[go: up one dir, main page]

JP2012067172A - 難燃性樹脂組成物およびそれからの成形品 - Google Patents

難燃性樹脂組成物およびそれからの成形品 Download PDF

Info

Publication number
JP2012067172A
JP2012067172A JP2010212240A JP2010212240A JP2012067172A JP 2012067172 A JP2012067172 A JP 2012067172A JP 2010212240 A JP2010212240 A JP 2010212240A JP 2010212240 A JP2010212240 A JP 2010212240A JP 2012067172 A JP2012067172 A JP 2012067172A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
component
resin composition
same
different
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2010212240A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsuhiro Yamanaka
克浩 山中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Chemicals Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Chemicals Ltd filed Critical Teijin Chemicals Ltd
Priority to JP2010212240A priority Critical patent/JP2012067172A/ja
Publication of JP2012067172A publication Critical patent/JP2012067172A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】実質的にハロゲンを含有せず、高度な難燃化および機械物性を達成することができる難燃性芳香族ポリアミド樹脂樹脂組成物およびそれからの成形品を提供する。
【解決手段】(A)芳香族ポリアミド樹脂(A成分)100重量部に対して、(B)下記一般式(1)で示される有機リン化合物(B成分)1〜100重量部を含有する難燃性樹脂組成物。
Figure 2012067172

(式中、X、Xは同一もしくは異なり、下記一般式(2)で表される芳香族置換アルキル基である。)
Figure 2012067172

(式中、ALは炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、Arはその芳香環に置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基またはアントリル基、nは1〜3の整数を示す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、実質的にハロゲンを含有しない難燃性樹脂組成物に関する。特に本発明は電気・電子分野のコネクター等の部品、自動車分野の電装部品等の部品材料に好適に用いられる難燃性芳香族ポリアミド樹脂組成物に関する。
芳香族ポリアミド樹脂は、機械的強度、耐熱性などに優れることから、自動車部品、機械部品、電気・電子部品など多岐の分野で使用されている。特に近年、電気・電子部品用途において、ますます難燃性に対する要求レベルが高くなり、本来芳香族ポリアミド樹脂が有する自己消火性よりもさらに高度な難燃性が要求され、アンダーライターズ・ラボラトリーのUL−94規格に適合する難燃レベルの高度化検討が数多くなされている。
例えば特許文献1〜13に挙げられるように芳香族ポリアミド樹脂に対して臭素化ポリスチレン、ポリ臭素化スチレン、臭素化ポリフェニレンエーテル等のハロゲン系難燃剤、殊に臭素系難燃剤を添加することによって難燃性を付与する例が開示されており、従来からハロゲン系難燃剤が用いられている。ハロゲン系難燃剤は酸化アンチモンと併用することによって、高度な難燃化が達成されることが一般に知られており、多用されてきたが、近年、燃焼時の有害ガス発生等の環境問題、さらに燃焼時の発生ガスによる腐食性の問題から、特に電気・電子部品用途において、ハロゲン系難燃剤は忌避されており、この分野でのノンハロゲン系難燃剤が強く望まれている。
また、特許文献14および特許文献15では芳香族ポリアミド樹脂の難燃化に対して、有機系難燃剤が有効であることが開示されている。しかしなながら、これらの文献中で言及している有機系難燃剤は、ハロゲン系難燃剤を意味しており、ノンハロゲン系難燃剤に関しては、言及されていない。
更に、特許文献16および特許文献17では、芳香族ポリアミド樹脂の難燃化に対して、ハロゲン系難燃剤、金属水酸化物、赤燐、リン酸エステル化合物、縮合リン酸アミド化合物、リン酸メラミン化合物等の例示が記載されている。しかしながら、一般に金属水酸化物や縮合リン酸アミド化合物、リン酸メラミン化合物は多量の添加が必要となり、樹脂本来の特性が著しく低下することが知られている。また、高温での加工が必要となる芳香族ポリアミド樹脂に対する赤燐の添加は、有毒なホスフィンガスが発生する為に、適していない。更に、リン酸エステル系難燃剤では融点が低く、高温加工時の揮発、モールドデポジットが問題となり適していない。このため、これらの文献の実施例では臭素化ポリスチレン等の臭素系難燃剤の例示のみにとどまっている。また、本発明記載のホスホネート系化合物に関しては記載されていない。
特許文献18および特許文献19では芳香族ポリアミド樹脂に対して、ホスフィンオキシド化合物を添加することによる難燃化が開示されている。しかしながら、本特許文献記載の難燃性樹脂組成物は試験片厚3mmの難燃性に関して開示されているのみであり、薄肉化の要求される芳香族ポリアミド樹脂としては少なくとも1.6mmの難燃化が必要となる為、難燃性が不足していると言える。
更に、特許文献20では、芳香族ポリアミド樹脂に対して特定のホスフィン酸金属塩を添加することにより、高度な難燃化を達成している例が開示されている。しかしながら、本特許文献で使用されているホスフィン酸金属塩は高温加工時に腐食性ガスを発生することが知られており、押出混練時や成形加工時に押出機や金型を腐食するため、工業的には不利である。
特許文献21ではポリアミド樹脂に対して、本発明記載の難燃剤を添加することによる難燃化技術が開示されている。しかしながら本特許文献にて言及されているポリアミド樹脂は加工温度の低い脂肪族ポリアミド樹脂に対してのみであり、芳香族ポリアミドの構成成分に関しては言及されていない。
特開平07−228775号公報 特開平10−72550号公報 特開平10−87986号公報 特開2002−105311号公報 特開2002−138197号公報 特開2002−146184号公報 特開2003−41117号公報 特開2003−128913号公報 特開2004−107576号公報 国際公開第2006/112205号パンフレット 国際公開第2006/123469号パンフレット 特開2007−269937号公報 国際公開第2008/062755号パンフレット 特開2001−311001号公報 特開2005−240022号公報 特開2003−176408号公報 特開2004−083880号公報 特開2005−170963号公報 特開2005−170964号公報 国際公開第2008/126381号パンフレット 特開2004−115763号公報
本発明の目的は、実質的にハロゲンを含有せず、高度な難燃化および機械物性を達成することができる難燃性芳香族ポリアミド樹脂樹脂組成物およびそれからの成形品を提供することにある。
本発明者は、前記目的を達成するために、鋭意検討した結果、特定構造の有機リン化合物を使用することにより上記目的を達成することを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明によれば、(A)芳香族ポリアミド樹脂(A成分)100重量部に対して、(B)下記一般式(1)で示される有機リン化合物(B成分)1〜100重量部を含有する難燃性樹脂組成物が提供される。
Figure 2012067172
(式中、X、Xは同一もしくは異なり、下記一般式(2)で表される芳香族置換アルキル基である。)
Figure 2012067172
(式中、ALは炭素数1〜5の分岐状または直鎖状の脂肪族炭化水素基であり、Arはその芳香環に置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基またはアントリル基である。nは1〜3の整数を示し、ArはAL中の任意の炭素原子に結合することができる。)
本発明は、実質的にハロゲンを含有することなく高い難燃性を有する芳香族ポリアミド樹脂組成物を提供するものであり、本樹脂組成物は電気・電子部品、自動車部品等の種々の成形品を成形する材料として有用であり、工業的に極めて有用である。
以下本発明の難燃性樹脂組成物についてさらに詳細に説明する。
本発明の樹脂組成物は、(A)芳香族ポリアミド樹脂(A成分)および(B)上記一般式(1)で示される有機リン化合物(B成分)を含有する。上記A成分は成形用樹脂組成物の主成分であり、B成分は難燃性を付与するための成分である。
本発明のA成分として使用する芳香族ポリアミド樹脂(以下PAと略称することがある)の融点は好ましくは270〜350℃であり、より好ましくは280〜345℃、特に好ましくは290〜340℃である。
A成分の芳香族ポリアミド樹脂を構成するジカルボン酸成分の好ましくは50〜100モル%、より好ましくは60〜100モル%、さらに好ましくは80〜100モル%がテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸からなる群より選択される少なくとも1種のジカルボン酸である。その他のジカルボン酸成分としては、特に限定されるものではないが、2−メチルテレフタル酸、無水フタル酸、フェニレンジオキシジ酢酸、ジ安息香酸、4,4’−オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸類、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2’−ジメチルグルタル酸、3,3’−ジエチルコハク酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸類等が挙げられる。また、その他のカルボン酸類として、トリメリット酸、ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の多価カルボン酸を含んでも良い。
A成分の芳香族ポリアミド樹脂を構成するジアミン成分の好ましくは50〜100モル%、より好ましくは60〜100モル%、さらに好ましくは80〜100モル%が炭素数4〜25の脂肪族ジアミン、好ましくは6〜18の脂肪族ジアミンである。脂肪族ジアミンの例としては、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン等の直鎖脂肪族ジアミン類、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン、2−メチル−1,6−ジアミノヘキサン、2−メチル−1,7−ジアミノヘプタン、2−メチル1,8−ジアミノオクタン、2−メチル−1,9−ジアミノノナン、2−メチル−1,10−ジアミノデカン、2−メチル−1,11−ジアミノウンデカン等の側鎖基含有直鎖脂肪族ジアミン類、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン等の脂環式ジアミン類等が挙げられる。
A成分の芳香族ポリアミド樹脂として特に好ましいジカルボン酸成分とジアミン成分の組み合わせとしては、テレフタル酸と1,6−ジアミノヘキサン、テレフタル酸と1,9−ジアミノノナン、イソフタル酸と1,6−ジアミノヘキサン、テレフタル酸と2−メチル−1,5−ジアミノペンタンが挙げられる。
また本発明におけるA成分の芳香族ポリアミド樹脂は、必要に応じてナイロン46、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12等に代表されるの脂肪族ポリアミド樹脂や、全芳香族ポリアミド樹脂を添加することもできる。添加量としては芳香族ポリアミド100重量部に対して、好ましくは100重量部以下、より好ましくは80重量部以下、特に好ましくは50重量部以下である。
本発明において、下記一般式(1)で表される有機リン化合物(B成分)が難燃剤として使用される。
Figure 2012067172
(式中、X、Xは同一もしくは異なり、下記一般式(2)で表される芳香族置換アルキル基である。)
Figure 2012067172
(式中、ALは炭素数1〜5、好ましくは1または2の分岐状または直鎖状の脂肪族炭化水素基であり、Arはその芳香環に置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基またはアントリル基である。nは1〜3の整数、好ましくは1または2を示し、ArはAL中の任意の炭素原子に結合することができる。)
前記式(1)で表される有機リン化合物(B成分)は、当該樹脂に対して極めて優れた難燃効果を発現する。本発明者らが知る限り、従来当該樹脂のハロゲンフリーによる難燃化において、リン化合物単独の使用でV−0レベルを達成しかつ実用的な機械物性を達成することは困難であり、実用上多くの問題点があった。リン化合物を使用してV−0レベルを達成するためには多量のリン化合物を使用する必要があった。更に従来のリン化合物は低沸点化合物であり、比較的高温で押出および成形を行う当該樹脂において、押出時のガス発生や成形時の金型汚染等の問題が発生した。
ところが本発明によれば、前記有機リン化合物(B成分)は驚くべきことにそれ自体単独の少量使用により当該樹脂のV−0レベルの難燃化が容易に達成され、機械物性等の低下が見られない。本発明により得られた樹脂組成物は、実用上大きな欠点がなく、ベース樹脂本来の高い機械物性を保持することを特徴とする。
しかし本発明ではB成分の他に、B成分以外のリン化合物、フッ素含有樹脂または他の添加剤は、B成分の使用割合の低減、成形品の難燃性の改善、成形品の物理的性質の改良、成形品の化学的性質の向上またはその他の目的のために当然配合することができる。これらの他の配合成分については後に具体的に説明する。
本発明の難燃性樹脂組成物における難燃剤としての有機リン化合物(B成分)は、前記一般式(1)で表されるが、下記一般式(3)または下記一般式(4)で表される有機リン化合物が好ましく使用される。下記一般式(3)で表される有機リン化合物と下記一般式(4)で表される有機リン化合物は一種でもまたは二種以上でも使用することができる。
有機リン化合物(I)
Figure 2012067172
(式中、R、Rは同一または異なっていてもよく、その芳香環に置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基またはアントリル基である。R、R、R、Rは同一または異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜4の分岐状または直鎖状の脂肪族炭化水素基、その芳香環に置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基またはアントリル基である。但し、RおよびRが共に脂肪族炭化水素基の場合、RおよびRの炭素数の合計は4以下である。また、RおよびRが共に脂肪族炭化水素基の場合、RおよびRの炭素数の合計は4以下である。)
有機リン化合物(II)
Figure 2012067172
(式中、ArおよびArは、同一又は異なっていてもよく、フェニル基、ナフチル基またはアントリル基であり、その芳香環に置換基を有していてもよい。R、R、RおよびR10は、同一又は異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基またはフェニル基、ナフチル基もしくはアントリル基であり、その芳香環に置換基を有していてもよい。ALおよびALは、同一又は異なっていてもよく、炭素数1〜4の分岐状または直鎖状の脂肪族炭化水素基である。ArおよびArは、同一又は異なっていてもよく、フェニル基、ナフチル基またはアントリル基であり、その芳香環に置換基を有していてもよい。pおよびqは0〜3の整数を示し、ArおよびArはそれぞれALおよびALの任意の炭素原子に結合することができる。但し、RまたはRが脂肪族炭化水素基の場合、R、RおよびALの脂肪族炭化水素基の炭素数の合計は4以下である。また、RまたはR10が脂肪族炭化水素基の場合、R、R10およびALの脂肪族炭化水素基の炭素数の合計は4以下である。)
前記式(3)の有機リン化合物(I)は、3つの種類{有機リン化合物(I−1)〜(I−3)}に分けることができる。
有機リン化合物(I−1)は、前記式(3)中のR、R、RおよびRが水素原子であり、RおよびRが同一もしくは異なり、その芳香環に置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基またはアントリル基、好ましくはフェニル基である。置換基としてはメチル、エチル、プロピル(異性体を含む)、ブチル(異性体を含む)もしくはその芳香環の結合基が、酸素原子、イオウ原子または炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を介する炭素数6〜14のアリール基が挙げられる。
およびRの好ましい具体例としては、フェニル基、クレジル基、キシリル基、トリメチルフェニル基、4−フェノキシフェニル基、クミル基、ナフチル基、4−ベンジルフェニル基等が挙げられ、特にフェニル基が好ましい。
有機リン化合物(I−1)において、好ましい代表的化合物は下記式(1−a)で示される化合物である。
Figure 2012067172
有機リン化合物(I−2)は、前記式(3)中のRおよびRが同一もしくは異なり、水素原子または炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基、好ましくは水素原子、メチル基またはエチル基であり、特に好ましくは水素原子である。RおよびRが同一もしくは異なり、炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基、好ましくはメチル基またはエチル基である。RおよびRが同一もしくは異なり、その芳香環に置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基またはアントリル基、好ましくはフェニル基である。置換基としてはメチル、エチル、プロピル(異性体を含む)、ブチル(異性体を含む)もしくはその芳香環の結合基が、酸素原子、イオウ原子または炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を介する炭素数6〜14のアリール基が挙げられる。
およびRの好ましい具体例としては、フェニル基、クレジル基、キシリル基、トリメチルフェニル基、4−フェノキシフェニル基、クミル基、ナフチル基、4−ベンジルフェニル基等が挙げられ、特にフェニル基が好ましい。
有機リン化合物(I−2)において、好ましい代表的化合物は下記式(1−b)で示される化合物である。
Figure 2012067172
有機リン化合物(I−3)は、前記式(3)中のRおよびRが同一もしくは異なり、水素原子、炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基またはその芳香環に置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基もしくはアントリル基であり、好ましくは水素原子、メチル基、エチル基またはその芳香環に置換基を有してもよいフェニル基であり、より好ましくは水素原子、メチル基またはフェニル基であり、特に好ましくは水素原子である。
、R、RおよびRが同一もしくは異なり、その芳香環に置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基またはアントリル基であり、好ましくはフェニル基である。置換基としてはメチル、エチル、プロピル(異性体を含む)、ブチル(異性体を含む)もしくはその芳香環の結合基が、酸素原子、イオウ原子または炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を介する炭素数6〜14のアリール基が挙げられる。R、R、RおよびRの好ましい具体例としては、フェニル基、クレジル基、キシリル基、トリメチルフェニル基、4−フェノキシフェニル基、クミル基、ナフチル基、4−ベンジルフェニル基等が挙げられ、特にフェニル基が好ましい。
有機リン化合物(I−3)において、好ましい代表的化合物は下記式(1−c)で示される化合物である。
Figure 2012067172
また、前記式(4)の有機リン化合物(II)は、上記式(4)において、ArおよびArは、同一または異なっていてもよく、その芳香環に置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基またはアントリル基であり、好ましくはフェニル基である。かかるフェニル基、ナフチル基またはアントリル基は、その芳香環の水素原子が置換されていてもよく、置換基としてはメチル、エチル、プロピル(異性体を含む)、ブチル(異性体を含む)もしくはその芳香環の結合基が、酸素原子、イオウ原子または炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を介する炭素数6〜14のアリール基が挙げられる。ArおよびArの好ましい具体例としては、フェニル基、クレジル基、キシリル基、トリメチルフェニル基、4−フェノキシフェニル基、クミル基、ナフチル基、4−ベンジルフェニル基等が挙げられ、特にフェニル基が好ましい。
上記一般式(4)において、R、R、RおよびR10は、同一又は異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基またはその芳香環に置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基もしくはアントリル基である。炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル(異性体を含む)基が挙げられる。フェニル基、ナフチル基またはアントリル基は、その芳香環の水素原子が置換されていてもよく、置換基としては上述したArおよびArの説明で示した置換基が挙げられる。R、R、RおよびRは水素原子またはメチル基が好ましく、特に水素原子が好ましい。
上記一般式(4)において、ALおよびALは、同一又は異なっていてもよく、炭素数1〜4の分岐状または直鎖状の脂肪族炭化水素基であり、炭素数1〜3の分岐状または直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましい。ALおよびALの好ましい具体例としては、メチレン基、エチレン基、エチリデン基、トリメチレン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基等が挙げられ、メチレン基、エチレン基およびエチリデン基が好ましく、特にメチレン基が好ましい。
上記一般式(4)において、ArおよびArは、同一又は異なっていてもよく、その芳香環に置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基またはアントリル基であり、好ましくはフェニル基である。かかるフェニル基、ナフチル基またはアントリル基は、その芳香環の水素原子が置換されていてもよく、置換基としては上述したArおよびArの説明で示した置換基が挙げられる。また、pおよびqは0〜3の整数を示し、ArおよびArはそれぞれALおよびALの任意の炭素原子に結合することができる。pおよびqは0〜2の整数が好ましく、0または1がより好ましく、特に0が好ましい。
有機リン化合物(II)において、好ましい代表的化合物は下記式(1−d)で示される化合物である。
Figure 2012067172
上述したように、本発明の難燃性樹脂組成物における難燃剤としての有機リン化合物(B成分)は、前記一般式(1)で表されるが、最も好ましい代表的化合物は前記式(1−a)、(1−b)、(1−c)および(1−d)で示される化合物である。これらの化合物は一種でもまたは二種以上でも使用することができる。
次に本発明における前記有機リン化合物(B成分)の合成法について説明する。B成分は、以下に説明する方法以外の方法によって製造されたものであってもよい。
B成分は例えばペンタエリスリトールに三塩化リンを反応させ、続いて酸化させた反応物を、ナトリウムメトキシド等のアルカリ金属化合物により処理し、次いでアラルキルハライドを反応させることにより得られる。
また、ペンタエリスリトールにアラルキルホスホン酸ジクロリドを反応させる方法や、ペンタエリスリトールに三塩化リンを反応させることによって得られた化合物にアラルキルアルコールを反応させ、次いで高温でArbuzov転移を行う方法により得ることもできる。後者の反応は、例えば米国特許第3,141,032号明細書、特開昭54−157156号公報、特開昭53−39698号公報に開示されている。
B成分の具体的合成法を以下説明するが、この合成法は単に説明のためであって、本発明において使用されるB成分は、これら合成法のみならず、その改変およびその他の合成法で合成されたものであってもよい。より具体的な合成法は後述する調製例に説明される。
(I)B成分中の前記(1−a)の有機リン化合物;
ペンタエリスリトールに三塩化リンを反応させ、次いでターシャリーブタノールにより酸化させた反応物を、ナトリウムメトキシドにより処理し、ベンジルブロマイドを反応させることにより得ることができる。
(II)B成分中の前記(1−b)の有機リン化合物;
ペンタエリスリトールに三塩化リンを反応させ、次いでターシャリーブタノールにより酸化させた反応物を、ナトリウムメトキシドにより処理し、1−フェニルエチルブロマイドを反応させることにより得ることができる。
(III)B成分中の前記(1−c)の有機リン化合物;
ペンタエリスリトールにジフェニルメチルホスホン酸ジクロリドを反応させることにより得ることができる。
また別法としては、ペンタエリスリトールに三塩化リンを反応させ、得られた生成物とジフェニルメチルアルコールの反応生成物を触媒共存下で加熱処理する事により得られる。
(IV)B成分中の前記(1−d)の有機リン化合物;
ペンタエリスリトールに三塩化リンを反応させ、次いでターシャリーブタノールにより酸化させた反応物を、ナトリウムメトキシドにより処理し、2−フェニルエチルブロマイドを反応させることにより得ることができる。
前述したB成分は、その酸価が好ましくは0.7mgKOH/g以下、より好ましくは0.5mgKOH/g以下であるものが使用される。酸価がこの範囲のB成分を使用することにより、難燃性および色相に優れた成形品が得られ、かつ熱安定性の良好な成形品が得られる。B成分は、その酸価が0.4mgKOH/g以下のものが最も好ましい。ここで酸価とは、サンプル(B成分)1g中の酸成分を中和するのに必要なKOHの量(mg)を意味する。
さらに、B成分は、そのHPLC純度が、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%であるものが使用される。かかる高純度のものは成形品の難燃性、色相、および熱安定性に優れ好ましい。ここでB成分のHPLC純度の測定は、以下の方法を用いることにより効果的に測定が可能となる。
カラムは野村化学(株)製Develosil ODS−7 300mm×4mmφを用い、カラム温度は40℃とした。溶媒としてはアセトニトリルと水の6:4(容量比)の混合溶液を用い、5μlを注入した。検出器はUV−260nmを用いた。
B成分中の不純物を除去する方法としては、特に限定されるものではないが、水、メタノール等の溶剤でリパルプ洗浄(溶剤で洗浄、ろ過を数回繰り返す)を行う方法が最も効果的で、且つコスト的にも有利である。
前記B成分は、樹脂成分(A成分)100重量部に対して1〜100重量部、好ましくは2〜90重量部、より好ましくは5〜70重量部、さらに好ましくは7〜50重量部、特に好ましくは8〜30重量部の範囲で配合される。B成分の配合割合は、所望する難燃性レベル、樹脂成分(A成分)の種類などによりその好適範囲が決定される。さらに他の難燃剤、難燃助剤、フッ素含有樹脂の使用によってもB成分の配合量を変えることができ、多くの場合、これらの使用によりB成分の配合割合を低減することができる。
本発明の難燃性樹脂組成物には、充填剤(C成分)を配合することができる。充填剤は成形品の物性、殊に機械的特性を改良する目的で配合されるものであればよく、無機あるいは有機の充填剤いずれであってもよい。好ましくは繊維状の充填剤である。
充填剤(C成分)としては、例えばガラスチョップドファイバー、ガラスミルドファイバー、ガラスロービングストランド、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ガラス粉末等のガラス系充填剤;カーボンファイバー、カーボンミルドファイバー、カーボンロービングストランド、カーボンフレーク等のカーボン系充填剤;タルク、マイカ、ワラストナイト、カオリン、モンモリロナイト、ベントナイト、セピオライト、ゾノトライト、クレー、シリカ等の無機充填剤;アラミドファイバー等の有機充填剤;酸化チタン等の無機顔料、カーボンブラック等が挙げられ、これらのなかから選択するか、またはこれらの組み合わせとすることができる。また、樹脂組成物を補強する目的では、繊維状の充填剤を配合することが好ましく、ガラス繊維、または炭素繊維、もしくはこれらの混合物を配合することが好ましい。
これらの無機充填剤は必要に応じて収束剤または表面処理剤を用いることができる。収束剤または表面処理剤の種類としては特に限定はされないが、一般に官能性化合物、例えばエポキシ系化合物、シラン系化合物、チタネート系化合物等が挙げられ、樹脂に適したものを選択することが好ましい。好ましくはエポキシ系化合物、より好ましくはビスフェノールA型または/およびノボラック型エポキシ樹脂である。
前記充填剤(C成分)を配合する場合、その割合は前記樹脂成分(A成分)100重量部に対して、好ましくは1〜200重量部、より好ましくは1〜150重量部、さらに好ましくは1〜100重量部である。200重量部より多く配合すると樹脂組成物の操作性、成形性が悪化し、好ましくない。
本発明の難燃性樹脂組成物には、他のリンまたはリン系難燃剤(D成分)を使用することができる。D成分としては下記(D−1)〜(D−5)を例示することができる。
(D−1);赤リン
(D−2);下記一般式(D−2)で表されるトリアリールホスフェート
Figure 2012067172
(D−3);下記一般式(D−3)で表される縮合リン酸エステル
Figure 2012067172
(D−4);下記一般式(D−4)で表される縮合リン酸エステル
Figure 2012067172
(D−5);下記一般式(D−5)で表される有機リン化合物
Figure 2012067172
前記式(D−2)〜(D−4)中Q〜Qは、それぞれ同一もしくは異なっていてもよく、炭素数6〜15のアリール基、好ましくは炭素数6〜10のアリール基である。このアリール基の具体例としてはフェニル基、ナフチル基、またはアントリル基が挙げられる。これらアリール基は1〜5個、好ましくは1〜3個の置換基を有していてもよく、その置換基としては、(i)メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基およびノニル基の如き炭素数1〜12のアルキル基、好ましくは炭素数1〜9のアルキル基、(ii)メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基およびペントキシ基の如き炭素数1〜12のアルキルオキシ基、好ましくは炭素数1〜9のアルキルオキシ基、(iii)メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基およびペンチルチオ基の如き炭素数1〜12のアルキルチオ基、好ましくは炭素数1〜9のアルキルチオ基および(iv)Ar−W−式で表される基(ここでWは−O−、−S−または炭素数1〜8、好ましくは炭素数1〜4のアルキレン基を示し、Arは炭素数6〜15、好ましくは炭素数6〜10のアリール基を示す)が挙げられる。
前記式(D−5)の芳香族環は1〜4個、好ましくは1〜3個の置換基を有していてもよく、その置換基としては、(i)メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基およびノニル基の如き炭素数1〜12のアルキル基、好ましくは炭素数1〜9のアルキル基、(ii)メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基およびペントキシ基の如き炭素数1〜12のアルキルオキシ基、好ましくは炭素数1〜9のアルキルオキシ基、(iii)メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基およびペンチルチオ基の如き炭素数1〜12のアルキルチオ基、好ましくは炭素数1〜9のアルキルチオ基および(iv)Ar−W−式で表される基(ここでWは−O−、−S−または炭素数1〜8、好ましくは炭素数1〜4のアルキレン基を示し、Arは炭素数6〜15、好ましくは炭素数6〜10のアリール基を示す)が挙げられる。
式(D−3)および(D−4)において、ArおよびArは、両者が存在する場合(D−4の場合)には同一または異なっていてもよく、炭素数6〜15のアリーレン基、好ましくは炭素数6〜10のアリーレン基を示す。具体例としては、フェニレン基またはナフチレン基が挙げられる。このアリーレン基は1〜4個、好ましくは1〜2個の置換基を有していてもよい。かかる置換基としては、(i)メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基およびtert−ブチル基の如き炭素数1〜4のアルキル基、(ii)ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基およびクミル基の如き炭素数7〜20のアラルキル基、(iii)Q−W−式で示される基(ここでWは−O−または−S−を示し、Qは炭素数1〜4、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基または炭素数6〜15、好ましくは6〜10のアリール基を示す)および(iv)フェニル基の如き炭素数6〜15のアリール基が挙げられる。
式(D−3)および(D−4)において、mは1〜5の整数、好ましくは1〜3の整数を示し、特に好ましくは1である。
式(D−4)においてZはArおよびArを結合する単結合もしくは基であり、−Ar−Z−Ar−は通常ビスフェノールから誘導される残基である。かくしてZは単結合、−O−、−CO−、−S−、−SO−または炭素数1〜3のアルキレン基を示し、好ましくは単結合、−O−、またはイソプロピリデンである。
前記(D−1)〜(D−5)のリンまたはリン化合物以外のリン化合物であってもB成分と併用することができる。
前記(D−1)〜(D−5)のリンもしくはリン化合物を樹脂組成物に配合する場合、その割合は、有機リン化合物(B成分)100重量部当たり、好ましくは1〜100重量部、より好ましくは5〜80重量部、特に好ましくは10〜60重量部の範囲が適当である。前記(D−1)〜(D−5)のリンもしくはリン化合物の内、好ましくは(D−2)〜(D−5)のリン化合物である。
本発明の樹脂組成物には難燃助剤として、更に下記化学式で示されるビスクミル(E成分)を配合することができる。
Figure 2012067172
このビスクミル化合物の芳香族環は1〜5個、好ましくは1〜3個の置換基を有していてもよく、その置換基としては、(i)メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基およびノニル基の如き炭素数1〜12のアルキル基、好ましくは炭素数1〜9のアルキル基、(ii)メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基およびペントキシ基の如き炭素数1〜12のアルキルオキシ基、好ましくは炭素数1〜9のアルキルオキシ基、(iii)メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基およびペンチルチオ基の如き炭素数1〜12のアルキルチオ基、好ましくは炭素数1〜9のアルキルチオ基および(iv)Ar−W−式で表される基(ここでWは−O−、−S−または炭素数1〜8、好ましくは炭素数1〜4のアルキレン基を示し、Arは炭素数6〜15、好ましくは炭素数6〜10のアリール基を示す)が挙げられる。
このビスクミル(E成分)を芳香族ポリアミド樹脂組成物に配合する場合、その割合は、樹脂成分(A成分)100重量部に対して好ましくは0.01〜3重量部、より好ましくは0.02〜2重量部、特に好ましくは0.03〜1重量部である。このビスクミルを前記割合で配合することによる難燃効果はラジカル発生によるものと推測され、その結果として難燃性のレベルが向上する。
本発明の樹脂組成物には、さらに知られた難燃助剤を配合することができる。難燃助剤としては、例えばシリコーンオイルを挙げることができる。かかるシリコーンオイルとしては、ポリジオルガノシロキサンを骨格とし、好ましくはポリジフェニルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジメチルシロキサン、あるいはそれらの任意の共重合体または混合物であり、なかでもポリジメチルシロキサンが好ましく用いられる。その粘度は好ましくは0.8〜5000センチポイズ(25℃)、より好ましくは10〜1000センチポイズ(25℃)、さらに好ましくは50〜500センチポイズ(25℃)であり、かかる粘度の範囲のものは難燃性に優れ好ましい。かかるシリコーンオイルの配合量は、樹脂成分(A成分)100重量部に対して、0.5〜10重量部の範囲が好ましい。
別の難燃助剤の例としては、窒素含有化合物が挙げられる。窒素含有化合物の中でも、とりわけトリアジン基含有化合物が好ましく、さらに好ましくはメラミン塩系化合物である。
さらに本発明の樹脂組成物は種々の難燃性改良剤を配合することもできる。本発明の樹脂組成物に配合することができる難燃性改良剤の例として、フェノール樹脂やエポキシ樹脂に代表される熱硬化性樹脂が挙げられる。
難燃性改良剤として使用されるフェノール樹脂とは、フェノール性水酸基を複数有する高分子であれば任意であり、例えばノボラック型、レゾール型および熱反応型の樹脂、あるいはこれらを変性した樹脂が挙げられる。これらは、硬化剤未添加の未硬化樹脂、半硬化樹脂、あるいは硬化樹脂であってもよい。中でも、硬化剤未添加で非反応性であるフェノールノボラック樹脂が難燃性、耐衝撃性、経済性の点で好ましい。また、形状は特に限定されず、粉砕品、粒状、フレーク状、粉末状、針状、液状など何れも使用できる。上記フェノール樹脂は必要に応じて1種または2種以上の混合物として使用することができる。
フェノール樹脂は特に限定するものではなく、一般に市販されているものを使用することができる。例えば、ノボラック型フェノール樹脂の場合、フェノール類とアルデヒド類のモル比を1:0.7〜1:0.9となるように反応槽に仕込み、さらにシュウ酸、塩酸、硫酸、トルエンスルホン酸等の触媒を加えた後に加熱、還流反応を行う。生成した水を除去するため真空脱水あるいは静置脱水し、さらに残っている水と未反応のフェノール類を除去することにより得られる。これらの樹脂は複数の原料成分を用いることにより、共縮合フェノール樹脂を得ることができ、これについても同様に使用することができる。
また、レゾール型フェノール樹脂の場合、フェノール類とアルデヒド類のモル比を1:1〜1:2となるように反応槽に仕込み、さらに水酸化ナトリウム、アンモニア水、その他の塩基性物質などの触媒を加えた後、ノボラック型フェノール樹脂と同様の操作を行うことによって得ることができる。
ここで、フェノール類とはフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、チモール、p−tert−ブチルフェノール、tert−ブチルカテコール、カテコール、イソオイゲノール、o−メトキシフェノール、4,4’−ジヒドロキシフェニルプロパン、サルチル酸イソアミル、サルチル酸ベンジル、サルチル酸メチル、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール等が挙げられる。これらのフェノール類は必要に応じて1種または2種以上の混合物として用いることができる。一方、アルデヒド類とは、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、ポリオキシメチレン、トリオキサン等が挙げられる。これらのアルデヒド類についても必要に応じて1種または2種以上の混合物として用いることができる。
フェノール樹脂の分子量についても、特に限定されるものではないが、好ましくは数平均分子量200〜2,000、さらに好ましくは400〜1,500の範囲のものが機械的物性、成形加工性、経済性に優れ好ましい。
難燃性改良剤として使用されるエポキシ樹脂とは、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。これらのエポキシ樹脂は、その使用にあたって1種類のみに限定されるものではなく、2種類以上の併用または、各種変性されたものでも使用可能である。
前記難燃性改良樹脂(熱硬化性樹脂)を配合する場合、その割合は、A成分100重量部に対して好ましくは0.01〜45重量部、より好ましくは0.1〜40重量部、特に好ましくは0.5〜35重量部である。
本発明の難燃性樹脂組成物には、さらに滴下防止剤としてフッ素含有樹脂を配合することができる。フッ素含有樹脂の配合により成形品の難燃性が改良される。殊に成形品の燃焼テストにおける滴下が抑制される。
滴下防止剤として使用するフッ素含有樹脂としては、フィブリル形成能を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えばテトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、ビニルフルオライド、ビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロピレン等のフッ素含有モノマーの単独または共重合体が挙げられる。特にフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンが好ましい。フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンとしてはテトラフルオロエチレンを乳化重合して得られるラテックスを凝析および乾燥した粉末(いわゆるポリテトラフルオロエチレンのファインパウダーであり、ASTM規格においてタイプ3に分類されるもの)が挙げられる。あるいはそのラテックスに界面活性剤を加え濃縮および安定化して製造される水性分散体(いわゆるポリテトラフルオロエチレンのディスパージョン)が挙げられる。
かかるフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンの分子量は、標準比重から求められる数平均分子量において100万〜1,000万、より好ましく200万〜900万である。
さらにかかるフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンは、1次粒子径が0.05〜1.0μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5μmである。ファインパウダーを使用する場合の2次粒子径としては1〜1,000μmのものが使用可能であり、さらに好ましくは10〜500μmのものを用いることができる。
かかるポリテトラフルオロエチレンはUL規格の垂直燃焼テストにおいて試験片の燃焼テスト時に溶融滴下防止性能を有しており、かかるフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンとしては具体的には、例えば三井・デュポンフロロケミカル(株)製のテフロン(登録商標)6Jおよびテフロン(登録商標)30J、ダイキン化学工業(株)製のポリフロンMPA FA−500、ポリフロンF−201LおよびポリフロンD−1、および旭アイシーアイフロロポリマーズ(株)製のCD076などを挙げることができる。
かかるポリテトラフルオロエチレンはファィンパウダーにおいて、2次凝集を防止するために各種の処理を施したものがより好ましく使用される。かかる処理としては、ポリテトラフルオロエチレンの表面を焼成処理することが挙げられる。またかかる処理としては、フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンの表面を非フィブリル形成能のポリテトラフルオロエチレンで被覆することが挙げられる。本発明においてより好ましいのは後者の処理を行ったポリテトラフルオロエチレンである。前者の場合には、目的とするフィブリル形成能が低下しやすいためである。かかる場合フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンが全体量の70〜95重量%の範囲であることが好ましい。またフィブリル非形成能ポリテトラフルオロエチレンとしては、その分子量が標準比重から求められる数平均分子量において1万〜100万、より好ましく1万〜80万である。
かかるポリテトラフルオロエチレン(以下PTFEと称することがある)は、上記の通り固体形状の他、水性分散液形態のものも使用可能である。
かかるポリテトラフルオロエチレンは、通常の固体形状の他、水性エマルジョン、およびディスパージョン形態のものも使用可能であるが、分散剤成分が耐湿熱性に悪影響を与えやすいため、特に固体状態のものが好ましく使用できる。
またかかるフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンは樹脂中での分散性を向上させ、さらに良好な外観および機械的特性を得るために、ポリテトラフルオロエチレンのエマルジョンとビニル系重合体のエマルジョンとの凝集混合物も好ましい形態として挙げることができる。
ここでビニル系重合体としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、HIPS、AS樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、MABS樹脂、AAS樹脂、ポリメチル(メタ)アクリレート、スチレンおよびブタジエンからなるブロック共重合体およびその水添共重合体、スチレンおよびイソプレンからなるブロック共重合体、およびその水添共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレンのランダム共重合体およびブロック共重合体、エチレン−ブテンのランダム共重合体およびブロック共重合体、エチレンとα−オレフィンの共重合体、エチレン−ブチルアクリレート等のエチレン−不飽和カルボン酸エステルとの共重合体、ブチルアクリレート−ブタジエン等のアクリル酸エステル−ブタジエン共重合体、ポリアルキル(メタ)アクリレート等のゴム質重合体、ポリオルガノシロキサンおよびポリアルキル(メタ)アクリレートを含む複合ゴム、さらにかかる複合ゴムにスチレン、アクリロニトリル、ポリアルキルメタクリレート等のビニル系単量体をグラフトした共重合体等を挙げることができる。
かかる凝集混合物を調製するためには、平均粒子径0.01〜1μm、特に0.05〜0.5μmを有する上記ビニル系重合体の水性エマルジョンを、平均粒子径0.05〜10μm、特に0.05〜1.0μmを有するポリテトラフルオロエチレンの水性エマルジョンと混合する。かかるポリテトラフルオロエチレンのエマルジョンは、含フッ素界面活性剤を用いる乳化重合でポリテトラフルオロエチレンを重合させることにより得られる。なお、かかる乳化重合の際、ヘキサフルオロプロピレン等の他の共重合体成分をポリテトラフルオロエチレン全体の10重量%以下で共重合させることも可能である。
なお、かかる凝集混合物を得る際には、適当なポリテトラフルオロエチレンのエマルジョンは通常40〜70重量%、特に50〜65重量%の固形分含量を有し、ビニル系重合体のエマルジョンは25〜60重量%、特に30〜45重量%の固形分を有するものが使用される。さらに凝集混合物中のポリテトラフルオロエチレンの割合は、凝集混合物に使用されるビニル系重合体との合計100重量%中、1〜80重量%、特に1〜60重量%のものが好ましく使用できる。上記のエマルジョンを混合後、攪拌混合し塩化カルシウム、硫酸マグネシウム等の金属塩を溶解した熱水中に投入し、塩析、凝固させることにより分離回収する製造方法を好ましく挙げることができる。他に攪拌した混合エマルジョンをスプレー乾燥、凍結乾燥等の方法により回収する方法も挙げることができる。
また、フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンのエマルジョンとビニル系重合体のエマルジョンとの凝集混合物の形態は種々のものが使用可能であり、例えばポリテトラフルオロエチレン粒子の周りをビニル系重合体が取り囲んだ形態、ビニル系重合体の周りをポリテトラフルオロエチレンが取り囲んだ形態、1つの粒子に対して、数個の粒子が凝集した形態などを挙げることができる。
さらに、凝集混合体のさらに外層に、同じまたは別の種類のビニル系重合体がグラフト重合したものも使用可能である。かかるビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、メタクリル酸メチル、アクリル酸シクロへキシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸ドデシル、アクリロニトリル、アクリル酸−2−エチルヘキシルを好ましく挙げることができ、これらは単独でもまた共重合することも可能である。
上記のフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンのエマルジョンとビニル系重合体のエマルジョンとの凝集混合物の市販品としては、三菱レイヨン(株)よりメタブレン「A3000」、およびGEスペシャリティーケミカルズ社より「BLENDEX449」を代表例として挙げることができる。
フッ素含有樹脂を配合する場合その割合は、A成分100重量部に対して0.01〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量部である。0.01重量部以上では十分な溶融滴下防止性能が得られ易く、10重量部以下では外観不良や分散不良を起こし難くなり、さらに経済的にも有利となるため好ましい。
本発明の難燃性樹脂組成物には、種々の添加剤、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤などの劣化防止剤、滑剤、帯電防止剤、離型剤、可塑剤、ガラス繊維、炭素繊維などの補強繊維、タルク、マイカ、ワラストナイトなどの充填剤、顔料などの着色剤などを添加してもよい。前記添加剤の使用量は、耐熱性、耐衝撃性、機械的強度などを損なわない範囲で、添加剤の種類に応じて適当に選択できる。
前記した本発明の難燃性樹脂組成物は、ハロゲンを実質的に含有しない組成物であり、V−0レベルの難燃性が達成される。
本発明の難燃性樹脂組成物の調整は、AおよびB成分および必要に応じてその他成分を、V型ブレンダー、スーパーミキサー、スーパーフローター、ヘンシェルミキサーなどの混合機を用いて予備混合した組成物であってもよいが、通常、前記予備混合物を均一に溶融混合した混合物である場合が多い。このような混合物は、前記予備混合物を混練手段を用い、例えば、280〜350℃、好ましくは290〜340℃程度の温度で溶融混練し、ペレット化することより得ることができる。混練手段としては、種々の溶融混合機、例えば、ニーダー、単軸または二軸押出機などが使用できるが、二軸押出機などを用いて樹脂組成物を溶融して、サイドフィーダーにより液体成分を注入し、押出し、ペレタイザーによりペレット化する場合が多い。
本発明の難燃性樹脂組成物は、オフィスオートメーション機器部品、家電製品部品、自動車部品などの種々の用途に好適に使用される。このような成形品は慣用の方法、例えば、ペレット状の難燃性樹脂組成物を射出成形機を用いて、例えば、290〜340℃程度のシリンダー温度で射出成形することにより製造できる。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。なお、評価は下記の方法で行った。
(1)難燃性(UL−94評価)
難燃性は厚さ1/16インチ(1.6mm)のテストピースを用い、実施例1〜5および比較例1〜4の難燃性の評価尺度として、10秒間着炎後の燃焼時間の測定およびドリップの有無を確認した。本測定を5本実施し、最大燃焼秒数とトータル燃焼秒数、ドリップ本数に関して比較評価を行った。
更に、実施例6〜23および比較例5〜16の難燃性の評価尺度として、米国UL規格のUL−94に規定されている垂直燃焼試験に準じて評価を行った。
(2)リン化合物の酸価
JIS−K−3504に準拠して測定を実施した。
(3)リン化合物の純度
試料を、アセトニトリルと水の6:4混合溶液に溶かし、その5μlをカラムに注入した。カラムは野村化学(株)製Develosil ODS−7 300mm×4mmφを用い、カラム温度は40℃とした。検出器はUV−267nmを用いた。
次に実施例において使用した有機リン化合物の調製例を示した。
調製例1
2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジベンジル−3,9−ジオキサイド(FR−1)の調製
温度計、コンデンサー、滴下ロートを備えた反応容器にペンタエリスリトール816.9g(6.0モル)、ピリジン19.0g(0.24モル)、トルエン2250.4g(24.4モル)を仕込み、攪拌した。該反応容器に三塩化リン1651.8g(12.0モル)を該滴下ロートを用い添加し、添加終了後、60℃にて加熱攪拌を行った。反応後、室温まで冷却し、得られた反応物に塩化メチレン26.50部を添加し、氷冷しながらターシャリーブタノール889.4g(12.0モル)および塩化メチレン150.2g(1.77モル)を滴下した。得られた結晶をトルエンおよび塩化メチレンにて洗浄しろ過した。得られたろ取物を80℃、1.33×10Paで12時間乾燥し、白色の固体1341.1g(5.88モル)を得た。得られた固体は31P、HNMRスペクトルにより2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジヒドロ−3,9−ジオキサイドである事を確認した。
温度計、コンデンサー、滴下ロートを備えた反応容器に得られた2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジヒドロ−3,9−ジオキサイド1341.0g(5.88モル)、DMF6534.2g(89.39モル)を仕込み、攪拌した。該反応容器に氷冷下ナトリウムメトキシド648.7g(12.01モル)を添加した。氷冷にて2時間攪拌した後に、室温にて5時間攪拌を行った。さらにDMFを留去した後に、DMF2613.7g(35.76モル)を添加し、該反応混合物に氷冷にてベンジルブロマイド2037.79g(11.91モル)滴下した。氷冷下3時間攪拌した後、DMFを留去し、水8Lを加え、析出した固体を濾取、水2Lで2回洗浄した。得られた粗精製物とメタノール4Lをコンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に入れ、約2時間還流した。室温まで冷却後、結晶をろ過により分離し、メタノール2Lで洗浄した後、得られたろ取物を120℃、1.33×10Paで19時間乾燥し、白色の鱗片状結晶1863.5g(4.56モル)を得た。得られた結晶は31P、HNMRスペクトルおよび元素分析により2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジベンジル−3,9−ジオキサイドである事を確認した。収率は76%、31PNMR純度は99%であった。また、本文記載の方法で測定したHPLC純度は99%であった。酸価は0.06mgKOH/gであった。
H−NMR(DMSO−d,300MHz):δ7.2−7.4(m,10H),4.1−4.5(m,8H),3.5(d,4H)、31P−NMR(DMSO−d,120MHz):δ23.1(S)、融点:255−256℃、元素分析 計算値:C,55.89;H,5.43、測定値:C,56.24;H,5.35
調製例2
2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジベンジル−3,9−ジオキサイド(FR−2)の調製
攪拌機、温度計、コンデンサーを有する反応容器に、3,9−ジベンジロキシ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン22.55g(0.055モル)、ベンジルブロマイド19.01g(0.11モル)およびキシレン33.54g(0.32モル)を充填し、室温下攪拌しながら、乾燥窒素をフローさせた。次いでオイルバスで加熱を開始し、還流温度(約130℃)で4時間加熱、攪拌した。加熱終了後、室温まで放冷し、キシレン20mLを加え、さらに30分攪拌した。析出した結晶をろ過により分離し、キシレン20mLで2回洗浄した。得られた粗精製物とメタノール40mLをコンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に入れ、約2時間還流した。室温まで冷却後、結晶をろ過により分離し、メタノール20mLで洗浄した後、得られたろ取物を120℃、1.33×10Paで19時間乾燥し、白色の鱗片状結晶を得た。生成物は質量スペクトル分析、H、31P核磁気共鳴スペクトル分析および元素分析でビスベンジルペンタエリスリトールジホスホネートであることを確認した。収量は20.60g、収率は91%、31PNMR純度は99%であった。また、本文記載の方法で測定したHPLC純度は99%であった。酸価は0.05mgKOH/gであった。
H−NMR(DMSO−d,300MHz):δ7.2−7.4(m,10H),4.1−4.5(m,8H),3.5(d,4H)、31P−NMR(DMSO−d,120MHz):δ23.1(S)、融点:257℃
調製例3
2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジα−メチルベンジル−3,9−ジオキサイド(FR−3)の調製
温度計、コンデンサー、滴下ロートを備えた反応容器にペンタエリスリトール816.9g(6.0モル)、ピリジン19.0g(0.24モル)、トルエン2250.4g(24.4モル)を仕込み、攪拌した。該反応容器に三塩化リン1651.8g(12.0モル)を該滴下ロートを用い添加し、添加終了後、60℃にて加熱攪拌を行った。反応後、室温まで冷却し、得られた反応物に塩化メチレン5180.7g(61.0モル)を添加し、氷冷しながらターシャリーブタノール889.4g(12.0モル)および塩化メチレン150.2g(1.77モル)を滴下した。得られた結晶をトルエンおよび塩化メチレンにて洗浄しろ過した。得られたろ取物を80℃、1.33×10Paで12時間乾燥し、白色の固体1341.1g(5.88モル)を得た。得られた固体は31P、HNMRスペクトルにより2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジヒドロ−3,9−ジオキサイドである事を確認した。
温度計、コンデンサー、滴下ロートを備えた反応容器に得られた2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジヒドロ−3,9−ジオキサイド1341.0g(5.88モル)、DMF6534.2g(89.39モル)を仕込み、攪拌した。該反応容器に氷冷下ナトリウムメトキシド648.7g(12.01モル)を添加した。氷冷にて2時間攪拌した後に、室温にて5時間攪拌を行った。さらにDMFを留去した後に、DMF2613.7g(35.76モル)を添加し、該反応混合物に氷冷にて1−フェニルエチルブロマイド2204.06g(11.91モル)滴下した。氷冷下3時間攪拌した後、DMFを留去し、水8Lを加え、析出した固体を濾取、水2Lで2回洗浄した。得られた粗精製物とメタノール4Lをコンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に入れ、約2時間還流した。室温まで冷却後、結晶をろ過により分離し、メタノール2Lで洗浄した後、得られたろ取物を120℃、1.33×10Paで19時間乾燥し、白色の鱗片状結晶1845.9g(4.23モル)を得た。得られた固体は31PNMR、HNMRスペクトルおよび元素分析により2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン,3,9−ジα−メチルベンジル−3,9−ジオキサイドである事を確認した。31PNMR純度は99%であった。また、本文記載の方法で測定したHPLC純度は99%であった。酸価は0.03mgKOH/gであった。
H−NMR(CDCl,300MHz):δ7.2−7.4(m,10H),4.0−4.2(m,4H),3.4−3.8(m,4H),3.3(qd,4H),1.6(ddd,6H)、31P−NMR(CDCl,120MHz):δ28.7(S)、融点:190−210℃、元素分析 計算値:C,57.80;H,6.01、測定値:C,57.83;H,5.96
調製例4
2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジ(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキサイド(FR−4)の調製
温度計、コンデンサー、滴下ロートを備えた反応容器にペンタエリスリトール816.9g(6.0モル)、ピリジン19.0g(0.24モル)、トルエン2250.4g(24.4モル)を仕込み、攪拌した。該反応容器に三塩化リン1651.8g(12.0モル)を該滴下ロートを用い添加し、添加終了後、60℃にて加熱攪拌を行った。反応後、室温まで冷却し、得られた反応物に塩化メチレン5180.7g(61.0モル)を添加し、氷冷しながらターシャリーブタノール889.4g(12.0モル)および塩化メチレン150.2g(1.77モル)を滴下した。得られた結晶をトルエンおよび塩化メチレンにて洗浄しろ過した。得られたろ取物を80℃、1.33×10Paで12時間乾燥し、白色の固体1341.1g(5.88モル)を得た。得られた固体は31P、HNMRスペクトルにより2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジヒドロ−3,9−ジオキサイドである事を確認した。
温度計、コンデンサー、滴下ロートを備えた反応容器に得られた2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジヒドロ−3,9−ジオキサイド1341.0g(5.88モル)、DMF6534.2g(89.39モル)を仕込み、攪拌した。該反応容器に氷冷下ナトリウムメトキシド648.7g(12.01モル)を添加した。氷冷にて2時間攪拌した後に、室温にて5時間攪拌を行った。さらにDMFを留去した後に、DMF2613.7g(35.76モル)を添加し、該反応混合物に氷冷にて(2−ブロモエチル)ベンゼン2183.8g(11.8モル)滴下した。氷冷下3時間攪拌した後、DMFを留去し、水8Lを加え、析出した固体を濾取、水2Lで2回洗浄した。得られた粗精製物とメタノール4Lをコンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に入れ、約2時間還流した。室温まで冷却後、結晶をろ過により分離し、メタノール2Lで洗浄した後、得られたろ取物を120℃、1.33×10Paで19時間乾燥し、白色の粉末1924.4g(4.41モル)を得た。得られた固体は31PNMR、HNMRスペクトルおよび元素分析により2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン,3,9−ジ(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキサイドである事を確認した。31PNMR純度は99%であった。また、本文記載の方法で測定したHPLC純度は99%であった。酸価は0.03mgKOH/gであった。
H−NMR(CDCl,300MHz):δ7.1−7.4(m,10H),3.85−4.65(m,8H),2.90−3.05(m,4H),2.1−2.3(m,4H)、31P−NMR(CDCl,120MHz):δ31.5(S)、融点:245−246℃、元素分析 計算値:C,57.80;H,6.01、測定値:C,58.00;H,6.07
調製例5
2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジ(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキサイド(FR−5)の調製
攪拌機、温度計、コンデンサーを有する反応容器に、3,9−ジ(2−フェニルエトキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン436.4g(1.0mol)および2−フェニルエチルブロマイド370.1g(2.0mol)を充填し、室温下攪拌しながら、乾燥窒素をフローさせた。次いでオイルバスで加熱を開始し、オイルバス温度180℃で10時間保持した。その後オイルバスを取り除き室温まで冷却した。得られた白色固体状の反応物にメタノール2000mlを加えて攪拌洗浄後、グラスフィルターを用いて白色粉末を濾別した。次いで濾別した白色粉末をとメタノール4000mlをコンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に入れ、約2時間還流した。室温まで冷却後、結晶をろ過により分離し、メタノール2000mLで洗浄した。得られた白色粉末を100Pa、120℃で8時間乾燥させて、2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジ(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキサイド362.3gを得た。生成物は質量スペクトル分析、H、31P核磁気共鳴スペクトル分析および元素分析でビス2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジ(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキサイドであることを確認した。収率83%、HPLC純度99.3%、酸価0.41KOHmg/gであった。
H−NMR(CDCl,300MHz):δ7.1−7.4(m,10H),3.85−4.65(m,8H),2.90−3.05(m,4H),2.1−2.3(m,4H)、31P−NMR(CDCl,120MHz):δ31.5(S)、融点:245−246℃
調製例6
2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン,3,9−ビス(ジフェニルメチル)−3,9−ジオキサイド(FR−6)の調製
攪拌装置、攪拌翼、還流冷却管、温度計を備えた10リットル三つ口フラスコに、ジフェニルメチルホスホン酸ジクロリドを2058.5g(7.22モル)とペンタエリスリトール468.3g(3.44モル)、ピリジン1169.4g(14.8モル)、クロロホルム8200gを仕込み、窒素気流下、60℃まで加熱し、6時間攪拌させた。反応終了後、クロロホルムを塩化メチレンで置換し、当該反応混合物にに蒸留水6Lを加え攪拌し、白色粉末を析出させた。これを吸引濾過により濾取し、得られた白色物をメタノールを用いて洗浄した後、100℃、1.33×10Paで10時間乾燥し、白色の固体1156.2gを得た。得られた固体は31P−NMR、H−NMRスペクトルおよび元素分析により2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン,3,9−ビス(ジフェニルメチル)−3,9−ジオキサイドである事を確認した。31P−NMR純度は99%であった。また、本文記載の方法で測定したHPLC純度は99%であった。酸価は0.3mgKOH/gであった。
H−NMR(DMSO−d6,300MHz):δ7.20−7.60(m,20H),5.25(d,2H),4.15−4.55(m,8H)、31P−NMR(DMSO−d6,120MHz):δ20.9、融点:265℃、元素分析 計算値:C,66.43;H,5.39、測定値:C,66.14;H,5.41
調製例7
2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン,3,9−ビス(ジフェニルメチル)−3,9−ジオキサイド(FR−7)の調製
3口フラスコに攪拌機、温度計、およびコンデンサーを取り付け、窒素気流下、このフラスコに3,9−ビス(ジフェニルメトキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン40.4g(0.072モル)、ジフェニルメチルブロマイド35.5g(0.14モル)、キシレン48.0g(0.45モル)を入れ、還流温度(約130℃)で3時間加熱、攪拌した。加熱終了後、室温まで放冷し、キシレン30mLを加え、さらに30分攪拌した。析出した結晶をろ過により分離し、キシレン30mLで2回洗浄した。得られた粗精製物とメタノール100mLをナス型フラスコにいれ、コンデンサーを取り付け、約1時間還流した。室温まで冷却後、結晶をろ過により分離し、メタノール50mLで2回洗浄した後、120℃にて減圧乾燥した。得られた固体は31P−NMR、H−NMRスペクトルおよび元素分析により2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ビス(ジフェニルメチル)−3,9−ジオキサイドである事を確認した。得られた固体は白色の粉末であり、収量は36.8g、収率は91%であった。31PNMR純度は99%であった。また、本文記載の方法で測定したHPLC純度は99%であった。酸価は0.07mgKOH/gであった。
H−NMR(DMSO−d,300MHz):δ7.2−7.6(m,20H),6.23(d,J=9Hz、2H),3.89−4.36(m,6H),3.38−3.46(m,2H)、31P−NMR(CDCl,120MHz):δ20.9(S)、融点:265℃、元素分析 計算値:C,66.43;H,5.39、測定値:C,66.14;H,5.41
実施例、比較例で用いる各成分は以下のものを用いた。
(イ)芳香族ポリアミド樹脂(A成分)
(i)市販の芳香族ポリアミド6T(デグサ社製VESTAMID)を用いた(以下PA−1と称する)。かかるPA−1は、融点310℃、ジカルボン酸成分がテレフタル酸、ジアミン成分が1,6−ジアミノヘキサンである。
(ii)市販の芳香族ポリアミド9T((株)クラレ製ジェネスタN1000A)を用いた(以下PA−2と称する)。かかるPA−1は、融点304℃、ジカルボン酸成分がテレフタル酸、ジアミン成分が1,9−ジアミノノナンである。
(ロ)有機リン化合物(B成分)
(i)調製例1で合成した2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン,3,9−ジベンジル−3,9−ジオキサイド{前記一般式(1−a)で示されるリン系化合物(以下FR−1と称する)}
(ii)調製例2で合成した2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン,3,9−ジベンジル−3,9−ジオキサイド{前記一般式(1−a)で示されるリン系化合物(以下FR−2と称する)}
(iii)調製例3で合成した2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン,3,9−ジα−メチルベンジル−3,9−ジオキサイド{前記一般式(1−b)で示されるリン系化合物(以下FR−3と称する)}
(iv)調製例4で合成した2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン,3,9−ジ(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキサイド{前記一般式(1−d)で示されるリン系化合物(以下FR−4と称する)}
(v)調製例5で合成した2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン,3,9−ジ(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキサイド{前記一般式(1−d)で示されるリン系化合物(以下FR−5と称する)}
(vi)調製例6で合成した2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン,3,9−ビス(ジフェニルメチル)−3,9−ジオキサイド{前記一般式(1−c)で示されるリン系化合物(以下FR−6と称する)}
(vii)調製例7で合成した2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン,3,9−ビス(ジフェニルメチル)−3,9−ジオキサイド{前記一般式(1−c)で示されるリン系化合物(以下FR−7と称する)}
(ハ)その他の有機リン化合物
レゾルシノールビス(ジ−2,6−ジメチルフェニルホスフェート)
市販の芳香族縮合リン酸エステル(大八化学工業(株)製PX−200;前記一般式(D−3)でArがフェニレン基、Q、Q、QおよびQが2,6−ジメチルフェニル基である有機リン酸エステル化合物)を用いた(以下PX−200と称する)。
(ニ)充填剤(C成分)
ガラスミルドファイバー(日東紡績(株)製PFE−301S)を用いた(以下C−1と称する)。
[実施例1〜23、比較例1〜16]
表1〜4記載の各成分を表1〜4記載の量(重量部)でタンブラーにて配合し、15mmΦ二軸押出機(テクノベル製、KZW15)にてペレット化した。得られたペレットを100℃の熱風乾燥機にて8時間乾燥を行った。該ペレットを射出成形機((株)日本製鋼所、J75EIII)にて成形した。成形板を用いて評価した結果を表1〜3に示した。
Figure 2012067172
Figure 2012067172
Figure 2012067172
Figure 2012067172
本発明の高い難燃性を有する芳香族ポリアミド樹脂組成物は、電気・電子部品、自動車部品等の種々の成形品を成形する材料として有用である。

Claims (19)

  1. (A)芳香族ポリアミド樹脂(A成分)100重量部に対して、(B)下記一般式(1)で示される有機リン化合物(B成分)1〜100重量部を含有する難燃性樹脂組成物。
    Figure 2012067172
    (式中、X、Xは同一もしくは異なり、下記一般式(2)で表される芳香族置換アルキル基である。)
    Figure 2012067172
    (式中、ALは炭素数1〜5の分岐状または直鎖状の脂肪族炭化水素基であり、Arはその芳香環に置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基またはアントリル基である。nは1〜3の整数を示し、ArはAL中の任意の炭素原子に結合することができる。)
  2. A成分の芳香族ポリアミド樹脂の融点が270〜350℃であり、A成分の芳香族ポリアミド樹脂を構成するジカルボン酸成分の50〜100モル%がテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸からなる群より選択される少なくとも1種のジカルボン酸であり、A成分の芳香族ポリアミド樹脂を構成するジアミン成分の50〜100モル%が炭素数4〜25の脂肪族ジアミンである請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
  3. B成分の有機リン化合物は、下記一般式(3)で表される有機リン化合物である請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
    Figure 2012067172
    (式中、R、Rは同一または異なっていてもよく、その芳香環に置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基またはアントリル基である。R、R、R、Rは同一または異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜4の分岐状または直鎖状の脂肪族炭化水素基、その芳香環に置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基またはアントリル基である。)
  4. B成分の有機リン化合物は、上記式(3)中のR、R、RおよびRが水素原子であり、RおよびRが同一もしくは異なり、その芳香環に置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基またはアントリル基である請求項3記載の難燃性樹脂組成物。
  5. B成分の有機リン化合物は、下記式(1−a)で示される化合物である請求項3記載の難燃性樹脂組成物。
    Figure 2012067172
  6. B成分の有機リン化合物は、上記式(3)中のRおよびRが同一もしくは異なり、水素原子または炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基であり、RおよびRが同一もしくは異なり、炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基であり、RおよびRが同一もしくは異なり、その芳香環に置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基またはアントリル基である請求項3記載の難燃性樹脂組成物。
  7. B成分の有機リン化合物は、上記式(3)中のRおよびRが同一もしくは異なり、水素原子、メチル基またはエチル基であり、RおよびRが同一もしくは異なり、メチル基またはエチル基であり、RおよびRが同一もしくは異なり、その芳香環に置換基を有してもよいフェニル基である請求項3記載の難燃性樹脂組成物。
  8. B成分の有機リン化合物は、下記式(1−b)で示される化合物である請求項3記載の難燃性樹脂組成物。
    Figure 2012067172
  9. B成分の有機リン化合物は、上記式(3)中のRおよびRが同一もしくは異なり、水素原子、炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基またはその芳香環に置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基もしくはアントリル基であり、R、R、RおよびRが同一もしくは異なり、その芳香環に置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基またはアントリル基である請求項3記載の難燃性樹脂組成物。
  10. B成分の有機リン化合物は、上記式(3)中のRおよびRが同一もしくは異なり、水素原子、メチル基、エチル基またはその芳香環に置換基を有してもよいフェニル基であり、R、R、RおよびRが同一もしくは異なり、その芳香環に置換基を有してもよいフェニル基である請求項3記載の難燃性樹脂組成物。
  11. B成分の有機リン化合物は、下記式(1−c)で示される化合物である請求項3記載の難燃性樹脂組成物。
    Figure 2012067172
  12. B成分の有機リン化合物は、下記一般式(4)で表される有機リン化合物である請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
    Figure 2012067172
    (式中、ArおよびArは、同一又は異なっていてもよく、フェニル基、ナフチル基またはアントリル基であり、その芳香環に置換基を有していてもよい。R、R、RおよびR10は、同一又は異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基またはフェニル基、ナフチル基もしくはアントリル基であり、その芳香環に置換基を有していてもよい。ALおよびALは、同一又は異なっていてもよく、炭素数1〜4の分岐状または直鎖状の脂肪族炭化水素基である。ArおよびArは、同一又は異なっていてもよく、フェニル基、ナフチル基またはアントリル基であり、その芳香環に置換基を有していてもよい。pおよびqは0〜3の整数を示し、ArおよびArはそれぞれALおよびALの任意の炭素原子に結合することができる。)
  13. B成分の有機リン化合物は、上記式(4)中のAr、Ar、ArおよびArが同一もしくは異なり、置換基を有してもよいフェニル基であり、pおよびqが0であり、R、R、RおよびR10が同一もしくは異なり、水素原子またはメチル基であり、ALおよびALがメチレン基である請求項12記載の難燃性樹脂組成物。
  14. B成分の有機リン化合物は、下記式(1−d)で示される化合物である請求項12記載の難燃性樹脂組成物。
    Figure 2012067172
  15. B成分の有機リン化合物は、酸価が0.7mgKOH/g以下である請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
  16. B成分の有機リン化合物は、HPLC純度が少なくとも90%である請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
  17. A成分100重量部に対して、B成分が5〜70重量部の割合で含有する請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
  18. (A)芳香族ポリアミド樹脂(A成分)100重量部に対して、さらに(C)充填剤(C成分)1〜200重量部を含有する請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
  19. 請求項1〜18のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物より形成された成形品。
JP2010212240A 2010-09-22 2010-09-22 難燃性樹脂組成物およびそれからの成形品 Pending JP2012067172A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010212240A JP2012067172A (ja) 2010-09-22 2010-09-22 難燃性樹脂組成物およびそれからの成形品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010212240A JP2012067172A (ja) 2010-09-22 2010-09-22 難燃性樹脂組成物およびそれからの成形品

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2012067172A true JP2012067172A (ja) 2012-04-05

Family

ID=46164820

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010212240A Pending JP2012067172A (ja) 2010-09-22 2010-09-22 難燃性樹脂組成物およびそれからの成形品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2012067172A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015110702A (ja) * 2013-12-06 2015-06-18 帝人株式会社 難燃性樹脂組成物およびその成形品
JP2022070479A (ja) * 2020-10-27 2022-05-13 帝人株式会社 難燃性樹脂組成物およびそれからなる成形品
JP2022189460A (ja) * 2021-06-11 2022-12-22 長瀬産業株式会社 樹脂組成物

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07233320A (ja) * 1993-12-23 1995-09-05 Ems Inventa Ag 難燃性ポリアミド並びに難燃性成形材料及び成形体
JP2001081316A (ja) * 1999-09-16 2001-03-27 Asahi Kasei Corp 難燃性ポリアミド樹脂組成物とその成形体
JP2002114906A (ja) * 2000-10-10 2002-04-16 Mitsui Chemicals Inc 電気・電子部品成形材料および電気・電子部品
JP2004051917A (ja) * 2002-07-24 2004-02-19 Teijin Chem Ltd 難燃性樹脂組成物およびそれからの成形品
JP2004115763A (ja) * 2002-09-30 2004-04-15 Teijin Chem Ltd 難燃性樹脂組成物およびそれからの成形品
JP2009275217A (ja) * 2008-04-14 2009-11-26 Asahi Kasei Chemicals Corp ポリアミド組成物

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07233320A (ja) * 1993-12-23 1995-09-05 Ems Inventa Ag 難燃性ポリアミド並びに難燃性成形材料及び成形体
JP2001081316A (ja) * 1999-09-16 2001-03-27 Asahi Kasei Corp 難燃性ポリアミド樹脂組成物とその成形体
JP2002114906A (ja) * 2000-10-10 2002-04-16 Mitsui Chemicals Inc 電気・電子部品成形材料および電気・電子部品
JP2004051917A (ja) * 2002-07-24 2004-02-19 Teijin Chem Ltd 難燃性樹脂組成物およびそれからの成形品
JP2004115763A (ja) * 2002-09-30 2004-04-15 Teijin Chem Ltd 難燃性樹脂組成物およびそれからの成形品
JP2009275217A (ja) * 2008-04-14 2009-11-26 Asahi Kasei Chemicals Corp ポリアミド組成物

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015110702A (ja) * 2013-12-06 2015-06-18 帝人株式会社 難燃性樹脂組成物およびその成形品
JP2022070479A (ja) * 2020-10-27 2022-05-13 帝人株式会社 難燃性樹脂組成物およびそれからなる成形品
JP2022189460A (ja) * 2021-06-11 2022-12-22 長瀬産業株式会社 樹脂組成物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1408085A1 (en) Flame;retardant resin composition and molded article therefrom
JP4660061B2 (ja) 難燃性樹脂組成物およびそれからの成形品
JP2004210968A (ja) 難燃性樹脂組成物およびそれからの成形品
JP4653373B2 (ja) 難燃性樹脂成形物およびそれからの成形品
JP2012067172A (ja) 難燃性樹脂組成物およびそれからの成形品
JP4660054B2 (ja) 難燃性樹脂成形物およびそれからの成形品
JP5502819B2 (ja) 難燃性樹脂組成物およびそれからの成形品
JP5784894B2 (ja) 難燃性樹脂組成物およびそれからの成形品
JP4010898B2 (ja) 難燃性樹脂組成物およびそれからの成形品
JP5571399B2 (ja) 難燃性スチレン系樹脂組成物およびそれからの成形品
JP4870315B2 (ja) 難燃性樹脂組成物およびそれからの成形品
JP6334150B2 (ja) 難燃性樹脂組成物およびその成形品
JP4560485B2 (ja) 難燃性スチレン系樹脂組成物およびそれからの成形品
JP4017923B2 (ja) 難燃性樹脂成形物およびそれからの成形品
JP7477427B2 (ja) 難燃性樹脂組成物およびそれからなる成形品
JP4486299B2 (ja) 難燃性樹脂組成物およびそれからの成形品
JP4080254B2 (ja) 難燃性樹脂組成物およびそれからの成形品
JP4563645B2 (ja) 難燃性樹脂組成物およびそれからの成形品
JP2004018734A (ja) 難燃性樹脂組成物およびそれからの成形品
JP4633995B2 (ja) 難燃性樹脂組成物およびそれからの成形品
JP2004051819A (ja) 難燃性樹脂組成物およびそれからの成形品
JP2004018733A (ja) 難燃性樹脂組成物およびそれからの成形品
JP2004051916A (ja) 難燃性樹脂組成物およびそれからの成形品
JP2004051917A (ja) 難燃性樹脂組成物およびそれからの成形品
JP2004035796A (ja) 難燃性樹脂組成物およびそれからの成形品

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20130524

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130624

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20131224

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140114

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140306

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20141021