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JP2012087168A - 粉体塗料、塗膜形成方法、及び電子機器 - Google Patents

粉体塗料、塗膜形成方法、及び電子機器 Download PDF

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JP2012087168A
JP2012087168A JP2010232701A JP2010232701A JP2012087168A JP 2012087168 A JP2012087168 A JP 2012087168A JP 2010232701 A JP2010232701 A JP 2010232701A JP 2010232701 A JP2010232701 A JP 2010232701A JP 2012087168 A JP2012087168 A JP 2012087168A
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勝治 胡
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Abstract

【課題】低耐熱性材料からなる被塗物上に塗装した場合においても、高い塗膜強度を得ることができる粉体塗料、該粉体塗料を用いた塗膜形成方法、及び該粉体塗料を用いた電子機器の提供。
【解決手段】赤外光吸収剤と、疎水性シリカとを含有する粉体塗料。被塗物表面に、前記粉体塗料を付着させる工程と、前記粉体塗料に赤外光を照射して、前記被塗物表面に付着した前記粉体塗料を溶融させ塗膜を形成する工程とを含む塗膜形成方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、粉体塗料、塗膜形成方法、及び電子機器に関する。
粉体塗料は、有機溶剤型塗料及び水性エマルジョン型塗料と異なり、VOC(Volatile Organic Compounds:揮発性有機化合物)を含有しないため、環境負荷が少ない塗料として今後の普及が期待されている。
粉体塗料を用いた塗装では、例えば、まず静電塗装法により被塗物の表面に粉体塗料を付着させ、その後、加熱して被塗物表面に付着した粉体塗料を溶融して塗膜を形成する。このように粉体塗料を溶融し流動化することで、高い塗膜強度を有する塗膜が形成される。
しかし、低耐熱性材料からなる被塗物(例えば、ポリカーボネート/ABSアロイ樹脂やABS樹脂のような低軟化点樹脂の成形体)への塗装では、粉体塗料を加熱、溶融する際に被塗物が軟化し変形してしまう。このため、前記低耐熱性材料からなる被塗物への粉体塗装では、付着させた粉体塗料を加熱溶融することができず、高い塗膜強度を有する塗膜を形成することが困難であるという問題がある。
そこで、高い塗膜強度を有する塗膜を得るために、紫外線硬化型粉体塗料が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この提案の技術では、紫外線照射により粉体塗料を硬化させるために、高い塗膜強度を有する塗膜を得ることができる。
しかしながら、この提案の技術においても、粉体塗料を加熱炉などで加熱溶融させる必要があり、前記低耐熱性材料からなる被塗物上にこの紫外線硬化型粉体塗料を適用した場合には、高い塗膜強度を得ることは困難であるという問題がある。
したがって、低耐熱性材料からなる被塗物上に塗装した場合においても、高い塗膜強度を得ることができる粉体塗料が求められているのが現状である。
特開2003−211078号公報
本発明は、低耐熱性材料からなる被塗物上に塗装した場合においても、高い塗膜強度を得ることができる粉体塗料を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、後述する付記に記載した通りである。即ち、
開示の粉体塗料は、赤外光吸収剤と、疎水性シリカとを含有する。
開示の塗膜形成方法は、被塗物表面に、開示の粉体塗料を付着させる工程と、前記粉体塗料に赤外光を照射して、前記被塗物表面に付着した前記粉体塗料を溶融させ塗膜を形成する工程とを含む。
開示の電子機器は、開示の粉体塗料が塗装された被塗物を少なくとも一部に含む。
開示の粉体塗料によれば、低耐熱性材料からなる被塗物上に塗装した場合においても、高い塗膜強度を得ることができる。
図1は、導電ローラを絶縁性を有する被塗物に接触させ、被塗物を帯電させる態様を示す模式図である。 図2は、キセノンフラッシュランプの分光分布である。 図3aは、被塗物表面に粉体塗料が付着している状態を示す模式図である。 図3bは、粉体塗料が溶融し塗膜が形成された状態を示す模式図である。
(粉体塗料)
本発明の粉体塗料は、赤外光吸収剤と、疎水性シリカとを少なくとも含有し、樹脂と、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
<赤外光吸収剤>
前記赤外光吸収剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化錫、酸化イッテルピウム、燐酸イッテルピウム、ニッケル錯体、アミニウム化合物、ジイモニウム化合物などが挙げられる。これらの中でも、アミニウム化合物、ジイモニウム化合物が、波長400nm〜800nmの可視光域の光吸収が小さく、色調への影響が少ないため好ましい。前記赤外光吸収剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アミニウム化合物としては、例えば、下記一般式(1)で表されるアミニウム化合物が挙げられる。
前記ジイモニウム化合物としては、例えば、下記一般式(2)で表されるジイモニウム化合物が挙げられる。
ただし、前記一般式(1)及び一般式(2)中、R〜R16は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ニトロ基、及びカルボキシル基のいずれかを表す。Aは、p−フェニレン基、及びp−ビフェニレン基のいずれかを表す。Xは、陰イオンを表す。
前記一般式(1)及び一般式(2)における前記ハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、フッ素原子、臭素原子などが挙げられる。
前記アルキル基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる、前記炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、iso−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基などが挙げられる。
前記アリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
前記アルコキシ基としては、例えば、炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられる。前記炭素数1〜6のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基などが挙げられる。
前記陰イオンとしては、例えば、塩素イオン、フッ素イオン、臭素イオンなどが挙げられる。
また、前記赤外光吸収剤としては、波長800nm〜1100nmの領域に発光ピーク波長を有する化合物が好ましい。
前記赤外光吸収剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記粉体塗料100質量部に対して、0.1質量部〜3質量部が好ましい。前記含有量が、0.1質量部未満であると、赤外光吸収率が小さく、前記粉体塗料を一様に溶融させることが困難になることがあり、3質量部を超えると、前記赤外光吸収剤の可視光領域での吸収の影響が大きくなり、塗膜の色調が損なわれることがある。
<疎水性シリカ>
前記疎水性シリカとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
なお、本発明において、疎水性シリカとは、疎水化度が30以上のシリカのことをいう。前記疎水化度の測定方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
−疎水化度の測定方法−
200mLのビーカーに純水を50mL入れ、次に処理後のシリカ粉末0.2gを入れる。マグネットスタラーで攪拌しながら、先端を水中に入れたビューレットからメタノールを加えていく。水面に浮いていた試料が濡れて、完全に水中に分散した時のメタノールの量をAmLとすると、疎水化度は下記式から求められる。
疎水化度=100A/(50+A)
所望の疎水化度にする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリカ微粉末の表面に存在するシラノール基をシランカップリング剤等で処理する方法が挙げられる。具体的には、例えば、流動状態の未処理シリカ微粉末にヘキサメチルジシラザンのエタノール溶液を適量噴霧した後、加熱してエタノールを揮発させる方法が挙げられる。
前記疎水性シリカの平均一次粒子径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、7nm〜16nmが好ましい。前記平均一次粒子径が、7nm未満であるか、16nmを超えると、前記粉体塗料の嵩密度が小さくなり、塗膜強度が低下することがある。
また、前記疎水性シリカとしては、平均一次粒子径7nm以上12nm未満の疎水性シリカと平均一次粒子径12nm以上20nm未満の疎水性シリカとの混合物であることが、凝集度が高くなり、塗膜強度が高くなる点で好ましい。
前記平均一次粒子径は、疎水性シリカを透過型電子顕微鏡により観察し画像解析することにより求めることができる。画像解析においては、50個の疎水性シリカの画像を解析し、それぞれの疎水性シリカの一次粒子径を求める。そして、それらの平均値を計算することにより、平均一次粒子径を求めることができる。
また、前記疎水性シリカが、平均一次粒子径7nm以上12nm未満の疎水性シリカと平均一次粒子径12nm以上20nm未満の疎水性シリカとの混合物であるかどうかは、例えば、透過型電子顕微鏡による観察において求められる疎水性シリカの粒子径分布が2峰性になることにより確認することができる。
前記疎水性シリカは、市販品を用いることができる。前記市販品としては、例えば、日本アエロジル社製のアエロジルR811(平均一次粒子径12nm、疎水化度70)、アエロジルR812(平均一次粒子径7nm、疎水化度75)、アエロジル972(平均一次粒子径16nm、疎水化度60)、アエロジルOX50(平均一次粒子径40nm、疎水化度35)などが挙げられる。
前記疎水性シリカの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記粉体塗料100質量部に対して、0.01質量部〜1.0質量部が好ましい。前記含有量が、0.01質量部未満であると、前記粉体塗料の嵩密度が小さくなり、塗膜強度が低下することがあり、1.0質量部を超えると、前記疎水性シリカが熱溶融しないために、前記粉体塗料の融着が弱くなり塗膜強度が低下することがある。
<樹脂>
前記樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリエチレン樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂などが挙げられる。前記樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−ポリエステル樹脂−
前記ポリエステル樹脂は、多価アルコール成分と、多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物、多価カルボン酸エステルなどの多価カルボン酸成分とを用いて得られる。
前記多価アルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオールなどが挙げられる。また、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜10)付加物;エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、水添ビスフェノールA、ソルビトール、又はそれらのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜10)付加物等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記多価カルボン酸成分としては、例えば、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸、マレイン酸等のジカルボン酸;ドデセニルコハク酸、オクチルコハク酸等の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸;トリメリット酸、ピロメリット酸;それらの酸の無水物及びそれらの酸のアルキル(炭素数1〜8)エステル等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−エポキシ樹脂−
前記エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、及び該エポキシ樹脂にハロゲンを導入したハロゲン化エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ビスフェノール型エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、エピコート828、エピコート1001、エピコート1004、エピコート1007、エピコート1009(いずれもシェルケミカル社製)などが挙げられる。
−アクリル樹脂−
前記アクリル樹脂としては、例えば、アクリル酸及びその誘導体、並びにメタアクリル酸及びその誘導体の少なくともいずれかと、必要によりこれら以外のエチレン性不飽和結合含有モノマーとを重合したものが挙げられる。
前記アクリル酸の誘導体としては、アクリル酸エステル類、アクリルアミド類、アクリロニトリル類などが挙げられる。
前記アクリル酸エステル類としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、グリシジルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、アミルアクリレート、ビニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、グリセリルトリアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレートなどが挙げられる。
前記アクリルアミド類としては、例えば、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドなどが挙げられる。
前記アクリロニトリル類としては、例えば、アクリロニトリル、エチルシアノアクリロニトリルなどが挙げられる。
前記メタクリル酸の誘導体としては、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド類、メタクリロニトリル類などが挙げられる。
前記メタクリル酸エステル類としては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ビニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、エチル−α−ヒドロキシメチルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、グリセリルトリメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレートなどが挙げられる。
前記メタクリルアミド類としては、例えば、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドなどが挙げられる。
前記メタクリロニトリル類としては、例えば、メタクリロニトリル、エチルシアノメタクリロニトリルなどが挙げられる。
前記エチレン性不飽和結合含有モノマーとしては、例えば、スチレン、酢酸ビニル、ビニルトルエン、マレイン酸などが挙げられる。
前記樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記粉体塗料100質量部に対して、50質量部〜99質量部が好ましく、55質量部〜95質量部がより好ましく、70質量部〜93質量部が特に好ましい。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、例えば、着色剤、帯電制御剤、電気抵抗制御剤、硬化剤などが挙げられる。
−着色剤−
前記着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、二酸化チタン、ベンガラ、黄色酸化鉄、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、キナクリドン系赤色顔料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記着色剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することがでるが、前記粉体塗料100質量部に対して、1質量部〜10質量部が好ましい。前記含有量が、1質量部未満であると、鮮やかな色調が得られないことがあり、10質量部を超えると、塗膜の強度が低下することがある。
−帯電制御剤−
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電子受容性の有機錯体、塩素化パラフイン、塩素化ポリエステル、酸基過剰のポリエステル、銅フタロシアニンのスルホニルアミン、カリックスアレン化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記帯電制御剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
−電気抵抗制御剤−
前記電気抵抗制御剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、針状酸化チタン、酸化アルミニウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記電気抵抗制御剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
−硬化剤−
前記硬化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミン、アミド、ジシアンジアミド、カルボン酸、酸無水物、イソシアネート、ポリスルフィド、酸ジヒドラジド、イミダゾールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記硬化剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記粉体塗料の嵩密度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5g/mL以上が好ましく、0.5g/mL〜0.8g/mLがより好ましい。前記嵩密度が、0.5g/mL未満であると、塗膜強度が低下することがある。前記嵩密度が、前記より好ましい範囲であると、塗膜強度がより優れる点で有利である。
前記嵩密度は、例えば、粉体特性評価装置(パウダテスタPT−S、ホソカワミクロン社製)を用いて測定することができる。
前記粉体塗料の体積平均粒子径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30μm〜80μmであることが好ましい。前記体積平均粒子径が、30μm未満であると、塗装の際に被塗物に付着しない前記粉体塗料が増加し、塗装による粉体塗料のロスが生じること、及び前記粉体塗料により形成される塗膜の厚みが薄くなることがあり、80μmを超えると、体積平均粒子径が大きすぎるため、塗装後の加熱前の粉体の状態において平滑性が得られにくくなり、塗膜強度が低くなることがある。
前記体積平均粒子径は、例えば、コールターカウンターTA−II(コールター社製)を用いて測定することができる。
前記粉体塗料は、赤外光が照射されると、前記赤外光吸収剤が赤外光を吸収して発熱することで、前記樹脂などが溶融し、流動化して、塗膜を形成する。前記粉体塗料中の前記赤外光吸収剤が発熱するため、被塗物への熱的影響が少なく、そのため、低耐熱性材料からなる被塗物上に前記粉体塗料を塗装しても、高い塗膜強度を有する塗膜を得ることができる。
前記粉体塗料は、前記疎水性シリカを含有することにより、前記粉体塗料の流動性が向上し、嵩密度が適度に大きくなる。そのため、被塗物に塗装された赤外光照射前の前記粉体塗料は、空隙率が小さい。その粉体塗料に赤外光を照射すると、空隙率が小さいこと、及び熱伝導が高いことにより、前記粉体塗料は充分に溶融し、強固な塗膜を形成する。なお、前記疎水性シリカは、前記粉体塗料の粒子の表面に付着していることが好ましい。
<粉体塗料の製造方法>
前記粉体塗料の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、原料混合物を溶融混練し混練物を得る工程と、得られた混練物を粉砕、分級し粉砕物を得る工程と、得られた粉砕物に前記疎水性シリカを付着させる工程とを含むことが、前記疎水性シリカが、得られる粉体塗料の粒子の表面に付着し、高い塗膜強度を有する粉体塗料が得られる点で好ましい。
−混練物を得る工程−
前記混練物を得る工程としては、原料混合物を溶融混練し混練物を得る工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
−−原料混合物−−
前記原料混合物としては、例えば、前記樹脂と、前記赤外光吸収剤と、さらに必要により、前記着色剤と、前記帯電制御剤と、前記電気抵抗制御剤とを混合した混合物が挙げられる。
前記原料混合物を得る方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、各種原料を混合機を用いて混合する方法が挙げられる。前記混合機としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機社製)が挙げられる。前記混合の際の温度、時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
−−溶融混練−−
前記溶融混練の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、混練機を用いる方法が挙げられる。前記混練機としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ニーダ(KH−3−S、井上製作所製)が挙げられる。
前記溶融混練の際の温度、時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
−混練物を得る工程−
前記混練物を得る工程としては、得られた混練物を粉砕、分級し粉砕物を得る工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
−−粉砕、分級−−
前記粉砕、分級の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粉砕、分級機を用いる方法が挙げられる。前記粉砕、分級機としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、超音速ジェット粉砕機ラボジェット(日本ニューマチック工業社製)が挙げられる。
−疎水性シリカを付着させる工程−
前記疎水性シリカを付着させる工程としては、前記粉砕物の表面に前記疎水性シリカを付着させる工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、混合機を用いて前記粉砕物の表面に前記疎水性シリカを付着させる工程が挙げられる。
前記混合機としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機社製)が挙げられる。前記混合の際の温度、時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
(塗膜形成方法)
本発明の塗膜形成方法は、被塗物表面に、粉体塗料を付着させる工程と、前記粉体塗料に赤外光を照射して、前記被塗物表面に付着した前記粉体塗料を溶融させ塗膜を形成する工程と少なくともを含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
<付着させる工程>
前記付着させる工程は、前記被塗物表面に、粉体塗料を付着させる工程である。
前記粉体塗料としては、本発明の前記粉体塗料が挙げられる。
−被塗物−
前記被塗物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、絶縁性を有する被塗物が挙げられる。
前記絶縁性を有する被塗物の材質としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂(PA)、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリスチレン樹脂(PS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂(AS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂(ABS)、塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリカーボネート樹脂(PC)、スチレン−アクリル酸エチル樹脂(AES)、ポリカーボネート/ABSアロイ樹脂などが挙げられる。
前記ポリアミド樹脂(PA)としては、例えば、ナイロン−6,6樹脂、ナイロン−6樹脂、ナイロン−12樹脂、ナイロン−11樹脂、ナイロン−6,10樹脂などが挙げられる。
また、前記被塗物としては、例えば、低耐熱性材料からなる被塗物が挙げられる。前記低耐熱性材料としては、例えば、融点が150℃以下の樹脂が挙げられる。また、前記低耐熱性材料としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリスチレン樹脂(PS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂(AS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂(ABS)、塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリカーボネート樹脂(PC)、スチレン−アクリル酸エチル樹脂(AES)、ポリカーボネート/ABSアロイ樹脂などが挙げられる。
−付着−
前記付着は、前記粉体塗料を前記被塗物表面に塗装することにより行うことができる。
前記塗装の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、以下の(1)及び(2)の方法などが挙げられる。
(1):付着性を改善するプライマー処理を施した絶縁性を有する被塗物を帯電させ、前記帯電した被塗物と逆の極性を有する粉体塗料を塗装機により塗装する方法。
(2):絶縁性を有する被塗物上を摺動可能に設けられた導電ローラに極性を有するバイアス電圧を印加し、前記被塗物が帯電するように前記導電ローラを前記被塗物に接触させる工程と、帯電した前記被塗物に前記極性と逆極性を有する粉体塗料を静電付着させる工程とを含む塗装方法(導電ローラを用いた塗装方法)。
これらの塗装方法の中でも、前記(2)の導電ローラを用いた塗装方法が、被塗物にプライマー処理をする必要がない点、及び絶縁性を有する被塗物における帯電量のばらつきの発生を抑制できる点で好ましい。
−導電ローラを用いた塗装方法−
前記導電ローラを用いた塗装方法は、前記導電ローラを前記被塗物に接触させる工程と、粉体塗料を静電付着させる工程とを含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
−−導電ローラを被塗物に接触させる工程−−
前記導電ローラを前記被塗物に接触させる工程は、絶縁性を有する被塗物上を摺動可能に設けられた導電ローラに極性を有するバイアス電圧を印加し、前記被塗物が帯電するように前記導電ローラを前記被塗物に接触させる工程である。
−−−導電ローラ−−−
前記導電ローラとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、芯材と、前記芯材の周りに巻き付けられた導電性を有する繊維とを備える導電ローラが挙げられる。
前記芯材の材質、形状、大きさ、構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記芯材の材質としては、例えば、ステンレスが挙げられる。
前記繊維の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、レーヨン繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維などが挙げられる。前記繊維は、例えば、粒子形状を有するカーボンが前記繊維中に分散されることによって導電性が付与されることが好ましい。
前記繊維の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、パイル織りしたものの先端を切りそろえた形状が好ましい。
前記導電ローラには、電源を通じて、バイアス電圧が印加される。前記バイアス電圧としては、例えば、直流成分を含むバイアス電圧が挙げられる。
前記導電ローラを前記絶縁性を有する被塗物に接触させ、被塗物を帯電させる態様を図を用いて説明する。図1は、導電ローラを絶縁性を有する被塗物に接触させ、被塗物を帯電させる態様を示す模式図である。
電源1は、導電ローラ2にプラスの直流バイアス成分を有するバイアス電圧を印加する。次いで、前記導電ローラ2は、不図示の回転駆動源によって、矢印Aの方向に回転する。その際、前記導電ローラ2が被塗物3に接触し、導電性を有する繊維2aによって前記被塗物3の表面が摩擦されることによって、前記被塗物3はプラスの電荷を有するように帯電される。前記導電ローラ2は、前記被塗物3上を摺動可能に設けられており、前記導電ローラ2が回転しながら前記被塗物上を摺動することにより、前記被塗物3は均一に帯電される。
−粉体塗料を静電付着させる工程−
前記粉体塗料を静電付着させる工程は、帯電した前記被塗物に前記極性と逆極性を有する粉体塗料を静電付着させる工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、静電塗装ガンを用いて前記粉体塗料を前記被塗物に塗布することにより行うことができる。
−−静電塗装ガン−−
前記静電塗装ガンとしては、例えば、コロナ帯電型塗装ガンが挙げられる。
前記コロナ帯電型塗装ガンは、例えば、噴射ノズル、ガイド、及び荷電圧印加装置によって構成されている。
前記噴射ノズルは、前記粉体塗料の塗装に使用できるものであることが好ましい。前記ガイドは、帯電された前記粉体塗料の噴射方向を変えるために設けられる。前記荷電圧印加装置は、前記粉体塗料に電圧を印加して、前記粉体塗料を帯電させるために設けられる。
前記荷電圧印加装置に印加される荷電圧としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50kV〜1,000kVが好ましい。前記荷電圧印加装置に印加される荷電圧が、50kV未満であると、前記粉体塗料の粒子が帯電せず、塗装できなくなることがあり、1,000kVを超えると、前記粉体塗料によって形成される個々の粒子の帯電性にムラが発生し、塗装ムラが発生することがある。
<塗膜を形成する工程>
前記塗膜を形成する工程としては、前記粉体塗料に赤外光を照射して、前記被塗物表面に付着した前記粉体塗料を溶融させ塗膜を形成する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
−赤外光−
前記赤外光の波長としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記赤外光を照射する光源としては、例えば、フラッシュランプが挙げられる。前記フラッシュランプとしては、例えば、800nm〜1,100nmの領域に発光ピークを有するキセノンフラッシュランプが挙げられる。
図2に、キセノンフラッシュランプの分光分布を示す。
図3a及び図3bに被塗物表面に付着した粉体塗料を溶融させ塗膜を形成する工程を示す。
図3aは、被塗物3表面に粉体塗料4が付着している状態を示している。前記粉体塗料4は、粉体塗料の粒子4aの表面に前記疎水性シリカ4bが付着しているため、前記粉体塗料4の流動性が向上し、嵩密度が適度に大きくなっている。そのため、前記被塗物3に付着した赤外光照射前の前記粉体塗料4は、空隙率が小さい。
図3bは、粉体塗料が溶融し塗膜が形成された状態を示している。被塗物3表面に付着した粉体塗料4にキセノンフラッシュランプからの赤外光が照射されると、前記粉体塗料4は充分に溶融し、前記被塗物3上に強固な塗膜5が形成される。
(電子機器)
本発明の電子機器は、前記粉体塗料が塗装された被塗物を少なくとも一部に含み、更に必要に応じて、その他の部材を含む。
前記電子機器における前記被塗物としては、例えば、電子機器筐体が挙げられる。前記電子機器筐体としては、例えば、ノートパソコン、パーソナルデジタルアシスタンス(PDA)、携帯電話、カーナビゲーションシステムなどの筐体が挙げられる。
前記電子機器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ノートパソコン、パーソナルデジタルアシスタンス(PDA)、携帯電話、カーナビゲーションシステムなどが挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら制限されるものではない。なお、「部」は質量部を示す。
(製造例1)
<導電ローラの製造>
直径5mmの導電性のステンレス棒(芯材)の周りにパイル織りにした導電性の繊維をブラシ状にして巻き付け、その後、繊維長を6mmに切り揃えた後、繊維の先端を寝かせ、直径15mmの回転型に成形することによって、導電ローラを得た。前記導電性の繊維は、レーヨン繊維の内部にカーボン粒子を一様に分散させることで導電性を付与した繊維である。前記導電ローラの電気抵抗は1×100,000Ωであった。
(実施例1)
<粉体塗料の作製>
−組成−
・樹脂:ポリエステル樹脂 90部
(ビスフェノールAエチレンオキサイド2.2モル付加物及びテレフタル酸の縮合物、数平均分子量(Mn)=4,500、重量平均分子量(Mw)=13,000、軟化温度100℃)
・帯電制御剤:カリックスアレン化合物 2部
(BONTRON E84、オリエント化学社製)
・電気抵抗制御剤:針状酸化チタン(FT−1000、石原テクノ社製) 2部
・着色剤:赤顔料(KET Red 338、DIC社製) 5部
・赤外光吸収剤:アミニウム化合物 1部
(NIR−AM1、帝国化学産業社製、前記一般式(1)の構造に該当する化合物)
以上の組成の原料混合物をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機社製)に投入し、2,000rpmで1分間混合した。その後、100℃に加熱したニーダ(KH−3−S、井上製作所製)を用い、30分間溶融混練し混練物を得た。得られた混練物を冷却した後、ハンマーミルで粉砕後、気流式の粉砕器(超音速ジェット粉砕機ラボジェット、日本ニューマチック工業社製)により、粉砕分級を行った。
次に、疎水性シリカとして、平均一次粒子径12nmのアエロジルR811(日本アエロジル社製、疎水化度70)0.1部と分級後の粒子100部とをヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機社製)に投入し、1,000rpmで1分間混合し、疎水性シリカを粒子表面に付着させた粉体塗料を得た。
得られた粉体塗料の体積平均粒子径は50μmであった。
得られた粉体塗料の嵩密度は0.6g/mLであった。
<塗膜の作製>
製造例1で作製した導電ローラを用い、図1に示すように、ブラシ接触長さ1mm、回転数500rpm、印可電圧1kVで前記導電ローラを被塗物としてのポリカーボネート/ABSアロイ樹脂板(100mm×100mm、厚み5mm)に接触させ正帯電させた。
次に、コロナ帯電型塗装ガン(ランズバーグ・インダストリー社製、OptiFlex S)を用い、前記粉体塗料を負帯電させた後に、前記粉体塗料を前記被塗物に噴射させ、塗装を行った。
次に、60℃で10分間予備加熱した後、キセノンフラッシュランプにより以下に示す条件で光照射し、前記粉体塗料を溶融させ塗膜を形成した。
得られた塗膜の厚みは90μmであった。
−光照射照射条件−
ウシオ電機社製のキセノンフラッシュランプ(内径10.5mm、アーク長200mm)を2つ用い、隣り合うランプ同士のランプ中心軸間隔が36mm、ランプ中心軸からランプ側に設置されたランプ窓までの距離が25mmになるようにそれぞれランプを設置した。被塗物は、搬送速度5cm/秒でベルトコンベアによりランプ窓の直下を通過した。被塗物表面における発光エネルギー密度は4.5J/cmであった。被塗物が照射される際の発光時間は、1,000μ秒とした。
<測定>
−体積平均粒子径の測定−
粉体塗料の体積平均粒子径は、、コールターカウンターTA−II(コールター社製)を用いて測定した。結果を表1に示す。
−嵩密度の測定−
粉体塗料の嵩密度の測定は、次の方法で行った。
パウダーテスターPT−S(ホソカワミクロン社製)を用いて、メスシリンダーに所定量の粉体塗料を入れ静置し、次に、衝撃を加えながら、粉体塗料を沈降させ、沈降しなくなったときの粉体塗料の容積を測定し、下式より粉体塗料の嵩密度を求めた。結果を表1に示す。
(嵩密度)=(粉体塗料の質量/粉体塗料の容積)
<評価>
−塗膜強度試験−
被塗物に形成された塗膜面を幅5mmにてクロスカット(50mm×50mm)し100個のマス目を作り、セロハンテープにて剥離を試み、100個のマス目のうち剥離せず残存したマス目の数を測定し、以下の評価基準により評価した。結果を表1に示す。
◎:残存状態 90/100以上
○:残存状態 70/100以上90/100未満
△:残存状態 60/100以上70/100未満
×:残存状態 60/100未満
(実施例2)
実施例1において、粉体塗料の体積平均粒子径を30μmにした以外は、実施例1と同様にして、粉体塗料、及び塗膜を作製した。
得られた粉体塗料、及び塗膜について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1において、粉体塗料の体積平均粒子径を80μmにした以外は、実施例1と同様にして、粉体塗料、及び塗膜を作製した。
得られた粉体塗料、及び塗膜について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1において、粉体塗料の体積平均粒子径を25μmにした以外は、実施例1と同様にして、粉体塗料、及び塗膜を作製した。
なお、塗装時に被塗物へ付着する粉体塗料の量が、実施例1の塗装時と比べて少なく(すなわち、塗装の際の粉体塗料のロスが多く)、その結果、得られた塗膜の厚みは50μmと薄くなった。
得られた粉体塗料、及び塗膜について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例1において、粉体塗料の体積平均粒子径を85μmにした以外は、実施例1と同様にして、粉体塗料、及び塗膜を作製した。
得られた粉体塗料、及び塗膜について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例1において、疎水性シリカを疎水性シリカ(アエロジルR812、日本アエロジル社製、平均一次粒子径7nm、疎水化度75)に代えた以外は、実施例1と同様にして、粉体塗料、及び塗膜を作製した。
得られた粉体塗料、及び塗膜について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例7)
実施例1において、疎水性シリカを疎水性シリカ(アエロジル972、日本アエロジル社製、平均一次粒子径16nm、疎水化度60)に代えた以外は、実施例1と同様にして、粉体塗料、及び塗膜を作製した。
得られた粉体塗料、及び塗膜について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例8)
実施例1において、疎水性シリカを疎水性シリカ(日本アエロジル社製のアエロジルR812を粉砕したもの、平均一次粒子径5nm、疎水化度75)に代えた以外は、実施例1と同様にして、粉体塗料、及び塗膜を作製した。
得られた粉体塗料、及び塗膜について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例9)
実施例1において、疎水性シリカを疎水性シリカ(アエロジルOX50、日本アエロジル社製、平均一次粒子径40nm、疎水化度35)に代えた以外は、実施例1と同様にして、粉体塗料、及び塗膜を作製した。
得られた粉体塗料、及び塗膜について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例10)
実施例1において、疎水性シリカの配合量を0.1部から0.01部に代えた以外は、実施例1と同様にして、粉体塗料、及び塗膜を作製した。
得られた粉体塗料、及び塗膜について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例11)
実施例1において、疎水性シリカの配合量を0.1部から1.0部に代えた以外は、実施例1と同様にして、粉体塗料、及び塗膜を作製した。
得られた粉体塗料、及び塗膜について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例12)
実施例1において、疎水性シリカの配合量を0.1部から0.008部に代えた以外は、実施例1と同様にして、粉体塗料、及び塗膜を作製した。
得られた粉体塗料、及び塗膜について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例13)
実施例1において、疎水性シリカの配合量を0.1部から1.2部に代えた以外は、実施例1と同様にして、粉体塗料、及び塗膜を作製した。
得られた粉体塗料、及び塗膜について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例14)
実施例1において、疎水性シリカの種類及びその配合量を、アエロジルR812(日本アエロジル社製、平均一次粒子径7nm、疎水化度75)0.5部、及びアエロジルR811(日本アエロジル社製、平均一次粒子径12nm、疎水化度70)0.5部に代えた以外は、実施例1と同様にして、粉体塗料、及び塗膜を作製した。
得られた粉体塗料、及び塗膜について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例15)
実施例1において、ポリエステル樹脂をアクリル樹脂(数平均分子量(Mn):8,500、重量平均分子量(Mw):45,000、Tg:75℃)に代えた以外は、実施例1と同様にして、粉体塗料、及び塗膜を作製した。
得られた粉体塗料、及び塗膜について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例16)
実施例1において、ポリエステル樹脂をエポキシ樹脂(数平均分子量(Mn):4,000、重量平均分子量(Mw):15,000、Tg:60℃)に代えた以外は、実施例1と同様にして、粉体塗料、及び塗膜を作製した。
得られた粉体塗料、及び塗膜について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例17)
実施例1において、アミニウム化合物の配合量を1部から2部に代えた以外は、実施例1と同様にして、粉体塗料、及び塗膜を作製した。
得られた粉体塗料、及び塗膜について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例18)
実施例1において、アミニウム化合物をジイモニウム化合物(NIR−IM1、帝国化学産業社製、前記一般式(2)の構造に該当する化合物)に代えた以外は、実施例1と同様にして、粉体塗料、及び塗膜を作製した。
得られた粉体塗料、及び塗膜について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例19)
実施例1において、塗膜の作製の際に、導電ローラを用いて正帯電させたポリカーボネート/ABSアロイ樹脂板を用いずに、プライマー処理をしたポリカーボネート/ABSアロイ樹脂板(100mm×100mm、厚み5mm)を用いた以外は、実施例1と同様にして、粉体塗料、及び塗膜を作製した。
導電ローラを用いた実施例1と比較して、プライマー処理を要するため、塗膜の作製に工数がかかった。
得られた粉体塗料、及び塗膜について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、疎水性シリカを配合しない以外は、実施例1と同様にして、粉体塗料、及び塗膜を作製した。
得られた粉体塗料、及び塗膜について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1において、疎水性シリカを親水性シリカ(SS02、ニップンテクノクラスタ社製、平均一次粒子径10nm、疎水化度2)に代えた以外は、実施例1と同様にして、粉体塗料、及び塗膜を作製した。
得られた粉体塗料、及び塗膜について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
以上の実施例1〜19を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)赤外光吸収剤と、疎水性シリカとを含有することを特徴とする粉体塗料。
(付記2)疎水性シリカの平均一次粒子径が、7nm〜16nmである付記1に記載の粉体塗料。
(付記3)疎水性シリカが、平均一次粒子径7nm以上12nm未満の疎水性シリカと平均一次粒子径12nm以上20nm未満の疎水性シリカの混合物である付記1に記載の粉体塗料。
(付記4)疎水性シリカの含有量が、粉体塗料100質量部に対して、0.01質量部〜1.0質量部である付記1から3のいずれかに記載の粉体塗料。
(付記5)疎水性シリカが、疎水化度30以上である付記1から4のいずれかに記載の粉体塗料。
(付記6)嵩密度が、0.5g/mL以上である付記1から5のいずれかに記載の粉体塗料。
(付記7)体積平均粒子径が、30μm〜80μmである付記1から6のいずれかに記載の粉体塗料。
(付記8)赤外光吸収剤が、下記一般式(1)で表されるアミニウム化合物、及び下記一般式(2)で表されるジイモニウム化合物のいずれかである付記1から7のいずれかに記載の粉体塗料。
ただし、前記一般式(1)及び一般式(2)中、R〜R16は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ニトロ基、及びカルボキシル基のいずれかを表す。Aは、p−フェニレン基、及びp−ビフェニレン基のいずれかを表す。Xは、陰イオンを表す。
(付記9)被塗物表面に、付記1から8のいずれかに記載の粉体塗料を付着させる工程と、
前記粉体塗料に赤外光を照射して、前記被塗物表面に付着した前記粉体塗料を溶融させ塗膜を形成する工程とを含むことを特徴とする塗膜形成方法。
(付記10)付記1から8のいずれかに記載の粉体塗料が塗装された被塗物を少なくとも一部に含むことを特徴とする電子機器。
1 電源
2 導電ローラ
2a 繊維
3 被塗物
4 粉体塗料
4a 粉体塗料の粒子
4b 疎水性シリカ
5 塗膜

Claims (5)

  1. 赤外光吸収剤と、疎水性シリカとを含有することを特徴とする粉体塗料。
  2. 疎水性シリカの平均一次粒子径が、7nm〜16nmである請求項1に記載の粉体塗料。
  3. 嵩密度が、0.5g/mL以上である請求項1から2のいずれかに記載の粉体塗料。
  4. 被塗物表面に、請求項1から3のいずれかに記載の粉体塗料を付着させる工程と、
    前記粉体塗料に赤外光を照射して、前記被塗物表面に付着した前記粉体塗料を溶融させ塗膜を形成する工程とを含むことを特徴とする塗膜形成方法。
  5. 請求項1から3のいずれかに記載の粉体塗料が塗装された被塗物を少なくとも一部に含むことを特徴とする電子機器。
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