JP2012075369A - シス作用エレメント及びその利用 - Google Patents
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Abstract
【課題】糸状菌等を宿主細胞とした際の所望の遺伝子の発現量を大幅に向上する。
【解決手段】本発明に係るシス作用エレメントは、XlnR/Ace2結合配列(ggctaa)及びHap複合体結合配列(ccaat)が0〜100のスペーサー配列を介して配置した領域を有する。また、本発明に係るシス作用エレメントを有する形質転換体を、例えばキシラン含有培地にて培養することで所望の遺伝子の発現を大幅に向上させることができる。
【選択図】なし
【解決手段】本発明に係るシス作用エレメントは、XlnR/Ace2結合配列(ggctaa)及びHap複合体結合配列(ccaat)が0〜100のスペーサー配列を介して配置した領域を有する。また、本発明に係るシス作用エレメントを有する形質転換体を、例えばキシラン含有培地にて培養することで所望の遺伝子の発現を大幅に向上させることができる。
【選択図】なし
Description
本発明は、糸状菌を宿主としたタンパク質生産に際して、所望の遺伝子の発現を正に調節するシス作用エレメント、当該シス作用エレメントを有する核酸構築物、発現ベクター並びに形質転換細胞、及び当該シス作用エレメントを利用した物質の製造方法に関する。
アスペルギルス属やトリコデルマ属等に属する糸状菌は、各種発酵食品の製造、医薬品等の物質生産(発酵工業)等に使用される微生物として知られている。糸状菌のなかでも、ペニシリウム属菌やセファロスポリウム属菌は抗生物質を生産する菌として知られている。また、糸状菌の中でもトリコデルマ属菌はセルラーゼを生産する菌として、アスペルギルス属菌はプロテアーゼ及びラクターゼを生産する菌として知られている。
糸状菌が生産する物質の中でも、セルラーゼやプロテアーゼ等の酵素は、遺伝子産物であるため、当該遺伝子の発現量を向上させることで直接的に生産性を向上させることができる。言い換えれば、上述したような酵素といったタンパク質の生産性を向上させるには、糸状菌内における所定の遺伝子の発現量を向上させる手段の開発が望まれる。
非特許文献1には、トリコデルマ・レセイにおける外来遺伝子の発現を向上させる方法が開示されている。非特許文献1に開示された方法では、セロビオヒドロラーゼ遺伝子(cbh1)のプロモーターを、グルコース・リプレッサー結合部位を含む領域を欠失させるとともに、CCAATボックスとAce2結合部位を含む200bpの領域を繰り返して連結するように改変した改変プロモーターを作製している。
そして、非特許文献1では、この改変プロモーターの下流にレポーター遺伝子を連結した形質転換トリコデルマ・レセイを作製し、得られた形質転換体をラクトース含有培地で培養してレポータアッセイにより改変プロモーターの活性を評価している。その結果、上記200bpの領域を4回繰り返したプロモーターは、当該領域を1つのみ有するプロモーターと比較してプロモーター活性が約1.4倍に向上していた。なお、当該領域を6回繰り返したプロモーターの活性は、当該領域を4回繰り返したプロモーターとほぼ同等であった。
このように、非特許文献1は、トリコデルマ・レセイにおける外来遺伝子の量を最大1.4倍程度に増強する手段を提供している。しかしながら、糸状菌を用いた物質生産においては、より優れた生産性が求められ、目的とする遺伝子の発現量を更に大幅に向上させることが求められている。また、糸状菌を用いた物質生産においては、上述のように遺伝子の発現量を向上させるとともに、生産コストも低く抑えることが求められている。
Acta. Biochim. Biophys. Sin. (2008): 158-165
そこで、本発明は、糸状菌等を宿主細胞とした際の所望の遺伝子の発現量を大幅に向上することができる新規なシス作用エレメント、当該シス作用エレメントを有する核酸構築物、発現ベクター並びに形質転換細胞、及び当該シス作用エレメントを利用した物質の製造方法を提供することを目的としている。
上述した目的を達成するため本発明者らが鋭意検討した結果、XlnR/Ace2結合配列(ggctaa)及びHap複合体結合配列(ccaat)を有する比較的に短い(上記非特許文献1に開示された200bpの領域と比較して)領域がシス作用エレメントとして下流の遺伝子を高発現させること、特に、当該領域がキシランの存在下において下流の遺伝子をより高発現させることを見いだし本発明を完成するに至った。
本発明は以下を包含する。
(1)XlnR/Ace2結合配列(ggctaa)及びHap複合体結合配列(ccaat)が0〜100のスペーサー配列を介して配置した領域を有するシス作用エレメント。
(2)nnnggctaannnnnnccaatnnnnnn(nはアデニン、シトシン、グアニン及びチミンから選ばれる任意の塩基:配列番号3)の塩基配列からなることを特徴とする(1)記載のシス作用エレメント。
(3)上記領域を、リンカー配列を介して複数繰り返したことを特徴とする(1)記載のシス作用エレメント。
(4)上記領域の繰り返し数が1〜50個であることを特徴とする(3)記載のシス作用エレメント。
(5)(1)乃至(4)いずれか一記載のシス作用エレメントと、プロモーター領域とを含む核酸構築物。
(6)(1)乃至(4)いずれか一記載のシス作用エレメントと、当該シス作用エレメントの下流に位置するプロモーター領域とを含む発現ベクター。
(7)上記プロモーター領域の下流に位置する遺伝子を更に含むことを特徴とする(6)記載の発現ベクター。
(8)(1)乃至(4)いずれか一記載のシス作用エレメントを、所望の遺伝子におけるプロモーター領域の上流に組み入れた形質転換体。
(9)上記所望の遺伝子が外来性の遺伝子であることを特徴とする(8)記載の形質転換体。
(10)糸状菌を宿主細胞とすることを特徴とする(8)記載の形質転換体。
(11)(8)乃至(10)いずれか一記載の形質転換体を培養し、培養後の培地及び/又は形質転換体内より目的物質を回収する、物質の製造方法。
(12)上記形質転換体をキシラン含有培地において培養することを特徴とする(11)記載の物質の製造方法。
(13)上記形質転換体を小麦フスマ培地にて培養することを特徴とする(11)記載の物質の製造方法。
(14)上記目的物質は、上記シス作用エレメントにより発現亢進される遺伝子によりコードされるタンパク質であることを特徴とする(11)記載の物質の製造方法。
(1)XlnR/Ace2結合配列(ggctaa)及びHap複合体結合配列(ccaat)が0〜100のスペーサー配列を介して配置した領域を有するシス作用エレメント。
(2)nnnggctaannnnnnccaatnnnnnn(nはアデニン、シトシン、グアニン及びチミンから選ばれる任意の塩基:配列番号3)の塩基配列からなることを特徴とする(1)記載のシス作用エレメント。
(3)上記領域を、リンカー配列を介して複数繰り返したことを特徴とする(1)記載のシス作用エレメント。
(4)上記領域の繰り返し数が1〜50個であることを特徴とする(3)記載のシス作用エレメント。
(5)(1)乃至(4)いずれか一記載のシス作用エレメントと、プロモーター領域とを含む核酸構築物。
(6)(1)乃至(4)いずれか一記載のシス作用エレメントと、当該シス作用エレメントの下流に位置するプロモーター領域とを含む発現ベクター。
(7)上記プロモーター領域の下流に位置する遺伝子を更に含むことを特徴とする(6)記載の発現ベクター。
(8)(1)乃至(4)いずれか一記載のシス作用エレメントを、所望の遺伝子におけるプロモーター領域の上流に組み入れた形質転換体。
(9)上記所望の遺伝子が外来性の遺伝子であることを特徴とする(8)記載の形質転換体。
(10)糸状菌を宿主細胞とすることを特徴とする(8)記載の形質転換体。
(11)(8)乃至(10)いずれか一記載の形質転換体を培養し、培養後の培地及び/又は形質転換体内より目的物質を回収する、物質の製造方法。
(12)上記形質転換体をキシラン含有培地において培養することを特徴とする(11)記載の物質の製造方法。
(13)上記形質転換体を小麦フスマ培地にて培養することを特徴とする(11)記載の物質の製造方法。
(14)上記目的物質は、上記シス作用エレメントにより発現亢進される遺伝子によりコードされるタンパク質であることを特徴とする(11)記載の物質の製造方法。
本発明に係るシス作用エレメントによれば、下流に位置する遺伝子の発現量を大幅に向上させることができる。本発明に係るシス作用エレメントを糸状菌の内在遺伝子における発現制御領域に組み込むことで、当該内在遺伝子を高発現させることができる。また、本発明に係るシス作用エレメントを有する発現ベクターを使用することで、当該発現ベクターに組み込んだ遺伝子を糸状菌内において高発現させることができる。
また、本発明に係る物質の製造方法によれば、上記シス作用エレメントを利用することで、所定の遺伝子の発現量が向上することにより、優れた生産性を達成することができる。すなわち、本発明に係る物質の製造方法は、上記シス作用エレメントにより発現が促進される遺伝子によりコードされるタンパク質及び/又は当該タンパク質が関与する各種物質の生産性を大幅に向上することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係るシス作用エレメントは、所定の塩基配列を有する領域を含み、下流に位置する遺伝子におけるプロモーター領域からの転写を促進する機能を有する。具体的に、本発明に係るシス作用エレメントは、XlnR/Ace2結合配列(ggctaa)及びHap複合体結合配列(ccaat)が0〜100塩基の核酸(スペーサー領域)を介して配置した領域を含む。換言すると、本発明に係るシス作用エレメントは、5'-ggctaaNmccaat-3'(配列番号1)又は5'-ccaatNmggctaa-3'(配列番号2)と表記される領域を含む。すなわち、本発明に係るシス作用エレメントは、5’側からXlnR/Ace2結合配列(ggctaa)及びHap複合体結合配列(ccaat)をこの順で有していてもよいし、5’側からHap複合体結合配列(ccaat)及びXlnR/Ace2結合配列(ggctaa)をこの順で有していても良い。
ここで、Nはアデニン、シトシン、グアニン及びチミンから選ばれる任意の塩基である。mは0〜100の整数である。すなわち、上記シス作用エレメントにおいて、Nmは0〜100の塩基長からなり、任意の塩基配列から構成される。特に、Nmの長さは、特に限定されないが、例えば1〜100塩基とすることができ、1〜50塩基とすることが好ましく、1〜20塩基とすることがより好ましく、3〜10塩基とすることが最も好ましい。mが0の場合とは、XlnR/Ace2結合配列(ggctaa)及びHap複合体結合配列(ccaat)がスペーサー領域を介さずに直接、連結されている場合を意味する。すなわち、本発明に係るシス作用エレメントは、XlnR/Ace2結合配列(ggctaa)及びHap複合体結合配列(ccaat)が直接連結した領域であるか、1〜100塩基の核酸(スペーサー領域)を介して配置した領域を含むと言い換えることができる。Nmからなる領域の長さを上記の範囲とすることで、優れた転写活性を達成することができる。
また、本発明に係るシス作用エレメントは、上述したXlnR/Ace2結合配列(ggctaa)、Hap複合体結合配列(ccaat)及びスペーサー領域を含む領域を複数繰り返して配置された構造を有することが好ましい。ここで、複数繰り返して配置するとは、所定の塩基長のリンカー配列を介して、上記領域をタンデムに配置することを意味する。リンカー配列とは、隣接する一対の領域の間に配置される所定の塩基長の領域を意味する。リンカー配列の塩基長としては、特に限定されないが、上記Nmと同様に1〜100の塩基長とすることができる。
本発明に係るシス作用エレメントの一例としては、nnnggctaannnnnnccaatnnnnnn(5'側→3'側:配列番号3)からなる領域を含む構成を挙げることができる(nはアデニン、シトシン、グアニン及びチミンから選ばれる任意の塩基)。配列番号3に示した領域においてggctaaとccaatに挟まれた6塩基はスペーサー領域であり、3'側の3塩基及び5'側の6塩基はリンカー配列を意味する。また、より具体的に、本発明に係るシス作用エレメントとしては、ttaggctaaacgtacccaatgataag(配列番号4)からなる領域を挙げることができる。なお、配列番号4に示した領域においても、ggctaaとccaatに挟まれた6塩基はスペーサー領域であり、3'側の3塩基及び5'側の6塩基はリンカー配列を意味する。
また、本発明に係るシス作用エレメントにおいて、上述した上述したXlnR/Ace2結合配列(ggctaa)、Hap複合体結合配列(ccaat)及びスペーサー領域を含む領域を複数配置する場合、当該領域の個数は限定されないが、例えば1〜50個とすることができ、2〜30個とすることが好ましく、6〜24個とすることがより好ましい。上記領域の個数が上記範囲を下回る場合、転写活性を向上させる効果が十分に発揮されない虞がある。また、上記領域の個数が多くなるほど転写活性がより向上するが、当該領域の個数が上記範囲を上回る場合には、転写活性をさらに向上させることができない虞がある。
以上のように、本発明に係るシス作用エレメントは、1又は複数の上記領域を配置することによって、下流に配置されたプロモーターからの転写活性を向上させることができる。ここで、下流とは、転写方向、すなわちセンス鎖における5'側から3'側に向かう方向を意味する。
本発明に係るシス作用エレメントを利用することによって、転写活性に優れた発現制御領域を有する核酸構築物を提供することができる。なお、シス作用エレメントによる転写活性向上効果は、上記核酸構築物にレポーター遺伝子を連結してレポーター遺伝子の発現を検出することによって評価できる。レポーター遺伝子としては、何ら限定されず、例えば、ルシフェラーゼ(LUC)遺伝子やβ-グルクロニダーゼ(GUS)遺伝子を使用することができる。これらレポーター遺伝子を用いたアッセイも、従来公知のプロトコルを適宜改変して使用することができる。
ここで、核酸構築物とは、上述した1又は複数の上記領域を有するシス作用エレメント、当該シス作用エレメントの下流に配置されたプロモーター領域を含む核酸を意味する。この核酸構築物は、例えば、両末端に制限酵素認識配列を有するように構築することもできる。また、この核酸構築物は、例えば、従来公知の発現ベクターに組み込むこともできる。すなわち、上述した本発明に係るシス作用エレメントを、所望の遺伝子の発現を可能とする発現ベクターに組み込むことで、当該遺伝子の発現を転写レベルで向上させることができる発現ベクターを提供できる。
この発現ベクターは、主として宿主細胞の形質転換に使用する従来公知のあらゆる発現ベクターに対して、上述したシス作用エレメントを組み込むことで作製することができる。また、上述したシス作用エレメントを有する発現ベクターは、宿主細胞の染色体に導入する形態や染色体外に保持する形態のいずれであっても良い。また、発現ベクターとしては、プラスミドベクター、コスミドベクター、ファージベクター等のいずれであっても良い。なお、発現ベクターには、上述したシス作用エレメント及びプロモーターの他に、エンハンサー、選択マーカー、複製開始点、マルチプルクローニングサイト等を備えることができる。
また、この発現ベクターを糸状菌に対する形質転換に使用する場合、プロモーターとして、宿主糸状菌内にて遺伝子発現を駆動できる限り、特に限定されず、例えばtef1プロモーター(A. oryzae由来)、cbh1プロモーター(T. reesei由来)、amyBプロモーター(A. oryzae由来)を好適に使用することができる。また、プロモーターとしては、その他にも、ADH3プロモーター、tpiAプロモーター、alcAプロモーター、taaG2プロモーター、gpdAプロモーター等を用いることができる。
上述したシス作用エレメントを有する発現ベクターに所望の遺伝子を組み込むことで、組換えベクターを作製することができる。この組換えベクターを用いて宿主細胞を形質転換することで、宿主細胞内において当該遺伝子が高レベルで転写されることとなる。ここで宿主細胞としては、特に限定されないが、糸状菌等の真菌であることが好ましく、特に糸状菌とすることがより好ましい。
宿主に使用できる糸状菌としては、特に限定されないが、Aspergillus nidulans、Aspergillus niger、Aspergillus oryzae、Aspergillus sojae、Aspergillus glaucus等のAspergillus属糸状菌、Trichoderma reesei、Trichoderma viride等のTrichoderma属糸状菌、Rhizomucor pusillus、Rhizomucor miehei等のRhizomucor属糸状菌、Penicillium notatum、Penicillium chrysogenum等のPenicillium属糸状菌、Rhizopus oryzae等のRhizopus属糸状菌、Acremonium cellulolyticus、Humicola grisea、Thermoaseus aurantiacusを挙げることができる。特に、宿主としては、Aspergillus属糸状菌、中でもAspergillus oryzae及びTrichoderma属糸状菌、中でもTrichoderma reeseiが好ましい。
組換えベクターを宿主に導入する方法としては、従来公知の各種方法、例えば、トランスフォーメーション法や、トランスフェクション法、接合法、プロトプラスト法、エレクトロポレーション法、リポフェクション法、酢酸リチウム法等を用いることができる。
また、組換えベクターを用いて宿主に導入する遺伝子としては、特に限定されず、各種タンパク質をコードする遺伝子を挙げることができる。例えば、アルカリプロテアーゼ遺伝子、α−アミラーゼ遺伝子、アスコルビン酸オキシダーゼ遺伝子、アスパルチックプロテアーゼ遺伝子、セロビオヒドロラーゼ遺伝子、セルラーゼ遺伝子、クチナーゼ遺伝子、エンドグルカナーゼ遺伝子、グルコアミラーゼ、β−グルコシダーゼ遺伝子、グリオキサールオキシダーゼ遺伝子、ラッカーゼ遺伝子、リグニンオキシダーゼ遺伝子、リグニンペルオキシダーゼ遺伝子、リパーゼ遺伝子、マンガンペルオキシダーゼ遺伝子、1,2-α-マンノシダーゼ遺伝子、ヌクレアーゼ遺伝子、ペクチンリアーゼ遺伝子、ペクチンメチルエステラーゼ遺伝子、酸性ホスファターゼ遺伝子、ポリガラクチュロナーゼ遺伝子、キシラナーゼ遺伝子、β-キシロシダーゼ遺伝子等を挙げることができる。中でも、トリコデルマ属菌由来のセロビオヒドロラーゼ遺伝子、エンドグルカナーゼ遺伝子、β−グルコシダーゼ遺伝子、アスペルギルス属菌由来のアミラーゼ遺伝子、プロテアーゼ遺伝子、グルコアミラーゼ遺伝子等を対象とすることが好ましい。
一方、本発明に係るシス作用エレメントは、上述したように所望の遺伝子とともに宿主細胞に導入される形態に限定されず、例えば、宿主細胞の内在遺伝子の発現制御量領域に組み込まれる形態にも適用することができる。本発明に係るシス作用エレメントを宿主細胞の内在遺伝子の発現制御量領域に組み込んだ組換え体も、上述した所望の遺伝子とともに宿主細胞に導入される形態とともに形質転換体と称する。
例えば、上述したシス作用エレメントを内在遺伝子のプロモーターの上流に挿入することによって、当該プロモーターからの転写活性を向上させることができる。若しくは、例えば、上述したシス作用エレメントとプロモーターとを含む核酸構築物を、内在遺伝子のコーディング領域の上流に挿入することによって、当該内在遺伝子の転写活性を向上させることができる。
上述したシス作用エレメント若しくは核酸構築物を、宿主細胞の染色体上の所望の位置に挿入するには、Ku遺伝子破壊株等を用いる手法等、従来公知の手法を用いることができる。例えば、挿入対象の位置の塩基配列情報を利用して相同組み換えにより、上述した1又は複数のシス作用エレメント若しくは上記核酸構築物を挿入することができる。ここで、ku遺伝子とは、非相同組み換えに必要なタンパク質をコードする遺伝子であり、例えばku70遺伝子及びku80遺伝子を挙げることができる。Aspergillus oryzaeのku70遺伝子破壊株を用いた、相同組み換えについては、愛知県産業技術研究所研究報告 (7), 90-93, 2008-12を参照することができる。
本発明に係るシス作用エレメントを有する形質転換体は、特にキシランを含有する培地にて培養することが好ましい。この形質転換体をキシラン含有培地にて培養すると、シス作用エレメントによる転写促進活性がより効果的に発揮されることとなる。これは、培地に含まれるキシランにより形質転換体に内在するXlnR遺伝子が高発現し、上記シス作用エレメントに含まれるXlnR/Ace2結合配列(ggctaa)に対するXlnR転写因子の作用が十分に機能するためと考えられる。
ここでキシラン含有培地とは、検出限界以上のキシランを含む培地を意味する。液体培地に含まれるキシランの濃度としては、特に限定されないが、例えば0.1〜15%w/vとすることができ、0.5〜12%w/vとすることが好ましく、1〜10%w/vとすることがより好ましい。キシランの濃度が上記範囲を下回ると、形質転換体におけるXlnR遺伝子の発現誘導が十分でなく、上記シス作用エレメントによる転写促進活性を十分に達成できない虞がある。キシランの濃度が上記範囲を上回ると、液体培地中の基質が水分を吸収し、撹拌不足に寄る培養不良といった問題を生じる虞がある。
また、キシラン含有培地としては、特に、小麦、稲或いはバカス等の草本類を原料とした培地、木質類を原料とした培地、農作物残査や廃棄物を原料とした培地を挙げることができる。草本類を原料とした培地としては、小麦フスマ培地を代表例として挙げることができる。例えば、小麦フスマ培地等の草本類を原料とした培地等の上記に列挙した培地を使用する場合には、原料として高価な成分を含有しないため、非常に低コストに目的物質の製造を行うことができる。ここで、製造目的の物質とは、上記シス作用エレメントにより高レベルに転写される遺伝子がコードするタンパク質、当該タンパク質が関与する物質のいずれも意味する。タンパク質が関与する物資とは、例えば、当該タンパク質が酵素として代謝経路に関与している場合の代謝産物を意味する。タンパク質が関与する物資の一例として、上記タンパク質がセルラーゼである場合、培地に含まれるセルロースを基質とした糖化反応による糖分が挙げられる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
本実施例では、独自に設計したシス作用エレメントの機能をレポーター遺伝子の発現により確認した。
本実施例では、独自に設計したシス作用エレメントの機能をレポーター遺伝子の発現により確認した。
実験手順
(1)プロモーター領域への制限酵素部位付与
図1に示すように、Aspergillus oryzaeにおけるtranslation elongation factor1alphaの翻訳開始部位から上流471bpの領域の中途部に[SpeI-XhoI]制限酵素部位を付与した塩基配列からなる核酸断片を合成した。次に、合成した核酸断片をpHSG399(タカラバイオ社製)のHindIII-EcoRIサイトへ導入した(pHSG399-Ptef1)。次に、インビロトジェン社のMultiSite Gatewayを利用してプラスミド作製を行う目的で、pHSG399-Ptef1を鋳型とし、上記471bpの領域の5'側末端にattB4、3'末端側にattB1配列を付与すよう一対のプライマー;A1及びA2を用いて遺伝子増幅を行った。得られた増幅断片をpDONRP4-P1RとBP反応を行うことでエントリークローンを作製した(pENTR-Ptef1)。
(1)プロモーター領域への制限酵素部位付与
図1に示すように、Aspergillus oryzaeにおけるtranslation elongation factor1alphaの翻訳開始部位から上流471bpの領域の中途部に[SpeI-XhoI]制限酵素部位を付与した塩基配列からなる核酸断片を合成した。次に、合成した核酸断片をpHSG399(タカラバイオ社製)のHindIII-EcoRIサイトへ導入した(pHSG399-Ptef1)。次に、インビロトジェン社のMultiSite Gatewayを利用してプラスミド作製を行う目的で、pHSG399-Ptef1を鋳型とし、上記471bpの領域の5'側末端にattB4、3'末端側にattB1配列を付与すよう一対のプライマー;A1及びA2を用いて遺伝子増幅を行った。得られた増幅断片をpDONRP4-P1RとBP反応を行うことでエントリークローンを作製した(pENTR-Ptef1)。
A1:5’-ggggacaactttgtatagaaaagttgtttctagatagcgagagtaaaa-3’(配列番号5)
A2:5’-ggggactgcttttttgtacaaacttggtttgaaggtggtgcgaactttg-3’ (配列番号6)
A2:5’-ggggactgcttttttgtacaaacttggtttgaaggtggtgcgaactttg-3’ (配列番号6)
(2) エンハンサー領域繰り返し断片長の合成
次に、図1に示すように、ggctaaを含有するエンハンサー領域とccaat遺伝子発現調節領域とを含むシス作用エレメント(ttaggctaaacgtacccaatgataag:(配列番号4)、26bp)を1セットとし、12セット繰り返したタンデム配列に、5'側にSpeI、3'側にXhoI制限酵素部位付与した塩基配列からなる核酸断片を合成した。また、同様に、上記シス作用エレメントを6セット繰り返したタンデム配列を含む核酸断片を合成した。これら核酸断片をpMD-simple vectorのEcoRVサイトへ導入した(12セットのシス作用エレメントを有するものをpMD-i12と称し、6セットのシス作用エレメントを有するものをpMD-i6と称する)。
次に、図1に示すように、ggctaaを含有するエンハンサー領域とccaat遺伝子発現調節領域とを含むシス作用エレメント(ttaggctaaacgtacccaatgataag:(配列番号4)、26bp)を1セットとし、12セット繰り返したタンデム配列に、5'側にSpeI、3'側にXhoI制限酵素部位付与した塩基配列からなる核酸断片を合成した。また、同様に、上記シス作用エレメントを6セット繰り返したタンデム配列を含む核酸断片を合成した。これら核酸断片をpMD-simple vectorのEcoRVサイトへ導入した(12セットのシス作用エレメントを有するものをpMD-i12と称し、6セットのシス作用エレメントを有するものをpMD-i6と称する)。
(3)改変型プロモーターを含む各種遺伝子導入用ベクター作製
次に、図1に示すように、pMD-i12からSpeI、XhoIで切り出した320bpの断片を pENTR-tef1のSpeI、XhoIサイトへ導入した(pENTR-Ptef1i12)。同様に、pMD-i6からSpeI、XhoIで切り出した320bpの断片を pENTR-tef1のSpeI、XhoIサイトへ導入した(pENTR-Ptef1i6)。
次に、図1に示すように、pMD-i12からSpeI、XhoIで切り出した320bpの断片を pENTR-tef1のSpeI、XhoIサイトへ導入した(pENTR-Ptef1i12)。同様に、pMD-i6からSpeI、XhoIで切り出した320bpの断片を pENTR-tef1のSpeI、XhoIサイトへ導入した(pENTR-Ptef1i6)。
次に、図2に示すように、Aspergillus oryzae由来のamyB遺伝子のプロモーター及びターミネータ並びに硝酸勧化酵素遺伝子(niaD)を含むプラスミドpUNA(入手先:東京大学北本研究室)を鋳型とし、一対のプライマー;B1及びB2を用いたPCRにより、amyBプロモーター部位の5'側末端にattB4、3'末端側にattB1配列を有する核酸断片を増幅した。得られた核酸断片とpDONRP4-P1RとのBP反応を行うことでエントリークローンを作製した(pENTR-PamyB)。
また、図2に示すように、βグルクロニダーゼ(uidA)を含むプラスミドpBI221(Clontech社製)を鋳型とし、一対のプライマー;C1及びC2を用いたPCRにより、βグルクロニダーゼ遺伝子の翻訳領域を含む核酸断片を増幅した。得られた核酸断片とインビトロジェン社のpENTR Directional TOPO Cloning Kitsを用いてエントリークローンを作製した(pENTR-GUS)。
さらに、図2に示すように、上記pUNAを鋳型とし、一対のプライマー;D1及びD2を用いたPCRにより、amyBターミネータと硝酸勧化酵素遺伝子(niaD)を含む領域の5'側末端にattB2、3'末端側にattB3配列を有する核酸断片を増幅した。得られた核酸断片とpDONRP2R-P3とのBP反応を行うことでamyBターミネータと硝酸勧化酵素遺伝子(niaD)を含むエントリークローンを作製した(pENTR-niaD)。
B1:5’-ggggacaactttgtatagaaaagttgttccagtgaattcatggtgttttg-3’(配列番号7)
B2:5’-ggggactgcttttttgtacaaacttggaaatgccttctgtggggtttatt-3’ (配列番号8)
C1:5’-atgttacgtcctgtagaaacc-3’ (配列番号9)
C2:5’-tcattgtttgcctccctgctg-3’ (配列番号10)
D1:5’-ggggacagctttcttgtacaaagtgggtgatctgtagtagctcgtgaag-3’ (配列番号11)
D2:5’-ggggacaactttgtataataaagttggaagctttggatttcctacgtct-3’ (配列番号12)
B2:5’-ggggactgcttttttgtacaaacttggaaatgccttctgtggggtttatt-3’ (配列番号8)
C1:5’-atgttacgtcctgtagaaacc-3’ (配列番号9)
C2:5’-tcattgtttgcctccctgctg-3’ (配列番号10)
D1:5’-ggggacagctttcttgtacaaagtgggtgatctgtagtagctcgtgaag-3’ (配列番号11)
D2:5’-ggggacaactttgtataataaagttggaagctttggatttcctacgtct-3’ (配列番号12)
次に、インビドロジェン社のMultiSite Gatewayを利用して4種類の遺伝子導入用ベクターを作製した。1つ目の遺伝子導入用ベクターとして、図3に示すように、pENTR-Ptef1、pENTR-GUS及びpENTR-niaDの各種エントリークローンとpEST R4-R3とのLR反応を行うことで、pDEST-Ptef1を作製した。2つ目の遺伝子導入用ベクターとして、図4に示すように、pENTR-Ptef1i6、pENTR-GUS及びpENTR-niaDの各種エントリークローンとpEST R4-R3とのLR反応を行うことで、pDEST-Ptefi6を作製した。3つ目の遺伝子導入用ベクターとして、図5に示すように、pENTR-Ptef1i12、pENTR-GUS及びpENTR-niaDの各種エントリークローンとpEST R4-R3とのLR反応を行うことで、pDEST-Ptefi12を作製した。4つ目の遺伝子導入用ベクターとして、図6に示すように、pENTR-PamyB、pENTR-GUS及びpENTR-niaDの各種エントリークローンとpEST R4-R3とのLR反応を行うことで、pDEST-PamyBを作製した。
(4)麹菌Aspergillus oryzaeへの遺伝子導入と形質転換体の選抜
上記(3)で作製した4種類の遺伝子導入用ベクター(pDEST-Ptef1、pDEST-Ptef1i12、pDEST-Ptef1i6、pDEST-PamyB)を使用し、常法のプロトプラスト-PEG法によりA.oryzaeを形質転換した。なお、宿主としては、硝酸還元酵素変異株(niaD-)株であるA.oryzae niaD300を使用した。
上記(3)で作製した4種類の遺伝子導入用ベクター(pDEST-Ptef1、pDEST-Ptef1i12、pDEST-Ptef1i6、pDEST-PamyB)を使用し、常法のプロトプラスト-PEG法によりA.oryzaeを形質転換した。なお、宿主としては、硝酸還元酵素変異株(niaD-)株であるA.oryzae niaD300を使用した。
また、形質転換体の選抜は、単一窒素源として硝酸を含むツァペック・ドックス培地(0.2% NaNO3、0.1% KH2PO4、0.05% KCl、0.05% MgSO4・7H2O、2% グルコース、pH5.5)における生育を指標とした、すなわち、単一窒素源として硝酸を含むツァペック・ドックス培地において生育可能な個体を形質転換体として選択した。選抜された複数の形質転換体から、導入遺伝子(uidA遺伝子)が1コピー導入されたものを、uidA遺伝子をプローブとしたゲノムサザン分析により選抜した。以上のようにしてpDEST-Ptef、pDEST-Ptefi12、pDEST-Ptefi6又はpDEST-PamyBプラスミドを1コピー導入した形質転換体をそれぞれPtef1、Ptefi12、Ptefi6及びPamyBと名づけた。
(5)形質転換体の固体培養・液体培養
上記(4)で得られた形質転換体Ptef1、Ptefi12、Ptefi6及びPamyBを以下のように個体培養及び液体培養により培養し、酵素液を調製した。
上記(4)で得られた形質転換体Ptef1、Ptefi12、Ptefi6及びPamyBを以下のように個体培養及び液体培養により培養し、酵素液を調製した。
固体培養は次の方法で行った。先ず、100 mlフラスコを用いてシード培地(コーンスターチ5.6g、ポリペプトン1.8g、KH2PO4 0.1g、KCl 0.05g、MgSO4・7H2O 0.15g、CaCl2・2H2O 0.2g、蒸留水100ml)の液量を20mlとし、分生子を適量植菌し30℃、150rpmで1日培養した。その後、小麦フスマ5g入れた100mlフラスコへ、培養したシード培地3mlと1M硫安溶液1mlを入れ、ガラス棒で攪拌し、30℃で2日間、静置条件で培養した。培養後の酵素液の粗抽出条件は次のように行った。ピンセット等を用いて固体培地で生育している菌糸体を適当量採取し、液体窒素で凍結させながら乳鉢を用いて菌体を粉砕した後、0.1Mリン酸緩衝液(pH7)を適当量加え、ボルテックス等で攪拌した。その後、遠心分離機にて15,000rpm、1分の条件で遠心分離し、得られた上清を酵素液の原液とした。
液体培養は次の方法で行った。先ず、100mlフラスコを用いてシード培地の液量を20mlとし、分生子を適量植菌して30℃、150rpmで1日培養した。その後、培養したシード培地 3mlをフスマ液体培地(フスマ10g、硫安0.5g、KH2PO4 0.5g、MgSO4・7H2O 0.05g、蒸留水100ml/500mlバッフル付フラスコ)、DPY液体培地(デキストリン2g、ポリペプトン1g、イーストエキストラクト0.5g、KH2PO40.5g、MgSO4・7H2O 0.05g、蒸留水100ml/500mlバッフル付フラスコ)、またはラクトース液体培地(ラクトース10g、硫安0.5g、KH2PO4 0.5g、MgSO4・7H2O 0.05g、蒸留水100ml/500mlバッフル付フラスコ)へ植菌し、30℃、150rpmで3日間培養した。培養後の酵素液の粗抽出条件は次のように行った。ピペットマン等を用いて液体培地で生育している菌糸体を適当量採取し、液体窒素で凍結させながら乳鉢を用いて菌体を粉砕した後、0.1Mリン酸緩衝液(pH7)を適当量加え、ボルテックス等で攪拌した。その後、遠心分離機にて15,000rpm、1分の条件で遠心分離し、得られた上清を酵素液の原液とした。
(6) βグルクロニダーゼ活性の測定
上記(5)で調製した酵素液の原液に含まれる、βグルクロニダーゼ活性(GUS活性)をJefferson等の方法によって測定した(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 83, 8447-8451)。結果を表1及び図7に示す。
上記(5)で調製した酵素液の原液に含まれる、βグルクロニダーゼ活性(GUS活性)をJefferson等の方法によって測定した(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 83, 8447-8451)。結果を表1及び図7に示す。
表1及び図7に示すように、固体培養においてPtef1i12は、Ptef1よりも4.92倍GUS活性が向上し、PamyBよりも2.06倍GUS活性が向上した。また、固体培養においてPtef1i6はPtef1よりも2.92倍GUS活性が向上し、PamyBよりも1.34倍GUS活性が向上した。
一方、フスマ液体培地を用いた場合、Ptef1i12は、Ptef1よりも3.94倍GUS活性が向上し、PamyBよりも3.57倍GUS活性が向上した。フスマ液体培地を用いた場合、Ptef1i6はPtef1よりも2.93倍GUS活性が向上し、PamyBよりも2.65倍GUS活性が向上した。
また、ラクトース液体培地を用いた場合、Ptef1i12は、Ptef1よりも1.23倍GUS活性が向上していたが、活性の程度は他の培養条件と比較すると低かった。
以上の結果より、固体培養やフスマ液体培養条件などフスマを基質として用いて培養する条件にて、一般的に高発現しているPamyBと比較しても、Ptef1i12におけるGUS活性は顕著に向上していることが確認された。しかしながら、ラクトースを用いた液体培養ではPtef1i12のGUS活性の向上があまりみられなかった。この結果から、本実施例で設計したシス作用エレメントは、フスマ培地のようなキシランを含有する培地条件において遺伝子の発現をより向上させる特徴を有することが明らかとなった。
また、本実施例の結果によれば、本実施例で設計したシス作用エレメントを12セット繰り返した場合、6セット繰り返した場合と比較してGUS活性が向上していることが判る。
一方、Acta. Biochim. Biophys. Sin. (2008): 158-165には、約200bpの領域を4回繰り返したプロモーターは、当該領域を1つのみ有するプロモーターと比較してプロモーター活性が約1.4倍に向上していたが、当該領域を6回繰り返したプロモーターの活性は、当該領域を4回繰り返したプロモーターとほぼ同等であったことが明記されている。このように、Acta. Biochim. Biophys. Sin. (2008): 158-165に開示された約200bpの領域は、遺伝子発現を向上させる効果は認められるものの、その程度は低いと評価される。また、Acta. Biochim. Biophys. Sin. (2008): 158-165に開示された約200bpの領域を4回繰り返して使用することで遺伝子発現の向上効果が更に高まるものの、4回以上繰り返しても遺伝子発現の向上効果はそれ以上高まることはない。
このように、本実施例で設計したシス作用エレメントによれば、従来公知のシス作用エレメント(Acta. Biochim. Biophys. Sin. (2008): 158-165に開示された約200bp領域)と比較して、遺伝子発現の向上効果が顕著に優れている。また、本実施例で設計したシス作用エレメントは、従来公知のシス作用エレメント(Acta. Biochim. Biophys. Sin. (2008): 158-165に開示された約200bp領域)と比較して、より多くのセットをタンデムに繰り返して使用しても、繰り返し数に依存して遺伝子発現の向上効果を高めることができる。このため、本実施例で設計したシス作用エレメントは、繰り返し数を適宜設定することで、遺伝子発現の向上効果をより子細に調節することができる。
Claims (10)
- XlnR/Ace2結合配列(ggctaa)及びHap複合体結合配列(ccaat)が0〜100のスペーサー配列を介して配置した領域を有するシス作用エレメント。
- 上記領域を、リンカー配列を介して複数繰り返したことを特徴とする請求項1記載のシス作用エレメント。
- 上記領域の繰り返し数が1〜50個であることを特徴とする請求項2記載のシス作用エレメント。
- 請求項1乃至3いずれか一項記載のシス作用エレメントと、当該シス作用エレメントの下流に位置するプロモーター領域とを含む発現ベクター。
- 請求項1乃至3いずれか一項記載のシス作用エレメントを、所望の遺伝子におけるプロモーター領域の上流に組み入れた形質転換体。
- 上記所望の遺伝子が外来性の遺伝子であることを特徴とする請求項5記載の形質転換体。
- 糸状菌を宿主細胞とすることを特徴とする請求項5記載の形質転換体。
- 請求項5乃至7いずれか一項記載の形質転換体を培養し、培養後の培地及び/又は形質転換体内より目的物質を回収する、物質の製造方法。
- 上記形質転換体をキシラン含有培地において培養することを特徴とする請求項8記載の物質の製造方法。
- 上記目的物質は、上記シス作用エレメントにより発現亢進される遺伝子によりコードされるタンパク質であることを特徴とする請求項8記載の物質の製造方法。
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