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JP2011514171A - 硬化剤の持続放出のための方法およびシステム - Google Patents

硬化剤の持続放出のための方法およびシステム Download PDF

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JP2011514171A JP2010531608A JP2010531608A JP2011514171A JP 2011514171 A JP2011514171 A JP 2011514171A JP 2010531608 A JP2010531608 A JP 2010531608A JP 2010531608 A JP2010531608 A JP 2010531608A JP 2011514171 A JP2011514171 A JP 2011514171A
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Abstract

低用量の硬化剤をある期間にわたって提供する工程を含む、胸膜疾患を治療するための方法およびシステムを提供する。ある特定の例は、胸膜腔に挿入される、硬化剤を備えたカテーテルを含む。胸膜層の広範な胸膜癒着術を実現するために、硬化剤はある期間にわたって持続放出様式で放出される。

Description

関連出願
本出願は、3007年10月30日に出願された米国仮特許出願第60/983,739号の優先権を主張し、その全ての内容は参照により本明細書に組み入れられる。
発明の分野
本開示は全体として、胸膜疾患を治療するための方法およびシステムに関する。より具体的には、本開示は、胸膜層の広範な胸膜癒着術を実現するために、低用量の硬化剤をある期間にわたって提供する工程を含む、胸膜疾患を治療するための方法およびシステムに関する。更により具体的には、本開示は、硬化剤で被覆されたカテーテルに関し、このカテーテルは、ドレナージを提供し、硬化剤を持続放出することによって胸膜層の胸膜癒着術を実現する。
背景情報
胸膜疾患は、侵襲的または外科的な性質であることが多い高価な入院治療をしばしば要する、頻度の高い医学的課題である。胸膜疾患の非限定的な例としては、胸水および気胸が挙げられる。胸水は肺の周囲への液体の蓄積であり、気胸(PTX)は胸膜腔に空気が入ることによる肺の虚脱である。
胸水は、癌、結核、鬱血性心不全、肺炎、肺塞栓、腹水を伴う肝硬変、膵炎、または膠原血管病などの、様々なよく見られる病状によって引き起こされうる。液体の量が多いと肺が圧縮され、患者は息切れおよび咳をする。これらの滲出は治療が難しいことが多く、息切れが再発するほか、多くの治療のために頻繁に通院する結果にもなる。胸水、特に悪性胸水の治療および管理のためには、考慮すべき多くの異なる要素がある。American Thoracic Society, Management of Malignant Pleural Effusions, 162 AM. J. OF RESPIRATORY AND CRITICAL CARE 1987-2001 (2000、参照により本明細書に組み入れられる)(非特許文献1)を参照されたい。
胸水に起因する負担および苦痛、ならびにそれを患う患者集団の性質を考慮して、好ましい治療法は、迅速かつ長期的な症状の緩和を提供し、入院を回避し、大多数の患者に適用可能であり、副作用は最小限に抑え、不快な処置の繰り返しを避けるべきである。
症候性悪性胸水(MPE)の患者への通常のアプローチは、胸膜穿刺(胸腔穿刺)を繰り返し実行すること、あるいは肋間カテーテルを配置することによってか、または手術用胸腔鏡によって、タルクもしくはテトラサイクリンなどの硬化剤を用いた胸膜癒着術を試みること、およびタルクもしくはテトラサイクリンなどの硬化剤を用いた胸膜癒着術を試みることである。第一のアプローチは、資源集約的で(医師または超音波科への複数回の通院を要する)、痛みを伴い、症状の緩和には部分的かつ一時的にしか有効でない。第二のアプローチは、入院する必要があり、全身麻酔を必要とする場合がある。また、胸腔チューブ留置術を受ける患者の部位に施術することしかできず、著しい痛みを伴う可能性があり、深刻な肺合併症と関連づけられている。
より新しい通院処置であるPleurxは、Denver Biomed, Inc.(現在はCardinal Healthの一部門)によって開発され、胸膜腔内に挿入される長期留置用カテーテルを使用する。平均およそ8〜12週間のドレナージの後で胸膜癒着を実現する患者もいるものの、残念ながら、大多数の患者は一生カテーテルを使用してドレナージを続ける必要がある。この長期間のドレナージは、生活の質、(感染による)合併症発生率、消耗品の費用、および栄養状態に影響する可能性がある。
原発性自然気胸(PSP)は、既存肺疾患のない患者の気胸である。続発性自然気胸(SSP)は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫、または肺繊維症などの様々な肺疾患を持つ患者に発生する気胸である。気胸症例の大多数は、単純な胸腔チューブによるドレナージで治療することができる。気胸を患う患者は将来再発する危険性が高いが、現在受けることができる予防的治療の侵襲的性質を鑑みて、患者が肺虚脱を二度以上経験するまでは、その危険性を減少させることを目的とする治療はあまり提供されない。
深刻な心不全の患者は再発性胸水を発症する可能性があり、これは彼らの看護を複雑にし、呼吸をさらに困難にする。これらの滲出の有効で安全な局所的治療が存在しないことを考えると、心機能の最適化しか、この問題を解決することができない。残念ながら、液体蓄積の再発は頻繁に起こる。
気胸または非悪性胸水の長期的制御を実現するための、安全で侵襲性が最小限に抑えられている有効な方法が、これらの患者にとって大きな利益となるであろう。
American Thoracic Society, Management of Malignant Pleural Effusions, 162 AM. J. OF RESPIRATORY AND CRITICAL CARE 1987-2001, 2000
概要
既存の治療の選択肢の関連問題を最小限に抑えながら、胸膜疾患の治療を提供する方法およびシステムが望まれている。本開示の態様は、胸膜層の胸膜癒着術を実現するために、ある期間にわたって低用量の硬化剤を提供することによって、胸膜疾患を治療する方法およびシステムを含む。具体的な例示的態様は、硬化剤の持続放出によって胸膜層の胸膜癒着術を実現する、硬化剤で被覆されたカテーテルを含む。ある期間にわたって硬化剤を提供することにより、一度に大量の投与をするよりも、マイナスの副作用(患者の不快症状など)が軽減されるはずである。持続放出硬化剤を備えるカテーテルの使用はまた、迅速かつ長期的な症状の緩和を提供し、入院を回避し、多くの患者に適用可能であり、副作用を最小限に抑え、不快な処置の繰り返しを避けることができる。
本開示の例示的な態様は、胸水を含む胸膜疾患を治療する方法およびシステムを含む。例示的な態様は、胸膜層の胸膜癒着術を実現するために、ある期間にわたって低用量レベルの硬化剤を提供する段階を含み、それによって気胸または胸水が再形成される可能性を減少させることができる。用量レベルは、胸膜癒着術を実現するために硬化剤を一度に投与することに通常関連するマイナスの副作用を最小限に抑えるまたは減少させるのに十分な、低いレベルで選択することができる。用量レベルは、一度の投与で治療的に有効であると信じられている最小量を下回るレベルで選択することができる。それでも、繰り返し(または持続放出の)投与によって胸膜癒着術は実現可能である。
特定の例は、胸膜腔内に挿入される、硬化剤を備えたカテーテルを含む。硬化剤は、胸膜層の全体的なまたは広範な胸膜癒着を実現するために、ある期間にわたる持続放出の様式で放出することができる。特定の態様において、硬化剤の大部分(例えば、カテーテルの表面または内部に含有される硬化剤の総量の50%を超える量)を、定常状態速度で12、24、36、48、60、または72時間かけて放出することができる。特定の態様において、硬化剤の大部分は、3日から15日の期間にわたって放出することができる。具体的な態様において、硬化剤は、硬化剤のおよそ10%が2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、または36時間ごとに放出されるように、放出されてもよい。更に、カテーテルを、胸膜腔から液体または空気を排出するために使用することもできる。特定の例において、吸引および/または保存装置をカテーテルに接続して、液体または空気の除去および保存を補助することができる。具体的な例において、硬化剤は硝酸銀である。
単回処置において持続放出の様式で硬化剤を投与することによって、患者は、複数の治療処置を回避することができ、かつ長期的な入院の必要性を回避することができる。
特定の態様は、胸膜癒着術を促進する方法を含む。本方法は、近位端と、遠位端と、遠位端の近傍の硬化剤とを含むカテーテルを提供する工程を含んでもよい。硬化剤は、胸膜層の炎症または繊維症を促進するように構成されうる。本方法は、カテーテルの遠位端を第一の胸膜層と第二の胸膜層との間の胸膜腔に挿入する工程と、ある期間にわたって胸膜腔内に硬化剤の持続放出を提供する工程と、第一および第二胸膜層の広範な胸膜癒着を生じさせる工程とを含みうる。特定の態様において、期間は24時間以上であってもよい。別の態様において、期間は、12時間、48時間、または72時間よりも長くてもよい。更に別の態様において、期間は3日から15日の間であってもよい。具体的な態様において、硬化剤は硝酸銀を含む。
特定の態様において、第一の胸膜層は臓側胸膜層であって、第二の胸膜層は壁側胸膜層である。具体的な態様において、広範な胸膜癒着は半胸郭の少なくとも25%の胸膜癒着を含み、臓側胸膜層は複数の箇所で壁側胸膜層に融合する。別の態様において、広範な胸膜癒着は半胸郭の少なくとも50%の胸膜癒着を含み、臓側胸膜層は複数の箇所で壁側胸膜層に融合する。
特定の態様において、広範な胸膜癒着は第一の胸膜層と第二の胸膜層との間の複数の接着を含み、複数の接着の一部は、カテーテルの遠位端を胸膜腔に挿入した時にカテーテルの遠位端から少なくとも3cmの位置にあってもよい。具体的な態様は、カテーテルを通じて胸膜腔から胸水または空気を排出する工程も含みうる。
具体的な態様において、胸水は、癌、鬱血性心不全、肝硬変、結核、肺炎、肺塞栓、膵炎、または膠原血管病と関連があってもよい。特定の態様において、胸水は悪性胸水を含みうる。
特定の態様は、陰圧を生じる装置を提供する工程、装置をカテーテルに接続する工程、および胸膜腔に陰圧を提供するために装置を操作する工程をさらに含んでもよい。具体的な態様はまた、装置に接続された容器に胸水を排出する工程も含んでもよい。
具体的な態様は、胸膜疾患を治療する方法を含む。本方法は、近位端と、遠位端と、遠位端の近傍の硬化剤とを含むカテーテルを提供する工程を含みうる。硬化剤は、胸膜層の炎症または繊維症を促進するように構成されうる。本方法は、カテーテルの遠位端を、第一の胸膜層と第二の胸膜層との間の胸膜腔に挿入する工程、カテーテルを通じて胸膜腔から胸水または空気を排出する工程、およびある期間にわたって胸膜腔内に硬化剤の持続放出を提供する工程をさらに含みうる。本方法は、第一の胸膜層から第二の胸膜層の広範な胸膜癒着を生じさせる工程をさらに含んでもよい。具体的な態様において、期間は24時間以上である。具体的な態様において、期間は3日から15日の間であってもよい。特定の態様において、胸膜疾患は気胸である。具体的な態様において、硬化剤は硝酸銀を含む。特定の態様は、陰圧を生じる装置を提供する工程、装置をカテーテルに接続する工程、および胸膜腔に陰圧を提供するために装置を操作する工程をさらに含んでもよい。
具体的な態様は、2つの胸膜層を融合させる方法をさらに含みうる。特定の態様において、本方法は、硝酸銀で被覆された、近位端および遠位端を含むカテーテルを提供する工程を含みうる。本方法は、カテーテルの遠位端を第一の胸膜層と第二の胸膜層との間の胸膜腔に挿入する工程であって、カテーテルの遠位端は挿入点から挿入される、工程をさらに含んでもよい。本方法は、硝酸銀の持続放出を胸膜層に提供する工程、第一の胸膜層および第二の胸膜層の胸膜癒着を生じさせる工程をさらに含んでもよく、胸膜癒着は第一の胸膜層と第二の層との間の複数の接着を含む。特定の態様において、複数の接着は第一の胸膜層の表面の少なくとも25%にわたり、接着のうち少なくとも1つは挿入点から5センチメートルを超える距離がある。特定の態様において、胸膜層内への硝酸銀の持続放出は、少なくとも12時間の期間にわたって起こる。
特定の態様は、カテーテルを被覆する方法であって、以下の工程を含む:(a)カテーテルまたはその一部分を被覆するためにキトサン溶液に導入し、任意でカテーテルまたはその一部分をこの溶液中に第一の期間のあいだ保持する工程であって、該キトサン溶液は酢酸を含む、工程; その後、(b)カテーテルまたはその一部分を第一の硝酸銀溶液に導入し、任意でカテーテルまたはその一部分をこの溶液中に第二の期間のあいだ保持する工程; その後、(c)カテーテルまたはその一部分を第二の硝酸銀溶液に導入し、任意でカテーテルまたはその一部分をこの溶液中に第三の期間のあいだ保持する工程。特定の態様において、本方法は、(d)カテーテルまたはその一部分を乾燥する工程;(e)ヒドロゲルを形成するために(a)〜(c)の工程を繰り返す工程であって、さらに(i)カテーテルまたはその一部分をグルタルアルデヒド溶液に導入し、任意でカテーテルまたはその一部分をこの溶液中に第四の期間のあいだ保持するか;または(ii)カテーテルまたはその一部分をヒアルロン酸ナトリウム溶液に導入し、任意にカテーテルまたはその一部分をこの溶液中に第五の期間のあいだ保持し、その後、カテーテルまたはその一部分を第三の硝酸銀溶液に導入し、任意にカテーテルまたはその一部分をこの溶液中に第六の期間のあいだ保持する、工程も含む。具体的な態様において、工程(i)または(ii)に続いて、カテーテルまたはその一部分を乾燥させる。
特定の態様において、第一の期間は約5〜10秒、第二の期間は約1〜2分、第三の期間は約24時間、第四の期間は約8分、および/または第六の期間は約4時間でありうる。特定の態様において、キトサンの濃度は、約1.4〜1.8%(w/w)の範囲である。具体的な態様において、キトサンの濃度は、約1.0〜2.0%(w/w)の範囲であってもよい。具体的な態様において、キトサンの分子量は、約400,000から600,000g/molの範囲でありうる。特定の態様において、キトサンの分子量は、150,000〜700,000g/molの範囲でありうる。特定の態様において、キトサンのアセチル化度は約18〜20%である。具体的な態様において、キトサンのアセチル化度は約15〜24%(w/w)である。具体的な態様において、キトサン溶液の温度は約5℃である。特定の態様において、キトサン溶液の温度は約2〜8℃である。特定の態様において、酢酸の濃度は約1%(w/w)である。具体的な態様において、酢酸の濃度は約0.6〜1.5%である。酢酸溶液は、脱イオン水、再蒸留水、またはその他の形態のClイオンを含まない水を使用して調製されうる。特定の態様において、第一および/または第二の硝酸銀溶液の濃度は、約14〜18%(w/w)である。別の態様において、第一および/または第二の硝酸銀溶液の濃度は、約10〜15%(w/w)である。
具体的な態様において、第一の硝酸銀溶液は沈殿管に含まれる。特定の態様において、一つまたは複数の硝酸銀溶液を、脱イオン水、再蒸留水、またはその他の形態のClイオンを含まない水を使用して調製しうる。具体的な態様において、第一および第二の硝酸銀溶液の濃度は同じであるが、他の態様においては、第一および第二の硝酸銀溶液の濃度は異なる。特定の態様において、第一の期間は約1分でありうる。具体的な態様において、第一の期間は約1〜5分であってもよい。具体的な態様において、第二の期間は約5分でありうる。特定の態様において、第二の期間は約2〜9分であってもよい。特定の態様において、第三の期間は約24時間でありうる。特定の態様において、第三の期間は約20〜40時間であってもよい。
具体的な態様において、工程(b)と工程(c)のあいだの期間は、約5秒未満である。特定の態様において、工程(b)と工程(c)のあいだの期間は、約2〜10秒未満である。特定の態様において、カテーテルまたはその一部分は、工程(a)の前に洗浄される。具体的な態様において、洗浄は、カテーテルまたはその一部分を約98%(w/w)のエタノールに接触させる工程を含む。具体的な態様において、洗浄は、カテーテルまたはその一部分を約70〜98%(w/w)のエタノールに接触させる工程を含む。特定の態様において、カテーテルまたはその一部分は、工程(b)と(c)の間で乾燥されない。具体的な態様において、工程(e)の後、カテーテルまたはその一部分を蒸留水ですすぐ。特定の態様において、工程(e)の後、カテーテルまたはその一部分を約10〜20秒間蒸留水ですすぐ。
具体的な態様において、グルタルアルデヒドの濃度は約0.98%である。具体的な態様において、グルタルアルデヒドの濃度は約0.7〜1.5%(w/w)である。特定の態様において、グルタルアルデヒド溶液は、脱イオン水、再蒸留水、またはその他の形態のClイオンを含まない水を使用して調製される。特定の態様において、第四の期間は約8分である。特定の態様において、第四の期間は約6〜12分である。具体的な態様において、カテーテルまたはその一部分は、工程(i)の直前および/または乾燥させる直前に、蒸留水ですすぐ。特定の態様において、第三の硝酸銀溶液の濃度は、約16%である。特定の態様において、第三の硝酸銀溶液の濃度は約14〜20%、および/またはヒアルロン酸ナトリウムの濃度は約1〜3%(w/w)である。具体的な態様において、第五の期間は約3〜6時間、および/または第六の期間は約48〜62時間である。
特定の態様において、工程(f)の乾燥工程は12〜37℃の温度で実行される。具体的な態様において、ヒドロゲルの膨潤度αは約125である。具体的な態様において、ヒドロゲルの膨潤度αは約125〜220%である。特定の態様において、カテーテルまたはその一部分は、シリコーン、ポリウレタン、またはPVCを含む。
態様はまた、被覆されるべきカテーテルまたはその一部分を被覆する方法をさらに含み得、この方法は以下の工程を含む:(a)カテーテルまたはその一部分に第一の被覆を形成する工程であって、第一のキトサン層、第一の硝酸銀層、および第二の硝酸銀層の順に、カテーテルまたはその一部分を被覆する工程;(b)カテーテルまたはその一部分に、第一の被覆の上に第二の被覆を形成する工程であって、第二のキトサン層、第三の硝酸銀層、および第四の硝酸銀層の順に、カテーテルまたはその一部分を被覆する工程;ならびに(c)工程(b)に続いて、カテーテルまたはその一部分をグルタルアルデヒド溶液に導入する工程;ならびに(d)カテーテルまたはその一部分を乾燥する工程。
態様はまた、被覆されるべきカテーテルまたはその一部分を被覆する方法も含んでもよく、本方法は以下の工程を含む:(a)カテーテルまたはその一部分に第一の被覆を形成する工程であって、第一のキトサン層、第一の硝酸銀層、および第二の硝酸銀層の順に、カテーテルまたはその一部分を被覆する工程;(b)カテーテルまたはその一部分に、第一の被覆の上に第二の被覆を形成する工程であって、工程(a)に続いて、第二のキトサン層、第三の硝酸銀層、および第四の硝酸銀層の順に、カテーテルまたはその一部分を被覆する工程;ならびに(c)工程(b)に続いて、カテーテルまたはその一部分をヒアルロン酸ナトリウム溶液に導入し、その後カテーテルまたはその一部分を第五の硝酸銀溶液に導入する工程;ならびに(d)カテーテルまたはその一部分を乾燥する工程。
本発明の任意の局面の特定の態様において、硝酸銀以外の物質を利用してもよい。そのような物質の非限定的な例には、金属銀、酸化銀、または銀塩が含まれ、これらは硫酸銀、炭酸銀、リン酸銀、硫化銀、ヨウ素酸銀、ハロゲン化銀(例えば、塩化銀)およびスルファジアジン銀を含む。
本明細書において検討した任意の態様を、本発明の任意の方法またはシステムに関して実行可能であること、およびその逆の場合も同じであることが想定される。更に、本発明のシステムは、本発明の方法を実現するために使用することができる。
用語「全体的な胸膜癒着」または「広範な胸膜癒着」は、胸膜層全体に広がっていて特定の場所に制限されない胸膜癒着として定義される。全体的なまたは広範な胸膜癒着は、胸膜腔内に硬化剤が導入される場所に制限されない胸膜層の接着または融合を含む。特定の非限定的な例において、全体的なまたは広範な胸膜癒着は、硬化剤が導入される場所から3cm、4cm、5cm、またはそれ以上の距離での胸膜層の接着または融合を含む。特定の非限定的な例では、全体的なまたは広範な胸膜癒着は、胸膜層の20%、30%、40%、または50%を超える接着または融合をさらに含みうる。特定の非限定的な例では、全体的なまたは広範な胸膜癒着は、複数の場所での胸膜層の接着または融合を含みうる。
用語「約」または「およそ」は、当業者によって理解されるように、近似であることと定義され、ある非限定的な態様において、これらの用語は10%以内、好ましくは5%以内、より好ましくは1%以内、最も好ましくは0.5%以内であると定義される。
用語「抑制する」もしくは「減少させる」、またはこれらの用語の任意の変形は、特許請求の範囲および/または明細書で使用される場合、望ましい結果を達成する任意の測定可能な減少または完全な抑制を含む。
用語「有効」は、明細書および/または特許請求の範囲で使用される場合、望ましい、期待される、または意図される結果に到達するのに十分であるという意味である。
特許請求の範囲および/または明細書において用語「含む」と併せて使用される場合の語「一つ(「a」または「an」)」の使用は、「一つ」を意味する場合もあるが、「一つまたは複数」、「少なくとも一つ」、および「一つ以上」という意味とも両立する。
特許請求の範囲での語「または」の使用は、代替手段のみを指すと明確に示されているか、または代替手段が互いに排他的でなければ、「および/または」を意味するために使用されるが、本開示では、代替手段のみおよび「および/または」を指す定義を支持する。
本明細書および特許請求の範囲で使用されるように、語「含む(comprising)」(ならびに「comprise」および「comprises」など、comprisingの任意の形)、「有する(having)」(ならびに「have」および「has」など、havingの任意の形)、「含む(including)」(ならびに「includes」および「include」など、includingの任意の形)、または「含有する(containing)」(ならびに「contains」および「contain」など、containingの任意の形)は包括的で制限がなく、付加的な、列挙されない要素または方法工程を排除するものではない。
本明細書において使用されるように、「導入する」およびその変形は、カテーテル、または本明細書において記載されているような少なくとも一つの層で被覆されたカテーテルを、溶液と物理的に接触するように配置することを指す。そのような導入の非限定的な方法は、沈めること(submerging)および浸すこと(dipping)を含む。
本明細書において使用されるように、用語「約」は、ある値が、その値を決定するために利用される装置および/または方法の誤差の標準偏差を含むということを示すのに使用される。
本発明のその他の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。しかしながら、詳細な説明および実施例は、本発明の具体的な態様を示す一方、例示としてのみ提示されていることが理解されるべきである。更に、本発明の精神および範囲を逸脱しない変更および修飾は、この詳細な説明により、当業者に明らかとなるであろう。
胸膜腔内に留置されたカテーテルの例示的な態様の概略断面図である。 カテーテルの例示的な態様を示す図である。 硝酸銀の直接一日投与量注入を用いた実験結果を示す図である。 ドキシサイクリンの直接一日投与量注入を用いた実験結果を示す図である。 実験結果の予想に使用した標準評点方式の表を示す図である。 小動物モデルを使用した被覆カテーテル投与調査から得られた実験的試験結果を示すグラフである。 小動物モデルを使用した被覆カテーテル投与調査から得られた実験的試験結果を示す表である。 対側対照として使用される胸膜腔を有する動物標本の全病理を示す写真である。 持続放出カテーテルによって治療された胸膜腔を有する動物標本の全病理を示す写真である。 持続放出カテーテルによって治療された動物標本の胸膜腔における胸膜癒着の顕微鏡画像である。 各治療群における治療されたおよび未治療の対照胸膜腔の病理組織学的繊維症スコアを示すグラフである。 硝酸銀持続放出カテーテルによって治療された大動物の胸膜癒着スコアを示す表である。 硝酸銀持続放出カテーテルによって治療された個々の大動物の胸膜癒着スコアを示すグラフである。 キトサン-硝酸銀ゲルで被覆されたポリウレタンカテーテルの放出動態を示すグラフである。 キトサン-硝酸銀ゲルで被覆されたポリウレタンカテーテルの放出動態を示すグラフである。 キトサン-硝酸銀ゲルで被覆されたシリコーンカテーテルの放出動態を示すグラフである。 キトサン-硝酸銀ゲルで被覆されたシリコーンカテーテルの放出動態を示すグラフである。
例示的な態様の詳細な説明
ここで図1に示す例示的な態様を参照すると、胸腔450は、右半胸郭200、左半胸郭300、および気管400を含む。右半胸郭200は、壁側板210と臓側板220の間の胸膜腔250を含み、これは右肺270を取り囲む。同様に、左半胸郭300は、壁側板310と臓側板320の間の胸膜腔350を含み、これは左肺370を取り囲む。図1は実物大ではなく、明確かつ詳細にするため、特定の部分が拡大されている場合がある。
本開示の他の場所に記載の特定の条件下で、胸水230または空気が壁側板210と臓側板220の間の胸膜腔250に蓄積される可能性がある。胸水230または空気を胸膜腔250から排出するために、カテーテル100を胸膜腔250に挿入することができる。図示された例示的な態様において、カテーテル100は、近位端120、遠位端110、および遠位端110の近傍に硬化剤130を含む。特定の態様において、カテーテル100は、陰圧装置140および/または容器150に接続されてもよい。陰圧装置140は、カテーテル100および胸膜腔250の中に陰圧をかけることができる任意の小型で携帯可能な軽量の装置でありうる。特定の態様において、陰圧装置は、真空ポンプまたは真空圧縮機であってもよい。容器150は、胸水230がカテーテル100を通って胸膜腔250から排出される際に、この液体/空気を受けて収容するように構成されている。
図1に示す例示的な態様において、硬化剤130を含むカテーテル100の部分も胸膜腔250内に配置されるように、カテーテル100の遠位端110が胸膜腔250に挿入される。特定の態様において、硬化剤130は、硝酸銀などの、壁側板210および/または臓側板220の炎症および/または繊維症を促進する物質を含む。壁側板210および/または臓側板の炎症および/または繊維症を促進することにより、胸膜層が融合して、全体的なまたは広範な胸膜癒着を実現することができる。こうすることで胸膜腔250内の液体または空気の再蓄積の予防を助けることができ、それによって胸水/PTXの再形成の可能性を減少させることができる。別の態様において、硬化剤130は、硝酸銀以外の材料、または硝酸銀以外の材料の組合せを含んでもよい。硬化剤130に含まれうる例示的な材料の非制限的なリストは、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、テトラサイクリン、タルク、ブレオマイシン、ドキソルビシン、プロビオジン(proviodine)、TGF-β、メパクリン、その他の抗生物質、その他の抗腫瘍薬、ならびにその他のサイトカインおよび生物学的薬剤を含む。
例示的な態様において、カテーテル100は、長期間にわたって胸膜腔250内に硬化剤130を持続放出するように構成されている。特定の例において、硬化剤130は、24時間から数日の範囲の期間にわたって放出されうる。硬化剤130が長期間にわたって放出されることによって、胸膜癒着術に関連する副作用の可能性を最小限に抑えることができると考えられる。硬化剤を一度の投与で注入するのではなく、ある期間にわたって持続的に投与する。望ましい胸膜癒着を実現するのに十分な、しかし単回投与でよく見られる副作用を減少させられるほど低いレベルで、硬化剤を投与することができると考えられる。そのような副作用としては、患者の不快症状および肺合併症が挙げられる。特定の態様において、カテーテル100は外来診療で胸膜腔250に挿入することができる。このような処置によって胸水230の治療のための患者の費用および不便さを減少することができる。
カテーテル100の例示的な一態様を図2に示す。本態様において、カテーテル100は、胸膜腔250のドレナージを容易にするための脇排出孔115を含む。別の態様では、更なる脇排出孔を含んでもよい。脇排出孔115は、遠位端110を遮断すべき場合に、液体または空気をカテーテル100に流入させる付加的な経路を提供する。
硬化剤130は、スピンコーティング、噴霧、浸漬、表面含浸などを含むがそれらに限定されるわけではない多くの方法のうちの一つによって、カテーテル100に適用することができる。被覆の具体的態様は、以下の「被覆カテーテルの準備」と題する項で説明する。
特定の態様において、陰圧装置140の使用も、壁側板210および臓側板220の胸膜癒着術を実現するのに役立ちうる。硬化剤は、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第6,287,285号に開示されているような方法で適用されてもよい。陰圧装置140は、壁側板210および臓側板220の接合を提供するのに役立ち、これによってこれら層の間に液体/空気が蓄積される可能性を減少させ、硬化剤130によって効果的にこれらの層を融合させることができる。特定の態様において、陰圧装置140は、およそ5〜40センチメートル(水)の陰圧を提供する。陰圧装置140はまた、液体または空気がカテーテル100を通って胸膜腔250に戻るのを防止するための逆流装置(逆止弁など、図示せず)を含んでもよい。
容器150を、胸膜腔250から除去された液体/空気の蓄積を捕捉するために、陰圧装置140に取り付けることができる。特定の態様において、容器150は、およそ500ミリリットルの容量を有し、陰圧装置140に着脱可能に固定されている。特定の態様において、容器150中の胸膜腔250から排出された液体を空にすることができるように、容器150はカテーテル100および/または陰圧装置から容易に取り外すことができる。特定の態様において、容器は、陰圧装置を備えないカテーテルに取り付けられていてもよい。
本明細書において例示的な態様が記載されているが、本発明の範囲から逸脱することなく、方法およびシステムに対する様々な変更を施すことができることが理解されるであろう。例えば、他の態様においては、硬化剤の組成が異なっていてもよい。更に、任意の特許請求の範囲における工程の連続的な記述は、別途記載のない限り、それらの工程が任意の特定の順序で実行される必要があるということではない。
被覆カテーテルの準備
金属イオン(例えば、金、銀、銅)は、広いスペクトルの抗菌活性を有する(Spadaroら、1974;Schaefferら、1988)。銀イオンは、カテーテル上に細菌がコロニーを形成することを防止するために使用される(Makiら、1988;Groegerら、1993;Raadら、1996)。銀イオンは、低温蒸気および大型減圧器を利用する処理によって通常は1μm以下の厚さで金属銀の微細被覆としてカテーテルに付着される(Sioshansi、1991;Sioshansi、1994;SioshansiおよびTobin、1995;Bambauerら、1998)。この技術は、シリコーン、ポリウレタン、およびその他のポリマーから製造されたカテーテルに適用されている。現在、銀被覆されたカテーテルは、ポリウレタン製(Makiら、1997;HentschelおよびMunstedt、1999)およびシリコーン製(Raadら、1996)のカテーテルに付着させた塩化ベンザルコニウム(BKC)(Liら、1999)などの抗菌剤と組み合わせて使用されている。カテーテルの表面に銀イオンを付着させるために使用される方法は、以下のように分類される:(i)銀ナノ粒子の封入(SamuuelおよびGuggenbichler、2004)、および(ii)蒸気相で被覆された銀(TobinおよびBambauer、2003)である。Vargasら/16/は、胸膜腔に投与される硝酸銀は胸膜癒着を起こすのに有効な方法であることを示しており、硝酸銀は既知の硬化剤である(Bourosら、2000;Gallivan、2001)。
本発明は、ポリウレタンおよびシリコーンカテーテルの表面に被覆された硝酸銀ヒドロゲルに関する。被覆を施すために、二つの異なる方法を採用した:キトサンと銀イオンの間のキレート化反応の後、(i)キトサンと銀イオンの間のキレート化反応およびグルタルアルデヒドとの最終架橋結合、または(ii)キトサンと銀イオンの間のキレート化反応およびa)銀イオンを含むキトサンキレートとヒアルロン酸の間の最終的な反応である。
キレート化反応については、キトサンは銀イオンとの錯体を形成し、この錯体は修飾された生理化学的性質および超分子構造を有する。超分子的修飾は、溶液中のキトサン分子がらせん構造から不揃いで乱雑な形態へ変形することからなる。この構造は、ファンデルワールス力およびイオン力によって銀イオンを保持する能力を有する。生理化学的修飾は、キトサンをヒドロゲルに変形させる。ヒドロゲルの膨潤度は、硝酸銀溶液の濃度および反応時間によって異なる。ヒドロゲルの寸法安定性およびヒドロゲル膨潤度の制御は、2つの方法によって実現される:(i)グルタルアルデヒドとの架橋結合;ならびに(2)ヒアルロン酸およびキトサン-Agをベースとしたポリイオン錯体によるキトサン-Ag最終層の被覆である。本明細書において議論されるヒドロゲルは不可逆的に形成され、2週間などの期間にわたって一定速度で銀イオンを溶出しうる。
一般的に、キトサン-銀被覆カテーテルの準備および性質に影響する非限定的な要因としては、以下のものが挙げられる:
・キトサンの生理化学的特性:キトサンの分子量は通常、18〜20%のアセチル化度(DA)で400,000から600,000g/molの間である。
・キトサン溶液の濃度:1%の酢酸溶液におけるキトサンの濃度は通常、1.4〜1.8%の間である。濃度が高いほど、被覆が厚くなる。
・キトサン溶液の温度:適切な被覆厚みを確実にするため、温度は通常5℃である。
・硝酸銀溶液の濃度:硝酸銀溶液の濃度は、通常14〜16%の間である。
・カテーテル上のキトサン被覆と硝酸銀の反応時間および温度は、通常は24時間で室温である。
・1%グルタルアルデヒド溶液の凝結時間は、通常8分である。
・キトサン-銀錯体の被覆後の乾燥時間は、通常24時間である。
これらの要因および本発明に沿って被覆カテーテルを準備する方法の例を、以下に説明する。
実施例1:キトサン-Ag被覆カテーテルの準備およびグルタルアルデヒドとの架橋結合
溶液の調製
1%(w/w)酢酸溶液:1000mlの目盛り付きフラスコ中、10gの濃縮酢酸(98%)および990mlの再蒸留水(Cl-イオンを含まない)を混合した。
1.8%(w/w)キトサン溶液:3Lのミキサー中、982mlの1%酢酸溶液および18gのキトサン(アセチル化度(DA)=20%およびモル質量585,000g/molのVANSONタイプ)を加えた。全てのキトサンが溶解するまで溶液を撹拌した。可能性のあるミクロゲルおよび色付粒子を除去するため、溶液を遠心分離した(3500rpm)。溶液は5℃に維持した。
14%(w/w)硝酸銀溶液:硝酸銀(35g)および再蒸留水を、目盛り付きフラスコの250mlの最大目盛りまで加えた。溶液は、室温に保ち、光に当たらないようにした。
0.98%(w/w)グルタルアルデヒド溶液:200mlの目盛り付きフラスコに、98%グルタルアルデヒド水溶液2mlを加えた。再蒸留水を最大目盛りまで加えた。
工程A:キトサン-Agを含む第一層の適用
カテーテルの表面を、まずエタノールの98%溶液で洗浄し、最終的に乾燥させた。被覆の厚さおよび含有される銀の量は、キトサン溶液および硝酸銀溶液の濃度によって異なる。キトサン溶液の濃度が下がると、ヒドロゲル被覆の厚さは減少する。本実施例では、1.8%(w/w)キトサン溶液および14%(w/w)硝酸銀溶液を利用した。
100mlのシリンダーを1.8%(w/w)キトサン溶液で満たし、5℃に保った。カテーテルの被覆対象部位を溶液に沈めて1分間放置した。その後カテーテルの被覆部位を、18%(w/w)硝酸銀溶液を含有する沈殿管の中に直ちに導入した。カテーテルをこの溶液中に5分間保持した。その後カテーテルを18%硝酸銀溶液の第二の溶液に24時間導入した。
工程B:ヒドロゲルを形成するためのキトサン-Ag錯体の第二層被覆の適用
第一層の適用に従って、ただし乾燥工程を除き、カテーテルを蒸留水(Cl-を含まない)でゆすぎ、5℃の1.8%(w/w)キトサン溶液に浸して1分間放置した。第二層は、第一層の上に沈着させた。この浸漬工程の直後に、第一の沈殿のためにカテーテルを18%(w/w)硝酸銀溶液に浸して1分間放置し、その後18%(w/w)硝酸銀の最終溶液に24時間浸した。3〜4回使用するたびに硝酸銀溶液の濃度を評価して修正した。
ヒドロゲルの膨潤度は、反応時間3時間でのα=3000から反応時間24時間でのα=125まで様々であり、ここでαは膨潤度を示す:α=((水和ヒドロゲルの平衡質量-ヒドロゲルの乾燥重量)/ヒドロゲルの乾燥重量×100)。
工程C:カテーテルに沈着させたキトサン-Agヒドロゲルとグルタルアルデヒドとの架橋結合
工程AおよびBに続いて、準備したカテーテルを蒸留水でゆすぎ、グルタルアルデヒドの0.98%(w/w)溶液を含有する100mlシリンダーに浸して8分間放置した。その後カテーテルを蒸留水で最終的にゆすぎ、室温で48時間乾燥させた。
実施例2:キトサン-Ag錯体およびヒアルロン酸-Ag錯体で被覆されたカテーテルの準備
溶液の調製
1%(w/w)酢酸溶液:実施例1参照。
1.8%(w/w)キトサン溶液:実施例1参照。
16%(w/w)硝酸銀溶液:250mlの目盛り付きフラスコに、40gの硝酸銀を加え、再蒸留水を最大目盛りまで加えた。溶液は室温に保ち、光に当たらないようにした。
1%(w/w)ヒアルロン酸ナトリウム溶液:グラスに、1gのヒアルロン酸ナトリウムと99gの水を加えた。ヒアルロン酸ナトリウムが溶解するまで(およそ3〜4時間)、溶液を撹拌した。溶液を冷蔵庫に保存し、使用する前に室温に戻した。
工程A:キトサン-Ag溶液を使用した第一被覆層の適用
手順に関するコメント:
被覆の前にカテーテルを98%のエタノールで洗浄して乾燥した。被覆の厚さおよび含有される銀の量は、キトサン溶液および硝酸銀溶液の濃度によって異なる。キトサン溶液の濃度が下がると、ヒドロゲル被覆の厚さは減少する。本実施例では、1.8%(w/w)キトサン溶液を利用した。硝酸銀溶液の濃度は、層の中の銀の濃度およびその膨潤特性を決定することができる。被覆が十分な銀を含有せず、水溶液中で層が膨潤し、安定性が弱まるため、16%(w/w)を下回る硝酸銀濃度は推奨されない。これらの条件下で層を安定化させるために、グルタルアルデヒドの1%(w/w)溶液などとの架橋結合を利用してもよい(実施例1参照)。例えば、16%(w/w)の硝酸銀濃度を使用すると、このように架橋結合剤を使用する必要がなくなる。
温度は、被覆厚に関連するもう一つの要因である。温度が上昇すると、層の厚さは概して減少する。例えば、温度が5℃から20℃に上昇すると、層の厚さは50%減少する。シリコーン、ポリウレタン、およびPVCベースのカテーテルにとって、5℃というのは利用されうる例示的な温度である。0℃未満または0℃〜3℃の範囲の温度の使用は、層の厚さが著しく増加したり、層の厚さの均一性を制御することが難しかったりするので、推奨されない。
方法:
100mlのシリンダーをキトサン溶液で満たし、5℃に保った。カテーテルの被覆対象部位を溶液に沈めて1分間放置した。その後カテーテルの被覆部位を、18%(w/w)硝酸銀溶液を含有する沈殿管の中に直ちに導入した。カテーテルをこの溶液中に5分間保持した。その後カテーテルを18%(w/w)硝酸銀溶液の第二の溶液に24時間導入した。
工程B:ヒドロゲルを形成するための、キトサン-Ag溶液の第二被覆層の適用
上記実施例1の工程Bを参照。
工程C:キトサン-Agヒアルロン酸ナトリウム-Agイオン錯体の第三被覆層の適用
手順に関するコメント:
ヒアルロン酸-キトサン-Agの表面層の適用は、湿度の高い環境でカテーテルの弾性を増加する利点を有し、工程AおよびBで沈着させたキトサン-Ag層の膨潤度を減少させる。この層はまた、銀イオンの生体適合性および表面濃度を増加させる。
方法:
工程Bの後、カテーテルをヒアルロン酸ナトリウムの1%(w/w)溶液に浸して4時間放置した。この間に、キトサン-ヒアルロン酸錯体が形成される。その後カテーテルを硝酸銀の16%(w/w)溶液で10分間処理した。その後カテーテルを48時間乾燥させた。
有効性を確認するための実験手順
以下の実施例は、本明細書で開示される方法および装置を試験する手順の非限定的な実施例として示される。
実施例3:低いレベルでの直接一日投与
これらの実験は、低用量の硬化剤を繰り返し投与した場合に胸膜癒着を成功させることができるかどうかを判断するために実行された。それまで有効であると報告されていた最低限の用量から減らしていく硝酸銀またはドキシサイクリンの一日用量を使用して、1日、5日、または14日の投薬計画で更に少ない量を投与した。理論上は、より少ない用量を繰り返し利用することで、副作用の頻度および/または重症度を減少させうる。
全ての実験は、世界中の多くのセンターで胸膜癒着分野において幅広く利用されている胸膜癒着のウサギモデルで実行された。後により詳細に説明するように、標準的な胸膜癒着は1から8までのスコアで評価されて胸膜癒着術の有効性の評価に使用されており、1は通常の胸膜腔を表し、8は完全な胸膜癒着を表す。5以上のスコアは通常、胸膜癒着が成功したと見なされる。
ドキシサイクリン法
合計18匹の動物を、1mg/kg、5mg/kg、または10mg/kgの用量のドキシサイクリンで治療した。10mg/kg群の動物(n=2)は1日だけ注入を受け、5mg/kgの範囲の動物(n=2/群)は1日、5日、または14日のいずれかの注入を受け、最も少ない用量範囲の1mg/kgの動物(n=2/群)は、5日または14日にわたって繰り返し注入を受けた。その結果を、生理食塩水注入を1、5、または14日のいずれかの期間にわたって受けたプラセボ群(n=2/群)と比較した。全ての用量は、毎日のドレナージの後に投与された。治療期間の最後に動物を安楽死させ、図5に示す標準評点方式に従って胸膜癒着を評価した。
ドキシサイクリンの結果
図4Aは、ドキシサイクリンを使用した個別の標本の実験結果を示す表を提供し、一方図4Bは、異なる濃度および投与日数に基づいて標本の平均胸膜癒着スコアをまとめた表を提供する。図4Cは、図4Bで提供された結果を示すグラフを提供する。
このモデルにおいて報告されているドキシサイクリンの最低有効用量は、一回用量として10mg/kgである。本発明者らの初期実験では、この用量は平均スコア4.5という結果になった。この用量の半分の5mg/kgを5日間かけて繰り返しても結果的には胸膜癒着はできなかったが、この投与量を14日間使用した場合にはスコア5が得られた。更に少ない1mg/kgの投与量では、5日間または14日間投与しても胸膜癒着を引き起こすには有効でなかった。従って、ドキシサイクリンでは、各用量を50%減少させてもまだ、2週間繰り返せば胸膜癒着を実現することができる。この控えめな一日投与量の減少によって副作用を著しく減少することになるか否かは未知である。
硝酸銀法
合計20匹の動物を、0.05%、0.085%、0.425%、および0.85%の投与濃度の硝酸銀を投与して治療した。なお、このモデルにおいて報告されている硝酸銀注入の有効一回投与量は、0.3%から0.5%の範囲である。0.25%の濃度はある文献では有効でないと報告されているが、全体的なデータは限られている。各群を、繰り返し注入の1日、5日、または14日のいずれかの治療期間に割り当てた。10群あるうちの各群に最低2匹の動物を使用し、更に2匹の動物を最低用量範囲(0.05%)で試験した。表2を参照のこと。その結果を、生理食塩水注入を1、5、または14日のいずれかにわたって受けたプラセボ群(n=2/群)と比較した。全ての用量は、毎日のドレナージの後に投与された。治療期間の最後に動物を安楽死させ、標準評点表(図5に示す)に従って胸膜癒着を評価した。胸膜の炎症および繊維症の程度も評価した。
硝酸銀の結果
図3Aは、硝酸銀を使用した個別の標本の実験結果を示す表を提供し、一方図3Bは、異なる濃度および投与日数に基づいて標本の平均胸膜癒着スコアをまとめた表を提供する。図3Cは、図3Bで提供された結果を示すグラフを提供する。図3A〜3Cに示すように、成功した胸膜癒着のスコア(5以上)は、14日にわたって投与された場合、0.050%の濃度で達成された。更に、成功した胸膜癒着のスコアは、5日にわたって投与された場合、0.085%の濃度で達成された。
優れた胸膜癒着(平均スコア8/8)は0.85%および0.425%の用量での一日注入で達成され、先行文献と一致した。一方、0.085%のより少ない投与量は、一回投与量としては胸膜癒着を実現するのには有効ではないが、5日間にわたって毎日繰り返されれば有効であり(平均スコア7.5/8)、最も少ない0.05%の投与量は、14日間繰り返し注入を受けた群のみで有効であった(平均スコア6.5/8)。この傾向は明らかに、硝酸銀による有効な胸膜癒着を実現するためには低用量で数日にわたる治療が必要であることを示している。
このような投与計画の利点は、副作用の減少と関連があり得る。胸膜癒着の現在の方法と関連のある副作用は、苦痛を伴う上に危険である可能性がある。胸膜内テトラサイクリン投与後に激痛の報告があり(Lightら、1990)、ドキシサイクリン(Heffnerら、1994;Mansson、1988;Herringtonら、1996;Pulsiripunyaら、1996)、タルク(Thompsonら、1998;Maromら、1999;BrantおよびEaton、2001;Stefaniら、2006)および硝酸銀(Wiedら、1981)においても激痛が顕著であったという報告がある。胸膜内局所麻酔によって痛みを抑えられるかもしれないが(Shermanら、1988)、ほとんど常に麻薬性鎮痛薬が必要とされる(Elpernら、1994)。
硬化剤の悪影響が投与量に依存している可能性があることを示唆するデータが存在する。動物モデルにおいて、胸膜癒着に必要な量を超えてTGF-βの投与量を増やすと、形成される胸膜液の量が結果的に増加する(Lightら、2000)。しかも、より多い投与量で治療された動物は、反対側の胸膜繊維症、さらに腹膜の炎症も発症し、全身毒性が示唆された。別の調査では、より多い投与量の胸膜内ミノサイクリンを受けた動物は死亡率が過剰であった(Lightら、1994)。同様なモデルにおいて、胸膜内に高用量のタルクを受けた動物は、肺、縦隔、心膜、および肝臓のタルク沈着率がより高いことが示された。更に、全身炎症反応は、タルクの投与量が多いほど、顕著に多かった(Montesら、2003)。タルク投与に続くARDSの臨床例は、使用される投与量が多いこととある程度関連づけられている(Rinaldoら、1983;Kennedyら、1994)。
特に硝酸銀の場合、0.1%の濃度で、血清インターロイキン-8およびVEGFレベルと同じく、白血球数増加および好中球増加に関しても、0.5%の投与と比較して全身反応が少なくなったことが示されている(Marchiら、2005)。更に、ヒト治験では、0.5%の濃度は患者にとって十分に耐えられることが証明されている(Paschoaliniら、2005)一方、この薬剤は最高10%の濃度に関連する深刻な痛みと副作用のため、数十年前に臨床医に放棄された(Wiedら、1981; Wiedら、1983)。
結論
これらの実験は、一回用量として投与された時には治療効果がないと考えられていた投与量で硬化剤を繰り返し投与することでも、有効な胸膜癒着を起こす上で有効である可能性があることを示唆している。特に硝酸銀は、14日にわたって投与された場合、その効果を維持しながら投与量を大幅に減少させられる可能性を提供するようである。
実施例4:被覆カテーテル投与、ウサギモデル
胸水の治療は多くは、通常は一回ボーラス用量として投与される硬化剤によって胸膜癒着を生じさせる試みからなる。先に証明されたように、硝酸銀(SN)の低用量繰り返し投与は(高用量の単回投与と比較して)、有効な胸膜癒着を導きうる。本調査の目的は、低用量の硝酸銀を14日間継続して溶出させる持続放出カテーテルによる有効な胸膜癒着を実証することである。
本調査は、胸膜疾患に関して十分に記述されている動物モデルにおける6匹のウサギの3群を使用したインビボ実験からなった。本調査は、SN被覆カテーテルを胸膜腔に、およびプラセボ/未被覆カテーテルを対照に、留置することからなった。各動物の対側胸膜腔は、更なる対照の役割を果たした。
動物は、全身麻酔下で小口径の胸膜内カテーテルの留置を受けた。カテーテルは、未被覆、24mgのSNの被覆、または50mgのSNの被覆のいずれかであって、右胸膜腔に留置した。50mg群の動物一匹は調査を完了しなかった。カテーテルは胸膜液を除去するために14日間毎日吸引して15日目に抜去し、29日目に解剖を行った。胸膜癒着術の有効性を、1〜8のスコア(1-通常、8-半胸郭の50%を超える胸膜癒着)によって評価し、5以上のスコアは有意であると見なした(図5)。
実験手順:胸膜カテーテル留置-ウサギ
体重1.5から2.0kgのSPFニュージーランド白ウサギを利用した。全ての動物は、病原体への曝露を最小限にするように収容した。動物は、標準作業手順に従って飼育した。
動物は、術前にデュプレノルフィン(duprenorphine)0.02〜0.05mg/kg scを与え、吸入薬によって麻酔を誘導した。
動物を剃毛して準備した。右側方および後方胸壁および背部を剃毛する必要があり、麻酔の誘導後、手洗いおよび準備手順の前に、動物を左側臥位で配置した。マスクによって酸素補給を行った。ポリエチレンチューブ(後述)を以下のように右胸膜腔に挿入した。メスで1cmの皮膚切開を、脊柱線から5cm側方および肋骨縁の2cm近傍の胸部右側面に施した。皮下筋膜を鉗子で保持し、ハサミで切開して0.5cmの開口部を設けた。小型の曲がった鉗子を使用した鈍的剥離(blunt dissection)で胸膜腔に進入することで、下にある肺の損傷を回避した。その後開いた鉗子を通して胸腔チューブを5〜6cmの距離、前方にゆっくりと前進させた。開存性を確認し、カテーテル挿入中に胸膜腔内に進入した可能性のある空気を再吸収するために、シリンジでチューブを吸引した。また、カテーテルの近位端を動物の背部まで皮下に通し、移動を防止するために縫合した。これは、正中線の下頸部に0.5cmの皮膚切開を施し、その先に尾の方向へ、そしてカテーテル挿入部位に向けて側方に、皮下にストレート(strait)鉗子の経路を設けることによって実行した。その後チューブの近位端を鉗子で引き戻して小さな頸部切開から出した。無針IVアダプタをチューブの近位端に取り付け、開存性および気胸がないことを確実にするためにチューブを再び吸引した。頸部切開を縫合し、無針IVポートを包囲して、所定位置に保持した。それぞれ2〜3本の2.0絹縫合糸を使用して、挿入部位の胸壁、筋膜、および皮膚を閉鎖した。
回復が見られたら、動物を隔離領域に戻した。拒食症状、歯ぎしり、処置部をかばう、または興奮などの痛みの兆候が見られた場合、調査期間中に必要に応じてデュプレノルフィン0.02〜0.05mg/kg sc q8-12hで鎮痛を与えた。
カテーテルの構成
カテーテルは、医療グレードポリエチレンチューブ(内径1.58mm、外径3.18mm)で構成した。カテーテル被覆は、14日間にわたって有効な胸膜癒着を実現させることが上記で分かった用量のSN(14日間24mg)を送達するように、遠位3cmに適用した。より投与量の多いカテーテル(14日間50mg)でも調査を繰り返した。ドレナージを容易にするために、被覆のすぐ近傍に追加のドレナージ脇孔を設けた。エチレンオキサイドガスでカテーテルを滅菌し、密封された滅菌パッケージに梱包した。チューブの近位端は、留置の際に滅菌済みアクセス/弁システムに取り付けた。
臨床看護および監視
全ての動物は、標準的な作業手順に従って飼育した。動物の健康状態を毎日評価した。調査の1、8、15、22および29日目に体重を測定した。治療に先立って、また1、8、15、22および29日目に、獣医師スタッフによるその日の臨床観察および臨床検査を実施した。胸膜カテーテルから液体を毎日吸引し、排出された液体の量を記録した。胸膜カテーテルは14日間維持された。
安楽死および解剖
調査の29日目に3mlのEuthanyl(商標)(ペントバルビタール240mg/ml)を耳周辺部に静脈注射して、動物を安楽死させた。29日目より前に死にそうになったか、または安楽死を要した動物は解剖試験を受けた。
胸部をまとめて取り出した。気管には、リン酸緩衝生理食塩水に10%のホルマリンを混ぜたものを50ml満たした注射器に取り付けられた針を挿入し、肺を膨張させるために気管に注入した。膨張後、ナイロン縫合糸で結んで気管を結紮し、胸部全体を10%ホルマリン溶液に少なくとも48時間沈めた。その後、横隔膜および全ての肋骨を鎖骨中線で左右対称に切開して、各胸膜腔を露出した。このようにして、肺および胸膜腔を評価できるように、胸骨および前方肋骨の内側部を除去した。血胸(胸膜腔内の凝固血液)の有無、および各動物の縦隔の位置を記録した。胸膜の肉眼検査を行い、8点評価(図5参照;参照により本明細書に組み入れられるLee, Teixeira, DevinらのTransforming Growth Factorbeta 2 Induces Pleurodesis Significantly Faster than Talc, 163 AM. J. OF RESPIRATORY AND CRITICAL CARE 640(2001)も参照)に従って評点化した。左右両方の胸膜、肺および横隔膜から病理組織評価用の試料を採取した。
病理学
解剖時に採取された試料を、標準的な中性緩衝ホルマリン固定手順に従って固定した。ヘマトキシリン・エオシン(H&E)およびムスト(Musto)染色法を組織切片に施した。
胸膜繊維症を、なし(0)、疑わしい(1)、軽度(2)、中等度(3)、または重度(4)に評点化した。
統計分析
a.データ解析:胸膜癒着スコアおよび実験値の平均値を計算した。病理解析には記述的用語を使用した。
b.統計: 治療と対照群の間の平均胸膜癒着スコアの比較を、t検定で比較した。6匹の動物群を使用することで、αを0.05、βを0.9とする2から6の胸膜癒着スコアの差(すなわち、標準偏差を2とする4点差)を検出することができる。
倫理学
本調査は、カルガリー大学の動物管理委員会(Animal Care Committee)によって承認された。調査員が実験調査における動物の倫理的待遇の規制に厳しく従うことを確実にするため、あらゆる予防措置を講じた。
結果
実施例4において上述した手順に従って実施された試験の結果を、以下に図6において提供する。これらの結果は、インビボで14日間にわたって50mgの硝酸銀を持続的に放出する硝酸銀被覆カテーテルで治療した各動物において、胸膜癒着術が成功したことを実証している(スコア5以上)。カテーテルで14日間にわたって24mgの硝酸銀を持続的に放出した群では、6匹中4匹の動物が胸膜癒着術を成功裏に実現した。様々な投与量レベルで実現した平均胸膜癒着スコアの表を図7に示す。
図8は、対側対照として使用される、未融合胸膜腔を有する動物標本の全病理を示す写真である。図8において、胸壁510および横隔膜530に隣接して肺500が見える。図8に示すように、胸膜腔520(肺500と横隔膜530の間)は融合しておらず、接着を示していない。この例においては、カテーテルは挿入されておらず、硬化剤も導入されていない。このため、胸膜腔は「通常」の状態として見えている。
図9Aは、融合胸膜腔を有する動物標本の全病理を示す写真である。図9Aに示すように、実施例4について上に述べた手順に従って、持続放出カテーテル540が胸壁610および横隔膜630に隣接する肺600を取り囲む胸膜腔に挿入されている。この特定の標本において、カテーテル540は硝酸銀で被覆され、14日間にわたっておよそ50mgの投与量を送達した。図9Aに示すように、胸膜腔620は融合され、カテーテル540からの硝酸銀の持続放出によって有効な胸膜癒着が実現された。胸膜腔620は、胸膜層の大部分を融合した広範な胸膜癒着、およびカテーテル540から離れた領域の胸膜層の接着を示している。
図9Cは、対側(左)対照胸膜腔(p≦0.05以下)と比較した時と同様に、未被覆カテーテル(p<0.05)と比較して、被覆カテーテル(24mgまたは50mg)を受けた動物の右胸膜腔では、組織学的繊維症スコア(0〜4の尺度)が顕著に高かったことを示している。図9Bは、50mg被覆カテーテルで治療された動物において、広範囲な繊維症(等級4)を示して結果的に胸膜癒着となった肺および胸膜腔の組織学的切片(ムスト染色)を示す。
実施例5:被覆カテーテル投与、ヒツジモデル
本調査の目的は、大動物モデルにおいて、低用量の硝酸銀を14日間継続して溶出させる持続放出カテーテルによる有効な胸膜癒着を実証することである。
実験手順:胸膜カテーテル留置-ヒツジ
本調査は、右胸膜腔へのSN被覆カテーテル留置からなる4匹のヒツジの群におけるインビボ実験からなった。4匹の対照動物は、薬剤溶出被覆のない胸部チューブ留置を受けた。各動物の対側胸膜腔は、更なる対照の役割を果たした。
体重を含むバイタルサインの監視を毎日行った。29日目に動物を安楽死させ、胸膜、肺の顕微鏡検査を含む解剖を行った。4匹の動物の第三群は、試験の初期投与量で胸膜癒着スコアが5を超えたため、25%少ない投与量で被覆したカテーテルを留置した。
体重25〜30kgの1才のヒツジ(サフォーク種)の、胸膜疾患および胸膜癒着術に関して十分に記述されている動物モデルを使用した。(Leeら、2002;Leeら、2000)。調査を完了するために合計12匹の動物を必要とした。全ての動物は、病原体への曝露を最小限にするように収容した。動物は、標準作業手順に従って飼育した。
動物を入浴させて毛刈りした。吸入によって全身麻酔を誘導した。胸壁周辺および背部を剃毛し、麻酔の誘導後、手洗いおよび準備手順の前に、動物を左側臥位で配置した。マスクによって酸素補給を行った。追加の脇孔を有する医療グレードシリコーンチューブで設計された滅菌胸膜カテーテルを、以下のように右胸膜腔に挿入した。メスで3cmの皮膚切開を、第七肋間腔の脊柱線から15から20cm側方の胸部右側面に施した。鉗子で皮下筋膜を保持し、ハサミで切開して0.5cmの開口部を設けた。
先の尖っていない曲がった鉗子を使用した鈍的剥離で胸膜腔に進入し、それによって下層の肺の損傷を回避した。その後開いた鉗子を通ってチューブを10〜15cmの距離、前方にゆっくりと前進させた。開存性を確認し、カテーテル挿入中に胸膜腔内に進入した可能性のある空気を再吸収するために、シリンジでチューブを吸引した。
また、カテーテルの近位端を、動物の背部まで皮下に通し、移動を防止するために縫合した。これは、正中線の椎体の高さに1cmの皮膚切開を施し、その先に後方へ、そしてカテーテル挿入部位に向けて側方に、皮下にストレート(strait)鉗子の経路を設けることによって実行した。その後チューブの近位端を、鉗子で引き戻して背部の切開から出した。無針IVアダプタをチューブの近位端に取り付け、開存性および気胸がないことを確実にするためにチューブを再び吸引した。背部切開を縫合し、無針IVポートを包囲して、所定位置に保持した。それぞれ2〜3本の2.0絹縫合糸を使用して、挿入部位の胸壁、筋膜および皮膚を閉鎖した。一旦回復が見られたら、動物を収容領域に戻した。拒食症状、歯ぎしり、手術部位をかばう、または興奮などの痛みの兆候が見られた場合、調査中に必要に応じてブプレノルフィン0.01〜0.02mg/kg sc q6-8hの鎮痛を与えた。
カテーテルの構成
カテーテルは、外径4.88mmの医療グレードシリコーンチューブ(チューブ1cmあたりの表面積1.533cm2)で構成した。カテーテル被覆は、14日間にわたってSN用量を送達するように、遠位13cmにわたって適用した。硝酸銀の用量は、ウサギモデルでの先の実験から推定した。ヒツジにおける硝酸銀単回投与の調査は報告されていないが、他の胸膜癒着剤は、臨床で使用されているものと同様の投与量で有効なようである。最初の4匹の治療動物に、合計14日間1,000mgの硝酸銀を使用した。その有効性を考慮して、追加群はより少ない750mgの投与量で治療した。
ドレナージを容易にするために、被覆のすぐ近傍に追加のドレナージ脇孔を設けた。エチレンオキサイドガスでカテーテルを滅菌し、密封された滅菌パッケージに梱包した。各チューブの近位端は、留置の際に滅菌アクセス/弁システムに取り付けた。
臨床看護および監視
全ての動物は、牧羊標準作業手順に従って看護した。動物の健康状態を毎日評価した。調査の1、8、15、22および29日目に体重を測定した。治療に先立って、また1、8、15、22および29日目に、獣医師スタッフによるその日の臨床観察および臨床検査を実施した。胸膜カテーテルから液体を定期的に吸引し、排出された液体の量を記録した。胸膜カテーテルは、排出液が2日連続で1日あたりヒツジ1匹あたり20ml未満になるまで、最低14日間維持した。
安楽死および解剖
調査の29日目にEuthanyl-Forte(ペントバルビタール540mg/mL、50kgあたり10ml)を、手で拘束した状態で頸静脈に静脈注射して動物を安楽死させた。剖検の際に、胸部を腹側に開いて胸膜腔を露出した。肉眼による胸膜癒着の度合いを、図5に示す8点評点方式に従って評価した。臓側胸膜、横隔膜および肺の試料を左右対称に採取し、リン酸緩衝生理食塩水に10%のホルマリンを混ぜたものの中に入れた。
統計分析
a.データ解析:胸膜癒着スコアおよび実験値の平均値を計算した。
b.統計:特定の投与量で与えられた薬剤の平均胸膜癒着スコアの比較を、t検定で適切な対照と比較した。4匹の動物の群を使用することで、αを0.05、βを0.8とする1.5から6の胸膜癒着スコアの差(すなわち、標準偏差を3とする4.5点差)を検出することができた。
結果
治療(右)側の平均胸膜癒着スコアは、未被覆、750mgおよび1g群でそれぞれ1.0、6.67および7.33であった(各SN群でp=0.001対未被覆)。1g群では、3匹全ての動物で、カテーテル部位から離れた半胸郭の癒着を伴うカテーテル部位から離れた臓側および壁側胸膜の間の多くの広範な接着が見られた。1g群の各標本は、図5で説明される評点方式に従って、7以上のスコアを示した。未治療(左)側のスコアは、全ての群において1.0であった。図10および11はそれぞれ、本調査における各動物の胸膜癒着スコアを示すデータの表およびグラフを提供する。
持続放出特性の証明
本開示で提供される方法に従って硝酸銀で被覆されたカテーテルからの硝酸銀の有効な持続放出を実証するために、実験を行った。持続放出被覆からの薬剤の溶出動態は、インビボまたはインビトロで測定することができる。(Spadorら、1974;Schaefferら、1988;Makiら、1988;Groegerら、1993;Raadら、1996)。下記のインビトロ実証方法で使用したカテーテルは、上記のインビボ実験で利用したカテーテルと同等であった。
システムに導入される薬剤動態を測定するための標準的インビボ法(通常は経口投与による)は、循環系における薬剤の量を測定することである。この方法は、一般的に最も精密であると考えられており、どのように薬剤がシステムに拡散されるのかを正確に描写する。しかし、胸膜疾患の治療では、全身的または血管内吸収は望ましい結果ではないので、この方法は関連がない。
インビトロ法は、より基本的でありながら受け入れられている放出動態測定方法である。試料を溶液(通常はpH5または7を維持)に導入し、溶出された薬剤の量を一定時間ごとに測定する(1〜10)。その後、以下の数式から溶出された薬剤の量を求める。
Figure 2011514171
式中:
mSN=所定時間に試料から放出された硝酸銀(SN)の量(mg);
CSN=抽出試料における硝酸銀(SN)の濃度(mg/ml);
Ve=システムを再循環する溶出液の量(ml);
Vi=抽出試料iの量(ml);
Ci=抽出試料iにおける硝酸銀(SN)の濃度(mg/ml)。
測定手順
50mlの蒸留水および既知の量の乾燥ヒドロゲル/銀被覆カテーテルを容器に入れ、光から保護した。システムの温度を37℃に保ち、55rpmの撹拌に設定した。
最初の一時間の後、2mlの溶液をピペットで除去し、直ちに2mlの水(または溶媒)で置き換えた。生理溶液は遊離銀を沈殿させ、カテーテルの表面上に動態を修飾する可能性のあるタンパク質の層をも付着させるので、インビトロ試験では、ヒドロゲル/銀被覆カテーテルの溶出速度を試験するために蒸留水を使用した。インビボ設定では、タンパク質/銀錯体が分解され、その分子形態に硝酸銀が見られ、動態は影響されない。溶液中のAgNO3の濃度を各時点で二つの異なる方法で測定した:(1)電気化学的:ASV法(Anode Stripping Voltammetric)および(2)原子吸光:AAS法(Atomic Absorption Spectroscopy)。
ポリウレタンカテーテルからの銀イオンの放出動態
ヒドロゲル/銀被覆で被覆されたポリウレタンカテーテルからの硝酸銀の拡散の動態の例を、図12に示す。図に示すように、カテーテルから溶出する硝酸銀の量は、10日間にわたってほぼ一定のままであった。
図13に示すように、エチレンオキサイドによる滅菌は、カテーテル上の硝酸銀の量を減少させず、放出動態も修飾しなかった。
シリコーンカテーテルからの銀イオンの放出動態
上述のポリウレタンカテーテルに加えて、外径4.88mmのシリコーンカテーテル(チューブ1cmあたりの外表面積1.533cm2)も使用した。シリコーンカテーテルは、13cmの長さにわたって被覆した。Si5AおよびSi5Bの、二つの異なる用量のカテーテルを用意した。Si5Aは、10日間にわたって13cmの被覆カテーテルでおよそ250mgの硝酸銀を一定して溶出し続け、これは図14の最初の3日間で示されている。Si5Bは、13cmの被覆カテーテルでおよそ150mgを一定して溶出し続け、図15は14日間全てのこの一定の溶出を示している。実験的試験の間、硝酸銀のおよそ20パーセントが14日間の試験期間の後もカテーテル上に残留することが観察された(1日あたりおよそ5.7%の硝酸銀平均放出速度となる)。
参考文献
以下の各参考文献は、参照により本明細書に組み入れられる。
Figure 2011514171
Figure 2011514171
Figure 2011514171

Claims (21)

  1. 以下の工程を含む、胸膜癒着を促進する方法:
    近位端と、
    遠位端と、
    胸膜層の炎症または繊維症を促進するように構成された、遠位端の近傍の硬化剤と、
    を含むカテーテルを提供する工程;
    カテーテルの遠位端を、第一の胸膜層と第二の胸膜層との間の胸膜腔に挿入する工程;
    胸膜腔内に、ある期間にわたって硬化剤の持続放出を提供する工程;ならびに
    第一および第二の胸膜層の広範な胸膜癒着を生じさせる工程。
  2. 期間が24時間以上である、請求項1記載の方法。
  3. 硬化剤が硝酸銀を含む、請求項1記載の方法。
  4. 第一の胸膜層が臓側胸膜層であって第二の胸膜層が壁側胸膜層であり、かつ広範な胸膜癒着が半胸郭の少なくとも25%の胸膜癒着を含み、かつ臓側胸膜層が複数の箇所で壁側胸膜層に融合する、請求項1記載の方法。
  5. 第一の胸膜層が臓側胸膜層であって第二の胸膜層が壁側胸膜層であり、かつ広範な胸膜癒着が半胸郭の少なくとも50%の胸膜癒着を含み、かつ臓側胸膜層が複数の箇所で壁側胸膜層に融合する、請求項1記載の方法。
  6. 広範な胸膜癒着が第一の胸膜層と第二の胸膜層との間の複数の接着を含み、かつ複数の接着の一部は、カテーテルの遠位端を胸膜腔に挿入した時にカテーテルの遠位端から少なくとも3cmの位置にある、請求項1記載の方法。
  7. カテーテルを通じて胸膜腔から胸水または空気を排出する工程を更に含む、請求項1記載の方法。
  8. 胸水が、癌、鬱血性心不全、肝硬変、結核、肺炎、肺塞栓、膵炎、または膠原血管病と関連する、請求項7記載の方法。
  9. 胸水が悪性胸水を含む、請求項7記載の方法。
  10. 以下の工程を更に含む、請求項1記載の方法:
    陰圧を生じる装置を提供する工程;
    装置をカテーテルに接続する工程;および
    胸膜腔に陰圧を提供するために装置を操作する工程。
  11. 装置に接続された容器に胸水を排出する工程
    を更に含む、請求項10記載の方法。
  12. 以下の工程を含む、胸膜疾患を治療する方法:
    近位端と、
    遠位端と、
    胸膜層の炎症または繊維症を促進するように構成された、遠位端の近傍の硬化剤と、
    を含むカテーテルを提供する工程;
    カテーテルの遠位端を、第一の胸膜層と第二の胸膜層との間の胸膜腔に挿入する工程;
    カテーテルを通じて胸膜腔から胸水または空気を排出する工程;および
    胸膜腔内に、ある期間にわたって硬化剤の持続放出を提供する工程。
  13. 第一の胸膜層と第二の胸膜層の広範な胸膜癒着を生じさせる工程を更に含む、請求項12記載の方法。
  14. 期間が24時間以上である、請求項12記載の方法。
  15. 胸膜疾患が気胸である、請求項12記載の方法。
  16. 硬化剤が硝酸銀を含む、請求項12記載の方法。
  17. 以下の工程を更に含む、請求項12記載の方法:
    陰圧を生じる装置を提供する工程;
    装置をカテーテルに接続する工程;および
    胸膜腔に陰圧を提供するために装置を操作する工程。
  18. 以下の工程を含む、2つの胸膜層を融合させる方法:
    硝酸銀で被覆され、近位端および遠位端を含む、カテーテルを提供する工程;
    カテーテルの遠位端を第一の胸膜層と第二の胸膜層との間の胸膜腔に挿入する工程であって、カテーテルの遠位端は挿入点から挿入される、工程;
    硝酸銀の持続放出を胸膜層内に提供する工程;ならびに
    第一の胸膜層および第二の胸膜層の胸膜癒着を生じさせる工程であって、
    胸膜癒着は第一の胸膜層と第二の層との間の複数の接着を含み、
    複数の接着は第一の胸膜層の表面積の少なくとも25%にわたり、および
    接着のうち少なくとも1つは挿入点から5センチメートルを超える距離がある、工程。
  19. 以下の工程を更に含む、請求項18記載の方法:
    陰圧を生じる装置を提供する工程;
    装置をカテーテルの近位端に接続する工程;および
    胸膜腔に陰圧を提供するために装置を操作する工程。
  20. 胸膜層内への硝酸銀の持続放出が少なくとも12時間の期間にわたって起こる、請求項18記載の方法。
  21. 以下の工程を含む、カテーテルを被覆する方法:
    (a)カテーテルまたはその一部分を被覆するためにキトサン溶液に導入し、カテーテルまたはその一部分をこの溶液中に第一の期間のあいだ保持する工程であって、キトサン溶液が酢酸を含む、工程;
    (b)その後、カテーテルまたはその一部分を第一の硝酸銀溶液に導入し、カテーテルまたはその一部分をこの溶液中に第二の期間のあいだ保持する工程;
    (c)その後、カテーテルまたはその一部分を第二の硝酸銀溶液に導入し、カテーテルまたはその一部分をこの溶液中に第三の期間のあいだ保持する工程;
    (d)カテーテルまたはその一部分を乾燥する工程;
    (e)ヒドロゲルを形成するために工程(a)〜(c)を繰り返し、かつ
    (i)カテーテルまたは一部分をグルタルアルデヒド溶液に導入し、カテーテルまたはその一部分をこの溶液中に第四の期間のあいだ保持するか;または
    (ii)カテーテルまたはその一部分をヒアルロン酸ナトリウム溶液に導入し、カテーテルまたは一部分をこの溶液中に第五の期間のあいだ保持した後、カテーテルまたはその一部分を第三の硝酸銀溶液に導入し、カテーテルまたはその一部分をこの溶液中に第六の期間のあいだ保持する、
    工程であって、工程(i)または(ii)に続いて、カテーテルまたはその一部分を乾燥する、工程。
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