以下、この発明による装置、システムの一実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態においては、この発明をIP電話機と、IP電話機が接続されて構成されるシステムに適用した場合を例にして説明する。
[電話システムの概要]
図1は、発信元の電話機と着信先の電話機とからなるこの発明の電話システムの一実施の形態を説明するための図である。図1に示した例の場合には、IP電話システムAとIP電話システムBとがIP網4を通じて接続することができるようにされている。IP電話システムAとIP電話システムBとは、所定のそれぞれの事業所内に形成されたものである。そして、IP電話システムAは、IP電話機1A(1)、1A(2)、…、1A(n)とSIPサーバ3AとがLAN2Aを通じて接続されて構成されている。同様に、IP電話システムBは、IP電話機1B(1)、1B(2)、…、1B(n)とSIPサーバ3BとがLAN2Bを通じて接続されて構成されている。
図1に示すように、IP電話システムAのSIPサーバ3AとIP電話システムBのSIPサーバ3Bとのそれぞれは、IP網4や電話網5に接続されている。ここで、IP網4は、IP(Internet Protocol)を用いて通信を行うネットワークを意味し、具体的にはインターネットを意味する。また、電話網5は、PSTN(Public Switched Telephone Network)などと呼ばれるアナログ方式の公衆交換電話網やISDN(Integrated Services Digital Network)などと呼ばれるデジタル回線網などを意味する。
IP電話システムAのIP電話機1A(1)、1A(2)、…、1A(n)のそれぞれと、IP電話システムBのIP電話機1B(1)、1B(2)、…、1B(n)のそれぞれは、通話を行うためにユーザによって用いられる通信端末である。IP電話機1A(1)、1A(2)、…、1A(n)のそれぞれは、SIPサーバ3Aを通じて、LAN2Aに接続された同じ事業所内の他のIP電話機との間や、IP網6や電話網7に接続された外部の電話機との間で通話を行う場合に用いられる。同様に、IP電話機1B(1)、1B(2)、…、1B(n)のそれぞれは、SIPサーバ3Bを通じて、LAN2Bに接続された同じ事業所内の他のIP電話機との間や、IP網6や電話網7に接続された外部の電話機との間で通話を行う場合に用いられる。このように、IP電話機1A(1)、1A(2)、…、1A(n)やIP電話機1B(1)、1B(2)、…、1B(n)のそれぞれは、同じLANに接続されている他のIP電話機との間の内線通話と、IP網4や電話網5に接続された外部の電話機との間の外線通話との双方を行うことができるものである。
IP電話システムAのSIPサーバ3Aと、IP電話システムBのSIPサーバ3Bとは、共に通信回線を接続する端末間のアドレス解決をするものである。このため、IP電話システムAにおけるLAN2Aに接続されたIP電話端末1A(1)、1A(2)、…、1A(n)のそれぞれは、内線、外線を問わず、SIPサーバ3Aを介して通話路が生成され、通話を行うことができるようにされる。同様に、IP電話システムBにおけるLAN2Bに接続されたIP電話端末1B(1)、1B(2)、…、1B(n)のそれぞれは、内線、外線を問わず、SIPサーバ3Bを介して通話路が生成され、通話を行うことができるようにされる。
つまり、SIPサーバ3Aは、レジストラ・サーバ機能とプロキシ・サーバ機能とを備え、これらの機能を用いることによって、LAN2Aに接続された電話システム内の機器間や、LAN2Aに接続された機器とIP網4や電話網5に接続された機器間に、通信回線を接続することができるようにするものである。同様に、SIPサーバ3Bは、レジストラ・サーバ機能とプロキシ・サーバ機能とを備え、これらの機能を用いることによって、LAN2Bに接続された電話システム内の機器間や、LAN2Bに接続された機器とIP網4や電話網5に接続された機器間に、通信回線を接続することができるようにするものである。
そして、図1に示した例においては、IP電話システムA内やIP電話システムB内において内線電話をかけるようにした場合の発信元のIP電話機と着信先のIP電話機とによって、この発明の電話システムが構成されることになる。また、図1に示した例においては、IP電話システムAとIP電話システムBとの相互間において外線電話をかけるようにした場合の発信元のIP電話機と着信先のIP電話機とによって、この発明の電話システムが構成されることになる。
[IP電話システムを構成する各機器の構成]
次に、図1に示したIP電話システムAのIP電話機1A(1)、1A(2)、…、1A(n)やSIPサーバ3Aの構成や動作、また、IP電話システムBのIP電話機1B(1)、1B(2)、…、1B(n)やSIPサーバ3Bの構成や動作について説明する。なお、この実施の形態において、IP電話システムAのIP電話機1A(1)、1A(2)、…1A(n)のそれぞれと、IP電話システムBのIP電話機1B(1)、1B(2)、…1B(n)のそれぞれは同様の構成を有し、同様の機能を実現するものである。このため、特に区別する必要のある場合を除き、以下においては、IP電話機1A(1)、1A(2)、…、1A(n)と、IP電話機1B(1)、1B(2)、…、1B(n)とのそれぞれを総称してIP電話機1という。
また、この実施の形態において、IP電話システムAのSIPサーバ3Aと、IP電話システムBのSIPサーバ3Bとは同様の構成を有し、同様の機能を実現するものである。このため、特に区別する必要のある場合を除き、以下においては、SIPサーバ3A、3Bを総称してSIPサーバ3という。また、特に区別する場合を除いて、LAN2A、2Bについても、これらを総称してLAN2と呼ぶことにする。
[IP電話機1の構成と動作概要]
まず、この実施の形態のIP電話機1について説明する。図2は、この実施の形態で用いられるIP電話機1を説明するためのブロック図である。また、図3は、この実施の形態で用いられるIP電話機1の外観を説明するための外観図である。この実施の形態のIP電話機1は、この発明による発信元となる電話端末と着信先となる電話端末の一実施の形態が適用されたものである。
図2に示すように、IP電話機1は、主に電話機能を実現する部分として、LAN接続端子101、LANインターフェース(以下、LANI/Fという。)102、パケット処理部103、通話音声入出力インターフェース(以下、通話音声入出力I/Fという。)104、ハンドセット接続端子105、ハンドセット106、操作入力部107、操作入力インターフェース(以下、操作入力I/Fという。)108、ディスプレイコントローラ109、ディスプレイ110、リンガ111を備えている。
操作入力部107は、ユーザからの操作入力を受け付けるための種々の操作キーを有するものである。図3は、この実施の形態のIP電話機1の外観を説明するための図であり、主に本体1Bdの前面(操作面)について説明するための図である。図3に示すように、IP電話機1の本体1Bdの前面左側にはハンドセット106が載置するようにされている。また、図3に示すように、IP電話機1の本体1Bdの前面右上側には、ディスプレイ110の表示画面110Gが設けられている。ディスプレイ110は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイ等の薄型の表示素子からなるものである。そして、ディスプレイ110の表示画面110Gの下側に種々の操作キーからなる操作入力部107が構成されている。
図3に示すように、表示画面110G側から順に、外線1キー〜外線5キーとして示したように、5つの外線キーからなる外線キー群7otと、内線1キー〜内線5キーとして示したように、5つの内線キーからなる内線キー群7extと、FN1キー〜FN5キーとして示したように、5つのファンクションキーからなるファンクションキー群7fnが設けられている。
外線キー群7otに属する外線1キー〜外線5キーは、外線発信を行う場合の外線発信操作キーとしての機能を有するものである。そして、これら外線1キー〜外線5キーのそれぞれは、ダイヤル入力前に操作される場合には、使用する外線の捕捉を指示する回線捕捉キーとして機能し、ダイヤル入力後に操作される場合には、対応する外線を通じて発信することを指示する外線発信開始キーとして機能するものである。同様に、内線キー群7extに属する内線1キー〜内線5キーは、内線発信を行う場合の内線発信操作キーとしての機能を有するものである。これら内線1キー〜内線5キーのそれぞれは、ダイヤル入力前に操作される場合には、使用する内線の捕捉を指示する回線捕捉キーとして機能し、ダイヤル入力後に操作される場合には、対応する内線を通じて発信することを指示する内線発信開始キーとして機能するものである。
ファンクションキー群fnに属するFN1キー〜FN5キーは、種々の機能が割り当てられているものである。例えば、リダイヤル機能、メニュー表示機能、録音開始機能、録音再生機能といった、IP電話機1が有する各種の機能が割り当てられ、FN1キー〜FN5キーを操作することにより、割り当てられている機能を実行することができるようにされている。また、ファンクションキー群7fnの下側には、0〜9までの数字キーと*(アスタリスク)キー、#(シャープ)キーからなる数字キー群7Nbが設けられている。なお、数字キーのそれぞれには、日本語の50音文字(日本語の仮名文字)が割り当てられ、電話帳データの名前の入力などに用いることができるようにされている。
さらに、数字キー群7Nbの右側には、メニュー選択や項目選択などに用いられる上矢印キーUP、右矢印キーRI、下矢印キーDW、左矢印キーLF、決定キーDEが設けられている。これらの下側には、かかって来た電話に応答するための応答キー7A、電話を保留するための保留キー7Rが設けられている。また、数字キー群7Nbの下側には、電話帳データを表示画面110Gに表示するための電話帳キー7Adと、発信を指示するための発信キー7Sが設けられている。そして、操作入力部107に設けられた種々の操作キーを操作することによって、電話帳登録データを入力して登録したり、種々の設定情報を入力して設定したりすることができるようにされる。また、後述もするように、操作入力部107に設けられた種々の操作キーを操作することによって、目的に応じた電話回線を選択して、目的とする相手先に電話をかけることができるようにされる。
また、図2に示すように、IP電話機1は、電話帳メモリ121、設定情報メモリ122、発信者情報特定部123を備えている。ここで、設定情報メモリ122と発信者情報特定部123とは、自機から電話をかける場合に、目的とする相手先(着信先)に応じて、IP電話機1のユーザが意図する発信者名称等の発信者情報を通知できるようにするためのものである。具体的に、設定情報メモリ122には、発信者番号設定(設定情報1)、発信者名称設定(設定情報2)、発信操作と発信者情報の組み合わせ設定(設定情報3)とが設定される。これらの設定情報について具体的に説明する。
図4は、設定情報メモリ122に設定される発信者番号設定(設定情報1)を説明するための図である。発信者番号設定(設定情報1)は、相手先(着信先)に対して通知することのできる発信者番号を予め設定しておくものである。そして、図4に示すように、発信者番号設定(設定情報1)は、「設定No.」と、「発信者番号(発番号)」と、「補足説明」とを有する。「設定No.」は、設定された情報のそれぞれを特定(識別)するためのものである。「発信者番号」は、発信元が使い分けられる相手先に通知する電話番号(外線番号、内線番号)である。「補足説明」は、対応する発信者番号がどのような電話番号であるかを示す情報であり、主にユーザのメモ(いわゆる覚書)として用いられるものである。図4に示した例の場合には、当該IP電話機1においては、少なくとも8個の発信者番号を使い分けることができるようにしている。
そして、図4に示した発信者番号設定(設定情報1)の場合には、内線発信時に通知する発信者番号(内線番号)として、「2013」、「112013」、「2113」、「112113」の4つが設定されている。「2013」は、所属部内への内線発信時に相手先に通知する内線番号である。「112013」は、他部門への内線発信時に相手先に通知する内線番号である。ここで、先頭の2桁の「11」は部門を識別するための部門コードである。「2113」は、部内への内線発信時に相手先に通知する個人直通の内線番号である。「112113」は、他部門への内線発信時に相手先に通知する個人直通の内線番号である。この場合においても、先頭の2桁の「11」は部門を識別するための部門コードである。
また、図4に示した発信者番号設定(設定情報1)の場合には、外線発信時に相手先に通知する発信者番号(外線番号)として、「0311111111」、「0311111200」、「0311111208」、「09011111111」の4つが設定されている。「0311111111」は、自社の代表番号である。「0311111200」は、部門専用の代表番号である。「0311111208」は、個人直通の外線番号である。「09011111111」は、個人の携帯電話番号である。このように、図4に示した発信者番号設定(設定情報1)が設定情報メモリ122に設定されているIP電話機1においては、少なくとも8個の発番号(内線番号4個、外線番号4個)を使い分けて相手先に発信者番号を通知することができるようにしている。
図5は、設定情報メモリ122に設定される発信者名称設定(設定情報2)を説明するための図である。発信者名称設定(設定情報2)は、相手先(着信先)に対して通知することのできる発信者名称を予め設定しておくものである。そして、図5に示すように、発信者名称設定(設定情報2)は、「設定No.」と、「着信先種別」と、「設定内容(発信者名称)」とが設定される。「設定No.」は、設定された情報のそれぞれを特定(識別)するためのものである。「着信先種別」は、電話の相手先の種別(種類)を示すものである。「設定内容(発信者名称)」は、発信元が使い分けられる相手先に通知する発信者名称である。図5に示した例の場合には、当該IP電話機1においては、少なくとも6個の発信者名称を使い分けることができるようにしている。
すなわち、図5に示した発信者名称設定(設定情報2)の場合には、「山田○○」、「システム開発山田」、「AZ株式会社」、「AZ株式会社 システム開発」、「AZ株式会社 山田○○」、「山田、佐藤、鈴木」という6個の発信者名称が設定されている。「山田○○」は、所属部内への内線発信時に相手先に通知する発信者名称である。「システム開発山田」は、所属部外への内線電話発信時に相手先に通知する発信者名称である。「AZ株式会社」は、社外一般への外線発信時に相手先に通知する発信者名称である。「AZ株式会社システム開発」は、社外の得意先への外線発信時に相手先に通知する発信者名称である。「AZ株式会社 山田○○」は、当該IP電話機1の使用者が担当する得意先への外線発信時に相手先に通知する発信者名称である。「山田、佐藤、鈴木」は、これら複数(この例では3名)の者が担当する得意先への外線発信時に相手先に通知する発信者名称である。このように、図5に示した発信者名称設定(設定情報2)が設定情報メモリ122に設定されているIP電話機1においては、少なくとも上述した6個の発信者名称を使い分けて、相手先(着信先)に発信者名称を通知することができるようにされる。
図6は、設定情報メモリ122に設定される発信操作と発信者情報の組み合わせ設定(設定情報3)を説明するための図である。発信操作と発信者情報の組み合わせ設定(設定情報3)は、発信時に操作される発信操作キー(外線発信操作キーや内線発信操作キー)に応じて、相手先(着信先)に通知すべき発信者情報(発番号や発信者名称)を特定するために、これらの情報の対応付けを予め設定しておくものである。そして、図6に示すように、発信操作と発信者情報の組み合わせ設定(設定情報3)としては、「設定No.」と、「発信操作」と、「発信者番号設定No.」と、「発信者名称設定No.」と、「補足説明」とが設定される。
「設定No.」は、設定された情報のそれぞれを特定(識別)するためのものである。「発信操作」は、操作される発信操作キーを示すものである。「発信者番号設定No.」は、図4を用いて説明した発信者番号設定(設定情報1)のどれを用いるかを示すものである。「発信者名称設定No.」は、図5を用いて説明した発信者名称設定(設定情報2)のどれを用いるかを示すものである。「補足説明」は、設定された発明者番号や発明者名称がどのようなものかを示すものであり、主にユーザのメモ(いわゆる覚書)として用いられるものである。
そして、図6に示した発信操作と発信者情報の組み合わせ設定(設定情報3)の場合には、以下のような設定がなされている。すなわち、設定No.1として、発信操作キーである内線発信1(内線1キー)が操作された場合には、図4の設定No.1に示した部内発信用内線番号「2013」と、図5の設定No.1に示した発信者名称「山田○○」を相手先への通知情報とすることが設定されている。また、設定No.2として、発信操作キーである内線発信2(内線2キー)が操作された場合には、図4の設定No.2に示した部外発信用内線番号「112013」と、図5の設定No.2に示した発信者名称「システム開発山田」を相手先への通知情報とすることが設定されている。なお、内線1キー、内線2キーは、図3に示したIP電話機1の外観の内線キー群7extに属する操作キーである。
同様に、設定No.5として、発信操作キーである外線発信1(外線1キー)が操作された場合には、図4の設定No.5に示した代表番号「0311111111」と、図5の設定No.3に示した発信者名称「AZ株式会社」を相手先への通知情報とすることが設定されている。また、設定No.6として、発信操作キーである外線発信2(外線2キー)が操作された場合には、図4の設定No.6に示した部門専用代表番号「0311111200」と、図5の設定No.4に示した発信者名称「AZ株式会社 システム開発」を相手先への通知情報とすることが設定されている。
また、設定No.7として、発信操作キーである外線発信3(外線3キー)が操作された場合には、図4の設定No.7に示した個人直通外線番号「0311111208」と、図5の設定No.5に示した発信者名称「AZ株式会社 山田○○」を相手先への通知情報とすることが設定されている。また、設定No.8として、発信操作キーである外線発信4(外線4キー)が操作された場合には、図4の設定No.8に示した個人携帯電話番号「09011111111」と、図5の設定No.5に示した発信者名称「AZ株式会社 山田○○」を相手先への通知情報とすることが設定されている。なお、外線1キー、外線2キー、外線3キー、外線4キーのそれぞれは、図3に示したIP電話機1の外観の外線キー群7otに属する操作キーである。
これにより、この実施の形態のIP電話機1においては、発信者情報特定部123が、操作入力部107の操作キーの内、操作された発信操作キー(外線操作キー群7otや内線操作キー群7extの操作キー)に応じて、設定情報メモリ122の設定情報を参照し、相手先に通知すべき発信者情報(発番号や発信者名称)を特定することができるようにしている。
また、この実施の形態のIP電話機1において、電話帳メモリ121は、よく電話をかける相手先の少なくとも名前と電話番号とを対応付けて記憶保持するものである。ここで、電話番号は外線番号と内線番号の両方を含む。すなわち、よく内線電話をかける相手先についても電話帳メモリ121に登録することができるようにされている。しかし、この実施の形態のIP電話機1の電話帳メモリ121には、よく電話をかける相手先の名前と電話番号の他にも、登録された相手先毎に、発信時において通知すべき発信者情報(発番号や発信者名称)を特定する情報も設定するようにされている。
図7は、この実施の形態のIP電話機1の電話帳メモリ121に登録される電話帳登録データについて説明するための図である。図7に示すように、電話帳登録データとしては、「登録No.」と、「名称」と、「フリガナ」と、「電話番号」と、「外線/内線」と、「発信者番号設定No.」と、「発信者名称設定No.」とが設定される。「登録No.」は、設定された情報のそれぞれを特定(識別)するためのものである。「名称」は、よく電話をかける相手先の名称を示すものであり、「フリガナ」は、「名称」の読みに対応するものである。また、「電話番号」は、よく電話をかける相手先の電話番号を示すものであり、「外線/内線」は、相手先は外線の接続先か、内線の接続先かを示すものである。
そして、「発信者番号設定No.」は、図4を用いて説明した発信者番号設定(設定情報1)のどれを用いるかを示すものである。「発信者名称設定No.」は、図5を用いて説明した発信者名称設定(設定情報2)のどれを用いるかを示すものである。この他、相手先の住所や電子メールアドレス等の情報や、備考として種々の文字情報を登録しておくこともできるようにされるが、ここではそれらについての説明は省略する。
そして、図7に示した電話帳メモリ121の電話帳登録データの場合には、以下のような設定がなされている。すなわち、登録No.1として、よく電話をかける相手先である「ABC株式会社」についての「名称」、「フリガナ」、「電話番号」と「外線」を通じて接続されることが登録されている。さらに、この「ABC株式会社」に対しては、図4の設定No.7に示した個人直通外線番号「0311111208」と、図5の設定No.5に示した発信者名称「AZ株式会社 山田○○」を相手先への通知情報とすることが設定されている。
同様に、登録No.2として、よく電話をかける相手先である「777株式会社」についての「名称」、「フリガナ」、「電話番号」と「外線」を通じて接続されることが登録されている。さらに、この「777株式会社」に対しては、図4の設定No.6に示した部門専用代表番号「0311111200」と、図5の設定No.6に示した発信者名称「山田、佐藤、鈴木」を相手先への通知情報とすることが設定されている。
同様に、登録No.3として、よく電話をかける相手先である「○○電気」についての「名称」、「フリガナ」、「電話番号」、及び「外線」を通じて接続されることが登録されている。さらに、この「○○電気」に対しては、図4の設定No.5に示した代表番号「0311111111」と、図5の設定No.3に示した発信者名称「AZ株式会社」を相手先への通知情報とすることが設定されている。
また、登録No.5として、よく電話をかける相手先である「総務部」についての「名称」、「フリガナ」、「電話番号」と「内線」を通じて接続されることが登録されている。さらに、この「総務部」に対しては、図4の設定No.2に示した部門外用内線番号「112013」と、図5の設定No.2に示した発信者名称「システム開発山田」を相手先への通知情報とすることが設定されている。
同様に、登録No.6として、よく電話をかける相手先である「第3営業部」についての「名称」、「フリガナ」、「電話番号」と「内線」を通じて接続されることが登録されている。さらに、この「第3営業部」に対しては、図4の設定No.4に示した部門外用個人直通内線番号「112113」と、図5の設定No.2に示した発信者名称「システム開発山田」を相手先への通知情報とすることが設定されている。
同様に、登録No.7として、よく電話をかける相手先である「小林○郎」についての「名称」、「フリガナ」、「電話番号」、及び「内線」を通じて接続されることが登録されている。さらに、この「小林○郎」に対しては、図4の設定No.3に示した部内個人直通内線番号「2113」と、図5の設定No.1に示した発信者名称「山田○○」を相手先への通知情報とすることが設定されている。
そして、操作入力部107の数字キー群7Nbを通じて入力された(ダイヤル入力された)電話番号が、電話帳メモリ121に登録されているものである場合には、当該電話番号により特定される相手先についての「発信者番号設定No.」と「発信者名称設定No.」にとって特定される発信者情報を通知することができる。また、電話帳メモリ121に登録された情報から、目的とする相手先が選択するようにされた場合においても、当該選択された相手先についての「発信者番号設定No.」と「発信者名称設定No.」とによって特定される発信者情報を通知することができる。これらの発信者情報の特定処理もまた、発信者情報特定部123の機能により実現される。
また、IP電話機1は、図2に示すように、各部を制御する制御部130を備えている。制御部130は、CPU(Central Processing Unit)131、ROM(Read Only Memory)132、RAM(Random Access Memory)133が、CPUバス134を通じて接続されて構成されたマイクロコンピュータである。ここで、CPU131は、ROM132に記憶保持されているプログラムを読み出して実行し、各部に供給する制御信号を形成してこれを各部に供給したり、また、各部から供給されるデータを処理したりするものである。
ROM132は、上述のように、CPU131で実行される種々のプログラムや処理に必要になる各種のデータが記憶保持されたものである。また、RAM133は、処理の途中結果を一時記憶するなど、主に作業領域として用いられるものである。なお、図示しないが、例えば、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)やフラッシュメモリーなどのいわゆる不揮発性メモリを備え、電源が落とされても保持しておくべきデータ、例えば、種々の設定パラメータや機能アップのために提供された新たなプログラムなどについても記憶保持することができるようにされている。
そして、この実施の形態のIP電話機1は、自機から発信を行う場合に、3種類の発信操作に応じて、相手先(着信先)に通知すべき発信者情報を特定することができるようにしている。図8は、この実施の形態のIP電話機1において、相手先に通知する発信者情報の特定方法を説明するための図である。図8に示すように、相手先に通知する発信者情報の特定方法には、「1.発信操作キーで判断」、「2.ダイヤル入力内容で判断」、「3.発信者名称と発信者番号を選択」の3種類の方法がある。
「1.発信操作キーで判断」は、操作された発信操作キー(外線操作キー群7otや内線操作キー群7extの操作キー)に基づいて、設定情報メモリ122の図6に示した設定情報3を参照することにより、相手先(着信先)に通知すべき発信者情報を特定する方法である。「2.ダイヤル入力内容で判断」は、ダイヤル入力された電話番号に基づいて、電話帳メモリ121の図7に示した電話帳登録データを参照することにより、相手先(着信先)に通知すべき発信者情報を特定する方法である。なお、「2.ダイヤル入力内容で判断」には、電話帳メモリ121の図7に示した電話帳登録データから直接に目的とする相手先を選択した場合に、当該選択した相手先に設定された「発信者番号設定No.」や「発信者名称設定No.」によって通知すべき発信者情報を特定する場合も含む。また、「3.発信者名称と発信者番号を選択」は、図4に示した発信者番号設定(設定情報1)と図5に示した発信者名称設定(設定情報2)とから直接に目的とする発信者番号と発信者名称とを選択する方法である。
[発信(発呼)時の処理概要]
次に、上述した構成を有するこの実施の形態のIP電話機1から電話をかける場合(発信する場合)の処理の概要について説明する。この実施の形態のIP電話機1から電話をかける場合には、以下のような幾つかの操作方法がある。1つは、(1)外線キー群7otや内線キー群7extの発信操作キーを操作して用いる回線をまず捕捉した後に、ダイヤル入力を行った発信キー7Sを操作して発信する方法である。他の1つは、(2)ダイヤル入力を行った後、外線キー群7otや内線キー群7extが発信開始キーとして用いられ、操作された発信開始キーに応じて用いる回線を選択して発信する方法である。他の1つは、(3)電話帳メモリ121に登録された電話帳登録データから目的とする相手先を選択し、発信キー7Sや外線キー群7otや内線キー群7extの発信操作キーを操作して発信する方法である。
これら(1)〜(3)のいずれかの操作方法を用いて、目的とする相手先に電話をかけることができるようにされる。そして、操作入力部107を通じてダイヤル入力された電話番号や内線番号、あるいは、操作入力部107を通じて電話帳登録データを選択することにより特定された電話番号(外線番号)や内線番号は、操作入力I/F108を通じて制御部130に供給される。また、この時、詳しくは後述するが、発信者情報特定部123は、操作入力部107を通じて受け付けた情報と、設定情報メモリ122や電話帳メモリ121に設定されている情報に基づいて、相手先(着信先)に通知すべき発信者情報(発信者番号や発信者名称)を特定して、これを制御部130に供給する。
すると、制御部130は、相手先の電話番号や発信者情報を含むINVITE(呼び出し)メッセージ(発呼メッセージ)を形成し、これをパケット処理部103に供給する。パケット処理部103は、自機からの呼び出しメッセージをパケット化し、これをLANI/F102、LAN接続端子101を通じてLAN2に送出し、目的とする通信の相手先に送信するようにする。この後、目的とする相手先からの応答が返信されてきた場合に、通信路を生成する。そして、IP電話機1のユーザは、ハンドセット106を通じて通話を行うことができるようにされる。
この場合、相手先からのパケット化された音声データは、LAN接続端子101、LANI/F102を通じて受け付けられ、パケット処理部103に供給される。そして、パケット処理部103においてパケット分解され、制御データは、制御部130に、また、音声データは通話音声入出力I/F104に供給される。通話音声入出力I/F104は、パケット処理部103からの音声データから自機のハンドセット106のスピーカ(受話器)に供給するアナログ音声信号を形成し、ハンドセット接続端子105を通じてハンドセット106のスピーカに供給する。これにより、相手先から送信されてくる相手先の音声が、ハンドセット106のスピーカから放音される。
一方、ハンドセット106のマイクロホン(送話器)によって集音された音声は、ここで電気信号に変換され、ハンドセット接続端子105を通じて通話音声入出力I/F104に供給される。通話音声入出力I/F104は、ハンドセット106からの音声データをデジタル信号に変換するなどの処理を行って、これをパケット処理部103に供給する。パケット処理部103は、通話音声入出力I/F104からの音声データを含む相手先への送信用のパケットデータを形成し、これをLANI/F102、LAN接続端子101を通じてLAN2に送出し、通信の相手先に送信する。このようにしてIP電話機1は、目的とする相手先に電話をかけて、通話を行うことができるようにされるが、発信時において相手先(着信先)に応じて発信者情報を変えて通知することができるようにされている。
[着信(着呼)時の処理概要]
次に、この実施の形態のIP電話機1に電話がかかってきた場合(自機に着信がある場合)の処理について説明する。LAN2を介して送信されてくるパケットデータは、LAN接続端子101を通じてLANI/F102に供給され、ここで自機において処理可能な形式のデータに変換された後、CPUバス134を介して、パケット処理部103に供給される。パケット処理部103は、供給されたパケットデータに含まれる制御データや音声データを分解して抽出する。ここで分解された制御データは制御部130に供給され、自機の制御に用いられる。また、上述もしたように、自機(自端末)宛の音声データが含まれていた場合には、当該音声データは、CPUバス134を通じて通話音声入出力I/F104に供給されて処理されることになる。
そして、パケット処理部103において分解されて抽出された制御データが、自機への呼び出し(着信)メッセージである場合には、制御部130は、リンガ111を制御して、着信鳴動させる。同時に、制御部130は、当該呼び出しメッセージに含まれていた発信元の発信者番号や発信者名称を抽出し、これらをディスプレイコントローラ109を通じてディスプレイ110に供給する。これにより、ディスプレイ110の表示画面に自機に着信があることを通知するメッセージや発信元の電話番号や内線番号、さらに発信者名称などを表示することができるようにされる。そして、自機への着信に応じて、ユーザがハンドセット106をIP電話機1の本体1Bdから持ち上げると、当該IP電話機1はオフフック状態となる。制御部130は、自機への着信に応じてオフフック状態にされると、着信に応答するメッセージを形成し、これをパケット処理部103においてパケット化して、LANI/F102に供給する。
LANI/F102は、着信に応答するための当該パケットデータを送信用のパケットデータに変換し、これをLAN接続端子101を通じてLAN2に送出し、発呼元の端末に送信する。これにより発呼元との間において、通信路が生成され、通話が開始される。この場合、発信時の処理概要において上述もしたように、LAN接続端子101、LANI/F102、パケット処理部103、通話音声入出力I/F104、ハンドセット接続端子105、ハンドセット106からなる通話系の機能により通話を行うことができるようにされる。このように、IP電話機1は、自機にかかってきた電話に応答して通話を行うことができるようにされるが、着信時においては、自機宛の呼び出しメッセージに含まれる発信者情報である発信者番号や発信者名称を抽出して、これをディスプレイ110に表示することができるものである。
[SIPサーバ3の構成と動作概要]
次に、この実施の形態のシステムで用いられるSIPサーバ3について説明する。図9は、この実施の形態のシステムで用いられるSIPサーバ3を説明するためのブロック図である。図9に示すように、SIPサーバ3は、IP網4への接続端子301と、IPインターフェース(以下、IPI/Fと略称する。)302と、パケット分解/生成部303と、LANI/F304と、LAN接続端子305と、アドレス管理データベース(以下、アドレス管理DBと略称する。)306と、電話網インターフェース(以下、電話網I/Fと略称する。)307と、電話網5への接続端子308と、制御部310とを備えたものである。
制御部310は、この実施の形態のSIPサーバ3の各部を制御するものであり、図9に示すように、CPU311、ROM312、RAM313がCPUバス314を通じて接続されて構成されたマイクロコンピュータである。ここで、CPU311は、ROM312に記憶保持されているプログラムを実行することにより、各部を制御するための制御信号を生成して各部に供給したり、各部からの情報を処理したりするものである。ROM312は、上述のように、CPU311で実行される種々のプログラムや処理に必要となる種々のデータを記憶保持しているものである。
また、RAM313は、処理の途中結果を一時記憶するなど、主に、作業領域として用いられるものである。なお、図示しないが、例えば、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)やフラッシュメモリーなどのいわゆる不揮発性メモリを備え、電源が落とされても保持しておくべきデータ、例えば、種々の設定パラメータや機能アップのために提供された新たなプログラムなどについても記憶保持することができるようにされている。
そして、接続端子301はIP網4への接続端部を構成するものである。IPI/F302は、IP網4との間でデータを送受するようにするためのものであり、IP網4を通じて供給されるパケットデータを受け付けて、これを自機において処理可能な形式のデータに変換して制御部310に供給したり、制御部310を通じて供給される送信すべきパケットデータを送信用の形式のデータに変換して、これをIP網4に送出したりする。
また、LAN接続端子305はLAN2への接続端部を構成するものである。LANI/F304は、LAN2との間でデータを送受するようにするためのものであり、LAN2を通じて供給されるパケットデータを受け付けて、これを自機において処理可能な形式のデータに変換して制御部310に供給したり、制御部310を通じて供給される送信すべきパケットデータを送信用の形式のデータに変換して、これをLAN2に送出したりする。
また、接続端子308は電話網5への接続端部を構成するものである。電話網I/F307は、電話網5との間でデータを送受するようにするためのものであり、電話網5を通じて供給されるデータを受け付けて、これを自機において処理可能な形式のデータに変換して制御部310に供給したり、制御部310を通じて供給される送信すべきデータを送信用の形式のデータに変換して、これを電話網5に送出したりする。
そして、パケット分解/生成部303は、パケットデータの分解や生成を行うものである。具体的には、SIPサーバ3に対して、LAN接続されているIP電話機1からの電話網5に接続された端末装置に送信すべきパケットデータは、LAN接続端子305、LANI/F304を通じて制御部310に受け付けられた後、パケット分解/生成部303においてパケット分解された後に、電話網I/F307、接続端子308を通じて電話網5に送出され、目的とする相手先に送信するようにされる。
また、電話網5に接続された端末装置からのLAN接続されているIP電話機1へのデータは、接続端子308、電話網I/F307を通じて受け付けられた後、パケット分解/生成部303において、所定の形式のパケットデータとされ、これがLANI/F304、LAN接続端子305を通じて、LAN2に送出されて、目的とするIP電話機1に送信するようにされる。
なお、IP網4に接続された端末と、SIPサーバ3にLAN接続されたIP電話機1等との間では、パケットデータが送受されるため、パケット分解/生成部303において、パケットの分解や生成は行われることはなく、IPI/F302、LANI/F304において、データ形式が整えられてそのまま送受するようにされる。
そして、アドレス管理DB306は、上述したレジストラ・サーバ機能を実現するために、IP網4やLAN2に接続され、このSIPサーバ3を通じて呼び出す可能性のある端末装置についてのアドレス情報を記憶保持するものである。具体的には、SIPサーバ3の制御部310は、IPI/F302やLANI/F304を通じて、これらに接続されている種々の端末装置からの登録要求(レジスタ・リクエスト)を受信した場合に、これに含まれるURI(Uniform Resource Identifier)やIPアドレスなどのアドレス情報を抽出し、抽出したアドレス情報をアドレス管理DB306に登録したり、抽出アドレス情報を用いてアドレス管理DB306の登録情報を更新したりする。
このようにして、アドレス管理DB306に登録されて管理される情報が参照され、自機にLAN接続されているIP電話機1などから要求のあった通信先を確実に特定し、その特定した相手先に送信すべき情報(パケットデータ)を転送するようにするプロキシ・サーバとしての機能を実現するようにしている。また、アドレス管理DB306に登録されて管理される情報は、自機にLAN接続されているIP電話機1などへの着信の判別などにも用いられる。
ここで、アドレス管理DB306内に形成される管理情報の具体例について説明する。図10は、アドレス管理DB306に形成される管理情報(データベース)の構成例について説明するための図である。SIPサーバ3のアドレス管理DB306には、当該SIPサーバ3にLAN接続されたIP電話機1などについてのアドレス情報のほか、IP網4に接続された他のIP電話システムの端末装置のアドレス情報をも管理することができるものである。
基本的にアドレス管理DB306に形成される管理情報は、IP網4に接続された端末装置から送信されてくるURI(SIP URI)と、IPアドレスであるが、この実施の形態のSIPサーバ3のアドレス管理DB306には、SIPサーバ3にLAN接続されたIP電話機1については、IP電話機毎に予め付加されているMAC(Media Access Control)アドレス、内線番号、ユーザ名などの情報についても登録することができるようにしている。
そして、この実施の形態のシステムにおいて、IP電話機1からIP網4に接続された端末装置に対して電話をかける場合には、SIPサーバ3は自己のアドレス管理DB306の管理情報に基づいて、目的とする相手先の端末装置に対して、メッセージの転送を行うようにしている。また、LAN2に接続されているIP電話機1に対してかかってきた外線や、LAN2に接続されたIP電話機1間の内線の場合には、SIPサーバ3は、送信されてきたメッセージを受け付けて、これを自システム内に送出するようにしている。
なお、発信に際して、IP電話番号が用いられる場合には、図1には図示しなかったが、IP網4に接続されているゲートウエイやDNS(Domain Name System)が利用されて、IP電話番号からURIなどが検索されて用いられることになる。相手先から、この実施の形態のシステムのIP電話機1に対して、IP電話番号を用いて電話をかける場合においても同様に、IP網4に接続されているゲートウエイやDNSが利用されて、IP電話番号からURIなどが検索されて用いられることになる。
このように、この実施の形態のSIPサーバ3は、パケット分解/生成部303やアドレス管理DB306を備え、SIPサーバ3が接続される種々のネットワークに接続される端末間のメッセージの中継を行うことができるものである。
[発信者情報を通知する場合の具体例]
次に、図1に示したシステムにおいて、IP電話システムAのいずれかのIP電話機1Aから例えばIP電話システムBのいずれかのIP電話機1B等へ外線電話をかける場合に、発信元から相手先(着信先)に発信者情報を通知する場合の具体例について説明する。
上述もしたように、この実施の形態のIP電話機1から発信する場合には、(1)外線キー群7otや内線キー群7extの発信操作キーを操作して用いる回線をまず捕捉した後に、ダイヤル入力を行って発信キー7Sを操作して発信する方法がある。また、(2)ダイヤル入力を行った後、外線キー群7otや内線キー群7extを発信開始キーとして用いて、操作された発信開始キーに応じて用いる回線を選択して発信する方法がある。これら(1)、(2)として示した発信操作は、必ず発信操作キーが操作されるので、上述した「1.発信操作キーで判断」する方法によって、相手先に通知する発信者情報を特定することができる。
また、IP電話機1は、(3)電話帳メモリ121に登録された電話帳登録データから目的とする相手先を選択し、発信キー7Sや外線キー群7otや内線キー群7extの発信操作キーを操作して発信する方法がある。この(3)として示した発信操作が行われた場合と、ダイヤル入力された電話番号が電話帳メモリ121に登録されたものである場合には、上述した「2.ダイヤル入力内容で判断」する方法によって、相手先に通知する発信者情報を特定することができる。
この他、上述した(1)〜(3)の発信操作に先立って、図4に示した発信者番号設定(設定情報1)と発信者名称設定(設定情報2)とから直接に目的とする発信者番号と発信者名称とが選択するようにされた場合には、当該選択された発信者番号と発信者名称とを相手先に通知する発信者情報として特定する。すなわち、上述した「3.発信者名称と発信者番号を選択」する方法によって、相手先に通知する発信者情報することができる。
以下、相手先に通知する発信者情報の特定方法である、上述した「1.発信操作キーで判断」、「2.ダイヤル入力内容で判断」、「3.発信者名称と発信者番号を選択」の3種類の方法のそれぞれについて具体例を示して説明する。
[1.発信操作キーで判断する方法]
まず、操作される発信操作キーによって、相手先に通知する発信者情報を特定する方法について具体的に説明する。図11は、操作される発信操作キーによって、相手先に通知する発信者情報を特定する場合の具体例について説明するための図である。上述もしたように、発信操作キーである外線キー群7otの各外線キー(外線1キー〜外線5キー)は、ダイヤル入力前においては、回線捕捉キーとして用いられ、ダイヤル入力後においては、発信開始キーとして用いられる。
最初に、(1)外線キー群7otをダイヤル入力前において回線捕捉キーとして用いて目的とする回線をまず捕捉した後に、ダイヤル入力を行った後、発信キー7Sを操作して発信する場合に、当該回線捕捉キーの種別に応じて相手先に通知する発信者情報を特定する例について説明する。この場合には、図11の「(1)ダイヤル入力前の回線捕捉キー種別により切替」の欄に示すように、まず、目的とする相手先に外線電話をかけるために、IP電話機1Aの外線キー群7otの外線1キーが押下操作されたとする。この場合、制御部130は、パケット処理部103、LANI/F102、LAN接続端子101を通じてSIPサーバ3Aに対して外線1を捕捉する指示を出し、当該外線1を捕捉するようにする。
そして、発信者情報特定部123は、操作された外線1キーに基づいて図6に示した発信操作と発信者情報の組み合わせ設定(設定情報3)を参照し、当該外線1キーに対応付けられている発信者番号と発信者名称とを通知する発信者情報として特定(決定)する。この例の場合、図6の設定情報の設定NO.5の情報が目的とする情報として特定(決定)される。この後、発信元のIP電話機1Aの制御部130は、数字キー群7Nbを通じてダイヤル入力を受け付け、発信キー7Sが押下操作されると、ダイヤル入力された相手先の電話番号と発信者情報特定部123が特定した発信者情報を含む呼び出し(INVITE)メッセージを形成して送出する。
この時、当該呼び出しメッセージには、図6の設定情報3の設定No.5の欄に示したように、外線1キー(外線発信1)に対応付けられているのは、発信者番号設定No.5と発信者名称設定No.3である。発信者番号設定No.5の発信者番号は、図4に示したように、代表番号「0311111111」であり、発信者名称設定No.3は、図5に示したように、発信者名称「AZ株式会社」であるので、これらが発信者情報として相手先に通知されることになる。
次に、(2)ダイヤル入力を行った後、外線キー群7otや内線キー群7extが発信開始キーとして用いられ、操作された発信開始キーに応じて用いる回線を選択して発信する場合に、当該発信開始キーの種別に応じて相手先に通知する発信者情報を特定する例について説明する。この場合には、図11の「(2)ダイヤル入力後の発信開始キー種別により切替」の欄に示すように、まず、発信元のIP電話機1Aは、数字キー群7Nbを通じてダイヤル入力を受け付ける。そして、発信開始キーとしての外線1キーが押下操作されると、制御部130は、パケット処理部103、LANI/F102、LAN接続端子101を通じてSIPサーバ3Aに対して外線1を捕捉する指示を出し、当該外線1を捕捉するようにする。
そして、発信者情報特定部123は、操作された外線1キーに基づいて図6に示した発信操作と発信者情報の組み合わせ設定(設定情報3)を参照し、当該外線1キーに対応付けられている発信者番号と発信者名称とを通知する発信者情報として特定(決定)する。この例の場合、図6の設定情報の設定NO.5の情報が目的とする情報として特定(決定)される。この後、発信元のIP電話機1Aの制御部130は、ダイヤル入力された相手先の電話番号と発信者情報特定部123が特定した発信者情報を含む呼び出し(INVITE)メッセージを形成して送出する。
この例の場合にも、呼び出しメッセージには、図6の設定情報3の設定No.5の欄に示したように、外線1キー(外線発信1)に対応付けられているのは、発信者番号設定No.5と発信者名称設定No.3である。したがって、発信者番号設定No.5の発信者番号は、図4に示したように、代表番号「0311111111」であり、発信者名称設定No.3は、図5に示したように、発信者名称「AZ株式会社」であるので、これらが発信者情報として相手先に通知されることになる。
[2.ダイヤル入力内容で判断する方法]
次に、ダイヤル入力内容で相手先に通知する発信者情報を特定する方法について具体的に説明する。図12は、ダイヤル入力内容により、相手先に通知する発信者情報を特定する場合の具体例について説明するための図である。この方法は、上述もしたように、この実施の形態のIP電話機1の電話帳メモリ121に登録された電話帳登録データを用いるものである。そして、この方法は、上述もしたように、電話帳メモリ121から目的とする電話帳登録データが選択されるか、ダイヤル入力された電話番号が電話帳メモリ121に登録されていた場合に用いられるものである。
この場合、図12に示すように、IP電話機1Aの数字キー群7Nbを通じて電話帳メモリ121に登録されている電話番号「0452223333」が入力されたとする。あるいは、電話帳メモリ121から登録No.1の電話帳登録データが選択されたとする。なお、電話帳登録データの選択は、操作入力部107の電話帳キー7Adが押下操作されることにより、電話帳メモリ121に登録されている電話帳登録データがディスプレイ110の表示画面110Gに表示される。そして、上矢印キーUPまたは下矢印キーが操作されることにより、電話帳メモリ121に登録されている電話帳登録データの表示をスクロールさせ、目的する電話帳登録データが表示画面110Gに表示されたところで、決定キーDEが操作されると、当該表示されている電話帳登録データが電話をかける相手先として決定される。また、この場合には、発信者情報特定部123の機能により、対応する電話帳登録データの「発信者番号設定No.」と「発信者名称設定No.」とに応じた発信者番号、発信者名称が、相手先に通知すべき発信者情報として特定される。
そして、外線キー群7otの外線キーなどの発信操作キーが押下操作されると、電話帳登録データの相手先の電話番号と発信者情報特定部123が特定した発信者情報を含む呼び出し(INVITE)メッセージを形成して送出する。この例の場合、電話帳メモリ121の登録No.1の電話帳登録データにおいては、「発信者番号設定No.」は設定No.7とされ、「発信者名称設定No.」は設定No.5とされている。発信者番号設定No.7の発信者番号は、図4に示したように、個人直通外線番号「0311111208」であり、発信者名称設定No.5は、図5に示したように、発信者名称「AZ株式会社 山田○○」であるので、これらが発信者情報として相手先に通知されることになる。
[3.発信者名称と発信者番号を選択する方法]
次に、発信者名称と発信者番号とを選択することにより、相手先に通知する発信者情報を特定する方法について具体的に説明する。図13は、発信者名称と発信者番号とを選択することにより、相手先に通知する発信者情報を特定する場合の具体例について説明するための図である。この方法は、上述もしたように、発信操作に先立って、図4に示した発信者番号設定(設定情報1)と図5に示した発信者名称設定(設定情報2)とから直接に目的とする発信者番号と発信者名称とを選択するものである。
まず、発信元のIP電話機1Aのユーザは、例えば、ファンクションキー群7fnに設けられているメニューキーを押下操作することにより、メニューを表示し、上矢印キーUP、下矢印キーDWを操作して「発明者名称一覧表示」にカーソルを位置付けて決定キーDEを押下操作する。これにより、発信者情報特定部123は、設定情報メモリ122の発明者名称設定(設定情報2)から設定情報を読み出し、これを制御部130、ディスプレイコントローラ109を通じてディスプレイ110の表示画面110Gに表示する。そして、IP電話機1Aのユーザにより、上矢印キーUP、下矢印キーDWが操作されると、発信者情報特定部123は、操作に応じて設定情報メモリ122の発明者名称設定(設定情報2)から設定情報を読み出して表示画面110Gに表示するようにして、発信者名称のスクロール表示を行う。そして、表示画面110Gに表示される目的とする発信者名称にカーソルを位置付けるようにして決定キーDEが押下操作されると、発信者情報特定部123は、当該選択決定された発信者名称を相手先に通知する発信者名称として特定する。
同様に、メニューキー、上矢印キーUP、下矢印キーDW、決定キーDEが操作され、発信者番号の一覧表示から、目的とする発信者番号が選択され、決定されることにより、発信者情報特定部123により、相手先に通知する発信者番号が特定される。この後、発信元のIP電話機1Aの制御部130は、数字キー群7Nbを通じてダイヤル入力を受け付けるなどして、相手先の電話番号を受け付ける。そして、制御部130は、外線キー群7otの外線キーなどの発信操作キーが押下操作されると、相手先の電話番号と発信者情報特定部123が特定した発信者情報を含む呼び出し(INVITE)メッセージを形成して送出する。
この例の場合、発信者名称として「AZ株式会社 山田○○」発信者番号「0311111111」が選択されたとすると、これらが発信者情報として、呼び出しメッセージに含められて、相手先に送信されることになる。
図14は、この実施の形態のIP電話機1から送出される呼び出し(INVITE)メッセージの例を説明するための図である。図14に示した呼び出しメッセージにおけるFrom:項目に発信者名称(図14では、「AZ株式会社 山田○○」)と発信者番号(図14では、「0311111208」)とを付加して相手先に送信する。これにより、発信元のIP電話機1から相手先に目的とする発信者情報を通知することができるようにされる。
[IP電話機1からの発信時の処理のまとめ]
次に、図11〜図13を用いて具体的に説明したこの実施の形態のIP電話機1からの発信時の処理について、図15、図16のフローチャートを参照しながらまとめる。図15、図16は、この実施の形態のIP電話機1の発信時の処理について説明するためのフローチャートである。この図15、図16に示すフローチャートの処理は、IP電話機1の主に制御部130と発信者情報特定部123とによって行われる処理である。
制御部130は、操作入力部107を通じてユーザからの操作入力を常時受け付けるようにしている(ステップS101)。ステップS101において、操作入力部107を通じて操作入力を受け付けると、制御部130は受け付けた操作入力は、外線キー群7otや内線キー群7extの操作キーである回線捕捉キーに対する操作入力か否かを判断する(ステップS102)。ステップS102の判断処理において、回線捕捉キーに対する操作入力が行われたと判断したときには、制御部130は発信者情報特定部123を制御して、相手先(着信先)に通知すべき発信者情報を特定する処理を行う(ステップS103)。具体的にステップS103において発信者情報特定部123は、ユーザにより操作された回線捕捉キーの種別(種別)に基づいて、図6に示した発信操作と発信者情報の組み合わせ設定(設定情報3)を参照し、相手先に通知する発信者番号と発信者名称とを特定する(ステップS103)。
この後、制御部130は、数字キー群7Nbを通じてダイヤル入力を受け付けたり、電話帳メモリ121から目的とする電話帳登録データの選択を受け付けたりすることにより、目的とする相手先の電話番号を受け付ける(ステップS104)。そして、制御部130は、操作入力部107の発信キーSが押下操作されると、呼び出し(INVITE)メッセージを形成して送信して、発信する(ステップS105)。より具体的には、制御部130で形成された呼び出しメッセージは、パケット処理部103においてパケット化された後、LANI/F102、LAN接続端子101を通じてLAN2に送出されてSIPサーバ3に送信される。このステップS105において形成され、送信される呼び出しメッセージは、相手先の電話番号や特定した発信者番号、発信者名称を含むものである。
そして、SIPサーバ3はIP電話機1からの当該呼び出しメッセージの情報に応じて、目的とする相手先を特定し、当該相手先に送信する呼び出しメッセージを整えてこれを送信する。この後、相手先から応答があると通信回線を接続して通話を行うことができるようにされる。
また、ステップS102の判断処理において、受け付けた操作入力は、回線捕捉キーに対する操作入力ではないと判断したときには、制御部130は、受け付けた操作入力は、数字キー群7Nbを通じて行われたダイヤル入力か否かを判断する(ステップS106)。ステップS106において、受け付けた入力操作がダイヤル入力であると判断したときには、制御部130は、ダイヤル入力された電話番号に基づいて電話帳メモリ121の得意先登録データを参照する(ステップS107)。そして、制御部130は、ダイヤル入力された電話番号に対応する電話帳登録データが電話帳メモリ121に登録されているか否かを判断する(ステップS108)。
ステップS108の判断処理において、ダイヤル入力された電話番号に対応する電話帳登録データが電話帳メモリ121に登録されていると判断したときには、制御部130は発信者情報特定部123を制御して、相手先に通知する発信者番号と発信者名称とを特定する(ステップS109)。具体的にステップS109では、発信者情報特定部123は、制御部130を通じて提供される該当する電話帳登録データから「発信者番号設定No.」を示す情報と、「発信者名称設定No.」を示す情報を抽出し、これらに基づいて設定情報メモリ122の発信者番号設定(設定情報1)、発信者名称設定(設定情報2)を参照して、該当する発信者番号と発信者名称とを特定する。
そして、制御部130は、外線キー群7otの外線キーなどの発信開始キーが押下操作されると、呼び出しメッセージを形成して送信し、発信する(ステップS110)。このステップS110の処理は、上述したステップS105の処理と同様に、制御部130によって呼び出しメッセージを形成し、これをパケット処理部103においてパケット化した後、LANI/F102、LAN接続端子101を通じてLAN2に送出してSIPサーバ3に送信する処理である。このステップS110において形成され、送信される呼び出しメッセージもまた、相手先の電話番号や特定した発信者番号、発信者名称が含むようにされたものである。
そして、上述もしたように、SIPサーバ3はIP電話機1からの当該呼び出しメッセージの情報に応じて、目的とする相手先を特定し、当該相手先に送信する呼び出しメッセージを整えてこれを送信する。この後、相手先から応答があると通信回線を接続して通話を行うことができるようにされる。
一方、ステップS108の判断処理において、ダイヤル入力された電話番号に対応する電話帳登録データが電話帳メモリ121に登録されていないと判断したときには、制御部130は、操作入力部107の外線キー群7otの外線キーなどの発信開始キーを通じた操作入力を受け付けるようにする(ステップS111)。そして、制御部130は、発信者情報特定部123を制御し、ステップS111において受け付けた発信操作キーの種別に応じて、相手先(着信先)に通知すべき発信者情報を特定して、発信する処理を行う(ステップS112)。
具体的にステップS112において発信者情報特定部123は、ユーザにより操作された発信開始キーの種別(種別)に基づいて、図6に示した発信操作と発信者情報の組み合わせ設定(設定情報3)を参照し、相手先に通知する発信者番号と発信者名称とを特定する。そして、制御部130は、ダイヤル入力された電話番号の相手先に送信すべき呼び出しメッセージを形成するが、この呼び出しメッセージに対して特定した発信者番号と発信者名称とを付加して送信する。このステップS112における呼び出しメッセージの形成から送信までの処理は、上述もしたように、制御部130がパケット処理部103、LANI/F102を制御して行うものである。
このようにしてIP電話機1からLAN2に送出された呼び出しメッセージはSIPサーバ3に送信される。SIPサーバ3は、上述もしたように、IP電話機1からの当該INVITEメッセージの情報に応じて、目的とする相手先を特定し、当該相手先に送信する呼び出しメッセージを整えてこれを送信する。この後、相手先から応答があると通信回線を接続して通話を行うことができるようにされる。
また、ステップS106の判断処理において、ステップS101において受け付けた操作入力がダイヤル入力ではないと判断したときには、制御部130は、図16のステップS113の処理に進み、受け付けた操作入力は電話帳登録データを選択する操作入力であるか否かを判断する(ステップS113)。ステップS113の判断処理において、電話帳登録データを選択する操作入力を受け付けたと判断したときには、制御部130は、発信者情報特定部123を制御し、選択された発信者番号と発信者名称とを特定する(ステップS114)。
具体的にステップS114では、発信者情報特定部123は、制御部130を通じて提供される該当する電話帳登録データから「発信者番号設定No.」を示す情報と、「発信者名称設定No.」を示す情報を抽出し、これらに基づいて設定情報メモリ122の発信者番号設定(設定情報1)、発信者名称設定(設定情報2)を参照して、該当する発信者番号と発信者名称とを特定する。
そして、制御部130は、外線キー群7otの外線キーなどの発信開始キーが押下操作されると、上述したステップS110の処理の場合と同様に、呼び出し(INVITE)メッセージを形成して送信し、発信する(ステップS115)。すなわち、ステップS115においては、制御部130が呼び出しメッセージを形成し、これをパケット処理部103がパケット化した後、LANI/F102、LAN接続端子101を通じてLAN2に送出し、SIPサーバ3に送信する処理が行われる。このステップS115において形成され、送信される呼び出しメッセージもまた、相手先の電話番号や特定した発信者番号、発信者名称を含むものである。
そして、上述もしたように、SIPサーバ3はIP電話機1からの当該INVITEメッセージの情報に応じて、目的とする相手先を特定し、当該相手先に送信するINVITEメッセージを整えてこれを送信する。この後、相手先から応答があると通信回線を接続して通話を行うことができるようにされる。
また、ステップS113の判断処理において、電話帳登録データを選択する操作入力を受け付けていないと判断したときには、制御部130は、直接に発信者番号と発信者名称とを選択する処理が行われたか否かを判断する(ステップS116)。このステップS116の判断処理は、例えばメニューから選択された処理が、設定情報メモリ122の発信者番号設定(設定情報1)や発信者名称設定(設定情報2)から直接に通知すべき発信者番号や発信者名称を選択する処理であるか否かを判断するものである。
ステップS116の判断処理において、直接に発信者番号と発信者名称とを選択する処理が行われたと判断したときには、制御部130は、発信者情報特定部123を制御して、設定情報メモリ122の発信者番号設定(設定情報1)や発信者名称設定(設定情報2)から直接に選択された発信者番号や発信者名称を通知する発信者情報として特定する(ステップS117)。
この後、制御部130は、数字キー群7Nbを通じてダイヤル入力を受け付けたり、電話帳メモリ121から目的とする電話帳登録データの選択を受け付けたりすることにより、目的とする相手先の電話番号を受け付ける(ステップS118)。そして、制御部130は、操作入力部107の発信キー7Sが押下操作されると、呼び出しメッセージを形成して送信し、発信する(ステップS119)。このステップS119の処理は、図15に示したステップS105の処理と同様の処理である。このステップS119において形成され、送信される呼び出しメッセージは、相手先の電話番号や特定した発信者番号、発信者名称を含むものである。
そして、SIPサーバ3はIP電話機1からの当該呼び出しメッセージの情報に応じて、目的とする相手先を特定し、当該相手先に送信するINVITEメッセージを整えてこれを送信する。この後、相手先から応答があると通信回線を接続して通話を行うことができるようにされる。なお、ステップS116の判断処理において、直接に発信者番号と発信者名称とを選択する処理が行われていないと判断したときには、制御部130は、例えば、指示された他の処理を実行することになる(ステップS120)。
このようにして、この実施の形態のIP電話機1は、目的とする相手先に電話をかけることができるものである。そして、上述したように、ユーザの発信操作に応じて、相手先に通知する発信者情報を変えることができる。この場合の発信操作は、電話をかける相手先に応じて変えることができるものであり、発信元のIP電話機1は、相手先に応じて、当該相手先に通知する発信者情報を変えることができるようにされる。
[相手先(着信先)のIP電話機1の動作]
そして、この実施の形態において、発信元と相手先のIP電話機は、同様の構成を有するものであり、上述したIP電話機1として説明した構成を有する。そして、相手先(着信先)のIP電話機1は、自機への着信時において、上述もしたように、自機宛の呼び出しメッセージに含まれる発信者番号や発信者名称を抽出して、これを自機のディスプレイ110の表示画面110Gに表示する。
図17は、相手先のIP電話機1の表示画面110Gに表示される発信者情報の表示例を説明するための図である。図17に示すように、表示画面110Gの上段には、自機に着信があることを通知する文字「着信」が表示され、その下側に、発信者名称と発信者番号が表示される。図17に示した例の場合には、発信者名称として「AZ株式会社 山田○○」が表示され、発信者番号として「03−1111−1208」が表示された場合を示している。
次に、着信先における着信時の処理の概要について説明する。図18は、着信先のIP電話機1における着信時の処理を説明するためのフローチャートである。図18に示す処理は、この実施の形態のIP電話機1がいわゆる待ち受け状態にあるときに、主に制御部130によって常時実行するようにされている処理である。
この場合、制御部130は、LAN接続端子101、LANI/F102、パケット処理部103を通じて自機宛てのメッセージを受信するようにし(ステップS201)、自機宛てのメッセージを受信したか否かを判断する(ステップS202)。ステップS202の判断処理において、自機宛のメッセージを受信していないと判断したときには、ステップS201からの受信処理を繰り返す。このようにして制御部130は、自機宛のメッセージを受信するまで自機を待ち受け状態としている。そして、ステップS202の判断処理において、自機宛てのメッセージを受信したと判断したときには、制御部130は、受信したメッセージは、呼び出し(INVITE)メッセージか否かを判断する(ステップS203)。
ステップS203の判断処理において、受信した自機宛てのメッセージは呼び出し(INVITE)メッセージではないと判断したときには、受信したメッセージに応じた処理を実行することになる(ステップS204)。また、ステップS203の判断処理において、受信した自機宛てのメッセージは呼び出し(INVITE)メッセージであると判断したときには、制御部130は、図14を用いて説明したように当該呼び出しメッセージに含められている発信者番号、発信者名称を抽出する(ステップS205)。
そして、制御部130は、抽出した発信者番号、発信者名称を含む制御信号をディスプレイコントローラ109に供給し、ディスプレイ110の表示画面110Gに例えば図17に示した態様で、発信者名称、発信者番号を表示する(ステップS206)。この後、制御部130は、リンガ111を制御して呼び出し音を放音させる呼び出し処理を実行し(ステップS207)、ユーザがオフフック操作した場合に応答メッセージを返信して通信回線を接続するようにし、通話を行えるようにする。
このように、着信先のIP電話機1においては、自機の電話帳メモリ121に登録されている電話帳登録データ等を用いることなく、発信元から送信されてくる呼び出し(INVITE)メッセージの発信者情報のみにより、発信者情報を表示することができる。そして、発信者元のユーザは、相手先に応じて、発信者名称を変えることができるので、相手先に発信者を明確に通知して、応答を早めたり、回線接続後の通話をスムーズに行うようにしたりすることができるようにされる。さらに、発信者名称と共に、発信者番号をも相手先に応じて変えることができるので、相手先が発信元に電話をかけ直すなどする場合において、発信先が電話をかけてきてほしい電話番号を相手先に通知することができるようにされる。
[実施の形態の効果]
上述した実施の形態の説明から分かるように、発信元は着信先に応じて、当該着信先に通知すべき発信者情報として、発信者名称や発信者番号を切り替える(使い分ける)ことができる。そして、発信元は着信先に応じて、通知する発信者名称を切り替えることにより、お知らせする発信者名称を理解しやすいものとすることができる。また、発信元は着信先に応じて、通知する発信者番号を切り替えることにより、着信先が折り返し発信に利用すべき電話番号を適切に通知することができる。
[変形例]
なお、上述した実施の形態においては、発信者名称と発信者番号とを着信先に通知するものとして説明したが、これに限るものではない。発信者名称と発信者番号のいずれか一方のみを通知するようにすることもできる。特に、発信者名称については、従来のように着信先の電話機の電話帳データに対応データが保存されている必要も無いので、発信元が着信先に応じて適切な発信者名称を通知することができる。また、発信者番号についても、電話会社側のサービスとして提供されるものではなく、発信元が着信先に応じて適切な発信者番号を通知することができるので、従来にない顕著な効果を奏することができる。
また、通知する発信者情報も発信者名称と発信者番号とを1つだけでなく、例えば、個人直通外線番号と共に、個人携帯電話番号を通知するといったように、複数の発信者番号を通知するようにすることも可能である。
また、図15、図16のフローチャートを用いて説明したように、ダイヤル入力された電話番号が、電話帳メモリ121に登録されたものであるときには、電話帳メモリ121に登録されている当該電話帳登録データに基づいて、発信者名称や発信者番号を特定した。しかし、これに限るものではなく、電話帳メモリ121の電話帳登録データから目的とする相手先の電話帳登録データを選択する場合を除いて、操作された発信操作キーの種別に応じて、相手先に通知する発信者名称や発信者番号を特定し、これを通知するようにすることもできる。
また、上述した「1.発信操作キーで判断」だけを用いて発信者情報を特定するようにしたり、上述した、「2.ダイヤル入力内容で判断」だけを用いて発信者情報を特定するようにしたり、「3.発信者名称と発信者番号を選択」だけを用いて発信者情報を特定するようにしたりするように構成することももちろん可能である。
[主装置やSIPサーバなの交換装置への応用]
なお、上述した実施の形態においては、発信元のIP電話機1が、操作入力部107を通じて受け付けた操作入力に応じて、相手先(着信先)に通知すべき発信者情報を特定し、これを呼び出しメッセージに含めて送信するようにした。しかしこれに限るものではない。当該機能を、例えばSIPサーバ3に持たせるようにすることもできる。すなわち、SIPサーバ3のたとえば不揮発性メモリに、当該SIPサーバ3に接続される複数のIP電話機1のそれぞれ毎の設定情報を予め用意して登録しておく。ここでIP電話機1毎の設定情報は、図4に示した発信者番号設定(設定情報1)と、図5に示した発信者名称設定(設定情報2)と、図6に示した発信操作と発信者情報の組み合わせ設定(設定情報3)とである。さらに、SIPサーバ3の不揮発性メモリに、各IP電話機1毎に、各IP電話機1の電話帳メモリ121に登録されている相手先の「電話番号」と、上記発信者番号設定(設定情報1)に応じた「発信者番号設定No.」と発信者名称設定(設定情報2)に応じた「発信者名称設定No.」とを対応つけた情報を登録しておく。
すなわち、図4〜図6を用いて説明した設定情報1〜設定情報3と、図7に示した電話帳登録データの内の必要な情報とをSIPサーバ3の不揮発性メモリに、各IP電話機1毎に区別可能なように登録しておく。そして、SIPサーバ3の制御部310は、LAN接続端子305、LANI/F304を通じて各IP電話機1からの発信操作に応じた情報の提供を受け付けるようにする。そして、SIPサーバ3の制御部310は、受け付けた発信操作に応じた情報に基づいて、送信元のIP電話機1用の設定情報を参照し、当該IP電話機1からの呼び出しメッセージに対して付加する発信者情報を特定する。
SIPサーバ3の制御部310は、この特定した発信者情報を当該IP電話機1からの呼び出しメッセージに付加し、これをIPI/F302、IP網4への接続端子301を通じてIP網4に送出し、目的とする相手先に対して送信する。したがって、SIPサーバ3において、各IP電話機1からの操作情報と、各IP電話機毎の設定情報とを用いて、図15、図16に示したフローチャートの処理を行うようにすることによって、SIPサーバ3に上述した実施の形態の発信元のIP電話機1が有する発信者情報の通知機能を持たせるようにすることもできる。
また、上述した実施の形態においては、IP電話システムにこの発明を適用した場合を例にして説明したが、これに限るものではない。例えば、相手先に電話をかける場合に発信元から送出する呼び出しメッセージに、発信者情報の付加が可能なデジタル電話システムの電話機やシステムにこの発明を適用することができる。例えば、ISDNを通じて通話を行うデジタル電話システムに適用可能である。この場合、SIPサーバの代わりに主装置と呼ばれる交換装置が用いられることになるが、この主装置に対して、上述したSIPサーバ3に設けるようにすることも可能な発信者情報の通知機能を持たせるようにすることもできる。
[この発明のシステム、方法、プログラム]
上述もしたように、この発明の電話端末が適用された発信元の電話機と、この発明の電話端末が適用された着信先の電話機とからなるシステムが、この発明の電話システムである。そして、発信元のIP電話機1で実行される図15、図16に示したフローチャートの処理と、着信先のIP電話機1で実行される図18に示したフローチャートの処理が、この発明の電話機で行われる方法の発明に対応する。そして、発信元のIP電話機1で実行される図15、図16に示したフローチャートの処理を電話機で実行可能なプログラムとしたものと、着信先のIP電話機1で実行される図18に示したフローチャートの処理をIP電話機1で実行可能なプログラムとしたものがこの発明のプログラムに該当する。
[その他]
なお、上述した実施の形態の説明からも分かるように、IP電話機1の設定情報メモリ122、電話帳メモリ121が記憶手段、番号記憶手段としての機能を実現し、操作入力部107が受付手段としての機能を実現し、発明者情報特定部123が特定手段としての機能を実現している。また、IP電話機1の制御部130と発明者情報特定部123とパケット処理部103とが協働して、形成手段としての機能を実現し、主にLANI/F102が送信手段としての機能を実現している。
また、IP電話機1の制御部130とディスプレイコントローラ109とが協働して表示制御手段、番号表示制御手段としての機能を実現し、主に操作入力部107が選択手段、番号選択手段としての機能を実現している。
また、IP電話機1の主にLANI/F102が受信手段としての機能を実現し、主に制御部130が抽出手段としての機能を実現し、制御部130とディスプレイコントローラ109とが協働して表示制御手段としての機能を実現している。また、IP電話機1のディスプレイ110が表示手段としての機能を実現している。