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JP2012167250A - 成形品 - Google Patents

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JP2012167250A
JP2012167250A JP2011287773A JP2011287773A JP2012167250A JP 2012167250 A JP2012167250 A JP 2012167250A JP 2011287773 A JP2011287773 A JP 2011287773A JP 2011287773 A JP2011287773 A JP 2011287773A JP 2012167250 A JP2012167250 A JP 2012167250A
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Yuki Mitsutsuji
祐樹 三辻
Katsuhiro Miyoshi
且洋 三好
Masahiro Moriyama
匡洋 森山
Toru Nishimura
西村  透
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Toray Industries Inc
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Abstract

【課題】絶縁性と電磁波シールド性を両立し、力学特性に優れた成形品を得るための繊維強化プロピレン系樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】(A−1)変性ポリオレフィン系樹脂および(A−2)未変性ポリオレフィン系樹脂からなる(A)ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、
(B)炭素繊維5〜64重量部
(C)絶縁性無機フィラー0.1〜18重量部
を配合してなる樹脂組成物を成形した成形品。
【選択図】なし

Description

本発明は、成形品に関するものであり、電磁波シールド性と絶縁性を両立し、さらに力学特性に優れた成形品に関する。
強化繊維と熱可塑性樹脂からなる組成物は、軽量で優れた力学特性を有するために、スポーツ用品用途、航空宇宙用途および一般産業用途に広く用いられている。これらの繊維強化熱可塑性樹脂組成物に使用される強化繊維は、その使用用途によって様々な形態で成形品を強化している。強化繊維の中で特に比強度、比剛性および軽量性のバランスの観点から炭素繊維が好適であり、その中でもポリアクリロニトリル系炭素繊維が好適に用いられる。
炭素繊維、特に長繊維炭素繊維で強化した熱可塑性材料は優れた導電性材料であり、得られる成形品は電磁波シールド性に優れるため、電磁波の発生する電気部品の収納容器等に用いることができる。しかし、電気部品周りに用いた場合、衝撃などで破損した場合に収容容器が導電性を有していることで、電気配線および端子等の短絡が起こる可能性がある。また、収容容器が導電している状態で人が触れた場合に感電する恐れがある。
炭素繊維で強化したポリオレフィン系樹脂の樹脂組成物として特許文献1にポリオレフィン系樹脂、炭素繊維および/又は無機充填剤、アミン化合物からなる溶融混練した組成物が記載されているが、特許文献1に記載された樹脂組成物からなる成形品は炭素繊維と無機充填剤の組合せが無く、絶縁性が不十分である。また、溶融混練によって成形品の繊維長が短くなり、電磁波シールド性にも劣る。特許文献2にはポリオレフィンと炭素繊維を溶融混練した炭素繊維が特定の繊維長を有するポリオレフィン系樹脂組成物(マスターバッチ)が記載されているが、特定の繊維長は成形品に残存する繊維長ではなく成形前の繊維長のため、成形品中に含まれる繊維長は短く、電磁波シールド性に劣る。特許文献3には無機フィラーと炭素繊維によって強化されたポリプロピレンからなる溶融混練した組成物が記載されているが、変性ポリオレフィンについて何ら記載されておらず、力学特性や絶縁性に劣り、溶融混練によって樹脂組成物を製造しているため、射出成形後の成形品の繊維長が短く、電磁波シールド性にも劣る。
このように、従来技術ではポリオレフィン樹脂をマトリックスとして成形した際に、優れた電磁波シールド性と力学特性、絶縁性を両立できておらず、電磁波シールド性や絶縁性、力学特性に優れた炭素繊維強化の成形品の開発が望まれていた。
特開昭58−204043号公報 特開2006−124454号公報 特開2005−232413号公報
本発明は、従来技術の背景に鑑み、ポリオレフィン系樹脂をマトリックスとした際に、絶縁性と電磁波シールド性を両立し、力学特性に優れた成形品を提供することを目的とする。
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、上記課題を達成することができる、次の成形品を見出した。
(1)(A−1)変性ポリオレフィン系樹脂および(A−2)未変性ポリオレフィン系樹脂からなる(A)ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、
(B)炭素繊維5〜64重量部
(C)絶縁性無機フィラー0.1〜18重量部
を配合してなる樹脂組成物を成形した成形品であって、(B)炭素繊維の重量平均繊維長が0.3〜10mmである成形品。
(2)樹脂組成物が、(A)ポリオレフィン系樹脂100重量%として、(A−1)変性ポリオレフィン系樹脂が5重量%を超え99重量%以下、(A−2)未変性ポリオレフィン系樹脂が1重量%以上95重量%未満である(1)に記載の成形品。
(3)(A−1)変性ポリオレフィン系樹脂がカルボキシル基および無水カルボン酸基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有することを特徴とする(1)〜(2)いずれかに記載の成形品。
(4)(A−1)変性ポリオレフィン系樹脂および/または(A−2)未変性ポリオレフィン系樹脂がホモポリプロピレンであることを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載の成形品。
(5)(C)絶縁性無機フィラーが、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタンおよびガラスフィラーからから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする(1)〜(4)いずれかに記載の成形品。
(6)(C)絶縁性無機フィラーの平均粒子径が0.1〜200μmであることを特徴とする(1)〜(5)いずれかに記載の成形品。
(7)成形品が電気部品収納容器であることを特徴とする(1)〜(6)いずれかに記載の成形品。
(8)炭素繊維のO/Cが0.10〜0.30である(1)〜(7)いずれかに記載の成形品。
(9)(C)絶縁性無機フィラーが、(C−1)平均粒子径が0.1〜20μmの絶縁性無機フィラーと(C−2)平均粒子径が20〜200μmの絶縁性無機フィラーからなり、(C−1)/(C−2)=1/9〜9/1の範囲である(1)〜(8)いずれかに記載の成形品。
(10)(A−1)変性ポリオレフィン系樹脂および/または(A−2)未変性ポリオレフィン系樹脂がブロックポリプロピレンである(1)〜(9)いずれかに記載の成形品。
(11)(B)炭素繊維の重量平均繊維長が0.8〜2.0mmである(1)〜(10)いずれかに記載の成形品。
本発明の成形品は、絶縁性と電磁波シールド性を両立し、曲げ特性や耐衝撃特性などの力学特性に優れた成形品である。また、ポリオレフィン系樹脂を用いてた成形品のため、軽量性に優れ、電気・電子機器、OA機器、家電機器、筐体または自動車の部品、特には電気自動車の電気部品収納容器に極めて有用である。
成形品の体積抵抗率を測定するための回路図面である。 成形品の絶縁抵抗値を測定ための回路図面である。
(A−1)変性ポリオレフィン系樹脂と(A−2)未変性ポリオレフィン系樹脂からなる(A)ポリオレフィン系樹脂、(B)炭素繊維、(C)絶縁性無機フィラーを有してなる成形品である。まず、これらの構成要素について説明する。
本発明の(A−1)変性ポリオレフィン系樹脂は分子中にカルボキシル基や無水カルボン酸基を有するポリオレフィン系樹脂であり、得られる成形品の力学特性および絶縁性を向上させる観点より、ポリプロピレンを不飽和カルボン酸、その無水物またはその誘導体から選ばれる少なくとも1種類の化合物で変性をして用いる事が好ましい。
さらに、用いるポリプロピレンとしては、プロピレン単独重合体(ホモポリマー)、ホモポリマー以外にプロピレン成分を70重量%以上含む他のオレフィン成分とのプロピレンランダム共重合体(例えばプロピレン・エチレンランダム共重合体)、プロピレンブロック共重合体(プロピレン・エチレンランダム共重合体など)が挙げられる。中でも、プロピレンブロック共重合体は、力学特性においてバランスが良く好ましい。
変性したポリオレフィン系樹脂を用いる事により、炭素繊維との密着性が向上するため、機械特性が向上するとともに、炭素繊維との密着性が向上することにより、炭素繊維表面の絶縁性が高まり、絶縁性に優れた成形品を得る事が出来る。変性に使用される不飽和カルボン酸、その酸無水物またはその誘導体から選ばれる化合物の例を挙げると、アクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、メチルマレイン酸、メチルフマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸およびこれらカルボン酸の金属塩、マレイン酸水素メチル、イタコン酸水素メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸ヒドロキシエチル、メタアクリル酸アミノエチル、マレイン酸ジメチル、イタコン酸ジメチル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、エンドビシクロ−(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸、エンドビシクロ−(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物、マレイミド、N−エチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、シトラコン酸グリシジル、および5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸などである。これらの中では、不飽和ジカルボン酸およびその酸無水物が好適であり、特にマレイン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸またはこれらの酸無水物が好適である。
また、これらの不飽和カルボン酸、その酸無水物またはその誘導体から選ばれる化合物をポリオレフィン系樹脂に導入する方法は特に制限なく、予め主成分であるポリオレフィン系樹脂と不飽和カルボン酸、その酸無水物またはその誘導体から選ばれる化合物を共重合せしめたり、未変性ポリオレフィン系樹脂に不飽和カルボン酸、その酸無水物またはその誘導体から選ばれる化合物とラジカル開始剤を用いてグラフト導入するなどの方法を用いることができる。変性剤成分の導入量は変性ポリオレフィン系樹脂中のオレフィンモノマ全体に対して好ましくは0.001〜40モル%、より好ましくは0.01〜35モル%の範囲内であることが適当である。
(A−1)変性ポリオレフィン系樹脂の粘度は特に制限は無いが、JIS K 7210−1999に準拠した230℃、2.16kgの条件下でのMFR値が0.5〜600g/10分、より好ましくは1〜200g/10分である。MFR値が0.5g/10分未満では射出成形時に炭素繊維の流動が困難になるために、炭素繊維の分散不良が生じることがあり、MFRが600g/10分以上にでは(A−1)変性ポリオレフィン系樹脂の力学特性が低下するために衝撃強度の低下が生じることがあり、好ましくない。
また(A−1)本変性ポリオレフィン樹脂は市販品を用いることも可能であり、例えばQE800(酸変性ポリプロピレン:三井化学社製)、QE500(酸変性ポリプロピレン:三井化学社製)などが挙げられる。
(A−2)未変性ポリオレフィン系樹脂は、プロピレン単独重合体(ホモポリマー)、ホモポリマー以外にプロピレン成分を70重量%以上含む他のオレフィン成分とのプロピレンランダム共重合体(例えばプロピレン・エチレンランダム共重合体)、プロピレンブロック共重合体(プロピレン・エチレンランダム共重合体など)が挙げられる。中でも、プロピレンブロック共重合体は、力学特性においてバランスが良く好ましい。
かかる(A−2)未変性ポリオレフィン系樹脂の粘度は特に制限は無いが、JIS K 7210−1999に準拠した230℃、2.16kgの条件下でのMFR値が1〜300g/10分、より好ましくは5〜200g/10分である。MFR値が1g/10分未満では成形性が著しく低下し、射出成形時に炭素繊維の流動が困難になるために、成形品中の繊維破断が生じ、強度の低下と電磁波シールド性が低下することがあり、MFRが600g/10分以上にでは、(A−2)未変性ポリオレフィン系樹脂の力学特性が低下するために、衝撃強度の低下することがあり、好ましくない。
(A−2)未変性ポリオレフィン系樹脂は市販品を用いることも可能であり、例えばJ137(ホモポリプロピレン:プライムポリマー社製)、MA1B(ホモポリプロピレン:日本ポリプロ社製)、J226T(ランダムポリプロピレン:プライムポリマー社製)、J707G(ブロックポリプロピレン:プライムポリマー社製)などが挙げられる。
(A−1)変性ポリオレフィン系樹脂と(A−2)未変性ポリオレフィン系樹脂からなる(A)ポリオレフィン系樹脂は該樹脂の力学特性および絶縁性を高く保つことと、原料コストを考慮し、(A)ポリオレフィン系樹脂を100重量%として、(A−1)変性ポリオレフィン系樹脂は5重量%を超え〜99重量%以下であることが好ましい。より好ましくは、7重量%以上〜50重量%以下であり、さらに好ましくは、10重量%以上〜30重量%以下である。(A−2)未変性ポリオレフィン系樹脂は1重量%以上〜95重量%未満であることが好ましい。より好ましくは、50重量%以上〜93重量%以下であり、さらに好ましくは、70重量%以上〜90重量%以下である。
本発明に用いられる(B)炭素繊維は、特に限定されないが、高強度、高弾性率炭素繊維が使用でき、これらは1種または2種を併用してもよい。中でも、PAN系、ピッチ系、レーヨン系などの炭素繊維が挙げられる。得られる成形品の強度と弾性率とのバランスの観点から、PAN系炭素繊維がさらに好ましい。
さらに(B)炭素繊維としては、X線光電子分光法により測定される繊維表面の酸素(O)と炭素(C)の原子数の比である表面酸素濃度比[O/C]が0.05〜0.5であるものが好ましく、より好ましくは0.08〜0.4であり、さらに好ましくは0.1〜0.3である。表面酸素濃度比が0.05以上であることにより、炭素繊維表面の官能基量を確保でき、ポリオレフィン系樹脂とより強固な接着を得ることができるために、力学特性と絶縁性を高めることができる。また、表面酸素濃度比の上限には特に制限はないが、炭素繊維の取扱い性、生産性のバランスから一般的に0.5以下とすることが例示できる。
(B)炭素繊維の表面酸素濃度比は、X線光電子分光法により、次の手順にしたがって求めるものである。まず、溶剤で炭素繊維表面に付着しているサイジング剤などを除去した(B)炭素繊維を銅製の試料支持台に拡げて並べた後、X線源としてA1Kα1、2を用い、試料チャンバー中を1×10Torrに保つ。測定時の帯電に伴うピークの補正値としてC1sの主ピークの運動エネルギー値(K.E.)を1202eVに合わせる。C1sピーク面積をK.E.として1191〜1205eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求める。O1sピーク面積をK.E.として947〜959eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求める。
ここで、表面酸素濃度比とは、上記O1sピーク面積とC1sピーク面積の比から装置固有の感度補正値を用いて原子数比として算出する。X線光電子分光法装置として、国際電気社製モデルES−200を用い、感度補正値を1.74とする。
表面酸素濃度比[O/C]を0.05〜0.5に制御する手段としては、特に限定されるものではないが、例えば、電解酸化処理、薬液酸化処理および気相酸化処理などの手法をとることができ、中でも電解酸化処理が好ましい。
さらに(B)炭素繊維をサイジング処理することが好ましい。サイジング処理としては、サイジング剤を含有する液体(サイジング液)を付着させる処理方法である。
サイジング剤としては、特に限定されないが、エポキシ基、ウレタン基、アミノ基、カルボキシル基等の官能基を有する化合物が使用でき、これらは1種または2種以上を併用してもよい。官能基の数は、2個以上であることが好ましく、さらに好ましくは、3個以上である。
具体的な化合物としては、多官能エポキシ樹脂、酸変性ポリプロピレン、酸変性ポリプロピレンの中和物が挙げられる。
多官能エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、(A)ポリオレフィン系樹脂との接着性を発揮しやすいビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましく、中でも柔軟なビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましい。(B)炭素繊維と(A)ポリオレフィン系樹脂間に存在させることで、(B)炭素繊維と(A)ポリオレフィン系樹脂間を強固に接着させ剥離しにくくさせるため、電気導電パスを遮断しやすく好ましい。
サイジング剤を(B)炭素繊維に付与することで、添加量が少量であっても効果的に(B)炭素繊維表面の官能基等の表面特性に適合させて接着性および成形品の絶縁性を向上させることができる。また、集束性、耐屈曲性や耐擦過性を改良し、高次加工工程において、毛羽、糸切れの発生を抑制しており、いわゆる糊剤、集束剤として高次加工性を向上させることもできる。
サイジング剤付着量は、(B)炭素繊維のみの質量に対して、0.01質量%以上10質量%以下が好ましく、0.05質量%以上5質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上2質量%以下付与することがさらに好ましい。0.01質量%以下では接着性向上効果が現れにくく、絶縁性が発現しにくい。10質量%以上では、成形品の物性低下させることがある。
また、サイジング剤には、ビスフェノール型エポキシ化合物、直鎖状低分子量エポキシ化合物、ポリエチレングリコール、ポリウレタン、ポリエステル、乳化剤あるいは界面活性剤など他の成分を粘度調整、耐擦過性向上、耐毛羽性向上、集束性向上、高次加工性向上等の目的で加えてもよい。
サイジング剤の付与手段としては特に限定されるものではないが、例えばローラを介してサイジング液に浸漬する方法、サイジング液の付着したローラに接する方法、サイジング液を霧状にして吹き付ける方法などがある。また、バッチ式、連続式いずれでもよいが、生産性がよくバラツキが小さくできる連続式が好ましい。この際、炭素繊維に対するサイジング剤有効成分の付着量が適正範囲内で均一に付着するように、サイジング液濃度、温度、糸条張力などをコントロールすることが好ましい。また、サイジング剤付与時に(B)炭素繊維を超音波で加振させることはより好ましい。
乾燥温度と乾燥時間は化合物の付着量によって調整すべきであるが、サイジング剤の付与に用いる溶媒の完全な除去、乾燥に要する時間を短くし、一方、サイジング剤の熱劣化を防止し、炭素繊維束が固くなって束の拡がり性が悪化するのを防止する観点から、乾燥温度は、150℃以上350℃以下であることがこのましく、180℃以上250℃以下であることがより好ましい。
サイジング剤に使用する溶媒は、水、メタノール、エタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトン等が挙げられるが、取扱いが容易で防災の観点から水が好ましい。従って、水に不溶、若しくは難溶の化合物をサイジング剤として用いる場合には、乳化剤、界面活性剤を添加し、水分散して用いるのが良い。具体的には、乳化剤、界面活性剤としては、スチレン−無水マレイン酸共重合体、オレフィン−無水マレイン酸共重合体、ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、ポリアクリル酸ソーダ等のアニオン系乳化剤、ポリエチレンイミン、ポリビニルイミダゾリン等のカチオン系乳化剤、ノニルフェノールエチレンオキサイド付加物、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレンエーテルエステル共重合体、ソルビタンエステルエチルオキサイド付加物等のノニオン系乳化剤等を用いることができるが、相互作用の小さいノニオン系乳化剤がサイジング剤の接着性効果を阻害しにくく好ましい。
また、炭素繊維束とした場合の単糸数には、特に制限はなく、100〜350,000本の範囲内で使用することができ、とりわけ1,000〜250,000本の範囲内で使用することが好ましい。また炭素繊維の生産性の観点からは、単糸数が多いものが好ましく、20,000〜100,000本の範囲内で使用することが好ましい。
(B)炭素繊維の含有量は(A)ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して5〜64重量部が好ましく、5重量部未満では電磁波シールド性と力学特性が劣り64重量部を超えると絶縁性が劣る。絶縁性と電磁波シールド性、力学特性の観点から、好ましくは7〜50重量部、更に好ましくは10〜30重量部であることが好ましい。
(C)絶縁性無機フィラーは、レーザー回折法により測定された平均粒子径が0.1〜200μmであるものが好ましい。0.1μm未満では絶縁性が劣り、200μmを超えると分散性および成形性が劣るため好ましくない。また、絶縁性と成形性の観点から、(C−1)平均粒子径が0.1〜20μmの絶縁性無機フィラーと(C−2)平均粒子径が20〜200μmを(C−1)/(C−2)=1/9〜9/1の範囲で用いることがさらに好ましい。成形品に含まれる(B)炭素繊維の重量平均繊維長が0.3〜10mmのために、成形品中で、安定して絶縁性を高めるためには、異なる粒子径の(C)絶縁性無機フィラーを用いることが、成形性を低下させずに効率良く絶縁性を高められるため好ましい。
このような(C)絶縁性無機フィラーの例としては、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、ワラストナイト、ウィスカー、ガラスフィラー、硫酸バリウム、酸化チタンなどが挙げられ、中でもタルク、マイカが好適に用いられる。また、これらの(C)絶縁性無機フィラーは、1種類を単独でも2種類以上を併用して用いても良く、2種類を用いる場合には、タルク、マイカの組み合わせが成形性を低下させずに、効率良く絶縁性を高められるため好ましい。
(C)絶縁性無機フィラーの含有量は0.1〜18重量部が好ましい。0.1重量部未満では絶縁性が劣り、18重量部を超えると成形が困難になったり、比重が重くなる傾向にある。軽量性と絶縁性の観点から、0.5〜15重量部が好ましく、1〜10がより好ましく、3〜8重量部であるとさらに好ましい。
また本発明の樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、他のエラストマーや充填材、添加剤を含有しても良い。これらの例としては、エラストマーとして、未変性のオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、エステル系エラストマー、アミド系エラストマー等が挙げられ、オレフィン系エラストマーとして具体的には、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合体、エチレン−プロピレン−ヘキサジエン共重合体などのエチレン−プロピレン非共役ジエン3元共重合体等が挙げられる。また、スチレン系エラストマーとして具体的には、スチレン−ブタジエン、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンのランダム共重合体、およびブロック共重合体、該ブロック共重合体の水素添加物、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体等が挙げられる。中でも、オレフィン系エラストマーとしてエチレン−α−オレフィン共重合体は、(A)ポリオレフィン系樹脂との相溶性がよいために、効果的に耐衝撃性を向上でき好ましい。
充填剤と添加剤としては、分散剤、難燃剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、制振剤、抗菌剤、防虫剤、防臭剤、着色防止剤、熱安定剤、離型剤、可塑剤、滑剤、着色剤、顔料、染料、発泡剤、制泡剤、あるいは、カップリング剤が挙げられる。これらのエラストマーや充填材、添加剤は1種または2種以上を選択し用いることができる。
本発明では、成形品の重量平均繊維長が0.3〜10mmであることが必要であり、この範囲とすることで、電磁波シールド性と絶縁性のバランスのよい成形品を得ることができる。成形品中の炭素繊維の重量平均繊維長は、0.3〜5mmがより好ましく、さらに好ましくは0.5〜3mmであり、0.8〜2.0mmであるとさらに好ましい。
このような成形品を得るためには、成形材料をたとえば、(B)炭素繊維のロービングを(A−1)変性ポリオレフィン系樹脂と(A−2)未変性ポリオレフィン系樹脂からなる(A)ポリオレフィン系樹脂と(C)絶縁性無機フィラーを溶融混錬した樹脂組成物で満たした含浸ダイに導き、炭素繊維のフィラメント間に該樹脂組成物を均一に含浸させた後ノズルを通して引き抜き、冷却固化後所定の長さにペレタイズして得る方法が挙げられる。
好ましくは、クロスヘッドダイを用いて(B)炭素繊維のロービングに(A−1)変性ポリオレフィン系樹脂と(A−2)未変性ポリオレフィン系樹脂からなる(A)ポリオレフィン系樹脂と(C)絶縁性無機フィラーを溶融混錬した樹脂組成物を含浸被覆した後、冷却固化して所定の長さにペレタイズして成形材料を得る方法である。
成形材料のペレット形状は特に制限はないが、通常3〜15mmの範囲である。ペレット長が3mm未満では、成形品中の繊維が短くなり強度、衝撃、電磁波シールド性が低下することがあり、ペレット長が15mmを越えると成形機での噛み込み不良を生じる場合がある。中でも、ペレット長は3〜12mmが好ましく、5〜10mmが更に好ましい。
本発明の成形品は、インラインスクリュー型やプリプランジャー式など通常既知の射出成形機であればいずれも使用可能である。特に、予め金型を所定量開けておき、樹脂を金型内に充填後に型締めを完了するインジェクションプレス成形が、充填圧力の低減、繊維の破断防止、ソリの低減の観点から好ましい。該インジェクションプレス成形においては樹脂の充填開始とともに型締めを開始しても良いし、樹脂の充填途中から型締めを開始しても良い。
成形品中の(B)炭素繊維の重量平均繊維長は、成形品を500℃で2時間灰化処理して、サンプル中の(B)炭素異繊維を取り出し、取り出した(B)炭素繊維を3リッターの水とともにビーカーに入れ、超音波洗浄機を用い(B)炭素繊維を水に均一分散させ、先端の直径が8mmのスポイトで(B)炭素繊維が均一分散した水溶液を1cc吸い取り、10×10mmの窪みを持つシャーレにサンプリンリングした後乾燥させ、シャーレ中の(B)炭素繊維の写真を撮り、約1000本の長さを計測し、下式により求めた値である。
重量平均繊維長=Σ(Mi×Ni)/Σ(Mi×Ni)
Mi:繊維長(mm)
Ni:個数。
成形品の電磁波シールド性の測定方法は、特に限定しないが、例えばマイクロウェーブ・ファクトリー社製の評価装置を用いて、KEC法に準拠し、近傍電界10(MHz)〜1(GHz)の領域において平均シールド効果(dB)にて測定することができる。シールド効果としては高ければ高いほどよいが、例えば、成形品の厚みが3mmにおいては、15dB以上であると好ましい。より好ましくは、20dB以上であり、さらに好ましくは、30dB以上である。
また、成形品の絶縁抵抗値の測定方法は、特に限定しないが、HIOKI社製絶縁抵抗計(アナログメグオームハイテスタIR4042)を用いて、500Vレンジにおける絶縁抵抗値(kΩ)を測定することが挙げられる。絶縁抵抗値は高ければ高いほどよいが、例えば測定スパン間が140mmにおいては、10kΩ以上であると好ましい。より好ましくは、100kΩ以上であり、さらに好ましくは、200kΩ以上である。
成形品としては、インストルメントパネル、ドアビーム、アンダーカバー、ランプハウジング、ペダルハウジング、ラジエータサポート、スペアタイヤカバー、フロントエンドなどの各種モジュール等の自動車部品に好適である。さらに電話、ファクシミリ、VTR、コピー機、テレビ、電子レンジ、音響機器、トイレタリー用品、レーザーディスク(登録商標)、冷蔵庫、エアコンなどの家庭・事務電気製品部品も挙げられる。またパーソナルコンピューター、携帯電話などに使用されるような筐体や、パーソナルコンピューターの内部でキーボードを支持する部材であるキーボード支持体に代表されるような電気・電子機器用部材なども挙げられる。本発明の成形品は、軽量性と機械強度特性、絶縁性、電磁波シールド性がバランスして優れることから、携帯用電気・電子機器部品や電気自動車の電気部品収納容器、例えばバッテリーケース、インバーターケース、ECUケースとしての使用に特に適している。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
[成形品の曲げ試験]
ASTM D790(1997)に準拠し、3点曲げ試験冶具(圧子10mm、支点10mm)を用いて支持スパンを100mmに設定し、クロスヘッド速度5.3mm/分の試験条件にて曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。試験機として、“インストロン(登録商標)”万能試験機4201型(インストロン社製)を用いた。
[体積抵抗率]
JIS K 6271に準拠し、抵抗計HIOKI3541を用いて、図1に示す四端子法にて体積低効率(Ω・cm)を測定した。試験片は射出成形(日本製鋼所社製J110AD、シリンダー温度230℃、金型温度60℃)により、ISO型引張ダンベル試験片(4mmt)を得た。得られた試験片を帯ノコで80×10mm(4mmt)の寸法に切断し、切断面を荒さ400番のサンドペーパーで平滑化し、電気抵抗測定用試験片を得た。
[電磁波シールド性]
マイクロウェーブ・ファクトリー社製の評価装置を用いて、KEC法に準拠し、近傍電界10(MHz)〜1(GHz)の領域において平均シールド効果(dB)を測定した。なお、シールド効果は次式(1)により算出した。試験片は前記射出成形により成形した、150×150mm(3mmt)の角板を用いた。
SE=20×log10E/E (1)
SE:シールド効果(dB)
:シールド材が無い場合の空間電界強度
:シールド材が有る場合の空間電界強度。
[絶縁抵抗]
HIOKI社製絶縁抵抗計(アナログメグオームハイテスタIR4042)を用いて、前記記載のISOダンベル試験片を図2に示す電気回路にて500Vレンジにおける絶縁抵抗値(kΩ)を測定した。なお、導電性が高く測定不可の場合には、絶縁性が不足していると判断した。
[重量平均繊維長]
前記方法にて作成したダンベル試験片の中央部を20×10mm(3mmt)に切断し、500℃で2時間灰化処理して、サンプル中の(B)炭素繊維を取り出した。取り出した(B)炭素繊維を3リッターの水とともにビーカーに入れ、超音波洗浄機を用い(B)炭素繊維を水に均一分散させた。先端の直径が8mmのスポイトで(B)炭素繊維が均一分散した水溶液を1cc吸い取り、10×10mmの窪みを持つシャーレにサンプリンリングした後乾燥させた。シャーレ中の(B)炭素繊維の写真を撮り、約1000本の長さを計測して重量平均繊維長を算出した。計算式は下記の通り。
重量平均繊維長=Σ(Mi×Ni)/Σ(Mi×Ni)
Mi:繊維長(mm)
Ni:個数。
参考例1.(B−1)炭素繊維1
ポリアクリロニトリルを主成分とする共重合体から紡糸、焼成処理、表面酸化処理を行い、総単糸数24,000本の連続炭素繊維を得た。この連続炭素繊維の特性は次に示す通りであった。
単繊維径:7μm
単位長さ当たりの質量:1.6g/m
比重:1.8
表面酸素濃度比 [O/C]:0.03
引張強度:4600MPa
引張弾性率:220GPa。
ここで表面酸素濃度比は、表面酸化処理を行ったあとの炭素繊維を用いて、X線光電子分光法により、次の手順にしたがって求めた。まず、炭素繊維束を20mmにカットして、銅製の試料支持台に拡げて並べた後、X線源としてA1Kα1、2を用い、試料チャンバー中を1×10Torrに保った。測定時の帯電に伴うピークの補正値としてC1sの主ピークの運動エネルギー値(K.E.)を1202eVに合わせた。C1sピーク面積をK.E.として1191〜1205eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求めた。O1sピーク面積をK.E.として947〜959eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求めた。O1sピーク面積とC1sピーク面積の比から装置固有の感度補正値を用いて原子数比として算出した。X線光電子分光法装置として、国際電気社製モデルES−200を用い、感度補正値を1.74とした。
さらに、ビスフェノールF型エポキシ(jER806:三菱化学社製)を2質量%になるように水に溶解、または分散させたサイジング剤母液を調整し、浸漬法により(B−1)炭素繊維にサイジング剤を付与し、230℃で乾燥を行った。付着量は1.0質量%であった。
参考例2.(B−2)炭素繊維2
ポリアクリロニトリルを主成分とする共重合体から紡糸、焼成処理、表面酸化処理を行い、総単糸数24,000本の連続炭素繊維を得た。この連続炭素繊維の特性は次に示す通りであった。また、参考例1と同様にサイジング剤を付与した。
単繊維径:7μm
単位長さ当たりの質量:1.6g/m
比重:1.8
表面酸素濃度比 [O/C]:0.15
引張強度:4600MPa
引張弾性率:220GPa。
参考例3.(B−3)炭素繊維3
ポリアクリロニトリルを主成分とする共重合体から紡糸、焼成処理、表面酸化処理を行い、総単糸数24,000本の連続炭素繊維を得た。この連続炭素繊維の特性は次に示す通りであった。また、サイジング剤は付与しなかった。
単繊維径:7μm
単位長さ当たりの質量:1.6g/m
比重:1.8
表面酸素濃度比 [O/C]:0.03
引張強度:4600MPa
引張弾性率:220GPa。
参考例4.(A−1−1)変性ホモポリプロピレンの合成
ホモポリプロピレン(プライムポリマー社製“プライムポリプロ”J137) 99.6質量部、無水マレイン酸 0.4質量部、および重合開始剤としてパーヘキシ25B(日本油脂(株)製)0.4質量部を混合し、加熱温度160℃、2時間で変性を行って、(c−2)酸変性ポリプロピレン樹脂(酸含有量=0.08ミリモル当量)を得た。
参考例5.(A−1−2)変性ブロックポリプロピレンの合成
ブロックポリプロピレン(プライムポリマー社製“プライムポリプロ”J707G) 99.6質量部、無水マレイン酸 0.5質量部、および重合開始剤としてパーヘキシ25B(日本油脂(株)製)0.4質量部を混合し、加熱温度160℃、2時間で変性を行って、(c−2)酸変性ポリプロピレン樹脂(酸含有量=0.10ミリモル当量)を得た。
本実施例および比較例に用いた(A)ポリオレフィン系樹脂、(C)絶縁性無機フィラーは以下の通りである。
(A−2−1):ホモポリプロピレン樹脂(プライムポリマー社製“プライムポリプロ”J137)
(A−2−2):ブロックプロピレン樹脂(プライムポリマー社製“プライムポリプロ”J707G)
(C−1):タルク(日本タルク社製“微粉タルク”MICRO ACE P−4 粒径4.3μm)
(C−2):マイカ(ヤマグチマイカ社製“工業用湿式粉砕雲母粉”A−21S 粒径20μm)
(C−3):マイカ(ヤマグチマイカ社製“工業用乾式粉砕雲母粉”B−82 粒径180μm)
(C−4):ガラスビーズ(ポッターズバロティーニ社製“汎用ガラスビーズ”GB301S 粒径50μm)
[実施例1]
まず成分(B−1)を200℃に過熱しながら開繊させ、次に成分(A−1−1)と(A−2−1)と(C−1)を80:20:1(重量比)の比率でブレンドした樹脂組成物を、押出機のホッパーに投入し、230℃にて溶融混錬した状態で、230℃に加熱された含浸ダイに押出すと同時に、前記の(B−1)を含浸ダイ中に連続して供給することにより、成分(A−1−1)と(A−2−1)と(C−1)からなる樹脂組成物を(B−1)に含浸させた。なお、押出機の吐出量と(B−1)の供給量を調整し(B−1)含有量が8wt%の連続繊維強化樹脂ストランドを得た。
その後、前記連続繊維強化樹脂組ストランドを100℃以下まで冷却・固化させ、カッターを用いて6.0mm長に切断して長繊維ペレットを得た。
次に得られた長繊維ペレットを、日本製鋼所(株)製J350EIII型射出成形機を用いて、射出成形機を用いて、シリンダー温度:220℃、金型温度:60℃で特性評価用試験片(成形品)を成形した。得られた試験片は、温度23℃、50%RHに調整された恒温恒湿室に24時間放置後に特性評価試験に供した。次に、得られた成形品を前記の評価方法に従い評価した。評価結果を、まとめて表1に示した。
本成形品の評価結果は表1に示す通り、絶縁性と電磁波シールド性に優れるものであった。
[実施例2〜12および比較例1]
押出機のホッパーに投入する成分(A−1−1)と(A−2−1)と(C−1)からなる樹脂組成物および、含浸ダイに供給する(B−1)を表1、表2に示す比率、成分とした以外は実施例1と同様に成形し、評価を行った。本成形品の評価結果を表1、表2に示す。
本実施例は比較例1に比べ絶縁性と電磁波シールド性に優れるものであった。
[比較例2]
(B−3)をカートリッジカッターにて1/4インチにカットした。次に日本製鋼所(株)TEX−30α型2軸押出機(スクリュー直径30mm、L/D=32)を使用し、成分(A−1−1)と(A−2−2)をメインホッパーから供給し、次いで、その下流のサイドホッパーから上記でカットした成分(B−3)と(C−1)を供給し、バレル温度220℃、回転数150rpmで十分混練し、さらに下流の真空ベントより脱気を行った。供給は、重量フィーダーにより表2に示す比率になるように調整した。溶融樹脂をダイス口(直径5mm)から吐出し、得られたストランドを冷却後、カッターで切断して短繊維ペレットを得た。
次に得られた短繊維ペレットを、実施例1と同様に成形し、評価を行った。本成形品の評価結果を表2に示す。
比較例2は電磁波シールド性に劣るものであった。
Figure 2012167250
Figure 2012167250
本発明の成形品は、絶縁性と電磁波シールド性を両立し、力学特性に優れた成形品を製造できる成形品であり、電気・電子機器、OA機器、家電機器または自動車の部品、内部部材および筐体などに好適に用いられる。
1.試験片
2.電極
3.電流計
4.電圧計

Claims (11)

  1. (A−1)変性ポリオレフィン系樹脂および(A−2)未変性ポリオレフィン系樹脂からなる(A)ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、
    (B)サイジング処理された炭素繊維5〜64重量部
    (C)絶縁性無機フィラー0.1〜18重量部
    を配合してなる樹脂組成物を成形した成形品であって、(B)サイジング処理された炭素繊維の重量平均繊維長が0.3〜10mmである成形品。
  2. 樹脂組成物が、(A)ポリオレフィン系樹脂100重量%として、(A−1)変性ポリオレフィン系樹脂が5重量%を超え99重量%以下、(A−2)未変性ポリオレフィン系樹脂が1重量%以上95重量%未満である請求項1に記載の成形品。
  3. (A−1)変性ポリオレフィン系樹脂がカルボキシル基および無水カルボン酸基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有することを特徴とする請求項1〜2いずれかに記載の成形品。
  4. (A−2)未変性ポリオレフィン系樹脂がホモポリプロピレンであることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の成形品。
  5. (C)絶縁性無機フィラーが、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、およびガラスフィラーから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の成形品。
  6. (C)絶縁性無機フィラーの平均粒子径が0.1〜200μmであることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の成形品。
  7. 成形品が電気部品収納容器であることを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載の成形品。
  8. 炭素繊維のO/Cが0.1〜0.3である請求項1〜7いずれかに記載の成形品。
  9. (C)絶縁性無機フィラーが、(C−1)平均粒子径が0.1〜20μmの絶縁性無機フィラーと(C−2)平均粒子径が20〜200μmの絶縁性無機フィラーからなり、(C−1)/(C−2)=1/9〜9/1の範囲である請求項1〜8いずれかに記載の成形品。
  10. (A−1)変性ポリオレフィン系樹脂および/または(A−2)未変性ポリオレフィン系樹脂がブロックポリプロピレンである請求項1〜9いずれかに記載の成形品。
  11. (B)炭素繊維の重量平均繊維長が0.8〜2.0mmである請求項1〜10いずれかに記載の成形品。
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