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JP2012121950A - 硬化性シリコーン組成物及びシリコーン樹脂硬化物 - Google Patents

硬化性シリコーン組成物及びシリコーン樹脂硬化物 Download PDF

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JP2012121950A
JP2012121950A JP2010272113A JP2010272113A JP2012121950A JP 2012121950 A JP2012121950 A JP 2012121950A JP 2010272113 A JP2010272113 A JP 2010272113A JP 2010272113 A JP2010272113 A JP 2010272113A JP 2012121950 A JP2012121950 A JP 2012121950A
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Hiroaki Tezuka
裕昭 手塚
Toshiyuki Kozai
利之 小材
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】ポリ(メタ)アクリル酸エステルの造膜性、強靭性とシリコーンの熱安定性とを兼ね備えた硬化物を与える硬化性シリコーン組成物、及び該組成物を硬化させることにより得られるシリコーン樹脂硬化物を提供する。
【解決手段】(A)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子(Si−H基)を少なくとも1個含有する(メタ)アクリル酸エステルの重合体、又は1分子中にSi−H基を少なくとも1個含有する(メタ)アクリル酸エステルと、(メタ)アクリル酸エステル及びシロキサン含有(メタ)アクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種との共重合体、(B)1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサン及び(C)ヒドロシリル化反応触媒を含有する硬化性シリコーン組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性シリコーン組成物及びシリコーン樹脂硬化物に関し、特にはポリ(メタ)アクリル酸エステルとシリコーンの両方の性質を併せ持つ硬化物を与える硬化性シリコーン組成物及び該組成物を硬化させることにより得られるシリコーン樹脂硬化物に関する。
シリコーンは、優れた耐熱性、光学透明性、気体透過性を有し、更には成型性や作業性にも優れるため、あらゆる産業分野で広く用いられている。しかしながら、シリコーンは機械強度が低く、フィルムや薄膜として取り扱うことは非常に困難な材料である。これを改善するため、特公平4−001652号公報(特許文献1)には、ポリカーボネートとシロキサンの共重合体、特開平5−285216号公報(特許文献2)には、芳香族ポリアミド−シロキサン系ブロック共重合体などが提案されている。しかし、これらのポリマーは、合成が極めて煩雑であるのに加え、加水分解性があり、長期安定性に欠けるといった問題を有している。
一方、ポリ(メタ)アクリル酸エステルは、優れた機械強度を有する熱可塑性高分子材料である。そのガラス転移温度は、一般的には100℃以下と比較的低く、加熱成形性に優れるため、皮膜剤、フィルム、筐体などの原料として使用されている。しかし、ポリ(メタ)アクリル酸エステルは、熱安定性が悪く、そのため経時で脆くなるなど、長期の使用に耐えないという問題があり、これらの改善が強く望まれている。
以上の問題を解決することを目的として、シリコーンとポリ(メタ)アクリル酸エステルの両方の性質を併せ持つ材料開発への取り組みがなされている。例えば、特開平1−009268号公報(特許文献3)及び特開2007−298974号公報(特許文献4)には、アルコキシシリル基の加水分解・縮合反応を利用したシリコーン−ポリ(メタ)アクリル酸エステル架橋構造体が、特開2010−100742号公報(特許文献5)には、イソシアネート基と水酸基のウレタン結合形成を利用したシリコーン−ポリ(メタ)アクリル酸エステル架橋構造体などが提案されている。しかしながら、ここで用いられた架橋反応は、材料表面と内部で効率が異なる場合があり、そのため物性発現に係る材料組成や硬化条件の調整が難しいという課題がある。また、アルコキシシリル基やイソシアネート基は加水分解性が強いため、原料の保存安定性に欠けるという別の問題も発生する。
特公平4−001652号公報 特開平5−285216号公報 特開平1−009268号公報 特開2007−298974号公報 特開2010−100742号公報
本発明は、前記問題点を解決するためになされたもので、ポリ(メタ)アクリル酸エステルの造膜性、強靭性とシリコーンの熱安定性とを兼ね備えた硬化物を与える硬化性シリコーン組成物、及び該組成物を硬化させることにより得られるシリコーン樹脂硬化物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、(A)下記一般式(1)で表される1分子中にケイ素原子に結合した水素原子(以下、Si−H基とも云う)を少なくとも1個含有する(メタ)アクリル酸エステルの重合体、又は下記一般式(1)で表される1分子中にSi−H基を少なくとも1個含有する(メタ)アクリル酸エステルと、(メタ)アクリル酸エステル及び下記一般式(2)で表されるシロキサン含有(メタ)アクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種との共重合体、(B)1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサン、及び(C)ヒドロシリル化反応触媒を含有する硬化性シリコーン組成物が、ポリ(メタ)アクリル酸エステルの造膜性、強靭性とシリコーンの熱安定性とを兼ね備えたシリコーン樹脂硬化物を与えることを知見した。
更に、該硬化性シリコーン組成物は、ヒドロシリル化を架橋形成反応とするため、硬化性や保存安定性にも優れることを見出し、本発明をなすに至った。
従って、本発明は、下記に示す硬化性シリコーン組成物及びシリコーン樹脂硬化物を提供する。
〔請求項1〕
(A)下記一般式(1)で表される1分子中にケイ素原子に結合した水素原子(Si−H基)を少なくとも1個含有する(メタ)アクリル酸エステルの重合体、又は下記一般式(1)で表される1分子中にSi−H基を少なくとも1個含有する(メタ)アクリル酸エステルと、(メタ)アクリル酸エステル及び下記一般式(2)で表されるシロキサン含有(メタ)アクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種との共重合体、
Figure 2012121950

(式中、Rは水素原子又はメチル基、R1は互いに同一又は異種の1価の有機基、R2は2価の有機基を示す。aは1〜10の整数、bは0又は1〜100の整数であり、cは0、1又は2である。aが付された単位とbが付された単位は互いにランダムに配列している。)
Figure 2012121950

(式中、R、R1、R2、cは式(1)と同じである。dは1〜100の整数である。)
(B)1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサン、
(C)ヒドロシリル化反応触媒
を含有する硬化性シリコーン組成物。
〔請求項2〕
上記式(1)中のR及びR1がメチル基、R2がプロピレン基、aが1、bが0、cが2である、請求項1に記載の硬化性シリコーン組成物。
〔請求項3〕
上記式(1)中のR及びR1がメチル基、R2がプロピレン基、aが1、bが0、cが0である、請求項1に記載の硬化性シリコーン組成物。
〔請求項4〕
上記式(2)中のR及びR1がメチル基、R2がプロピレン基、cが0、dが1である請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性シリコーン組成物。
〔請求項5〕
請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化性シリコーン組成物を成形、硬化させることにより得られるシリコーン樹脂硬化物。
〔請求項6〕
請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化性シリコーン組成物の薄膜を硬化させることにより得られるシリコーン樹脂硬化物。
〔請求項7〕
請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化性シリコーン組成物の溶媒溶液を硬化させることにより得られるゲル状のシリコーン樹脂硬化物。
本発明の硬化性シリコーン組成物は、ヒドロシリル化を架橋形成反応とするため、保存安定性及び硬化性に優れる。また、該組成物を熱硬化させて得られるシリコーン樹脂硬化物は、造膜性と強靭性、特に薄膜強度に優れ、熱安定性も併せ持つ。
合成例1で得られたポリマー(A−1)の1H−NMRチャートである。 合成例2で得られたポリマー(A−2)の1H−NMRチャートである。
以下、本発明について詳しく説明する。
[(A)成分]
(A)成分は、下記一般式(1)で表される1分子中にSi−H基を少なくとも1個含有する(メタ)アクリル酸エステルの重合体、又は下記一般式(1)で表される1分子中にSi−H基を少なくとも1個含有する(メタ)アクリル酸エステル(以下、「Si−H基含有(メタ)アクリル酸エステル」という)と、(メタ)アクリル酸エステル及び下記一般式(2)で表されるシロキサン含有(メタ)アクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種との共重合体であり、本発明組成物の特徴成分である。該成分は、本発明のシリコーン樹脂硬化物に造膜性と強靭性を与える。また、該成分の性質として、該硬化物に、基材(金属、プラスチック、セラミックスなど)に対する接着性、ガスバリアー性、親水性を付与することができる。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル酸エステル」は、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルを示す。
Figure 2012121950

(式中、Rは水素原子又はメチル基、R1は互いに同一又は異種の1価の有機基、R2は2価の有機基を示す。aは1〜10の整数、bは0又は1〜100の整数であり、cは0、1又は2である。aが付された単位とbが付された単位は互いにランダムに配列している。)
Figure 2012121950

(式中、R、R1、R2、cは式(1)と同じである。dは1〜100の整数である。)
上記式(1)、(2)において、R1は互いに同一又は異種の1価の有機基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素原子数1〜10、好ましくは炭素原子数1〜6のアルキル基、フェニル基等の炭素原子数6〜10のアリール基などの1価炭化水素基が例示され、メチル基、フェニル基が好ましい。R2は2価の有機基であり、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等の炭素原子数1〜10のアルキレン基などの2価炭化水素基が例示され、炭素原子数1〜3のアルキレン基が好ましい。
aが付された単位は、本発明において必須成分であるが、1分子中に多く存在すると、重合時にゲル化することがある。そのため、aは1〜10の正の整数、好ましくは1〜6の正の整数、より好ましくは1〜3の正の整数である。bは0又は1〜100の正の整数、好ましくは0又は1〜10の正の整数、より好ましくは0又は1〜6の正の整数である。また、a+bは1〜100の正の整数、好ましくは1〜10の正の整数、より好ましくは1〜6の正の整数であり、aが付された単位とbが付された単位は互いにランダムに配列している。cは0、1又は2である。dは1〜100の正の整数、好ましくは1〜50の正の整数、より好ましくは1〜10の正の整数である。
式(1)で表されるSi−H基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、以下の化合物が例示できるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。ここで、Meはメチル基、Phはフェニル基を表す(以下、同様)。
Figure 2012121950
Figure 2012121950
式(1)で表されるSi−H基含有(メタ)アクリル酸エステルは、1種単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。
式(1)で表されるSi−H基含有(メタ)アクリル酸エステルと共重合させることができるアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルは、Si−H基を含有しないもので、好ましくは更にケイ素原子を含まないものである。これらは、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸の炭素原子数1〜18のアルキルエステルが好ましく、アクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸イソペンチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸n−デシル、アクリル酸イソデシル等が挙げられる。メタクリル酸エステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソペンチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸イソオクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸イソノニル、メタクリル酸n−デシル、メタクリル酸イソデシル等が挙げられる。中でも、アルキル基の炭素原子数が1〜12、特にアルキル基の炭素原子数が1〜8のアクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステルが好ましい。
式(1)で表されるSi−H基含有(メタ)アクリル酸エステルと共重合させることができる式(2)で表されるシロキサン含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、Si−H基を有さないもので、以下の化合物が例示できるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2012121950
式(2)で表されるシロキサン含有(メタ)アクリル酸エステルは、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
(A)成分のSi−H基含有(メタ)アクリル酸エステルを含む(共)重合体は、該当する所要のモノマーを2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等のアゾ化合物やt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の有機過酸化物をラジカル重合開始剤として用いることで得ることができる。
重合時に用いる溶媒としては、従来から公知のものをすべて使用することができ、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、イソドデカン等の脂肪族炭化水素系溶剤、塩化メチレン、パークロロエチレン、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶剤、リグロイン、シクロヘキサノン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ゴム揮発油、シリコーン系溶剤などが挙げられる。これらの中で、芳香族炭化水素系溶剤、エステル系溶剤が好ましい。また人体への安全性などを考慮する場合は、シリコーン系溶剤の使用が好ましい。
上記式(1)で表されるSi−H基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位は、重合体中0.5〜100モル%であり、好ましくは1〜60モル%、より好ましくは1〜30モル%である。(A)成分は、上記式(1)で表されるSi−H基含有(メタ)アクリル酸エステルのみの重合体とすることもできるが、該Si−H基含有(メタ)アクリル酸エステルと、(メタ)アクリル酸エステルあるいは上記式(2)で表されるシロキサン含有(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体とすることもでき、この場合、式(1)で表されるSi−H基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位が少なすぎると、硬化物としたときに充分な強度が出ない場合があり、多すぎると接着性が向上する反面、脆くなる場合がある。そのため、用途目的に合わせ適宜調節することが好ましい。
式(1)で表されるSi−H基含有(メタ)アクリル酸エステルと共重合させることができる、(メタ)アクリル酸エステル及び式(2)で表されるシロキサン含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位は、共重合体中0〜99.5モル%であり、好ましくは40〜99モル%、より好ましくは70〜99モル%である。アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルに由来する構造単位は、硬化物としたときの強度発現や、ガスバリアー性の向上に寄与し、式(2)で表されるシロキサン含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位は、溶解性や該組成物の(B)成分との相溶性の向上に寄与する。そのため、用途目的に合わせ適宜調節することが好ましいが、具体的に、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位の割合は、共重合体中20〜90モル%、特に30〜70モル%とすることが好ましく、シロキサン含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位の割合は、共重合体中30〜90モル%、特に40〜80モル%とすることが好ましい。
(A)成分のSi−H基含有(メタ)アクリル酸エステルを含む(共)重合体の分子量は、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定されるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が1,000〜1,000,000の範囲であることが好ましく、より好ましくは5,000〜500,000である。分子量が1,000より小さい場合、該硬化物の強度の点で劣る場合があり、分子量が1,000,000より大きい場合、取扱い性や溶解性の点で劣る場合がある。
[(B)成分]
(B)成分は、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンであり、上記(A)成分とヒドロシリル化反応により付加し、3次元網目状構造のシリコーン樹脂硬化物を与える。
(B)成分の分子構造は特に限定されず、例えば、直鎖状構造、分岐状構造、環状構造及びこれらを含んだ複合的な構造が挙げられる。これらの中でも(B)成分として、実質的には直鎖状のオルガノポリシロキサンであることが好ましく、具体的には、分子鎖が主にジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖された直鎖状のオルガノポリシロキサンであることが好ましい。また、(B)成分は、単一のシロキサン単位からなる重合体であっても、2種以上のシロキサン単位からなる共重合体であってもよい。
更に、(B)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基の位置は特に限定されず、分子鎖末端部分のケイ素原子及び分子鎖非末端部分のケイ素原子のどちらか一方にのみ結合していてもよいし、これら両方に結合してもよい。ケイ素原子に結合したアルケニル基は、1分子中に少なくとも2個有していればよく、好ましくは2〜4個有しているものである。
(B)成分のオストワルド計により測定される23℃における粘度は、通常、1〜100,000mm2/sであり、好ましくは10〜5,000mm2/sである。粘度が低すぎると、得られる硬化物の強度が劣る場合があり、粘度が高すぎると、該組成物の作業性が劣るものとなり、更に該(A)成分との相溶性が乏しくなるため、該硬化物の強度が劣る場合がある。
(B)成分としては、例えば、下記平均組成式(3)で表すことができる。
3 e4 fSiO(4-e-f)/2 (3)
(式中、R3は独立に、脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の一価炭化水素基を表し、R4は独立にアルケニル基を表し、eは、通常0.7〜2.2、好ましくは1.8〜2.1、より好ましくは1.95〜2.0の数であり、fは、通常0.0001〜0.2、好ましくは0.0005〜0.1、より好ましくは0.01〜0.05の数であり、ただし、e+fは、通常0.8〜2.3、好ましくは1.9〜2.2、より好ましくは1.98〜2.05の数である。)
上記R3としては、例えば、炭素原子数1〜10の脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の一価炭化水素基が挙げられる。具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基等のアラルキル基;これらの炭化水素基中の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全てが塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;シアノ基等により置換された基、例えば、クロロメチル基、2−ブロモエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等が挙げられる。
これらの中でも、メチル基、フェニル基又はこれら両者の組み合わせが好ましい。R3がメチル基、フェニル基又はこれら両者の組み合わせである(B)成分は、合成が容易であり、化学的安定性が良好である。また、(B)成分として、R3が、更にメチル基、フェニル基又はこれら両者の組み合わせと3,3,3−トリフルオロプロピル基との組み合わせであることは、該組成物の耐溶剤性の点で好ましい。
上記R4としては、例えば、炭素原子数2〜8のアルケニル基が挙げられる。具体例としては、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、イソブテニル基、ヘキセニル基等が挙げられる。これらの中でも、合成の容易性及び化学的安定性の点から、ビニル基が好ましい。
(B)成分は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
(B)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して5〜900質量部、好ましくは10〜700質量部である。配合量が少なすぎると熱安定性に劣る場合があり、多すぎると力学強度に劣る場合がある。
[(C)成分]
(C)成分は、ヒドロシリル化反応触媒である。ヒドロシリル化反応触媒としては、従来から公知のものがすべて使用できる。例えば、白金金属を担持したカーボン粉末、白金黒、塩化第2白金、塩化白金酸、塩化白金酸と一価アルコールとの反応生成物、白金とジビニルテトラメチルジシロキサン等のビニルシロキサンとの錯体、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセチルアセトネート等の白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒等の白金族金属系触媒が挙げられる。
(C)成分の配合量は、ヒドロシリル化反応触媒としての有効量でよく、所望の硬化速度が得られる限り特に限定されない。該配合量としては、例えば、本発明の組成物全体の量(特に(A)、(B)成分の合計量)に対して(C)成分中の白金族金属の量が質量基準で、通常、0.1〜1,000ppm、好ましくは0.1〜500ppm、より好ましくは0.5〜200ppmとなる量である。
[他の配合成分]
本発明の組成物には、上記(A)〜(C)成分に加えて、本発明の目的及び効果を損なわない範囲で他の成分を配合することは任意である。他の成分としては、例えば、以下に説明するものが挙げられる。また、以下に示す各成分は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
<付加反応制御剤>
本発明の組成物のポットライフを確保するために、付加反応制御剤を配合することができる。付加反応制御剤の具体例としては、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等が挙げられる。
本発明の組成物に付加反応制御剤を配合する場合、その配合量は、付加反応制御剤としての有効量であればよく、特に限定されないが、(A)、(B)成分の合計100質量部に対して、通常、0.01〜5質量部の範囲内である。
<接着助剤>
本発明のシリコーン樹脂硬化物の基材(金属、プラスチック、セラミックスなど)に対する接着性を更に向上させるために、必要に応じて接着助剤を配合することができる。一般的な接着助剤としては、例えば、シランカップリング剤が挙げられる。その具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル基含有シランカップリング剤、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤、イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等のイソシアネート基含有シランカップリング剤、アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤等が挙げられ、ビニル基含有シランカップリング剤、エポキシ基含有シランカップリング剤、(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤が好ましい。
本発明の組成物に接着助剤を配合する場合、その配合量は、接着助剤としての有効量であればよく、特に限定されないが、(A)、(B)成分の合計100質量部に対し、通常、0.05〜5質量部、好ましくは0.1〜2質量部である。
<充填剤>
本発明の該組成物及び硬化物の特性を更に向上させることを目的とし、充填剤を配合することができる。充填剤としては、例えば、微粉末シリカ等の補強剤、コバルトブルー等の無機顔料、有機染料等の着色剤、珪藻土、酸化カリウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化銅、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、炭酸マンガン、ベンガラ、カーボンブラック、粉砕石英粉末、水酸化アルミニウム、アルミニウム、銅、銀、金、ニッケル等の耐熱性・難燃性・熱伝導性向上剤等が挙げられる。
本発明の組成物に充填剤を配合する場合、その配合量は、充填剤としての有効量であればよく、特に限定されないが、(A)、(B)成分の合計100質量部に対して、通常、0質量部を超え2,000質量部以下、好ましくは0.1〜1,500質量部である。
<酸化防止剤>
本発明組成物の硬化物中には、上記(B)成分中の炭素−炭素二重結合が未反応のまま残存している場合がある。この炭素−炭素二重結合が含まれていると、大気中の酸素などにより酸化され、該硬化物が着色する場合がある。そこで、本発明の組成物に、必要に応じて、酸化防止剤を配合することにより、着色を未然に防止することができる。
この酸化防止剤としては、従来から公知のものがすべて使用することができ、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、4,4’−ブチリデン(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等が挙げられる。
本発明の組成物に酸化防止剤を配合する場合、その配合量は、酸化防止剤としての有効量であればよく、特に限定されないが、(A)、(B)成分の合計100質量部に対して、通常、0.001〜1質量部、好ましくは0.01〜0.1質量部である。
<光安定剤>
本発明組成物の硬化物の光劣化に対する抵抗性を付与するため、該組成物に光安定剤を配合することも可能である。この光安定剤としては、光酸化劣化で発生するラジカルを捕捉するヒンダートアミン系安定化剤が適しており、その具体例としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、4−ベンゾイル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等が挙げられる。
本発明の組成物に光安定剤を配合する場合、その配合量は、光安定剤としての有効量であればよく、特に限定されないが、(A)、(B)成分の合計100質量部に対して、通常、0.001〜1質量部、好ましくは0.01〜0.1質量部である。
<溶剤>
本発明の組成物には、希釈剤として溶剤を用いることができる。この溶剤は、上記(A)成分調製に使用し得る溶媒と同様である。
本発明の組成物の希釈剤として溶剤を用いる場合、その配合量は特に限定されないが、(A)、(B)成分の合計100質量部に対して、通常、1〜2,000質量部、好ましくは5〜1,000質量部である。
[調製]
本発明の硬化性シリコーン組成物の調製方法は限定されず、(A)〜(C)成分並びに必要に応じて任意成分を同時に混合することにより調製することができる。また、(A)成分と(B)成分とを混合してベースコンパウンドを調製し、このベースコンパウンドに(C)成分及び任意成分を添加配合してもよい。本発明の組成物を調製する際、2本ロールミル、3本ロールミル、ニーダーミキサー、プラネタリーミキサー等の公知の混練装置を用いることができる。
[シリコーン樹脂硬化物]
本発明の硬化性シリコーン組成物は、ヒドロシリル化を架橋形成反応とするため、硬化性に優れる。該組成物の硬化条件は特に制限されないが、通常、80〜180℃、10〜300分の条件とすることが好ましい。
本発明の硬化性シリコーン組成物を成形、硬化させることにより、シリコーン樹脂硬化物を得ることができる。該組成物は、ディスペンス法、ポッティング法、インジェクションモールド法、トランスファーモールド法など、従来用いられている成形方法に適用することができる。また、本発明のシリコーン樹脂硬化物は、薄膜強度に優れるため、膜、フィルムとして取り扱うことができる。このような形態とする場合、該組成物を上記溶媒で希釈した溶液とし、溶液流延法(キャスト法)を用いることができる。更に、本発明のシリコーン組成物は、溶媒に溶かし、溶液中にて硬化させることで得られるゲル状の硬化物とすることもできる。
ここで、シリコーン樹脂硬化物を膜やフィルムとする場合、その厚さとしては、0.05〜500μm、特に0.1〜300μmとすることが好ましい。
以下、合成例、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において、粘度はオストワルド粘度計により測定した23℃における値を示し、Meはメチル基、Phはフェニル基を示す。
(A)成分の調製
[合成例1]ポリマー(A−1)の調製
攪拌装置、冷却管、温度計を備えた500mLの4つ口フラスコに、下記式(4)で表されるSi−H基含有メタクリル酸エステル(以下、モノマーA)104g、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.15g、酢酸エチル150gを加え、オイルバスを用いて加熱攪拌した。酢酸エチル還流下、6時間反応を行った。反応終了後、溶液を多量のメタノール中に投入し、ポリマーを析出、濾別洗浄後、60℃で12時間減圧乾燥し、99g(収率95%)のポリマー(A−1)を得た。テトラヒドロフラン(THF)を溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)にて分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)103,000、多分散度(PDI)2.1であった。示差走査熱量測定(DSC)にて測定したポリマー(A−1)のガラス転移温度(Tg)は−3℃であった。図1に、ポリマー(A−1)の1H−NMR測定の結果を示す。
得られたポリマー(A−1)をトルエンに20質量%となるように溶解し、その溶液を密閉下で、50℃の乾燥機に1週間放置したが、ゲル化は見られなかった。
Figure 2012121950
[合成例2]ポリマー(A−2)の調製
攪拌装置、冷却管、温度計を備えた500mLの4つ口フラスコに、上記式(4)で表されるSi−H基含有メタクリル酸エステル(モノマーA)3.1g、メタクリル酸メチル(以下、モノマーB)16.0g、下記式(5)で示されるシロキサン含有メタクリル酸エステル(以下、モノマーC)96.5g、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.15g、酢酸エチル150gを加え、オイルバスを用いて加熱攪拌した。酢酸エチル還流下、6時間反応を行った。反応終了後、溶液を多量のメタノール中に投入し、ポリマーを析出、濾別洗浄後、60℃で12時間減圧乾燥し、112g(収率97%)のポリマー(A−2)を得た。THFを溶媒とするGPCにて分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)97,000、多分散度(PDI)1.8であった。DSCにて測定したポリマー(A−2)のガラス転移温度(Tg)は21℃であった。1H−NMR測定の結果、ポリマー(A−2)中のモノマーA、B、C由来の構造体の割合は、A/B/C=3/40/57(mol/mol/mol)であった。図2に、ポリマー(A−2)の1H−NMR測定の結果を示す。
得られたポリマー(A−2)をトルエンに20質量%となるように溶解し、その溶液を密閉下で、50℃の乾燥機に1週間放置したが、ゲル化は見られなかった。
Figure 2012121950
[合成例3]ポリマー(A−3)の調製
式(4)で表されるSi−H基含有メタクリル酸エステル(モノマーA)に代えて、下記式(6)で表されるSi−H基含有メタクリル酸エステル(以下、モノマーD)4.6gを使用すること以外は合成例2と同様にして113g(収率97%)のポリマー(A−3)を得た。THFを溶媒とするGPCにて分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)69,000、多分散度(PDI)1.6であった。DSCにて測定したポリマー(A−3)のガラス転移温度(Tg)は8℃であった。1H−NMR測定の結果、ポリマー(A−3)中のモノマーD、B、C由来の構造体の割合は、D/B/C=3/40/57(mol/mol/mol)であった。
得られたポリマー(A−3)をトルエンに20質量%となるように溶解し、その溶液を密閉下で、50℃の乾燥機に1週間放置したが、ゲル化は見られなかった。
Figure 2012121950
[合成例4]ポリマー(A−4)の調製
メタクリル酸メチル(モノマーB)に代えて、アクリル酸エチル(以下、モノマーE)16.0gを使用すること以外は合成例2と同様にして111g(収率96%)のポリマー(A−4)を得た。THFを溶媒とするGPCにて分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)82,000、多分散度(PDI)2.0であった。DSCにて測定したポリマー(A−4)のガラス転移温度(Tg)は−9℃であった。1H−NMR測定の結果、ポリマー(A−4)中のモノマーA、E、C由来の構造体の割合は、A/E/C=3/40/57(mol/mol/mol)であった。
得られたポリマー(A−4)をトルエンに20質量%となるように溶解し、その溶液を密閉下で、50℃の乾燥機に1週間放置したが、ゲル化は見られなかった。
[合成例5]ポリマー(A−5)の調製
攪拌装置、冷却管、温度計を備えた500mLの4つ口フラスコに、上記式(4)で表されるSi−H基含有メタクリル酸エステル(モノマーA)3.1g、アクリル酸2−エチルヘキシル(以下、モノマーF))36.8g、上記式(5)で示されるシロキサン含有メタクリル酸エステル(モノマーC)79.5g、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.15g、酢酸エチル150gを加え、オイルバスを用いて加熱攪拌した。酢酸エチル還流下、6時間反応を行った。反応終了後、溶液を多量のメタノール中に投入し、ポリマーを析出、濾別洗浄後、60℃で12時間減圧乾燥し、114g(収率95%)のポリマー(A−5)を得た。THFを溶媒とするGPCにて分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)62,000、多分散度(PDI)2.2であった。DSCにて測定したポリマー(A−5)のガラス転移温度(Tg)は−47℃であった。1H−NMR測定の結果、ポリマー(A−5)中のモノマーA、F、C由来の構造体の割合は、A/F/C=3/50/47(mol/mol/mol)であった。
得られたポリマー(A−5)をトルエンに20質量%となるように溶解し、その溶液を密閉下で、50℃の乾燥機に1週間放置したが、ゲル化は見られなかった。
表1に合成例1〜5の結果を示す。
Figure 2012121950
[実施例1〜5]
(A−1)合成例1で得られた重合体
(A−2)合成例2で得られた共重合体
(A−3)合成例3で得られた共重合体
(A−4)合成例4で得られた共重合体
(A−5)合成例5で得られた共重合体
(B−1)分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン
(粘度100mm2/s)
(C)白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体トルエン溶液
(D)任意成分:1−エチニル−1−シクロヘキサノール(付加反応制御剤)
(E−1)任意成分:トルエン(希釈剤)
を、表2に示す配合量で配合し、実施例1〜5それぞれの組成物を得た。即ち、まず、500mLのプラネタリーミキサーに(A−1)成分〜(A−5)成分のいずれか、(B−1)成分、(D)成分及び(E−1)成分を表2に示す配合量で仕込み、室温にて1時間混合し、次に(C)成分を表2に示す配合量で加えて均一になるように室温にて1時間混合してペースト状の組成物を得た。
得られた組成物に、組成物含有量が30質量%となるように(E−1)成分を更に加えて希釈し、均一な組成物溶液を得た。この組成物溶液の外観を目視にて確認し、表2に併記した。
得られたそれぞれの組成物溶液を型に流し込み、風乾後、150℃のオーブンで2時間硬化させて、厚み200μmの硬化物(F1〜F5)を得た。得られた硬化物の特性を下記に示す方法により評価した。これらの結果を表4に示す。
〈破壊強度及び破壊伸び〉
破壊強度及び破壊伸びは、得られた硬化物を2号ダンベル形状に打ち抜き、それを試験機のプローブに固定して、50mm/minの速度で引っ張り測定した。
〈酸素透過速度〉
酸素透過速度は、得られた硬化物の直径10cm円形状試料を用い、等圧法にて測定した。
〈熱安定性〉
熱安定性は、得られた硬化物を150℃の乾燥機に24時間放置し、放置前と放置後の厚み変化を測定し評価した。
Figure 2012121950
[比較例1、2]
(G−1)下記式で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン
Figure 2012121950

(G−2)下記式で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン
Figure 2012121950

(B−1)分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン
(粘度100mm2/s)
(C)白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体トルエン溶液
(D)任意成分:1−エチニル−1−シクロヘキサノール(付加反応制御剤)
を、表3に示す配合量で配合し、比較例1、2の組成物を得た。即ち、まず、500mLのプラネタリーミキサーに(G−1)成分又は(G−2)成分、(B−1)成分及び(D)成分を表3に示す配合量で仕込み、室温にて1時間混合し、次に(C)成分を表3に示す配合量で加えて均一になるように室温にて1時間混合してオイル状の組成物を得た。この組成物の外観を目視にて確認し、表3に併記した。
得られたそれぞれの組成物を型に流し込み、150℃のオーブンで2時間硬化させて、厚み200μmの硬化物(H1、H2)を作製した。しかしながら、H1は強度が弱く、厚み200μmでの取扱いが困難であった。そこで、厚み1mmのシート状硬化物とした。また、H2は脆く、厚み1mmのシート状硬化物としても取り扱うことが困難であった。H1の特性を上記と同様に評価し、結果を表4に示した。
Figure 2012121950
Figure 2012121950
a)1mmシートでの測定結果。
b)150℃乾燥機に24時間放置。放置前後の厚み変化を評価。
[実施例6]
(A−2)合成例2で得られた共重合体 50g
(B−2)分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン
(粘度5,000mm2/s) 78g
(C)白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体トルエン溶液 0.16g
(E−2)任意成分:デカメチルシクロペンタシロキサン(希釈剤) 100g
を、攪拌装置、冷却管、温度計を備えた1Lの4つ口フラスコに加え、オイルバスを用いて90℃で3時間加熱攪拌した。反応終了後、得られたゴム状組成物に(E−2)成分を更に1,052g追加し、セラミック3本ロールにて組成物成分が10質量%となるゲル状組成物(J1)を調製した。この組成物の外観を目視にて確認し、表5に併記した。
得られたゲル状組成物(J1)に、水を表5に示す各量で添加し、500mLのプラネタリーミキサーで1時間室温混合することで、水の分散配合を行った。分散状態を目視にて確認し、この結果を表5に併記した。
[比較例3]
(G−1)下記式で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン 50g
Figure 2012121950

(B−2)分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン
(粘度5,000mm2/s) 219g
(C)白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体トルエン溶液 0.16g
(E−2)任意成分:デカメチルシクロペンタシロキサン(希釈剤) 200g
を、攪拌装置、冷却管、温度計を備えた1Lの4つ口フラスコに加え、オイルバスを用いて90℃で3時間加熱攪拌した。反応終了後、得られたゴム状組成物に(E−2)成分を更に2,221g追加し、セラミック3本ロールにて組成物成分が10質量%となるゲル状組成物(K1)を調製した。この組成物の外観を目視にて確認し、表5に併記した。
得られたゲル状組成物(K1)に、水を表5に示す各量で添加し、500mLのプラネタリーミキサーで1時間室温混合することで、水の分散配合を行った。分散状態を目視にて確認し、この結果を表5に併記した。
Figure 2012121950
a)分散配合の状態
○:分散
△:一部分離
×:分離
[評価]
以上の結果は、本発明の硬化性シリコーン組成物が硬化性及び保存安定性に優れ、熱硬化後は、造膜性と強靭性、特に薄膜強度に優れ、熱安定性も併せ持つことを示している。また、本発明の特徴である(A)成分の構造により、該硬化物のガスバリアー性や親水性を調節できることも示している。よって、本発明の硬化性シリコーン組成物及び該組成物を硬化させることにより得られるシリコーン樹脂硬化物は、膜、フィルム、レンズ、化粧料、接着剤などの原料として好適に用いることができる。また、ポッティング材、シール材、ゲル材などへの応用も期待できる。

Claims (7)

  1. (A)下記一般式(1)で表される1分子中にケイ素原子に結合した水素原子(Si−H基)を少なくとも1個含有する(メタ)アクリル酸エステルの重合体、又は下記一般式(1)で表される1分子中にSi−H基を少なくとも1個含有する(メタ)アクリル酸エステルと、(メタ)アクリル酸エステル及び下記一般式(2)で表されるシロキサン含有(メタ)アクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種との共重合体、
    Figure 2012121950

    (式中、Rは水素原子又はメチル基、R1は互いに同一又は異種の1価の有機基、R2は2価の有機基を示す。aは1〜10の整数、bは0又は1〜100の整数であり、cは0、1又は2である。aが付された単位とbが付された単位は互いにランダムに配列している。)
    Figure 2012121950

    (式中、R、R1、R2、cは式(1)と同じである。dは1〜100の整数である。)
    (B)1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサン、
    (C)ヒドロシリル化反応触媒
    を含有する硬化性シリコーン組成物。
  2. 上記式(1)中のR及びR1がメチル基、R2がプロピレン基、aが1、bが0、cが2である、請求項1に記載の硬化性シリコーン組成物。
  3. 上記式(1)中のR及びR1がメチル基、R2がプロピレン基、aが1、bが0、cが0である、請求項1に記載の硬化性シリコーン組成物。
  4. 上記式(2)中のR及びR1がメチル基、R2がプロピレン基、cが0、dが1である請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性シリコーン組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化性シリコーン組成物を成形、硬化させることにより得られるシリコーン樹脂硬化物。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化性シリコーン組成物の薄膜を硬化させることにより得られるシリコーン樹脂硬化物。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化性シリコーン組成物の溶媒溶液を硬化させることにより得られるゲル状のシリコーン樹脂硬化物。
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