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JP2012256744A - 超電導コイル - Google Patents

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JP2012256744A
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Shinji Fujita
真司 藤田
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Abstract

【課題】電極との接続部における発熱を抑制できる超電導コイルの提供。
【解決手段】本発明の超電導コイル10は、テープ状の超電導線材1を巻回してなるコイル体21、22と、コイル体21、22の超電導線材1の巻回終端部と電気的に接続する電極5と、超電導線材1の巻回終端部と電極5とが接合された電極接合部7と接合され、かつ、冷凍機と接続された冷却ブロック9と、を備え、超電導線材1の巻回終端部がコイル体21、22の径方向外側に向かって引き出され、この巻回終端部と重なるように電極5がコイル体21、22の径方向に向いて設置され、冷却ブロック9の少なくとも電極接合部7との接触部分が、熱伝導性の絶縁体よりなることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、超電導コイルに関する。
超電導コイルは、磁気共鳴画像診断装置(MRI)や超電導磁気エネルギー貯蔵装置(SMES)といった様々な用途に使用される。これまで超電導線材として、NbTi等の金属系超電導体が広く用いられてきたが、近年、BiSrCaCu8+δ(Bi2212)、BiSrCaCu10+δ(Bi2223)などのビスマス系超電導体や、REBaCu7−δ(RE123、RE:希土類元素)で表される希土類系超電導体を用いた酸化物高温超電導線材の開発が進んでいる。この酸化物高温超電導線材は、金属系超電導線材に比べて臨界温度が高温であるため、より高い温度での使用が可能であることから、コイル等への応用の開発も進んでいる。
酸化物高温超電導線材は、そのほとんどがテープ状であり、このようなテープ状の酸化物高温超電導線材を用いたコイルとして、パンケーキコイル、2個のパンケーキコイルが積層されたダブルパンケーキコイル、あるいはダブルパンケーキコイルを複数個積層して構成されるものが知られている。このようなコイルには電流リードに接続するための電極が取り付けられており、その電極形状として特許文献1のようなものが提案されている。
特開2010−98267号公報
超電導コイルと電流リードを接続する電極には、銅等の低抵抗金属が用いられるが、大電流を流すと少なからずジュール熱が発生し、電極付近の超電導線材の温度が上昇して特性が劣化してしまうことがある。
特許文献1に記載の超電導コイルの電極部構造は、円弧状接触部が超電導線材の末端部に接続され、かつ、この円弧状接触部から外径方向へ固定部が突出された構造となっている。そのため、電導コイルからの電極長を長くする必要がある場合は、常電導部である電極(固定部)の長さが長くなるほど、常電導部の抵抗によるジュール発熱により、超電導コイルの電極部付近で発熱するおそれがある。
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、電極との接続部における発熱を抑制できる超電導コイルを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の超電導コイルは、テープ状の超電導線材を巻回してなるコイル体と、このコイル体の前記超電導線材の巻回終端部と電気的に接続する電極と、前記超電導線材の巻回終端部と前記電極とが接合された電極接合部と接合され、かつ、冷凍機と接続された冷却ブロックと、を備え、前記超電導線材の巻回終端部が前記コイル体の径方向外側に向かって引き出され、この巻回終端部と重なるように前記電極が前記コイル体の径方向に向いて設置され、前記冷却ブロックの少なくとも前記電極接合部との接触部分が、熱伝導性の絶縁体よりなることを特徴とする。
本発明の超電導コイルによれば、超電導線材の端部と常電導体である電極が重ね合わせられて接合された構成である。そのため、電極の接続抵抗を低減でき、ジュール熱の発生を抑制して電極接続部における発熱を抑えることができる。さらに、電極接合部に冷凍機に接続され、かつ、少なくとも電極接続部との接触部分が熱伝導性の絶縁材よりなる冷却ブロックが接続されていることにより、電極接続部で発熱が起こった場合にも、伝導冷却により電極接続部を冷却することができる。従って、本発明の超電導コイルは、電極との接続部における発熱が少なく、安定に運転できる。
また、本発明の超電導コイルは、冷却ブロックにより電極接合部の電極が冷却される構成であるため、電極に接続された電流リードからの熱進入を抑え、電極の発熱を抑えることができる。
本発明の超電導コイルにおいて、前記熱伝導性の絶縁体の熱伝導率が50W/m/K以上であることが好ましい。
本発明の超電導コイルにおいて、前記冷却ブロックの少なくとも前記電極接合部との接触部分が、窒化アルミニウムまたは炭化珪素よりなることがさらに好ましい。
この場合、良好な熱伝導率を有する絶縁材である窒化アルミニウムまたは炭化珪素より冷却ブロックが構成されることにより、電極接合部との絶縁性を保ちつつ、冷凍機から冷却ブロックを介して電極接合部へと効率的に伝導冷却ができ、電極接合部の発熱を効果的に抑えることができる。
本発明の超電導コイルにおいて、前記超電導線材が、基材と、該基材上方に設けられた酸化物超電導層と、該酸化物超電導層上方に設けられた安定化層とを備えてなり、前記電極が、前記超電導線材の前記安定化層上に、該安定化層と電気的に接続するように設けられてなることが好ましい。
この場合、超電導線材の巻回終端部の安定化層上に電極が設けられる構成であるため、常電導体である電極と超電導線材が確実に電気的に接続されている構成となる。そのため、超電導線材との接続部における接続抵抗を小さく抑え、電極における発熱を抑制できる。
本発明の超電導コイルにおいて、前記超電導線材の巻回終端部と前記電極とが接合された電極接合部が、前記コイル体の周方向から径方向外側に向かって一体に折り曲げられてなり、前記電極の前記コイル体周面に沿う部分と、該電極の前記コイル体の外側に延出された部分との両方が、前記安定化層と電気的に接続されてなることもできる。
この場合、超電導線材の巻回終端部の安定化層上に電極が設けられ、且つ電極のコイル体周面に沿う部分とコイル体外側に延出された部分との両方が超電導線材の端部と電気的に接続されている構成であるため、常電導体である電極と超電導線材との接触面積を大きくとることができ、接続抵抗をより小さく抑え、電極における発熱を効果的に抑制できる。
また、電極の周側部と延出部の両方が超電導線材の安定化層に接続されているため、超電導線材巻回終端部の折り曲げ部分を電極で補強した構造とすることができる。従って、超電導コイルへの通電時に生じる可能性のある振動などによる電極の位置ずれを抑制できる。
本発明の超電導コイルにおいて、前記コイル体を複数備え、これら複数のコイル体は隣接するコイル体同士が電気的に接続されて同軸的に積層され、積層されたコイル体の上方および下方に冷凍機に接続された冷却板が配置され、最上段および最下段のコイル体において、前記超電導線材の巻回終端部と前記電極とが接合された電極接合部が、前記冷却ブロックを介して前記冷却板に接続されていることもできる。
この場合、電極接合部に接合された冷却ブロックが、冷却板と接続された構成とすることにより、冷却ブロックを介した電極接合部の伝導冷却の効率が向上するだけでなく、電極接合部の接合構造を強固にすることができる。
本発明の超電導コイルにおいて、前記コイル体を2個備え、各コイル体の前記超電導線材の巻回終端部と前記電極とが接合された電極接合部が近接するようにこれらのコイル体が同軸的に積層され、近接する前記電極接合部間に前記冷却ブロックが配置されてなることもできる。
この場合、各コイル体の電極接合部間に冷却ブロックが配置された構成であるため、電極接合部を冷却ブロックで機械的に補強した構造とすることができる。従って、超電導コイルへの通電時に生じる可能性のある振動などにより電極が位置ずれすることを抑制できる。
本発明によれば、超電導線材に電極が接合された電極接合部に、冷凍機に接続された冷却ブロックが接合されている構成であるため、電極接合部を伝導冷却することができ、電極との接続部における発熱を抑制できる超電導コイルを提供できる。
図1は本発明に係る超電導コイルの第1実施形態を示す概略斜視図である。 図2は図1に示す超電導コイルが冷凍機に接続された装置の一例構造を示す概略模式図である。 図3は図1に示す超電導コイルが備える超電導線材の一例構造を示す概略斜視図である。 図4は図1に示す超電導コイルの電極接続部および冷却ブロックの構造を模式的に示す上面図である。 図5(a)は本発明に係る超電導コイルの電極接合部および冷却ブロックの第2の例を示す模式図であり、図5(b)は本発明に係る超電導コイルの冷却ブロックの第3の例を示す断面図である。 本発明の係る超電導コイルの電極接合部と冷却ブロックの接合の一例を模式的に示す分解斜視図である。 図7(a)は本発明に係る超電導コイルの第2実施形態を示す分解斜視図であり、図7(b)は同超電導コイルの正面図である。 図8は本発明に係る超電導コイルの第3実施形態を示す斜視図である。 図9は本発明に係る超電導コイルの第4実施形態の電極接合部と冷却ブロックの構成を示す模式的に示す上面図である。 図10は本発明に係る超電導コイルの第5実施形態の超電導コイルを備える装置の一例を示す模式図である。 図11は本発明に係る超電導コイルが備える超電導線材の他の例の構造を示す断面である。
以下、本発明に係る超電導コイルの実施の形態について図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係る超電導コイルの第1実施形態を示す概略斜視図であり、図2は図1に示す超電導コイルが冷凍機に接続された装置の一例構造を示す概略模式図であり、図3は図1に示す超電導コイルが備える超電導線材の一例構造を示す概略斜視図であり、図4は図1に示す超電導コイルの電極接続部および冷却ブロックの構造を模式的に示す上面図である。
図1に示す超電導コイル10は、同一径のドーナツ状の第1のコイル体21と第2のコイル体22とが、同軸的に上下に積層されて構成されている。
第1のコイル体21は、後述する超電導線材1が安定化層側を外側にして同心円状、反時計回りに多数回巻回されて構成されたパンケーキ型のコイル体である。第2のコイル体22は、後述する超電導線材1が安定化層側を外側にして同心円状、時計回りに多数回巻回されて構成されたパンケーキ型のコイル体である。なお、各コイル体21、22の形状はドーナツ状に限定されず、楕円形のレーストラック状であってもよい。
各コイル体の内側に位置する第1のコイル体21の巻回始端と第2のコイル体22の巻回始端とは、互いに隣接するように配されており、良導電性の接続板(図示略)により、電気的および機械的に接続されている。また、各コイル体21、22の最外周において、超電導線材の巻回終端が各コイル体の径方向外側に向かって引き出され、引き出された超電導線材1Aには、後述の如く平板状の電極5が接合されている。各コイル体21、22の巻回終端で超電導線材と電極5が接合された電極接合部7は近接するように配置されており、2つの電極接合部7、7の間には立方体形状の冷却ブロック9が配置されている。冷却ブロック9は冷凍機に接続されており、かつ、2つの電極接合部7、7に接合されている。
本実施形態の超電導コイル10は、図2に示すように冷凍機38に接続されて使用される。図2に示す装置30は、真空容器などの収容容器39の内部に配置された超電導コイル10と、収容容器39の内部の超電導コイル10を臨界温度以下に冷却するための冷凍機38とを備えて構成されている。超電導コイル10はその上下方向から銅などの良熱伝導性材料よりなり、各コイル体21、22よりも径の大きい円盤状の冷却板31、31により挟み込まれており、冷却板31はその外側において良熱伝導性材料よりなる熱伝導バー36に接続されている。冷凍機38と熱伝導バー36と冷却板31とは接続されており、これにより冷凍機38により冷却板31が伝導冷却され、さらに冷却板31により超電導コイル10全体が冷却される構成となっている。
超電導コイル10の冷却ブロック9は、良熱伝導性材料よりなる冷却用ケーブル32を介して、冷凍機38と接続された良熱伝導性材料よりなる熱伝導バー37に接続されている。これにより冷凍機38により冷却ブロック9が伝導冷却され、さらに冷却ブロック9により超電導コイル10の電極接合部7が冷却される構成となっている。なお、図2に示す装置では、冷却ブロック9が冷却用ケーブル32の他に、冷却板31にも接触する構成となっているが、冷却ブロック9は冷却板31のみを介して冷凍機38より伝導冷却される構成とすることもできる。
超電導コイル10の電極接合部7の電極5は電流リード34、34を介して収容容器39の外部の電源35に接続されており、この電源35から超電導コイル10に通電できるようになっている。また、収容容器39は、真空ポンプ33に接続されており、内部を目的の真空度に減圧できるように構成されている。
図3に示すように、第1のコイル体21および第2のコイル体22を構成する超電導線材1は、テープ状の基材11の上にベッド層12と中間層15とキャップ層16と酸化物超電導層17とが積層されるとともに、酸化物超電導層17の上に安定化基層18と安定化層19が積層され、全体が絶縁性の被覆層20で覆われて概略構成されている。超電導線材1において、基材11とベッド層12と中間層15とキャップ層16と酸化物超電導層17と安定化基層18と安定化層19とから超電導線材本体部1Aが構成されている。なお、超電導線材1においてベッド層12は略することもできる。また、図1に示す如く、各コイル体21、22の超電導線材1は、その巻回終端側において被覆層20が除去され、被覆層20から引き出された状態で、その安定化層19上に電極5が接合されている。
本実施形態の超電導線材1に適用できる基材11は、通常の超電導線材の基材として使用でき、高強度であれば良く、長尺のケーブルとするためにテープ状であることが好ましく、耐熱性の金属からなるものが好ましい。例えば、ハステロイB、C、G、N、W(米国ヘインズ社商品名)などのニッケル合金等の各種金属材料、もしくはこれら各種金属材料上にセラミックスを配したもの、またはニッケル合金に集合組織を導入した配向N−W基板のような配向金属基材等が挙げられる。基材11の厚さは、目的に応じて適宜調整すれば良く、通常は、10〜500μmである。
ベッド層12は、耐熱性が高く、界面反応性を低減するためのものであり、必要に応じて配され、例えば、Y、Si、Al等から構成される。ベッド層12の厚さは例えば10〜200nmである。
また、本発明において、超電導線材1は図3に示す構造に限るものではなく、基材11とベッド層12との間に拡散防止層が介在された構造としても良い。拡散防止層は、Si、Al、あるいは希土類金属酸化物等から構成され、その厚さは例えば10〜400nmである。
中間層15は、単層構造あるいは複層構造のいずれでも良く、その上に積層される酸化物超電導層17の結晶配向性を制御するために2軸配向する物質から選択される。中間層15の好ましい材質として具体的には、GdZr、MgO、ZrO−Y(YSZ)、SrTiO、CeO、Y、AlO3、Gd、Zr、Ho、Nd等の金属酸化物を例示することができる。
中間層15の厚さは、目的に応じて適宜調整すれば良いが、通常は、0.005〜2μmの範囲とすることができる。
中間層15は、スパッタ法、真空蒸着法、レーザ蒸着法、電子ビーム蒸着法、イオンビームアシスト蒸着(IBAD)法等の物理的蒸着法、化学気相成長法(CVD法)、塗布熱分解法(MOD法)、溶射等、酸化物薄膜を形成する公知の方法で積層できる。特に、IBAD法で形成された前記金属酸化物層は、結晶配向性が高く、酸化物超電導層17やキャップ層16の結晶配向性を制御する効果が高い点で好ましい。
キャップ層16は、中間層15よりも高い面内配向度が得られ、好ましい材質として具体的には、CeO、Y、Al、Gd、Zr、Ho、Nd等が例示できる。キャップ層16は、PLD法(パルスレーザ蒸着法)、スパッタリング法等で成膜することができ、大きな成膜速度を得られる点でPLD法を用いることが望ましい。
キャップ層16の膜厚は、500〜1000nmとすることが好ましい。
酸化物超電導層17は公知のもので良く、具体的には、REBaCu(REはY、La、Nd、Sm、Er、Gd等の希土類元素を表す)なる材質のものを例示できる。この酸化物超電導層17として、Y123(YBaCu7−X)又はGd123(GdBaCu7−X)などを例示することができる。
酸化物超電導層17の厚みは、0.5〜5μm程度であって、均一な厚みであることが好ましい。
酸化物超電導層17は、スパッタ法、真空蒸着法、レーザ蒸着法、電子ビーム蒸着法等の物理的蒸着法、化学気相成長法(CVD法)、塗布熱分解法(MOD法)等で積層することができる。
酸化物超電導層17の上に積層されている安定化基層18はAgあるいは貴金属などの良電導性かつ酸化物超電導層17と接触抵抗が低くなじみの良い金属材料からなる層として形成される。Agの安定化基層18を成膜するには、スパッタ法などの成膜法を採用し、その厚さを1〜30μm程度に形成できる。
安定化層19は、良導電性の金属材料からなることが好ましく、酸化物超電導層17が超電導状態から常電導状態に遷移しようとした時に、安定化基層18とともに、酸化物超電導層17の電流が転流するバイパスとして機能する。
安定化層19を構成する金属材料としては、良導電性を有するものであればよく、特に限定されないが、銅、黄銅(Cu−Zn合金)等の銅合金、ステンレス等の比較的安価なものを用いるのが好ましく、中でも高い導電性を有し、安価であることから銅がより好ましい。
安定化層19の厚さは10〜300μmとすることが好ましい。安定化層19は、公知の方法で形成することができ、めっき法、スパッタ法あるいは銅などの金属テープを安定化基層18上に半田付けする方法などにより形成することができる。
以上のように構成された超電導線材1の巻回終端部において、超電導線材1の安定化層19上に電極5が接合されている。図4は、本実施形態の超電導コイルにおける電極接続部7と冷却ブロック9の構造を模式的に示す上面図である。なお、第1のコイル体21と第2のコイル体22との電極接続部の構造は、各コイル体を構成する超電導線材の巻回方向が逆であること、電極接続部における電極の接合方向が周方向逆向きである。図4に示す上面図において、左側に位置する電極接合部7は積層方向下側の第1のコイル体21より引き出された超電導線材本体部1Aと電極5との接合構造であり、右側に位置する電極接合部7は積層方向上側の第2のコイル体22より引き出された超電導線材本体部1Aと電極5との接合構造である。
各コイル体21、22の電極接合部7において、巻回終端で被覆層20が所定の長さ除去され、被覆層20から引き出された基材11〜安定化層19の積層体、すなわち超電導線材本体部1Aは、折り曲げ部1Kからコイル体径方向外側に向かって所定長さ延設されている。超電導線材本体部1Aは折り曲げ部1Kにおいて、安定化層19側を内側、基材11側を外側として折り曲げられている。
電極接合部7の超電導線材本体部1Aの安定化層19表面上には、平板状の電極5が半田等の電気的接合材により接合されている。
超電導線材本体部1Aの先端部1aと電極5の先端部5aは、略同一位置とされている。電極5の先端部5aは外部励磁用電源(図示略)などの外部機器の端子と直接接続されていてもよく、図2に示すように電力リード34を介して電源35に接続されていてもよい。
電極5は、電極材料として従来公知の材料を用いることが可能であり、高い導電性を有する金属、例えば、銅、銀、金、白金、またはこれらの金属を少なくとも1種含む合金が挙げられ、中でも安価で導電率の優れた銅が好ましい。また、電極5はめっき銅より形成されていてもよい。電極5の寸法は各コイル体21、22の寸法に合わせて適宜調整される。電極5の幅方向の寸法は、接続抵抗を抑えることができるため、超電導線材1の幅と略同一とされることが好ましい。電極5の厚さは、特に制限されず、通電電流値、接続作業性、機械強度などを考慮して適宜調整すればよく、例えば、1〜3mm程度とされる。
電極5と、超電導線材本体部1Aの安定化層19との接合は、電気的および機械的に接続されていればよく、例えば、半田付け、導電性接着剤等により接合することができるが、汎用性、接合性、取り扱いの容易性の点で半田が好ましい。半田としては、特に限定されず、例えば、Pb−Sn系合金半田、Sn−Ag系合金、Sn−Bi系合金、Sn−Cu系合金、Sn−Zn系合金等の鉛フリー半田、共晶半田、低温半田等が挙げられ、これらの半田を1種または2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、融点が300℃以下の半田を用いるのが好ましい。これにより、300℃以下の温度で半田付けすることが可能となるので、半田付けの熱によって酸化物超電導層17の特性が劣化することを抑止することができる。
電極接合部7に接合されている冷却ブロック9は、熱伝導性の絶縁材より形成されている。冷却ブロック9を構成する材料の熱伝導性としては、常温における熱伝導率が50W/m/K以上であることが好ましい。冷却ブロック9を構成する材料の常温における熱伝導率の上限値は特に限定されず、絶縁性であれば熱伝導率が高い程好ましい。
また、冷却ブロック9は、絶縁破壊電圧が1MV/cm以上である絶縁材よりなることが好ましい。本実施形態の超電導コイル10は、冷却ブロック9において1kV程度の絶縁が保たれていればよく、このような絶縁を保つためには、冷却ブロック9の厚さを10μm以上とすることが好ましい。冷却ブロック9の寸法は、特に制限されず、各コイル体21、22や電極接合部7の寸法に応じて適宜調整可能である。
冷却ブロック9の材質としては、前記した高熱伝導率を有する絶縁材である窒化アルミニウム(常温における熱伝導率100〜350W/m/K、絶縁破壊電圧11.7MV/cm)または炭化珪素(常温における熱伝導率50〜350W/m/K、絶縁破壊電圧2.0MV/cm)が好ましい。これらの材質より冷却ブロック9が構成されることにより、電極接合部7との絶縁性を保ちつつ、冷凍機から冷却ブロック9を介して電極接合部7へと効率的に伝導冷却ができ、電極接合部7の発熱を抑えることができる。
冷却ブロック9は、全体が前記した熱伝導性の絶縁材より形成されていてもよいが、少なくとも電極接合部7と接触する部分が熱伝導性の絶縁材より形成されている構成でもよい。図5(a)は本発明に係る超電導コイル10の電極接合部7および冷却ブロック9の第2の例を示す模式図であり、図5(b)は本発明に係る超電導コイル10の冷却ブロック9の第3の例を示す断面図である。なお、図5(a)において、図4に示す電極接合部7と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一要素の説明は省略する。
図5(a)に示す例において、冷却ブロック9Bは、電極接合部7と接触する面9a、9aが前述した熱伝導性の絶縁材より形成されており、これらの面9a、9a間に挟まれた部分は、銅などの良熱伝導性材料から構成されている。この例の冷却ブロック9Bも、前記した第1実施形態の冷却ブロック9と同様に、電極接合部7との絶縁性を保ちつつ、冷凍機から冷却ブロック9を介して電極接合部7へと効率的に伝導冷却ができ、電極接合部7の発熱を抑えることができる。
また、本発明に係る超電導コイルにおいて、図5(b)に示す冷却ブロック9Cのように、外側に位置する面9cが前述した熱伝導性の絶縁材より形成されており、これらの面9cに囲まれた内側の部分9dが銅などの良熱伝導性材料から構成されていてもよい。面9cは、例えば、内側の部分9dに対して溶射などにより熱伝導性の絶縁材をコーティングすることで形成できる。この例の冷却ブロック9Cは、外側に位置する面9cが電極接合部7と接触する構成となるため、前記した第1実施形態の冷却ブロック9と同様に、電極接合部7との絶縁性を保ちつつ、冷凍機から冷却ブロック9を介して電極接合部7へと効率的に伝導冷却ができ、電極接合部7の発熱を抑えることができる。
冷却ブロック9と電極接合部7の超電導線材本体部1Aとの接合は、機械的に接続されていればよく、例えば、エポキシ樹脂などの接着剤等により接合することができる。
また、冷却ブロック9と電極接合部7との接合は、図6に示すようにねじ等の固定具42により行ってもよい。この場合、電極接合部7の超電導線材本体部1Aが固定具42により損傷されて超電導特性が劣化することを防ぐため、電極接合部7の電極5の一部を超電導線材本体部1Aよりも幅広に形成し、この幅広部分5Hに穴41を形成し、穴41を介して固定具42を冷却ブロック9に形成したねじ孔43に螺合することにより電極5と冷却ブロック9とを固定して接合すればよい。
本実施形態の超電導コイル10は、電極接合部7において常電導体である電極5のほぼ全体に亘って、超電導線材本体部1Aの安定化層19が接合されて電気的に接続された構造である。そのため、電極5の接続抵抗を低減でき、ジュール熱の発生を抑制して電極接続部7における発熱を抑えることができる。さらに、電極接合部7に冷凍機に接続された冷却ブロック9が接続されていることにより、電極接続部7で発熱が起こった場合にも、伝導冷却により電極接続部7を冷却することができる。従って、本実施形態の超電導コイル10は、電極との接続部における発熱が少なく、安定に運転できる。
また、本実施形態の超電導コイル10は、冷却ブロック9により電極接合部7の電極5が冷却される構成であるため、電極5に接続された電流リードからの熱進入を抑え、電極5の発熱を抑えることができる。
さらに、本実施形態の超電導コイル10は、各コイル体21、22の電極接合部7、7間に冷却ブロック9が配置された構成であるため、電極接合部7、7を冷却ブロック9で機械的に補強した構造とすることができる。従って、超電導コイル10への通電時に生じる可能性のある振動などにより電極5が位置ずれすることを抑制できる。また、接合部分の強度が高いので、他の端子との接続の作業性が向上する。
また、本実施形態の超電導コイル10は、超電導線材1を安定化層19側を外側として巻回したコイル体21、22より構成され、且つ電極接続部7において超電導線材本体部1Aの巻回終端部が安定化層19を内側とし、基材11を外側としてコイル径方向外側に折り曲げられた構成である。そのため、超電導線材本体部1Aの折り曲げ部1Kにおいて、酸化物超電導層17に圧縮応力がかかるので酸化物超電導層17が劣化せず、折り曲げにより超電導特性が低下することを抑制できる。これは、酸化物超電導層に引張応力がかかると酸化物超電導層にマイクロクラックなどの欠陥を導入してしまう可能性が強く、この欠陥の導入により酸化物超電導層の臨界電流密度を著しく低下させてしまう問題があるのに対し、酸化物超電導層に圧縮応力がかかる場合には前記欠陥を導入させてしまう可能性が少ないことに起因している。
上述の第1実施形態の超電導コイル10では、冷却ブロック9が電極接合部7、7の間に配置された構造を示したが、本発明の超電導コイルはこの例に限定されない。図7(a)は本発明に係る超電導コイルの第2実施形態を示す分解斜視図であり、図7(b)は同超電導コイルの正面図であり、図8は本発明に係る超電導コイルの第3実施形態を示す斜視図である。図7および図8において、上記第1実施形態の超電導コイル10と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一要素の説明は省略する。
図7に示す超電導コイル10Bは、上記第1実施形態の超電導コイル10とは、冷却ブロック9の設置位置が異なっている。本実施形態の超電導コイル10において、超電導線材1から引き出された超電導線材本体部1Aは折り曲げ部1Kでコイル系方向外側に向かって基材11側を外側にして折り曲げられており、超電導線材本体部1Aの安定化層19上の電極5が接合されて電極接合部7を構成している。電極接合部7の電極5には、冷凍機に接続された立方体形状の冷却ブロック9が接合されている。本実施形態の超電導コイル10Bは、図2に示す例と同様に冷凍機に接続されて使用される。超電導コイル10Bはその上下方向から冷凍機に接続された冷却板31、31により挟み込まれ、冷凍機から伝導冷却される構成となる。
図7(b)に示すように、第1のコイル体21の電極接合部7と接合された冷却ブロック9は、下側の冷却板31に接着剤または固定具などにより接合されている。また、第2のコイル体22の電極接合部7と接合された冷却ブロック9は、上側の冷却板31に接着剤または固定具などにより接合されている。このように、電極接合部7と接合された冷却ブロック9が冷却板31とも接合する構成とすることにより、冷却ブロック9を介した電極接合部7の伝導冷却の効率が向上するだけでなく、電極接合部7の接合構造を強固にすることができる。
本実施形態の超電導コイル10Bも上記第1実施形態の超電導コイル10と同様に、電極の接続部の発熱を抑えることができる。
図8に示す超電導コイル10Cは、上記第1実施形態の超電導コイル10とは、冷却ブロック9の設置位置が異なっている。本実施形態の超電導コイル10Cにおいて、各コイル体21、22の電極接合部7、7を内部に含むように冷却ブロック9Dが配置されている。すなわち、冷却ブロック9Dを貫通するように電極接合部7、7が設けられている。
この例の超電導コイル10Cでは、上記第1および第2実施形態の超電導コイル10、10Bよりも、電極接合部7と冷却ブロック9Dとの接触面積を大きくとることができ、冷凍機が接続された冷却ブロック9Dから電極接合部7をより効果的に伝導冷却することができる。また、電極接合部7が冷却ブロック9Dを貫通する構造であるため、電極接合部7の接合構造をより強固にすることができる。
上述の第1〜第3実施形態の超電導コイル10、10B、10Cでは、コイル径方向に折り曲げられた超電導線材本体部1Aに、平板状の電極5が接合された例を示したが、本発明の超電導コイルはこの例に限定されない。図9は本発明に係る超電導コイルの第4実施形態の電極接合部と冷却ブロックの構造を模式的に示す上面図である。図9において、上記第1実施形態の超電導コイル10と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一要素の説明は省略する。なお、図9に示す上面図において、左側に位置する電極接合部7は積層方向下側の第1のコイル体21より引き出された超電導線材本体部1Aと電極5との接合構造であり、右側に位置する電極接合部7は積層方向上側の第2のコイル体22より引き出された超電導線材本体部1Aと電極5との接合構造である。
本実施形態の超電導コイル10Dは、各コイル体21、22の電極接合部7において、巻回終端で被覆層20が所定の長さ除去され、被覆層20から引き出された超電導線材本体部1Aは、コイル体周方向に沿って所定長さ延設された後、折り曲げ部1Kからコイル体径方向外側に向かって所定長さ延設されている。超電導線材本体部1Aは折り曲げ部1Kにおいて、安定化層19側を内側、基材11側を外側として折り曲げられている。
電極接合部7の超電導線材本体部1Aの安定化層19の表面上には、電極5Bが接合されている。電極5Bは超電導線材本体部1Aの形状に沿って超電導線材本体部1Aの巻回終端部と一体化されており、コイル体周方向に沿う周側部5Sとコイル体径方向外側に延出された延出部5Eとで構成されている。電極5Bは折り曲げ部5Kにおいて折り曲げられた構造となっている。
超電導線材1Aの周側部1Sの安定化層19と、電極5Bの周側部5Sは、半田等の電気的接合材により接合されている。また、超電導線材1Aの延出部1Eの安定化層19と、電極5Bの延出部5Eは、半田等の電気的接合材により接合されている。
超電導線材本体部1Aの先端部1aと電極5Bの先端部5aは、略同一位置とされている。超電導線材本体部1Aの折り曲げ部1Kの内側(安定化層19側)と、電極5Bの折り曲げ部5Kの外側は、半田等の電気的接合材により接合されている。電極5Bの先端部5aは外部励磁用電源(図示略)などの外部機器の端子と直接接続されていてもよく、電力リード(図示略)などを介して接続されていてもよい。
電極5Bの材質は上記した電極5と同様である。電極5Bの寸法は各コイル体21、22の寸法に合わせて適宜調整される。電極5Bの幅方向の寸法は、接続抵抗を抑えることができるため、超電導線材1の幅と略同一とされることが好ましい。電極5Bの厚さは、特に制限されないが、折り曲げが可能な程度の厚さ、例えば、1〜3mm程度とされる。
電極5Bと超電導線材本体部1Aの安定化層19との接合は、上記した電極5と超電導線材本体部1Aとの接合方法と同様である。
本実施形態の超電導コイル10Dは、電極接合部7において常電導体である電極5Bの周側部5Sから延出部5Eに亘って、超電導線材本体部1Aの安定化層19が接合されて電気的に接続された構造であるため、電極5Bの接続抵抗を低減でき、ジュール熱の発生を抑制して電極接続部における発熱を抑えることができる。さらに、電極接合部7に冷凍機に接続された冷却ブロック9が接続されていることにより、電極接続部7で発熱が起こった場合にも、伝導冷却により電極接続部7を冷却することができる。従って、本実施形態の超電導コイル10Dは、電極との接続部における発熱が少なく、安定に運転できる。
また、電極5Bの周側部5Sと延出部5Eの両方が超電導線材本体部1Aの安定化層に半田付けされている場合、超電導線材1の巻回終端部の折り曲げ部分を電極5Bで補強した接合構造とすることができる。従って、超電導コイル10Dへの通電時に生じる可能性のある振動などにより電極5Bが位置ずれすることを抑制できる。また、接合部分の強度が高いので、他の端子との接続の作業性が向上する。
上記第1〜第4実施形態の超電導コイル10、10B、10C、10Dでは、2個のコイル体21、22が積層されたダブルパンケーキコイルについて説明したが、本発明の超電導コイルはこの例に限定されず、ダブルパンケーキコイルが複数個積層されて構成されていてもよい。
図10は本発明に係る超電導コイルの第5実施形態の超電導コイル10Eを備える装置の一例を示す模式図である。図10において、上記第1〜第4実施形態の超電導コイル10、10B、10C、10Dおよび装置30と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一要素の説明は省略する。
図10に示す超電導コイル10Eは、同一径のドーナツ状の第1のコイル体と第2のコイル体とが、同軸的に上下に積層されてなる5個のダブルパンケーキコイル51、52、53、54、55が、さらに同軸的に積層されて構成されている。
各ダブルパンケーキコイル51〜55は、超電導線材1が安定化層側を外側にして同心円状、反時計回りに多数回巻回されて構成されたパンケーキ型の第1のコイル体の上に、超電導線材1が安定化層側を外側にして同心円状、時計回りに多数回巻回されて構成されたパンケーキ型の第2のコイル体が積層されて構成されている。各コイル体の構成は上記した第1のコイル体21および第2のコイル体22と電極接合部7の構造以外は同様である。
各ダブルパンケーキコイル51〜55の内側において、各コイルを構成する第1のコイル体の巻回始端と第2のコイル体の巻回始端とは、互いに隣接するように配されており、良導電性の接続板(図示略)により、電気的および機械的に接続されている。また、隣接する各ダブルパンケーキコイル51と52、52と53、53と54、54と55において、その最外周に位置する超電導線材の巻回終端が互いに隣接するように配されており、良導電性の接続板(図示略)により、電気的および機械的に接続されている。
最下段のダブルパンケーキコイル51の下側の第1のコイル体の巻回終端部では、前記した超電導線材本体部1Aがコイル体の径方向外側に向かって引き出され、引き出された超電導線材1Aには、平板状の電極5が接合されている。最上段のダブルパンケーキコイル55の上側の第2のコイル体の巻回終端部では、前記した超電導線材本体部1Aがコイル体の径方向外側に向かって引き出され、引き出された超電導線材本体部1Aには、平板状の電極5が接合されている。最上端のダブルパンケーキコイル55および最下段のダブルパンケーキコイル51に接続された電極5は、電流リード34を介して収容容器39の外部に設置された電源35に接続されており、この電源35からダブルパンケーキ51〜55全体に通電できるようになっている。
図10に示す装置50において、本実施形態の超電導コイル10Eは収容容器39の内部に配置され、冷凍機38に接続されて使用される。超電導コイル10Eの上下および各ダブルパンケーキコイル51〜55の間には、各ダブルパンケーキコイル51〜55よりも径の大きい円盤状の冷却板31が設置されており、冷却板31はその外側において熱伝導バー36に接続されている。冷凍機38と熱伝導バー36と冷却板31とは接続されており、これにより冷凍機38により冷却板31が伝導冷却され、さらに冷却板31により超電導コイル10E全体が冷却される構成となっている。
最上端のダブルパンケーキコイル55および最下段のダブルパンケーキコイル51に電極5が接合された電極接合部7には、立方体形状の冷却ブロック9が接合されている。冷却ブロック9は、接合構造を強固にするために、超電導コイル10の上方および下方に配置された冷却板31に接着剤や固定具により固定されている。冷却ブロック9は、電極接合部7の電極5および超電導線材本体部1Aのいずれに接合されていてもよい。
超電導コイル10Eの冷却ブロック9は、冷却用ケーブル32により、熱伝導バー37を介して冷凍機38と接続された良熱伝導性材料よりなる熱伝導板47に接続されている。これにより冷凍機38により冷却ブロック9が伝導冷却され、さらに冷却ブロック9により超電導コイル10Eの電極接合部7が冷却される構成となっている。なお、図10に示す装置では、冷却ブロック9が冷却用ケーブル32の他に、冷却板31にも接触する構成となっているが、冷却ブロック9は冷却板31のみを介して冷凍機38より伝導冷却される構成とすることもできる。
本実施形態の超電導コイル10Eも上記第1実施形態の超電導コイル10と同様に、電極の接続部の発熱を抑えることができる。
以上、本発明の超電導コイルについて説明したが、上記実施形態において、超電導コイルを構成する各部一例であって、本発明の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上記実施形態では、図3に示すようにテープ状の基材上に中間層などを介して酸化物超電導層が積層された構成の超電導線材を使用してコイル体とする例を示したが、本発明の超電導コイルはこの例に限定されない。図11に示す超電導線材100のように、BiSrCan−1Cu4+2n+δなる組成等に代表される臨界温度の高いBi系の酸化物超電導層101を銀または銀合金のシース材102で被覆したテープ状の線材を使用することもできる。その場合、超電導線材100を巻回してコイル体とし、その巻回終端部においてシース材102と電極を半田等で接合して電極接合部を構成し、この電極接合部に冷却ブロックを接合すればよい。なお、この例の超電導線材100は、酸化物超電導層101の原料粉末が充填された銀または銀合金製のパイプを伸線して多芯化し、さらに伸線、圧延および焼成を繰り返すPIT法(Powder In Tube法)などにより製造される。
以下、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
幅5mm、厚さ0.1mmのテープ状のハステロイ(米国ヘインズ社製商品名)製の基板上に、スパッタ法によりAl(拡散防止層;膜厚150nm)を成膜した上に、イオンビームスパッタ法によりY(ベッド層;膜厚20nm)を成膜した。次いで、このベッド層上に、イオンビームアシスト蒸着法(IBAD法)によりMgO(中間層;膜厚10nm)を形成した上に、パルスレーザー蒸着法(PLD法)により1.0μm厚のCeO(キャップ層)を成膜した。次いでCeO層上にPLD法により1.0μm厚のGdBaCu(酸化物超電導層)を形成し、さらに酸化物超電導層上にスパッタ法により10μm厚の銀層(安定化基層)を形成した。その後、0.1mm厚の銅テープ(安定化層)を半田により銀層上に積層して超電導線材本体部を作製した。続いて、得られた超電導線材本体部にポリイミドテープを隙間無く巻き付けることにより超電導線材を作製した。
次いで、得られたポリイミドテープ付きの超電導線材を安定化層側が外側となるように、直径60mmの円筒状のFRP(繊維強化プラスチック)製の巻き枠に同心円状に200回巻回して外径110mmのパンケーキコイルを作製した。次に、同様の手順でパンケーキコイルをもう1個作製し、2個のパンケーキコイルを同軸的に積層させ、これらのパンケーキコイルの内側で超電導線材の巻回始端部同士を電気的および機械的に接合して、ダブルパンケーキコイルを作製した。
次に、各パンケーキコイルの巻回終端部のポリイミドテープを除去し、超電導線材本体部の端部から100mmの部分を露出させて、コイル径方向外側に折り曲げた。そして、コイル径方向外側に引き出した超電導線材本体部の端部の安定化層上に、図6に示す形状の厚さ2mm、長さ100mm、幅5mm(電極端部から0〜30mmの部分の幅は10mm)の銅製の電極を半田付けして、各パンケーキコイルに電極接合部を形成した。
続いて、各パンケーキコイルの電極接合部の間に、幅30mm、長さ30mm、高さ10mmの立方体形状の窒化アルミニウム(熱伝導率100〜350W/m/K(室温)、絶縁破壊電圧11.7MV/cm)製の冷却ブロックを用意し、この冷却ブロックを図6に示すように各パンケーキコイルの電極接合部の間に挟み込む構造となるように、電極の端部から0〜30mmの幅広となった部分に対して、超電導線材本体部を貫通しないようにして、ネジで固定して図1に示す構造の超電導コイルを作製した。
次に、作製した超電導コイルをその上下方向から直径150mm、厚さ10mmの円盤状の銅製の冷却板で挟み込み、図2に示す構造の装置にセットした。冷却板と窒化アルミニウム製の冷却ブロックを冷凍機に接続し、冷却板と電極にそれぞれ温度センサーを取り付け、冷凍機を作動させて超電導コイル全体を30Kに冷却した。この状態で、超電導コイルの臨界電流値の60%に相当する電流値200Aを1時間通電したところ、冷却板の上昇温度は0.1Kであり、電極の上昇温度は2Kであった。
(比較例1)
冷却ブロックをFRP(繊維強化プラスチック;熱伝導率0.8W/m/K(室温)、絶縁破壊電圧1.9MV/cm)製とした以外は、実施例1と同様にして超電導コイルを作製した。作製した超電導コイルを実施例1と同様にして図2に示す装置にセットし、30Kにて通電試験を行ったところ、超電導コイルの臨界電流値の60%の電流を1時間通電した後における冷却板の上昇温度は0.1Kであり、電極の上昇温度は15Kであった。
(比較例2)
冷却ブロックとして、幅30mm、長さ30mm、厚さ10mmの立方体形状の銅製ブロックに、電極接合部と接触する2面を0.5mm厚のポリイミドシート(熱伝導率0.3W/m/K(室温)、絶縁破壊電圧2.8MV/cm)を積層したものを使用し、図5(a)に示す構造となるように電極接合部と銅製ブロックとの間にポリイミドシートが配置されるように固定したこと以外は、実施例1と同様にして超電導コイルを作製した。作製した超電導コイルを実施例1と同様にして図2に示す装置にセットし、30Kにて通電試験を行ったところ、超電導コイルの臨界電流値の60%の電流を1時間通電した後における冷却板の上昇温度は0.1Kであり、電極の上昇温度は7Kであった。
以上の結果より、熱伝導性の絶縁体である窒化アルミニウム製の冷却ブロックを備える実施例1の超電導コイルでは、比較例1、2の超電導コイルと比較して電極の発熱が抑えられていた。
本発明は、例えば超電導モータ、限流器など、各種超電導機器に用いられる超電導コイルに利用することができる。
1…超電導線材、1A…超電導線材本体部、1S…周側部、1E…延出部、1K…折り曲げ部、5、5B…電極、5S…周側部、5E…延出部、5K…折り曲げ部、7…電極接合部、9、9B、9C、9D…冷却ブロック、10、10B、10C、10D、10E…超電導コイル、11…基材、12…ベッド層、15…中間層、16…キャップ層、17…酸化物超電導層、18…安定化基層、19…安定化層、20…被覆層、21…第1のコイル体、22…第2のコイル体、30…装置、31…冷却板、32…冷却用ケーブル、33…真空ポンプ、34…電流リード、35…電源、36、37…熱伝道バー、38…冷凍機、39…収容容器、42…固定具、50…装置、100…超電導線材、101…酸化物超電導層、102…シース材。

Claims (7)

  1. テープ状の超電導線材を巻回してなるコイル体と、このコイル体の前記超電導線材の巻回終端部と電気的に接続する電極と、前記超電導線材の巻回終端部と前記電極とが接合された電極接合部と接合され、かつ、冷凍機と接続された冷却ブロックと、を備え、
    前記超電導線材の巻回終端部が前記コイル体の径方向外側に向かって引き出され、この巻回終端部と重なるように前記電極が前記コイル体の径方向に向いて設置され、
    前記冷却ブロックの少なくとも前記電極接合部との接触部分が、熱伝導性の絶縁体よりなることを特徴とする超電導コイル。
  2. 前記熱伝導性の絶縁体の熱伝導率が50W/m/K以上であることを特徴とする請求項1に記載の超電導コイル。
  3. 前記冷却ブロックの少なくとも前記電極接合部との接触部分が、窒化アルミニウムまたは炭化珪素よりなることを特徴とする請求項1または2に記載の超電導コイル。
  4. 前記超電導線材が、基材と、該基材上方に設けられた酸化物超電導層と、該酸化物超電導層上方に設けられた安定化層とを備えてなり、
    前記電極が、前記超電導線材の前記安定化層上に、該安定化層と電気的に接続するように設けられてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の超電導コイル。
  5. 前記超電導線材の巻回終端部と前記電極とが接合された電極接合部が、前記コイル体の周方向から径方向外側に向かって一体に折り曲げられてなり、前記電極の前記コイル体周面に沿う部分と、該電極の前記コイル体の外側に延出された部分との両方が、前記安定化層と電気的に接続されてなることを特徴とする請求項4に記載の超電導コイル。
  6. 前記コイル体を複数備え、これら複数のコイル体は隣接するコイル体同士が電気的に接続されて同軸的に積層され、積層されたコイル体の上方および下方に冷凍機に接続された冷却板が配置され、
    最上段および最下段のコイル体において、前記超電導線材の巻回終端部と前記電極とが接合された電極接合部が、前記冷却ブロックを介して前記冷却板に接続されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の超電導コイル。
  7. 前記コイル体を2個備え、各コイル体の前記超電導線材の巻回終端部と前記電極とが接合された電極接合部が近接するようにこれらのコイル体が同軸的に積層され、近接する前記電極接合部間に前記冷却ブロックが配置されてなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の超電導コイル。
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