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JP2011168633A - ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法、およびそれからなる成形品 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法、およびそれからなる成形品 Download PDF

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JP2011168633A JP2010031086A JP2010031086A JP2011168633A JP 2011168633 A JP2011168633 A JP 2011168633A JP 2010031086 A JP2010031086 A JP 2010031086A JP 2010031086 A JP2010031086 A JP 2010031086A JP 2011168633 A JP2011168633 A JP 2011168633A
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Hiroo Yoshitoku
簡夫 慶徳
Yasuhiro Hirai
康裕 平井
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Mitsubishi Engineering Plastics Corp
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Mitsubishi Engineering Plastics Corp
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Abstract

【課題】製造時の生産性が安定し、また、ポリテトラフルオロエチレン凝集物の発生が少なく、外観性に優れ、かつ、安定した難燃性を有するポリカーボネート樹脂組成物の製造方法及びそれを射出成形して得られた成形品を提供する。
【解決手段】 ポリカーボネート樹脂、難燃剤、および難燃助剤としてのポリテトラフルオロエチレンを含有するポリカーボネート樹脂組成物を製造する方法であって、ポリカーボネート樹脂にポリテトラフルオロエチレンを配合するに際し、結晶構造が13/6らせん構造のポリテトラフルオロエチレンを用いることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物の製造方法、およびその製造方法で得られた樹脂組成物を射出成形してなる成形品による。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法及びそれを成形して得られる成形品に関し、さらに詳しくは、製造時の生産性が安定しており、また、成形品中のポリテトラフルオロエチレンの凝集物の発生がなく、外観性に優れ、かつ、安定した難燃性を有する難燃性ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法及びそれを射出成形して得られた成形品に関する。
ポリカーボネート樹脂は、耐熱性、機械的物性、電気的特性に優れた樹脂であり、例えば自動車材料、電気電子機器材料、住宅材料、その他の工業分野における部品製造用材料等に幅広く利用されている。特に、難燃化されたポリカーボネート樹脂組成物は、各種ディスプレイ、コンピューター、ノートブック型パソコン、携帯電話、プリンター、複写機等のOA・情報機器等の部材として好適に使用されている。
ポリカーボネート樹脂に難燃性を付与する手段としては、ハロゲン系難燃剤やリン系難燃剤をポリカーボネート樹脂に配合することがなされてきた。また、近年は環境問題等から、パーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ金属塩や芳香族スルホン酸ナトリウム等の有機アルカリ金属塩化合物及び有機アルカリ土類金属塩化合物に代表される金属塩化合物が有用な難燃剤として検討されている。
しかし、これら多くの難燃剤は、燃焼しにくくする効果を付与するものの、いったん燃焼しはじめると、ポリカーボネート樹脂は燃えながら滴下(ドリップ)してしまい、延焼するのを防止する効果は乏しい。
燃焼時のドリッピングを抑制する方法として、ポリカーボネート樹脂にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂を添加することが特許文献1〜5等に開示されている。
ドリップ防止の機能は、PTFE粒子が溶融混練時の剪断力で容易にフィブリル化し、ポリカーボネート樹脂中にそのフィブリルが分散し、最終的な成形品にもフィブリルが分散したまま残ることによって燃焼時のドリップが防止されることによる。
特公昭60−38418号公報 特開2003−89748号公報 特開2009−197130号公報 特開2000−297220号公報 特開2005−263908号公報
しかしながら、溶融混練の際に、ポリカーボネート樹脂中でのポリテトラフルオエロエチレンの分散性が悪いと、樹脂組成物の製造時に、ストランド切れが多発するなど溶融混練が不安定となり、歩留まりが低下する問題がある。また分散性の不良は成形品にしたとき、成形品表面にポリテトラフルオロエチレンの凝集物が起因する外観不良が発生する問題があり、特に薄肉成形品の場合顕著に顕在化しやすい。さらに、難燃剤の分散性が悪いと、燃焼性のばらつきが発生する問題があった。そのため、ポリテトラフルオロエチレンおよび難燃剤の分散性を向上する方法が望まれていた。
本発明の目的は、製造時の生産性が安定し、また、成形品中のポリテトラフルオロエチレンの凝集物の発生がなく、外観性に優れ、かつ、安定した難燃性を有する難燃性ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法及びそれを射出成形して得られた成形品を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、難燃助剤としてのポリテトラフルオロエチレンに着目し、樹脂組成物の製造の際に、結晶構造が13/6らせん構造を有するポリフルオロエチレンを用いることで、製造時の生産性が安定し、また、成形品中のポリテトラフルオロエチレンの凝集物の発生がなく、外観性に優れ、かつ、安定した難燃性を有する難燃性ポリカーボネート樹脂組成物が得られることを見出し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明は、ポリカーボネート樹脂、難燃剤、および難燃助剤としてのポリテトラフルオロエチレンを含有するポリカーボネート樹脂組成物を製造する方法であって、ポリカーボネート樹脂にポリテトラフルオロエチレンを配合するに際し、結晶構造が13/6らせん構造のポリテトラフルオロエチレンを用いるポリカーボネート樹脂組成物の製造方法である。
また、本発明の第2の発明は、第1の発明において、結晶構造が13/6らせん構造のポリテトラフルオロエチレンを、比表面積が0.01〜5mm/gで、60〜95質量%が180〜1700μmの粒径を有するポリカーボネート樹脂粉粒体に配合したマスターバッチを混合する工程を含むことを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物の製造方法である。
また、本発明の第3の発明は、第1または第2の発明において、ポリテトラフルオロエチレン(C)を、温度調整することにより結晶構造を13/6らせん構造とするポリカーボネート樹脂組成物の製造方法である。
また、本発明の第4の発明は、第3の発明において、ポリテトラフルオロエチレンを、19℃以下で保持することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物の製造方法である。
また、本発明の第5の発明は、第1〜第4のいずれかの発明において、結晶構造が13/6らせん構造のポリテトラフルオロエチレンを、比表面積が0.01〜5mm/gで、60〜95質量%が180〜1700μmの粒径を有するポリカーボネート樹脂粉粒体に配合したマスターバッチを混合して得られたポリカーボネート樹脂組成物を成形する際に、ポリテトラフルオロエチレンの結晶構造を15/7らせん構造にして成形することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物の製造方法である。
また、本発明の第6の発明は、第5の発明において、結晶構造が13/6らせん構造のポリテトラフルオロエチレンを、19℃以下の温度で保持した前記ポリカーボネート樹脂粉粒体に配合することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物の製造方法である。
また、本発明の第7の発明は、第5または第6の発明において、得られたマスターバッチを19℃以下で保持した後、ポリカーボネート樹脂と混合することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物の製造方法である。
また、本発明の第8の発明は、第1の発明において、難燃剤が、縮合リン酸エステル系難燃剤および/または金属塩系難燃剤であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物の製造方法である。
また、本発明の第9の発明は、第8の発明において、金属塩系難燃剤が、芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物の製造方法である。
また、本発明の第10の発明は、第8の発明において、金属塩系難燃剤が、含フッ素脂肪族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物の製造方法である。
また、本発明の第11の発明は、第10の発明において、含フッ素脂肪族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩が、パーフルオロブタンスルホン酸アルカリ(土類)金属塩であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物の製造方法である。
また、本発明の第12の発明は、第8ないし第11のいずれかの発明において、金属塩系難燃剤を、比表面積が0.01〜5mm/g以上で、60〜95質量%が180〜1700μmの粒径を有するポリカーボネート樹脂粉粒体に配合したマスターバッチを混合する工程を含むことを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物の製造方法である。
また、本発明の第13の発明は、第1の発明において、ポリテトラフルオロエチレンの含有量が、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、0.05〜0.9質量部であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物の製造方法である。
また、本発明の第14の発明は、第8の発明において、縮合リン酸エステル系難燃剤の含有量が、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、2〜25質量部であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物の製造方法である。
また、本発明の第15の発明は、第8ないし第12のいずれかの発明において、金属塩系難燃剤の含有量が、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、0.01〜0.5質量部であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物の製造方法である。
さらに、本発明の第16の発明は、第1ないし第15のいずれかの発明の製造方法で得られたポリカーボネート樹脂組成物を射出成形して得られた成形品である。
本発明の、ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法では、製造時の生産性が安定しており、また、成形品中のポリテトラフルオロエチレンの凝集物がなく、外観性に優れ、かつ、安定した難燃性を有するポリカーボネート樹脂組成物を得ることができる。
[1.概要]
本発明は、ポリカーボネート樹脂、難燃剤、難燃助剤としてのポリテトラフルオロエチレンを含有する難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を製造する方法であって、ポリカーボネート樹脂にポリテトラフルオロエチレンを配合するに際し、結晶構造が13/6らせん構造のポリテトラフルオロエチレンを用いることを特徴とする。
[2.ポリカーボネート樹脂]
本発明に使用されるポリカーボネート樹脂は、芳香族ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリカーボネート樹脂、芳香族−脂肪族ポリカーボネート樹脂が挙げられるが、好ましくは、芳香族ポリカーボネート樹脂であり、具体的には、芳香族ジヒドロキシ化合物をホスゲン又は炭酸のジエステルと反応させることによって得られる、分岐していてもよい熱可塑性芳香族ポリカーボネート重合体又は共重合体が用いられる。
芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知のホスゲン法(界面重合法)や溶融法(エステル交換法)により製造したものを使用することができる。また、溶融法を用いた場合には、末端基のOH基量を調整したポリカーボネート樹脂を使用することができる。
原料の芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられ、好ましくは、ビスフェノールAが挙げられる。また、上記の芳香族ジヒドロキシ化合物にスルホン酸テトラアルキルホスホニウムが1個以上結合した化合物を使用することもできる。
分岐した芳香族ポリカーボネート樹脂を得るには、上述した芳香族ジヒドロキシ化合物の一部を、以下の分岐剤、即ち、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニルヘプテン−3、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のポリヒドロキシ化合物や、3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−クロルイサチン、5,7−ジクロルイサチン、5−ブロムイサチン等の化合物で置換すればよい。これら置換する化合物の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、0.01〜10モル%であり、好ましくは0.1〜2モル%である。
芳香族ポリカーボネート樹脂としては、上述した中でも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されるポリカーボネート樹脂、又は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと他の芳香族ジヒドロキシ化合物とから誘導されるポリカーボネート共重合体が好ましい。また、シロキサン構造を有するポリマー又はオリゴマーとの共重合体等の、ポリカーボネート樹脂を主体とする共重合体であってもよい。更には、上述した芳香族ポリカーボネート樹脂の2種以上を混合して用いてもよい。
芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量を調節するには、一価の芳香族ヒドロキシ化合物を用いればよく、例えば、m−及びp−メチルフェノール、m−及びp−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−長鎖アルキル置換フェノール等が挙げられる。
本発明に用いる芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は、用途により適宜選択して決定すればよいが、成形性、強度等の点から、溶媒としてメチレンクロライドを用い、温度25℃で測定された溶液粘度より換算した粘度平均分子量[Mv]で、10,000〜40,000、更には10,000〜30,000のものが好ましい。このように、粘度平均分子量を10,000以上とすることで機械的強度がより向上する傾向にあり、機械的強度の要求の高い用途に用いる場合により好ましいものとなる。一方、40,000以下とすることで流動性低下を、より抑制し改善する傾向にあり、成形加工性容易の観点からより好ましい。
粘度平均分子量は中でも、10,000〜22,000、更には12,000〜22,000、特に14,000〜20,000であることが好ましい。また粘度平均分子量の異なる2種類以上の芳香族ポリカーボネート樹脂を混合してもよく、この際には、粘度平均分子量が上記好適範囲外である芳香族ポリカーボネート樹脂を混合してもよい。この場合、混合物の粘度平均分子量は上記範囲となるのが望ましい。
本発明において、ポリカーボネート樹脂はペレット状のものや、フレーク状、グラニュール状などの粉粒体形状のものを用いることができるが、後述するマスターバッチを予め調整する場合は、粉粒体形状のものを使用するほうが、ポリテトラフルオロエチレンの分散性向上の点から特に好ましい。
具体的には、粉粒体形状のポリカーボネート樹脂は、その60〜95質量%が、JIS
K0069(ふるい分け試験方法)に準拠した方法で測定した粒径分布で180〜1700μmの範囲である。この範囲に入る粒径分布は好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上であり、好ましくは92質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下である。
また、粉粒体形状のポリカーボネート樹脂は、さらに、BET多点法により求めた比表面積が0.01mm/g以上であることが好ましく、より好ましくは0.1mm/g以上、更に好ましくは0.5mm/g以上であり、好ましくは5mm/g以下、より好ましくは3mm/g以下、さらに好ましくは2mm/g以下である。
このような粒径分布と比表面積の粉粒体形状のポリカーボネート樹脂を用いて、ポリテトラフルオロエチレン、あるいは必要により他の難燃剤とをマスターバッチ化すると特に分散性の優れた本発明のポリカーボネート樹脂組成物を製造することができる。
[3.難燃剤]
本発明に使用される難燃剤としては、リン系難燃剤、金属塩系難燃剤、シリコーン系難燃剤が挙げられるが、その中で、リン系難燃剤、金属塩系難燃剤が好適に用いられる。リン系難燃剤としては縮合リン酸エステル系難燃剤が好ましい。
[3−1.縮合リン酸エステル系難燃剤]
本発明における縮合リン酸エステル系難燃剤としては、例えば、下記一般式(1)で表されるリン系化合物が好ましく挙げられる。
Figure 2011168633
(式中、R、R、RおよびRは、各々独立して、炭素数1〜6のアルキル基またはアルキル基で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基、Xはアリーレン基を示し、p、q、rおよびsは、0または1であり、kは1から5の整数である。)
上記一般式(1)で表される縮合リン酸エステル系難燃剤は、kが1〜5であり、kが異なる縮合燐酸エステルの混合物については、kはそれらの混合物の平均値となる。Xは、アリーレン基を示し、例えばレゾルシノール、ハイドロキノン、ビスフェノールA等のジヒドロキシ化合物から誘導される二価の基である。
一般式(1)で表される縮合リン酸エステル系難燃剤の具体例としては、ジヒドロキシ化合物にレゾルシノールを使用した場合は、フェニルレゾルシン・ポリホスフェート、クレジル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル・クレジル・レゾルシン・ポリホスフェート、キシリル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル−p−t−ブチルフェニル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル・イソプロピルフェニル・レゾルシンポリホスフェート、クレジル・キシリル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル・イソプロピルフェニル・ジイソプロピルフェニル・レゾルシンポリホスフェート等が、好ましく挙げられる。
縮合リン酸エステル系難燃剤としては、上記一般式(1)の中でも、熱安定性の面から、下記一般式(2)で表されるリン系難燃剤が特に好ましい。
Figure 2011168633
(式中、R、R及びRは、各々独立して、炭素数1〜6のアルキル基又はアルキル基で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基を示し、h、i及びjは、0又は1である。)
上記一般式(2)で表される縮合リン酸エステル系難燃剤は、公知の方法で、オキシ塩化リン等から製造することができる。一般式(2)で表される縮合リン酸エステル系難燃剤の具体例としては、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸ジフェニル2−エチルクレジル、リン酸トリ(イソプロピルフェニル)、メチルホスホン酸ジフェニルエステル、フェニルホスホン酸ジエチルエステル、リン酸ジフェニルクレジル、リン酸トリブチル等が好ましく挙げられる。
縮合リン酸エステル系難燃剤の含有量は、好ましくはポリカーボネート樹脂100質量部に対し、2質量部以上、より好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは8質量部以上であり、25質量部以下、より好ましくは22.5量部以下、さらに好ましくは20質量部以下である。リン系難燃剤の配合量が2質量部を下回る場合は、難燃性が不十分であり、25質量部を超えると著しい耐熱性の低下や、機械物性の低下を引き起こす為、好ましくない。
[3−2.金属塩系難燃剤]
本発明に使用される金属塩系難燃剤としては、例えば、有機金属塩化合物、無機金属塩化合物などが挙げられるが、芳香族ポリカーボネート樹脂への分散性が良いという点から有機金属塩化合物が好ましい。
有機金属塩化合物としては、例えば、有機スルホン酸金属塩、有機スルホンアミドの金属塩、有機カルボン酸金属塩、有機ホウ酸金属塩、有機リン酸金属塩等が挙げられる。なかでも、芳香族ポリカーボネート樹脂と混合した場合の熱安定性の点から、有機スルホン酸金属塩、有機スルホンアミドの金属塩、有機リン酸金属塩が好ましく、有機スルホン酸金属塩が特に好ましい。
金属塩系難燃剤が有する金属の種類としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属であることが好ましい。本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の燃焼時の炭化層形成を促進し、難燃性をより高めることができると共に、芳香族ポリカーボネート樹脂が有する耐衝撃性等の機械的物性、耐熱性、電気的特性などの性質を良好に維持できるからである。したがって、金属塩化合物としては、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属塩系難燃剤が好ましく、なかでもアルカリ金属塩がより好ましい。
また、金属塩化合物の金属としては、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)等のアルカリ金属;マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)等のアルカリ土類金属;並びに、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、モリブテン(Mo)等が挙げられる。なかでも特に、アルカリ金属、アルカリ土類金属が好ましく、アルカリ金属がさらに好ましく、ナトリウム、カリウム、セシウムが最も好ましい。
有機スルホン酸金属塩の例を挙げると、有機スルホン酸リチウム(Li)塩、有機スルホン酸ナトリウム(Na)塩、有機スルホン酸カリウム(K)塩、有機スルホン酸ルビジウム(Rb)塩、有機スルホン酸セシウム(Cs)塩、有機スルホン酸マグネシウム(Mg)塩、有機スルホン酸カルシウム(Ca)塩、有機スルホン酸ストロンチウム(Sr)塩、有機スルホン酸バリウム(Ba)塩、等が挙げられる。このなかでも特に、有機スルホン酸ナトリウム(Na)塩、有機スルホン酸カリウム(K)塩、有機スルホン酸セシウム(Cs)塩等の有機スルホン酸アルカリ金属塩が好ましい。
金属塩系難燃剤のうち、好ましいものの例としては、含フッ素脂肪族スルホン酸又は芳香族スルホン酸の金属塩、芳香族スルホンアミドの金属塩が挙げられる。そのなかでも好ましいものの具体例を挙げると、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム、パーフルオロブタンスルホン酸リチウム、パーフルオロブタンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロブタンスルホン酸セシウム等の、分子中に少なくとも1つのC−F結合を有する含フッ素脂肪族スルホン酸のアルカリ金属塩;パーフルオロブタンスルホン酸マグネシウム、パーフルオロブタンスルホン酸カルシウム、パーフルオロブタンスルホン酸バリウム、トリフルオロメタンスルホン酸マグネシウム、トリフルオロメタンスルホン酸カルシウム、トリフルオロメタンスルホン酸バリウム等の、分子中に少なくとも1つのC−F結合を有する含フッ素脂肪族スルホン酸のアルカリ土類金属塩;等の、含フッ素脂肪族スルホン酸金属塩、
ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、(ポリ)スチレンスルホン酸ナトリウム、パラトルエンスルホン酸ナトリウム、(分岐)ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、トリクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸カリウム、スチレンスルホン酸カリウム、(ポリ)スチレンスルホン酸カリウム、パラトルエンスルホン酸カリウム、(分岐)ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム、トリクロロベンゼンスルホン酸カリウム、ベンゼンスルホン酸セシウム、(ポリ)スチレンスルホン酸セシウム、パラトルエンスルホン酸セシウム、(分岐)ドデシルベンゼンスルホン酸セシウム、トリクロロベンゼンスルホン酸セシウム等の、分子中に少なくとも1種の芳香族基を有する芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩;パラトルエンスルホン酸マグネシウム、パラトルエンスルホン酸カルシウム、パラトルエンスルホン酸ストロンチウム、パラトルエンスルホン酸バリウム、(分岐)ドデシルベンゼンスルホン酸マグネシウム、(分岐)ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム等の、分子中に少なくとも1種の芳香族基を有する芳香族スルホン酸のアルカリ土類金属塩;等の、芳香族スルホン酸金属塩等、
ビス(トリフルオロメタン)スルホニルイミドリチウム、ビス(トリフルオロメタン)スルホニルイミドナトリウム、ビス(トリフルオロメタン)スルホニルイミドカリウム、ビス(ノナフルオロブタン)スルホニルイミドリチウム、ビス(ノナフルオロブタン)スルホニルイミドナトリウム、ビス(ノナフルオロブタン)スルホニルイミドカリウム、トリフルオロメタン(ペンタフルオロエタン)スルホニルイミドカリウム、トリフルオロメタン(ノナフルオロブタン)スルホニルイミドナトリウム、トリフルオロメタン(ノナフルオロブタン)スルホニルイミドカリウム、トリフルオロメタン等の、鎖状含フッ素脂肪族スルホンアミドのアルカリ金属塩;シクロ−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミドリチウム、シクロ−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミドナトリウム、シクロ−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミドカリウム等の、環状含フッ素脂肪族スルホン酸イミドのアルカリ金属塩;等の、含フッ素脂肪族スルホン酸イミドの金属塩等、
サッカリンのナトリウム塩、N−(p−トリルスルホニル)−p−トルエンスルホイミドのカリウム塩、N−(N’−ベンジルアミノカルボニル)スルファニルイミドのカリウム塩、N−(フェニルカルボキシル)−スルファニルイミドのカリウム塩等の、分子中に少なくとも1種の芳香族基を有する芳香族スルホン酸イミドのアルカリ金属塩;等の、芳香族スルホン酸イミドの金属塩等が挙げられる。
上述した例示物のなかでも、含フッ素脂肪族スルホン酸のアルカリ金属塩、芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩がより好ましく、含フッ素脂肪族スルホン酸のアルカリ金属塩が特に好ましく、パーフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ金属塩がさらに好ましく、具体的にはパーフルオロブタンスルホン酸カリウム等が好ましい。
なお、金属塩系難燃剤は1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
金属塩系難燃剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、0.01〜0.5質量部であることが好ましい。このように金属塩化合物を含有することで、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の難燃性を向上させることができる。
金属塩系難燃剤の含有量が0.01質量部より少ないと、得られるポリカーボネート樹脂組成物の難燃性が不十分となり、逆に0.5質量部を超えると芳香族ポリカーボネート樹脂の熱安定性の低下、並びに、ポリカーボネート樹脂組成物の成形品の外観不良及び機械的強度の低下が生じやすい。含有量の下限は、より好ましくは0.03質量部以上、さらに好ましくは0.05質量部以上、特に好ましくは0.07質量部以上であり、上限は、より好ましくは0.4質量部以下、さらに好ましくは0.3質量部以下、特に好ましくは0.2質量部以下である。
[3−3.その他難燃剤]
難燃剤としては、シリコーン化合物を用いてもよい。シリコーン化合物としては特開2006−169451公報に記載の、直鎖状もしくは分岐状の構造を有するポリオルガノシロキサンが好ましい。該ポリオルガノシロキサンが有する有機基は、炭素数が1〜20のアルキル基及び置換アルキル基のような炭化水素又はビニル及びアルケニル基、シクロアルキル基、ならびにフェニル、ベンジルのような芳香族炭化水素基などの中から選ばれる。
該ポリジオルガノシロキサンは、官能基を含有していなくても、官能基を含有していても良い。官能基を含有しているポリジオルガノシロキサンの場合、官能基はメタクリル基、アルコキシ基又はエポキシ基であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物における、シリコーン化合物の含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、0.5〜10質量部であることが好ましい。難燃剤用シリコーン化合物の含有量が上記範囲であると、透明性、成形品外観及び弾性率等を損なうことなく、難燃性が良好となるので好ましい。
なお、上記有機スルホン酸金属塩とシリコーン化合物を併用しても良い。
[4.ポリテトラフルオロエチレン]
難燃助剤として使用されるポリテトラフルオロエチレン樹脂は、テトラフルオロエチレン構造を含む重合体あるいは共重合体であり、具体例としては、テトラフルオロエチレン樹脂、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合樹脂等が挙げられるが、なかでもテトラフルオロエチレン樹脂が好ましい。
また、ポリテトラフルオロエチレン樹脂としては、フィブリル形成能を有するものが好ましく、フィブリル形成能を有することで、燃焼時の滴下防止性が著しく向上させることができる。
フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンは、ASTM規格で「タイプ3」に分類される。フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンとしては、例えば三井・デュポンフロロケミカル(株)製のテフロン(登録商標)6Jや、ダイキン化学工業(株)製のポリフロンF201L、FA500B、FA500Cが好ましく挙げられる。また、ポリテトラフルオロエチレンの水性分散液として、三井・デュポンフロロケミカル(株)製のテフロン(登録商標)31−JRや、ダイキン化学工業(株)製のフルオンD−1や、ビニル系単量体を重合してなる多層構造を有するポリフルオロエチレン化合物が挙げられる。いずれのタイプも本発明の樹脂組成物に用いることができる。また、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
ポリテトラフルオロエチレンの平均粒径としては、JIS K6892準拠の方法で測定する平均粒径が、200μm以上であることが好ましく、より好ましくは300μm以上、さらに好ましくは400μm以上であり、好ましくは600μm以下、より好ましくは550μm以下、さらに好ましくは、500μm以下である。
また、ポリテトラフルオロエチレンのかさ密度は、JIS K6892準拠の方法で測定されるかさ密度で、0.3g/ml以上が好ましく、より好ましくは0.35g/ml以上、さらに好ましくは0.4g/mlであり、好ましくは0.6g/ml以下、より好ましくは0.55g/ml以下、さらに好ましくは0.5g/ml以下である。
ポリテトラフルオロエチレンは、テトラフルオロ連鎖が規則正しくつながるが、その炭素主鎖が少しずつねじれてらせん構造をとり、そのらせん構造は温度によって変化し、19℃以下では13/6らせん構造(炭素数13個毎に6回転してもとに戻る構造)であるが、19℃を超えると、そのらせん構造は少しほどけて15/7らせん構造(炭素数15個毎に7回転してもとに戻る構造)に転移する。
ポリテトラフルオロエチレンは、15/7らせん構造となると、粘調性になり分散性が低下し、ダマができたり分級を起こしやすく、難燃性向上効果が低下してしまうことが起きやすい。したがって、ポリテトラフルオロエチレンは、19℃以下に保持して13/6らせん構造である状態で他の成分と混合することが好ましい。
具体的には、ポリフルオロエチレンを19℃以下に、必要ならば冷蔵保管し、好ましくは同様に19℃以下に保管したポリカーボネート樹脂の一部と予め混合して、マスターバッチとし、このマスターバッチを前記と同様に、残部のポリカーボネート樹脂および他の成分と混合・溶融混練することが好ましい。
ポリテトラフルオロエチレンを含有した難燃性樹脂組成物を射出成形した成形品の外観をより向上させるためには、有機系重合体で被覆されたポリテトラフルオロエチレンを使用することができる。
有機重合体被覆ポリテトラフルオロオレフィン樹脂を用いることで、分散性が向上し、成形品の表面外観が向上し、表面異物を抑制できる。有機重合体被覆ポリテトラフルオロオレフィン樹脂は、公知の種々の方法により製造でき、例えば(1)ポリテトラフルオロエチレン粒子水性分散液と有機系重合体粒子水性分散液とを混合して、凝固またはスプレードライにより粉体化して製造する方法、(2)ポリテトラフルオロエチレン粒子水性分散液存在下で、有機系重合体を構成する単量体を重合した後、凝固またはスプレードライにより粉体化して製造する方法、(3)ポリテトラフルオロエチレン粒子水性分散液と有機系重合体粒子水性分散液とを混合した分散液中で、エチレン性不飽和結合を有する単量体を乳化重合した後、凝固またはスプレードライにより粉体化して製造する方法、等が挙げられる。
有機重合体被覆ポリテトラフルオロエチレンとしては、被覆ポリテトラフルオロエチレン中のポリテトラフルオロエチレンの含有比率が40〜95質量%の範囲内となるものが好ましく、中でも、43〜80質量%、更には45〜70質量%、特には47〜60質量%となるものが好ましい。本発明の特定の被覆ポリテトラフルオロエチレンとしては、例えば三菱レイヨン(株)製のメタブレンA−3800、A−3700、KA−5503や、PIC社製のPoly TS AD001等を好ましく使用することができる。
本発明において、ポリテトラフルオロエチレンの好ましい含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、0.05質量部以上、好ましくは0.08質量部、特に好ましくは0.1質量部以上であり、また、0.9質量部以下、好ましくは0.7質量部以下、特に好ましくは0.5質量部以下である。なお、被覆ポリテトラフルオロエチレンの場合、添加量はポリテトラフルオロエチレン純分の量に相当する。ポリテトラフルオロエチレンの含有量が0.05質量部未満の場合には、難燃性が十分ではなく、一方0.9質量部を超えると成形品外観の低下が起きやすい。
[その他の添加剤]
本発明の透明ポリカーボネート樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、種々の添加剤から選ばれる1種又は2種以上を含有していてもよい。このような添加剤としては、リン系安定剤、フェノール系酸化防止剤、紫外線吸収剤、光拡散剤及び離型剤からなる群から選ばれる添加剤などが挙げられる。
<リン系安定剤>
本発明の樹脂組成物には、熱安定性を向上させるために亜リン酸エステル、リン酸エステル等のリン系熱安定剤を添加するのが好ましい。
亜リン酸エステルとしては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリノニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリシクロヘキシルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等の亜リン酸のトリエステル、ジエステル、モノエステル等が挙げられる。
リン酸エステルとしては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリス(ノニルフェニル)ホスフェート、2−エチルフェニルジフェニルホスフェート、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4−ジフェニルホスフォナイト等が挙げられる。
上記のリン系熱安定剤の中では、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトが好ましく、中でもビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイトやトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトが特に好ましい。
なお、熱安定剤は、単独で使用しても良く、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
本発明の樹脂組成物におけるリン系安定剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、0.005〜0.2質量部であることが好ましく、0.01〜0.1質量部であることがより好ましい。熱安定剤の含有量が上記範囲であると、加水分解等を発生させることなく、熱安定性を改善できるので好ましい。
<フェノール系酸化防止剤>
本発明の樹脂組成物には、フェノール系酸化防止剤を添加するのが好ましい。
より具体的には、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3′,5′−ジ−tert−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4′−ブチリデンビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェニル)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、及び3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,6]ウンデカン等が挙げられる。中でも、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンが好ましい。これらの酸化防止剤は一種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
本発明の樹脂組成物におけるフェノール系酸化防止剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、0.02〜0.5質量部であることが好ましい。この範囲であると、本発明の効果を阻害せずに、酸化防止性を改善できるので好ましい。
<紫外線吸収剤>
本発明の樹脂組成物には、紫外線吸収剤を添加することができる。本発明の樹脂組成物から成る成形品は、太陽光や蛍光灯のような光線下に長期間曝されると、紫外線によって黄色味を帯びる傾向があるが、紫外線吸収剤を添加することで、成形品が黄色味を帯びるのを、防止又は遅延させることができる。紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニル系、ヒンダードアミン系などが挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の具体例としては、2,4−ジヒドロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシ−ベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシ−ベンゾフェノン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシ−ベンゾフェノン等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例としては、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルメチル)フェノール、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール、2,4−ジ−tert−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラブチル)フェノール、2,2′−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラブチル)フェノール]等が挙げられる。
サリチル酸フェニル系紫外線吸収剤の具体例としては、フェニルサルチレート、2,4−ジターシャリ−ブチルフェニル−3,5−ジターシャリ−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
ヒンダードアミン系紫外線吸収剤の具体例としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
本発明の樹脂組成物における紫外線吸収剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、0.001〜1質量部であることが好ましく、0.005〜0.8質量部であることがより好ましく、0.01〜0.5質量部であることがさらに好ましい。紫外線吸収剤の含有量が上記範囲であると、有機紫外線発光蛍光体の励起光吸収による発光色の低下が生じず、且つ成形品表面にブリードアウト等を発生させずに、耐候性を改善できるので好ましい。
<光拡散剤>
本発明の樹脂組成物には光拡散剤を添加することができる。
光拡散剤は、微粒子状の無機又は有機粒子であり、例えばガラス微粒子、ポリスチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、シリコーン樹脂等の有機微粒子が挙げられ、光拡散性や粒子の分散性の点で有機微粒子が好ましい。
光拡散剤としての有機微粒子としては、ポリカーボネート樹脂の成形温度まで加熱してもポリカーボネート樹脂中に溶融しない、架橋した有機微粒子が好ましく、従って、架橋した(メタ)アクリル樹脂、架橋したシリコーン樹脂などが好ましい。より具体的には、部分架橋したポリメタクリル酸メチルのポリマー微粒子、架橋シリコーン樹脂粒子、シリコーンゴムをシリコーンレジンで被覆したシリコーンゴムパウダー等が挙げられる。
光拡散剤の形状としては、光拡散効果の点から球状であるものが好ましい。
微粒子状の光拡散剤の好ましい平均粒径は0.1〜50μmであり、より好ましくは0.5〜10μmであり、特には1〜5μmのものである。光拡散剤の平均粒径が小さ過ぎると、十分な光分散効果が得られず、大き過ぎると成形体表面に肌荒れを起こしたり、成形品の機械的強度が低下したりする。ここで、光拡散剤の平均粒径とは、コールターカウンター法にて測定した体積平均粒子径を採用する。コールカウンター法は、サンプル粒子を懸濁させた電解質を細孔(アパチャ−)に通過させ、そのときに粒子の体積に比例して発生する電圧パルスの変化を読み取って粒子径を定量するもので、また電圧パルス高を1個ずつ計測処理して、サンプル粒子の体積分布ヒストグラムを得ることができる。このようなコールカウンター法による粒径又は粒径分布測定は、粒度分布測定装置として最も多用されているものである。
なお、本発明においては、異なる材質或いは異なる平均粒径の光拡散剤を2種類以上混合して使用してもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物が光拡散剤を含む場合、光拡散剤の好ましい含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、通常0.1〜20質量部であり、0.3〜10質量部がより好ましい。光拡散剤の含有量が少な過ぎると、光拡散性が不足し、光源が透けて見えやすく、眩しさ低減効果が不十分となり、光拡散剤の配合量が多すぎると必要な照明輝度が得られなくなる。
<離型剤>
本発明の樹脂組成物は、離型剤を含有するのが好ましい。
好ましい離型剤は、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸エステル、及び数平均分子量200〜15000の脂肪族炭化水素化合物から選ばれる化合物である。中でも、脂肪族カルボン酸、及び脂肪族カルボン酸エステルから選ばれる化合物が好ましく用いられる。
脂肪族カルボン酸としては、飽和又は不飽和の脂肪族モノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸を挙げることができる。本明細書では、脂肪族カルボン酸の用語は、脂環式カルボン酸も包含する意味で用いる。脂肪族カルボン酸の中でも、炭素数6〜36のモノ又はジカルボン酸が好ましく、炭素数6〜36の脂肪族飽和モノカルボン酸がより好ましい。このような脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、吉草酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸等を挙げることができる。
脂肪族カルボン酸エステルを構成する脂肪族カルボン酸成分としては、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、脂肪族カルボン酸エステルを構成するアルコール成分としては、飽和又は不飽和の1価アルコール、飽和又は不飽和の多価アルコール等を挙げることができる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基等の置換基を有していても良い。これらのアルコールのうち、炭素数30以下の1価又は多価の飽和アルコールが好ましく、さらに炭素数30以下の脂肪族飽和1価アルコール又は多価アルコールが好ましい。ここで脂肪族アルコールは、脂環式アルコールも包含する。これらのアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等を挙げることができる。これらの脂肪族カルボン酸エステルは、不純物として脂肪族カルボン酸及び/又はアルコールを含有していても良く、複数の化合物の混合物であっても良い。脂肪族カルボン酸エステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸オクチルドデシル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレートを挙げることができる。
これらの離型剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
本発明の樹脂組成物における離型剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、0.01〜1質量部であることが好ましい。離型剤の含有量が上記範囲であると、耐加水分解性の低下がなく、離型効果が得られるので好ましい。
[その他の成分]
<エラストマ−>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、その他の成分としてエラストマーを含有してもよい。エラストマーを含有することで、ポリカーボネート樹脂組成物の耐衝撃性を改良することができる。
本発明に用いるエラストマーは、なかでもゴム成分にこれと共重合可能な単量体成分とをグラフト共重合したグラフト共重合体が好ましい。グラフト共重合体の製造方法としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などのいずれの製造方法であってもよく、共重合の方式は一段グラフトでも多段グラフトであってもよい。
ゴム成分は、ガラス転移温度が通常0℃以下、中でも−20℃以下が好ましく、更には−30℃以下が好ましい。ゴム成分の具体例としては、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブチルアクリレートやポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)、ブチルアクリレート・2−エチルヘキシルアクリレート共重合体などのポリアルキルアクリレートゴム、ポリオルガノシロキサンゴムなどのシリコーン系ゴム、ブタジエン−アクリル複合ゴム、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキルアクリレートゴムとからなるIPN型複合ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴムやエチレン−ブテンゴム、エチレン−オクテンゴムなどのエチレン−αオレフィン系ゴム、エチレン−アクリルゴム、フッ素ゴムなど挙げることができる。これらは、単独でも2種以上を混合して使用してもよい。これらの中でも、機械的特性や表面外観の面から、ポリブタジエンゴム、ポリアルキルアクリレートゴム、ポリオルガノシロキサンゴム、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキルアクリレートゴムとからなるIPN(Interpenetrating Polymer Network)型複合ゴム、スチレン−ブタジエンゴムが好ましい。
ゴム成分とグラフト共重合可能な単量体成分の具体例としては、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリル酸化合物、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル化合物;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド化合物;マレイン酸、フタル酸、イタコン酸等のα,β−不飽和カルボン酸化合物やそれらの無水物(例えば無水マレイン酸等)などが挙げられる。これらの単量体成分は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、機械的特性や表面外観の面から、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリル酸化合物が好ましく、より好ましくは(メタ)アクリル酸エステル化合物である。(メタ)アクリル酸エステル化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル等を挙げることができる。
ゴム成分を共重合したグラフト共重合体は、耐衝撃性や表面外観の点からコア/シェル型グラフト共重合体タイプのものが好ましい。なかでもポリブタジエン含有ゴム、ポリブチルアクリレート含有ゴム、ポリオルガノシロキサンゴム、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキルアクリレートゴムとからなるIPN型複合ゴムから選ばれる少なくとも1種のゴム成分をコア層とし、その周囲に(メタ)アクリル酸エステルを共重合して形成されたシェル層からなる、コア/シェル型グラフト共重合体が特に好ましい。上記コア/シェル型グラフト共重合体において、ゴム成分を40質量%以上含有するものが好ましく、60質量%以上含有するものがさらに好ましい。また、(メタ)アクリル酸は、10質量%以上含有するものが好ましい。
これらコア/シェル型グラフト共重合体の好ましい具体例としては、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS)、メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(MABS)、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体(MB)、メチルメタクリレート−アクリルゴム共重合体(MA)、メチルメタクリレート−アクリルゴム−スチレン共重合体(MAS)、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム共重合体、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−(アクリル・シリコーンIPNゴム)共重合体等が挙げられる。このようなゴム性重合体は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
このようなコア/シェル型グラフト共重合体としては、例えば、ローム・アンド・ハース・ジャパン社製の「パラロイド(登録商標、以下同じ)EXL2602」、「パラロイドEXL2603」、「パラロイドEXL2655」、「パラロイドEXL2311」、「パラロイドEXL2313」、「パラロイドEXL2315」、「パラロイドKM330」、「パラロイドKM336P」、「パラロイドKCZ201」、三菱レイヨン社製の「メタブレン(登録商標、以下同じ)C−223A」、「メタブレンE−901」、「メタブレンS−2001」、「メタブレンSRK−200」、カネカ社製の「カネエース(登録商標、以下同じ)M−511」、「カネエースM−600」、「カネエースM−400」、「カネエースM−580」、「カネエースMR−01」等が挙げられる。
エラストマーの好ましい含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部である。0.1質量部より少ないと、エラストマーによる耐衝撃性向上効果が不十分となり、10質量部を超えると、ポリカーボネート樹脂組成物を成形した成形品の外観不良や耐熱性の低下が生じる。含有量の下限は、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上であり、また、含有量の上限は、好ましくは7.5質量部以下、より好ましくは5質量部以下、特に好ましくは4質量部以下である。
<芳香族ビニル−ジエン−シアン化ビニル系共重合体>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、芳香族ビニル−ジエン−シアン化ビニル系共重合体を含有することができる。
本共重合体は、芳香族ビニル単量体とジエン、及びシアン化ビニル単量体、および必要に応じて他の共重合可能な単量体からなる。
ジエンとしては、ブタジエン、イソプレン等であり、好ましくは予め重合されたジエン系ゴムであり、例えばポリブタジエン系ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体系ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体系ゴム、ポリイソプレン系ゴムなどを挙げることができ、これらは一種または二種以上併用することができる。特に好ましくは、ポリブタジエン系ゴムおよび/またはスチレン−ブタジエン共重合体系ゴムが用いられる。
シアン化ビニル単量体としてはアクリロニトリルおよびメタクリロニトリルなどが挙げられ、特にアクリロニトリルが好ましい。
芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレンおよびビニルトルエンなどが挙げられ、特にスチレンおよび/またはα−メチルスチレンが好ましい。
共重合組成比については特に制限はないが、得られる樹脂組成物の成形加工性、耐衝撃性の点から共重合体100重量部に対してジエン系ゴム10〜70重量部が好ましい。また同様にシアン化ビニル単量体の量は8〜40重量部が好ましい。芳香族ビニル単量体は、20〜80重量部の範囲が好ましい。
上記共重合体の製造方法に関しては、特に制限なく、乳化重合、溶液重合、塊状重合、懸濁重合あるいは塊状・懸濁重合等の公知の方法が用いられる。
芳香族ビニル−ジエン−シアン化ビニル系共重合体の含有量は、ポリカーボネート樹脂と芳香族ビニル−ジエン−シアン化ビニル系共重合体の合計100質量%に対し、5〜30質量%である。このように芳香族ビニル−ジエン−シアン化ビニル系共重合体を含有することで、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の耐衝撃性と流動性を向上させることができる。より好ましい含有量は7〜25質量%である。
<無機充填材>
本発明のポリカーボネート樹脂は、強度と剛性を向上させる目的で、無機充填材を含有することができる。無機充填材の形状は針状、板状、粒状または無定型状など任意である。無機充填材の具体例としては、ガラス繊維(チョップドストランド)、ガラス短繊維(ミルドファイバー)、ガラスフレーク、ガラスビーズ等のガラス系フィラー;炭素繊維、炭素短繊維、カーボンナノチューブ、黒鉛などの炭素系フィラー;チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム等のウィスカー;タルク、マイカ、ウォラストナイト、カオリナイト、ゾノトライト、セピオライト、アタバルジャイト、モンモリロナイト、ベントナイト、スメクタイトなどの珪酸塩化合物;シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム等が挙げられる。これらの中では良好な表面意匠性を得る目的で、タルク、マイカ、ウォラストナイト、カオリナイトが好ましい。これらは2種以上を併用してもよい。
無機充填材の含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、1〜60質量部である。無機充填材の含有量が1質量部未満の場合は補強効果が十分でない場合がある。また60質量部を超える場合は、外観や耐衝撃性が劣り、流動性が十分でない場合がある。無機充填材の好ましい含有量は3〜50質量部、特に好ましくは5〜30質量部である。
無機充填材は、樹脂組成物に含有させたときの熱安定性の観点から、平均粒子径0.01〜100μmのものをバインダーを用いて造粒した顆粒状のものが好ましい。平均粒子径が0.05〜50μm、更には0.1〜25μmであればより好ましい。平均粒子径が小さすぎると補強効果が不充分となり易く、逆に大きすぎても製品外観に悪影響を与えやすく、更に耐衝撃性も不十分となる場合がある。無機フィラーの最も好ましい平均粒子径は、0.2〜15μm、特に0.3〜10μmである。なお本発明において無機フィラーの平均粒子径とは、X線透過による液相沈降方式で測定されたD50をいう。このような測定ができる装置としては、Sedigraph粒子径分析器(Micromeritics Instruments社製「モデル5100」)が挙げられる。
顆粒状無機フィラーの原料である無機フィラーとしては、ウォラストナイト、タルク、マイカ、ゾノトライト、セピオライト、アタバルジャイト、カオリナイトなどの珪酸塩化合物;チタン酸カリウム、酸化アルミナ、酸化亜鉛などの複合酸化物;炭酸カルシウムなどの炭酸塩化合物;硫酸バリウム、硫酸カルシウムなどの硫酸塩化合物;黒鉛などの炭素系フィラー;シリカ;ガラスフレーク、ガラスビーズなどのガラス系フィラー;硼酸アルミニウム等が挙げられ、これらは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
<染顔料>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、染顔料を含有することができる。染顔料としては、例えば、無機顔料、有機顔料、有機染料があげられ、本発明における染顔料の含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し3質量部未満である。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック;カドミウムレッド、カドミウムイエロー等の硫化物系顔料;群青などの珪酸塩系顔料;酸化チタン、亜鉛華、弁柄、酸化クロム、鉄黒、チタンイエロー、亜鉛−鉄系ブラウン、チタンコバルト系グリーン、コバルトグリーン、コバルトブルー、銅−クロム系ブラック、銅−鉄系ブラック等の酸化物系顔料;黄鉛、モリブデートオレンジ等のクロム酸系顔料;紺青などのフェロシアン系顔料などが挙げられる。
有機顔料及び有機染料としては、例えば、銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系染顔料;ニッケルアゾイエロー等のアゾ系染顔料;チオインジゴ系、ペリノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系などの縮合多環染顔料;アンスラキノン系、複素環系、メチル系の染顔料などが挙げられる。
これらのなかでは、熱安定性の点から、酸化チタン、カーボンブラック、シアニン系、キノリン系、アンスラキノン系、フタロシアニン系化合物などが好ましい。
なお、染顔料は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。また、染顔料は、押出時のハンドリング性改良、樹脂組成物中への分散性改良の目的のために、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂とマスターバッチ化されたものも用いてもよい。
<その他>
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて本発明の目的を損なわない範囲で、帯電防止剤、防曇剤、滑剤・アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、防菌剤などを含有できる。これらは、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
[5.ポリカーボーネート樹脂組成物の製造方法]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂組成物を構成する各成分を混合して溶融混練することにより製造される。その方法としては、従来公知の熱可塑性樹脂組成物に適用される方法を適用できる。例えば、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、ドラムタンブラー、単軸又は二軸スクリュー押出機、コニーダーなどを使用する方法等が挙げられる。なお、溶融混練の温度は特に制限されないが、通常240〜320℃の範囲である。
[5.1 マスターバッチ]
<ポリカーボネート−ポリテトラフルオロエチレンマスターバッチ>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂、難燃剤、および難燃助剤としてのポリテトラフルオロエチレンおよびその他必要な成分を一括してブレンドする製造方法を用いてもよいが、以下に記載の、マスターバッチ配合物を得た後、該マスターバッチをポリカーボネート樹脂組成物と溶融混練する製造方法でもよい。具体的には、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、樹脂組成物中および成形品中のポリテトラフルオロエチレンの分散性を向上させるために、結晶構造が13/6らせん構造のポリテトラフルオロエチレンを、比表面積が0.01〜5mm/gで、60〜95質量%が180〜1700μmの粒径を有する粉粒体形状のポリカーボネート樹脂に配合することにより、最終配合量より多量のポリテトラフルオロエチレンを含有するポリカーボネート−ポリテトラフルオロエチレンマスターバッチを得た後、該マスターバッチを、ペレット形状あるいは粉粒体形状の必要量のポリカーボネート樹脂、所望する他の成分と溶融混練して、ポリカーボネート樹脂組成物を得る製造方法が好ましい。
ポリテトラフルオロエチレンは19℃以下で結晶構造が13/6らせん構造を有することから、19℃以下の状態で保持したポリテトラフルオロエチレンをポリカーボネート樹脂に配合することにより、ポリカーボネート−ポリテトラフルオロエチレンマスターバッチを得ることができる。
この際に、ポリカーボネート樹脂についても19℃以下の状態で保持したポリカーボネート樹脂を使用するのが好ましく、混合時の雰囲気温度が19℃以下であることがさらに好ましく、さらには配合後のポリカーボネート−ポリテトラフルオロエチレンマスターバッチを19℃以下で保持しておくのが特に好ましい。
ポリカーボネート−ポリテトラフルオロエチレンマスターバッチの製造方法はリボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、ドラムタンブラーなどを使用して混合する方法が挙げられるが、ドラムタンブラー使用が好ましい。ポリカーボネート−ポリテトラフルオロエチレンマスターバッチ中のポリフルオロエチレンの配合量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、20〜120質量部であることが好ましく、さらに好ましくは25〜100質量部である。このようなポリカーボネート−ポリテトラフルオロエチレンマスターバッチを製造時に溶融混練することで、成形品の外観がより良好になる。
<ポリカーボネート−金属塩系難燃剤マスターバッチ>
前述したように、本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、金属塩系難燃剤を配合することが好ましい。樹脂組成物および成形品中の金属塩系難燃剤の分散性を向上させ、その結果、安定した燃焼性を得るためには、金属塩系難燃剤を、比表面積が0.01〜5mm/gで、60〜95質量%が180〜1700μmの粒径を有する粉粒体形状のポリカーボネート樹脂に予め混合して、最終配合量より多量の金属塩系難燃剤を含有するポリカーボネート−金属塩系難燃剤マスターバッチを得た後、該マスターバッチをポリカーボネート樹脂と溶融混練してポリカーボネート樹脂組成物を得ることが好ましい。
ポリカーボネート−金属塩系難燃剤マスターバッチの製造方法はリボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、ドラムタンブラーなどを使用して混合する方法が挙げられるが、ヘンシェルミキサー使用が好ましい。ポリカーボネート−金属塩系難燃剤マスターバッチ中の金属塩系難燃剤の好ましい配合量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、0.5質量部以上、より好ましくは0.8質量部以上、さらに好ましくは1質量部以上であり、5質量部以下、より好ましくは4質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下である。
さらに、ポリカーボネート−金属塩系難燃剤マスターバッチは、前記ポリカーボネート−ポリテトラフルオロエチレンマスターバッチとともに製造時に溶融混練することで、得られたポリカーボネート樹脂組成物からの成形品は、外観がより良好になるだけでなく、燃焼性のばらつきも抑制することができる。
[6.成形方法]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、各種成形体の成形材料として使用できる。その際、適用できる成形方法は、射出成形法が好適に適用される。なお、ここでの射出成形法は、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)法、インサート成形法、IMC(インモールドコーティング成形)成形法等を含んだ広範囲の射出方法のことである。
[7.ポリカーボネート樹脂成形体]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、通常、任意の形状に成形してポリカーボネート樹脂成形体として用いることができる。この成形体の形状、模様、色彩、寸法などに制限はなく、その成形体の用途に応じて任意に設定すればよい。
成形体の例を挙げると、電気電子機器、OA機器、情報端末機器、機械部品、家電製品、車輌部品、建築部材、各種容器、レジャー用品・雑貨類、照明機器等の部品が挙げられる。これらの中でも、特に電気電子機器、OA機器、情報端末機器、家電製品、照明機器等の部品へ用いて好適であり、電気電子機器の部品に用いて特に好適である。
前記の電気電子機器としては、例えば、パソコン、ゲーム機、テレビなどのディスプレイ装置、プリンター、コピー機、スキャナー、ファックス、電子手帳やPDA、電子式卓上計算機、電子辞書、カメラ、ビデオカメラ、携帯電話、電池パック、記録媒体のドライブや読み取り装置、マウス、テンキー、CDプレーヤー、MDプレーヤー、携帯ラジオ・オーディオプレーヤー等が挙げられる。
以下に実施例および比較例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の例に限定されるものではない。なお、以下の実施例、比較例において「部」および「%」は、特に断りがない限り、「質量部」および「質量%」を意味する。
なお、実施例及び比較例で用いた測定・評価法および使用材料は、以下のとおりである。
1.測定・評価法
[難燃性評価]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の難燃性の評価は、後述の方法で得られたUL試験用試験片を温度23℃、湿度50%の恒温室の中で48時間調湿し、米国アンダーライターズ・ラボラトリーズ(UL)が定めているUL94試験(機器の部品用プラスチック材料の燃焼試験)に準拠して行なった。UL94Vとは、鉛直に保持した所定の大きさの試験片にバーナーの炎を10秒間接炎した後の残炎時間やドリップ性から難燃性を評価する方法であり、V−0、V−1及びV−2の難燃性を有するためには、以下の表1に示す基準を満たすことが必要となる。
Figure 2011168633
ここで残炎時間とは、着火源を遠ざけた後の、試験片の有炎燃焼を続ける時間の長さである。また、ドリップによる綿着火とは、試験片の下端から約300mm下にある標識用の綿が、試験片からの滴下(ドリップ)物によって着火されるかどうかによって決定される。さらに、5試料のうち、1つでも上記基準を満たさないものがある場合、V−2を満足しないとしてNR(not rated)と評価した。なお、評価結果を示す後記表中、「難燃性」と表記する。
[成形品外観]
本発明の成形品外観評価は、後述の方法で得られた5枚の平板成形板中のポリフルオロエチレンの凝集物の個数をカウントし、1枚あたりの平均値を求め、A〜Fの6段階で分類評価した。
A:平板成形板中のポリフルオロエチレン凝集物の数が0〜2個
B:平板成形板中のポリフルオロエチレン凝集物の数が3〜5個
C:平板成形板中のポリフルオロエチレン凝集物の数が6〜8個
D:平板成形板中のポリフルオロエチレン凝集物の数が9〜12個
E:平板成形板中のポリフルオロエチレン凝集物の数が13〜15個
F:平板成形板中のポリフルオロエチレン凝集物の数が16個以上
[耐衝撃性]
ISO多目的試験片(3mm)を用い、ISO179に準拠し、23℃の条件で、ノッチ有りシャルピー耐衝撃強度(単位:kJ/m)を測定した。なお、後記表中、「Charpy」と表記する。
2.使用材料
[芳香族ポリカーボネート樹脂(A)]
(A1)ポリ−4,4−イソプロピリデンジフェニルカーボネート:
三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名「ユーピロン(登録商標)S−3000F」、粘度平均分子量21,000、粉粒体形状のポリカーボネート樹脂、比表面積1.24mm/g、180〜1700μmの粒径が83質量%
(A2)ポリ−4,4−イソプロピリデンジフェニルカーボネート:
三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名「ユーピロン(登録商標)S−3000」、粘度平均分子量21,000、ペレット形状のポリカーボネート樹脂、比表面積0.003mm/g、180〜1700μmの粒径が1質量%以下(実質0質量%)
[難燃剤(B)]
(B1)縮合リン酸エステル系難燃剤:
レゾルシノールビス−2,6−キシレニルホスフェート
大八化学工業社製、商品名「PX−200」
(B2)金属塩系難燃剤−1:パーフルオロブタンスルホン酸カリウム
ランクセス社製、商品名「BayowetC4」
(B3)金属塩系難燃剤−2:パラトルエンスルホン酸ナトリウム
ケンブリッジインターナショナル社製、商品名「Chemguard−NATS」
[ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEともいう。)(C)]
フィブリル形成能を有する以下のポリテトラフルオロエチレンを下記条件(1)または(2)のいずれかで保持したPTFE−1、PTFE−2を使用した。
三井デュポンフロロケミカル社製、商品名「テフロン(登録商標)6J」
平均粒径470μm、カサ密度0.47g/ml
条件(1):19℃以下の温度で保持したもの(PTFE−1)
(結晶構造は13/6らせん構造である。)
条件(2):19℃を超えた温度で保持したもの(PTFE−2)
(結晶構造は15/7らせん構造である。)
[ポリカーボネート−ポリテトラフルオロエチレンマスターバッチ(以下、PC−PTFEマスターバッチという。)(D)]
(D1)PC−PTFEマスターバッチ−1:以下(a)〜(d)の配合方法のいずれかで製造したマスターバッチを使用した。
配合方法(a):19℃を超えた温度で保持した上記粉粒体形状のポリカーボネート樹脂(A1)60質量%と、PTFE−1、40質量%を、タンブラーミキサーで5分ブレンドしたもの
配合方法(b):19℃以下の温度で保持した上記粉粒体形状のポリカーボネート樹脂(A1)60質量%と、PTFE−1、40質量%を、19℃以下の雰囲気下、タンブラーミキサーで5分ブレンドしたもの
配合方法(c):配合方法(a)で得たマスターバッチを、19℃以下の雰囲気で低温エージング(保管)したもの
配合方法(d):19℃を超えた温度で保持した上記粉粒体形状のポリカーボネート樹脂(A1)60質量%と、PTFE−2、40質量%を、タンブラーミキサーで5分ブレンドしたもの
(D2)ポリカーボネート−PTFEマスターバッチ−2:以下の配合方法(e)で配合したマスターバッチ
配合方法(e):19℃を超えた温度で保持した上記粉粒体形状のポリカーボネート樹脂(A1)80質量%と、PTFE−1、20質量%を、タンブラーミキサーで5分ブレンドしたもの
[ポリカーボネート−金属塩マスターバッチ(E)]
(E1)ポリカーボネート−金属塩マスターバッチ−1:
99質量%の上記粉粒体形状のポリカーボネート樹脂(A1)と、1質量%の金属塩系難燃剤−1((B2)パーフルオロブタンスルホン酸カリウム)をヘンシェルミキサーで1分ブレンドしたもの
(E2)ポリカーボネート−金属塩マスターバッチ−2:
99質量%の上記粉粒体形状のポリカーボネート樹脂(A1)と、1質量%の金属塩系難燃剤−2((B3)パラトルエンスルホン酸ナトリウム)をヘンシェルミキサーで1分ブレンドしたもの
[リン系安定剤(F)]
トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト:
ADEKA社製、商品名「アデカスタブ2112」
[エラストマー(G)]
ブタジエン系ゴムからなるコアとメチルメタアクリレートからなるシェルとからなるコア/シェル型グラフト共重合体、ブタジエン含有率:80%
ロームアンドハース社製、商品名「EXL2603」
(実施例1〜20、比較例1〜3)
(A)〜(F)成分として表2〜3に示した材料を用い、各成分を、表2〜4に記した割合(全て質量%)で配合し、タンブラーにて20分混合した後、1ベントを備えた日本製鋼所社製二軸押出機(TEX30HSST)に供給し、スクリュー回転数200rpm、吐出量15kg/時間、バレル温度290℃の条件で混練し、ストランド状に押出された溶融樹脂組成物を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化し、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
次に、上述の製造方法で得られたペレットを120℃で5時間乾燥させた後、名機製作所社製のM150AII−SJ型射出成形機を用いて、シリンダー温度280℃、金型温度80℃の条件で射出成形し、平板状試験片(150mm×100mm×3mm厚)を成形した。
また、同様に上述の製造方法で得られたペレットを120℃で5時間乾燥させた後、日本製鋼所製のJ50−EP型射出成形機を用いて、シリンダー温度280℃、金型温度80℃の条件で射出成形し、長さ125mm、幅13mm、厚さ2mmのUL試験用試験片を成形した。
評価結果を表2〜4に示す。
Figure 2011168633
Figure 2011168633
Figure 2011168633
実施例に記載の樹脂組成物は、比較例に比べて、溶融混練時の生産性が良好であり、かつ、成形品外観も良好であることがわかる。また、PC−PTFEマスターバッチを用いた樹脂組成物は、マスターバッチを用いなかった例より成形品外観は良好であった。
実施例1〜20および比較例1〜3の樹脂組成物の燃焼性を2mm厚でUL94に準拠した方法で評価したところ、いずれもV−0であった。その中でPC−金属塩マスターバッチを用いた実施例10〜14および実施例16、19〜20は、燃焼性のバラツキが少なかった。難燃剤の分散性を高めた効果が現れていることがわかる。
一方比較例3の樹脂組成物は、PC−PTFEマスターバッチを用いているが、19℃を超える温度で保持したPTFEを用いたため、2mm厚みでV−0であったものの、実施例に比べ燃焼性のバラツキは大きかった。なお、生産安定性は比較例1および2よりは良好であった。
(実施例21〜24)
(A)〜(F)成分として表5に示した材料を用い、各成分を、表5に記した割合(全て質量%)で配合し、タンブラーにて20分混合した後、1ベントを備えた日本製鋼所社製二軸押出機(TEX30HSST)に供給し、スクリュー回転数200rpm、吐出量15kg/時間、バレル温度290℃の条件で混練し、ストランド状に押出された溶融樹脂組成物を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化し、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
次に、上述の製造方法で得られたペレットを120℃で5時間乾燥させた後、名機製作所社製のM150AII−SJ型射出成形機を用いて、シリンダー温度280℃、金型温度80℃の条件で射出成形し、平板状試験片(150mm×100mm×3mm厚)を成形した。
また、同様に上述の製造方法で得られたペレットを120℃で5時間乾燥させた後、日本製鋼所製のJ50−EP型射出成形機を用いて、シリンダー温度280℃、金型温度80℃の条件で射出成形し、長さ125mm、幅13mm、厚さ2mmのUL試験用試験片を成形した。
また、同様に上述の製造方法で得られたペレットを120℃で5時間乾燥させた後、住友重機械工業社製のサイキャップM−2、型締め力75Tを用いて、繊維状強化材を含まない場合はシリンダー温度280℃、金型温度80℃、成形サイクル45秒の条件で、繊維状強化材を含む場合はシリンダー温度300℃、金型温度110℃、成形サイクル45秒の条件で射出成形し、ISO多目的試験片(3mm)を成形した。
評価結果を表5に示す。
Figure 2011168633
実施例21〜24に記載の樹脂組成物は、実施例1〜20と同様に、溶融混練時の生産性が良好、かつ、成形品外観も良好であり、さらに、耐衝撃性に良好であることがわかる。
本発明の方法は、製造時の生産性が安定しており、成形品中のポリテトラフルオロエチレンの凝集物の発生がなく、外観性に優れ、かつ、安定した難燃性を有するポリカーボネート樹脂組成物を製造することができるので、得られた樹脂組成物は、電気電子機器、OA機器、情報端末機器、機械部品、家電製品、車輌部品、建築部材、各種容器、レジャー用品・雑貨類、照明機器等の部品、中でも、特に電気電子機器、OA機器、情報端末機器、家電製品、照明機器等の部品として好適であり、産業上の利用性は非常に高い。

Claims (16)

  1. ポリカーボネート樹脂、難燃剤、および難燃助剤としてのポリテトラフルオロエチレンを含有するポリカーボネート樹脂組成物を製造する方法であって、ポリカーボネート樹脂にポリテトラフルオロエチレンを配合するに際し、結晶構造が13/6らせん構造のポリテトラフルオロエチレンを用いることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
  2. 結晶構造が13/6らせん構造のポリテトラフルオロエチレンを、比表面積が0.01〜5mm/gで、60〜95質量%が180〜1700μmの粒径を有するポリカーボネート樹脂粉粒体に配合したマスターバッチを混合する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
  3. ポリテトラフルオロエチレンが、温度調整することにより結晶構造を13/6らせん構造とされることを特徴とする請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
  4. ポリテトラフルオロエチレンを、19℃以下で保持することを特徴とする請求項3に記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
  5. 結晶構造が13/6らせん構造のポリテトラフルオロエチレンを、比表面積が0.01〜5mm/gで、60〜95質量%が180〜1700μmの粒径を有するポリカーボネート樹脂粉粒体に配合したマスターバッチを混合して得られたポリカーボネート樹脂組成物を成形する際に、ポリテトラフルオロエチレンの結晶構造を15/7らせん構造にして成形することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
  6. 結晶構造が13/6らせん構造のポリテトラフルオロエチレンを、19℃以下の温度で保持した前記ポリカーボネート樹脂粉粒体に配合することを特徴とする請求項5に記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
  7. 得られたマスターバッチを19℃以下で保持した後、ポリカーボネート樹脂と混合することを特徴とする請求項5または6に記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
  8. 難燃剤が、縮合リン酸エステル系難燃剤および/または金属塩系難燃剤であることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
  9. 金属塩系難燃剤が、芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩であることを特徴とする請求項8に記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
  10. 金属塩系難燃剤が、含フッ素脂肪族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩であることを特徴とする請求項8に記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
  11. 含フッ素脂肪族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩が、パーフルオロブタンスルホン酸アルカリ(土類)金属塩であることを特徴とする請求項10に記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
  12. 金属塩系難燃剤を、比表面積が0.01〜5mm/g以上で、60〜95質量%が180〜1700μmの粒径を有するポリカーボネート樹脂粉粒体に配合したマスターバッチを混合する工程を含むことを特徴とする請求項8〜11のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
  13. ポリテトラフルオロエチレンの含有量が、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、0.05〜0.9質量部であることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
  14. 縮合リン酸エステル系難燃剤の含有量が、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、2〜25質量部であることを特徴とする請求項8に記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
  15. 金属塩系難燃剤の含有量が、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、0.01〜0.5質量部であることを特徴とする請求項8〜12のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
  16. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の製造方法で得られたポリカーボネート樹脂組成物を射出成形して得られた成形品。
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