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JP2011216468A - 電極および有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

電極および有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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JP2011216468A JP2011023637A JP2011023637A JP2011216468A JP 2011216468 A JP2011216468 A JP 2011216468A JP 2011023637 A JP2011023637 A JP 2011023637A JP 2011023637 A JP2011023637 A JP 2011023637A JP 2011216468 A JP2011216468 A JP 2011216468A
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Satomi Kawabe
里美 川邉
Kazuaki Nakamura
和明 中村
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Konica Minolta Inc
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Abstract

【課題】高温高湿環境下における環境試験後でも透過率の変動が少なく、更に平面安定性に優れた電極を提供することにある。また、該電極を用いた経時安定性に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する。
【解決手段】基板上に金属繊維を含有する導電性金属層と、導電性ポリマー層とを有する電極において、該導電性金属層は酸化防止剤を含有し、かつ、該導電性ポリマー層は、バインダー樹脂として、下記一般式(I)で表される構造単位を有するポリマー、及び、下記一般式(I)及び下記一般式(II)で表される構造単位を有するコポリマーの少なくとも何れかを有するポリマー(A)を含有することを特徴とする電極及び有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化1】
Figure 2011216468

【選択図】なし

Description

本発明は、酸化防止剤を電極に含有させた場合、高温高湿環境下における環境試験後でも高い平面性を有し、透明性に優れた電極、および該電極を用いた経時安定性に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子に関するものである。
近年、薄型TV需要の高まりに伴い、液晶・プラズマ・有機エレクトロルミネッセンス・フィールドエミッション等、各種方式のディスプレイ技術が開発されている。これら表示方式の異なる何れのディスプレイにおいても、透明電極は必須の構成技術となっている。また、テレビ以外でも、タッチパネルや携帯電話、電子ペーパー、各種太陽電池、各種エレクトロルミネッセンス調光素子においても、透明電極は欠くことのできない技術要素となっている。
従来透明電極は、ガラスや透明なプラスチックフィルム等の透明基板上に、インジウム−スズの複合酸化物(ITO)膜を真空蒸着法やスパッタリング法で製膜したITO透明電極が主に使用されてきた。しかし、ITOに用いられているインジウムはレアメタルであり、且つ価格の高騰により、脱インジウムが望まれている。また、ディスプレイの大画面化、生産性向上に伴い、フレキシブル基板を用いたロールtoロールが所望されている。
さらにエレクトロルミネッセンス素子用や有機薄膜太陽電池用の電極には、表面が平滑な電極が必要とされている。例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子用の電極の場合、その上に有機化合物の超薄膜を形成するため、透明電極には優れた表面平滑性が要求される。有機エレクトロルミネッセンス素子では、陽極の表面高低差(表面凹凸)が大きいと、その凸部(突起)に電界が集中してEL素子が破壊されたり、陽極の上に形成する有機化合物の超薄膜層の膜厚ムラが発生し、発光が不均一になる課題がある。
このように、フレキシブル性をもつ電極の要望に対して、例えば、銀ナノワイヤをフレキシブルな透明基板上に塗布した透明電極が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
銀は本来高い導電率を持つため、銀ナノワイヤや銀塩乳剤を使用した場合、良好な導電性と透明性を両立することができる。
しかしながら、銀は、大気中の酸素、水分、硫化ガスなどにより、導電性、透明性の低下をきたすという課題や、高温高湿下で保存した場合、銀表面が腐食されるため平面性が劣化するという課題を有している。このような課題に対して、芳香族トリアゾールや、ジチオジアゾールを樹脂に混ぜて被覆するなどの方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この方法は、硫化ガスを起因とする導電性、透明性の低下に対しては効果があるものの、高温高湿下で保存時の透明性低下、平面性劣化、素子化した時の発光均一性の課題に対しては十分とはいえない。
一方、銀塩乳剤を含む乳剤層を現像処理、めっき処理を施すことで導電性膜を形成する製造方法が開示されており、乳剤層に還元電位を規定した酸化防止剤を添加する方法が提案されている。(例えば、特許文献2参照)。また、銀を含む銅合金粉末に、酸化防止剤を添加する方法が開示されている。(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、導電性金属繊維層については検討されておらず、銀塩乳剤を含む乳剤層に酸化防止剤を添加する構成、銀を含む銅合金粉末に酸化防止剤を添加する構成では、高温高湿下で保存時の透明性低下、平面性劣化の課題、素子化した時の発光均一性の課題に対しては十分とはいえない。
特表2009−505358号公報 特開2006−228469号公報 特開平10−162647号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、高温高湿環境下における環境試験後でも透過率の変動が少なく、更に平面安定性に優れた電極を提供することにある。また、該電極を用いた経時安定性に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
1.基板上に金属繊維を含有する導電性金属層と、導電性ポリマー層とを有する電極において、該導電性金属層は酸化防止剤を含有し、かつ、該導電性ポリマー層は、バインダー樹脂として、下記一般式(I)で表される構造単位を有するポリマー、及び、下記一般式(I)及び下記一般式(II)で表される構造単位を有するコポリマーの少なくとも何れかを有するポリマー(A)を含有することを特徴とする電極。
Figure 2011216468
〔式中、Rは水素原子、メチル基を表し、Qは−C(=O)O−、−C(=O)NRa−を表す。Raは水素原子、アルキル基を表し、Aは置換或いは無置換アルキレン基、−(CHCHRbO)−(CHCHRb)−を表し、Rbは水素原子、アルキル基を表す。xは平均繰り返しユニット数で1〜100の数である。yは0、1を表す。Zはアルキル基、−C(=O)−Rc、−SO−Rd、−SiReを表す。Rc、Rd、Reはアルキル基、パーフルオロアルキル基、又は、アリール基を表す。〕
2.前記導電性ポリマー層が、前記導電性金属層の上に設置されていることを特徴とする前記1に記載の電極。
3.前記金属繊維が、銀ナノワイヤであることを特徴とする前記1又は2に記載の電極。
4.前記酸化防止剤が、水溶性化合物であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の電極。
5.前記酸化防止剤が、フェノール系化合物であることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の電極。
6.前記酸化防止剤の添加量が、1×10−4g/m〜1g/mであることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の電極。
7.前記1〜6のいずれか1項に記載の電極を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
本発明によれば、高温高湿環境下における環境試験後でも透過率の変動が少なく、更に平面安定性に優れた電極を提供することができる。また、該電極を用いた経時安定性に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子を提供すること、ができる。
本発明の代表的な電極の一例を示す構造模式図である。 本発明の代表的な電極の別の一例を示す構造模式図である。 本発明の代表的な電極のさらに別の一例を示す構造模式図である。 本発明の代表的な電極のさらにまた別の一例を示す構造模式図である。
以下、本発明を実施するための形態について説明するが、本発明はこれらに限定されない。
本発明は、基板上に金属繊維を含有する導電性金属層と導電性ポリマー層とを有してなる電極であって、該導電性金属層に酸化防止剤と導電性ポリマー層にバインダー樹脂として前記ポリマーAを含有することを特徴とする。
本発明においては、特に該導電性金属層に酸化防止剤を含有させることで、高温高湿環境下における環境試験後でも透過率の変動が少なく、更に平面安定性に優れた電極が得られる。そして、バインダー樹脂としてポリマーAを含有することにより、上記効果が更に向上した。また、該電極を用いた経時安定性に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子が得られる。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための最良の形態・態様等について詳細な説明をする。
<<酸化防止剤>>
本発明の電極は、保存時および製造工程時の熱、酸素、水分による電極形成材料の劣化を防止するために、安定化剤として酸化防止剤を含有することを特徴とする。
本発明の酸化防止剤としては、好ましくは、フェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物、リン系化合物、イオウ系化合物、アクリレート系化合物、ベンゾフラノン系化合物、酸素スカベンジャー、などが挙げられる。また、水溶性化合物が挙げられる。
これらの中でも、特にフェノール系化合物、水溶性化合物が好ましい。これらの化合物を配合することにより、熱、酸素、水分による透明性の低下や導電性層の平面性低下がない電極が得られ、この電極を使用した有機エレクトロルミネッセンス素子の経時安定性を改良することが出来る。
これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の酸化防止剤の具体例として下記の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(フェノール系化合物)
本発明において有用な酸化防止剤の一つとして、下記一般式(A−1)で表されるフェノール系化合物が好ましい。
Figure 2011216468
一般式(A−1)中、R11、R12は置換基を表す。n1は、1〜3の整数を表す。m1は、1〜5の整数を表す。m1が2以上の場合、互いに連結して環を形成してもよい。
該置換基としては、水素原子、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子等)、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基等)、シクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アラルキル基(例えばベンジル基、2−フェネチル基等)、アリール基(例えばフェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基等)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ基等)、シアノ基、アシルアミノ基(例えばアセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基等)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基等)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ基等)、スルホニルアミノ基(例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基等)、ウレイド基(例えば3−メチルウレイド基、3,3−ジメチルウレイド基、1,3−ジメチルウレイド基等)、スルファモイルアミノ基(ジメチルスルファモイルアミノ基等)、カルバモイル基(例えばメチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基等)、スルファモイル基(例えばエチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基等)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル基等)、スルホニル基(例えばメタンスルホニル基、ブタンスルホニル基、フェニルスルホニル基等)、アシル基(例えばアセチル基、プロパノイル基、ブチロイル基等)、アミノ基(メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基等)、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、ニトロソ基、アミンオキシド基(例えばピリジン−オキシド基)、イミド基(例えばフタルイミド基等)、ジスルフィド基(例えばベンゼンジスルフィド基、ベンゾチアゾリル−2−ジスルフィド基等)、カルボキシル基、スルホ基、ヘテロ環基(例えば、ピロール基、ピロリジル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、ベンズオキサゾリル基等)等が挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。
フェノール系化合物は既知の化合物であり、例えば、米国特許第4,839,405号明細書の第12〜14欄に記載されており、2,6−ジアルキルフェノール誘導体化合物が含まれる。このような化合物のうち好ましい化合物として、下記一般式(A−2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2011216468
一般式(A−2)中、R101〜R106は置換基を表す。該置換基としては、前記一般式(A−1)のR11、R12で表される置換基と同義である。
また、R101は水素原子、R102およびR106が、アルキル基であるフェノール系化合物が好ましい。
フェノール系化合物の具体例としては、n−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−アセテート、n−オクタデシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、n−ヘキシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルベンゾエート、n−ドデシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルベンゾエート、ネオ−ドデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ドデシルβ(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、エチルα−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシルα−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシルα−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−(n−オクチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾエート、2−(n−オクチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニルアセテート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾエート、2−(2−ヒドロキシエチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ジエチルグリコールビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ステアルアミドN,N−ビス−[エチレン3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、n−ブチルイミノN,N−ビス−[エチレン3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−(2−ステアロイルオキシエチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−(2−ステアロイルオキシエチルチオ)エチル7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘプタノエート、1,2−プロピレングリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレングリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ネオペンチルグリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレングリコールビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート)、グリセ(リン−l−n−オクタデカノエート−2,3−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート)、ペンタエリスリトール−テトラキス−[3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,1,1−トリメチロールエタン−トリス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ソルビトールヘキサ−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−ヒドロキシエチル7−(3−メチル−5−tブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−ステアロイルオキシエチル7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘプタノエート、1,6−n−ヘキサンジオール−ビス[(3′,5′−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリトリトール−テトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)が含まれる。上記タイプのフェノール化合物は、例えば、BASFジャパン株式会社から、“Irganox1076”及び“Irganox1010”という商品名で市販されている。
さらに、以下の構造式で表されるフェノール系化合物およびその誘導体が挙げられる。
Figure 2011216468
Figure 2011216468
Figure 2011216468
Figure 2011216468
(ヒンダードアミン系化合物)
本発明において有用な酸化防止剤の一つとして、下記一般式(B)で表されるヒンダードアミン系化合物が好ましい。
Figure 2011216468
式中、R21〜R27は置換基を表す。置換基としては前記一般式(A−1)のR11、R12で表される置換基と同義である。R24は水素原子、メチル基、R27は水素原子、R22、R23、R25、R26はメチル基であることが好ましい。
ヒンダードアミン系化合物の具体例としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)スクシネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1−アクロイル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)デカンジオエート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−1−[2−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)プロピオンアミド、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート等が挙げられる。
また、高分子タイプの化合物でもよく、具体例としては、N,N′,N″,N″′−テトラキス−[4,6−ビス−〔ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ〕−トリアジン−2−イル]−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジン−N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジンとN,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ〔{(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、1,6−ヘキサンジアミン−N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)とモルフォリン−2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンとの重縮合物、ポリ[(6−モルフォリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕−ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕]等の、ピペリジン環がトリアジン骨格を介して複数結合した高分子量HALS;コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールと3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンとの混合エステル化物等の、ピペリジン環がエステル結合を介して結合した化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの中でも、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジンとN,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ〔{(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物等で、数平均分子量(Mn)が2,000〜5,000のものが好ましい。
上記タイプのヒンダードアミン化合物は、例えば、BASFジャパン株式会社から、“Tinuvin144”及び“Tinuvin770”、株式会社ADEKAから“ADK STAB LA−52”という商品名で市販されている。
(リン系化合物)
本発明において有用な酸化防止剤の一つとして、下記一般式(C−1)、(C−2)、(C−3)、(C−4)、(C−5)で表される部分構造を分子内に有する化合物が好ましい。
Figure 2011216468
式中、Ph及びPh′は置換基を表す。置換基としては前記一般式(A−1)のR11、R12で表される置換基と同義である。より好ましくは、Ph及びPh′はフェニレン基を表し、該フェニレン基の水素原子はフェニル基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基または炭素数7〜12のアラルキル基で置換されていてもよい。Ph及びPh′は互いに同一でもよく、異なってもよい。Xは単結合、硫黄原子または−CHR−基を表す。Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数5〜8のシクロアルキル基を表す。また、これらは前記一般式(A−1)のR11、R12で表される置換基と同義の置換基により置換されてもよい。
Figure 2011216468
式中、Ph及びPh′は置換基を表す。置換基としては前記一般式(A−1)のR11、R12で表される置換基と同義である。より好ましくは、Ph及びPh′はフェニル基またはビフェニル基を表し、該フェニル基またはビフェニル基の水素原子は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基または炭素数7〜12のアラルキル基で置換されていてもよい。Ph及びPh′は互いに同一でもよく、異なってもよい。また、これらは前記一般式(A−1)のR11、R12で表される置換基と同義の置換基により置換されてもよい。
Figure 2011216468
式中、Phは置換基を表す。置換基としては前記一般式(A−1)のR11、R12で表される置換基と同義である。より好ましくは、Phはフェニル基またはビフェニル基を表し、該フェニル基またはビフェニル基の水素原子は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基または炭素数7〜12のアラルキル基で置換されていてもよい。また、これらは前記一般式(A−1)のR11、R12で表される置換基と同義の置換基により置換されてもよい。
Figure 2011216468
式中、Phは置換基を表す。置換基としては前記一般式(A−1)のR11、R12で表される置換基と同義である。より好ましくは、Phは炭素数1〜20のアルキル基またはフェニル基を表し、該アルキル基またはフェニル基は前記一般式(A−1)のR11、R12で表される置換基と同義の置換基により置換されてもよい。
Figure 2011216468
式中、Ph、Ph′及びPh″は置換基を表す。置換基としては前記一般式(A−1)のR11、R12で表される置換基と同義である。より好ましくは、Ph、Ph′及びPh″は炭素数1〜20のアルキル基またはフェニル基を表し、該アルキル基またはフェニル基は前記一般式(A−1)のR11、R12で表される置換基と同義の置換基により置換されてもよい。
リン系化合物の具体例としては、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1.3.2]ジオキサホスフェピン、トリデシルホスファイト等のモノホスファイト系化合物;4,4′−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、4,4′−イソプロピリデン−ビス(フェニル−ジ−アルキル(C12〜C15)ホスファイト)等のジホスファイト系化合物;トリフェニルホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4′−ジイルビスホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチル−5−メチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4′−ジイルビスホスホナイト等のホスホナイト系化合物;トリフェニルホスフィナイト、2,6−ジメチルフェニルジフェニルホスフィナイト等のホスフィナイト系化合物;トリフェニルホスフィン、トリス(2,6−ジメトキシフェニル)ホスフィン等のホスフィン系化合物;等が挙げられる。
上記タイプのリン系化合物は、例えば、住友化学株式会社から、“SumilizerGP”、株式会社ADEKAから“ADK STAB PEP−24G”、“ADK STAB PEP−36”及び“ADK STAB 3010”、BASFジャパン株式会社から“IRGAFOS P−EPQ”、堺化学工業株式会社から“GSY−P101”という商品名で市販されている。
(アクリレート系化合物)
アクリレート系化合物は既知の化合物であり、例えば、特開昭63−179953号公報や特開平1−168643号公報に記載されており、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−(1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレート等が挙げられる。
上記タイプのアクリレート系化合物は、例えば、住友化学株式会社から、“SumilizerGS”及び“SumilizerGM”という商品名で市販されている。
(ベンゾフラノン系化合物)
ベンゾフラノン系化合物は既知の化合物であり、例えば、特公昭63−26771号公報、特開平7−233160号公報や特開2003−176417号公報に記載されており、5,7−ジ−t−ブチル−3−(3,4−ジメチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン、5,7−ジ−t−ブチル−3−フェニル−3H−ベンゾフラン−2−オン、5,7−ジ−t−ブチル−3−(4−メトキシフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン等が挙げられる。
上記タイプのベンゾフラノン系化合物は、例えば、BASFジャパン株式会社から、“HP−136”という商品名で市販されている。
(イオウ系化合物)
本発明において有用な酸化防止剤の一つとして、下記一般式(D)で表されるイオウ系化合物が好ましい。
Figure 2011216468
式中、R31及びR32は置換基を表す。置換基としては前記一般式(A−1)のR11、R12で表される置換基と同義である。
イオウ系化合物の具体例としては、ジラウリル3,3−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3′−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス(β−ラウリル−チオ−プロピオネート)、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等が挙げられる。
上記タイプのイオウ系化合物は、例えば、住友化学株式会社から、“Sumilizer TPL−R”及び“Sumilizer TP−D”という商品名で市販されている。
(水溶性化合物)
本発明において有用な酸化防止剤の一つとして、水溶性の酸化防止剤があげられる。
アスコルビン類(例えば、L−アスコルビン酸等)、エリソルビン酸類、亜硫酸塩類(例えば、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム等)、トコフェロール、カテキン類などが挙げられる。
本発明においては、これらの酸化防止剤の添加量は、1×10−4g/m〜1g/mであることが好ましく、1×10−3mg/m〜500mg/mであることがより好ましいが、添加量は、酸化防止剤の種類等によって適宜選択すればよい。これらは2種以上を併用してもよい。
酸化防止剤の添加量は、上記範囲の下限以上であることが安定化作用を奏する観点から好ましく、また上記範囲の下限以下であることが透明性の観点から好ましい。
酸化防止剤は、水、アルコール、エーテル、エステル、ケトン、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、あるいはアミド等、又はこれらの混合溶媒に溶解したのち導電性金属層に添加してもよい。あるいは、その他の有機溶剤に溶解したのち添加してもよい。また高沸点溶剤等に溶解後分散添加してもよい。具体的には、メチルエチルケトン、メタノール、水、DMSOなどを用いることが出来る。
<<金属繊維>>
(導電性金属層)
本発明の導電性金属層は、金属繊維を含有することを特徴とする。
本発明の金属繊維において、繊維径の短径がnmサイズであれば、ロッド状やワイヤ状であってもよいが、導電性及び透明性の観点からワイヤ状の金属ナノワイヤであることが好ましい。
一般に、金属ナノワイヤとは、金属元素を主要な構成要素とする、原子スケールからnmサイズの直径を有する線状構造体のことをいう。
本発明に用いられる金属ナノワイヤとしては、1つの金属ナノワイヤで長い導電パスを形成するために、平均長さが3μm以上であることが好ましく、さらには3〜500μmが好ましく、特に3〜300μmであることが好ましい。併せて、長さの相対標準偏差は40%以下であることが好ましい。また、平均短径には特に制限はないが、透明性の観点からは小さいことが好ましく、一方で、導電性の観点からは大きい方が好ましい。本発明においては、金属ナノワイヤの平均短径として10〜300nmが好ましく、30〜200nmであることがより好ましい。併せて、短径の相対標準偏差は20%以下であることが好ましい。導電性金属層の金属ナノワイヤは相互に接触していることが好ましく、さらにメッシュ状に接触していることが好ましい。金属ナノワイヤを相互に接触、またはメッシュ状に接触させた導電性金属層は、前記液相成膜法を用いれば容易に得ることができる。
本発明において金属ナノワイヤの製造手段には特に制限はなく、例えば、液相法や気相法等の公知の手段を用いることができる。また、具体的な製造方法にも特に制限はなく、公知の製造方法を用いることができる。例えば、銀ナノワイヤの製造方法としては、Adv.Mater.,2002,14,833〜837;Chem.Mater.,2002,14,4736〜4745等を参考にすることができる。銀ナノワイヤの製造方法は、水溶液中で簡便に銀ナノワイヤを製造することができ、また銀の導電率は金属中で最大であることから、本発明に係る金属ナノワイヤの製造方法として好ましく適用することができる。
<<導電性ポリマー>>
(導電性ポリマー層)
本発明における導電性ポリマー層は、バインダー樹脂として、ポリマー(A)を含有することを特徴とするが、π共役系導電性高分子とポリアニオンとを含んで成る導電性ポリマーを含有することが好ましい。
本発明に係る導電性ポリマーは、後述するπ共役系導電性高分子を形成する前駆体モノマーを、適切な酸化剤と酸化触媒と後述のポリアニオンの存在下で化学酸化重合することによって容易に製造できる。
(π共役系導電性高分子)
本発明に用いるπ共役系導電性高分子としては、特に限定されず、ポリチオフェン(基本のポリチオフェンを含む、以下同様)類、ポリピロール類、ポリインドール類、ポリカルバゾール類、ポリアニリン類、ポリアセチレン類、ポリフラン類、ポリパラフェニレンビニレン類、ポリアズレン類、ポリパラフェニレン類、ポリパラフェニレンサルファイド類、ポリイソチアナフテン類、ポリチアジル類の鎖状導電性ポリマーを利用することができる。中でも、導電性、透明性、安定性等の観点からポリチオフェン類やポリアニリン類が好ましい。ポリエチレンジオキシチオフェンであることが最も好ましい。
(π共役系導電性高分子前駆体モノマー)
前駆体モノマーは、分子内にπ共役系を有し、適切な酸化剤の作用によって高分子化した際にもその主鎖にπ共役系が形成されるものである。例えば、ピロール類及びその誘導体、チオフェン類及びその誘導体、アニリン類及びその誘導体等が挙げられる。
前駆体モノマーの具体例としては、ピロール、3−メチルピロール、3−エチルピロール、3−n−プロピルピロール、3−ブチルピロール、3−オクチルピロール、3−デシルピロール、3−ドデシルピロール、3,4−ジメチルピロール、3,4−ジブチルピロール、3−カルボキシルピロール、3−メチル−4−カルボキシルピロール、3−メチル−4−カルボキシエチルピロール、3−メチル−4−カルボキシブチルピロール、3−ヒドロキシピロール、3−メトキシピロール、3−エトキシピロール、3−ブトキシピロール、3−ヘキシルオキシピロール、3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール、チオフェン、3−メチルチオフェン、3−エチルチオフェン、3−プロピルチオフェン、3−ブチルチオフェン、3−ヘキシルチオフェン、3−ヘプチルチオフェン、3−オクチルチオフェン、3−デシルチオフェン、3−ドデシルチオフェン、3−オクタデシルチオフェン、3−ブロモチオフェン、3−クロロチオフェン、3−ヨードチオフェン、3−シアノチオフェン、3−フェニルチオフェン、3,4−ジメチルチオフェン、3,4−ジブチルチオフェン、3−ヒドロキシチオフェン、3−メトキシチオフェン、3−エトキシチオフェン、3−ブトキシチオフェン、3−ヘキシルオキシチオフェン、3−ヘプチルオキシチオフェン、3−オクチルオキシチオフェン、3−デシルオキシチオフェン、3−ドデシルオキシチオフェン、3−オクタデシルオキシチオフェン、3,4−ジヒドロキシチオフェン、3,4−ジメトキシチオフェン、3,4−ジエトキシチオフェン、3,4−ジプロポキシチオフェン、3,4−ジブトキシチオフェン、3,4−ジヘキシルオキシチオフェン、3,4−ジヘプチルオキシチオフェン、3,4−ジオクチルオキシチオフェン、3,4−ジデシルオキシチオフェン、3,4−ジドデシルオキシチオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3,4−プロピレンジオキシチオフェン、3,4−ブテンジオキシチオフェン、3−メチル−4−メトキシチオフェン、3−メチル−4−エトキシチオフェン、3−カルボキシチオフェン、3−メチル−4−カルボキシチオフェン、3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン、3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン、アニリン、2−メチルアニリン、3−イソブチルアニリン、2−アニリンスルホン酸、3−アニリンスルホン酸等が挙げられる。
(ポリアニオン)
ポリアニオンは、置換若しくは未置換のポリアルキレン、置換若しくは未置換のポリアルケニレン、置換若しくは未置換のポリイミド、置換若しくは未置換のポリアミド、置換若しくは未置換のポリエステル及びこれらの共重合体であって、アニオン性基を有する構成単位とアニオン性基を有さない構成単位とからなるものである。
このポリアニオンは、π共役系導電性高分子を溶媒に可溶化させる可溶化高分子である。また、ポリアニオンのアニオン性基は、π共役系導電性高分子に対するドーパントとして機能して、π共役系導電性高分子の導電性と耐熱性を向上させる。
ポリアニオンのアニオン性基としては、π共役系導電性高分子への化学酸化ドープが起こりうる官能基であればよいが、中でも、製造の容易さ及び安定性の観点からは、一置換硫酸エステル基、一置換リン酸エステル基、リン酸基、カルボキシ基、スルホ基等が好ましい。さらに、官能基のπ共役系導電性高分子へのドープ効果の観点より、スルホ基、一置換硫酸エステル基、カルボキシ基がより好ましい。
ポリアニオンの具体例としては、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、ポリアクリル酸ブチルスルホン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリルカルボン酸、ポリメタクリルカルボン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸、ポリイソプレンカルボン酸、ポリアクリル酸等が挙げられる。これらの単独重合体であってもよいし、2種以上の共重合体であってもよい。
また、化合物内にフッ素(F)を有するポリアニオンであっても良い。具体的には、パーフルオロスルホ基を含有するナフィオン(Dupont社製)、カルボン酸基を含有するパーフルオロ型ビニルエーテルからなるフレミオン(旭硝子社製)などをあげることができる。
これらのうち、スルホ基を有する化合物であると、導電性ポリマー含有層を塗布、乾燥することによって形成した後に、100℃以上200℃以下の温度で5分以上の加熱処理を施した場合、この塗布膜の洗浄耐性や溶媒耐性が著しく向上することから、より好ましい。
さらに、これらの中でも、ポリスチレンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、ポリアクリル酸ブチルスルホン酸が好ましい。これらのポリアニオンは、バインダー樹脂との相溶性が高く、また、得られる導電性ポリマーの導電性をより高くできる。
ポリアニオンの重合度は、モノマー単位が10〜100000個の範囲であることが好ましく、溶媒溶解性及び導電性の点からは、50〜10000個の範囲がより好ましい。
ポリアニオンの製造方法としては、例えば、酸を用いてアニオン性基を有さないポリマーにアニオン性基を直接導入する方法、アニオン性基を有さないポリマーをスルホ化剤によりスルホン酸化する方法、アニオン性基含有重合性モノマーの重合により製造する方法が挙げられる。
アニオン性基含有重合性モノマーの重合により製造する方法は、溶媒中、アニオン性基含有重合性モノマーを、酸化剤及び/又は重合触媒の存在下で、酸化重合又はラジカル重合によって製造する方法が挙げられる。具体的には、所定量のアニオン性基含有重合性モノマーを溶媒に溶解させ、これを一定温度に保ち、それに予め溶媒に所定量の酸化剤及び/又は重合触媒を溶解した溶液を添加し、所定時間で反応させる。その反応により得られたポリマーは溶媒によって一定の濃度に調整される。この製造方法において、アニオン性基含有重合性モノマーにアニオン性基を有さない重合性モノマーを共重合させてもよい。アニオン性基含有重合性モノマーの重合に際して使用する酸化剤及び酸化触媒、溶媒は、π共役系導電性高分子を形成する前駆体モノマーを重合する際に使用するものと同様である。
得られたポリマーがポリアニオン塩である場合には、ポリアニオン酸に変質させることが好ましい。アニオン酸に変質させる方法としては、イオン交換樹脂を用いたイオン交換法、透析法、限外ろ過法等が挙げられ、これらの中でも、作業が容易な点から限外ろ過法が好ましい。
こうした導電性ポリマーは市販の材料も好ましく利用できる。例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸からなる導電性ポリマー(PEDOT−PSSと略す)が、H.C.Starck社からCleviosシリーズとして、Aldrich社からPEDOT−PSSの483095、560596として、Nagase Chemtex社からDenatronシリーズとして市販されている。また、ポリアニリンが、日産化学社からORMECONシリーズとして市販されている。本発明において、こうした剤も好ましく用いることができる。
2nd.ドーパントとして水溶性有機化合物を含有してもよい。本発明で用いることができる水溶性有機化合物には特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、酸素含有化合物が好適に挙げられる。前記酸素含有化合物としては、酸素を含有する限り特に制限はなく、例えば、ヒドロキシル基(水酸基)含有化合物、カルボニル基含有化合物、エーテル基含有化合物、スルホキシド基含有化合物などが挙げられる。前記ヒドロキシル基(水酸基)含有化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリンなどが挙げられ、これらの中でも、エチレングリコール、ジエチレングリコールが好ましい。前記カルボニル基含有化合物としては、例えば、イソホロン、プロピレンカーボネート、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。前記エーテル基含有化合物としては、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、などが挙げられる。前記スルホキシド基含有化合物としては、例えば、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよいが、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、ジエチレングリコールから選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
(ポリマー(A))
本発明の導電性ポリマー層は、バインダー樹脂として、前記一般式(I)で表される構造単位を有するポリマー、及び、前記一般式(I)及び前記一般式(II)で表される構造単位を有するコポリマーの少なくとも何れかを有するポリマー(A)を含有することを特徴とする。
前記一般式(I)及び前記一般式(II)で表される構造単位について説明する。
一般式(I)で表される構造単位において、Rは水素原子、メチル基を表す。また、Qは−C(=O)O−、−C(=O)NRa−を表し、Raは水素原子、アルキル基を表す。アルキル基は、例えば炭素原子数1〜5の直鎖、或いは分岐アルキル基が好ましく、より好ましくはメチル基である。また、これらのアルキル基は置換基で置換されていても良い。これら置換基の例としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルキルカルボンアミド基、アリールカルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、ウレイド基、アラルキル基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、アルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基、アシルオキシ基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルオキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基等で置換されても良い。これらのうち好ましくは、ヒドロキシ基、アルキルオキシ基である。
上記アルキル基は分岐を有していてもよく、炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜8であることが更に好ましい。アルキル基の例には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等が含まれる。
上記シクロアルキル基の炭素原子数は、3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましく、3〜8であることが更に好ましい。シクロアルキル基の例には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基が含まれる。上記アルコキシ基は、分岐を有していてもよく、炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜6であることが更に好ましく、1〜4であることが最も好ましい。アルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、2−メトキシエトキシ基、2−メトキシ−2−エトキシエトキシ基、ブチルオキシ基、ヘキシルオキシ基及びオクチルオキシ基が含まれ、好ましくはエトキシ基である。上記アルキルチオ基の炭素数は、分岐を有していてもよく、炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜6であることが更に好ましく、1〜4であることが最も好ましい。アルキルチオ基の例としては、メチルチオ基、エチルチオ基等が含まれる。上記アリールチオ基の炭素数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることが更に好ましい。アリールチオ基の例にはフェニルチオ基及びナフチルチオ基等が含まれる。上記シクロアルコキシ基の炭素原子数は、3〜12であることが好ましく、より好ましくは3〜8である。シクロアルコキシ基の例には、シクロプロポキシ基、シクロブチロキシ基、シクロペンチロキシ基及びシクロヘキシロキシ基が含まれる。上記アリール基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6〜12であることが更に好ましい。アリール基の例にはフェニル基及びナフチル基が含まれる。上記アリールオキシ基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6〜12であることが更に好ましい。アリールオキシ基の例にはフェノキシ基及びナフトキシ基が含まれる。上記ヘテロシクロアルキル基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましく、3〜5であることが更に好ましい。ヘテロシクロアルキル基の例にはピペリジノ基、ジオキサニル基及び2−モルホリニル基が含まれる。上記ヘテロアリール基の炭素原子数は、3〜20であることが好ましく、3〜10であることが更に好ましい。ヘテロアリール基の例にはチエニル基、ピリジル基が含まれる。上記アシル基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。アシル基の例にはホルミル基、アセチル基及びベンゾイル基が含まれる。上記アルキルカルボンアミド基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。アルキルカルボンアミド基の例にはアセトアミド基等が含まれる。上記アリールカルボンアミド基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。アリールカルボンアミド基の例にはベンズアミド基等が含まれる。上記アルキルスルホンアミド基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。スルホンアミド基の例にはメタンスルホンアミド基等が含まれる上記アリールスルホンアミド基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。アリールスルホンアミド基の例には、ベンゼンスルホンアミド基及びp−トルエンスルホンアミドが基含まれる。上記アラルキル基の炭素原子数は7〜20であることが好ましく、7〜12であることが更に好ましい。アラルキル基の例にはベンジル基、フェネチル基及びナフチルメチル基が含まれる。上記アルコキシカルボニル基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、2〜12であることが更に好ましい。アルコキシカルボニル基の例にはメトキシカルボニル基が含まれる。上記アリールオキシカルボニル基の炭素原子数は7〜20であることが好ましく、7〜12であることが更に好ましい。アリールオキシカルボニル基の例にはフェノキシカルボニル基が含まれる。上記アラルキルオキシカルボニル基の炭素原子数は8〜20であることが好ましく、8〜12であることが更に好ましい。アラルキルオキシカルボニル基の例にはベンジルオキシカルボニル基が含まれる。上記アシルオキシ基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、2〜12であることが更に好ましい。アシルオキシ基の例にはアセトキシ基及びベンゾイルオキシ基が含まれる。上記アルケニル基の炭素原子数は2〜20であることが好ましく、2〜12であることが更に好ましい。アルケニル基の例に、ビニル基、アリル基及びイソプロペニル基が含まれる。上記アルキニル基の炭素原子数は2〜20であることが好ましく、2〜12であることが更に好ましい。アルキニル基の例にはエチニル基が含まれる。上記アルキルスルホニル基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。アルキルスルホニル基の例に、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基が含まれる。上記アリールスルホニル基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6〜12であることが更に好ましい。アリールスルホニル基の例に、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基が含まれる。上記アルキルオキシスルホニル基の炭素原子数は1〜20あることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。アルキルオキシスルホニル基の例に、メトキシスルホニル基、エトキシスルホニル基が含まれる。上記アリールオキシスルホニル基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6〜12であることが更に好ましい。アリールオキシスルホニル基の例に、フェノキシスルホニル基、ナフトキシスルホニル基が含まれる。上記アルキルスルホニルオキシ基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることが更に好ましい。アルキルスルホニルオキシ基の例に、メチルスルホニルオキシ基、エチルスルホニルオキシ基が含まれる。
上記アリールスルホニルオキシ基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6〜12であることが更に好ましい。アリールスルホニルオキシ基の例に、フェニルスルホニルオキシ基、ナフチルスルホニルオキシ基が含まれる。置換基は同一でも異なっていても良く、これら置換基が更に置換されても良い。
本発明一般式(I)で表される構造単位において、Aは置換或いは無置換アルキレン基、−(CHCHRbO)−(CHCHRb)−を表す。アルキレン基は、例えば炭素原子数1〜5が好ましく、より好ましくはエチレン基、プロピレン基である。これらのアルキレン基は前述した置換基で置換されていても良い。また、Rbは水素原子、アルキル基を表す。アルキル基は、例えば炭素原子数1〜5の直鎖、或いは分岐アルキル基が好ましく、より好ましくはメチル基である。また、これらのアルキル基は前述の置換基で置換されていても良い。更に、xは平均繰り返しユニット数を表し、1〜100が好ましく、より好ましくは1〜10である。繰り返しユニット数は分布を有しており、表記は平均値を示し、小数点以下1桁で表記しても良い。
本発明一般式(II)で表される構造単位において、R、Q、Ra、A、Rb、xは一般式(I)で定義した内容と同義である。
一般式(II)で表される構造単位において、yは0、1を表す。また、Zはアルキル基、−O−C(=O)−Rc、−O−SO−Rd、−O−SiReを表し、アルキル基は、例えば炭素原子数1〜12が好ましく、より好ましくはメチル基、エチル基で、更に好ましくはメチル基である。これらのアルキル基は前述した置換基で置換されても良い。Rc、Rd、Reはアルキル基、パーフルオロアルキル基、アリール基を表し、アルキル基は、例えば炭素原子数1〜12が好ましく、より好ましくはメチル基、エチル基で、更に好ましくはメチル基である。これらのアルキル基は前述した置換基で置換されても良い。パーフルオロアルキル基は、例えば炭素原子数1〜8が好ましく、より好ましくはトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基で、更に好ましくはトリフルオロメチル基である。アリール基は、例えばフェニル基、トルイル基が好ましく、より好ましくはトルイル基である。更に、これらのアルキル基、パーフルオロアルキル基、アリール基は前述した置換基で置換されても良い。
以下に一般式(I)、一般式(II)で表される構造単位の代表的具体例を示すが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
Figure 2011216468
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本発明に係るバインダー樹脂において、一般式(I)で表される構造単位のモル比は全体の3%から100%が好ましく、より好ましくは5%から50%である。
本発明のバインダー樹脂は一般式(I)で表される構造単位と一般式(II)で表される構造単位以外に第3の構造単位を併用することが出来る。その場合は、第3の構造単位は50%以下が好ましい。
第3の構造単位としては、一般式(I)、(II)で表される構造単位と共重合可能な重合性モノマーが好ましく、例えば、スチレン誘導体(例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルナフタレンなど)、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニル、酢酸ビニルなどが挙げられる。
本発明に係るバインダー樹脂において、一般式(I)で表される構造単位のモル比は全体の3%から100%が好ましく、より好ましくは5%から50%である。
本発明のバインダー樹脂は汎用的な重合触媒を用いたラジカル重合により得ることができる。重合様式としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等が挙げられ、好ましくは溶液重合である。重合温度は、使用する開始剤によって異なるが、一般に−10〜250℃、好ましくは0〜200℃、より好ましくは10〜100℃で実施される。
本発明のバインダー樹脂の分子量は3,000〜2,000,000の範囲が好ましく、より好ましくは4,000〜500,000、更に好ましくは5000〜100000の範囲内である。
本発明のバインダー樹脂の数平均分子量、分子量分布の測定は、一般的に知られているゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により行うことができる。使用する溶媒は、バインダー樹脂が溶解すれば特に限りはなく、THF(テトラヒドロフラン)、DMF(ジメチルホルムアミド)、CHClが好ましく、より好ましくはTHF、DMFであり、更に好ましくはDMFである。また、測定温度も特に制限はないが40℃が好ましい。
導電性ポリマーと一ポリマー(A)との比率は、導電性ポリマーを100質量部とした時、ポリマー(A)が30〜900質量部であることが好ましく、100質量部以上であることがより好ましい。
これにより、透過率を低下させることなく、ポリマー(A)の導電性ポリマーに対する導電性アシスト効果が発現され、高い透明性と導電性が両立できる。
導電性ポリマー層を塗布した後、適宜乾燥処理を施す。乾燥処理の条件として特に制限はないが、基材や導電性ポリマー含有層が損傷しない範囲の温度で乾燥処理することが好ましい。特に、ポリアニオンがスルホン酸を有するポリアニオンである場合、塗布乾燥により、膜を形成した後に、100〜200℃の範囲内の温度で3分以上の追加の加熱処理を施すことが好ましい。これにより、導電性ポリマー含有層の洗浄耐性、溶媒耐性が著しく向上する。また、保存性も向上する。処理温度としては110〜160℃であることがより好ましく、処理時間としては5分以上であることがより好ましい。処理時間の上限は特にないが、生産性を考えると120分以下であることが好ましい。
導電性ポリマーとポリマー(A)含有層の塗布乾燥膜厚は30〜2000nmであることが好ましい。100nmを切る領域では導電性の低下が大きくなることから100nm以上であることがより好ましく、リーク防止効果をより高める視点からは200nm以上であることがさらに好ましい。また、高い透過率を維持する視点から1000nm以下であることがより好ましい。
(バインダー)
本発明のバインダーとしては、可視領域で透明であれば(すなわち、十分な透過率を有すれば)特に限定されない。バインダーとしては、硬化型樹脂が好ましく用いられる。硬化型樹脂としては、熱硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂等が挙げられる。紫外線硬化型樹脂とは紫外線照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂で、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む成分が好ましく用いられる。例えば、アクリルウレタン系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、ポリオールアクリレート系樹脂等が挙げられる。本発明では、バインダーとしてアクリル系、アクリルウレタン系の紫外線硬化型樹脂を主成分とすることが好ましい。
アクリルウレタン系樹脂は、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、またはプレポリマーを反応させて得られた生成物にさらに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることができる。例えば、特開昭59−151110号に記載のものを用いることができる。例えば、ユニディック17−806(DIC(株)製)100部とコロネートL(日本ポリウレタン(株)製)1部との混合物等が好ましく用いられる。
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂としては、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系のモノマーを反応させると容易に形成されるものを挙げることができ、特開昭59−151112号に記載のものを用いることができる。
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂の具体例としては、エポキシアクリレートをオリゴマーとし、これに反応性希釈剤、光反応開始剤を添加し、反応させて生成するものを挙げることができ、特開平1−105738号に記載のものを用いることができる。
紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂の具体例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることができる。
樹脂モノマーとしては、例えば、不飽和二重結合が一つのモノマーとして、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、酢酸ビニル、スチレン等の一般的なモノマーを挙げることができる。また不飽和二重結合を二つ以上持つモノマーとして、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、1,4−シクロヘキシルジメチルアジアクリレート、前出のトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリルエステル等を挙げることができる。
これらの中で、バインダーの主成分として、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、トリメチロールエタン(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレートから選択されるアクリル系の活性線硬化樹脂が好ましい。
これら紫外線硬化型樹脂の光反応開始剤としては、具体的には、ベンゾイン及びその誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることができる。光増感剤と共に使用してもよい。上記光反応開始剤も光増感剤として使用できる。また、エポキシアクリレート系の光反応開始剤の使用の際、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の増感剤を用いることができる。紫外線硬化型樹脂組成物に用いられる光反応開始剤また光増感剤は該組成物100質量部に対して0.1〜15質量部であり、好ましくは1〜10質量部である。
本発明のバインダーとしては、水溶性バインダー樹脂も好ましく用いられる。水溶性バインダー樹脂とは、水溶性のバインダー樹脂であり、水溶性バインダー樹脂が、25℃の水100gに0.001g以上溶解するバインダー樹脂を意味する。前記溶解は、ヘイズメーター、濁度計で測定することができる。
水溶性バインダー樹脂としては透明であることが好ましい。水溶性バインダー樹脂としては、天然ポリマー、合成樹脂やポリマーおよびコポリマー、その他フィルムを形成する媒体であれば、特に限定はない。水溶性バインダーとしては、例えば:ゼラチン、カゼイン、デンプン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、カルボキシメチルエーテルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルエーテルセルロース等のセルロース類、キトサン、デキストラン、グアーガム、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(アクリルアミド−アクリル酸)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(アリルアミン)、ポリ(ブタジエン−無水マレイン酸)、ポリ(n−ブチルアクリレート−2−メタクリロイルトリメチルアンモニウムブロミド)、ポリ(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル−2−メタクリロキシトリメチルアンモニウムブロミド)、ポリ(2−ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)−ビスフェノールA−ジグリシジルエーテル付加体、ポリ(エチレングリコール)ビス2−アミノエチル、ポリ(エチレングリコール)ジメチルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノカルボキシメチルエーテルモノメチルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンオキシド−b−プロピレンオキシド)、ポリエチレンイミン、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)、ポリ(1−グリセロールメタクリレート)、ポリ(2−ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(2−エチルメタクリレート)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸)、ポリ(マレイン酸)、ポリ(メタクリルアミド)、ポリ(2−メタクリロキシエチルトリメチルアンモニウムブロミド)、ポリ(N−イソ−プロピルアクリルアミド)、ポリ(スチレンスルホン酸)、ポリ(N−ビニルアセトアミド)、ポリ(N−メチル−N−ビニルアセトアミド)、ポリ(ビニルアミン)、ポリ(2−ビニル−1−メチルピリジニウムブロミド)、ポリ(リン酸)、ポリ(2−ビニルピリジン)、ポリ(4−ビニルピリジン)、ポリ(2−ビニルピリジン−N−オキシド)、ポリ(ビニルスルホン酸)等が挙げられる。上記バインダーにおいて、カルボン酸、スルホン酸、リン酸等を有するポリマーは、リチウム、ナトリウム、カリウム等の塩を有していてもよく、窒素原子を有するポリマーは塩酸塩等の構造を有していても良い。上記バインダー樹脂は1種でも複数種でも使用することができる。
水溶性バインダー樹脂としては、ゼラチン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、セルロース類、ポリ(アクリル酸)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(2−ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(ビニルスルホン酸)が好ましい。市販品としてポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)(ポリサイエンス社製)、PVA203、PVA−224、エクセバールRS−4104(クラレ社製)、メトローズ90SH−100、メトローズ60SH−50、メトローズ60SH−06(信越化学工業社製)等を用いることができる。
水溶性バインダー樹脂において、より好ましくは、繰り返し単位中に水酸基を有する構造の水溶性バインダー樹脂が挙げられ、具体的には、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、セルロース類、ポリ(2−ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(3−ヒドロキシプロピルアクリレート)、ポリ(4−ヒドロキシブチルアクリレート)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(3−ヒドロキシプロピルメタクリレート)等が挙げられる。
水溶性バインダー樹脂は、架橋して硬化されているのが好ましく、スルホン酸、カルボン酸等の酸性条件下での脱水縮合反応により架橋されてもよい。また、アルデヒド系、エポキシ系、メラミン系、イソシアネート系等の架橋剤を用いてもよい。架橋剤は、pH調整剤として酸、アルカリ、塩を含有してもよく、加熱により容易に除去できることからアンモニア、アンモニウム塩が好ましい。架橋反応を促進するため、100〜150℃で加熱することが好ましい。
[基板]
本発明の電極に用いられる基板としては、特に制限はない。例えば、基板としての硬度に優れ、またその表面への導電層の形成のし易さ等の点で、ガラス基板、樹脂基板、樹脂フィルムなどが好適に挙げられるが、軽量性と柔軟性の観点から樹脂フィルムを用いることが好ましい。
本発明において、透明な基板が好ましく、高い光透過性を有する基板がより好ましい。「透明」とは、JIS K 7361−1(ISO 13468−1に対応)の「プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法」に準拠した方法で測定した可視光波長領域における全光線透過率が60%以上であることをいう。
本発明で基板として好ましく用いることができる樹脂フィルムには特に制限はなく、その材料、形状、構造、厚み等については公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン(PE)樹脂フィルム、ポリプロピレン(PP)樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂フィルム、ポリサルホン(PSF)樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂フィルム、ポリカーボネート(PC)樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂フィルム等を挙げることができるが、可視域の波長(380〜780nm)における透過率が80%以上である樹脂フィルムであれば、本発明に係る樹脂フィルムに好ましく適用することができる。中でも透明性、耐熱性、取り扱いやすさ、強度及びコストの点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリカーボネートフィルムであることが好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムであることがより好ましい。
本発明に用いられる基板には、塗布液の濡れ性や接着性を確保するために、表面処理を施すことや易接着層を設けることができる。表面処理や易接着層については従来公知の技術を使用できる。例えば、表面処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理等の表面活性化処理を挙げることができる。また、易接着層としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ビニル系共重合体、ブタジエン系共重合体、アクリル系共重合体、ビニリデン系共重合体、エポキシ系共重合体等を挙げることができる。樹脂フィルムが二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムである場合は、フィルムに隣接する易接着層の屈折率を1.57〜1.63とすることで、フィルム基板と易接着層との界面反射を低減して透過率を向上させることができるのでより好ましい。屈折率を調整する方法としては、酸化スズゾルや酸化セリウムゾル等の比較的屈折率の高い酸化物ゾルとバインダー樹脂との比率を適宜調整して塗設することで実施できる。易接着層は単層でもよいが、接着性を向上させるためには2層以上の構成にしてもよい。また、基板にはバリアコート層が予め形成されていてもよい。
〔電極〕
本発明の電極の好ましい構造模式図を示す。
図1は、本発明の代表的な電極の一例を示す構造模式図である。電極は、基板41上に、第一の導電性金属層31を有し、導電性金属層31は金属繊維11を含有する。
図2は、本発明の代表的な電極の一例を示す構造模式図である。電極は、基板41上に、導電性金属層31を有し、導電性金属層31は金属繊維11、および導電性ポリマー21を含有する。
図3は、本発明の代表的な電極の別の一例を示す構造模式図であって、基材41上に金属繊維11を含む第一の導電性金属層31を有し、該第一の導電性金属層31の上に、導電性ポリマー21を含有する第二の導電層を形成する。
図4は、本発明の代表的な電極のさらに別の一例を示す構造模式図であって、基材41上に金属繊維11を含む第一の導電性金属層31を有し、該第一の導電性金属層31の上に、導電性ポリマー21を含有する第二の導電層32を形成するが、第二の導電層32の一部は、金属繊維11を含む。即ち、金属繊維11が第一の導電層31と第二の導電層32の両層に共有されている状態を指す。
本発明において、導電性ポリマー21に一般式(A)で表されるポリマーを含有することが、好ましい形態である。
本発明において、導電性金属層には本発明の酸化防止剤を含有する。
〔電極の製造方法〕
本発明の電極は、下記(イ)〜(ハ)の方法で作製することができる。
層を形成する工程に用いられる方法としては特に制限はないが、生産性の改善、平滑性や均一性などの電極品質の向上、環境負荷軽減の観点から、塗布法や印刷法などの液相成膜法を用いることが好ましい。
塗布法としては、ロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、バーコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法などを用いることができる。印刷法としては、凸版(活版)印刷法、孔版(スクリーン)印刷法、平版(オフセット)印刷法、凹版(グラビア)印刷法、スプレー印刷法、インクジェット印刷法などを用いることができる。
本発明の透明電極を製造する製造方法としては、特に下記の手段が好ましく用いられる。
イ)基板上に直接、導電性金属層、導電性金属および導電性ポリマーを含有する層、および導電性ポリマー層を形成する製造方法。(直接法)
ロ)離型性基板の離型面上に、導電性金属層、導電性金属および導電性ポリマーを含有する層、導電性金属層上に導電性ポリマーを含有する導電性層を形成したあと、これらの層を被転写用の基板上に転写することにより導電層を形成する製造方法。(転写法)
ハ)離型性基板の離型面上に、導電性金属層を形成したあと被転写用の基板上に転写し、導電性ポリマーを形成する製造方法。(転写法+直接法)
上記組成物が水系分散物であることが好ましい態様である。
本発明において、導電性金属層には酸化防止剤を含有する。
金属繊維、導電性ポリマー、および一般式(A)で表されるポリマーの添加量に特に制限はないが、金属繊維は導電性と透過率の関係から0.50g/mが好ましく、より好ましくは0.10g/m以下である。
また導電性ポリマーは固形分として、金属繊維質量の50倍以下が好ましく、より好ましくは10倍以下であり、さらに好ましくは5倍以下である。
前述の透明電極の製造方法ハ)において、用いられる離型性基板としては、樹脂基板や樹脂フィルムなどが好適に挙げられる。該樹脂には特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などの合成樹脂の単層あるいは複数層からなる基板やフィルムが好適に用いられる。さらにガラス基板や金属基板を用いることもできる。また、離型性基板の表面(離型面)には、必要に応じてシリコン樹脂やフッ素樹脂、ワックスなどの離型剤を塗布して表面処理を施してもよい。
離型性基板表面は、導電層を転写した後の表面の平滑性に影響を与えるため、高平滑であることが望ましく、具体的にはRy≦50nmであることが好ましく、Ry≦40nmであることがより好ましく、Ry≦30nmであることがさらに好ましい。また、Ra≦10nmであることが好ましく、Ra≦5nmであることがより好ましく、Ra≦1nmであることがさらに好ましい。
上記の工程において、金属繊維を塗布した後、カレンダー処理や熱処理を施し金属繊維間の密着性を高めることや、プラズマ処理を施し金属繊維間の接触抵抗を低減することは、金属繊維のネットワーク構造の導電性を向上させる方法として有効である。また、上記工程において、離型性基板の離型面は、予めコロナ放電(プラズマ)などにより親水化処理していてもよい。
上記転写する工程を有する方法において、転写は接着層を介して行ってもよい。転写層は離型性基板側に設けても良いし、基板側に設けても良い。接着層に用いられる接着剤としては、可視領域で転写能を有する材料であれば特に限定されない。硬化型樹脂でも良いし、熱可塑性樹脂でも良い。硬化型樹脂としては、上記バインダーの記載で挙げた化合物を用いることが好ましい。
導電層を形成した離型性基板と被転写用の基板とを接着(貼合)し、紫外線等を照射して接着剤を硬化した後に離型性基板を剥離することにより、導電層を被転写用の基板側に転写することができる。ここで、接着方法は特に限定されることなく、シートプレス、ロールプレス等により行うことができるが、ロールプレス機を用いて行うことが好ましい。ロールプレスは、ロールとロールの間に接着すべきフィルムを挟んで圧着し、ロールを回転させる方法である。ロールプレスは均一に圧力がかけられ、シートプレスよりも生産性が良く好適に用いることができる。
[パターニング方法]
本発明に係る導電層は、パターニングすることができる。パターニングの方法やプロセスには特に制限はなく、公知の手法を適宜適用することができる。例えば、離型面上にパターニングされた導電層を形成した後、基板上に転写することによってパターニングされた電極を形成する方法を用いることができ、具体的には、以下のような方法を好ましく用いることができる。
i)離型性基板上に印刷法を用いて導電層をパターン様に直接形成する方法
ii)離型性基板上に導電層を一様に形成した後、一般的なフォトリソプロセスを用いてパターニングする方法
iii)例えば紫外線硬化型樹脂を含む導電性材料を使用して導電層を一様に形成した後、フォトリソプロセス様にパターニングする方法
iv)離型性基板上に予めフォトレジストで形成したネガパターン上に導電層を一様に形成し、リフトオフ法を用いてパターニングする方法
[表面の平滑性]
本発明において、導電層の表面の平滑性を表すRaは、算術平均粗さを意味し、JIS B601(1994)に規定される表面粗さに準ずる値である。本発明の電極は、導電層の表面の平滑性はRa≦10nmであることが好ましい。本発明においてRaの測定には、市販の原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy:AFM)を用いることができ、例えば、以下の方法で測定できる。
AFMとして、セイコーインスツル社製SPI3800Nプローブステーション及びSPA400多機能型ユニットを使用し、約1cm角の大きさに切り取った試料を、ピエゾスキャナー上の水平な試料台上にセットし、カンチレバーを試料表面にアプローチし、原子間力が働く領域に達したところで、XY方向にスキャンし、その際の試料の凹凸をZ方向のピエゾの変位で捉える。ピエゾスキャナーは、XY20μm、Z2μmが走査可能なものを使用する。カンチレバーは、セイコーインスツル社製シリコンカンチレバーSI−DF20で、共振周波数120〜150kHz、バネ定数12〜20N/mのものを用い、DFMモード(Dynamic Force Mode)で測定する。測定領域80×80μmを、走査周波数1Hzで測定する。
本発明において、Raの値は10nm以下であることが好ましく、5nm以下であることがより好ましい。
[補助電極]
大面積化に対応するためには、導電性ポリマー含有層を有する電極が、さらに、光不透過の導電部と透光性窓部とからなる補助電極を有することが好ましい。
補助電極の光不透過の導電部は導電性が良い点で金属であることが好ましく、金属材料としては、例えば、金、銀、銅、鉄、ニッケル、クロム等が挙げられる。また導電部の金属は合金でも良く、金属層は単層でも多層でも良い。
補助電極の形状は特に制限はないが、例えば、導電部がストライプ状、あるいはメッシュ状、あるいは、ランダムな網目状である。
導電部がストライプ状、あるいはメッシュ状の補助電極を形成する方法としては、特に、制限はなく、従来公知な方法が利用できる。例えば、基材全面に金属層を形成し、公知のフォトリソ法によって形成できる。具体的には、基材上に全面に、蒸着、スパッタ、めっき等の1或いは2以上の物理的或いは化学的形成手法を用いて導電体層を形成する、あるいは、金属箔を接着剤で基材に積層した後、公知のフォトリソ法を用いて、エッチングすることにより、所望のストライプ状、あるいはメッシュ状に加工できる。
別な方法としては、金属微粒子を含有するインクをスクリーン印刷により所望の形状に印刷する方法や、メッキ可能な触媒インクをグラビア印刷、あるいは、インクジェット方式で所望の形状に塗布した後、メッキ処理する方法、さらに別な方法としては、銀塩写真技術を応用した方法も利用できる。銀塩写真技術を応用した方法については、例えば、特開2009−140750号公報の0076−0112、および実施例を参考にして実施できる。触媒インクをグラビア印刷してメッキ処理する方法については、例えば、特開2007−281290号公報を参考にして実施できる。
ランダムな網目構造としては、例えば、特表2005−530005号公報に記載のような、金属微粒子を含有する液を塗布乾燥することにより、自発的に導電性微粒子の無秩序な網目構造を形成する方法を利用できる。
別な方法としては、例えば、特表2009−505358号公報に記載のような、金属ナノワイヤを含有する塗布液を塗布乾燥することで、金属ナノワイヤのランダムな網目構造を形成させる方法を利用できる。
〔好ましい用途〕
本発明の電極は高い導電性と透明性を併せ持ち、液晶表示素子、有機発光素子、無機電界発光素子、電子ペーパー、有機太陽電池、無機太陽電池等の各種オプトエレクトロニクスデバイスや、電磁波シールド、タッチパネル等の分野において好適に用いることができる。その中でも、電極表面の平滑性が厳しく求められる有機エレクトロルミネッセンス素子の電極として特に好ましく用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例1
《ポリマー(A)の合成》
合成例1(A1の合成:本発明内)
200ml三ツ口フラスコにTHF100mlを加え10分間加熱還流させた後、窒素下で室温に冷却した。
I−1:2−ヒドロキシエチルアクリレート(10.0g、86mmol、分子量:116.05)、AIBN(1.41g、8.5mmol、分子量:164.11)を加え、5時間加熱還流した。室温に冷却した後、3000mlのMEK中に反応溶液を滴下し、1時間攪拌した。MEK(メチルエチルケトン)をデカンテーション後、100mlのMEKで3回洗浄後、THF(テトラヒドロフラン)でポリマーを溶解し、100mlフラスコへ移した。THFをロータリーエバポレーターにより減圧留去後、50℃で3時間減圧乾燥した。その結果、数平均分子量370000、分子量分布2.7、の本発明ポリマーA1を8.9g(収率89%)得た。得られたポリマーを純水に溶解し、固形分50%のポリマーA1の水溶液を調製した。
尚、数平均分子量はGPC(Waters2695、Waters社製)で測定した。
〈GPC測定条件〉
装置:Wagers2695(Separations Module)
検出器:Waters 2414(Refractive Index Detector)
カラム:Shodex Asahipak GF−7M HQ
溶離液:ジメチルホルムアミド(20mM LiBr)
流速:1.0ml/min
温度:40℃
合成例2(A2の合成:本発明内)
モノマーとしてI−13:ブレンマーGLM(0.22g、1.5mmol、分子量:146.06)、II−12:ブレンマーAE−400(23.4g、48.5mmol、分子量:482.27)を用いた以外は合成例1と同様な方法により、数平均分子量27600、分子量分布3.1、の本発明ポリマーA2を21.0g(収率89%)得た。
合成例3(A3の合成:本発明内)
モノマーとしてI−13:ブレンマーGLM(0.37g、2.5mmol、分子量:146.06)、II−12:ブレンマーAE−400(22.9g、47.5mmol、分子量:482.27)を用いた以外は合成例1と同様な方法により、数平均分子量31100、分子量分布2.9、の本発明ポリマーA3を19.8g(収率85%)得た。
合成例4(A4の合成:本発明内)
モノマーとしてI−13:ブレンマーGLM(3.56g、25mmol、分子量:146.06)、II−12:ブレンマーAE−400(12.1g、25mmol、分子量:482.27)を用いた以外は合成例1と同様な方法により、数平均分子量23100、分子量分布2.7、の本発明ポリマーA4を14.3g(収率91%)得た。
合成例5(A5の合成:本発明内)
モノマーとしてI−13:ブレンマーGLM(5.84g、40mmol、分子量:146.06)、II−12:ブレンマーAE−400(4.82g、10mmol、分子量:482.27)を用いた以外は合成例1と同様な方法により、数平均分子量25400、分子量分布2.6、の本発明ポリマーA5を9.38g(収率88%)得た。
合成例6(A6の合成:本発明内)
モノマーとしてI−1:2−ヒドロキシエチルアクリレート(1.74g、15mmol、分子量:116.05)、II−6:ブレンマーPME−200(9.7g、35mmol、分子量:276.16)を用いた以外は合成例1と同様な方法により数平均分子量33700、分子量分布2.4の本発明ポリマーA6を10.3g(収率90%)得た。
本発明のポリマーA2〜A6を純水に溶解し、固形分50%のポリマーA2〜A6の水溶液をそれぞれ調製した。
《導電性ポリマー液P−1〜P−7の調製》
次いで、上記で調製したポリマーA1〜A6(固形分50%の水溶液)を用いて、下記のようにして導電性ポリマー液P−1〜P−7を調製した。
(導電性ポリマー液P−1)
ポリマーA1(固形分50%水溶液) 0.14g
PEDOT−PSS CLEVIOS PH510(固形分1.89%)(H.C.Starck社製) 1.59g
(導電性ポリマー液P−2)
ポリマーA2(固形分50%水溶液):0.14g
PEDOT−PSS CLEVIOS PH510(固形分1.89%)(H.C.Starck社製) 1.59g
(導電性ポリマー液P−3)
ポリマーA3(固形分50%水溶液) 0.14g
PEDOT−PSS CLEVIOS PH510(固形分1.89%)(H.C.Starck社製) 1.59g
(導電性ポリマー液P−4)
ポリマーA4(固形分50%水溶液) 0.14g
PEDOT−PSS CLEVIOS PH510(固形分1.89%)(H.C.Starck社製) 1.59g
(導電性ポリマー液P−5)
ポリマーA5(固形分50%水溶液) 0.14g
PEDOT−PSS CLEVIOS PH510(固形分1.89%)(H.C.Starck社製) 1.59g
(導電性ポリマー液P−6)
ポリマーA6(固形分50%水溶液) 0.14g
PEDOT−PSS CLEVIOS PH510(固形分1.89%)(H.C.Starck社製) 1.59g
(導電性ポリマー液P−7)
PEDOT−PSS CLEVIOS PH510(固形分1.89%)(H.C.Starck社製) 1.59g
《銀ナノワイヤ分散液1および2、銀粒子分散液3の作製》
導電性を有する金属繊維として、Adv.Mater.,2002,14,833〜837に記載の方法を参考に、ポリビニルピロリドンK30(分子量5万;ISP社製)を利用して、平均短径75nm、平均長さ35μmの銀ナノワイヤを作製し、限外濾過膜を用いて銀ナノワイヤを濾別、水洗処理した後、ヒドロキシプロピルメチルセルロース60SH−50(信越化学工業社製)を銀に対し25質量%加えた水溶液に再分散し、本発明の銀ナノワイヤ分散液1を作製した。
また、ポリビニルピロリドンの量と硝酸銀濃度、添加量等を調整し、平均短径94nm、平均長さ8.1μmになるように調整した以外は同様な方法で、本発明の銀ナノワイヤ分散液2および、平均粒径80nmの銀粒子分散液3を作製した。
《電極No.1〜No.35の作製》
(電極No.1の作製;本発明)
上記で作製した銀ナノワイヤ分散液1を、両面にガスバリア層を設けた厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム支持体上に、銀ナノワイヤの目付け量が60mg/mとなるように、銀ナノワイヤ分散液を、スピンコーターを用いて塗布し、乾燥させた。続いて、銀ナノワイヤの塗布層にカレンダー処理を施し、上記の方法で調製した導電性ポリマー液P−1を、銀ナノワイヤ塗布層の上に乾燥膜厚が300nmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレートで120℃20分間加熱処理を施して電極No.1を作製した。
銀ナノワイヤ分散液1には、付き量が0.5mg/mになるように、本発明の酸化防止剤PH−18をメチルエチルケトンに溶解して添加した。
(電極No.2〜27(本発明)、電極No.28〜35(比較)の作製)
電極No.1において、導電性金属層に含有される金属繊維、酸化防止剤等の種類、添加量、導電性ポリマー種を下記表1、表2のように変更する以外は、全く同様にして、本発明の電極No.2〜27、比較の電極No.28〜35を作製した。
《評価》
[保存前後の透過率の差]
透過率は、東京電色社製AUTOMATIC HAZEMETER(MODEL TC−HIIIDP)を用いて、導電部パターン部の全光線透過率を測定した。
上記のように作製した本発明の電極No.1〜27、比較の電極No.28〜35について、85℃90%RH条件下7日間保存前後の全光線透過率の測定を行い、保存前後の差を求め、下記の基準に基づいて高温高湿環境下の保存前後の透過率の差を評価した。
◎:全光線透過率の差が1%未満
○:全光線透過率の差が1%以上3%未満
△:全光線透過率の差が3%以上5%未満
×:全光線透過率の差が5%以上
(平滑性)
平滑性の評価として、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy:AFM)SPI3800Nプローブステーション及びSPA400多機能型ユニット(セイコーインスツル社製)を用い、表面粗さRaを測定した(表面粗さRaは、JIS B601(1994)に規定される表面粗さに準ずる値である)。カンチレバーは、SI−DF20(セイコーインスツル社製)を用い、共振周波数120〜150kHz、バネ定数12〜20N/m、DFMモード(Dynamic Force Mode)にて、測定領域10μm角を、走査周波数1Hzで測定し、JIS B601(1994)に準じて求めた算術平均粗さRaを求めた。
上記のように作製した本発明の電極No.1〜27、比較の電極No.28〜35について、85℃90%RH条件下7日間保存前後の算術平均粗さRaの測定を行い、下記の式1に従って保存による変化比率を求め、下記の基準に基づいて評価を行った。
保存による変化比率(%)=((保存後の算術平均粗さRa−保存前の算術平均粗さRa)/保存前の算術平均粗さRa)×100・・・・式1
◎:保存による変化比率が1%未満
○:保存による変化比率が1%以上、3%未満
△:保存による変化比率が3%以上、8%未満
×:保存による変化比率が8%以上
上記評価結果を表1、表2に示す。
表1、表2中、
Irganox1010:フェノール化合物、BASFジャパン株式会社製
Irganox1076:フェノール化合物、BASFジャパン株式会社製
GSY−P101:リン系化合物、堺化学工業株式会社製
Sumilizer−GP:リン系化合物、住友化学株式会社製
Tinuvin−144:ヒンダードアミン化合物、BASFジャパン株式会社製
LA−52:ADK STAB LA−52、ヒンダードアミン化合物、株式会社ADEKA製
Sumilizer−GS:アクリレート系化合物、住友化学株式会社製
HP−136:ベンゾフラノン系化合物、BASFジャパン株式会社製
比較化合物(1):ベンゾイミダゾール
下記に上記化合物の構造を示す。
Figure 2011216468
Figure 2011216468
Figure 2011216468
Figure 2011216468
表1、表2に示した様に、比較例であるNo.28〜35に対して、金属繊維を有する導電性金属層に本発明の酸化防止剤を有し、導電性ポリマー層に本発明のポリマー(A)を有する本発明の電極は、高温高湿条件下での保存による透明性の低下、平滑性の劣化が少ないことがわかる。
実施例2
[有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の作製]
実施例1で作製した電極No.1〜35各々をアノード電極として、以下の手順で有機EL素子1〜35を作製した。
〈正孔輸送層の形成〉
アノード電極上に、1.2−ジクロロエタン中に1質量%となるように正孔輸送材料の4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)を溶解させた正孔輸送層形成用塗布液をスピンコート装置で塗布した後、80℃、60分間乾燥して、厚さ40nmの正孔輸送層を形成した。
〈発光層の形成〉
正孔輸送層が形成された各フィルム上に、ホスト材のポリビニルカルバゾール(PVK)に対して、赤ドーパント材BtpIr(acac)が1質量%、緑ドーパント材Ir(ppy)が2質量%、青ドーパント材FIr(pic)が3質量%にそれぞれなるように混合し、PVKと3種ドーパントの全固形分濃度が1質量%となるように1.2−ジクロロエタン中に溶解させた発光層形成用塗布液をスピンコート装置で塗布した後、100℃、10分間乾燥して、厚さ60nmの発光層を形成した。
Figure 2011216468
〈電子輸送層の形成〉
形成した発光層上に、電子輸送層形成用材料としてLiFを5×10−4Paの真空下にて蒸着し、厚さ0.5nmの電子輸送層を形成した。
〈カソード電極の形成〉
形成した電子輸送層の上に、Alを5×10−4Paの真空下にて蒸着し、厚さ100nmのカソード電極を形成した。
〈封止膜の形成〉
形成した電子輸送層の上に、ポリエチレンテレフタレートを基板とし、Alを厚さ300nmで蒸着した可撓性封止部材を使用した。アノード電極及びカソード電極の外部取り出し端子が形成出来る様に端部を除きカソード電極の周囲に接着剤を塗り、前記可撓性封止部材を貼合した後、熱処理で接着剤を硬化させ封止膜を形成して封止した。
《評価》
<発光輝度ムラ>
KEITHLEY製ソースメジャーユニット2400型を用いて、直流電圧を有機EL素子に印加し発光させた。200cd/mで発光させた有機EL素子1〜35について、50倍の顕微鏡で各々の発光均一性を観察した。さらに、有機EL素子1〜35を200cd/mで1000時間発光させた後の発光均一性を観察した。
(発光均一性の評価基準)
◎:EL素子全体が均一に発光している
○:EL素子全体がほぼ均一に発光している
△:EL素子の発光にややムラが認められる
×:EL素子の発光に明らかなムラが認められる
上記の評価結果を表3に示す。
Figure 2011216468
表3に示した様に、有機EL素子28〜35(比較例)に対して、金属繊維を有する導電性金属層に本発明の酸化防止剤を有し、導電性ポリマー層に本発明のポリマー(A)を有する本発明の電極を用いた有機EL素子は、高温高湿条件下での保存による透明性の低下、平滑性の劣化が少ないことがわかる。
11 金属繊維
21 導電性ポリマー
31 第一の導電性金属層
32 第二の導電層
41 基板

Claims (7)

  1. 基板上に金属繊維を含有する導電性金属層と、導電性ポリマー層とを有する電極において、該導電性金属層は酸化防止剤を含有し、かつ、該導電性ポリマー層は、バインダー樹脂として、下記一般式(I)で表される構造単位を有するポリマー、及び、下記一般式(I)及び下記一般式(II)で表される構造単位を有するコポリマーの少なくとも何れかを有するポリマー(A)を含有することを特徴とする電極。
    Figure 2011216468
    〔式中、Rは水素原子、メチル基を表し、Qは−C(=O)O−、−C(=O)NRa−を表す。Raは水素原子、アルキル基を表し、Aは置換或いは無置換アルキレン基、−(CHCHRbO)−(CHCHRb)−を表し、Rbは水素原子、アルキル基を表す。xは平均繰り返しユニット数で1〜100の数である。yは0、1を表す。Zはアルキル基、−C(=O)−Rc、−SO−Rd、−SiReを表す。Rc、Rd、Reはアルキル基、パーフルオロアルキル基、又は、アリール基を表す。〕
  2. 前記導電性ポリマー層が、前記導電性金属層の上に設置されていることを特徴とする請求項1に記載の電極。
  3. 前記金属繊維が、銀ナノワイヤであることを特徴とする請求項1又は2に記載の電極。
  4. 前記酸化防止剤が、水溶性化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電極。
  5. 前記酸化防止剤が、フェノール系化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電極。
  6. 前記酸化防止剤の添加量が、1×10−4g/m〜1g/mであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電極。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の電極を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
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