JP2011174569A - 電磁弁 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐久性に優れて長寿命化が図れ、誤動作が少なく、しかも製作が容易な電磁弁を提供する。
【解決手段】互いに対向して摺動する弁箱1の内周面10aaと弁体2の外周面2aの少なくとも一方の摺動面に、PVD法またはCVD法により素材よりも低い摩擦係数を有しかつ耐摩耗性に優れるコーティング膜が形成されている。コーティング膜は、ダイヤモンドライクカーボンからなっている。
【選択図】図1
【解決手段】互いに対向して摺動する弁箱1の内周面10aaと弁体2の外周面2aの少なくとも一方の摺動面に、PVD法またはCVD法により素材よりも低い摩擦係数を有しかつ耐摩耗性に優れるコーティング膜が形成されている。コーティング膜は、ダイヤモンドライクカーボンからなっている。
【選択図】図1
Description
本発明は電磁弁に関する。
電磁弁は、一般の化学プラント、発電所、核燃料再処理工場等で広く使用されている。この種のプラントでは、耐久性に優れる電磁弁が要求されており、このような要求に応える電磁弁として、下記の特許文献1には、電磁弁を構成する摺動部品の表面に無電解ニッケルめっきを施した電磁弁が提案されている。また、特許文献2には、電磁弁を構成する部品に、防食性、耐摩耗性並びに摺動性を向上させるべく、コバルトを主成分とするステライトを肉盛溶接する硬化処理を行う電磁弁が提案されている。
ところで、前者の摺動部品の表面にニッケルめっきを施した電磁弁にあっては、塩化物、SOxまたはNOxを含んだ環境ではニッケルめっきが腐食する現象が生じ、使用環境によっては十分な耐久性が得られないという問題があった。また、後者の構成部品にステライトを肉盛溶接処理する電磁弁にあっては、構成部品ごとに溶接を行う必要があり、この場合、溶接自体が手間のかかる作業であること、また、肉盛後に余分な部分を削り落とす機械加工が必要になることから、作業工数がかかりすぎてコスト高を招く欠点があった。
一方、原子力発電所や核燃料再処理工場等の原子力プラント使用される電磁弁にあっては、放射線存在下での使用が余儀なくされ、電磁弁が故障した場合に、その電磁弁に対し人手によって交換したりメインテナンスを行う際に、作業者が外部被爆するおそれがある。このため、原子力プラントで使用される電磁弁にあっては、特に長寿命でかつ誤動作が少ないことが強く要求されていた。
一方、原子力発電所や核燃料再処理工場等の原子力プラント使用される電磁弁にあっては、放射線存在下での使用が余儀なくされ、電磁弁が故障した場合に、その電磁弁に対し人手によって交換したりメインテナンスを行う際に、作業者が外部被爆するおそれがある。このため、原子力プラントで使用される電磁弁にあっては、特に長寿命でかつ誤動作が少ないことが強く要求されていた。
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、耐久性に優れて長寿命化が図れ、誤動作が少なく、しかも製作が容易であって、特に原子力プラントに使用されて好適な電磁弁を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明は以下の手段を提案している。すなわち、本発明の電磁弁では、内部に流路が形成された弁箱と、該弁箱内に設けられて前記流路を連通または遮断する弁体と、前記弁箱内に往復動可能に配置されて前記弁体を開閉させる磁性体材料からなるプランジャと、前記弁箱に配置されて通電された際に前記プランジャを磁気吸引させて移動させるソレノイドコイルとを備える電磁弁であって、互いに対向する摺動面である前記弁箱の内周面と前記弁体の外周面のうち少なくとも一方の摺動面に、PVD法またはCVD法により素材よりも低い摩擦係数を有しかつ耐摩耗性に優れるコーティング膜が形成されていることを特徴とする。
上記のように構成された電磁弁では、弁箱と弁体との互いに対向する摺動面のうち少なくとも一方の摺動面に、素材よりも低い摩擦係数を有しかつ耐摩耗性に優れるコーティング膜が形成されているため、弁箱と弁体の摺動面どうしの摩擦抵抗を減少させることができ、その分誤動作の発生を少なくできる。
また、弁箱と弁体との摺動面は充分な耐久性を有することとなり、これにより電磁弁の長寿命化が図れる。
加えて、コーティング膜は、PVD法またはCVD法により形成されるため、コーティング膜として種類を選ぶことなくほとんどの材料を使用することができ、塩化物、SOxまたはNOxを含んだ環境下でも耐腐食性に優れる材料を使用すれば、そのような環境下においても優れた耐久性を持つこととなる。また、肉盛溶接する場合に比べて、一度で多数の部品の表面にコーティング膜を形成することができ、しかもコーティング膜が比較的薄く仕上がり、後工程の機械加工が不要になることもあって、製作が容易になる。
また、弁箱と弁体との摺動面は充分な耐久性を有することとなり、これにより電磁弁の長寿命化が図れる。
加えて、コーティング膜は、PVD法またはCVD法により形成されるため、コーティング膜として種類を選ぶことなくほとんどの材料を使用することができ、塩化物、SOxまたはNOxを含んだ環境下でも耐腐食性に優れる材料を使用すれば、そのような環境下においても優れた耐久性を持つこととなる。また、肉盛溶接する場合に比べて、一度で多数の部品の表面にコーティング膜を形成することができ、しかもコーティング膜が比較的薄く仕上がり、後工程の機械加工が不要になることもあって、製作が容易になる。
また、本発明の電磁弁では、前記弁体と前記プランジャとの係合部分には前記流路の流出側と連通される開口が前記プランジャの先端部に設けられたパイロット弁によって開閉されるとともに前記流路の流入側と連通されるパイロット室が形成され、前記弁体が開動作する際に、まず前記パイロット弁が開いて前記パイロット室が前記流路の流出側に連通され、続いて弁体が開いて前記流路の流入側と流出側が連通されるパイロット型の電磁弁であって、前記弁体と前記プランジャの互いに対向する摺動面のうち少なくとも一方の摺動面に、PVD法またはCVD法により素材よりも低い摩擦係数を有しかつ耐摩耗性に優れるコーティング膜が形成されていることが好ましい。
この場合、パイロット型の電磁弁において、弁体とプランジャの互いに対向する摺動面どうしの摩擦抵抗を減少させることができ、その分誤動作の発生を少なくできる。 また、弁体とプランジャとの摺動面は充分な耐久性を有することとなり、これにより電磁弁の長寿命化が図れる。
この場合、パイロット型の電磁弁において、弁体とプランジャの互いに対向する摺動面どうしの摩擦抵抗を減少させることができ、その分誤動作の発生を少なくできる。 また、弁体とプランジャとの摺動面は充分な耐久性を有することとなり、これにより電磁弁の長寿命化が図れる。
また、本発明の電磁弁では、前記プランジャは、外周面をパックレスによって前記ソレノイドコイルと同軸上となるように支持され、前記プランジャと前記パックレスの互いに対向する摺動面のうち少なくとも一方の摺動面に、PVD法またはCVD法により素材よりも低い摩擦係数を有しかつ耐摩耗性に優れるコーティング膜が形成されていることが好ましい。
この場合、プランジャとパックレスの互いに対向する摺動面どうしの摩擦抵抗を減少させることができ、その分誤動作の発生を少なくできる。また、プランジャとパックレスとの摺動面は充分な耐久性を有することとなり、これにより電磁弁の長寿命化が図れる。
この場合、プランジャとパックレスの互いに対向する摺動面どうしの摩擦抵抗を減少させることができ、その分誤動作の発生を少なくできる。また、プランジャとパックレスとの摺動面は充分な耐久性を有することとなり、これにより電磁弁の長寿命化が図れる。
また、本発明の電磁弁では、前記プランジャに軸線に沿って中央孔が形成され、該中央孔には該プランジャを閉弁方向へ付勢するスプリングの一端を受けるスプリング座を有するブッシュピンが嵌挿され、前記プランジャとブッシュピンの互いに対向して摺動する少なくとも一方の面に、PVD法またはCVD法により素材よりも低い摩擦係数を有しかつ耐摩耗性に優れるコーティング膜が形成されていることが好ましい。
この場合、プランジャとブッシュピンの互いに対向して摺動する摺動面どうしの摩擦抵抗を減少させることができ、その分誤動作の発生を少なくできる。また、プランジャとブッシュピンとの摺動面は充分な耐久性を有することとなり、これにより電磁弁の長寿命化が図れる。
この場合、プランジャとブッシュピンの互いに対向して摺動する摺動面どうしの摩擦抵抗を減少させることができ、その分誤動作の発生を少なくできる。また、プランジャとブッシュピンとの摺動面は充分な耐久性を有することとなり、これにより電磁弁の長寿命化が図れる。
また、本発明の電磁弁では、前記コーティング膜はダイヤモンドライクカーボンからなることが好ましい。
この場合、ダイヤモンドライクカーボンは、摩擦係数が0.1〜0.07程度と非常に低く優れた摺動性をもつため、誤動作の発生をより減少させることができる。また、ダイヤモンドライクカーボンは硬度が高く(HV1000〜2500)、優れた耐摩耗性を有するので、電磁弁に対しより一層の長寿命化を図ることができる。
この場合、ダイヤモンドライクカーボンは、摩擦係数が0.1〜0.07程度と非常に低く優れた摺動性をもつため、誤動作の発生をより減少させることができる。また、ダイヤモンドライクカーボンは硬度が高く(HV1000〜2500)、優れた耐摩耗性を有するので、電磁弁に対しより一層の長寿命化を図ることができる。
また、本発明の電磁弁では、前記互いに対向する摺動面の双方にそれぞれダイヤモンドライクカーボンからなるコーティング膜が形成されていることが好ましい。
この場合、摺動面の双方にダイヤモンドライクカーボンからなるコーティング膜を形成しているので、摺動性並びに耐摩耗性をより一層向上させることができる。
この場合、摺動面の双方にダイヤモンドライクカーボンからなるコーティング膜を形成しているので、摺動性並びに耐摩耗性をより一層向上させることができる。
本発明によれば、弁箱と弁体との摺動面どうしの摩擦抵抗を減少させることができ、これにより、誤動作の発生を少なくできる。また、弁箱と弁体との摺動面が充分な耐久性をもつこととなり、長寿命化を図ることができる。また、構成部品の表面に肉盛溶接によって膜を形成する場合に比べて、製作が簡単になる。
本発明に係る電磁弁の実施形態について説明する。
図1は本発明の実施形態の電磁弁を示す断面図である。この図において符号1は弁箱を示す。弁箱1は、下部に配置される弁箱基体10と、この弁箱基体10の上側にボルト止めされる弁体押さえ11と、弁体押さえ11の上側に取り付けられるコイル支持部材12を有する。
図1は本発明の実施形態の電磁弁を示す断面図である。この図において符号1は弁箱を示す。弁箱1は、下部に配置される弁箱基体10と、この弁箱基体10の上側にボルト止めされる弁体押さえ11と、弁体押さえ11の上側に取り付けられるコイル支持部材12を有する。
弁箱基体10には一方の側部に形成された流入口13aから他方の側部に形成された流出口13cへ達する流路13が形成されている。流路13は、流入口13aから延びる一次側流路13bと、流出口13cから延びる二次側流路13dとからなっている。一次側流路13bと二次側流路13dとの間には弁座14が設けられている。弁座14は弁箱基体10の上部中央に形成された凹部10aの底面に形成されている。凹部10aには弁体2がその下面を弁座14に対向するように上下動可能に嵌挿されている。弁体2が弁座14から離間したときに、一次側流路13bと二次側流路13dとが連通され、弁体2が弁座14に着座したときに、一次側流路13bと二次側流路13dとの連通が断たれるようになっている。つまり、弁体2は、上下動することによって、流路13を連通または遮断する。
弁体2は、その上方に配置されたプランジャ3によって上下動操作される。プランジャ3の先端(下端)には大径部31が形成され、この大径部31は、弁体2に形成された凹部21に上下動可能に嵌挿されている。凹部21の上部には抜け止めリング22が嵌合され、この抜け止めリング22によって、プランジャの大径部31は凹部21からの抜けを防止されている。ブランジャ3と弁体2との係合部、具体的には、大径部31の下面31aと凹部21の内周面21aとの間にはパイロット室41が画成されている。パイロット室41は、弁体2に形成されたバイパス通路23を介して一次側流路13bと常に連通されている。また、パイロット室41は、弁体2に形成された通路24を介して二次側流路13dと連通可能とされていて、通路24は、プランジャ3の大径部の下部に形成された閉塞部(パイロット弁)32によって開閉される。また、パイロット室41は大径部31に形成された貫通孔31bを介して、弁箱10、弁体2、弁体押さえ11、及びプランジャ3により区画される隔室42に連通されている。
コイル支持部材12の上側にはソレノイドコイル5が配設されている。ソレノイドコイル5の中央には円筒状のパックレス61が設けられ、パックレス6によってプランジャ3が上下動可能かつソレノイドコイル5と同軸上となるように支持されている。パックレス6の上部には栓部材7が配設されている。
プランジャ3の上部には中央穴33が軸線に沿って形成されている。中央孔33には、プランジャ3を下方へ付勢するスプリング8と、このスプリング8の上端を受けるスプリング座91を有するブッシュピン9が嵌挿されている。ブッシュピン9の上部は中央穴33から突出しており、この突出する先端は前記栓部材7の下面に当接している。
図1はソレノイドコイルに通電していない状態を示している。このとき、スプリング8の付勢力によってプランジャ3は下方へ付勢され、このプランジャ3の下端の閉塞部32によって弁体2の通路24が閉塞されている。また、プランジャ3により弁体2が下方へ押圧されて弁座14に着座している。この状態において、プランジャの大径部31の上端と抜け止めリング22との間にはクリアランスC1が形成され、弁体2の上面と弁体押さえ11の下面との間にはクリアランスC2が形成されている。
上記電磁弁において、同電磁弁が正規の動作を行う際に、部品同士が摺動する摺動部分は4箇所ある。すなわち、弁箱を構成する弁箱基体10の凹部10aの内周面10aaと弁体2の外周面2a、弁体2の凹部21の内周面21aとプランジャの大径部31の外周面31c、パックレス6の内周面6aとプランジャ3の外周面3a、並びに、プランジャの中央穴33の内周面33aとブッシュピン9の外周面9aが、それぞれ互いに対向して摺動する摺動面になっている。これら摺動面の双方には、ダイヤモンドライクカーボンからなるコーティング膜が形成されている。
ダイヤモンドライクカーボンからなるコーティング膜は、PVD法またはCVD法によって形成される。ダイヤモンドライクカーボンは、ダイヤモンドとグラファイトの中間的な結晶構造をもつ。つまり、炭素を主成分としながらも若干の水素を含み、ダイヤモンド結合とグラファイト結合の双方の結合が混在するアモルファス構造となっている。また、結晶粒界をもたないため、窒化チタンなどの他結晶構造の薄膜と比べて非常に平滑な表面になっている。この結果、特徴としては、高硬度(HV1000〜3000)、低摩擦係数(0.07〜0.1)、耐摩耗性、電気絶縁性、耐薬品性、耐熱性(400℃)を有する。また、コーティング膜の膜厚は、例えば0.5〜5μm程度に設定される。
上記電磁弁の作用について説明する。
図1に示す状態からソレノイドコイル5が通電されて励磁されると、プランジャ3が吸引されて抜け止めリング22に当接するまで、つまりクリアランスC1の分だけ上昇する。このようにプランジャ3が上昇するとき、パックレス6の内周面6aとプランジャ3の外周面3a、プランジャの中央穴33の内周面33aとブッシュピン9の外周面9a、並びに、弁体2の凹部21の内周面21aとプランジャの大径部31の外周面31cのそれぞれの対向する摺動面どうしが擦れ合う。
図1に示す状態からソレノイドコイル5が通電されて励磁されると、プランジャ3が吸引されて抜け止めリング22に当接するまで、つまりクリアランスC1の分だけ上昇する。このようにプランジャ3が上昇するとき、パックレス6の内周面6aとプランジャ3の外周面3a、プランジャの中央穴33の内周面33aとブッシュピン9の外周面9a、並びに、弁体2の凹部21の内周面21aとプランジャの大径部31の外周面31cのそれぞれの対向する摺動面どうしが擦れ合う。
そして、プランジャ3の上昇に伴い、閉塞部32による通路24の閉塞が解かれる。これにより、パイロット室41と二次側流路13dとが連通し、パイロット室41内の流体が二次側流路13dに流れる。このため、パイロット室41及びパイロット室41に連通する隔室42の圧力降下が生じる。これに伴い、ソレノイドコイル5によるプランジャ3を介する弁体2への上方への吸引力が、弁体2に働く流体による下方へ押圧力並びにスプリング8による下方への付勢力の合計した力よりも大になり、このため、弁体2はプランジャ3と共に上方へ移動して弁座14から離間し、弁体押さえ11に当接する。
また、プランジャ3及び弁体2が一体になって上昇するとき、パックレス6の内周面6aとプランジャ3の外周面3a、プランジャの中央穴33の内周面33aとブッシュピン9の外周面9a、並びに弁箱を構成する弁箱基体10の凹部10aの内周面10aaと弁体2の外周面2aのそれぞれの対向する摺動面が擦れ合う。
そして、弁体2の上昇に伴い、電磁弁が開状態になって一次側流路13bと二次側流路13dとが連通する。
そして、弁体2の上昇に伴い、電磁弁が開状態になって一次側流路13bと二次側流路13dとが連通する。
一方、開弁状態において、ソレノイドコイル5への通電が断たれると、プランジャ3は自重並びにスプリング8の付勢力によって下方へ移動し、まず、閉塞部32が通路24を閉塞し、パイロット室41並びにそれに連通する隔室42が一次側流路13bと同圧となる。このときのパイロット室41及び隔室42の圧力と二次側流路13dとの差圧、並びにスプリング8の付勢力によって、弁体2が下方へ移動して弁座14に着座する。つまり、閉弁状態になる。
上述した閉弁動作及び開弁動作の際に、弁箱を構成する弁箱基体10の凹部10aの内周面10aaと弁体2の外周面2a、弁体2の凹部21の内周面21aとプランジャの大径部31の外周面31c、パックレス6の内周面6aとプランジャ3の外周面3a、並びに、プランジャの中央穴33の内周面33aとブッシュピン9の外周面9aのそれぞれの対向する摺動面どうしが擦れ合うこととなるが、これら摺動面にはダイヤモンドライクカーボンからなるコーティング膜が形成されており、ダイヤモンドライクカーボンからなるコーティング膜は、高硬度、低摩擦係数、耐摩耗性、電気絶縁性、耐薬品性を有するため、それら摺動面どうしの摩擦抵抗は減少し、その分電磁弁の誤動作の発生が少なくなる。また、前記摺動面は充分な耐久性を有することとなり、これにより電磁弁の長寿命化を図れる。
また、摺動面に対し肉盛溶接加工する場合に比べて、PVD法またはCVD法により形成されるダイヤモンドライクカーボンからなるコーティング膜は、一度で多数の部品の表面に形成することができ、しかも比較的薄く仕上がり後工程の機械加工が不要になることから、製作が容易になる利点もある。
また、摺動面に対し肉盛溶接加工する場合に比べて、PVD法またはCVD法により形成されるダイヤモンドライクカーボンからなるコーティング膜は、一度で多数の部品の表面に形成することができ、しかも比較的薄く仕上がり後工程の機械加工が不要になることから、製作が容易になる利点もある。
上記構成の電磁弁について、図2に示すような試験装置を用いて耐久試験を行った。試験装置について簡単に説明すると、エアータンク100からは複数の接続管101が延びており、これら接続管101に上記構成の電磁弁Baと、比較のため摺動面にコーティングが形成されていない従前の電磁弁Bbとを取り付けた。
一次側流路13bの圧力は、閉弁動作への影響をできるだけ少なくするため、0.01MPaという小さい圧力に設定した。使用流体としては空気を用いた。また、図3に示すように、電磁弁の二次側流路13dに接続される配管に圧力スイッチ102を設置し、電磁弁の開閉動作が確実に行われたか否かを調べた。圧力スイッチ102による検出結果は、カウンタ103によってカウントされるようにした。なお、図3において符号104はエアー排出量調整用の弁を示す。
電磁弁Ba(Bb)に対し、図4に示すように、開動作(ソレノイドコイル通電)0.5秒、閉動作(ソレノイドコイル非通電)1.5秒の1サイクル2秒間間隔の開閉動作を連続して行わせ、その際の、二次側流路13dの圧力変化の回数をカウンタ103によりカウントした。ソレノイドコイルへの励磁回数は電磁弁に電気的に接続される制御部105に内蔵されたカウンタによってカウントされる。制御部105内のカウンタによってカウントされる数(ソレノイドコイルへの励磁回数)とカウンタ103によるカウント数(電磁弁の開閉動作の回数)が一致する場合には、電磁弁が正常に動作していると判定でき、制御部105のカウンタによってカウントされる数よりもカウンタ103によるカウント数が減っている場合には、その減った数だけ電磁弁が正常に動作していないと判定できる。
電磁弁に対し開閉動作を連続して200万回行わせた。摺動面にコーティングが形成されていない従前の電磁弁Bbは、途中動作不良が生じ、動作回数96万回の時点で、ソレノイドコイルへの非通電状態においても閉弁されず流体が二次側流路へ流れ続ける現象が2回発生していることがわかった。これに対し、本実施形態の電磁弁では200万回すべてにおいて動作異常が発生せず、正常に動作していた。つまり、本実施形態の電磁弁の健全性が確認された。
以上、本発明の各実施形態について図面を参照して詳述したが、本発明は、この実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、前記した実施形態では、電磁弁の構成部品の摺動面に形成するコーティング膜の例としてダイヤモンドライクカーボンを付着した例を挙げたが、これに限られることなく、PVD法またはCVD法により形成される他の材料のコーティング膜を用いてもよい。つまり、構成部品の素材よりも低い摩擦係数を有しかつ耐摩耗性に優れる材料からなるコーティング膜、例えば、TiN、TiCN、TiAlN、CrN、BN等の材料からなるコーティング膜を用いることも可能である。
例えば、前記した実施形態では、電磁弁の構成部品の摺動面に形成するコーティング膜の例としてダイヤモンドライクカーボンを付着した例を挙げたが、これに限られることなく、PVD法またはCVD法により形成される他の材料のコーティング膜を用いてもよい。つまり、構成部品の素材よりも低い摩擦係数を有しかつ耐摩耗性に優れる材料からなるコーティング膜、例えば、TiN、TiCN、TiAlN、CrN、BN等の材料からなるコーティング膜を用いることも可能である。
また、上記実施形態では、弁箱1を構成する弁箱基体10の凹部10aの内周面10aaと弁体2の外周面2a、弁体2の凹部21の内周面21aとプランジャの大径部31の外周面31c、パックレス6の内周面6aとプランジャ3の外周面3a、並びに、プランジャの中央穴33の内周面33aとブッシュピン9の外周面9aの4箇所の摺動部分の摺動面の双方それぞれにコーティング膜を形成したが、これに限られることなく、一方の摺動面にのみコーティング膜を形成してもよい。
また、上記実施形態では、上記の4箇所の摺動部分の摺動面全てにコーティング膜を形成したが、これに限られることなく、最も精度が要求される、弁箱1を構成する弁箱基体10の凹部10aの内周面10aaと弁体2の外周面2aの一方の摺動面にのみ、あるいはそれら双方の摺動面にのみコーティング膜を形成してもよい。
また、上記実施形態では、パイロット型の電磁弁を例に挙げて説明したが、これに限られることなく、プランジャ3と弁体2が一体となっており、プランジャ3の吸引力によって、弁体2を直接移動させる直動型電磁弁にも本発明は適用可能である。
また、上記実施形態では、上記の4箇所の摺動部分の摺動面全てにコーティング膜を形成したが、これに限られることなく、最も精度が要求される、弁箱1を構成する弁箱基体10の凹部10aの内周面10aaと弁体2の外周面2aの一方の摺動面にのみ、あるいはそれら双方の摺動面にのみコーティング膜を形成してもよい。
また、上記実施形態では、パイロット型の電磁弁を例に挙げて説明したが、これに限られることなく、プランジャ3と弁体2が一体となっており、プランジャ3の吸引力によって、弁体2を直接移動させる直動型電磁弁にも本発明は適用可能である。
1弁箱、2弁体、2a外周面(摺動面)、21a内周面(摺動面)、3プランジャ、3a外周面(摺動面)、5ソレノイドコイル、6パックレス、6a内周面(摺動面)、
8スプリング、9ブッシュピン、9a外周面(摺動面)10弁箱基体、10a凹部、10aa内周面(摺動面)、11弁体押さえ、13流路、13a流入口、13b一次側流路、13c流出口、13d二次側流路、14弁座、21凹部、23バイパス通路、24通路(開口)、31大径部、31c外周面(摺動面)、32閉塞部(パイロット弁)、33中央穴、33a内周面(摺動面)、41パイロット室、91スプリング座。
8スプリング、9ブッシュピン、9a外周面(摺動面)10弁箱基体、10a凹部、10aa内周面(摺動面)、11弁体押さえ、13流路、13a流入口、13b一次側流路、13c流出口、13d二次側流路、14弁座、21凹部、23バイパス通路、24通路(開口)、31大径部、31c外周面(摺動面)、32閉塞部(パイロット弁)、33中央穴、33a内周面(摺動面)、41パイロット室、91スプリング座。
Claims (6)
- 内部に流路が形成された弁箱と、
該弁箱内に設けられて前記流路を連通または遮断する弁体と、
前記弁箱内に往復動可能に配置されて前記弁体を開閉させる磁性体材料からなるプランジャと、
前記弁箱に配置されて通電された際に前記プランジャを磁気吸引させて移動させるソレノイドコイルとを備える電磁弁であって、
互いに対向する摺動面である前記弁箱の内周面と前記弁体の外周面のうち少なくとも一方の摺動面に、PVD法またはCVD法により素材よりも低い摩擦係数を有しかつ耐摩耗性に優れるコーティング膜が形成されていることを特徴とする電磁弁。 - 前記弁体と前記プランジャとの係合部分には前記流路の流出側と連通される開口が前記プランジャの先端部に設けられたパイロット弁によって開閉されるとともに前記流路の流入側と連通されるパイロット室が形成され、
前記弁体が開動作する際に、まず前記パイロット弁が開いて前記パイロット室が前記流路の流出側に連通され、続いて弁体が開いて前記流路の流入側と流出側が連通されるパイロット型の電磁弁であって、
前記弁体と前記プランジャの互いに対向する摺動面のうち少なくとも一方の摺動面に、PVD法またはCVD法により素材よりも低い摩擦係数を有しかつ耐摩耗性に優れるコーティング膜が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電磁弁。 - 前記プランジャは、外周面をパックレスによって前記ソレノイドコイルと同軸上となるように支持され、
前記プランジャと前記パックレスの互いに対向する摺動面のうち少なくとも一方の摺動面に、PVD法またはCVD法により素材よりも低い摩擦係数を有しかつ耐摩耗性に優れるコーティング膜が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電磁弁。 - 前記プランジャには軸線に沿って中央穴が形成され、該中央孔には該プランジャを閉弁方向へ付勢するスプリングの一端を受けるスプリング座を有するブッシュピンが嵌挿され、
前記プランジャとブッシュピンの互いに対向する摺動面のうち少なくとも一方の摺動面に、PVD法またはCVD法により素材よりも低い摩擦係数を有しかつ耐摩耗性に優れるコーティング膜が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電磁弁。 - 前記コーティング膜は、ダイヤモンドライクカーボンからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電磁弁。
- 前記互いに対向する摺動面の双方にそれぞれダイヤモンドライクカーボンからなるコーティング膜が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電磁弁。
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