では、癌の再発が、VEGF特異性アンタゴニストを用いた積極的治療の停止後約3、4、5、又は6ヶ月防止又は遅延される。ある実施態様では、該方法は、治療の開始から少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、少なくとも5年、少なくとも10年、又はそれ以上抗VEGF抗体を投与することを含む。
例えば、方法は以下の段階を含むことが可能であり、a)各サイクルは、例えばベバシズマブ等の抗VEGF抗体等のVEGF特異性アンタゴニスト、及び場合によっては所定の間隔で少なくとも一化学療法剤を有効量患者に投与してなることを含む、複数のサイクルを含んでなる第一ステージ;及びb)各サイクルは、所定間隔で投与される何れの化学療法剤無しで、例えばベバシズマブ等の抗VEGF抗体等のVEGF特異性アンタゴニストを有効量患者に投与することを含む、複数のサイクルを含んでなる第二ステージ;且つ、第一及び第二ステージの組合せは、最初の術後治療後少なくとも1年続く。幾つかの実施態様では、第一及び第二ステージの組合せは、最初の術後治療後少なくとも1年以上続く。
幾つかの実施態様では、第二ステージは、最初の術後治療後1年以上、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、少なくとも5年、又は少なくとも10年続く。一実施態様では、第一ステージは第一の複数の治療サイクルを含み、例えばベバシズマブ等の抗VEGF抗体等のVEGF特異性抗体及び第一の化学療法レジメンが実施され、次に第二の複数の治療サイクルがなされ、例えばベバシズマブ等の抗VEGF抗体等のVEGF特異性抗体及び第二の化学療法レジメンが実施される。
一例では、該方法は、修飾FOLFOX6(1日目にオキサリプラチン(85mg/m)とロイコボリン(400mg/m)及び5−FU(400mg/mIVボーラス)との併用、及び1日目及び2日目に46時間にわたって5−FU(2400mg/m))を14日毎で12サイクル(6ヶ月)に加えて、各化学療法サイクルの一日目オキサプラチンの前に投与されるベバシズマブ(5mg/kgIV)を14日毎で1年投与することを含む。
一投与スケジュールでは、本発明のアジュバント治療は、例えば抗VEGF抗体等のVEGF特異性アンタゴニスト及び1以上の化学療法剤が複数の治療サイクルで患者に投与される第一ステージ;及び例えば抗VEGF抗体等のVEGF特異性抗体が複数の維持サイクルにおいて単剤として使用される第二ステージを含む。各治療サイクルは、特定の治療計画によって、1〜3週からなる。例えば、治療サイクルはVEGF特異性アンタゴニストとしてベバシズマブを含むことが可能であり、3週であり得、これは患者は3週毎に化学療法剤を一投与及びベバシズマブを一投与を受けることを意味する。治療サイクルは2週も可能であり、これは患者は隔週で化学療法剤を一投与及びベバシズマブを一投与を受けることを意味する。全第一ステージの治療は、約4−12サイクル続くことが可能である。第二の維持ステージの間、ベバシズマブが、特定のサイクルの長さによって週二回又は週三回、計約10−50回与えられてもよい。一実施態様では、アジュバント治療は治療の開始(例えば術後初回治療)から少なくとも1年間続き、被験者の進行はそれ以後追跡されるだろう。幾つかの実施態様では、抗VEGF抗体アジュバント治療は、治療の開始から1年以上、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、少なくとも5年、又は少なくとも10年、又は死亡まで続く。
疾病のタイプ及び重症度に応じて、抗VEGF抗体の好ましい用量は、約1μg/kgから約50mg/kg、最も好ましくは約5mg/kgから約15mg/kgの範囲が可能であり、5mg/kg、7.5mg/kg、又は10mg/kgに限らないがこれを含む。幾つかの態様では、化学療法レジメンは従来の高用量の間欠投与を含む。幾つかの他の態様では、化学療法剤は、より低量及びより高頻回の用量を計画休止無しで投与される(「メトロノミック療法」)。本発明の治療の進行は、従来の技術及びアッセイで容易にモニターされる。
抗体及び化学量法の投与は、化学療法(例えば、ロイコボリン、オキサリプラチン、5−FU、イリノテカン、又はこれらの組合せ)のみを用いて治療された被験者と比較して、癌患者における疾病再発の可能性(原発臓器での癌再発及び/又は遠隔再発)を低下することが可能である。
一態様では、本発明は、患者の無病生存率(DSF)又は全生存率(OS)を延長するために、根治手術後に、有効量の抗VEGF抗体を癌患者に投与することを含んでなるアジュバント治療の方法を提供する。DFS又はOSは、治療の開始から約2〜5年後に分析される等して評価されてもよい。幾つかの実施態様では、DFS又はOSは、治療の開始から1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10年後に分析される等して評価される。本発明は、患者の癌再発を防止する方法も提供し、有効量の抗VEGF抗体を患者に投与することを含んでなり、抗VEGF抗体の該投与は癌再発を防止する。本発明は、患者の癌再発の可能性を低下する方法を更に提供し、有効量の抗VEGF抗体を患者に投与することを含んでなり、抗VEGF抗体の該投与は癌再発の可能性を低下させる。本発明の方法の幾つかの実施態様では、VEGF特異性アンタゴニストの該投与は、臨床的に検出可能な腫瘍又はその転移の発生の可能性を防止又は低減する。
アジュバント治療では、VEGF特異性アンタゴニストは、腫瘍の転移を低減(20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又はそれ以上)又は阻害するため;腫瘍成長又は腫瘍細胞増殖を低減又は阻害するため;休眠腫瘍の成長を低減又は防止するため;微少転移の成長又は増殖を低減又は阻害するため;治療後又は除去後の腫瘍の再成長を低減又は防止するため;及び/又は癌に伴う一以上の症状をある程度緩和するために、一定量又は一定期間(例えば、期間にわたった特定の治療レジメン)、投与されてもよい。
VEGF特異性アンタゴニストは、被験者が手術から回復する一定期間後に一般的に投与される。この期間は、創傷治癒又は外科的切開の治癒に必要な期間、創傷離開の危険性を低減するのに必要な期間、又は被験者が手術前の健康のレベルと本質的に同程度又はそれ以上のレベルに回復するのに必要な期間を含む。根治手術の完了と抗VEGF抗体の初回投与との間の期間は休薬に必要な期間を含んでもよく、被験者は治療レジメン間の一定期間を要望又は要求する。一般的に、根治手術の完了と抗VEGF抗体治療開始との間の期間は、1週未満、1週、2週、3週、4週(28日)、5週、6週、7週、8週、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、1年、2年、3年、又はそれ以上を含んでもよい。一実施態様では、根治手術と抗VEGF抗体投与との間の期間は2週以上及び1年未満である。
一例では、例えば抗VEGF抗体等のVEGF特異性抗体は、無病生存率(DSF)又は全生存率(OS)を延長するための有効量が投与される。DFS又はOSは、例えば治療の開始から約2から5年後に分析等されて評価されてもよい。ある実施態様では、被験者ののDFS又はOSは、治療の開始又は初回診断の、約3−5年、約4−5年、又は少なくとも約4、又は少なくとも約5年後分析される等して評価されてもよい。
VEGF特異性アンタゴニストは単剤として投与されてもよい。また、本発明は、少なくとも一VEGF特異性アンタゴニストの一以上の追加抗癌治療との組合せの用途も取り上げる。抗癌治療の例は、手術、放射線療法、生物療法、免疫療法、化学療法、又はこれらの治療法の組合せを、限定することなく含む。さらに、細胞障害剤、抗血管新生剤及び抗増殖剤が、VEGF特異性アンタゴニストと組合わせて使用されてもよい。
ある態様では、VEGF特異性アンタゴニストは、結腸直腸癌の治療のアジュバント療法のために、根治手術後に、一以上の化学療法剤と組合わせて使用される。様々な化学療法剤が、本発明の組合せ治療法において使用されうる。例示的ではあるが限定しない、考えられる化学療法剤が、ここの「定義」セクションに提供され、又ここに説明される。
一例では、本発明はVEGF特異性アンタゴニストの一以上の化学療法剤との使用(例えば、カクテル)を取り上げる。幾つかの実施態様では、癌は結腸直腸癌であり、化学療法剤は、特に結腸直腸癌に使用されるものでもよく、5−フルオロウラシル、オキサリプラチン、イリノテカン、又はこれらの化学療法剤の二以上の組合せを含むがこれに限らない。組合せ投与は、別々の処方又は単一の製剤処方を使用した同時投与、及び場合によっては両(又は全)活性剤が生物学的活性を同時に示す期間があるようないずれかの順番での連続投与を含む。これらの化学療法剤の調合及び投与計画は、製造者の指示に従って、又は技術実践者による経験的な決定に従って使用されてもよい。化学療法剤の調合及び投薬計画は、Chemotherapy Service Ed., M. C. Perry, Williams & Wilkins, Baltimore, Md. (1992)にも記載されている。化学療法剤は、VEGF特異性アンタゴニストの投与の前又は後でもよく、又はそれと同時に投与されてもよい。
組合せ投与は、別々の処方又は単一の製剤処方を使用した、同時投与又は併用投与、及び場合によっては両(又は全)活性剤が生物学的活性を同時に示す期間があるようないずれかの順番での連続投与を含む。従って、化学療法剤は、例えば抗VEGF抗体等のVEGF特異性アンタゴニストの投与の前又は後に投与されてもよい。一実施態様では、少なくとも化学療法剤の一投与と少なくとも例えば抗VEGF抗体等のVEGF特異性アンタゴニストの一投与との間の時間は、好ましくはおよそ一ヶ月以下、最も好ましくはおよそ3週、2週、又はそれ以下である。別法では、化学療法剤及び抗VEGF抗体は、単一の処方又は別々の処方で患者に同時に投与される。化学療法剤(例えば、ロイコボリン、オキサリプラチン、5−フルオロウラシル、イリノテカン、又はその組合せ)と抗VEGF抗体(例えば、ベバシズマブ)との組合せを用いた治療は、患者に相乗的、又は相加よりも大きな治療効果となり得る。
化学療法剤は、投与される場合は、通常は既知の用量で、又は場合によっては薬剤の複合作用又は代謝拮抗薬の投与に起因する副作用のためにより低用量で投与される。このような化学療法剤の調合及び投与計画は、製造者の指示に従って又は技術実践者により経験的に決定されて使用されて得る。
幾つかの他の態様では、本発明の抗VEGF抗体との併用腫瘍治療に有用である他の治療剤は、腫瘍増殖に関与する他の因子、例えばEGFR、ErbB2(Her2としても知られる)ErbB3、ErbB4、又はTNFのアンタゴニストを含む。場合によっては、一以上のサイトカインを患者に投与することも有益であり得る。好ましい実施態様では、抗VEGF抗体抗体は、増殖阻害剤又は細胞障害剤と併用される。例えば、成長阻害剤又は細胞障害剤が最初に投与され、次に抗VEGF抗体が投与されてもよい。しかしながら、同時投与又は抗VEGF抗体の先の投与も考えられる。増殖阻害剤の適切な投薬量は、現在使用されているものであり、増殖阻害剤及び抗VEGF抗体の複合作用(相乗的)のためにより低くされてもよい。
ここでの製剤は、扱われている特定の指示の必要に応じて一以上の活性化合物を含有してもよく、好ましくは互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を有するものである。例えば、一製剤において、EGFR、VEGFに結合する抗体(例えば、VEGFの異なるエピトープに結合する抗体)、VEGFR、又はErbB2に結合する抗体(例えば、ハーセプチン(登録商標))を更に提供することが望まれうる。別法では、又は更には、組成物は、細胞障害剤、サイトカイン、成長阻害剤、及び/又は小分子VEGFアンタゴニストを含有してもよい。このような分子は意図される目的に有効である量の組合せで適切に存在する。
ある態様では、本発明の抗体との併用癌治療に有用である他の治療剤は、他の抗血管新生剤を含む。多くの抗血管新生剤が同定されており、当該技術において公知であり、Carmeliet and Jain Nature 407(6801):249-57 (2000)にリストされているものを含む。好ましくは、本発明の抗VEGF抗体は、例えば、VEGF変異体、可溶性VEGFレセプター断片、VEGF又はVEGFRを遮断可能なアプトマー、中和抗VEGF抗体、VEGFRチロシンキナーゼの低分子量阻害剤、及びこれらの組合せ等の、別のVEGFアンタゴニスト又はVEGFレセプターアンタゴニストと併用される。別法では、又は更に、二以上の抗VEGF抗体が患者に併用されてもよい。
アジュバント治療法では、VEGF特異性アンタゴニストの適切な用量は、上述のように、治療される疾病のタイプ、疾病の重症度及び経過、薬歴、患者の病歴及びVEGF特異性アンタゴニストに対する反応、及び担当医の裁量に依存し得る。VEGF特異性アンタゴニストは、一回で又は一連の治療にわたって患者に適切に投与され得る。併用治療レジメンでは、本発明の、VEGF特異性アンタゴニスト及び一以上の抗癌治療剤は、治療上効果的又は相乗的な量で投与される。ここで使用される場合、治療上効果的な量とは、VEGF特異性抗体及び一以上の他の治療剤の同時投与、又は本発明の組成物の投与が上述されたような癌の低減又は阻害となる量である。治療上相乗的な量とは、相乗的に又は著しく癌再発を防止するのに必要なVEGF特異性アンタゴニスト及び一以上の他の治療剤の量である。
VEGF特異性アンタゴニスト及び一以上の他の治療剤は、腫瘍、休眠腫瘍、又は微少転移の発生又は再発を低減又は除去するのに十分である量及び時間で、同時に又は連続して投与されることが可能である。VEGF特異性アンタゴニスト及び一以上の他の治療剤は、腫瘍の再発の可能性を防止又は低減するための維持治療として投与されてもよい。
当該技術の一般の技術者によって理解されるように、化学療法剤又は他の抗癌剤の適切な用量は一般的に、臨床治療において既に採用されているぐらいの量であると考えられ、例えば化学療法剤は、単独で又は他の化学療法剤との組合せで投与される。投薬量の変化が、治療される状態に依存して生じると考えられる。治療を行う医師が、個々の被験者に適切な用量を決定することが出来るだろう。
上記の治療レジメンに加えて、患者は放射線療法を課されてもよい。
ある実施態様では、投与される抗VEGF抗体は、インタクトの、ネイキッド抗体である。しかしながら、抗VEGF抗体は細胞障害剤とコンジュゲートされてもよい。ある実施態様では、コンジュゲートした抗体及び/又はそれが結合した抗原は細胞によって取り込まれ、その複合体が結合した癌細胞の殺傷において治療効果を増加することとなる。ある実施態様では、細胞障害剤は癌細胞の核酸を標的又は干渉する。このような細胞障害剤の例は、マイタンシノイド、カリケアマイシン、RNA分解酵素及びDNAエンドヌクレアーゼを含む。
IV.用量及び期間
VEGF特異性アンタゴニストの組成物は、適正な医療行為に合致する方法で、製剤、服用および投与される。ここで考慮する要因には、治療される特定の疾患、治療される特定の被験者、個々の患者の臨床症状、疾患の原因、薬剤の送達の部位、投与の方法、投与のスケジュール、および医師が知りうる他の要因が含まれる。投与されるVEGF特異性アンタゴニストの「治療上の有効量」は、このような考慮によって調整され、良性、前癌、又は早期癌を予防、改善、治療、又は安定化するために、又は腫瘍、休眠腫瘍、又は微少転移の発生又は再発を治療又は防止するために、例えば、ネオアジュバント又はアジュバント量法において、必要な最小限の用量である。VEGF特異性アンタゴニストは、必要ではないが場合によっては、癌又は癌を発症の危険性を防止又は治療するために現在使用されている一以上の薬剤と共に製剤される。このような他の薬剤の有効量は、製剤におけるVEGF特異性アンタゴニストの量、疾患または治療の種類、及び上述の他の要因に依存する。これらは、一般的に、前述したのと同じ用量及び投与経路で、又は前述で採用した用量の1〜99%で使用される。
疾病のタイプ及び重症度に応じて、約1μg/kgから約100mg/kg(例えば、0.1−20mg/kg)のVEGF特異性アンタゴニストが、患者に投与される初回の候補投与であり、例えば、一以上の個別投与か又は持続注入か等による。
一般的な一日の用量は、上述の要因に依存して、約1μg/kgから約100mg/kg又はそれ以上の範囲となり得る。特に望ましい用量は、例えば5mg/kg、7.5mg/kg、又は10mg/kgを含む。数日又はそれ以上にわたる反復投与では、状態によるが、治療は癌が処置されるまで持続され、上述の又は当該技術で知られる方法によって測定される。しかしながら、他の投薬レジメンが有用であり得る。一例では、VEGF特異性アンタゴニストが抗体である場合、本発明の抗体は、週に一度、二週毎、又は三週毎に、約5mg/kgから約15mg/kgの範囲の用量で投与され、5mg/kg、7.5mg/kg、又は10mg/kgに限らないがこれを含む。本発明の治療の進行は従来の技術及びアッセイで容易にモニターされる。
治療期間は、医学的に示されるだけ又は所望の治療効果(例えばここに記載されるもの)が達成されるまで継続されるだろう。幾つかの実施態様では、治療は1年以上続けられる。ある実施態様では、VEGF特異性アンタゴニスト療法は、2ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、8ヶ月、10ヶ月、1年、2年、3年、4年、5年、又は被験者の寿命までの何年かの期間継続される。幾つかの実施態様では、治療は疾病が進行するまで継続される。幾つかの実施態様では、治療は疾病再発がない間継続される。
本発明のVEGF特異性アンタゴニストは、例えば、ボーラス又は所定時間に渡る持続注入による静脈内投与、筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、皮下、関節間、滑膜内、鞘内、経口、局所、又は吸入経路等の既知の方法に従って、例えばヒト等の被験者に投与される。大きい副作用又は毒性がVEGF拮抗作用に伴う場合、局所投与が特に所望される。エクスビボストラテジーも治療応用に使用可能である。エクスビボストラテジーは、被験者から得られた細胞を、VEGFアンタゴニストをコードするポリヌクレオチドでトランスフェクト又はトランスデュースすることを含む。そしてトランスフェクト又はトランスデュースされた細胞は被験者に戻される。細胞は広範囲のタイプの何れでもよく、造血系細胞(例えば、骨髄細胞、マクロファージ、単球、樹状細胞、T細胞、又はB細胞)、繊維芽細胞、上皮細胞、内皮細胞、ケラチノサイト、又は筋細胞を含むがこれに限らない。
例えば、VEGF特異性アンタゴニストが抗体である場合、抗体はいずれの適切な手段で投与され、非経口、皮下、腹腔内、肺内、及び鼻腔内を含み、必要であれば局所的な免疫抑制療法の病巣内投与を含む。非経口注入は、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、又は皮下投与を含む。また、抗体は、パルス注入によって、特に減少用量の抗体で適切に投与される。好ましくは、投薬は、投与が短期か慢性であるかどうかに部分的に依存して、注射、最も好ましくは静脈内又は皮下注射によってなされる。
別の例では、VEGF特異性アンタゴニストの化合物は、例えば直接注入等によって局所的に投与され、腫瘍の疾患又は場所が許せば注入は周期的に繰り返されることが可能である。VEGF特異性アンタゴニストは、患者に全身的に又は腫瘍細胞に直接、例えば、外科的切除後に腫瘍又は腫瘍床に、例えば休眠腫瘍又は転移等の局所再発又は転移を防止又は低減するために届けることも可能である。
別法では、VEGF特異性アンタゴニストをコードする核酸配列を含んでなる阻害性核酸分子又はポリヌクレオチドが、患者の適切な細胞に届けられることが可能である。ある実施態様では、核酸は腫瘍自体に指向されることが可能である。
核酸は、採用されるベクターに適したいずれの手段によって細胞に導入されることが可能である。多くのこのような方法は、当該技術で周知である(Sambrook等, supra,及びWatson等, Recombinant DNA, Chapter 12, 2d edition, Scientific American Books, 1992)。遺伝子導入の方法の例は、リポソーム媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム/DEAEデキストラン法、遺伝子銃、及びマイクロインジェクションを含む。
V.製剤処方
本発明に従い使用されるアンタゴニストの治療製剤は、例えば、所望される程度の純度を持つ抗体を、任意の生理学的に許容可能な担体、賦形剤又は安定剤と混合する等、当該技術で知られる標準的な方法を使用して(Remington’s Pharmaceutical Sciences (20th edition), ed. A. Gennaro, 2000, Lippincott, Williams & Wilkins, Philadelphia, PA)、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態で作成される。許容可能な担体、賦形剤及び安定剤は、用いられる投与量及び濃度ではレシピエントに対して無毒性であり、リン酸塩、クエン酸塩及び他の有機酸等のバッファー;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;保存料(例えば塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;アルキルパラベン類、例えばメチル又はプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性重合体;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、又はリジン等のアミノ酸;グルコース、マンノース又はデキストリン等の単糖類、二糖類及び他の炭水化物、EDTA等のキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトール等の糖類;ナトリウム等の塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);及び/又はTWEENTM、PLURONICSTM又はポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤を含む。好ましい凍結乾燥された抗VEGF抗体製剤は国際公開第97/04801号に記載され、出典明示によりここに援用される。
場合によっては、しかし好ましくは、製剤は薬学的に許容可能な塩、好ましくは塩化ナトリウムを、好ましくは生理学的濃度で含有する。場合によっては、本発明の製剤は、薬学的に許容可能な保存料を含有することができる。幾つかの実施態様では、保存料濃度は、典型的には0.1〜2.0%v/vの範囲である。適切な保存料には、製薬分野でよく知られているものが含まれる。ベンジルアルコール、フェノール、m-クレゾール、メチルパラベン、及びプロピルパラベンが、好ましい保存料である。場合によっては、本発明の製剤は0.005〜0.02%の濃度で薬学的に許容可能な界面活性剤を含有することができる。
一実施態様では、ベバシズマブは、4ml又は16mlのベバシズマブ(25mg/ml)を導入するために、100mg及び400mgの、防腐剤を含まない、単回使用の薬瓶で治療的用途のために供給される。100mgの生成物は、240mgのα,α-トレハロース無水和物、23.2mgのリン酸ナトリウム(一塩基性、一水和物)、4.8mgのリン酸ナトリウム(二塩基性、無水)、1.6mgのポリソルベート20および注入用の水(Water for Injection, USP)に製剤化される。400mgの生成物は、960mgのα,α-トレハロース無水和物、92.8mgのリン酸ナトリウム(一塩基性、一水和物)、19.2mgのリン酸ナトリウム(二塩基性、無水)、6.4mgのポリソルベート20および注入用の水に製剤化される。
また、ここでの製剤は、治療されている特定の適応に必要な一以上の活性化合物、好ましくはお互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を持つものを含有しうる。例えば、一製剤において、EGFR、VEGFに結合する抗体(例えば、VEGFの異なるエピトープに結合する抗体)、VEGFR、又はErbB2に結合する抗体(例えば、ハーセプチン)を更に提供することが望まれうる。別法では、又は更には、組成物は、細胞障害剤、サイトカイン、成長阻害剤、及び/又は小分子VEGFアンタゴニストを含有してもよい。このような分子は意図される目的に有効である量の組合せで適切に存在する。
また、活性成分は、例えばコアセルベーション技術により又は界面重合により調製されたマイクロカプセル、例えば、各々ヒドロキシメチルセルロース又はゼラチン-マイクロカプセル及びポリ(メタクリル酸メチル)マイクロカプセル中、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミン小球、マイクロエマルション、ナノ粒子及びナノカプセル)中、又はマイクロエマルション中に包括されていてもよい。これらの技術はRemington’s Pharmaceutical Sciences, supraに開示されている。
徐放性調製物を調製してもよい。徐放性調製物の好適な例は、アンタゴニスト含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスを含み、このマトリックスは成形された物品、例えばフィルム、又はマイクロカプセルの形状である。徐放性マトリックスの例は、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリラート)、又はポリ(ビニルアルコール))、ポリアクチド(米国特許第3773919号)、L-グルタミン酸及びγ-エチル-L-グルタマートのコポリマー、非分解性エチレン-酢酸ビニル、LUPRON DEPOT?(乳酸-グリコール酸コポリマーと酢酸リュープロリドからなる注射可能な小球)などの分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、及びポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸を含む。エチレン-酢酸ビニル及び乳酸-グリコール酸等のポリマーは分子を100日に渡って放出することができるが、ある種のヒドロゲルはより短時間でタンパク質を放出してしまう。カプセル化されたタンパク質が身体内に長時間残ると、それらは37℃の水分に露出されることにより変性又は凝集し、その結果、生物活性の喪失及び起こりうる免疫原性の変化をもたらす。合理的な方法は、含まれる機構に依存する安定化について工夫することができる。例えば、凝集機構がチオ−ジスルフィド交換を通した分子間S-S結合形成であると発見された場合、安定化はスルフヒドリル残基の修飾、酸性溶液からの凍結乾燥、水分含有量の制御、適切な添加剤の使用、及び特異的ポリマーマトリクス組成物の開発によって達成されうる。
インビボ投与に用いる調製物は滅菌されなければならない。これは滅菌濾過膜を通す濾過によって容易く達成できる。
VI.治療の効果
本発明は、癌患者におけるアジュバント療法の方法を提供し、治療は、著しい毒性又は副作用を引き起こすことなく、有益な抗癌効果を生む。本発明の治療の効果は、癌治療を評価する際に通常使用される様々なエンドポイントによって測定され得、生存期間、無病生存率、無増悪生存率、腫瘍増殖停止時間、寛解期間、及び/又は生活の質を含むがこれに限らない。本発明の抗血管新生剤は腫瘍の脈管構造を標的とし必ずしも新生物細胞自体を標的とはしないので、独特のクラスの抗癌剤であり、よって独特の基準及び薬剤に対する臨床奏効の定義を必要としうる。例えば、二次元解析で50%を越える腫瘍縮小は奏効を宣言する標準的なカットオフである。しかしながら、本発明の抗VEGF抗体は原発性腫瘍の縮小なしに転移拡散を阻害し、又は単に腫瘍抑制作用を生じうる。従って、例えば、血管新生の血漿又は尿マーカーの測定と放射線画像の測定を含む抗血管新生療法の効能を決定するための新しいアプローチ法が用いられなければならない。
一実施態様では、本発明は、ヒト患者において、癌再発の可能性を防止又は低下する方法を提供する。
一例では、例えば抗VEGF抗体等のVEGF特異性アンタゴニストは、DFS又はOSを延長するために有効な量で投与され、DFS又はOSは、抗体の初回投与から約2から約5年後に分析される等して評価される。ある実施態様では、患者のDFS又はOSは、治療の開始又は初回診断の、約3−5年、約4−5年、又は少なくとも約4年、又は少なくとも約5年、又は少なくとも約6年、又は少なくとも約7年、又は少なくとも約8年、又は少なくとも約9年、又は少なくとも約10年後分析される等して評価される。
一実施態様では、本発明の方法は、癌又は癌再発を起こしやすい又はと診断された患者の生存期間を増加するために使用されることも可能である。生存期間は、最初の薬剤の投与から死亡までの時間として定義される。生存期間は、治療群対コントロール群の階層化ハザード比(HR)によって決定されることが可能であり、これは治療期間の患者の死亡の危険性を表す。
更に別の実施態様では、本発明の治療は、癌を起こしやすい又はと診断された、様々な抗癌治療を受けた、例えばヒト患者等の被験者の群における奏効率を著しく増加する。奏効率は、治療に応答した治療患者のパーセンテージとして定義される。一態様では、抗VEGF抗体及び手術、放射線療法、又は一以上の化学療法剤を使用した本発明の組合せ治療は、手術、放射線療法、又は化学療法剤のみで治療された群と比較して、治療患者群の奏効率を有意に増加する。
VII.抗体生産
(i)ポリクローナル抗体
ポリクローナル抗体は、好ましくは、関連する抗原とアジュバントを複数回皮下(sc)又は腹腔内(ip)注射することにより動物に産生される。免疫化される種において免疫原性であるタンパク質、例えばキーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシサイログロブリン、又は大豆トリプシンインヒビターに関連する抗原を、二官能性又は誘導体形成剤、例えばマレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基によるコンジュゲート)、N-ヒドロキシスクシンイミド(リジン残基による)、グルタルアルデヒド、無水コハク酸、SOCl、又はRとRが異なったアルキル基であるRN=C=NRによりコンジュゲートさせることが有用である。
動物を、例えばタンパク質又はコンジュゲート100μg又は5μg(それぞれウサギ又はマウスの場合)を完全フロイントアジュバント3容量と併せ、この溶液を複数部位に皮内注射することによって、抗原、免疫原性コンジュゲート、又は誘導体に対して免疫化する。1ヶ月後、該動物を、完全フロイントアジュバントに入れた初回量の1/5ないし1/10のペプチド又はコンジュゲートを用いて複数部位に皮下注射することにより、追加免疫する。数日ないし14日後に動物を採血し、抗体価について血清を検定する。動物は、力価がプラトーに達するまで追加免疫する。好ましくは、動物は、同じ抗原のコンジュゲートであるが、異なったタンパク質にコンジュゲートさせた、及び/又は異なった架橋剤によってコンジュゲートさせたコンジュゲートで追加免疫する。コンジュゲートはまたタンパク融合として組換え細胞培養中で作製することもできる。また、ミョウバンのような凝集化剤が、免疫反応の増強のために適切に使用される。
(ii)モノクローナル抗体
モノクローナル抗体を生成するための様々な方法が当該技術において利用可能である。例えば、モノクローナル抗体は、Kohler等, Nature, 256:495 (1975)により最初に記載されたハイブリドーマ法を用いて作製でき、又は組換えDNA法(米国特許第4816567号)によって作製することができる。
ハイブリドーマ法においては、マウス又はその他の適当な宿主動物、例えばハムスターを上記したようにして免疫し、免疫化に用いられるタンパク質と特異的に結合する抗体を生産するか又は生産することのできるリンパ球を導き出す。別法として、リンパ球をインビトロで免疫してもよい。次に、リンパ球を、ポリエチレングリコールのような適当な融剤を用いて骨髄腫細胞と融合させ、ハイブリドーマ細胞を形成させる(Goding, Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,pp.59-103(Academic Press, 1986))。
このようにして調製されたハイブリドーマ細胞を、融合していない親の骨髄腫細胞の増殖又は生存を阻害する一又は複数の物質を好ましくは含む適当な培養培地に蒔き、増殖させる。例えば、親の骨髄腫細胞が酵素ヒポキサンチングアニジンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)を欠失するならば、ハイブリドーマのための培養培地は、典型的には、HGPRT欠失細胞の増殖を妨げる物質であるヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジンを含有するであろう(HAT培地)。
好ましい骨髄腫細胞は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による抗体の安定な高レベルの生産を支援し、HAT培地のような培地に対して感受性である細胞である。これらの中でも、好ましい骨髄腫細胞系は、マウス骨髄腫系、例えば、ソーク・インスティテュート・セル・ディストリビューション・センター、サンディエゴ、カリフォルニア、USAから入手し得るMOPC-21及びMPC-11マウス腫瘍、及びアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション、ロックヴィル、メリーランド、USAから入手し得るSP-2又はX63-Ag8-653細胞から誘導されたものである。ヒト骨髄腫及びマウス-ヒトヘテロ骨髄腫細胞系もまたヒトモノクローナル抗体の産生のために記載されている(Kozbor, J.Immunol., 133:3001 (1984);Brodeurら, Monoclonal antibody Production Techniques and Applications, pp.51-63(Marcel Dekker, Inc., New York, 1987))。
ハイブリドーマ細胞が生育している培養培地を、抗原に対するモノクローナル抗体の産生についてアッセイする。好ましくは、ハイブリドーマ細胞により産生されるモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降又はインビトロ結合検定、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)又は酵素結合免疫吸着検定(ELISA)によって測定する。
所望の特異性、親和性、及び/又は活性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞が同定された後、該クローンを限界希釈法によりサブクローニングし、標準的な方法により増殖させることができる(Goding, Monoclonal antibodies:Principles and Practice, pp.59-103(Academic Press, 1986))。この目的に対して好適な培養培地には、例えば、D-MEM又はRPMI-1640培地が包含される。加えて、該ハイブリドーマ細胞は、動物において腹水腫瘍としてインビボで増殖させることができる。
サブクローンにより分泌されたモノクローナル抗体は、例えばプロテインA-セファロース、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、又はアフィニティークロマトグラフィーのような従来からの免疫グロブリン精製法により、培養培地、腹水、又は血清から好適に分離される。
モノクローナル抗体をコードしているDNAは、従来からの手段を用いて(例えば、マウス抗体の重鎖及び軽鎖をコードしている遺伝子に特異的に結合できるオリゴヌクレオチドプローブを用いることにより)即座に分離され配列決定される。ハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの好ましい供給源である。ひとたび分離されたならば、DNAを発現ベクター中に入れ、ついでこれを、そうしないと免疫グロブリンタンパク質を産生しない大腸菌細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、又は骨髄腫細胞のような宿主細胞中に形質移入し、組換え宿主細胞中でモノクローナル抗体の合成をなすことができる。抗体の組換え生産は、下記でより詳細に記載されるだろう。
さらなる実施態様では、抗体又は抗体断片は、McCaffertyら, Nature, 348:552-554 (1990)に記載された技術を使用して産生される抗体ファージライブラリから単離することができる。Clacksonら, Nature, 352:624-628 (1991)及び Marks等, J.Mol.Biol.,222:581-597 (1991)は、ファージライブラリを使用したマウス及びヒト抗体の単離を記述している。続く刊行物は、鎖シャフリングによる高親和性(nM範囲)のヒト抗体の生産(Marksら, Bio/Technology, 10:779-783(1992))、並びに非常に大きなファージライブラリを構築するための方策としてコンビナトリアル感染とインビボ組換え(Waterhouse等, Nuc. Acids. Res., 21:2265-2266(1993))を記述している。従って、これらの技術はモノクローナル抗体の単離に対する伝統的なモノクローナル抗体ハイブリドーマ技術に対する実行可能な別法である。
DNAはまた、例えば、ヒト重鎖及び軽鎖定常ドメインのコード化配列を、相同的マウス配列に代えて置換することにより(米国特許第4,816,567号;Morrison等, Proc. Natl Acad. Sci. USA, 81:6851(1984))、又は免疫グロブリンコード配列に非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列の全部又は一部を共有結合させることで修飾できる。
典型的には、このような非免疫グロブリンポリペプチドは、抗体の定常ドメインに置換され、又は抗体の1つの抗原結合部位の可変ドメインに置換されて、抗原に対する特異性を有する1つの抗原結合部位と、異なる抗原に対する特異性を有するもう一つの抗原結合部位とを含むキメラ二価抗体を作り出す。
(iii)ヒト化及びヒト抗体
ヒト化抗体は、非ヒトである供給源から導入された一又は複数のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基はしばしば「移入」残基と呼ばれ、これは典型的には「移入」可変ドメインから取られている。ヒト化は、本質的にはウィンター及び共同研究者の方法(Jones等, Nature, 321:522-525 (1986); Riechmann等, Nature, 332:323-327 (1988); Verhoeyen等, Science, 239:1534-1536 (1988))に従って、齧歯類CDR又はCDR配列でヒト抗体の対応配列を置換することにより、実施することができる。従って、このような「ヒト化」抗体は、無傷のヒト可変ドメインより実質的に小さい部分が非ヒト種由来の対応配列によって置換されているキメラ抗体である(米国特許第4816567号)。実際、ヒト化抗体は、典型的には、幾つかのCDR残基及びことによると幾つかのFR残基が、齧歯類抗体の類似部位からの残基によって置換されているヒト抗体である。
ヒト化抗体の作製に使用される軽鎖と重鎖両方のヒト可変ドメインの選択は、抗原性を低下させるために非常に重要である。いわゆる「ベストフィット」法によれば、齧歯類抗体の可変ドメインの配列を既知のヒト可変ドメイン配列の全ライブラリーに対してスクリーニングする。次いで、齧歯類の配列に最も近いヒト配列を、ヒト化抗体のためのヒトフレームワーク(FR)として受け入れる(Sims等, J.Immunol., 151:2296 (1993);Chothiaら, J.Mol.Biol., 196:901 (1987))。もう一つの方法は、軽鎖又は重鎖の特定のサブグループの全てのヒト抗体のコンセンサス配列から誘導される特定のフレームワークを使用するものである。同じフレームワークを幾つかの異なるヒト化抗体に使用することができる(Carter等, Proc.Natl.Acad.Sci. USA, 89:4285 (1992);Presta等, J.Immunol., 151:2623 (1993))。
更に、抗体は、抗原に対する高親和性及び他の望ましい生物学的性質を保持したままヒト化することが重要である。この目的を達成するため、好ましい方法によれば、親配列及び様々な概念的ヒト化生成物を、親およびヒト化配列の三次元モデルを用いて分析する工程によって、ヒト化抗体を調製する。三次元免疫グロブリンモデルは一般に利用でき、当業者には良く知られている。選ばれた候補免疫グロブリン配列の可能な三次元コンホメーション構造を例示し表示するコンピュータープログラムが利用できる。これらの表示を調べることにより、候補免疫グロブリン配列の機能における残基の可能な役割の分析、すなわち、候補免疫グロブリンがその抗原を結合させる能力に影響を及ぼす残基の分析が可能となる。このようにしてレシピエント及び移入配列からのFR残基を選択し、結びつけることができ、所望の抗体の特性、例えば標的抗原に対する親和性の増加が達成される。一般に、CDR残基は、直接的かつ最も実質的に抗原結合への影響に関与する。
ヒト化抗VEGF抗体及びこれの親和性成熟変異体は、例えば2005年2月26日に公開された米国特許第6884879号に記載されている。
あるいは、現在では、免疫化することで、内因性免疫グロブリンの産生がなく、ヒト抗体の全レパートリーを産生することのできるトランスジェニック動物(例えば、マウス)を作ることが可能である。例えば、キメラ及び生殖細胞系突然変異体マウスにおける抗体重鎖結合領域(J)遺伝子のホモ接合体欠失によって、結果として内因性抗体産生の完全な阻害が起こることが説明されてきた。ヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子配列の、このような生殖細胞系突然変異体マウスへの転移によって、結果として抗原投与時にヒト抗体の産生がおこる。Jakobovits等, Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 90:2551 (1993);Jakobovits等, Nature 362:255-258 (1993); Bruggeman等, Year in Immuno., 7:33 (1993);及びDuchosal等 Nature 355:258 (1992)を参照されたい。
別法として、ファージディスプレイ技術(McCafferty等, Nature 348:552-553 (1990))を使用して、非免疫化ドナーの免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーから、インビトロでヒト抗体及び抗体断片を産出させることができる。この技術によれば、抗体Vドメイン遺伝子を、糸状バクテリオファージ、例えばM13又はfdの主要又は微量コートタンパク質遺伝子の何れかにインフレームでクローニングし、ファージ粒子の表面に機能的抗体断片として表示させる。糸状粒子がファージゲノムの一本鎖DNAコピーを含むので、抗体の機能的特性に基づく選別を行ってもそれらの性質を表す抗体をコードする遺伝子が選別される。よって、ファージはB細胞の性質の幾つかを模倣している。ファージディスプレイは多様な形式で行うことができる;例えばJohnson, Kevin S. 及びChiswell, David J., Current Opinion in Structural Biology 3:564-571 (1993)を参照のこと。V-遺伝子セグメントの幾つかの供給源を、ファージディスプレイのために使用できる。Clackson等, Nature, 352:624-628 (1991)は、免疫化したマウス脾臓由来のV遺伝子の小さいランダムなコンビナトリアルライブラリーから、抗オキサゾロン抗体の多様なアレイを単離した。非免疫化ヒトドナーのV遺伝子のレパートリーを構築することができ、抗原(自己抗原を含む)の多様なアレイに対する抗体は、Marks等, J. Mol. Biol. 222:581-597 (1991)、又はGriffith等, EMBO J. 12:725-734 (1993)に記載の技術にそのまま従うことで単離することができる。また、米国特許第5565332号及び同5573905号を参照のこと。
上で検討されているように、ヒト抗体はまたインビトロで活性化されたB細胞によって産生されうる(米国特許第5567610号及び同第5229275号を参照)。
ヒトモノクローナル抗VEGF抗体は、1998年3月24日に公開された米国特許第5730977号に記載されている。
(iv)抗体断片
抗体断片を生産するために様々な技術が開発されている。従来、これらの断片は、インタクトな抗体のタンパク分解性消化を介して得られていた(例えば、Morimoto等, Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24:107-117 (1992)及びBrennan等, Science, 229:81(1985)を参照)。しかし、これらの断片は今は組換え宿主細胞により直接生産することができる。例えば、抗体断片は上において検討した抗体ファージライブラリーから分離することができる。別法として、Fab'-SH断片は大腸菌から直接回収し、化学的に結合させてF(ab')断片を形成することができる(Carter等, Bio/Technology 10:163-167(1992))。他のアプローチ法では、F(ab')断片を組換え宿主細胞培養から直接分離することができる。抗体断片の生産のための他の方法は当業者には明らかであろう。他の実施態様では、選択抗体は単鎖Fv断片(scFV)である。国際公開第93/16185号を参照。
(iv)他のアミノ酸配列修飾
ここに記載の抗体のアミノ酸配列の修飾を考える。例えば、抗体の結合親和性及び/又は他の生物学的特性を改善することが望まれうる。抗体のアミノ酸配列変異体は、抗体核酸中に適当なヌクレオチド変化を導入することにより、又はペプチド合成により調製される。そのような修飾は、例えば、抗体のアミノ酸配列内の残基の欠失及び/又は挿入及び/又は置換を含む。最終コンストラクトが所望の特徴を有するとするならば、欠失、挿入、及び置換の任意の組み合わせは、その最終コンストラクトに達するまでなされる。また、アミノ酸変化は、グリコシル化部位の数又は位置の変化などの、抗体の翻訳後プロセスを変更しうる。
突然変異誘発の好ましい位置である抗体の所定の残基又は領域の特定のために有用な方法は、Cunningham及びWells, Science 244: 1081-1085 (1989)に記載されているように「アラニンスキャンニング突然変異誘発」と呼ばれる。ここで、標的残基の残基又は基が同定され(例えば、arg、asp、his、lys、及びglu等の荷電残基)、中性又は負荷電アミノ酸(最も好ましくはアラニン又はポリアラニン)に置換され、アミノ酸と抗原との相互作用に影響を及ぼす。ついで、置換に対する機能的感受性を示すこれらのアミノ酸の位置は、置換部位において又はそれに対して更なる又は他の変異体を導入することにより精製される。しかして、アミノ酸配列変異を導入する部位は予め決定されるが、変異自体の性質は予め決める必要はない。例えば、与えられた部位における変異の性能を分析するために、alaスキャンニング又はランダム突然変異誘発を標的コドン又は領域で実施し、発現された抗体変異体を所望の活性についてスクリーニングする。
アミノ酸配列挿入は、1残基から100以上の残基を含むポリペプチドの長さの範囲のアミノ-及び/又はカルボキシル末端融合物、並びに単一又は複数のアミノ酸残基の配列内挿入物を含む。末端挿入物の例には、N末端メチオニル残基を持つ抗体又は細胞障害性ポリペプチドに融合した抗体が含まれる。抗体分子の他の挿入変異体は、抗体の血清半減期を増加させる酵素(例えばADEPT)又はポリペプチドへの抗体のN又はC末端への融合物を含む。
他のタイプの変異体はアミノ酸置換変異体である。これらの変異体は、抗体中に異なった残基により置換される少なくとも一のアミノ酸残基を有する。置換突然変異について関心ある部位は高度可変領域を含むが、FR改変もまた考慮される。
抗体の生物学的性質における実質的な修飾は、(a)置換領域のポリペプチド骨格の構造、例えばシート又は螺旋構造、(b)標的部位の分子の電荷又は疎水性、又は(c)側鎖の嵩の維持についてのその効果が有意に異なる置換を選択することにより達成される。アミノ酸は、その側鎖の特性の類似性に従ってグループ化することができる(A. L. Lehninger, in Biochemistry, 2版, pp. 73-75, Worth Publishers, New York (1975)):
(1)無極性:Ala(A),Val(V),Leu(L),Ile(I),Pro(P),Phe(F),Trp(W),Met(M)
(2)無電荷極性:Gly(G),Ser(S),Thr(T),Cys(C),Tyr(Y),Asn(N),Gln(Q)
(3)酸性:Asp(D),Glu(E)
(4)塩基性:Lys(K),Arg(R),His(H)
別法では、天然に生じる残基は共通の側鎖特性に基づいてグループに分けることができる:
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性の親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖配向に影響する残基:Gly、Pro;
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
非保存的置換は、これらの分類の一つのメンバーを他の分類に交換することを必要とするであろう。
抗体の適切な高次構造を維持することに関与していない任意のシステイン残基も、一般的には、セリンと置換して、分子の酸化的安定性を改善し、異常な架橋を防ぐ。逆に、システイン結合をその抗体に付加して、その安定性を改善してもよい(特に抗体がFv断片などの抗体断片である場合)。
特に好ましい型の置換変異体は、親抗体(例えばヒト化又はヒト抗体)の一又は複数の高頻度可変領域残基の置換を含む。一般的に、更なる発展のために選択され、得られた変異体は、それらが作製された親抗体と比較して改善された生物学的特性を有している。そのような置換変異体を作製する簡便な方法は、ファージディスプレイを使用する親和性成熟を含む。簡潔に言えば、幾つかの高頻度可変領域部位(例えば6−7部位)を変異させて各部位においてあらゆる可能なアミノ酸置換を生成させる。このようにして生成された抗体変異体は、糸状ファージ粒子から、各粒子内に充填されたM13の遺伝子III産物への融合物としてディスプレイされる。ファージディスプレイ変異体は、ついで、ここに開示されるようなそれらの生物学的活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングされる。修飾のための候補となる高頻度可変領域部位を同定するために、アラニンスキャンニング突然変異誘発を実施し、抗原結合に有意に寄与する高頻度可変領域残基を同定することができる。別法として、又はそれに加えて、抗原-抗体複合体の結晶構造を分析して抗体とヒトVEGFの間の接点を特定するのが有利である場合もある。このような接触残基及び隣接残基は、ここに述べた技術に従う置換の候補である。そのような変異体がひとたび生成されると、変異体のパネルにここに記載するようなスクリーニングを施し、一又は複数の関連アッセイにおいて優れた特性を持つ抗体を更なる開発のために選択することができる。
抗体のアミノ酸変異体の他の型は、抗体の元のグリコシル化パターンを変更する。変更とは、抗体に見い出される一又は複数の糖鎖部分の欠失、及び/又は抗体に存在しない一又は複数のグリコシル化部位の付加を意味する。
抗体のグリコシル化は、典型的には、N結合又はO結合の何れかである。N結合とは、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の結合を意味する。アスパラギン-X-セリン及びアスパラギン-X-スレオニン(ここでXはプロリンを除く任意のアミノ酸)のトリペプチド配列は、アスパラギン側鎖への糖鎖部分の酵素的結合のための認識配列である。従って、ポリペプチド中にこれらのトリペプチド配列の何れかが存在すると、潜在的なグリコシル化部位が作出される。O結合グリコシル化は、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリン又はスレオニンに、N-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、又はキシロースの糖類のうち一つが結合することを意味するが、5-ヒドロキシプロリン又は5-ヒドロキシリジンもまた用いることができる。
抗体へのグリコシル化部位の付加は、アミノ酸配列を、上述のトリペプチド配列(N結合グリコシル化部位のもの)の一又は複数をそれが含むように変化させることによって簡便に達成される。該変化はまた元の抗体の配列への一又は複数のセリン又はスレオニン残基の付加、欠失、又は置換によってなされる(O-結合グリコシル化部位の場合)。
抗体がFc領域を含む場合、それに結合する炭水化物を変更してもよい。例えば、抗体のFc領域に結合したフコースを欠く成熟炭水化物構造を持つ抗体は、Presta, L.の米国特許出願公開第2003/0157108A1号に記載されている。また米国特許出願公開第2004/0093621A1号(Kyowa Hakko Kogyo Co., Ltd)を参照のこと。抗体のFc領域に結合した炭水化物中に二分岐N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)を有する抗体は、Jean-Mairet等の国際公開第03/011878号、及びUmana等の米国特許第6602684号が参照される。抗体のFc領域に結合したオリゴ糖中に少なくとも一つのガラクトース残基を有する抗体は、Patel等の国際公開第97/30087号に報告されている。またそのFc領域に結合した改変された炭水化物を有する抗体に関しては、国際公開第98/58964号(Raju, S.)及び国際公開第99/22764号(Raju, S.)を参照のこと。
エフェクター機能、例えば抗体の細胞依存性細胞媒介性細胞障害(ADCC)及び/又は補体依存性細胞障害(CDC)を向上させるように、本発明の抗体を修飾することが望ましい場合がある。このことは、抗体のFc領域に一又は複数のアミノ酸置換を導入することにより達成されうる。あるいは、又は付加的にシステイン残基をFc領域に導入し、それにより、この領域に鎖間ジスルフィド結合を形成させるようにしてもよい。そのようにして産生されたホモ二量体抗体は、改善された内部移行能力及び/又は増加した補体媒介性細胞殺傷及び抗体-依存性細胞性細胞障害(ADCC)を有しうる。Caron等, J. Exp. Med. 176: 1191-1195 (1992)及びShopes, B. J. Immunol. 148: 2918-2922 (1992)を参照のこと。向上した抗腫瘍活性を持つホモ二量体抗体はまたWolff等, Cancer Research 53: 2560-2565 (1993)に記載されたようなヘテロ二官能性架橋剤を用いても調製されうる。あるいは、抗体は、2つのFc領域を有するように加工して、それにより補体溶解及びADCC能力を向上させることもできる。Stevenson等, Anti-Cancer Drug Design 3: 219-230 (1989)を参照のこと。
国際公開第00/42072号(Presta, L.)は、抗体がそのFc領域内にアミノ酸置換を含む場合のヒトエフェクター細胞の存在下で改善されたADCC機能を有する抗体を開示している。好ましくは、改善されたADCCを有する抗体はFc領域の位置298、333及び/又は334に置換を含む(残基のEu番号付け)。好ましくは、変更されたFc領域は、それらの位置のうちの1、2又は3つに置換を含むか又はそれらからなるヒトIgG1Fc領域である。そのような置換は、C1q結合及び/又はCDCを増加させる置換と場合によっては組み合わされる。
変更したC1q結合及び/又は補体依存性細胞障害(CDC)を有する抗体は、国際公開第99/51642号、米国特許第6194551B1号、米国特許第6242195B1号、米国特許第6528624B1号及び米国特許第6538124号(Idusogie等)に記載されている。抗体は、そのFc領域の一又は複数のアミノ酸位置270、322、326、327、329、313、333及び/又は334にアミノ酸置換を含む(残基のEu番号付け)。
抗体の血清半減期を増加させるために、例として米国特許第5739277号に記載されているように抗体(特に抗体断片)内にサルベージレセプター結合エピトープを組み込んでもよい。ここで使用される場合、「サルベージレセプター結合エピトープ」なる用語は、IgG分子のインビボ血清半減期の増加の原因であるIgG分子(例えば、IgG、IgG、IgG又はIgG)のFc領域のエピトープを表す。
新生児Fcレセプター(FcRn)への結合が向上し、半減期が増加している抗体は、国際公開第00/42072号(Presta, L.)及び米国公開特許第2005/0014934号A1(Hinton等)に記載されている。これらの抗体は、FcRnへのFc領域の結合を向上させる一又は複数の置換をそこに有するFc領域を含んでなる。例えば、Fc領域は、一又は複数の位置238、250、256、265、272、286、303、305、307、311、312、314、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424、428又は434(残基のEu番号付け)に置換を有しうる。改善したFcRn結合を有する好適なFc領域含有抗体変異体は、そのFc領域の位置307、380及び434(残基のEu番号付け)のうちの1、2又は3にアミノ酸置換を含んでなる。一実施態様では、抗体は307/434変異を有する。
3以上(好ましくは4)の機能的抗原結合部位を有する操作抗体がまた考えられる(Miller等の米国特許出願公開番号US2002/0004587A1)。
抗体のアミノ酸配列変異体をコードする核酸分子は、当該分野で知られている様々な方法によって調製される。これらの方法は、限定するものではないが、天然源からの単離(天然に生じるアミノ酸配列変異体の場合)又はオリグヌクレオチド媒介(又は部位特異的)突然変異誘発、PCR突然変異誘発、及び抗体の先に調製された変異体又は非変異体型のカセット突然変異誘発による調製を含む。
(v)免疫コンジュゲート
また、本発明は、化学療法剤、毒素(例えば、細菌、真菌、植物又は動物由来の酵素活性毒素、又はその断片)などの細胞障害剤、あるいは放射性同位体(つまり、放射性コンジュゲート)とコンジュゲートしたここに記載の抗体を含む免疫コンジュゲートに関する。
そのような免疫複合体の産生に有用な化学療法剤は上に記載した。使用可能な酵素活性毒及びその断片には、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合性活性断片、外毒素A鎖(シュードモナス・アエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシン(modeccin)A鎖、アルファ-サルシン(sarcin)、アレウライツ・フォルディイ(Aleurites fordii)プロテイン、ジアンシン(dianthin)プロテイン、フィトラッカ・アメリカーナ(Phytolaca americana)プロテイン(PAPI、PAPII及びPAP-S)、モモルディカ・キャランティア(momordica charantia)インヒビター、クルシン(curcin)、クロチン、サパオナリア(sapaonaria)オフィシナリスインヒビター、ゲロニン(gelonin)、マイトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン、エノマイシン及びトリコセセンス(tricothecenes)が含まれる。様々な放射性核種が放射性コンジュゲート抗体の生産に利用できる。例には、212Bi、131I、131In、90Y及び186Reが含まれる。
抗体と細胞障害剤のコンジュゲートは、種々の二官能性タンパク質カップリング剤、例えばN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオナート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステル類の二官能性誘導体(例えばジメチルアジピミダートHCL)、活性エステル類(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒド類(例えば、グルタルアルデヒド)、ビス-アジド化合物(例えば、ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス-ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、トリエン-2,6-ジイソシアネート)、及びビス活性フッ素化合物(例えば1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)を使用して作製することができる。例えば、リシン免疫毒素は、Vitetta等, Science 238:1098(1987)に記載されているようにして調製することができる。炭素-14標識1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレン-トリアミン五酢酸(MX-DTPA)は抗体に放射性ヌクレオチドをコンジュゲートするためのキレート剤の例である。国際公開第94/11026号を参照。
他の実施態様では、腫瘍の事前ターゲティングに利用するために、「レセプター」(例えばストレプトアビジン)に抗体をコンジュゲートすることができ、ここで抗体-レセプターコンジュゲートを被験者に投与し、続いて清澄剤を使用し、循環から未結合コンジュゲートを除去し、細胞障害剤(例えば放射性ヌクレオチド)にコンジュゲートする「リガンド」(例えばアビジン)を投与する。
(vi)免疫リポソーム
ここに開示されている抗体はまた免疫リポソームとして製剤化することもできる。抗体を含むリポソームは、例えばEpstein等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:3688(1985);Hwang等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4030(1980);及び米国特許第4485045号及び同4544545号に記載されているような、当該分野で知られている方法により調製される。循環時間が改善されたリポソームは米国特許第5013556号に開示されている。
特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロール及びPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)を含有する脂質組成物を用いた逆相蒸発法により作製することができる。リポソームは孔径が定められたフィルターを通して押し出され、所望の直径を有するリポソームが得られる。本発明の抗体のFab'断片は、ジスルフィド交換反応を介して、Martin等, J. Biol. Chem. 257:286-288(1982)に記載されているようにしてリポソームにコンジュゲートすることができる。場合によっては、化学療法剤はリポソーム内に収容される。Gabizon等, J. National Cancer Inst. 81(19)1484(1989)を参照。
VIII.製造品及びキット
本発明の他の実施態様では、前述した疾患の治療に有用な物質を含む製造品が提供される。製造品は、容器、ラベル及びパッケージ挿入物を含んでなる。適切な容器には、例えばボトル、バイアル、シリンジ等が含まれる。容器はガラス又はプラスチックのような様々な材料で形成することができる。容器は症状の治療に有効な組成物を収容しており、滅菌したアクセスポートを有している(例えば、容器は皮下注射針により貫通可能なストッパーを具備する静脈溶液用のバック又はバイアルであってよい)。組成物中の少なくとも一種の活性剤は抗VEGF抗体である。容器上の又は容器に伴うラベルには、組成物が、選択された症状の治療に使用されることが示されている。製造品は、製薬的に許容可能なバッファー、例えばリン酸緩衝生理食塩水、リンガー液及びブドウ糖液を収容する第2の容器を更に含みうる。更に、他のバッファー、希釈剤、フィルター、針、シリンジを含む、市販及び使用者の観点から望ましい他の材料をさらに含んでいてもよい。加えて、組成物は別の組成物と組み合わせて使用されないことの警告、又は抗VEGF抗体組成物のみ、又は例えばロイコボリン、5−FU、オキサリプラチン、イリノテカン、又はこの組合せを患者に投与することを組成物の使用者に指示することを含む、使用のための指示書を伴うパッケージ挿入物を含む。「使用のための指示書」は、適切な療法、薬剤、治療、治療レジメン、及び同類のもの等を、例えば、パッケージ挿入物又は他の宣材資料等に文書等のいずれの手段によって指示を提供することを意味する。
VEGF特異的アンタゴニストは、単独で、又は他の抗癌治療化合物と組み合わせてキットとして包装されうる。キットは、被験者に対する単位用量の投与を補助する任意的構成要素、例えば粉末形態を再構成するためのバイアル、注射のためのシリンジ、カスタマイズされた静脈内デリバリー系、インヘラー等を含みうる。キットは、ある被験者に対しては一回使用の単位用量、特定の被験者に対しては複数回使用(一定用量で又は個々の化合物が治療の進行に応じて作用強度が変化しうる)として製造することができ;又はキットは、複数の被験者への投与に適した複数の用量を含みうる(「バルクパッケージング」)。キット構成成分は、カートン、ブリスターパック、ビン、チューブ等に組み込むことができる。
本発明は、パッケージを含んでなる、例えば原発腫瘍等の癌の根治手術を受けた患者を治療するためのキットを提供し、該パッケージは抗VEGF抗体組成物及びアジュバント療法にて抗VEGF抗体組成物を使用するための説明を含み、説明は、アジュバント療法を受けている患者の、アジュバント療法の開始一年後のDFSは94.3であり、ハザード比0.60であることを記述する。
材料の寄託
次のハイブリドーマ細胞株を合衆国バージニア州マナッサスのアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)にブタペスト条約の規定に従って寄託した:
抗体標記 ATCC番号 寄託日
A.4.6.1 ATCC HB-10709 1991年3月29日
以下の実施例は本発明の実施を例示するためにのみ提供されるものであって、限定するものではない。ここで引用した全ての特許と科学文献を、その全体について出典明示によりここに援用する。
実施例1.結腸直腸癌を有する患者におけるベバシズマブアジュバント療法
本実施例は、National Surgical Adjuvant Breast and Bowel Project (NSABP C-08)臨床試験で治療された結腸直腸癌患者から得られた結果の分析に関する。この研究の主要目的は、結腸直腸癌を治療する際に標準化学療法にベバシズマブを追加することの臨床的有益性を決定することであり、無病生存率(DFS)で測定された。二次目標は、全生存率の延長において臨床的な有益性があるか決定することであった。該試験で使用された標準化学療法は、ロイコボリン、5−フルオロウラシル、及びオキサリプラチンの組合せであった。該試験は、切除ステージII及びIIIの結腸癌を有する患者のアジュバント療法としてのベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))の効果を評価した。
研究デザイン
NSABP C−08研究のデザインが図1及び2に図示される。
NSABP C−08試験において、以下の治療プロトコルが使用された:
アームA/グループ1:修飾FOLFOX6(mFOLFOX6:1日目にオキサリプラチン(85mg/m)とロイコボリン(400mg/m)及び5−FU(400mg/m静脈内ボーラス)との併用、及び1日目及び2日目に46時間にわたって5−FU(2400mg/m))14日毎に12サイクル(6ヶ月);
アームB/グループ2:修飾FOLFOX6を14日毎に12サイクル(6ヶ月)加えて各化学療法サイクルの一日目オキサプラチンの前にベバシズマブの投与(5mg/kg静脈内投与)を14日毎に1年。
ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))は、2サイズの薬瓶に非経口投与用に透明から微乳白色の殺菌液として供給された:100mg(25mg/ml−4mlフィル)の各ガラス薬瓶は、ベバシズマブとリン酸塩、トレハロース、ポリソルベート20、及び注射用滅菌水(Sterile Water for Injection, USP)を含み、及び400mg(25mg/ml−16mlフィル)の各ガラス薬瓶は、ベバシブマブとリン酸塩、トレハロース、 ポリソルベート20、及び注射用滅菌水を含んだ。AVASTIN(登録商標)は、静脈内投与の前に、用量5mg/kgに必要な量を取り出し、全容積100mlの0.9%塩化ナトリウム注射液(Sodium Chloride Injection, USP)に希釈され投与された。
これらの試験への条件として、患者は以下のステージの内一つを満たす結腸腺癌が組織学的に確認されることが要求された:
(1)ステージII癌腫(T又は、N、M)(腫瘍は固有筋層を越えて漿膜下層内へ、又は腹膜に覆われていない結腸周囲組織又は直腸周囲組織へ浸潤している(T3);又は直接他の臓器又は組織に浸潤、及び/又は臓側腹膜に穿通している(T4))又は
(2)ステージIII癌腫(T、N1又は2、Mのいずれか)(腫瘍はいずれかの深さに浸潤しており、所属リンパ節の罹患を伴う)。
原発腫瘍から直接広がった、隣接臓器(例えば、膀胱、小腸、卵巣等)への転移があるT4腫瘍を有する患者は、以下の全ての状態が満たされる場合に適格とされた:
(1) 隣接臓器の全て又は一部が、原発腫瘍と共に一塊で切除された;
(2) 外科医の意見において、肉眼で確認できる全ての腫瘍が完全に切除された(「治癒切除」);
(3) 病理学者による組織学的評価が、切除されたサンプルの断端は悪性細胞に転移されていないことを確認する;及び
(4) 局所放射線治療が利用されない。
一以上の同時期性原発性結腸腫瘍を有する患者は、より進行した原発腫瘍に基づいたステージ分類で適格とされた。
患者は、開放開腹手術(open laparotomy)又は腹腔鏡補助化結腸切除による、腫瘍の完全な肉眼的一塊切除(治癒切除)が成されなければならかった。まず減圧人工肛門が提供され、後の手術で根治外科的切除を行う二工程外科手術を受けた患者は適格とされた。腫瘍の遠位範囲は、内視鏡検査で、肛門縁から12cm以上でなければならない。患者が内視鏡に適さなかった場合は、腫瘍の遠位範囲は、外科的検査で決定され、肛門縁から12cm以上でなければならない。
患者は18才以上、ECOGが0又は1、治験責任医師の意見で少なくとも5年の平均余命を持っていなければならなく、癌の診断は除かれた。
ランダム化時に、患者は、1500mm以上の術後の顆粒球数(AGC)(又は、治験責任医師の意見でこれが正常の民族又は人種差であるとされれば1500/mm未満)及び100,000/mm以上の術後の血小板数を持たなければならなかった。また、患者は、正常の肝臓及び腎臓の機能を有した。
結腸直腸癌を含め、過去に悪性腫瘍を有する患者は、少なくとも5年間無病であり医師により再発の危険性が低いとされた場合に適格とされた。効果的に治療されてきた、皮膚の扁平上皮又は基底細胞癌、表皮内メラノーマ、頸部上皮内癌、結腸又は直腸の上皮内癌を有する患者は、これらの状態がランダム化の前5年以内に診断されたとしても適格とされた。
以下の状態の何れかを有した場合、患者は不適格とされた:腺癌以外の結腸癌、直腸腫瘍、孤立性遠隔又は非隣接性の腹内転移(切除されていても)、悪性腫瘍のため開始された全身療法又は放射線療法、研究参加前6ヶ月以内に原発性結腸腫瘍に無関係の多量出血、重傷又は非治癒性創傷、皮膚潰瘍又は骨折、内視鏡検査により活性であると決定された胃十二指腸潰瘍、大手術、ランダム化前28日以内の直視下生検又は重い外傷、試験の過程中に予期される大手術の必要性、ランダム化前7日以内の、血管アクセス器具の設置を除く、コア生検又は他の簡単な処置、血圧のコントロール不良(150/90mmHgより大)、CNS脳血管虚血の既往歴、併用ハロゲン化抗ウィルス薬、ランダム化時点で臨床的に重篤な抹消神経障害(the NCI Common Terminology Criteria for Adverse Events Version 3.0 にてグレード2以上の感覚神経又は神経筋毒性)、試験で使用されるいずれかの治験薬の使用を妨げるとされる非悪性全身性疾病、治験責任医師の意見において患者が治験要件を満たすのを妨げるとされる精神又は嗜癖障害又は他の状態、もし患者が十分量の抗凝固剤を使用せず、及び被験者がワルファリンの継続使用又は低分子量ヘパリンの継続使用において範囲内INRでなく、及び被験者が活動性出血又は出血のハイリスクを伴った病理学的状態でないのでなければPT(INR)>1.5。
この試験の主要評価項目は、無病生存率(DFS)の期間であった。DFSの事象は、結腸癌再発の最初の報告証拠、二次原発癌又は全死因による死亡を含んだ。副次的評価項目は、全生存率(OS)の期間及び研究治療に関連する毒性であった。全生存率の事象は全死因による死亡を含んだ。
結腸癌再発の診断は以下の基準を使用して成された。腹部及び/又は骨盤部位:吻合の場合、細胞診断陽性又は生検陽性;
腹部、骨盤、及び後腹膜リンパ節:(1)細胞診断陽性又は生検陽性、(2)少なくとも4週の間をあけた二回のCT又はMRIスキャンにより明示される進行性リンパ節腫脹、(3)CT又はMRIスキャンで報告される腫瘤がある場合の尿管閉塞、又は(4)単回CT又はMRIスキャンが明確な腫瘤を示し該部位でのPETスキャン陽性により悪性であると確証される。
腹膜(臓側及び壁側腹膜又は網):(1)細胞診断陽性又は生検陽性、又は(2)少なくとも4週の間をあけた二回のCT又はMRIスキャン、又は 該部位でのPETスキャン陽性により悪性であると確証される単回スキャンにより明示される骨盤内進行性リンパ節固形腫脹。
腹水:細胞診断陽性
肝臓:(1) 細胞診断陽性又は生検陽性、又は(2)良性疾患を伴わない以下の3つ:(i)新しい又は進行性肝腫大、異常な肝臓輪郭;(ii)放射性核種スキャン又は超音波診断陽性;(iii)PETスキャン陽性が異常CTスキャン又はMRIスキャンを確認し且つCEAの上昇を伴う;(iv)異常肝機能;又は(v)CEA高値、つまり上正常値の10倍のCEAタイターの持続上昇、4週の間をあけた2回の測定で確認され、正常の術後CEA値であった患者で見られる(測定は同一の研究室で同じ方法を用いて実施されるべきである)。
他に特定されない(NOS)骨盤内腫瘤:(1) 細胞診断陽性又は生検陽性、又は(2)進行性の固形腫瘤腫大、少なくとも4週の間をあけた二回のCT又はMRIスキャンにより明示される、又は(3)単回CTスキャンでの固形腫瘤、該部位のPETスキャン陽性により確認される。
腹壁、会陰、及び瘢痕:細胞診断陽性又は生検陽性
非腹部及び非骨盤部:
骨系:骨のみでの再発の全てに対し生検が必要とされる
肺:(1)細胞診断、穿刺吸引診断、生検陽性、又は(2)肺転移であると思われる複数肺結節の放射線学的証拠
骨髄:細胞診断、穿刺吸引診断、生検、又はMRIスキャン陽性
中枢神経系:(1)CT又はMRIスキャン陽性、通常神経症状を伴う患者に見られる;又は(2)生検又は細胞学診断(髄膜罹患の診断のため)。
二次原発癌の診断は、可能な時に組織学的に確認された。
結果
この試験からの結果は、化学療法へのAVASTIN(登録商標)の追加は、化学療法のみと比較して、積極的治療期に該当する一年目の間、著しくDFSを増加した。データは、この有意な有益性は毒性又は副作用の増加を伴わないことを示した。
この研究には2710人の患者が集まった(コントロールアームに1356人、実験アームに1354人)。コントロールアームの患者18人及び実験アームの患者20人は、非追跡又は断端陽性により効果に対して評価されなかった。更に、コントロールアーム22人及び実験アーム15人の患者が、他の理由で不適格となったが分析には含まれた。従ってコントロール及び実験アームのそれぞれ1338人及び1334人の患者がこれらの分析に含まれた。追跡期間の中央値は35.6ヶ月であった。患者の特性は治療アームによって良くバランスが取られた。患者の半分強が60才未満、およそ15%が70才より上、及び等しい性別分布であった。ステージIIの患者はおよそ25%を構成した。
事象までの時間はランダム化から測定された。全てのp値は、主要評価項目の他では、両側検定で0.05レベルを有為として評価された。全ての信頼区間は95%であった。ハザード比(HR)はCoxモデルから算出され、事象までの時間からのp値はログランク検定から算出された。HR及びp値は、可能な時に陽性のリンパ節数によって階層化された。割合はフィッシャーの正確確率検定によって比較された。主要評価分析は、非追跡の患者及びランダム化の時点で主要評価項目に対してリスクにない患者のみ(転移又は切除断端陽性を持つとされる)を除く主要者を治療する意図に基づいてなされた。基礎ハザード関数の平滑推定は、Muller及びWang (Biometrics 1994 50:61- 76)の方法によって算出された。基礎ハザードの比の平滑推定は、Gilbert等(Biometrics 2002 58:773-80)の方法によって算出された。
結果は以下の通りであった:
Figure 2012524083
ステージIIの疾病を有する患者は、実験アーム及びコントロールアームそれぞれ、3年生存率が87.4%及び84.7%、及びステージIIIは74.2%及び72.4%であった。
最終のハザード比(HR)が0.888、p値0.146であった。経時的に評価されたハザード比(HR)及びp値は以下の通りであった:
Figure 2012524083
治療の開始1年後にDFSは、mFOLFOX6+ベバシズマブで治療された患者で94.3、及びmFOLFOX6のみで治療された患者で90.7であった(HRが0.60、p値0.0004)ベバシズマブは最初の1.25年の間強い効果があった(HR=0.61 95%CI0.48−0.78、p<0.0001)。これらのデータは、化学療法へのベバシズマブの追加は、ベバシズマブが患者に投与されていた積極的治療期の間(治療の開始後最初の12ヶ月)とそのすぐ後、臨床的に重要であり又有意な有益性を付与することを示す。また、これらの結果は、1年以上のベバシズマブの投与が患者にとって有益であろうことを初めて示す。
前述により、様々な使用及び状態に適用するために、変異及び修飾がここに記載される本発明に成されてもいいことは明らかであろう。また、このような実施態様は以下の請求項の範囲内である。

Claims (34)

  1. 根治手術後に、患者の無病生存率(DFS)又は全生存率(OS)を延長するために有効量のVEGF特異性アンタゴニストを癌患者に投与することを含んでなるアジュバント療法の方法であって、VEGF特異性アンタゴニストは1年以上投与される方法。
  2. DFS又はOSが、VEGF特異性アンタゴニストを用いた治療開始の約2から約5年後に評価される請求項1に記載の方法。
  3. 延長されたDFS又はOSが、癌再発を防止又は遅延する、又は二次原発癌の発生を防止又は遅延することを含む請求項1に記載の方法。
  4. 根治手術後に、有効量のVEGF特異性アンタゴニストを癌患者に投与することを含んでなるアジュバント療法の方法であって、癌の進行が、VEGF特異性アンタゴニストを用いた積極的治療の間防止又は遅延され、又積極的治療が1年以上継続される方法。
  5. 癌の進行が、VEGF特異性アンタゴニストを用いた積極的治療の停止後約6ヶ月間防止又は遅延される請求項4に記載の方法。
  6. 根治手術後に、有効量のVEGF特異性アンタゴニストを癌患者に投与することを含んでなるアジュバント治療の方法であって、癌の再発が、VEGF特異性アンタゴニストを用いた積極的治療の間防止又は遅延され、又積極的治療が1年以上継続される方法。
  7. 癌の進行が、VEGF特異性アンタゴニストを用いた積極的治療の停止後約6ヶ月間防止又は遅延される請求項6に記載の方法。
  8. 患者のDFS又はOSを延長するために有効量のVEGF特異性アンタゴニストを癌の根治手術を受けた患者に投与することを含んでなるアジュバント療法の方法であって、VEGF特異性アンタゴニストは1年以上投与される方法。
  9. DFS又はOSが、VEGF特異性アンタゴニストを用いた治療開始の約2から約5年後に評価される請求項8に記載の方法。
  10. 延長されたDFS又はOSが、癌再発を防止又は遅延、又は二次原発癌の発生を防止又は遅延することを含んでなる請求項8に記載の方法。
  11. 癌の根治手術を受けた患者に、有効量のVEGF特異性アンタゴニストを癌患者に投与することを含んでなるアジュバント療法の方法であって、癌の進行が、VEGF特異性アンタゴニストを用いた積極的治療の間防止又は遅延され、又積極的治療が1年以上継続される方法。
  12. 癌の進行が、VEGF特異性アンタゴニストを用いた積極的治療の停止後約6ヶ月間防止又は遅延される請求項11に記載の方法。
  13. 癌の根治手術を受けた患者に、有効量のVEGF特異性アンタゴニストを癌患者に投与することを含んでなるアジュバント療法の方法であって、癌の再発が、VEGF特異性アンタゴニストを用いた積極的治療の間防止又は遅延され、又積極的治療が1年以上継続される方法。
  14. 癌の進行が、VEGF特異性アンタゴニストを用いた積極的治療の停止後約6ヶ月間防止又は遅延される請求項13に記載の方法。
  15. 癌の根治手術を受けた患者を治療する方法であって、患者のDFS又はOSを延長するために有効量のVEGF特異性アンタゴニストを癌患者に投与することを含んでなるアジュバント療法を実施することを含んでなり、VEGF特異性アンタゴニストは1年以上投与される方法。
  16. DFS又はOSが、VEGF特異性アンタゴニストを用いた治療開始の約2から約5年後に評価される請求項15に記載の方法。
  17. 延長されたDFS又はOSが、癌の再発を防止又は遅延、又は二次原発癌の発生を防止又は遅延することを含んでなる請求項15に記載の方法。
  18. 癌の根治手術を受けた患者を治療する方法であって、有効量のVEGF特異性アンタゴニストを含んでなるアジュバント療法を患者に実施することを含んでなり、VEGF特異性アンタゴニストを用いた積極的治療の間癌の進行が防止又は遅延され、又積極的治療は1年以上継続される方法。
  19. 癌の進行が、VEGF特異性アンタゴニストを用いた積極的治療の停止後約6ヶ月間防止又は遅延される請求項18に記載の方法。
  20. 癌の根治手術を受けた患者を治療する方法であって、有効量のVEGF特異性アンタゴニストを含んでなるアジュバント療法を患者に実施することを含んでなり、VEGF特異性アンタゴニストを用いた積極的治療の間癌の再発が防止又は遅延され、又積極的治療は1年以上継続される方法。
  21. VEGF特異性アンタゴニストの該投与が、臨床的に検出可能な腫瘍又はその転移の発生又は再発の可能性を防止又は低減させる請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 患者の癌の再発を防止する方法であって、有効量のVEGF特異性アンタゴニストを患者に1年以上投与することを含んでなり、VEGF特異性アンタゴニストの該投与は癌の再発を防止する方法。
  23. 患者の癌の再発の可能性を低下させる方法であって、有効量のVEGF特異性アンタゴニストを患者に1年以上投与することを含んでなり、VEGF特異性アンタゴニストの該投与は癌の再発の可能性を低下させる方法。
  24. 患者が、VEGF特異性アンタゴニストの投与の前に根治手術を受けている請求項22又は請求項23に記載の方法。
  25. 患者が、根治手術後に、癌再発の危険性又は少ない生存の可能性を持つとして識別されている請求項1から24のいずれか一項に記載の方法。
  26. 患者に化学療法剤を投与することを更に含んでなる請求項1から24のいずれか一項に記載の方法。
  27. VEGF特異性アンタゴニストを用いた治療が、化学療法剤を用いた治療と併用される請求項26に記載の方法。
  28. VEGF特異性アンタゴニストが抗VEGF抗体である請求項1から24のいずれか一項に記載の方法。
  29. 抗VEGF抗体が、根治手術の少なくとも28日後に投与される請求項28に記載の方法。
  30. 抗VEGF抗体が、ベバシズマブである請求項28に記載の方法。
  31. 抗VEGF抗体が、ハイブリドーマATCC HB10709によって製造されたモノクローナル抗VEGF抗体A4.6.1と同じエピトープに結合する請求項30に記載の方法。
  32. 抗VEGF抗体が、以下のアミノ酸配列を含んでなる重鎖可変領域:
    EVQLVESGGG LVQPGGSLRL SCAASGYTFT NYGMNWVRQA PGKGLEWVGWINTYTGEPTY AADFKRRFTF SLDTSKSTAY LQMNSLRAED TAVYYCAKYPHYYGSSHWYF DVWGQGTLVT VSS(配列番号:1)
    及び以下のアミノ酸配列を含んでなる軽鎖可変領域
    DIQMTQSPSS LSASVGDRVT ITCSASQDIS NYLNWYQQKP GKAPKVLIYF
    TSSLHSGVPS RFSGSGSGTD FTLTISSLQP EDFATYYCQQ YSTVPWTFGQ
    GTKVEIKR(配列番号:2)
    を有する請求項30に記載の方法。
  33. 癌が、結腸直腸癌、乳癌、肺癌、腎臓癌、胃癌、卵巣癌、又は膠芽腫である請求項1から32のいずれか一項に記載の方法。
  34. 癌の根治手術を受けた患者を治療するためのキットであって、パッケージを含んでなり、該パッケージは、抗VEGF抗体組成物及びアジュバント療法において抗VEGF抗体組成物を使用するための説明書を含み、又該説明書は、アジュバント療法を受けた患者の、アジュバント療法の開始1年後のDFSが94.3であり、ハザード比0.60であることを記載するキット。
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