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JP2011174206A - 被覆弾性糸およびその製造方法 - Google Patents

被覆弾性糸およびその製造方法 Download PDF

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JP2011174206A
JP2011174206A JP2010039889A JP2010039889A JP2011174206A JP 2011174206 A JP2011174206 A JP 2011174206A JP 2010039889 A JP2010039889 A JP 2010039889A JP 2010039889 A JP2010039889 A JP 2010039889A JP 2011174206 A JP2011174206 A JP 2011174206A
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Tamotsu Otsuka
保 大塚
Hironori Uranaka
宏典 浦中
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Abstract

【課題】加熱による収縮が少なく形態安定性に優れ、かつ芯糸と鞘糸のスリップが少ない被覆弾性糸であって、高透明でかつ着用前後での寸法安定性に優れたストッキングを得ることができる被覆弾性糸およびその製造方法を提供する。
【解決手段】沸騰水収縮率が15%以下である熱延伸された被覆弾性糸Yであり、芯糸(イ)が下式(I)で示されるウレタン結合を有するポリウレタン弾性繊維、鞘糸(ロ)が伸度30%未満であるポリアミド繊維からなる被覆弾性糸Y。
Figure 2011174206

【選択図】図1

Description

本発明は、形態安定性に優れ、かつ高透明なストッキングを得ることができる被覆弾性糸およびその製造方法に関する。
一般に、ストッキング類は女性からの大きなニーズである素肌感を達成すべく透明性の高いものが好まれ、従来より、透明性に優れたストッキングを得る方法、工夫が多々提案されてきた。例えば、透明性に優れたストッキングとして、少なくともレッグ部が、芯糸として10〜30デシテックスのゴム弾性繊維を配し、カバリング用糸として単糸デシテックスが0.5〜3.0、トータルデシテックスが5〜20デシテックスのポリアミド系フィラメントヤーンを少なくとも1本配して形成されたカバード糸と、単糸デシテックスが1.0〜7.0デシテックス、トータルデシテックスが5〜22デシテックスのポリアミド系フィラメントヤーン、或は、その加工糸とが1コース毎に交互に交編されているストッキングが開示されている(特許文献1参照)。また、ストッキングの透明性を向上させる方法として、糸条繊度5〜15デシテックス、フィラメント数2〜7フィラメントで、偏平度が2.0〜6.0の偏平な繊維横断面形状を有する長繊維から構成されるカバリング用糸を巻付けてなる複合弾性糸を用いたストッキングが提案されており、丸断面に比べて透明性の向上が認められる(特許文献2参照)。
しかし、さらなる透明性への要望は強く、これを十分に満たすものは提案されていない。
また、高透明を謳うような薄手のストッキング類では、着脱時に生地が収縮しストッキングの美観を損なう欠点が生じる。そのため、たとえば、特定範囲内の動摩擦係数および解舒張力を有するポリアミドフラットヤーンのパッケージから該ポリアミドフラットヤーンを解舒、弾性糸と交編してストッキング編地を製造することで、ストッキング交編編地の均一性を向上する手法の提案もなされている(特許文献3参照)。しかしながら、かかる提案は、着用前後での寸法変化等を直接的に解決することができるものではない
さらに、弾性糸のまわりに、高伸度のポリアミドPOY(高配向未延伸糸)を巻き付けた後1.1〜1.5倍で延伸する被覆弾性糸の製造方法が提案されている(特許文献4参照)。しかしながら、ポリアミドPOYをポリウレタン弾性糸にカバリングした後、これを延伸すると、ヨリ緩みが発生しやすく、延伸されたポリアミド繊維がポリウレタン弾性糸から浮いた形態となり易く、編成時に糸切れを誘発したり、ヨリずれを引き起こし易く、プレーンな編地を得ることが難しい。さらに、ストッキングも嵩高となり、結局所望する高透明な製品を得ることは難しい。
特開昭61−89301号公報 特開平7−157902号公報 特開平8−081129号公報 特開平5−272019号公報
本発明の目的は、透明性が高く、また、着用前後での形態安定性が高いストッキングを提供可能な被覆弾性糸およびその製造方法を提供することにある。
本発明の被覆弾性糸は、前記課題を解決するため、以下のいずれかの構成を有する。
(1)沸騰水収縮率が15%以下である熱延伸された被覆弾性糸であり、芯糸が下式(I)で示されるポリウレタン弾性繊維、鞘糸が伸度30%未満であるポリアミド繊維からなることを特徴とする被覆弾性糸。
Figure 2011174206
(2)糸表面から0.35mm以上突出したヨリ弛み数が5個/m未満であることを特徴とする、前記(1)記載の被覆弾性糸。
(3)芯糸の繊度が3〜44デシテックスである、前記(1)または(2)記載の被覆弾性糸。
(4)芯糸である下式(I)で示されるポリウレタン弾性繊維に、鞘糸として伸度30%未満のポリアミド繊維を被覆し、該芯糸が2〜5倍に延伸された状態で、140℃〜185℃の乾熱処理を施すことを特徴とする被覆弾性糸の製造方法。
Figure 2011174206
本発明によれば、加熱による収縮が少なく形態安定性に優れ、かつ芯糸と鞘糸のスリップが少ない被覆弾性糸であるので、高透明でかつ着用前後での寸法安定性に優れたストッキングを得ることができる。
本発明の被覆弾性糸の一実施形態を示す模式図である。 本発明の被覆弾性糸の製造工程の一例を示す概略模式図である。 実施例・比較例で作成したパンティストッキングを示す模式図である。
図1は、本発明の被覆弾性糸の一実施形態をモデル的に示したものである。本発明の被覆弾性糸Yは、ポリウレタン弾性繊維(イ)の外周に、鞘糸(ロ)が被覆された構造を有している。
本発明の被覆弾性糸は、熱延伸により沸騰水収縮率が15%以下となった被覆弾性糸である。沸騰水収縮率が15%より大きければ、ストッキングを編成後、プレセット、染色など熱が付与される工程において、ストッキングを構成する被覆弾性糸が収縮し、ストッキングが厚手になり、その透明性は大きく減じることとなる。さらには、染色で収縮したものを仕上げの金型セットで大きく引き延ばし熱セットすると、製品として、一旦は大きな寸法でできあがったものでも、消費者が着脱した際、ストッキングは収縮してしまい、本来の美観を損ねてしまう。熱延伸により沸騰水収縮率を15%以下とすることで、透明性とともに当該被覆弾性糸で編成されたストッキング等の着用前後での形態安定性を高く維持することができる。
本発明の被覆弾性糸は、糸表面から0.35mm以上突出したヨリ弛み数が5個/m未満であることが好ましい。すなわち、鞘糸(ロ)はポリウレタン弾性繊維(イ)の外周をほとんど隙間なく、ヨリ弛み(ハ)の少ない状態で被覆されていることが好ましい。このような構成は、ストッキングを形成した際、繊維表面で空気と鞘糸のマルチフィラメントを構成しているポリマーとの屈折率差により生じる反射光を抑え、透明性を高めるのに効果がある。なお、ヨリ弛み数が5個/m以上であれば、被覆弾性糸自体がかさ高になる故、透明性が減じ、ストッキングの最大の要求特性である素肌感を再現することにも影響がでる。
糸表面から0.35mm以上突出したヨリ弛みの個数は、走行している被覆弾性糸に側面から、かつ、糸表面から0.35mmの位置に光を投光し、ヨリ弛みが、光を横切った回数をカウントする。測定法をより詳細に説明する。まず、光が走行糸の一方の側面にあたるようにセットする。その状態から、走行糸の他方の側面に向かって0.01mmずつ光の位置をずらしながら、該光を交差する糸の数をカウントし、カウント数が極大値を示す光の位置を糸表面とする。この糸表面からさらに同方向に光を0.35mmずらし、該光を越えて突出するヨリ弛み数を測定する。
次に、本発明の被覆弾性糸の芯糸であるポリウレタン弾性繊維について説明する。前記ポリウレタン弾性繊維は下式(I)で示されるポリウレタンを含む弾性繊維である。また、下式(I)で示されるポリウレタンを含む弾性繊維であって、その小角X線散乱像において、眉毛状4点散乱像を示し、子午線方向の長周期が7〜16nm、かつ、赤道線方向の長周期が13〜30nmであるポリウレタン繊維であることが好ましい。
Figure 2011174206
上記のポリウレタン繊維は、例えば、以下の方法により製造できる。すなわち、溶媒にポリウレタンが溶解してなるポリウレタン溶液を乾式紡糸することによりポリウレタン繊維を製造するにあたり、下式(I)で示される構造式を有するとともに、下式(II)で表される付加比率1.7〜3、ハード比率(n2 /n1 )0.65〜3、数平均分子量3万〜20万および軟化点130〜250℃のポリウレタンを使用するものである。
Figure 2011174206
Figure 2011174206
上述のポリウレタンは、ジオール伸長ポリウレタンであり、ジオール伸長ポリウレタンは、繊維を適度の熱セット性を有するものにすることができる。なお、本発明の効果を妨げない範囲で、ポリウレタン分子中に、ウレア結合が一部存在していても何ら構わない。
式(I)中のジオール残基R2となってポリウレタン分子中に配置され、ウレタン結合を与える原料のジオール鎖伸長剤としては、特に限定されるものではなく、従来公知のものが広く適用できる。なお、本発明の効果を妨げない範囲で、鎖伸長剤として、グリセリン等のように3個以上の水酸基を持つ化合物が併用されてもよいことは言うまでもない。
ジオール鎖伸長剤の中で、より優れたポリウレタン繊維を得るために好ましいものとしては、特に限定されるわけではないが、エチレングリコール(以下、「EG」と略称する)、1,3−プロパンジオール(以下、「PDO」と略称する)、1,4−ブタンジオール(以下、「BDO」と略称する)、ネオペンチルグリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン(以下、「BHEB」と略称する)、ビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレート、パラキシリレンジオール等を挙げることができる。これらのジオール鎖伸長剤の中でも好ましいものとしては、EG、PDO、BDOおよびBHEBが挙げられる。特に、EGを伸長剤として用いたポリウレタン繊維は、強度が特に高く、耐熱性も高く、しかも、適度の熱セット性と弾性回復性を有し、さらには、耐光性も高いので、特に好ましい。なお、ジオール鎖伸長剤は、1種のみのジオールからなるものに限定されるわけではなく、複数種のジオールからなるものであってもよい。
式(I)中のジイソシアネート残基R1およびRとなってポリウレタン分子中に配置され、ウレタン結合を与える原料のジイソシアネートとしては、特に限定はされず、従来公知のものが広く適用できる。なお、本発明の効果を妨げない範囲で、3個以上のイソシアネート基を持つ化合物を併用してもよい。
ジイソシアネートの中で、より優れたポリウレタン繊維を得るために好ましいものとしては、特に限定されるわけではないが、ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、「MDI」と略称する)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(以下、「HMDI」と略称する)、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等を挙げることができる。これらのジイソシアネートの中でも特に好ましいものは、MDIおよびHMDIである。MDIを用いたポリウレタン繊維は、強度がより高く、耐熱性も高く、さらに耐溶剤性等も良好なものとなるからである。また、HMDIを用いたポリウレタン繊維は、ポリオールおよび鎖伸長剤を適切に選定すると、耐光性が高くなる等の大きな利点があるからである。さらには、これら2者の中でもMDIがより好ましい。ジイソシアネートは、1種のみの使用に限定されず、複数種を併用してもよい。
式(I)中のポリオール残基Pとなってポリウレタン分子中に配置され、ウレタン結合を与える原料ポリオールは、特に限定はされないが、その代表的なものとしては、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(以下、「PTMG」と略称する)およびその共重合体、ポリプロピレングリコールおよびその共重合体を初めとするエーテル系ポリオール、さらには、ポリブチレンアジペートグリコールおよびその共重合体、ネオペンチルアジペートグリコールおよびその共重合体、特開平4−41714号公報の第3頁第1欄第13行〜同頁第4欄第4行等に開示されているポリエステル系ポリオール、ポリエステル系ポリオールの1種であるポリカーボネート系ポリオール、ポリシロキサン系ポリオール等の公知のポリオール等を挙げることができる。これらのポリオールの中で、エーテル系ポリオールとして好ましいものとしては、PTMGおよびその共重合体等が挙げられる。PTMGの共重合体の代表的なものとしては、エチレンオキシドをPTMGの末端に付加したもの、テトラヒドロフラン(以下、「THF」と称する)と3−メチルTHFとの共重合PTMG等が挙げられる。ポリオールとしてPTMGおよび/またはその共重合体を用いたポリウレタン繊維は、低温特性に優れ、耐カビ性がより高く、弾性回復性により優れ、しかも耐加水分解性が高い。
ポリオールの分子量としては、繊維の強度および弾性回復性等を考慮して、800〜3500のものが好ましい。特に、側鎖のないポリオールについては、好ましい分子量は800〜2500である。これらの範囲の分子量のものを使用すると、ポリウレタン繊維の低温特性が特に優れたものとなるからである。また、特に好ましいのは、ポリオールが単一成分ではなく数平均分子量800〜2500と数平均分子量1600〜4000のものとの複数成分からなり、かつポリオール全体としての数平均分子量が1200〜2600のものである。
ポリウレタンを構成するポリオール残基Pは、ポリウレタンの1分子内において、1種類のみの使用に限定されるものではなく、複数種のポリオール残基、たとえば、エーテル系ポリオール残基とエステル系ポリオール残基が併用されていてもよい。
また、上記付加比率は、繊維の融点の低下および粘着性の増加を防止する観点から1.7以上とするのが好ましい。一方、繊維の伸度が低下するのを防ぐ観点から3以下とするのが好ましい。特に、耐熱性が高く、適度のセット性の繊維を得る観点から、付加比率は1.8〜2であることが好ましい。
ポリウレタンのハード比率は、0.65〜3であることが好ましい。ここで、ハード比率とは、前記式(I)中の繰り返し単位数n2とn1との比(n2/n1)を指す。ハード比率が上記の範囲であると、ポリウレタンの強度がより高くなり、また、耐熱性も高くなるからである。このような効果をより高くするために特に好ましいハード比率は0.9〜1.8である。
ポリウレタンの数平均分子量は、3万〜20万であることが好ましい。数平均分子量がこの範囲であると、強度はもとより、実用においても耐久性が著しく向上するからである。この向上効果をより高くするために特に好ましいのは6万〜12万である。なお、ポリウレタンの数平均分子量は、たとえば、ゲル浸透クロマトグラフィー法(以下、「GPC法」と略す)により標準ポリスチレンで検量線を作成して測定することができる。
前記式(I)中、繰り返し単位数n1およびn2は、両方とも1〜10の範囲とする。
n1およびn2の少なくとも一方が1未満であると、ポリウレタンの強度が不足したり、軟化点が低すぎたり、伸度が不足したりするので、所望の繊維が得られない。n1が10を越えると、ポリウレタンの軟化点が低くなりすぎるので、所望の繊維が得られない。また、n2が10を超えると、ポリウレタンの軟化点が高くなりすぎ、また、伸度が低くなるので、所望の繊維が得られない。ポリオール残基の分子量にもよるが、好ましいn1の範囲は1〜5である。また、好ましいn2の範囲は1〜5である。このような値であると、特に良好なポリウレタン繊維になるからである。
なお、ポリウレタンは高分子であるので、n1およびn2の両方とも平均値である。したがって、整数とは限らない。具体的には、n1およびn2はNMR法、加水分解法で求めることができる。
ポリウレタンの軟化点は、130〜250℃であることが好ましい。軟化点が130℃以上であると、ポリアミド繊維との併用が容易になるからである。また、軟化点が250℃以下であると、熱によって形態を容易に固定できる利点があるからである。これらの観点から特に好ましい軟化点は150〜230℃である。なお、ポリウレタン繊維の軟化点は、たとえば、サーモメカニカルアナライザー(Thermomechanical analyzer) 法により測定することができる。
本発明において、芯糸となるポリウレタン弾性繊維の繊度は3〜44デシテックスであることが好ましい。3デシテックス未満であれば被覆弾性糸の耐久性として十分でなく、44デシテックスより大きければストッキングを形成したときその透明性を発現することが難しい。
本発明において、鞘糸としては伸度30%未満のポリアミド繊維が用いられる。特に高配向未延伸糸などで伸度が30%以上あるものであれば、その分子構造の配向が緩くなるため収縮が大きくなり易い。その結果、被覆弾性糸自体の収縮が大きくなってしまい、製品の透明性を減ずる結果となる。鞘糸の態様としては生糸もしくは仮ヨリ糸であっても良いが、ストッキングの透明性の観点から生糸の方が好ましい。
次に、本発明の被覆弾性糸の製造方法を図面を用いて説明する。
図2は本発明の被覆弾性糸の製造方法の一例を示す概略模式図である。本発明の被覆弾性糸の製造方法では、芯糸である前記のようなポリウレタン弾性繊維1に鞘糸として前記のようなポリアミド繊維2を被覆し、該芯糸が2〜5倍に延伸された状態で、ヒータ7により140℃〜185℃の乾熱処理を施す、すなわち、被覆弾性糸を特定条件で熱延伸を施す。
図2において、ポリウレタン弾性繊維1は、フィードローラ3と駆動ローラ4の間でプレドラフトされ、さらに駆動ローラ4と駆動ローラ5との間で、ドラフトされる。従って、ポリウレタン弾性繊維1のトータルドラフトは、フィードローラ3と駆動ローラ5の間のローラ表面速度の比で表されるが、本発明においてはこの値が2〜5倍の範囲になるように設定する。そして、フィードローラ3と駆動ローラ5の間で2〜5倍に延伸されたポリウレタン弾性繊維1は、Hボビン6に巻き付けられた伸度30%未満のポリアミド繊維2により被覆される。ポリアミド繊維2による被覆はシングルカバーであってもダブルカバーであっても良い。このように被覆弾性糸を形成した後、該被覆弾性糸には、ポリウレタン弾性糸が2〜5倍に延伸された状態を維持しながらヒータ8によって140℃〜185℃で乾熱処理を施す。乾熱処理の温度が140℃未満であると被覆弾性糸は十分にセットされずかさ高なものとなり好ましくない。一方、乾熱処理の温度が185℃より大きいと糸切れを発生し易く問題となる。熱処理を施された被覆弾性糸はワインダ9によりパッケージ10として巻き取られる。ここでは、カバリングの工程上で熱処理を施しているが、常法通りカバリングされ巻き取られた糸を別工程にて、延伸熱処理を施しても良い。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明がこれら実施例により限定されるものではない。
<沸騰水収縮率>
被覆弾性糸を30×10-3cN/デシテックス張力下で、周長1mの手回し検尺器にて10回巻のカセを作った。カセを手回し検尺器から取り出した後、該カセに30×10-3cN/デシテックスの張力をかけてかせ長を測定した(L0)。次に、荷重を外し、これを無荷重の状態で、98℃、30分間の熱水に浸漬した後、吸取紙で水を切り、20℃×湿度50%の環境下で12時間風乾する。その後、30×10-3cN/デシテックスの荷重を加え、その状態を保って2分後に試料の長さを測定した(L1)。
得られたL0、L1を用いて下記式にて沸騰水収縮率を算出した。
Figure 2011174206
なお、試験回数は10回とし、その平均値を求めた。
<伸度>
JIS−L−1013(1999)「化学繊維フィラメント糸試験方法」の「8.5.1標準時試験」に記載の試験方法で伸び率を求め、この測定を10回繰り返し、その平均値を求めた。
<ヨリ弛み数>
被覆弾性糸の糸表面から0.35mm以上突出したヨリ弛みの個数を光電型毛羽測定機(東レエンジニアリング株式会社製 hairness counter DT-104型)を用い、糸速度50m/min、走行張力0.88cN/dtexの条件で20分間測定し、1m当たりのヨリ弛みの合計個数を求めた。
<ストッキングの着用前後の寸法>
図3に示す形状のストッキングのレッグ長(M)、太もも切り替え部の巾(T)、およびつま先切り替え部の巾(B)について、着用する前の寸法(M、T、B)と、ストッキングを足型に10分間履かせて脱がした時の寸法(M、T、B)とを測定した。得られた各寸法を用いて、各部位の寸法変化率を下記のとおり算出した。
Figure 2011174206
<ストッキングの透明性>
ストッキング製品を20代から50代の女性モニター10名に見てもらい、透明性について官能評価を実施した。5点を満点として評価点数結果の平均点を示す。
[実施例1]
図2に示す被覆弾性糸の製造工程ならびに以下に示す糸構成、糸加工条件で、カバリング加工しながら乾熱処理を施し、シングルカバーの被覆弾性糸を得た。
[糸構成]
芯糸:ポリウレタン弾性糸“ライクラ(登録商標)”T−178C(東レ・オペロンテックス社製)
繊度20デシテックス
鞘糸:11デシテックス5フィラメントのポリアミド延伸糸
[カバリング機上での糸加工条件]
回転数 :20000rpm
ドラフト(ローラ3とローラ5の間のローラ表面速度の比):3.0
ヨリ数 :2000T/m
ヒータ8の温度:173℃
得られた被覆弾性糸の沸騰水収縮率および糸表面から0.35mm以上突出していたヨリ弛み数は表1に示す。
得られた被覆弾性糸を用いて永田精機(株)製のスーパー4編機(針数400本)で、Sヨリ糸とZヨリ糸を交互に編機の給糸口に供給し、レッグ部編地を被覆弾性糸のみで編成した。なお、つま先部は、パンティストッキングとして通常行われるように、補強のため仮撚加工糸(56デシテックス26フィラメント)により編成した。その後、該レッグ部編地を精練・染色(98℃×20min)、仕上げ及び型板セット(スチームセット、105℃×60sec)してパンティストッキング製品とした。
得られたパンティストッキングは非常に透明性が高く、着脱前後の寸法変化も小さいものであった。表1にストッキングの着脱前後の寸法を示す。
[実施例2]
以下の糸加工条件に変更した以外は実施例1と同様に、シングルカバーの被覆弾性糸を得て評価した。
[カバリング機上での糸加工条件]
回転数 :20000rpm
ドラフト:3.0
ヨリ数 :2000T/m
ヒータ温度:155℃
得られた被覆弾性糸の沸騰水収縮率および糸表面から0.35mm以上突出していたヨリ弛み数、ならびにパンティストッキングの評価結果を表1に示す。得られたパンティストッキングは実施例1には劣るが透明性が高く、着脱前後の寸法変化も小さいものであった。
[実施例3]
以下の糸構成に変更した以外は実施例1と同様に、シングルカバーの被覆弾性糸を得て評価した。
[糸構成]
芯糸:ポリウレタン弾性糸“ライクラ(登録商標)”T−178C(東レ・オペロンテックス社製)
繊度20デシテックス
鞘糸:11デシテックス2フィラメントのポリアミド延伸糸
得られた被覆弾性糸の沸騰水収縮率および糸表面から0.35mm以上突出していたヨリ弛み数、ならびにパンティストッキングの評価結果を表1に示す。得られたパンティストッキングは実施例1よりさらに透明性が高く、着脱前後の寸法変化も小さいものであった。
[実施例4]
以下の糸構成に変更した以外は実施例1と同様に、シングルカバーの被覆弾性糸を得て評価した。
[糸構成]
芯糸:ポリウレタン弾性糸“ライクラ(登録商標)”T−178C(東レ・オペロンテックス社製)
繊度20デシテックス
鞘糸:13デシテックス5フィラメントのポリアミド仮ヨリ糸
得られた被覆弾性糸の沸騰水収縮率および糸表面から0.35mm以上突出していたヨリ弛み数、ならびにパンティストッキングの評価結果を表1に示す。得られたパンティストッキングは実施例1〜3には劣るが透明性が高く、着脱前後の寸法変化も小さいものであった。表1にストッキングの着脱前後の寸法を示す。
[比較例1]
糸加工中、熱処理を施さないこと以外は実施例1と同様に、シングルカバーの被覆弾性糸を得て評価した。
得られた被覆弾性糸の沸騰水収縮率および糸表面から0.35mm以上突出していたヨリ弛み数、ならびにパンティストッキングの評価結果を表1に示す。得られたパンティストッキングはかさ高で透明性が低く、着脱前後の寸法変化も大きいものであった。
[比較例2]
以下の糸構成に変更した以外は実施例2と同様に、シングルカバーの被覆弾性糸を得て評価した。
[糸構成]
芯糸:ポリウレタン弾性糸“ライクラ(登録商標)”T−127C(東レ・オペロンテックス社製)
繊度22デシテックス
鞘糸:11デシテックス2フィラメントのポリアミド延伸糸
得られた被覆弾性糸の沸騰水収縮率および糸表面から0.35mm以上突出していたヨリ弛み数、ならびにパンティストッキングの評価結果を表1に示す。得られたパンティストッキングはかさ高で透明性が低く、着脱前後の寸法変化も大きいものであった。
[比較例3]
以下の糸加工条件に変更した以外は実施例1と同様に、シングルカバーの被覆弾性糸を得て評価した。
[カバリング機上での糸加工条件]
回転数 :20000rpm
ドラフト:3.0
ヨリ数 :2000T/m
ヒータ温度:130℃
得られた被覆弾性糸の沸騰水収縮率および糸表面から0.35mm以上突出していたヨリ弛み数、ならびにパンティストッキングの評価結果を表1に示す。得られたパンティストッキングはかさ高で透明性が低く、着脱前後の寸法変化も大きいものであった。
[比較例4]
以下の糸構成に変更した以外は実施例1と同様に、シングルカバーの被覆弾性糸を得て評価した。
[糸構成]
芯糸:ポリウレタン弾性糸“ライクラ(登録商標)”T−178C(東レ・オペロンテックス社製)
繊度20デシテックス
鞘糸:17デシテックス5フィラメントのポリアミド高配向未延伸糸
得られた被覆弾性糸の沸騰水収縮率および糸表面から0.35mm以上突出していたヨリ弛み数、ならびにパンティストッキングの評価結果を表1に示す。得られたパンティストッキングは透明性が低く、着脱前後の寸法変化も大きいものであった。
Figure 2011174206
Y 本発明の被覆弾性糸
(イ)ポリウレタン弾性繊維
(ロ)鞘糸
(ハ)ヨリ弛み
1 ポリウレタン弾性繊維
2 ポリアミド繊維
3 フィードローラ
4 駆動ローラ
5 駆動ローラ
6 スピンドル
7 Hボビン
8 ヒータ
9 ワインダ
10 パッケージ
着用前のレッグ長
着用前の太もも切り替え部の巾
着用前のつま先切り替え部の巾
脱がした時のレッグ長
脱がした時の太もも切り替え部の巾
脱がした時のつま先切り替え部の巾

Claims (4)

  1. 沸騰水収縮率が15%以下である熱延伸された被覆弾性糸であり、芯糸が下式(I)で示されるポリウレタン弾性繊維、鞘糸が伸度30%未満であるポリアミド繊維からなることを特徴とする被覆弾性糸。
    Figure 2011174206
  2. 糸表面から0.35mm以上突出したヨリ弛み数が5個/m未満である、請求項1記載の被覆弾性糸。
  3. 芯糸の繊度が3〜44デシテックスである、請求項1または2記載の被覆弾性糸。
  4. 芯糸である下式(I)で示されるポリウレタン弾性繊維に、鞘糸として伸度30%未満のポリアミド繊維を被覆し、該芯糸が2〜5倍に延伸された状態で、140℃〜185℃の乾熱処理を施すことを特徴とする被覆弾性糸の製造方法。
    Figure 2011174206
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