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JP2012127800A - 信号処理方式および装置 - Google Patents

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JP2012127800A JP2010279438A JP2010279438A JP2012127800A JP 2012127800 A JP2012127800 A JP 2012127800A JP 2010279438 A JP2010279438 A JP 2010279438A JP 2010279438 A JP2010279438 A JP 2010279438A JP 2012127800 A JP2012127800 A JP 2012127800A
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景義 片倉
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  • Measurement Of Velocity Or Position Using Acoustic Or Ultrasonic Waves (AREA)

Abstract

【課題】超音波信号による計測装置において、対象物の運動あるいは送受波器の位置変動等により、音波伝搬時間が時間的に変化する場合においても、不要成分の発生を抑圧する、あるいは、解像度の低下を防止する。
【解決手段】極性反転状況信号と呼ぶ、処理過程において不要成分の極性が交互に反転する状況を形成可能な信号を利用し、二項係数加重による3回以上の加算を行うことにより、ドップラー効果により発生する不要成分を抑圧する。
【選択図】図23

Description

本発明は、ドップラー耐性の高い信号処理方式および装置に関する。
相関処理による信号検出は、最適処理であることから最高の信号対雑音比を達成し、時間分解能も帯域幅の逆数により与えられ、多方面に利用される。これらについては、非特許文献1において詳しい解説がなされている。特に、時間差なしの状態以外において、自己相関関数が完全にゼロとなる性質は、符号に強く求められる特性である。
従来から、このような符号の例として、相補系列が広く知られ、信号の伝搬経路が一定している場合には、時間差なしの状態以外において自己相関関数が打ち消しあい、不要な自己相関関数成分は完全にゼロとなる特長を有している。これらについては、非特許文献2において詳しい解説がなされている。
また、同種の符号としてフランク符号も知られていて、非特許文献3、4において詳しい解説がなされている。
しかし、これらの系列あるいは信号は、対象物の運動あるいは送受波器の位置変動等による、音波の伝搬経路長の微小な変化により、不要な自己相関結果が強力に出現する短所を有する。
また、開口合成による撮像は一括口径による撮像に対して2倍の高解像を実現できる。このため、高解像度撮像の分野において、実用化が強く期待されている。これらについては、特許文献1,2,3,4および非特許文献5において詳しい解説がなされている。
しかし、複数回の送受信が必要となるため、その間の対象運動等による空間状況変化により、偽像が出現し、急速に解像度が低下する欠点を有している。
特公昭57−17392号公報 特公昭58−16673号公報 特公昭62−24092号公報 特公平2−43155号公報
海洋音響学会編 「海洋音響の基礎と応用」成山堂書店 2004年 M. J. E. Golay: "Complementary series", IRE Trans. Inform. Theory,IT-7, pp.82-87, April 1961 R. L. Frank: "Polyphase codes with good nonperiodic correlationproperties", IRE Trans. Inform. Theory, IT-9, pp.43-45, Jan. 1963 R. C. Heimiller: "Phase shift pulse codes with good periodiccorrelation properties", IRE Trans. Inform. Theory, IT-7, pp.254-257, Oct. 1961 片倉景義著 「等時収束撮像法とその構成」日本音響学会誌44巻2号, pp.96-101, 1988年
解決しようとする課題は、対象物の運動あるいは送受波器の位置変動等により、音波伝搬時間が時間的に変化する場合においても、不要な信号成分を抑圧、あるいは、解像度低下を防止する点にある。
本発明は、極性反転状況信号と呼ぶ、処理過程において不要成分の極性が交互に反転する状況を形成可能な信号を利用し、二項係数加重による3回以上の加算を行うことを、最も主要な特徴とする。
本発明は、極性反転状況信号と呼ぶ、処理過程において不要成分の極性が交互に反転する状況を形成可能な信号を利用し、二項係数加重を行い多数回の加算を行うことにより、音波伝搬時間が経時変化する場合においても、音波伝搬時間が変化しない状態と同等の性能を達成可能とする利点を有す。
本発明における相補系列を利用する構成の動作原理を示す説明図。(実施例1) 4次相補系列により変調された相補系列信号を示した説明図。 相関信号を示した説明図。 加算信号を示した説明図。 ドップラー効果による受信信号の出現時刻の差異を示した説明図。 加算信号の周辺部分に出現する残差不要成分を示した説明図。 隣接する相関信号における目的成分ベクトルを示した説明図。 隣接する相関信号における不要成分ベクトルを示した説明図。 N回の相関信号における不要成分ベクトルを示した説明図。 加算回数3回の二項係数加重加算における不要成分加算状況を示した説明図。 N回の相関信号における目的成分ベクトルを示した説明図。 相補系列相関処理の加算なし構成に関する数値計算結果を示した説明図。 相補系列相関処理の2次加算構成に関する数値計算結果を示した説明図。 相補系列相関処理の3次加算構成に関する数値計算結果を示した説明図。 相補系列相関処理の4次加算構成に関する数値計算結果を示した説明図。 相補系列相関処理の5次加算構成に関する数値計算結果を示した説明図。 相補系列相関処理の6次加算構成に関する数値計算結果を示した説明図。 相補系列相関処理の7次加算構成に関する数値計算結果を示した説明図。 開口合成の基本動作を示す従来例の説明図。 受信信号を楕円上に加算配置する物体撮像方法の構成を示した説明図。 同時送波開口合成法の動作を示した説明図。 同時送波開口合成法における像再生法の構成を示した説明図。 極性反転系列同時送波開口合成法の基本構成を示した説明図。(実施例2) 極性反転系列同時送波開口合成法における像再生法の構成を示した説明図。 隣接する加算信号における目的成分ベクトルを示した説明図。 隣接する加算信号における不要成分ベクトルを示した説明図。 基本構成開口合成法の数値計算結果二次元像を示した説明図。 基本構成開口合成法の数値計算結果二次元像を示した説明図。 基本構成開口合成法の数値計算結果振幅分布投影値を示した説明図。 同時送波開口合成法の数値計算結果二次元像を示した説明図。 同時送波開口合成法の数値計算結果二次元像を示した説明図。 同時送波開口合成法の数値計算結果振幅分布投影値を示した説明図。 極性反転系列同時送波開口合成法の数値計算結果二次元像説明図。 極性反転系列同時送波開口合成法の数値計算結果二次元像説明図。 極性反転系列同時送波開口合成法の数値計算結果振幅分布説明図。 N回の加算信号における不要成分ベクトルを示した説明図。 加算回数3回の二項係数加重加算における不要成分加算状況を示した説明図。 N回の加算信号における目的成分ベクトルを示した説明図。 同時送波開口合成法による数値計算結果を示した説明図。 2次等加重加算極性反転系列同時送波開口合成法による数値計算結果の説明図。 3次二項係数加重加算極性反転系列同時送波開口合成法の数値計算結果説明図。 4次二項係数加重加算極性反転系列同時送波開口合成法の数値計算結果説明図。 5次二項係数加重加算極性反転系列同時送波開口合成法の数値計算結果説明図。 同時送波開口合成法による二次元像の説明図。 5次二項係数加重加算極性反転系列同時送波開口合成法による二次元像の説明図。 二項係数加重加算による運動計測の説明図。(実施例4)
信号を複数回送信し、該信号による受信信号を得る構成において、該受信信号が、目的成分位相に対し不要成分位相が交互に反転する状態を形成可能とする構成とし、3回以上の受信信号を、二項係数により加重し加算する構成とすることを特徴とする信号処理形態。
図1は、本発明における極性反転状況信号として、相補系列を利用する構成に関する1実施例である。ここでは、構成例として、+1,+1,+1,-1と+1,+1,-1,+1との組み合わせよりなる、4次相補系列を対象として処理内容を説明する。
図1の位置Tに存在する送波器1から、送信信号Snを送信する。この送信信号Snは、図2に示す、4次相補系列により変調された相補系列信号SA、SBを、交互に使用する。位置Rに存在する受波器2により、対象位置Qからの信号Rnを受信する。この受信信号Rnと、当該時刻の送信に使用した相補系列信号よりなる参照信号Knとの相関処理を行い、相関信号Cnを得る。
相関信号Cnの極性と振幅は、送信相補系列信号SA、SBの極性に対応し、それぞれ、図3に示すように、LA:-1,0,+1,+4,+1,0,-1、あるいは、LB:+1,0,-1,+4,-1,0,+1となる。このように、相関信号Cnの中央に出力される目的成分は、相補系列信号の性質から、送信時刻に関係なく同位相の+4となる。一方、周辺に出力される不要成分は、送信時刻に対応し、交互に逆位相となる。このため、隣接する相関信号の和である、加算信号Dn(=Cn+Cn-1)は、図4に示すように、中央の目的成分は加算により常に増大し、周辺の不要成分は常に消滅する。
しかし、対象位置Qが変化する場合には、ドップラー効果の影響により、異なる状況を示す。ドップラー効果は時間軸の変化であり、受信波形の伸縮と受信時刻の変化となる。ドップラー効果による時間軸の変化率をDとすると、時間変数tをDtと置き換えることにより表される。ここで、パルス反射法とすると、対象の離隔速度をv、波動の伝搬速度をcとすると、時間軸の変化率Dは、速度の比v/cにより定まり、|v|<<cとして次式となる。
(数1)
D=(c-v)/(c+v)={1-(v/c)}/{1+(v/c)}≒1-2v/c
ここで、電波あるいは光波の伝搬速度に対して音波の伝搬速度は10万分の1であり、大幅に遅いことから、音波の分野において対象の運動速度の影響が特に顕著となる。
この時間軸の圧伸による、受信信号出現時刻の変化を図5に示。対象位置が変動する場合には、このような受信信号出現時刻の変動により、受信信号Rnの位相が変動し、相関信号Cnにおける不要成分間の逆位相関係が保持されなくなり、図6に示すように、加算信号Dnの周辺部分に、相殺されない不要成分が出現する。
この、ドップラー効果による位相変動量θは、ドップラー効果による時間軸の変化率をDとすると、伝搬時間の変化量ΔはΔ=(1-D)tであり、信号の角周波数をωとすることにより、θ=ωΔとなる。
この位相変動量θと、加算信号Dnにおける目的成分強度との関係を以下に示す。隣接する相関信号Cn,Cn-1における目的成分をそれぞれベクトルA,Bとすると、これらは、同位相からのドップラー効果による位相変化θであり、図7に示す位相関係になる。従って、加算信号Dnにおける目的成分振幅は、ベクトル和A+Bであり、位相変動量θが小さい場合には、一回の相関出力における目的成分振幅をS0として次式となる。
(数2)
|A+B|=S0|1+e|=2S0cos(θ/2)≒2S0
一方、隣接する相関信号Cn,Cn-1における不要成分をそれぞれベクトルA’,B’とすると、これらは、逆位相からのドップラー効果による位相変化であり、図8に示す位相関係になる。従って、加算信号Dnの不要成分振幅は、ベクトル和A’+B’であり、位相変動量θが小さい場合には、一回の相関出力における不要成分振幅をN0とし、次式となる。
(数3)
|A’+B’|=N0|1-e|=2N0sin(θ/2)≒N0θ
以上から、不要成分抑圧度は、目的成分振幅/不要成分振幅により与えられ、次式となる。
(数4)
|A+B|/|A’+B’|=(S0/N0)/tan(θ/2)≒(S0/N0)2/θ
従って、仮に、ドップラー効果による位相変化量θを0.1ラジアンとすると、相補系列相関値の加算結果Dnにおける不要成分抑圧度は、一回の相関出力における不要成分抑圧度に対して20倍(26dB)程度の向上となる。高諧調性撮像等の分野において、この改善効果は不十分な性能である。
そこで、本発明においては、相補系列信号の相関信号Cnを多数回取得し、これらを加重して加算することにより不要成分を抑圧する。この構成においては、図1における加算信号Dnを、加算回数をN回とし、Wnを加算における重み係数として、隣接するN個の相関信号Cnにより次式とする。
(数5)
Dn=W1Cn-N+1+W2Cn-N+2+W3Cn-N+3+W4Cn-N+4+-----+WNCn
これらN個の相関信号Cnにおける不要成分ベクトルは、位相が交互に反転しているため、ドップラー効果による位相変動量をθとし、一個の相関出力における不要成分振幅をN0とすると、それぞれ図9に示すN0,-N0e,+N0ej2θ,-N0ej3θ,-----N0ej(N-1)θとなる。
このような、N個の相関信号Cnを、Wnなる加重係数により加算する構成における、不要成分強度Eは、加重加算結果として次式となる。
(数6)
E=N0{W1-W2e+W3ej2θ-W4ej4θ+-----WNej(N-1)θ}
ここで、仮に加重係数Wを二項係数とすると、二項係数加重加算による不要成分強度EBは、、二項係数の性質から次式となる。
(数7)
EB=N0{W1-W2e+W3ej2θ-W4ej4θ+-----WNej(N-1)θ}=N0(1-e)N-1
ここで、ドップラー効果による位相変化量を小さいとし、θ<<1とすると次式となる。
(数8)
EB=N0{W1-W2e+W3ej2θ-W4ej4θ+-----WNej(N-1)θ}
=N0(1-e)N-1=N0e{2sin(θ/2)}N-1
=N0e2N-1{(θ/2)-(θ/2)3/3!+(θ/2)5/5!---}N-1
=N0eN-1-(1/2)N-1(θ/2)3(N-1)/3!+(1/2)N-1(θ/2)5(N-1)/5!---}
≒N0eθN-1
従って、二項係数加重加算によるN回加算結果の不要成分強度EBの振幅|EB|は次式となり、θ<<1なる条件下においては、θのN-1乗により大幅に抑圧される。
(数9)
|EB|≒N0θN-1
一例として、加算回数を3回とすると、二項係数W1,W2,W3はそれぞれ1,2,1であり、二項係数加重における不要成分の加算状況は図10となり、点線の合成ベクトルはほぼ相殺される。
一方、N回の相関信号Cnにおける目的成分は、全て同相であることから、ドップラー効果による位相変動量をθとし、一回の相関出力における目的成分振幅をS0とすると、図11に示すようにそれぞれS0,S0e,S0ej2θ,S0ej3θ,---S0ej(N-1)θとなる。
これら全てのCnにおける目的成分を、Wnの加重係数にて加算すると、加算結果Dnにおける目的成分強度Vは次式となる。
(数10)
V=S0{W0+W1e+W2ej2θ+W3ej3θ+-----+WNej(N-1)θ}
ここで、同様に、加重係数Wを二項係数とすると、二項係数加重加算による目的成分強度VBは、二項係数の性質から次式となる。
(数11)
VB=S0{W0+W1e+W2ej2θ+W3ej3θ+-----+WNej(N-1)θ}=S0(1+e)N-1
ここで、ドップラー効果による位相変化量を小さいとし、θ<<1とすると、VBは次式となる。
(数12)
VB=S0{W0+W1e+W2ej2θ+W3ej3θ+-----+WNej(N-1)θ}=S0(1+e)N-1
=S0e{2cos(θ/2)}N-1=S0e2N-1{1-(θ/2)2/2!+(θ/2)4/4!---}N-1
≒S0e2N-1{1-(θ/2)2/2!}N-1≒S0e2N-1{1-(N-1)(θ/2)2/2!}
=S0e2N-1{1-θ2(N-1)/8}
≒S0e2N-1
従って、二項係数加重加算によるN回加算結果Dnにおける目的成分振幅|VB|は次式となり、加算回数Nと共に増大する。
(数13)
|VB|≒S02N-1{1-θ2(N-1)/8}≒S02N-1
以上から、二項係数加算出力Dnにおける不要成分抑圧度αは次式となる。
(数14)
α=|VB/EB|≒(S0/N0)2N-1{1-θ2(N-1)/8}/θN-1
=(N0/S0)(2/θ)N-1{1-θ2(N-1)/8}
この関係から、二項係数加算による不要成分抑圧度における、一回の相関出力からの改善度α’は次式となり、θ<<1なる条件下においては、θのN-1乗により大幅に改善される。
(数15)
α’=α/(S0/N0)=(2/θ)N-1{1-θ2(N-1)/8}
加算回数Nに対応し、二項係数による加重係数Wnを例示すると、以下となる。
N=3:W1=1,W2=2,W3=1
N=4:W1=1,W2=3,W3=3,W4=1
N=5:W1=1,W2=4,W3=5,W4=4,W5=1
N=6:W1=1,W2=5,W3=10,W4=10,W5=5,W6=1
N=7:W1=1,W2=6,W3=15,W4=20,W5=15,W6=6,W7=1
相補系列信号の相関信号を多数回取得し、これらを加重して加算することにより不要成分を抑圧する方式の動作を、数値計算により確認する。ここで、数値計算の条件を以下とする。
(1)ドップラー効果による時間軸の変化率D:1.000001
(2)相補系列の次数:20
(3)送信繰り返し周期:1s
(4)送信波形要素の時間長:0.1 ms
(5)送信波形要素内の搬送波:8周期(搬送波周波数80kHzに相当)
(6)送信波形要素包絡線の形状:ハニング
この設定状況は、パルス反射法において、対象を水中物体とし、離隔速度をv、音速をcとすると、D=(c-v)/(c+v)≒1-2v/cから、v≒-0.0000005 c となり、約0.75 mm/sの速度にて接近してくる反射体に対応する。また、ドップラー効果による位相差θは、伝搬時間の変化量変化量はΔ=(1-D)t=0.000001x1.0=10-6であり、搬送波角周波数はω=2πx 8x104≒5x105であることから、θ=ωΔ≒0.5(rad)となり、約30°の位相差である。
相補系列相関処理の加算なし構成である、片側に関する相関出力の数値計算結果を、図12に示す。−15dB程度の不要成分抑圧度である。
相補系列相関処理の基本構成である、2次加算における相関出力の数値計算結果を図13に示す。−30dB程度の不要成分抑圧度である。
相補系列相関信号多数回加重加算の構成における基本構成である、3次加算における相関出力の数値計算結果を図14に示す。−40dB程度の不要成分抑圧度である。
相補系列相関信号多数回加重加算の構成における、4次加算における相関出力の数値計算結果を図15に示す。4次加算において−55dB程度の不要成分抑圧度である。
相補系列相関信号多数回加重加算の構成における、5、6次加算における相関出力の数値計算結果を図16、図17に示す。5次加算において−65dB、6次加算において−70dB程度の不要成分抑圧度である。
相補系列相関信号多数回加重加算の構成における、7次加算における相関出力の数値計算結果を図18に示す。7次加算において−80dB程度の不要成分抑圧度であり、大幅な抑圧効果を示している。
数値計算による7次加算における不要成分抑圧度は、加算無しの状態における不要成分抑圧度15dBを除去すると、65dBである。一方、解析による抑圧効果はα’=(2/θ)N-1{1-θ2(N-1)/8}から、68dBと計算され、両者は良く一致する。
本実施例により、極性反転状況信号として極性反転系列を使用する構成につき、その動作を詳細に説明する。本実施例に使用する極性反転系列は、一方が常に正位相である系列(+1,+1,+1,+1,+1,+1,---)と、他方が正負交互に反転する系列(+1,-1,+1,-1,+1,-1,---)とによる一対の系列である。この系列は、目的成分である、自分自身との乗算結果は常に正位相の系列(+1,+1,+1,+1,+1,+1,---)となる。一方、不要成分である、他方との乗算結果は位相が正負交互に反転する系列(+1,-1,+1,-1,+1,-1,---)となる。
図19に、従来例として、開口合成の基本構成を示す。この構成においては、異なる位置A,Bに存在する送受波器3,4から、時分割にて信号SA,SBを送波する。通常は同一波形を使用し、SA=SBである。
配列送受波器5上における、位置Rに存在する受波素子6にり受信信号Rnを得る。Rn中における受信信号RA,RBを、図20に示す、それぞれの送受信点A-R,B-Rを2個の焦点とする楕円状に配置する。各送受信の組み合わせに対し、受信信号を楕円上に加算配置することにより、物体位置Qにおける加算最終振幅が成長し、物体位置の状況が撮像される。
しかし、このような時分割送波によると、二回の送信時刻に時間差Tが生じることから、その間の対象移動により受信信号Rnの位相に変化が生じる。この運動による位相差が90°となると、加算効果が無くなり、主ビームの解像度が半減する。
そこで、図21に示すように、複数位置A,Bの送受波器3,4から信号SA,SBを同時に送信し、送信時刻を同一とする同時送波開口合成法により、主ビーム解像度の低下を避けることができる。しかし、このように同時送波を行うと、受信信号Rnに、複数位置A,Bの送受波器3,4からの信号RA,RBが同時に受信されるため、この受信信号を楕円上に加算配置すると、図22に示すように、A-Rを2個の焦点とする楕円状に不要成分信号RBを配置することによる偽像Q’と、B-Rを2個の焦点とする楕円状に不要成分信号RAを配置することによる偽像Q”とが、物体位置Q以外の位置に出現する。ここで、SA=SBとした場合の物体位置Qにおける加算最終振幅をS0、偽像Q’、Q”の位置における加算最終振幅をN0とする。
本発明においては、このような偽像の発生を防止するために、同時送波開口合成法に極性反転系列を利用する。このような、極性反転系列による同時送波開口合成法の基本構成を、図23に示す。図23の位置Aに存在する送受波器3から信号SAを同一極性にて順次送信し、位置Bの送受波器4から信号SBを交互に極性を反転させて順次送信する。
配列上における任意の位置Rに存在する受波素子6により、位置Qの物体からの受信信号Rnを得る。この受信信号Rnと、送信信号SAの極性である極性信号PAnとの乗算、および、送信信号SBの極性である極性信号PBnとの乗算を行い、それぞれ乗算信号RPAn、RPBnとする。
これら乗算信号RPAn、RPBnの、隣り合う成分を加算することにより、加算信号RAn=RPAn+RPAn+1および、加算信号RBn=RPBn+RPBn+1とする。これら、加算信号RAnおよびRBnは、それぞれ単独の信号RAおよびRBのみとなり、複数位置A,Bの送受波器3,4から送信した信号SA,SBによる受信信号RA,RBが、それぞれ独立に受信される。
従って、この加算信号RAnおよびRBnを、図24に示すように、それぞれの送受信点A-R,B-Rを、2個の焦点とする楕円状に配置することにより、物体位置Qのみの偽像の無い撮像となる。
しかし、対象位置が変動する場合には、ドップラー効果の影響により、極性反転系列による同時送波開口合成法においても、偽像が発生する。ここで、ドップラー効果は、前記の通り、時間軸の変化であり、受信信号Rnに順次θの位相変動を生じる。
乗算信号RPAnおよびRPBnにより形成されたQ点の目的成分ベクトルをAとし、隣接する送波による乗算信号RPAn+1およびRPBn+1により形成されたQ点の目的成分ベクトルをBとすると、これらは目的成分であることから基本的には同位相であり、図25に示すように、ドップラー効果による微小な位相差θを示す。極性反転系列による同時送波開口合成法の目的成分振幅は、ベクトル和A+Bにより与えられ、位相差θが小さい場合には次式となる。ここで、目的成分ベクトルA,Bの振幅S0は、同時送波開口合成法における一回の受信出力における目的成分振幅(図22におけるQ点の加算最終振幅)である。
(数16)
|A+B|=S0|1+e|=2S0cos(θ/2)≒2S0
一方、乗算信号RPAnおよびRPBnにより形成されたQ’あるいはQ”点の不要成分ベクトルをA’とし、隣接する送波による乗算信号RPAn+1およびRPBn+1により形成されたQ’あるいはQ”点の不要成分ベクトルをB’とすると、これらは不要成分であることから基本的には逆位相であり、図26に示すように、逆位相からのドップラー効果による位相差θを示す。極性反転系列による同時送波開口合成法の不要成分振幅は、ベクトル和A’+B’により与えられ、位相差θが小さい場合には、次式となる。ここで、目的成分ベクトルA’,B’の振幅N0は、同時送波開口合成法における一回の受信出力における不要成分振幅(図22におけるQ’あるいはQ”点の加算最終振幅)である。
(数17)
|A’+B’|=N0|1-e|=2N0sin(θ/2)≒N0θ
この結果から、極性反転系列を用いる同時送波開口合成法により得られる不要成分抑圧度(目的成分振幅/不要成分振幅)は概略 (S0/N0)2/θとなる。仮に、ドップラー効果による位相変化量θを0.1ラジアンとすると、両加算信号の和における不要成分抑圧度は、同時送波開口合成法における一回の受信出力における不要成分抑圧度に対して20(26dB)程度の向上となる。高諧調性撮像等の分野においては、不要成分の抑圧が不十分となる。
以上述べた、基本構成開口合成法、同時送波開口合成法と、極性反転系列同時送波開口合成法の動作を数値計算結果により確認する。計算においては、ドップラー効果の程度を、送波パルス間隔につき対象位置が1/8波長(後方反射における位相回転量θ=90°に相当)移動する運動速度とした。
基本構成開口合成法の動作を図27に示す。図27−1が二次元再生像であり、図27−2が振幅分布の投影値である。それぞれ、(a)が静止状態の結果であり、(b)が運動状態の結果である。このように、ドップラー効果により主ビームが広くなり、主ビームの分解能が低下する。
同時送波開口合成法の動作を図28に示す。図28−1が二次元再生像であり、図28−2が振幅分布の投影値である。それぞれ、(a)が静止状態の結果であり、(b)が運動状態の結果である。このように、ドップラー効果の有無に関係なく、Q点の前後に偽像が出現し、3点と表示される。
極性反転系列同時送波開口合成法の動作を図29に示す。図29−1が二次元再生像であり、図29−2が振幅分布の投影値である。それぞれ、(a)が静止状態の結果であり、(b)が運動状態の結果である。このように、(a)の静止状態においては正常動作である。しかし、(b)においては、ドップラー効果の影響により偽像が出現し、極性反転系列同時送波開口合成法においても3点と表示される。
そこで、本発明においては、極性反転系列同時送波開口合成法において、多数回の加重加算を行うことにより、ドップラー効果により発生する不要成分を抑圧する。
極性反転系列同時送波開口合成法においては、乗算信号RPAnおよびRPBnにより形成されるQ’あるいはQ”点の不要成分ベクトルは、交互に位相が反転しているため、ドップラー効果による位相差をθとして、図30に示すように、それぞれN0,-N0e,+N0ej2θ,-N0ej3θ,---N0ej(N-1)θとなる。ここで、N0は、同時送波開口合成法による一回の受信出力における不要成分振幅である。
加算回数をN回とする極性反転系列同時送波開口合成法において、図23における加算信号RAnおよび、RBnを、隣接するN個の乗算信号RPAnおよびRPBnによりそれぞれ次式とする。ここで、Wnが加算における重み係数である。
(数18)
RAn=W1RPAn-N+1+W2RPAn-N+2+W3RPAn-N+3+W4RPAn-N+4+-----+WNRPAn
RBn=W1RPBn-N+1+W2RPBn-N+2+W3RPBn-N+3+W4RPBn-N+4+-----+WNRPBn
このような、加重係数Wnによる加重加算構成とすると、Q’あるいはQ”点における不要成分強度Eは、各送波による不要成分ベクトルの加重係数Wnによる加重加算として与えられ、次式となる。
(数19)
E=N0{W1-W2e+W3ej2θ-W4ej4θ+-----WNej(N-1)θ}
ここで、仮に加重係数Wを二項係数とすると、二項係数加重加算による不要成分EBは、二項係数の性質から次式となる。
(数20)
EB=N0{W1-W2e+W3ej2θ-W4ej4θ+-----WNej(N-1)θ}=N0(1-e)N-1
ここで、ドップラー効果による位相変化量を小さいとし、θ<<1とするとEBは次式となる。
(数21)
EB=N0{W1-W2e+W3ej2θ-W4ej4θ+-----WNej(N-1)θ}=N0(1-e)N-1
=N0e{2sin(θ/2)}N-1
=N0e2N-1{(θ/2)-(θ/2)3/3!+(θ/2)5/5!---}N-1
=N0eN-1-(1/2)N-1(θ/2)3(N-1)/3!+(1/2)N-1(θ/2)5(N-1)/5!---}
≒N0eθN-1
従って、絶対値振幅はN0θN-1となる。以上から、二項係数加重加算によるN回加算結果の不要成分強度|EB|は次式となり、θ<<1なる条件下においては、θのN-1乗により大幅に抑圧される。
(数22)
|EB|≒N0θN-1
3回の信号加算を例とすると、二項係数W1,W2,W3は1,2,1であることから、二項係数加重加算における、不要成分の加算状況は図31となり、点線の合成ベクトルはほぼ相殺される。
一方、乗算信号RPAnおよびRPBnにより形成されたQ点の目的成分ベクトルは、全て同相であることから、ドップラー効果による位相差をθとして、図32に示すようにそれぞれS0,S0e,S0ej2θ,S0ej3θ,----S0ej(N-1)θとなる。ここで、S0は同様に、同時送波開口合成法による一回の受信出力における目的成分振幅である。
これら全ての目的成分を、Wnの加重係数にて加算すると、Q点における目的成分強度Vは、各送波による目的成分ベクトルの加重係数Wnによる加重加算として与えられ、次式となる。
(数23)
V=S0{W0+W1e+W2ej2θ+W3ej3θ+-----+WNej(N-1)θ}
ここで、加重係数Wを二項係数とすると、二項係数加重加算による目的成分強度VBは、二項係数の性質から次式となる。
(数24)
VB=S0{W0+W1e+W2ej2θ+W3ej3θ+-----+WNej(N-1)θ}=S0(1+e)N-1
ここで、ドップラー効果による位相変化量を小さいとし、θ<<1とすると、VBは次式となる。
(数25)
VB=S0{W0+W1e+W2ej2θ+W3ej3θ+-----+WNej(N-1)θ}=S0(1+e)N-1
=S0e{2cos(θ/2)}N-1=S0e2N-1{1-(θ/2)2/2!+(θ/2)4/4!---}N-1
≒S0e2N-1{1-(θ/2)2/2!}N-1≒S0e2N-1{1-(N-1)(θ/2)2/2!}
=S0e2N-1{1-θ2(N-1)/8}
≒S0e2N-1
従って、二項係数加重によるN回加算結果の目的成分強度|VB|は次式となり、加算回数Nと共に増大する。
(数26)
|VB|≒S02N-1{1-θ2(N-1)/8}≒S02N-1
以上から、二項係数加算出力における不要成分抑圧度αは次式となる。
(数27)
α=VB/EB≒(S0/N0)2N-1{1-θ2(N-1)/8}/θN-1=(N0/S0)(2/θ)N-1{1-θ2(N-1)/8}
この関係から、二項係数加算による不要成分抑圧度における、同時送波開口合成法からの改善度α’は次式となり、θ<<1なる条件下においては、θのN-1乗により大幅に改善される。
(数28)
α’=α/(S0/N0)=(2/θ)N-1{1-θ2(N-1)/8}
加重係数を例示すると、この実施例においても同様に、各加算回数に対応して以下となる。
N=3:W1=1,W2=2,W3=1
N=4:W1=1,W2=3,W3=3,W4=1
N=5:W1=1,W2=4,W3=5,W4=4,W5=1
N=6:W1=1,W2=5,W3=10,W4=10,W5=5,W6=1
N=7:W1=1,W2=6,W3=15,W4=20,W5=15,W6=6,W7=1
数値計算により動作を確認する。数値計算の条件を以下とする。また、短パルスであることから、ドップラー効果を位置変動として取り扱う。
(1)ドップラー効果:送波パルス間隔につき1/24波長(後方反射における位相回転量θ=30°)
(2)開口幅:32mm
(3)素子総数:32
(4)表示中心位置:X=16;Y=50mm
(5)表示幅:X=16;Y=16mm
(6)要素包絡線形状:ハニング
(7)信号長:2mm
(8)波長:0.5mm
同一極性同時一回送波による構成である、同時送波開口合成法による数値計算結果を図33に示す。−6dB程度の不要成分抑圧度である。
極性反転系列同時送波開口合成法の基本構成である、2次等加重加算極性反転系列同時送波開口合成法による数値計算結果を図34に示す。−18dB程度の不要成分抑圧度である。
二項係数加重加算極性反転系列同時送波開口合成法の最小構成である、3次二項係数加重加算極性反転系列同時送波開口合成法による数値計算結果を図35に示す。−30dB程度の不要成分抑圧度である。
4次二項係数加重加算極性反転系列同時送波開口合成法による数値計算結果を図36に示す。−40dB程度の不要成分抑圧度である。
5次二項係数加重加算極性反転系列同時送波開口合成法による数値計算結果を図37に示す。−50dB程度の不要成分抑圧度である。
同時送波開口合成法による撮像結果の二次元像を図38、二項係数加重加算5次加算極性反転系列同時送波開口合成法による撮像結果の二次元像を図39に示す。このように、二項係数加重加算5次加算極性反転系列同時送波開口合成法は、偽像を視認できない程度に抑圧している。
解析によると、同時送波開口合成法における不要成分抑圧度からの改善度α’=(2/θ)N-1 {1-θ2(N-1)/8}は、位相誤差θ≒0.5(rad)であることから、5次加算において約12x4−1=53dBとなる。一方、5次加算における、数値計算による不要成分抑圧度は約−50dB
となり、両者は良く一致している。
この実施例においては、本発明における極性反転状況信号として、フランク符号(別名ポリフェーズ符号)を使用する。このフランク符号は、基本位相角を2π/Nとする系であり、次数をNとすると次式により定義される。
(数29)
ej0(2π/N),ej0(2π/N),ej0(2π/N),ej0(2π/N),------,ej0(N-1)(2π/N)
ej0(2π/N),ej1(2π/N),ej2(2π/N),ej3(2π/N),------,ej1(N-1)(2π/N)
ej0(2π/N),ej2(2π/N),ej4(2π/N),ej6(2π/N),------,ej2(N-1)(2π/N)
ej0(2π/N),ej3(2π/N),ej6(2π/N),ej9(2π/N),------,ej3(N-1)(2π/N)
-------------------------------------
ej0(2π/N),-----------------------------,ej(N-1)(N-1)(2π/N)
この実施例においては、最も基本的なフランク符号である、N=2の符号を使用する。この符号は、基準の位相回転量がπであり、次式となる。
(数30)
1 1
1 -1
このフランク符号全体である、+1,+1,+1,-1を基本周期と呼ぶことにすると、本実施例における極性反転状況信号は、この基本周期を繰り返すことにより形成する符号FAと、この基本周期を半周期ずらして繰り返す符号FBとによる一対の系列である。これらは次式となる。
(数31)
FA:+1,+1,+1,-1,+1,+1,+1,-1,---
FB:+1,-1,+1,+1,+1,-1,+1,+1,---
これらの符号FA、FBは、基本周期+1,+1,+1,-1の繰り返し符号であるKAとの乗算を行うことにより、FAxKAは常に正位相の信号となり、FBxKAは位相が正負交互に反転する信号となる。これらは次式となる。
(数32)
KA:+1,+1,+1,-1,+1,+1,+1,-1,---
FAxKA:+1,+1,+1,+1,+1,+1,+1,+1,---
FBxKA:+1,-1,+1,-1,+1,-1,+1,-1,---
一方、これらの符号FA、FBは、半周期ずらした基本周期+1,-1,+1,+1の繰り返し符号であるKBとの乗算を行うことにより、逆に、FAxKBは位相が正負交互に反転する信号となり、FBxKBが常に正位相の信号となる。これらは次式となる。
(数33)
KB:+1,-1,+1,+1,+1,-1,+1,+1,---
FAxKB:+1,-1,+1,-1,+1,-1,+1,-1,---
FBxKB:+1,+1,+1,+1,+1,+1,+1,+1,---
従って、フランク符号が繰り返す符号と、半周期ずれたフランク符号が繰り返す符号とは、極性反転状況信号を構成する。従って、このようなフランク符号系列により、二項係数加重加算極性反転系列同時送波開口合成法を構成することにより、対象運動による悪影響を抑圧可能となる。
本実施例は、本発明における極性反転状況信号と二項係数加重加算により、対象の運動速度を計測する構成であり。図40によりその動作を詳細に説明する。
本実施例においては先ず、極性反転状況信号による受信信号を得る。ここでは、一例として、実施例1における相関信号Cnを受信信号とする。この相関信号Cnを、二項係数加重加算器7により二項係数加重加算し、加算信号Dnとする。ここでは、加算回数をN回とし、加重係数Wを二項係数とすることにより、加算信号Dnは次式となる。
(数34)
Dn=W1Cn-N+1+W2Cn-N+2+W3Cn-N+3+W4Cn-N+4+-----+WNCn
この加算信号Dnは、二項係数加重加算の結果により不要成分の影響を受けない目的成分のみであり、ドップラー効果の影響により順次位相がθだけ回転している。ここで、対象の運動速度をv、送信信号の中心周波数をω、送信時間間隔をt、音速をcとすると、θ=ωΔ、Δ=(1-D)t、 D≒1-2v/cから、θ=2ωt(v/c)である。
この加算信号における隣接する値DnとDn+1を偏角演算器8に入力し、位相差信号θとする。ここで、偏角演算器の演算内容Argは、複素協約関係を*により表示して、次式により与えられる。
(数35)
Arg(DnDn+1 *)=Arg(|DnDn+1|e)=θ
偏角演算器の出力である位相差信号θを、速度演算器9に入力し、対象の運動速度をvとする。ここで、θ=2ωt(v/c)の関係から、速度演算器の演算内容は次式となる。
(数36)
v=θc/(2ωt)
以上により、不要成分の影響を受けることなく、対象の運動速度vを計測可能となる。
本発明によると、音波伝搬時間が経時変化する状況においても、相関計測あるいは、開口合成撮像における最高性能を保持可能となる。また、対象の運動状況も、高精度にて計測可能となる。
1 送波器
2 受波器
3 送受波器
4 送受波器
5 配列送受波器
6 受波素子
7 二項係数加重加算器
8 偏角演算器
9 速度演算器
この時間軸の圧伸による、受信信号出現時刻の変化を図5に示。対象位置が変動する場合には、このような受信信号出現時刻の変動により、受信信号Rnの位相が変動し、相関信号Cnにおける不要成分間の逆位相関係が保持されなくなり、図6に示すように、加算信号Dnの周辺部分に、相殺されない不要成分が出現する。
解析によると、同時送波開口合成法における不要成分抑圧度からの改善度α’=(2/θ)N-1 {1-θ2(N-1)/8}は、位相誤差θ≒0.5(rad)であることから、5次加算において約12x4−1=47dBとなる。一方、5次加算における、数値計算による不要成分抑圧度は約50−6=44dB
となり、両者は良く一致している。
(数8)
EB=N0{W1-W2e+W3ej2θ-W4ej4θ+-----WNej(N-1)θ}
=N0(1-e)N-1=N0e{2sin(θ/2)}N-1
=N0e2N-1{(θ/2)-(θ/2)3/3!+(θ/2)5/5!---}N-1
≒N 0 e 2 N-1 {(θ/2)-(θ/2) 3 /3!} N-1
≒N 0 e θ N-1 {1-(N-1)(θ/2) 2 /3!}
≒N0eθN-1
(数21)
EB=N0{W1-W2e+W3ej2θ-W4ej4θ+-----WNej(N-1)θ}=N0(1-e)N-1
=N0e{2sin(θ/2)}N-1
=N0e2N-1{(θ/2)-(θ/2)3/3!+(θ/2)5/5!---}N-1
≒N 0 e 2 N-1 {(θ/2)-(θ/2) 3 /3!} N-1
≒N 0 e θ N-1 {1-(N-1)(θ/2) 2 /3!}
≒N0eθN-1
ここで、仮に加重係数Wを二項係数とすると、二項係数加重加算による不要成分強度EB二項係数の性質から次式となる。この二項係数加重加算処理は、良く知られた二項係数低域濾波器の実現である。
ここで、仮に加重係数Wを二項係数とすると、二項係数加重加算による不要成分EBは、二項係数の性質から次式となる。この二項係数加重加算処理は、良く知られた二項係数低域濾波器の実現である。
本発明は、極性反転状況信号と呼ぶ、受信信号の処理過程において、目的成分の位相はほぼ一定となるのに対し、不要成分の位相特定位相角にて順次回転し、これら目的成分と不要成分の位相に外乱による変動成分が重畳する状況を形成可能な信号を利用し、該信号の送信により受信信号を得る。同時に、該処理過程において、二項係数に代表される加重による3回以上の多数回加算を行うことを、最も主要な特徴とする。
本発明は、極性反転状況信号と呼ぶ信号を利用し、受信信号の処理過程において、加重を行い多数回の加算を行うことにより、音波伝搬時間が経時変化する場合においても、音波伝搬時間が変化しない状態と同等の性能を達成可能とする利点を有す。
極性反転状況信号を複数回送信し、該信号による受信信号を得る構成において、3回以上の受信信号を得る構成とし処理過程において二項係数等の重みにより加重し加算する構成とすることを特徴とする信号処理形態。
これらN個の相関信号Cnにおける不要成分ベクトルは、位相が順次πだけ回転しているため、ドップラー効果による位相変動量をθとし、一個の相関出力における不要成分振幅をN0とすると、それぞれ図9に示すN0,-N0e,+N0ej2θ,-N0ej3θ,-----N0ej(N-1)θとなる。
本実施例により、極性反転状況信号として極性反転系列を使用する構成につき、その動作を詳細に説明する。本実施例に使用する極性反転系列は、一方が常に正位相である系列(+1,+1,+1,+1,+1,+1,---)と、他方が順次πだけ位相回転する系列(+1,-1,+1,-1,+1,-1,---)とによる一対の系列である。この系列は、目的成分である、自分自身との乗算結果は常に正位相の系列(+1,+1,+1,+1,+1,+1,---)となる。一方、不要成分である、他方との乗算結果は位相が順次πだけ回転する系列(+1,-1,+1,-1,+1,-1,---)となる。
極性反転系列同時送波開口合成法においては、乗算信号RPAnおよびRPBnにより形成されるQ’あるいはQ”点の不要成分ベクトルは、位相が順次πだけ回転しているため、ドップラー効果による位相差をθとして、図30に示すように、それぞれN0,-N0e,+N0ej2θ,-N0ej3θ,---N0ej(N-1)θとなる。ここで、N0は、同時送波開口合成法による一回の受信出力における不要成分振幅である。
この実施例においては、本発明における極性反転状況信号として、フランク符号(別名ポリフェーズ符号)を使用する。このフランク符号は、Nを整数として、基本位相角を2π/Nとする系であり、次数をNとすると次式により定義される。
これらの符号FA、FBは、基本周期+1,+1,+1,-1の繰り返し符号であるKAとの乗算を行うことにより、FAxKAは常に正位相の信号となり、FBxKAは位相が順次πだけ回転する信号となる。これらは次式となる。
一方、これらの符号FA、FBは、半周期ずらした基本周期+1,-1,+1,+1の繰り返し符号であるKBとの乗算を行うことにより、逆に、FAxKBは位相が順次πだけ回転する信号となり、FBxKBが常に正位相の信号となる。これらは次式となる。
従って、フランク符号が繰り返す符号と、半周期ずれたフランク符号が繰り返す符号とは、極性反転状況信号を構成する。従って、このようなフランク符号系列により、二項係数加重加算極性反転系列同時送波開口合成法を構成することにより、対象運動による悪影響を抑圧可能となる。ここでは簡単のためにN=2としたが、この実施例構成に限定されるものではない。
(数10)
V=S0{W 1 +W 2 e+W 3 ej2θ+W 4 ej3θ+-----+WNej(N-1)θ}
(数11)
VB=S0{W 1 +W 2 e+W 3 ej2θ+W 4 ej3θ+-----+WNej(N-1)θ}=S0(1+e)N-1
(数12)
VB=S0{W 1 +W 2 e+W 3 ej2θ+W 4 ej3θ+-----+WNej(N-1)θ}=S0(1+e)N-1
=S0e{2cos(θ/2)}N-1=S0e2N-1{1-(θ/2)2/2!+(θ/2)4/4!---}N-1
≒S0e2N-1{1-(θ/2)2/2!}N-1≒S0e2N-1{1-(N-1)(θ/2)2/2!}
=S0e2N-1{1-θ2(N-1)/8}
≒S0e2N-1
(数23)
V=S0{W 1 +W 2 e+W 3 ej2θ+W 4 ej3θ+-----+WNej(N-1)θ}
(数24)
VB=S0{W 1 +W 2 e+W 3 ej2θ+W 4 ej3θ+-----+WNej(N-1)θ}=S0(1+e)N-1
(数25)
VB=S0{W 1 +W 2 e+W 3 ej2θ+W 4 ej3θ+-----+WNej(N-1)θ}=S0(1+e)N-1
=S0e{2cos(θ/2)}N-1=S0e2N-1{1-(θ/2)2/2!+(θ/2)4/4!---}N-1
≒S0e2N-1{1-(θ/2)2/2!}N-1≒S0e2N-1{1-(N-1)(θ/2)2/2!}
=S0e2N-1{1-θ2(N-1)/8}
≒S0e2N-1
(数14)
α=|VB/EB|≒(S0/N0)2N-1{1-θ2(N-1)/8}/θN-1
=(S 0/N 0)(2/θ)N-1{1-θ2(N-1)/8}
(数27)
α=VB/EB≒(S0/N0)2N-1{1-θ2(N-1)/8}/θN-1=(S 0/N 0)(2/θ)N-1{1-θ2(N-1)/8}

Claims (12)

  1. 信号を複数回送信し、該信号による受信信号を得る構成を有し、該受信信号による、目的成分位相に対し不要成分位相が交互に反転する状態を形成可能とする構成において、3回以上の受信信号を加重して加算する構成を有することを特徴とする信号処理方式。
  2. 請求項1に記載の信号処理方式であって、前記加重の係数が、二項係数であることを特徴とする信号処理方式。
  3. 請求項1に記載の信号処理方式であって、前記信号が、相補系列であることを特徴とする信号処理方式。
  4. 請求項1に記載の信号処理方式であって、前記信号が、極性反転系列であることを特徴とする信号処理方式。
  5. 請求項1に記載の信号処理方式であって、前記信号が、フランク符号であることを特徴とする信号処理方式。
  6. 請求項1に記載の信号処理方式であって、前記信号が、異なる空間位置から送信されることを特徴とする信号処理方式。
  7. 請求項3に記載の信号処理方式であって、相補系列を構成する両符号系列を交互に送信し、該送信に対応した信号を受信し、該送信信号と該受信信号との相関演算を行う構成を有することを特徴とする信号処理方式。
  8. 請求項6に記載の信号処理方式であって、極性反転系列による信号を送信し、該送信に対応した信号を受信し、該送信信号と極性反転系列との乗算演算を行う構成を有することを特徴とする信号処理方式。
  9. 請求項1に記載の信号処理方式であって、前記信号を、音波により構成することを特徴とする信号処理装置。
  10. 請求項1に記載の信号処理方式であって、相関処理における不要成分の抑圧を行うことを特徴とする信号処理装置。
  11. 請求項1に記載の信号処理方式であって、開口合成処理を行うことを特徴とする信号処理装置。
  12. 請求項1に記載の信号処理方式であって、運動状況の計測を行うことを特徴とする信号処理装置。
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