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JP2012120707A - 吸収性物品 - Google Patents

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JP2012120707A
JP2012120707A JP2010273945A JP2010273945A JP2012120707A JP 2012120707 A JP2012120707 A JP 2012120707A JP 2010273945 A JP2010273945 A JP 2010273945A JP 2010273945 A JP2010273945 A JP 2010273945A JP 2012120707 A JP2012120707 A JP 2012120707A
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Yuichi Hirose
祐一 廣瀬
Shinsuke Nagahara
進介 長原
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Kao Corp
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Abstract

【課題】洗浄効率を向上させることにより吸収物品の経血等の汚れを必要以上に拡散させず、かつ、吸収体素材の破出が効果的に抑えられる吸収性物品を提供する。
【解決手段】表面シートと、裏面シートと、前記両シート間に配置される吸収体とを有する縦長の吸収性物品であって、前記吸収体は多数のブロック状の吸収部が互いに離間して規則的に配置され、前記吸収部を表面シート側から圧縮して窪ませた防漏溝が形成され、前記吸収部はパルプ繊維と吸水性ポリマーを含有し、該吸水性ポリマーは、カルボキシ基及び/又はカルボキシレート基を有し且つ中和度75モル%以上、JIS K 7223に準拠した遠心保持量5〜20g/gである易洗浄性の吸水性ポリマーを含み、前記防漏溝における表面シートと前記吸収体との接合強度(N)は、前記吸水性ポリマーの膨潤圧力によって与えられる力(N)より低くなされている吸収性物品。
【選択図】図1

Description

本発明は、生理用ナプキン等の吸収性物品に関し、より詳しくは、使用後のもみ洗いのような水洗いによって吸収した経血等の赤みを容易に洗浄除去できる吸収性物品(女性用吸収性物品)に関する。
生理用ナプキンや使い捨ておむつ等の吸収性物品については、その地域により性能について多様なニーズがある。例えばインドネシア、マレーシア等を主な居住圏とする一部の人々には、使用済みの生理用ナプキンを水で洗浄し、吸収した経血等を洗い流してから廃棄する習慣がある。この洗浄は、例えば、一方の手で水をかけつつ他方の手で生理用ナプキンを揉み洗ったり、絞ったりと、生理用ナプキンに幅方向内方への圧力をかけることでなされる。従来、洗浄に適した生理用ナプキンとしては、布製のナプキンや、パルプ繊維を主体とし吸水性ポリマーを含まない吸水性材料で構成されたものであった。しかし、吸水性ポリマーを含まない生理用ナプキンは、経血の吸収・保持性能が低いことによる液戻りを抑えるためパルプ繊維を多量に使用される必要があった。そのため生理用ナプキンはパルプ繊維の嵩高さのために厚くなってしまい、特に折り畳まれ包装されている状態でかさ張りやすくて、持ち歩きに不便であると共に、装着感が悪かった。
この問題に対し、特許文献1には、パルプ繊維に吸水性ポリマーを配した洗浄し易いものに改良したものが開示されている。この吸水性ポリマーは、カルボキシ基及び/又はカルボキシレート基を有しかつ、所定の中和度などの物性を有するものであり、経血中のヘモグロビン等の赤み成分との付着を弱めたものであり、使用後の水洗によって経血等の赤みを容易に除去できるようにしたものである。
特開2010−17536号公報
前記のように使用済みのナプキンの洗浄は、洗浄水をかけながら揉み洗いすることでなされる。その洗浄水の量は経血等の排泄液よりはるかに多量である。吸収体がこの洗浄水を吸収して膨張すると、洗浄水の量や洗浄の仕方によっては、ポリマーの膨潤で吸収体の内圧が高まって内部に隙間が無くなり洗浄水の流出路が妨げられてしまうことがある。これでは、良好な洗浄が困難となり、かえって経血等の汚れが洗浄されずにナプキン表面に広がってしまう。ひいては水圧等によりポリマー等の吸収体素材が表面シート側から破出しかねない。
本発明は、生理用ナプキンを洗浄する際の上記の特有の問題に鑑み、洗浄効率を向上させることにより吸収物品の経血等の汚れを必要以上に拡散させず、かつ、吸収体素材の破出が効果的に抑えられる吸収性物品の提供を課題とする。
本発明は、肌当接面側に配される液透過性の表面シートと、非肌当接面側に配される防漏性の裏面シートと、前記両シート間に配置される吸収体とを有する縦長の吸収性物品であって、前記吸収体は多数のブロック状の吸収部が互いに離間して規則的に配置され、前記吸収部を表面シート側から圧縮して窪ませた防漏溝が形成され、前記吸収部はパルプ繊維と吸水性ポリマーを含有し、該吸水性ポリマーは、カルボキシ基及び/又はカルボキシレート基を有し且つ中和度75モル%以上、JIS K 7223に準拠した遠心保持量5〜20g/gである易洗浄性の吸水性ポリマーを含み、前記防漏溝における表面シートと前記吸収体との接合強度(N)は、前記吸水性ポリマーの膨潤圧力によって与えられる力(N)より低くなされている吸収性物品により上記の課題を解決するものである。
本発明の吸収性物品は、洗浄効率を向上させることにより吸収物品の経血等の汚れを必要以上に拡散させず、かつ、吸収体素材の破出が効果的に抑えられるという優れた作用効果を奏する。
本発明における吸収性物品の好ましい一実施形態としての生理用ナプキンを肌当接面方向から示した一部切欠斜視図である。 図1に示す生理用ナプキンの吸収部と防漏溝との関係を模式的に示した平面図である。 図2に示す生理用ナプキンのA−A線断面を示した断面図であり、(i)は洗浄前を示し、(ii)は洗浄中を示す。 図3(ii)の状態における洗浄水の流出経路をモデル化して示す部分的な平面図である。
まず、図1及び図2を参照して、本発明に係る吸収性物品の好ましい一実施形態としての生理用ナプキン10について説明する。図1は、生理用ナプキン10を肌当接面方向から示した一部切欠斜視図である。図2は、図1に示す生理用ナプキン10の吸収部と防漏溝との関係を模式的に示した平面図である。図2においては、吸収部と防漏溝との関係の理解のため、吸収部の配列上に防漏溝を投影して重ねて実線で示し、ナプキン10及び吸収体3の外形を一点鎖線で示し、他の部材を省略して示した。
なお本発明については、特に断らない限り、人体に接触する側の面を肌側面ないし肌当接面あるいは表面といい、これと反対側の面を非肌面ないし非肌当接面あるいは裏面という。この2つの面において、肌側面に近い方ないしその延長方向を肌面側、肌当接面側又は表面側といい、非肌面に近い方ないしその延長方向を非肌面側、非肌当接面側又は裏面側という。装着時に人体の前側に位置する方向を前方といいその端部を前端部とし、後側に位置する方向を後方といいその端部を後端部として説明する。吸収性物品の表面又は裏面の法線方向を厚み方向といいその量を厚さという。更に、吸収性物品の平面視において腹側部から股下部を亘り背側部に至る方向を長手方向又は縦方向といい、この縦方向と直交する方向を幅方向という。なお、前記縦方向は典型的には装着状態において人体の前後方向と一致する。
本実施形態の生理用ナプキン10において、裏面シート2の肌当接面側に吸収体3が接着剤等で接合され配設されている。吸収体3の縦方向左右両側の外方ではサイドシート4が裏面シート2に当接して接合されている。裏面シート2とサイドシート4とが当接した部分で表面シート1が裏面シート2とサイドシート4とで挟持され、さらにその幅方向(X方向)内方向に向け表面シート1が吸収体3よりも肌当接面側に位置されるように配されている。積層された表面シート1、裏面シート2及びサイドシート4は、吸収体3の周縁外方でヒートシール等により接合され、該接合部分がナプキン10の外周縁となる。サイドシート4の表面シート1上に配される自由端41にはポケット(図示せず)が形成され、液等の横モレを防ぐ効果を有する。生理用ナプキン10の幅方向左右両側部には、サイドシート4を有してなるウイング部42が生理用ナプキン10の幅方向外方に向って延出している。ナプキン10の使用時には、このウイング部42をショーツにおける股下部の非肌当接面側に巻き込んで生理用ナプキン10をショーツに固定する。
吸収体3には、基盤シート31上にブロック状の吸収部32が複数互いに離間して縦横に規則的に配置されて接合されている。複数の吸収部32を長手方向及び幅方向に投影したときにいずれの方向にもその投影像が重なる配置とされている。この配置において、互いに離間した各吸収部32の間は空間部33となり、空間部33の底部は基盤シート31のみからなる。空間部33は、離間する吸収部32の間で直線的に連接されて、ナプキン10の排泄領域から外方に連なる。各吸収部32は、パルプ繊維と吸水性ポリマー34との混合積繊物あるいはパルプ繊維と吸水性ポリマー34との積層物を被覆シート(図示せず)で被覆してなる。吸収部32の形状は、平面視において縦方向に長い長方形に区画され、その厚み方向の断面は方形を有するが、本発明においてこの形状に限定されず任意の形状とすることができる。
吸収部32は複数の吸水性ポリマー34を含有しており、その吸水性ポリマー34としては、カルボキシ基及び/又はカルボキシレート基を有し且つ中和度75モル%以上、JIS K 7223に準拠した遠心保持量5〜20g/gである易洗浄性の吸水性ポリマーを含む。この易洗浄性の吸水性ポリマーは、カルボキシ基及び/又はカルボキシレート基を有し且つ表面架橋処理された吸水性ポリマーに、更に表面架橋処理及び中和処理を順次施して得られる。
前記易洗浄性の吸水性ポリマー34の中和度を好ましくは75モル%以上とすることで、後述の洗浄時において、経血中の赤色成分であるヘモグロビンが容易に除去され得る。該吸水性ポリマーがアクリル酸架橋重合体である場合、その中和度は75〜95モル%であることがより好ましく、80〜90モル%であることがさらに好ましい。中和度とヘモグロビンの除去容易性との間に起こる現象は定かではないが、アクリル酸架橋重合体からなる吸水性ポリマーの中和度を75モル%以上とすることで、ナプキン10の水洗い中において吸水性ポリマーの分子鎖近傍のpHがヘモグロビンの等電点(通常pH6.8〜7)よりも高いことにより、該吸水性ポリマーとヘモグロビンとの間に電気的な反発が発生し、これにより該吸水性ポリマーに対するヘモグロビンの付着率あるいは付着強度が低下すると考えられる。その結果、ヘモグロビンが水洗いによって脱離しやすい状況になるものと推察される。なお前記中和度の測定方法及びその調整は、特開2010−17536号公報に記載の方法を用いることができる。
前記易洗浄性の吸水性ポリマーの遠心保持量を5〜20g/gに抑えることで、ポリマー本来の吸収性能を維持し、経血等の吸収保持を適度に抑えて赤みの除去を容易にすることができる。この遠心保持量は、7〜15g/gであることがさらに好ましい。なお前記遠心保持量の測定方法及びその調整は、特開2010−17536号公報に記載の方法を用いることができる。
以上の物性を有する易洗浄性の吸水性ポリマーは、後述のナプキン10の洗浄時において、経血中のヘモグロビンを容易に除去し易く、また吸水保持量が適度に制御されることで急激な膨潤による吸収体3や表面シート1の無用な破けを防止することができる。
吸収体3は、複数の吸収部32を有することにより使用時において経血等との接触面積が大きくなり、液を効果的に吸収し保持することができる。複数の吸収部32と空間部33とで吸収体3を構成するので、ナプキン10の装着使用時において屈曲性が良く、肌面の起伏によくフィットする「身体適合性」に優れる。また使用時において着用者の動きにも良好に追随し、肌に対して部分的な隙間が生じたりすることが防止される。さらに、使用後の洗浄時においては、複数の吸収部32及び空間部33の起伏の繰り返しにより、洗浄水と吸収体3との接触面積が広がるので、洗浄水が各吸収部32に行き渡りその内部まで浸透しやすい。そのため、この吸収体3の形状は、内部に吸収保持された経血等の洗浄に好ましい形状といえる。
一方、ナプキン10の肌当接面側には、使用時の排泄液の拡散抑制のために、表面シート1の肌当接面側から吸収体3にかけて圧搾された防漏溝5が施されている。防漏溝5の平面視形状は、吸収体3の排泄領域にあたる長手方向中央部分において、その両側部に縦長の溝を配し、該2本の防漏溝5は吸収体3の前後端に近づくにつれ徐々に吸収体3の中央方向に向かい湾曲し、前端、後端溝と結合している。このように、防漏溝5は、平面視において前記排泄領域を囲むようにして、無端環状に連続して生理用ナプキン10の肌当接面側に配されている。ここで、排泄領域とは経血もしくはおりもの等の排泄を直接受ける部分及びその近傍をいう。防漏溝5は、図1の円内拡大部分図に示すとおり、高圧搾部5aと低圧搾部5bとを有する。この高圧搾部5aと低圧搾部5bとが交互に配されて全体として連続した前述の防漏溝5の平面形状をなす。この組合せにより、剛性になりがちな防漏溝5の全周に適度な柔軟を持たせることができ、上述の、ナプキン装着時の良好なフィット性を発現することができる。この防漏溝5の形成方法は、この種の物品に用いられる通常の方法を採用して行うことができ、例えば、凹凸形状を有する押圧部が設けられた押圧ロール(図示せず)を用いて熱シール加工する方法が挙げられる。この加工時には、押圧部分の強度等の観点から、圧部の形状(高さ、幅、凹凸形状等)、押圧圧力、加熱温度(ヒートシール温度)、押圧時間などの加工条件は任意に設定できる。
無端環状に連続した防漏溝5は、前記空間部33と該空間部に隣接する厚みのある吸収部32とからなる領域上に形成されている(図2参照)。ナプキン10の使用時において、防漏溝5は、複数の吸収部32間で経血等の液がそれ以上外方に拡散しないよう抑制する機能を有する。この機能により、表面シート1から透過された液や一旦吸収部32に吸収された液が吸収体3の周縁部から漏出することが遮られる。特に本実施形態にように吸収部32が多数に区画され配置される吸収体3においては、空間部33の部分に防漏溝5の高圧搾部5cが配される構造が好ましい(以下、空間部33の底部上に形成される高圧搾部を5cとして吸収部32上に形成される高圧搾部5aと区別して述べる。)。前記構造とすることで、空間部33に位置する表面シート1の部分が基盤シート31へ押圧されてしっかりと一体化固定されるので、経血等の排泄液が防漏溝5の外側へ拡散するのを効果的に抑制することができる。また、防漏溝5が横断する吸収部32においては、防漏溝5の高圧搾部5a及び低圧搾部5bで繊維間の密度が高くなり、毛管力が他の部分より高められている。その毛管力によって排泄液が厚み方向に引き込まれ易いので、環状の防漏溝5の部分では液が吸収部32に留められる。また、高圧搾部5aと低圧搾部5bとの間にも繊維密度に差があり、高圧搾部5aは低圧搾部5bより高い繊維密度を有している。この差に基づく毛管力で排泄液を吸収体3の底部へと引き込み易く液戻りを効果的に抑えることができる。
本実施形態において、空間部33に形成される防漏溝5の高圧搾部5cは、排泄液の拡散を効果的に抑制するとともに、使用時における排泄液の流速を調整するように作用する。防漏溝5の内方の吸収部32の液吸収が飽和状態になった際に、高圧搾部5cに液が徐々に浸透して少量ずつ防漏溝5の外方へとゆるやかに移行される。これによって、排泄液が多い場合でも、液戻りを引き起こすことなく、液の拡散が適度に発現しながら防漏溝5の外側の吸収部32を有効に使うことができ液戻り等を防止することができるので好ましい。
本発明においては、この防漏溝5の平面形状は、液の拡散を効果的に抑制するものとして任意のものを採用でき、本実施形態の図示ものに限定されるものではない。例えば、本実施形態の防漏溝5は前端、後端が一致して無端環状に連続しているが、前端、後端で互いに交差していてもよく、曲線状であってもよく、またこれに加えて幅方向に二重配置される部分があってよく、用途に合わせ適宜決められることが好ましい。また、高圧搾部及び低圧搾部の全面的な形態は特に限定されず、任意の形態を採用可能であり、高圧搾部及び低圧搾部が防漏溝5の全周に亘って施されていなくてもよい。また、高圧搾部及び低圧搾部の配置パターンも交互に繰り返されるものだけではなく、1点鎖線のようなパターン、高圧搾部のみからなるパターン、又は高圧搾部のみを点在させるパターン等、用途や使用部位に合わせて適宜決められることが好ましい。
通常、生理用ナプキンへの洗浄は多くの場合、経血等の汚れを取り除くことを目的とする。汚れを拡散させずに物品の内部及び表面を効果的に洗浄するためには、(1)注がれる洗浄水の吸収体中の内部通過、(2)汚染洗浄水の外部への排出、の2つが効率的になされること、つまり「洗浄水の新陳代謝」が重要である。具体的には、生理用ナプキンを水によって洗浄するには、親水性である表面シートの肌当接面側より洗浄水を生理用ナプキンに注ぎ、揉み洗い等により洗浄水に経血等の汚れ及び赤みを移行させ汚染洗浄水とし、該汚染洗浄水を生理用ナプキンの外部に排出する必要がある。ところが、従来の生理用ナプキンでは、防漏溝の液拡散抑制機能、又は、膨潤した吸水性ポリマー同士の隙間がなくなり拡散能が著しく損なわれるいわゆるゲルブロッキング現象の発生により洗浄水の流出路が断たれ、吸収体が多量の洗浄水を吸収して肥大化してしまう。この肥大化でさらに洗浄水の流出が妨げられる。これでは洗浄水は、防漏溝内側のナプキン中央部分に閉じ込められて吸収体内部での流通及び排出がなされず、洗浄水の新陳代謝が行われにくいと言える。
これに対し本実施形態の生理用ナプキン10においては、使用後、洗浄時に吸収体3の飽和吸収容量を超える液が投入されることによって、吸収体3の厚み部分である吸収部32が大きく膨張して防漏溝5の抑制機能が失われ、前記投入された液の流出路が形成される。これにより、吸収体内部での洗浄水の効果的な流出が可能となる。
ここで「吸収体の飽和吸収容量」とは、ナプキンの使用時における経血等の排泄量を基準として排泄液の漏れ抑制に必要な吸収容量であり、ナプキンが多くの経血を吸収することによって漏れが発生する時点の吸収量である。この飽和吸収容量は、実験的には、特開1996−117270にすでに開示されている通りの方法によって測定可能である。すなわち、可動式女性腰部モデルに試験サンプルを装着させ、ショーツをはかせた後、50m/minに相当する速度で走行運動をさせながら滴下用チューブにより疑似血液を注入し、漏れを生じるまえに吸収した量を測定することによって得られる。「吸収部が膨張」とは、防漏溝の周辺及び内側中央部分の圧搾されてない吸収体の吸収部の膨張だけでなく、防漏溝の形成で圧搾された吸収部が膨張することを包含する。本実施形態においては、厚みのある吸収部32a(図2参照。32aは防漏溝5の内外で圧搾されていない吸収部である。)だけでなく、圧搾された吸収部32b(図2参照)が厚み方向に膨張する。また各吸収部32の膨張は主に吸水性ポリマー34の膨潤による。「防漏溝5の抑制機能が失われる」とは、ナプキン10の外表面(表面シート1や裏面シート2など)の破れを伴わずに防漏溝5の圧搾が解消し、ナプキン10内部において吸収体3内部あるいはその肌面側で液が通過しやすくなる状態を意味する。本実施形態においては、防漏溝5上の表面シート1が持ち上がって吸収体の空間部33や吸収部32bと表面シート1との間で液が堰き止められないようになることをいう。その結果、多量の水が良好に通過できる程の通路が形成される。本実施形態においては、例えば、防漏溝5の高圧搾部5cと表面シート1との間の空間部分6が空間部33と連接されたり、吸収部32上の高圧搾部5a部分と表面シート1との間の空間部分7が空間部33と連接されたりすることである(図3参照)。
使用後の生理用ナプキン10の洗浄においては吸収体の飽和吸収容量を超える洗浄液を契機として投入された液の流出路(以下、液流出路といい、また導液路ともいう。)が発現する。これを作用的に説明すると、使用時にはない多量の洗浄水がナプキン10に投入されることで、吸収部32a(図2参照)だけでなく、圧搾された吸収部32b(図2参照)が膨張する。特に本実施形態の吸収部の膨張は、内部の易洗浄性の吸水性ポリマーが使用時にはない多量の洗浄水を吸収して大きく膨潤することでなされる。洗浄水の投入量はもちろん吸水性ポリマー34の最大吸収容量を超える量であり、吸水性ポリマー34の膨潤は通常の使用時とは異なり、大きく膨潤する。これは経血が電解質及び粘性成分を含んでいることから吸水性ポリマーの膨潤がある程度抑制されているのに対し、洗浄水は基本的に電解質を過度に含まない水であるため、経血と比べて大きく膨潤するためである。この膨張によって表面シート1と基盤シート31あるいは吸収部32bとの接合部が剥がれる。その結果、防漏溝5周辺部で表面シート1と基盤シート31との間に空間ができ防漏溝5内外の空間部33と連係して、洗浄水の吸収体内部の流出路が形成される。特に防漏溝5の前後端部分51,51(図2参照)で流出路が形成されると、揉み洗いによる圧力で洗浄水が縦方向に流れ易くなり効果的な洗浄が可能となるので好ましい。
本実施形態において、防漏溝5における表面シート1と吸収体3との接合強度(N)は、使用時の液拡散抑制機能を保持する程度に、該表面シート1が吸収部32bや空間部33の基盤シート31と一体化するよう強固なものであるのが好ましい。ナプキン10の使用時においては、吸収部32b内の吸水性ポリマー34は、排泄量が少量であまり拡散せずに(図2のk)殆んど経血等の排泄液を吸収していない場合もあるが、場合によっては液が防漏溝5付近まで拡散して(図2のk)ある程度の液を既に吸収した状態にあることもある。しかし、いずれの状態であっても防漏溝5における表面シート1はしっかりと吸収部32bや空間部33の基盤シート31に圧着固定されている。この点から、防漏溝5における接合強度(N)は、5N〜50Nが好ましく、10N〜35Nがさらに好ましい。上記下限以上とすることで使用時の防漏溝の浮きや破壊を防ぐことができ、上記上限以下とすることで洗浄時に速やかに防漏溝の解裂が生じ、導液路を確保することができる。
<表面シート1と吸収体3との接合強度(N)の測定方法>
前記接合強度(N)の測定法は、下記のとおりである。幅30mmで帯状に且つ防漏溝5の溝部分がほぼ中央を横切って位置するように吸収部33を切り出し、20℃、65%RHの環境下にて、テンシロン引っ張り試験機株式会社エー・アンド・デイ製、型式RTC−1210A)を用いて、下部チャックに表面シート、上部チャックにそれ以外の部分を固定し、剥離速度300mm/minの速さで180°方向(溝の長さ方向と略直角方向)に引き剥がした。そのときの最大値5点の平均をとり、更に3サンプルの平均をとり、これを接合強度(N)とした。
一方、洗浄時において、防漏溝5上の吸収部32b及び吸収部32aの膨張は、防漏溝5上で強固に圧搾固定された表面シート1を肌面側へと押し上げる、あるいは引っ張り上げるに十分な、厚み方向への膨張である。各吸収部内部において、複数の吸水性ポリマー34が厚み方向に連なるように膨潤することで、表面シート1をより効果的に押し上げる、あるいは引っ張り上げることができる。吸水性ポリマーを均一に分散配置させる場合のほか、偏在させることもできる。圧搾された防漏溝5下の吸収部32bにおいては、吸水性ポリマー34が表層付近に偏在して厚み方向に層をなす分布であれば(図示せず)、表面シート1を直接押し上げることができるので好ましい。吸収部32の表層付近に偏在させることで、洗浄時に膨潤して大きくなった吸水性ポリマーが表面シート1を押し上げ表面シート1と吸収体3間に空隙を作り易く、かかる空隙が吸収部の離間部と連通し、洗浄液のスムーズな排出経路が得られ易い。防漏溝5の部位に吸水性ポリマーを偏在させることも同様な作用が得られるので好ましい。吸収部の厚み方向の裏面シート側に対して、表面シート側のポリマー量を偏在させることも同様な作用が得られるので好ましい。
本発明者らは、ナプキン等を使用時には通常に使用でき、廃棄時に水で洗浄するときは、防漏溝5の部位で表面材と吸収部32が剥離して、かかる剥離した部位を洗浄水が伝わって、吸収部32の離間する空間部33に流れ込み、該空間部33をとおる流出経路が得られることで、極めて容易に排液を洗浄できることを見出した。
なお本発明において、吸収体3の離間している部位における一面側には、本実施形態の基盤シート31に代えて、少なくともパルプ繊維を堆積してなる低坪量の液拡散部を備え、該液拡散部と吸収部32とが連結されて、吸収体3の一面側において面状に形成されていてもよい。この場合の一面側は、裏面シート1側の場合もあれば、表面シート2側の場合もある。このパルプ繊維が堆積した液拡散部は、ナプキンの使用時において、液を素早く引き込んで平面方向に分散させ、複数の吸収部32で効率的に吸収保持させることができるので好ましい。吸収部32の一面側に基盤シート31を形成する場合は、裏面シート2側に配置することが好ましい。基盤シート31を設けずに、裏面シート2に直接配置することもできる。配置する場合、基盤シート31面にホットメルトをスパイラル塗工してそのうえに配置する。また、基盤シート31や裏面シート2を窪んだ回転ロールに吸引しながら沿わせて、窪んだ部位にパルプ繊維とポリマーを混合堆積して形成することもできる。
前述の吸収部32内部における吸水性ポリマー34の分散程度は、以下の測定方法により確認することができる。
乾燥状態の吸収体を断面観察が可能な程度に圧縮なく切断し、5%硫酸銅水溶液で吸収体を浸漬させポリマーを着色させる。切断はフェザー剃刀(品番FAS‐10、フェザー安全剃刀(株)製)等を用いることができる。浸漬後の吸収体の断面を顕微鏡を用い写真撮影する。断面撮影は、顕微鏡としてマイクロスコープVH‐8000(キーエンス製)を用い、断面を50倍〜200倍に拡大観察して写真撮影することで得られる。その後、画像解析によって、断面を肌側層、中央層、裏面層と均等に3等分し、各々の層に含まれるポリマーの個数を画像解析によってカウントし、3層の個数の平均値を求め、各々の層の個数との差の絶対値を3種類求め、その3値の合計を、平均値で除することによって求められる。0に近いほど均等に分散しており、単一の層に偏っている場合は値が大きくなる。
このように、防漏溝5における表面シート1と吸収体3との接合強度(N)に対し、吸収体3の膨潤圧力によって与えられる力(N)が高い場合に、洗浄時の液流出路の良好な形成がなされる。この吸収体の膨潤圧力によって与えられる力(N)とは、吸収体3が膨潤変形する際に他部材に与える力の大きさのことをいい、本発明では、吸収体3に含まれる吸水性ポリマー34が吸水する際に膨潤する作用がそのまま吸収体3の膨潤圧力として寄与することから、吸収体3の膨潤圧力と該吸収体3に含まれる吸水性ポリマー34の膨潤圧力とを同義とする。
<吸収体3(吸水性ポリマー)の膨潤圧力によって与えられる力(N)の測定方法>
吸収体3の膨潤圧力(吸水ポリマーの膨潤圧力)によって与えられる力(N)は、次のような方法で測定が可能である。すなわち、台紙の上に吸水性ポリマー1.0gを所定の面積(縦15cm×横7cm)に配列させて、吸水性ポリマーを台紙で挟んで15cm×7cmの試験片を作成する。該試験片を、圧縮治具を備えたテンシロン引っ張り試験機に挟み込み、乾燥時の厚みと同一までギャップを調整した後、後述の飽和吸収量に対し大過剰のイオン交換水を吸収させた際に示した圧縮方向にかかる強度の増加分を、試験片の面積で除することによって求める(N/m2)ことができる。吸収体3(吸水性ポリマー34)の膨潤圧力によって与えられる力(N)は、膨潤圧力に表面シート1の圧着固定部における局所面積を乗ずることで求められる。
(膨潤圧力によって与えられる力)=(膨潤圧力)×(局所面積)
局所面積は、防漏溝5の長さと、防漏溝5近辺の吸収体3厚みを単純に乗ずることにより求めることが可能である。
ここでナプキン10の洗浄時における、防漏溝5の前後端部51付近での流出路(導液路)の形成について、図3及び図4を参照して説明する。図3は図2に示す生理用ナプキンのA−A線断面を示した断面図であり、ナプキン10の縦方向(Y方向)に交差するように形成された防漏溝5の前後端部分51に沿った断面である。図3の(i)は洗浄前を示し、(ii)は洗浄中を示す。なお、図3における吸水性ポリマー34の数及びその膨潤の様子は本発明の理解のため簡略化し模式化して示している。図4は図3(ii)の状態における洗浄水の流出経路を模式化して示す部分的な平面図である。図4における矢印T,T,Tは汚れや赤みを取り込んだ汚染洗浄水の流れる方向を示す。また、図中矢印で示した汚染洗浄水T,T,Tの流れは例示的に示したものであり、本発明において、必ずしもこれに制限されるものではない。
図3に示す防漏溝5の前後端51の断面では、4つの吸収部32には高圧搾部5aと低圧搾部5bとが交互に形成されている。空間部33であった部分の底部には高圧搾部5cが配され、この部分で表面シート1と基盤シート31とがしっかりと接合固定されている。また図3に示す両端の吸収部32cの端部は、防漏溝5の外側に位置する部分であり吸収部本来の厚みを有する。液の流出路の形成は、上述の前後端51に限定されるものではなく防漏溝5の全周で生じてもよい。
ナプキン10に飽和吸収容量を超える洗浄水が注がれると、前述のとおり、圧搾されていない吸収部32aとともに防漏溝5部分の圧搾された吸収部32bで、易洗浄性の吸水性ポリマー34が大きく膨潤し、これにより吸収部32bが厚み方向に膨張する。このとき、表面シート1及び吸収体の接合強度(N)に対し、吸水性ポリマー34(吸収体3)の膨潤圧力によって与えられる力(N)が高いものとなる。そのため前記の力(N)が、使用時には強固に圧着固定されていた高圧搾部5a及び低圧搾部5cの表面シート1を肌当接面側へと押し上げようとする。この吸収部32bの膨張が吸収部32aの膨張と相俟って表面シート1を押し上げあるいは引っ張り上げることで、表面シート1の圧搾部分が吸収部32bと分離して浮揚する。この表面シート1と吸収部32bとの間で液流出路7が形成される。さらにこの吸収部32a,bの押し上げ等の作用で高圧搾部5cの表面シート1の部分が浮揚し、この部分に液流出路6が形成される。液流出路6では、空間部33と連係して縦方向の流出路が形成されるので、ナプキン中央の排泄領域から前後端へと洗浄水が流出しやすくなり効果的な洗浄が実現される(図4の矢印T参照)。液流出路7では、その前後の幅方向の空間部33からなる幅方向流出路(図4の矢印T参照)を繋ぐ縦方向の中継路として機能する(図4の矢印T参照)。低圧搾部5bにおいて、その圧搾の深さの違いから高圧搾部5aよりも吸収部32bの膨張が大きくなり易い。そのため、表面シート1が持ち上がった際の液流出路は高圧搾部分で深く形成され得る。
液流出路6及び液流出路7が洗浄水の流出路に適した空間となるには、表面シート1がシートの破れを伴わずに、しっかりと持ち上がることが好ましい。また図3の符号1aが示すように、表面シート1がナプキンの厚みを超えて肌面側に逆返ることでさらに液流出路の空間は大きくなりより効果的な洗浄水の流出が可能となる。この観点から、表面シート1の圧搾された部分がフィルム化されて剛性を有し、吸収部の押し上げ及び引張りに対して低伸長性であることが好ましい。この低伸長性とは、一定の引張強度を与えたときの伸長変位が小さいことを意味し、換言すれば一定の伸長変位を与えたときの引張強度が大きいことを意味する。その程度は、100gf以上/50mmが好ましい。この表面シート1の低伸長性の測定方法は、20℃、65%RHの環境下にて、テンシロン引っ張り試験機株式会社エー・アンド・デイ製、型式RTC−1210A)を用いて、上部チャック及び下部チャックに表面材たるみなくセットし、試験速度300mm/分で引張った際の10%伸長時の強度を測定値とする。また、この表面シート1を上記の範囲で低伸長性とする方法は、この種の物品に用いられる方法を採用でき、例えば、エンボス処理を施す、繊維に低伸長性繊維を用いる、熱伸長性繊維を用いるといった方法が採用でき、いずれも好ましい結果を得ることができる。
本実施形態において、吸収部32の厚み方向の最大膨張率(Ta)と平面方向の最大膨張率(Tb)との比率(Ta/Tb)は、吸収部32bでは1.2以上が好ましく、2以上がより好ましい。吸収部32aにおける比率(Ta/Tb)は、1.2以上が好ましく、2以上がより好ましい。上記下限以上とすることで導液路を塞ぐことなく、防漏溝5の剥離が生じやすい。さらに好ましくは、平面方向の膨潤が全く起こらず、厚み方向のみの膨潤挙動であることがよく、この場合は厚み方向の最大膨張率(Ta)と平面方向の最大膨張率(Tb)との比率(Ta/Tb)は無限大となり計算ができない。さらに吸収部32内部の吸水性ポリマー34は、自重の10倍以上の液を吸収・保持できかつゲル化し得るものが好ましく、その最大膨潤率は、10倍〜300倍が好ましく、15倍〜100倍がより好ましい。各吸収部32における吸水性ポリマー34の見かけ密度は、前記好ましい分散配置において、0.01〜0.7が好ましく、0.05〜0.2がさらに好ましい。
以上のような吸収部32の膨張率の範囲とすることで、吸収部32bは圧搾された状態から厚み方向に2〜15倍に膨張することができ、吸収部32aはその本来の厚さから厚み方向に1.5〜7倍に膨張し得る。これにより洗浄時には防漏溝5の抑制機能が失われて液の流出路が良好に形成され得る。
前記の吸収部32の膨張率及び吸水性ポリマー34の膨潤率は以下の方法により測定することができる。
[吸収部の膨張率の測定方法]
吸収部を所定寸法で切り出し、生理食塩水で膨潤したあとの平面方向の変形率、厚み方向の変形率を測定する。厚み方向の最大膨張率(Ta)と平面方向の最大膨張率(Tb)との比率(Ta/Tb)は、生理食塩水を過剰量添加し、10分間経過した後の寸法を測定する。最大膨潤率とは、乾燥時と10分経過後の寸法の変化率をいう。
[吸水性ポリマー34の膨潤率の測定方法]
1gの吸水性ポリマーを作製したメッシュ袋に入れ、メッシュ袋ごと過剰量のイオン交換水に10分間浸漬した。袋をイオン交換水から取り出した後、空気中に1時間吊るし、付着している水を落とした後、重量を測定し、吸水性ポリマー1g当たりの重量の増加分を飽和吸収量(g/g)とした。
従来のナプキンでは、洗浄時の多量の水と揉み洗いの圧力により吸収部は型崩れし易くなる。これでは空間部33に吸収部がポリマー等の材料が漏出して、液流出路の良好な形成の妨げともなりかねない。本実施形態においては、良好な液流出路形成のため、洗浄時においても空間部33の形状が維持されることが好ましい。この観点から、膨潤した吸水性ポリマー34が空間部33へ漏出しないよう、吸水性ポリマー34に粘着性が付与されていることが好ましい。この粘着性とは、ホットメルトによる粘着性付与と高吸収ポリマーの表面処理によって粘着性を発現させる方法の大きく2種があるが、これら2種に限定するものではない。
ホットメルトによる粘着性付与の方法は、具体的には吸収体内部への塗布、ポリマー散布工程において直接ポリマーに散布する、等の塗布工程によって塗布される。
また、吸水性ポリマー自体への表面処理によって粘着性を付与する方法は、バインダー成分を付与する方法が主として考えられる。このバインダー成分としては、カチオン性バインダー、アニオン性バインダー、ノニオン性バインダーのいずれも用いることができる。カチオン性バインダーとしては、カチオン化デンプン、カチオン化カルボキシメチルセルロースナトリウム、カチオン化ポリビニルアルコール等が挙げられる。アニオン性の水溶性バインダーとしては、例えば、カルボキシメチルセルロース塩、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩(部分中和物を含む)、アクリルアミド−アクリル酸塩(部分中和物を含む)共重合体、マレイン酸−アクリル酸塩(部分中和物を含む)共重合体等が挙げられる。ポリアクリルアミド、デンプン、ポリエチレングリコール、ガム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。この水溶性バインダー成分を含む水溶液を、水散布の代わりに散布する方法も考えられるが、予め易洗浄性吸収ポリマーの表面に塗布する処理を施した上で、ナプキン加工機において水散布工程により粘着性を発現させる方法を用いることもできる。その付与の程度としては、少なくとも使用時には高吸収ポリマーが脱落移動しない状態が好ましい。また、洗浄時においても吸収部が型崩れしないよう吸収部の被覆シートが解裂し難いことが好ましい。その強度は30cN以上が好ましく、50cN以上がさらに好ましい。この強度は、構成素材としてパルプ紙以外にも、合成繊維による不織布なども好ましく用いることができる。
同様の観点から、洗浄時に各吸収部32と基盤シート31とが剥離しない強度で接合され固定されていることが好ましく、その接合強度は50cN以上が好ましく、70cN以上がさらに好ましい。この吸収部32と基盤シート31との接合強度は、前述の防漏溝5における表面シート1と吸収体3との接合強度(N)と同様の方法で測定することができる。すなわち、幅30mmで帯状に且つ溝がほぼ中央を横切って位置するように吸収層を切り出し、20℃、65%RHの環境下にて、テンシロン引っ張り試験機株式会社エー・アンド・デイ製、型式RTC−1210A)を用いて、下部チャックに測定対象の基材、上部チャックにそれ以外の部分を固定し、剥離速度300mm/minの速さで180°方向(溝の長さ方向と略直角方向)に引き剥がした。そのときの最大値5点の平均をとり、かかる5点のうち最大と最小値を除いた3サンプルの平均をとり、これを接合強度(cN)とした。吸収部32と基盤シート31との接合方法としては、ホットメルトによる接合、水散布後の圧搾による水素結合の発現などの方法を用いることができる。
また、空間部33の底部となる基盤シート31は、洗浄時に水との接触で収縮し難い難収縮性のものが好ましい。この難収縮性とは水と接触した際に、シートに収縮力が発現しにくいことを意味する。その程度は水と接触後の収縮力が0以下(伸長する)が好ましく、その構成素材としてはクレープ紙や、通常のパルプ紙なども用いることができる。あるいはこの素材に換えて、ホットメルト接着剤による膜を形成して空間部の底部とすることもできる。この場合の形成方法は、ホットメルトのコーター塗工の方法を用いることができる。
さらに洗浄時の導液路として十分な大きさの空間部33とするべく、吸収部間の幅方向の距離(s)と吸収部32の幅方向の距離(s)との比(s/s)は、1/10以上が好ましく、1/5以上がさらに好ましい(図2参照)。吸収部間の縦方向の距離(s)と吸収部32の幅方向の距離(s)との比(s/s)は、1/10以上が好ましく、1/5以上がさらに好ましい(図2参照)。同様に、図3に示す、吸収部の厚み方向の高さ(h)は、物品の用途や必要な吸収容量、求められる装着感・パッケージサイズなどによって変わるので一義的に定めることはできないが、通常、1.0mm〜10mmとすることが好ましく、2mm〜8mmとすることがさらに好ましい。
以下に本実施形態の生理用ナプキン10を構成するその他の部材の構成素材について説明する。
吸収部32の構成材料としては、特に制限はないが繊維材料、多孔質体、それらの組み合わせなどを用いることができる。繊維材料としては例えば、木材パルプ、コットン、麻などの天然繊維、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等の合成樹脂からなる単繊維、これらの樹脂を2種以上含む複合繊維、アセテートやレーヨンなどの半合成繊維を用いることができる。合成樹脂からなる繊維を用いる場合、該繊維は熱によって形状が変化する熱収縮繊維であってもよい。例えば、熱によって繊度は大きくなるが繊維長は短くなるものや、熱によって繊度はほとんど変化しないが、形状がコイル状に変化することで見かけの繊維の占有する長さが短くなるものであってもよい。多孔質体としては、スポンジ、不織布、高吸水性ポリマーの凝集物(高吸水性ポリマーと繊維とが均一に分布して凝集したもの)などを用いることができる。
吸水性ポリマーとしては、前述の易洗浄性の吸収性ポリマーとともに、この種の物品に用いられるものを合せて用いてもよい。また、易洗浄性の吸水性ポリマーは、特定範囲の中和度、遠心保持量、加えて特定範囲の各物性(ボルテックス法による吸水速度、DW法による吸水速度、かさ比重、2.0KPaでの加圧か通液速度、2.0KPaでの加圧下吸収量)を有するものを含んでもよい。この場合、前述の易洗浄性ポリマーは、吸収体3内の吸収性ポリマー全体の80%以上であることが好ましい。
表面シート1としては、例えば、カード法により製造された不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、ヒートロール不織布、ニードルパンチ不織布等が挙げられるがこれに制限されるものではない。特に、本発明において、防漏溝5における前記の圧着強度を得る観点から、熱溶融樹脂フィルムもしくは熱溶融樹脂繊維を含む不織布を含む表面シートであることが好ましい。また、肌触りの観点から、カード法等により得た繊維ウエブにエアスルー法で繊維同士の熱融着点を形成したエアースルー不織布や、ヒートエンボス不織布、エアレイド不織布、ニードルパンチ不織布等が特に好ましく等が特に好しくもちいられる。表面シート1の構成繊維としては、例えば、不織布や開孔フィルム等の各種液透過性のシート材を用いることができ、熱融着性繊維や熱融着性樹脂、特に熱可塑性ポリマー材料からなる繊維を含むことが好ましい。熱可塑性ポリマー材料としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミドなどが挙げられる。またこれらの熱可塑性ポリマー材料の組合せからなる芯鞘型複合繊維やサイド・バイ・サイド型複合繊維も好適に用いることもできる。表面シート1は、熱融着性繊維以外に熱融着性を有しない繊維を構成繊維の一部として含んでいても良い。
生理用ナプキン10をなす裏面シート2及びサイドシート4の形成素材は、この種の物品に用いられるものを任意に作用することができる。
例えば、裏面シート2は、透湿性フィルム単独、又はフィルムと不織布の貼り合わせ、撥水性の不織布(SMSやSMMS等)を用いることができる。コスト面やズレ止め粘着剤とのマッチングなどから、透湿フィルム単独を防漏材として用いることが最も好ましい。この場合のフィルム材としては、熱可塑性樹脂と、これと相溶性のない無機フィラーを溶融混練して押し出したフィルムを所定の寸法に延伸して微細孔をあけたフィルム、または、本質的に水分の相溶性が高く、浸透膜のように水蒸気排出可能な無孔性のフィルムが挙げられる。本発明に関わる湿度排出の性能を十分に発現し、かつ、水分のにじみ出しがない防漏層を具現化するには、透湿度は、0.7〜3.0g/100cmhrの範囲にあることが好ましく、1.0〜2.5の範囲にあることが更に好ましい。さらっと感を十分に高める観点からは1.5〜2.5にあることが最も好ましい。また、フィルムの破れ等のトラブルなく使用可能であるためには、フィルム坪量は18〜70g/m、より好ましくは25〜60g/mである。また好ましい無機フィラー配合量は、フィルム全体の質量に対するフィラーの質量%として30〜65質量%、より好ましくは40〜60質量%である。
サイドシート4は撥水性の不織布が好ましく、カード法により製造された不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、ヒートロール不織布、ニードルパンチ不織布等の中から撥水性の物、または撥水処理した種々の不織布を用いることができる。特に好ましくは、例えば、スパンボンド不織布、スパンボンド−メルトブローン(SM)不織布、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(SMS)不織布等が用いられる。
なお、生理用ナプキン10において、図示しないが、防水シートが吸収体3の幅方向両側部に配されていてもよい。この防水シートは、吸収体3の左右両側において、該吸収体3の肌面側、非肌面側及び側面を被覆するように配されることで、経血や洗浄水の横漏れをより効果的に抑制することができるので好ましい。この防水シートの形成素材は、この種の物品に用いられるものを任意に採用することができ、例えば、液不透過性の樹脂フィルム、樹脂フィルムをラミネートした紙、スパンボンド/メルトブローン/スパンボンド不織布(SMS不織布)等を用いることができる。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば、各吸収部同士を連結する部材としては、本実施形態で用いた基盤シートに限定されるものではなく、単に被覆シート上に吸収部を配するものでもよい。また、各吸収部及び空間部の全体を覆う1枚のシート状ではなく、各吸収部32を繋ぐ構造として空間部だけに形成されるものであってもよい。その部材の厚さや素材にいては、洗浄時の難伸縮性及び吸収部の形状維持(つまり空間部の空間維持)の観点からこの種の物品に用いられるものを任意に採用できる。また吸収部の大きさ、高さ、形状は、本実施形態のものに限定されず、洗浄時の形状維持の観点から任意に設定可能である。例えばその形状について、各吸収部32の厚み方向断面で肌面側の辺より非肌面側の辺の長さが長い台形形状であってもよい。導液路の断面において断面面積が大きくかつ導液時の通液抵抗が少なくなるよう、円型断面、楕円型断面、台形型断面、多角形型断面など、適宜、断面形状を選択しうる。さらに本発明において、吸収体が多数の吸収部の配列からなる場合、その平面配置は本実施形態のものに限定されず、空間部33が洗浄時の洗浄水排出路となるのであれば、例えば吸収部32を配列した各列の配列ピッチをずらした千鳥格子配置など、用途に併せて適宜決めることができる。
本発明において、前述の空間部が有効に形成される形態であれば、吸収体の形態は本実施形態の複数の吸収部と基盤シートとからなるものに限定されるものではなく様々な形態を包含する。例えば、1つの吸収体の肌面側に凹凸が繰り返し配置される形状であってもよく、また、導液路がプレスエンボスで形成されたもの、吸収体の折り構造により導液路が形成されたもの、中央部には導液路が存在せず防漏溝上から外周部にかけてのみ導液路が存在するもの、など、製品機能及び加工工程から自由に選択しうる。この場合、被覆シートは吸収体全体を被覆する形態となることが吸水性ポリマー漏出防止の観点から好ましい。
本発明の吸収性物品は、例えば、前記実施形態が具備していた防漏溝5、粘着部(図示せず)、羽根部42を具備しないものであってもよいし、後部フラップ部等を有するものであってもよい。羽根部42及び後部フラップ部は、何れも吸収体4の縦方向両側縁それぞれからナプキン外方に延出する部分であり、通常、羽根部42はナプキン着用者の排泄部に対向配置される排泄部対向部に位置し、後部フラップ部は羽根部42よりもナプキン縦方向の後方に位置する。
また本発明の吸収性物品は、生理用ナプキンに制限されず、使い捨ておむつ、失禁パッド、尿取りパッド、ペット用おむつ、ペット用シーツ等にも適用できる。本発明に用いられる前記易洗浄性ポリマーとしては、遠心保持量が前記特定範囲に調整されていることで吸水倍率が抑えられており、更に2.0kPaでの加圧下通液速度が前記特定範囲に調整されている場合には加圧下の通液速度が高いものであるため、繰り返しあるいは圧力下での吸収速度が非常に速く、吸収体の細部まですばやく液を拡散することができ、また、膨らんでもいわゆるゲル感が少ないので、着用時の違和感の改善に繋がる。
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
図1及び2に示した吸収体試験体を作製した。吸収部としては、坪量250g/mのパルプと坪量50g/mの吸水性ポリマーとの混合積繊体を被覆シート(ティッシュペーパー)で被覆したものとし、クレープ紙からなる基盤シートに接合した。その接合にはホットメルト接着剤を用いた。吸水性ポリマーとしては、カルボキシ基及び/又はカルボキシレート基を有し且つ中和度75モル%以上、JIS K 7223に準拠した遠心保持量5〜20g/gである易洗浄性の吸水性ポリマーを用いた。吸収部のサイズは、図3に示す寸法比率で、吸収部間の幅方向の距離(s)と吸収部の幅方向の距離(s)との比(s/s)を1/5とし、吸収部間の長さ方向(縦方向)の距離(s)と吸収部32の長さ方向(縦方向)の距離(s)との比(s/s)を1/5として配置した。
次に、上記の試験体を市販の一般的な生理用ナプキンと同じサイズに成形し、その上面と下面とを上記市販のウイング付きの生理用ナプキンと同じ表面シート及び裏面シートで覆い、表面シートの肌面側からサイドシートを積層した。該表面シートの肌面側に対して常法によりエンボス処理を施し、図1に示す防漏溝を形成し、裏面シートの非肌面側の所定箇所に粘着剤を塗布してウイング部の粘着部を形成した。更に、表面シート、裏面シート及びサイドシートの吸収体の周縁部からの延出部分において常法によりヒートシールを施し、生理用ナプキンを得た。こうして得られた生理用ナプキンを実施例1のサンプルとした。
[実施例2]
実施例1で用いた吸収体試験体について、吸収性ポリマーの坪量を70g/mとした以外は実施例1の生理用ナプキンと同様にして作製し、これを実施例2のサンプルとした。
[実施例3]
実施例1で用いた吸収体試験体について、吸収部のサイズを、吸収部間の幅方向の距離(s)と吸収部の幅方向の距離(s)との比(s/s)を1/3とし、吸収部間の長さ方向(縦方向)の距離(s)と吸収部32の長さ方向(縦方向)の距離(s)との比(s/s)を1/3とした以外は実施例1の生理用ナプキンと同様にして作製し、これを実施例3のサンプルとした。
[実施例4]
実施例1で用いた吸収体試験体について、吸収部として、坪量250g/mのパルプに対して、その肌面側(表面シート側)に坪量50g/mの吸収性ポリマーを散布したパルプと吸収性ポリマーとの積層体とした以外は実施例1の生理用ナプキンと同様にして作製し、これを実施例4のサンプルとした。
[比較例]
実施例1で用いた吸収体試験体について、吸収部として、坪量250g/mのパルプに対して、その非肌面側(裏面シート側)に坪量50g/mの吸収性ポリマーを散布したパルプと吸収性ポリマーとの積層体とした以外は実施例1の生理用ナプキンと同様にして作製し、これを実施例4のサンプルとした。
[参考例1]
坪量250g/mのパルプのみを被覆シートで被覆し、ブロック状に分割されていない通常の形状として吸収体試験体を作製した。この吸収体試験体を実施例1で用いた市販の表面シート、裏面シート及びサイドシート等を用い常法により生理用ナプキンを作製した。こうして得られた生理用ナプキンを参考例1のサンプルとした。
[参考例2]
実施例1で用いた吸収体試験体について、吸水性ポリマーを含有させないでパルプのみとした以外は実施例1の生理用ナプキンと同様にして作製し、これを実施例4のサンプルとした。
[評価]
実施例、比較例及び参考例の生理用ナプキンについて、洗浄後の赤み除去の程度は、血液が注入され水洗いされた後のナプキンにおける洗浄後赤色度合いを示すa*値で評価できる。a*値が小さいほど、赤みが除去され血液が水洗いによってきれいに洗い流されていることを意味する。下記手順1〜3に従って赤色度合いa*値を測定した。
また、洗浄性の実感を得られやすいかどうかの評価として、洗浄途中における赤み除去の程度を測定した。測定は、洗浄後赤色度合いの測定の手順1〜3のうち、手順1の洗浄時間を3分から40秒に変更した方法である。これらの結果を下記表1に示す。尚、赤色度合いa*値に関し、測定値が1以下であった場合、測定の誤差を考慮すると該測定値は実質的に0とみなせるので、下記表1において「≒0」とした。
[洗浄後赤色度合いの測定方法;洗浄性(3分洗浄時a値)]
手順1:生理用ナプキンの表面層側から該生理用ナプキンに血液12gを注入し、25℃の環境下で30分間放置後、水温25℃、硬度12°DHの水で該生理用ナプキンを3分間洗浄し、しかる後、該生理用ナプキンを手で絞り、ナプキン内部に含まれている水を可能な限り絞り出す。
手順2:前記手順1で得られた湿潤状態の生理用ナプキンの表面層側における、血液によって赤色に染まった赤色部分の最も赤みの強い点5箇所について、分光色差計(日本分光製の簡易型分光色差計「NF333」(ペン型検出器))を用いて赤色度合いa*値を測定する。
手順3:前記手順2で得られた5つの測定値から最大値及び最小値を除いた3つの測定値の平均を、生理用ナプキンの赤色度合いa*値とする。
[洗浄途中赤色度合いの測定方法;洗浄性(40秒洗浄時a値)]
手順1:生理用ナプキンの表面層側から該生理用ナプキンに血液12gを注入し、25℃の環境下で30分間放置後、水温25℃、硬度12°DHの水で該生理用ナプキンを40秒間洗浄し、しかる後、該生理用ナプキンを手で絞り、ナプキン内部に含まれている水を可能な限り絞り出す。
手順2:前記手順1で得られた湿潤状態の生理用ナプキンの表面層側における、血液によって赤色に染まった赤色部分の最も赤みの強い点5箇所について、分光色差計(日本分光製の簡易型分光色差計「NF333」(ペン型検出器))を用いて赤色度合いa*値を測定する。
手順3:前記手順2で得られた5つの測定値から最大値及び最小値を除いた3つの測定値の平均を、生理用ナプキンの赤色度合いa*値とする。
前記手順1〜3において、ナプキンに注入する血液としては馬の血液を用いる。より具体的には、(株)日本バイオテスト研究所製の馬脱繊維血液を用いる。この馬脱繊維血液の粘性は、東機産業(株)製の(B型)粘度計TVB−10Mによる測定(測定温度25℃、ロータ Lアダプタ)で、15mPa・S未満である。
また、前記手順1〜3において、ナプキンの洗浄に用いる水としては、電気伝導度1μS/cm以下のイオン交換水に塩化カルシウムと塩化マグネシウムを溶解することにより調製される水で、カルシウムイオンとマグネシウムイオンとの含有比(カルシウムイオン:マグネシウムイオン)が7:3で且つドイツ硬度が12°DHの水を用いる。
尚、使用済みの生理用ナプキンを水洗する習慣がある国の一つである、インドネシアの生活用水は、地域によってその硬度が異なるが、前記手順1〜3で用いるドイツ硬度12°DHの水は、少なくともインドネシアの一部で使用されている生活用水と略同じである。
前記手順1において、血液を注入されたナプキンを洗浄前に30分間放置する環境は、気温25℃、湿度60%とする。
ナプキンの洗浄は、手で行ない、「一方の手で100g程度の水をナプキンにかけ、他方の手で該ナプキンを絞る動作」を10秒間に3回繰り返す。即ち、10秒間に行う動作は、「水をかける→ナプキンを絞る→水をかける→ナプキンを絞る→水をかける→ナプキンを絞る」である。従って、前記手順1においてナプキンの3分間洗浄に使用する水の量は、水をかける動作1回で使用する水の量が前述したようにおよそ100gであるので、およそ(100×3×6×3=)5400gである。前記式において、100×3は、10秒間に使用する水の量、100×3×6は、1分間に使用する水の量に相当する。
ナプキンに水をかけるときはビーカー等を利用し、水をかけている最中はナプキンを絞らないようにする。
手順1において、ナプキンを3分間洗浄した後で該ナプキンを手で絞るときの圧力、即ち、手の握力は、通常、10〜15kg程度である。
赤色度合いa*値を測定する際は、外光が入らないように、測定サンプルと分光色差計とを隙間なく密接させる。
加えて、実施例1〜4、比較例、参考例1及び2の生理用ナプキンのサンプルについて、上記[洗浄後赤色度合いの測定方法]における洗浄試験を行った後、防漏溝における表面シート及び吸収体の接合状態を目視で確認した。各サンプルについて防漏溝の接合部分に浮きが確認されれば「浮きあり」とし、確認されなければ「浮きなし」とした。また、これらの生理用ナプキンの吸収性能の評価として、下記の方法により防漏性(吸収量g)を測定した。これらの結果を下記表1に示す。
なお、実施例1〜4、比較例、参考例1及び2の生理用ナプキンのサンプルについて、前述の<表面シートと吸収体との接合強度(N)の測定方法>及び<吸収体(吸水性ポリマー)の防潤圧力によって与えられる力(N)の測定方法>に基づき、防漏溝の接合強度(N)及び吸収体の防潤圧力によって与えられる力(N)を測定し比較した。その結果、実施例1〜4については(N)<(N)であったが、比較例、参考例1及び2については(N)>(N)であった。
<防漏性(吸収量g)の測定方法>
防漏性(吸収量g)の測定では、特開平2−239863号に記載された可動式女性腰部モデルを用いて、馬脱繊維血が漏れ出す最大吸収量を計測した。具体的には、該可動モデルに試験サンプルを装着してショーツをはかせた後、モデルを100歩/分で歩行運動させながら、3分おきに2gずつ馬脱繊維血を滴下用チューブポンプで注入し、横もれが生じるまでに吸収した馬脱繊維血の量を計測した。結果はN=3の平均値とする。
Figure 2012120707
表1に示す結果から明らかなように、実施例1〜4の生理用ナプキンは、吸水性ポリマーを上記の坪量で均等もしくは表面シート側で撒布させるとで、吸収体の膨潤圧力によって与えられる力(N)が比較例のものよりも大きく、防漏溝の接合強度(N)に勝る強さであった。その結果として、実施例1〜4において、防漏溝の浮きが生じることが確認できた。これにより実施例1〜4の生理用ナプキンは、防漏溝の浮きによる洗浄水の流出路が効果的に形成され、比較例のものよりも洗浄迅速性に優れることが分かった。
また、実施例1〜4の生理用ナプキンは、赤みが表面側で広範囲に広がることなく、かつ迅速に赤みが除去され得ることが分かった。加えて、実施例1〜4の生理用ナプキンの吸収性能の1つである防漏性(吸収量g)が、比較例、参考例1及び2のものよりも優れることが分かった。
以上のことから、実施例1〜4の生理用ナプキンは、多量の洗浄水を吸収して効率的に内部流通させと排出させることができる構造であり、かつ使用時の経血等に対する高い吸収性能を有し、使用時と洗浄時の性能の両立がなされることが分かった。
1 表面シート
2 裏面シート
3 吸収体
31 基盤シート
32 吸収部
33 空間部
34 吸水性ポリマー
4 サイドシート
5 防漏溝
5a,5c 高圧搾部
5b 低圧搾部
51 前後端部
6 液流出路(吸収部間)
7 液流出路(吸収部)
10 生理用ナプキン

Claims (6)

  1. 肌当接面側に配される液透過性の表面シートと、非肌当接面側に配される防漏性の裏面シートと、前記両シート間に配置される吸収体とを有する縦長の吸収性物品であって、
    前記吸収体は多数のブロック状の吸収部が互いに離間して規則的に配置され、前記吸収部を表面シート側から圧縮して窪ませた防漏溝が形成され、前記吸収部はパルプ繊維と吸水性ポリマーを含有し、該吸水性ポリマーは、カルボキシ基及び/又はカルボキシレート基を有し且つ中和度75モル%以上、JIS K 7223に準拠した遠心保持量5〜20g/gである易洗浄性の吸水性ポリマーを含み、前記防漏溝における表面シートと前記吸収体との接合強度(N)は、前記吸水性ポリマーの膨潤圧力によって与えられる力(N)より低くなされている吸収性物品。
  2. 液の吸収により前記吸収体が飽和吸収容量を超えたとき前記吸水性ポリマーが膨潤して、前記吸収体の吸収部が膨張し、該吸収部の厚み方向の最大膨張率(Ta)と平面方向の最大膨張率(Tb)との比(Ta)/(Tb)が1以上である請求項1記載の吸収性物品。
  3. 前記吸水性ポリマーには粘着性を発現する剤がポリマー表面に付与されている請求項1又は2に記載の吸収性物品。
  4. 前記吸収体の離間している部位における一面側には、少なくともパルプ繊維を堆積してなる低坪量の液拡散部を備え、該液拡散部と吸収部が連結されて、吸収体の一面側において面状に形成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  5. 前記吸収体の吸収部に含む吸水性ポリマーは、肌当接面側(表面シート側)に偏在させたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  6. 前記吸収体の吸収部に含む吸水性ポリマーは、防漏溝の近傍に偏在させたことを特徴とする請求項5記載の吸収性物品。
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