[go: up one dir, main page]

JP2012051402A - 車両の走行制御装置 - Google Patents

車両の走行制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2012051402A
JP2012051402A JP2010193512A JP2010193512A JP2012051402A JP 2012051402 A JP2012051402 A JP 2012051402A JP 2010193512 A JP2010193512 A JP 2010193512A JP 2010193512 A JP2010193512 A JP 2010193512A JP 2012051402 A JP2012051402 A JP 2012051402A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steering
vehicle
target
angle
driver
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2010193512A
Other languages
English (en)
Inventor
Miyuki Ouchi
三幸 大内
Shuji Fujita
修司 藤田
Yoshio Yamamoto
純郎 山本
Yoji Kunihiro
洋司 国弘
Saneharu Masuda
実栄 増田
Keitaro Niki
恵太郎 仁木
Takeshi Goto
武志 後藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2010193512A priority Critical patent/JP2012051402A/ja
Publication of JP2012051402A publication Critical patent/JP2012051402A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Power Steering Mechanism (AREA)
  • Steering Control In Accordance With Driving Conditions (AREA)

Abstract

【課題】車両の目標軌跡や実軌跡を求めるための車外情報の取得を要することなく、できるだけ車両を目標軌跡に沿って走行させつつ、運転者が操舵操作の際に操舵伝達比の変化に起因して覚える違和感を低減する。
【解決手段】舵角可変装置又はバイワイヤ式の操舵装置と、走行路の情報を取得する装置とを備えた車両の走行制御装置。車両の軌跡の制御を開始又は更新すべきと判定したときには(S200、300)、運転者の操舵操作量及び車速に基づいて車両が目標進行方向にて目標到達位置に到達するに必要な目標軌跡に沿って車両を走行させるための操舵輪の目標舵角を演算し(S400)、目標舵角に基づいて操舵輪の舵角を制御する(S600)。特に運転者の操舵操作による操舵輪の舵角の変化方向が目標舵角に基づく操舵輪の舵角の変化方向とは逆の方向であるときには、操舵伝達比が大きくなるよう目標舵角を修正する(S400)。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両の走行制御装置に係り、更に詳細には車両が目標軌跡(目標走行ライン)に沿って走行するよう操舵輪の舵角を修正制御する車両の走行制御装置に係る。
車両が目標軌跡に沿って走行するよう車両の軌跡を制御する車両の走行制御装置は従来種々提案されている。例えば下記の特許文献1には、車両前方の道路の車線情報に基づいて車両の目標軌跡を設定し、目標軌跡と車両の前方注視点との偏差が減少するよう自動操舵アクチュエータを制御する車線追従装置が記載されている。
特開2001−48035号公報 特開2007−269180号公報
〔発明が解決しようとする課題〕
上記特許文献1に記載された車線追従装置によれば、車両が目標軌跡に沿って走行するよう操舵トルクの制御によって運転者の操舵操作を促したり操舵輪の舵角を修正したりすることができる。
しかし上記特許文献1に記載された車線追従装置に於いては、車両の目標軌跡を設定するための車両前方の道路の車線情報及び車両の実軌跡に対応する車両の前方注視点の情報を取得するカメラの如き車外情報取得手段が必須である。また目標軌跡は基本的には車線情報に基づいて決定されるため、車両の目標軌跡を必ずしも運転者の希望に則した軌跡に設定することができない。更に車両前方の道路の車線情報がない状況や車線情報を取得できない状況に於いては、目標軌跡を設定することができないため、車両を目標軌跡に沿って走行させることができない。
尚、上記特許文献2には、操舵角及び車速に基づいて車両の目標軌跡を設定し、目標軌跡と車両の実軌跡との偏差が減少するよう操舵伝達比可変装置を制御する操舵制御装置が記載されている。この特許文献2に記載された操舵制御装置によれば、車両が目標軌跡に沿って走行するよう操舵輪の舵角を制御することができる。
しかし特許文献2に記載された操舵制御装置に於いては、車両の実軌跡を求めるためのGPSの如き車外情報取得手段が必要である。また目標軌跡と実軌跡との偏差に基づいて操舵輪の舵角がフィードバック制御されるので、実軌跡が求められた後でなければ舵角を制御することができず、そのため制御の遅れに起因して車両を好ましく目標軌跡に沿って走行させることができない。
上記問題を解消すべく、例えば運転者の操舵操作量及び車速に基づいて車両が目標進行方向にて目標到達位置に到達するに必要な目標軌跡に沿って車両を走行させるための操舵輪の目標舵角を演算し、目標舵角に基づいて操舵輪の舵角を制御することが考えられる。かかる操舵輪の舵角の制御によれば、車両の目標軌跡や実軌跡を求めるための車外情報の取得を要することなく、車両の軌跡が運転者の希望に則した軌跡になるよう操舵輪の舵角を遅れなく制御することができる。
上記操舵輪の舵角の制御に於いて、操舵輪の舵角が目標舵角に基づいて制御されれば、運転者の操舵操作を要することなく車両を目標軌跡に沿って走行させることができる。しかし目標軌跡が設定された後にも運転者により操舵操作が行われる場合があり、その場合には車両の軌跡制御による操舵輪の舵角の制御に起因して運転者が違和感を覚えることがある。
即ち運転者の操舵操作による前輪の転舵方向が軌跡の制御による前輪の転舵方向とは逆であるときには、運転者は操舵伝達比が低下したと感じる。逆に運転者の操舵操作による前輪の転舵方向が軌跡の制御による前輪の転舵方向と同一であるときには、運転者は操舵伝達比が高くなったと感じる。また運転者が感じる操舵伝達比の変化の度合は運転者の操舵操作の変化率の大きさが大きいほど大きい。
よって運転者により操舵操作が行われる場合には、運転者が操舵伝達比の変化に起因して覚える違和感が低減されるよう、操舵伝達比が変更されることが好ましい。但しその場合には目標軌跡に対する車輌の追従性が低下する。
本発明は、車両が目標軌跡に沿って走行するよう車両の軌跡を制御する従来の走行制御装置に於ける上述の如き問題に鑑みてなされたものである。そして本発明の主要な課題は、できるだけ車両を目標軌跡に沿って走行させつつ、運転者が操舵操作の際に操舵伝達比の変化に起因して覚える違和感を低減することである。
〔課題を解決するための手段及び発明の効果〕
上述の主要な課題は、運転者の操舵操作量に対する操舵輪の舵角の関係を変更する舵角制御手段を備えた車両の走行制御装置であって、予め設定された手順に従って車両の軌跡の制御を開始又は更新すべきと判定したときにはその時点に於ける運転者の操舵操作量及び車速に基づいて車両が目標進行方向にて目標到達位置に到達するに必要な目標軌跡に沿って車両を走行させるための操舵輪の目標舵角を演算し、前記目標舵角に基づいて前記舵角制御手段により操舵輪の舵角を制御すると共に、前記時点以降の運転者の操舵操作による操舵輪の舵角の変化方向が前記目標舵角に基づく操舵輪の舵角の変化方向とは逆の方向であるときには、操舵伝達比を大きくすることを特徴とする車両の走行制御装置(請求項1の構成)によって達成される。
後に詳細に説明する如く、運転者の操舵操作量は車両の現在の進行方向を基準に見て車両の現在位置から目標到達位置までの方向に関係し、車速は車両の現在位置から目標到達位置までの距離に関係している。また運転者の操舵操作量は車両が目標到達位置に到達する際の目標進行方向にも関係している。
予め設定された手順に従って軌跡の制御を開始又は更新すべきと判定した時点を基準時点と呼ぶこととする。上記請求項1の構成によれば、基準時点の運転者の操舵操作量及び車速に基づいて車両が目標進行方向にて目標到達位置に到達するための目標軌跡に沿って車両が走行するための操舵輪の目標舵角が演算され、目標舵角に基づいて操舵輪の舵角が制御される。
従って車両の目標軌跡や実軌跡を求めるための車外情報の取得は不要であり、また車外情報に基づいて実際の軌跡を求めることも、目標軌跡と実際の軌跡との偏差に基づいて車両の軌跡をフィードバック制御することも必要でない。よって車両の軌跡が運転者の希望に則した軌跡になるよう操舵輪の舵角を遅れなく制御し、車両を運転者が希望する目標軌跡に沿って走行させることができる。
また請求項1の構成によれば、運転者の操舵操作による操舵輪の舵角の変化方向が目標舵角に基づく操舵輪の舵角の変化方向とは逆の方向であるときには、操舵伝達比が大きくされる。よって運転者の操舵操作による操舵輪の舵角の変化方向が目標舵角に基づく操舵輪の舵角の変化方向とは逆の方向であるときに運転者が操舵伝達比が低下したと感じる虞れを低減することができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前記時点以降の運転者の操舵操作による操舵輪の舵角の変化方向が前記目標舵角に基づく操舵輪の舵角の変化方向と同一の方向であるときには、操舵伝達比を小さくするよう構成される(請求項2の構成)。
上記請求項2の構成によれば、運転者の操舵操作による操舵輪の舵角の変化方向が目標舵角に基づく操舵輪の舵角の変化方向と同一の方向であるときには、操舵伝達比が小さくされる。よって運転者の操舵操作による操舵輪の舵角の変化方向が目標舵角に基づく操舵輪の舵角の変化方向と同一の方向であるときに運転者が操舵伝達比が増大したと感じる虞れを低減することができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1又は2の構成に於いて、前記操舵伝達比の変化の大きさは、操舵操作の変化率の大きさが大きいときには操舵操作の変化率の大きさが小さいときに比して大きくなるよう、操舵操作の変化率の大きさに応じて可変設定されるよう構成される(請求項3の構成)。
上記請求項3の構成によれば、操舵伝達比の変化の大きさは、操舵操作の変化率の大きさが大きいときには操舵操作の変化率の大きさが小さいときに比して大きくされる。よって操舵伝達比の変化の大きさが操舵操作の変化率の大きさに関係なく設定される場合に比して、運転者が操舵伝達比の変化に起因して覚える違和感を操舵操作の変化率の大きさに応じて好ましく低減することができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1又は2の構成に於いて、前記操舵伝達比の変化の大きさは、車速が高いときには車速が低いときに比して小さくなるよう、車速に応じて可変設定されるよう構成される(請求項4の構成)。
上記請求項4の構成によれば、操舵伝達比の変化の大きさは、車速が高いときには車速が低いときに比して小さくされる。よって操舵伝達比の変化の大きさが車速に関係なく設定される場合に比して、運転者が操舵伝達比の変化に起因して感じる違和感を車速に応じて好ましく低減することができる。特に低車速域に於いて運転者が操舵伝達比の変化に起因して違和感を覚える虞れを効果的に低減しつつ、高車速域に於いて操舵操作が容易になりすぎる虞れを低減することができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至4の何れか一つの構成に於いて、前記目標軌跡は、前記目標進行方向を示す直線を時間の座標軸とし、前記時点に於ける車両の位置より前記時間の座標軸に下した垂線を距離の座標軸とする仮想の直交座標に於いて、前記時点からの経過時間を指数の変数とする指数関数の曲線であるよう構成される(請求項5の構成)。
上記請求項5の構成によれば、目標進行方向を示す直線を時間の座標軸とし、基準時点に於ける車両の位置より時間の座標軸に下した垂線を距離の座標軸とする仮想の直交座標に於いて、基準時点からの経過時間を指数の変数とする指数関数の曲線として目標軌跡を求めることができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至4の何れか一つの構成に於いて、前記目標軌跡は、前記時点に於ける車両の位置に於いて前記時点に於ける車両の前後方向を示す直線に接し且つ前記目標到達位置に於いて前記目標進行方向を示す直線に接する円弧状の曲線であるよう構成される(請求項6の構成)。
上記請求項6の構成によれば、基準時点に於ける車両の位置に於いて基準時点に於ける車両の前後方向を示す直線に接し且つ目標到達位置に於いて目標進行方向を示す直線に接する円弧状の曲線として目標軌跡を求めることができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至6の何れか一つの構成に於いて、前記目標到達位置は前記時点に於ける運転者の操舵操作量及び車速に基づいて決定され、前記目標進行方向は前記時点に於ける運転者の操舵操作量に基づいて決定されるよう構成される(請求項7の構成)。
上記請求項7の構成によれば、基準時点に於ける運転者の操舵操作量及び車速に基づいて目標到達位置を決定し、基準時点に於ける運転者の操舵操作量に基づいて目標進行方向を決定することができる。よって基準時点に於ける運転者の操舵操作量及び車速に基づいて車両が目標進行方向にて目標到達位置に到達するための車両の目標軌跡を求めることができる。
また本発明によれば、上記請求項7の構成に於いて、前記時点に於ける運転者の操舵操作量に基づいて決定される角度を基準角度として、前記目標到達位置は前記時点に於ける車両の位置より車両の前後方向に対し前記基準角度傾斜した方向に引いた直線上に位置し、前記時点に於ける車両の位置から前記目標到達位置までの距離は車速に依存する値であるよう構成される(請求項8の構成)。
上記請求項8の構成によれば、基準時点に於ける運転者の操舵操作量に基づいて決定される角度を基準角度とし、基準時点に於ける車両の位置より車両の前後方向に対し基準角度傾斜した方向に引いた直線上に位置し且つ基準時点に於ける車両の位置から車速に依存する距離の位置として目標到達位置を決定することができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項8の構成に於いて、前記時点に於ける車両の位置と前記目標到達位置とを結ぶ直線を方向の基準線として、前記目標進行方向は前記目標到達位置に於いて前記方向の基準線に対し前記基準角度傾斜した方向に決定されるよう構成される(請求項9の構成)。
上記請求項9の構成によれば、基準時点に於ける車両の位置と目標到達位置とを結ぶ直線を方向の基準線として、目標到達位置に於いて方向の基準線に対し基準角度傾斜した方向を目標進行方向に決定することができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至6の何れか一つの構成に於いて、前記軌跡の制御を行っていない状況に於いて、運転者の操舵操作量の変化率の大きさが制御開始判定の第一の基準値よりも大きくなった後に運転者の操舵操作量の変化率の大きさが制御開始判定の第二の基準値よりも小さくなったときに前記軌跡の制御を開始すべきと判定するよう構成される(請求項10の構成)。
一般に、運転者が車両の進路を変更する場合には、まず比較的速く操舵操作量を変化させ、しかる後操舵操作量の変化を穏やかにする。従って運転者の操舵操作量の変化率の大きさの推移に基づいて車両の軌跡の制御の開始又は更新の必要性を判定することができる。
上記請求項10の構成によれば、軌跡の制御が行われていない状況に於いて、運転者の操舵操作量の変化率の大きさが制御開始判定の第一の基準値よりも大きくなった後に制御開始判定の第二の基準値よりも小さくなったときには、その判定により軌跡の制御を開始すべきと判定することができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至6の何れか一つの構成に於いて、前記軌跡の制御を行っている状況に於いて、運転者の操舵操作量の変化率の大きさが制御更新判定の第一の基準値よりも大きくなった後に運転者の操舵操作量の変化率の大きさが制御更新判定の第二の基準値よりも小さくなったときに前記軌跡の制御を更新すべきと判定するよう構成される(請求項11の構成)。
上記請求項11の構成によれば、軌跡の制御が行われている状況に於いて、運転者の操舵操作量の変化率の大きさが制御更新判定の第一の基準値よりも大きくなった後に制御更新判定の第二の基準値よりも小さくなったときには、その判定により軌跡の制御を更新すべきと判定することができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項5の構成に於いて、前記時点に於ける車両から前記時間の座標軸までの距離を基準距離として、前記基準距離と前記時点からの経過時間を指数の変数とする自然指数関数との積として目標距離が求められ、前記目標軌跡は前記時間の座標軸から前記目標距離の位置を結ぶ線として求められるよう構成される(請求項12の構成)。
上記請求項12の構成によれば、基準距離と基準時点からの経過時間を指数の変数とする自然指数関数との積として目標距離を求め、時間の座標軸から目標距離の位置を結ぶ線として目標軌跡求めることができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項12の構成に於いて、操舵操作の必要性に関連する車外の視覚情報の変化が発生してから人が当該視覚情報の変化を知覚するまでに要する一般的な時間をΔTとし、ウェバー比を−kとし、前記時点からの経過時間をtとして、前記自然指数関数の指数は−(k/ΔT)tであるよう構成される(請求項13の構成)。
上記請求項13の構成によれば、自然指数関数の指数は−(k/ΔT)tであるので、人の知覚特性に合った車両の目標距離を求め、これにより人の知覚特性に合った車両の目標軌跡を求めることができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至6の何れか一つの構成に於いて、前記舵角制御手段は、運転者により操作される操舵入力手段に対し相対的に操舵輪を駆動することにより操舵伝達比を変化させる操舵伝達比可変手段と、前記操舵伝達比可変手段を制御する制御手段とを有するセミバイワイヤ式の舵角制御手段であるよう構成される(請求項14の構成)。
上記請求項14の構成によれば、操舵伝達比可変手段を有するセミバイワイヤ式の舵角制御手段を備えた車両に於いて、操舵伝達比可変手段により操舵伝達比を変化させることにより操舵輪の舵角を制御することができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至6の何れか一つの構成に於いて、前記舵角制御手段は、操舵輪の舵角を変化させる転舵手段と、前記操舵入力手段に対する運転者の操舵操作量を検出する手段と、通常時には運転者の操舵操作量に基づいて前記転舵手段を制御し、必要に応じて運転者の操舵操作に依存せずに前記転舵手段を制御する制御手段とを有するバイワイヤ式の舵角制御手段であるよう構成される(請求項15の構成)。
上記請求項15の構成によれば、バイワイヤ式の舵角制御手段を備えた車両に於いて、転舵手段を制御することにより運転者の操舵操作に依存せずに操舵輪の舵角を制御することができる。
〔課題解決手段の好ましい態様〕
本発明の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至4の何れか一つの構成に於いて、目標舵角はステアリングギヤ比を含む式により演算され、運転者の操舵操作による操舵輪の舵角の変化方向が目標舵角に基づく操舵輪の舵角の変化方向とは逆の方向であるときには、目標舵角の演算に供されるステアリングギヤ比が低減されることによって操舵伝達比が大きくされるよう構成される(好ましい態様1)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至4の何れか一つの構成に於いて、目標舵角はステアリングギヤ比を含む式により演算され、運転者の操舵操作による操舵輪の舵角の変化方向が目標舵角に基づく操舵輪の舵角の変化方向と同一の方向であるときには、目標舵角の演算に供されるステアリングギヤ比が増大されることによって操舵伝達比が小さくされるよう構成される(好ましい態様2)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至4の何れか一つの構成に於いて、操舵伝達比の変化量は、操舵操作の方向が車両の直進位置より遠ざかる方向であるときには操舵操作の方向が車両の直進位置に近づく方向であるときに比して大きくなるよう、操舵操作の方向に応じて可変設定されるよう構成される(好ましい態様3)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項14の構成に於いて、車両は運転者による操舵操作を補助する補助操舵力を発生する補助操舵力発生手段と、運転者の操舵負担を軽減するための目標補助操舵力に基づいて補助操舵力発生手段を制御する補助操舵力制御手段とを有し、補助操舵力制御手段は軌跡の制御が行われている状況に於いては、舵角制御手段による操舵輪の舵角の制御に起因する操舵力の変動量を推定し、検出された操舵力を操舵力の変動量にて補正し、補正後の操舵力に基づいて運転者の操舵負担を軽減するために必要な補助操舵力を演算し、必要な補助操舵力と操舵力の変動量との和を目標補助操舵力とするよう構成される(好ましい態様4)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項15の構成に於いて、車両は操舵反力を発生する操舵反力発生手段と、目標操舵反力に基づいて操舵反力発生手段を制御する操舵反力制御手段とを有する操舵反力付与装置を備え、操舵反力制御手段は運転者の操舵操作量に基づいて舵角制御手段による操舵輪の舵角の制御の影響を受けない基本の操舵反力を演算し、基本の操舵反力から運転者の操舵負担を軽減するための操舵反力低減量を減算した値に基づいて目標操舵反力を演算するよう構成される(好ましい態様5)。
舵角可変装置及び電動式パワーステアリング装置が搭載された車両に適用された本発明による車両の走行制御装置の第一の実施形態を示す概略構成図である。 第一の実施形態に於ける走行制御のメインルーチンを示すフローチャートである。 第一の実施形態に於ける軌跡制御の開始条件の成立判定ルーチンを示すフローチャートである。 第一の実施形態に於ける軌跡制御の更新条件の成立判定ルーチンを示すフローチャートである。 第一の実施形態に於ける前輪の目標舵角演算ルーチンを示すフローチャートである。 前輪の転舵方向の関係と操舵角速度θdの絶対値と車速Vと補正係数Kgとの間の関係を示すグラフである。 車速Vと目標ステアリングギヤ比Ntとの間の関係を示すグラフである。 操舵トルクThd又はThdaと基本アシストトルクTpabとの間の関係を示すグラフである。 車速Vと車速係数Kvとの間の関係を示すグラフである。 操舵トルクThd又はThdaと車速Vと基本アシストトルクTpabとの間の関係を示すグラフである。 第二の実施形態に於ける走行制御のメインルーチンを示すフローチャートである。 第二の実施形態に於ける前輪の目標舵角演算ルーチンを示すフローチャートである。 バイワイヤ式のステアリング装置が搭載された車両に適用された本発明による車両の走行制御装置の第三の実施形態を示す概略構成図である。 第三の実施形態に於ける走行制御のメインルーチンを示すフローチャートである。 補正後の操舵トルクTh0と基本操舵負担軽減トルクTpadbとの間の関係を示すグラフである。 補正後の操舵トルクTh0と車速Vと基本操舵負担軽減トルクTpadbとの間の関係を示すグラフである。 第四の実施形態に於ける前輪の舵角制御ルーチンを示すフローチャートである。 2輪モデルの車両が進路を変更する場合を示す説明図である。 車両が定常円旋回し、円弧状の軌跡を描いて走行する場合を示す説明図である。 前輪の舵角が運転者の操舵操作量に対応する舵角及び案内棒モデルに基づいて修正された舵角である場合について、定常円旋回による車両の円弧状の軌跡を示す説明図である。 水平加速度x″が変化する状況に於いて、人が水平加速度x″の変化を知覚できる最小量Δx″及び人が最小量最小量Δx″の変化を知覚するに要する最小時間ΔTを示す説明図である。 車両が案内棒の基準位置より案内棒の先端位置まで指数関数の軌跡を描いて走行する場合を示す説明図である。 車両が指数関数の軌跡を描いて走行する場合に於いて、車両が案内棒の基準位置と案内棒の先端位置との間の位置へ移動した状況を示す説明図である。 図23に示された状況について、距離に関する座標軸及び時間に関する座標軸に平行な成分への車速の分解を示す説明図である。
実施形態の総括説明
具体的な実施形態の説明に先立ち、各実施形態に共通の技術的事項について総括的に説明する。
1)案内棒モデル
車両の軌跡に関する運転者の意図は、運転者の操舵操作量に反映されていると考えられるので、操舵輪である前輪の向き、即ち前輪の舵角が運転者の前方注視方向であると考えられてよい。そこで前輪に仮想の案内棒が設置された仮想の車両を定義し、運転者は案内棒の先端が希望の軌跡に沿って移動するように車両を運転していると仮定する。その場合前方注視距離、即ち車両から運転者が注視する位置までの距離は案内棒の長さに対応し、車速に応じて変化すると考えられる。
本明細書に於いては、上述の仮想の案内棒を備えた車両のモデルを「案内棒モデル」と呼ぶこととする。案内棒モデルによれば、運転者が車両の進路を変更しようとしたときの運転者の操舵操作量及び車速に基づいて、案内棒の先端を通る軌跡として車両の好ましい目標軌跡を設定することができる。
従って設定された目標軌跡に沿って車両が走行するよう前輪の舵角を制御することにより、車両周囲の情報を撮影や車外よりの通信等によって周囲の情報を取得することを要することなく、車両を好ましい目標軌跡に沿って走行させることができる。
案内棒モデルに基づく車両の軌跡制御の理解が容易になるよう、図18に示されている如く、車両は前輪100及び後輪102を備えた2輪モデルの車両104であるとする。そして車両104がその前後方向を示す線106に対し角度φ傾斜した目標進路108へ進路を変更する場合について考える。尚角度の単位はradである。
図示の如く、前輪100の中心Oから目標進路108上の点Pまで前輪の前後方向に沿って車両の前方へ仮想の案内棒110が突き出ているものとし、車両の前後方向に対する案内棒110の傾斜角をβとする。そして案内棒110の長さ、即ち線分OPの長さをAとし、目標進路108と案内棒110とがなす角度をαとする。また前輪100の中心Oから目標進路108までの距離をxとし、前輪100の舵角をδとする(δ=β)。更に車両104のホイールベースをWBとし、車速をVとする。尚長さの単位はmであり、時間の単位はsecである。
舵角δ及び車速Vが変化せずに微小時間dtが経過することにより、車両104が実線にて示された位置より破線にて示された位置へ移動し、これに伴う角度φ及び距離xの変化をそれぞれdφ及び距離dxとすると、下記の式1〜式4が成立する。尚微小時間dtは非常に小さいので、図示の如く前輪100は案内棒110上の点に移動し、後輪102は移動前の車両の前後方向を示す線106上の点に移動すると考えられてよい。
β=φ−α ……(1)
x=A*sinα ……(2)
−WBdφ=Vdt*sinβ ……(3)
−dx=Vdt*sinα ……(4)
上記式2をαで微分すると、下記の式5が得られるので、dxは下記の式6により表される。
dx/dα=A*cosα ……(5)
dx=A*cosα*dα ……(6)
上記式4に式6を代入すると、下記の式7が得られるので、案内棒の長さAは下記の式8により表される。
−A*cosα*dα=Vdt*sinα ……(7)
A=−(Vdt*sinα)/(cosα*dα)
=−(Vdt*tanα)/dα
=−Vdt*{1/(cosα)} ……(8)
また上記式3をVdtについて解くと、下記の式9が得られ、式9を式8に代入すると下記の式10が得られる。
Vdt=(−WBdφ)/sinβ ……(9)
A=−(−WBdφ)/sinβ*{1/(cosα)} ……(10)
旋回の如き車両の非直進走行は定常円走行の組合せと考えることができ、軌跡が円弧である場合には角度α及びβは互いに同一である。またβは前輪の舵角δと同一である。よって式10の角度α及びβを舵角δに書き換えることにより、案内棒の長さAを式11にて表すことができる。
A=(WBdφ)/sinδ*{1/(cosδ)} ……(11)
式11のdφは車両のヨーレートYRであり、ヨーレートYRは下記の式12により表される。
YR=V/WB*δ ……(12)
よって式11のdφに式12を代入することにより、案内棒の長さAを式13にて表すことができる。
A=WB(V/WB*δ)/sinδ*{1/(cosδ)
=(V*δ)/sinδ*{1/(cosδ)} ……(13)
尚車両の旋回方向が左旋回か右旋回かによって舵角δの符号が異なる場合には、車両の旋回方向が逆になることによって舵角δの符号が逆になると、sinδの符号も同様に逆になるので、案内棒の長さAは常に正の値である。
以上の説明に於いては、案内棒110は前輪100の中心Oを基準位置とし該基準位置から前輪の前後方向に沿って車両の前方へ突き出ているものとして案内棒モデルを説明した。しかし車両の軌跡は車両の重心の軌跡と考える方が好ましいので、これ以降の説明に於いては、案内棒は車両の重心を基準位置とし該基準位置から前輪の前後方向に沿って車両の前方へ突き出ているものとする。
2)円弧状の軌跡
次に図19に示されている如く、前輪の舵角δ及び車速Vがそれぞれ一定の値に設定されて車両104が定常円旋回し、位置P0より位置P1まで円弧状の軌跡Tcを描いて走行する場合について考える。この場合車両104の重心が位置P0にあるときの案内棒に対応する線分は、基準点P0より先端P1まで延在している。
車両104の運動は定常円旋回運動であるので、車両のヨーレートYRは上記式12により表され、車両の横加速度LAは下記の式14により表される。
LA=YR*V ……(14)
よって円弧状の軌跡Tcの半径Rは下記の式15により表される。
R=V/LA
=V/(YR*V)
=V/YR
=V/(V/WB*δ)
=WB/δ ……(15)
また図19に示されている如く、車両104の前後方向を示す線106及び目標進路を示す線108はそれぞれ位置P0及びP1に於いて円弧状の軌跡Tcに接する接線である。線106及び108の交点をQ1とし、円弧状の軌跡Tcの中心Ocより案内棒110に下した垂線の足をQ2とする。三角形P0OcP1は中心Ocを頂点とする二等辺三角形であるので、角度P0OcQ2及び角度P1OcQ2は互いに等しく、これらをγとする。また角度OcP0Q2及び角度OcP1Q2も互いに等しく、これらをλとする。
図19より解る如く、下記の式16及び17が成立する。よって角度γは角度α及びδと同一である。
α+λ=δ+λ=π/2 ……(16)
γ+λ=π/2 ……(17)
また図19より解る如く、案内棒に対応する線分の長さA0は線分P0Q2の2倍であり、線分P0Q2の長さはR*sinγ=R*sinδである。よって案内棒に対応する線分の長さA0は式18にて表わされる。
A0=2R*sinδ
=2(WB/δ)*sinδ ……(18)
式18により表される案内棒に対応する線分の長さA0は車速Vを含んでおらず、車速Vに依存しない。この線分の長さA0と式13により表される案内棒の長さAとの比較より、前輪の舵角δを修正しなければ、案内棒110の先端を通る円弧状の軌跡に沿って車両を走行させることができないことが解る。換言すれば、線分の長さA0を式13により表される案内棒の長さAと同一の値にするためには、運転者の操舵操作量及びステアリングギヤ比により定まる舵角(「本来の舵角」という)δとは異なる値に前輪の舵角を修正しなければならない。
図20に示されている如く、前輪の舵角が本来の舵角δから修正後の舵角δ′に修正されると、車両104が案内棒110の先端P1′を通る円弧状の軌跡Tc′に沿って走行することができるとする。また円弧状の軌跡Tc′の中心及び半径はそれぞれOc′、R′であるとする。
半径R′は上記式15に対応する下記の式19により表される。
R′=WB/δ′ ……(19)
三角形P0P1Oc及び三角形P0P1′Oc′は相似形であるので、下記の式20が成立する。
R/R′=A0/A ……(20)
この式20にδがδ′に書き換えられた上記式13及び上記式15、18、19を代入すると、下記の式21が得られる。
δ′/δ=2WB*sinδ′*sinδ*(cosδ′)/(V*δ′*δ)
……(21)
前輪の舵角δ及び修正後の舵角δ′が小さい値であるときには、sinδ及びsinδ′はそれぞれδ及びδ′であると看做されてよく、cosδ′は1であると看做されてよい。よって修正後の舵角δ′は上記式21が変形された下記の式22により表される。
δ′=(2WB/V)*δ ……(22)
運転者の操舵操作量としての操舵角をθとし、ステアリングギヤ比をNとすると、前輪の本来の舵角δは下記の式23により表される。尚ステアリングギヤ比Nは一定であってもよく、また例えば車速Vに応じて可変設定される値であってもよい。
δ=θ/N ……(23)
よって修正後の舵角δ′は下記の式24により表される。
δ′=(2WB/V)*θ/N ……(24)
また前輪の舵角及び車速がそれぞれ一定のδ′及びVに維持された状態で車両が位置P0より位置P1′まで円弧状の軌跡Tc′に沿って走行するに要する時間をTaとする。時間Taは中心角が2γ=2δで半径がR′の扇形の円弧に沿って式25により表されるヨーレートYRにて円弧運動するに必要な時間である。よって時間Taは式26により表される通り、1[sec]であり、車速Vに依存しない。
YR=V/WB*δ′ ……(25)
Ta =2δ/YR
=2WB*δ/(V*δ′)
=2WB*δ/{V*(2WB/V)*δ}
=1 ……(26)
従って前輪の本来の舵角がδである状況に於いて、車速Vを一定の値に維持し目標舵角δatを修正後の舵角δ′に設定して前輪の舵角を制御することにより、案内棒110の先端P1′を通る円弧状の軌跡Tc′に沿って車両を走行させることができる。そして車速Vの値に関係なく車両は時間Ta=1[sec]が経過するときに位置P1′を通過する。
3)指数関数の軌跡
上記式2より下記の式27が成立する。但し式1よりα=φ−βである。
x′=−V*sinα ……(27)
上記式2及び27より下記の式28が成立し、式28は距離xがウェバー則に則して変化する変数であることを示している。
x′=−(V/A)x ……(28)
式28を解くと式29が得られる。よって距離xが式29に則して変化するよう制御することにより、距離xをウェバー則に則して制御することができる。尚xは時間tが0であるときの距離xの値である。
x=x*exp{−(V/A)*t} ……(29)
次に上記式29に基づく距離xの制御を人間の知覚特性に適合させることを考える。図21に示されている如く、距離xの2回微分値である車両の水平加速度x″が増加する場合に於いて、人が水平加速度x″の変化を知覚できる最小量をΔx″とする。そして人が水平加速度x″の変化Δx″を知覚するに要する最小時間をΔTとする。水平加速度x″の変化率をx″′として最小量Δx″は下記の式30により表される。
Δx″=x″′*ΔT ……(30)
図21より解る如く、水平加速度x″の変化率x″′は下記の式31により表される。
x″′={(x″+Δx″)−x″}/{(T+ΔT)−T}
=Δx″/ΔT ……(31)
上記式28を2回微分すると下記の式32が得られるので、下記の式33が成立する。
x″′=−(V/A)*x″ ……(32)
x″′/x″=−(V/A) ……(33)
上記式33に上記式31を代入して変形することにより、下記の式34が得られる。
Δx″/x″=−(V/A)*ΔT ……(34)
上記式34はウェバー比の形をなす式であるので、ウェバー比を−kとして上記式34を下記の式35の通りに書き換えることができる。但しkは式36により表される正の値である。
Δx″/x″=−k ……(35)
k=(V/A)*ΔT ……(36)
尚最小時間ΔTは個人差のある値であるが、最小時間ΔTを平均的な一定の値とし、ウェバー比−kも一定の値であるとする。
上記式35を下記の式37の通り変形し、式37を上記式30に代入して変形することにより、下記の式38が得られる。そして下記の式38を解くことにより、下記の式39が得られる。
Δx″=−k*x″ ……(37)
x″′*ΔT=−k*x″ ……(38)
x=x*exp{−(k/ΔT)*t} ……(39)
上記式29及び39は何れも距離xが時間tの指数関数であることを示しているが、式39によれば距離x、従って車両の好ましい指数関数の軌跡を車速Vに依存しないウェバー比−k及び最小時間ΔTにて表すことができる。
よって上記式39を使用して車両の軌跡を制御することにより、車速Vに依存する上記式29を使用して車両の軌跡を制御する場合に比して、下記の利点がられる。
(1)上記式39は車速Vを含んでいないので、演算量を少なくし、制御を単純化することができる。
(2)車両の軌跡を人の知覚特性に適合した好ましい指数関数の軌跡に制御することができる。
以上の説明より解る如く、式39に従って距離xを制御することによって車両の軌跡を制御することにより、車両の軌跡を円弧状の軌跡よりも人の知覚特性にとって好ましい指数関数の軌跡にすることができる。
しかし車両の軌跡が上記式39に従って指数関数の軌跡に設定されても、車両が位置P1′に到達するに要する時間Tbが車両の軌跡が円弧状の軌跡である場合の時間Taと同一になるとは限らない。
そこで時間Tbを時間Taと同一の値にするための補正係数をDとして上記式39を下記の式40の通りに書き換える。
x=x*exp{−(k/ΔT)D*t} ……(40)
車両が位置P1′に到達するに要する時間Tbを時間Taとするためには、xbを0に近い正の定数として、式40に於いて時間tがTaであるときに距離xがxbになればよく、従って下記の式41が成立すればよい。Taは1[sec]であるので、補正係数Dについて式41を解くと、式42が得られる。
xb=x*exp{−(k/ΔT)D*Ta} ……(41)
D=−(logxb−log)*ΔT/(k*Ta)
=−(logxb−log)*ΔT/k ……(42)
図22に示されている如く、距離xが上記式40に則して変化するよう前輪の舵角δが制御されることにより、案内棒の基準位置P0より案内棒の先端位置P1′まで指数関数の軌跡Teを描いて走行する場合について考える。
案内棒の基準位置P0より目標進路を示す線108に下した垂線の足を交点Q3とする。上記式40により表される指数関数は、目標進路を示す線108を時間に関する座標軸とし、車両104の前後方向を示す線106を距離xに関する座標軸とし、交点Q3を原点とする直交座標に於ける関数である。
位置P1と交点Q3との間の距離及び位置P0と位置交点Q3との間の距離をそれぞれB及びCとすると、距離B及びCはそれぞれ下記の式43及び44により表される。
B=A*cosδ ……(43)
C=A*sinδ
=2R′*sinδ*sinδ
=2(WB/δ′)*(sinδ) ……(44)
舵角δが小さいときにはsinδはδに等しいと看做されてよいので、上記式44に上記式22を代入すると共にsinδ=δとすることにより、距離Cは下記の式45により表される。また距離Cは時間tが0であるときの距離xの値xであり、正の値である。よって式45に対応する下記の式46により距離xを求めることができる。
C=(V/δ)*δ
=V*δ ……(45)
=V*|δ| ……(46)
従って補正係数D及び距離xをそれぞれ式42及び46により求め、式40に従って距離xを制御することにより、時間Ta=1[sec]が経過するときに車両が実質的に位置P1′に到達するよう、車両を指数関数の軌跡Teに沿って走行させることができる。
次に距離xを上記式40、42及び46に則して変化させることにより、車両の軌跡を好ましい指数関数の軌跡Teに制御するための前輪の舵角の制御について説明する。
まず前輪の舵角δ及び車速Vがそれぞれ一定のδ′及び一定の値に設定されて、車両が案内棒の基準位置P0より案内棒の先端位置P1′まで円弧状の軌跡Tc′を描いて走行する場合の車両の横加速度LAaについて考える。車両のスリップ角が0であるとすると、車両の横加速度LAaは式25により表されるヨーレートYRと車速Vとの積に等しいので、下記の式47により求められる値である。
LAa=YR*V
=V/WB*δ′*V
=V/WB*δ′
=V/WB*(2WB/V)*θ/N
=2V*θ/N ……(47)
また車速Vが一定の値に設定され、前輪の舵角δがδbに可変制御されることにより、車両が案内棒の基準位置P0より案内棒の先端位置P1′まで上記式40により表される指数関数の軌跡Teを描いて走行する場合の車両の横加速度LAbについて考える。
図23及び図24に示されている如く、車両が基準位置P0と先端位置P1′との間の位置P3へ移動した状況について、車速Vを距離xに関する座標軸に平行な成分Vxと時間に関する座標軸に平行な成分Vyとに分解すると、式48が成立する。
V=(Vx+Vy1/2 ……(48)
距離xに関する座標軸に平行な成分Vxは式40により表される距離の変化率に等しいので、下記の式49により成分Vxを求めることができる。
Vx=dx/dt
=|d[x*exp{−(k/ΔT)D*t}]/dt
=|−V*δ*(k/ΔT*D)*exp{−(k/ΔT)D*t}| ……(49)
式48及び式49より、時間に関する座標軸に平行な成分Vyを下記の式50により求めることができることが解る。
Vy=(V−Vx1/2 ……(50)
図24に示されている如く、車両の前後方向を示す線106が距離xに関する座標軸に平行な線112に対しなす角度、即ち距離xに関する座標軸に平行な成分Vxが車速Vに対しなす角度をσとする。車両のスリップ角が0であるとすると、下記の式51が成立する。よって角度σは下記の式52により表される。
tanσ=Vy/Vx ……(51)
σ=tan−1(Vy/Vx) ……(52)
距離xに関する座標軸に平行な成分Vxの車両の横方向の成分をVxxとし、時間に関する座標軸に平行な成分Vyの車両の横方向の成分をVyxとする。車両の横方向の成分Vxx及びVyxはそれぞれ式53及び54により表される。
Vxx=Vx*sinσ ……(53)
Vyx=Vy*cosσ ……(54)
従って車両が指数関数の軌跡Teを描いて走行する場合の車両の横方向の速度Vzは下記の式55により表され、車両の横加速度LAbは下記の式56により表される。
Vz=Vyx−Vxx
=Vy*cosσ−Vx*sinσ ……(55)
LAb=d(Vz)/dt ……(56)
車両が指数関数の軌跡Teを描いて走行する場合の車両の横加速度LAbと車両が円弧状の軌跡Tcを描いて走行する場合の車両の横加速度LAaとの偏差ΔLAは式57により表される。
ΔLA=LAb−LAa ……(57)
車両のヨーレートYRは式25に於けるδ′をδbに置き換えた値であると共に、車両の横加速度LAbを車速Vにて除算した値であるので、式58が成立する。
V/WB*δb=LAb/V ……(58)
よって指数関数の軌跡Teを描くよう車両を走行させるための前輪の舵角δbは下記の式59により求められる。
δb=(LAb/V)/(V/WB)
=(WB/V)*LAb ……(59)
円弧状の軌跡Tc′を描くよう車両を走行させるための前輪の舵角δa(目標舵角δat=δ′)を基準にして、指数関数の軌跡Teを描くよう車両を走行させるために必要な前輪の舵角の修正量をΔδbとする。前輪の舵角の修正量Δδbは、左旋回時を正とすると、左旋回時については下記の式60により求められ、右旋回時については下記の式61により求められる。
Δδb=(WB/V)*ΔLA ……(60)
Δδb=−(WB/V)*ΔLA ……(61)
円弧状の軌跡Tc′を描くよう車両を走行させるための前輪の舵角δaは式24により表される修正後の舵角δ′である。従って指数関数の軌跡Teを描くよう車両を走行させるための前輪の目標舵角δbtは、左旋回時については下記の式62により求められ、右旋回時については下記の式63により求められる。
δbt=δ′+Δδb
=(2WB/V)*θ/N+(WB/V)*ΔLA ……(62)
δbt=δ′+Δδb
=(2WB/V)*θ/N−(WB/V)*ΔLA ……(63)
4)目標舵角の補正
4−1)運転者の操舵操作の反映
上記式24により求められる前輪の修正後の舵角δ′及び上記式62、63により求められ前輪の目標舵角δbtは、車両の軌跡の制御を開始又は更新すべきと判定された後に運転者により実質的な操舵操作が行われないことを前提としている。
しかし車両の軌跡の制御を開始又は更新すべきと判定された後に運転者により実質的な操舵操作が行われる場合がある。尚、基準時点、即ち軌跡の制御を開始又は更新すべきと判定された時点に於ける運転者の操舵操作量と現在の操舵操作量との差の大きさが基準値以上になれば、目標軌跡を維持できなくなるので、軌跡の制御は終了される。
前輪の本来の舵角δは上記式23により表される。よって基準時点に於ける操舵角をθ0とすると、車両の軌跡の制御が行われない状況に於いて操舵角がθ0からθへ変化する場合の前輪の舵角の変化量Δδ0は下記の式64により表される。
Δδ0=(θ−θ0)/N ……(64)
よって目標軌跡が円弧状の軌跡であるときの前輪の目標舵角δat(=前輪の修正後の舵角δ′)や目標軌跡が指数関数の軌跡であるときの前輪の目標舵角δbtに前輪の舵角の変化量Δδ0を加算することにより、目標舵角を補正することが考えられる。かくして目標舵角を補正すれば、車両の軌跡の制御に於いて運転者の操舵操作を反映させることができる。
目標軌跡が円弧状の軌跡であるときの目標舵角δatが上述の如く補正された目標舵角δattは下記の式65により表される。また目標軌跡が指数関数の軌跡であるときの前輪の目標舵角δbtが上述の如く補正された目標舵角δbttは、左旋回時については下記の式66により表され、右旋回時については下記の式67により表される。
δatt=δ′+Δδ0
=(2WB/V)*θ/N+(θ−θ0)/N ……(65)
δbtt=δatt+Δδb
=(2WB/V)*θ/N+(θ−θ0)/N
+(WB/V)*ΔLA ……(66)
δbtt=δatt+Δδb
=(2WB/V)*θ/N+(θ−θ0)/N
−(WB/V)*ΔLA ……(67)
上記式65の第1項は車両の軌跡を円弧状の目標軌跡にするための第一の制御量であり、第2項は運転者が感じる操舵伝達比の変化の違和感を低減しつつ前輪の舵角を運転者の操舵操作に応じて変化させるための第二の制御量である。同様に上記式66及び67の第1項及び第2項は車両の軌跡を指数関数の目標軌跡にするための第一の制御量であり、第3項は運転者が感じる操舵伝達比の変化の違和感を低減しつつ前輪の舵角を運転者の操舵操作に応じて変化させるための第二の制御量である。
前輪の目標舵角δattやδbttによれば、基準時点以降に運転者によって実質的な操舵操作が行われない場合には、車両を目標軌跡に沿って走行させることができる。また基準時点以降に運転者によって実質的な操舵操作が行われた場合には、車両をできるだけ目標軌跡に沿って走行させつつ前輪の舵角が運転者の操舵操作を反映させた値になるよう制御し、運転者の操舵意思を尊重することができる。
4−2)運転者の操舵操作と操舵感
基準時点以降に運転者により実質的な操舵操作が行われる場合には、前述の如く運転者が操舵に違和感を覚えることがある。即ち運転者の操舵操作による前輪の転舵方向が軌跡の制御による前輪の転舵方向とは逆であるときには、運転者は操舵伝達比が低下したと感じる。逆に運転者の操舵操作による前輪の転舵方向が軌跡の制御による前輪の転舵方向と同一であるときには、運転者は操舵伝達比が高くなったと感じる。また運転者が感じる操舵伝達比の変化の度合は運転者の操舵操作の変化率の大きさが大きいほど大きい。
よって運転者により操舵操作が行われる場合には、運転者が覚える違和感が低減されるよう、補正後の前輪の目標舵角δatt、δbttが修正されることが好ましい。但しその場合には目標軌跡に対する車輌の追従性が低下する。
4−3)補正係数
操舵伝達比を増減すべくステアリングギヤ比Nに対する補正係数Kgを導入する。運転者の操舵操作による前輪の転舵方向が軌跡の制御による前輪の転舵方向とは逆であるときには、運転者が感じる操舵伝達比の低下を軽減すべく、補正係数Kgを1よりも小さくする。逆に運転者の操舵操作による前輪の転舵方向が軌跡の制御による前輪の転舵方向と同一であるときには、運転者が感じる操舵伝達比の増大を軽減すべく、補正係数Kgを1よりも大きくする。尚運転者により操舵操作が行われておらず保舵状態にあるときには、補正係数Kgは1に設定される。
また前述の如く、運転者が感じる操舵伝達比の変化の度合は運転者の操舵操作の変化率の大きさが大きいほど大きい。よって補正係数Kgの変化の大きさは、運転者の操舵操作の変化率の大きさが大きいほど大きくなるよう、運転者の操舵操作の変化率の大きさに応じて可変設定される。
4−4)前輪の目標舵角の補正量
ステアリングギヤ比Nに対する補正係数Kgが導入された場合には、操舵角がθ0からθへ変化する場合の前輪の舵角の変化量Δδ0gは上記式64に対応する下記の式68により表される。
Δδ0g=(θ−θ0)/(Kg*N) ……(68)
4−5)補正後の前輪の目標舵角
よって補正係数Kgが導入された場合には、目標軌跡が円弧状の軌跡であるときの補正後の目標舵角δattは下記の式69により表される。また目標軌跡が指数関数の軌跡であるときの補正後の目標舵角δbttは、左旋回時については下記の式70により表され、右旋回時については下記の式71により表される。尚下記の各式に於けるNは軌跡制御の開始又は更新時に於けるステアリングギヤ比である。このことは後述の他の式についても同様である。
δatt=δ′+Δδ0g
=(2WB/V)*θ/N+(θ−θ0)/(Kg*N) ……(69)
δbtt=δatt+Δδb
=(2WB/V)*θ/(Kg*N)+(WB/V)*ΔLA
+(θ−θ0)/(Kg*N) ……(70)
δbtt=δatt+Δδb
=(2WB/V)*θ/(Kg*N)−(WB/V)*ΔLA
+(θ−θ0)/(Kg*N) ……(71)
上記式65との比較より解る如く、上記式69の第2項は運転者が感じる操舵伝達比の変化の違和感を低減しつつ前輪の舵角を運転者の操舵操作に応じて変化させるための第二の制御量である。同様に上記式66及び67との比較より解る如く、上記式70及び71の第3項は運転者が感じる操舵伝達比の変化の違和感を低減しつつ前輪の舵角を運転者の操舵操作に応じて変化させるための第二の制御量である。
尚上記式70及び71のΔLAの演算に使用される車輌の横加速度LAaは式47に対応する下記の式72に従って演算される。
LAa=2V*θ/(Kg*N) ……(72)
補正後の前輪の目標舵角δattやδbttによれば、基準時点以降に運転者によって実質的な操舵操作が行われる場合にも、運転者が感じる操舵伝達比の変化を低減し、これにより運転者が操舵の際に覚える違和感を低減することができる。
5)前輪の舵角の制御方法
前輪の補正前の目標舵角δat及びδbtは、基準時点に於ける操舵角θ及び車速により決定されるので、フィードフォワード制御により制御可能な制御量である。しかし補正後の前輪の目標舵角δatt及びδbttに於ける操舵角θ及び補正係数Kgは基準時点以降に於いて変化し得る値である。
よって補正後の前輪の目標舵角δatt及びδbttに基づく前輪の舵角の制御は、補正後の前輪の目標舵角δatt又はδbttと検出又は推定される前輪の舵角とに基づいてフィードバック式に行われる。
尚、前輪の目標舵角が補正後の前輪の目標舵角δatt及びδbttの何れである場合にも、予め設定された軌跡制御の更新条件が成立すると、目標軌跡が更新されることにより軌跡制御が更新される。
6)前輪の舵角の制御装置
車両の軌跡を目標の軌跡に制御するためには、運転者の操舵操作とは独立に前輪を転舵することによって前輪の舵角を修正し目標舵角に制御することができる舵角制御装置が必要である。
かかる舵角制御装置として、ステアリングホイールの如き操舵入力手段と操舵輪である前輪とが機械的に連結された機械的舵角制御装置と、操舵入力手段と前輪とが機械的に連結されていない非機械的舵角制御装置とがある。
機械的舵角制御装置はアクチュエータによって操舵入力手段に対し相対的に前輪を転舵駆動するものであり、例えばステアリングギヤ比可変装置(VGRS)を備えたセミステアバイワイヤ式の操舵装置がこれに属する。
非機械的舵角制御装置は操舵入力手段と前輪を転舵駆動する駆動手段とが相互に独立し、両者が制御装置を介して電気的に接続されたものであり、例えばステアバイワイヤ式の操舵装置がこれに属する。
舵角制御装置が機械的舵角制御装置である場合には、前輪がアクチュエータによって操舵入力手段に対し相対的に転舵駆動されない状況に於いても、運転者によって操舵入力手段が操作されると、前輪が機械的舵角制御装置を介して機械的に転舵される。前輪がアクチュエータによって操舵入力手段に対し相対的に転舵駆動されない場合の機械的舵角制御装置のステアリングギヤ比をN0とすると、操舵角が基準時点に於ける操舵角θ0からθへ変化する場合の前輪の舵角の変化量Δδ0は下記の式73により表される。尚式65以降の各式のNがN0に置き換えられてもよい。
Δδ0=(θ−θ0)/N0 ……(73)
7)軌跡の制御の分類と実施形態
以上の説明より解る如く、軌跡が円弧状であるか指数関数であるかによって、また舵角制御装置が機械的舵角制御装置であるか非機械的舵角制御装置であるかによって、本発明による軌跡の制御を制御1〜4に分類分けすることができる。
後述の第一乃至第四の実施形態は、上記分類項目に従って下記の表1の通り分類されるものである。
Figure 2012051402
尚後述の第一乃至第四の何れの実施形態に於いても、アンチスキッド制御等の他の車両の走行制御が実行されているときには、軌跡制御は開始されない。また軌跡制御が実行されている状況に於いてアンチスキッド制御等の他の車両の走行制御の開始条件が成立したときには、軌跡制御は終了され、当該他の車両の走行制御が開始される。
8)機械的舵角制御装置の場合の操舵反力の制御
パワーアシストによって操舵反力を制御する方式として、操舵トルクを検出しない第一の方式と操舵トルクを検出する第二の方式とがある。
8−1)第一の方式
車両が定常円旋回する場合の旋回半径Rは上記式15により表される。また車両の軌跡の曲率をρとすると、旋回半径Rは下記の式74により表される。
R=1/ρ ……(74)
よって前輪の舵角δは下記の式75により表される。
δ=WB/R
=ρ*WB ……(75)
前輪のキャスタートレールとニューマチックトレールとの和をLt[m]とし、前輪のコーナリングパワーをKf[Nm/rad]とすると、舵角がδ[rad]である前輪のキングピン軸周りのトルクTsは下記の式76により表される。
Ts =−2Lt*Kf*δ ……(76)
操舵入力手段としてのステアリングホイールに於けるトルク、即ち操舵トルクをThとすると、前輪のキングピン軸周りのトルクTsは、補正係数Kgにて補正されたステアリングギヤ比Kg*Nを使用して下記の式77により表される。
Ts =Th*Kg*N ……(77)
上記式76及び77より下記の式78が成立する。よって操舵トルクThは下記の式79により表される。
Th*Kg*N=−2Lt*Kf*δ ……(78)
Th=−2Lt*Kf*δ/(Kg*N) ……(79)
また操舵角θに対応する前輪の舵角δは上記式23に対応する下記の式80により表される。
δ=θ/(Kg*N) ……(80)
式79はパワーアシストによって操舵トルクが軽減されない場合に於ける前輪の舵角δと操舵トルクThとの関係を示している。よって式79に式80を代入することにより下記の式81が得られ、下記の式81により表されるThtは、前輪の舵角が本来の舵角δであるときの操舵トルク、即ち軌跡制御による前輪の舵角の修正が行われない場合の操舵トルクである。
Tht=−2Lt*Kf*θ/(Kg*N) ……(81)
従って式81により表される操舵トルクThtを基準トルクとし、例えばトルクセンサにより検出される操舵トルクをThdとすると、下記の式82により表される操舵トルクの偏差ΔThは前輪の舵角の修正に起因する操舵トルクの変動分を表す。
ΔTh=Thd−Tht ……(82)
よって検出される操舵トルクThdから前輪の舵角の修正に起因する操舵トルクの変動分ΔThが除去された操舵トルク、即ち前輪の舵角の修正に起因する操舵トルクの変動分を含まない操舵トルクTh0は下記の式83により表される。
Th0=Thd−ΔTh
=Tht
=−2Lt*Kf*θ/(Kg*N) ……(83)
従って式83により表される操舵トルクTh0を補正後の検出操舵トルクとし、これに基づいて目標アシストトルクTpatを演算することにより、前輪の舵角の修正に起因する操舵トルクの変動の影響を受けることなく運転者の操舵負担を軽減することができる。尚目標アシストトルクTpatは、補正後の検出操舵トルクTh0の大きさが大きいほど大きくなり、車速Vが高いほど小さくなるよう、補正後の検出操舵トルクTh0及び車速Vに基づいて演算されてよい。
8−2)第二の方式
8−2−1)円弧状の目標軌跡
前述の如く、目標軌跡が円弧状である場合には、基準時点以降の運転者の操舵操作基準時点以降の運転者の操舵操作を無視すれば、を無視すれば、前輪の舵角は本来の舵角δであるべき状況に於いて目標舵角δat=δ′に制御される。従って前輪の舵角が目標舵角δatであるときの操舵トルクThatは下記の式84により表される。
That=−2Lt*Kf*δat/(Kg*N)
=−2Lt*Kf*δ′/(Kg*N)
=−2Lt*Kf*(2WB/V)*θ/(Kg*N) ……(84)
よって軌跡制御に伴う前輪の舵角の制御による操舵トルクの変動量ΔThatは、式83により表される操舵トルクThatと式81により表される操舵トルクThとの偏差であるので、下記の式85により表される。
ΔThat=That−Th
=−2Lt*Kf*(2WB/V)*θ/(Kg*N)
−{−2Lt*Kf*θ/(Kg*N)
=−2Lt*Kf*(2WB/V−1)*θ/(Kg*N) ……(85)
下記の式86に従ってトルクセンサにより検出される操舵トルクThdから操舵トルクの変動量ΔThatを減算することにより求められる補正後の検出操舵トルクThdaは、前輪の舵角の制御による操舵トルクの変動分が排除された操舵トルクである。
Thda=Thd−ΔThat
=Thd+2Lt*Kf*(2WB/V−1)*θ/(Kg*N) ……(86)
従って補正後の検出操舵トルクThdaに基づいて運転者の操舵負担軽減トルクTpadを演算することにより、前輪の舵角の修正に起因する操舵トルクの変動の影響を排除することができる。そして運転者の操舵負担軽減トルクTpadと操舵トルクの変動量ΔThatとの和を目標アシストトルクTpatとすることにより、前輪の舵角の修正に起因する操舵トルクの変動の影響を排除しつつ運転者の操舵負担を軽減することができる。尚操舵負担軽減トルクTpadは、補正後の検出操舵トルクThdaの大きさが大きいほど大きくなり、車速Vが高いほど小さくなるよう、補正後の検出操舵トルクThda及び車速Vに基づいて演算されてよい。
8−2−2)指数関数の目標軌跡
前述の如く、目標軌跡が指数関数である場合には、基準時点以降の運転者の操舵操作の影響を無視すれば、前輪の舵角は本来の舵角δであるべき状況に於いて式62又は63の目標舵角δbtに制御される。従って前輪の舵角が目標舵角δbtであるときの操舵トルクThbtは下記の式87により表される。
Thbt=−2Lt*Kf*δbt/(Kg*N)
=−2Lt*Kf*(δ′+Δδb)/(Kg*N) ……(87)
よって軌跡制御に伴う前輪の舵角の制御による操舵トルクの変動量ΔThbtは、式87により表される操舵トルクThbtと式81により表される操舵トルクThtとの偏差であるので、下記の式88により表される。
ΔThbt=Thbt−Tht
=−2Lt*Kf*(δ′+Δδb)/(Kg*N)
+2Lt*Kf*δ/(Kg*N)
=−2Lt*Kf*{(2WB/V)δ+Δδb}/(Kg*N)
+2Lt*Kf*δ/(Kg*N)
=−2Lt*Kf*{(2WB/V+1)δ+Δδb}/(Kg*N)
……(88)
下記の式89に従ってトルクセンサにより検出される操舵トルクThdから操舵トルクの変動量ΔThbtを減算することにより求められる補正後の検出操舵トルクThdbは、前輪の舵角の制御による操舵トルクの変動分が排除された操舵トルクである。
Thdb=Thd−ΔThbt
=Thd+2Lt*Kf*{(2WB/V+1)δ+Δδb}/(Kg*N)
……(89)
従って補正後の検出操舵トルクThdbに基づいて運転者の操舵負担軽減トルクTpadを演算することにより、前輪の舵角の修正に起因する操舵トルクの変動の影響を排除することができる。そして運転者の操舵負担軽減トルクTpadと操舵トルクの変動量ΔThbtとの和を目標アシストトルクTpatとすることにより、前輪の舵角の修正に起因する操舵トルクの変動の影響を排除しつつ運転者の操舵負担を軽減することができる。尚操舵負担軽減トルクTpadは、補正後の検出操舵トルクThdbの大きさが大きいほど大きくなり、車速Vが高いほど小さくなるよう、補正後の検出操舵トルクThdb及び車速Vに基づいて演算されてよい。
上述の第一の方式によれば、操舵トルクThdを検出する必要がないが、操舵操作以外の要因(例えば路面の摩擦係数の変動)による操舵トルクの変動を反映させることができない。これに対し上述の第二の方式によれば、操舵トルクThdを検出する必要はあるが、操舵操作以外の要因による操舵トルクの変動を反映させることができる。よって舵角制御装置が機械的舵角制御装置である後述の第一及び第二の実施形態に於いては、上述の第二の方式に従って目標アシストトルクTpatが演算され、アシストトルクが目標アシストトルクTpatになるよう制御される。
尚舵角制御装置が機械的舵角制御装置である場合には、軌跡制御が行われない状況に於いては、操舵反力の制御が第一及び第二の方式の何れであるかに関係なく、運転者の操舵負担軽減トルクTpadは検出される操舵トルクThdに基づいて演算される。
9)非機械的舵角制御装置の場合の操舵反力の制御
上述の如く、上記式83により表される補正後の検出操舵トルクTh0は、舵角制御装置が機械的舵角制御装置であり操舵角がθである場合に於いて前輪の舵角の修正に起因する操舵トルクの変動分を含まない操舵トルクである。よって補正後の検出操舵トルクTh0から操舵負担軽減トルクTpadを減算した値は、舵角制御装置が機械的舵角制御装置である場合に於いて運転者にとって好ましい操舵トルクである。尚この場合の操舵負担軽減トルクTpadは、補正後の検出操舵トルクTh0の大きさが大きいほど大きくなり、車速Vが高いほど小さくなるよう、補正後の検出操舵トルクTh0及び車速Vに基づいて演算されてよい。
従って舵角制御装置が非機械的舵角制御装置である場合に於いて好ましい操舵トルクThbtは下記の式90により演算される値である。この操舵トルクThbtがステアリングホイールに与えられれば、前輪の舵角の修正に起因する操舵トルクの変動の影響がなく且つ運転者が適度の操舵負担を感じる操舵反力トルクを実現することができる。
Thbt=Th0−Tpad ……(90)
よって舵角制御装置が非機械的舵角制御装置である後述の第三及び第四の実施形態に於いては、目標操舵トルクTpbtが上記式90に従って演算され、操舵トルクが目標操舵トルクTpbtになるよう制御される。
尚舵角制御装置が非機械的舵角制御装置である場合には、軌跡制御が行われない状況に於ける操舵反力の制御は軌跡制御が行われる状況に於ける上記操舵反力の制御と同一である。換言すれば、軌跡制御が行われているか否かに関係なく操舵トルクは目標操舵トルクTpbtになるよう制御される。
止することができる。
次に添付の図を参照しつつ、本発明を第一乃至第四の実施形態について順次説明する。
第一の実施形態
この第一の実施形態は上記表1に示されている如く以下の特徴を有する。
舵角制御装置:セミバイワイヤ式
目標軌跡:円弧状
舵角の制御:フィードバック
操舵反力の制御:アシストトルクの制御(第二の方式)
図1は舵角可変装置及び電動式パワーステアリング装置が搭載された車両に適用された本発明による車両の走行制御装置の第一の実施形態を示す概略構成図である。
図1に於いて、符号10は本発明の第一の実施形態の走行制御装置を全体的に示している。走行制御装置10は車両12に搭載され、舵角可変装置14及びこれを制御する電子制御装置16を含んでいる。また図1に於いて、18FL及び18FRはそれぞれ車両12の左右の前輪を示し、18RL及び18RRはそれぞれ左右の後輪を示している。左右の前輪18FL及び18FRは操舵輪であり、運転者によるステアリングホイール20の操舵操作に応答して駆動されるラック・アンド・ピニオン型の電動式パワーステアリング装置22によりラックバー24及びタイロッド26L及び26Rを介して転舵される。
ステアリングホイール20は操舵入力手段として機能し、アッパステアリングシャフト28、舵角可変装置14、ロアステアリングシャフト30、ユニバーサルジョイント32を介してパワーステアリング装置22のピニオンシャフト34に駆動接続されている。図示の実施形態に於いては、舵角可変装置14はハウジング14Aの側にてアッパステアリングシャフト28の下端に連結され、回転子14Bの側にてロアステアリングシャフト30の上端に連結された補助転舵駆動用の電動機36を含んでいる。
かくして舵角可変装置14はアッパステアリングシャフト28に対し相対的にロアステアリングシャフト30を回転駆動することにより、左右の前輪18FL及び18FRをステアリングホイール20に対し相対的に補助転舵駆動する。よって舵角可変装置14は運転者の操舵操作に依存せずに左右の前輪の舵角を修正する手段として機能し、電子制御装置16の舵角制御部により制御される。
図示の実施形態に於いては、電動式パワーステアリング装置22はラック同軸型の電動式パワーステアリング装置であり、電動機38と、電動機38の回転トルクをラックバー24の往復動方向の力に変換する例えばボールねじ式の変換機構40とを有する。電動式パワーステアリング装置22は電子制御装置16の電動式パワーステアリング装置(EPS)制御部によって制御される。そして電動式パワーステアリング装置22はハウジング42に対し相対的にラックバー24を駆動する補助操舵力を発生することにより、運転者の操舵負担を軽減する補助操舵力発生装置として機能する。尚補助操舵力発生装置は当技術分野に於いて公知の任意の構成のものであってよい。
図示の実施形態に於いては、アッパステアリングシャフト28には該アッパステアリングシャフトの回転角度を操舵角θとして検出する操舵角センサ50及び操舵トルクThdを検出する操舵トルクセンサ52が設けられており、操舵角θ及び操舵トルクThdを示す信号は電子制御装置16へ入力される。電子制御装置16には回転角度センサ54により検出された舵角可変装置14の相対回転角度θre、即ちアッパステアリングシャフト28に対するロアステアリングシャフト30の相対回転角度を示す信号、車速センサ56により検出された車速Vを示す信号が入力される。
尚電子制御装置16の各制御部はそれぞれCPUとROMとRAMと入出力ポート装置とを有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続されたマイクロコンピュータを含むものであってよい。また操舵角センサ50、操舵トルクセンサ52、回転角度センサ54はそれぞれ車両の左旋回方向への操舵又は転舵の場合を正として操舵角θ、操舵トルクThd、相対回転角度θreを検出する。
後に詳細に説明する如く、電子制御装置16は図2乃至図5に示されたフローチャートに従って舵角可変装置14及び電動式パワーステアリング装置22を制御する。特に電子制御装置16は、操舵角θ及び車速Vに基づき車両の軌跡制御の必要性を判定する。そして電子制御装置16は、軌跡制御が不要であると判定したときには、車速Vが高いほど大きくなるよう、車速Vに基づき所定の操舵特性を達成するための目標ステアリングギヤ比Ntを演算する。
また電子制御装置16は、目標ステアリングギヤ比Ntとギヤ比係数Ks(正の定数)との積にて操舵角θを除算した値を目標ピニオン角θptとして演算する。更に電子制御装置16は、目標ピニオン角θptと操舵角θとの偏差として舵角可変装置14の目標相対回転角度θretを演算し、舵角可変装置14の相対回転角度θreが目標相対回転角度θretになるよう舵角可変装置14を制御する。
また電子制御装置16は、軌跡制御が必要であると判定したときには、後述の如く操舵角θ及び車速Vに基づき車両を円弧状の目標軌跡に沿って走行させるための前輪の目標舵角δattに対応する補正後の前輪の目標舵角δattaを演算する。そして電子制御装置16は、左右前輪の舵角が補正後の目標舵角δattaになるよう舵角可変装置14をフィードバック式に制御し、これにより車両を円弧状の目標軌跡に沿って走行させる。
尚軌跡制御の開始時には補正係数Kgが1に設定されると共にステアリングギヤ比NがN0に設定される。そしてその後は操舵角θの微分値である操舵角速度θd及び軌跡制御による前輪の転舵方向と運転者の操舵による前輪の転舵方向との関係に基づいて補正係数Kgが可変設定される。
また電子制御装置16は、軌跡制御の実行中には上記式86に従って補正後の検出操舵トルクThdaを演算し、補正後の検出操舵トルクThdaに基づいて運転者の操舵負担軽減トルクTpadを演算する。また電子制御装置16は、上記式85に従って操舵トルクの変動量ΔThatを演算し、運転者の操舵負担軽減トルクTpadと操舵トルクの変動量ΔThatとの和を目標アシストトルクTpatとする。更に電子制御装置16は、アシストトルクが目標アシストトルクTpatになるよう電動式パワーステアリング装置22を制御し、これにより運転者の操舵負担を軽減すると共に舵角の修正に起因する操舵トルクの変動を低減する。
尚、軌跡制御が不要であるときのステアリングギヤ比の制御やアシストトルクの制御自体は本発明の要旨をなすものではなく、これらの制御は当技術分野に於いて公知の任意の要領にて実行されてよい。このことは後述の他の実施形態についても同様である。
次に図2乃至図5に示されたフローチャートを参照して第一の実施形態に於ける車両の走行制御について説明する。尚図2に示されたフローチャートによる走行制御は、図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。
まずステップ50に於いては車両の軌跡制御が実行されているか否かを示すフラグFcが1であるか否かの判別により、軌跡制御の実行中であるか否かの判別が行われる。軌跡制御が実行されていないと判別されたときには制御はステップ200へ進み、軌跡制御が実行されていると判別されたときには制御はステップ100へ進む。尚フラグFc及び後述のフラグFsは図2に示されたフローチャートによる走行制御の開始に先立ってそれぞれ0にリセットされる。
ステップ100に於いては車両の走行制御のうち軌跡制御の終了条件が成立しているか否かの判別が行われる。そして肯定判別が行われたときには制御はステップ150へ進み、否定判別が行われたときには制御はステップ300へ進む。尚この場合下記の(1)乃至(4)の何れかが成立するときに軌跡制御の終了条件が成立していると判定されてよい。
(1)軌跡制御の開始条件又は更新条件(これらについては後述する)が成立した時点より車両が目標到達地点に到達するに要する時間Ta以上が経過している。
(2)開始条件又は更新条件が成立した時点に於ける車速Vと現在の車速Vとの偏差ΔVの絶対値が基準値Ve(正の値)よりも大きい。
(3)開始条件又は更新条件が成立した時点に於ける操舵角θと現在の操舵角θとの偏差Δθの絶対値が基準値θe(正の値)よりも大きい。
(4)操舵角速度の絶対値、即ち操舵角θの変化率θdの絶対値が基準値θde(正の値)よりも大きい。
尚基準値θe及びθdeは定数であってもよいが、例えば開始条件又は更新条件が成立した時点に於ける車速Vが高いほど小さくなるよう車速Vに応じて可変設定されてもよい。
ステップ150に於いては舵角可変装置14によって左右前輪の舵角を修正後の目標舵角δattにする制御が終了されることにより軌跡制御が終了される。また軌跡制御が実行されているか否かを示すフラグFcが0にリセットされ、しかる後制御はステップ700へ進む。
ステップ200に於いては図3に示されたフローチャートに従って軌跡制御の開始条件が成立しているか否かの判別が行われる。そして肯定判別が行われたときには制御はステップ400へ進み、否定判別が行われたときには制御はステップ700へ進む。
ステップ300に於いては図4に示されたフローチャートに従って軌跡制御の更新条件が成立しているか否かの判別が行われる。そして肯定判別が行われたときには制御はステップ400へ進み、否定判別が行われたときには制御はステップ600へ進む。
ステップ400に於いては図5に示されたフローチャートに従って上記式69により表される補正後の目標舵角δattに対応する前輪の目標舵角δattaが演算される。
ステップ600に於いては前輪の舵角が推定されると共に、前輪の舵角が目標舵角δattaになよう舵角可変装置14がフィードバック式に制御される。
尚この場合、前輪の舵角の変化が急激にならないよう、前輪の舵角は予め設定された制限値以下の変化率にて修正後の目標舵角δattaへ変化される。このことは後述の他の実施形態に於いても同様である。
ステップ700に於いては上記式86に従って補正後の検出操舵トルクThdaが演算され、補正後の検出操舵トルクThdaに基づき図8に示されたグラフに対応するマップより基本アシストトルクTpabが演算される。また車速Vに基づき図9に示されたグラフに対応するマップより車速係数Kvが演算され、車速係数Kvと基本アシストトルクTpabとの積が操舵負担軽減トルクTpadとして演算される。そして上記式85に従って操舵トルクの変動量ΔThatが演算され、目標アシストトルクTpatが運転者の操舵負担軽減トルクTpadと操舵トルクの変動量ΔThatとの和に演算される。更にアシストトルクが目標アシストトルクTpatになるよう電動式パワーステアリング装置22が制御される。
ステップ800に於いては軌跡制御が実行されないときのステアリングギヤ比の制御が行われる。即ち車速Vに基づいて図7に示されたグラフに対応するマップより目標ステアリングギヤ比Ntが演算される。尚図7に於いて、N0は標準のステアリングギヤ比、即ちアッパステアリングシャフト28に対するロアステアリングシャフト30の相対回転角度が0であるときのステアリングギヤ比を示している。
また操舵角θとギヤ比係数Ks(左右前輪の舵角の変化量に対するピニオン34の回転角度の比に対応する正の定数)との積を目標ステアリングギヤ比Ntにて除算した値が目標ピニオン角θptとして演算される。更に目標ピニオン角θptと操舵角θとの偏差として舵角可変装置14の目標相対回転角度θretが演算され、舵角可変装置14の相対回転角度θreが目標相対回転角度θretになるよう舵角可変装置14が制御される。
尚軌跡制御が終了し、ステップ800によるステアリングギヤ比の制御へ移行するときには、前輪の舵角の急激な変化を防止すべく目標ステアリングギヤ比Ntへのステアリングギヤ比の変化が急激にならないよう舵角可変装置14が制御される。このことは後述の他の実施形態に於いても同様である。
ステップ850に於いては軌跡制御が実行されないときのアシストトルクの制御が行われる。即ち検出された操舵トルクThdに基づき図8に示されたグラフに対応するマップより基本アシストトルクTpabが演算され、車速Vに基づき図9に示されたグラフに対応するマップより車速係数Kvが演算される。また車速係数Kvと基本アシストトルクTpabとの積として目標アシストトルクTpatが演算され、アシストトルクが目標アシストトルクTpatになるよう電動式パワーステアリング装置22が制御される。
尚目標アシストトルクTpatは操舵トルクThd及び車速Vに基づき図10に示されたグラフに対応するマップより演算されてもよい。
次に図3に示されたフローチャートを参照して上記ステップ200に於いて実行される軌跡制御の開始条件の成立判定ルーチンについて詳細に説明する。
まずステップ205に於いては操舵角θがローパスフィルタ処理されることによりローパスフィルタ処理後の操舵角θlfが演算される。そしてローパスフィルタ処理後の操舵角θlfの絶対値が制御開始判定の基準値θs0(正の値)よりも大きいか否かの判別が行われる。否定判別が行われたときには制御はステップ240へ進み、肯定判別が行われたときには制御はステップ210へ進む。
ステップ210に於いては操舵角θの微分値として操舵角速度θdが演算されると共に、操舵角速度θdがローパスフィルタ処理されることによりローパスフィルタ処理後の操舵角速度θdlfが演算される。
ステップ215に於いてはローパスフィルタ処理後の操舵角速度θdlfの絶対値が制御開始判定の第一の基準値θds1(正の値)よりも大きいか否かの判別が行われる。否定判別が行われたときには制御はステップ225へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ220に於いてフラグFsが開始条件の判定中であることを示すよう1にセットされた後制御はステップ225へ進む。
ステップ225に於いてはフラグFsが1であるか否かの判別、即ち開始条件の判定中であるか否かの判別が行われる。そして否定判別が行われたときには制御はステップ240へ進み、肯定判別が行われたときには制御はステップ230へ進む。
ステップ230に於いてはローパスフィルタ処理後の操舵角速度θdlfの絶対値が制御開始判定の第二の基準値θds2(θds1以下の正の値)よりも小さいか否かの判別が行われる。そして否定判別が行われたときには制御はステップ240へ進み、肯定判別が行われたときには制御はステップ235へ進む。
ステップ235に於いてはフラグFsが開始条件の判定が行われていないことを示すよう0にリセットされると共に、フラグFcが軌跡制御の実行中であることを示すよう1にセットされ、しかる後制御はステップ400へ進む。
ステップ240に於いてはフラグFsが開始条件の判定が行われていないことを示すよう0にリセットされると共に、フラグFcが軌跡制御が行われていないことを示すよう0にリセットされ、しかる後制御はステップ800へ進む。
尚基準値θs0、θds1、θds2は定数であってもよいが、これらの基準値も例えば車速Vが高いほど小さくなるよう車速Vに応じて可変設定されてもよい。
図4に示された軌跡制御の更新条件の成立判定ルーチンのステップ305〜340は基本的には上述の軌跡制御の開始条件の成立判定ルーチンのステップ205〜240とそれぞれ同様に実行される。
但しステップ305に於ける判定の基準値は制御更新判定の基準値θr0(正の値)である。ステップ315に於ける判定の基準値は制御更新判定の第一の基準値θdr1(正の値)であり、ステップ330に於ける判定の基準値は制御更新判定の第二の基準値θdr2(θdr1以下の正の値)である。尚基準値θr0、θdr1、θdr2は定数であってもよいが、これらの基準値も例えば車速Vが高いほど小さくなるよう車速Vに応じて可変設定されてもよい。
またステップ320、325、335、340に於いては、フラグFsは更新判定が行われているか否かを示すフラグFrに置き換えられている。更にステップ335が完了すると制御はステップ600へ進み、ステップ340が完了すると制御はステップ400へ進む。
次に図5に示されたフローチャートを参照して上記ステップ400に於いて実行される前輪の目標舵角の演算ルーチンについて詳細に説明する。
まずステップ405に於いては軌跡制御のための初回の舵角制御であるか否かの判別、即ち軌跡制御が開始又は更新された直後の舵角制御であるか否かの判別が行われる。そして否定判別が行われたときには制御はステップ420へ進み、肯定判別が行われたときには制御はステップ410へ進む。
ステップ410に於いては軌跡制御が開始又は更新されるときの操舵角θ及び相対回転角度θreに基づいて前輪の舵角δが求められる。そして車両の軌跡を円弧状の目標軌跡にするための目標舵角δat(=δ′)と前輪の舵角δとの偏差として前輪の舵角の偏差Δδatが演算される。
ステップ415に於いては運転者により操舵操作が行われないと仮定して前輪の舵角を予め設定された制限値以下の変化率にて目標舵角δatへ変化させるために必要なサイクル毎の舵角制御量Δδatcが演算される。例えばNcサイクルかけて前輪の舵角を目標舵角δatへ変化させるとすると、舵角制御量ΔδatcはΔδat/Ncである。
ステップ420に於いては運転者により操舵操作が行われているか否かの判別が行われる。そして肯定判別が行われたときには制御はステップ455へ進み、否定判別が行われたときには制御はステップ425へ進む。
ステップ425に於いては運転者により操舵操作が行われておらずステアリングギヤ比Nに対する補正は不要であるので、補正係数Kgが1に設定される。
ステップ430に於いては軌跡制御が開始又は更新されてからNcサイクルが経過したか否かの判別が行われる。そして肯定判別が行われたときには制御はステップ445へ進み、否定判別が行われたときには制御はステップ435へ進む。
ステップ435に於いてはステップ440に於ける前輪の目標舵角δattaの演算に使用される経過サイクル数nが1インクリメントされる。
ステップ440に於いては軌跡制御が開始又は更新されるときの前輪の舵角δをδ0(=θ0/N)として、上記式65に対応する下記の式91に従って前輪の目標舵角δattaが演算される。
δatta=δ0+(n−1)*Δδatc+(θ−θ0)/N
=(n−1)*Δδatc+θ0/N ……(91)
ステップ445に於いては経過サイクル数nが0にリセットされ、ステップ450に於いては上記式65に対応する下記の式92に従って前輪の目標舵角δattaが演算される。
δatta=δ′+(θ−θ0)/N
=(2WB/V)*θ0/N+(θ−θ0)/N ……(92)
ステップ455に於いては操舵角θの微分値として操舵角速度θdが演算されると共に、運転者の操舵操作による前輪の転舵方向及び車両の軌跡制御による前輪の転舵方向が同一のであるか否かが判定される。そして操舵角速度θdの絶対値、車速V及び転舵方向の判定結果に基づき図6に示されたグラフに対応するマップより補正係数Kgが演算される。
この場合補正係数Kgは転舵方向が逆であるときには1よりも小さくされ、逆に転舵方向が同一であるときには1よりも大きくされる。また補正係数Kgが1より増減される度合は操舵角速度θdの絶対値が大きいほど大きく、車速Vが高いほど小さい。
尚図6に於いて細い二点鎖線にて示されている如く、補正係数Kgは運転者により操舵操作が行われているときには、操舵角速度θdの絶対値が非常に小さい値であっても1以外の値になるよう演算されてもよい。
ステップ460に於いてはステップ430と同様に軌跡制御が開始又は更新されてからNcサイクルが経過したか否かの判別が行われる。そして肯定判別が行われたときには制御はステップ445へ進み、否定判別が行われたときには制御はステップ465へ進む。
ステップ465に於いてはステップ470に於ける前輪の目標舵角δattaの演算に使用される経過サイクル数nが1インクリメントされる。
ステップ470に於いては上記式69に対応する下記の式93に従って前輪の目標舵角δattaが演算される。
δatta=δ0+(n−1)*Δδatc+(θ−θ0)/(Kg*N) ……(93)
この第一の実施形態に於いて、軌跡制御が実行されていない状況に於いて軌跡制御の開始条件が成立すると、ステップ50に於いて否定判別が行われ、ステップ200に於いて肯定判別が行われる。そしてステップ400に於いて車両を円弧状の目標軌跡に沿って走行させるための前輪の目標舵角δattaが演算され、ステップ600に於いて前輪の舵角がフィードバック制御によって目標舵角δattaに制御される。
また軌跡制御が実行されている状況に於いて軌跡制御の更新条件が成立すると、ステップ50及び300に於いて肯定判別が行われる。そしてステップ400及び600が実行される。
従って第一の実施形態によれば、軌跡制御が実行されるべき状況に於いては、前輪の舵角を目標舵角δattaに制御し、これにより運転者の操舵操作を要することなく車両が円弧状の目標軌跡に沿って走行するよう車両の走行軌跡を制御することができる。
また第一の実施形態によれば、目標舵角δattaは運転者の操舵操作による前輪の舵角の変化分(θ−θ0)/N又は(θ−θ0)/(Kg*N)を含んでいる。従って基準時点以降に運転者により操舵操作が行われても、前輪の舵角に運転者の操舵操作による舵角の変化を反映させることができ、これにより車両の軌跡制御に運転者の操舵意思を反映させることができる。
特に第一の実施形態によれば、軌跡制御が開始又は更新されると、Ncサイクルが経過し、ステップ460に於いて肯定が行われるまで、軌跡制御のための前輪の舵角の制御が行われる。よって軌跡制御が開始又は更新された後であってNcサイクルが経過するまでの間に運転者により操舵操作が行われると、補正係数Kgが可変設定される。
図5に示されている如く、ステップ420に於いて運転者により操舵操作が行われているか否かの判別が行われ、運転者により操舵操作が行われているときにはステップ455に於いて運転者の操舵操作による前輪の転舵方向及び車両の軌跡制御による前輪の転舵方向が同一のであるか否かが判定される。そして操舵角速度θdの絶対値、車速V及び転舵方向の判定結果に基づき図6に示されたグラフに対応するマップより補正係数Kgが演算される。
この場合運転者の操舵操作による前輪の転舵方向及び車両の軌跡制御による前輪の転舵方向が逆であるときには、補正係数Kgは1よりも小さくされ、これにより実質のステアリングギヤ比Kg*Nが小さくされ、操舵伝達比が大きくされる。逆に二つの転舵方向が同一であるときには、補正係数Kgは1よりも大きくされ、これにより実質のステアリングギヤ比Kg*Nが大きくされ、操舵伝達比が小さくされる。
よって運転者の操舵操作による前輪の転舵方向が軌跡制御のための転舵方向とは逆の方向であるときには、運転者が操舵伝達比が低下したように感じる虞れを低減することができる。逆に運転者の操舵操作による前輪の転舵方向が軌跡制御のための転舵方向と同一の方向であるときには、運転者が操舵伝達比が増大したように感じる虞れを低減することができる。
第二の実施形態
この第二の実施形態は上記表1に示されている如く以下の特徴を有する。
舵角制御装置:セミバイワイヤ式
目標軌跡:指数関数
舵角の制御:フィードバック
操舵反力の制御:アシストトルクの制御(第二の方式)
図11に示されている如く、この第二の実施形態に於ける車両の走行制御は基本的には上述の第一の実施形態と同様に実行される。尚図11に於いて、図2に示されたステップに対応するステップには、図2に於いて付されたステップ番号と同一のステップ番号が付されている。
しかしステップ200又は300に於いて肯定判別が行われると、ステップ500に於いて図12に示されたフローチャートに従って車両を指数関数の軌跡に沿って走行させるための前輪の目標舵角δbttが演算される。そしてこの第二の実施形態のステップ600に於いては、前輪の舵角は車両の軌跡制御の終了条件又は更新条件が成立するまでサイクル毎に前輪の目標舵角δbttを目標としてフィードバック式に制御される。
図12に示されている如く、ステップ505に於いては操舵角θ及び相対回転角度θreに基づいて前輪の舵角δが求められ、前輪の舵角δ及び車速Vに基づいて上記式46に従って距離xが演算される。またステップ505に於いては最小時間ΔT及びウェバー比のkをそれぞれ一般的な運転者について予め設定された正の定数として、上記式42に従って補正係数Dが演算される。
ステップ510に於いては軌跡制御が開始又は更新されるときの前輪の舵角δ及び車速Vに基づいて上記式49に従って車速Vの成分の一つとして距離xに関する座標軸に平行な成分Vxが演算される。
ステップ515に於いては上記式50に従って車速Vの成分の一つとして時間に関する座標軸に平行な成分Vyが演算されると共に、上記式52に従って成分Vxが車速Vに対しなす角度σが演算される。
ステップ520に於いては運転者により操舵操作が行われているか否かの判別が行われる。そして否定判別が行われたときには制御はステップ525へ進み、肯定判別が行われたときには制御はステップ530へ進む。
ステップ525に於いては運転者により操舵操作が行われておらずステアリングギヤ比Nに対する補正は不要であるので、補正係数Kgが1に設定される。
ステップ530に於いては操舵角θの微分値として操舵角速度θdが演算されると共に、運転者の操舵操作による前輪の転舵方向及び車両の軌跡制御による前輪の転舵方向が同一のであるか否かが判定される。そして操舵角速度θdの絶対値、車速V及び転舵方向の判定結果に基づき図6に示されたグラフに対応するマップより補正係数Kgが演算される。
ステップ535に於いては、軌跡制御が開始又は更新されるときの操舵角θ及び車速Vに基づいて上記式72に従って車両が円弧状の軌跡を描いて走行する場合の車両の横加速度LAaが演算される。
ステップ540に於いてはそれぞれ上記式53及び54に従って車両の横方向の成分Vxx及びVyxが演算されると共に、上記式55及び56に従って車両の横加速度LAbが演算される。
ステップ545に於いては車両が指数関数の軌跡を描いて走行する場合の車両の横加速度LAbと車両が円弧状の軌跡を描いて走行する場合の車両の横加速度LAaとの偏差ΔLAが上記式57に従って演算される。
ステップ550に於いては操舵角θ、車速V、補正係数Kg、横加速度の偏差ΔLAに基づいて、指数関数の軌跡を描くよう車両を走行させるための前輪の目標舵角δbttが演算される。この場合目標舵角δbttは、左旋回時には上記式70に従って演算され、右旋回時には上記式71に従って演算される。
この第二の実施形態によれば、軌跡制御が実行されるべき状況に於いては、前輪の舵角を目標舵角δbttに制御し、これにより運転者の操舵操作を要することなく車両が指数関数の目標軌跡に沿って走行するよう車両の走行軌跡を制御することができる。
また第二の実施形態によれば、目標舵角δbttは運転者の操舵操作による前輪の舵角の変化分(θ−θ0)/(Kg*N)を含んでいる。従って基準時点以降に運転者により操舵操作が行われても、前輪の舵角に運転者の操舵操作による舵角の変化を反映させることができ、これにより車両の軌跡制御に運転者の操舵意思を反映させることができる。
またこの第二の実施形態に於いても、運転者の操舵操作による前輪の転舵方向及び車両の軌跡制御による前輪の転舵方向が逆であるときには、補正係数Kgは1よりも小さくされ、逆に二つの転舵方向が同一であるときには、補正係数Kgは1よりも大きくされる。
よって上述の第一の実施形態の場合と同様に、運転者の操舵操作による前輪の転舵方向が軌跡制御のための転舵方向とは逆の方向であるときには、運転者が操舵伝達比が低下したように感じる虞れを低減することができる。逆に運転者の操舵操作による前輪の転舵方向が軌跡制御のための転舵方向と同一の方向であるときには、運転者が操舵伝達比が増大したように感じる虞れを低減することができる。
第三の実施形態
この第三の実施形態は上記表1に示されている如く以下の特徴を有する。
舵角制御装置:バイワイヤ式
目標軌跡:円弧状
舵角の制御:フィードバック
操舵反力の制御:非機械的舵角制御装置の操舵反力の制御
図13はバイワイヤ式のステアリング装置が搭載された車両に適用された本発明による車両の走行制御装置の第三の実施形態を示す概略構成図である。
図13に於いて、符号80は第三の実施形態の走行制御装置を全体的に示している。操舵入力手段としてのステアリングホイール20が運転者によって操舵操作されると、ラック・アンド・ピニオン型のステアリング機構82によりラックバー84及びタイロッド26L及び26Rが駆動され、これにより左右の前輪18FL及び18FRが転舵される。
ステアリングホイール20に連結されたステアリングシャフト86及びステアリング機構82のピニオンシャフト88は相互に連結されていない。ステアリングシャフト86には図13には示されていない減速歯車機構を介して操舵反力トルク付与用の電動機90が連結されている。電動機90は電子制御装置92の操舵反力制御部によって制御され、これによりステアリングホイール20に所要の操舵反力トルクが付与される。ピニオンシャフト88には図13には示されていない減速歯車機構を介して転舵駆動用の電動機94が連結されている。電動機94は電子制御装置92の舵角制御部によって制御され、これによりピニオンシャフト88が回転駆動される。
尚図示の実施形態に於いては、ピニオンシャフト88の回転は回転−直線運動変換機構としてのラック・アンド・ピニオン型のステアリング機構82によりラックバー84の直線運動に変換されるようになっているが、ステアリング機構は当技術分野に於いて公知の任意の構成のものであってよい。
かくしてステアリングホイール20、ステアリング機構82、電動機90、94等は、運転者の操舵操作に応じて左右の前輪18FL及び18FRを転舵すると共に、必要に応じて運転者の操舵操作に依存せずに左右の前輪の舵角を修正するバイワイヤ式の操舵装置96を構成している。
ステアリングシャフト86には操舵角θを検出する操舵角センサ50が設けられており、操舵角センサ50により検出された操舵角θを示す信号は電子制御装置92へ入力される。電子制御装置92には車速センサ56により検出された車速Vを示す信号及び回転角度センサ98により検出されたピニオンシャフト88の回転角度θpを示す信号も入力される。
尚電子制御装置92の各制御部はそれぞれCPUとROMとRAMと入出力ポート装置とを有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続されたマイクロコンピュータを含むものであってよい。また操舵角センサ50及び回転角度センサ98はそれぞれ車両の左旋回方向への操舵の場合を正として操舵角θ及び回転角度θpを検出する。
後に詳細に説明する如く、電子制御装置92は図14に示されたフローチャートに従って操舵装置96の電動機90及び94を制御する。特に電子制御装置92も操舵角θ及び車速Vに基づき車両の軌跡制御の必要性を判定する。そして電子制御装置92は、軌跡制御が不要であると判定したときには、車速Vが高いほど大きくなるよう、車速Vに基づき所定の操舵特性を達成するための目標ステアリングギヤ比Ntを演算する。更に電子制御装置92はステアリングギヤ比が目標ステアリングギヤ比Ntになるよう操舵装置96の電動機94を制御する。
また電子制御装置92は、軌跡制御が必要であると判定したときには、操舵角θ及び車速Vに基づき車両を円弧状の目標軌跡に沿って走行させるための前輪の目標舵角δattaを上記式91乃至93の何れかに従って演算する。そして電子制御装置92は、左右前輪の舵角が目標舵角δattaになるよう操舵装置96の電動機94を制御する。
また電子制御装置92は、軌跡制御が実行されているか否かに関係なく、上記式83に従って補正後の検出操舵トルクTh0を演算すると共に、補正後の検出操舵トルクTh0及び車速Vに基づいて操舵負担軽減トルクTpadを演算する。そして電子制御装置92は、上記式90に従って目標操舵トルクThbtを演算し、操舵トルクが目標操舵トルクThbtになるよう操舵装置96の電動機90を制御する。
従って第三の実施形態によれば、軌跡制御が実行されるべき状況に於いては、上述の第一の実施形態の場合と同様に前輪の舵角を目標舵角δattaに制御し、これにより運転者の操舵操作を要することなく車両を円弧状の目標軌跡に沿って走行させることができる。また基準時点以降に運転者により操舵操作が行われても、前輪の舵角に運転者の操舵操作による舵角の変化を反映させることができ、これにより車両の軌跡制御に運転者の操舵意思を反映させることができる。
特に第三の実施形態によれば、上述の第一の実施形態の場合と同様に、軌跡制御が開始又は更新されると、Ncサイクルが経過し、ステップ460に於いて肯定が行われるまで、軌跡制御のための前輪の舵角の制御が行われる。よって軌跡制御が開始又は更新された後であってNcサイクルが経過するまでの間に運転者により操舵操作が行われると、補正係数Kgが第一の実施形態の場合と同様に可変設定される。
従って運転者の操舵操作による前輪の転舵方向が軌跡制御のための転舵方向とは逆の方向であるときには、運転者が操舵伝達比が低下したように感じる虞れを低減することができる。逆に運転者の操舵操作による前輪の転舵方向が軌跡制御のための転舵方向と同一の方向であるときには、運転者が操舵伝達比が増大したように感じる虞れを低減することができる。
第四の実施形態
この第四の実施形態は上記表1に示されている如く以下の特徴を有する。
舵角制御装置:バイワイヤ式
目標軌跡:指数関数
舵角の制御:フィードバック
操舵反力の制御:非機械的舵角制御装置の操舵反力の制御
図17に示されている如く、この第四の実施形態に於ける車両の走行制御は基本的には上述の第二の実施形態と同様に実行される。よってステップ400に於いて車両を指数関数の軌跡に沿って走行させるための前輪の目標舵角δbttが図12に示されたフローチャートに従って演算される。またステップ600に於いては、前輪の舵角はサイクル毎に前輪の目標舵角δbttを目標としてフィードバック式に制御される。
従って第四の実施形態によれば、上述の第二の実施形態の場合と同様に、軌跡制御が実行されるべき状況に於いては、前輪の舵角を目標舵角δbttに制御し、これにより運転者の操舵操作を要することなく車両が指数関数の目標軌跡に沿って走行するよう車両の走行軌跡を制御することができる。また基準時点以降に運転者により操舵操作が行われても、前輪の舵角に運転者の操舵操作による舵角の変化を反映させることができ、これにより車両の軌跡制御に運転者の操舵意思を反映させることができる。
また第四の実施形態によれば、上述の第二の実施形態の場合と同様に、一旦軌跡制御が開始されると、軌跡制御の終了条件又は更新条件が成立するまで、補正係数Kgが第一の実施形態の場合と同様に可変設定される。
従ってこの第四の実施形態に於いても、運転者の操舵操作による前輪の転舵方向が軌跡制御のための転舵方向とは逆の方向であるときには、運転者が操舵伝達比が低下したように感じる虞れを低減することができる。逆に運転者の操舵操作による前輪の転舵方向が軌跡制御のための転舵方向と同一の方向であるときには、運転者が操舵伝達比が増大したように感じる虞れを低減することができる。
尚上述の第三及び第四の実施形態に於いては、上述の第一及び第二の実施形態に於けるステップ700及び850に対応するステップ900に於いて、運転者が操舵反力として感じる操舵トルクの制御が行われる。まず操舵角θに基づいて上記式83に従って補正後の検出操舵トルクTh0が演算される。また補正後の検出操舵トルクTh0に基づいて図15に示されたグラフに対応するマップより基本操舵負担軽減トルクTpadbが演算され、車速Vに基づいて図9に示されたグラフに対応するマップより車速係数Kvが演算される。そして操舵負担軽減トルクTpadが基本操舵負担軽減トルクTpadbと車速係数Kvとの積に演算される。尚操舵負担軽減トルクTpadは図16に示されたグラフに対応するマップより演算されてもよい。
更に補正後の検出操舵トルクTh0及び操舵負担軽減トルクTpadに基づき上記式90に従って目標操舵トルクThbtが演算され、操舵トルクが目標操舵トルクThbtになるよう操舵装置96の電動機90が制御される。
従って運転者に適度の操舵負担を与えることができるだけでなく、軌跡制御に伴う前輪の舵角の制御に起因する操舵トルクの変動を防止し、軌跡制御に起因して運転者が操舵トルクに違和感を覚えることを効果的に防止することができる。
以上の説明より、上述の各実施形態によれば、車両の目標軌跡や実軌跡を求めるための車外情報の取得を要することなく、車両を運転者が希望する軌跡に沿って走行させることができることが理解されよう。
また上述の各実施形態によれば、補正係数Kgが1より増減される度合は操舵角速度θdの絶対値が大きいほど大きい。従って運転者による操舵操作の速度が高いほど操舵伝達比の修正度合を高くすることができ。よって補正係数Kgが1より増減される度合が操舵角速度に関係なく一定である場合に比して、運転者が操舵伝達比が変化したように感じる虞れを好ましく低減することができる。
また上述の各実施形態によれば、補正係数Kgが1より増減される度合は車速Vが高いほど小さい。従って車速Vが高いほど操舵伝達比の修正度合を低くすることができる。よって補正係数Kgが1より増減される度合が車速Vに関係なく一定である場合に比して、運転者が操舵伝達比が変化したように感じる虞れを好ましく低減することができる。特に低車速域に於いて運転者が操舵伝達比の変化に起因して違和感を覚える虞れを効果的に低減しつつ、高車速域に於いて操舵操作が容易になりすぎる状況になることを効果的に防止することができる。
また上述の第一及び第三の実施形態によれば、目標軌跡は円弧状の軌跡であるので、目標軌跡が指数関数の軌跡である場合に比して、必要な演算量を少なくし、車両の軌跡を容易に制御することができる。
また上述の第二及び第四の実施形態によれば、目標軌跡は指数関数の軌跡であるので、目標軌跡が円弧状の軌跡である場合に比して、車両の軌跡を車両の乗員にとって一層好ましい軌跡に制御することができる。特にこれらの実施形態によれば、距離xが上記式40に従って変化するよう指数関数の目標軌跡が設定される。よって目標軌跡が円弧状の軌跡である場合に比して、人の知覚特性にとって好ましい軌跡を達成することができる。
以上に於いては本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
例えば案内棒は前輪の前後方向に沿って延在するものとされているが、車両の前後方向に対する案内棒の傾斜角は運転者の操舵操作量に基づいて設定される限り、前輪の前後方向に沿う方向とは異なる方向であってもよい。例えば案内棒の傾斜角は前輪の舵角δと方向の補正係数Kdとの積に設定されてもよい。
また各実施形態に於いては、補正係数Kgの演算に際し操舵方向は考慮されないようになっているが、操舵方向に応じて補正係数Kgが可変設定されてもよい。例えば操舵操作の方向が車両の直進位置より遠ざかる方向であるときには操舵操作の方向が車両の直進位置に近づく方向であるときに比して車輪のセルフアライニングトルクに起因する操舵反力が高くなる。操舵反力はパワーアシスト制御によって軽減されるが、特に操舵開始時には操舵反力に起因する操舵のし易さが操舵方向によって大きく異なる。
よって補正係数Kgの変化の大きさは、操舵操作の方向が車両の直進位置より遠ざかる方向であるときには操舵操作の方向が車両の直進位置に近づく方向であるときに比して大きくなるよう、操舵操作の方向に応じて可変設定されるよう修正されてもよい。
また各実施形態に於いては、車両の走行制御は前輪の舵角の制御と操舵トルクの制御とを含んでいるが、操舵トルクの制御は任意の要領にて実行されてよい。例えば上述の第一及び第二の実施形態に於いては、操舵反力の制御は上記第二の方式により制御されるようになっているが、上記第一の方式により制御されるよう修正されてもよい。
また各実施形態に於いては、前輪の舵角はフィードバック式に制御されるようになっているが、前輪の舵角はフィードフォワード式に制御されてもよい。また前輪の舵角はそれぞれゲインが乗算されたフィードバック制御量とフィードフォワード制御量との和に基づいて制御されるよう修正されてもよい。
特に第一及び第二の実施形態に於いては、アッパステアリングシャフト28に対し相対的にロアステアリングシャフト30が回転されなくても、ステアリングホイール20が回転されると前輪が転舵される。上述の如くアッパステアリングシャフト28に対し相対的にロアステアリングシャフト30が回転されない場合に於けるステアリングギヤ比をN0として、下記の式93により表される。
Δδ00=(θ−θ0)/N0 ……(93)
よって一及び第二の実施形態に於いて前輪の舵角がフィードフォワード式に制御される場合には、上記式91乃至93よりΔδ00が減算された値が前輪の目標舵角δattaとされ、上記式70及び71よりΔδ00が減算された値が前輪の目標舵角δbttとされてよい。
また上述の第一及び第三の実施形態に於いては、サイクル毎の舵角の制御量が同一の値に設定されるようになっているが、舵角の制御量はサイクル毎に異なる値に設定されるよう修正されてもよい。
10…走行制御装置、14…舵角可変装置、20…ステアリングホイール、22…電動式パワーステアリング装置、50…操舵角センサ、52…操舵トルクセンサ、54…回転角度センサ、56…車速センサ、80…走行制御装置、82…ステアリング機構、90、94…電動機、100…前輪、102…後輪、104…車両、108…目標進路、110…案内棒

Claims (15)

  1. 運転者の操舵操作量に対する操舵輪の舵角の関係を変更する舵角制御手段を備えた車両の走行制御装置であって、予め設定された手順に従って車両の軌跡の制御を開始又は更新すべきと判定したときにはその時点に於ける運転者の操舵操作量及び車速に基づいて車両が目標進行方向にて目標到達位置に到達するに必要な目標軌跡に沿って車両を走行させるための操舵輪の目標舵角を演算し、前記目標舵角に基づいて前記舵角制御手段により操舵輪の舵角を制御すると共に、前記時点以降の運転者の操舵操作による操舵輪の舵角の変化方向が前記目標舵角に基づく操舵輪の舵角の変化方向とは逆の方向であるときには、操舵伝達比を大きくすることを特徴とする車両の走行制御装置。
  2. 前記時点以降の運転者の操舵操作による操舵輪の舵角の変化方向が前記目標舵角に基づく操舵輪の舵角の変化方向と同一の方向であるときには、操舵伝達比を小さくすることを特徴とする請求項1に記載の車両の走行制御装置。
  3. 前記操舵伝達比の変化の大きさは、操舵操作の変化率の大きさが大きいときには操舵操作の変化率の大きさが小さいときに比して大きくなるよう、操舵操作の変化率の大きさに応じて可変設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の走行制御装置。
  4. 前記操舵伝達比の変化の大きさは、車速が高いときには車速が低いときに比して小さくなるよう、車速に応じて可変設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の走行制御装置。
  5. 前記目標軌跡は、前記目標進行方向を示す直線を時間の座標軸とし、前記時点に於ける車両の位置より前記時間の座標軸に下した垂線を距離の座標軸とする仮想の直交座標に於いて、前記時点からの経過時間を指数の変数とする指数関数の曲線であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一つに記載の車両の走行制御装置。
  6. 前記目標軌跡は、前記時点に於ける車両の位置に於いて前記時点に於ける車両の前後方向を示す直線に接し且つ前記目標到達位置に於いて前記目標進行方向を示す直線に接する円弧状の曲線であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一つに記載の車両の走行制御装置。
  7. 前記目標到達位置は前記時点に於ける運転者の操舵操作量及び車速に基づいて決定され、前記目標進行方向は前記時点に於ける運転者の操舵操作量に基づいて決定されることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一つに記載の車両の走行制御装置。
  8. 前記時点に於ける運転者の操舵操作量に基づいて決定される角度を基準角度として、前記目標到達位置は前記時点に於ける車両の位置より車両の前後方向に対し前記基準角度傾斜した方向に引いた直線上に位置し、前記時点に於ける車両の位置から前記目標到達位置までの距離は車速に依存する値であることを特徴とする請求項7に記載の車両の走行制御装置。
  9. 前記時点に於ける車両の位置と前記目標到達位置とを結ぶ直線を方向の基準線として、前記目標進行方向は前記目標到達位置に於いて前記方向の基準線に対し前記基準角度傾斜した方向に決定されることを特徴とする請求項8に記載の車両の走行制御装置。
  10. 前記軌跡の制御を行っていない状況に於いて、運転者の操舵操作量の変化率の大きさが制御開始判定の第一の基準値よりも大きくなった後に運転者の操舵操作量の変化率の大きさが制御開始判定の第二の基準値よりも小さくなったときに前記軌跡の制御を開始すべきと判定することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一つに記載の車両の走行制御装置。
  11. 前記軌跡の制御を行っている状況に於いて、運転者の操舵操作量の変化率の大きさが制御更新判定の第一の基準値よりも大きくなった後に運転者の操舵操作量の変化率の大きさが制御更新判定の第二の基準値よりも小さくなったときに前記軌跡の制御を更新すべきと判定することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一つに記載の車両の走行制御装置。
  12. 前記時点に於ける車両から前記時間の座標軸までの距離を基準距離として、前記基準距離と前記時点からの経過時間を指数の変数とする自然指数関数との積として目標距離が求められ、前記目標軌跡は前記時間の座標軸から前記目標距離の位置を結ぶ線として求められることを特徴とする請求項5に記載の車両の走行制御装置。
  13. 操舵操作の必要性に関連する車外の視覚情報の変化が発生してから人が当該視覚情報の変化を知覚するまでに要する一般的な時間をΔTとし、ウェバー比を−kとし、前記時点からの経過時間をtとして、前記自然指数関数の指数は−(k/ΔT)tであることを特徴とする請求項12に記載の車両の走行制御装置。
  14. 前記舵角制御手段は、運転者により操作される操舵入力手段に対し相対的に操舵輪を駆動することにより操舵輪の舵角を修正する舵角可変手段と、前記舵角可変手段を制御する制御手段とを有するセミバイワイヤ式の舵角制御手段であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一つに記載の車両の走行制御装置。
  15. 前記舵角制御手段は、操舵輪の舵角を変化させる転舵手段と、前記操舵入力手段に対する運転者の操舵操作量を検出する手段と、通常時には運転者の操舵操作量に基づいて前記転舵手段を制御し、必要に応じて運転者の操舵操作に依存せずに前記転舵手段を制御する制御手段とを有するバイワイヤ式の舵角制御手段であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一つに記載の車両の走行制御装置。
JP2010193512A 2010-08-31 2010-08-31 車両の走行制御装置 Pending JP2012051402A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010193512A JP2012051402A (ja) 2010-08-31 2010-08-31 車両の走行制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010193512A JP2012051402A (ja) 2010-08-31 2010-08-31 車両の走行制御装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2012051402A true JP2012051402A (ja) 2012-03-15

Family

ID=45905278

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010193512A Pending JP2012051402A (ja) 2010-08-31 2010-08-31 車両の走行制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2012051402A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115335275A (zh) * 2020-03-25 2022-11-11 株式会社电装 转向操纵控制装置、转向操纵控制方法、转向操纵控制程序
CN115447660A (zh) * 2021-06-09 2022-12-09 丰田自动车株式会社 车辆操舵控制装置

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115335275A (zh) * 2020-03-25 2022-11-11 株式会社电装 转向操纵控制装置、转向操纵控制方法、转向操纵控制程序
CN115335275B (zh) * 2020-03-25 2024-03-01 株式会社电装 转向操纵控制装置、转向操纵控制方法、存储装置
CN115447660A (zh) * 2021-06-09 2022-12-09 丰田自动车株式会社 车辆操舵控制装置
CN115447660B (zh) * 2021-06-09 2023-12-29 丰田自动车株式会社 车辆操舵控制装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5429062B2 (ja) 車両の走行制御装置
JP5516146B2 (ja) 車両の走行制御装置
JP6652045B2 (ja) 自動運転車両
CN107640213B (zh) 车辆用驾驶支援装置
US8738230B2 (en) Steering control apparatus for vehicle
CN105980238B (zh) 车辆转向控制装置
JP6380366B2 (ja) 車両用操舵支援装置
JP4280682B2 (ja) 車両の操舵装置
JP5983759B2 (ja) 車両の走行制御装置
JP7303153B2 (ja) 車両用運転支援装置
JP2007296947A (ja) 車両の操舵装置
JP2018047827A (ja) 操舵制御装置
JP5393495B2 (ja) 操舵装置
JP4372577B2 (ja) 車両の操舵装置
JP4692403B2 (ja) 車両の操舵装置
JP2012051402A (ja) 車両の走行制御装置
JP5434826B2 (ja) 車両の走行制御装置
JPH0230913B2 (ja)
JP2014144745A (ja) 車両の走行制御装置
JP5434838B2 (ja) 車両の走行制御装置
JP4231423B2 (ja) 車両の操舵装置
JP5434842B2 (ja) 車両の走行制御装置
JP2016101869A (ja) パワーステアリング制御装置
JP4799272B2 (ja) 車両の操舵装置
CN115583241A (zh) 车辆用操舵引导转矩控制装置