JP2012255232A - 炭素繊維束及びその製造方法、並びに熱可塑性樹脂組成物。 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリオレフィン系樹脂、特にポリプロピレン樹脂との良好な界面接着性を発現できる炭素繊維束を提供する。
【解決手段】分子内にカルボキシル基を有し、その少なくとも一部が塩基性化合物で中和されてなる変性1−プロペン・1−ブテン共重合物が炭素繊維束に対して0.1質量%から8.0質量%付与されている炭素繊維束。
【選択図】なし
【解決手段】分子内にカルボキシル基を有し、その少なくとも一部が塩基性化合物で中和されてなる変性1−プロペン・1−ブテン共重合物が炭素繊維束に対して0.1質量%から8.0質量%付与されている炭素繊維束。
【選択図】なし
Description
本発明は、熱可塑性樹脂の補強材として用いられる炭素繊維束及びその製造方法に関するものである。
炭素繊維束とは、炭素からなる単繊維が複数まとまった形態をなしているものであり、熱可塑性樹脂の補強材として用いられる場合、炭素繊維束は、3〜15mm長に切断されたチョップの形態や、長繊維ペレットの形態、あるいは、引き揃えたり織物にしたりして熱可塑性樹脂を含浸させたシート材料の形態などで供される。
炭素繊維束のチョップと熱可塑性樹脂とを混練したペレットを製造するに当たっては、炭素繊維束が定量的に押出機内に供されることが必要であるが、そのためには炭素繊維束の形態安定性が重要である。また、長繊維ペレットやシート材料を製造するに当たっては、炭素繊維束は連続繊維の形態で、製造工程に投入されることになるが、炭素繊維束には毛羽が発生し易く、また、バラケ易く、その取扱いが難しい。しかも、炭素繊維束を織物にして使用する場合もあり、炭素繊維束の製織性や製織後の織布の取扱い性なども重要な特性となっている。
以上のような理由により、炭素繊維束の取扱い性や、炭素繊維束を配合した材料の物性を向上させることを目的に、マトリックス樹脂に適合性のあるサイジング剤を、例えば0.2質量%から5質量%程度表面に付与するサイジング処理により集束された炭素繊維束が、一般的に用いられている。マトリックス樹脂として用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂などがよく用いられるが、近年、リサイクル性、経済性の面からポリオレフィン系樹脂が用いられるケースが増えてきている。特にポリプロピレン樹脂は、注目されている樹脂である。しかしながら一般的にポリオレフィン系樹脂は、分子鎖に極性基を持たず、炭素繊維やガラス繊維との界面接着性が非常に低く、補強材としての機械特性の向上効果が十分に発現しないことが多い。そのため、特許文献1にあるように、酸変性ポリプロピレンを必須成分とするサイジング剤で炭素繊維やガラス繊維などをサイジング処理することで界面接着性を改善する方法が知られている。しかしながら、特許文献1に記載されている酸変性ポリプロピレンを必須成分とするサイジング剤でサイジング処理する方法は、ポリオレフィン系樹脂との比較的良好な界面接着性を実現するが、炭素繊維の場合におけるその効果は十分ではなかった。
その原因として、特許文献1の実施例にあるサイジング剤に界面活性剤が含まれていることが挙げられる。界面活性剤は炭素繊維とポリオレフィンとの接着にはなんら寄与せず、接着性に悪影響を与える。この問題を回避する為に、特許文献2には、界面活性剤を用いずに乳化することが出来る自己乳化性のポリプロピレン系樹脂分散液を付与した炭素繊維束が記載されている。しかし、特許文献2の実施例にあるサイジング剤はポリエチレンとアクリル酸の共重合物であり、ポリプロピレンに対して充分な親和性を示すものではなかった。
そこで、本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、ポリオレフィン系樹脂、特にポリプロピレン樹脂との良好な界面接着性を発現できる炭素繊維束を提供することを目的とする。
本発明の第1の要旨は、分子内にカルボキシル基を有し、その少なくとも一部が塩基性化合物で中和されてなる変性1−プロペン・1−ブテン共重合物が、炭素繊維束に対して0.1質量%から8.0質量%付与されてなる炭素繊維束にある。
本発明の第2の要旨は、本発明の炭素繊維束と熱可塑性樹脂とを含有し、炭素繊維束の含有量が5.0質量%から70.0質量%である炭素繊維強化熱可塑性樹脂組成物にある。
本発明の第3の要旨は、本発明の炭素繊維強化熱可塑性樹脂組成物を成型してなる成型品にある。
本発明により製造された炭素繊維束によれば、ポリオレフィン系樹脂、特にポリプロピレン樹脂との良好な界面接着性を発現することができる。
(変性1−プロペン・1−ブテン共重合物)
分子内にカルボキシル基を有し、その少なくとも一部が塩基性化合物で中和されてなる変性1−プロペン・1−ブテン共重合物は、プロペン−ブテン共重合体を主鎖とし、これらの主鎖が不飽和カルボン酸類で変性され、不飽和カルボン酸モノマー単位の割合は、0.1質量%〜20.0質量%が好ましく、かかる範囲であれば、炭素繊維束の熱可塑性樹脂マトリックスへの接着性が低下することなく、また、変性ポリオレフィン系樹脂中のポリオレフィン含量が相対的に減少することがないため炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性が低下することもない。
分子内にカルボキシル基を有し、その少なくとも一部が塩基性化合物で中和されてなる変性1−プロペン・1−ブテン共重合物は、プロペン−ブテン共重合体を主鎖とし、これらの主鎖が不飽和カルボン酸類で変性され、不飽和カルボン酸モノマー単位の割合は、0.1質量%〜20.0質量%が好ましく、かかる範囲であれば、炭素繊維束の熱可塑性樹脂マトリックスへの接着性が低下することなく、また、変性ポリオレフィン系樹脂中のポリオレフィン含量が相対的に減少することがないため炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性が低下することもない。
変性に用いる不飽和カルボン酸としては、不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、及びこれらのエステルや酸無水物等の誘導体が使用できる。具体的には、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、グリシジルメタクリレート等を挙げることができる。これらは1つの成分のみを用いても、複数の成分を組み合わせて用いても良い。
変性1−プロペン・1−ブテン共重合物の重量平均分子量は3,000〜130,000が好ましく、5,000〜120,000がより好ましい。重量平均分子量が3,000〜130,000であると、炭素繊維と熱可塑性樹脂マトリックスとの接着性や、炭素繊維束自身の集束性が優れ、また、水分散液を用いてサイジング剤を付与する場合に乳化が困難となったり、乳化できる場合であっても分散液中の粒子径が大きくなったりすることがない。
さらに、変性1−プロペン・1−ブテン共重合物の融点は、60℃から120℃が好ましい。融点が60℃から120℃であると、サイジング処理に伴う乾燥工程において、炭素繊維表面上へのサイジング剤の濡れ広がりが良好で、樹脂そのものの強度も十分あるので好ましい。
(自己乳化)
分子内にカルボキシル基を有する変性1−プロペン・1−ブテン共重合物を塩基性化合物で中和することで水分散性を付与することが出来る。中和に用いる塩基性化合物としては、たとえば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニア、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びジメチルエタノールアミン、モルフォリン等のアミン類を使用することができる
分子内にカルボキシル基を有する変性1−プロペン・1−ブテン共重合物を塩基性化合物で中和することで水分散性を付与することが出来る。中和に用いる塩基性化合物としては、たとえば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニア、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びジメチルエタノールアミン、モルフォリン等のアミン類を使用することができる
分子内にカルボキシル基を有し、その少なくとも一部が塩基性化合物で中和されてなる変性1−プロペン・1−ブテン共重合物が側鎖に有するカルボキシル基100モル%に対する金属陽イオン又はアンモニウムイオンで中和されたカルボキシル基の割合は、50〜100モル%とすることが好ましく、70〜100モル%とすることがより好ましい。変性1−プロペン・1−ブテン共重合物の酸価や分子量にもよるが、中和されたカルボキシル基の割合が50モル%以上では自己乳化性を持たせることが容易であるが、カルボキシル基の中和度が増すと炭素繊維とポリプロピレン樹脂との接着強度が低下するため、中和度は自己乳化が可能な範囲でできるだけ小さくするのが望ましい。
(炭素繊維束、プレサイジング、製造方法)
本発明に用いることができる炭素繊維束は特に限定されない。通常の炭素繊維は、平均直径5〜15μm程度の単繊維が1000〜60000本程度まとまった形態をなしている。炭素繊維束を構成する単繊維は、アクリロニトリル重合体(PAN)や、石油、石炭から得られるピッチ、レイヨン、リグニン等を繊維化し炭素化することで得られる。特に、PANを原料としたPAN系炭素繊維が、工業規模における生産性及び機械的特性に優れており好ましい。このような炭素繊維束として、例えば、三菱レイヨン社製のTR 50S、TR 30S、TRH50、TR 40、MR 60H(以上、商品名)などが挙げられる。
本発明に用いることができる炭素繊維束は特に限定されない。通常の炭素繊維は、平均直径5〜15μm程度の単繊維が1000〜60000本程度まとまった形態をなしている。炭素繊維束を構成する単繊維は、アクリロニトリル重合体(PAN)や、石油、石炭から得られるピッチ、レイヨン、リグニン等を繊維化し炭素化することで得られる。特に、PANを原料としたPAN系炭素繊維が、工業規模における生産性及び機械的特性に優れており好ましい。このような炭素繊維束として、例えば、三菱レイヨン社製のTR 50S、TR 30S、TRH50、TR 40、MR 60H(以上、商品名)などが挙げられる。
サイジング剤でサイジング処理される前の炭素繊維束は、炭素化処理後のもの、電解酸化処理して表面に酸素含有官能基を導入したものや、あらかじめ他のサイジング剤(プレサイジング剤)が付与された状態のものも使用できる。プレサイジング剤としては、反応性の観点からエポキシ樹脂を主成分とするサイジング剤が好ましい。
炭素繊維束への共重合物付与量は、目的とする複合材料の成形法や用途等によっても異なるが、0.1質量%〜8.0質量%とすることが好ましく、0.3〜4.0質量%とすることがより好ましい。付与量が0.1質量%〜8.0質量%であれば炭素繊維束の集束性が十分で、過剰でもない程度に得られることで成型加工時の工程通過性に劣ったりすることがないので好ましい。
(サイジング処理方法)
変性1−プロペン・1−ブテン共重合物をサイジング剤として炭素繊維束をサイジング処理する方法としては、サイジング剤を水分散液あるいは溶液にし(以上を以後サイジング液とする)炭素繊維束を接触させる方法が挙げられる。具体的には、サイジング液にロールの一部を浸漬させ表面転写した後、このロールに炭素繊維束を接触させてサイジング液を付与するタッチロール方式、炭素繊維束を直接サイジング液中に浸漬させる浸漬方式があげられる。炭素繊維束へのサイジング剤の付与量の調節は、サイジング液の濃度調整や絞り量調整によって行うことができる。サイジング液は、工程管理の容易さや安全性などの観点から、水分散液であることが好ましい。
変性1−プロペン・1−ブテン共重合物をサイジング剤として炭素繊維束をサイジング処理する方法としては、サイジング剤を水分散液あるいは溶液にし(以上を以後サイジング液とする)炭素繊維束を接触させる方法が挙げられる。具体的には、サイジング液にロールの一部を浸漬させ表面転写した後、このロールに炭素繊維束を接触させてサイジング液を付与するタッチロール方式、炭素繊維束を直接サイジング液中に浸漬させる浸漬方式があげられる。炭素繊維束へのサイジング剤の付与量の調節は、サイジング液の濃度調整や絞り量調整によって行うことができる。サイジング液は、工程管理の容易さや安全性などの観点から、水分散液であることが好ましい。
サイジング処理の後は、乾燥処理を行う。乾燥処理には、熱風式乾燥機、パネルヒーター乾燥機、マッフル炉、ロール式乾燥機などを用いることができる。加熱乾燥の方法としては、炭素繊維束を連続で上記乾燥機に通して行うこともでき、また管状のものに炭素繊維束を巻きつけ、これらを熱風乾燥機やパネル乾燥機にてバッチ処理を行うこともできる。好ましい方法は、均一な熱処理が可能な連続処理である。
(熱可塑性樹脂組成物)
上記のようにして得た炭素繊維束は熱可塑性樹脂組成物の強化繊維として好適である。熱可塑性樹脂としては、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66など)、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルイミド、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンなどが挙げられるが、特にポリプロピレン樹脂が好ましい。
上記のようにして得た炭素繊維束は熱可塑性樹脂組成物の強化繊維として好適である。熱可塑性樹脂としては、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66など)、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルイミド、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンなどが挙げられるが、特にポリプロピレン樹脂が好ましい。
炭素繊維強化熱可塑性樹脂組成物における炭素繊維束の含有量は、炭素繊維束の形態や、複合材料の成型方法、用途等によって異なるが、コストパフォーマンスの観点から3.0質量%から70.0質量%の範囲が好ましく、5.0質量%から60.0質量%がより好ましい。
本発明の炭素繊維束を用いた炭素繊維強化熱可塑性樹脂組成物は、短繊維コンパウンド、長繊維ペレット、ランダムマット、バルクモールディングコンパウンド、一方向強化プリプレグ等の公知の形態で使用することが出来る。
(成型品)
上記の炭素繊維強化熱可塑性樹脂組成物は、公知の成形法により成形することにより、任意の形状の成形品(炭素繊維強化複合成形品)を提供することができる。本発明の炭素繊維強化熱可塑性樹脂組成物から得られる成形品は、機械特性に優れると共に、生産性、経済性に優れる。
上記の炭素繊維強化熱可塑性樹脂組成物は、公知の成形法により成形することにより、任意の形状の成形品(炭素繊維強化複合成形品)を提供することができる。本発明の炭素繊維強化熱可塑性樹脂組成物から得られる成形品は、機械特性に優れると共に、生産性、経済性に優れる。
以下、本発明の炭素繊維束について、より具体的に実施例に基づいて説明するが、これは本発明の内容を限定するものではない。
(実施例1)
サイジング剤が付与されていない炭素繊維束(三菱レイヨン社製、製品名:パイロフィルTR 50S15L(フィラメント数15000本、ストランド強度5000MPa、ストランド弾性率242GPa))を自己乳化型無水マレイン酸変性1−プロペン・1−ブテン共重合物水分散液(東洋紡績株式会社製、製品名:ハードレンNZ−1005、融点69℃)を、固形分濃度6.0質量%に調製した水分散液に浸漬させ、ニップロールを通過させた後に、140℃に過熱した加熱ロールに10秒間接触させる事により乾燥し、炭素繊維束を得た。
サイジング剤が付与されていない炭素繊維束(三菱レイヨン社製、製品名:パイロフィルTR 50S15L(フィラメント数15000本、ストランド強度5000MPa、ストランド弾性率242GPa))を自己乳化型無水マレイン酸変性1−プロペン・1−ブテン共重合物水分散液(東洋紡績株式会社製、製品名:ハードレンNZ−1005、融点69℃)を、固形分濃度6.0質量%に調製した水分散液に浸漬させ、ニップロールを通過させた後に、140℃に過熱した加熱ロールに10秒間接触させる事により乾燥し、炭素繊維束を得た。
<サイジング剤の付与量測定>
サイジング剤の付与された炭素繊維束を約2g採取し質量(W1)を測定した。その後、炭素繊維束を50リットル/分の窒素気流中、温度450℃に設定したマッフル炉(ヤマト科学株式会社製、製品名:FP410)に15分間静置し、サイジング剤を完全に熱分解させた。そして、20リットル/分の乾燥窒素気流中の容器に移し、15分間冷却した後の炭素繊維束を秤量(W2)して、次式よりサイジング剤付与量を求めた。
サイジング剤付与量(質量%)=(W1−W2)/W1×100 (i)
また、後述の実施例4に記載のCF−Bに付与されているNZ−1005の付与量は、上記の方法で求めたサイジング剤付与量から、実施例4に記載のCF−Aのサイジング剤付与量を引いて算出した。
サイジング剤の付与された炭素繊維束を約2g採取し質量(W1)を測定した。その後、炭素繊維束を50リットル/分の窒素気流中、温度450℃に設定したマッフル炉(ヤマト科学株式会社製、製品名:FP410)に15分間静置し、サイジング剤を完全に熱分解させた。そして、20リットル/分の乾燥窒素気流中の容器に移し、15分間冷却した後の炭素繊維束を秤量(W2)して、次式よりサイジング剤付与量を求めた。
サイジング剤付与量(質量%)=(W1−W2)/W1×100 (i)
また、後述の実施例4に記載のCF−Bに付与されているNZ−1005の付与量は、上記の方法で求めたサイジング剤付与量から、実施例4に記載のCF−Aのサイジング剤付与量を引いて算出した。
<炭素繊維強化熱可塑性樹脂組成物の作成・物性測定>
得られた炭素繊維束をロービングカッターで6mmの長さに切断して炭素繊維チョップドストランドを作製した。得られた炭素繊維チョップドストランド200gと十分に乾燥したポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ株式会社製、製品名:ノバテックMA3)800gとの計1kgをドライブレンドしたものを押出機のホッパーに供給し、溶融混練してストランド状に押し出し、水中で冷却後切断して炭素繊維強化熱可塑性樹脂組成物ペレットを得た。
得られた炭素繊維束をロービングカッターで6mmの長さに切断して炭素繊維チョップドストランドを作製した。得られた炭素繊維チョップドストランド200gと十分に乾燥したポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ株式会社製、製品名:ノバテックMA3)800gとの計1kgをドライブレンドしたものを押出機のホッパーに供給し、溶融混練してストランド状に押し出し、水中で冷却後切断して炭素繊維強化熱可塑性樹脂組成物ペレットを得た。
上記ペレットを乾燥させた後、射出成形機にて230℃で幅10.0mm、長さ80mm、厚さ4mmの短冊形テストピースを作製し、ISO178試験法により、三点曲げ試験を行い、曲げ強度及び曲げ弾性率を測定した。
(実施例2、3)
ハードレンNZ−1005の代わりに自己乳化型無水マレイン酸変性1−プロペン・1−ブテン共重合物水分散液(東洋紡績株式会社製、製品名:ハードレンNZ−1004、融点62℃)及び自己乳化型無水マレイン酸変性1−プロペン・1−ブテン共重合物水分散液(東洋紡績株式会社製、製品名:ハードレンNZ−1008、融点105℃)を使用した以外は、実施例1と同様の炭素繊維束を作製し、評価した。
ハードレンNZ−1005の代わりに自己乳化型無水マレイン酸変性1−プロペン・1−ブテン共重合物水分散液(東洋紡績株式会社製、製品名:ハードレンNZ−1004、融点62℃)及び自己乳化型無水マレイン酸変性1−プロペン・1−ブテン共重合物水分散液(東洋紡績株式会社製、製品名:ハードレンNZ−1008、融点105℃)を使用した以外は、実施例1と同様の炭素繊維束を作製し、評価した。
(実施例4)
炭素繊維束(三菱レイヨン社製、製品名:パイロフィルTR 50S15L)に、プレサイジング剤としてエポキシ樹脂JER828 (ジャパンエポキシレジン株式会社製)40質量部、エポキシ樹脂JER1001(ジャパンエポキシレジン株式会社製) 40質量部、ノニオン系界面活性剤20質量部の混合物(以下、この混合物を「サイズ−C」という。)が0.4質量%付与された炭素繊維束(CF−A)をハードレンNZ−1005の水分散液(濃度:6.0質量%)中に浸漬させ、ニップロールを通過させた後に、140℃に過熱した加熱ロールに10秒間接触させる事により乾燥し、炭素繊維束(CF−B)を得た。得られた炭素繊維束を実施例1と同様に評価した。
炭素繊維束(三菱レイヨン社製、製品名:パイロフィルTR 50S15L)に、プレサイジング剤としてエポキシ樹脂JER828 (ジャパンエポキシレジン株式会社製)40質量部、エポキシ樹脂JER1001(ジャパンエポキシレジン株式会社製) 40質量部、ノニオン系界面活性剤20質量部の混合物(以下、この混合物を「サイズ−C」という。)が0.4質量%付与された炭素繊維束(CF−A)をハードレンNZ−1005の水分散液(濃度:6.0質量%)中に浸漬させ、ニップロールを通過させた後に、140℃に過熱した加熱ロールに10秒間接触させる事により乾燥し、炭素繊維束(CF−B)を得た。得られた炭素繊維束を実施例1と同様に評価した。
(比較例1)
ハードレンNZ−1005の代わりに乳化剤使用無水マレイン酸変性ポリプロピレン水分散液(中京油脂株式会社製、製品名:CE−1000)を使用した以外は、実施例1と同様の炭素繊維束を作製し、評価した。
ハードレンNZ−1005の代わりに乳化剤使用無水マレイン酸変性ポリプロピレン水分散液(中京油脂株式会社製、製品名:CE−1000)を使用した以外は、実施例1と同様の炭素繊維束を作製し、評価した。
(比較例2)
CE−1000の代わりにサイズ−Cが1.2質量%付与された炭素繊維束を、実施例1と同様に評価した。
CE−1000の代わりにサイズ−Cが1.2質量%付与された炭素繊維束を、実施例1と同様に評価した。
以上実施例1〜4、比較例1,2の結果を表1に示した。実施例の成型品は比較例の成型品に比べて、曲げ強度、曲げ弾性率に優れている。以上の結果は、本発明の炭素繊維束が良好な界面接着性を有していることを示している。
Claims (7)
- 分子内にカルボキシル基を有し、その少なくとも一部が塩基性化合物で中和されてなる変性1−プロペン・1−ブテン共重合物が、炭素繊維束に対して0.1質量%から8.0質量%付与されてなる炭素繊維束。
- 前記変性1−プロペン・1−ブテン共重合物が、無水マレイン酸変性1−プロペン・1−ブテン共重合物である請求項1に記載の炭素繊維束。
- さらに、エポキシ樹脂を主成分とするサイジング剤が、炭素繊維束に付着されてなる請求項1または2に記載の炭素繊維束。
- 請求項1から3に記載の炭素繊維束と熱可塑性樹脂とを含有し、炭素繊維束の含有量が5質量%から70質量%である炭素繊維強化熱可塑性樹脂組成物。
- 熱可塑性樹脂がポリプロピレンである請求項4に記載の炭素繊維強化熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項4または5に記載の炭素繊維強化熱可塑性樹脂組成物を成型してなる成型品。
- 分子内にカルボキシル基を有し、その少なくとも一部が塩基性化合物で中和されてなる変性1−プロペン・1−ブテン共重合物を含む水分散液に、炭素繊維束を浸漬した後に乾燥させる炭素繊維束の製造方法。
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