JP2011252778A - 磁界プローブを用いた電気機器の部分放電検出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】磁界プローブを一度の校正作業を行っただけで、部分放電の電荷量を精度良く検出、算出ができるようにした。
【解決手段】電気機器本体に課電しないで、校正器を接続して校正パルスと整流器などの電流ノイズを流す。すると、磁界プローブ15が校正パルスと電流ノイズによる磁界信号を検出し、その信号はLPF18L、HPF18Hを通ったのち、信号処理部19に入力されて処理され、ノイズの電荷量が求められて記憶部20に保存される。次に、前記電気機器本体に課電し、磁界プローブ15が部分放電パルスと電流ノイズによる磁界信号を検出すると、磁界信号は、LPF18L,HPF18Hを経たのち、信号処理部19に送られ、部分放電の電荷量が求められる。ここで、磁界プローブ15を校正時と異なる位置となってもノイズの大きさを求めることにより、磁界プローブ15の校正を再度やり直すことなく部分放電電荷量が算出可能となる。
【選択図】図3
【解決手段】電気機器本体に課電しないで、校正器を接続して校正パルスと整流器などの電流ノイズを流す。すると、磁界プローブ15が校正パルスと電流ノイズによる磁界信号を検出し、その信号はLPF18L、HPF18Hを通ったのち、信号処理部19に入力されて処理され、ノイズの電荷量が求められて記憶部20に保存される。次に、前記電気機器本体に課電し、磁界プローブ15が部分放電パルスと電流ノイズによる磁界信号を検出すると、磁界信号は、LPF18L,HPF18Hを経たのち、信号処理部19に送られ、部分放電の電荷量が求められる。ここで、磁界プローブ15を校正時と異なる位置となってもノイズの大きさを求めることにより、磁界プローブ15の校正を再度やり直すことなく部分放電電荷量が算出可能となる。
【選択図】図3
Description
本発明は、電気機器で発生した部分放電を、磁界プローブを用いて検出する電気機器の部分放電検出方法に関するものである。
高圧の電気設備や機器に共通して発生する異常現象としては、製造時の不良や経年劣化の影響による部分放電の発生が挙げられる。一般的にモールド機器などに使用される絶縁材料内部に微小な空隙欠陥部(ボイド)や剥離部などがあると、運転時にその部分に電界が集中し、部分放電と呼ばれる微弱な放電が発生する。また、モールド絶縁体表面の汚損の影響によっても部分放電が発生することがある。
特に、後者の場合には、汚損を除去すれば、部分放電は防止できるけれども、前者の場合の部分放電は、防止が困難であり、回復性はない。従って、部分放電が発生した状態で運転を継続すると、ボイドや剥離状態を進展させる恐れがあり、最終的には、絶縁破壊に至る危険性がある。
このため、電気機器で発生する部分放電を検出する手段が種々開発されるようになってきた。その1つに磁界プローブを用いた電路の部分放電検出方法がある(特許文献1参照。)。
この検出方法は、電路の近傍に磁界センサを設け、このセンサで検出した信号を周波数解析し、所定の周波数範囲の信号の周波数と該周波数毎に対応する信号の大きさのデータを求め、このうち、第一の閾値を超える大きさを有する信号のデータ数を積算し、該積算値が第二の閾値を超えた場合に部分放電が発生したと判断するものである。
また、他の1つは、課電導体(接地導体)の近傍に磁界プローブを近づけ、検出した信号を周波数解析し、所定周波数範囲の各周波数信号レベルのデータを求め、レベル順の設定範囲のデータ平均値を求め、この平均値の大小に基づき部分放電の有無を判断するものである(特許文献2参照。)。
上記何れの特許文献でも、バックグランドノイズの判別については、磁界プローブを電路などから一定の距離離間させた状態で事前にノイズの検出を行い、部分放電と検出信号との差分を算出するなどの処理を行って判定している。
磁界プローブで検出されるノイズは2つ考えられる。1つは、空間を伝搬してくる磁界ノイズであり、もう1つは、接地線を流れる電流ノイズである。前記両特許文献とも、前者の磁界ノイズの判別について述べたものである。
上記部分放電検出方法は、放電検出対象電路近傍に磁界プローブを設置して、磁界ノイズを検出する。図6は接地線近傍に磁界プローブを設置した例を示す概略構成説明図で、図6において、110は変圧器などの電気機器、111はブッシング、112は電力系統、113は架台、114は電気機器110に接続された接地線、115は磁界プローブ、116は検出器本体である。
図6に示す接地線114の近傍に設置(配置)された磁界プローブ115で部分放電を検出して検出器本体116で部分放電が検出されるが、このとき、磁界プローブ115の設置の仕方(接地線114からの距離や向きなど)により信号出力の大きさが異なってくる。特に、接地線114からの距離によって信号出力の影響が大きく異なってくる問題がある。
図7は磁界プローブの設置位置と接地線からの距離を変化(符号Aから符号Bへと変化)させた場合における磁界プローブの出力変化特性図で、横軸に接地線からの距離を、縦軸に(磁界プローブ出力/最大出力)*100[%]を取った場合の接地線からの距離の影響を表したものである。
上記磁界プローブの代わりに、別の手段として高周波CTを使用して信号を検出する場合もあるが、この高周波CTによる信号検出方法は、設置手段の違いによる影響を殆んど受けずに磁界ノイズを検出できる利点があるけれども、以下のような問題がある。
実フィールドにおける接地線は、インシュロックで配線を固定している場合や絶縁筒に収納されている場合が多々ある。このように構成された接地線に高周波CTを設置するには、一般に、高周波CTでは、分割型が使用されて、高周波CT内に接地線を貫通配置することが行われているために、接地線の固定を取外したり、絶縁筒の一部を破壊して高周波CTを配置しなければならない作業を伴う場合がある。
また、接地線を被覆しているインシュロックを剥がすことにより、高周波CTの設置が可能な場合でも、高周波CTの設置作業に伴う時間が余分に費やされるという問題がある。
この点では、磁界プローブの方が接地線に磁界プローブを近接(隣接)させることで信号を検出することができるため、高周波CTの設置作業に比較して容易に設置できるので優れている。
ただし、接地線にインシュロックや絶縁筒があるため、磁界プローブを接地線に均一(常時一定)に密着させて設置することが難しく、信号検出出力の大きさが不安定となる問題がある。
一般的には、部分放電が発生した場合、定量的な評価判定方法としては、部分放電の放電電荷量(大きさ)をpC「ピコクーロン」で表す手段が取られている。このため、検出した信号を電荷量に換算するためには、校正器(パルスジェネレータ)を使用した校正作業が必要である。次にこの校正作業について述べる。
まず、高周波CTの場合は、高周波CTを信号検出対象電路(接地線)に設置しておき、停電中に校正器を対象電気機器に接続し校正信号を入力する。その時の信号出力の大きさを既知放電電荷量出力レベルとして把握しておく。その後、電気機器設備に受電し信号出力の大きさを検出し、事前に実施した校正作業により把握している既知放電電荷量出力レベルと比較して、実際に発生している部分放電の放電電荷量(大きさ)が何pC[ピコクーロン]であるかを算出する。なお、上記校正作業は通常一回実施すればよい。
一方、磁界プローブの場合は、磁界プローブを放電検出対象電路(接地線など)の近傍に設置した状態で、電気機器設備を停電状態にて校正器(パルスジェネレータ)を対象電気機器に接続し校正信号を入力する。その際に磁界プローブ設置位置での検出信号出力の大きさを把握し校正値とする。その後、磁界プローブの設置位置を動かさず、設備に受電し、磁界プローブの信号出力の大きさを検出し、前記校正値を基に部分放電の電荷量(大きさ)が何pC[ピコクーロン]であるかを算出する。このとき、磁界プローブの設置位置が変更されると信号出力も変化するため、以上の部分放電の校正作業は、部分放電の検出を行う(磁界プローブを設置)毎に実施する必要がある。
また、部分放電をトレンド監視(定期的な監視)する場合は、検出箇所毎に一度校正作業を行い、その後、定期的(例えば2ヶ月に一度など)に検出を行い部分放電のパルス波の電荷量(大きさ)や発生頻度の変動を監視する手法が一般的である。高周波CTでは既にデータ収集が行われているものもあるが、磁界プローブによる部分放電のトレンド監視手法は行われていない。
この理由は、磁界プローブでは、元の電流信号の大きさが同じでも、磁界プローブ設置の仕方(状態)により信号出力の大きさが変化するために行われていない。このような問題を解決するには、毎回停電を取ってプローブの校正作業を実施すれば可能であるが、現実的には極めて難しい。
高周波CTと比較して磁界プローブを用いた部分放電の検出は、磁界プローブの接地線への設置手段(特に接地線と磁界プローブ間距離の影響が大きい)により信号出力の大きさが異なるため、検出信号の信頼性に問題が生じる。特に実フィールドにおいて、インシュロックや絶縁筒が付帯している場合は、設置状況を一定(接地線への磁界センサ「磁界プローブ」隣接もしくは接地線との距離一定)とすることが難しい問題がある。
このため、部分放電の放電電荷量(大きさ)を算出する場合、鉄心を有するため接地線電流により発生する磁界を安定して検出できる高周波CTでは、一度校正作業をすれば検出時の高周波CTの設置状況が異なっても、高周波CTが接地線を貫通していれば、検出結果に影響を及ぼすことは無い。
しかし、磁界プローブの場合は、設置状況が変わると、例えば、図7に示すように、磁界プローブの設置位置が、接地線から「符号A」から「符号B」に変化すると検出出力が「80%」から「58%」に減衰するため、磁界プローブを設置するたびに、その都度、磁界プローブの校正を行わないと部分放電の放電電荷量を算出することができない問題を持っている。
よって、磁界プローブを使用して部分放電をトレンド監視する場合には、部分放電の放電電荷量で判断するため、その都度、磁界プローブを校正する必要がある。
さらに、磁界プローブにより部分放電を検出する時、部分放電以外の電流ノイズが同時に検出される場合があり、この電流ノイズを誤って部分放電と判断してしまうことがある。
本発明の目的は、上記の事情に鑑みてなされたもので、磁界プローブを接地線に近接設置して予め電流ノイズによる基準データと校正パルス電流とによるデータから磁界プローブの校正を行い、その後、電気機器本体に通電したときに発生する部分放電パルス電流を、校正した磁界プローブで検出することにより、精度良くかつ確実に部分放電を検出することができ、しかも、磁界プローブの設置位置が変化して接地線から離れても電流ノイズの基準データも部分放電パルスのデータも相対的に変化するので、校正した磁界プローブで精度良くかつ確実に部分放電の電荷量を求められ、部分放電を検出することができる磁界プローブを用いた電気機器の部分放電検出方法を提供することにある。
上記の課題を達成するために、請求項1に係る発明は、部分放電信号検出対象の電気機器本体と、この電気機器本体のアース端子に接続される接地線と、この接地線に沿う近傍に配置され、接地線に流れる電流ノイズと機器本体からの部分放電パルス電流により発生する磁界信号を捕捉する磁界プローブとを設け、この磁界プローブで捕捉された磁界信号を処理して部分放電信号を検出する方法において、
前記電気機器本体への課電を停止した後、電流ノイズとプローブ校正用パルス電流とを前記接地線に流して、これらにより発生した磁界信号を前記磁界プローブで捕捉し、その捕捉した磁界信号を第1、第2フィルタにより処理し、第1フィルタでは、電流ノイズを抽出して電流ノイズの大きさを基準データとして得、第2フィルタでは、校正パルス電流を抽出して校正パルス電流の大きさのデータを得、
両データから電流ノイズの電荷量を求めて磁界プローブの校正を行い、
その後、前記電気機器本体へ課電を行った後に、磁界プローブが、部分放電パルスと電流ノイズによる磁界信号を捕捉したとき、これら磁界信号を第1、第2フィルタにより処理し、電流ノイズの大きさのデータと部分放電パルスの大きさのデータを得、部分放電の電荷量を求めて部分放電を検出することを特徴とするものである。
前記電気機器本体への課電を停止した後、電流ノイズとプローブ校正用パルス電流とを前記接地線に流して、これらにより発生した磁界信号を前記磁界プローブで捕捉し、その捕捉した磁界信号を第1、第2フィルタにより処理し、第1フィルタでは、電流ノイズを抽出して電流ノイズの大きさを基準データとして得、第2フィルタでは、校正パルス電流を抽出して校正パルス電流の大きさのデータを得、
両データから電流ノイズの電荷量を求めて磁界プローブの校正を行い、
その後、前記電気機器本体へ課電を行った後に、磁界プローブが、部分放電パルスと電流ノイズによる磁界信号を捕捉したとき、これら磁界信号を第1、第2フィルタにより処理し、電流ノイズの大きさのデータと部分放電パルスの大きさのデータを得、部分放電の電荷量を求めて部分放電を検出することを特徴とするものである。
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記第1フィルタには、ローパスフィルタを、第2フィルタにはハイパスフィルタを設けたことを特徴とするものである。
請求項3に係る発明は、請求項1において、前記第1、第2フィルタには、バンドパスフィルタを設けたことを特徴とするものである。
本発明によれば、磁界プローブを使用して部分放電の電荷量(大きさ)を検出する場合に、従来は、接地線から磁界プローブを離して再度設置するたびに磁界プローブの校正を実施する必要があったが、本発明では、校正パルス電流の大きさのデータだけでなく電流ノイズの大きさのデータを一緒に測定して磁界プローブを校正することにより、接地線からの磁界プローブ設置位置が変化すると、部分放電パルス電流の大きさのデータも変化するが、電流ノイズの大きさのデータも相対的に変化するために、一度磁界プローブを校正すれば、電流ノイズの大きさのデータを測定することにより、部分放電電荷量(大きさ)を精度良く検出可能となる利点がある。
また、本発明によれば、磁界プローブを使用して部分放電をトレンド監視する場合、従来では毎回設備を停止して磁界プローブの校正を行う必要があったため、トレンド監視が実施できなかったが、一度の磁界プローブの校正で可能となるために、この不具合を解消してトレンド監視の実施を可能とすることができるようにした。また、フィルタにより部分放電パルス電流と電流ノイズを分別することにより、電流ノイズを誤って部分放電と判断することなく、精度良く検出が可能となる。
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の実施例1を示す部分放電検出対象の電気機器本体の概略構成及び磁界と磁界プローブの関係説明図で、この実施例1では電流ノイズとして整流器ノイズの場合について述べる。
まず、磁界信号Hの処理について図1について説明する。図1において、10は部分放電検出対象の電気機器本体で、この電気機器本体10からは電路(以下接地線と称す)11が図示しないアース端子に接続されている。なお、12はライン側導体、13,14はブッシングである。
15は磁界信号Hを検出する磁界プローブで、この磁界プローブ15は接地線11に沿う近傍に設置される。特に磁界プローブ15の接地線11への設置位置は、接地線11に流れるパルス電流i(このパルス電流iは、電気機器本体内で発生する部分放電や整流器のスイッチングにより発生する電流ノイズ)による磁界信号H(後述の図4に示す(a),(b),(c))が捕捉できる向きに配置される。前記磁界プローブ15で捕捉された磁界信号Hは、図2に示すように、接地線11と磁界プローブ15からの距離に対する磁界プローブの出力変化特性のようになる。
この図2に示す出力変化特性図は、接地線11と磁界プローブ15の距離が変化すると磁界プローブ15の出力[Hk(Hpd),Hn]も距離に応じて変化し、接地線11と磁界プローブ15との距離が大きくなるにつれて出力「Hpd’、Hn’」が相対的に減衰してくる。この実施例1は、この出力変化特性を利用したものである。
次に、図3に示す信号処理ブロック図について述べる。図3において、16はアンプで、このアンプ16で前記磁界信号Hが増幅されて、分配器17に供給された後、この分配器17で、磁界信号がローパスフィルタ(LPF:f1)18Lとハイパスフィルタ(HPF:f2)18Hに送られる。ローパスフィルタ18Lにより磁界信号は信号1L(図4(b))が抽出され、また、ハイパスフィルタ18Hにより磁界信号は信号2H(図4(a),(c))が抽出されて信号処理部19に送られる。信号処理部19では信号1Lの大きさ「Hn」と信号2Hの大きさ[Hk(Hpd)]を求めて、記憶部20に記憶されるとともに、判定部21と表示部22に供給され、適宜そのデータは表示部22の表示画面に表示される。
次に磁界信号Hから部分放電を検出する前に、図3に示す信号処理ブロック図を用いて磁界プローブ15の校正を行う。まず、部分放電検出対象とする電気機器本体10の停電をとり、校正器(パルスジェネレータ)を電気機器本体10に接続して校正パルス電流(以下校正パルスと称す)を接地線11に流す。
すると、磁界プローブ15には、校正パルス電流と電流ノイズ(ここでは周期的で大きさがほぼ一定レベルの整流器ノイズで説明する)による磁界信号Hが検出される。この磁界信号Hには、図4(a),(b)に示す校正パルスの大きさ「Hk」と整流器ノイズの大きさ「Hn」が含まれる。
磁界信号Hは、磁界プローブ15で検出された後、アンプ16に送られて信号が増幅されてから分配器17に供給され、分配器17に供給された信号は、2つに分配されてローパスフィルタ18Lとハイパスフィルタ18Hに送られる。
接地線11に流れる校正パルスと整流器ノイズ(電流ノイズ)の主な周波数成分は、実フィールドでの周波数測定結果より図5に示すように、電流ノイズは周波数f2以下のkHz帯、校正パルスは周波数f1以上のMHz帯が主成分となる。(一般的に市販されている部分放電校正用パルスジェネレータのパルス信号は、あらかじめ部分放電検出を想定した周波数成分MHz帯に合わせて設定されている。)
なお、ローパスフィルタ18Lの設定周波数はf1、ハイパスフィルタ18Hの設定周波数はf2に設定されているため、ローパスフィルタ18Lの出力信号1Lは、電流ノイズのみとなり、ハイパスフィルタ18Hの出力信号2Hは校正パルスのみ(分別され)となって出力される。
なお、ローパスフィルタ18Lの設定周波数はf1、ハイパスフィルタ18Hの設定周波数はf2に設定されているため、ローパスフィルタ18Lの出力信号1Lは、電流ノイズのみとなり、ハイパスフィルタ18Hの出力信号2Hは校正パルスのみ(分別され)となって出力される。
出力された信号1Lと信号2Hは信号処理部19に送られて、この信号処理部19では信号1L,信号2Hの大きさ「Hn」と「Hk」(図2及び図4に示す)を求め、電流ノイズの大きさ(電荷量)を求めておく。例えば、校正パルスの大きさを100[pC]としたならば、電流ノイズの大きさ(電荷量)Nは次式から求める。
電流ノイズの大きさ(電荷量)N=100×Hn/Hk[pC]
上記のようにして求められた電流ノイズの大きさ(電荷量)のデータNは、校正値として記憶部20に送られて記憶保存されるとともに、この校正値を用いて部分放電の検出を判定部21により行う。また、そのデータNは、表示部22にも送られて適宜画面に表示される。このようにして磁界プローブ15を校正した後、電気機器本体10から校正器を取り外す。
上記のようにして求められた電流ノイズの大きさ(電荷量)のデータNは、校正値として記憶部20に送られて記憶保存されるとともに、この校正値を用いて部分放電の検出を判定部21により行う。また、そのデータNは、表示部22にも送られて適宜画面に表示される。このようにして磁界プローブ15を校正した後、電気機器本体10から校正器を取り外す。
次に部分放電の検出を実施するには、部分放電検出対象とする電気機器本体10を課電する。この課電により、電気機器本体10から部分放電パルス電流が発生すると、そのパルス電流は、接地線11に整流器ノイズとともに流れ、接地線11の周囲には磁界信号Hを発生する。すると、この磁界信号Hを磁界プローブ15が検出する。
検出された磁界信号Hは、磁界プローブ15からアンプ16に送られて信号が増幅され、その増幅信号は、分配器17に送られて分配され、ローパスフィルタ18Lとハイパスフィルタ18Hに供給される。
部分放電パルスと整流器ノイズの主な周波数成分は、実フィールドでの周波数測定結果より図5に示すように、ノイズは周波数f2以下となり、部分放電パルスは周波数f1以上となる。ここで、ローパスフィルタ18Lの設定周波数がf1、ハイパスフィルタ18Hの設定周波数がf2と設定されているため、ローパスフィルタ18Lの出力信号1Lはノイズのみとなり、ハイパスフィルタ18Hの出力信号2Hは部分放電パルスのみとなって出力される。
出力された信号1Lと信号2Hは、信号処理部19に送られ、この信号処理部19で、信号1Lのノイズによる磁界信号の大きさ「Hn」と、信号2Hの部分放電パルスによる磁界信号の大きさ「Hpd」とを求めるとともに、記憶部20に記憶されている、前述したデータNを利用して以下の処理を実施して部分放電の電荷量(大きさ)等を求める。
まず、処理「1」としては、次の(a),(b)がある。
(a)磁界プローブ15が、プローブ校正時と同じ設置位置とした場合(図2に示す符号C)は、ノイズによる磁界信号Hnは,変化しないので、校正時に求めておいたノイズの電荷量(大きさ)がデータN[pC]であるから、部分放電の電荷量は、下記式から求められる。
部分放電の電荷量=N×Hpd/Hn[pC]
(b)次に、磁界プローブ15が、プローブ校正時の設置位置と異なる位置に変化した場合(図2に示す符号D)は、信号1Lの大きさが[Hn’]と変化するが、信号2Hの大きさも[Hpd’]と相対的に変化するため、部分放電の電荷量は、下記式から求められる。
(b)次に、磁界プローブ15が、プローブ校正時の設置位置と異なる位置に変化した場合(図2に示す符号D)は、信号1Lの大きさが[Hn’]と変化するが、信号2Hの大きさも[Hpd’]と相対的に変化するため、部分放電の電荷量は、下記式から求められる。
部分放電の電荷量=N×Hpd’/Hn’[pC]
従来では、磁界プローブ15の設置位置の距離が変化すると、その都度、プローブの校正をやり直さなければ、部分放電の電荷量が検出(算出)できなかったが、この実施例1では磁界プローブ15の設置位置の距離が変化すると、ノイズの大きさも変化して減衰し、これに伴って部分放電パルスの大きさも相対的に変化して減衰するので、ノイズの大きさを求めることにより、磁界プローブの校正を再度やり直すことなく部分放電電荷量の検出(算出)が可能となる。
従来では、磁界プローブ15の設置位置の距離が変化すると、その都度、プローブの校正をやり直さなければ、部分放電の電荷量が検出(算出)できなかったが、この実施例1では磁界プローブ15の設置位置の距離が変化すると、ノイズの大きさも変化して減衰し、これに伴って部分放電パルスの大きさも相対的に変化して減衰するので、ノイズの大きさを求めることにより、磁界プローブの校正を再度やり直すことなく部分放電電荷量の検出(算出)が可能となる。
上記説明は処理「1」の場合であるが、処理「2」は、信号2Hで抽出された部分放電パルスの一定時間内における個数を、部分放電の電荷量毎にカウントしてデータを得る。このデータは判定部21に送られ、判定部21では「電荷量×個数」の総和(Σ)が閾値以上のとき、部分放電が発生したと判断するとともに、表示部22に送られて画面に表示される。そして、トレンド監視する場合は、「電荷量(大きさ)と個数」の変動から部分放電であると判断する。
なお、上記磁界プローブ15は、微小ループアンテナなどからなる磁界を検出することができる測定センサから構成しても良い。また、上記ローパスフィルタ18L、ハイパスフィルタ18Hは、信号1L,信号2Hを抽出可能なバンドパスフィルタで構成しても良い。
10…電気機器本体
11…接地線
15…磁界プローブ
16…アンプ
17…分配器
18L…ローパスフィルタ
18H…ハイパスフィルタ
19…信号処理部
20…記憶部
21…判定部
22…表示部
11…接地線
15…磁界プローブ
16…アンプ
17…分配器
18L…ローパスフィルタ
18H…ハイパスフィルタ
19…信号処理部
20…記憶部
21…判定部
22…表示部
Claims (3)
- 部分放電信号検出対象の電気機器本体と、この電気機器本体のアース端子に接続される接地線と、この接地線に沿う近傍に配置され、接地線に流れる電流ノイズと機器本体からの部分放電パルス電流により発生する磁界信号を捕捉する磁界プローブとを設け、この磁界プローブで捕捉された磁界信号を処理して部分放電信号を検出する方法において、
前記電気機器本体への課電を停止した後、電流ノイズとプローブ校正用パルス電流とを前記接地線に流して、これらにより発生した磁界信号を前記磁界プローブで捕捉し、その捕捉した磁界信号を第1、第2フィルタにより処理し、第1フィルタでは、電流ノイズを抽出して電流ノイズの大きさを基準データとして得、第2フィルタでは、校正パルス電流を抽出して校正パルス電流の大きさのデータを得、
両データから電流ノイズの電荷量を求めて磁界プローブの校正を行い、
その後、前記電気機器本体へ課電を行った後に、磁界プローブが、部分放電パルスと電流ノイズによる磁界信号を捕捉したとき、これら磁界信号を第1、第2フィルタにより処理し、電流ノイズの大きさのデータと部分放電パルスの大きさのデータを得、部分放電の電荷量を求めて部分放電を検出することを特徴とする磁界プローブを用いた電気機器の部分放電検出方法。 - 前記第1フィルタには、ローパスフィルタを、第2フィルタにはハイパスフィルタを設けたことを特徴とする請求項1記載の磁界プローブを用いた電気機器の部分放電検出方法。
- 前記第1、第2フィルタには、バンドパスフィルタを設けたことを特徴とする請求項1記載の磁界プローブを用いた電気機器の部分放電検出方法。
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