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JP2011074143A - インクセットおよび画像形成方法 - Google Patents

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JP2011074143A
JP2011074143A JP2009224961A JP2009224961A JP2011074143A JP 2011074143 A JP2011074143 A JP 2011074143A JP 2009224961 A JP2009224961 A JP 2009224961A JP 2009224961 A JP2009224961 A JP 2009224961A JP 2011074143 A JP2011074143 A JP 2011074143A
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Yasushi Oishi
康史 大石
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Fujifilm Corp
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Abstract

【課題】画像品質が良好で、優れた耐擦性、耐ブロッキング性を有する画像を形成することができるインクセットを提供する。
【解決手段】インクセットを、着色剤、重合性化合物、開始剤、および水系媒体を少なくとも含有するインク組成物と、前記インク組成物と接触して凝集体を形成可能な凝集剤、および酸発生剤を含有する処理液と、を含んで構成する。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクセットおよび画像形成方法に関する。
カラー画像を記録する画像記録方法としては、近年、様々な方法が提案されているが、いずれにおいても画像品質、風合い、記録後のカールなど、記録物の品位に対する要求は高い。
例えば、インクジェット技術は、オフィスプリンタ、ホームプリンタ等の分野に適用されてきたが、近年では商業印刷分野での応用がなされつつある。商業印刷分野では、写真のような表面を有するものではなく、汎用の印刷紙に印刷された印刷物のような印刷の風合いを有する記録物が要求されている。一般にインクジェット記録専用の記録媒体は、溶媒吸収層が20〜30μmと厚いため、記録媒体の表面光沢、質感、こわさ(コシ)等が制限されてしまい、印刷物の風合いを有する記録物を得ることは難しく、さらに溶媒吸収層、耐水層を有することによりコスト高となってしまう。そのため、商業印刷分野でのインクジェット技術の適用は、記録媒体に対する表面光沢、質感、こわさ(コシ)等の制限が許容されるポスター、帳票印刷等に留まっている。
一方、高画質な画像を形成するインクジェット記録方法として、通常のインクジェット用インクとは別に、画像を良好にするための液体組成物を用意し、この液体組成物をインクジェット用インクの吐出に先立って記録媒体上に付着して画像を記録する方法が、種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。これらの方法では、インクジェット用インクの定着成分によりインク中の成分を紙の表面で凝集させて、クスミや滲みが発生する前に定着する。
また、特定の反応液と特定のインク組成物を組み合わせることで、記録媒体上における印字にじみ、印字ムラを抑えることにより、カラーブリードを有効に防止できる技術が知られている(例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照)。
特開2004−59933号公報 特開平8−60051号公報 特許第3595585号公報 特許第3642152号公報
しかしながら、特許文献1〜4に記載の技術においては、耐擦性や耐ブロッキング性の点で良好な画像品質が得られない場合があった。
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、画像品質が良好で、優れた耐擦性、耐ブロッキング性を有する画像を形成することができるインクセットおよびこれを用いた画像形成方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 着色剤、重合性化合物、開始剤、および水系媒体を少なくとも含有するインク組成物と、前記インク組成物と接触して凝集体を形成可能な凝集剤、および酸発生剤を含有する処理液と、を含むインクセット。
<2> 前記酸発生剤は、光および熱の少なくとも一方により酸を発生する前記<1>に記載のインクセット。
<3> 前記酸発生剤は、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、o−ニトロベンジルスルホネート、およびスルホン酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種である<1>または<2>に記載のインクセット。
<4> 前記凝集剤は、酸性化合物、多価金属塩、およびカチオン性ポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種である前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載のインクセット。
<5> 前記酸発生剤は、下記一般式(I)、一般式(II)、一般式(III)および一般式(V)のいずれかで表される化合物から選ばれる少なくとも1種である前記<1>〜<4>のいずれか1項に記載のインクセット。
Figure 2011074143
(一般式(I)中、炭素原子Cと炭素原子Cの間は単結合または二重結合で結合される。R11およびR12は、同じでも異なってもよく、下記(1)〜(4)のいずれかを表す。
(1)それぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基。
(2)CおよびCとともに1つあるいは複数のヘテロ原子を含んでよい非芳香族の単環または多環を形成する非金属原子群。
(3)CおよびCを含む縮合した芳香環を形成する非金属原子群。
(4)N−アルキルまたはアリールスルホニルオキシイミド基と連結基とを含む基。
13はアルキル基、ハロゲン化アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、またはボルナン−2−オンに由来する基を表す。
一般式(II)中、R21およびR22は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、ヘテロアリール基、もしくはシアノ基、または、アルキレン基、アルケニレン基、アルキンジイル基、フェニレン、フランジイル、チオフェンジイル、−O−、−S−、−N−、および−CO−からなる群から選ばれる少なくとも1種からなる連結基と、一般式(II)で表される化合物に由来する基とを含む基を表す。
23は、アルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基を表す。
一般式(III)中、Zは、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、ハロゲン原子を有するアルキル基、ハロゲン原子もしくはニトロ基を有するアリール基、ハロゲン原子もしくはニトロ基を有するアルキルアリール基、ニトロ基とハロゲン原子を有するアリール基、または、ニトロ基とハロゲン原子を有するアルキルアリール基を表す。R31は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のアシル基を表す。Qは炭化水素基、アルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、および有機ケイ素基を表し、mは0、1または2である。但しQは酸性の基ではなく、mが2の場合、2つのQは同一でも異なっていてもよい。
一般式(V)中、R51およびR52はそれぞれ独立に、アルキル基、またはアリール基を表す)
<6> 前記酸性化合物は、3価以下の酸性化合物である前記<4>または<5>に記載のインクセット。
<7> 前記酸性化合物の含有率は、処理液全体に対して40質量%以下である前記<4>〜<6>のいずれか1項に記載のインクセット。
<8> 前記多価金属塩は、2価または3価の多価金属塩である前記<4>〜<7>のいずれか1項に記載のインクセット。
<9> 前記カチオン性ポリマーは、ポリ(ビニルピリジン)塩、ポリアルキルアミノエチルアクリレート、ポリアルキルアミノエチルメタクリレート、ポリ(ビニルイミダゾール)、ポリエチレンイミン、ポリビグアニド、およびポリグアニドからなる群から選ばれる少なくとも1種である前記<4>〜<8>のいずれか1項に記載のインクセット。
<10> 前記インク組成物は、樹脂粒子を更に含む前記<1>〜<9>のいずれか1項に記載のインクセット。
<11> 前記<1>〜<10>のいずれか1項に記載のインクセットに含まれる処理液を、記録媒体上に付与する処理液付与工程と、前記<1>〜<10>のいずれか1項に記載のインクセットに含まれるインク組成物を、記録媒体上に付与して画像を形成するインク付与工程と、を含む画像形成方法
<12> 前記記録媒体は、塗工紙である前記<11>に記載の画像形成方法。
<13> 前記インク付与工程は、前記処理液が付与された記録媒体上に前記インク組成物を付与することを含む<11>または<12>に記載の画像形成方法。
<14> 前記インク付与工程は、インクジェット方式により前記インク組成物を付与することを含む前記<11>〜<13>のいずれか1項に記載の画像形成方法。
<15> 前記記録媒体上に付与されたインク組成物に活性放射線を照射する工程をさらに含む前記<11>〜<14>のいずれか1項に記載の画像形成方法。
本発明によれば、画像品質が良好で、優れた耐擦性、耐ブロッキング性を有する画像を形成することができるインクセットおよびこれを用いた画像形成方法を提供することができる。
<インクセット>
本発明のインクセットは、着色剤、重合性化合物、開始剤、および水系媒体を少なくとも含有するインク組成物の少なくとも1種と、前記インク組成物と接触して凝集体を形成可能な凝集剤、および酸発生剤を含有する処理液の少なくとも1種と、を含む。
重合性化合物および開始剤を含むインク組成物と、凝集剤および酸発生剤を含む処理液とを用いて画像を形成することにより、良好な画像品質で、耐擦性と耐ブロッキング性に優れた画像が形成される。
[処理液]
本発明のインクセットは、前記インク組成物と接触して凝集体を形成可能な凝集剤の少なくとも1種と、酸発生剤の少なくとも1種を含み、必要に応じてその他の成分を含んで構成される。
処理液が凝集剤と酸発生剤とを含むことで、良好な画像品質で耐擦性と耐ブロッキング性に優れた画像を形成することができる。
(酸発生剤)
本発明における処理液は、酸発生剤の少なくとも1種を含む。本発明における酸発生剤としては、熱が付与されることで酸を発生する化合物(熱酸発生剤)、および光が照射されることで酸を発生する化合物(光酸発生剤)を挙げることができる。これら酸発生剤は2種以上を併用して用いることもできる。また、増感剤などを併用して用いることもできる。
−光酸発生剤−
光酸発生剤としては、光カチオン重合に用いられる光開始剤、光ラジカル重合に用いられる光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている活性光線または放射線の照射により酸を発生する公知の化合物およびそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
具体的には例えば、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o−ニトロベンジルスルホネートを挙げることができる。好ましい光酸発生剤としては、スルホン酸を発生する化合物であるイミドスルホネート、オキシムスルホネート、o−ニトロベンジルスルホネートを挙げることができる。
また、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する基、あるいは化合物を樹脂の主鎖又は側鎖に導入した化合物、たとえば、米国特許第3,849,137号、独国特許第3914407号、特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146038号、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号等の各公報に記載の化合物を用いることができる。
さらに米国特許第3,779,778号、欧州特許第126,712号等の各公報に記載の光により酸を発生する化合物も使用することができる。
活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物の内で好ましい化合物として、下記一般式(ZI)、(ZII)、および(ZIII)のいずれかで表される化合物を挙げることができる。
Figure 2011074143
一般式(ZI)〜(ZIII)において、R51〜R57は、各々独立に有機基を表す。R51〜R57の有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1〜20である。
51〜R53のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R51〜R53の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
は、非求核性アニオンを表し、好ましくはスルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、ビス(アルキルスルホニル)アミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオン等の炭素原子を有する有機アニオン、BF 、PF 、SbF などが挙げられ、好ましくは炭素原子を有する有機アニオンである。
好ましい有機アニオンとしては、下記一般式に示す有機アニオンが挙げられる。
Figure 2011074143
上記一般式に於いて、
Rcは有機基を表す。Rcにおける有機基として、炭素数1〜30の有機基が挙げられ、好ましくは置換していてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはこれらの複数が、単結合、もしくは、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SON(Rd)−などの連結基で連結された基を挙げることができる。Rdは、水素原子またはアルキル基を表す。
Rc、RcおよびRcは各々独立して有機基を表す。Rc、RcおよびRcの有機基としては、Rcにおける好ましい有機基と同じものを挙げることができ、好ましくは、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基である。
RcとRcは互いに結合して環を形成していてもよい。RcとRcが結合して形成される基としてはアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基が挙げられる。好ましくは炭素数2〜4のパーフルオロアルキレン基である。
RcおよびRc〜Rcの有機基として、好ましくは1位がフッ素原子またはフルオロアルキル基で置換されたアルキル基、フッ素原子またはフルオロアルキル基で置換されたフェニル基である。フッ素原子またはフルオロアルキル基を有することにより、光照射によって発生した酸の酸性度が上がり、画像部の凝集を促進するため、画像品質が向上する。また、RcとRcが結合して環を形成することにより光照射によって発生した酸の酸性度が上がり、画像部の凝集を促進するため、画像品質が向上し、好ましい。
本発明における光酸発生剤としては、前記一般式(ZI)で表される化合物であることが好ましく、トリアリールスルホニウム塩であることがより好ましく、特定の置換基を有するトリアリールスルホニウム塩(以下、「特定光酸発生剤」ということがある)であることがさらに好ましい。
特定の置換基としては、トリアリールスルホニウム塩のアリール基の少なくとも一つが電子吸引性基を置換基として有することが好ましく、更に、アリール骨格に結合する置換基のハメット値の総和が0.18より大きいことが好ましい。
ここで、電子吸引性基とは、ハメット値(Hammet置換基定数σ)が0より大きい置換基を意味する。本発明においては、画像品質の観点から、特定光酸発生剤中のアリール骨格に結合する置換基のハメット値の総和が0.18以上であることが好ましく、0.46より大きいことがより好ましく、0.60より大きいことが更に好ましい。
また、ハメット値は、トリアリールスルホニウム塩構造を有するカチオンの電子吸引性の程度を表すものであり、画像品質の観点からは特に上限値はないが、反応性と安定性との観点からは、0.46を超え4.0未満であることが好ましく、より好ましくは0.50を超え、3.5未満であり、特に好ましくは0.60を超え3.0未満の範囲である。
なお、本発明におけるハメット値は、稲本直樹 編、化学セミナー10 ハメット則−構造と反応性−(1983年、丸善(株)発行)に記載の数値を用いている。
アリール骨格に導入する電子吸引性基としては、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子、エステル基、スルホキシド基、シアノ基、アミド基、カルボキシル基、カルボニル基等が挙げられる。これらの置換基のハメット値を以下に示す。トリフルオロメチル基(−CF、m:0.43、p:0.54)、ハロゲン原子〔例えば、−F(m:0.34、p:0.06)、−Cl(m:0.37、p:0.23)、−Br(m:0.39、p:0.23)、−I(m:0.35、p:0.18)〕、エステル基(例えば、−COOCH、o:0.37、p:0.45)、スルホキシド基(例えば、−SOCH、m:0.52、p:0.45)、シアノ基(−CN、m:0.56、p:0.66)、カルバモイル基(例えば、−NHCOCH、m:0.21、p:0.00)、カルボキシル基(−COOH、m:0.37、p:0.45)、ホルミル基(−CHO、m:0.36、p:0.43)等が挙げられる。かっこ内は、その置換基のアリール骨格における導入位置と、そのハメット値を表し、(m:0.50)とは、当該置換基がメタ位に導入された時のハメット値が0.50であることを示す。
これらの置換基のなかでも、画像品質向上の観点から、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基等の非イオン性の置換基が好ましく、なかでも、反応性の観点から−Clが好ましく、画像品質向上の観点からは、−F、−CF、−Cl、−Brが好ましい。
これらの置換基は、トリアリールスルホニウム塩構造の3つのアリール骨格のいずれか一つに導入されていてもよく、2以上のアリール骨格に導入されていてもよい。また、3つのアリール骨格のそれぞれに導入される置換基は、1つでも複数でもよい。本発明においては、これらのアリール骨格に導入された置換基のハメット値の総和が0.18を超えるものが好ましく、0.46を越えるものがより好ましい。導入される置換基の数は、任意である。例えば、トリアリールスルホニウム塩構造のアリール骨格のうち1ヶ所に特にハメット値の大きい(例えば、ハメット値が単独で0.46を超える)置換基を1つだけ導入していてもよい。また、例えば、複数の置換基が導入され、それぞれのハメット値の合計が0.46を超えるものを導入してもよい。
上記のように、置換基のハメット値は導入される位置によって異なるため、本発明に係る特定光酸発生剤におけるハメット値の総和は、置換基の種類、導入位置、導入数により確定されることになる。
なお、ハメット値は、通常、m位、p位で表されるが、本発明においては、電子吸引性の指標として、o位での置換基効果はp位と同値として計算する。好ましい置換位置としては、合成上の観点からm位、p位が好ましく、p位が最も好ましい。
本発明において好ましいのは、ハロゲン原子により3置換以上されているスルホニウム塩であり、最も好ましいのは、塩素原子により3置換されているスルホニウム塩であり、具体的には、3つのアリール骨格のそれぞれにハロゲン原子、最も好ましくは、塩素原子が導入されたトリアリールスルホニウム塩構造を有するものが好ましく、塩素原子がp位に置換されているものがより好ましい。
本発明におけるインク組成物が含有するトリアリールスルホニウム塩が有するスルホン酸アニオンとしては、例えば、アリールスルホン酸アニオン、アルカンスルホン酸アニオンなどが挙げられ、フッ素原子又はフッ素原子を有する有機基で置換されているアニオンが好ましい。
トリアリールスルホニウム塩構造を有する化合物は、例えば、J.Am.Chem.Soc.第112巻(16)、1990年;pp.6004−6015、J.Org.Chem.1988年;pp.5571−5573、WO02/081439A1パンフレット、或いは欧州特許(EP)第1113005号明細書等に記載の方法により容易に合成することが可能である。
以下に具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2011074143
Figure 2011074143
また本発明における光酸発生剤としては、pKaが2以下である強い酸を発生する化合物であることが好ましい。pKaが2以下の酸としては、スルホン酸や電子吸引基の置換したアルキルまたはアリールカルボン酸、同じく電子吸引基の置換したジスルホニルイミドなどが好ましい。電子吸引基としてはF原子などのハロゲン原子、トリフルオロメチル基等のハロアルキル基、ニトロ基、シアノ基を挙げることができる。
このような光酸発生剤としては、例えばN−ヒドロキシイミドスルホネート化合物、オキシムスルホネート化合物、o−ニトロベンジルスルホネート化合物等を挙げることができる。
光酸発生剤として好ましいN−ヒドロキシイミドスルホネート化合物としては、以下の一般式(I)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2011074143
式中、炭素原子Cと炭素原子C間は単結合あるいは二重結合で結合される。R11およびR12は、同じでも異なってもよく、下記(1)〜(4)のいずれかを表す。
(1)それぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基。
(2)CおよびCとともに1つあるいは複数のヘテロ原子を含んでよい非芳香族の単環または多環を形成する非金属原子群。
(3)CおよびCを含む縮合した芳香環を形成する非金属原子群。
(4)N−アルキルまたはアリールスルホニルオキシイミド基と連結基とを含む基。
13はアルキル基、ハロゲン化アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、またはボルナン−2−オンに由来する基を表す。
ここでボルナン−2−オンに由来する基とは、ボルナン−2−オンから1個の水素原子を取り除いて構成される1価の基であり、例えば、7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オンメチル基を表す。
一般式(I)における、R11およびR12が(1)のケースに当たる場合、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基の様な炭素数1〜4個のアルキル基があげられる。シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等炭素数3〜8個のものがあげられる。アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基の様な炭素数6〜14個のものを挙げることができる。
11およびR12が(2)のケースに当たる場合、例えば以下の様な部分構造を挙げることができる。
Figure 2011074143
11およびR12が(3)のケースに当たる場合、例えば以下の様な部分構造を挙げることができる。
Figure 2011074143
11およびR12が(4)のケースに当たる場合は、少なくとも2つのN−スルホニルオキシイミド基が上記(1)〜(3)の部分構造を有するR11およびR12の部分で単結合、または以下のような2価の基の少なくとも1種からなる連結基で結合したものを挙げることができる。
〔2価の基〕:−O−、−S−、−SO−、−SO−、−NH−、−CO−、−CO−、−NHSO−、−NHCO−、−NHCO−、
13におけるアルキル基としては炭素数1〜20個の直鎖あるいは分岐のアルキル基を挙げることができる。好ましくは炭素数1〜16個の直鎖あるいは分岐のアルキル基であり、更に好ましくは炭素数1〜12個の直鎖あるいは分岐のアルキル基である。炭素数が20個以下のアルキル基であることで、画像品質がより向上する。
ハロゲン化アルキル基としては上記アルキル基の1つあるいは2つ以上の水素原子がハロゲン原子で置換されたものを挙げることができる。置換するハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。好ましくはフッ素原子、塩素原子、臭素原子であり、特に好ましくはフッ素原子である。但し、置換するハロゲン原子は一分子当たり複数の種類であってもよい。
シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等の炭素数3〜12個のシクロアルキル基やノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデカニル基等の多環状置換基を挙げることができる。
アルケニル基としては炭素数2〜20個の直鎖あるいは分岐のアルケニル基を挙げることができる。好ましくは炭素数2〜16個の直鎖あるいは分岐のアルケニル基であり、更に好ましくは炭素数2〜12個のものである。炭素数が20個以下のアルケニル基であることで、画像品質がより向上する。
13のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基を挙げることができ、アラルキル基としてはベンジル基を挙げることができる。
アリール基とアラルキル基の置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基等の低級アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トルイル基、キシリル基、メシチル基等のアリール基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の低級アルコキシ基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基、ホルミル基、アセチル基等のアシル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子を挙げることができる。中でも好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基等の低級アルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の低級アルコキシ基、シクロヘキシル基、フェニル基、トルイル基、シアノ基、ニトロ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子である。
なおアリール基、アラルキル基上の置換基は2種類以上であっても構わない。
以下に、一般式(I)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2011074143
Figure 2011074143
Figure 2011074143
また、光酸発生剤として好ましいオキシムスルホネート化合物としては以下の一般式(II)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2011074143
上記一般式(II)中、R21およびR22は、炭素数1〜16の置換基を有していてもよいアルキル基、炭素数2〜16の置換基を有していてもよいアルケニル基、炭素数2〜16の置換基を有していてもよいアルキニル基、炭素数3〜8の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、炭素数3〜8の置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、ヘテロアリール基、またはシアノ基を表す。
また、R21およびR22は、炭素数2〜8の置換基を有していてもよいアルキレン基、炭素数2〜8の置換基を有していてもよいアルケニレン基、炭素数2〜8の置換基を有していてもよいアルキンジイル基、置換基を有していてもよいフェニレン、フランジイル、チオフェンジイル、−O−、−S−、−N−、−CO−からなる群から選ばれる少なくとも1種からなる連結基と、一般式(II)で表される化合物に由来する基とを含む基を表す。即ち、一般式(II)で表される化合物は、オキシムスルホネート構造が連結基を介して2つまたは3つ有するものも包含する。
またR23は炭素数1〜16個の置換基を有していてもよいアルキル基、炭素数3〜8の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基を表す。
21〜R23における炭素数1〜16個のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、t−アミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、i−オクチル基、n−デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基等のアルキル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロ−t−ブチル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロウンデシル基、1,1−ビストリフルオロメチルエチル基、等が挙げられる。
21およびR22におけるアルケニル基としては、アリル基、メタリル基、ビニル基、メチルアリル基、1−ブテニル基、3−ブテニル基、2−ブテニル基、1,3−ペンタジエニル基、5−ヘキセニル基、2−オキソ−3−ペンテニル基、デカペンタエニル基、7−オクテニル基等が挙げられる。
21およびR22におけるアルキニル基としては、エチニル基、プロパルギル基、2−ブチニル基、4−ヘキシニル基、2−オクチニル基、フェニルエチニル基、シクロヘキシルエチニル基等が挙げられる。
21〜R23におけるシクロアルキル基としては、置換基を有していてもよい、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基のような炭素数3〜8個のものが挙げられる。
21およびR22におけるシクロアルケニル基としては、シクロブテニル基、シクロヘキセニル基、シクロペンタジエニル基、ビシクロ〔4.2.4〕ドデカ−3,7−ジエン−5−イル基等が挙げられる。
21〜R23におけるアリール基としては、置換基を有していてもよいフェニル基、トリル基、メトキシフェニル基、ナフチル基のような炭素数6〜14個のものが挙げられる。
上記R21〜R23で表される基における置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ニトロ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アラルキル基、下記一般式(IIa)で示される基等が挙げられる。
ここでアルキル基、シクロアルキル基は上記で挙げたものと同義である。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基のような炭素数1〜4個のものが挙げられる。アラルキル基としては、ベンジル基、ナフチルメチル基、フリルメチル基、チエニルメチル基などが挙げられる。
Figure 2011074143
上記式(IIa)中、R21およびR22は、前記一般式(II)中のR21およびR22と同義である。
一般式(II)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2011074143
Figure 2011074143
なかでも、好ましいオキシムスルホネート化合物の具体例としては、上記(z66)〜(z70)が挙げられる。
o−ニトロベンジルスルホネート化合物としては下記一般式(III)または(IV)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2011074143
一般式(III)におけるZは、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、ハロゲン原子を有するアルキル基、ハロゲン原子またはニトロ基を有するアリール基、ハロゲン原子またはニトロ基を有するアルキルアリール基、ニトロ基とハロゲン原子とを有するアリール基、およびニトロ基とハロゲン原子とを有するアルキルアリール基からなる群から選ばれる。中でも、ハロゲン原子またはニトロ基を有するアリール基であることが好ましい。
また一般式(III)におけるR31は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のアシル基を表す。Qは、炭化水素基、アルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、または有機ケイ素基を表す。
mの値は0、1又は2である。但しQは酸性の基ではなく、mが2のとき2つのQは同一でも異なっていてもよい。
一般式(IV)におけるR41は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のアシル基を表す。R42は、水素原子、メチル基、またはニトロ置換されたアリール基を表す。Qは、炭化水素基、アルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、および有機ケイ素基から選ばれ、m1およびm2はそれぞれ独立して0、1または2である。但しQは酸性の基ではなく、m1またはm2が、2のとき2つのQは同一でも異なっていてもよい。
一般式(III)で表される化合物の具体例としては、例えば、以下の化合物を挙げることができる。
Figure 2011074143
本発明における光酸発生剤としては、画像品質の観点から、上記一般式(I)〜一般式(III)のいずれかで表される化合物であることが好ましい。
また本発明において、光酸発生剤の含有量は、0.5〜30質量%が好ましく、2〜20質量%がより好ましい。光酸発生剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明において、酸発生剤として上記スルホニウム塩等の光酸発生剤を用いる場合、その分解を促進させるために増感剤を併用することが好ましい。増感剤は、活性光線または放射線を吸収して電子励起状態となる。電子励起状態となった増感剤は、光酸発生剤と接触して、電子移動、エネルギー移動、発熱などの作用が生じる。これにより光酸発生剤は化学変化を起こして分解し、酸を生成する。
好ましい増感剤の例としては、以下の化合物類に属しており、かつ350nmから450nm域に吸収波長を有する化合物を挙げることができる。
多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン、アントラセン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ4−メチルクマリン)。中でも増感剤として、特にアントラセン誘導体が好ましい。
増感剤の好ましい具体例としては、以下に示す(C−1)〜(C−26)が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2011074143
Figure 2011074143
Figure 2011074143
上述のような増感剤は、市販のものを用いてもよいし、公知の合成方法により合成してもよい。
増感剤の添加量は、光酸発生剤100質量部に対して、20〜200質量部が好ましく、30〜150質量部がより好ましい。
−熱酸発生剤−
本発明における酸発生剤としては、インク組成物によって形成される膜の物性を改良するために熱酸発生剤もまた好ましく使用される。本発明における熱酸発生剤とは、熱により酸が発生する化合物であり、通常、熱分解点が130℃〜250℃、好ましくは150℃〜220℃の範囲の化合物であり、例えば、加熱によりスルホン酸、カルボン酸、ジスルホニルイミドなどの低求核性の酸を発生する化合物である。
熱酸発生剤が発生する酸としては、pKaが2以下と強いスルホン酸や電子吸引基の置換したアルキルまたはアリールカルボン酸、同じく電子吸引基の置換したジスルホニルイミドなどが好ましい。電子吸引基としてはF原子などのハロゲン原子、トリフルオロメチル基等のハロアルキル基、ニトロ基、シアノ基を挙げることができる。
熱酸発生剤としては、上記光により酸を発生する光酸発生剤の適用も可能である。例えばスルホニウム塩やヨードニウム塩等のオニウム塩、N−ヒドロキシイミドスルホネート化合物、オキシムスルホネート、o−ニトロベンジルスルホネート等を挙げることができる。中でもN−ヒドロキシイミドスルホネート化合物、オキシムスルホネート、o−ニトロベンジルスルホネートが好ましい。
本発明において、熱酸発生剤は、光の照射により実質的に酸を発生せず、熱によってのみ酸を発生する化合物であることが好ましい。
具体的には、下記一般式(V)で表されるスルホン酸エステルを挙げることができる。
Figure 2011074143
上記一般式(V)において、R51およびR52はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の直鎖、分岐または環状のアルキル基または置換を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基を示す。置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、ビニル基、アセチレン基炭素数1〜10の直鎖または環状のアルキル基が挙げられる。
スルホン酸エステルの好ましい具体例として下記が挙げられる。
Figure 2011074143
前記スルホン酸エステルの分子量は、一般的には230〜1000とすることができ、好ましくは230〜800である。
また前記スルホン酸エステルとして、下記一般式(Va)で表される化合物が、耐熱性の点で更に好ましく使用できる。
Figure 2011074143
一般式(Va)中、Aはh価の連結基を表す。R53は、アルキル基、アリール基、アラルキル基、またはシクロアルキル基を表す。R54は、水素原子、アルキル基、またはアラルキル基を表す。hは、2〜8の整数を表す。
Aで表されるh価の連結基としては、例えば、アルキレン基(例えばメチレン、エチレン、プロピレン等)、シクロアルキレン基(シクロへキシレン、シクロペンチレン等)、アリーレン基(1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、ナフチレン等)、エーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、およびこれらを組み合わせた基などの2価の基から、任意の水素原子をh−2個除いたh価の基が挙げられる。
Aとしての連結基の炭素数は一般的に1〜15であり、1〜10であることが好ましく、1〜6であることがさらに好ましい。
53およびR54におけるアルキル基としては、一般的には炭素数1〜20のアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜15のアルキル基、更に好ましくは炭素数1〜8のアルキル基である。具体的にはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル等を挙げることができる。
53およびR54におけるアラルキル基としては、一般的には炭素数7〜25のアラルキル基であり、好ましくは炭素数7〜20のアラルキル基、更に好ましくは炭素数7〜15のアラルキル基である。具体的にはベンジル、トルイルメチル、メシチルメチル、フェネチル等を挙げることができる。
53におけるシクロアルキル基としては、一般的には炭素数3〜20のシクロアルキル基であり、好ましくは炭素数4〜20のシクロアルキル基、更に好ましくは炭素数5〜15のシクロアルキル基である。具体的にはシクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル、ボルナン−2−オン基等を挙げることができる。
53におけるアリール基としては、置換基を有していてもよいフェニル基、トリル基、ナフチル基のような炭素数6〜14のものが挙げられる。
Aで表される連結基は、さらに置換基を有していてもよく、置換基としては、アルキル基(炭素数1〜10のアルキル基であり、具体的にはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル等)、アラルキル基(炭素数7〜15のアラルキル基であり、具体的にはベンジル、トルイルメチル、メシチルメチル、フェネチル等)、アリール基(炭素数6〜10のアリール基であり、具体的にはフェニル、トルイル、キシリル、メシチル、ナフチル等)、アルコキシ基(アルコキシ基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよい、炭素数1〜10のアルコキシ基であり、具体的には、メトキシ、エトキシ、直鎖又は分岐プロポキシ、直鎖又は分岐ブトキシ、直鎖又は分岐ペントキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ等)、アリールオキシ基(炭素数6〜10のアリールオキシ基であり、具体的にはフェノキシ、トルイルオキシ、1−ナフトキシ等)、アルキルチオ基(直鎖、分岐、環状のいずれであってもよい、炭素数1〜10のアルキルチオ基であり、具体的には、メチルチオ、エチルチオ、直鎖又は分岐プロピルチオ、シクロペンチルチオ、シクロヘキシルチオ)、アリールチオ基(炭素数6〜10のアリールチオ基であり、具体的にはフェニルチオ、トルイルチオ、1−ナフチルチオ等)、アシルオキシ基(炭素数2〜10のアシルオキシ基で、具体的には、アセトキシ、プロパノイルオキシ、ベンゾイルオキシ等)、アルコキシカルボニル基(炭素数1〜10のアルコキシカルボニル基であり、具体的にはメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、直鎖又は分岐プロポキシカルボニル、シクロペンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル等)、を挙げることができる。
一般式(Va)において、R53はアルキル基およびアリール基が好ましい。R54は水素原子および炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、水素原子、メチル基およびエチル基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
本発明におけるスルホン酸エステルとしては、下記の様な具体的化合物を例としてあげることができるが、これに限るものではない。
Figure 2011074143
Figure 2011074143
また本発明において、熱酸発生剤の含有量は、0.5〜30質量%が好ましく、2〜20質量%がより好ましい。また熱酸発生剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(凝集剤)
本発明における処理液は、上記酸発生剤の他に、インク組成物中の成分を凝集させる凝集剤の少なくとも1種を含有する。本発明における凝集剤は、記録媒体上においてインク組成物と接触することにより、インク組成物を凝集(固定化)可能なものであり、固定化剤として機能する。例えば、処理液を記録媒体(好ましくは、塗工紙)に付与することにより記録媒体上に凝集剤が存在している状態で、インク組成物がさらに着滴して凝集剤に接触することにより、インク組成物中の成分を凝集させて、インク組成物を記録媒体上に固定化することができる。
前記インク組成物中の成分を固定化させる成分としては、酸性化合物、多価金属塩、カチオン性ポリマーを挙げることができる。これらは1種単独でも、2種以上を併用することができる。
(酸性化合物)
酸性化合物としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、ポリアクリル酸、酢酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、スルホン酸、オルトリン酸、メタリン酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、およびこれらの化合物の誘導体、ならびにこれらの塩等が好適に挙げられる。
これらの中でも、水溶性の高い酸性化合物が好ましい。また、インク組成物と反応してインク全体を固定化させる観点から、3価以下の酸性化合物が好ましく、2価以上3価以下の酸性化合物が特に好ましい。
酸性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記処理液が酸性化合物を含む場合、処理液のpH(25℃)は、0.1〜6.8であることが好ましく、0.5〜6.0であることがより好ましく、0.8〜5.0であることがさらに好ましい。
前記酸性化合物の含有量は、前記処理液の全質量に対し、40質量%以下であることが好ましく、15〜40質量%であることがより好ましい。酸性化合物の含有量を15〜40質量%とすることでインク組成物中の成分をより効率的に固定化することができる。
さらに酸性化合物の含有量は、前記処理液の全質量に対し、15質量%〜35質量%であることが好ましく、20質量%〜30質量%であることがより好ましい。
酸性化合物の記録媒体への付与量としては、インク組成物を凝集させるに足る量であれば特に制限はないが、インク組成物を固定化し易いとの観点から、
0.5g/m〜4.0g/mであることが好ましく、0.9g/m〜3.75g/mであることがより好ましい
(多価金属塩)
本発明における多価金属塩は、アルカリ土類金属、亜鉛族金属等の2価以上の金属を含む化合物であり、Ca2+、Cu2+、Al3+等の金属イオンの酢酸塩、酸化物等を挙げることができる。
本発明において、前記多価金属塩を含む処理液が付与された記録媒体(好ましくは、塗工紙)にインク組成物を吐出したときのインク組成物の凝集反応は、インク組成物中に分散した粒子、例えば、顔料に代表される着色剤や、樹脂粒子等の粒子の分散安定性を減じ、インク組成物全体の粘度を上昇させることで達成することができる。例えば、インク組成物中の顔料や、樹脂粒子などの粒子がカルボキシル基等の弱酸性の官能基を有するとき、当該粒子は前記弱酸性の官能基の働きにより分散安定化しているが、当該粒子の表面電荷を、多価金属塩と相互作用させることにより減じ、分散安定性を低下することができる。したがって、処理液に含まれる固定化剤としての多価金属塩は、凝集反応の観点で、価数が2価以上、すなわち多価であることが必要であり、凝集反応性の観点で、3価以上の多価金属イオンからなる多価金属塩であることが好ましい。
以上の観点から、本発明における処理液に用いることのできる多価金属塩は、以下に示す多価金属イオンと陰イオンとの塩、ポリ水酸化アルミニウムおよびポリ塩化アルミニウムのいずれか1種以上であることが好ましい。
多価金属イオンとしては、例えば、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Sr2+、Zn2+、Ba2+、Al3+、Fe3+、Cr3+、Co3+、Fe2+、La3+、Nd3+、Y3+、およびZr4+などが挙げられる。これら多価金属イオンを処理液中に含有させるためには、前記多価金属の塩を用いればよい。
塩とは、上記のような多価金属イオンと、これらのイオンに結合する陰イオンとから構成される金属塩のことであるが、溶媒に可溶なものであることが好ましい。ここで、前記溶媒とは、多価金属塩とともに処理液を構成する媒質であり、例えば、水や後述する有機溶剤が挙げられる。
前記多価金属イオンと塩を形成するための好ましい陰イオンとしては、例えば、Cl、NO 、I、Br、ClO 、CHCOO、SO 2−などが挙げられる。
多価金属イオンと陰イオンとは、それぞれ単独種または複数種を用いて多価金属イオンと陰イオンとの塩を形成することができる。
上記以外の多価金属塩としては、例えば、ポリ水酸化アルミニウムおよびポリ塩化アルミニウムなどが挙げられる。
本発明においては、反応性や着色性、さらには取り扱いの容易さなどの点から、多価金属イオンと陰イオンとの塩を用いることが好ましく、多価金属イオンとしては、Ca2+、Mg2+、Sr2+、Al3+およびY3+から選ばれる少なくとも1種が好ましく、さらには、Ca2+が好ましい。
また、陰イオンとしては、溶解性などの観点から、NO が特に好ましい。
前記多価金属塩は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記多価金属塩の含有量は、前記処理液の全質量に対し、15質量%以上である。多価金属塩の含有量が15質量%以上とすることでより効果的にインク組成物中の成分を固定化することができる。
多価金属塩の含有量は、前記処理液の全質量に対し、15質量%〜35質量%であることが好ましく、20質量%〜30質量%であることがより好ましい。
多価金属塩の記録媒体への付与量としては、インク組成物を凝集させるに足る量であれば特に制限はないが、インク組成物を固定化し易いとの観点から、
0.5g/m〜4.0g/mであることが好ましく、0.9g/m〜3.75g/mであることがより好ましい
(カチオン性ポリマー)
カチオン性ポリマーとしては、例えば、ポリ(ビニルピリジン)塩、ポリアルキルアミノエチルアクリレート、ポリアルキルアミノエチルメタクリレート、ポリ(ビニルイミダゾール)、ポリエチレンイミン、ポリビグアニド、およびポリグアニド等が挙げられる。
カチオン性ポリマーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記処理液がカチオン性ポリマーを含む場合、処理液のpH(25℃)は、6.0〜10.0であることが好ましく、6.5〜9.5であることがより好ましく、7.0〜9.0であることがさらに好ましい。
前記、カチオン性ポリマーの含有量は、前記処理液の全質量に対して、1質量%〜35質量%であることが好ましく、5質量%〜25質量%であることがより好ましい。
カチオン性ポリマーの記録媒体への付与量としては、インク組成物を凝集させるに足る量であれば特に制限はないが、インク組成物を固定化し易いとの観点から、0.5g/m〜4.0g/mであることが好ましく、0.9g/m〜3.75g/mであることがより好ましい。
(その他成分)
本発明における処理液は、前記酸発生剤および凝集剤に加えて、一般には有機溶剤を含むことができ、更にその他の各種添加剤を用いて構成することができる。有機溶剤、その他の各種添加剤の詳細については、後述するインク組成物におけるものと同様である。
処理液の表面張力(25℃)は、20mN/m以上60mN/m以下であることが好ましい。より好ましくは、25mN/m以上50mN/m以下であり、更に好ましくは、25mN/m以上45mN/m以下である。
表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP-Z(協和界面科学株式会社製)を用い、処理液を25℃の条件下で測定されるものである。
また処理液の粘度(25℃)は、1.0mPa・s以上10mPa・s以下であることが好ましい。より好ましくは、1.2mPa・s以上8mPa・s以下であり、更に好ましくは、1.5mPa・s以上5.5mPa・s以下である。
また処理液の粘度は、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用い、処理液を25℃の条件下で測定されるものである。
本発明における処理液としては、凝集剤として酸性化合物を15〜40質量%含み、酸発生剤として光酸発生剤を0.5〜30質量%含むことが好ましく、凝集剤として3価以下の酸性化合物を20〜30質量%含み、酸発生剤として一般式(I)〜(III)のいずれかで表される化合物を2〜20質量%含むことがより好ましい。
[インク組成物]
本発明におけるインク組成物は、着色剤の少なくとも1種と、重合性化合物の少なくとも1種と、開始剤の少なくとも1種と、水系媒体とを含み、必要に応じてその他の成分をさらに含んで構成される。
重合性化合物と開始剤を含むことで、例えば、記録媒体上に画像を形成した後、活性放射線を照射することで、形成された画像の耐擦性と耐ブロッキング性がより効果的に向上する。
本発明におけるインク組成物(以下、単に「インク」ということがある)は、単色画像の形成のみならず、多色画像(例えばフルカラー画像)の形成に用いられ、所望の1色又は2色以上を選択して画像形成することができる。フルカラー画像を形成する場合、インク組成物は、例えば、マゼンタ色調インク、シアン色調インク、およびイエロー色調インクとして用いることができる。また、色調を整えるために、更にブラック色調インクとして用いてもよい。
また本発明におけるインク組成物は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の色調以外のレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)、白色(W)の色調のインク組成物や、いわゆる印刷分野における特色のインク組成物等として用いることができる。
上記の各色調のインク組成物は、色材(例えば顔料)の色相を所望により変更することにより調製できる。
(着色剤)
本発明におけるインク組成物は、着色剤の少なくとも1種を含む。本発明における着色剤としては、公知の染料、顔料等を特に制限なく用いることができる。中でも、インク着色性の観点から、水に殆ど不溶であるか、又は難溶である着色剤であることが好ましい。具体的には例えば、各種顔料、分散染料、油溶性染料、J会合体を形成する色素等を挙げることができ、更に、耐光性の観点から顔料であることがより好ましい。
本発明における顔料としては、その種類に特に制限はなく、従来公知の有機および無機顔料を用いることができる。
前記有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、多環式顔料などがより好ましい。前記アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、などが挙げられる。前記多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、などが挙げられる。前記染料キレートとしては、例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート、などが挙げられる。
また前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー、カーボンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、カーボンブラックが特に好ましい。なお、前記カーボンブラックとしては、例えば、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたものが挙げられる。
本発明に用いることができる顔料として具体的には、例えば、特開2007−100071号公報の段落番号[0142]〜[0145]に記載の顔料などが挙げられる。
また本発明において着色成分として染料を用いる場合には、染料を水不溶性の担体に保持したものを着色剤として用いることができる。染料としては公知の染料を特に制限なく用いることができ、例えば、特開2001−115066号公報、特開2001−335714号公報、特開2002−249677号公報等に記載の染料を本発明においても好適に用いることができる。また、担体としては、水に不溶または水に難溶であれば特に制限なく、無機材料、有機材料およびこれらの複合材料を用いることができる。具体的には、特開2001−181549号公報、特開2007−169418号公報等に記載の担体を本発明においても好適に用いることができる。
染料を保持した担体(着色剤)はそのまま、あるいは必要に応じて分散剤を併用して用いることができる。分散剤としては後述する分散剤を好適に用いることができる。
上記の顔料は、1種単独で使用してもよく、また、上記した各群内もしくは各群間より複数種を選択して組み合わせて使用してもよい。
着色剤(特に顔料)のインク組成物中における含有量としては、色濃度、粒状性、インク安定性、吐出信頼性の観点から、インク組成物の全質量に対して、1〜25質量%となる量が好ましく、5〜20質量%となる量がより好ましい。
(分散剤)
本発明における着色剤が顔料である場合、分散剤によって水系溶媒に分散された着色粒子を構成していることが好ましい。前記分散剤としては、ポリマー分散剤でも低分子の界面活性剤型分散剤でもよい。また、ポリマー分散剤としては水溶性ポリマー分散剤でも水不溶性ポリマー分散剤の何れでもよい。
本発明においては、分散安定性とインクジェット方式に適用した場合の吐出性の観点から、水不溶性ポリマー分散剤であることが好ましい。
−水不溶性ポリマー分散剤−
本発明における水不溶性ポリマー分散剤(以下、単に「分散剤」ということがある)としては、水不溶性のポリマーであって、顔料を分散可能であれば特に制限は無く、従来公知の水不溶性ポリマー分散剤を用いることができる。水不溶性ポリマー分散剤は、例えば、疎水性の構成単位と親水性の構成単位の両方を含んで構成することができる。
前記疎水性の構成単位を構成するモノマーとしては、スチレン系モノマー、アルキル(メタ)アクリレート、芳香族基含有(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
また前記親水性構成単位を構成するモノマーとしては、親水性基を含むモノマーであれば特に制限はない。前記親水性基としては、ノニオン性基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等を挙げることができる。尚、ノニオン性基としては、水酸基、(窒素原子が無置換の)アミド基、アルキレンオキシド重合体(例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等)に由来する基、糖アルコールに由来する基等が挙げられる。
本発明における親水性構成単位は、分散安定性の観点から、少なくともカルボキシル基を含むことが好ましく、ノニオン性基とカルボキシル基を共に含む形態であることもまた好ましい。
本発明における水不溶性ポリマー分散剤として、具体的には、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体等が挙げられる。
ここで「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸またはメタクリル酸を意味する。
本発明において水不溶性ポリマー分散剤としては、顔料の分散安定性の観点から、カルボキシル基を含むビニルポリマーであることが好ましく、疎水性の構成単位として少なくとも芳香族基含有モノマーに由来する構成単位を有し、親水性の構成単位としてカルボキシル基を含む構成単位を有するビニルポリマーであることがより好ましい。
また前記水不溶性ポリマー分散剤の重量平均分子量としては、顔料の分散安定性の観点から、3,000〜200,000が好ましく、より好ましくは5,000〜100,000、更に好ましくは5,000〜80,000、特に好ましくは10,000〜60,000である。
本発明における着色粒子における分散剤の含有量は、顔料の分散性、インク着色性、分散安定性の観点から、顔料に対し、分散剤が10〜100質量%であることが好ましく、20〜70質量%がより好ましく、30〜50質量%が特に好ましい。
前記着色粒子中の分散剤の含有量が、上記範囲であることにより、顔料が適量の分散剤で被覆され、粒径が小さく経時安定に優れた着色粒子を得やすい傾向となり好ましい。
本発明における前記着色粒子は、前記水不溶性ポリマー分散剤に加えて、その他の分散剤を含んでいてもよい。例えば、従来公知の水溶性低分子分散剤や、水溶性ポリマー等を用いることができる。前記水不溶性ポリマー分散剤以外の分散剤の含有量は、前記分散剤の含有量の範囲内で用いることができる。
本発明における着色粒子は、分散安定性と吐出性の観点から、前記顔料および前記水不溶性ポリマー分散剤を含んで構成されていることが好ましく、顔料の表面の少なくとも一部が水不溶性ポリマー分散剤で被覆されて構成されていることが好ましい。かかる着色粒子は、例えば、顔料、分散剤、必要に応じて溶媒(好ましくは有機溶剤)等を含む混合物を、分散機により分散することで着色粒子分散物として得ることができる。
前記着色粒子分散物は、例えば、前記顔料と前記水不溶性ポリマー分散剤と該分散剤を溶解または分散する有機溶剤との混合物に、塩基性物質を含む水溶液を加える工程(混合・水和工程)の後、前記有機溶剤を除く工程(溶剤除去工程)を設けて分散物として製造することができる。これにより、着色剤が微細に分散され、保存安定性に優れた着色粒子の分散物を作製することができる。
有機溶剤は、前記分散剤を溶解または分散できることが必要であるが、これに加えて水に対してある程度の親和性を有することが好ましい。具体的には、20℃下で水に対する溶解度が10質量%以上50質量%以下であるものが好ましい。
前記着色粒子の分散物は、更に詳細には、下記の工程(1)および工程(2)を含む製造方法で製造することができるが、これに限定されるものではない。
工程(1):顔料、分散剤、および該分散剤を溶解または分散する有機溶剤と共に、塩基性物質を含み、水を主成分とする溶液を含有する混合物を分散処理する工程
工程(2):分散処理後の混合物から、前記有機溶剤の少なくとも一部を除去する工程
前記工程(1)では、まず、前記分散剤を有機溶剤に溶解または分散させて混合物を得る(混合工程)。次に、着色剤、塩基性物質を含み、水を主成分とする溶液、水、および必要に応じて界面活性剤等を、前記混合物に加えて混合、分散処理し、水中油型の分散物を得る。
前記塩基性物質は、ポリマーが有することがあるアニオン性基(好ましくは、カルボキシル基)の中和に用いられる。前記アニオン性基の中和度には、特に限定がない。通常、最終的に得られる着色剤粒子の分散物の液性が、例えばpHが4.5〜10であるものが好ましい。前記ポリマーの望まれる中和度により、pHを決めることもできる。
前記有機溶剤の好ましい例としては、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒が挙げられる。これらのうちアルコール系溶媒としては、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、第3級ブタノール、イソブタノール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。これらの溶媒の中では、イソプロパノール、アセトンおよびメチルエチルケトンが好ましく、特に、メチルエチルケトンが好ましい。有機溶剤は、1種単独で用いても複数併用してもよい。
前記着色粒子の分散物の製造においては、二本ロール、三本ロール、ボールミル、トロンミル、ディスパー、ニーダー、コニーダー、ホモジナイザー、ブレンダー、単軸若しくは2軸の押出機等を用いて、強い剪断力を与えながら混練分散処理を行なうことができる。なお、混練、分散についての詳細は、T.C. Patton著”Paint Flow and Pigment Dispersion”(1964年 John Wiley and Sons社刊)等に記載されている。
また、必要に応じて、縦型もしくは横型のサンドグラインダー、ピンミル、スリットミル、超音波分散機等を用い、0.01〜1mmの粒径のガラス、ジルコニア等でできたビーズを用いた微分散処理を行うことにより得ることができる。
本発明における着色粒子分散物の製造方法における有機溶剤の除去は、特に方法が限定されるものではなく、減圧蒸留等の公知に方法により除去できる。
このようにして得られた着色粒子分散物における着色粒子は良好な分散状態を保ち、かつ、得られた着色粒子分散物は経時安定性に優れたものとなる。
本発明において着色剤(または着色粒子)の体積平均粒径としては、10〜200nmが好ましく、10〜150nmがより好ましく、10〜100nmがさらに好ましい。体積平均粒径が200nm以下であることで色再現性が良好になり、インクジェット方式の場合には打滴特性が良好になる。また、体積平均粒径が10nm以上であることで、耐光性が良好になる。
また、着色剤(または着色粒子)の粒径分布に関しては、特に制限は無く、広い粒径分布又は単分散性の粒径分布のいずれであってもよい。また、単分散性の粒径分布を持つ着色剤を、2種以上混合して使用してもよい。
尚、着色剤(または着色粒子)の体積平均粒径および粒径分布は、例えば、光散乱法を用いて測定することができる。
本発明において、上記着色剤(または着色粒子)は1種単独で、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(重合性化合物)
本発明におけるインク組成物は、重合性化合物の少なくとも1種を含む。本発明における重合性化合物とは、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物であり、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物であればどのようなものでもよく、モノマー、オリゴマー、ポリマー等の化学形態を持つものが含まれる。
また重合性化合物は1種のみ用いてもよく、また目的とする特性を向上するために任意の比率で2種以上を併用してもよい。
エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸およびそれらの塩または誘導体、エチレン性不飽和基を有する無水物、アクリロニトリル、スチレン、更に種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、ならびに、不飽和ウレタン等のラジカル重合性化合物が挙げられる。
具体的には、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、カルビトールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エポキシアクリレート等のアクリル酸誘導体、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等のメタクリル誘導体、
その他、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物の誘導体が挙げられる。
中でも、インク組成物の吐出安定性の観点から、水溶性のエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物(以下、「特定重合性化合物」ということがある)であることが好ましい。
本発明で用いられる特定重合性化合物は、25℃において蒸留水に2質量%以上溶解する化合物を意味するが、15質量%以上溶解することが好ましく、任意の割合で水と均一に混合するものが特に好ましい。
特定重合性化合物の例としては、アクリル酸およびメタクリル酸、ならびに、そのエステル誘導体、アミド誘導体およびその塩から選ばれる少なくとも1種が好ましく、アクリル酸のモノエステルおよびメタクリル酸のモノエステル(以下、「モノアクリレート」ということがある)、アクリル酸とポリオール化合物とのエステルおよびメタクリル酸とポリオール化合物とのエステル(以下、「多官能アクリレートモノマー」または「多官能アクリレートオリゴマー」ということがある)、アクリルアミドおよびメタクリルアミドならびにその誘導体が挙げられる。
本発明で用いられる特定重合性化合物は、水溶性付与の観点から、ポリ(エチレンオキシ)鎖、ポリ(プロピレンオキシ)鎖、イオン性基(例えばカルボキシル基、スルホ基など)、および水酸基の少なくとも1種を有することが好ましい。
前記特定重合性化合物が、ポリ(エチレンオキシ)鎖、ポリ(プロピレンオキシ)鎖を有する場合、エチレンオキシ単位、およびプロピレンオキシ単位のユニットの数は1〜10の範囲であることが好ましく、より好ましくは1〜5の範囲である。ユニットの数が10以下であることで硬化した時の皮膜の硬度や被記録媒体に対する密着性等が向上する。
特定重合性化合物のうち、モノアクリレート、多官能アクリレートモノマーおよび多官能アクリレートオリゴマーの特に好ましい具体例としては、例えば、以下に示す構造の化合物が挙げられるが、本発明で使用する特定重合性化合物はこれらに限定されるものではない。
Figure 2011074143
本発明におけるインク組成物における重合性化合物の含有量は、固形分換算で0.1〜50質量%の範囲であることが好ましく、0.5〜40質量%の範囲であることがより好ましく、1.0〜30質量%の範囲であることがさらに好ましい。
(開始剤)
本発明におけるインク組成物は、開始剤の少なくとも1種を含有する。本発明においては、公知の開始剤を使用することができる。本発明における開始剤としては、ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。
本発明で使用され得る好ましいラジカル重合開始剤としては、(a)芳香族ケトン類、(b)アシルホスフィン化合物、(c)芳香族オニウム塩化合物、(d)有機化酸化物、(e)チオ化合物、(f)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(g)ケトオキシムエステル化合物、(h)ボレート化合物、(i)アジニウム化合物、(j)メタロセン化合物、(k)活性エステル化合物、(l)炭素ハロゲン結合を有する化合物、並びに(m)アルキルアミン化合物等が挙げられる。
開始剤の具体例としては、例えば、加藤清視著「紫外線硬化システム」(株式会社総合技術センター発行:平成元年)の第65〜148頁に記載されている重合開始剤などを挙げることができる。
本発明における開始剤としては、水不溶性の開始剤を水分散させたもの、水溶性の開始剤のいずれであっても使用可能であるが、水溶性の重合開始剤であることが好ましい。尚、ここでいう水溶性とは、25℃において蒸留水に0.5質量%以上溶解することを意味する。前記水溶性の開始剤は、25℃において蒸留水に1質量%以上溶解することが好ましく、3質量%以上溶解することがより好ましい。
ラジカル開始剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明におけるインク組成物における開始剤の含有量は、固形分換算で0.1〜30質量%の範囲であることが好ましく、0.5〜20質量%の範囲であることがより好ましく、1.0〜15質量%の範囲であることがさらに好ましい。
また、本発明におけるインク組成物における開始剤の含有量は、前記重合性化合物100質量部に対して、好ましくは0.01〜35質量部、より好ましくは0.1〜30質量部、さらに好ましくは0.5〜30質量部の範囲で含有されるのが適当である。なお、ここで開始剤の含有量とは、インク組成物における開始剤の総含有量を意味する。
(水系媒体)
本発明におけるインク組成物は水系媒体を含む。水系媒体は少なくとも水を含み、必要に応じて有機溶剤の少なくとも1種を含んで構成される。
本発明における水としてはは、イオン交換水、蒸留水などのイオン性不純物を含まない水を用いることが好ましい。また、インク組成物における水の含有率は、目的に応じて適宜選択されるが、通常、10〜95質量%であることが好ましく、30〜90質量%であることがより好ましい。
−有機溶剤−
本発明における水系媒体は水溶性有機溶剤の少なくとも1種を含むことが好ましい。水溶性有機溶剤を含有することで、乾燥防止、湿潤あるいは浸透促進の効果を得ることができる。乾燥防止には、噴射ノズルのインク吐出口においてインクが付着乾燥して凝集体ができ、目詰まりするのを防止する乾燥防止剤として用いられ、乾燥防止や湿潤には、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。また、浸透促進には、紙へのインク浸透性を高める浸透促進剤として用いることができる。
水溶性有機溶剤の例としては、例えば、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルカンジオール(多価アルコール類);糖アルコール類;エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの炭素数1〜4のアルキルアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類等が挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
乾燥防止や湿潤の目的としては、多価アルコール類が有用であり、例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
浸透促進の目的としては、ポリオール化合物が好ましく、脂肪族ジオールが好適である。脂肪族ジオールとしては、例えば、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールなどが挙げられる。これらの中でも、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールが好ましい例として挙げることができる。
また本発明における水溶性有機溶剤としては、記録媒体におけるカール発生抑制の点から、下記構造式(1)で表される化合物の少なくとも1種を含有することが好ましい。
Figure 2011074143
構造式(1)において、l、m、およびnは、それぞれ独立に1以上の整数を表し、l+m+n=3〜15を満たし、l+m+nは3〜12の範囲が好ましく、3〜10の範囲がより好ましい。l+m+nの値は、3以上であると良好なカール抑制力を示し、15以下であると良好な吐出性が得られる。構造式(1)中、AOは、エチレンオキシ(EO)および/又はプロピレンオキシ(PO)を表し、中でもプロピレンオキシ基が好ましい。前記(AO)、(AO)、および(AO)における各AOはそれぞれ同一でも異なってもよい。
以下、前記構造式(1)で表される化合物の例を示す。但し、本発明はこれに限定されるものではない。尚、例示化合物中、「POP(3)グリセリルエーテル」との記載は、グリセリンにプロピレンオキシ基が合計で3つ結合したグリセリルエーテルであることを意味し、他の記載についても同様である。
Figure 2011074143
さらに本発明における水溶性有機溶剤は、記録媒体におけるカール発生抑制の点から、以下に例示する水溶性有機溶剤であることもまた好ましい。
・n−CO(AO)−H(AO=EO又はPOで、比率はEO:PO=1:1)
・n−CO(AO)10−H AO=EO又はPOで、比率はEO:PO=1:1)
・HO(AO)40−H(AO=EO又はPOで、比率はEO:PO=1:3)
・HO(AO)55−H(AO=EO又はPOで、比率はEO:PO=5:6)
・HO(PO)−H
・HO(PO)−H
・1,2−ヘキサンジオール
前記構造式(1)で表される化合物および上記例示化合物の全水溶性有機溶剤中に占める含有割合は、3質量%以上が好ましく、4質量%以上がより好ましく、更に5質量%以上が好ましい。前記範囲とすることにより、インクの安定性や吐出性を悪化させずにカールを抑制することができ好ましい。
本発明において水溶性有機溶剤は、1種単独で使用しても、2種類以上混合して使用してもよい。
また水溶性有機溶剤のインク中における含有量としては、1質量%以上60質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以上40質量%以下である。
(樹脂粒子)
本発明におけるインク組成物は、樹脂粒子の少なくとも1種を含有することが好ましい。樹脂粒子を含むことにより、インク組成物の記録媒体への定着性、画像の耐擦性、耐ブロッキング性を効果的に向上させることができる。
また樹脂粒子は、既述の処理液又はこれを乾燥させた紙領域と接触した際に凝集、又は分散不安定化してインクを増粘させることにより、インク組成物、すなわち画像を固定化させる機能を有することが好ましい。このような樹脂粒子は、水および有機溶剤の少なくとも1種に分散されているものが好ましい。
本発明における樹脂粒子としては、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン系樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、パラフィン系樹脂、フッ素系樹脂等あるいはそのラテックスを用いることができる。アクリル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、スチレン系樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン系樹脂を好ましい例として挙げることができる。
また樹脂粒子はラテックスの形態で用いることもできる。
樹脂粒子の重量平均分子量は1万以上、20万以下が好ましく、より好ましくは10万以上、20万以下である。
また樹脂粒子の平均粒径は、10nm〜1μmの範囲が好ましく、10〜200nmの範囲がより好ましく、20〜100nmの範囲が更に好ましく、20〜50nmの範囲が特に好ましい。
樹脂粒子のガラス転移温度Tgは30℃以上であることが好ましく、40℃以上がより好ましく、50℃以上がさらに好ましい。
樹脂粒子の添加量はインクに対して、0.1〜20質量%が好ましく、0.1〜20質量%がより好ましく、0.1〜15質量%がさらに好ましい。
また、樹脂微子の粒径分布に関しては、特に制限は無く、広い粒径分布を持つもの、又は単分散の粒径分布を持つもの、いずれでもよい。また、単分散の粒径分布を持つ樹脂粒子を、2種以上混合して使用してもよい
(界面活性剤)
本発明におけるインク組成物は、必要に応じて、界面活性剤の少なくとも1種を含むことができる。界面活性剤は、表面張力調整剤として用いることができる。
表面張力調整剤として、分子内に親水部と疎水部を合わせ持つ構造を有する化合物等が有効に使用することができ、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、ベタイン系界面活性剤のいずれも使用することができる。更に、上記の分散剤(高分子分散剤)を界面活性剤としても用いてもよい。
本発明においては、インクの打滴干渉抑制の観点から、ノニオン性界面活性剤が好ましく、中でもアセチレングリコール誘導体がより好ましい。
界面活性剤(表面張力調整剤)をインク組成物に含有する場合、界面活性剤はインクジェット方式によりインク組成物の吐出を良好に行う観点から、インク組成物の表面張力を20〜60mN/mに調整できる範囲の量を含有するのが好ましく、表面張力の点からはより好ましくは20〜45mN/mであり、更に好ましくは25〜40mN/mである。
界面活性剤のインク組成物中における界面活性剤の具体的な量としては、前記表面張力となる範囲が好ましいこと以外は特に制限はなく、1質量%以上が好ましく、より好ましくは1〜10質量%であり、更に好ましくは1〜3質量%である。
(その他成分)
インク組成物は、上記の成分に加え、必要に応じて更にその他成分として各種の添加剤を含むことができる。
前記各種の添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、褪色防止剤、防黴剤、pH調整剤、防錆剤、酸化防止剤、乳化安定剤、防腐剤、消泡剤、粘度調整剤、分散安定剤、キレート剤、固体湿潤剤等の公知の添加剤が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤、などが挙げられる。
褪色防止剤としては、各種の有機系および金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機の褪色防止剤としては、例えば、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類などがあり、金属錯体としてはニッケル錯体、亜鉛錯体などがある。
防黴剤としては、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、ソルビン酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウムなどが挙げられる。
防黴剤は、インク組成物中の含有量が0.02〜1.00質量%である範囲とするのが好ましい。
pH調整剤としては、調合されるインク組成物に悪影響を及ぼさずにpHを所望の値に調整できるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、アルコールアミン類(例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオールなど)、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、アンモニウム水酸化物(例えば、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物など)、ホスホニウム水酸化物、アルカリ金属炭酸塩などが挙げられる。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライトなどが挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などが挙げられる。
キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウムなどが挙げられる。
固体湿潤剤としては、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトール、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース等の糖類;糖アルコール類;ヒアルロン酸類;尿素類等を挙げることができる。
〜インク組成物の物性〜
本発明におけるインク組成物の表面張力(25℃)としては、20mN/m以上60mN/m以下であることが好ましい。より好ましくは、20mN以上45mN/m以下であり、更に好ましくは、25mN/m以上40mN/m以下である。
表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP-Z(協和界面科学株式会社製)を用い、インク組成物を25℃の条件下で測定される。
また、本発明におけるインク組成物の25℃での粘度は、1.2mPa・s以上15.0mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは2mPa・s以上13mPa・s未満であり、更に好ましくは2.5mPa・s以上10mPa・s未満である。
粘度は、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用い、インク組成物を25℃の条件下で測定される。
<画像形成方法>
本発明の画像形成方法は、前記インクセットに含まれる処理液を、記録媒体上に付与する処理液付与工程と、前記インクセットに含まれるインク組成物を、記録媒体上に付与して画像を形成するインク付与工程と、を少なくとも含み、必要に応じてその他の工程をさらに含んで構成される。
[記録媒体]
本発明の画像形成方法に用いる記録媒体には、特に制限はないが、一般のオフセット印刷などに用いられる、いわゆる上質紙、コート紙、アート紙などのセルロースを主体とする一般印刷用紙を用いることができる。セルロースを主体とする一般印刷用紙は、水性インクを用いた一般のインクジェット法による画像記録においては比較的インクの吸収、乾燥が遅く、打滴後に色材移動が起こりやすく、画像品質が低下しやすいが、本発明のインクジェット記録方法によると、色材移動を抑制して色濃度、色相に優れた高品位の画像の記録が可能である。
記録媒体としては、一般に市販されているものを使用することができ、例えば、王子製紙(株)製の「OKプリンス上質」、日本製紙(株)製の「しおらい」、及び日本製紙(株)製の「ニューNPI上質」等の上質紙(A)、日本製紙(株)製の「シルバーダイヤ」等の上質コート紙、王子製紙(株)製の「OKエバーライトコート」及び日本製紙(株)製の「オーロラS」等の微塗工紙、王子製紙(株)製の「OKコートL」及び日本製紙(株)製の「オーロラL」等の軽量コート紙(A3)、王子製紙(株)製の「OKトップコート+」及び日本製紙(株)製の「オーロラコート」等のコート紙(A2、B2)、王子製紙(株)製の「OK金藤+」及び三菱製紙(株)製の「特菱アート」等のアート紙(A1)等が挙げられる。また、インクジェット記録用の各種写真専用紙を用いることも可能である。
上記の中でも、色材移動の抑制効果が大きく、従来以上に色濃度及び色相の良好な高品位な画像を得る観点からは、好ましくは、水の吸収係数Kaが0.05〜0.5でmL/m・ms1/2の記録媒体であり、より好ましくは0.1〜0.4mL/m・ms1/2の記録媒体であり、更に好ましくは0.2〜0.3mL/m・ms1/2の記録媒体である。
水の吸収係数Kaは、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No51:2000(発行:紙パルプ技術協会)に記載されているものと同義であり、具体的には、吸収係数Kaは、自動走査吸液計KM500Win(熊谷理機(株)製)を用いて接触時間100msと接触時間900msにおける水の転移量の差から算出されるものである。
記録媒体の中でも、一般のオフセット印刷などに用いられるいわゆる塗工紙が好ましい。塗工紙は、セルロースを主体とした一般に表面処理されていない上質紙や中性紙等の表面にコート材を塗布してコート層を設けたものである。塗工紙は、通常の水性インクジェットによる画像形成においては、画像の光沢や擦過耐性など、品質上の問題を生じやすいが、本発明のインクジェット記録方法では、光沢ムラが抑制されて光沢性、耐擦性の良好な画像を得ることができる。特に、原紙とカオリン及び/又は重炭酸カルシウムを含むコート層とを有する塗工紙を用いるのが好ましい。より具体的には、アート紙、コート紙、軽量コート紙、又は微塗工紙がより好ましい。
[処理液付与工程]
処理液付与工程では、前記インクセットに含まれる凝集剤と酸発生剤を含む処理液が記録媒体上に付与される。処理液の記録媒体への付与は、公知の液体付与方法を特に制限なく用いることができ、スプレー塗布、塗布ローラー等の塗布、インクジェット方式による付与、浸漬などの任意の方法を選択することができる。
具体的には、例えば、ホリゾンタルサイズプレス法、ロールコーター法、カレンダーサイズプレス法などに代表されるサイズプレス法;エアーナイフコーター法などに代表されるサイズプレス法;エアーナイフコーター法などに代表されるナイフコーター法;ゲートロールコーター法などのトランスファーロールコーター法、ダイレクトロールコーター法、リバースロールコーター法、スクイズロールコーター法などに代表されるロールコーター法;ビルブレードコーター法、ショートデュエルコーター法;ツーストリームコーター法などに代表されるブレードコーター法;ロッドバーコーター法などに代表されるバーコーター法;ロッドバーコーター法などに代表されるバーコーター法;キャストコーター法;グラビアコーター法;カーテンコーター法;ダイコーター法;ブラシコーター法;転写法などが挙げられる。
また、特開平10−230201号公報に記載の塗布装置のように、液量制限部材を備えた塗布装置を用いることで塗布量を制御して塗布する方法であってもよい。
処理液を付与する領域は、記録媒体全体に付与する全面付与であっても、インク付与工程でインクジェット記録が行なわれる領域に部分的に付与する部分付与であってもよい。本発明においては、処理液の付与量を均一に調整し、細線や微細な画像部分等を均質に記録し、画像ムラ等の濃度ムラを抑える観点から、塗布ローラー等を用いた塗布によって塗工紙全体に付与する全面付与が好ましい。
処理液の付与量を前記範囲に制御して塗布する方法としては、例えば、アニロックスローラーを用いた方法が挙げられる。アニロックスローラーとは、セラミックが溶射されたローラー表面をレーザーで加工しピラミッド型や斜線、亀甲型などの形状を付したローラーである。このローラー表面に付けられた凹みの部分に処理液が入り込み、紙面と接触すると転写されて、アニロックスローラーの凹みで制御された塗布量にて塗布される。
[インク付与工程]
本発明におけるインク付与工程では、前記インクセットに含まれる着色剤、重合性化合物、開始剤、および水系媒体を含むインク組成物が記録媒体上に付与される。インク組成物の付与方法としては、所望の画像様にインク組成物を付与可能な方法であれば、特に制限はなく公知のインク付与方法を用いることができる。例えば、インクジェット方式、謄写方式、捺転方式等の手段により、記録媒体上にインク組成物を付与する方法を挙げることができる。中でも、記録装置のコンパクト化と高速記録性の観点から、インク組成物をインクジェット方式によって付与する工程であることが好ましい。
(インクジェット方式)
インクジェット方式による画像形成では、エネルギーを供与することにより、記録媒体上にインク組成物を吐出し、着色画像を形成する。なお、本発明に好ましいインクジェット記録方法として、特開2003−306623号公報の段落番号0093〜0105に記載の方法が適用できる。
インクジェット方式には、特に制限はなく、公知の方式、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式等のいずれであってもよい。
また、インクジェット方式で用いるインクジェットヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。さらに前記インクジェット方式により記録を行う際に使用するインクノズル等についても特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができる。
尚、前記インクジェット方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
またインクジェット方式として、短尺のシリアルヘッドを用い、ヘッドを記録媒体の幅方向に走査させながら記録を行うシャトル方式と、記録媒体の1辺の全域に対応して記録素子が配列されているラインヘッドを用いたライン方式とがある。ライン方式では、記録素子の配列方向と直交する方向に記録媒体を走査させることで記録媒体の全面に画像記録を行うことができ、短尺ヘッドを走査するキャリッジ等の搬送系が不要となる。また、キャリッジの移動と記録媒体との複雑な走査制御が不要になり、記録媒体だけが移動するので、シャトル方式に比べて記録速度の高速化が実現できる。
本発明において、前記処理液付与工程とインク付与工程の実施順は特に制限はないが、画像品質の観点から、処理液付与工程後にインク付与工程が行われる態様であることが好ましい。すなわちインク付与工程は、処理液が付与された記録媒体上にインク組成物を付与する工程であることが好ましい。
[活性放射線照射工程]
本発明の画像形成方法は、記録媒体上に付与されたインク組成物に活性放射線を照射する工程を含むことが好ましい。活性放射線を照射することでインク組成物に含まれる重合性化合物が重合して、着色剤を含む硬化膜を形成する。これにより画像の耐擦性、耐ブロッキング性がより効果的に向上する。
記録媒体上に付与されたインク組成物は、活性放射線を照射することで硬化する。これは、本発明におけるインク組成物に含まれる開始剤が活性放射線の照射により分解して、ラジカル、酸、塩基などの開始種を発生し、その開始種により重合性化合物の重合反応が開始・促進されてインク組成物が硬化するためである。
さらに、この活性放射線照射の際、処理液中に含まれる酸発生剤から供給される酸により、インク組成物がさらに凝集(固定化)し、画像部品質(耐擦性・耐ブロッキング性等)が向上する。
ここで、使用される活性放射線は、α線、γ線、電子線、X線、紫外線、可視光、赤外光などが使用される。活性放射線の波長としては、例えば、200〜600nmであることが好ましく、300〜450nmであることがより好ましく、350〜420nmであることがさらに好ましい。
活性放射線の出力としては、5000mJ/cm以下であることが好ましく、10〜4000mJ/cmであることがより好ましく、20〜3000mJ/cmであることがさらに好ましい。
活性放射線源としては、水銀ランプやガス・固体レーザー等が主に利用されており、紫外線光硬化型インクジェット記録用インクの硬化に使用される光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプが広く知られている。しかしながら、現在環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。更にLED(UV−LED)、LD(UV−LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、光硬化型インクジェット用光源として期待されている。
また、発光ダイオード(LED)およびレーザーダイオード(LD)を活性放射線源として用いることが可能である。特に、紫外線源を要する場合、紫外LEDおよび紫外LDを使用することができる。例えば、日亜化学(株)は、主放出スペクトルが365nmと420nmとの間の波長を有する紫色LEDを上市している。
本発明で特に好ましい活性放射線源は、UV−LEDであり、特に好ましくは、350〜420nmにピーク波長を有するUV−LEDである。
[インク乾燥工程]
本発明の画像形成方法においては、必要に応じて、記録媒体上に付与されたインク組成物中のインク溶媒(例えば、水、水溶性有機溶剤等)を乾燥除去するインク乾燥工程を備えていてもよい。インク乾燥工程は、インク溶媒の少なくとも一部を除去できれば特に制限はなく、通常用いられる方法を適用することができる。
[固定化工程]
本発明の画像形成方法は、処理液付与工程後、インク付与工程で記録された画像を、記録媒体上に固定化する固定化工程をさらに備えることが好ましい。固定化工程は、インク組成物中に含まれることがある樹脂粒子を溶融定着する加熱加圧定着工程であることが好ましい。また前記加熱加圧定着工程としては、インク組成物中に含まれる樹脂粒子を溶融定着することができる方法であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
例えば、特開2004−174981号公報等に記載の加熱加圧定着工程を本発明においても適用することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」および「%」は質量基準である。
(ポリマー分散剤P−1の合成)
攪拌機、冷却管を備えた1000mlの三口フラスコにメチルエチルケトン88gを加えて窒素雰囲気下で72℃に加熱し、ここにメチルエチルケトン50gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.85g、ベンジルメタクリレート60g、メタクリル酸10g、及びメチルメタクリレート30gを溶解した溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間反応した後、メチルエチルケトン2gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.42gを溶解した溶液を加え、78℃に昇温して4時間加熱した。得られた反応溶液は大過剰量のヘキサンに2回再沈殿し、析出した樹脂を乾燥し、ポリマー分散剤P−1を96g得た。
得られた樹脂の組成は、H−NMRで確認し、GPCより求めた重量平均分子量(Mw)は44,600であった。さらに、JIS規格(JISK0070:1992)に記載の方法により酸価を求めたところ、65.2mgKOH/gであった。
(樹脂被覆顔料の分散物の調製)
−樹脂被覆シアン顔料分散物−
ピグメント・ブルー15:3(フタロシアニンブルーA220、大日精化(株)製)10部と、上記ポリマー分散剤P−1を5部と、メチルエチルケトン42部と、1mol/L NaOH水溶液5.5部と、イオン交換水87.2部とを混合し、ビーズミルにより0.1mmφジルコニアビーズを用いて2〜6時間分散した。
得られた分散物を減圧下、55℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去することにより、顔料濃度が10.2質量%の樹脂被覆シアン顔料の分散物(着色粒子)を得た。
−樹脂被覆マゼンタ顔料分散物−
上記樹脂被覆シアン顔料分散物の調製において、顔料として用いたフタロシアニンブルーA220の代わりに、Chromophthal Jet Magenta DMQ(ピグメント・レッド122、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を用いた以外は上記と同様にして樹脂被覆マゼンタ顔料の分散物(着色粒子)を得た。
−樹脂被覆イエロー顔料分散物−
上記樹脂被覆シアン顔料分散物の調製において、顔料として用いたフタロシアニンブルーA220の代わりに、Irgalite Yellow GS(ピグメント・イエロー74、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を用いた以外は上記と同様にして樹脂被覆イエロー顔料の分散物(着色粒子)を得た。
−樹脂被覆ブラック顔料分散物−
上記樹脂被覆シアン顔料分散物の調製において、顔料として用いたフタロシアニンブルーA220の代わりに、顔料分散体CAB−O−JETTM 200(カーボンブラック、CABOT社製)を用いた以外は上記と同様にして樹脂被覆ブラック顔料の分散物(着色粒子)を得た。
<インクセット1の調製>
以下のようにして、インク処方1のシアンインク(C−1)、マゼンタインク(M−1)、イエローインク(Y−1)、ブラックインク(K−1)、および、処理液1をそれぞれ調製し、これらのインク組成物と処理液1とからなるインクセット1を得た。
[インク処方1]
(シアンインクC−1の調製)
上記の樹脂被覆シアン顔料の分散物を用い、下記インク処方1となるように、樹脂被覆シアン顔料分散物、水溶性有機溶剤、イオン交換水、開始剤、重合性化合物、及び界面活性剤を混合し、その後、5μmメンブランフィルタでろ過してインク処方1のシアンインクC−1を調製した。
−インク処方1−
・顔料 ・・・ 4%
・ポリマー分散剤P−1(固形分) ・・・ 2%
・イルガキュア2959(開始剤) ・・・ 3%
・NKエステルA−400(重合性化合物) ・・・ 20%
・トリプロピレングリコールモノメチルエーテル ・・・ 8%
(有機溶剤)
・オルフィンE1010 ・・・ 1%
(日信化学(株)製;界面活性剤)
・イオン交換水 ・・・ 全体で100%となるように添加。
pHメーターWM−50EG(東亜DKK(株)製)を用いて、シアン顔料インクC−1のpH(25℃)を測定したところ、pH値は8.5であった。
(マゼンタインク(M−1)の調製)
上記シアンインク(C−1)の調製において、樹脂被覆シアン顔料の分散物の代わりに、樹脂被覆マゼンタ顔料の分散物を用いた以外は上記と同様にして、インク処方1のマゼンタインク(M−1)を調製した。pH値は8.5であった。
(イエローインク(Y−1)の調製)
上記シアンインク(C−1)の調製において、樹脂被覆シアン顔料の分散物の代わりに、樹脂被覆イエロー顔料の分散物を用いた以外は上記と同様にして、インク処方1のイエローインク(Y−1)を調製した。pH値は8.5であった。
(ブラックインク(K−1)の調製)
上記シアンインク(C−1)の調製において、樹脂被覆シアン顔料の分散物の代わりに、顔料分散物CAB−O−JETTM200(カーボンブラック分散物、CABOT社製)を用いた以外は上記と同様にして、インク処方1のブラックインク(K−1)を調製した。pH値は8.5であった。
(処理液1の調製)
以下の材料を混合して、処理液1を作製した。東亜DKK(株)製のpHメーターWM−50EGにて、処理液1のpH(25℃)を測定したところ、1.21であった。
・マロン酸 : 22.5g
・酸発生剤(イミドスルホネート、AG−1) : 3.0g
・GP−250 : 10g
(有機溶剤、三洋化成工業(株)製)
・下記界面活性剤A(10%) : 0.2g
・イオン交換水 : 64.3g
界面活性剤A:
15−CH=CH−C14−C(O)−N(CH)−CHCH−SONa
<インクセット2〜21の調製>
インクセット1の調製において、処理液1の代わりに下記処理液2〜処理液21を用いたこと以外は、上記と同様にして、インク処方1のインクと処理液とからなるインクセット2〜21をそれぞれ調製した。
(処理液2の調製)
以下の材料を混合して、処理液2を作製した。東亜DKK(株)製のpHメーターWM−50EGにて、処理液2のpH(25℃)を測定したところ、1.21であった。
・マロン酸 : 22.5g
・酸発生剤(イミドスルホネート、AG−1) : 5.0g
・GP−250 : 10g
(有機溶剤、三洋化成工業(株)製)
・界面活性剤A(10%) : 0.2g
・イオン交換水 : 62.3g
(処理液3の調製)
以下の材料を混合して、処理液3を作製した。東亜DKK(株)製のpHメーターWM−50EGにて、処理液3のpH(25℃)を測定したところ、1.25であった。
・マロン酸 : 22.5g
・酸発生剤(イミドスルホネート、AG−2) : 3.0g
・GP−250 : 10g
(有機溶剤、三洋化成工業(株)製)
・界面活性剤A(10%) : 0.2g
・イオン交換水 : 64.3g
(処理液4の調製)
以下の材料を混合して、処理液4を作製した。東亜DKK(株)製のpHメーターWM−50EGにて、処理液4のpH(25℃)を測定したところ、1.25であった。
・マロン酸 : 22.5g
・酸発生剤(イミドスルホネート、AG−2) : 5.0g
・GP−250 : 10g
(有機溶剤、三洋化成工業(株)製)
・界面活性剤A(10%) : 0.2g
・イオン交換水 : 62.3g
(処理液5の調製)
以下の材料を混合して、処理液5を作製した。東亜DKK(株)製のpHメーターWM−50EGにて、処理液5のpH(25℃)を測定したところ、1.12であった。
・マロン酸 : 22.5g
・酸発生剤(オキシムスルホネート、AG−3) : 3.0g
・GP−250 : 10g
・界面活性剤A(10%) : 0.2g
・イオン交換水 : 64.3g
(処理液6の調製)
以下の材料を混合して、処理液6を作製した。東亜DKK(株)製のpHメーターWM−50EGにて、処理液6のpH(25℃)を測定したところ、1.12であった。
・マロン酸 : 22.5g
・酸発生剤(イミドスルホネート、AG−3) : 5.0g
・GP−250 : 10g
(有機溶剤、三洋化成工業(株)製)
・界面活性剤A(10%) : 0.2g
・イオン交換水 : 62.3g
(処理液7の調製)
以下の材料を混合して、処理液7を作製した。東亜DKK(株)製のpHメーターWM−50EGにて、処理液7のpH(25℃)を測定したところ、1.21であった。
・マロン酸 : 22.5g
・酸発生剤(オキシムスルホネート、AG−4) : 3.0g
・GP−250 : 10g
(有機溶剤、三洋化成工業(株)製)
・界面活性剤A(10%) : 0.2g
・イオン交換水 : 64.3g
(処理液8の調製)
以下の材料を混合して、処理液8を作製した。東亜DKK(株)製のpHメーターWM−50EGにて、処理液8のpH(25℃)を測定したところ、1.21であった。
・マロン酸 : 22.5g
・酸発生剤(オキシムスルホネート、AG−4) : 5.0g
(有機溶剤、三洋化成工業(株)製)
・GP−250 : 10g
・界面活性剤A(10%) : 0.2g
・イオン交換水 : 62.3g
(処理液9の調製)
以下の材料を混合して、処理液9を作製した。東亜DKK(株)製のpHメーターWM−50EGにて、処理液9のpH(25℃)を測定したところ、0.95であった。
・マロン酸 : 22.5g
・酸発生剤(ニトロベンジルスルホネート、AG−5) : 3.0g
・GP−250 : 10g
(有機溶剤、三洋化成工業(株)製)
・界面活性剤A(10%) : 0.2g
・イオン交換水 : 64.3g
(処理液10の調製)
以下の材料を混合して、処理液10を作製した。東亜DKK(株)製のpHメーターWM−50EGにて、処理液10のpH(25℃)を測定したところ、0.95であった。
・マロン酸 : 22.5g
・酸発生剤(ニトロベンジルスルホネート、AG−5) : 5.0g
・GP−250 : 10g
(有機溶剤、三洋化成工業(株)製)
・界面活性剤A(10%) : 0.2g
・イオン交換水 : 62.3g
(処理液11の調製)
以下の材料を混合して、処理液11を作製した。東亜DKK(株)製のpHメーターWM−50EGにて、処理液11のpH(25℃)を測定したところ、1.15であった。
・マロン酸 : 22.5g
・酸発生剤(ニトロベンジルスルホネート、AG−6) : 3.0g
・GP−250 : 10g
(有機溶剤、三洋化成工業(株)製)
・界面活性剤A(10%) : 0.2g
・イオン交換水 : 64.3g
(処理液12の調製)
以下の材料を混合して、処理液12を作製した。東亜DKK(株)製のpHメーターWM−50EGにて、処理液12のpH(25℃)を測定したところ、1.15であった。
・マロン酸 : 22.5g
・酸発生剤(ニトロベンジルスルホネート、AG−6) : 5.0g
・GP−250 : 10g
(有機溶剤、三洋化成工業(株)製)
・界面活性剤A(10%) : 0.2g
・イオン交換水 : 62.3g
(処理液13の調製)
以下の材料を混合して、処理液13を作製した。東亜DKK(株)製のpHメーターWM−50EGにて、処理液13のpH(25℃)を測定したところ、1.21であった。
・マロン酸 : 22.5g
・酸発生剤(スルホン酸エステル、AG−7) : 3.0g
・GP−250 : 10g
(有機溶剤、三洋化成工業(株)製)
・界面活性剤A(10%) : 0.2g
・イオン交換水 : 64.3g
(処理液14の調製)
以下の材料を混合して、処理液14を作製した。東亜DKK(株)製のpHメーターWM−50EGにて、処理液14のpH(25℃)を測定したところ、1.21であった。
・マロン酸 : 22.5g
・酸発生剤(スルホン酸エステル、AG−7) : 5.0g
・GP−250 : 10g
(有機溶剤、三洋化成工業(株)製)
・界面活性剤A(10%) : 0.2g
・イオン交換水 : 62.3g
(処理液15の調製)
以下の材料を混合して、処理液15を作製した。東亜DKK(株)製のpHメーターWM−50EGにて、処理液15のpH(25℃)を測定したところ、1.25であった。
・マロン酸 : 22.5g
・酸発生剤(スルホン酸エステル、AG−8) : 3.0g
・GP−250 : 10g
(有機溶剤、三洋化成工業(株)製)
・界面活性剤A(10%) : 0.2g
・イオン交換水 : 64.3g
(処理液16の調製)
以下の材料を混合して、処理液16を作製した。東亜DKK(株)製のpHメーターWM−50EGにて、処理液16のpH(25℃)を測定したところ、1.25であった。
・マロン酸 : 22.5g
・酸発生剤(スルホン酸エステル、AG−8) : 5.0g
・GP−250 : 10g
(有機溶剤、三洋化成工業(株)製)
・界面活性剤A(10%) :0.2g
・イオン交換水 :62.3g
(処理液17の調製)
以下の材料を混合して、処理液17を作製した。東亜DKK(株)製のpHメーターWM−50EGにて、処理液17のpH(25℃)を測定したところ、1.12であった。
・マロン酸 : 22.5g
・酸発生剤(スルホン酸エステル、AG−9) : 3.0g
・GP−250 : 10g
(有機溶剤、三洋化成工業(株)製)
・界面活性剤A(10%) : 0.2g
・イオン交換水 : 64.3g
(処理液18の調製)
以下の材料を混合して、処理液18を作製した。東亜DKK(株)製のpHメーターWM−50EGにて、処理液18のpH(25℃)を測定したところ、1.12であった。
・マロン酸 : 22.5g
・酸発生剤(スルホン酸エステル、AG−9) : 5.0g
・GP−250 : 10g
(有機溶剤、三洋化成工業(株)製)
・界面活性剤A(10%) : 0.2g
・イオン交換水 : 62.3g
(処理液19の調製)
以下の材料を混合して、処理液19を作製した。東亜DKK(株)製のpHメーターWM−50EGにて、処理液19のpH(25℃)を測定したところ、1.12であった。
・マロン酸 : 22.5g
・光酸発生剤(スルホニウム塩、PAG−1) : 3.0g
・GP−250 : 10g
(有機溶剤、三洋化成工業(株)製)
・界面活性剤A(10%) : 0.2g
・イオン交換水 : 64.3g
(処理液20の調製)
以下の材料を混合して、処理液20を作製した。東亜DKK(株)製のpHメーターWM−50EGにて、処理液20のpH(25℃)を測定したところ、6.0であった。
・硝酸カルシウム : 22.5g
・酸発生剤(スルホン酸エステル、AG−9) : 3.0g
・GP−250 : 10g
(有機溶剤、三洋化成工業(株)製)
・界面活性剤A(10%) : 0.2g
・イオン交換水 : 64.3g
(処理液21の調製)
以下の材料を混合して、処理液21を作製した。東亜DKK(株)製のpHメーターWM−50EGにて、処理液21のpH(25℃)を測定したところ、6.2であった。
・ポリエチレンイミン : 22.5g
・酸発生剤(スルホン酸エステル、AG−9) : 3.0g
・GP−250 : 10g
(有機溶剤、三洋化成工業(株)製)
・界面活性剤A(10%) : 0.2g
・イオン交換水 : 64.3g
上記処理液の調製に用いた酸発生剤の構造を以下に示す。
Figure 2011074143
<インクセット22の調製>
インクセット1の調製において、インク処方1の代わりに下記インク処方2に準じて、シアンインクC−2、マゼンタインクM−2、イエローインクY−2、ブラックインクK−2をそれぞれ調製し、これらのインク処方2のインクと上記で得られた処理液1とからなるインクセット22を調製した。
−インク処方2−
・顔料 ・・・ 4%
・ポリマー分散剤P−1(固形分) ・・・ 2%
・イルガキュア2959(開始剤) ・・・ 3%
・NKエステルA−400(重合性化合物) ・・・ 20%
・オルフィンE1010 ・・・ 1%
(日信化学(株)製;界面活性剤)
・イオン交換水 ・・・ 全体で100%となるように添加。
<インクセット23〜42>
インクセット22の調製において、処理液1の代わりに上記で得られた処理液2〜処理液21を用いたこと以外はインクセット22と同様にして、インクセット23〜42をそれぞれ調製した。
<インクセット43>
インクセット1の調製において、インク処方1の代わりに下記インク処方3に準じて、シアンインクC−3、マゼンタインクM−3、イエローインクY−3、ブラックインクK−3をそれぞれ調製し、これらのインク処方3のインクと上記で得られた処理液1とからなるインクセット43を調製した。
−インク処方3−
・顔料 ・・・ 4%
・ポリマー分散剤P−1(固形分) ・・・ 2%
・イルガキュア2959(開始剤) ・・・ 0.75%
・例示化合物2−10 ・・・ 5%
(重合性化合物、N,N−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド)
・トリプロピレングリコールモノメチルエーテル ・・・ 8%
(有機溶剤)
・オルフィンE1010 ・・・ 1%
(日信化学(株)製;界面活性剤)
・イオン交換水 ・・・ 全体で100%となるように添加。
<インクセット44〜63>
インクセット43の調製において、処理液1の代わりに上記で得られた処理液2〜処理液20を用いたこと以外はインクセット43と同様にして、インクセット44〜63をそれぞれ調製した。
<インクセット64の調製>
インクセット1の調製において、インク処方1の代わりに下記インク処方4に準じて、シアンインクC−4、マゼンタインクM−4、イエローインクY−4、ブラックインクK−4をそれぞれ調製し、これらのインク処方4のインクと上記で得られた処理液1とからなるインクセット64を調製した。
−インク処方4−
・顔料 ・・・ 4%
・ポリマー分散剤P−1(固形分) ・・・ 2%
・イルガキュア2959(開始剤) ・・・ 3%
・NKエステルA−400(重合性化合物) ・・・ 20%
・樹脂粒子B−01 ・・・ 8%
・トリプロピレングリコールモノメチルエーテル ・・・ 8%
(有機溶剤)
・オルフィンE1010 ・・・ 1%
(日信化学(株)製;界面活性剤)
・イオン交換水 ・・・ 全体で100%となるように添加。
<インクセット65の調製>
インクセット1の調製におけるインク処方1の代わりに、下記インク処方5に準じて、シアンインクC−5、マゼンタインクM−5、イエローインクY−5、ブラックインクK−5をそれぞれ調製し、これらのインク処方2のインクと上記で得られた処理液1とからなるインクセット65を調製した。
−インク処方5−
・顔料 ・・・ 4%
・ポリマー分散剤P−1(固形分) ・・・ 2%
・イルガキュア2959(開始剤) ・・・ 3%
・NKエステルA−400(重合性化合物) ・・・ 20%
・樹脂粒子B−01 ・・・ 8%
・オルフィンE1010 ・・・ 1%
(日信化学(株)製;界面活性剤)
・イオン交換水 ・・・ 全体で100%となるように添加。
<インクセット66>
インクセット1の調製におけるインク処方1の代わりに、下記インク処方6に準じて、シアンインクC−6、マゼンタインクM−6、イエローインクY−6、ブラックインクK−6をそれぞれ調製し、これらのインク処方6のインクと上記で得られた処理液1とからなるインクセット66を調製した。
−インク処方6−
・顔料 ・・・ 4%
・ポリマー分散剤P−1(固形分) ・・・ 2%
・イルガキュア2959(開始剤) ・・・ 0.75%
・例示化合物2−10 ・・・ 5%
(重合性化合物、N,N−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド)
・樹脂粒子B−01 ・・・ 8%
・トリプロピレングリコールモノメチルエーテル ・・・ 8%
(有機溶剤)
・オルフィンE1010 ・・・ 1%
(日信化学(株)製;界面活性剤)
・イオン交換水 ・・・ 全体で100%となるように添加。
<インクセットC1の調製>
インク処方1のシアンインク、マゼンタインク、イエローインク、およびブラックインクと、下記処理液22とからなるインクセットC1を調製した。
(処理液22の調製)
以下の材料を混合して、処理液22を作製した。東亜DKK(株)製のpHメーターWM−50EGにて、処理液22のpH(25℃)を測定したところ、1.00であった。
・マロン酸 : 22.5g
・GP−250 : 10g
・界面活性剤A(10%) : 0.2g
・イオン交換水 : 67.3g
<インクセットC2、C3の調製>
インクセットC1の調製において、インク処方1のインクの代わりに、インク処方2およびインク処方3のシアンインク、マゼンタインク、イエローインク、およびブラックインクを用いて、インクセットC2、C3をそれぞれ調製した。
<実施例1>
[インクジェット記録]
記録媒体(塗工紙)として、特菱アート(坪量104.7g/m)、OKトップコート+(坪量104.7g/m)、およびシルバーダイヤ(坪量104.7g/m)を用意して、以下に示すようにして画像形成を行い、形成された画像について以下の評価を行った。結果を表1および表2に示す。
インクセットとして、上記で得られたインクセット1を用い、4色シングルパス記録によりライン画像とベタ画像の形成を実施した。このとき、ライン画像は、1200dpiの1ドット幅のライン、2ドット幅のライン、4ドット幅のラインをシングルパスで主走査方向に吐出することによりライン画像を形成した。またベタ画像は、記録媒体をA5サイズにカットしたサンプルの全面にインク組成物を吐出することによりベタ画像を形成した。
なお、記録する際の諸条件は下記の通りである。
(1)処理液付与工程
記録媒体の全面に、アニロックスローラー(線数100〜300/インチ)で塗布量が制御されたロールコーターにて付与量が、1.4g/mとなるように処理液を塗布した。
次いで、下記条件にて処理液が塗布された記録媒体について乾燥処理及び浸透処理を施した。
・風速:10m/s
・温度:記録媒体の記録面側の表面温度が60℃となるように、記録媒体の記録面の反対側(背面側)から接触型平面ヒーターで加熱した。
(2)インク付与工程
その後、処理液が塗布された記録媒体の塗布面に、下記条件にてインク組成物をインクジェット方式で吐出し、ライン画像、ベタ画像をそれぞれ形成した。
・ヘッド:1,200dpi/20inch幅のピエゾフルラインヘッドを4色分配置したものを用いた。
・吐出液滴量:2.0pL
・駆動周波数:30kHz
(3)インク乾燥工程
次いで、インク組成物が付与された記録媒体を下記条件で乾燥した。
・乾燥方法:送風乾燥
・風速:15m/s
・温度:記録媒体の記録面側の表面温度が60℃となるように、記録媒体の記録面の反対側(背面側)から接触型平面ヒーターで加熱した。
(4)活性放射線照射工程
乾燥した画像を硬化するため、発光ダイオード(UV−LED)(日亜化学製NCCU033)を用いた。前記UV−LEDは1チップから波長365nmの紫外光を出力するものであって、約500mAの電流を通電することにより、チップから約100mWの光が発光される。これを7mm間隔に複数個配列し、記録媒体表面で0.3W/cmのパワーが得られる。露光時間はメディアの搬送速度及びヘッドとLEDの搬送方向の距離により変更可能である。
[評価]
−耐擦性−
ベタ画像が形成された記録媒体の2cm四方のベタ部を活性放射線照射工程後、画像を形成していない記録媒体(画像形成に用いたものと同じ記録媒体(以下、本評価において未使用サンプルという。)を重ねて荷重150kg/mをかけて10往復擦り、未使用サンプルの白地部分へのインクの転写度合いを目視で観察し、下記の評価基準にしたがって評価した。
〜評価基準〜
A:インクの転写は全くなかった。
B:インクの転写が僅かに観られたが、実用上問題ないレベルであった。
C:インクの転写が多少見られ、実用上の許容限界レベルであった。
D:インクの転写が顕著であり、実用性の極めて低いレベルであった。
−耐ブロッキング性−
マゼンタ顔料インクによるベタ画像が形成された記録媒体上に、シアン顔料インクをベタ記録したときの画像部を活性放射線照射工程により硬化し、該画像部上に未使用サンプルを重ね、約50g/cmの質量をかけ、50℃で24時間放置し、重ねた紙への画像部の転写程度を目視評価した。
〜評価基準〜
A:ブロッキングは見られなかった。
B:一部に僅かにブロッキングが見られたが、実用上問題ないレベルであった。
C:ブロッキングが発生し、実用上の許容限界レベルであった。
D:ブロッキングの発生が顕著であり、実用性の極めて低いレベルであった。
<実施例2〜81>
実施例1において、用いる記録媒体およびインクセットを表1〜表2のように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェット画像形成を行い、評価を行った。
<比較例1〜9>
実施例1において、用いる記録媒体およびインクセットを表2のように変更したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット画像形成を行い、評価を行った。
Figure 2011074143
Figure 2011074143
表1〜表2に示すように、本発明のインクセットを用いて画像を形成することにより、耐擦性と耐ブロッキング性に優れた画像を形成できることが分かる。
また本発明の画像形成方法では、均質な幅長のライン画像が得られ、ベタ記録した場合には濃度ムラの発生が抑えられ、均一で高い濃度の画像を得ることができた。しかも、画像全体の光沢も良好であった。

Claims (15)

  1. 着色剤、重合性化合物、開始剤、および水系媒体を少なくとも含有するインク組成物と、
    前記インク組成物と接触して凝集体を形成可能な凝集剤、および酸発生剤を含有する処理液と、
    を含むインクセット。
  2. 前記酸発生剤は、光および熱の少なくとも一方により酸を発生する請求項1に記載のインクセット。
  3. 前記酸発生剤は、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、o−ニトロベンジルスルホネート、およびスルホン酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1または請求項2に記載のインクセット。
  4. 前記凝集剤は、酸性化合物、多価金属塩、およびカチオン性ポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインクセット。
  5. 前記酸発生剤は、下記一般式(I)、一般式(II)、一般式(III)および一般式(V)のいずれかで表される化合物から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のインクセット。
    Figure 2011074143

    (一般式(I)中、炭素原子Cと炭素原子Cの間は単結合または二重結合で結合される。R11およびR12は、同じでも異なってもよく、下記(1)〜(4)のいずれかを表す。
    (1)それぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基。
    (2)CおよびCとともに1つあるいは複数のヘテロ原子を含んでよい非芳香族の単環または多環を形成する非金属原子群。
    (3)CおよびCを含む縮合した芳香環を形成する非金属原子群。
    (4)N−アルキルまたはアリールスルホニルオキシイミド基と連結基とを含む基。
    13はアルキル基、ハロゲン化アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、またはボルナン−2−オンに由来する基を表す。
    一般式(II)中、R21およびR22は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、ヘテロアリール基、もしくはシアノ基、
    または、アルキレン基、アルケニレン基、アルキンジイル基、フェニレン、フランジイル、チオフェンジイル、−O−、−S−、−N−、および−CO−からなる群から選ばれる少なくとも1種からなる連結基と、一般式(II)で表される化合物に由来する基とを含む基を表す。
    23は、アルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基を表す。
    一般式(III)中、Zは、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、ハロゲン原子を有するアルキル基、ハロゲン原子もしくはニトロ基を有するアリール基、ハロゲン原子もしくはニトロ基を有するアルキルアリール基、ニトロ基とハロゲン原子とを有するアリール基、または、ニトロ基とハロゲン原子とを有するアルキルアリール基を表す。R31は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のアシル基を表す。Qは炭化水素基、アルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、または有機ケイ素基を表し、mは0、1または2である。但しQは酸性の基ではなく、mが2の場合、2つのQは同一でも異なっていてもよい。
    一般式(V)中、R51はおよびR52はそれぞれ独立に、アルキル基またはアリール基を表す)
  6. 前記酸性化合物は、3価以下の酸性化合物である請求項4または請求項5に記載のインクセット。
  7. 前記酸性化合物の含有率は、処理液全体に対して40質量%以下である請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載のインクセット。
  8. 前記多価金属塩は、2価または3価の多価金属塩である請求項4〜請求項7のいずれか1項に記載のインクセット。
  9. 前記カチオン性ポリマーは、ポリ(ビニルピリジン)塩、ポリアルキルアミノエチルアクリレート、ポリアルキルアミノエチルメタクリレート、ポリ(ビニルイミダゾール)、ポリエチレンイミン、ポリビグアニド、およびポリグアニドからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項4〜請求項8のいずれか1項に記載のインクセット。
  10. 前記インク組成物は、樹脂粒子を更に含む請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載のインクセット。
  11. 請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載のインクセットに含まれる処理液を、記録媒体上に付与する処理液付与工程と、
    請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載のインクセットに含まれるインク組成物を、記録媒体上に付与して画像を形成するインク付与工程と、
    を含む画像形成方法
  12. 前記記録媒体は、塗工紙である請求項11に記載の画像形成方法。
  13. 前記インク付与工程は、前記処理液が付与された記録媒体上に前記インク組成物を付与することを含む請求項11または請求項12に記載の画像形成方法。
  14. 前記インク付与工程は、インクジェット方式により前記インク組成物を付与することを含む請求項11〜請求項13のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  15. 前記記録媒体上に付与されたインク組成物に活性放射線を照射する工程をさらに含む請求項11〜請求項14のいずれか1項に記載の画像形成方法。
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