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JP2012052061A - 蛍光体複合部材 - Google Patents

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JP2012052061A
JP2012052061A JP2010197513A JP2010197513A JP2012052061A JP 2012052061 A JP2012052061 A JP 2012052061A JP 2010197513 A JP2010197513 A JP 2010197513A JP 2010197513 A JP2010197513 A JP 2010197513A JP 2012052061 A JP2012052061 A JP 2012052061A
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JP2010197513A
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Shunsuke Fujita
俊輔 藤田
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Nippon Electric Glass Co Ltd
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Nippon Electric Glass Co Ltd
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Abstract

【課題】優れた耐熱性や高演色性、昼光色から電球色までの多様な色度制御性を有しつつ、かつ発光強度に優れた蛍光体複合部材を提供する。
【解決手段】波長550nm、厚さ1mmにおける全光線透過率が70%以上のセラミックス基材の表面に、ガラス粉末および無機蛍光体粉末を含む無機粉末焼結体層が形成されてなる蛍光体複合部材であって、励起光が照射されたときに、セラミックス基材および無機粉末焼結体層が互いに異なる波長の蛍光を発することを特徴とする蛍光体複合部材。
【選択図】図1

Description

本発明は、励起光を照射することにより蛍光を発し、透過励起光と蛍光との合成により白色光を得るための蛍光体複合部材に関するものである。
青色の発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)の開発により、光の3原色RGB(R:赤色、G:緑色、B:青色)のLEDが揃い、これらのLEDを並べて用いることによって白色光を得る技術が提案されている。しかし、通常、三色のLEDの発光出力は異なるため、各色LEDの特性を調整して白色光を得ることは困難である。また、三原色のLEDを集合させて同一平面上に並べても、例えば、液晶用バックライト用途のように、それらのLEDを接近した位置で視認する場合には、均質な白色光源を得ることはできない。また、各色LEDの色劣化速度が異なるため、白色光の長期安定性に問題がある。
これらの問題を解決するために、青色LEDと、青色LEDから発せられた青色光によって黄色の蛍光を発するYAG蛍光体(YAl12)を組み合わせたLEDが開発されている(例えば、特許文献1参照)。当該LEDによれば、YAG蛍光体が発する黄色光と青色LEDの透過光との合成により白色光が得られる。この方式であれば、励起光源のLEDとしては1種類ですむため、低コストであり、白色光の長期安定性にも優れる。
上記白色LEDは、従来の照明装置等の光源に比べ、長寿命、高効率、高安定性、低消費電力、高応答速度、環境負荷物質を含まない等の利点を有しているため、現在、ほとんどの携帯電話の液晶バックライトに適用されている。また、近年では液晶テレビのバックライト用光源として急速に普及が広まってきている。今後は、これに加えて一般照明にも応用が進むと期待されている。
ところで、特許文献1に開示されている白色LEDは、LEDチップの発光面を有機系バインダー樹脂に蛍光体粉末を分散したものをモールド被覆してなる構成を有している。そのため、青色〜紫外線領域の高出力の短波長の光や、蛍光体の発熱、あるいはLEDチップの熱によって、上記有機系バインダー樹脂が劣化し、変色を引き起こすおそれがある。その結果、発光強度の低下や色ずれが起こり、寿命が短くなるという問題がある。
また、得られる白色光は、青色と黄色の合成光であるため、色温度の高い白色光(昼光色)を得ることはできるが、色温度の低い白色光(電球色)を得ることができないという問題もある。さらに、2色による合成光であるため、演色性が低く、照明用途には不向きである。
これらの問題に対し、蛍光を発するセラミックス基材表面に、無機蛍光体粉末を含有するガラス焼結体層を形成してなる蛍光体複合部材が提案されている(例えば、特許文献2参照)。当該蛍光体複合部材は、耐熱性に乏しい有機系バインダー樹脂を使用していないため、経時的な発光強度の低下を抑制でき、演色性が高く、しかも昼光色から電球色までの様々な色温度に対応した白色光を得ることが可能である。
特開2000−208815号公報 特開2008−169348号公報
特許文献2に記載の蛍光体複合部材において使用されているセラミック基材は、結晶粒界やその粒界に存在する不純物や気泡等の影響で半透明体となっている。このため、励起光や、励起光によって発光する蛍光の一部が散乱および吸収されて損失となりやすく、結果として、得られる白色光の発光強度に劣るという問題がある。
そこで、本発明は、優れた耐熱性や高演色性、昼光色から電球色までの多様な色度制御性を有しつつ、かつ発光強度に優れた蛍光体複合部材を提供することを目的とする。
本発明者は鋭意検討した結果、励起光により蛍光を発し、かつ特定の性状を有するセラミックス基材表面に、ガラス粉末および無機蛍光体粉末を含有する無機粉末焼結体層を形成してなる蛍光体複合部材により前記課題を解決できることを見出し、本発明として提案するものである。
すなわち、本発明は、波長550nm、厚さ1mmにおける全光線透過率が70%以上のセラミックス基材の表面に、ガラス粉末および無機蛍光体粉末を含む無機粉末焼結体層が形成されてなる蛍光体複合部材であって、励起光が照射されたときに、セラミックス基材および無機粉末焼結体層が互いに異なる波長の蛍光を発することを特徴とする蛍光体複合部材に関する。
本発明の蛍光体複合部材は、従来の部材で使用されていた有機バインダー樹脂等の有機物が使用されていないため、経時的な発光強度の低下を抑制できる。また、励起光が照射されたときに、セラミックス基材および無機粉末焼結体層が互いに異なる波長の蛍光を発し、これらの光が蛍光体複合部材中を透過する励起光と合成されるため、演色性が高く、昼光色から電球色までの様々な色温度に対応した白色光を発することができる。
また、本発明の蛍光体複合部材は、波長550nm、厚さ1mmにおける全光線透過率が70%以上のセラミックス基材と無機粉末焼結体層を組み合わせることにより、後述するように、セラミックス基材中における光の散乱および吸収を抑制しつつ、発光イオンに効率的に励起光を照射することが可能となり、結果として優れた発光強度を得ることができる。
第二に、本発明の蛍光体複合部材は、セラミックス基材が、波長400〜500nmの励起光を吸収し、波長450〜780nmの蛍光を発することを特徴とする。
第三に、本発明の蛍光体複合部材は、セラミックス基材が、青色の励起光を吸収し、黄色の蛍光を発することを特徴とする。
第四に、本発明の蛍光体複合部材は、セラミックス基材が、結晶中にCe3+を含むガーネット結晶からなることを特徴とする。
第五に、本発明の蛍光体複合部材は、ガーネット結晶が、YAG結晶またはYAG結晶固溶体であることを特徴とする。
第六に、本発明の蛍光体複合部材は、無機粉末焼結体層が、波長400〜500nmの励起光を吸収し、波長500〜780nmの蛍光を発することを特徴とする。
第七に、本発明の蛍光体複合部材は、無機粉末焼結体層が、青色の励起光を吸収し、赤色および/または緑色の蛍光を発することを特徴とする。
なお、本発明において、青色光とは、波長430〜480nmに中心波長を有する光を、緑色光とは、波長500〜535nmに中心波長を有する光を、黄色光とは、波長535〜590nmに中心波長を有する光を、赤色光とは、波長610〜780nmに中心波長を有する光をそれぞれ意味する。
第八に、本発明の蛍光体複合部材は、セラミックス基材および無機粉末焼結体層から発せられる蛍光と、蛍光体複合部材中を透過する励起光とが合成されて白色光を発することを特徴とする。
第九に、本発明の蛍光体複合部材は、無機粉末焼結体層が、無機蛍光体粉末を0.01〜30質量%含有することを特徴とする。
第十に、本発明の蛍光体複合部材は、ガラス粉末が、組成としてモル%表示で、SnO 35〜80%、P 5〜40%、B 0〜30%を含有することを特徴とする。
第十一に、本発明は、前記いずれかの蛍光体複合部材を用いたことを特徴とする発光デバイスに関する。
本発明の蛍光体複合部材を示す模式図である。 (a)セラミックス基材のみに励起光を照射した場合において、発光イオンの発光状態を示す模式図である。(b)無機粉末焼結体層が、セラミックス基材の励起光側に積層されている場合において、発光イオンの発光状態を示す模式図である。(c)無機粉末焼結体層が、セラミックス基材の発光面側(励起光と反対側)に積層されている場合において、発光イオンの発光状態を示す模式図である。
図1に、本発明の蛍光体複合部材の模式図を示す。図1に示すように、本発明の蛍光体複合部材は、セラミックス基材2の表面に、ガラス粉末および無機蛍光体粉末を含む無機粉末焼結体層1が形成されてなるものであり、励起光が照射されたときに、セラミックス基材2および無機粉末焼結体層1が互いに異なる波長の蛍光を発することを特徴とする。
具体的には、本発明の蛍光体複合部材において、セラミックス基材は、励起光を照射したときに、波長400〜500nmの光(好ましくは、青色光)を吸収し、波長450〜780nmの光(好ましくは、黄色光)の蛍光を発することが好ましい。また、無機粉末焼結体層は、波長400〜500nmの光(好ましくは、青色光)を吸収し、波長500〜780nmの光(好ましくは、赤色および/または緑色)の蛍光を発することが好ましい。セラミック基材および無機粉末焼結体層が、上記の吸収波長および蛍光波長を有することにより、色温度の低い白色光(電球色)が得られやすくなる。
本発明の蛍光体複合部材において、優れた発光強度を得ることができるメカニズムは以下のように説明することができる。
図2(a)は、セラミックス基材のみに対して励起光を照射した場合の発光の様子を示す模式図を示す。波長550nm、厚さ1mmにおける全光線透過率が70%以上という透過率に優れたセラミックス基材2を用いることで、セラミックス基材2中で生じる光散乱および吸収による損失を最小限に抑えることができる。ただし、セラミックス基材2の透過率が高いため、セラミックス基材2中で波長変換されずに透過する励起光Cの割合も多くなる。このため、かえってセラミックス基材2中に存在する発光イオンIの励起効率が低下し、発光強度が低下する傾向がある。
一方、無機粉末焼結体層1は、発光色の色度を調整する一方で、直進する励起光を四方八方に散乱させる効果がある。例えば、図2(b)に示すように、無機粉末焼結体層1がセラミックス基材2の下面(励起光側)に位置する場合は、励起光Cを散乱させてあらゆる角度でセラミックス基材2に入射させることができ、結果として、発光イオンIに励起光Cが照射される確率を向上させることができる。逆に、図2(c)に示すように、無機粉末焼結体層1がセラミックス基材2の上面(発光面側)に位置する場合は、セラミックス基材2中を通過した励起光Cを、無機粉末焼結体層1とセラミックス基板2の界面で反射させてセラミックス基材2に再入射させ、再度発光イオンIの励起に寄与させることができる。したがって、この場合も発光イオンIに励起光Cが照射される確率を向上させることができる。また、無機粉末焼結体層1がセラミックス基材2の両面に位置する場合は、その両方の効果を得ることができる。
以上のように、セラミックス基材2中における光の散乱および吸収による損失を極力低減しつつ、発光イオンIに励起光Cを効率的に照射させることで発光強度を格段に向上させることが可能となる。
本発明の蛍光体複合部材におけるセラミックス基材としては、セラミックス基材中にCeを0.001〜1モル%、0.002〜0.5モル%、特に0.005〜0.2モル%含有するガーネット結晶からなるものを用いることが好ましい。これにより、ガーネット結晶中においてCe3+が発光中心となり、青色の励起光を吸収し、黄色の蛍光を発しやすくなる。セラミックス基材中におけるCeの含有量が少なすぎると、黄色の発光強度が低下する傾向にあり、結果として、白色光が得られにくくなる。一方、Ceの含有量が多すぎると、黄色の蛍光が強くなり、結果として、白色光が得られにくくなる。
なお、ガーネット結晶とは、一般的にA12で表される結晶(A=Mg、Mn、Fe、Ca、Y、Gd等;B=Al、Cr、Fe、Ga、Sc等;C=Al、Si、Ga、Ge等)をいう。ガーネット結晶のうち、特にYAG(YAl12)結晶またはYAG結晶固溶体は、所望の黄色の蛍光を発するため好ましい。YAG結晶固溶体としては、Yの一部をGd、Sc、CaおよびMgからなる群から選択された少なくとも1種の元素で置換したもの、および/または、Alの一部をGa、Si、GeおよびScからなる群から選択された少なくとも1種の元素で置換したものが挙げられる。
本発明におけるセラミックス基材の波長550nm、厚さ1mmにおける全光線透過率は70%以上、80%以上、特に82%以上であることが好ましい。全光線透過率が70%未満であると、セラミックス基材中での光散乱損失が大きくなり、発光強度が低下する傾向がある。
セラミックス基材は、0.01〜2mm、0.05〜1mm、特に0.1〜0.5mmの厚さを有する板状であることが好ましい。セラミックス基材が板状であると、セラミックス基材上に無機粉末焼結体層を形成しやすくなる。セラミックス基材の厚さが薄くなりすぎると、セラミックス基材中の結晶量が少なくなり、十分な黄色の蛍光が発せられず、結果として、白色光が得られにくくなる。一方、セラミックス基材の厚さが厚くなりすぎると、黄色の発光が強くなり、結果として、白色光が得られにくくなる。
本発明におけるセラミック基材は、例えば以下のような方法により作製することができる。まず、A12(A=Mg、Mn、Fe、Ca、Y、Gd等:B=Al、Cr、Fe、Ga、Sc等:C=Al、Si、Ga、Ge等)の量論組成となるように、A、BおよびCの酸化物原料を秤量し、これにCeを0.001〜1モル%添加する。次に、ボールミル等により十分に攪拌混合した後、得られた粉体を所望の形状(例えば板状)にプレス成型する。続いて、得られたプレス成型体を1500〜1800℃の温度で焼成することにより、セラミック基材を得る。なお、酸化物原料粉末としては、数μm程度あるいはそれ以下の粒径を有し、かつ高純度のものを用いることにより、均質なセラミック基材が得られやすくなる。
ここで、プレス成形体の焼成は真空雰囲気中で行うことが好ましい。これにより、原料粉末同士の界面において気泡が残留しにくくなり、所望の全光線透過率を達成しやすくなる。また、原料粉末のプレス成型の際に印加する圧力を高くすることによっても、残留気泡を低減することが可能となる。具体的には、原料粉末のプレス成型は100〜300MPa程度の圧力で行うことが好ましい。
本発明で用いられるガラス粉末には、無機蛍光体粉末を安定に保持するための媒体としての役割がある。なお、ガラス粉末の組成系によって、焼結体の色調が異なり、無機蛍光体粉末との反応性に差がでるため、種々の条件を考慮してガラス粉末の組成を選択する必要がある。さらに、ガラス組成に適した無機蛍光体粉末の添加量や、無機粉末焼結体層の厚みを決定することも重要である。
ガラス粉末の具体例としては、SiO−B−RO(R=Mg、Ca、Sr、Ba)系ガラス、SiO−B系ガラス、SiO−B−R’O(R’=Li、Na、K)系ガラス、SiO−B−Al系ガラス、SiO−B−ZnO系ガラス、SnO−P系ガラスを用いることができる。なかでも、SiO−B−RO系ガラスやSnO−P系ガラスを用いることが好ましい。SiO−B−RO系ガラスは、焼成時において無機蛍光体粉末と反応が起こりにくい。SnO−P−B系ガラスは融点が低く、低温で焼結可能であるため、焼成時における無機蛍光体粉末の熱劣化を抑制することができる。SnO−P系ガラス粉末としては、SnO−P−B系ガラス、SnO−P−ZnO系ガラス等が挙げられる。
SiO−B−RO系ガラスとしては、組成としてモル%で、SiO 30〜70%、B 1〜15%、MgO 0〜10%、CaO 0〜25%、SrO 0〜10%、BaO 5〜40%、RO 10〜45%、Al 0〜20%、ZnO 0〜10%を含有することが好ましい。組成範囲をこのように決定した理由は以下の通りである。なお、以下の説明において、「%」は特に断りのない限り「モル%」を示す。
SiOはガラスネットワークを形成する成分である。SiOの含有量は30〜70%、特に45〜65%であることが好ましい。SiOの含有量が30%未満であると、化学的耐久性が悪化しやすくなる。一方、SiOの含有量が70%を超えると、ガラスの軟化点が上昇して焼結温度が高温になり、結果として焼成時に無機蛍光体粉末が劣化しやすくなる。
はガラスの溶融温度を低下させて溶融性を著しく改善する成分である。Bの含有量は1〜15%、特に2〜10%であることが好ましい。Bの含有量が1%未満であると、上記効果が得られにくくなる。一方、Bの含有量が15%を超えると、化学的耐久性が悪化しやすくなる。
MgOはガラスの溶融温度を低下させて溶融性を改善する成分である。MgOの含有量は0〜10%、特に0.1〜5%であることが好ましい。MgOの含有量が10%を超えると、化学的耐久性が悪化しやすくなる。
CaOはガラスの溶融温度を低下させて溶融性を改善する成分である。CaOの含有量は0〜25%、特に3〜20%であることが好ましい。CaOの含有量が25%を超えると、化学的耐久性が悪化しやすくなる。
SrOはガラスの溶融温度を低下させて溶融性を改善する成分である。SrOの含有量は0〜10%、特に0.1〜5%であることが好ましい。SrOの含有量が10%を超えると、化学的耐久性が悪化しやすくなる。
BaOはガラスの溶融温度を低下させて溶融性を改善するとともに、無機蛍光体粉末との反応を抑制する成分である。BaOの含有量は5〜40%、特に10〜35%であることが好ましい。BaOの含有量が5%未満であると、無機蛍光体粉末との反応抑制効果が低下する傾向にある。一方、BaOの含有量が40%を超えると、化学的耐久性が悪化する傾向にある。
なお、化学的耐久性を悪化させることなく、ガラスの溶融性を向上させるためには、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合量であるROを10〜45%、特に11〜40%とすることが好ましい。ROの含有量が10%未満であると、溶融性を改善する効果が得られにくくなる。一方、ROの含有量が45%を超えると、化学的耐久性が悪化しやすくなる。
Alは化学的耐久性を向上させる成分である。Alの含有量は0〜20%、特に2〜15%であることが好ましい。Alの含有量が20%を超えると、ガラスの溶融性が悪化しやすくなる。
ZnOはガラスの溶融温度を低下させて溶融性を改善する成分である。ZnOの含有量は0〜10%、特に1〜7%であることが好ましい。ZnOの含有量が10%を超えると、化学的耐久性が悪化しやすくなる。
また、上記成分以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で種々の成分を添加することができる。例えば、アルカリ金属酸化物、P、La等を合量で30%以下、特に10%以下添加してもよい。
SnO−P系ガラスとしては、組成としてモル%表示で、SnO 35〜80%、P 5〜40%、B 0〜30%を含有するものであることが好ましい。ガラス組成をこのように限定した理由を以下に説明する。
SnOはガラス骨格を形成するとともに、軟化点を低下させる成分である。SnOの含有量は35〜80%、40〜70%、50〜70%、特に55〜65%であることが好ましい。SnOの含有量が35%未満であると、ガラスの軟化点が上昇する傾向にあり、耐候性が悪化する傾向がある。一方、SnOの含有量が80%を超えると、ガラス中にSnに起因する失透ブツが析出し、ガラスの透過率が低下する傾向にあり、結果として、蛍光強度が低下しやすくなる。また、ガラス化しにくくなる。
はガラス骨格を形成する成分である。Pの含有量は5〜40%、10〜30%、特に15〜24%であることが好ましい。Pの含有量が5%未満であると、ガラス化しにくくなる。一方、Pの含有量が40%を超えると、ガラスの軟化点が上昇して耐候性が著しく低下する傾向にある。
はガラスの耐候性を向上させるとともに、ガラス粉末と無機蛍光体粉末の反応を抑制する成分である。また、ガラスを安定化させる成分でもある。Bの含有量は0〜30%、1〜25%、2〜20%、特に4〜18%であることが好ましい。Bの含有量が30%を超えると、耐候性が低下しやすくなる。また、ガラスの軟化点が上昇する傾向がある。
また、上記成分以外にも下記の成分を添加することができる。
Alはガラスを安定化させる成分である。Alの含有量は0〜10%、0〜7%、特に1〜5%であることが好ましい。Alの含有量が10%を超えると、ガラスの軟化点が上昇して焼結温度が高くなる傾向がある。結果として、無機蛍光体粉末層を形成する際の熱処理により無機蛍光体粉末が劣化しやすくなる。
SiOはAlと同様にガラスを安定化させる成分である。SiOの含有量は0〜10%、0〜7%、特に0.1〜5%であることが好ましい。SiOの含有量が10%を超えると、ガラスの軟化点が上昇する傾向にあり、焼結温度が上昇する傾向がある。結果として、無機蛍光体粉末層を形成する際の熱処理により無機蛍光体粉末が劣化しやすくなる。また、ガラスが分相しやすくなる。
LiO、NaOおよびKOは、ガラスの軟化点を低下させる成分である。その含有量はそれぞれ0〜10%、0〜7%、特に0.1〜5%であることが好ましい。これら成分の含有量がそれぞれ10%を超えると、ガラスが著しく不安定になり、ガラス化しにくくなる。
なお、LiO、NaOおよびKOを合量で0〜10%、0〜7%であり、特に1〜5%にすることが好ましい。これら成分の合量が10%より多くなると、ガラスが不安定になり、ガラス化しにくくなる。
MgO、CaO、SrO、BaOはガラスを安定化させてガラス化しやすくする成分である。その含有量はそれぞれ0〜10%、0〜7%、特に0.1〜5%であることが好ましい。これら成分の含有量がそれぞれ10%を超えると、ガラスが失透しやすく、透過率が低下する傾向にある。その結果、発光強度が低下しやすくなる。
なお、MgO、CaO、SrOおよびBaOを合量で0〜10%、0〜7%、特に1〜5%にすることが好ましい。これら成分の合量が10%を超えると、ガラスが失透しやすくなり、透過率が低下する傾向にある。その結果、発光強度が低下しやすくなる。
また、耐候性を向上させるために、ZnO、Ta、TiO、Nb、Gd、Laを合量で10%まで添加してもよい。
また、SnO−P系ガラス粉末の軟化点は500℃以下、450℃以下、特に400℃以下であることが好ましい。軟化点が500℃を超えると、焼結温度が高くなり、無機蛍光体粉末層を形成する際の熱処理により無機蛍光体粉末が劣化しやすくなる。
本発明において、ガラス粉末の平均粒径D50が大きすぎると、無機粉末焼結体層中の無機蛍光体粉末の分散状態に劣り、発光色にばらつきが生じやすくなる。そのため、ガラス粉末の平均粒径D50は100μm以下、特に50μm以下であることが好ましい。なお、下限については特に限定されないが、ガラス粉末の平均粒径D50が小さくなりすぎると、加工コストが高騰しやすくなるため、0.1μm以上、特に1μm以上であることが好ましい。
無機粉末焼結体層に含まれる無機蛍光体粉末としては、一般に市中で入手できるものであれば使用でき、酸化物、窒化物、酸窒化物、硫化物、酸硫化物、酸フッ化物、ハロゲン化物、ハロリン酸塩化物などからなるものが挙げられる。なかでも、波長300〜500nmに励起帯を有し、波長500〜780nmに発光ピークを有するもの、特に、赤色および/または緑色に発光するものを用いることが好ましい。
具体的には、青色励起光を照射すると赤色の蛍光を発する無機蛍光体粉末として、CaS:Eu2+、ZnS:Mn2+,Te2+、MgTiO:Mn4+、KSiF:Mn4+、SrS:Eu2+、Na1.230.42Eu0.12TiSi411、Na1.230.42Eu0.12TiSi13:Eu3+、CdS:In,Te、CaAlSiN:Eu2+、CaSiN:Eu2+、(Ca,Sr)Si:Eu2+、Euが挙げられる。
また、青色励起光を照射すると緑色の蛍光を発する無機蛍光体粉末として、SrAl:Eu2+、SrGa:Eu2+、SrBaSiO:Eu2+、CdS:In、CaS:Ce3+、Y(Al,Gd)12:Ce2+、CaScSi12:Ce3+、SrSiO:Eu2+が挙げられる。
無機粉末焼結体層における無機蛍光体粉末の含有量が多くなりすぎると、焼結しにくくなり、気孔率が大きくなって、光散乱損失が大きくなるなどの問題が生じる。一方、無機蛍光体粉末の含有量が少なすぎると、十分な発光が得られにくくなる。よって、無機粉末焼結体層における無機蛍光体粉末の含有量は、0.01〜30質量%、0.05〜20質量%、特に0.08〜15%であることが好ましい。
無機粉末焼結体層は、0.01〜1mm、特に0.1〜0.8mmの厚さを有することが好ましい。無機粉末焼結体層の厚さが0.01mm未満であると、無機粉末焼結体層から発せられる蛍光が不十分となり、白色光が得られにくくなる。一方、無機粉末焼結体層の厚さが1mmを超えると、光散乱損失が大きくなって、励起光やセラミックス基材が発する蛍光が透過しにくくなり、結果として、白色光が得られにくくなる。
なお、セラミックス基材が板状である場合、無機粉末焼結体層はセラミックス基材の片面のみに形成してもよいし、両面に形成してもよい。
本発明の蛍光体複合部材においては、セラミックス基材と無機粉末焼結体層の間には、接着剤層や空間層を介在させずに、無機粉末焼結体層をセラミックス基材上に融着一体化してなることが好ましい。セラミックス基材と無機粉末焼結体層との間に空間がなく密着した構造にすることで、機械的強度を向上させることができる。また、このようにすれば、熱による変色の原因となる有機系樹脂接着剤を使用せずとも、本発明の蛍光体複合部材を作製することが可能となる。
セラミックス基材からの無機粉末焼結体層の剥離を防止するには、セラミックス基材の熱膨張係数をα1、無機粉末焼結体層の熱膨張係数をα2としたとき、−5ppm/℃≦α1−α2≦5ppm/℃、特に−1ppm/℃≦α1−α2≦1ppm/℃であることが好ましい。α1−α2が上記範囲外になると、無機粉末焼結体層がセラミックス基材から剥離しやすくなる。
セラミックス基材と無機粉末焼結体層の膨張係数を整合させるために、無機粉末焼結体層には無機フィラー粉末を含有させることが好ましい。無機フィラー粉末としては、低膨張特性を有するリン酸ジルコニウム、リン酸タングステン酸ジルコニウム、タングステン酸ジルコニウム、NZP型結晶およびこれらの固溶体等が挙げられ、これらを単独あるいは混合して使用することができる。ここで、「NZP型結晶」とは、例えば、NbZr(POや[AB(MO]の基本構造をもつ結晶が含まれる。
A:Li、Na、K、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cu、Ni、Mn等
B:Zr、Ti、Sn、Nb、Al、Sc、Y等
M:P、Si、W、Mo等
なお、Zr成分を含有する無機フィラー粉末は、SnO−P系ガラスと適合性が良好、つまりSnO−P系ガラスとの反応性が低く、焼結時にガラスを失透させにくい性質を有している。
無機フィラー粉末の熱膨張係数は、30〜380℃の温度範囲で50×10−7/℃以下、特に30×10−7/℃以下であることが好ましい。無機フィラー粉末の熱膨張係数が50×10−7/℃より大きいと、無機粉末焼結体層の熱膨張係数を低下させる効果が得られにくい。なお、無機フィラー粉末の熱膨張係数の下限については特に限定されないが、現実的には−100×10−7/℃以上である。
無機粉末焼結体層における無機フィラー粉末の含有量は、1〜30質量%、1.5〜25質量%、特に2〜20質量%であることが好ましい。無機フィラー粉末の含有量が1質量%未満であると、上記効果が得られにくい。一方、無機フィラー粉末の含有量が30質量%を超えると、焼成時に軟化流動するガラス粉末の含有量が相対的に少なくなるため、セラミックス基材に対する融着強度が低下しやすくなる。また、無機粉末焼結体層におけるガラスマトリクスと無機フィラー粉末の界面における光散乱損失が大きくなり、発光強度が低下する傾向がある。
無機フィラー粉末の平均粒子径D50は、0.1〜50μm、特に3〜20μmであることが好ましい。無機フィラー粉末の平均粒子径D50が0.1μmより小さいと、熱膨張係数を低下させる効果に劣る傾向がある。あるいは、焼成時にガラスに溶け込み、フィラーとしての役割を果たさなくなるおそれがある。無機フィラー粉末の平均粒子径D50が50μmより大きいと、ガラス粉末と無機フィラー粉末の境界にクラックが発生しやすくなる。
無機粉末焼結体層は、ガラス粉末と無機蛍光体粉末、さらに必要に応じて無機フィラーを含む混合物に、結合剤、可塑剤、溶剤等を加えて混錬したものを、例えばペーストの形態にして、焼成することで作製することができる。ペースト全体に占めるガラス粉末と無機蛍光体粉末の割合としては、30〜90質量%程度が一般的である。
結合剤は、乾燥後の膜強度を高め、また柔軟性を付与する成分であり、その含有量は、0.1〜20質量%程度が一般的である。結合剤としては、ポリブチルメタアクリレート、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタアクリレート、ポリエチルメタアクリレート、エチルセルロース、ニトロセルロース等が挙げられ、これらを単独あるいは混合して使用することができる。
可塑剤は、膜の乾燥速度をコントロールするとともに、乾燥膜に柔軟性を与える成分であり、その含有量は0〜10質量%程度が一般的である。可塑剤としては、フタル酸ジブチル、ブチルベンジルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソオクチルフタレート、ジカプリルフタレート、ジブチルフタレート等が挙げられ、これらを単独あるいは混合して使用することができる。
溶剤は、原料粉末をペースト化するための成分であり、その含有量は10〜50質量%程度が一般的である。溶剤としては、テルピネオール、酢酸イソアミル、トルエン、メチルエチルケトン、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールモノイソブチレート、2、4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール等が挙げられ、これらを単独または混合して使用することができる。
スクリーン印刷法や一括コート法、ディスペンス法等を用いてセラミックス基材上にペーストを塗布し、所定の膜厚の塗布層を形成し、乾燥させた後、焼成することで所定の無機粉末焼結体層を得ることができる。ここで、ペーストの上から加熱プレートを押し当て、加圧することにより、無機粉末焼結体層を形成してもよい。
焼成温度は、250〜1000℃、特に300〜800℃であることが好ましい。焼成温度が250℃未満であると、セラミックス基材から無機粉末焼結体層が剥離しやすくなる。また、緻密な無機粉末焼結体層が得られにくくなり、結果として、無機粉末焼結体層の発光強度が低下し、所望の光を発する蛍光体複合部材が得られにくくなる。一方、焼成温度が1000℃を超えると、無機蛍光体粉末がガラス粉末と反応して劣化し、所望の光を発する蛍光体複合部材が得られにくくなる。なお、ガラス粉末として、融点の低いSnO−P系ガラスを用いる場合は、焼成温度は600℃以下、特に500℃以下であることが好ましい。
焼成雰囲気としては、ガラス粉末の種類に応じて、大気、窒素、真空等を適宜選択すればよい。例えば、SnO−P系ガラス粉末を用いる場合は、特にSn成分の酸化を抑制するため減圧または真空中、あるいは窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気中が好ましい。ガラス粉末中のSn成分が酸化すると、ガラス粉末が焼結しにくくなり、セラミックス基材への融着が不十分になる傾向がある。
ペースト以外にもグリーンシートを用いて無機粉末焼結体層を作製することもできる。グリーンシートを作製するための一般的な方法としては、上記ガラス粉末、無機蛍光体粉末、結合剤、可塑剤等を用意し、これらに溶剤を添加してスラリーとし、このスラリーをドクターブレード法によって、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のフィルムの上にシート成形する。続いて、シート成形後、乾燥させることによって有機系溶剤等を除去することでグリーンシートとすることができる。
ガラス粉末と無機蛍光体粉末のグリーンシート中に占める割合は、50〜80質量%程度が一般的である。
結合剤、可塑剤および溶剤としては、上記と同様のものを用いることができる。結合剤の混合割合としては0.1〜30質量%程度、可塑剤の混合割合としては0〜10質量%程度、溶剤の混合割合としては1〜40質量%程度が一般的である。
以上のようにして得られたグリーンシートをセラミックス基材上に積層し、熱圧着した後、上述のペーストの場合と同様に焼成することで無機粉末焼結体層を得ることができる。
なお、予め無機粉末焼結体層のみを作製し、その後、無機粉末焼結体層をセラミックス基材上に設置し、無機粉末焼結体層の軟化点付近の温度まで加熱し、融着一体化することにより本発明の蛍光体複合部材を作製してもよい。
上記のようにして作製した蛍光体複合部材を、切断、研磨加工して、任意の形状、例えば、円盤状、柱状、棒状等の形状に加工してもよい。
以下、実施例に基づき、本発明の蛍光体複合部材を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(1)セラミックス基材の作製
まず、高純度かつ2μm以下の粒経を有する原料を用いて、YAG(YAl12)の量論組成となるように、モル%で、Y 37.4625%、Al 62.5%、Ce 0.0375%を秤量し、これに対し焼結助剤としてテトラエトキシシランを0.6質量%添加した。次に、ボールミルを用いて、調合した原料をエタノール中で17時間攪拌混合した後、減圧乾燥して粉体を得た。続いて、得られた粉体を200MPaの圧力でプレス成型して直径10mmφ、厚さ3mmのプレス成型体を作製し、これを真空雰囲気中1750℃で10時間焼成を行うことで焼成体を得た。その後、その焼成体を0.1mmの厚さとなるように両面研磨することでセラミックス基材を得た。また、透過率測定用に厚さ1mmの鏡面研磨サンプルも作製した。
このようにして得られたセラミックス基材について、X線粉末回折装置を用いて析出結晶の同定を行ったところYAG結晶が単相で析出していることが確認された。
得られたセラミックス基材について、発光スペクトルを測定したところ、波長550nm付近に中心を有する黄色の蛍光と、波長465nm付近に中心を有する青色励起光(セラミックス基材を透過した励起光)によるピークが観測された。
発光スペクトルは次のようにして測定した。校正された積分球内で、600mAの電流で点灯した青色LEDによってセラミックス基材を励起し、光ファイバーを通じてその発光を小型分光器(オーシャンオプティクス製 USB−4000)に取り込み、制御PC上に発光スペクトル(エネルギー分布曲線)を得た。
厚さ1mmの鏡面研磨サンプルについて、積分球付き分光光度計を用いて波長550nmにおける全光線透過率を測定したところ、83.7%であった。
(2)無機粉末焼結体層用ペーストの作製
モル%で、SiO 60%、B 5%、CaO 10%、BaO 15%、Al 5%、ZnO 5%を含有する組成になるように調合したガラス原料を白金坩堝に投入し、1400℃で2時間溶融して均一なガラスを得た。次いで、得られたガラスをアルミナボールを用いて粉砕し、分級して平均粒径が2.5μmのガラス粉末を得た。
次に、ガラス粉末に対し、無機蛍光体粉末としてSrS:Eu2+(平均粒径:8μm)を、質量比で95:5の割合で添加して混合粉末を調製した。混合粉末100質量部に対して、結合剤としてエチルセルロースを6質量部、溶剤としてテルピネオールを90質量部添加し、混合してペーストを作製した。
上記ペーストを用いて、次のようにして発光スペクトル測定用の無機粉末焼結体層を作製した。まず、多孔質ムライトセラミック基板上に厚さ50μmとなるように一括コート法で塗布し、300℃で1時間脱脂した。さらに、850℃で20分焼成した後、冷却して、ムライト基板を除去することにより無機粉末焼結体層(厚さ40μm)を得た。
得られた無機粉末焼結体層について、上記と同じ方法で発光スペクトルを測定したところ、波長650nm付近に中心を持つ赤色の蛍光と、波長465nm付近に中心を持つ青色励起光によるピークが観測された。
(3)蛍光体複合部材の作製
上記(1)で作製されたセラミックス基材の表面に、上記(2)で作製されたペーストを一括コート法で厚さ50μmとなるように塗布し、300℃で1時間脱脂した。次いで、850℃で20分焼成して蛍光体複合部材を作製した。
このようにして得られた蛍光体複合部材について、上記方法により発光スペクトルを測定した。制御ソフト(オーシャンフォトニクス製 OP Wave)を用いて、発光スペクトルから全光束値(lm)および色度を算出した。結果を表1に示す。
(実施例2)
(1)無機粉末焼結体層用ペーストの作製
モル%で、SnO 62%、P 21.5%、B 11%、MgO 3%、Al 2.5%を含有する組成になるように調合したガラス原料をアルミナ坩堝に投入し、電気炉内950℃で窒素雰囲気にて1時間溶融した。その後、ガラス融液をフィルム成形し、らいかい機で粉砕することによりガラス粉末を得た。
次に、作製したガラス粉末に対し、無機蛍光体粉末としてCaAlSiN:Eu2+を、また無機フィラー粉末としてNbZr(POを、質量比で80:10:10の割合で添加し、振動混合機で混合した。得られた混合粉末100質量部に対して、溶媒として50質量部の2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール(日本香料薬品株式会社製 MARS)を添加して混合することでペーストを得た。
上記ペーストを用いて、次のようにして発光スペクトル測定用無機粉末焼結体層を作製した。まず、上記ペーストを多孔質ムライトセラミック基板上に一括コート法で厚さ50μmとなるように塗布し、300℃で1時間脱脂した。次いで、400℃で30分焼成した後、冷却し、ムライト基板を除去することにより、厚さ40μmの無機粉末焼結体層を得た。得られた無機粉末焼結体層について、上記と同じ方法で発光スペクトルを測定したところ、波長650nm付近に中心を有する赤色の蛍光と、波長465nm付近に中心を有する青色励起光によるピークが観測された。
(2)蛍光体複合部材の作製
実施例1で得られたセラミックス基材の表面に、上記(1)で得られた無機粉末焼結体層用ペーストをディスペンス法で厚さ約50μmとなるように塗布した。次いで、約250℃のホットプレート上で熱処理することによって脱溶媒を行った。その後、窒素雰囲気中にて430℃で10分間焼成し、さらに無機粉末焼結体層の上からホットプレスして表面形状を整え、蛍光体複合部材を得た。無機粉末焼結体層の厚みは約20μmであった。
このようにして得られた蛍光体複合部材について、上記方法により発光スペクトルを測定した。制御ソフト(オーシャンフォトニクス製 OP Wave)を用いて、発光スペクトルから全光束値(lm)および色度を算出した。結果を表1に示す。
(実施例3)
(1)無機粉末焼結体層用グリーンシートの作製
実施例1で作製したガラス粉末に、無機蛍光体粉末として、SrS:Eu2+(平均粒径:8μm)およびSrBaSiO:Eu2+(平均粒径:8μm)を、質量比で94:3:3の割合で添加し、混合して混合粉末を作製した。次いで、作製した混合粉末100質量部に対して、結合剤としてポリビニルブチラール樹脂を12質量部、可塑剤としてフタル酸ジブチルを3質量部、溶剤としてトルエンを40質量部添加し、混合してスラリーを作製した。続けて、上記スラリーをドクターブレード法によって、PETフィルム上にシート成形し、乾燥して、厚さ50μmのグリーンシートを得た。
上記グリーンシートを用いて作製した無機粉末焼結体層について、実施例1と同様の方法により発光スペクトルを測定したところ、波長525nm付近に中心を有する緑色の蛍光および波長650nm付近に中心を有する赤色の蛍光と、波長465nm付近に中心を有する青色励起光によるピークが観測された。
なお、発光スペクトル測定用の無機粉末焼結体層は次のようにして作製した。まず、上記方法で作製したグリーンシートを、多孔質ムライトセラミック基板上に積層し熱圧着によって一体化して積層体を作製した後、400℃で1時間脱脂した。次いで、900℃で20分焼成した後、冷却し、ムライト基板を除去することにより、厚さ40μmの無機粉末焼結体層を得た。
(2)蛍光体複合部材の作製
上記(1)で作製したグリーンシートを、実施例1で得られたセラミックス基材の表面に積層し、熱圧着によって一体化して積層体を作製し、400℃で1時間脱脂した。次いで、900℃で20分焼成した後、冷却して蛍光体複合部材を得た。
このようにして得られた蛍光体複合部材の全光束および色度を上記と同じ方法で測定した。結果を表1に示す。
(比較例)
(1)セラミックス基材の作製
まず、高純度かつ2μm以下の粒経を有する原料を用いて、YAG(YAl12)の量論組成となるように、モル%で、Y 37.4625%、Al 62.5%、Ce 0.0375%を秤量し、これに対し焼結助剤としてテトラエトキシシランを0.6質量%添加した。次に、ボールミルを用いて、調合した原料をエタノール中で17時間攪拌混合した後、減圧乾燥して粉体を得た。続いて、得られた粉体を10MPaの圧力でプレス成型して直径10mmφ、厚さ3mmのプレス成型体を作製し、これを大気中にて1750℃で10時間焼成を行うことで焼成体を得た。その後、その焼成体を0.1mmの厚さとなるように両面研磨することでセラミックス基材を得た。また、透過率測定用に厚さ1mmの鏡面研磨サンプルも作製した。
得られたセラミックス基材について、上記と同様の方法により発光スペクトルを測定したところ、波長550nm付近に中心を有する黄色の蛍光と、波長465nm付近に中心を有する青色励起光(セラミックス基材を透過した励起光)によるピークが観測された。
また、厚さ1mmの鏡面研磨サンプルについて、上記と同様の方法により波長550nmにおける全光線透過率を測定したところ、62.5%であった。
(2)蛍光体複合部材の作製
上記(1)で得られたセラミックス基材と、実施例2で作製した無機粉末焼結体層用ペーストを用い、実施例2と同様の方法で蛍光体複合部材を作製した。
このようにして得られた蛍光体複合部材の全光束および色度を上記と同じ方法で測定した。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1〜3の蛍光体複合部材は、電球色の白色光が得られ、発光強度が18.2lm以上と高いことがわかる。一方、比較例の蛍光体複合部材は、電球色の白色光が得られたものの、発光強度が15.2lmと低かった。
本発明の蛍光体複合部材は、ディスプレイ等の発光装置、自動車等の前照灯に使用されるLEDデバイス用部材として好適である。なお、LED用途以外にも、レーザーダイオード等のように、ハイパワーの励起光を発するデバイスにおける波長変換部材として用いることも可能である。
1 無機粉末焼結体層
2 セラミックス基材
C 励起光
L 蛍光
I 発光イオン

Claims (11)

  1. 波長550nm、厚さ1mmにおける全光線透過率が70%以上のセラミックス基材の表面に、ガラス粉末および無機蛍光体粉末を含む無機粉末焼結体層が形成されてなる蛍光体複合部材であって、励起光が照射されたときに、セラミックス基材および無機粉末焼結体層が互いに異なる波長の蛍光を発することを特徴とする蛍光体複合部材。
  2. セラミックス基材が、波長400〜500nmの励起光を吸収し、波長450〜780nmの蛍光を発することを特徴とする請求項1に記載の蛍光体複合部材。
  3. セラミックス基材が、青色の励起光を吸収し、黄色の蛍光を発することを特徴とする請求項2に記載の蛍光体複合部材。
  4. セラミックス基材が、結晶中にCe3+を含むガーネット結晶からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の蛍光体複合部材。
  5. ガーネット結晶が、YAG結晶またはYAG結晶固溶体であることを特徴とする請求項4に記載の蛍光体複合部材。
  6. 無機粉末焼結体層が、波長400〜500nmの励起光を吸収し、波長500〜780nmの蛍光を発することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の蛍光体複合部材。
  7. 無機粉末焼結体層が、青色の励起光を吸収し、赤色および/または緑色の蛍光を発することを特徴とする請求項6に記載の蛍光体複合部材。
  8. セラミックス基材および無機粉末焼結体層から発せられる蛍光と、蛍光体複合部材中を透過する励起光とが合成されて白色光を発することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の蛍光体複合部材。
  9. 無機粉末焼結体層が、無機蛍光体粉末を0.01〜30質量%含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の蛍光体複合部材。
  10. ガラス粉末が、組成としてモル%表示で、SnO 35〜80%、P 5〜40%、B 0〜30%を含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の蛍光体複合部材。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の蛍光体複合部材を用いたことを特徴とする発光デバイス。
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