以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下、本実施形態に用いるポンプ設備10は、治水用のポンプ設備を例にとり、主に始動時におけるポンプ設備の運転に関して説明するが、始動時のポンプ設備の運転に本発明が限定されるわけではなく、ポンプ設備の停止時に適用してもよい。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
まず、本発明の実施形態に係るポンプ設備10の全体構成について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るポンプ設備10を示す概略構成図である。図1に示すように、本発明の実施形態に係るポンプ設備10は、操作室100と、操作室100に電気的に接続された電気室200と、電気室200に電気的に接続されたポンプ及び駆動機室300と、を備える。操作室100は、後述する主ポンプ301、主ポンプ301を駆動する補機設備303を含む駆動機302、主ポンプ301、駆動機302、補機設備303の運転状態を管理及び監視する運転支援画面部101と、運転支援画面部101に主ポンプ301、駆動機302及び補機設備304の運転フローを表示する運転フロー表示部と、主ポンプ301、駆動機302及び補機設備303の運転状況に合わせて、運転フロー表示部に主ポンプ、駆動機及び補機設備の運転状態をそれぞれ表示する運転状態把握部と、運転状態把握部により把握されるポンプ・駆動機室300の各機器の運転時間を記憶する記憶部と、ポンプ設備10の電気室200及びポンプ・駆動機室300に対し信号の送受信及び運転停止指令を行う制御部と、を含むサーバ102を備える。電気室200は、サーバ102によって制御され、ポンプ・駆動機室300を制御する受配電・操作制御盤201を備える。ポンプ・電動機室300は、主ポンプ301、主ポンプを駆動する駆動機302、補機設備303及び駆動機302、補機設備303を手動又は自動で始動・停止操作を行う機側操作盤305を備える。
一般的にポンプ設備10の故障は、始動時に起こりやすい。特に、始動時のポンプ設備10における補機設備303に故障が多く、始動ができない場合がある。そこで、本発明の実施形態に係るポンプ設備10は、運転支援画面部101にポンプ設備10の運転フロー表示部、運転フロー表示部と共にポンプ設備の運転状態を点灯、点滅等で表示する運転状態把握部を有することによって、現状の始動進捗状況、すなわち、ポンプ設備10の運転状況が一目瞭然で判断できる。これによって、ポンプ設備10の始動時に異常(故障)が発生し、始動渋滞による重故障により、ポンプ設備10の運転が停止した場合、どの状態で一連の連動動作が停止しているのか、つまり、どの状態での異常なのかを適切に判断でき、迅速且つ確実な復旧が可能となり、信頼性の高いポンプ設備を構築できる。ここで、「渋滞」とは、ある一定の時間内に所定の動作が起こらない(完了しない)ことをいう。
本発明の実施形態に係るポンプ設備10は、主ポンプ301、駆動機302及び補機設備303の運転状態を運転状態把握部として運転支援画面部101に表示するだけでなく、主ポンプ301、駆動機302及び補機設備303の運転時間を運転状態把握部として表示させるタイマ部を設けることによって、より正確にポンプ設備10の異常箇所を特定することができる。ここで、運転時間とは、機側操作盤又は操作室から、連動運転指令が入り、連動させる各補機などが運転完了するまでに要した時間を表す。例えば、後述する図2における潤滑油フローリレー(符号413)の場合、主ポンプの運転指令後、カウントアップを開始し、減速機潤滑油ポンプが起動・運転後、油流が生じ、系等配管に設置されているフローリレーが油流を検知した段階で、カウントアップを終了させた値、つまり、主ポンプの運転指令後、その関連機器の動作完了に要した時間を表し、その表示部をタイマ部としている。
本発明の実施形態に係るポンプ設備10は、運転時間を表示するタイマ部を運転状態把握部として運転支援画面部101に設けることによって、例えば、給水ポンプの始動から、給水用フローリレーまでの動作時間が長い又は短い場合は、給水配管からの漏れや、給水ポンプの詰まりまたは吸水量不足、フローリレーの異常等が予想され、場所を特定した機器の調査・復旧が可能となる。
特に、無人機場で完全自動運転を行っているポンプ設備などでは、始動渋滞による故障信号が遠方に発信された後、操作員が機場に赴き、故障復旧を行うが、操作員は実際のポンプ設備10の運転状況を確認しているわけではないため、ポンプ設備の故障原因が特定しづらい。そこで、本発明の実施形態に係るポンプ設備10の上述した構成によれば、どの段階まで始動運転が進んでいたのかが、容易にわかり、異常対象の特定・復旧が迅速に行える。
本発明の実施形態に係るポンプ設備10は、運転フローを運転支援画面部101に表示するとともに、駆動機302によって駆動する主ポンプ301の運転管理、補機設備303として用いる真空ポンプの運転、主ポンプ301の満水やフローリレー(流水確認)等の動作に至るまでの時間あるいは運転が完了するまで時間を傾向管理する運転状態把握部としてタイマ部及び記憶部を備えることによって、補機設備303の性能低下(例えば、吐出量の低下等)や、配管の劣化(例えば、漏れ、詰まり等)を管理し、故障に至る前に改善・改修を行うことが可能となる。このように、適切なタイミング・箇所の予防保全を行うことによって、信頼性の高いポンプ設備10の構築、維持管理を行うことができる。なお、運転状態把握部は、ポンプ設備それぞれの運転時間を表示するタイマ部を例に説明したが、運転状態把握部はタイマ部に限定されず、ポンプ設備の運転状態を管理できるものであれば、いかなるものを用いてもよい。
次に、本発明の実施形態に係るポンプ設備10において、操作室100の運転支援画面部101に表示される運転フロー及び運転フローと共に表示される運転状態把握部について図2〜図5を参照して説明する。
図2は、本発明の実施の形態に係るポンプ設備10の運転支援画面部101に表示される運転フロー及び運転フローと共に表示される運転状態把握部としてタイマ部を用いた例を示す図である。
図2に示すように、まず、操作室100又は機側操作盤305において、ポンプ設備10のポンプ運転指令(連動)400を出す。このポンプ運転指令(連動)400によって、ポンプ及び駆動機室300に構成された主ポンプ301、駆動機302及び補機設備303が連動して始動運転を行う。ここで、以下のポンプ設備10は、主ポンプ301には横軸ポンプを用いて、駆動機302には電動機を用いて、補機設備303には吸気弁、真空ポンプ、満水検知器、減速機潤滑油ポンプ、給水(冷却・封水)弁を用いた例である。機側操作盤305は駆動機302及び補機設備303を機側で手動又は自動で始動・停止操作するための盤である。
ここで、図2を参照して、一連の動作について説明する。主ポンプの連動運転指令が出されると、次に、横軸ポンプに連結される吸気弁を開く(符号401)。このとき、タイマ部402は、運転指令から、吸気弁が開くまでに要した時間、例えば、15.00secが運転支援画面101上に表示される。
次に、真空ポンプが始動する(符号403)。真空ポンプは、真空ポンプに連結する電動機によって駆動され、真空ポンプが始動することで、吸気弁を介して横軸ポンプのケーシング内の空気が吸引されて、ケーシング内に吸込水槽の水が導入される。このとき、タイマ部404は、真空ポンプの運転時間、例えば、17.00secが運転支援画面101上に表示される。
次に、横軸ポンプのケーシング内の満水を検知する満水検知器が動作する(符号405)。このとき、タイマ部406は、満水検知器の運転時間、例えば、318.30secが運転支援画面101に上に表示される。
また、横軸ポンプの運転指令(連動)400が出された後、吸気弁の開制御と並行して、減速機潤滑油ポンプを始動する(符号411)。この減速機潤滑油ポンプは、減速機、潤滑油を含み、さらに潤滑油供給ユニットを含む。潤滑油が減速機と潤滑油供給ユニットとを減速機潤滑油ポンプのポンプを介して循環する。減速機は、複数の歯車及びこれら歯車の軸受などから構成され、潤滑油供給ユニットから供給される潤滑油によって歯車及び軸受が潤滑される。このとき、タイマ部412は、主ポンプの始動指令が出てから、減速機潤滑油ポンプの始動が完了するまでに要した時間、例えば、1.30secが運転支援画面101上に表示される。
次に、減速機潤滑油ポンプの運転により、系統配管に設置されているフローリレーが機械的に動作する(符号413)。このとき、タイマ部414は、主ポンプの始動指令が出てから、減速機潤滑油ポンプのフローリレー動作までに要した時間、例えば、6.50secが運転支援画面101上に表示される。
また、ポンプの運転指令(連動)400が出された後、吸気弁の開制御及び減速機潤滑油ポンプの始動と並行して、給水(冷却・封水用)弁を開く(符号421)。給水弁は給水管を介して給水ポンプに連結されている。このとき、タイマ部422は、前述した他機器と同様に、給水弁が開くまでに要した時間、例えば、15.00secが運転支援画面101上に表示される。
次に、給水ポンプを始動する(符号423)。給水ポンプは、給水管、給水弁を介して駆動機等の冷却器や、主ポンプの軸封部などに連結される。このとき、タイマ部424は、給水ポンプの始動が完了した時間、例えば、17.00secが運転支援画面101上に表示される。
次に、給水ポンプの運転により、系統配管に設置されているフローリレーが機械的に動作する(符号435)。このとき、タイマ部436は、給水ポンプのフローリレー動作までに要した時間、例えば、22.00secが運転支援画面101上に表示される。
また、ポンプの運転指令(連動)400が出された後、これら吸気弁、減速機潤滑油ポンプ、給水(冷却・封水用)弁等の制御と並行して、ポンプ始動渋滞回路が入に設定される(符号441)。ポンプ始動渋滞回路は、ポンプ設備の始動運転時に補機設備の異常等による始動不良(始動未到達)を確認するものであり、運転指令後、ある任意の設定時間内に主ポンプの始動が完了しない場合、異常があると判断して、発報するとともに故障ランプを点灯させる。このとき、タイマ部444は、予め設定されている時間、例えば、600.00secからカウントダウンさせ、主ポンプの始動完了後にカウントを終了させる。なお、主ポンプの始動完了前に、カウント値が0になった場合は、異常と見なして、重故障停止を行う。このように、始動渋滞(重故障)が発生するまでの残り時間を確認出来るようにしたことにより、前述の各タイマ値と合わせ、異常部を特定し、重故障発生前での復旧対応が可能となり、より、信頼性を向上させることができる。
次に、満水検知器の動作(符号405)、フローリレー動作(符号413)、フローリレー動作(符号435)が、それぞれ動作して、これら全ての動作が確認されると(図2に示すAND)、次の確認タイマ部452の「T」に進む。この確認タイマ部452は、AND条件が成立してから、一定の時間の遅延をさせて、次の動作に進ませる為のもので、一般的に1〜10sec程度の設定がされる。
このタイマ表示部と現状の運転状態を表示する運転フロー表示部とを合わせたことにより、従来のポンプ設備の運転・始動時における傾向と、現状の運転状態における到達位置から、始動渋滞が発生する前に、異常箇所を復旧することも可能である。このように、始動渋滞の発生そのものを回避することにより、補機設備として機能する給水ポンプ等の始動遅れを未然に防ぎ、浸水被害を防止し、信頼性のより高いポンプ設備とすることができる。
次に、駆動機として用いる電動機の主遮断器が投入される(符号461)。電動機主遮断器が投入されると、電動機によりポンプ軸が回転して、吸込水槽内の水が揚水されて、吐出弁を介して吐出水槽に吐出される。このとき、タイマ部462は、主ポンプの始動指令が出されてから、電動機主遮断器が投入されるまでに要した運転時間、例えば、324.00secが運転支援画面101上に表示される。
次に、保護回路を形成する(符号481)。この保護回路形成とは、主ポンプが始動した後のみ、機能させる保護回路(故障検知・計測項目)を制御上、活かすことを表している。該当する計測・検知項目としては、ポンプの吸水位異常低下や、潤滑油流断などあり、主ポンプが動き出す前(補機設備が稼働する前)では、故障検知状態であっても、おかしくない検知項目である。例えば、潤滑油流は、潤滑油ポンプが運転していない状態では、潤滑油流断は自然の状態である。
また、電動機主遮断機が投入されると、保護回路の形成と並行して、横軸ポンプに連結される吸気弁を閉じる(符号471)。吸気弁は、電動機主遮断器が投入されたことを受けて、閉じるように制御される。このとき、タイマ部472は、吸気弁が閉じるまでに要した運転時間、例えば、339.00secが運転支援画面101上に表示される。
次に、真空ポンプが停止する(符号472)。真空ポンプは、上記吸気弁が閉じると、運転を停止する。これによって、ケーシング内の満水操作が終了する。
また、電動機主遮断機が投入されると、保護回路の形成及び吸気弁の閉制御と並行して、吐出弁が開動作を始める(符号463)。このとき、タイマ部464は、吐出弁の開動作を開始した時間、例えば、325.00secが運転支援画面101に上に表示される。
次に、吐出弁が寸開する(符号465)。吐出弁が寸開することで、横軸ポンプによって、吸込水槽内の水が揚水されて、吐出水槽に吐出される。
次に、吐出弁は、開動作を継続し、全開位置に達する(符号467)。このとき、タイマ部468は、吐出弁を全開位置に到達した時間、例えば、506.00secが運転支援画面101上に表示される。
次に、吐出弁が寸開し、揚水機能が発現したこと、つまり、ポンプの始動が完了したことを受けて、カウントダウンしていたポンプ始動渋滞回路が切に制御される(符号469)。このとき、タイマ部470は、ポンプ始動渋滞回路を切った時間、例えば、327.00secが運転支援画面101に上に表示される。
次に、ポンプ始動渋滞回路が切れたことにより、ポンプ運転の始動が完了したことを示す運転状態把握部が点灯又は点滅する(符号490)。
以上、説明したように、本発明の実施形態に係るポンプ設備10は、運転フローを運転支援画面部101に表示するとともに、駆動機302によって駆動する主ポンプ301の運転管理、補機設備303として用いる真空ポンプの運転、主ポンプ301の満水やフローリレー(流水確認)等の動作に至るまでの時間あるいは運転が完了するまでの時間をタイマ部として表示して状態管理することにより、始動不良(渋滞)を未然に防ぐ、又は、迅速に復旧することが可能となり、信頼性を向上することができる。また、それら始動時の状態、タイマ値を傾向管理することにより、補機設備303の性能低下(例えば、吐出量の低下等)や、配管の劣化(例えば、漏れ、詰まり等)を管理し、故障に至る前に改善・改修を行うことが可能となる。このように、適切な予防保全を行うことによって、信頼性の高いポンプ設備10の構築、維持管理を行うことができる。
また、本発明の実施の形態に係るポンプ設備では、始動運転時に、運転フロー及び主ポンプ、駆動機及び補機機器の運転動作時間を運転支援画面部上に表示させ、操作員に認知させることにより、受配電・操作制御盤に異常が生じたときの運転方法である単独操作、例えば、補機機器を機側操作盤で、定められた順序通り個々に起動するときの知識として定着し、緊急時における操作員の誤操作を防止して、ポンプ設備としての信頼性が向上する。
図2に示した例は、吸上げ、電動機駆動の横軸斜流ポンプの場合の一例を示しているが、押し込みによる始動の場合でも良く、後述するエンジン駆動や、他のポンプの型式でも、構わない。特に、エンジン駆動の場合は、エンジンに付属する機器が多く、始動時における故障確率が高いため、運転フロー及び動作時間を表示させる運転・管理支援装置は特に有効である。
上述した本発明の実施形態は、故障発生確率が高い始動時の運転フローに関するものであるが、停止時の制御についても、同様に運転フロー及び動作時間を表示させ、管理するようにしてもよい。
上述の本発明の実施形態に係る各タイマ部は、ポンプ設備における各機器の運転時間を表示する例について説明したが、運転時間を表示するだけでなく、過去の運転時間と現在の運転時間を並列に表示する、注意喚起するしきい値と現在の運転時間を表示することにより、ポンプ設備10の傾向管理を、より確実に行うことができ、維持管理性の向上が図れる。なお、併記する過去の運転時間については、一つ前の始動時におけるタイマ値でも良いが、過去の数回のタイマ値の平均値であることが好ましい。
次に、駆動機にエンジンを用いた例について図3を参照して説明する。図3は、本発明の実施形態に係るポンプ設備10の運転フロー及び運転フローと共に表示される運転状態把握部としてタイマ部を用いた例を示す図である。なお、図2を参照して説明した運転フロー及び運転フローと共に表示される運転状態把握部としてのタイマ部についての詳細な説明は省略する。
図3に示すように、まず、操作室100又は機側操作盤305において、ポンプ設備10のポンプ運転指令(連動)500を出す。このポンプ運転指令(連動)500によって、ポンプ及び駆動機室300に構成された主ポンプ301、駆動機302、補機設備303が連動して運転、制御される。ここで、以下のポンプ設備10は、主ポンプ301には横軸ポンプを用いて、駆動機302にはエンジンを用いて、補機設備303には吸気弁、真空ポンプ、満水検知器、減速機潤滑油ポンプ、冷却水弁を用いた例である。機側操作盤305は駆動機302及び補機設備303を機側で手動又は自動で始動・停止操作するための盤である。
ここで、図3を参照して、一連の動作について説明する。主ポンプの連動運転指令が出されると、次に、横軸ポンプに連結される吸気弁を開く(符号501)。このとき、運転動作していることを点灯又は点滅する運転状態把握部と、その動作に至るまでに要した時間をタイマ部502として運転支援画面上101上に表示する。
次に、真空ポンプが始動する(符号503)。真空ポンプは、真空ポンプに連結する電動機によって駆動され、真空ポンプが始動することで、吸気弁を介して横軸ポンプのケーシング内の空気が吸引されて、ケーシング内に吸込水槽の水が導入される。このとき、運転動作していることを点灯又は点滅する運転状態把握部と、その動作に至るまでに要した時間をタイマ部504として運転支援画面上101上に表示する。
次に、横軸ポンプのケーシング内の満水を検知する満水検知器が動作する(符号505)。このとき、運転動作していることを点灯又は点滅する運転状態把握部と、その動作に至るまでに要した時間をタイマ部506として運転支援画面上101上に表示する。
また、横軸ポンプの運転指令(連動)500が出された後、吸気弁の開制御と並行して、減速機潤滑油ポンプを始動する(符号511)。この減速機潤滑油ポンプは、減速機、潤滑油ポンプを含み、さらに、潤滑油供給ユニットをさらに含む。潤滑油が減速機と潤滑油供給ユニットとを減速機潤滑油ポンプのポンプを介して循環する。減速機は、複数の歯車及びこれら歯車の軸受などから構成され、潤滑油供給ユニットから供給される潤滑油によって歯車及び軸受が潤滑される。このとき、運転動作していることを点灯又は点滅する運転状態把握部と、その動作に至るまでに要した時間をタイマ部512として運転支援画面上101上に表示する。
次に、減速機潤滑油ポンプの運転により、系統配管に設置されているフローリレーが機械的に動作する(符号513)。このとき、運転動作していることを点灯又は点滅する運転状態把握部と、その動作に至るまでに要した時間をタイマ部514として運転支援画面上101上に表示する。
また、ポンプの運転指令(連動)500が出された後、吸気弁の開制御及び減速機潤滑油ポンプの始動制御と並行して、冷却水弁を開く(符号521)。冷却水弁は冷却水管を介して真空ポンプに連結されている。このとき、運転動作していることを点灯又は点滅する運転状態把握部と、その動作に至るまでに要した時間をタイマ部522として運転支援画面上101上に表示する。
次に、冷却水ポンプを始動する(符号523)。冷却水ポンプは、冷却水管、冷却水弁を介して駆動機などの冷却器や、主ポンプの軸封部などに連結される。このとき、運転動作していることを点灯又は点滅する運転状態把握部と、その動作に至るまでに要した時間をタイマ部524として運転支援画面上101上に表示する。
次に、冷却水ポンプの運転により、系統配管に設置されているフローリレーが機械的に動作する(符号525)。このとき、運転動作していることを点灯又は点滅する運転状態把握部と、その動作に至るまでに要した時間をタイマ部526として運転支援画面上101上に表示する。
次に、ポンプの運転指令(連動)500が出された後、これら吸気弁、減速機潤滑油ポンプ、冷却水弁等の制御と並行して、ポンプ始動渋滞回路が入に設定される(符号527)。ポンプ始動渋滞回路は、ポンプ設備の始動運転時に補機設備の異常等による始動不良(始動未到達)を確認するものであり、運転指令後、ある任意の設定時間内に主ポンプの始動が完了しない場合、異常があると判断して、発報するとともに故障ランプを点灯させる。このとき、タイマ部528は、予め設定されている時間からカウントダウンさせ、主ポンプの始動完了後にカウントを終了させる。なお、主ポンプの始動完了前に、カウント値が0になった場合は、異常と見なして、重故障停止を行う。このように、始動渋滞(重故障)が発生するまでの残り時間を確認出来るようにしたことにより、前述の各タイマ値と合わせ、異常部を特定し、重故障発生前での復旧対応が可能となり、より、信頼性を向上させることができる。
次に、満水検知器の動作(符号505)、フローリレー動作(符号513)、フローリレー動作(符号525)が、それぞれ動作して、これら全ての動作が確認されると(図3に示すAND)、次の確認タイマ部540の「T」に進む。この確認タイマ部540は、AND条件が成立してから、一定の時間の遅延をさせて、次の動作に進ませる為のもので、一般的に1〜10sec程度の設定がされる。
このタイマ表示部と現状の運転状態を表示する運転フロー表示部とを合わせたことにより、従来のポンプ設備の運転・始動時における傾向と、現状の運転状態における到達位置から、始動渋滞が発生する前に、異常箇所を復旧することも可能である。このように、始動渋滞の発生そのものを回避することにより、排水ポンプ等の始動遅れを未然に防ぎ、浸水被害を防止し、信頼性のより高いポンプ設備とすることができる。
次に、駆動機として用いるエンジンを始動させる電磁弁を開にする(符号551)。電磁弁が開になると、エンジンによりポンプ軸が回転して、吸込水槽内の水が揚水されて、吐出弁を介して吐出水槽に吐出される。このとき、運転動作していることを点灯又は点滅する運転状態把握部と、その動作に至るまでに要した時間をタイマ部552として運転支援画面上101上に表示する。
次に、エンジン始動渋滞回路が入に設定される(符号565)。エンジン始動渋滞回路は、エンジンの始動運転時に、エンジンの異常等による始動不良(始動未到達)を確認するものであり、運転指令後、ある任意の設定時間内にエンジンの始動が完了しない場合、異常があると判断して、発報するとともに故障ランプを点灯させる。このとき、タイマ部568は、予め設定されている時間からカウントダウンさせ、エンジンの始動完了後にカウントを終了させる。なお、エンジンの始動完了前に、カウント値が0になった場合は、異常と見なして、重故障停止を行う。このように、始動渋滞(重故障)が発生するまでの残り時間を確認出来るようにしたことにより、前述の各タイマ値と合わせ、異常部と特定し、重故障発生前での復旧対応が可能となり、より、信頼性を向上させることができる。
また、エンジンを始動させる電磁弁を開に制御した後、エンジン始動渋滞回路の入設定と並行して、エンジン低速度スイッチ動作が始動する(符号553)。このとき、運転動作していることを点灯又は点滅する運転状態把握部と、その動作に至るまでに要した時間をタイマ部554として運転支援画面上101上に表示する。
次に、エンジンを始動するための電磁弁が閉になる(符号555)。このとき、運転動作していることを点灯又は点滅する運転状態把握部と、その動作に至るまでに要した時間をタイマ部556として運転支援画面上101上に表示する。
次に、エンジン低速度スイッチ動作が始動すると、確認タイマ部560の「T」に進む。この確認タイマ部560は、一定の時間遅延させて、次の動作に進ませるためのもので、一般的に1〜10sec程度の設定がされる。
次に、確認タイマ部560の設定時間が経過した後、保護回路が形成される(符号561)とともに、減速機潤滑油ポンプが停止する(符号557)。このとき、運転動作していることを点灯又は点滅する運転状態把握部と、その動作に至るまでに要した時間をタイマ部558として運転支援画面上101上に表示する。
次に、エンジン低速度スイッチ動作が始動して、エンジンが規定速度になる(符号563)。このとき、運転動作していることを点灯又は点滅する運転状態把握部と、その動作に至るまでに要した時間をタイマ部564として運転支援画面上101上に表示する。
次に、エンジン始動渋滞回路が切に制御される(符号579)。このとき、運転動作していることを点灯又は点滅する運転状態把握部と、その動作に至るまでに要した時間をタイマ部580として運転支援画面上101上に表示する。
また、エンジンが規定速度になると、エンジン始動渋滞回路の制御と並行して、横軸ポンプに連結される吸気弁を閉じる(符号571)。吸気弁は、エンジンが規定速度になったことを受けて、閉じるように制御される。このとき、運転動作していることを点灯又は点滅する運転状態把握部と、その動作に至るまでに要した時間をタイマ部572として運転支援画面上101上に表示する。
次に、真空ポンプが停止する(符号573)。真空ポンプは、上記吸気弁が閉じると、運転を停止する。これによって、ケーシング内の満水操作が終了する。
また、エンジンが規定速度になると、吸気弁の閉制御と並行して、吐出弁が開動作を始める(符号575)。このとき、運転動作していることを点灯又は点滅する運転状態把握部と、その動作に至るまでに要した時間をタイマ部576として運転支援画面上101上に表示する。
次に、吐出弁が寸開する(符号577)。吐出弁が寸開することで、横軸ポンプによって、吸込水槽内の水が揚水されて、吐出水槽に吐出される。
次に、吐出弁は、開動作を継続し、全開位置に達する(符号581)。このとき、運転動作していることを点灯又は点滅する運転状態把握部と、その動作に至るまでに要した時間をタイマ部582として運転支援画面上101上に表示する。
次に、吐出弁が寸開し、揚水機能が発現したこと、つまり、ポンプの始動が完了したことを受けて、カウントダウンしていたポンプ始動渋滞回路が切に制御される(符号583)。このとき、運転動作していることを点灯又は点滅する運転状態把握部と、その動作に至るまでに要した時間をタイマ部584として運転支援画面上101上に表示する。
次に、ポンプ始動渋滞回路が切れたことにより、ポンプ運転の始動が完了したことを示す運転状態把握部が点灯又は点滅する(符号590)。
以上、説明したように、本発明の実施形態に係るポンプ設備は、運転フローを運転支援画面部101に表示するとともに、エンジンを用いた駆動機302によって駆動する主ポンプ301の運転管理、補機設備303として用いる真空ポンプの運転、主ポンプ301の満水やフローリレー(流水確認)等の動作に至るまでの時間あるいは運転が完了するまでの時間をタイマ部として表示して状態管理することにより、始動不良を未然に防ぐ、又は、迅速に復旧することが可能となり、信頼性を向上することができる。また、それら始動時の状態、タイマ値を傾向管理することにより、補機設備303の性能低下(例えば、吐出量の低下等)や、配管の劣化(例えば、漏れ、詰まり等)を管理し、故障至る前に改善・改修を行うことが可能となる。このように、適切な予防保全を行うことによって、信頼性の高いポンプ設備10の構築、維持管理を行うことができる。
次に、駆動機に電動機を用いて、電動機の制御を液体抵抗器により行う例について図4を参照して説明する。図4は、本発明の実施形態に係るポンプ設備10の運転フロー及び運転フローと共に表示される運転状態把握部としてタイマ部を用いた例を示す図である。なお、図2を参照して説明した運転フロー及び運転フローと共に表示される運転状態把握部としてタイマ部について詳細な説明は省略する。
図4に示すように、まず、操作室100又は機側操作盤305において、ポンプ設備10のポンプ運転指令(連動)600を出す。このポンプ運転指令(連動)600によって、ポンプ及び駆動機室300に構成された主ポンプ301、駆動機302及び補機設備303が連動して始動運転を行う。ここで、以下のポンプ設備10は、主ポンプ301には横軸ポンプを用いて、駆動機302には電動機を用いて、補機設備303には液体抵抗器、吸気弁、真空ポンプ、満水検知器、減速機潤滑油ポンプ、封水弁及び液体抵抗用循液ポンプを用いた例である。機側操作盤305は駆動機302及び補機設備303を機側で手動又は自動で始動・停止操作する為の盤である。
ここで、図4を参照して、一連の動作について説明する。主ポンプの連動運転指令が出されると、次に、横軸ポンプに連結される吸気弁を開く(符号601)。このとき、運転動作していることを点灯又は点滅する運転状態把握部と、その動作に至るまでに要した時間をタイマ部602として運転支援画面上101上に表示する。
次に、真空ポンプが始動する(符号603)。真空ポンプは、真空ポンプに連結する電動機によって駆動され、真空ポンプが始動することで、吸気弁を介して横軸ポンプのケーシング内の空気が吸引されて、ケーシング内に吸込水槽の水が導入される。このとき、運転動作していることを点灯又は点滅する運転状態把握部と、その動作に至るまでに要した時間をタイマ部604として運転支援画面上101上に表示する。
次に、横軸ポンプのケーシング内の満水を検知する満水検知器が動作する(符号605)。このとき、運転動作していることを点灯又は点滅する運転状態把握部と、その動作に至るまでに要した時間をタイマ部606として運転支援画面上101上に表示する。
また、横軸ポンプの運転指令(連動)600が出された後、吸気弁の開制御と並行して、減速機潤滑油ポンプを始動する(符号611)。この減速機潤滑油ポンプは、減速機、潤滑油を含み、潤滑油供給ユニットをさらに含み、潤滑油が減速機と潤滑油供給ユニットとを減速機潤滑油ポンプのポンプを介して循環する。減速機は、複数の歯車及びこれら歯車の軸受などから構成され、潤滑油供給ユニットから供給される潤滑油によって歯車及び軸受が潤滑される。このとき、運転動作していることを点灯又は点滅する運転状態把握部と、その動作に至るまでに要した時間をタイマ部612として運転支援画面上101上に表示する。
次に、減速機潤滑油ポンプの運転により、系統配管に設置されているフローリレーが機械的に動作する(符号613)。このとき、運転動作していることを点灯又は点滅する運転状態把握部と、その動作に至るまでに要した時間をタイマ部614として運転支援画面上101上に表示する。
また、ポンプの運転指令(連動)600が出された後、吸気弁の開制御及び減速機潤滑油ポンプの制御と並行して、封水弁を開く(符号621)。封水弁は封水管を介して封水ポンプに連結される。このとき、運転動作していることを点灯又は点滅する運転状態把握部と、その動作に至るまでに要した時間をタイマ部622として運転支援画面上101上に表示する。
次に、封水ポンプを始動する(符号623)。封水ポンプは、封水管、封水弁を介して駆動機等の冷却器や主ポンプの軸封部等に連結される。このとき、運転動作していることを点灯又は点滅する運転状態把握部と、その動作に至るまでに要した時間をタイマ部624として運転支援画面上101上に表示する。
次に、封水ポンプの運転により、系統配管に設置されているフローリレーが機械的に動作する(符号625)。このとき、運転動作していることを点灯又は点滅する運転状態把握部と、その動作に至るまでに要した時間をタイマ部626として運転支援画面上101上に表示する。
また、ポンプの運転指令(連動)600が出された後、吸気弁の開制御、減速機潤滑油ポンプの制御及び封水弁の開制御と並行して、液体抵抗器用循液ポンプを始動する(符号631)。このとき、運転動作していることを点灯又は点滅する運転状態把握部と、その動作に至るまでに要した時間をタイマ部632として運転支援画面上101上に表示する。
また、ポンプの運転指令(連動)600が出された後、吸気弁の開制御、減速機潤滑油ポンプの始動、封水弁の開制御及び液体抵抗器用循液ポンプの始動と並行して、ポンプ始動渋滞回路が入に設定される(符号641)。ポンプ始動渋滞回路は、ポンプ設備の始動運転時に補機設備の異常等による始動不良(始動未到達)を確認するものであり、運転指令後、ある任意の設定時間内に主ポンプの始動が完了しない場合、異常があると判断して、発報するとともに故障ランプを点灯させる。このとき、タイマ部642は、予め設定されている時間からカウントダウンさせ、主ポンプの始動完了後にカウントを終了させる。なお、主ポンプの始動完了前に、カウント値が0になった場合は、異常と見なして、重故障停止を行う。このように、始動渋滞(重故障)が発生するまでの残り時間を確認出来るようにしたことにより、前述の各タイマ値と合わせ、異常部を特定し、重故障発生前での復旧対応が可能となり、より、信頼性を向上させることができる。
次に、満水検知器の動作(符号605)、フローリレー動作(符号613)、フローリレー動作(符号625)がそれぞれ動作して、これら全ての動作が確認されると(図4に示すAND)、次の確認タイマ部652の「T」に進む。この確認タイマ部652は、AND条件が成立してから、一定の時間の遅延をさせて、次の動作に進ませる為のもので、一般的に1〜10sec程度の設定がされる。
このタイマ表示部と現状の運転状態を表示する運転フロー表示部とを合わせたことにより、従来のポンプ設備の運転・始動時における傾向と、現状の運転状態における到達位置から、始動渋滞が発生する前に、異常箇所を復旧することも可能である。このように、始動渋滞の発生そのものを回避することにより、補機設備として機能する排水ポンプ等の始動遅れを未然に防ぎ、浸水被害を防止し、信頼性のより高いポンプ設備とすることができる。
次に、駆動機として用いる電動機における主遮断器が投入される(符号661)。電動機主遮断器が投入されると、電動機によりポンプ軸が回転して、吸込水槽内の水が揚水されて、吐出弁を介して吐出水槽に吐出される。このとき、運転動作していることを点灯又は点滅する運転状態把握部と、その動作に至るまでに要した時間をタイマ部662として運転支援画面上101上に表示する。
次に、液体抵抗器が始動される(符号663)。この液体抵抗器は、電動機の始動を制御するものである。液体抵抗器は、電動機の2次側に外部抵抗として配置して、電極を配置した抵抗層の上部から高温液を抜き出し、外部の冷却手段により冷却してから下部へ戻し、ノズルより低温液として槽中へ噴出する構成を有している。このとき、運転動作していることを点灯又は点滅する運転状態把握部と、その動作に至るまでに要した時間をタイマ部664として運転支援画面上101上に表示する。
次に、保護回路を形成する(符号675)。この保護回路形成とは、主ポンプが始動した後のみ、機能させる保護回路(故障検知・計測項目)を制御上、活かすことを表している。該当する計測・検知項目としては、ポンプの吸水位異常低下や、潤滑油流断などあり、主ポンプが動き出す前(補機設備が稼働する前)では、故障検知状態であっても、おかしくない検知項目である。例えば、潤滑油流は、潤滑油ポンプが運転していない状態では、潤滑油流断は自然の状態である。
また、液体抵抗器が始動されると、保護回路の形成と並行して、減速機潤滑油ポンプが停止される(符号665)。このとき、運転動作していることを点灯又は点滅する運転状態把握部と、その動作に至るまでに要した時間をタイマ部666として運転支援画面上101上に表示する。
また、液体抵抗器が始動されると、保護回路の形成及び減速機潤滑油ポンプの制御と並行して、横軸ポンプに連結される吸気弁を閉じる(符号667)。吸気弁は、液体抵抗器が始動されたことを受けて、閉じるように制御される。このとき、運転動作していることを点灯又は点滅する運転状態把握部と、その動作に至るまでに要した時間をタイマ部668として運転支援画面上101上に表示する。
次に、真空ポンプが停止する(符号669)。真空ポンプは、上記吸気弁が閉じると、運転を停止する。これによって、ケーシング内の満水操作が終了する。
また、液体抵抗器が始動されると、保護回路の形成、減速機潤滑油ポンプの制御及び吸気弁の閉制御と並行して、吐出弁が開動作を始める(符号671)。このとき、運転動作していることを点灯又は点滅する運転状態把握部と、その動作に至るまでに要した時間をタイマ部672として運転支援画面上101上に表示する。
次に、吐出弁が寸開する(符号673)。吐出弁が寸開することで、横軸ポンプによって、吸込水槽内の水が揚水されて、吐出水槽に吐出される。
次に、吐出弁は、開動作を継続し、全開位置に達する(符号677)。このとき、運転動作していることを点灯又は点滅する運転状態把握部と、その動作に至るまでに要した時間をタイマ部678として運転支援画面上101上に表示する。
次に、吐出弁が寸開し、揚水機能が発現したこと、つまり、ポンプの始動が完了したことを受けて、カウントダウンしていたポンプ始動渋滞回路が切に制御される(符号679)。このとき、運転動作していることを点灯又は点滅する運転状態把握部と、その動作に至るまでに要した時間をタイマ部680として運転支援画面上101上に表示する。
次に、ポンプ始動渋滞回路が切れたことによって、ポンプ運転の始動が完了したことを示す運転状態把握部が点灯又は点滅する(符号690)。
以上、説明したように、本発明の実施形態に係るポンプ設備は、運転フローを運転支援画面部101に表示するとともに、電動機及び電動機の回転数を制御する液体抵抗器を用いた駆動機302によって駆動する主ポンプ301の運転管理、補機設備303として用いる真空ポンプの運転、主ポンプ301の満水やフローリレー(流水確認)等の動作に至るまでの時間あるいは運転が完了するまで時間をタイマ部として表示して状態管理することにより、始動不良を未然に防ぐ、又は、迅速に復旧することが可能となり、信頼性を向上することができる。また、それら始動時の状態、タイマ値を傾向管理することにより、補機設備303の性能低下(例えば、吐出量の低下等)や、配管の劣化(例えば、漏れ、詰まり等)を管理し、故障至る前に改善・改修を行うことが可能となる。このように、適切な予防保全を行うことによって、信頼性の高いポンプ設備10の構築、維持管理を行うことができる。
次に、駆動機に電動機を用いて、主ポンプに立軸渦巻斜流ポンプを用いた例について図5を参照して説明する。図5は、本発明の実施形態に係るポンプ設備10の運転フロー及び運転フローと共に表示される運転状態把握部としてタイマ部を用いた例を示す図である。なお、図2を参照して説明した運転フロー及び運転フローと共に表示される運転状態把握部としてタイマ部について詳細な説明は省略する。
図5に示すように、まず、操作室100又は機側操作盤305において、ポンプ設備10のポンプ運転指令(連動)700を出す。このポンプ運転指令(連動)700によって、ポンプ及び駆動機室300に構成された主ポンプ301、駆動機302、補機設備303及び機側操作盤305が始動運転を行う。ここで、以下のポンプ設備10は、主ポンプ301には立軸渦巻斜流ポンプを用いて、駆動機302には電動機を用いて、補機設備303には封水弁、封水ポンプ、循液ポンプ、液体抵抗器を用いた例である。機側操作盤305は駆動機302及び補機設備303を機側で手動又は自動で始動・停止操作する為の盤である。
ここで、図5を参照して、一連の動作について説明する。主ポンプの連動運転指令が出されると、次に、立軸渦巻斜流ポンプに連結される封水弁を開く(符号701)。このとき、運転動作していることを点灯又は点滅する運転状態把握部と、その動作に至るまでに要した時間をタイマ部702として運転支援画面上101上に表示する。
次に、封水ポンプを始動する(符号703)。封水ポンプは、封水管、封水弁を介して駆動機等の冷却器や、主ポンプの軸封部などに連結される。このとき、運転動作していることを点灯又は点滅する運転状態把握部と、その動作に至るまでに要した時間をタイマ部704として運転支援画面上101上に表示する。
次に、封水ポンプの運転により、系統配管に設置されているフローリレーが機械的に動作する(符号705)。このとき、運転動作していることを点灯又は点滅する運転状態把握部と、その動作に至るまでに要した時間をタイマ部706として運転支援画面上101上に表示する。
また、立軸渦巻斜流ポンプの運転指令(連動)700が出された後、封水弁等の制御と並行して、循液ポンプを始動する(符号711)。このとき、運転動作していることを点灯又は点滅する運転状態把握部と、その動作に至るまでに要した時間をタイマ部712として運転支援画面上101上に表示する。
次に、循液ポンプの運転により、系統配管に設置されているフローリレーが機械的に動作する(符号713)。このとき、運転動作していることを点灯又は点滅する運転状態把握部と、その動作に至るまでに要した時間をタイマ部714として運転支援画面上101上に表示する。
また、ポンプの運転指令(連動)700が出された後、封水弁の開制御及び循液ポンプの始動と並行して、ポンプ始動渋滞回路が入に設定される(符号741)。ポンプ始動渋滞回路は、ポンプ設備の始動運転時に補機設備の異常等による始動不良(始動未到達)を確認するものであり、運転指令後、ある任意の設定時間内に主ポンプの始動が完了しない場合、異常があると判断して、発報するとともに故障ランプを点灯させる。このとき、タイマ部742は、予め設定されている時間からカウントダウンさせ、主ポンプの始動完了後にカウントを終了させる。なお、主ポンプの始動完了前に、カウント値が0になった場合は、異常と見なして、重故障停止を行う。このように、始動渋滞(重故障)が発生するまでの残り時間を確認出来るようにしたことにより、前述の各タイマ値と合わせ、異常部と特定し、重故障発生前での復旧対応が可能となり、より、信頼性を向上させることができる。
次に、フローリレー動作(符号705)、フローリレー動作(符号713)が、それぞれ動作して、これら全ての動作が確認されると(図5に示すAND)、次の確認タイマ部452の「T」に進む。この確認タイマ部452は、AND条件が成立してから、一定の時間の遅延をさせて、次の動作に進ませる為のもので、一般的に1〜10sec程度の設定がされる。
このタイマ表示部と現状の運転状態を表示する運転フロー表示部とを合わせたことにより、従来のポンプ設備の運転・始動時における傾向と、現状の運転状態における到達位置から、始動渋滞が発生する前に、異常箇所を復旧することも可能である。このように、始動渋滞の発生そのものを回避することにより、補機設備として機能する封水ポンプ等の始動遅れを未然に防ぎ、浸水被害を防止し、信頼性のより高いポンプ設備とすることができる。
次に、駆動機として用いる電動機における主遮断器が投入される(符号721)。電動機主遮断器が投入されると、電動機によりポンプ軸が回転して、吸込水槽内の水が揚水されて、吐出弁を介して吐出水槽に吐出される。このとき、運転動作していることを点灯又は点滅する運転状態把握部と、その動作に至るまでに要した時間をタイマ部722として運転支援画面上101上に表示する。
次に、液体抵抗器が始動される(符号723)。このとき、運転動作していることを点灯又は点滅する運転状態把握部と、その動作に至るまでに要した時間をタイマ部724として運転支援画面上101上に表示する。
次に、液体抵抗器が始動されると、保護回路を形成し(符号743)、吐出弁が開動作を始める(符号725)。このとき、運転動作していることを点灯又は点滅する運転状態把握部と、その動作に至るまでに要した時間をタイマ部726として運転支援画面上101上に表示する。
次に、吐出弁が寸開する(符号727)。吐出弁が寸開することで、立軸渦巻斜流ポンプによって、吸込水槽内の水が揚水されて、吐出水槽に吐出される。
次に、吐出弁は、開動作を継続し、全開位置に達する(符号729)。このとき、運転動作していることを点灯又は点滅する運転状態把握部と、その動作に至るまでに要した時間をタイマ部730として運転支援画面上101上に表示する。
次に、吐出弁が寸開し、揚水機能が発現したこと、つまり、ポンプの始動が完了したことを受けて、カウントダウンしていたポンプ始動渋滞回路を切に制御される(符号731)。このとき、運転動作していることを点灯又は点滅する運転状態把握部と、その動作に至るまでに要した時間をタイマ部732として運転支援画面上101上に表示する。
次に、ポンプ始動渋滞回路を切ることにより、ポンプ運転の始動が完了したことを示す運転状態把握部が点灯又は点滅する(符号690)。
以上、説明したように、本発明の実施形態に係るポンプ設備は、運転フローを運転支援画面部101に表示するとともに、電動機を用いた駆動機302によって駆動する主ポンプ301の運転管理、補機設備303として用いる真空ポンプの運転、主ポンプ301の満水やフローリレー(流水確認)等の動作に至るまでの時間あるいは運転が完了するまで時間をタイマ部として表示して状態管理することにより、始動不良を未然に防ぐ、又は、迅速に復旧するが可能となり、信頼性を向上することができる。また、それら始動時の状態、タイマ値を傾向管理することにより、補機設備303の性能低下(例えば、吐出量の低下等)や、配管の劣化(例えば、漏れ、詰まり等)を管理し、故障至る前に改善・改修を行うことが可能となる。このように、適切な予防保全を行うことによって、信頼性の高いポンプ設備10の構築、維持管理を行うことができる。
次に、本発明の他の実施形態として、タイマ部の代わりにセンサ部を設ける例について説明する。センサ部は、ポンプ設備の駆動機及び各補機機器の軸受に設けて、軸受の温度によるポンプ設備の予防保全について説明する。
図6は、本発明の他の実施形態に係るポンプ設備10の一例を示す概略図である。図6に示した本発明の他の実施形態に係るポンプ設備10は、横軸ポンプ310、吸込水槽311に開口する吸込口327と吐出水槽(図示せず)に吐出弁312を介して開口する吐出口(図示せず)とを備えるとともに、吸込口327と吐出口との間においてその流路が横方向(水平方向)に配置されてなるケーシング321を備える。そして、ケーシング321内には、軸方向が横方向に配置された水中軸受324と、水中軸受324に取り付けたインペラ(羽根車)と、水中軸受324の温度を測定するセンサ部336と、が設置される。また、横軸ポンプ310を駆動するための駆動機313と、駆動機313の反ポンプ側に設けられるセンサ部(軸受部)331及びポンプ側に設けられるセンサ部(軸受部)332と、を備え、駆動機313の駆動軸322に連結された減速機315と、減速機315の反ポンプ側に設けられるセンサ部(軸受部)333及びポンプ側に設けられるセンサ部(軸受部)334と、を備える。減速機315は、横軸ポンプ310のポンプ軸323が連結される。ポンプ軸323は、外軸受326と外軸受326に設けられたセンサ部335及びポンプ軸323を横軸ポンプ310に連結して封止する軸封325と、を備える。駆動機313には、電動機やディーゼルエンジンなどが用いられ、内部に冷却器314を備え、冷却器314の入口側に設けられるセンサ部337と、出口側に設けられるセンサ部338と、を備える。給水ポンプ359は、給水管360を開閉する給水弁358に接続され、給水管360は冷却器314及び軸封325に接続される。駆動機313を駆動することによって、減速機315を介してポンプ軸323が回転し、横軸ポンプ310によって吸込水槽311内の水が揚水されて、吐出水槽に吐出されるようになっている。なお、横軸ポンプ310に代えて、立軸ポンプでもよく、また、ポンプの型式は、斜流ポンプや軸流ポンプ、または渦巻ポンプなどのポンプを用いてもよい。
横軸ポンプ310のケーシング321には、吸気ライン(吸気配管)355が接続される。吸気ライン355には、ケーシング321内の満水を検知するための満水検知器350と、吸気ライン355を開閉する吸気弁(電動弁又は電磁弁)351と、が設置される。吸気ライン355は、吸気管356を介して真空ポンプ352の吸込側に連通している。真空ポンプ352は、真空ポンプ352を駆動する電動機353に接続され、排水管357を介して排水(呼水)354される。
図の例は、吸上げ、電動機駆動の横軸斜流ポンプの場合を示しているが、押し込みによる始動の場合でも良く、エンジン駆動や、他のポンプの型式でも、構わない。特に、エンジン駆動の場合は、エンジンに付属する機器が多く、始動時における故障確率が高いため、運転フロー及び動作時間を表示させる運転・管理支援装置は特に有効である。
図6に示すように、本発明の実施形態に係るポンプ設備10に設けられたそれぞれのセンサ部は、軸受の温度測定、例えば、冷却器314の軸受の温度を測定するため、吐出弁312を閉め始め、締め切りになり、駆動機313を停止してから、10分程度継続計測し、温度の下がり方を観測して、軸受のグリースの劣化をチェックするものである。この場合、軸受温度の低下の傾きが常時と異なる。もしくは、停止時の温度(運転でサチレートした温度)が高くなっている等の傾向が見られた場合に、グリースの劣化と判断し、グリースの交換を行うことで、油脂の交換作業の適切化が可能となる。このように、ポンプ設備10は、運転の停止前において、ある程度連続運転しているはずである。そのため、ポンプ設備10に設けられる各軸受の温度もサチレートして安定している。その安定した状態から、駆動機313が完全に停止した後の大気放熱による軸受の温度低下率をみて、グリースの劣化を推定することができる。また、グリースを交換しても、変化がない場合は、その他の異常と判断し、精密点検・軸受交換等を考慮することで、予防保全による信頼性向上にもつながる。
また、従来の軸受の温度測定による管理方法としては、ポンプの始動や、運転状態で計測し、管理する方法が用いられているが、並列運転、例えば、渦巻ポンプの機場などでは、並列運転等が多く、運転状態が異なる運転パターンがあり、同じ運転状態でのポンプの状況を傾向管理するというのは、非常に難しい。そこで、同じ状態での比較を行う手段として、停止時と停止後との状態を管理することで、適切な傾向管理が可能となる。
ポンプ設備の運転指令後、締め切り停止の場合、吐出弁を閉め始め、ポンプ設備の運転状態が小水量・締め切り、完全停止となる状態での振動値を合わせて計測・記憶するようにしてもよい。このように構成すれば、小水量時にキャビテーションが軸受に与えている負荷や軸受の劣化等による芯ズレの影響等を振動・温度の計測値より、推測することも可能であり、より幅の広い維持管理・傾向管理が可能となる。
次に、上述したポンプ設備における運転時間又は温度変化記憶部に基づいて、図7〜図9に示したポンプ設備の運転状態を示すグラフを作成して、この作成したグラフからポンプ設備10の運転状況を管理する例について説明する。
図7は、本発明の他の実施形態に係るポンプ設備における温度管理の一例を示すグラフである。図7は、横軸に運転年月または始動回数を示し、縦軸に冷却器温度を示す。図7に示した温度管理は、上述した軸受の温度だけではなく、冷却水クーラ(冷却器)の入口温度・出口温度としても良い。入口温度と出口温度との温度差の傾向を管理することで、主要な維持管理項目の一つである熱交換部の清掃タイミングをアナウンスすることが可能となる。
図8は、本発明の他の実施形態に係るポンプ設備の運転停止指令後における軸受の温度を測定した一例を示すグラフである。図8は、横軸に経過時間を示し、縦軸に温度を示す。図8に示したように、停止時の計測であるため、軸受は、サチレートしている状態であり、また、ポンプの最終制御目標は吐出量=0と全ての停止パターンで同一であり、ポンプ始動時のような最終制御目標(ポンプ運転条件)の水位や、並列運転等により、ポンプの最終到達吐出量・運転点は異なってしまうが、バラツキがない。また、図8では、ポンプ設備の停止時の運転状態を示しているが、始動時や運転時の運転状態を合わせて記憶するようにしてもよい。
図9は、本発明の他の実施形態に係るポンプ設備の運転状態の一例を示すグラフである。図9は、横軸に補機設備としての項目、例えば、吸気弁開、真空ポンプ始動及び満水検知器動作を示し、縦軸に吸気弁開、真空ポンプ始動及び満水検知器動作それぞれの動作時間を示す。図9は、ポンプ設備における吸気弁開、真空ポンプ始動及び満水検知器動作のそれぞれ運転した時間に応じて、ポンプ設備の試運転により設定した又は予め設定した状態を示すしきい値、ポンプ設備における吸気弁開、真空ポンプ始動及び満水検知器動作の運転時間に応じて、吸気弁開、真空ポンプ始動及び満水検知器動作の異常(故障)した状態を示す異常値、実際のポンプ設備における吸気弁開、真空ポンプ始動及び満水検知器動作の運転した状態を示す実績値をそれぞれ示す。異常値は、過去のポンプ設備の運転した運転時間を参考にしても良く、この場合、運転した日時を表示することが好ましい。このように、ポンプ設備における運転時間を補機機器に応じてグラフ化して、しきい値、異常値及び実測値を表示して比較することで、ポンプ設備の傾向管理を行い易くすることができる。また、図9では、横軸に補機機器の各項目を示したが、横軸を運転年月または、始動回数(1回目始動、2回目始動、3回目始動)とし、イベント毎の項目に、グラフ化して傾向管理しても構わない。横軸を運転日時や、始動回数のような、時系列とすることにより、補機ポンプ等の経年劣化(始動回数による劣化等)の傾向管理が行い易いポンプ設備となる。
図7〜図9に運転支援画面部の表示例を示したが、平均値の算出などを目的として、表による管理・表示としてもよい。または、グラフ・表の両方を表示できるように構成しても良い。