[go: up one dir, main page]

JP2012052041A - インクジェットインク及びインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェットインク及びインクジェット記録方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2012052041A
JP2012052041A JP2010196465A JP2010196465A JP2012052041A JP 2012052041 A JP2012052041 A JP 2012052041A JP 2010196465 A JP2010196465 A JP 2010196465A JP 2010196465 A JP2010196465 A JP 2010196465A JP 2012052041 A JP2012052041 A JP 2012052041A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
pigment
water
recording medium
image
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2010196465A
Other languages
English (en)
Inventor
Manabu Kaneko
学 金子
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta IJ Technologies Inc
Original Assignee
Konica Minolta IJ Technologies Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta IJ Technologies Inc filed Critical Konica Minolta IJ Technologies Inc
Priority to JP2010196465A priority Critical patent/JP2012052041A/ja
Publication of JP2012052041A publication Critical patent/JP2012052041A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)
  • Ink Jet (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)

Abstract

【課題】コート紙や樹脂製の記録媒体のような吸水性に乏しく、表面エネルギーが低い記録媒体に対し、画像耐久性が高く、ハジキやインク混じりのない高画質な画像を形成するインクジェットインクとそれを用いたインクジェット記録方法を提供する。
【解決手段】少なくとも水、色材及び水溶性有機溶剤を含有する水性のインクジェットインクにおいて、該水溶性有機溶剤として、β−アルコキシプロピオンアミド類を含有することを特徴とするインクジェットインク。
【選択図】なし

Description

本発明は、水性のインクジェットインクと、それを用いたインクジェット記録方法に関し、詳しくは、吸水性に乏しい記録媒体に記録可能なインクジェットインクとそれを用いたインクジェット記録方法に関するものである。
産業用途のインクジェットインクとして、紙の表面に樹脂やクレーなどをコートした印刷用コート紙などの水に対する吸収性に乏しい記録媒体や、その表面が樹脂成分で構成されている記録媒体、あるいは樹脂フィルムそのものといった、インク吸水能をほとんど持たない記録媒体に直接印字できるインクジェットインクが開発されている。
これらのインクジェットインクとしては、有機溶剤をベヒクルとした溶剤インクジェットインクや、重合性モノマーを主成分とする紫外線硬化型インクジェットインクが挙げられる。溶剤インクジェットインクは、その溶剤を乾燥させて、その成分を大気中に飛散させるため、近年社会問題となっているVOCが多いという課題がある。また、作業者に対しても、臭気や安全上の影響が懸念され、使用に際しては十分な換気等の設備対応が必要である。一方、紫外線硬化型インクジェットインクは、印字後すぐに硬化させるので、VOCはゼロに近いが、使用するモノマーによっては皮膚感作性を有するものが多く、また、高価な紫外線照射光源をプリンターに組み込むという制約から、使用できる分野に制限がある。更に、光沢系のシート等に印字した場合、インクの付着した部分では著しく光沢感が損なわれてしまい、高品位の画像が得られなかった。
このような背景の中で、環境負荷が少なく、従来から家庭仕様で広く使用されている水を主成分とする水系インクジェットインクを用いて、直接、吸水性が乏しい記録媒体にも印字できるインクジェットインクの開発が行われている。しかしながら、コート紙や樹脂フィルムといった吸水性が乏しい記録媒体は、その表面エネルギーが低いものが多く、また、通常の水系のインクジェットインクでは吸収が起こらないため、記録媒体上に着弾したインクジェットインクのハジキが生じ、画像の白ぬけが生じることにより画質低下を引き起こし、また、インクジェットインクの吸収がないため、乾燥にも時間を要し、色材も記録媒体中には吸収されないので、耐擦性などの画像耐久性も低いものであった。
上記のようなインクジェットインクのハジキを防止する手段として、界面活性剤や低表面張力の水溶性有機溶剤をインクジェットインクに含有させることで、インクジェットインクの表面張力が低下し、ハジキの発生はある程度改善される。しかし、界面活性剤は多く入れすぎると、インクジェットインクが乾燥する際に濃縮されて析出し、画像光沢が低下するなどの問題がある。また、界面活性剤が記録媒体とインクの界面に配向するため、ハジキにくくはなるが、形成されるインクジェットインク皮膜と記録媒体が一体化しないため、記録媒体に対する接着性が低下し、画像耐久性が低下してしまう。低表面張力の有機溶剤では析出問題は生じないが、耐擦性向上効果はなく、さらに低表面張力の有機溶剤は沸点が高いものも多いため、インクの乾燥性を一層悪くする問題がある。
また、特許文献1においては、グリコールおよび低表面張力の水溶性有機溶剤としてグリコールエーテルよりなる群から選択される溶媒を含有する水系インクジェットインクが提案されており、さらに疎水性の主鎖と、非イオン性で親水性の側鎖とを有し、水と水溶性有機溶剤を含有する水性ビヒクルには溶解するが、水には不溶性であるグラフトコポリマーバインダーを含有したインクジェットインクが提案されている。しかしながら、本発明者らが検討した結果、特許文献1に記載されている方法では、非吸水性記録媒体上で、隣接して着弾したインク液滴が合一する、いわゆる液よりが生じ、均一な中間濃度のベタ画像部分では、ドットが寄り集まってまだら状の模様が発生し、多色印刷時にカラーブリード(色境界部分でインクが混ざり合って不鮮明になる現象)が発生するなど、画質が不十分であった。また、得られた画像の耐久性も不十分であり、インクの乾燥性も低いといった問題があった。
一方、特許文献2には、未処理のビニルシートまたはビニル樹脂で被覆された下地に、少なくとも1つの加熱装置を有するピエゾ印刷システムで印刷するための液状媒体、水不溶性着色剤、ポリマーバインダー、乾燥抑制剤並びに他の添加物より構成され、かつ該液状媒体が水と水混和性乾燥抑制剤で組成されている印刷インクにおいて、液状媒体が少なくとも80質量%の水を含有しており、乾燥抑制剤の含有物が少なくともブチルジグリコールおよび1−メトキシ−2−プロパノールで組成されており、そしてインクが8.5より大きいpH値を有するインクジェットインクが開示されている。
しかしながら、本発明者らが特許文献2に記載の技術を詳細に検討した結果、開示された技術では非吸水性記録媒体上での画質は不十分であり、乾燥性も低く、画像耐久性も満足いくものではなかった。
また、画像耐久性向上のために、記録媒体の樹脂成分を溶解しやすい溶剤、例えば、N−メチル−2−ピロリジノンなどをインクジェットインクに添加することは知られている(例えば、特許文献3、4参照。)。しかしながら、N−メチル−2−ピロリジノンには、インクの表面張力を下げる能力は乏しく、界面活性剤や低表面張力の有機溶剤との併用が必須であり、依然として界面活性剤と併用した場合は析出の課題は改善されず、低表面張力の有機溶剤と併用すると乾燥性の向上は限定的になってしまう。
特開2000−44858号公報 特開2005−113147号公報 特開2004−114692号公報 特開2006−282822号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、インク吸水性が乏しく、表面エネルギーが低い記録媒体に対しても、画像耐久性が高く、ハジキやインク混じりのない高品位な画像を形成することができるインクジェットインクとそれを用いたインクジェット記録方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.少なくとも水、色材及び水溶性有機溶剤を含有する水性のインクジェットインクにおいて、該水溶性有機溶剤として、下記一般式(1)で表されるβ−アルコキシプロピオンアミド類を含有することを特徴とするインクジェットインク。
Figure 2012052041
〔式中、Rは炭素数が1から6の直鎖もしくは分岐のアルキル基を表し、R及びRは、各々水素原子、または炭素数が1から4の直鎖もしくは分岐のアルキル基を表し、RとRは同一であっても異なっていてもよい。〕
2.表面張力が15mN/m以上、35mN/m未満であることを特徴とする前記1に記載のインクジェットインク。
3.樹脂成分を含有することを特徴とする前記1または2に記載のインクジェットインク。
4.前記色材が、顔料であることを特徴とする前記1から3のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
5.前記1から4のいずれか1項に記載のインクジェットインクを用いて、表面エネルギーが30mN/m以上、40mN/m未満の記録媒体に記録することを特徴とするインクジェット記録方法。
6.前記1から4のいずれか1項に記載のインクジェットインクを用いて、表面が樹脂成分で構成されている記録媒体に記録することを特徴とするインクジェット記録方法。
本発明により、コート紙や樹脂製記録媒体のようなインク吸水性が乏しく、表面エネルギーが低い記録媒体に対しても、画像耐久性が高く、ハジキやインク混じりのない高品位な画像を形成することができるインクジェットインクとそれを用いたインクジェット記録方法を提供することができた。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、少なくとも水、色材及び水溶性有機溶剤を含有する水性のインクジェットインクにおいて、該水溶性有機溶剤として、前記一般式(1)で表されるβ−アルコキシプロピオンアミド類を含有することを特徴とするインクジェットインクにより、コート紙や樹脂製記録媒体のようなインク吸水性が乏しく、表面エネルギーが低い記録媒体に対しても、画像耐久性が高く、ハジキやインク混じりのない高品位な画像を形成することができるインクジェットインクとそれを用いたインクジェット記録方法を実現することができることを見出し、本発明に至った次第である。
すなわち、本発明者らは、水系顔料インクジェットインクについて、サイン用途に用いられる表面が樹脂製の記録媒体や、印刷本紙などの吸水性に乏しいコート紙に対してもインク混じりのない高画質な印字ができ、かつ光沢が高く、画像耐久性の高い画像を形成することを目的に検討を重ねた。本発明でいう表面が樹脂製の記録媒体とは、具体的には、ポリスチレンやアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)などの樹脂プレートや塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのプラスチックフィルム、あるいはこれらプラスチックフィルムを紙などの基材表面に張り付けたものなどをいい、記録する表面が、水を浸透しにくい記録媒体である。
これら表面が樹脂製の記録媒体やコート紙は、吸水性に乏しく、また記録媒体の表面エネルギーが低いため、水系のインクジェットインクで印字してもインクの吸収が起こらず、インクがはじいて画像が乱れ、乾燥性に乏しく、インクの接着性も低いため、画像耐久性に乏しいものである。
このような特性を備えた上記記録媒体に対して、水系のインクジェットインクに、前記一般式(1)で表されるβ−アルコキシプロピオンアミド類を添加することにより、インクのハジキや乾燥性、画像耐久性が改善されることを見出したものである。
はじめに、本発明のインクジェットインク(以下、単にインクともいう)が含有する一般式(1)で表されるβ−アルコキシプロピオンアミド類について説明する。
本発明に係る一般式(1)で表されるβ−アルコキシプロピオンアミド類は、低表面張力の有機溶剤としての効果を有し、インクジェットインクの表面張力を低くして、プリント時のハジキによる白ぬけ防止に効果がある。さらに、前記一般式(1)で表されるβ−アルコキシプロピオンアミド類は、記録媒体を構成する樹脂成分に対する溶解能力が高く、着弾したインク液滴が樹脂成分を含む記録媒体内部に浸透するようになるため、プリント後の乾燥が速まり、また、記録媒体の樹脂成分を、一般式(1)で表されるβ−アルコキシプロピオンアミド類が溶解あるいは膨潤しているところに、色材や他のインク溶剤が記録媒体中に入り込んで記録媒体と一体化するため、形成した画像の接着性が高まり、画像耐久性が向上することになる。
加えて、インクの浸透により乾燥性が高まるため、インクが記録媒体表面で留まることによって生じる液寄りやカラーブリードといったインクジェット方式による画像記録時に発生する画質低下も改善されることが分かった。
このような効果は、特に、インクのハジキが生じやすい記録媒体、すなわち表面エネルギーが30mN/m以上、40mN/m未満の記録媒体や、表面が樹脂製の記録媒体に印字するときに顕著に発現する。
本発明に適用可能な表面エネルギーが30mN/m以上、40mN/m未満の記録媒体としては、例えば、IJ180CV2(3M社製、ポリ塩化ビニル、表面エネルギー=38.0mN/m)、MD5(Metamark社製、ポリ塩化ビニル、表面エネルギー=36.6mN/m)、ORAJET(ORACAL社製、ポリ塩化ビニル、表面エネルギー=33.1mN/m)、OPAQUE MATT FILM(Oce社製、ポリエチレンテレフタレート、表面エネルギー=35.4mN/m)、特菱アート(三菱製紙社製、アート紙、表面エネルギー=37.6mN/m)、HANITA(ハニタコーティング社製、ポリエチレンテレフタレート、表面エネルギー=35.4mN/m)、ルミラー38−T60(東レ社製、未処理ポリエチレンテレフタレート、表面エネルギー=36.9mN/m)、サンロイドユニ G400(住友ベークライト社製、ポリ塩化ビニル、表面エネルギー=34.5mN/m)、スミペックス 068(住友化学社製、アクリルキャスト、表面エネルギー=39.5mN/m)、サンロイドペットエース EPG400(住友ベークライト社製、非結晶性ポリエチレンテレフタレート、表面エネルギー=35.7mN/m)等を挙げることができる。
なお、本発明に係る記録媒体の表面エネルギーは、表面張力が既知の2種類以上の液体を用いて接触角を測定することにより算出できる。
前記一般式(1)において、Rは炭素数が1から6の直鎖もしくは分岐のアルキル基を表し、R及びRは、各々水素原子、または炭素数が1から4の直鎖もしくは分岐のアルキル基を表し、RとRは同一であっても異なっていてもよい。
、R、Rとして、上記で規定する基を選択することにより、β−アルコキシプロピオンアミド類の樹脂成分の溶解、浸透能力を維持しつつ、かつ水との相溶性を高めることができる。
として好ましくは、メチル基、エチル基、n−ブチル基であり、好ましいRおよびRとしては、メチル基、エチル基である。
一般式(1)で表されるβ−アルコキシプロピオンアミド類のインクへの添加量としては、インク全質量に対し、1.0質量%以上、40質量%未満であることが好ましい。
本発明に係る一般式(1)で表されるβ−アルコキシプロピオンアミド類の具体的な製造方法は、例えば、特開2009−185079号公報や国際公開第2008/102615号などに記載されており、また、エクアミドという商品名で出光興産株式会社から市販されている。
次に、本発明のインクに適用可能な、一般式(1)で表されるβ−アルコキシプロピオンアミド類以外の水溶性有機溶剤について説明する。
本発明のインクには、必要に応じて低表面張力の水溶性有機溶剤をさらに添加することもできる。低表面張力の水溶性有機溶剤を添加することで、β−アルコキシプロピオンアミド類の効果を補助し、軟質塩ビシートをはじめ種々の疎水性樹脂からなる記録媒体や、印刷本紙などの吸収が遅い紙支持体に対しても、インク混じりをいっそう抑え、高画質な印字画像を得ることができる。
特に、グリコールエーテル類もしくは1,2−アルカンジオール類を添加することは好ましく、具体的には下記の低表面張力の水溶性有機溶剤を用いることが好ましい。
グリコールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
また、1,2−アルカンジオール類としては、例えば、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール等が挙げられる。
また、塩化ビニルなどの記録媒体を溶解、軟化あるいは膨潤しうる溶剤を添加することも、画像の接着性や耐擦性がより向上する観点から好ましい。
このような溶剤としては、窒素、もしくはイオウ原子を含む環状溶剤、環状エステル溶剤、乳酸エステル、アルキレングリコールジエーテル、アルキレングリコールモノエーテルモノエステル及びジメチルスルフォキシドが挙げられる。
好ましい溶剤の具体例としては、環状アミド化合物、例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、メチルカプロラクタム、2−アザシクロオクタノン等が挙げられ、イオウ原子を含有する環状溶剤の好ましい具体例としては、環状の5〜7員環が好ましく、例えば、スルフォラン等が挙げられる。
環状エステル溶剤の好ましい具体例としては、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトンが、乳酸エステルとしては乳酸ブチル、乳酸エチルなどが挙げられる。
アルキレングリコールジエーテルの好ましい具体例としては、ジエチレングリコールジエチルエーテル等があり、アルキレングリコールモノエーテルモノエステルの好ましい具体例としては、ジエチレングリコールモノエチルモノアセテートが挙げられる。
その他に、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、等が挙げられる。
次に、本発明のインクが含有する色材について説明する。
本発明で適用可能な色材としては、酸性染料、直接染料、塩基性染料等の水溶性染料や各種顔料、着色ポリマー/ワックスを含む分散染料、油溶性染料等が挙げられるが、その中でも、特に、顔料を使用することが画像耐久性の点で好ましい。
本発明に使用できる顔料としては、従来公知の有機及び無機顔料が使用できる。例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料や、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサンジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロニ顔料等の多環式顔料や、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等の染料レーキや、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等の有機顔料、カーボンブラック等の無機顔料が挙げられる。
好ましい具体的な有機顔料を以下に例示する。
マゼンタ、レッドおよびバイオレット用の顔料としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド8、C.I.ピグメントレッド12、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド17、C.I.ピグメントレッド22、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド41、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ピグメントレッド114、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド148、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド222、C.I.ピグメントレッド238、C.I.ピグメントレッド245、C.I.ピグメントレッド258、C.I.ピグメントレッド282、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23等が挙げられる。
オレンジまたはイエローおよびブラウン用の顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ16、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー16、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー43、C.I.ピグメントイエロー55、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー81、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー175、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー181、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー194、C.I.ピグメントイエロー199、C.I.ピグメントイエロー213、C.I.ピグメントブラウン22等が挙げられる。
グリーンまたはシアン用の顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:5、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー29、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
ブラック用の顔料としてはカーボンブラックの他に、C.I.ピグメントブラック5、C.I.ピグメントブラック7等が挙げられる。
ホワイト用の顔料としては酸化チタンの他に、C.I.ピグメントホワイト6等が挙げられる。本発明はこれらに限定されるものではない。
上記の顔料は、水系インク中で安定な分散状態を保つために、各種の加工がされ、顔料分散体が調製される。
該分散体は、水系で安定に分散できるものであればよく、高分子の分散樹脂により分散した顔料分散体、水不溶性樹脂で被覆されたカプセル顔料、顔料表面を修飾し分散樹脂を用いなくても分散可能な自己分散顔料等から選択することができる。
高分子の分散樹脂により分散した顔料分散体を用いる場合、樹脂としては水溶性のものを用いることができる。水溶性樹脂として好ましく用いられるのは、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体等のような水溶性樹脂である。
また顔料の分散樹脂として、前記共重合樹脂を用いて分散しても良い。
顔料の分散方法としては、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等各種を用いることができる。
前記顔料分散体の粗粒分を除去し、顔料粒子の粒径分布を揃える観点から、遠心分離装置を使用すること又はフィルターを使用することも好ましい。
また、顔料として水不溶性樹脂で被覆されたカプセル顔料を用いても良い。水不溶性樹脂とは、弱酸性ないし弱塩基性の範囲の水に対して不溶な樹脂であり、好ましくは、pH4〜10の水溶液に対する溶解度が2%以下の樹脂である。
該水不溶性樹脂として、好ましくはアクリル系、スチレン−アクリル系、アクリロニトリル−アクリル系、酢酸ビニル系、酢酸ビニル−アクリル系、酢酸ビニル−塩化ビニル系、ポリウレタン系、シリコン−アクリル系、アクリルシリコン系、ポリエステル系、エポキシ系の各樹脂を挙げることができる。
前記分散樹脂または水不溶性樹脂の分子量として、好ましくは平均分子量で、3000から500000のものを用いることができ、更に好ましくは、7000〜200000のものを用いることができる。
該分散樹脂または水不溶性樹脂のTgは、好ましくは−30℃〜100℃程度のものを用いることができ、更に好ましくは−10℃〜80℃程度のものを用いることができる。
顔料と顔料を分散する樹脂の質量比率は、好ましくは顔料/樹脂比で100/150以上、100/30以下の範囲で選択することができる。特に画像耐久性と射出安定性やインク保存性が良好なのは100/100以上、100/40以下の範囲である。
水不溶性樹脂で被覆された顔料粒子の平均粒子径は、80ないし200nm程度がインク保存安定性、発色性の観点から好ましい。
顔料を水不溶性樹脂で被覆する方法としては、公知の種々の方法を用いることができるが、好ましくは、水不溶性樹脂をメチルエチルケトンなどの有機溶剤に溶解し、さらに塩基成分にて樹脂中の酸性基を部分的、もしくは完全に中和した後、顔料およびイオン交換水を添加、分散し、次いで有機溶剤を除去し、必要に応じて加水して調製する製造方法が好ましい。または、顔料を、重合性界面活性剤を用いて分散し、そこへモノマーを供給し、重合しながら被覆する方法も好ましい。
また、自己分散顔料としては、表面処理済みの市販品を用いることもでき、好ましい自己分散顔料として、例えば、CABO−JET200、CABO−JET300(キャボット社製)、ボンジェットCW1(オリエント化学工業(株)社製)等を挙げることができる。
本発明のインクには、その他、必要に応じて定着樹脂や界面活性剤、防カビ剤、防錆剤、消泡剤、粘度調整剤、浸透剤、pH調整剤、ノズル乾燥防止剤として尿素、チオ尿素、エチレン尿素等を添加することができ、特に定着樹脂や界面活性剤を添加すると画像耐久性や画質がより向上するため好ましい。
本発明で使用できる定着樹脂は、色材として顔料を用いる場合には、バインダーとして機能し、塩化ビニルなどの非吸収性記録媒体との接着性を有し、かつ塗膜の耐擦性や耐水性を向上させる機能がある。
また、光沢が高く、光学濃度も高い画像を形成させる機能も必要とされ、このため定着樹脂自体が塗膜中で高い透明性を持ち、顔料、あるいは顔料分散樹脂との相溶性があることも必要である。
これらの機能を満たす定着樹脂として、例えば、ポリアクリル樹脂、ポリスチレン−アクリル系、ポリアクリロニトリル−アクリル系、酢酸ビニル−アクリル系、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂等の水溶性樹脂や水系分散型ポリマー微粒子が挙げられ、特にアクリル系の共重合樹脂である水溶性樹脂や水系分散型ポリマー微粒子を添加するのが好ましい。
アクリル系の共重合樹脂は、周知のごとく、非常に多種類のモノマーから自由に選択、設計することができ、重合しやすく、また低コストで製造できるため本発明に適している。特に、先に述べたように、インクに添加する際に求められる多数の要求に答えるには、設計自由度の大きいアクリル系の共重合樹脂が適している。
定着樹脂のガラス転移温度(Tg)としては、0℃以上、100℃以下が好ましい。Tgが0℃以上であれば耐擦性が十分であり、またブロッキングの発生も抑制することができる。Tgが100℃以下であれば、所望の耐擦性を得ることができる。これは、乾燥後の皮膜が硬くなりすぎて脆くなるのを防止することができると考えている。
定着樹脂は、顔料を分散する前に添加されてもよいし、分散した後で添加されても良いが、分散した後で添加されることが好ましい。
定着樹脂は、インク中に、1質量%〜15質量%添加することが好ましい。更に好ましくは、3質量%から10質量%である。
定着樹脂は、樹脂に含まれる酸成分の全部あるいは一部を塩基で中和して用いることができる。中和塩基としては、アルカリ金属含有塩基(例えば、NaOH、KOH等)、アミン類(例えば、アルカノールアミン、アルキルアミン等)又はアンモニアを用いることができる。
中和塩基の添加量としては、該共重合樹脂に含まれる酸モノマーの量にもよるが、少なすぎると該共重合樹脂の中和による効果が得られず、多すぎると画像の耐水性や変色、臭気などの課題があるため、インク全質量の0.2質量%以上、2.0質量%以下含有することが好ましい。
次に、本発明に適用可能な界面活性剤について説明する。
本発明のインクに使用することができる界面活性剤としては、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤、シリコーン系やフッ素系の界面活性剤が挙げられ、特にシリコーン系もしくはフッ素系の界面活性剤が好ましい。
シリコーン系もしくはフッ素系の界面活性剤を添加することで、塩化ビニルシートをはじめ種々の疎水性樹脂からなる記録媒体や、印刷本紙などの吸収が遅い記録媒体に対して、インク混じりをより抑えることができ、高画質な印字画像を得られる。該界面活性剤は、前記低表面張力の水溶性有機溶剤と併用することが特に好ましい。
シリコーン系の界面活性剤としては、好ましくはポリエーテル変性ポリシロキサン化合物があり、例えば、信越化学工業製のKF−351A、KF−642やビッグケミー製のBYK345、BYK347、BYK348などが挙げられる。
フッ素系の界面活性剤は、通常の界面活性剤の疎水性基の炭素に結合した水素の代わりに、その一部または全部をフッ素で置換したものを意味する。この内、分子内にパーフルオロアルキル基を有するものが好ましい。
フッ素系の界面活性剤の内、ある種のものはDIC社からメガファック(Megafac)Fなる商品名で、旭硝子社からサーフロン(Surflon)なる商品名で、ミネソタ・マイニング・アンド・マニファクチュアリング・カンパニー社からフルオラッド(Fluorad)FCなる商品名で、インペリアル・ケミカル・インダストリー社からモンフロール(Monflor)なる商品名で、イー・アイ・デュポン・ネメラス・アンド・カンパニー社からゾニルス(Zonyls)なる商品名で、またファルベベルケ・ヘキスト社からリコベット(Licowet)VPFなる商品名で、またネオス社からフタージェントなる商品名それぞれ市販されている。
界面活性剤の添加量としては、インク全質量に対して、0.1質量%以上、2.0質量%未満が好ましい。
インクの表面張力としては、15mN/m以上であれば、インクジェットヘッドのノズル周りが濡れて吐出能力が低下することがなく、また35mN/m未満であれば表面エネルギーが通常の紙よりも低いコート紙や樹脂製の記録媒体によく濡れて白ぬけが発生することがないため好ましい。
インクの粘度は、5mPa・s以上、20mPa・s未満であれば、インクジェットヘッドによる吐出、すなわちサーマル方式やピエゾ方式のヘッドによる液滴の吐出に適しており、吐出安定性が高くなるため好ましい。
本発明のインクを用いることで、コート紙など水の吸収性に乏しい記録媒体や、その表面が樹脂製の記録媒体、あるいは樹脂フィルムそのものといった、吸水性がほとんどない記録媒体にインク混じりのない高画質な印字ができ、画像耐久性が高い画像を形成することができる。
よりいっそう高画質で画像耐久性が高い画像を形成するため、及びより高速の印字条件にも対応できるようにするために、記録媒体を35℃以上、100℃未満の温度に加熱しながら印字することが好ましい。35℃以上であれば加熱の効果が十分に発揮され、100℃以下では、記録媒体が変形して波打ちするなどの影響を排除することができる。
また、加熱しながら印字した後、プリントを55℃以上、100℃未満でさらに加熱乾燥することを併用することは、インクの乾燥を促進し、画像耐久性を高めるためいっそう好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例1
《インクの調製》
〔シアン顔料分散体の調製〕
顔料分散剤としてフローレンTG−750W(固形分40%、エボニックデグサ社製)20部を、イオン交換水65部に加えた。この溶液に、C.I.ピグメントブルー15:3を15部添加し、プレミックスした後、0.5mmジルコニアビーズを体積率で50%充填したサンドグラインダーを用いて分散し、顔料固形分が15%のシアン顔料分散体を得た。
〔インクC−1の調製〕
β−ヒドロキシプロピオンアミド類である3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド(以下、A−1と称す)の30部をイオン交換水30部に添加し、ここへ定着樹脂であるジョンクリルJDX−6500(BASF社製アクリル樹脂 固形分29.5%)の17部を加えて攪拌し、イオン交換水で全量が80部となるように調整した。
次いで、ここへ上記調製したシアン顔料分散体の20部を加えて攪拌した後、0.8μmのフィルターによりろ過して、シアンインクC−1を得た。
〔インクC−2〜C−11の調製〕
上記インクC−1の調製において、β−アルコキシプロピオンアミド類、有機溶剤、定着樹脂、界面活性剤を、表1に記載の種類及び含有量とし、更にシアン顔料分散体を、表1に記載の色材濃度となるように添加量を調整した以外は同様にして、インクC−2〜C−11を調製した。
なお、表1に略称で記載したβ−アルコキシプロピオンアミド類、有機溶剤、定着樹脂、および界面活性剤の具体的な化合物は、以下の通りである。
〈*1:β−アルコキシプロピオンアミド類〉
A−1:3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド
A−2:3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド
A−3:3−エトキシ−N,N−ジエチルプロピオンアミド
〈有機溶剤1、2〉
HDO:1,2−ヘキサンジオール
DPGME:ジプロピレングリコールモノメチルエーテル
DPGPE:ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル
DEGBE:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
NMP:N−メチル−2−ピロリジノン
〈定着樹脂〉
JDX:ジョンクリルJDX−6500(BASF社製アクリル樹脂)
PDX:ジョンクリルPDX−6102B(BASF社製アクリル樹脂)
〈界面活性剤〉
MF−410:メガファック F−410(DIC株式会社製)
F−100:フタージェント 100 (ネオス社製)
Figure 2012052041
上記により調製した各インクについて、下記の方法に従って評価を行った。なお、各インクについてプレート法で測定した表面張力は、すべて15〜35mN/mの範囲、インクの粘度はすべて5〜19mPa・sの範囲であった。
《画像の形成》
ノズル口径28μm、駆動周波数10kHz、ノズル数512、最小液滴量14pl、ノズル密度180dpi(本発明でいうdpiとは、2.54cmあたりのドット数を表す)であるピエゾ型ヘッドを4列搭載したオンデマンド型のインクジェットプリンタのインクジェットヘッドの1つに、各シアンインクを装填した。
また、インクジェットプリンタには、接触式ヒーターによって記録媒体を裏面(ヘッドと対向する面とは反対の面)より任意に加温できるようにし、ヘッド格納ポジションにインク空打ちポジションとブレードワイプ式のメンテナンスユニットを備え、任意の頻度でヘッドクリーニングができるようにした。
次いで、記録媒体として溶剤インクジェットプリンタ用の軟質塩化ビニルシートであるMD5(メタマーク社製 表面エネルギー36.6mN/m)に印字解像度720dpi×720dpiで、10cm×10cmの100%Dutyおよび50%Dutyのベタ画像を記録して記録画像とした。
なお、記録媒体の表面エネルギーは、協和界面化学社製接触角計DM700を用いて水、炭酸プロピレン、およびn−ノナンの3種の液体に対する記録媒体表面の接触角を測定し、付属のソフトウェアを使って表面エネルギーを算出した。
また、記録媒体へのプリント中は、記録媒体を裏面から加温して画像記録時の記録媒体の表面温度が45℃になるようにヒーターで制御した。記録媒体の表面温度は非接触温度計(IT−530N形 堀場製作所社製)を用いて測定した。また、記録後すぐに60℃のホットプレート上に記録媒体を静置し、画像の乾燥をした。
《記録画像の評価》
(ハジキ耐性の評価)
記録画像の100%Dutyベタ画像部分について、目視観察およびマイクロスコープで観察して印字面のハジキの有無を判定し、下記の基準に従ってハジキ耐性の評価を行った。
◎:ハジキの発生が全く認められない
○:目視観察では認識できないが、マイクロスコープで観察すると小さなハジキの発生が僅かに認められる
△:目視観察で、ハジキの発生が僅かに認められる
×:目視観察で、ハジキの発生が画像全般に認められる
上記評価ランクにおいて、◎および○が実用上好ましいと判断した。
(乾燥性の評価)
記録画像の100%Dutyベタ画像を、印字後すぐに60℃のホットプレート上に3分間静置した後、指で画像表面を触って、下記の基準に従って乾燥性を評価した。
◎:画像が完全に乾いており、べたつきもなく、指にもインクは付着しない
○:指で触ると僅かにべたつきは感じられるが、指へのインクの付着はなく、画像に跡もつかない
△:指で触るとべたつきを感じ、指にはインクが僅かに付着、画像に小さな跡が残る
×:指にインクが付着し、画像に大きな跡が残る
上記評価ランクにおいて、◎および○が実用上好ましいと判断した。
(耐擦性の評価)
記録画像の100%Dutyベタ画像部分について、画像表面を乾いた木綿(カナキン3号)で200gの加重をかけて擦り、下記基準に従って耐擦性を評価した。
◎:30回以上擦っても画像は変化しない
○:11回以上、30回未満擦った段階で多少の傷が残るが、画像濃度には影響しない
△:5〜10回擦る間に、画像濃度が低下する
×:4回以下擦る間に、画像濃度が低下する
上記評価ランクにおいて、◎および○が実用上好ましいと判断した。
(液寄り耐性の評価)
記録画像の50%Duty画像部分をマイクロスコープで観察し、隣接するドットの形状を観察し、下記の基準に従って液寄り耐性を評価した。
◎:隣接するドットは、それぞれが完全に真円を形成して接している
○:ドットが接する部分が僅かに膨らんでいるが、それぞれが円形を保っている
△:ドットが接する部分が膨らみ、一部が合一して円形を保てない
×:ドットが合一して楕円のようになっている
上記評価ランクにおいて、◎および○が実用上好ましいと判断した。
(析出耐性の評価)
記録画像の100%Dutyベタ画像部分をマイクロスコープで観察し、画像部分の凹凸を調べ、小さな析出物がないか確認し、下記の基準に従って析出耐性を評価した。
◎:析出物の発生が全く認められない
○:極小の突起が僅かに観察されるが、目視では全く確認できない
△:画像中に析出物があり、目視でも点としていくつか認識できる
×:目視で確認できる析出物が散見される
上記評価ランクにおいて、◎および○が実用上好ましいと判断した。
以上により得られた結果を、表2に示す。
Figure 2012052041
表2に記載の結果より明らかなように、本発明のインクは比較例に対し、画像のハジキ耐性、乾燥性、耐擦性、液寄り耐性及び析出耐性の全ての特性において優れていることが分かる。
実施例2
実施例1で調製したシアンインクC−4とC−10を用い、記録媒体を表3に記載の樹脂製の記録媒体またはコート紙に変更した以外は、実施例1に記載の方法と同様にして記録し、実施例1と同様の評価を行った。
表3に記載の各記録媒体の詳細は、以下の通りである。
記録媒体1:クリスパー K2411(東洋紡社製)
記録媒体2:スミペックス068(住友化学社製)
記録媒体3:IJ180CV3(3M社製)
記録媒体4:特菱アート両面N(三菱製紙社製)
記録媒体5:ルミラーT60(東レ社製)
記録媒体6:MD5(メタマーク社製)
記録媒体7:ORAJET(ORAFOL社製)
以上により得られた結果を、表3に示す。
Figure 2012052041
表3に記載の結果より明らかなように、本発明のインクは、比較例に対し、表面エネルギーが低い樹脂製の記録媒体やコート紙に記録しても、画像のハジキ耐性、乾燥性、耐擦性、液寄り耐性及び析出耐性の全ての特性において優れていることが分かる。
実施例3
《顔料分散体の調製》
〔イエロー顔料分散体、マゼンタ顔料分散体、ブラック顔料分散体の調製〕
実施例1に記載のシアン顔料分散体の調製において、色材として、C.I.ピグメントブルー15:3に代えて、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントレッド122、カーボンブラック、を用いて、実施例1と同様の顔料分散方法により、イエロー顔料分散体、マゼンタ顔料分散体、ブラック顔料分散体をそれぞれ調製した。
《インクセットの調製》
上記調製した各顔料分散体と、実施例1で調製したシアン顔料分散体を使用して、β−アルコキシプロピオンアミド類、有機溶剤、定着樹脂、界面活性剤の種類と添加量を表4に記載の様にして各色インクを調製し、各色インクを表4に記載の組み合わせで、インクセット1〜3を調製した。
Figure 2012052041
《画像の形成》
これら調製した各インクセットを、実施例1で用いたインクジェットプリンタに装填し、実施例1に記載の方法と同様にして印字を行い、各色10cm×10cmの100%Dutyベタ画像と4色の細線を格子状に重ねた画像を作成した。
《画像の評価》
以上により作成した各画像について、実施例1に記載の方法と同様にして画像のハジキ耐性、乾燥性、耐擦性、液寄り耐性及び析出耐性の評価と、下記の方法に従って、カラーブリードの評価を行った。
(カラーブリード耐性の評価)
本発明でいうカラーブリードとは、記録媒体上、異なる色のインクが隣接して打ち込まれた場所で、インクが混じりあい、色の境界が不鮮明になる現象である。
印字した4色の細線を格子状に重ねた各画像を目視観察及びマイクロスコープで観察し、下記の基準に従ってカラーブリード耐性を評価した。
◎:カラーブリードが、全ての色間で見られない
○:マイクロスコープで見ると、2色間でわずかにカラーブリードの発生が認められるが、目視観察では確認できず、画質への影響は全くない
△:目視観察でも、カラーブリードの発生が認められる
×:カラーブリードが激しく発生しており、画質が著しく劣化している
上記評価ランクにおいて、◎および○が実用上好ましいと判断した。
以上により得られた評価結果を、表5に示す。
Figure 2012052041
表5に記載の結果より明らかなように、本発明のインクからなるインクセットは比較例に対し、画像のハジキ耐性、乾燥性、耐擦性、液寄り耐性、析出耐性及びカラーブリード耐性の全ての特性に優れていることが分かる。

Claims (6)

  1. 少なくとも水、色材及び水溶性有機溶剤を含有する水性のインクジェットインクにおいて、該水溶性有機溶剤として、下記一般式(1)で表されるβ−アルコキシプロピオンアミド類を含有することを特徴とするインクジェットインク。
    Figure 2012052041
    〔式中、Rは炭素数が1から6の直鎖もしくは分岐のアルキル基を表し、R及びRは、各々水素原子、または炭素数が1から4の直鎖もしくは分岐のアルキル基を表し、RとRは同一であっても異なっていてもよい。〕
  2. 表面張力が15mN/m以上、35mN/m未満であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットインク。
  3. 樹脂成分を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェットインク。
  4. 前記色材が、顔料であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載のインクジェットインクを用いて、表面エネルギーが30mN/m以上、40mN/m未満の記録媒体に記録することを特徴とするインクジェット記録方法。
  6. 請求項1から4のいずれか1項に記載のインクジェットインクを用いて、表面が樹脂成分で構成されている記録媒体に記録することを特徴とするインクジェット記録方法。
JP2010196465A 2010-09-02 2010-09-02 インクジェットインク及びインクジェット記録方法 Pending JP2012052041A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010196465A JP2012052041A (ja) 2010-09-02 2010-09-02 インクジェットインク及びインクジェット記録方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010196465A JP2012052041A (ja) 2010-09-02 2010-09-02 インクジェットインク及びインクジェット記録方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2012052041A true JP2012052041A (ja) 2012-03-15

Family

ID=45905745

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010196465A Pending JP2012052041A (ja) 2010-09-02 2010-09-02 インクジェットインク及びインクジェット記録方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2012052041A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012107210A (ja) * 2010-10-18 2012-06-07 Ricoh Co Ltd 記録用インク、並びにインクカートリッジ、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置及びインク記録物
JP2012167154A (ja) * 2011-02-10 2012-09-06 Ricoh Co Ltd インクジェット記録用インクセット、該インクセットを用いたインクジェット記録方法及び記録物
JP2013209521A (ja) * 2012-03-30 2013-10-10 Toyo Ink Sc Holdings Co Ltd 非水性インク組成物
JP2013248763A (ja) * 2012-05-30 2013-12-12 Ricoh Co Ltd インクジェット画像形成方法及び画像形成物
US9346968B2 (en) 2012-09-27 2016-05-24 Fujifilm Corporation Ink composition, ink set, and image forming method
JP2017088839A (ja) * 2015-11-06 2017-05-25 株式会社リコー インク、インク収容容器、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、及び記録物
JP2017226743A (ja) * 2016-06-21 2017-12-28 株式会社リコー インク、インクセット、インク収容容器、インクジェット記録方法、記録方法、インクジェット記録装置、及び記録物
WO2018194057A1 (ja) 2017-04-21 2018-10-25 東洋インキScホールディングス株式会社 水性インクジェットインキ、および、印刷物の製造方法
JP2020055996A (ja) * 2018-09-28 2020-04-09 株式会社リコー インク、インク収容容器、印刷方法、及びインクジェット印刷装置

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007211081A (ja) * 2006-02-08 2007-08-23 Konica Minolta Holdings Inc インクジェットインク及びインクジェット記録方法
JP2010168433A (ja) * 2009-01-21 2010-08-05 Toyo Ink Mfg Co Ltd β−アルコキシプロピオンアミド類を使用した水性インキ組成物
JP2011068838A (ja) * 2009-09-28 2011-04-07 Idemitsu Kosan Co Ltd 水性インク組成物

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007211081A (ja) * 2006-02-08 2007-08-23 Konica Minolta Holdings Inc インクジェットインク及びインクジェット記録方法
JP2010168433A (ja) * 2009-01-21 2010-08-05 Toyo Ink Mfg Co Ltd β−アルコキシプロピオンアミド類を使用した水性インキ組成物
JP2011068838A (ja) * 2009-09-28 2011-04-07 Idemitsu Kosan Co Ltd 水性インク組成物

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012107210A (ja) * 2010-10-18 2012-06-07 Ricoh Co Ltd 記録用インク、並びにインクカートリッジ、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置及びインク記録物
JP2016040125A (ja) * 2010-10-18 2016-03-24 株式会社リコー インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、及び記録セット
JP2012167154A (ja) * 2011-02-10 2012-09-06 Ricoh Co Ltd インクジェット記録用インクセット、該インクセットを用いたインクジェット記録方法及び記録物
JP2013209521A (ja) * 2012-03-30 2013-10-10 Toyo Ink Sc Holdings Co Ltd 非水性インク組成物
JP2013248763A (ja) * 2012-05-30 2013-12-12 Ricoh Co Ltd インクジェット画像形成方法及び画像形成物
US9346968B2 (en) 2012-09-27 2016-05-24 Fujifilm Corporation Ink composition, ink set, and image forming method
JP2017088839A (ja) * 2015-11-06 2017-05-25 株式会社リコー インク、インク収容容器、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、及び記録物
JP2017226743A (ja) * 2016-06-21 2017-12-28 株式会社リコー インク、インクセット、インク収容容器、インクジェット記録方法、記録方法、インクジェット記録装置、及び記録物
WO2018194057A1 (ja) 2017-04-21 2018-10-25 東洋インキScホールディングス株式会社 水性インクジェットインキ、および、印刷物の製造方法
US11427723B2 (en) 2017-04-21 2022-08-30 Toyo Ink Sc Holdings Co., Ltd. Aqueous inkjet ink and method for producing printed item
JP2020055996A (ja) * 2018-09-28 2020-04-09 株式会社リコー インク、インク収容容器、印刷方法、及びインクジェット印刷装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5504890B2 (ja) 水性インクジェットインク及び記録方法
US8889764B2 (en) Water-based ink for inkjet recording, and method and apparatus for inkjet recording using the same
JP5433863B2 (ja) インクジェットインク及び記録方法
US8651651B2 (en) Ink jet ink and ink jet recording method
JP2012052041A (ja) インクジェットインク及びインクジェット記録方法
JP2012052042A (ja) インクジェットインク
JP5277549B2 (ja) 水性インクジェットインク
JP5720679B2 (ja) インクジェットインク及びインクジェット記録方法
US8865793B2 (en) Water-based ink-jet recording ink
JP5771922B2 (ja) 水性インク
JP6102260B2 (ja) インクジェットインク及びインクジェット記録方法
JP5927752B2 (ja) インクジェットインク及びインクジェット記録方法
JP2012184376A (ja) インクジェットインク及びインクジェット記録方法
WO2010123064A1 (ja) インクジェットインク及びインクジェット記録方法
JP2013056454A (ja) インクジェット記録装置用洗浄液セット、インクジェット記録装置用インクセット及びインクジェット記録装置の洗浄方法
JP2012179825A (ja) インクジェット記録方法
JP5880180B2 (ja) インクジェット記録方法
JP2009235323A (ja) 水系インクジェット記録用インクとそれを用いたインクジェット画像形成方法
JP2013203850A (ja) インクジェットインク
JP5343366B2 (ja) 水性インクジェット記録インク
CN116390996B (zh) 彩色印刷色喷墨油墨
JP2009263557A (ja) 水性インクジェットインク
JP2011116859A (ja) 水性インクジェット記録インク
JP5482437B2 (ja) 水性インクジェット記録インク
JP6180076B2 (ja) インクジェットインク

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20121220

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20130213

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20130417

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20131119

RD05 Notification of revocation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425

Effective date: 20131120

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20131210

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20140422