(実施の形態1)
本願の入力装置は、例えば、ノート型パソコンなどに使用されるOADG(PCオープン・アーキテクチャー推進協議会)に準拠したキーボード(85キー)などである。本願の保護シートを適用する入力装置の一例として、ノートパソコンのキーボードを挙げ説明する。
図1は、本実施の形態にかかるノートパソコンの外観を示す斜視図である。図2は、ノートパソコンにおけるキーボード近傍の平面図である。なお、本実施の形態では、入力装置の一例としてノートパソコンのキーボードを挙げたが、デスクトップパソコンに接続可能なキーボード、パソコンやPDA(personal digital asistance)などに接続可能なキーボードであってもよい。また、本実施の形態におけるキーボードには、例えばQWERTY配列を有するキーボードの他、数字及び算術記号のみを入力可能なキーボードなどを含む。
図1に示すように、ノートパソコンは、第1の筐体301と第2の筐体302とを備えている。第1の筐体301は、各種電気素子が実装された回路基板やハードディスクドライブなどを内蔵している。第2の筐体302は、ディスプレイパネル304を備えている。第1の筐体301と第2の筐体302とは、ヒンジ部303によって互いに回動自在に支持されている。ヒンジ部303は、第1の筐体301と第2の筐体302とを回動自在に支持する回動軸を備えている。
第1の筐体301の上面301aには、キーボード310とポインティングデバイス306とが配されている。キーボード310は、ユーザーによる各種文字の入力操作を受け付ける。ポインティングデバイス306は、その操作面においてユーザーによる接触操作を受け付け、ディスプレイパネル304に表示されるカーソルを所望の位置へ移動する操作が可能なデバイスである。
図2は、図1に示すノートパソコンにおける入力装置の部分断面図である。図3は、実施の形態1における入力装置の部分平面図である。
図2に示すように、入力装置510は、パンタグラフ機構402、ラバースプリング403、キートップ404、ラバーシート405、メンブレンスイッチ406、およびメンブレンシート407を備えている。パンタグラフ機構402は、複数配列されたキートップ404を支持している。ラバースプリング403は、キートップ404の下部に配され、突起部403aを有する。メンブレンシート407は、メンブレンスイッチ406を備える。メンブレンスイッチ406は、接点部である。ラバーシート405は、シート部材である。ラバーシート405は、防水、防滴、防塵性を備える。ラバーシート405は、各キートップ404に対応した位置に開口部405aを備えている。ラバーシート405の開口部405aの端部領域は、キートップ404裏面の周縁部404aに、接着部材で接合固定されている。ラバーシート405の周縁部405bは、入力装置枠体401の周縁部401bに、接着剤で固定されている。
図3に示すように、開口部405aは、キートップ404の面積よりも小さい。開口部405aは、キートップ404によって被覆されている。開口部405aは、ラバーシート405とパンタグラフ機構402とが物理的に干渉しないように形成されている。
入力装置510の動作について説明する。
パンタグラフ機構402で支持されたキートップ404は、上方に押し上げられる待機位置と、沈み込む押し下げ位置との間で、昇降動作が可能である。ラバースプリング403は、入力装置枠体401に向けて開口するカップ形状である。ラバースプリング403は、常にキートップ404を待機位置まで弾性的に押し上げている。ラバースプリング403の中央部に位置する突起部403aは、ラバースプリング403と一体に形成されている。突起部403aは、入力装置枠体401に形成されている開口部401aに対向している。
メンブレンスイッチ406は、キートップ404の押し下げ動作を電気的に検出して入力信号を発する。メンブレンスイッチ406は、可動接点と固定接点(不図示)とを備えた接点部を有している。
ユーザーが指先などでキートップ404を、図2に示す待機位置から押し下げ位置に向けて押し下げると(矢印Eに示す方向)、パンタグラフ機構402が回動支点402aを中心に回動する。このとき、ラバースプリング403は、矢印Eに示す方向へ圧縮され、突起部403aが入力装置枠体401の開口部401aを通ってメンブレンスイッチ406を押圧する。
この動作によって、メンブレンスイッチ406は、可動接点(不図示)が固定接点(不図示)に接触し、電気的に閉じた状態となる。メンブレンスイッチ406が閉じることにより、キートップ404の押し下げ動作を電気的に検出することができる。
ユーザーがキートップ404の押し下げ状態を解除すると、ラバースプリング403の復元力により、キートップ404が矢印Fに示す方向へ変位し、待機位置まで押し上げられる。ラバースプリング403が元の形状に復元することにより、ラバースプリング403の突起部403aがメンブレンスイッチ406から離れる。これによってメンブレンスイッチ406は、電気的に開いた状態となる。
ユーザーが入力装置510を操作していない時(キートップ404を昇降させていない時)、隣接するキートップ404間の隙間およびキートップ404と入力装置枠体401との隙間は、ラバーシート405で覆われている。また、ユーザーが入力装置510を操作している時においても、キートップ404の昇降動作に伴い、ラバーシート405が延伸して、常に、隣接するキートップ404間の隙間およびキートップ404と入力装置枠体501との隙間を覆っている。そのため、ラバーシート405は、キートップ404の裏面と入力装置枠体401との間の空間と、外部空間とを、分離することができる。
ラバーシート405は、各キートップ404に対応した開口部405aが形成されている。開口部405aは、ラバーシート405とパンタグラフ機構402とが干渉するのを防ぐ。そのため、キートップ404への操作性や打鍵感を損なうことなく、入力装置510上方からの塵や水分の浸入を阻止することが可能となる。特に、実施の形態1における入力装置510によれば、薄型で、防水、防滴、防塵性能を満足することができる。
一般的に入力装置は、その使用環境によって内部に入り込む異物は異なる。例えばオフィスでは、入力装置は、埃の他にも、消しゴムのかす、紙片などのゴミ、クリップ(小型の挟み金具)などの導電性物質、飲み物の滴などに曝されやすい。例えば屋外では、入力装置に砂塵や雨水などが浸入する可能性が考えられる。実施の形態1における入力装置510によれば、キートップ404の裏面への水や異物の浸入を防ぐことができるので、多岐にわたる使用環境においても操作性を損なうことなく使用することが可能となる。
(実施の形態2)
図4は、実施の形態2における入力装置の部分断面図である。図5は、実施の形態2における入力装置の部分平面図である。図4、図5において、図2および図3と同一の構成要素については同一符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
図4に示すように、入力装置520は、支持プレート408をさらに備えている。支持プレート408は、キートップ404の裏面に配置されている。支持プレート408は、パンタグラフ機構402を支持している。支持プレート408の下部には、突起部403aを有するラバースプリング403が配置されている。入力装置枠体401の下部には、メンブレンスイッチ406(接点部)を有するメンブレンシート407が配置されている。ラバーシート451(シート部材)は、防水、防滴、防塵性を備えている。ラバーシート451は、キートップ404と支持プレート408で狭持され、キートップ404及び支持プレート408に接着剤で固定されている。ラバーシート451の周縁部451bは、入力装置枠体401の周縁部401bに接着剤で固定されている。
図4に示すように、ラバーシート451は、キートップ404の下部に、図2に示すような開口部405aは形成されていない。ラバーシート451は、入力装置520のキートップ404が配列されている領域全体(図示せず)を一体として覆うように配置される。
入力装置520は、キートップ404とラバースプリング403との間に、ラバーシート451および支持プレート408が介在しているが、その動作は実施の形態1と同様なので、説明を省略する。
実施の形態2における入力装置520によれば、実施の形態1と同様の防水、防滴、防塵効果に加えて、パンタグラフ機構402とラバーシート451との物理的干渉を考慮することなくラバーシート451を配置できる。したがって、ラバーシート451の位置決めが容易になり、入力装置520の製造工程が簡略化される。
(実施の形態3)
図6は、実施の形態3における入力装置の部分断面図である。図6において、図2と同一の構成要素については同一符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
図6に示すように、入力装置530は、シート部材の構成が実施の形態1と異なっている。すなわち、図6に示すラバーシート452(シート部材)は、防水、防滴、防塵性を備えている。ラバーシート452は、キートップ404の裏面の周縁部404aと、入力装置枠体401の周縁部401bとに、接着剤で固定されている。ラバーシート452は、各キートップ404の周囲に位置する部分が、隣接するキートップ404間の距離L1よりも長くなるように弛み部452cを持たせて固定されている。ここで、ラバーシート452の弛み部452cは、ラバーシート452を成型することなどで実現することができる。
ラバーシート452は、各キートップ404に対応した開口部405aが形成されている。ラバーシート452は、パンタグラフ機構402と干渉しないように、キートップ404の裏面および入力装置枠体401に固定されている。
入力装置530の動作は、実施の形態1と同様なので、詳細な説明を省略する。
実施の形態3における入力装置530によれば、実施の形態1と同様な防水、防滴、防塵効果を有する。さらに、ラバーシート452は、キートップ404の周囲に位置する部分に、弛み部452cを備えている。これにより、キートップ404が昇降動作する際にラバーシート452へかかるテンションが緩和され、ラバーシート452の寿命が延びて、入力装置530の耐久性を向上させることができる。
(実施の形態4)
図7は、実施の形態4における入力装置の部分断面図である。図7において、図6と同一の構成要素については同一符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
図7に示すように、入力装置540は、シート部材の構成が実施の形態3と異なっている。すなわち、ラバーシート453(シート部材)は、防水、防滴、防塵性を備えている。ラバーシート453は、キートップ404の裏面の周縁部404aおよび入力装置枠体401の周縁部401bに、接着剤で固定される。ラバーシート453は、キートップ404の周囲に弛み部453cを備えている。弛み部453cは、キートップ404に接合されている部分から屈曲している部分までの距離L3を、キートップ404の昇降方向のストロークL2の少なくとも1/2以上としている。ここでラバーシート453には、その弛み部453cを予め成型加工しておくことで、入力装置540の製造を容易にすることができる。
ラバーシート453をキートップ404へ固定する方法や、入力装置540の動作は、実施の形態1あるいは実施の形態3と同様なので、詳細な説明を省略する。
実施の形態4における入力装置540によれば、ラバーシート453の弛み部453cの寸法L3(寸法L3は、キートップ404に接合されている部分から屈曲している部分までの距離である)が、キートップ404の昇降方向のストロークL2の少なくとも1/2以上となるよう形成している。これにより、ラバーシート453は、キートップ404の昇降動作の際にテンションがかかりにくい。したがって、ラバーシート453の寿命をさらに向上させることができ、入力装置540の耐久性を向上させることができる。
なお、上記の実施の形態におけるラバーシートは、シート部材の一例である。シート部材は、少なくとも防水、防滴、防塵性を有し、キートップ204の昇降動作にともない延伸可能な弾性部材であればよい。シート部材は、シリコーン、ポリウレタン、塩化ビニル、ポリオレフィンなどの樹脂を基材としたシート素材を用いることが可能である。また、実施の形態3および実施の形態4の構成であれば、より弾性率が小さいシート部材でも使用することができる。
また、ラバーシート453とキートップ404との固定方法は、接着剤による接着の他、一体成型、熱圧着なども可能である。ラバーシート453と支持プレート408との固定方法は、接着剤による接着の他、一体成型、熱圧着なども可能である。ラバーシート453と入力装置枠体401との固定方法は、接着剤による接着の他、一体成型、熱圧着なども可能である。
実施の形態1〜4に関して、以下の付記を開示する。
(付記1)
入力装置は、入力装置枠体と、入力装置枠体の上に配列された複数のキートップと、キートップと入力装置枠体との間に配置されてキートップを入力装置枠体に昇降動自在に支持するパンタグラフ機構と、キートップの昇降動に連動してスイッチングする接点部と、シート部材とを備えている。シート部材は、キートップと接点部との間に介在させるとともに、キートップの裏面に固定している。
このような構成によれば、入力装置の操作時には、キートップに直接ユーザーの指が接触するために、入力装置の操作性や打鍵感を損なうことがない。また、キートップの裏面に固定されたシート部材によって、配列されたキートップの隙間からキートップ裏面および接点部に水や異物の浸入を防ぐことができる。
(付記2)
入力装置は、入力装置枠体と、入力装置枠体の上に配列された複数のキートップと、キートップの裏面に配置された支持プレートと、支持プレートと入力装置枠体との間に配置されて支持プレートを入力装置枠体に昇降動自在に支持するパンタグラフ機構と、支持プレートとともにキートップの昇降動に連動してスイッチングする接点部と、シート部材とを備えている。シート部材は、キートップと支持プレートとで狭持し固定されている。
このような構成によれば、入力装置の操作時には、キートップに直接ユーザーの指が接触するために、入力装置の操作性や打鍵感を損なうことがない。また、キートップの裏面に固定されたシート部材によって、配列されたキートップの隙間からキートップ裏面および接点部に水や異物の浸入を防ぐことができる。さらに、パンタグラフ機構とシート部材との物理的干渉を考慮することなくシート部材を配置できるので、シート部材の位置決めが容易になり、入力装置の製造工程を簡略化することができる。
(付記3)
入力装置は、シート部材の周縁部を入力装置枠体の周縁部に固定することが望ましい。このような構成によれば、入力装置の入力装置枠体の全面を覆うようにシート部材を配置することができ、入力装置全体の防水、防塵を実現することができる。
(付記4)
入力装置は、隣接するキートップとの間のシート部材は、隣接するキートップ間の距離よりも長くなるように弛みを持たせて固定されていることが望ましい。このような構成によれば、入力装置の操作にともなうキートップの昇降動時にシート部材にかかるテンションが緩和されるので入力装置の耐久性が向上する。
(付記5)
入力装置は、シート部材の弛みはキートップの昇降動ストロークの少なくとも1/2以上であることが望ましい。このような構成によれば、入力装置の操作に伴うキートップの昇降動作時に、シート部材にテンションがかかりにくいので、入力装置の耐久性がさらに向上する。
(実施の形態5)
〔1.入力装置の構成〕
以下、本願の保護シートを適用する入力装置の一例として、ノートパソコンのキーボードを挙げ説明する。
図8は、本実施の形態にかかるノートパソコンの外観を示す斜視図である。図9は、ノートパソコンにおけるキーボード近傍の平面図である。なお、本実施の形態では、入力装置の一例としてノートパソコンのキーボードを挙げたが、デスクトップパソコンに搭載されたキーボード、パソコンやPDA(personal digital asistance)などに外部接続可能なキーボードであってもよい。また、本実施の形態におけるキーボードには、例えばQWERTY配列を有するキーボードの他、数字及び算術記号のみを入力可能なキーボードなどを含む。
図8に示すように、ノートパソコンは、第1の筐体1と第2の筐体2とを備えている。第1の筐体1は、各種電気素子が実装された回路基板やハードディスクドライブなどを内蔵している。第2の筐体2は、ディスプレイパネル4を備えている。第1の筐体1と第2の筐体2とは、ヒンジ部3によって互いに回動自在に支持されている。ヒンジ部3は、第1の筐体1と第2の筐体2とを回動自在に支持する回動軸を備えている。
第1の筐体1の上面1aには、キーボード5とポインティングデバイス6とが配されている。キーボード5は、ユーザーによる各種文字の入力操作を受け付ける。ポインティングデバイス6は、その操作面においてユーザーによる接触操作を受け付け、ディスプレイパネル4に表示されるカーソルを所望の位置へ移動する操作が可能なデバイスである。
図9に示すように、キーボード5は、複数のキーを備えている。各キーには、入力可能な文字や機能が割り当てられている。キーボード5のキーの配列は、本実施の形態ではQWERTY配列としたが、このキー配列に限らず、AZERTY配列やDvorak配列など他のキー配列であってもよい。図示は省略しているが、キーボード5における各キートップの上面(ユーザーがキーボード5で文字などを入力する際に指で押圧する面)には、そのキートップを押圧操作することで入力可能な文字や機能名などが印刷されている。
図10A及び図10Bは、図9におけるZ−Z部の断面図である。図10Aは、キーが押圧操作されていない状態を示す。図10Bは、一部のキーが押圧操作された状態を示す。以下、キーボード5の具体的構成について説明するが、キー5aを一例として挙げて説明する。
キー5aは、キートップ51、リンク部材52a及び52b、ドーム部53を備えている。キートップ51は、図示のように断面形状が略台形になるように形成されている。キートップ51の上面51aには、各キーの機能を表す文字や記号などが印刷されている。キートップ51の下面側(上面51aの裏側)には、略中央に突起部51bが形成され、突起部51bの両側にはリンク支持部51c及び51dが形成されている。突起部51bは、ドーム部53に形成された凹部53aに嵌合している。リンク支持部51cは、開口部を有し、その開口部にリンク部材52aの一方の端部が遊嵌している。リンク支持部51dは、開口部を有し、その開口部にリンク部材52bの一方の端部が遊嵌している。
リンク部材52a及び52bは、互いに交差するように配されている。リンク部材52aは、一方の端部がリンク支持部51cに回動自在に支持され、他方の端部がメンブレン部55に形成されたリンク支持部54aに移動自在に支持されている。リンク部材52bは、一方の端部がリンク支持部51dに回動自在に支持され、他方の端部がメンブレン部55に形成されたリンク支持部54bに移動自在に支持されている。リンク部材52a及び52bは、キートップ51を矢印Eに示す下降方向及び矢印Fに示す上昇方向へ案内する部材である。
ドーム部53は、図10Aに示すように内部が中空構造となったドーム状に形成されている。ドーム部53は、上端に形成された凹部53aに突起部51bが嵌合し、下端がメンブレン部55に固定されている。ドーム部53は、外部から圧力が印加された際に変形し、圧力が印加されていない状態では図10Aに示す形状を維持し、ゴムなどの弾性材料で形成されている。ドーム部53は、凹部53aの裏側に突起部53bが形成されている。ドーム部53は、図10Aに示すようにキートップ51が押圧操作されていない時に、キートップ51が自重により矢印Eに示す方向へ変位しないように、キートップ51を支持する部材である。ドーム部53は、図10Aに示すようにキートップ51が押圧操作されていない状態から、ユーザーにより矢印Eに示す方向へ押圧操作された場合、キートップ51の矢印Eに示す方向への変位に伴って圧縮変形する。
リンク支持部54aは、リンク部材52aの他方の端部を支持している。リンク支持部54bは、リンク部材52bの他方の端部を支持している。キートップ51が図10Aに示す位置から矢印Eに示す方向へ変位する際、リンク部材52aの他端はリンク支持部54aとメンブレン部材55との対向領域内を矢印Hに示す方向へ移動し、リンク部材52bの他端はリンク支持部54bとメンブレン部材55との対向領域内を矢印Gに示す方向へ移動する。また、キートップ51が図10Aに示す位置にある時は、リンク部材52aの他端はリンク支持部54aの図示向かって右端の内壁に当接し、リンク部材52bの他端はリンク支持部54bの図示向かって左端の内壁に当接する。これにより、リンク部材52aの他端が矢印Gに示す方向へ移動するのを規制し、リンク部材52bの他端が矢印Hに示す方向へ移動するのを規制することができ、キートップ51が図10Aに示す位置から矢印Fに示す方向へ変位するのを規制することができる。
メンブレン部55は、上部メンブレンシート55a、下部メンブレンシート55b、スペーサ55c、上部接点55d、および下部接点55eを備えている。上部メンブレンシート55aと下部メンブレンシート55bとは、互いに略平行に配されている。上部メンブレンシート55a及び下部メンブレンシート55bは、それぞれ基材を備えている。基材は、例えばシリコーンゴムなどで形成することができる。基材は、配線パターン(不図示)と接点55d及び55eが形成されている。配線パターン、接点55d及び55eは、例えばAgインクで形成することができる。上部接点55dは、上部メンブレンシート55aにおける下部メンブレンシート55bに対向する面に形成されている。下部接点55eは、下部メンブレンシート55bにおける上部メンブレンシート55aに対向する面に形成されている。上部接点55d及び下部接点55eは、第1の筐体1内の電気回路基板(不図示)に電気的に接続されている配線パターン(不図示)に接続されている。上部メンブレンシート55a及び下部メンブレンシート55bは、スペーサ55cを挟んで貼り合わされている。スペーサ55cは、少なくとも上部接点55d、下部接点55e、及びその周辺においては、上部メンブレンシート55aと下部メンブレンシート55bとを空間的に連通させるように開口部を有し、上部メンブレンシート55aの弾性変形に伴う上部接点55dと下部接点55eとの電気的接触を妨げないようにしている。上部メンブレンシート55a及び下部メンブレンシート55bの間にスペーサ55cを挟むことにより、上部メンブレンシート55a及び下部メンブレンシート55bの間に空隙を形成することができる。スペーサ55cは、少なくとも上部接点55dと下部接点55eとの間に空隙を形成することができる。上部接点55dと下部接点55eとの間に空隙を形成することにより、キートップ51が押圧操作されていない状態において上部接点55dと下部接点55eとが接触するのを防ぐことができる。
キー5aのキートップ51とキー5bのキートップ58との間、およびキー5bのキートップ58とキー5cのキートップ59との間には、それぞれ間隙P1が存在する。図示は省略しているが、キーボード5に搭載されているキートップは、隣り合うキートップとの間に間隙が存在する。また、キートップと第1の筐体1の一部とが隣り合う部分でも、キートップと第1の筐体との間に間隙(例えば、図10Aに示す間隙P2)が存在する。
以下、キーボード5の動作について説明する。
図10Aは、キートップ51が押圧操作されていない状態である。図10Aに示す状態では、キートップ51は、ドーム部53によって図示の位置(上昇位置)が維持され、自重による矢印Eに示す方向への変位が規制されている。この時、接点55dと接点55eとは離間している。
この状態から、ユーザーが指などでキートップ51を矢印Eに示す方向へ押圧すると、キートップ51は、リンク部材52a及び52bによって案内されながら、矢印Eに示す方向へ変位する。この時、ドーム部53は、キートップ51にかかる矢印Eに示す方向の押圧力により圧縮変形する。また、キートップ51は、リンク部材52a及び52bによって支持されているため、メンブレン部55に対して平行な姿勢を保ったまま矢印Eに示す方向へ変位する。キートップ51が矢印Eに示す方向へ変位する際、リンク部材52aは、他方の端部がリンク支持部54aに支持されながら矢印Hに示す方向へ移動し、リンク部材52bは、他方の端部がリンク支持部54bに支持されながら矢印Gに示す方向へ移動する。
図10Bに示すように、ユーザーによりキートップ51が所定の位置まで押圧されると、ドーム部53に形成された突起部53bが上部メンブレンシート55aに当接する。この状態からさらにキートップ51が押圧されると、突起部53bが上部メンブレンシート55aを押圧し、上部メンブレンシート55aは矢印Eに示す方向へ湾曲変形する。上部メンブレンシート55aが所定位置まで変形すると、上部接点55dと下部接点55eとが接触する。上部接点55dと下部接点55eとが接触することにより、上部メンブレンシート55aに形成された配線パターンと下部メンブレンシート55bに形成された配線パターンとが導通状態となり、電気的オン状態を得ることができる。配線パターンは、第1の筐体1内に配された信号処理回路に電気的に接続されているため(接続状態は周知であるため不図示)、信号処理回路では押圧操作されたキーに対応した信号処理を実行する。例えば、押圧操作されたキーに所定の文字入力機能が割り当てられている場合は、割り当てられている文字を第2の筐体2に配された表示部4に表示するよう制御する。
図10Bに示す状態において、ユーザーがキートップ51から指を離間させると、キートップ51は、ドーム部53の弾性復帰力によって矢印Fに示す方向へ上昇する。すなわち、ドーム部53は、キートップ51を矢印Fに示す方向へ押し上げる程度の弾性復帰力を有する。この時、キートップ51は、リンク部材52a及び52bによって案内されるため、メンブレン部55に対して平行な姿勢を保ったまま矢印Fに示す方向へ上昇する。図10Aに示すように、ドーム部53が圧縮変形した状態から元の形状に復帰することで、上部メンブレンシート55aを押圧していた突起部53bが上部メンブレンシート55aから離間する。上部メンブレンシート55aは、突起部53bが離間することにより、湾曲変形していた状態から元の形状(図10Aに示すように下部メンブレンシート55bに平行対向した形状)に復帰し、上部接点55dと下部接点55eは離間する。上部接点55dと下部接点55eとが離間することにより、上部メンブレンシート55aの配線パターンと下部メンブレンシート55bの配線パターンとが電気的に乖離された状態となり、電気的にオフの状態となる。
図10Aに示すように、キートップ51が所定位置まで上昇すると、リンク部材52aの他端はリンク支持部54aの図示向かって右端の内壁に当接し、リンク部材52bの他端はリンク支持部54bの図示向かって左端の内壁に当接する。これにより、リンク部材52aの他端が矢印Gに示す方向へ移動するのを規制し、リンク部材52bの他端が矢印Hに示す方向へ移動するのを規制することができ、キートップ51が矢印Fに示す方向へ変位するのを規制することができる。以上の動作により、キートップ51は図10Aに示す元の位置に復帰する。
〔2.保護シートの構成〕
図11Aは、本実施の形態にかかる保護シートの平面図である。図11Bは、図11AにおけるZ−Z部の断面図である。
保護シート10は、図9等に示すキーボード5を覆うように載置することが可能である。図11Aに示すように、保護シート10は、キーボード5(図9等参照)に搭載される各キートップに対応した位置に、第1の凸部10a及び第2に凸部10bを備えている。本実施の形態では、図11Aに示すように保護シート10における一部の凸部にのみ符号を付与したが、保護シート10はキーボード5に備わる全てのキートップに対応する位置に凸部が形成されている。
図11Bに示すように、保護シート10は、第1層11及び第2層12からなる2層構造としている。第1層11は、保護シート10をキーボード5に載置した際に、表面に露出する層である。すなわち、第1層11は、保護シート10をキーボード5に載置した際に、ユーザーの指等により直接押圧される層である。第1層11は、例えば弾性変形可能な樹脂によるスキン層で形成することができる。第1層11は、少なくとも弾性を有する材料で形成されていればよい。また、第1層11は、必要に応じて例えば銀系または燐系など公知の抗菌剤を混入させると、キーボード5を複数のユーザー間で共用する場合には、打鍵したユーザーの汚染を抑制することができるため好ましい。第2層12は、第1層11に密着している層であり、保護シート10をキーボード5に載置した際に、キートップに当接する層である。第2層12は、例えば不織布で形成することができる。第2層12は、少なくとも緩衝性または吸音性を有する材料で形成されていればよく、不織布の他、ウレタンフォームなどの柔軟性材料で形成してもよい。
図11Bに示すように、保護シート10は、キーボード5のキートップの高さ及びキートップ間の間隙に対応した凹凸形状に形成されている。図11Bに示す断面図では、第1の凸部10a、第2の凸部10b、第3の凸部10c、第1の凹部10d、および第2の凹部10eを図示した。第1の凸部10aは、図9または図10Aに示すキー5aに対応している。第2の凸部10bは、図9または図10Aに示すキー5bに対応している。第3の凸部10cは、図9または図10Aに示す第1の筐体1におけるキーボード5の周囲に位置する部分に対応している。第1の凹部10dは、図10Aに示すキー5aと第1の筐体1との間の間隙P2に対応している。第2の凹部10eは、図10Aに示すキー5aとキー5bとの間の間隙P1に対応している。
図12Aは、保護シート10が載置されているキーボード5の平面図である。図12Bは、図12AにおけるZ−Z部の断面図である。保護シート10をキーボード5に載置すると、図12Bに示すように、保護シート10の第1の凸部10aがキー5a上に載置され、第2の凸部10bがキー5bに載置され、第3の凸部10cが第1の筐体1に載置され、第1の凹部10dがキー5aと第1の筐体1との間隙P2に入り込み、第2の凹部10eがキー5aとキー5bとの間隙P1に入り込む。
保護シート10は、面ファスナー13によって第1の筐体1に固定することができる。面ファスナー13は、多数のフック状起毛が形成された一方の布材と、多数のループ状起毛が形成された他方の布材とで構成され、両者を接合することができる。面ファスナー13の一方の布材は、保護シート10の第3の凸部10cの裏面(第2層12側の面)に接着テープ等で貼着されている。面ファスナー13の他方の布材は、第1の筐体1の上面1aのキーボード5近傍に接着テープ等で貼着されている。面ファスナー13は、図9に示すように、保護シート10の一対の短辺に沿うように配されている(第1の面ファスナー13a、第2の面ファスナー13b)。これにより、保護シート10をキーボード5における正規の位置に位置合わせした後、面ファスナー13の布材同士を接合することにより、保護シート10を正規の位置で固定することができる。なお、「正規の位置」とは、保護シート10の凸部がキートップに載置し、凹部がキートップ間の間隙に入り込んでいる状態の、保護シート10の位置である。
図12Bに示す状態(キートップが押圧されていない状態)において、ユーザーが例えばキー5aのキートップ51を矢印Eに示す方向へ押圧すると、保護シート10の主に第1の凹部10dと第2の凹部10eとが変形しながら、第1の凸部10aがキートップ51とともに矢印Eに示す方向へ変位する。図13は、キー5aのキートップ51を矢印Eに示す方向へ押圧した状態を示す断面図である。図13に示す状態において、第1の凸部10aは、ユーザーの指100とキートップ51とに挟持されているため、キートップ51に密接している。なお、キートップ51を押圧したときの各可動部品の動作については、前述と同様である。
図13に示す状態(キートップが押された状態)において、ユーザーがキー5aのキートップ51から指100を離間すると、キートップ51はドーム部53の弾性復帰力によって矢印Fに示す方向へ上昇する。このとき、保護シート10は、第1層11が弾性を有する材料で形成されているため、図12Bに示すように無負荷状態(指等で押されていない状態)になると元の形状に戻る。
〔3.実施の形態の効果、他〕
本実施の形態によれば、保護シート10を、例えばスキン層からなる第1層11と、例えば不織布からなる第2層12とを備えた2層構造とすることにより、1層構造の保護シートに比べて、長期間使用時の耐久性及びキーボード打鍵に対する耐久性を向上することができる。したがって、保護シート10を載置したキーボード5を繰り返し押圧したとしても、保護シート10の疲労が少なく、破れによる破損を軽減することができ、キートップの裏側へ液体や粉塵などが進入することを防ぐことができる。
保護シートを載置していないキーボードに水をこぼしてしまった場合、キートップの裏側に水が進入するが、その水が蒸発することによってキートップの裏側には残留物がほとんど残らないため、キートップのストロークの円滑性が損なわれることは少ない。しかし、コーヒーやジュースなどを、保護シート10を載置していないキーボード5にこぼしてしまった場合、キートップの裏側に進入したコーヒーやジュースを乾燥させたとしても、粘性を有する砂糖などが残留してしまうことがある。このような粘性を有する残留物が、リンク部材52a及び52bなどの可動部品に付着すると、可動部品の動きが悪くなり、キーボード5の操作性を低下させてしまう。本実施の形態の保護シート10は、キートップ5の裏側への液体の進入を防ぐことができるため、上記のような問題の発生を防ぐことができる。
また、本実施の形態では、キートップ間の間隙P1、P2を保護シート10で覆うことができるため、キートップの裏側へ液体や粉塵等が進入するのを防ぐことができる。これにより、キートップの裏側へ液体や粉塵等が進入することによる、リンク部材52a及び52bなどの可動部品の動作円滑性が損なわれることを防ぐことができる。また、キートップを離脱してキーボード5の内部を清掃する必要性もほとんどなくなる。
また、本実施の形態では、キートップ間の間隙P1、P2等を保護シート10で覆うことができるため、ユーザーがキーボード5を操作している時にキートップが外れてしまうことを防止することができる。すなわち、本実施の形態の保護シート10を載置していないキーボードの場合、ユーザーがキーボードを操作している時に、ユーザーの指先が間隙P1,P2等に入り込んでキートップを持ち上げてしまい、キートップまたはそれに付随する機構部品がキーボードから離脱してしまうことがある。本実施の形態では、キートップ間の間隙P1,P2等を保護シート10で覆う構成とすることで、間隙P1,P2等にユーザーが指先が入り込むことを防ぐことができる。したがって、ユーザーの指先でキートップまたはそれに付随する機構部品をキーボードから離脱してしまうことを防ぐことができる。
また、本実施の形態のように保護シート10をキーボード5に着脱可能な構成としたことにより、ノートパソコンを使用するユーザー個々に専用の保護シートを用意することができる。例えば、1台のノートパソコンを複数のユーザーで共用する場合、複数のユーザーが個々に専用の保護シートを持っていることで、各ユーザーは自身専用の保護シートをキーボードに装着してからキーボードを操作することができる。ユーザーは、ノートパソコンの使用後、自身専用の保護シートをキーボードから離脱することで、自身専用の保護シートが他人に触れることがなく、衛生的である。
また、本実施の形態では、第2層12を不織布などの緩衝性を有する材料で形成したことにより、ユーザーが指でキートップを押圧した際に生じる衝撃が指へ伝わるのを軽減することができる。例えば、図12Bにおいてユーザーが指でキートップ51を矢印Eに示す方向へ押圧し、図13に示すようにキートップ51が矢印Eに示す方向へ変位した際、リンク部材52a及び52bが上部メンブレンシート55aに当接する。リンク部材52a及び52bが上部メンブレンシート55aに当接したときの衝撃や振動が、リンク部材52a及び52bを通じてキートップ51に伝わる。本実施の形態では、その衝撃や振動を、不織布で形成された第2層12で吸収することで、キートップからユーザーの指に伝わる衝撃を軽減している。また、不織布で形成された第2層12は、ユーザーが指でキートップを押圧した際に生じる打鍵音を吸収することができるため、打鍵音を低減することができる。
また、本実施の形態の保護シート10は、キーボード5のキートップに対応した位置に凸部(第1の凸部10a等)を設け、キートップ間に対応した位置に凹部(第1の凹部10d等)を設けたことにより、キーボード5に載置した際に、凹凸を設けていない保護シートに比べてキートップとの隙間を極力少なくすることができる。したがって、保護シート10とキートップとの隙間から液体や粉塵などが進入するのを軽減することができる。例えば、保護シートに凹凸を設けていない場合、キートップ間の間隙部分において保護シートとキートップとの隙間が大きくなってしまい、この隙間からキーボード内に液体や粉塵などが進入してしまう可能性が高くなってしまう。
また、本実施の形態の保護シート10は、キーボード5のキートップに対応した位置に凸部(第1の凸部10a等)を設け、キートップ間に対応した位置に凹部(第1の凹部10d等)を設けたことにより、キーボード5に載置した際に、凹凸を設けていない保護シートに比べて保護シート10の位置ズレを軽減することができる。すなわち、保護シート10の凹部がキートップ間の間隙に入り込んでいるため、保護シート10は、キートップの操作面の面方向の位置が規制される。したがって、ユーザーによる打鍵時等において、保護シート10が、キートップの操作面の面方向に位置がずれることを軽減することができる。
また、本実施の形態の保護シート10は、キーボード5に面ファスナー13で固定可能としたことにより、保護シート10が装着されたキーボード5を用いてユーザーが文字の入力操作を行っている時に、キーボード5に対する保護シート10の位置ズレが生じにくいため、操作性を低下させることがない。また、保護シート10を面ファスナー13でキーボード5に固定する構成をノートパソコンなどのモバイル機器に適用した場合、保護シート10がモバイル機器から脱落しにくいため、保護シート10を装着したままモバイル機器を運搬することができる。
なお、本実施の形態では、保護シート10は、第1層11及び第2層12からなる2層構造としたが、3層以上の構造としてもよい。図14A及び図14Bは、3層構造の保護シートを示す。図14Aは、保護シートの要部平面図である。図14Bは、図14AにおけるZ−Z部の断面図である。図14Bに示すように、保護シートは、第1層11、第2層12、および第3層14からなる3層構造となっている。第1層11は、例えば弾性変形可能な樹脂によるスキン層で形成することができる。第1層11は、少なくとも表面11a(ユーザーがキーボード5を操作する際に指が当接する面)が黒色等の濃色に塗装されている。第2層12は、例えば不織布で形成することができる。第3層14は、例えば弾性変形可能な樹脂によるスキン層で形成することができる。第3層14は、少なくとも表面14aが白色等の淡色に塗装されている。図14A及び図14Bに示すように、第1層11は、第1の凸部10a及び第2の凸部10bに、所定の文字の切り欠き部11b及び11cが形成されている。第1の凸部10aに形成されている切り欠き部11bは、図14Aに示すように文字「Q」の形状を有する。第2の凸部10bに形成されている切り欠き部11cは、図14Aに示すように「W」の形状を有する。図示は省略するが、保護シートにおける他の凸部(キートップに対応する凸部)にも、所定の文字の形状を有する切り欠き部が形成されている。これにより、図14Aに示すように、保護シートを表面11a側から見た時に、黒色の第1層11の表面11aに、白色の文字が現れる状態になる。このような構成とすることにより、保護シートの表面に所定の文字を印刷する必要がなくなる。表面に所定の文字が印刷された保護シートは、ユーザーによる長期間の使用時に、保護シートと指との間の摩擦によって、印刷された文字が消えてしまうことがある。そこで、図14A及び図14Bに示すように、第1層11を文字の形状に切り欠き、第1層11の下層の第3層14の色によって文字を現すことにより、ユーザーの指と保護シートとの間の摩擦によって文字が消えることがない。
また、上記のように第1層11に文字形状の切り欠きを設けることによって、自発光式のキーボードにも対応することができる。自発光式のキーボードとは、キートップの裏側にLEDなどの光源を配置し、キートップを透光性材料で形成することにより、キートップを発光させることができるキーボードのことである。これにより、暗所でのキーボードの目視が可能となり、操作性を向上することができる。自発光式キーボードに透光性を有さない保護シートを載置すると、キーボード側からの光を遮断してしまうため、暗所でのキーボードの目視が困難となってしまい、操作性が低下してしまう。そこで、本実施の形態のように第1層11に文字形状の切り欠きを設けて第1層11の下層の第2層12または第3層14の一部を露出させ、第2層12または第3層14を透光性材料で形成することによって、キートップからの光を第2層12または第3層14と第1層11の切り欠きを介して、第1層11の表面11a側に導くことができる。したがって、保護シートを第1層11の表面11a側から見た時に、文字のみが発光して見える状態となり、暗所でのキーボードの目視及び操作が可能となる。
なお、図14A及び図14Bに示すように、第1層11に切り欠きを設ける構成は、本実施の形態における2層構造の保護シートにも適用できる。すなわち、第1層11と第2層12とが積層された2層構造の保護シートにおいて、第1層11に、各キーに対応した文字の形状を有する切り欠きを形成する構成としてもよい。これにより、その切り欠きを介して第2層12の一部を文字の形状に露出させることができるため、保護シートに文字の印刷を施す必要がなくなる。印刷された文字は、ユーザーの指と保護シートとの間の摩擦によって消えてしまうことがあるが、切り欠きによって文字を形成する構成ではユーザーの指と保護シートとの間の摩擦によって消えてしまうことがないため、好ましい。
また、図14A及び図14Bに示すように、第1層11に切り欠きを設ける構成において、第1層11の下層(第2層12または第3層14等)の色は単色としてもよいが、複数色としてもよい。例えば、第3層14において、アルファベットを入力可能なキーに対応した領域を白色に塗装し、数字を入力可能なキーに対応した領域を青色に塗装し、ファンクションキーに対応した領域を緑色に塗装し、その他のキーに対応した領域を赤色に塗装する。これにより、第1層11の切り欠きには、それぞれの領域毎に色が異なる文字が現れる。
また、本実施の形態では、キーボード5に保護シート10を固定させる手段として面ファスナー13を用いたが、他の固定手段を用いてもよい。例えば、キーボード5と保護シート10と互いに係合可能なボタンを備えて両者を係合させる方法、保護シート10に爪部を設けてキーボード5に凹部を設けて爪部と凹部とを係合させる方法、保護シート10とキーボード5とに互いに極性が異なる磁石(または、一方が磁石で他方が金属)を備えて磁石同士を吸着(または、磁石と金属とを吸着)させる方法、などがある。
また、本実施の形態における第1層11は、本発明の第1層の一例である。本実施の形態における第2層12は、本発明の第2層の一例である。本実施の形態における第1の凸部10a、第2の凸部10bは、本発明のキートップ嵌合部の一例である。本実施の形態における第1の凹部10d、第2の凹部10eは、本発明の間隙封止部の一例である。本実施の形態における面ファスナー13は、本発明の係止手段の一例である。本実施の形態における切り欠き部11b、11cは、本発明の切り欠き部の一例である。