JP2012206245A - エンドミル - Google Patents
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Abstract
【課題】底刃のチッピングや欠損は確実に防ぎつつ、ギャッシュ容量を十分に確保して円滑な切屑排出を促す。
【解決手段】エンドミル本体1先端部にギャッシュ6が形成され、ギャッシュ6のエンドミル回転方向Tを向く壁面を底刃すくい面6Aとして、その先端側辺稜部に底刃8が形成され、底刃すくい面6Aとギャッシュ6のエンドミル回転方向T後方側を向くギャッシュ壁面6Cとがなすギャッシュ開き角θが、底刃8の数Nに対して360°/(N+2)〜360°/(N+1)の範囲内とされ、ギャッシュ壁面6Cはそのエンドミル回転方向T側に隣接する底刃8の第1逃げ面7Aに交差または接していて、このギャッシュ壁面6Cと交差または接した部分における第1逃げ面7Aの幅が、交差または接していない部分における第1逃げ面7Aの幅tに対して0.5×t〜1.0×tの範囲内とされる。
【選択図】図4
【解決手段】エンドミル本体1先端部にギャッシュ6が形成され、ギャッシュ6のエンドミル回転方向Tを向く壁面を底刃すくい面6Aとして、その先端側辺稜部に底刃8が形成され、底刃すくい面6Aとギャッシュ6のエンドミル回転方向T後方側を向くギャッシュ壁面6Cとがなすギャッシュ開き角θが、底刃8の数Nに対して360°/(N+2)〜360°/(N+1)の範囲内とされ、ギャッシュ壁面6Cはそのエンドミル回転方向T側に隣接する底刃8の第1逃げ面7Aに交差または接していて、このギャッシュ壁面6Cと交差または接した部分における第1逃げ面7Aの幅が、交差または接していない部分における第1逃げ面7Aの幅tに対して0.5×t〜1.0×tの範囲内とされる。
【選択図】図4
Description
本発明は、エンドミル本体の先端部外周に形成された切屑排出溝の先端にギャッシュが形成され、このギャッシュのエンドミル回転方向を向く壁面が底刃すくい面とされて、その先端側辺稜部に底刃が形成されたエンドミルに関するものである。
このようにギャッシュのエンドミル回転方向を向く壁面が底刃すくい面とされて、その先端側辺稜部に底刃が形成されたエンドミルとして、特許文献1には、エンドミル本体先端部の剛性を損なうことなく良好な切屑排出性を確保することを目的として、上記底刃すくい面とギャッシュのエンドミル回転方向の後方側を向くギャッシュ壁面との間にギャッシュのギャッシュ底面が形成されて、このギャッシュ底面と底刃すくい面およびギャッシュ壁面とは、底刃すくい面とギャッシュ底面との交差稜線部に直交する断面において凹曲線状または凹折れ線状をなす接続面によってそれぞれ接続されており、このうち底刃すくい面とギャッシュ底面とを接続する第1の接続面は、ギャッシュ底面とギャッシュ壁面とを接続する第2の接続面よりも、上記断面における凹曲線の曲率半径または凹折れ線に内接する円の半径が大きくされたエンドミルが提案されている。
このようなエンドミルによれば、第1の接続面が第2の接続面よりも大きく湾曲して底刃すくい面とギャッシュ底面とを接続するように形成されることになるので、この底刃すくい面からギャッシュ底面に向けての切屑の流れは、ギャッシュ底面全体を曲率半径の大きな断面凹円弧状とした場合と同様に良好に維持することができ、その一方で、第2の接続面は逆に第1の接続面よりも上記断面における凹曲線の曲率半径または凹折れ線に内接する円の半径が小さくされるため、切屑の円滑な流れは維持しつつも、ギャッシュの幅が大きくなるのは防ぐことができ、切屑の流れの改善による良好な切屑排出性と、エンドミル本体先端部の肉厚の確保による剛性の向上との両立を図ることが可能となる。
しかしながら、このようにギャッシュ底面と底刃すくい面およびギャッシュ壁面とをそれぞれ接続する第1、第2の接続面の断面形状を改良したエンドミルにおいても、ギャッシュの絶対的な容量自体が少なければ円滑な切屑排出を図ることが困難となるおそれがある。ところが、その一方で、このギャッシュの容量を大きく確保しようとして、例えば上記底刃すくい面とギャッシュ壁面との仮想交差稜線、すなわちこれら底刃すくい面とギャッシュ壁面とをギャッシュ底面側に延長した延長面同士の交差稜線に直交する断面においてこれら底刃すくい面とギャッシュ壁面とがなすギャッシュ開き角を徒に大きくしたりすると、ギャッシュのエンドミル回転方向側に隣接する底刃の肉厚が小さくなり、チッピングや欠損が生じ易くなってしまうおそれがある。
本発明は、このような背景の下になされたもので、これら底刃のチッピングや欠損は確実に防ぎつつ、ギャッシュ容量を十分に確保して円滑な切屑排出を促すことが可能なエンドミルを提供することを目的としている。
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明は、軸線回りに回転されるエンドミル本体の先端部外周に形成された切屑排出溝の先端に、該切屑排出溝のエンドミル回転方向を向く壁面を切り欠くようにギャッシュが形成され、このギャッシュのエンドミル回転方向を向く壁面を底刃すくい面として、その先端側辺稜部に底刃が形成されたエンドミルであって、上記底刃すくい面と上記ギャッシュのエンドミル回転方向の後方側を向くギャッシュ壁面との仮想交差稜線に直交する断面においてこれら底刃すくい面とギャッシュ壁面とがなすギャッシュ開き角が、上記エンドミル本体に形成される底刃の数Nに対して360°/(N+2)〜360°/(N+1)の範囲内とされるとともに、上記ギャッシュ壁面はそのエンドミル回転方向側に隣接する上記底刃の第1逃げ面に交差または接するように形成されていて、こうしてギャッシュ壁面と交差または接した部分における上記底刃の第1逃げ面の幅が、上記ギャッシュ壁面と交差または接していない部分における該底刃の第1逃げ面の幅tに対して0.5×t〜1.0×tの範囲内とされていることを特徴とする。
このように構成されたエンドミルにおいては、それぞれギャッシュのエンドミル回転方向側とエンドミル回転方向後方側を向く壁面である底刃すくい面とギャッシュ壁面との仮想交差稜線に直交する断面において、これら底刃すくい面とギャッシュ壁面とがなすギャッシュ開き角が、上記エンドミル本体に形成される底刃の数Nに対して360°/(N+2)〜360°/(N+1)の範囲内とされるとともに、このうちギャッシュ壁面がそのエンドミル回転方向側に隣接する底刃の第1逃げ面に交差または接するように大きく開口していて、すなわちギャッシュが幅広く形成されているので、ギャッシュに十分な容量を確保して切屑排出性の向上を図ることができる。
ところが、このようにギャッシュに十分な容量を確保しつつも、その一方で、上述のようにギャッシュ壁面が、そのエンドミル回転方向側に隣接する底刃の第1逃げ面に接している場合は、この接した部分における第1逃げ面の幅はギャッシュ壁面が接していない部分の幅tと同じく1.0×tの幅が確保され、また、ギャッシュによってこの第1逃げ面が切り欠かれるようにしてギャッシュ壁面と第1逃げ面とが交差している場合でも、このギャッシュ壁面と交差した第1逃げ面には、ギャッシュ壁面が交差していない部分の第1逃げ面幅tに対して0.5×t以上の幅が確保される。このため、後述する実施例によって実証されるように、上記構成のエンドミルによれば、底刃の強度を確保してチッピングや欠損の発生を確実に防ぎつつ、良好な切屑排出性を得ることが可能となる。
すなわち、このようにギャッシュのエンドミル回転方向側に隣接する底刃の第1逃げ面に0.5×t〜1.0×tの幅が確保されていても、ギャッシュ開き角が360°/(N+2)を下回るほど小さく、すなわちギャッシュ壁面とそのエンドミル回転方向側に隣接する底刃の底刃すくい面とがなす角度が小さいと、ギャッシュ容量が小さくなりすぎて切屑詰まりによる底刃の欠損を招くおそれある。その一方で、ギャッシュ開き角が360°/(N+1)を上回るほど大きいと、ギャッシュ容量は確保することができても、工具剛性の低下によって欠損を生じるおそれがある。
また、逆にギャッシュ開き角が360°/(N+2)〜360°/(N+1)の範囲内とされていても、エンドミル回転方向側に隣接する底刃の第1逃げ面が0.5×t未満の幅となるほどギャッシュによって大きく切り欠かれてしまうと、やはり底刃の強度や剛性を確保することができなくなって、欠損やチッピングを生じ易くなる。その一方で、ギャッシュ壁面がエンドミル回転方向側に隣接する底刃の第1逃げ面に交差することは勿論、接することもないくらいにギャッシュの開口幅が小さいと、底刃によって生成された切屑を円滑に切屑排出溝に排出することができなくなって、切屑詰まりの発生を招くおそれがある。
以上説明したように、本発明によれば、底刃の剛性や強度は損なうことなく、チッピングや欠損を防止しつつも、ギャッシュに十分な容量を確保して切屑排出性の向上を図り、円滑かつ安定した切削を長期に亙って行うことが可能となる。
図1ないし図4は、本発明をラジアスエンドミルに適用した場合の一実施形態を示すものである。本実施形態において、エンドミル本体1は、超硬合金等の硬質材料により軸線Oを中心とした略円柱軸状をなし、その後端部(図1において右側部分)は円柱状のままのシャンク部2とされるとともに先端部(図1において左側部分)は切刃部3とされ、シャンク部2が工作機械の主軸に取り付けられて軸線O回りにエンドミル回転方向Tに回転されつつ、該軸線Oに交差する方向に送り出されることにより、被削材にポケット加工等の切削加工を施してゆく。
切刃部3の外周には、該切刃部3の先端から後端側に向けて軸線O回りにエンドミル回転方向Tの後方側に捩れる複数条(本実施形態では4条)の切屑排出溝4が周方向に等間隔に形成されており、この切屑排出溝4のエンドミル回転方向Tを向く壁面の外周側辺稜部には外周刃5が形成されていて、該壁面はこの外周刃5のすくい面すなわち外周刃すくい面4Aとされる。従って、これらの外周刃5も切屑排出溝4と同様に周方向に等間隔に配置され、切刃部3の後端側に向けて軸線O回りにエンドミル回転方向Tの後方側に捩れる螺旋状に形成される。
一方、各切屑排出溝4の先端には、それぞれ凹溝状のギャッシュ6が形成されている。これらのギャッシュ6は、本実施形態ではエンドミル回転方向Tを向いて後述する底刃すくい面6Aとされる壁面と先端側を向くギャッシュ底面6Bとエンドミル回転方向Tの後方側を向くギャッシュ壁面6Cとを備えて、切刃部3の先端内周側から外周側に向かうに従い後端側に向けて延び、切屑排出溝4の先端内周部のエンドミル回転方向Tを向く上記壁面からエンドミル回転方向Tの後方側を向く壁面を切り欠くように形成されている。
これらのギャッシュ6のエンドミル回転方向Tを向く上記壁面の先端側辺稜部には、それぞれ切刃部3の先端逃げ面7との交差稜線部に底刃8が形成されており、従ってこの壁面は、上述のようにこの底刃8のすくい面、すなわち底刃すくい面6Aとされる。なお、底刃8は略直線状とされ、ただしすかし角が与えられるように内周側に向かうに従い僅かに後端側に向けて傾斜させられている。
また、本実施形態では、上記底刃すくい面6Aは図2に示すように軸線Oに平行な平面状とされるとともに、上記ギャッシュ壁面6Cは、図4に示すように底刃すくい面6Aのギャッシュ底面6B側への仮想延長面Pに対し、同じく該ギャッシュ壁面6Cのギャッシュ底面6B側への仮想延長面Qが仮想交差稜線Rにおいて鋭角に交差して、先端側に向かうに従いエンドミル回転方向T側に向かう傾斜面とされている。
そして、ギャッシュ6のこれら底刃すくい面6Aとギャッシュ壁面6Cとは、上記仮想交差稜線Qに直交する断面において該底刃すくい面6Aとギャッシュ壁面6Cとがなすギャッシュ開き角θが、エンドミル本体1に形成される複数の底刃8の数Nに対して360°/(N+2)〜360°/(N+1)の範囲内とされている。すなわち、切屑排出溝4およびギャッシュ6がそれぞれ4条であって、底刃8も4枚刃とされた本実施形態では、上記ギャッシュ開き角θは60°〜72°の範囲内とされる。
また、ラジアスエンドミルである本実施形態では、各底刃8の外周端から外周刃5の先端に向けて略1/4円弧状をなすコーナ刃9がそれぞれ形成されている。ここで、切屑排出溝4のエンドミル回転方向Tを向く壁面の先端部におけるギャッシュ6の外周側には、上記底刃すくい面6Aに対して段差をなして切刃部3の後端側に向かうに従い漸次エンドミル回転方向Tの後方側に後退する段差部10が形成されており、コーナ刃9はこの段差部10のエンドミル回転方向Tを向く段差面をコーナ刃すくい面10Aとして、その先端外周側辺稜部に形成されている。
さらに、上記先端逃げ面7は、底刃8のエンドミル回転方向T後方側に連なる第1逃げ面7Aと、この第1逃げ面7Aのさらにエンドミル回転方向T後方側に交差稜線Lを介して連なって第1逃げ面7Aよりも大きな逃げ角とされた第2逃げ面7Bとから構成されており、この第2逃げ面7Bのエンドミル回転方向T後方側に切屑排出溝4のエンドミル回転方向T後方側を向く壁面が連なるようにされている。そして、このうち第1逃げ面7Aは、先端逃げ面7においてギャッシュ6が形成された部分以外の部分では、底刃8に直交する断面において一定の幅tをなすようにされている。
なお、先端逃げ面7の外周端には、この先端逃げ面7と同様に第1、第2逃げ面からなるコーナ刃9の逃げ面が滑らかに連なって該コーナ刃9に沿って後端外周側に湾曲して延び、さらにこのコーナ刃の逃げ面の後端には、やはり第1、第2逃げ面よりなる外周刃5の逃げ面(外周逃げ面)が滑らかに連なって後端側に向かうに従いエンドミル回転方向Tの後方側に捩れながら延びるように形成されている。ここで、これらコーナ刃9や外周刃5の逃げ面では、その第1逃げ面の幅は先端逃げ面7の第1逃げ面7Aの幅tと等しくてもよく、また漸増あるいは漸減させられていてもよい。
一方、ギャッシュ6の各ギャッシュ壁面6Cは、そのエンドミル回転方向T側に隣接する底刃8の先端逃げ面7のうち上記第1逃げ面7Aに交差または接するように形成されていて、本実施形態では図3に示すようにギャッシュ壁面6Cがエンドミル回転方向T側に隣接する底刃8の第1、第2逃げ面7A、7Bの交差稜線Lを越えて、第1逃げ面7Aと交差するようにされている。そして、こうしてギャッシュ壁面6Cと交差した部分におけるこの第1逃げ面7Aの幅Wは、このギャッシュ壁面6Cと交差または接していない部分における底刃8の第1逃げ面7Aの上記幅tに対して0.5×t〜1.0×tの範囲内とされている。
すなわち、本実施形態のようにギャッシュ壁面6Cがエンドミル回転方向T側の底刃8の第1逃げ面7Aと交差しているときには、第1逃げ面7Aがギャッシュ壁面6Cによって切り欠かれることにより、その幅Wが、ギャッシュ壁面6Cと交差せずに一定とされた上記幅tよりも小さくされ、ただしこの幅tの1/2よりは小さくならないようにされている。また、ギャッシュ壁面6Cが第1逃げ面7Aと接しているときには、第1逃げ面7Aは切り欠かれることはなく、ギャッシュ壁面6Cと接した部分において第1逃げ面7Aの幅Wは上記幅tと等しい大きさとなる。
なお、本実施形態では、切刃部3の先端中央部において、周方向に隣接する2つずつのギャッシュ6の間に、これらのギャッシュ6の内周部間をさらに切り欠くようにシンニング部11が形成されている。そして、図3に示すようにこのシンニング部11により、これら2つのギャッシュ6の間に位置する底刃(図3において左右方向に延びる底刃)8は、その内周端が切刃部3の先端中央部には達しない短刃とされるとともに、2つのギャッシュ6のうちエンドミル回転方向T側のギャッシュ6のさらにエンドミル回転方向T側に隣接する底刃(図3において上下方向に延びる底刃)8は、その内周端が切刃部3先端中央部に達し、ただし先端逃げ面7(第1逃げ面7A)がさらに切り欠かれた長刃とされている。
すなわち、このシンニング部11は、上記長刃とされる底刃8に沿って延びて該第1逃げ面7Aに交差させられるとともに、上記2つのギャッシュ6のギャッシュ底面6Bと短刃とされる底刃8の内周部をも切り欠くようにして、これらギャッシュ底面6Bに交差させられるように形成されており、これにより、この短刃とされる底刃8の先端逃げ面7とシンニング部11との間には段差が形成される。従って、本実施形態では、上述のように長刃とされる底刃8と短刃とされる底刃8とが周方向に交互に配設されることになる。
このような構成のエンドミルにおいては、ギャッシュ6のエンドミル回転方向T側に位置してエンドミル回転方向T後方側を向くギャッシュ壁面6Cが、このギャッシュ壁面6Cのさらにエンドミル回転方向T側に隣接する底刃8の先端逃げ面7の第1逃げ面7Aに交差するか、または接するように形成されていて、特に本実施形態では第1逃げ面7Aに交差させられており、すなわちギャッシュ壁面6Cがこのエンドミル回転方向T側の底刃8に近接しているので、ギャッシュ6を幅広く開口させることができる。
そして、さらにこのギャッシュ壁面6Cと、同じギャッシュ6のエンドミル回転方向Tを向く壁面であって底刃8のすくい面とされる底刃すくい面6Aとがなすギャッシュ開き角θが、底刃8の数Nに対して360°/(N+2)〜360°/(N+1)の範囲内とされている。このため、上記構成のエンドミルによれば、ギャッシュ6により大きな容量を確保することができて、底刃8によって生成された切屑を、このギャッシュ6を介して確実かつ円滑に切屑排出溝4に導入して排出することが可能となる。
その一方で、上記ギャッシュ壁面6Cとそのエンドミル回転方向T側に隣接する底刃8との間には、ギャッシュ6が交差または接していない部分における第1逃げ面7Aの幅tに対して0.5×t〜1.0×tの幅Wが確保されており、すなわち本実施形態のようにギャッシュ壁面6Cが第1逃げ面7Aに交差するように先端逃げ面7がギャッシュによって切り欠かれていても、上記幅tの半分以上の幅Wを第1逃げ面7Aに確保することができるので、上述のようにギャッシュ6に大きな容量を確保することによって底刃8の強度や剛性が損なわれるのは防ぐことができる。
すなわち、このギャッシュ壁面6Cが交差した部分における第1逃げ面7Aの幅Wが、交差していない部分の幅tに対して0.5×tよりも小さいと、底刃8のエンドミル回転方向T後方側直ぐにギャッシュ6が開口することになって底刃8の強度や剛性が損なわれ、チッピングや欠損を生じ易くなってしまう。その一方で、この幅Wが1.0×tよりも大きくなって、すなわち底刃8の先端逃げ面7の第1、第2逃げ面7A、7Bの交差稜線Lと、先端逃げ面7とギャッシュ壁面6Cとの交差稜線とが離れてしまうような状態になると、ギャッシュ6の開口幅が小さくなって十分な容量を確保できなくなり、切屑詰まりを招くおそれが生じる。
また、上記ギャッシュ開き角θについても、底刃8の数Nに対して360°/(N+2)を下回るほどこのギャッシュ開き角θが小さくなると、ギャッシュ6の容量が不十分となり、切屑詰まりによる底刃8の欠損を招くおそれが生じる。一方、逆にこのギャッシュ開き角が360°/(N+1)を上回るほど大きくなると、ギャッシュ6の容量は確保できても、底刃8の強度や剛性が不足してチッピングや欠損を招くおそれある。
なお、本実施形態では、底刃8の外周端と外周刃5の先端との間に略1/4円弧状をなすコーナ刃9が形成されたラジアスエンドミルに本発明を適用した場合について説明したが、このようなコーナ刃9を介することなく、底刃8と外周刃5とが略垂直に交差するようにされたスクエアエンドミルに本発明を適用することも可能である。また、底刃8自体がエンドミル本体1の軸線O上に中心を有する略1/4円弧状とされたボールエンドミルに本発明を適用することも可能ではあるが、このようなボールエンドミルでは、1/4円弧状をなす底刃8が径方向外周側に向かうに従い後端側に延びていて、もともと切屑が切屑排出溝4から排出されやすいため、本発明はラジアスエンドミルやスクエアエンドミルのように底刃8が軸線Oに対する径方向に直線状に延びていて切屑が排出され難いエンドミルに適用して特に有効である。
以下、本発明の実施例を挙げて、本発明の効果について実証する。本実施例では、上記実施形態に基づいて、底刃8の数Nに対してギャッシュ開き角θが360°/(N+2)〜360°/(N+1)の範囲内とされるとともに、ギャッシュ壁面6Cと交差または接した部分における底刃8の第1逃げ面7Aの幅Wが、ギャッシュ壁面6Cと交差または接していない部分における底刃8の第1逃げ面7Aの幅tに対して0.5×t〜1.0×tの範囲内とされた複数種のラジアスエンドミルを製造した。また、これに対する比較例として、ギャッシュ開き角θおよび上記第1逃げ面7Aの幅tの少なくとも一方が上記範囲外とされた複数種のラジアスエンドミルを製造した。
具体的に、これらのラジアスエンドミルは切刃部3の外径が10mm、コーナ刃9がなす1/4円弧の半径が2mmの超硬合金製のものであって、底刃8の数は4枚であり、従って実施例におけるギャッシュ開き角θは上述のように60°〜72°の範囲内となる。また、ギャッシュ壁面6Cと交差または接していない部分における底刃8の第1逃げ面7Aの幅tは1.2mmであり、従って実施例におけるギャッシュ壁面6Cと交差または接した部分における底刃8の第1逃げ面7Aの幅Wは0.6mm〜1.2mmの範囲内となる。加えて、ギャッシュ角は35°であるが、25°〜45°の範囲内でもよい。
そこで、切刃部3の先端部において、図5に示すようにギャッシュ開き角θが50°、60°、70°、80°、90°とされたギャッシュ6を、それぞれ幅Wが0.3mm、0.6mm、0.9mm、1.2mm、1.5mmとなるように形成した合計25種のラジアスエンドミルを製造した。従って、このうちギャッシュ開き角θが60°、70°で幅Wが0.6mm、0.9mm、1.2mmのものが実施例のラジアスエンドミルとなり、それ以外のものは比較例のラジアスエンドミルとなる。
そして、これらのラジアスエンドミルにより同一の切削条件で切削試験を行い、その際の底刃8のチッピングや欠損の発生について調べた。この結果を、図5に、欠損が生じた場合をバツ印で、チッピングが発生した場合を三角印で、チッピングも欠損も生じていなかった場合を丸印で示す。
なお、切削条件は、被削材がS55C材で、エンドミル本体1の回転速度は2400min-1、切削速度は75m/min、送り速度1920mm/min、1刃当りの送り量は0.2mm/tooth、切込み深さはap1mm、ae3mmで、エアブローしながら切削長10mのポケット加工を行った。
この図5の結果より、ギャッシュ開き角θが底刃8の数Nに対して360°/(N+2)〜360°/(N+1)の範囲内の60°、70°であっても、ギャッシュ壁面6Cと交差した第1逃げ面7Aの上記幅Wが交差していない部分の幅tに対して0.5×t未満の0.3mmである比較例では底刃8の強度や剛性が不足してチッピングが認められ、逆に幅Wが幅tに対して1.0×tよりも大きい1.5mmの比較例、すなわちギャッシュ壁面6Cが第1逃げ面7Aと交差も接してもいなくて間隔があけられた比較例でも、ギャッシュ6の容量が不十分で切屑詰まりによるチッピングが認められた。
一方、上記幅Wが幅tに対して0.5×t〜1.0×tの範囲内の0.6mm、0.9mm、1.2mmであっても、ギャッシュ開き角θが底刃8の数Nに対して360°/(N+2)未満の50°とされた比較例では、やはりギャッシュ6の容量不足で切屑詰まりが発生してチッピングが発生し、特に幅Wが幅tに対して1.0×tよりも大きい1.5mmのものでは底刃8が欠損してしまった。また、ギャッシュ開き角θが逆に360°/(N+1)を上回る80°、90°とされた比較例では、幅Wが大きいものではチッピングが、幅Wが小さいものでは欠損が生じていた。これらの比較例に対して、本発明に係わる実施例では、図5に示したように底刃8の欠損やチッピングも切屑詰まりも認められなかった。
1 エンドミル本体
3 切刃部
4 切屑排出溝
5 外周刃
6 ギャッシュ
6A 底刃すくい面
6B ギャッシュ底面
6C ギャッシュ壁面
7 先端逃げ面
7A 第1逃げ面
7B 第2逃げ面
8 底刃
9 コーナ刃
11 シンニング部
O エンドミル本体1の軸線
T エンドミル回転方向
θ ギャッシュ開き角
t ギャッシュ壁面6Cと交差または接していない部分における第1逃げ面7Aの幅
W ギャッシュ壁面6Cと交差または接した部分における第1逃げ面7Aの幅
3 切刃部
4 切屑排出溝
5 外周刃
6 ギャッシュ
6A 底刃すくい面
6B ギャッシュ底面
6C ギャッシュ壁面
7 先端逃げ面
7A 第1逃げ面
7B 第2逃げ面
8 底刃
9 コーナ刃
11 シンニング部
O エンドミル本体1の軸線
T エンドミル回転方向
θ ギャッシュ開き角
t ギャッシュ壁面6Cと交差または接していない部分における第1逃げ面7Aの幅
W ギャッシュ壁面6Cと交差または接した部分における第1逃げ面7Aの幅
Claims (1)
- 軸線回りに回転されるエンドミル本体の先端部外周に形成された切屑排出溝の先端に、該切屑排出溝のエンドミル回転方向を向く壁面を切り欠くようにギャッシュが形成され、このギャッシュのエンドミル回転方向を向く壁面を底刃すくい面として、その先端側辺稜部に底刃が形成されたエンドミルであって、上記底刃すくい面と上記ギャッシュのエンドミル回転方向の後方側を向くギャッシュ壁面との仮想交差稜線に直交する断面においてこれら底刃すくい面とギャッシュ壁面とがなすギャッシュ開き角が、上記エンドミル本体に形成される底刃の数Nに対して360°/(N+2)〜360°/(N+1)の範囲内とされるとともに、上記ギャッシュ壁面はそのエンドミル回転方向側に隣接する上記底刃の第1逃げ面に交差または接するように形成されていて、こうしてギャッシュ壁面と交差または接した部分における上記底刃の第1逃げ面の幅が、上記ギャッシュ壁面と交差または接していない部分における該底刃の第1逃げ面の幅tに対して0.5×t〜1.0×tの範囲内とされていることを特徴とするエンドミル。
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---|---|---|---|
JP2011076047A JP2012206245A (ja) | 2011-03-30 | 2011-03-30 | エンドミル |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP2011076047A JP2012206245A (ja) | 2011-03-30 | 2011-03-30 | エンドミル |
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---|---|
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JP2011076047A Withdrawn JP2012206245A (ja) | 2011-03-30 | 2011-03-30 | エンドミル |
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Country | Link |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2018079489A1 (ja) * | 2016-10-26 | 2018-05-03 | 京セラ株式会社 | 切削工具及び切削加工物の製造方法 |
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2011
- 2011-03-30 JP JP2011076047A patent/JP2012206245A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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