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JP2011168859A - 鍛造性に優れるオーステナイト系ステンレス快削鋼棒線 - Google Patents

鍛造性に優れるオーステナイト系ステンレス快削鋼棒線 Download PDF

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Abstract

【課題】 環境に悪影響を与える重金属(Pb、Bi、Se、Te)を使用しないで、介在物の制御により、鍛造性に優れたオーステナイト系ステンレス快削鋼を提供することで、これまで切削加工のみで行われてきた部品加工の歩留を鍛造加工との組み合わせにより向上させる。
【解決手段】質量%で、C≦0.150%、Si:0.1〜2.0%、Mn0.1〜3.0%、P≦0.05%、S:0.01%〜0.15%、Ni:6.0〜25.0%、Cr:14.0〜26.0%、N≦0.250%、Al:0.002〜0.010%、Ca:0.001〜0.010%、O:0.001%〜0.025%、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼で、かつ質量比で0.25≦Ca/Al≦2.50および0.10≦Ca/O≦0.30の条件を満たすことにより、低軟化点を有するCaO−SiO2−Al23系の酸化物と(Mn,Cr)Sの硫化物との複合介在物を形成することを特徴とする鍛造性に優れるオーステナイト系ステンレス快削鋼線材。
【選択図】図2

Description

本発明は、鍛造性と被削性に優れるオーステナイト系ステンレス鋼に関するものであり、例えば、これまで切削加工のみで製造している複雑な形状を有した精密部品の製造を、鍛造加工でニアネットシェイプ化を行い、仕上げ加工として切削加工を行うことにより、材料歩留よく加工することが可能なオーステナイト系ステンレス鋼に関するものである。
オーステナイト系ステンレス鋼は加工性、耐食性などに優れた性質を有することから、様々な分野において広く使用されている。ネジ、ボルトなどの各種機器部品は一般に鍛造によって成形加工して製造されることが多い。この鍛造による加工方法は能率、歩留が高い利点を有するが、精密な加工精度に劣る。一方、複雑な形状を有する精密部品では、すべて切削加工で製造されている。切削加工による方法では複雑な形状への加工が可能であり、非常に精密な寸法精度を満足することができる利点があるものの、太い線径の材料から加工されるため材料歩留が悪いという欠点がある。
従来、鍛造加工により製造される部品にはSUS304(18%Cr−8%Ni)やSUSXM7(17%Cr−9%Ni−3%Cu−低C、N系)が、切削加工により製造される部品にはSUS303(18%Cr−9%Ni−0.3%S)などが用いられてきた。
鍛造性に優れたSUS304やSUSXM7は被削性が悪く、被削性の優れたSUS303は鍛造性が悪いという相反する特徴を有している。従って、複雑な形状を有する部品では材料歩留が悪くても被削性の高い鋼を使用し、切削加工にて製造しているのが通常であった。
そこで、複雑な形状を有する部品を歩留・生産性よく製造するために、下記特許文献1、2に記載されているように、冷間加工性、被削性を向上させたオーステナイト系ステンレス鋼が提案され、また、下記特許文献3、4に記載されているように、脱酸による介在物の形態を変えることで被削性を改善させた鋼も提案されている。
特許文献1には加工性に優れたCu系のオーステナイト系ステンレス鋼に重金属のPbを添加し、かつCa添加により酸化物量をコントロールすることで被削性を付与させ、Pb添加による熱間加工性の低下をB添加により向上させることを特徴とした鋼が記載されている。しかし、Pbは有毒であることからその使用は制限されつつあり、かつ後述するCa系の酸化物系介在物の組成については何も検討されていなかった。
特許文献2に記載された発明は、耐食性を劣化させることなく被削性を向上させるために、耐食性の低下が少ないとされているCaを添加し、また硬質な介在物であるAl23の生成を可能な限り抑制し、鋼中の介在物をCaO・SiO2とMnO・SiO2の複合体とすることで被削性が向上することを見出し、かつこれらの介在物が冷間での引抜き加工や転造加工時にダイスとの材料間で潤滑効果をもたらし、焼付き防止に大きな効果があることを新規に見出したものである。しかし、これらの介在物が鍛造加工にどのような影響を示すのかは検討されていなかった。
特許文献3に記載された発明は、ステンレス鋼の被削性向上を耐食性の低下を伴うことなく実現させるため、Ca、Al、O量を規制することにより、酸化物系介在物をゲーレナイト(2CaO・Al23・SiO2)系とし、被削性を向上させたことを特徴とするものである。しかし、S無添加のため被削性に問題があり、切削加工を行うには更なる被削性の向上が求められていた。
特許文献4に記載された発明は、低濃度かつ狭い範囲でAl量をコントロールし、かつCa量についても制御することにより、Al、Ca等を含有した低融点型酸化物を生成させ被削性を改善させることを特徴としたものである。しかし、Al量が非常に低い値であるため、原料の選定や製造時間など製造コストが高くなるという問題点があった。
以上のように、これまで、Pbなどの重金属を使用しないで、Ca、Al、Oの成分バランスによりコストアップさせることなく、介在物の形態を制御し、鍛造性と被削性の両特性をバランスよく付与したオーステナイト系ステンレス快削鋼は提案されていなかった。
特開昭63−18039号公報 特開2004−256900号公報 特開平6−145908号公報 特開2001−234298号公報
本発明は、環境に悪影響を与える重金属(Pb、Bi、Se、Te)を使用しないで、介在物の制御により、鍛造性にすぐれたオーステナイト系ステンレス快削鋼を提供することで、これまで切削加工のみで行われてきた部品加工の歩留を鍛造加工との組み合わせにより向上させることを課題とする。
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、酸化物系介在物の組成をコントロールすることにより、酸化物と硫化物の複合介在物を形成、微細分散させることによって、鍛造性を向上させようとした結果、極微量のAl、Ca、Oの量、比率を制御することで、鍛造性を劣化させることなく、被削性を確保できることを見出したものである。
すなわち、本発明の要旨とするところは特許請求の範囲の記載した通りの下記内容である。
(1)質量%で、C≦0.150%、Si:0.1〜2.0%、Mn0.1〜3.0%、P≦0.05%、S:0.01%〜0.15%、Ni:6.0〜25.0%、Cr:14.0〜26.0%、N≦0.250%、Al:0.002〜0.010%、Ca:0.001〜0.010%、O:0.001%〜0.025%、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼で、かつ質量比で0.25≦Ca/Al≦2.50および0.10≦Ca/O≦0.30の条件を満たすことにより、低軟化点を有するCaO−SiO2−Al23系の酸化物と(Mn,Cr)Sの硫化物との複合介在物を形成することを特徴とする鍛造性に優れるオーステナイト系ステンレス快削鋼線材。
(1)前記鋼は、質量%で、B≦0.010%を含有することを特徴とする(1)に記載の鍛造性に優れるオーステナイト系ステンレス快削鋼線材。
(3)前記鋼は、質量%で、Cu:1.0〜4.0%を含有することを特徴とする(1)または(2)に記載の鍛造性に優れるオーステナイト系ステンレス快削鋼線材。
(4)前記鋼は、質量%で、Mo≦1.50%を含有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれか一項に記載の鍛造性に優れるオーステナイト系ステンレス快削鋼線材。
本発明による鍛造性に優れたオーステナイト系ステンレス快削鋼によれば鍛造加工と切削加工で効率よく部品を加工することが可能となり、部品加工の低コスト化の効果を発揮するなど産業上有用な著しい効果を奏する。
介在物制御を行った鋼と行っていない鋼のS量と鍛造性(限界据込率)の関係を示す図である。 Ca/Al比とCa/O比の値と鍛造性(限界据込率)の関係を示す図である。
以下に、先ず、本発明の(1)に記載の限定理由について説明する。
C≦0.150%
Cはオーステナイト相安定化元素であるが多量に含有させると耐食性、鍛造性、耐工具磨耗性が劣化するため上限を0.150%とした。好ましくは0.050%以下、さらに好ましくは0.030%以下である。
Si:0.1〜2.0%
Siは脱酸剤として作用し、耐酸化性を向上させるにも有効な元素であるので0.1%以上含有させるが、必要以上の含有は鍛造性、耐工具磨耗性を劣化させるため2.0%を上限とした。好ましくは0.1〜0.4%である。
Mn:0.1〜3.0%
MnはMnSとして被削性を向上させる効果があるため、0.1%以上含有させるが、過剰な含有は耐食性や靭性を低下させるためその上限を3.0%とした。好ましくは1.0〜2.5%である。
P≦0.05%
Pは含有量が多いと熱間加工性を低下させるため0.05%を上限とした。好ましくは0.04%以下である。
S:0.01〜0.15%
Sは被削性を改善する元素であるため0.01%以上含有させるが、大量に含有させると硫化物を中心とした介在物が粗大化し、鍛造性が劣化する。そのため微量Al、Caを添加(制御)して、低融点酸化物と硫化物の複合介在物とさせ、被削性と鍛造性を兼備させるために0.15%の範囲とした。好ましくは0.01%〜0.12%である。
図1に18%Cr−8%Ni−0.030%C−0.020%Nの成分系でS量を変化させ、低融点酸化物と硫化物の複合介在物となるようにAl、Ca、O量を制御した本発明鋼と比較鋼の限界据込率に及ぼすS量の影響を示す。限界据込率の測定方法は実施例の項で述べる。一般に限界据込率が70%以上あればヘッダー加工など鍛造において良好な作業性・生産性を示すことが知られている。図1から被削性を向上させる元素であるS量の増加によって鍛造性が低下していることが分かる。また、0.14%S量材に介在物制御を行うと70%の限界据込率を示した。しかし、0.15%以上のS量の材料では、介在物制御を実施しても70%以上の限界据込率にはならなかった。この試験結果より、鍛造性を高く保つためにはS量を制限する必要がある。従ってSの上限を0.15%とした。
Ni:6.0〜25.0%
Niは耐食性を向上させるとともに、鍛造性を改善させる元素である。そのため下限を6.0%とした。また、Niは高価な元素であり、過度の添加は固溶強化により材料を硬質化し、鍛造性劣化、工具寿命の劣化を引き起こす。そのため上限を25.0%とした。鍛造性の点から、より好ましくは8.0%〜11.0%である。
Cr:14.0〜26.0%
Crはマトリックスに固溶し、耐食性向上にさせる元素である。14.0%以下では耐食性が悪くなり、多いとオーステナイト相が不安定となるとともに、熱間でスケール生成を抑制し、熱間圧延疵の原因となることから、上限を26.0%とした。好ましくは17.0%〜19.0%である。
N≦0.250%
Nはオーステナイト相を安定化させるために有効な元素である。しかし過度の添加は固溶強化により材料を硬質化させ、鍛造性劣化、工具寿命を低下させる。そのため上限を0.250%とした。好ましくは0.010%〜0.030%である。
Al:0.002〜0.010%
Alは脱酸剤として作用するとともに、後述の低軟化点を有するCaO−SiO2−Al23系の酸化物を生成し、硫化物との複合介在物とさせ、硫化物の微細分散に重要な元素であるが、多量に含有すると硬質な粗大非金属酸化物として存在するために鍛造性を低下させる。そこで、その範囲を0.002%以上0.010%以下とした。好ましくは0.002〜0.008%である。
Ca:0.001〜0.010%
Caは低軟化点のCaO−SiO2−Al23系の酸化物を生成させるのに重要な元素である。Al、Siなどの脱酸元素とOの微妙なコントロールにより後述する低融点のCaO−SiO2−Al23系酸化物を生成し、硫化物との複合介在物として、硫化物を微細に分散させる。これらの効果を得るためには少なくとも0.001%以上の添加が必要である。しかし、多量に含有させると、これらの効果が得られなくなることに加え、製造性も低下することから、その上限を0.010%とした。好ましくは0.001〜0.007%である。
O:0.001%〜0.025%
OはAl、Caと同じく、CaO−SiO2−Al23系酸化物となり、硫化物との複合介在物として、微細に分散させるため、Oの含有は必須である。0.001%以下ではその効果は小さく、0.025%を超えると硬質のCr2O3が増大して鍛造性及び被削性を低下させるので、その範囲を0.001%以上0.025%以下とした。好ましくは0.005〜0.020%である。
質量比で0.25≦Ca/Al≦2.50
CaO−SiO2−Al23系の酸化物を生成させ、(Mn,Cr)Sの硫化物と複合介在物にするためにはCa/Al比をコントロールすることが必要である。Ca/Al比が0.25未満であると、CaO量が少なくなり、SiO2−Al23系の酸化物が多く存在し、複合介在物になりにくくなるとともに、硬質な酸化物が多くなることから鍛造性、被削性が劣化する。また、Ca/Al比が2.50を超えると、2CaO・SiO2が多く生成され、複合介在物になりにくくなり、複合介在物の微細化による鍛造性の向上代が低下することに加え、鋳造時にノズルが溶損し、製造性に問題が発生するため、質量比で0.25≦Ca/Al≦2.5とした。
質量比で0.10≦Ca/O≦0.30
Ca/OについてもCaO−SiO2−Al23系の酸化物を生成させ、(Mn,Cr)Sの硫化物と複合介在物にするためにはCa/O比をコントロールすることが重要である。Ca/O比が0.10未満であると、SiO2−MnO−Cr23系の酸化物が多くなり、CaO−SiO2−Al23系の酸化物が少なるため、複合介在物が生成しにくくなり鍛造性が劣化する。また0.30を超えると、MnO量が減少し、複合介在物を生成しにくくなり鍛造性が劣化し、また鋳造時にノズルが溶損し、製造性に問題が発生するため、質量比で0.10≦Ca/O≦0.30とした。
CaO−SiO2−Al23系酸化物
極微量のAl、O、Caをコントロールすることにより、(Mn,Cr)S系の硫化物の接種核として働き、複合介在物として、硫化物を微細に分散させる低融点のCaO−SiO2−Al23系の酸化物となり、その結果、鍛造性、被削性が向上することを見出した。
図2に18%Cr−8%Ni−0.03%C−0.02%N−0.1%S鋼のCa/AlとCa/Oの値と鍛造性(限界据込率)の関係を示す。Ca/Al、Ca/Oの値により鍛造性が変化しており、0.25≦Ca/Al≦2.50かつ0.10≦Ca/O≦0.30の値では70%以上の限界据込率を示している。
本発明の(2)記載の限定理由について述べる。
B≦0.010%
Bは熱間加工性や軟質化を改善するために添加される元素であり、0.002%以上の添加により安定した効果が得られる。しかし過剰に添加するとBの化合物が析出し、熱間加工性を劣化させるので、その上限を0.010%とした。好ましくは0.002〜0.004%である。
本発明の(3)記載の限定理由について述べる。
Cu:1.0〜4.0%
Cuはオーステナイト相安定元素であり、鍛造性を改善させる重要な元素である。後述する更に好ましい鍛造性を得るためには少なくとも1.0%以上の添加が必要であるが、4.0%を超えて含有すると熱間加工性が悪化することから上限を4.0%とした。好ましくは2.0〜4.0%である。
本発明の(4)記載の限定理由について述べる。
Mo≦1.50%
MoはCrと同様に耐食性を向上させるのに有効な元素であり0.1%以上の添加により安定した効果が得られる。しかし、多量に添加すると熱間加工性が低下するために上限を1.50%とした。好ましくは0.10〜1.40%である。
また、本願発明の好ましい形態として、更に鍛造性を向上させるためには、S:0.05%以下、C:0.030%以下、N:0.030%以下にすることが好ましく、かつその時の試験片の横断面における表層から深さ1mmの間の長径2μm未満の硫化物、酸化物などの介在物数の割合が80%以上であることにより、80%以上の鍛造性を示す。表層から深さ1mmの間は鍛造加工時に応力が集中するため、介在物が破壊の起点になりやすいため、介在物の大きさとその割合は重要である。2μm未満の介在物数の割合が少なくなると鍛造性が劣化することから、80%以上の鍛造性を確保するためには、2μm未満の介在物の割合が80%以上必要である。
これらの鋼の製造方法として、粗圧延から仕上げ圧延までの全熱間圧延工程での鋼材表面の最低温度を1000以上1200℃以下とし、その時の減面率を98.0%以上にすることにより、Al、Ca、Oの制御により微細分散させた介在物がより細かく分散し、鍛造性が更に向上することを見出した。圧延最低温度が1000℃未満になると、Ca系酸化物の軟化温度以下となり、微細に分散した介在物がさらに分断しにくくなり、更なる鍛造性の向上は期待できず、本発明の好ましい形態における鍛造性が満足されない。また、1200℃より高くなると、粒界溶融による脆化や有害元素の完全固溶・再析出による脆化が生じやすく、製造性の問題が表れてくる。減面率は98.0%未満であると加工による鋼中の介在物の分断が起こりにくくなるため、更なる鍛造性の向上なく、本発明の好ましい形態における鍛造性が満足されなくなる。
以下に本発明の実施例について説明する。
表1、2に本発明の実施例の化学成分と鍛造性、被削性(切屑処理性、耐工具磨耗性)の評価結果を示す。
Figure 2011168859
Figure 2011168859
これら化学成分の鋼は100kg真空溶解炉にてφ180mm角の鋳片に鋳込み、その後、最低鋼材表面温度を990〜1210℃、減面率を97.8〜99.8%で熱間圧延を行い、1050℃(オーステナイト系ステンレス鋼線で組織を安定化させる温度)で溶体化処理を施し、棒鋼サンプルを製造した。その後、鍛造性、被削性(切屑処理性、耐工具磨耗性)を調査した。
鍛造性は圧縮試験によって得られる限界据込率によって評価した。圧縮試験は直径11mmの線材から高さ12mm、直径8mmの円柱状の試験片を作製して供試材とし、同心円状の溝をもつ拘束型ダイスでの圧縮試験により評価した。試験片の初期の高さをH0、割れが発生した圧縮後の高さをHとし以下の式で求めた値を限界据込率とした。
(1−H/H0)×100(%)
圧縮試験機によって歪み速度10/sの一定速度で試験片を圧縮し、試験片側面の割れの有無を目視で判定し、限界据込率によって大小で評価した。
本発明鋼No.1〜26は限界据込率が70%以上であった。
切削試験は直径22mmに熱間鍛伸した棒鋼を供試材として、超硬工具(P20種)を用いて、切削速度(50〜200m/min)、切込み(0.1〜1.0mm)、送り速度(0.01〜0.1mm/rev)で外周切削をおこなった。被削性の評価は切屑処理性、耐工具磨耗性にて評価した。
切屑処理性の評価は短く破損しているものおよび規則的ならせん状のものを○、無規則で長く繋がったものを×とした。これは、短く破損した切屑を排出するものは切削中に表面に疵をつける可能性が低いが、無規則で長く繋がった切屑は表面に疵をつけたり、工具に絡まったりするためである。本発明鋼は短く破損したものと規則的ならせん状の切屑が観察された。
耐工具磨耗は約4000m切削時の工具を観察して評価した。工具磨耗がないものは○、局所的に大きな工具磨耗が観察されるものを×とした。本発明鋼は一部微量の工具磨耗が観察されるものもあるが、大きな工具磨耗は観察されなかった。
製造性は熱間圧延後の表面疵の有無で評価した。本発明鋼については表面疵は確認されなかった。
硫化物、酸化物などの介在物サイズ及びその数の測定は、試験片の横断面について埋め込み・鏡面研磨を行ったものについて、表層から深さ1mmの間を光学顕微鏡にて1画素0.125μm観察できるカメラを用いて、400倍で250視野観察し、確認された硫化物、酸化物などの介在物について圧延方向に平行の長さを測定し、その数の割合を求め評価した。最低鋼材表面温度及び減面率を制御し、Ca/AlとCa/Oが範囲内であり、且つS量が0.05%以下のものは2μm以下の介在物数の割合が80%以上であった。
引張強度はJIS9号A(G.L100mm)を用いて試験を行い引張強度を測定した。
一方、比較例No.27〜46は本発明に比べ、鍛造性、被削性(切屑処理性、耐工具磨耗性)製造性、コストのいずれかが劣っていた。
以上実施例から分かるように本発明例に優位性は明らかである。
以上の実施例から明らかなように、本発明により鍛造性に優れるオーステナイト系ステンレス快削鋼の提供が可能であり、これまで切削加工のみで複雑な形状を製造していた部品を鍛造加工と切削加工によって、材料歩留まり、生産性よく製造する上で極めて有用である。

Claims (4)

  1. 質量%で、
    C≦0.150%、
    Si:0.1〜2.0%、
    Mn0.1〜3.0%、
    P≦0.05%、
    S:0.01〜0.15%、
    Ni:6.0〜25.0%、
    Cr:14.0〜26.0%、
    N≦0.250%、
    Al:0.002〜0.010%、
    Ca:0.001〜0.010%、
    O:0.001%〜0.025%、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼で、かつ質量比で0.25≦Ca/Al≦2.50および0.10≦Ca/O≦0.30の条件を満たすことにより、低軟化点を有するCaO−SiO2−Al23系の酸化物と(Mn,Cr)Sの硫化物との複合介在物を形成することを特徴とする鍛造性に優れるオーステナイト系ステンレス快削鋼線材。
  2. 前記鋼は、質量%で、B≦0.010%を含有することを特徴とする請求項1に記載の鍛造性に優れるオーステナイト系ステンレス快削鋼線材。
  3. 前記鋼は、質量%で、Cu:1.0〜4.0%を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の鍛造性に優れるオーステナイト系ステンレス快削鋼線材。
  4. 前記鋼は、質量%で、Mo≦1.50%を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の鍛造性に優れるオーステナイト系ステンレス快削鋼線材。
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