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JP2011153289A - 易接着性熱可塑性樹脂フィルム - Google Patents

易接着性熱可塑性樹脂フィルム Download PDF

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JP2011153289A
JP2011153289A JP2010265055A JP2010265055A JP2011153289A JP 2011153289 A JP2011153289 A JP 2011153289A JP 2010265055 A JP2010265055 A JP 2010265055A JP 2010265055 A JP2010265055 A JP 2010265055A JP 2011153289 A JP2011153289 A JP 2011153289A
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Koji Ito
晃侍 伊藤
Atsushi Yamazaki
敦史 山崎
Hiroko Yabuki
寛子 矢吹
Kaoru Sawada
薫 澤田
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Toyobo Co Ltd
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

【課題】密着性と耐湿熱性に優れた易接着性熱可塑性樹脂フィルムを提供する。
【解決手段】基材フィルムの少なくとも片面に塗布層が積層された易接着性熱可塑性樹脂フィルムであって、前記塗布層はポリカーボネート系ウレタン樹脂を含有し、さらに前記塗布層中にカルボジイミド基を0.5〜3.5mmol/g含む易接着性熱可塑性樹脂フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、密着性と耐湿熱性に優れた熱可塑性樹脂フィルムに関する。詳しくは、ディスプレイなどに主として用いられる、ハードコートフィルム、反射防止フィルム、光拡散シート、レンズシート、近赤外線遮断フィルム、透明導電性フィルム、防眩フィルムなどの光学機能性フィルムのベースフィルムとして好適な熱可塑性樹脂フィルムに関する。
一般に、液晶ディスプレイ(LCD)に用いられる光学機能性フィルムの基材には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリル、ポリカーボネート(PC)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリオレフィン、ポリアミド等からなる透明な熱可塑性樹脂フィルムが用いられている。
前記の熱可塑性樹脂フィルムを各種光学機能性フィルムの基材として用いる場合には、各種用途に応じた光学機能層が積層される。例えば、液晶ディスプレイ(LCD)では、表面の傷つきを防止する保護膜(ハードコート層)、外光の映り込みを防止する反射防止層(AR層)、光の集光や拡散に用いられるレンズ層、輝度を向上する光拡散層等の光学機能層が挙げられる。このような基材の中でも、特に、ポリエステルフィルムは、優れた透明性、寸法安定性、耐薬品性に優れ、比較的安価であるため各種光学機能性フィルムの基材として広く使用されている。
一般に、機能層を積層するためのベースフィルムとして用いる場合、機能層との接着性を向上させるため、種々の方法により易接着性を付与する方法が提案されている。例えば、基材の熱可塑性樹脂フィルムの表面に、ポリエステル、アクリル、ポリウレタン、アクリルグラフトポリエステルなどの各種樹脂を主たる構成成分とする塗布層を設けることにより、基材フィルムに易接着性を付与する方法が一般的に知られている。この塗布法の中でも、延伸フィルムにおいて結晶配向が完了する前の熱可塑性樹脂フィルムに、前記樹脂の溶液または樹脂を分散媒で分散させた分散体を含有する水性塗布液を基材フィルムに塗工し、乾燥後、少なくとも一軸方向に延伸し、次いで熱処理を施して、熱可塑性樹脂フィルムの配向を完了させる方法(いわゆる、インラインコート法)や、熱可塑性樹脂フィルムの製造後、該フィルムに水系または溶剤系の塗布液を塗布後、乾燥する方法(いわゆる、オフラインコート法)が工業的に実施されている。
LCD、PDP等のディスプレイや、ハードコートフィルムを部材とする携帯用機器などは、屋内、屋外を問わず種々の環境で用いられる。特に、携帯用機器では、浴室、高温多湿地域などにも耐えうる耐湿熱性が要求される場合がある。このような用途に使用される光学機能性フィルムでは、高温高湿下でも層間剥離がおきないような高い密着性が求められる。そのため下記特許文献では、塗布液に架橋剤を添加し、インラインコート法による塗布層形成時に塗布層樹脂中に架橋構造を形成させることで、耐湿熱性を付与した易接着性熱可塑性樹脂フィルムが開示されている。
特開2000−141574号公報 特許第3737738号公報 特許第3900191号公報 特開2007−253512号公報
地球環境負荷の低減のためディスプレイを有する家電製品などで、従来以上の長寿命化が期待されている。そのため、部材として用いられる光学機能性フィルムにおいても、高温高湿下でも長期間、密着性を保持することが必要であると考えられた。しかしながら、上記特許文献に開示されるような易接着性フィルムは、当初は良好な密着性を示すものの、高温高湿下の長期間の使用においては密着強度の低下は避けられないものであった。このような密着性の低下のため、初期性能が長期間維持しないという問題があった。
本発明は上記課題に鑑み、従来避けられないと考えられてきた高温、高湿環境下での塗布層の劣化、換言すれば高温、高湿環境下における密着性(耐湿熱性)の低下をほとんど引き起こさない易接着性熱可塑性樹脂フィルムを提供するものである。
なお、本発明で言う高温高湿下での密着性とは光硬化型アクリル層を積層した後80℃、95%RH、48時間の環境下に置き、隙間間隔2mmのカッターガイドを用いて、光硬化型アクリル層を貫通して基材フィルムに達する100個のマス目状の切り傷を光硬化型アクリル層面につけ次いで、セロハン粘着テープをマス目状の切り傷面に貼り付け、消しゴムでこすって完全に密着させ、同一箇所を、勢いよく5回引きはがした時の密着性を意味し、一般に用いられるJIS K5600−5−6記載の評価方法より厳しい判定基準における密着性であり、本発明は、このような高温高湿下での密着性が初期に示す密着性と同等もしくはそれ以上の密着性を示すことが課題である。
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、ポリカーボネート系ウレタン樹脂を含有し、さらにカルボジイミド基を0.5〜3.5mmol/g含む塗布層により初期密着性だけでなく耐湿熱性が向上するという驚くべき効果を見出し本発明に至ったものである。すなわち、塗布層にポリカーボネート系ウレタン樹脂とカルボジイミド化合物を含有しながら、これらを実質的に架橋構造を有しないか、または架橋度が低い状態にしてカルボジイミド基を塗布層中に残存させることにより、高温、高湿下においても高い密着性を維持するという従来の技術常識を覆す事実を見出し、本発明に至ったものである。
前記特許文献にもあるように、これまでの技術常識では密着性を向上させるために、架橋剤とそれに反応しうる官能基を有する樹脂と混合し、塗布層積層時に高度に架橋構造を形成させることが望ましいと考えられてきた。しかしながら、本発明者は、鋭意研究の結果、カルボジイミド基と高い反応性を示す官能基であるカルボキシル基またはその塩が少ない、または、実質的に有さないポリカーボネート系ウレタン樹脂とカルボジイミド系架橋剤を用い、未架橋のカルボジイミド基を特定範囲で残存する塗布層を形成することで、初期密着性と湿熱下での密着性が向上するという、従来技術に反する新しい技術思想に基づく易接着熱可塑性樹脂フィルムを得るに至ったものである。
すなわち、本発明では塗布層中にカルボジイミド基が特定範囲で残存していることを必須とする。カルボキシル基と高い反応性を有するカルボジイミド系架橋剤は、技術常識からはカルボキシル基などの官能基を有する樹脂と組み併せて塗布されるものであり、実質的にカルボキシル基を有さない樹脂と組み合わせて用いる動機付けは無く、従来技術と明確に区別できるものである。尚、塗布層中のカルボジイミド基の含有量は全反射吸収赤外分光法によって求めることができる。
本発明は、以下の解決手段により達成することができる。 本願の第1の発明は、基材フィルムの少なくとも片面に塗布層が積層された易接着熱可塑性樹脂フィルムであって、前記塗布層はポリカーボネート系ウレタン樹脂を含有し、さらに前記塗布層中にカルボジイミド基が0.5〜3.5mmol/g含む易接着熱可塑性樹脂フィルムである。
本願の第2の発明は、前記基材フィルムがウレタン樹脂がポリオキシアルキレン基を有する前記易接着熱可塑性樹脂フィルムである。
本願の第3の発明は、前記カルボジイミド化合物が水溶性であり、ヘイズが2.5%以下である前記易接着熱可塑性樹脂フィルムである。
本願の第4の発明は、前記易接着熱可塑性樹脂フィルムであって、前記塗布層面に、ハードコート層、光拡散層、レンズ層、電磁波吸収層、近赤外線遮断層、透明導電層から選択される少なくとも1層の光学機能層を積層して用いられる光学用易接着熱可塑性樹脂フィルムである。
本願の発明の易接着熱可塑性樹脂フィルムは、初期密着性と高温、高湿下での密着性(耐湿熱性)が極めて優れる。本発明の好ましい実施態様としては、本発明の易接着熱可塑性樹脂フィルムを拡散板やレンズシートのベースフィルムとして用いた場合、高温、高湿下での光学機能層との密着性が優れる。特にレンズシートのように塗布層の上に積層される機能層が極めて薄い部分があり、塗布層の高温、高湿下での劣化を受けやすい用途に特に有用である。
また、本願発明の好ましい態様においては、初期密着性と耐湿熱性に優れ、かつ高い透明性とハンドリング性との両立を図ることができる。
以下に本発明について詳述する。
(熱可塑性樹脂フィルム)
本発明で基材として用いる熱可塑性樹脂フィルムを構成する熱可塑性樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリメチレンテレフタレート、および共重合成分として、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコールなどのジオール成分や、アジピン酸、セバチン酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などのジカルボン酸成分などを共重合したポリエステル樹脂などを用いることができる。なかでも、機械的強度、耐薬品性の点からポリエステル樹脂が好ましい。
本発明で好適に用いられるポリエステル樹脂は、主に、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートの少なくとも1種を構成成分とする。これらのポリエステル樹脂の中でも、物性とコストのバランスからポリエチレンテレフタレートが最も好ましい。また、これらのポリエステルフィルムは二軸延伸することで耐薬品性、耐熱性、機械的強度などを向上させることができる。
また、前記の二軸延伸ポリエステルフィルムは、単層であっても複層であってもかまわない。また、本発明の効果を奏する範囲内であれば、これらの各層には、必要に応じて、ポリエステル樹脂中に各種添加剤を含有させることができる。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、耐光剤、ゲル化防止剤、有機湿潤剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、界面活性剤などが挙げられる。
また、フィルムの滑り性、巻き性、耐ブロッキング性などのハンドリング性や、耐摩耗性、耐スクラッチ性などの摩耗特性を改善するために、ポリエステルフィルム中に不活性粒子を含有させる場合がある。しかしながら、光学用部材の基材フィルムとして用いる場合は、高度な透明性を維持しながらハンドリング性に優れていることが要求される。具体的には、光学用部材の基材フィルムとして使用する場合、易接着性熱可塑性樹脂フィルムの全光線透過率が85%以上であることが好ましく、87%以上がより好ましく、88%以上がさらに好ましく、89%以上がよりさらに好ましく、90%以上が特に好ましい。
また、高い鮮明度のためには、基材フィルム中への不活性粒子の含有量はできるだけ少ない方が好ましい。したがって、フィルムの表層のみに粒子を含有させた多層構成にするか、あるいは、フィルム中に実質的に粒子を含有させず、塗布層にのみ微粒子を含有させることが好ましい。
特に、透明性の点から、基材フィルム中に不活性粒子を事実上含有させない場合は、フィルムのハンドリング性を向上させるために、無機及び/または耐熱性高分子粒子を水系塗布液中に含有させ、塗布層表面に凹凸を形成させることが好ましい。
なお、「不活性粒子が実質上含有されていない」とは、例えば、無機粒子の場合、蛍光X線分析で粒子に由来する元素を定量分析した際に、50ppm以下、好ましくは10ppm以下、最も好ましくは検出限界以下となる含有量を意味する。これは積極的に粒子を基材フィルム中に添加させなくても、外来異物由来のコンタミ成分や、原料樹脂あるいはフィルムの製造工程におけるラインや装置に付着した汚れが剥離して、フィルム中に混入する場合があるためである。
また、高い透明性とハンドリング性を両立させる点からは、表層にのみ不活性粒子を添加することも好ましい態様である。例えば、3層構成とする場合、最外層(A層/B層/A層の場合はA層)に粒子を含有し、中心層(B層)には実質的に粒子を含まないことが好ましい。
最外層に含まれる粒子の種類及び含有量は、無機粒子であっても、有機粒子であってもよく、特に限定されるものではないが、シリカ、二酸化チタン、タルク、カオリナイト等の金属酸化物、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウムなどのポリエステルに対し不活性な無機粒子が例示される。これらの不活性な無機粒子は、いずれか一種を単独で用いてもよく、また2種以上を併用してもよい。
前記の粒子は、平均粒子径が0.1〜3.5μmであることが好ましい。平均粒子径が下限未満では十分なハンドリング性が得られない場合がある。上限を越えると透明性が低下する場合がある。最外層の無機粒子の含有量は最外層を構成するポリエステルに対し、0.01〜0.20質量%であることが好ましい。下限未満では十分なハンドリング性が得られない。上限を越えると透明性が低下する。
さらに、反射性や高い隠蔽性が求められる場合は、基材フィルム中に空洞発現剤を添加し、ボイド含有率の高い白色フィルムを用いてもよい。また、成形性が要求される用途では、ポリエステル樹脂として共重合成分を添加することで成形性を付与した成形用フィルムを用いても良い。
本発明で用いる基材フィルムの厚さは、特に制限しないが、30〜500μmの範囲で、使用する規格に応じて任意に決めることができる。基材フィルムの厚みの上限は、350μmが好ましく、特に好ましくは250μmである。一方、フィルム厚みの下限は、50μmが好ましく、さらに好ましくは75μmであり、特に好ましくは100μmである。フィルム厚みが下限未満では、剛性や機械的強度が不十分となりやすい。一方、フィルム厚みが上限を超えると、コスト高となる場合がある。
次に本発明の塗布層について説明する。
(塗布層)
本発明の易接着性熱可塑性樹脂フィルムの塗布層には、ポリカーボネート系ウレタン樹脂を含有し、かつカルボジイミド基を特定範囲で残存させることが重要である。本発明の易接着性熱可塑性樹脂フィルムでは、前記ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂と、カルボジイミド基を有する化合物とが実質的に架橋構造を有しない又は架橋度が低いことが好ましい。
従来、前述のように塗布層の耐湿熱性を向上させる点からは架橋構造を積極的に導入することが望ましいと考えられていた。しかし、本発明者は塗布層を前記のような構成にすることにより耐湿熱性が著しく向上することを見出した。このような構成により、高温高湿下での密着性が向上することの機序はよくわからないが、本発明者は以下のように考えている。
本願発明の塗布層には、カルボジイミド基と高い反応性を示す官能基であるカルボキシル基またはその塩を含まないか、または、極めて少ないため、塗布層中には未反応のカルボジイミド基が多く存在する。一方、積層される機能層に用いられる樹脂、例えば光硬化型アクリル樹脂及び未反応物にはカルボキシル基などの官能基が存在する。さらに基材フィルムである熱可塑性樹脂にも官能基が存在する。高温高湿の環境下ではこれらの機能性層および/もしくは基材フィルムに存在する官能基とカルボジイミド基の相互作用が進行し、強固な密着性が得られるものと推察している。
本発明における塗布層中のカルボジイミド基の濃度の下限は0.5mmol/g、好ましくは0.7mmol/g、さらに好ましくは1.0mmol/gであり、上限は3.5mmol/g、好ましくは3.3mmol/g、さらに好ましくは3.0mmol/gである。上記下限未満では十分な高温、高湿下での密着性が得られない場合がある。上記上限を越えると相対的にポリカーボネート系ウレタン樹脂の比率が小さくなり、密着性、特に初期密着性が低下する場合がある。
本発明は、上記態様により、レンズ層、ハードコート層、光拡散層、電磁波吸収層、近赤外線遮断層、透明導電層などの光学機能層との高温高湿下での密着性(耐湿熱性)を著しく向上させることができる。さらに、本発明の構成を以下に詳述する。
本発明の塗布液に用いるポリカーボネート系ウレタン樹脂についてさらに詳細に説明する。
本発明では、ポリカーボネート系ウレタン樹脂、すなわちウレタン樹脂の構成成分としてポリカーボネートポリオールを有することを特徴とする。
ウレタン樹脂には大きくポリエステル系ウレタン樹脂、ポリエーテル系ウレタン樹脂、ポリカーボネート系ウレタン樹脂に分類されるがポリエステル系ウレタン樹脂は高温高湿下で加水分解しやすく、ポリエーテル系ウレタン樹脂は吸湿性が高いため塗布層の膜強度が低下しやすく密着性が不足する。一方、ポリカーボネート系ウレタン樹脂は優れた耐湿熱性を有する。本発明でポリカーボネート系ウレタン樹脂を用いるのはこの理由による。
すなわち、本発明の塗布層にポリカーボネートを構成成分とするウレタン樹脂を含有させることで、耐湿熱性を向上させることができる。本発明のポリカーボネート系ウレタン樹脂は、構成成分として、少なくともポリオール成分、ポリイソシアネート成分を含み、さらに必要に応じて鎖延長剤を含む。本発明のポリカーボネート系ウレタン樹脂は、これら構成成分が主としてウレタン結合により共重合された高分子化合物である。なお、これらポリカーボネート系ウレタン樹脂の構成成分は、核磁気共鳴分析(NMR)などにより特定することが可能である。
本発明のウレタン樹脂の構成成分であるポリカーボネートポリオールとしては、ポリカーボネートジオール、ポリカーボネートトリオールなどが挙げられるが、好適にはポリカーボネートジオールを用いることができる。本発明のウレタン樹脂の構成成分であるポリカーボネートジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,8−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノール−Aなどのジオール類の1種または2種以上と、例えば、ジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、ホスゲンなどのカーボネート類とを反応させることにより得られるポリカーボネートジオールなどが挙げられる。ポリカーボネートジオールの数平均分子量としては、好ましくは300〜5000であり、より好ましくは500〜3000である。
本発明において、ウレタン樹脂の構成成分であるポリカーボネートポリオールの組成モル比は、ウレタン樹脂の全ポリイソシアネート成分を100モル%とした場合、3〜100モル%であることが好ましく、5〜50モル%であることがより好ましく、6〜20モル%であることがさらに好ましい。前記組成モル比が低い場合は、ポリカーボネートポリオールによる耐久性の効果が得られない場合がある。また、前記組成モル比が高い場合は、初期密着性が低下する場合がある。
本発明のウレタン樹脂の構成成分であるポリイソシアネートとしては、トルイレンジイソシアネートの異性体類、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類、キシリレンジイソシアネート等の芳香族脂肪族ジイソシアネート類、イソホロンジイソシアネート及び4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート、および2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類、あるいはこれらの化合物を単一あるいは複数でトリメチロールプロパン等とあらかじめ付加させたポリイソシアネート類が挙げられる。
鎖延長剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、及び1,6−ヘキサンジオール等のグリコール類、グリセリン、トリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトール等の多価アルコール類、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、およびピペラジン等のジアミン類、モノエタノールアミンおよびジエタノールアミン等のアミノアルコール類、チオジエチレングルコール等のチオジグリコール類、あるいは水が挙げられる。
本発明の塗布層は、水系の塗布液を用い後述のインラインコート法により設けることが好ましい。そのため、本発明のウレタン樹脂は水溶性であることが望ましい。水溶性ウレタン樹脂を用いると、カルボジイミド化合物との相溶性が増し、透明性を向上することができる。なお、前記の「水溶性」とは、水、または水溶性の有機溶剤を50質量%未満含む水溶液に対して溶解することを意味する。
ウレタン樹脂に水溶性を付与させるためには、ウレタン分子骨格中にスルホン酸(塩)基又はカルボン酸(塩)基を導入(共重合)することができる。スルホン酸(塩)基は強酸性であり、その吸湿性能により耐湿性を維持するのが困難な場合があるので、弱酸性であるカルボン酸(塩)基を導入するのが好適である。
ウレタン樹脂にカルボン酸(塩)基を導入するためには、例えば、ポリオール成分として、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸などのカルボン酸基を有するポリオール化合物を共重合成分として導入し、塩形成剤により中和する。塩形成剤の具体例としては、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミンなどのトリアルキルアミン類、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリンなどのN−アルキルモルホリン類、N−ジメチルエタノールアミン、N−ジエチルエタノールアミンなどのN−ジアルキルアルカノールアミン類が挙げられる。これらは単独で使用できるし、2種以上併用することもできる。
水溶性を付与するために、カルボン酸(塩)基を有するポリオール化合物を共重合成分として用いる場合は、ウレタン樹脂中のカルボン酸(塩)基を有するポリオール化合物の組成モル比は、ウレタン樹脂の全ポリイソシアネート成分を100モル%としたときに、3〜60モル%であることが好ましく、10〜40モル%であることが好ましい。前記組成モル比が3モル%未満の場合は、水分散性が困難になる場合がある。また、前記組成モル比が60モル%を超える場合は、塗布層形成時の残存カルボジイミド基が減少するため耐湿熱性が低下する場合がある。
しかしながら、上記のようにウレタン樹脂としてカルボン酸を導入したウレタン樹脂を用いる場合、塗布液中でカルボジイミド基と反応し、塗布層形成時の未反応のカルボジイミド基が低下する場合がある。そのため、塗布層中にカルボン酸(塩)基が実質的に有さないことが特に好ましい。そこで、ウレタン樹脂に水溶性を付与するため、カルボン酸塩基の代わりに、ポリオキシアルキレン基を導入することは、本発明の好ましい実施態様である。ウレタン樹脂としてポリオキシアルキレン基を導入したウレタン樹脂を用いる場合、塗布層中には実質的にカルボキシル基を有さない。そのため、未反応のカルボジイミド基が安定的に残存し、より優れた耐湿熱性を発揮することができる。
ウレタン樹脂に導入するポリオキシアルキレン基としては、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリテトラメチレングリコール鎖などが挙げられ、これらは単独で使用できるし、2種以上併用することもできる。中でも、ポリオキシエチレン基が好適に用いることができる。
ウレタン樹脂にポリオキシエチレン基を導入するには、例えば、ポリイソシアネートと片末端封鎖ポリオキシエチレングリコール(炭素数1〜20のアルキル基で片末端封止したアルコキシエチレングリコール)とを、片末端封鎖ポリオキシエチレングリコールのヒドロキシル基に対してジイソシアネートのイソシアネート基が過剰となる割合でウレタン化反応させた後、必要により未反応のポリイソシアネートを除去することにより、ポリオキシエチレン鎖含有モノイソシアネートを得て、次いで、得られたポリオキシエチレン鎖含有モノイソシアネートとジイソシアネートをアロファネート化反応させることにより、得ることができる。
水溶性を付与するために、ウレタン樹脂にポリオキシエチレン基を導入する場合は、ウレタン樹脂中のポリオキシエチレン基の組成モル比は、ウレタン樹脂の全ポリイソシアネート成分を100モル%とした場合、3モル%以上であることが好ましく、10モル%以上であることがより好ましく、20モル%以上であることがさらに好ましい。前記組成モル比が3モル%未満の場合は、水分散性が困難になる場合がある。
前記の方法によって得られたポリカーボネート系ウレタン樹脂はカルボジイミド基との官能基であるカルボキシル基またはその塩を実質的に有さないか、または少ないものである。
前記ポリカーボネート系ウレタン樹脂は塗布層中に30質量%以上90質量%以下含有することが好ましい。特に、レンズ層のように高い密着性が求められる場合、より好ましくは40%質量%以上80質量%以下である。ウレタン樹脂の含有量が多い場合には、相対的にカルボジイミド化合物の含有量が少なくなるため、高温高湿下での密着性が低下し、逆に、ウレタン樹脂の含有量が少ない場合には、初期密着性が低下するばかりでなく、塗布工程中で塗布層が剥がれ、欠点となる場合がある。
本発明では、ポリカーボネート系ウレタン樹脂以外の樹脂を密着性向上のために含有させても良い。例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。好ましくは、カルボキシル基またはその塩の含有量が少ないものが好ましく、より好ましくは、カルボンキシル基またはその塩を含有していないものである。カルボキシル基またはその塩が多い場合は、カルボジイミド基と反応してしまい、高温高湿下で基材フィルムや光学機能層に含まれるカルボキシル基などの官能基と反応するカルボジイミド基が減少してしまうため好ましくない。
本発明では、カルボジイミド化合物を含有させる必要がある。カルボジイミド化合物としては、モノカルボジイミド化合物やポリカルボジイミド化合物が挙げられる。
モノカルボジイミド化合物としては、例えばジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、t−ブチルイソプロピルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、ジ−t−ブチルカルボジイミド、ジ−β−ナフチルカルボジイミド等を挙げることができる。
ポリカルボジイミド化合物としては、従来公知の方法で製造したものを使用することができる。例えば、ジイソシアネートの脱二酸化炭素を伴う縮合反応によりイソシアネート末端ポリカルボジイミドを合成することにより製造することができる。
ポリカルボジイミド化合物の合成原料であるジイソシアネートとしては、例えばトルイレンジイソシアネートの異性体類、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類、キシリレンジイソシアネート等の芳香族脂肪族ジイソシアネート類、イソホロンジイソシアネート及び4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート、および2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類が挙げられる。黄変の問題から、芳香族脂肪族ジイソシアネート類、脂環式ジイソシアネート類、脂肪族ジイソシアネート類が好ましい。
また、上記ジイソシアネートは、モノイソシアネート等の末端イソシアネートと反応する化合物を用いて分子を適当な重合度に制御して使用しても差し支えない。このようにポリカルボジイミドの末端を封止してその重合度を制御するためのモノイソシアネートとしては、例えばフェニルイソシアネート、トルイレンイソシアネート、ジメチルフェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ナフチルイソシアネート等が挙げられる。また、この他にも末端封止剤としてOH基、NH基、COOH基、SOH基を有する化合物を使用することができる。
ジイソシアネートの脱二酸化炭素を伴う縮合反応は、カルボジイミド化触媒の存在下に進行する。触媒としては、例えば1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシドや、これらの3−ホスホレン異性体等のホスホレンオキシドなどが挙げられ、反応性の面から3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシドが好ましい。なお、上記触媒の使用量は触媒量とすることができる。
上記したモノ又はポリカルボジイミド化合物は、水性塗料への配合時に均一な分散状態に保たれることが望ましく、このために適切な乳化剤を用いて乳化加工して乳濁液として使用したり、ポリカルボジイミド化合物の分子構造内に親水性のセグメントを付加して自己乳化物の形態で、あるいは自己溶解物の形態で塗料に配合することが好ましい
ポリカルボジイミド化合物の重合度(n)としては、2〜10が好ましく、より好ましくは、3〜7である。重合度が小さい場合は架橋反応率が悪くなり、機能層との密着性が低下し、大きい場合は、樹脂との相溶性が悪くなり、ヘイズが上昇する場合がある。
本発明で用いられるカルボジイミド化合物は、水分散性、水溶性が挙げられる。他の水溶性樹脂との相溶性がよく、塗布層の透明性や架橋反応効率を向上させることから、水溶性が好ましい。
カルボジイミド化合物を水溶性にするためには、イソシアネートの脱二酸化炭素を伴う縮合反応によりイソシアネート末端ポリカルボジイミドを合成した後、更にイソシアネート基との反応性を有する官能基を持つ親水性部位を付加することにより製造することができる。
親水性部位としては、(1)ジアルキルアミノアルコールの四級アンモニウム塩やジアルキルアミノアルキルアミンの四級アンモニウム塩など、(2)反応性ヒドロキシル基を少なくとも1個有するアルキルスルホン酸塩など、(3)アルコキシ基で末端封鎖されたポリ(エチレンオキサイド)、ポリ(プロピレンオキサイド)、ポリ(エチレンオキサイド)とポリ(プロピレンオキサイド)との混合物などが挙げられる。エチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドの繰り返し単位は3〜50が好ましく、より好ましくは、5〜35である。繰り返し単位が小さい場合は、樹脂との相溶性が悪くなり、ヘイズが上昇し、大きい場合は、高温高湿下の接着性が低下する場合がある。カルボジイミド化合物は上記親水性部位を導入した場合は(1)カチオン性、(2)アニオン性、(3)ノニオン性となる。なかでも、他の水溶性樹脂のイオン性に関係なく、相溶できるノニオン性が好ましい。また、耐湿熱性を向上させるためにも、イオン性の親水基を導入する必要がないノニオン性が好ましい。
また、本発明に用いるカルボジイミド化合物のカルボジイミド当量は、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、1000以下であることが好ましく、より好ましくは500以下、さらにより好ましくは300以下である。上記カルボジイミド当量が上限を超える場合は、十分な基材フィルムや機能層に含まれるカルボキシル基などとの相互作用が発現されず、耐久性、耐水性が満足に得られない場合がある。なお、上記カルボジイミド当量は、カルボジイミド基1mol当たりの化学式量であるとする。よって、該カルボジイミド当量の値が小さいほど重合体中のカルボジイミド基の量は多く、値が大きいほど重合体中のカルボジイミド基の量は少ないということを表す。
前記カルボジイミド化合物は塗布層中に10質量%以上70質量%以下含有することが好ましい。特に、レンズ層のように高い密着性が求められる場合、より好ましくは30%質量%以上70質量%以下である。カルボジイミド化合物の含有量が多い場合には、機能層との特に初期密着性が低下し、逆に、含有量が少ない場合には、高温高湿下での密着性が低下してしまう。
塗布層中のカルボジイミド基の有無、及び含有量は公知の方法によって求めることができる。例えば後述するような赤外分光法で検出する方法や、塗布層を削り取り、その削り物をメチルエチルケトン、クロロホルムまたはジメチルホルムアミドに溶解し、核磁気共鳴分析計(NMR)を用いて、その積分比より各組成のモル%比を決定する等の方法が挙げられる。
本発明においては、ハンドリング性の点から塗布層中に粒子を含有させることが好ましい。粒子は、(1)シリカ、カオリナイト、タルク、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、ゼオライト、アルミナ、硫酸バリウム、カーボンブラック、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、炭酸亜鉛、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、酸化錫、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、等の無機粒子、(2)アクリルあるいはメタアクリル系、塩化ビニル系、酢酸ビニル系、ナイロン、スチレン/アクリル系、スチレン/ブタジエン系、ポリスチレン/アクリル系、ポリスチレン/イソプレン系、ポリスチレン/イソプレン系、メチルメタアクリレート/ブチルメタアクリレート系、メラミン系、ポリカーボネート系、尿素系、エポキシ系、ウレタン系、フェノール系、ジアリルフタレート系、ポリエステル系等の有機粒子が挙げられる。
前記粒子は、平均粒径が1〜500nmのものが好適である。平均粒子径は特に限定されないが、フィルムの透明性を維持する点から1〜100nmであれば好ましい。
前記粒子は、平均粒径の異なる粒子を2種類以上含有させても良い。
粒子の含有量としては、0.5質量%以上20質量%以下が好ましい。少ない場合は、十分な耐ブロッキング性を得ることができない。また、対スクラッチ性が悪化してしまう。多い場合は、塗布層の透明性が悪くなるだけでなく、塗膜強度が低下する。
塗布層には、塗布時のレベリング性の向上、塗布液の脱泡を目的に界面活性剤を含有させることもできる。界面活性剤は、カチオン系、アニオン系、ノニオン系などいずれのものでも構わないが、シリコン系、アセチレングリコール系又はフッ素系界面活性剤が好ましい。これらの界面活性剤は、光学機能層との密着性を損なわない程度の範囲、例えば、塗布液中に0.005〜0.5質量%の範囲で含有させることも好ましい。
本発明の易接着性熱可塑性樹脂フィルムは、ヘイズが2.5%以下であることが好ましく、より好ましくは2.3%以下であり、さらに好ましくは2.0%以下である。このような易接着性熱可塑性樹脂フィルムは、好適には前記記載の塗布層中に含まれるカルボジイミド基を有する化合物を水溶性にすることで他の樹脂との相溶性が向上し得られる。
塗布層に他の機能性を付与するために、機能層との密着性を損なわない程度の範囲で、各種の添加剤を含有させても構わない。前記添加剤としては、例えば、蛍光染料、蛍光増白剤、可塑剤、紫外線吸収剤、顔料分散剤、抑泡剤、消泡剤、防腐剤、帯電防止剤等が挙げられる。
本発明において、基材フィルム上に塗布層を設ける方法としては、溶媒、粒子、樹脂を含有する塗布液を基材フィルムに塗布、乾燥する方法が挙げられる。溶媒として、トルエン等の有機溶剤、水、あるいは水と水溶性の有機溶剤の混合系が挙げられるが、好ましくは、環境負荷の観点から水単独あるいは水に水溶性の有機溶剤を混合したものが好ましい。
塗布層を形成するための塗布液を基材フィルムに塗布するための方法は、公知の任意の方法を用いることができる。例えば、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ダイコーター法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーコート法、パイプドクター法、含浸コート法、カーテンコート法、などが挙げられる。これらの方法を単独で、あるいは組み合わせて塗工する。
本発明においては、塗布層は未延伸あるいは一軸延伸後のフィルムに前記塗布液を塗布、乾燥した後、少なくとも一軸方向に延伸し、次いで熱処理を行って形成させる。
本発明において、最終的に得られる塗布層の乾燥後の塗布量は、0.02〜0.5g/mであることが好ましい。塗布層の塗布量が0.02g/m未満であると、接着性に対する効果が低下する場合がある。一方、塗布量が0.5g/mを越えると、耐ブロッキング性が低下する場合がある。
本発明の易接着性熱可塑性樹脂フィルムは、前述の基材フィルムの塗布層面に、ハードコート層、光拡散層、レンズ層、電磁波吸収層、近赤外線遮断層、透明導電層から選択される、少なくとも1層の光学機能層を積層して用いることができる。なお、前記レンズ層としては特に形状を問わないが、例えば、プリズム状レンズ、フレネル状レンズ、マイクロレンズなどが好適に適用できる。
前記光学機能層に用いられる材料は特に限定されるものではなく、乾燥、熱、化学反応、もしくは電子線、放射線、紫外線のいずれかを照射することによって重合、および/または反応する樹脂化合物を用いることができる。このような、硬化性樹脂としては、メラミン系、アクリル系、シリコン系、ポリビニルアルコール系の硬化性樹脂が挙げられるが、高い表面硬度もしくは光学設計を得る点で光硬化性型のアクリル系硬化性樹脂が好ましい。このようなアクリル系硬化性樹脂としては、多官能(メタ)アクリレート系モノマーやアクリレート系オリゴマーを用いることができ、アクリレート系オリゴマーの例としては、ポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ポリブタジエンアクリレート系、シリコーンアクリレート系などが挙げられる。これらアクリル系硬化性樹脂に反応希釈剤、光重合開始剤、増感剤などを混合することで、前記光学機能層を形成するためのコート用組成物を得ることができる。
本発明で得られた易接着性熱可塑性樹脂フィルムの塗布層は、ハードコート層、光拡散層、プリズム状レンズ層、電磁波吸収層、近赤外線遮断層、透明導電層に対して良好な接着性を有する。さらに、光学用途以外でも良好な接着強度が得られうる。具体的には、写真感光層、ジアゾ感光層、マット層、磁性層、インクジェットインキ受容層、ハードコート層、紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、印刷インキやUVインキ、ドライラミネートや押し出しラミネート等の接着剤、金属あるいは無機物またはそれらの酸化物の真空蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVD、プラズマ重合等で得られる薄膜層、有機バリアー層等が挙げられる。
次に、実施例および比較例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明は当然以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた評価方法は以下の通りである。
(1)塗布層中のカルボジイミド基濃度の定量
実施例および比較例で得られた易接着性ポリエステルフィルムの塗布層面について、全反射吸収赤外分光法で測定し、基材フィルムから特異的に得られる吸光度を対照として塗布層中のカルボジイミド基濃度を求めた。
すなわち、下記に示す条件により全反射吸収赤外分光法で測定し、赤外吸収スペクトルを得、カルボジイミド由来の吸光度と基材フィルムの吸光度(PETフィルムの場合、エチレングリコール)の比(赤外吸光度比A2120/A1340)を求めた。尚、カルボジイミド基由来の吸光度は2120±10cm−1の領域に吸収極大を持つ吸収ピークの高さの値(A2120)とし、PET由来の吸光度は1340±10cm−1の領域に吸収極大を持つ吸収ピークの高さの値(A1340)とした。ベースラインはそれぞれの極大吸収ピークの両側の袖を結ぶ線とした。
また、塗布層の厚みは、透過型電子顕微鏡により求めた。易接着性ポリエステルフィルムの試料を可視光硬化型樹脂(日本新EM社製、D−800)に包埋し、室温で可視光にさらして硬化させた。得られた包埋ブロックから、ダイアモンドナイフを装着したウルトラミクロトームを用いて70〜100nm程度の厚みの超薄切片を作製し、四酸化ルテニウム蒸気中で30分間染色した。さらにカーボン蒸着を施した後、透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、TEM2010)を用いて断面を観察し、写真を撮影し、これより塗布層の厚みを計測した。なお、撮影は、10,000〜100,000倍の範囲で適宜設定した。
得られた赤外吸光度比A2120/A1340および塗布層の厚みより、予めカルボジイミド濃度が既知の塗布液を塗布、風乾した標準サンプルから作成した検量線を用いて塗布層中のカルボジイミド基濃度を求めた。
なお、検量線の作成においては、カルボジイミド基濃度を0.5、1.4、2.7、4.5mmol/gとした塗布液(溶媒:水/イソプロピルアルコール=1/1、アクリル樹脂との混合量を調整し固定分濃度30質量%とした)を、乾燥後の塗布層の厚みが50nm、100nm、200nmとなるように塗布し、風乾した試料について、下記に示す条件で全反射吸収赤外分光法にて赤外吸光度比A2120/A1340を測定し、得られた結果からカルボジイミド基濃度、塗布層厚み、赤外吸光度比A2120/A1340の3つの変量からなる下記一次式をもとめ、これを検量線とした。
(カルボジイミド濃度)=A×(赤外吸光度比A2120/A1340)/(塗布層厚み)+B
(ここで、A、Bは上記検量線作成により得られたデータから求まる定数)
(測定条件)
装置:Varian社製 FTS−60A/896
1回反射ATRアタッチメント:SPECTRA TECH社製 Silver Gate
光学結晶:Ge
入射角:45°
分解能:4cm−1
積算回数:128回
なお、塗布層の厚さが薄く、十分な感度が得られない場合は、使用する1回反射アタッチメントを、より入射角が大きい(65度)アタッチメント(例えばエス・ティ・ジャパン社製 VeeMax)に代えて測定しても良い。
(2)初期密着性
得られた易接着性ポリエステルフィルム塗布層面に下記に示す光硬化型アクリル樹脂組成及び硬化条件で3μmの光硬化型アクリル層を積層させた。この光硬化型アクリル層面に、隙間間隔2mmのカッターガイドを用いて、光硬化型アクリル層を貫通して基材フィルムに達する100個のマス目状の切り傷をつける。次いで、セロハン粘着テープ(ニチバン社製、405番;24mm幅)をマス目状の切り傷面に貼り付け、消しゴムでこすって完全に密着させた。その後、垂直にセロハン粘着テープを積層フィルムの光硬化型アクリル層面から引き剥がす作業を1回行った後、積層フィルムの光硬化型アクリル層面から剥がれたマス目の数を目視で数え、下記の式から光硬化型アクリル層とベースフィルムとの密着性を求めた。なお、マス目の中で部分的に剥離しているものも剥がれたマス目として数え、下記の基準でランク分けをした。
密着性(%)=(1−剥がれたマス目の数/100)×100
◎:100%、または、光硬化型アクリル層の材破
○:99〜90%
△:89〜70%
×:69〜0%
(光硬化型アクリル樹脂組成)
清浄に保った厚さ1mmのSUS板上(SUS304)に、下記光硬化型アクリル系塗布液を約5gのせ、フィルム試料の塗布層面と光硬化型アクリル系塗布液が接するように重ね合わせ、フィルム試料の上から幅10cm、直径4cmの手動式荷重ゴムローラーで光硬化型アクリル系塗布液を引き延ばすように圧着した。次いで、フィルム面側から、高圧水銀灯を用いて800mJ/cmの紫外線を照射し、光硬化型アクリル樹脂を硬化させた。厚み20μmの光硬化型アクリル層を有するフィルム試料をSUS板から剥離し、積層ポリエステルフィルム(光学機能性フィルム)を得た。
(光硬化型アクリル系塗布液)
光硬化型アクリル樹脂 54.00質量%
(荒川化学工業製ビームセット505A−6)
光硬化型アクリル樹脂 36.00質量%
(荒川化学工業製ビームセット550)
光重合開始剤 10.00質量%
(チバスペシャリティーケミカルズ社製イルガキュア184)
(3)耐湿熱性
前記(2)と同様の方法で得られた光硬化型アクリル樹脂が積層された積層ポリエステルフィルム(光学機能性フィルム)を、高温高湿槽中で80℃、95%RHの環境下48時間放置した。次いで、光学機能性フィルムを取りだし、室温常湿で12時間放置した。その後、垂直にセロハン粘着テープを光学機能性フィルムの光硬化型アクリル層面から引き剥がす作業を5回行う以外は、前記(2)と同様の方法で光硬化型アクリル層とベースフィルムの密着性を求め、下記の基準でランク分けをした。
◎:100%、または、光硬化型アクリル層の材破
○:99〜90%
△:89〜70%
×:69〜0%
(4)易接着性ポリエステルフィルムの全光線透過率
得られた易接着性ポリエステルフィルムの全光線透過率はJIS K 7105に準拠し、濁度計(日本電色製、NDH2000)を用いて測定した。
(5)ヘイズ
JIS−K7105に準拠し、積分球式光線透過率測定装置(日本電色工業社製)を用いて評価した。
(6)カルボジイミド価
カルボジイミド化合物を凍結乾燥し、これをH−NMRにて分析し、カルボジイミド基に由来する吸収ピーク強度、その他のモノマーに由来する吸収ピーク強度から、カルボジイミド価を算出した。
(ポリカーボネートポリオールを構成成分とし、ポリオキシエチレン基を有するウレタン樹脂の重合)
温度計、窒素ガス導入管および攪拌機を備えた反応器中で、窒素ガスを導入しながら、ヘキサメチレンジイソシアネート627.1質量部、50℃に加温した数平均分子量1000のメトキシポリエチレングリコール372.9質量部を仕込み、80℃で6時間反応させた。所定のイソシアネート基含有量に到達した後、スミス式薄膜蒸留器にて未反応のヘキサメチレンジイソシアネートを取り除き、ポリオキシエチレン基含有モノイソシアネート(A)を得た。このポリオキシエチレン鎖含有モノイソシアネート(A)の計算上の数平均分子量は、1168g/モルであった。
次いで、温度計、窒素ガス導入管、攪拌機を備えた反応器中で、室温下、窒素ガスを導入しながら、ジエタノールアミン83.9質量部を仕込んだ。冷却しながら、ポリオキシエチレン鎖含有モノイソシアネートA916.1質量部を添加し、60℃で3時間反応させた。赤外スペクトルにて尿素結合の生成を確認し、ポリオキシエチレン基含有ポリオール(A)を得た。
還流冷却管、窒素導入管、温度計、攪拌機を備えた4つ口フラスコ中に、ポリイソシアネートとして、1,3−シクロヘキサンビス(メチルイソシアネート)53.69質量部と、疎水性マクロポリオールとして、数平均分子量2000のポリカーボネートジオール88.6質量部と、ネオペンチルグリコール14.97質量部と、上記ポリオキシエチレン基含有ポリオール(A)52.87質量部と、有機溶媒として、アセトニトリル60質量部、N−メチルピロリドン30質量部とを仕込み、窒素雰囲気下で、反応液温度を75〜78℃に調整して、反応触媒としてオクチル酸第1錫を0.06質量部加え、7時間で反応率99%以上まで反応させた。次いで、これを30℃まで冷却し、イソシアネート基末端プレポリマーを得た。次に、高速攪拌可能なホモディスパーを備えた反応容器に、水450gを添加して、25℃に調整して、2000min-1で攪拌混合しながら、イソシアネート基末端プレポリマーを添加して水分散した。その後、減圧下で、アセトニトリルおよび水の一部を除去することにより、固形分35%の水溶性ポリウレタン樹脂(A−1)を調製した。
(ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂の重合)
撹拌機、ジムロート冷却器、窒素導入管、シリカゲル乾燥管、及び温度計を備えた4つ口フラスコに、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン72.96質量部、ジメチロールプロピオン酸12.60質量部、ネオペンチルグリコール11.74質量部、数平均分子量2000のポリカーボネートジオール112.70質量部、及び溶剤としてアセトニトリル85.00質量部、N−メチルピロリドン5.00質量部を投入し、窒素雰囲気下、75℃において3時間撹拌し、反応液が所定のアミン当量に達したことを確認した。次に、この反応液を40℃にまで降温した後、トリエチルアミン9.03質量部を添加し、ポリウレタンプレポリマーD溶液を得た。次に、高速攪拌可能なホモディスパーを備えた反応容器に、水450gを添加して、25℃に調整して、2000min-1で攪拌混合しながら、イソシアネート基末端プレポリマーを添加して水分散した。その後、減圧下で、アセトニトリルおよび水の一部を除去することにより、固形分35%の水溶性ポリウレタン樹脂(A−2)を調製した。
同様の方法で、別の組成の水溶性ポリウレタン樹脂(A−3)〜(A−4)を得た。これらの水溶性ポリウレタン樹脂に対し、H−NMRで測定した組成(モル%比)及びその他特性を表1に示す。
Figure 2011153289
(ポリエステルポリオールを構成成分とするウレタン樹脂の重合)
撹拌機、ジムロート冷却器、窒素導入管、シリカゲル乾燥管、及び温度計を備えた4つ口フラスコに、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン72.96質量部、ジメチロールプロピオン酸12.60質量部、ネオペンチルグリコール11.74質量部、数平均分子量2000のポリエステルジオール112.70質量部、及び溶剤としてアセトニトリル85.00質量部、N−メチルピロリドン5.00質量部を投入し、窒素雰囲気下、75℃において3時間撹拌し、反応液が所定のアミン当量に達したことを確認した。次に、この反応液を40℃にまで降温した後、トリエチルアミン9.03質量部を添加し、ポリウレタンプレポリマー溶液を得た。次に、高速攪拌可能なホモディスパーを備えた反応容器に、水450gを添加して、25℃に調整して、2000min-1で攪拌混合しながら、イソシアネート基末端プレポリマーを添加して水分散した。その後、減圧下で、アセトニトリルおよび水の一部を除去することにより、固形分35%の水溶性ポリウレタン樹脂(A−5)を調製した。
(ポリエーテルポリオールを構成成分とするウレタン樹脂の重合)
撹拌機、ジムロート冷却器、窒素導入管、シリカゲル乾燥管、及び温度計を備えた4つ口フラスコに、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン72.96質量部、ジメチロールプロピオン酸12.60質量部、ネオペンチルグリコール11.74質量部、数平均分子量2000のポリエーテルジオール112.70質量部、及び溶剤としてアセトニトリル85.00質量部、N−メチルピロリドン5.00質量部を投入し、窒素雰囲気下、75℃において3時間撹拌し、反応液が所定のアミン当量に達したことを確認した。次に、この反応液を40℃にまで降温した後、トリエチルアミン9.03質量部を添加し、ポリウレタンプレポリマー溶液を得た。次に、高速攪拌可能なホモディスパーを備えた反応容器に、水450gを添加して、25℃に調整して、2000min-1で攪拌混合しながら、イソシアネート基末端プレポリマーを添加して水分散した。その後、減圧下で、アセトニトリルおよび水の一部を除去することにより、固形分35%の水溶性ポリウレタン樹脂(A−6)を調製した。
(水溶性カルボジイミド化合物の重合)
温度計、窒素ガス導入管、還流冷却器、滴下ロート、および攪拌機を備えたフラスコにテトラメチルキシリレンジイソシアネート200質量部、カルボジイミド化触媒の3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド4質量部を投入し、窒素雰囲気下、180℃において40時間撹拌し、イソシアネート末端テトラメチルキシリレンカルボジイミド(重合度=5)を得た。次いで、得られたカルボジイミド94.5g、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(分子量220)40.0gを100℃で24時間反応させた。これに水を50℃で徐々に加え、固形分40質量%の黄色透明な水溶性カルボジイミド化合物(B−1)を得た。カルボジイミド当量は246であった。
(水溶性カルボジイミド化合物の重合)
温度計、窒素ガス導入管、還流冷却器、滴下ロート、および攪拌機を備えたフラスコにイソホロンジイソシアネート200質量部、カルボジイミド化触媒の3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド4質量部を投入し、窒素雰囲気下、180℃において12時間撹拌し、イソシアネート末端イソホロンカルボジイミド(重合度=6)を得た。次いで、得られたカルボジイミド129.2g、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(分子量400)80gを100℃で24時間反応させた。これに水を50℃で徐々に加え、固形分40質量%の黄色透明な水溶性カルボジイミド化合物(B−2)を得た。カルボジイミド当量は349であった。
(水溶性カルボジイミド化合物の重合)
温度計、窒素ガス導入管、還流冷却器、滴下ロート、および攪拌機を備えたフラスコに4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート200質量部、カルボジイミド化触媒の3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド4質量部を投入し、窒素雰囲気下、180℃において10時間撹拌し、イソシアネート末端4,4−ジシクロヘキシルメタン(重合度=4)を得た。次いで、得られたカルボジイミド113.6g、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(分子量400)80gを100℃で24時間反応させた。これに水を50℃で徐々に加え、固形分40質量%の黄色透明な水溶性カルボジイミド化合物(B−3)を得た。カルボジイミド当量は484であった。
(水分散性カルボジイミド化合物の重合)
温度計、窒素ガス導入管、還流冷却器、滴下ロート、および攪拌機を備えたフラスコにテトラメチルキシリレンジイソシアネート200質量部、カルボジイミド化触媒の3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド4質量部を投入し、窒素雰囲気下、180℃において40時間撹拌し、イソシアネート末端テトラメチルキシリレンカルボジイミド(重合度=10)を得た。次いで、得られたカルボジイミド169.7g、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(分子量400)80gを100℃で24時間反応させた。これに水を50℃で徐々に加え、固形分40質量%の水分散性カルボジイミド化合物(B−4)を得た。カルボジイミド当量は250であった。
実施例1
(1)塗布液の調整
下記の塗剤を混合し、塗布液を作成した。
水 53.66質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリウレタン樹脂(A−1) 11.28質量%
水溶性カルボジイミド化合物(B−1) 4.23質量%
粒子 0.71質量%
(平均粒径40nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
粒子 0.07質量%
(平均粒径450nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
界面活性剤 0.05質量%
(シリコン系、固形分濃度100質量%)
(2)易接着性ポリエステルフィルムの製造
フィルム原料ポリマーとして、固有粘度が0.62dl/gで、かつ粒子を実質上含有していないPET樹脂ペレットを、133Paの減圧下、135℃で6時間乾燥した。その後、押し出し機に供給し、約280℃でシート状に溶融押し出しして、表面温度20℃に保った回転冷却金属ロール上で急冷密着固化させ、未延伸PETシートを得た。
この未延伸PETシートを加熱されたロール群及び赤外線ヒーターで100℃に加熱し、その後周速差のあるロール群で長手方向に3.5倍延伸して、一軸延伸PETフィルムを得た。
次いで、前記塗布液をロールコート法でPETフィルムの片面に塗布した後、80℃で20秒間乾燥した。なお、最終(二軸延伸後)の乾燥後の塗布量が0.15g/mになるように調整した。引続いてテンターで、120℃で幅方向に4.0倍に延伸し、フィルムの幅方向の長さを固定した状態で、230℃で0.5秒間加熱し、さらに230℃で10秒間3%の幅方向の弛緩処理を行ない、厚さ100μmの易接着性熱可塑性樹脂フィルムを得た。評価結果を表2に示す。
比較例1
塗布液を下記に変更したこと以外は実施例1と同様にして易接着性ポリエステルフィルムおよび積層ポリエステルフィルムを得た。
水 53.26質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリウレタン樹脂(A−1) 14.50質量%
水溶性カルボジイミド化合物(B−1) 1.41質量%
粒子 0.71質量%
(平均粒径40nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
粒子 0.07質量%
(平均粒径450nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
界面活性剤 0.05質量%
(シリコン系、固形分濃度100質量%)
比較例2
塗布液を下記に変更したこと以外は実施例1と同様にして易接着性ポリエステルフィルムおよび積層ポリエステルフィルムを得た。
水 54.96質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリウレタン樹脂(A−1) 0.81質量%
水溶性カルボジイミド化合物(B−1) 13.40質量%
粒子 0.71質量%
(平均粒径40nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
粒子 0.07質量%
(平均粒径450nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
界面活性剤 0.05質量%
(シリコン系、固形分濃度100質量%)
比較例3
ポリウレタン樹脂をポリエステルポリオールを構成成分とするポリウレタン樹脂(A−5)に変更した以外は実施例1と同様にして易接着性ポリエステルフィルムおよび積層ポリエステルフィルムを得た。
比較例4
ポリウレタン樹脂をポリエーテルポリオールを構成成分とするポリウレタン樹脂(A−6)に変更した以外は実施例1と同様にして易接着性ポリエステルフィルムおよび積層ポリエステルフィルムを得た。
比較例5
水溶性カルボジイミド化合物(B―1)をエポキシ化合物(ナガセケムテックス社製 デナコールEX−521 固形分濃度100%)に変更した以外は実施例1と同様にして易接着性ポリエステルフィルムおよび積層ポリエステルフィルムを得た。
比較例6
水溶性カルボジイミド化合物(B−1)をメラミン化合物(DIC社製 ベッカミンM−3 固形分濃度60%)に変更した以外は実施例1と同様にして易接着性ポリエステルフィルムおよび積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例2
塗布液を下記に変更したこと以外は実施例1と同様にして易接着性ポリエステルフィルムおよび積層ポリエステルフィルムを得た。
水 53.46質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリウレタン樹脂(A−1) 12.89質量%
水溶性カルボジイミド化合物(B−1) 2.82質量%
粒子 0.71質量%
(平均粒径40nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
粒子 0.07質量%
(平均粒径450nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
界面活性剤 0.05質量%
(シリコン系、固形分濃度100質量%)
実施例3
塗布液を下記に変更したこと以外は実施例1と同様にして易接着性ポリエステルフィルムおよび積層ポリエステルフィルムを得た。
水 54.26質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリウレタン樹脂(A−1) 6.45質量%
水溶性カルボジイミド化合物(B−1) 8.46質量%
粒子 0.71質量%
(平均粒径40nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
粒子 0.07質量%
(平均粒径450nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
界面活性剤 0.05質量%
(シリコン系、固形分濃度100質量%)
実施例4
塗布液を下記に変更したこと以外は実施例1と同様にして易接着性ポリエステルフィルムおよび積層ポリエステルフィルムを得た。
水 54.47質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリウレタン樹脂(A−1) 4.83質量%
水溶性カルボジイミド化合物(B−1) 9.87質量%
粒子 0.71質量%
(平均粒径40nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
粒子 0.07質量%
(平均粒径450nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
界面活性剤 0.05質量%
(シリコン系、固形分濃度100質量%)
実施例5
水溶性カルボジイミド化合物(B−1)を水溶性カルボジイミド化合物(B−2)に変更した以外は実施例1と同様にして易接着性ポリエステルフィルムおよび積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例6
水溶性カルボジイミド化合物(B−1)を水溶性カルボジイミド化合物(B−3)に変更した以外は実施例1と同様にして易接着性ポリエステルフィルムおよび積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例7
ポリウレタン樹脂(A−1)をポリウレタン樹脂(A−2)に変更した以外は実施例1と同様にして易接着性ポリエステルフィルムおよび積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例8
ポリウレタン樹脂(A−1)をポリウレタン樹脂(A−3)に変更した以外は実施例1と同様にして易接着性ポリエステルフィルムおよび積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例9
ポリウレタン樹脂(A−1)をポリウレタン樹脂(A−4)に変更した以外は実施例1と同様にして易接着性ポリエステルフィルムおよび積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例10
水溶性カルボジイミド化合物(B−1)を水分散性カルボジイミド化合物(B−4)に変更した以外は実施例1と同様にして易接着性ポリエステルフィルムおよび積層ポリエステルフィルムを得た。
Figure 2011153289
本発明の易接着性熱可塑性樹脂フィルムは、初期密着性および耐湿熱性に優れる。特に、光学機能層との初期密着性および耐湿熱性に優れるため、ディスプレイなどに主として用いられる、ハードコートフィルム及び該フィルムを用いた反射防止フィルム、光拡散シート、プリズム状レンズシート、近赤外線遮断フィルム、透明導電性フィルム、防眩フィルム、などの光学機能性フィルムのベースフィルムとして好適である。

Claims (4)

  1. 基材フィルムの少なくとも片面に塗布層が積層された易接着性熱可塑性樹脂フィルムであって、
    前記塗布層はポリカーボネート系ウレタン樹脂を含有し、
    さらに前記塗布層中にカルボジイミド基を0.5〜3.5mmol/g含む易接着性熱可塑性樹脂フィルム。
  2. 前記ウレタン樹脂がポリオキシアルキレン基を有する、請求項1に記載の易接着性熱可塑性樹脂フィルム。
  3. 前記カルボジイミド化合物が水溶性であり、ヘイズが2.5%以下である、請求項1または2に記載の易接着性熱可塑性樹脂フィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載する易接着性熱可塑性樹脂フィルムの前記塗布層に、ハードコート層、光拡散層、プリズム状レンズ層、電磁波吸収層、近赤外線遮断層、透明導電層から選択される少なくとも1層の機能層を積層してなる光学用易接着性熱可塑性樹脂フィルム。
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