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JP2011190349A - 可溶性共重合ポリエステル樹脂 - Google Patents

可溶性共重合ポリエステル樹脂 Download PDF

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JP2011190349A JP2010057637A JP2010057637A JP2011190349A JP 2011190349 A JP2011190349 A JP 2011190349A JP 2010057637 A JP2010057637 A JP 2010057637A JP 2010057637 A JP2010057637 A JP 2010057637A JP 2011190349 A JP2011190349 A JP 2011190349A
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Yoshitaka Nagara
佳孝 長柄
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Abstract

【課題】ガラス転移温度が100℃以上の耐熱性を有し、汎用溶剤に溶液濃度25質量%以上で溶解し、さらに、その溶液の貯蔵安定性が極めて良好である共重合ポリエステルを提供する。
【解決手段】(A)ジカルボン酸成分(A)とグリコール成分(B)からなる共重合ポリエステル樹脂であって、(A)成分に対する芳香族ジカルボン酸の共重合割合が80モル%以上、(B)成分に対するトリシクロデカンジメタノールの共重合割合が20〜80モル%、(B)成分に対するイソソルビドおよび/またはビスフェノキシエタノールフルオレンの共重合割合が3〜50モル%、(B)成分に対する特定のグリコールの共重合割合が20モル%未満であり、数平均分子量が8000以上、ガラス転移温度が100℃以上の共重合ポリエステル樹脂。
【選択図】 なし

Description

本発明は、耐熱性に優れ、貯蔵安定性が良好な可溶性共重合ポリエステル樹脂に関するものである。
共重合ポリエステル樹脂は、ガラス転移温度と分子量を自由にコントロールできることから、コーティング用途や接着剤用途をはじめ様々な用途で使用されている。しかしながら、耐熱性向上のためにガラス転移温度が高くなるように設計すると、汎用溶剤への溶解性が低下し、溶解性向上のために結晶性を下げるように設計すると、耐熱性が低下する。そのため、良好な溶剤溶解性を有し、同時にガラス転移温度が100℃以上の共重合ポリエステルを作製することは非常に難しい。
ガラス転移温度が100℃以上の共重合ポリエステルとして、特許文献1では、環状アセタール骨格を有するジオールを共重合させたポリエステルが提案されており、特許文献2では、トリシクロデカンジメタノールとその他のグリコールを共重合させた、溶剤溶解性に優れるポリエステルが提案されている。
特開2003−292593号公報 特開2003−119259号公報
しかしながら、特許文献1では、塩化メチレン等のハロゲン含有溶媒には溶解するものの、2−ブタノンやトルエンのような汎用溶剤には溶解せず、コーティング用途や接着剤用途では使用が困難であった。また、特許文献2では、トリシクロデカンジメタノールに対して特許文献2に記載されているようなグリコール成分を併用しても、汎用溶剤には、固形分20質量%までしか溶解することはできなかった。そのため、塗料やコーティング材として使用する際の作業性が悪かった。
本発明の課題は、前記問題点を解決し、ガラス転移温度が100℃以上の耐熱性と汎用溶剤への良好な溶解性とを有する共重合ポリエステルを提供することである。
本発明者は鋭意研究した結果、グリコール成分として、トリシクロデカンジメタノールとともに特定のモノマーを共重合することにより、前記課題を解決し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
(1)(A)ジカルボン酸成分(A)とグリコール成分(B)からなる共重合ポリエステル樹脂であって、(A)成分に対する芳香族ジカルボン酸の共重合割合が80モル%以上、(B)成分に対するトリシクロデカンジメタノールの共重合割合が20〜80モル%、(B)成分に対するイソソルビドおよび/またはビスフェノキシエタノールフルオレンの共重合割合が3〜50モル%、(B)成分に対する一般式(1)で示されるグリコールの共重合割合が20モル%未満であり、数平均分子量が8000以上、ガラス転移温度が100℃以上の共重合ポリエステル樹脂。
(式中、Rは炭素数1〜2のアルキル基を表し、Rは水素および炭素数1〜2のアルキル基から選択されたものを表し、m、nはm+n=1、2を満たす0〜2の整数を表す。)
(2)(1)記載の共重合ポリエステル樹脂を25質量%以上含有するポリエステル溶液であって、前記溶液の溶媒がシクロヘキサノン、2−ブタノン、トルエンからなる群より選ばれた1種以上の溶媒であるポリエステル溶液。
(3)(2)記載のポリエステル溶液を用いた塗料またはコーティング剤。
本発明によれば、ガラス転移温度が100℃以上の耐熱性を有し、汎用溶剤に溶液濃度25質量%以上で溶解し、さらに、その溶液の貯蔵安定性が極めて良好である共重合ポリエステルが提供される。この共重合ポリエステルを溶解した溶液はコーティング用途や接着剤用途で利用することができ、産業上の利用価値は極めて高い。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の共重合ポリエステル樹脂は、主としてジカルボン酸成分(A)とグリコール成分(B)の等モル量から構成されたものである。
ジカルボン酸成分(A)としては、芳香族カルボン酸を共重合する必要がある。芳香族カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4、4’−ジカルボキシビフェニル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等が挙げられる。中でも、汎用性が高いテレフタル酸とイソフタル酸が好ましい。
芳香族カルボン酸の共重合量は、ジカルボン酸成分(A)に対し、80モル%以上とすることが必要で、90モル%以上が好ましい。芳香族カルボン酸の共重合量が80モル%未満であると、得られる共重合ポリエステル樹脂の耐熱性が低くなり、また、加工性が悪くなるので好ましくない。
ジカルボン酸成分(A)を構成する他のジカルボン酸としてはシュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、オクタデカン二酸、アイコサン二酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸等の不飽和脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸の脂環族ジカルボン等が挙げられる。これらは無水物であってもよい。
グリコール成分(B)としては、ガラス転移温度を高めつつ、樹脂溶液の貯蔵安定性を良好にするため、一般式(2)で示されるトリシクロデカンジメタノールを共重合する必要がある。トリシクロデカンジメタノールとしては、3(4)、8(9)−ビス(ヒドロキシメチル)−トリシクロ(5.2.1.02.6)デカン(以下、「TCDアルコール」と略称する。)等が挙げられる。TCDアルコールは、OXEA社から入手することができる。
トリシクロデカンジメタノールの共重合量は、グリコール成分(B)に対し、20〜80モル%とすることが必要で、40〜75モル%が好ましい。トリシクロデカンジメタノールの共重合量が20モル%未満であると、汎用溶剤への溶解性が低下し、貯蔵安定性が悪くなる。一方、トリシクロデカンジメタノールの共重合量が80モル%を超えると、汎用溶剤への溶解性が低下するので好ましくない。
さらに、グリコール成分として、1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−ソルビトール(以下、「イソソルビド」と略称することがある。)とビスフェノキシエタノールフルオレン(以下、「BPEF」と略称することがある。)のいずれか、または両方を共重合する必要がある。これらの化合物を共重合することで、ガラス転移温度を維持しながら、溶解性能および貯蔵安定性を向上させることができる。
イソソルビドは式(3)で示される。
イソソルビドは、糖類およびでんぷんから容易に得ることができ、例えば、D−グルコースを水添し、脱水反応をすればイソソルビドを得ることができる。イソソルビドは、ロケット社から入手することができる。
BPEFは式(4)で示される。
BPEFは、ビスフェノールフルオレンにエチレンオキシドを付加して得ることができる。BPEFは、JFEケミカル社または大阪ガスケミカル社等から入手することができる。
イソソルビドとBPEFの共重合量は、グリコール成分(B)に対して、両者の合計が、3〜50モル%とすることが必要で、10〜40モル%がより好ましく、10〜30モル%がさらに好ましい。イソソルビドとBPEFの合計の共重合量が50モル%を超えると、相対的に留出液中のイソソルビド量が増えるため、イソソルビドが析出して留去ラインが詰まる可能性がある。なお、BPEFのみを使用する場合は、留出ラインが詰まる可能性はないが、共重合量が50モル%を超えると、汎用溶剤への溶解性が低下する。一方、イソソルビドとBPEFの合計の共重合量が3モル%未満であると、ガラス転移温度を高める効果がほとんどなく、さらに、トリシクロデカンジメタノールの共重合量によっては、ガラス転移温度が100℃よりも低くなるので好ましくない。
グリコール成分(B)として、式(1)で示されるモノマー(以下、モノマー(1)と略称する。)の共重合量は、グリコール成分(B)に対して、20モル%未満とする必要があり、モノマー(1)を用いないことが好ましい。
(式中、Rは炭素数1〜2のアルキル基を表し、Rは水素および炭素数1〜2のアルキル基から選択されたものを表し、m、nはm+n=1、2を満たす0〜2の整数を表す。)
モノマー(1)の共重合量が20モル%以上であると、貯蔵安定性が悪くなるので好ましくない。芳香族カルボン酸とモノマー(1)が共存すると、芳香族カルボン酸とモノマー(1)の環状オリゴマーが形成され、析出しやすいため、貯蔵安定性が悪くなる。特に、モノマー(1)がネオペンチルグリコールの場合は、芳香族カルボン酸とネオペンチルグリコールの環状二量体が非常に安定であるため、環状二量体が徐々に析出して樹脂溶液の貯蔵安定性が悪くなる。
モノマー(1)としては、1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、2−メチル−1,2−ブタンジオール、2−エチル−1,2−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ペンタンジオール、3−エチル−1,3−ペンタンジオール等が挙げられる。
グリコール成分(B)を構成する他のグリコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等の脂肪族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールC、ビスフェノールZ、ビスフェノールAP、4,4′−ビフェノールのエチレンオキサイド付加体またはプロピレンオキサイド付加体、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールが挙げられる。
本発明の共重合ポリエステル樹脂には、適度な柔軟性付与、ガラス転移温度の調整などの目的に応じて、ヒドロキシカルボン酸を共重合してもよい。
ヒドロキシカルボン酸成分としては、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、o−ヒドロキシ安息香酸、乳酸、オキシラン、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、グリコール酸、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシイソ酪酸、2−ヒドロキシ−2−メチル酪酸、2−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸、10−ヒドロキシステアリン酸等が挙げられ、これらの中でも、汎用性があるε−カプロラクトンが好ましい。
ヒドロキシカルボン酸の共重合量は、全カルボン酸成分に対して、30モル%以下が好ましい。ヒドロキシカルボン酸成分の割合が30モル%を超えると、ガラス転移温度が100℃よりも低くなる場合がある。なお、「全カルボン酸成分」とは、本発明の共重合ポリエステル樹脂の構成成分とすることのできるジカルボン酸成分(A)、ヒドロキシカルボン酸成分、モノカルボン酸成分、3価以上のカルボン成分の総和を意味する。
共重合ポリエステル樹脂には、少量であれば、3官能以上のカルボン酸成分やアルコール成分を共重合成分として添加してもよい。
3官能以上のカルボン酸成分としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水べンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸等の芳香族カルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等の脂肪族カルボン酸等が挙げられる。
3官能以上のアルコール成分としては、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、α−メチルグルコース、マニトール、ソルビトール等が挙げられる。
これらは必ずしも1種類で用いる必要はなく、樹脂に対し付与したい特性に応じて複数種以上添加して用いることが可能である。3官能以上のモノマーの共重合量としては、全カルボン酸成分または全アルコール成分に対して0.2〜5モル%程度が適当である。3官能以上のモノマーの共重合量が0.2モル%未満であると、添加した効果が発現せず、共重合量が5モル%を超える場合、重合時にゲル化点を超えゲル化が問題になる場合がある。なお、「全アルコール成分」とは、本発明のポリエステルの構成成分とすることのできるグリコール成分(B)、ヒドロキシカルボン酸成分、モノアルコール成分、3価以上のアルコール成分の総和を意味する。
共重合ポリエステルには、全カルボン酸成分に対して1モル%を超えない範囲で、モノカルボン酸が共重合されていてもよく、また、全アルコール成分に対して1モル%を超えない範囲で、モノアルコールが共重合されていてもよい。モノカルボン酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、シクロヘキサン酸、4−ヒドロキシフェニルステアリン酸等、モノアルコールとしては、オクチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、2−フェノキシエタノール等が挙げられる。
共重合ポリエステル樹脂は、前記のモノマーを組み合わせて、公知の方法で製造することができる。例えば、エステル化反応および重縮合反応からなる方法が挙げられる。
エステル化反応では、全モノマー成分および/またはその低重合体を不活性雰囲気下、加熱溶融して反応させる。反応時間は2.5〜10時間が好ましく、4時間〜6時間がより好ましい。
重縮合反応は、減圧下、エステル化反応で得られたエステル化物から、グリコール成分を留去させ、所望の分子量に達するまでおこなう。重縮合の反応温度は、250〜300℃が好ましく、270〜300℃がより好ましい。反応温度がこの範囲の場合、溶融粘度が高い本発明の共重合ポリエステルを十分に攪拌でき重合時間を短くすることができる。減圧度は、130Pa以下であることが好ましい。減圧度が低いと、重縮合時間が長くなる場合がある。大気圧から130Pa以下に達するまで、60〜180分かけて徐々に減圧することが好ましい。
エステル化反応および重縮合反応の際には、必要に応じて、触媒を用いる。触媒としては、テトラブチルチタネートなどの有機チタン酸化合物、酢酸亜鉛、酢酸マグネシウムなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属の酢酸塩、三酸化アンチモン、ヒドロキシブチルスズオキサイド、オクチル酸スズ等の有機錫化合物等が挙げられる。触媒の使用量は、生成する樹脂質量に対し、1.0質量%以下とすることが好ましい。
共重合ポリエステル樹脂に所望の酸価や水酸基価を付与する場合には、前記の重縮合反応に引き続き、多塩基酸成分や多価グリコール成分をさらに添加し、不活性雰囲気下、解重合をおこなうことができる。
共重合ポリエステル樹脂の数平均分子量は8,000以上とすることが必要で、10,000以上であることが好ましい。数平均分子量が8,000未満では、加工性が悪く、コーティングした際に塗膜が割れてしまうので好ましくない。
共重合ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、100℃以上であることが必要で、110℃以上がより好ましい。ガラス転移温度が100℃よりも低いと、水蒸気にさらした際、塗膜が溶融するので好ましくない。
共重合ポリエステルの数平均分子量は、重合時間や解重合量を制御することにより上記範囲に調整することができる。また、ガラス転移温度は、共重合するモノマーの組み合わせを適宜選択することにより、上記範囲に調整することができる。トリシクロデカンジメタノール、イソソルビド、BPEFを共重合すると、ガラス転移温度は高くなり、モノマー(1)を共重合すると、ガラス転移温度は低くなる傾向にある。
本発明の共重合ポリエステル樹脂は、溶剤への溶解性に優れるため、様々な汎用溶媒に溶解させてポリエステル溶液として利用することができる。25℃において、溶液濃度は25質量%以上が好ましく、25〜50質量%がより好ましく、25〜40質量%がさらに好ましい。ポリエステルの溶液濃度が25質量%未満であると、塗料やコーティング剤として使用する際の作業性が低下する。溶液濃度の上限は特にないが、溶液の粘性が高くなりすぎないためには50質量%以下が好ましい。用いる溶媒としては、シクロヘキサノン、2−ブタノン、トルエン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。中でも、溶解性が高いことから、シクロヘキサノンと、2−ブタノンとトルエンの併用が好ましい。2−ブタノンとトルエンを併用する場合、両者の質量比は特に限定されないが、80/20〜20/80の範囲とすることが好ましい。
また、本発明の共重合ポリエステル樹脂の溶液は、常温で静置した際の貯蔵安定性に優れている。そのため、長期間使用することが可能になる。
本発明の共重合ポリエステル樹脂には、必要に応じて、硬化剤、紫外線吸収剤、離型剤、滑剤、各種添加剤、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック等の顔料、顔料分散剤、染料、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、セルロース誘導体等を配合することができる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、共重合ポリエステル樹脂の物性測定は以下の方法によりおこなった。
(1)樹脂組成
H−NMR分析(日本電子データム製、500MHz)により求めた。
(2)数平均分子量
数平均分子量は、GPC分析(島津製作所製の送液ユニットLC−10ADvp型および紫外−可視分光光度計SPD−6AV型を使用、検出波長:254nm、溶媒:クロロホルム、ポリスチレン換算)により求めた。
(3)ガラス転移温度
共重合ポリエステル樹脂10mgをサンプルとし、DSC(示差走査熱量測定)装置(パーキンエルマー社製 DSC7)を用いて昇温速度10℃/分の条件で測定をおこない、得られた昇温曲線中のガラス転移に由来する2つの折曲点温度の中間値を求め、これをガラス転移温度(Tg)とした。
(4)溶解性能
ガラス製容器に、樹脂ペレット10g、2−ブタノン/トルエン混合溶媒(質量比1/1)90gを入れ、ペイントシェーカーを用いて25℃で6時間振盪させ、溶解状態を観察した。溶解したものを「○」、溶解しなかったものを「×」とした。また、溶媒としてシクロヘキサノンを用いて同様の試験をおこなった。いずれかの溶媒で「○」になった場合、溶解性能があるとした。
(5)貯蔵安定性
(4)で作製した溶液を25℃で28日間静置したのち、静置したものを3000rpmで5分間遠心分離し、沈殿物が生じなかった場合、貯蔵安定性を「○」とし、沈殿物が生じた場合、貯蔵安定性を「×」とした。
(6)加工性
卓上型コーティング装置(安田精機製、フィルムアプリケーターNo.542−AB型、バーコータ装着)を用いて、PETフィルム(50μm、ユニチカ社製)基材上に(4)で作製したトルエン/2−ブタノン混合溶媒溶液をコーティングし、続いて100℃に設定されたオーブン中で1分間加熱し、基材上に厚み約10μmの塗膜を形成させたコートフィルムを作製した。(4)でトルエン/2−ブタノン混合溶媒に溶解せず、シクロヘキサノンに溶解した場合は、オーブンの温度設定を150℃とした以外は、トルエン/2−ブタノン混合溶媒を用いた場合と同様にコートフィルムを作製した。得られたコートフィルムを180°方向に折り曲げ、塗膜が割れなければ「○」とし、塗膜が割れた場合「×」とした。
実施例1
テレフタル酸1661質量部、TCD1472質量部、イソソルビド730質量部、エチレングリコール155質量部、トリメリロールプロパン2.7質量部(テレフタル酸:TCD:イソソルビド:エチレングリコール:トリメチロールプロパン=100:75:50:25:0.2(モル比))からなる混合物を、攪拌しながら、オートクレーブ中、3時間、0.3MPa、260℃で制御し、そのあと、放圧したのち3時間、常圧、260℃でエステル化反応をおこなった。次いで、270℃に昇温し、触媒として酢酸亜鉛五水和物1.1質量部(テレフタル酸1モルあたり5×10−4モル)、三酸化アンチモン1.5質量部(テレフタル酸1モルあたり5×10−4モル)を投入し、系の圧力を徐々に減じて1.5時間後に13Paとし、重縮合反応をおこなった。適当な粘度になるまで重縮合をおこない、ストランドカッターを用いて、ペレット状の共重合ポリエステルを得た。
実施例2〜10、比較例1〜12
使用するモノマーと仕込組成を変更した以外は、実施例1と同様の操作をおこなって、共重合ポリエステル樹脂を得た。
表1と表2に、樹脂の仕込樹脂組成、最終樹脂組成および特性値を示す。
実施例1〜10においては、いずれもガラス転移温度が100℃以上、かつ、汎用溶剤に溶解し、しかも、貯蔵安定性が極めて良好であった。また、その溶液を用いて作製した塗膜は、いずれも加工性に優れていた。
それに対して、比較例1は、トリシクロデカンジメタノールの共重合量が少なかったため、樹脂溶液の貯蔵安定性が悪かった。
比較例2は、トリシクロデカンジメタノールが共重合量されておらず、モノマー(1)の共重合量が多かったため、樹脂溶液の貯蔵安定性が悪かった。
比較例3は、トリシクロデカンジメタノールの共重合量が多かったため、溶解性能が悪かった。
比較例4は、分子量が低かったため、塗膜は作製できたものの、加工性が悪かった。
比較例5、6は、イソソルビド、BPEFの共重合量が少なかったため、ガラス転移温度が100℃に達せず耐熱性が低かった。
比較例7、8は、イソソルビド、BPEFの共重合量が多かったため、溶解性能が悪かった。
比較例9、12は、モノマー(1)の共重合量が多かったため、貯蔵安定性が悪かった。
比較例10は、芳香族ジカルボン酸の共重合量が少なかったため、ガラス転移温度が100℃に達せず耐熱性が低かった。
比較例11は、イソソルビド、BPEFともに共重合されていなかったため、溶解性能が悪かった。

Claims (3)

  1. (A)ジカルボン酸成分(A)とグリコール成分(B)からなる共重合ポリエステル樹脂であって、(A)成分に対する芳香族ジカルボン酸の共重合割合が80モル%以上、(B)成分に対するトリシクロデカンジメタノールの共重合割合が20〜80モル%、(B)成分に対するイソソルビドおよび/またはビスフェノキシエタノールフルオレンの共重合割合が3〜50モル%、(B)成分に対する一般式(1)で示されるグリコールの共重合割合が20モル%未満であり、数平均分子量が8000以上、ガラス転移温度が100℃以上の共重合ポリエステル樹脂。
    (式中、Rは炭素数1〜2のアルキル基を表し、Rは水素および炭素数1〜2のアルキル基から選択されたものを表し、m、nはm+n=1、2を満たす0〜2の整数を表す。)
  2. 請求項1記載の共重合ポリエステル樹脂を25質量%以上含有するポリエステル溶液であって、前記溶液の溶媒がシクロヘキサノン、2−ブタノン、トルエンからなる群より選ばれた1種以上の溶媒であるポリエステル溶液。
  3. 請求項2記載のポリエステル溶液を用いた塗料またはコーティング剤。


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