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JP2011162669A - 多孔性ポリプロピレンフィルムロールおよびその製造方法 - Google Patents

多孔性ポリプロピレンフィルムロールおよびその製造方法 Download PDF

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JP2011162669A JP2010027179A JP2010027179A JP2011162669A JP 2011162669 A JP2011162669 A JP 2011162669A JP 2010027179 A JP2010027179 A JP 2010027179A JP 2010027179 A JP2010027179 A JP 2010027179A JP 2011162669 A JP2011162669 A JP 2011162669A
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Ryosuke Matsui
良輔 松井
Masatoshi Okura
正寿 大倉
Kazuma Okada
一馬 岡田
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Abstract


【課題】 溶融押出時におけるポリプロピレン中のアミド系化合物の巨大結晶化を抑制し、生産性、安全性に優れるセパレータ用途に好適な多孔性ポリプロピレンフィルムロールを提供すること。
【解決手段】 化学式(1)であらわされるアミド系化合物を含有する、β晶形成能が60〜90%であるポリプロピレン樹脂からなる多孔性フィルムを捲回した多孔性ポリプロピレンフィルムロールであって、フィルム中の前記アミド系化合物濃度が0.05〜0.4質量%であり、かつ前記アミド系化合物の濃度バラツキが50〜150%である多孔性ポリプロピレンフィルムロールとする。
−NHCO−R−CONH−R (1)
ただし、Rは芳香環、脂肪族環または炭素数2〜24の脂肪族炭化水素を示す。R、Rは芳香環または脂肪族環を示す。
【選択図】 なし

Description

本発明は、多孔性ポリプロピレンフィルムロールおよびその製造方法に関する。詳しくは、ポリプロピレンフィルムを多孔化するために添加するアミド系化合物の巨大結晶化形成による生産性の低下およびフィルム中の欠陥形成を防止することで、生産性、安全性に優れるセパレータに好適な多孔性ポリプロピレンフィルムロールおよびその製造方法に関する。
ポリプロピレンフィルムを微多孔化し貫通孔を形成した多孔性ポリプロピレンフィルムは透過性、低比重などの特性から電池や電解コンデンサーのセパレータや各種分離膜、衣料、医療用途における透湿防水膜など多岐に渡る用途へ展開されている。
ここで、ポリプロピレンフィルムを微多孔化する手法としては、様々な提案がなされている。微多孔化の方法を大別すると、湿式法と乾式法に分類することができる。湿式法とは、ポリプロピレンをマトリックス樹脂とし、シート化後に抽出する被抽出物を添加、混合してからシート化を行い、その後被抽出物の良溶媒を用いて被抽出物のみを抽出することで、マトリックス樹脂中に空隙を生成せしめる方法であり、種々の提案がなされている(たとえば、特許文献1参照)。一方、乾式法としては、たとえば溶融押出時に低温押出、高ドラフト比を採用することにより、シート化した延伸前のフィルム中のラメラ構造を制御し、これを長手方向に一軸延伸することでラメラ界面での開裂を発生させ、空隙を形成する方法(所謂、ラメラ延伸法)が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。また、乾式法として、無機粒子またはマトリックス樹脂であるポリプロピレンなどに非相溶な樹脂を粒子として多量添加し、シートを形成して延伸することにより粒子とポリプロピレン樹脂界面で開裂させ、空隙形成する方法も提案されている(たとえば、特許文献3参照)。さらには、ポリプロピレンの結晶多形であるα型結晶(α晶)とβ型結晶(β晶)の結晶密度の差と結晶転移を利用してフィルム中に空隙を形成させる、所謂β晶法と呼ばれる方法の提案も数多くなされている(たとえば、特許文献4〜6参照)。
この中で、特許文献6で使用されている、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキサミドに代表されるアミド系化合物をβ晶核剤として使用する場合、ポリプロピレン樹脂中に微分散したアミド系化合物が、溶融押出時に熱揺らぎによりポリプロピレン樹脂への溶解、析出を繰り返すことで、巨大結晶を形成することがあり、その結果フィルターへの目詰まりや溶融押出したシート中に流出することで粗大ボイドや貫通ピンホールの原因となることがあった。
そのため、たとえば特許文献7の実施例では、シート化する際の溶融押出温度を200℃に制御することで、アミド系化合物の巨大結晶化の発生し難い条件を採用しているが、そのためにポリプロピレン樹脂の溶融粘度が高い領域での溶融押出となるために、汎用の二軸配向ポリプロピレンフィルムに比較して、メルトフローレートが高いポリプロピレン樹脂を用いる必要があり、その結果充分な強度が得られない場合があるなどの課題があった。
特開昭55−131028号公報 特公昭55−32531号公報 特開昭57−203520号公報 特開昭63−199742号公報 特開平6−100720号公報 特開平9−255804号公報 特開2006−89727号公報
本発明の課題は、上記した問題点を解決することにある。すなわち、本発明は、溶融押出時におけるポリプロピレン中のアミド系化合物の巨大結晶化を抑制することで、フィルター目詰まりを低減し、フィルター寿命の長時間化を達成し、なおかつフィルムに流出することにより粗大ボイドが生成することを抑制することで、生産性、安全性に優れるセパレータ用途に好適な多孔性ポリプロピレンフィルムロールを提供することを目的とする。
上記した課題を解決するための本発明は、以下の特徴を有する。
(1)化学式(1)であらわされるアミド系化合物を含有する、β晶形成能が60〜90%であるポリプロピレン樹脂からなる多孔性フィルムを捲回した多孔性ポリプロピレンフィルムロールであって、フィルム中の前記アミド系化合物濃度が0.05〜0.4質量%であり、かつ前記アミド系化合物の濃度バラツキが50〜150%である多孔性ポリプロピレンフィルムロール。
−NHCO−R−CONH−R (1)
ただし、Rは芳香環、脂肪族環または炭素数2〜24の脂肪族炭化水素を示す。R、Rは芳香環または脂肪族環を示す。
(2)平均空孔率が65〜85%である、上記(1)に記載の多孔性ポリプロピレンフィルムロール。
(3)空孔率バラツキが15%以下である、上記(1)または(2)に記載の多孔性ポリプロピレンフィルムロール。
(4)上記化学式(1)であらわされるアミド系化合物の濃度が異なる複数のポリプロピレン樹脂組成物を混合して溶融押出する、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の多孔性ポリプロピレンフィルムロールの製造方法。
本発明によれば、溶融押出時のフィルター寿命の長期間化に貢献し、なおかつ蓄電デバイス用のセパレータとして用いたときに、蓄電デバイスの特性を損ねる大きさの巨大化した核剤、およびそれに伴い粗大ボイドの生成を抑制することができ、生産性、安全性に優れるセパレータ用途に好適な多孔性ポリプロピレンフィルムロールを得ることができる。
従来の多孔性ポリプロピレンフィルムロールは、アミド系化合物を含有させることで、多孔化のきっかけとなるポリプロピレンのβ晶形成能が高まる一方で、含有させるアミド系化合物が溶融ポリプロピレン樹脂中で巨大結晶を形成し、フィルム中に流出してフィルム欠点となったり、溶融押出時のフィルター目詰まりの原因となったりすることがあり、アミド系化合物が生産性低下の原因となり得る場合もあった。そこで、本発明では、アミド系化合物の添加濃度を不均一とすることで、添加する効果は維持したまま、フィルター目詰まりの原因となる巨大結晶化を抑制できることを見出した。以下、詳細に説明する。
本発明における多孔性フィルムを構成するポリプロピレン樹脂は、メルトフローレート(MFR、条件230℃、2.16kg)が2〜30g/10分の範囲のアイソタクチックポリプロピレン樹脂であることが好ましい。MFRが2〜15g/10分であれば高空孔率と製膜安定性だけでなく、機械特性にも優れるという点でより好ましい。ここで、MFRはJIS K 7210(1995)で規定されている、樹脂の溶融粘度を示す指標であり、ポリオレフィン樹脂の特徴を示す物性値として広く用いられているものである。ポリプロピレン樹脂の場合はJIS K 7210の条件M、すなわち温度230℃、荷重2.16kgで測定を行う。
また、アイソタクチックポリプロピレン樹脂のアイソタクチックインデックスが90〜99.9%であれば、結晶性が高いために効率よく空隙をフィルム中に形成することができるので好ましい。アイソタクチックインデックスが90%未満であると高透気性の多孔性フィルムを得ることが困難な場合がある。
本発明における多孔性フィルムは、上記したアイソタクチックポリプロピレン樹脂100質量%から構成されてもよいが、高い透気性、空孔率を実現する観点からアイソタクチックポリプロピレン樹脂を99.9〜90質量%含むポリオレフィン樹脂から構成されてもよい。耐熱性の観点から99〜92質量%がアイソタクチックポリプロピレン樹脂であればより好ましい。
ここで、ポリプロピレン樹脂とはプロピレンの単独重合体であるホモポリプロピレンはもちろんのこと、コモノマー残基を含むポリプロピレン共重合体であってもよい。コモノマーとしては、不飽和炭化水素が好ましく、たとえばエチレンやα−オレフィンである1−ブテンや1−ペンテン、4−メチルペンテン−1、1−オクテンを挙げることができる。ポリプロピレンへのこれらコモノマーの共重合率は好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。
本発明における多孔性フィルムはエチレン・α−オレフィン共重合体を0.1〜10質量%含んでなるポリプロピレン樹脂から構成されることが、高透気性、高空孔率を実現する観点から好ましい。2〜10質量%であるとより好ましく、3〜8質量%であれば特に好ましい。ここで、エチレン・α−オレフィン共重合体としては直鎖状低密度ポリエチレンや超低密度ポリエチレンなどを挙げることができ、中でも、1−オクテンを共重合したエチレン・1−オクテン共重合体からなる超低密度ポリエチレンを好ましく用いることができる。これらエチレン・α−オレフィン共重合体は市販されている、たとえばダウ・ケミカル製“Engage(エンゲージ)(登録商標)”(タイプ名:8411、8452、8100など)を用いることができる。
本発明における多孔性フィルムは、フィルムの両表面を貫通し、透気性を有する孔(以下、貫通孔という)を有している。この貫通孔は、ポリプロピレンの結晶多形であるα晶とβ晶の結晶密度の差を利用して、樹脂中に開孔を形成する、所謂β晶法を採用して形成せしめることで、均一な特性、薄膜化、高空孔率化を達成することができる。
β晶法を用いてフィルムに貫通孔を形成するためには、ポリプロピレン樹脂のβ晶形成能が60〜90%であることが望ましい。β晶形成能が60%未満ではフィルム製造時の条件変動により、β晶量が充分に形成されないために、フィルム中に形成される空隙数が少なくなる場合があり、その結果、透過性に劣るフィルムしか得られない場合がある。一方、β晶形成能が90%を超えるようにするのは、後述するβ晶核剤を多量に添加したり、使用するポリプロピレン樹脂の立体規則性を極めて高くしたりする必要があり、製膜安定性が悪化するなど工業的な価値が低くなる場合がある。工業的にはβ晶形成能は65〜90%が好ましく、70〜90%が特に好ましい。
β晶形成能を60〜90%に制御するためには、アイソタクチックインデックスの高いポリプロピレン樹脂を使用したり、β晶核剤と呼ばれる、ポリプロピレン樹脂中に添加することでβ晶を選択的に形成させる結晶化核剤を添加剤として用いたりすることが望ましい。β晶核剤としては種々の顔料系化合物やアミド系化合物を好ましく用いることができる。
本発明における多孔性フィルムには、下記化学式(1)であらわされるアミド系化合物を含有せしめることが特に好ましい。下記化学式(1)で表されるアミド系化合物を用いることで、上記した高いβ晶形成能を達成することが容易になる。
−NHCO−R−CONH−R (1)
ただし、Rは芳香環、脂環または炭素数2〜24の脂肪族炭化水素を示す。R、Rは脂環または芳香環を示す。より好ましくは、Rは脂環族炭化水素であり、具体的には、シクロへキサンやシクロヘプタン、シクロオクタンを挙げることができる。また、R、Rはより好ましくは芳香環であり、具体例としてベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環を挙げることができる。
具体的には、N,N’−ジフェニルヘキサンジアミドや、N,N’−ジシクロヘキシルテレフタルアミド、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキサミドなどを挙げることができ、特にN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキサミドが好ましい。
また、多孔性フィルム中の上記アミド系化合物の含有量としては、0.05〜0.4質量%であることが好ましく、0.1〜0.35質量%であればより好ましい。
本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムロールは、フィルム中のアミド系化合物含有量が上記望ましい範囲内において、50〜150%の範囲で上記アミド系化合物の濃度バラツキが存在することが望ましい。ここで、濃度バラツキとは、平均濃度に対する極大濃度と極小濃度との差の比率のことである。上記アミド系化合物がフィルムロール中の任意の場所で0.05〜0.4質量%の範囲でフィルム中に存在し、かつ上記した濃度バラツキを有することで、その濃度に依存せず同等の多孔性フィルムを得ることができるβ晶形成能をポリプロピレンに付与することができる。
一般に、溶融ポリプロピレン樹脂中にアミド系化合物が存在する場合、その濃度が高いと、ポリマー流路中の滞留部、特にフィルター内の滞留部において巨大結晶化が発生しやすい。また、濃度が低い場合であっても、熱ゆらぎによる巨大結晶化が起こることがある。このようにして発生した巨大結晶は、滞留部から徐々に流出し、最終フィルムにおいて欠点の原因となる。そこで、本発明においては、上記アミド系化合物の含有量を0.05〜0.4質量%の範囲内で積極的に変化させることにより、上記の巨大結晶化を防ぐこととした。すなわち、例えばフィルター内でアミド系化合物濃度の高い原料が滞留しても、引き続いて供給されるアミド系化合物濃度の低い原料により置き換わり、巨大結晶を発生させる環境要因を取り除くことができる。また、アミド系化合物濃度の低い原料が滞留した場合でも、同様に原料が置き換わることにより、巨大結晶化を発生しにくくすることができる。
このように、供給する原料のアミド系化合物含有量を制御すれば、その含有量に応じて、アミド系化合物の含有量が0.05〜0.4質量%の範囲内で変化している多孔性フィルムを得ることになるが、変化量がこの範囲内であり、かつ、上記したその濃度バラツキが50〜150%の範囲内であれば、例えば電池用セパレータ等への使用には支障がない。
より好ましい濃度バラツキとしては70〜130%、さらに好ましくは80〜120%である。
また、アミド系化合物の濃度バラツキは周期的であっても、不規則であっても良いが、制御がし易いという観点から周期的に変動させることが好ましく、周期性は10分〜3時間であることが好ましい。また、15分〜2時間の周期性であればより好ましく、20分〜1時間であれば特に好ましい。また、濃度バラツキの変動の周期性は正弦波的、直線的、等差数列的、等比数列的、その他どの様な周期性であってもよい。
上記したアミド系化合物の濃度バラツキは、アミド系化合物の含有量(濃度)が異なる複数のポリプロピレン樹脂を用い、それら樹脂の混合濃度を適宜変化させながら押出機に供給することで実現可能である。好ましくは、アミド系化合物を含有するポリプロピレン樹脂と含有しないポリプロピレン樹脂を各々原料フィーダーに入れ、押出機への供給量を変化させながら原料フィードすることで、混合比率を連続的に変化させることである。また、アミド系化合物を含む樹脂チップと含まない樹脂チップ(または、アミド系化合物濃度の異なる複数の樹脂チップ)を混合して押出ホッパーに供給した後、チップ同士が分級することで濃度バラツキをつけることも可能であるが、アミド系化合物含有量が上記した望ましい範囲を下回ったり、逆に上回ったりする場合があるので、前者のように強制的に混合量を変更する方法を好ましく採用することができる。さらに、アミド系化合物の含有量を、たとえば0.05質量%と0.4質量%の2種類の樹脂チップを用意すれば、後者の分級させる方法を用いても最低必要濃度以上でかつ濃度上限を超えることのないフィルムを得ることができる。
本発明における多孔性フィルムは、フィルム厚みが10〜50μmであることが好ましい。厚みが10μm未満では使用時にフィルムが破断する場合があり、50μmを超えると蓄電デバイス内に占める多孔性フィルムの体積割合が高くなりすぎてしまい、高いエネルギー密度を得ることができなくなる。フィルム厚みは12〜30μmであればより好ましく、14〜25μmであればなお好ましい。また、本発明における多孔性フィルムは、組成の異なる、もしくは同一組成からなる複数の層を積層してなる積層フィルムであってもよい。
本発明における多孔性フィルムには、本発明の効果を損なわない範囲において、酸化防止剤、熱安定剤や帯電防止剤、さらにはブロッキング防止剤や充填剤などの各種添加剤を含有させてもよい。特に、ポリプロピレン樹脂を用いる場合、ポリプロピレン樹脂の熱履歴による酸化劣化を抑制する目的で、ポリプロピレン樹脂100質量部に対して酸化防止剤を0.01〜0.5質量部添加することが好ましい。
上記した多孔性フィルムをコア上に捲回した本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムロールは、平均空孔率が65〜85%であることが好ましい。平均空孔率が65%未満ではフィルムを蓄電デバイスのセパレータとして使用したときに電気抵抗が大きくなり、高出力用途に用いると電池内部で発熱し、エネルギーを損失する場合がある。一方、平均空孔率が85%を超えると、フィルムの機械強度が低くなりすぎて、蓄電デバイス用のセパレータとして使用する際の特性に影響を及ぼす程度までフィルム構造に影響する場合がある。優れたセパレータ特性と機械強度を両立させる観点からフィルムロールの平均空孔率は70〜85%であればより好ましい。フィルムロールの平均空孔率をかかる好ましい範囲に制御する方法としては、特に限定されるものではないが、上記したとおり、ポリプロピレン樹脂中にエチレン・α−オレフィン共重合体を0.1〜10質量%を含ませ、後述する逐次二軸延伸により貫通孔を形成することにより望ましい空孔率範囲に制御することができる。
また、本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムロールの空孔率バラツキは15%以下であることが好ましい。ここでの空孔率バラツキとは空孔率の絶対値のバラツキではなく、後述する評価方法において、平均空孔率に対する極大空孔率と極小空孔率の差の割合を意味している。空孔率バラツキは0〜10%であればより好ましく、0〜5%であれば特に好ましい。空孔率バラツキを上記好ましい範囲内に制御する方法としては、以下の3つの条件を挙げることができ、これらのうち複数の条件を同時に満たすことが望ましい。
まず第1の条件として、冷却速度の制御を挙げることができる。
本発明における多孔性フィルムは、シート状に溶融押出したポリマーを105〜130℃に加熱したキャストドラム上で加熱し、10〜30秒間保持することで、β晶を未延伸フィルム中に多量に形成する。その際、ドラム上で105〜130℃の温度範囲で結晶化させた後、常温に直ちに冷却するのではなく、60〜95℃、好ましくは70〜90℃に加熱したロールを用いて、冷却速度を緩め、徐冷することが均一性を向上させる観点で望ましい。
第2の条件として、α晶化の促進を挙げることができる。
フィルムの多孔化に際しては、未延伸フィルムを再度加熱し、長手方向への延伸工程でβ晶からα晶に結晶転移させることで、結晶密度の差によりフィルム中に空隙(初期孔)を形成するが、その際、長手方向の延伸によりβ晶をα晶に完全に転移させ、その上で、延伸終了後に115〜135℃に加熱することでポリプロピレンの結晶(α晶)化を促進させることが望ましい。通常の逐次二軸延伸では長手方向に延伸する場合、延伸終了後は直ちにフィルムを冷却することが均一な平面性のフィルムを得る観点から望ましいが、本発明では、長手方向の延伸でβ晶からα晶に完全に結晶転移させ、延伸後のロールを加熱することで、一軸延伸フィルムの結晶化度を高めることができ、その結果、次の幅方向への延伸工程での均一なフィブリル開裂を促進し、均一な透過性能、空孔率を得られると考えられる。
第3の条件として、延伸の条件を挙げることができる。
長手方向に一軸延伸を行ったフィルムを幅方向に延伸する際に、最終の延伸倍率を5〜10倍、好ましくは5〜8倍とすることが均一性の観点から望ましく、さらに、その際の延伸速度として、延伸倍率が4倍に達するまでは3,000%/分以下とすることが望ましい。延伸倍率が4倍を超え最終的な倍率に至るまでの領域においては、生産性の観点から高速延伸としても物性の均一性を達成する上で影響は少ない。
以下に本発明における多孔性フィルムおよび同フィルムをコア上に捲回した多孔性ポリプロピレンフィルムロールの製造方法を具体的に説明する。なお、本発明はこれら製造方法に限定されるものではない。
まず、ポリプロピレン樹脂として、MFRが3g/10分の市販のホモポリプロピレン樹脂97質量部、さらにメルトインデックス18g/10分の超低密度ポリエチレン樹脂3質量部にアミド系化合物としてN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド0.3質量部を混合し、二軸押出機を使用して予め所定の割合で混合した原料を準備する。この際、溶融温度は290〜310℃とすることが好ましい。溶融温度が290℃未満では、アミド系化合物がポリプロピレン樹脂に溶解しないまま樹脂中に混練されてしまい、フィルター詰りの原因やフィルム欠点の原因となってしまう場合がある。一方、310℃を超えると、ポリプロピレン樹脂が熱劣化してしまう場合がある。混合原料を溶融押出し、ストランド状に押出し、25℃の水浴で急冷固化し、カッターでサイコロ状に切断して原料チップを得る。
次に、上記の混合原料チップとアミド系化合物を含まないポリプロピレン樹脂を各々原料フィーダーに入れ、その混合質量比率が1:4〜4:1の範囲で、かつ1周期30分で連続的に変化させながら単軸の溶融押出機に供給し、200〜280℃にて溶融押出を行う。この際、超低密度ポリエチレンのゲル化防止などの観点から酸化防止剤を追添することは好ましいことである。そして、ポリマー管の途中に設置したフィルターにて異物や変性ポリマーなどを除去した後、Tダイよりキャスティングドラム上に吐出し、キャストフィルム(シート)を得る。この際、キャスティングドラム(金属ドラム)は上記した通り、表面温度が100〜130℃であることが、キャストフィルムのβ晶分率を高く制御する観点から好ましい。また、上記したように複数のキャスティングドラムを使用することは望ましいことである。このようにして得られたキャストフィルムのβ晶分率は、好ましくは40〜80%であることが貫通孔の形成を均一にする観点から好ましい。β晶分率は45〜80%であればより好ましく、50〜75%であれば特に好ましい。また、シートをドラムへ密着させるためにエアナイフを用いて空気を吹き付ける方法を採用することが好ましい。
このようにして得られたキャストフィルムを二軸延伸して、フィルム中に空孔(貫通孔)を形成する。二軸延伸の方法としては、フィルム長手方向に延伸後、幅方向に延伸、あるいは幅方向に延伸後、長手方向に延伸する逐次二軸延伸法、またはフィルムの長手方向と幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸法などを用いることができるが、高透気性フィルムを得やすいという点で逐次二軸延伸法を採用することが好ましく、特に長手方向に延伸後、幅方向に延伸することが好ましい。
具体的な延伸条件としては、まずキャストフィルムを長手方向に延伸可能な温度に制御する。温度制御の方法は、温度制御された回転ロールを用いる方法、熱風オーブンを使用する方法などを採用することができる。長手方向の延伸温度としてはフィルム特性とその均一性の観点から、フィルム温度を110〜140℃、さらに好ましくは120〜135℃の温度を採用することが好ましい。延伸倍率としては4.5〜6倍、より好ましくは4.8〜6倍、5〜6倍だと特に好ましい。長手方向への延伸工程で、キャストフィルム中に形成されていたポリプロピレンのβ晶を全て消滅させ、フィルム中の結晶をα晶のみにすることが優れた特性を得る観点で好ましい。
次に、一軸延伸ポリプロピレンフィルムをステンター式延伸機にフィルム端部を把持させて導入する。そして、好ましくは140〜155℃に加熱して幅方向に5〜12倍、より好ましくは6〜9倍延伸を行う。なお、このときの幅方向への延伸速度としては500〜6,000%/分で行うことが好ましく、1,000〜5,000%/分であればより好ましい。
ついで、そのままステンター内で熱固定を行うが、その温度は幅方向の延伸温度〜幅方向の延伸温度+15℃でなおかつ163℃未満が好ましい。また、熱固定時間は5〜30秒間であることが好ましい。さらに、熱固定時にはフィルムの長手方向および/もしくは幅方向に弛緩させながら行ってもよく、特に幅方向の弛緩率を7〜15%とすることが、熱寸法安定性の観点から好ましい。
本発明の多孔性フィルムは、紙、プラスチック、金属などからなり、フィルムの幅以上の幅を有する管(コア)を巻芯にして、このコア上にフィルムを長手方向に少なくとも100m以上連続して捲回した(巻き取った)フィルムロールとして供給することが好ましい。長手方向のフィルム長さは、より好ましくは500〜10,000mである。多孔性フィルムの場合、あまり長尺で巻き取ると、フィルムの自重でフィルムが押し潰されてしまうため、700〜5,000mであるとより好ましく、1,000〜3,000mであればさらに好ましく、1,000〜2,000mであれば特に好ましい。また、フィルム幅は、特に限定されないが、通常の製膜装置であれば、0.005〜10m幅で製造することが可能であり、その後、0.005〜2m幅にスリットして巻取ることが好ましい。スリット後の幅は、使用する用途、蓄電デバイスであればそのサイズに合わせて適切な幅にスリットすることが好ましく、0.005〜1m幅、より好ましくは0.01〜0.5m幅とすることが好ましい。
本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムロールは、上述したようにアミド系化合物濃度を積極的に不均一とすることで、巨大結晶化を抑制できることを見出し、溶融押出時のフィルター寿命の長期間化に貢献し、なおかつ蓄電デバイス用のセパレータとして用いたときに、蓄電デバイスの特性を損ねる大きさの巨大化した核剤、およびそれに伴い生じる粗大ボイドの生成を抑制することができ、生産性、安全性に優れるセパレータ用途に好適な多孔性ポリプロピレンフィルムロールを得ることができる。
上記した蓄電デバイスとしては、たとえば、リチウムイオン二次電池やリチウムイオンキャパシタ、電気二重層キャパシタを挙げることができ、本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムロールはこれら蓄電デバイス用のセパレータとして好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。なお、特性は以下の方法により測定、評価を行った。
(1)β晶形成能
樹脂またはフィルム5mgを試料としてアルミニウム製のパンに採取し、示差走査熱量計(セイコー電子工業製RDC220)を用いて測定した。まず、窒素雰囲気下で室温から240℃まで10℃/分で昇温(ファーストラン)し、10分間保持した後、20℃まで10℃/分で冷却する。5分保持後、再度10℃/分で昇温(セカンドラン)した際に観測される融解ピークについて、145〜157℃の温度領域にピークが存在する融解をβ晶の融解ピーク、158℃以上にピークが観察される融解をα晶の融解ピークとして、高温側の平坦部を基準に引いたベースラインとピークに囲まれる領域の面積から、それぞれの融解熱量を求め、α晶の融解熱量をΔHα、β晶の融解熱量をΔHβとしたとき、以下の式で計算される値をβ晶形成能とする。なお、融解熱量の校正はインジウムを用いて行った。
β晶形成能(%) = 〔ΔHβ / (ΔHα + ΔHβ)〕 × 100
なお、ファーストランで観察される融解ピークから同様にβ晶の存在比率を算出することで、その試料の状態でのβ晶分率を算出することができる。
(2)透気抵抗
フィルムから100mm×100mmの大きさの正方形を切取り試料とした。JIS P 8117(1998)のB形ガーレー試験器を用いて、23℃、相対湿度65%にて、100mlの空気の透過時間の測定を行った。測定は試料を替えて3回行い、透過時間の平均値をそのフィルムの透気性とした。なお、フィルムに貫通孔が形成されていることは、この透気性の値が有限値であることをもって確認できる。
(3)平均空孔率および空孔率バラツキ
フィルムロールの幅方向の中央位置を、長手方向に任意の場所から連続して、50mm(長手方向)×30mm(幅方向)の大きさの矩形にフィルムを60個切取りサンプルとした。電子比重計(ミラージュ貿易(株)製SD−120L)を用いて、室温23℃、相対湿度65%の雰囲気にて比重(ρ)の測定を行った。
次に、測定したフィルムロールから任意の場所から3箇所切取り、280℃、5MPaで熱プレスを行い、その後、25℃の水で急冷して、空孔を完全に消去したシートを作成した。このシートの比重を上記した方法で同様に測定し、3箇所の比重の平均値を樹脂の比重(d)とした。なお、後述する実施例においては、いずれの場合も樹脂の比重dは0.91であった。フィルムの比重と樹脂の比重から、以下の式により空孔率を算出した。
空孔率(%) = 〔( d − ρ ) / d 〕 × 100
各サンプル(60個)について、空孔率を算出し、その相加平均値を平均空孔率(εave)とした。また、最も高い空孔率を極大空孔率(εmax)、最も低い空孔率を極小空孔率(εmin)とし、空孔率バラツキ(%)を〔(εmax−εmin)/εave〕×100で算出した。
(4)アミド系化合物濃度およびその濃度バラツキ
アミド系化合物の濃度はフィルム化を通じて保存されるため、原料仕込み時の濃度をもってアミド系化合物濃度およびその濃度バラツキとする。
原料仕込み時の濃度が不明のときは、デカリンを溶媒として用いてポリプロピレン中の添加剤など化合物を抽出した抽出液を作成し、高速液体クロマトグラフィーを用いることで定量する。具体的には、フィルムをデカリンに加えてポリプロピレン樹脂中のアミド系化合物や酸化防止剤などを抽出させたのち、高速液体クロマトグラフィーにより定量する。なお、予め秤量したアミド系化合物、酸化防止剤の添加量が既知の標準ポリプロピレン樹脂を作成し、同様の測定を行うことで、検量線を作成しておくことで、ポリプロピレン中のアミド系化合物濃度を定量することができる。
また、濃度バラツキは、少なくともフィルムロールの長さ方向に1000m以上となる長さの範囲で、サンプリング間隔が均等となるように5箇所からサンプルを採取して、アミド系化合物濃度を定量し、その濃度の平均値(相加平均)、極大値および極小値から求める。
(5)生産性(フィルター寿命)
濾過精度30μmの焼結フィルター(有効面積78.5cm)をスクリーンフィルターとして用いて、一軸押出機(シリンダー径50mm、L/D=28)を用いて吐出量15kg/hで、下記の各実施例、比較例を各々3時間連続で実施し、押出圧力の変化を以下の基準で評価した。
A級:初期圧に対して3時間後の圧力上昇が0.5MPa未満
B級:初期圧に対して3時間後の圧力上昇が0.5MPa以上、2MPa未満
C級:初期圧に対して3時間後の圧力上昇が2MPa以上、5MPa未満
D級:初期圧に対して3時間後の圧力上昇が5MPa以上
(6)フィルム欠点密度
フィルムを幅200mmでスリットしたフィルムロール(長さ80m)を用意し、巻出機と巻取機を備えた欠点検出器でフィルムの透過光量を測定した。光源には、長さ750mm、直径φ10mmの円柱状のロッドレンズを用い、ロッドレンズの端面から250Wのメタルハライド光源の光を入射した。フィルムの一方の面から光源を18mm離して設置し、照射した光の光量をもう一方の面から検出した。検出器とフィルムの距離は220mmとした。検出器としてはエレクトロセンサリデバイス(株)社製CCDラインセンサカメラE7450Dとニコン社製カメラレンズAiMicro−Nikkor55mmF2.8Sを用い、以下の条件で検査した。
フィルムを5m/分で走行させ、フィルムの透過光量を長さ52mについて全幅で測定した。その中で、平均透過光量に比較し、透過光量が3倍以上となる点の個数を計数し、評価面積10mで割返すことで、欠点密度を算出した。なお、平均透過光量はフィルムロールの測定開始直後と測定終了直前の各々長さ1m分の透過光量を測定し、その平均値を用いた(なお、当該部分は欠点評価からは除外した)。測定条件は下記の通り。
幅方向分解能 :20μm/pixel
長さ方向分解能:20μm/pixel
視野幅 :中央部200mm幅
スキャンレート:9,500
絞り :16F
得られた欠点密度を以下の基準で評価した。
A級:欠点密度が0.5個/m未満
B級:欠点密度が0.5個/mを超え、1個/m未満
C級:欠点密度が1個/m以上
(実験例1)
アミド系化合物を含有するポリプロピレン樹脂として、住友化学(株)製ホモポリプロピレンFLX80E4(MFR:7g/10分、以下、PP−1と表記)を99.5質量部、アミド系化合物であるN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキサミド(新日本理化(株)製、Nu−100、以下、単にアミド系化合物と表記)を0.3質量部、さらに酸化防止剤であるチバ・スペシャリティ・ケミカルズ製IRGANOX1010、IRGAFOS168を各々0.1質量部となるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し、305℃で溶融混練を行い、400メッシュの金網フィルターを通した後、ストランド状にダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてアミド系化合物を0.3質量%含有するチップ原料(以下、単にβ−1と表記)とした。
(実験例2)
上記β−1を10質量部、PP−1を90質量部の割合で混合するように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し、305℃で溶融混練を行い、400メッシュの金網フィルターを通した後、ストランド状にダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてアミド系化合物を0.03質量%含有するチップ原料(以下、単にβ−2と表記)とした。
(実験例3)
PP−1を99.3質量部、アミド系化合物を0.5質量部に変更する以外は実験例1と同様に原料調整を行い、アミド系化合物を0.5質量%含有するチップ原料(以下、単にβ−3と表記)とした。
以上のようにして得られたアミド系化合物含有ポリプロピレン樹脂を用いて、以下の実施例を行った。
(実施例1)
β−1とβ−2を質量比で5:1〜1:2の範囲(アミド系化合物濃度0.12〜0.26質量%)で、周期30分となるように混合比を正弦波的に変更しながら一軸押出機に供給し、210℃で溶融押出を行い、濾過精度30μmカットの焼結フィルターを通して、Tダイから115℃に表面温度を制御したキャストドラムに吐出し、ドラムに15秒間密着するようにエアナイフを用いてキャストし、さらに80℃に表面温度を制御した金属ロール上で3秒間徐冷して未延伸シートを得た。
ついで、123℃に加熱したセラミックロールを用いて加熱を行い、同じく123℃に加熱したロールと125℃に加熱したロールの周速差を利用して、フィルムの長手方向に5倍延伸を行った。延伸後に125℃に加熱したロール群でトータル2秒間処理した後、30℃に温度制御したロールで冷却を行った。
次にテンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、150℃で幅方向に7倍延伸した。その際、延伸速度は延伸開始から終了まで1,400%/分一定で延伸した。そして、幅方向に10%のリラックスを掛けながら155℃で6秒間の熱処理を行い、その後、外径172.4mmの紙管に張力15Nで1,000mずつ巻取って、厚み25μmの多孔性ポリプロピレンフィルムロールを得た。製膜は3時間連続で行い、押出機のヘッド部に設置した圧力計で押出圧力をモニターすることで、上記(5)の生産性の評価を行った。また、最後に巻取ったフィルムロールの表層から80mを幅200mmにスリットして、上記(6)の欠点密度の評価を行った。
(実施例2)
β−1とβ−2を質量比で9:1〜1:9の範囲(アミド系化合物濃度0.06〜0.27質量%)で、周期50分で押出機に供給する以外は実施例1と同様に多孔性フィルムロールの製膜を実施した。
(実施例3)
β−3とPP−1を質量比で3:2〜1:4の範囲(アミド系化合物濃度0.1〜0.3質量%)で、周期2時間で混合比を正弦波的に変更しながら押出機に供給し、実施例1と同様にTダイから110℃に表面温度を制御したキャストドラムに吐出し、ドラムに15秒間密着するようにエアナイフを用いてキャストし、さらに60℃表面温度を制御した金属ロール上で3秒間徐冷して未延伸シートを得た。
ついで、120℃に加熱したセラミックロールを用いて加熱を行い、同じく120℃に加熱したロールと100℃に加熱したロールの周速差を利用して、フィルムの長手方向に4.8倍延伸を行った。延伸後に100℃に加熱したロール群でトータル2秒間処理した後、30℃に温度制御したロールで冷却を行った。
次にテンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、150℃で幅方向に6倍延伸した。その際、延伸速度は延伸開始から終了まで1,150%/分一定で延伸した。そして、幅方向に10%のリラックスを掛けながら155℃で6秒間の熱処理を行い、その後、外径172.4mmの紙管に張力15Nで1,000mずつ巻取って、厚み25μmの多孔性ポリプロピレンフィルムロールを得た。製膜は3時間連続で行い、押出機のヘッド部に設置した圧力計で押出圧力をモニターすることで、上記(5)の生産性の評価を行った。また、最後に巻取ったフィルムロールの表層から80mを幅200mmにスリットして、上記(6)の欠点密度の評価を行った。
(実施例4)
β−3とPP−1の混合比変化の周期を30分、変化を直線的とする以外は実施例3と同様にして多孔性フィルムロールの製膜を実施した。
(比較例1)
β−1とβ−2を8:2の質量比で混合して、アミド系化合物濃度0.25質量%で一定となる条件とした以外は実施例1と同様に多孔性フィルムロールの製膜を実施した。
(比較例2)
β−3とPP−1を9:1〜1:19の範囲(アミド系化合物濃度0.03〜0.45質量%)で、周期40分で押出機に供給する以外は実施例1と同様に多孔性フィルムロールの製膜を実施した。
(比較例3)
β−1とβ−3を2:1〜1:2の範囲(アミド系化合物濃度0.37〜0.43質量%)で、周期2時間で押出機に供給する以外は実施例3と同様に多孔性フィルムロールの製膜を実施した。
Figure 2011162669
Figure 2011162669

Claims (4)

  1. 化学式(1)であらわされるアミド系化合物を含有する、β晶形成能が60〜90%であるポリプロピレン樹脂からなる多孔性フィルムを捲回した多孔性ポリプロピレンフィルムロールであって、フィルム中の前記アミド系化合物濃度が0.05〜0.4質量%であり、かつ前記アミド系化合物の濃度バラツキが50〜150%である多孔性ポリプロピレンフィルムロール。
    −NHCO−R−CONH−R (1)
    ただし、Rは芳香環、脂肪族環または炭素数2〜24の脂肪族炭化水素を示す。R、Rは芳香環または脂肪族環を示す。
  2. 平均空孔率が65〜85%である、請求項1に記載の多孔性ポリプロピレンフィルムロール。
  3. 空孔率バラツキが15%以下である、請求項1または2に記載の多孔性ポリプロピレンフィルムロール。
  4. 化学式(1)であわらされるアミド系化合物の濃度が異なる複数のポリプロピレン樹脂組成物を混合して溶融押出する、請求項1〜3のいずれかに記載の多孔性ポリプロピレンフィルムロールの製造方法。
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