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JP2011067265A - プレフィルドシリンジおよび複合型プレフィルドシリンジ - Google Patents

プレフィルドシリンジおよび複合型プレフィルドシリンジ Download PDF

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JP2011067265A JP2009219237A JP2009219237A JP2011067265A JP 2011067265 A JP2011067265 A JP 2011067265A JP 2009219237 A JP2009219237 A JP 2009219237A JP 2009219237 A JP2009219237 A JP 2009219237A JP 2011067265 A JP2011067265 A JP 2011067265A
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Abstract

【課題】複雑な機構を要することなく、保存時には、安全且つ確実に各内容物を個別に収納・保存でき、使用時には、シリンジ内で各内容物を十分に混合でき、混合物を良好な信頼性とともに簡便かつ円滑に吐出できるプレフィルドシリンジおよび複合型プレフィルドシリンジを提供する。
【解決手段】プレフィルドシリンジ10は、筒体11と、プランジャー部15と、吐出側ガスケット部12cと、中間ガスケット部12bと、押圧側空間部13aと、中間空間部13bと、押圧側空間部および/または中間空間部に含まれる内容物18とを備え、中間空間部および吐出側空間部に、バイパス部14bが形成されてなるプレフィルドシリンジであって、プランジャー部の押圧操作により、バイパス部を介して、押圧側空間部と中間空間部との間、および中間空間部と吐出側空間部との間が導通状態となり、吐出側空間部に流入した内容物が筒体外部へ吐出されるように形成されてなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数の内容物を個別に収容できるプレフィルドシリンジおよび複合型プレフィルドシリンジに関する。
より詳しくは、本発明は、分離、混合、吐出のために複雑な機構を必要とすることなく、(1)保存時には、安全且つ確実に各内容物を個別に収納・保存でき、(2)使用時には、シリンジ外部に内容物を取り出すくとなく、シリンジ内で各内容物を十分に混合でき、さらに、内容物を良好な信頼性とともに簡便かつ円滑に吐出できるプレフィルドシリンジおよび複合型プレフィルドシリンジに関する。
一般に、複数種類の成分を混合して使用される組成物として、歯科用材料、外科用接着材などの医療用接着剤、その他の用途の接着剤、シーリング剤、毛染剤等の粘性材料が知られている。このような粘性材料は、複数の成分を混合することで、化学反応(硬化反応等)が開始されてから、各種用途に使用されている。そのため、場合によっては、使用直前に、練和板や混合用容器と、棒、へら等の混合具とを用いて混合する作業が必要である。
近年、各種メーカーによって、複数の成分を別個に保存するための分離チャンバーとこれらの成分を混合するための攪拌ユニットを有する混合カプセルが製品化されている。かかる混合カプセルは、保存時には、別個に複数の成分を各分離チャンバーに保存できる。また、ユーザーは、使用する際に、例えば、各成分を分離している分離チャンバー間の隔壁を破壊し、分離チャンバー間を導通状態にさせることで、各成分が混合されて、目的の混合物を調製できる。
特に、歯科分野においては、このような混合カプセルが汎用され、保存時には、粉体成分と液体成分とがそれぞれ分離チャンバーに別個に保存され、使用時には、これらの成分が通常、攪拌ユニットにて混合され、歯科材料が調製される。さらに、例えばかかる混合カプセルに一体的に形成された吐出口を介して、完全に混合された歯科材料が、齲蝕箇所等の作業領域へ直接分注される。
例えば、特許文献1では、特に歯科材料を調製するための混合カプセルが開示されている。この混合カプセルは、カートリッジと、分注口と、該カートリッジ内に可動式に配置されたピストンと、第1の成分を受入れるための封止されたメインチャンバと、ピストン内に画定され第2の成分を受入れるための補助チャンバと、少なくとも1つの可動体と、補助チャンバをメインチャンバから区画しかつ可動体により貫通され得る分離体とを含む。
また、上記可動体は、分離体が閉鎖されている場合は、メインチャンバ内に配置されており、分注操作時には、上記可動体が移動本体として、補助チャンバに移行できるように、補助チャンバおよび可動体が設計されている。
米国特許出願公開第2003/0136799号明細書
しかしながら、特許文献1に記載の混合カプセルを含め、従来の混合カプセルは、各成分の分離、成分の混合、混合物の吐出のために複雑な機構を必要としている。
そこで、本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、従来の混合カプセルとは全く異なった構成・機構により、従来の課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、分離、混合、吐出のために複雑な機構を必要とすることなく、(1)保存時には、安全且つ確実に各内容物を個別に収納・保存でき、(2)使用時には、シリンジ外部に内容物を取り出すくとなく、シリンジ内で各内容物を十分に混合でき、さらに、内容物を良好な信頼性とともに簡便かつ円滑に吐出できるプレフィルドシリンジおよび複合型プレフィルドシリンジを提供することを課題とする。
本発明に係るプレフィルドシリンジおよび複合型プレフィルドシリンジは、以下のとおりである。
本発明のプレフィルドシリンジ(プレフィルドシリンジ(1))は、下記(1)〜(9)を備え、少なくとも1つの中間空間部において、押圧側空間部と中間空間部とを導通可能するためのバイパス部(a)が形成され、吐出側空間部において、中間空間部と吐出側空間部とを導通可能にするためのバイパス部(b)が形成されてなるプレフィルドシリンジであって、プランジャー部の押圧操作により、前記バイパス部(a)より押圧側に位置する中間ガスケット部が吐出側に移動して、当該中間ガスケット部の押圧側の面が、当該バイパス部(a)の押圧側端部を通過したときに、当該バイパス部(a)を介して押圧側空間部と中間空間部とが導通状態となり、吐出側ガスケット部が吐出側に移動して当該吐出側ガスケット部の押圧側の面が前記バイパス部(b)の押圧側端部を通過したときに、当該バイパス部(b)を介して中間空間部と吐出側空間部とが導通状態となり、さらに、吐出側空間部に流入した内容物が、吐出部を介して、筒体外部へ吐出されることが可能なように形成されていることを特徴とする。
(1) 最吐出側に位置する最吐出側壁面と内容物を吐出するための吐出口とを有する吐出部を備えた筒体
(2) 筒体内に挿嵌されたプランジャー部
(3) 筒体内で、プランジャー部よりも吐出側に位置する押圧側ガスケット部
(4) 筒体内で、押圧側ガスケット部と吐出部との間に位置する吐出側ガスケット部
(5) 筒体内で、押圧側ガスケット部と吐出側ガスケット部との間に位置する少なくとも1つの中間ガスケット部
(6) 筒体内で、押圧側ガスケット部と中間ガスケット部とで画定される押圧側空間部
(7) 筒体内で、吐出側ガスケット部と吐出部とで画定される吐出側空間部
(8) 筒体内で、中間ガスケット部と吐出側ガスケット部で画定される中間空間部
(9)押圧側空間部および/または中間空間部に含まれる内容物
また、本発明のプレフィルドシリンジ(1)は、複数の中間空間部を有し、当該複数の中間空間部のうち、少なくとも1つの空間部に、吐出側の中間空間部と押圧側の中間空間部とを導通可能にするためのバイパス部(a´)が形成され、プランジャー部の押圧操作により、吐出側の中間空間部の押圧側に位置する中間ガスケット部が、吐出側に移動し、当該中間ガスケット部の押圧側の面が、前記中間空間部のバイパス部(a´)の押圧側端部を通過したときに、当該バイパス部(a´)を介して、吐出側の中間空間部と押圧側の中間空間部とを導通状態となるように形成されていることが好ましい。
また、本発明のプレフィルドシリンジ(1)は、前記バイパス部の長軸方向における長さが、当該バイパス部が形成されている空間部の長軸方向における長さがよりも短く、前記バイパス部の押圧側に位置するガスケット部の長軸方向における厚さよりも長いことが好ましい。
また、本発明のプレフィルドシリンジ(1)は、前記バイパス部の形状が、溝形状であることが好ましい。
また、本発明のプレフィルドシリンジ(1)は、1つの中間空間部を有し、当該中間空間部に、内容物として低活性物質または不活性物質が含まれ、かつ押圧側空間および吐出側空間部に、内容物として活性物質が含まれるか、複数の中間空間部を有し、当該複数の中間空間部のうち、少なくとも1つの空間部に、内容物として低活性物質または不活性物質が含まれ、かつ当該低活性物質または不活性物質を含む中間空間部の両側に位置する中間空間部または押圧側空間部に、内容物として活性物質が含まれることが好ましい。
本発明のプレフィルドシリンジ(プレフィルドシリンジ(2))は、内容物を吐出するための吐出部を備えた筒体と、該筒部の長軸方向に液密的または気密的に摺動可能なガスケット部と、当該ガスケット部を押圧するためのプランジャー部と、を有するプレフィルドシリンジであって、前記筒体が可撓性材料から構成され、当該筒体内部に、内容物が封入された易破壊性アンプルを有し、前記筒部を折り曲げた際に、筒部が破割することなく、易破壊性アンプルが破割して、破割された易破壊性アンプルから内容物が筒部内部に漏出でき、プランジャー部の押圧操作により、吐出部から筒体外部へ吐出されることが可能なように形成されていることを特徴とする。
また、本発明のプレフィルドシリンジ(2)は、前記筒体内部に、さらに固体の内容物が含まれることが好ましい。
また、本発明のプレフィルドシリンジ(2)は、前記易破壊性アンプルの破割片が吐出することを防ぐためのフィルターが、筒体内にて、易破壊性アンプルよりも吐出部側に設置され、当該フィルターと吐出部とから画定される空間に固体の内容物が含まれていることが好ましい。
また、本発明のプレフィルドシリンジ(2)は、前記易破壊性アンプルの破割片が吐出することを防ぐためのフィルターが、易破壊性アンプルを被覆していることが好ましい。
また、本発明のプレフィルドシリンジ(2)は、前記易破壊性アンプルの材質が、ガラスであることが好ましい。
また、本発明のプレフィルドシリンジ(2)は、前記易破壊性アンプルの材質が、破割性ガラスであることが好ましい。
本発明の複合型プレフィルドシリンジ(プレフィルドシリンジ(3))は、下記(A1)〜(A4)を有する外筒部(A)と下記(B1)〜(B7)を有する内筒部(B)とを備え、筒体(a)内に吐出部(a)に向かって、押圧側ガスケット部(a)、前記内筒部(B)が順に挿嵌され、かつ吐出部(b)が押圧側ガスケット部(a)を貫通し、吐出側空間部(b)において、押圧側空間部(b)と吐出側空間部(b)とを導通可能にするためのバイパス部(b2)が形成されてなる複合型プレフィルドシリンジであって、プランジャー部の押圧操作により、
吐出側ガスケット部(b)が吐出側に移動して、当該吐出側ガスケット部(b)の押圧側の面がバイパス部(b2)の押圧側端部を通過したときに、前記バイパス部(b2)を介して吐出側空間部(b)と押圧側空間部(b)とが導通状態となり、内容物(b)が吐出側空間部(b)に流入し、さらに、当該内容物(b)が、吐出部(b)を介して空間部(a)に流入し、当該内容物(b)とともに内容物(a)が、吐出部(a)を介して外筒部外部へ吐出されることが可能なように形成されていることを特徴とする。
(A1) 最吐出側に位置する最吐出側壁面(a)と内容物を吐出するための吐出口(a)とを有する吐出部(a)を備えた筒体(a)
(A2) 筒体(a)内で、吐出部(a)の押圧側に位置する押圧側ガスケット部(a)
(A3) 筒体(a)内で、押圧側ガスケット部(a)と前記吐出部(a)とで画定される空間部(a)
(A4) 空間部(a)に含まれる内容物(a)
(B1) 最吐出側に位置する最吐出側壁面(b)と内容物を吐出するための吐出口(b)とを有する吐出部(b)を備えた筒体(b)
(B2) 筒体(b)に挿嵌されたプランジャー部(b)
(B3)筒体(b)内で、プランジャー部(b)よりも吐出側に位置する押圧側ガスケット部(b)
(B4) 筒体(b)内で、押圧側ガスケット部(b)と吐出部(b)との間に位置する吐出側ガスケット部(b)
(B5) 筒体(b)内で、押圧側ガスケット部(b)と吐出側ガスケット部(b)とで画定される押圧側空間部(b)
(B6) 筒体(b)内で、吐出側ガスケット部(b)と吐出部(b)とで画定される吐出側空間部(b)
(B7) 押圧側空間部(b)に含まれる内容物(b)
また、本発明の複合型プレフィルドシリンジ(プレフィルドシリンジ(3))は、下記(A1)〜(A4)を有する外筒部(A)と下記(B1)〜(B9)を有する内筒部(B)とを備え、筒体(a)内に吐出部(a)に向かって、押圧側ガスケット部(a)、前記内筒部(B)が順に挿嵌され、かつ吐出部(b)が押圧側ガスケット部(a)を貫通し、少なくとも1つの中間空間部(b)において、押圧側空間部(b)と中間空間部(b)とを導通可能にするためのバイパス部(b1)、当該吐出側空間部(b)において、中間空間部(b)と吐出側空間部(b)とを導通可能にするためのバイパス部(b2)が形成されてなる複合型プレフィルドシリンジであって、プランジャー部(b)の押圧操作により、前記バイパス部(b1)より押圧側に位置する中間ガスケット部(b)が吐出側に移動し、当該中間ガスケット部(b)の押圧側の面が前記バイパス部(b1)の押圧側端部を通過したときに、前記バイパス部(b1)を介して中間空間部(b)と押圧側空間部(b)とが導通状態となり、吐出側ガスケット部(b)が吐出側に移動し、当該吐出側ガスケット部(b)の押圧側の面が当該バイパス部(b2)の押圧側端部を通過したときに、前記バイパス部(b2)を介して中間空間部(b)と吐出側空間部(b)とが導通状態となり、内容物(b)が吐出側空間部(b)に流入し、さらに、当該内容物(b)が、吐出部(b)を介して空間部(a)に流入し、当該内容物(b)とともに内容物(a)が、吐出部(a)を介して外筒部外部へ吐出されることが可能なように形成されていることを特徴とする。
(A1) 最吐出側に位置する最吐出側壁面(a)と内容物を吐出するための吐出口とを有する吐出部(a)を備えた筒体(a)
(A2) 筒体(a)内で、吐出部(a)の押圧側に位置する押圧側ガスケット部(a)
(A3) 筒体(a)内で、押圧側ガスケット部(a)と前記吐出部(a)とで画定される空間部(a)
(A4) 空間部(a)に含まれる内容物(a)
(B1) 最吐出側に位置する最吐出側壁面(b)と内容物を吐出するための吐出口とを有する吐出部(b)を備えた筒体(b)
(B2) 筒体(b)に挿嵌されたプランジャー部(b)
(B3) 筒体(b)内で、プランジャー部(b)よりも吐出側に位置する押圧側ガスケット部(b)
(B4) 筒体(b)内で、押圧側ガスケット部と吐出部との間に位置する吐出側ガスケット部(b)
(B5) 筒体(b)内で、押圧側ガスケット部(b)と吐出側ガスケット部(b)との間に位置する中間ガスケット部(b)
(B6) 筒体(b)内で、押圧側ガスケット部(b)と中間ガスケット部(b)とで画定される押圧側空間部(b)
(B7) 筒体(b)内で、吐出側ガスケット部(b)と吐出部(b)とで画定される吐出側空間部(b)
(B8) 筒体(b)内で、吐出側ガスケット部(b)と中間ガスケット部(b)とで画定される中間空間部(b)
(B9) 押圧側空間部(b)および/または中間空間部(b)に含まれる内容物(b)
また、本発明のプレフィルドシリンジ(3)は、複数の中間空間部(b)を有し、当該複数の中間空間部(b)のうち、少なくとも1つの空間部に、吐出側の中間空間部(b)と押圧側の中間空間部(b)とを導通可能にするためのバイパス部(b3)が形成され、プランジャー部の押圧操作により、吐出側の中間空間部(b)の、押圧側に位置する中間ガスケット部(b)が、吐出側に移動し、当該中間ガスケット部の押圧側の面が、前記中間空間部のバイパス部(b3)の押圧側端部を通過したときに、当該バイパス部(b3)を介して、吐出側の中間空間部(b)と押圧側の中間空間部(b)とを導通状態となるように形成されていることが好ましい。
また、本発明のプレフィルドシリンジ(3)は、前記空間部(a)が、下記(A5)〜(A7)を有し、内容物(a)が、下記押圧側空間部(a)に含まれ、押圧側空間部(a)と吐出側空間部(a)とを導通可能にするためのバイパス部(a)が形成されてなり、吐出側ガスケット部(a)が吐出側に移動し、当該吐出側ガスケット部(a)の押圧側の面が前記バイパス部(a)の押圧側端部を通過したときに、押圧側空間部(a)と吐出側空間部(a)とが、前記バイパス部(a)を介して導通状態となることが可能なように形成されていることが好ましい。
(A5) 筒体(a)内で、押圧側ガスケット部(a)と吐出部(a)との間に位置する吐出側ガスケット部(a)
(A6) 筒体(a)内で、押圧側ガスケット部(a)と吐出側ガスケット部(a)とで画定される押圧側空間部(a)
(A7) 筒体(a)内で、吐出側ガスケット部(a)と吐出部(a)とで画定される吐出部側空間部(a)
本発明のプレフィルドシリンジおよび複合型プレフィルドシリンジは、複雑で高価な機構を用いることなく、(1)保存時においては、複数の内容物が混じる合うことなく、安全且つ確実に、各内容物を個別に収納・保存でき、(2)使用時においては、シリンジから各内容物を取り出す必要無く、シリンジ内で各内容物を十分に混合でき、さらに、内容物を良好な信頼性とともに簡便かつ円滑に吐出することができる。
図1は、本発明に係るプレフィルドシリンジ(プレフィルドシリンジ(1))の一態様を示す断面図である。 図2は、本発明に係るプレフィルドシリンジ(プレフィルドシリンジ(1))の一態様を示す断面図である。 図3は、溝状形状のバイパス部を示す断面図である。 図4は、本発明に係るプレフィルドシリンジ(プレフィルドシリンジ(2))の一態様を示す断面図である。 図5は、本発明に係るプレフィルドシリンジ(プレフィルドシリンジ(2))の一態様を示す断面図である。 図6は、本発明に係る複合型プレフィルドシリンジ(プレフィルドシリンジ(3))の一態様を示す断面図である。 図7は、本発明に係る複合型プレフィルドシリンジ(プレフィルドシリンジ(3))の一態様を示す断面図である。 図8は、本発明に係る複合型プレフィルドシリンジ(プレフィルドシリンジ(3))の一態様を示す断面図である。
本発明に係るプレフィルドシリンジおよび複合型プレフィルドシリンジについて、以下、図面を参照しながら具体的に説明する。
なお、説明の便宜上、本発明に係るプレフィルドシリンジおよび複合型プレフィルドシリンジを、プレフィルドシリンジ(1)〜(3)に大別し、それぞれ別個に説明する。
[プレフィルドシリンジ(1)]
本発明のプレフィルドシリンジ(1)が例示されている図1〜2を用いて具体的に説明する。
まず、図1の付け番10は、プレフィルドシリンジ(1)の一態様を示す。このプレフィルドシリンジ(1)10を構成する筒体11は、長軸方向に、11a、11bをそれぞれ押圧側、吐出側とした場合、吐出側11bの最吐出側において、最吐出側壁面と内容物を吐出するための吐出口とを有する吐出部を備えている。
筒体11の内面は、後述するバイパス部を除いて、ガスケット部(押圧側ガスケット部12a、中間ガスケット部12b、吐出側ガスケット部12c)が密閉状態(液密状態/気密状態)を保持したまま滑らかに摺動できるようになっている。そのために、筒体11の内面は、長軸方向に平行で凹凸のない形状を有するものが好適である。
また、筒体11の材質としては、特に限定されるものではなく、例えば、ガラス、テフロン(登録商標)、ポリプロピレン等が挙げられる。
吐出部16の吐出口16aは、内容物を筒体11内部から筒体11外部へ吐出する機能を有する。このような機能を有する限り、吐出口の形状は、特に限定されるものではなく、使用目的・用途に応じて適宜変更できる。
例えば、吐出口の断面の形状としては、略円形が好ましいが、幅広であってもよい。また、吐出口内に内容物の混合攪拌を更に促すために、吐出口において、その内壁に凹凸形状物を設けてもよいし、迷路状の経路を形成してもよい。
なお、図1で示されるプレフィルドシリンジ(1)10においては、吐出口16aが留め金17にて締結されているが、留め金を介さずに吐出部と筒体とが直接係合されてもよいし、筒体と吐出部とが一体成形されていてもよい。前者の場合、図1の付け番16bに示されるように、留め金の押圧側の面が最吐出側壁面となる。
付け番15は、筒体11の押圧側11aにて、筒体内に挿嵌されたプランジャー部を示す。プランジャー部15を押圧側11aから吐出側11bに押圧する操作(押圧操作)により、押圧側ガスケット部12aを押圧側11aから吐出側11bへ移動させ、各空間部に含まれる内容物を吐出側11bに移動させ、最終的には吐出部16から筒体11外部へ吐出させることができる。
なお、図1においては、プランジャー部15は、押圧側ガスケット部12aと連結されてなるものが例示されており、プランジャー部としては、このような構成を有するものが好ましいが、これに限定されるものではない。
例えば、プランジャー部は、押圧側ガスケット部とプランジャー部とが連結されておらず、単に接しているだけの構造であってもよい。
また、押圧操作は、通常、手動によるプランジャー部の押圧による操作であるが、その代りに、流体圧や電磁気的手段を用いた操作であってもよい。
図1の付け番12a、12cは、それぞれ、筒体11の押圧側11aに位置する押圧側ガスケット部、筒体11の吐出側11bに位置する吐出側ガスケット部を示している。
また、付け番12bは、押圧側ガスケット部12aと吐出側ガスケット部12cとの間に位置する中間ガスケット部を示している。
さらに、筒体11内には、両端を上記ガスケット同士で、あるいは吐出側ガスケットと吐出部とで画定(区画)された空間部(押圧側空間部13a、中間空間部13b、吐出側空間部13´)が含まれる。
付け番13aは、押圧側空間部を示しており、筒体内で、押圧側ガスケット部12aと中間ガスケット部12bとで画定される空間部である。また、付け番13bは、中間空間部を示しており、筒体内で、中間ガスケット部12bと吐出側ガスケット部12cで画定される空間部である。
なお、プレフィルドシリンジ(1)は、図1に示すように、単一の中間ガスケット部12bと単一の中間空間部13bとを有していてもよいし、図2に示すように、複数の中間ガスケット部12b、12b´と複数の中間空間部13b、13b´を有していてもよい。図2の付け番13bは、中間ガスケット同士で画定される中間空間部である。
さらに、図1の付け番13´は、吐出側空間部を示し、筒体内で吐出側ガスケット部12cと吐出部16とで画定される空間部である。
図1に示される、単一の中間空間部を有するプレフィルドシリンジ(1)において、押圧側空間部13aおよび/または中間空間部13bには、内容物が含まれている。
同様に、図2に示される、複数の中間空間部を有するプレフィルドシリンジ(1)においても、押圧側空間部13aおよび/または中間空間部13b、13b´には、内容物が含まれている。
これらの空間部に内容物が含まれる場合でも、内容物が含まれない場合(すなわち、空間部に空気が満たされている場合)でも、これらの空間部は、液密的または気密的な状態で保持されている。また、後述するように、ガスケット部の押圧側の面がバイパス部の押圧側端部を通過しない限り、各空間部の内容物同士が混合されたり、内容物が筒体外部へ漏出したり、あるいは筒体外部からの異物が混入したりすることはない。
また、図1Bに示されるように、プランジャー部15の押圧操作により、各ガスケット部12a〜cおよび各空間部13a〜b、13´を、任意の位置まで吐出側11bに移動させることができる。逆に、押圧操作の停止により、各ガスケット部12a〜cおよび各空間部13a〜b、13´を任意の位置で停止できる。
また、押圧操作によって、各ガスケットの押圧側の面が、バイパス部の押圧側端部を通過するまでは、各ガスケット部の移動の割合は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
各ガスケット部の移動の割合は、例えば、各ガスケット部の材質を選択したり、各空間部に含まれる内容物の圧力を調節したりすることで調整できる。
また、図1の付け番12a〜cに示される各ガスケット部においては、押圧側の面および/または吐出側の面の形状として略平面が例示されているが、凹面または凸面であってもよい。
ガスケット部の形状としては、複数のリング状凸部を有する略円筒または略円盤状のプラグまたはピストンなどの形状であることが好ましい。このような形状にすることにより、ガスケット部の摺動の際に発生する摩擦力が低減されるとともに、ガスケット部が筒体内壁に密着する部分が分割されるために、空間部において、液密的または気密的な状態を安定的に保持することができる。
ガスケット部の材質としては、筒体内においてガスケット部間で画定される空間部において、液密的または気密的な状態を保持しながら摺動および停止することができる材質である限り特に限定されない。例えば、このような材質としては、天然ゴム、合成ゴム、天然ゴムと合成ゴムとの混合ゴム、テフロン(登録商標)、シリコーンゴム等が挙げられる。
各空間部の容積は、それぞれ収納・充填される内容物の種類や量に応じて設定されるが、該内容物の量よりも大きめに設定し、内容物を空間部に収納・充填後に該空間部の余った空間には、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガスや、内容物に対して反応性が低い流体(低反応性ガス、低反応性液体)を封入して置いてもよい。
また、吐出側空間部の容積や長軸方向の長さ(図1では、L2´で示す。)は、押圧側空間部および/または中間空間部に含まれる内容物の合計量を考慮して、が適宜調節される。
なお、図1では示されていないが、筒体外部からの微生物や塵埃等の異物の混入を防ぐために、使用前(押圧操作前)は吐出部16の吐出口16aを、キャップなどで封鎖しておくことが好ましい。
図1の付け番14aは、押圧側空間部13aと中間空間部13bとを導通可能にするためのバイパス部(バイパス部(a))を示している。付け番14bは、中間空間部13bと吐出側空間部13´とを導通可能にするためのバイパス部(バイパス部(b))を示している。
なお、図2で示される、中間空間部を複数有するプレフィルドシリンジ(1)において、付け番14a´は、吐出側の中間空間部13b´と押圧側の中間空間部13bとを導通可能にするためのバイパス部(バイパス部(a´))を示している。
プレフィルドシリンジ(1)において、プランジャー部の押圧操作がなされると、押圧側空間部および/または中間空間部に含まれる内容物が、以下のような過程により、吐出部から筒体外部へ吐出される。以下、図1を用いて、この過程を説明する。
まず、プランジャー部15の押圧操作により、バイパス部(a)14aより押圧側11aに位置する中間ガスケット部12bが吐出側11bに移動する。そして、吐出側11bに移動している中間ガスケット部12bの押圧側の面S1が、バイパス部(a)14aの押圧側端部S2を通過したときに、前記バイパス部(a)14aを介して押圧側空間部13aと中間空間部13bとが導通状態となる(図1B)。つまり、押圧側空間部13aに内容物が含まれている場合は、押圧側空間部13aから中間空間部13bに、内容物が流入する。
さらに、吐出側ガスケット部12cが、吐出側11bに移動する(図1(C))。そして、吐出側ガスケット部12cの押圧側の面S1´がバイパス部(b)14bの押圧側端部S2´を通過したときに、バイパス部(b)14bを介して中間空間部13bと吐出側空間部13´とが導通状態となる(図1(D))。つまり、押圧側空間部13aおよび/または中間空間部13bに含まれていた内容物は、中間空間部13bから吐出側空間部13´に流入する。
さらに、吐出側空間部13´に流入した内容物は、留め金17等にて固定された吐出部16を介して、吐出側空間部13´から筒体11外部へ吐出される(図1(D)〜(E))。
なお、中間ガスケット部12bの押圧側の面S1がバイパス部(a)14aの押圧側端部S2を通過した場合、内容物(流体)はバイパス部(a)14aに迂回して吐出側へ移動するため、この時の中間ガスケット部12bは、ほぼ停止している(図1(B))。さらに、上記停止中の中間ガスケット部12bの押圧側の面S1が、押圧側ガスケット部12aに接触すると、再び停止中の中間ガスケット部12bは吐出側11bへ移動し始める(図1(C))。
同様に、吐出側ガスケット部12cの押圧側の面S1´がバイパス部(b)14bの押圧側端部S2´を通過した場合、内容物(流体)はバイパス部(b)14bに迂回して吐出側空間部13´へ移動するため、この時の吐出側ガスケット部12cは停止している(図1(D))。さらに、上記停止中の吐出側ガスケット部12cの押圧側の面S1´が、中間ガスケット部12bに接触すると、再び停止中の吐出側ガスケット部12cは吐出側11bへ移動し始める(図1(E))。
また、図2で示されるプレフィルドシリンジ(1)は、複数の中間空間部13b、13b´を有し、かつ当該複数の中間空間部13b、13b´にそれぞれバイパス部(a)14a、バイパス部(a´)14a´が形成されている。
ここで、バイパス部(a)14aは、押圧側空間部13aと押圧側11aに位置する中間空間部13bとを導通させるためのバイパス部である。一方、バイパス部(a´)14a´は、押圧側11aに位置する中間空間部13bと、吐出側11bに位置する中間空間部13b´とを導通させるためのバイパス部である。
プレフィルドシリンジ(1)が、このような構成を有する場合、押圧操作から内容物を吐出するまでの過程は、図2に例示されている。
まず、プランジャー部15の押圧操作により、図1に示されるプレフィルドシリンジ(1)と同様にして、バイパス部(a)14aを介して押圧側空間部13aと中間空間部13bとが導通状態となる(図2(A)〜(B))。さらに、中間ガスケット部12b´が、吐出側に移動し、中間ガスケット部12b´の押圧側の面S1´´が、バイパス部(a´)14a´の押圧側端部S2´´を通過したときに、前記バイパス部(a´)14a´を介して押圧側の中間空間部13bと吐出側の中間空間部13b´とが導通状態となる(図2(C))。
なお、中間ガスケット部12b、12b´、吐出側ガスケット部12cの押圧側の面が、それぞれ、バイパス部14a、14a´、14bの押圧側端部を通過した場合、流体はバイパス部に迂回して吐出側へ移動するため、中間ガスケット部12b、12b´、吐出側ガスケット部12cは停止する。また、停止したガスケット部の押圧側の面と、当該ガスケット部の押圧側に位置するガスケット部とが接触すると、停止していたガスケット部は再び吐出側に移動する。(図2(C)〜(E))。
本発明のプレフィルドシリンジ(1)のバイパス部の形状は、上述のように押圧操作によるガスケット部の移動により、空間部間を導通可能にできる限り、特に限定されない。
例えば、筒体壁内または筒体外に形成された管状バイパス構造や、筒体内壁に形成された溝などが挙げられる。この中でも、構造が単純で、作成し易く障害が発生し難いという点で、バイパス部は、溝形状であることが好ましい。
また、形成し易いという観点から、図3(A)の付け番34で示されるように、バイパス部が、筒体外周31に向かって、溝の幅34´が漸次減少している溝形状を有することが好ましい。また、図3(B)の付け番34a、34bで示されるように、バイパス部として、複数の溝を設けても良い。
バイパス部としての溝の幅34´は、内容物の導通に差し支えがない程度に大きく、かつガスケット部の移動に支障を生じない程度に小さいものであれば、特に限定されるものではない。また、バイパス部としての溝の深さ34´´は、内容物の導通に差し支えがない程度に深く形成されていればよい。
例えば、筒体の長軸方向に垂直な面内において、任意の方向からの平行光線による射影の幅において比較すると、筒体内面の幅の方が溝の幅よりも大きいことが挙げられ、筒部内面の内周31´に沿って計測して、好ましくは0.2〜10mmであり、より好ましくは0.5〜6mm、更に好ましくは1〜4mmである。
筒体のバイパス部が形成されている部分を、長軸方向に対して垂直に断面した際の面積が最大である場合、このバイパス部の面積(バイパス部の最大断面積)に対する溝幅の比(バイパス部の最大断面積/溝幅)は、好ましくは0.01〜2mm、より好ましくは0.05〜1mm、更に好ましくは0.1〜0.5mmである。なお、上記比(バイパス部の最大断面積/溝幅)は、バイパス部としての溝が最大断面積を有する場合での、平均的な溝深さを示す値と同一である。
バイパス部としての溝は、筒体内面に切削器具を差し込んで、切削して形成されてもよいし、溝の長さと幅のサイズに筒部を切り取った後に溝深さ分だけ浅い部材を嵌め込み、それらを接合して形成されてもよい。あるいは分割式の入れ子を用いて射出成形を用いて溝を形成してもよいし、溝を設ける部分を加熱軟化させた状態にて、筒内部にガス圧かけたり、当該部分に型を押しつけたりすることにより、外部に膨らませて溝を形成してもよい。
また、管状バイパス構造や溝等のバイパス部が、ポリマーや接着材等を用いて形成してなり、かつ内容物が、当該バイパス部が形成された空間部に含まれる場合、内容物と上記ポリマーや接着材等との接触により、化学反応が進行したり、特性が変化したりするなどの問題が生じる場合がある。この場合、図1のように、上記内容物を押圧側空間13aのような空間部内にバイパス部が形成されていない空間部に収納すれば、上記の問題を回避できる。
図1〜2に示すように、前記バイパス部(バイパス部(a)、(a´)、(b))の長軸方向における長さ(図1中ではL1、L1´で示す。)が、当該バイパス部が形成されている空間部の長軸方向における長さ(図1中ではL2、L2´で示す。)がよりも短く、前記バイパス部の押圧側に位置するガスケット部の長軸方向における厚さ(図1中ではL3、L3´で示す。)よりも長いことが好ましい。
吐出側ガスケット部の押圧側の面が、バイパス部(b)の押圧側端部を通過していない場合においては、中間空間部と吐出側空間部とが導通状態になっていない。そのため、内容物が筒体外部に曝されておらず、吐出することもなく、中間空間部において、内容物を自由に攪拌操作することが出来る。
また、バイパス部の押圧側に位置する各ガスケット部の長軸方向における厚さの合計(図1:L3とL4との合計、またはL3´とL3とL4との合計)、またはこれのうち、1つのガスケット部の長軸方向における厚さ(図1:L3´、L3またはL4)よりも、前記バイパス部の長軸方向における長さ(図1中ではL1、L1´で示す。)が、小さいことが好ましい。このように構成することで、吐出側に位置する空間部から、押圧側に位置する空間部へ内容物が逆流することを防止できる。
例えば、図1(A)に示されるように、バイパス部(a)14aの長軸方向における長さL1は、バイパス部(a) 14aの押圧側に位置する各ガスケット部12a、12bの長軸方向における厚さL3、L4の合計(L3+L4)よりも小さい。このような構成を有することで、図1(D)に示されるように、押圧操作中に、吐出側に位置する空間部(中間空間部13b)から、押圧側に位置する空間部(押圧側空間部13a)への内容物の逆流を防ぐことができる。
なお、攪拌操作として、例えば、プレフィルドシリンジ(1)を手で振って筒体を震蕩させてもよく、超音波振動装置で振動を加えてもよい。
あるいは、押圧操作とは逆の操作、つまりプランジャー部15を吐出側11bから押圧側11aに引き戻す操作により、吐出側の空間部から押圧側の空間部に内容物を1回以上逆流させて、内容物の攪拌をすることができる。
このように、本発明のプレフィルドシリンジ(1)は、バイパス部(b)14bを有することで、内容物の混合の際に、ガス抜きや内容物漏洩防止のために吐出部16の閉開操作をする煩わしさがなく、内容物の攪拌操作も安全に行うことができる。
押圧側空間部および/または中間空間部に含まれる内容物としては、後述する[プレフィルドシリンジに適用される内容物]にて具体的に例示する。
また、筒体内に含まれる内容物を筒体外部に暴露されることを確実に防ぐために、1つの中間空間部を有するプレフィルドシリンジ(1)において、中間空間部に、内容物として低活性物質または不活性物質が含まれ、かつ押圧側空間および吐出側空間部に、内容物として活性物質が含まれることが好ましい。
また、内容物同士の隔離をより確実なものとするために、複数の中間空間部を有するプレフィルドシリンジ(1)において、複数の中間空間部のうち、少なくとも1つの空間部に、内容物として低活性物質または不活性物質が含まれ、かつ当該低活性物質または不活性物質を含む中間空間部の両側に位置する中間空間部または押圧側空間部13a、内容物として活性物質が含まれることが好ましい。
なお、図1〜2においては、押圧側空間部13a、中間空間部13b、13b´に内容物が含まれ、吐出側空間部13´には内容物が含まれない態様を示しているが、吐出側空間部に内容物が含まれていてもよい。
吐出側空間部に内容物が含まれる態様においては、吐出部から、該内容物が漏出することを防ぐためのキャップ等が設置されていることが好ましい。特に、吐出側空間部に含まれる内容物としては、好ましくは、粉末等の固体の内容物であり、より好ましくは、中間空間部および/または押圧側空間部に含まれる内容物に対して不溶または難溶である粉体である。
内容物を収容するシリンジを複数備えたプレフィルドシリンジは、従来から知られているが、その構造・機構(例えば、複数のシリンジを並列状態で配している構成など)が複雑であり、このプレフィルドシリンジを製造するにあたっては、複雑な成形を要する。それに対して、上述したように、本発明のプレフィルドシリンジ(1)は、従来のプレフィルドシリンジとは異なった構造・機構を有することで、以下のような効果を発揮することができる。
(1)保存時においては、複数の内容物が混じる合うことなく、安全且つ確実に、各内容物を個別に収納・保存できる。
(2)使用時においては、シリンジから各内容物を取り出す必要無く、シリンジ内で各内容物を十分に混合でき、さらに、内容物を良好な信頼性とともに簡便かつ円滑に吐出できる。
[プレフィルドシリンジ(2)]
図4の付け番40は、本発明のプレフィルドシリンジ(2)の一態様を示す。図4に示されるプレフィルドシリンジ(2)40は、内容物を吐出するための吐出口46を備えた筒体41と、該筒体41の長軸方向に液密的または気密的に摺動可能なガスケット部42aと、当該ガスケット部42aを押圧するためのプランジャー部45と、を有する。また、筒体41が可撓性材料から構成され、当該筒体41内部に、内容物が封入された易破壊性アンプル43a、43bを有する。さらに、図4(B)に示すように、筒部41を折り曲げた際に、筒部41が破割することなく、易破壊性アンプル43a、43bが破割する。そして、図4(C)に示すように、この破割された易破壊性アンプル43a´、43b´から内容物43abが筒体41内部に漏出する。この時、プレフィルドシリンジ(2)40は、プランジャー部45の押圧操作により、吐出口46から筒体41外部へ吐出されることが可能なように形成されている。
なお、図4に示される態様は、2つの易破壊性アンプルを有する例であるが、本発明のプレフィルシリンジ(2)の使用目的等に応じて、易破壊性アンプルの本数を増やしたり、減らしたりしてもよい。
さらに、内容物は、易破壊性アンプルだけに限らず、該アンプル外の筒体内に収容・充填してもよく、それは気体、液体、固体の何れであってもよい。
筒体41の長軸方向において、付け番41a、41bをそれぞれ押圧側、吐出側とした場合、プランジャー部45を押圧側41aから吐出側41bへ押圧すること(押圧操作)により、易破壊性アンプルよりも押圧側41aに位置するガスケット部42aは、筒体内において、長軸方向に(押圧側41aから吐出側41bへ)液密的または気密的に摺動できる。
筒体41は、可撓性材料から構成されているために、後述する筒部の折り曲げ操作においても、筒部41が破割することない。このような筒体の材質である可撓性材料としては、ポリプロピレン等が挙げられる。
また、ガスケット部の材質は、筒体内で、液密的または気密的な状態で筒体内を摺動および停止することができる材質である限り、特に限定されない。例えば、このような材質としては、天然ゴム、合成ゴム、天然ゴムと合成ゴムとの混合ゴム、テフロン(登録商標)、シリコーンゴム等が挙げられる。
図4には、ガスケット部の押圧側の面および吐出側の面の形状が略平面であるが、凹面または凸面であっても良い。
なお、図4に示されるプレフィルドシリンジ(2)40においては、吐出口46が留め金47にて締結されているが、留め金を介さずに吐出口と筒体とが直接係合されても良いし、筒体と吐出口とが一体成形されていても良い。
また、図4に示されるガスケット部42aと押圧手段としてのプランジャー部45とが連結されており、このように構成されていることが好ましいが、特に限定されるものではない。例えば、プランジャー部がガスケット部に連結されておらず、単に接しているだけの構造であってもよい。また、押圧操作は、通常、手動によるプランジャー部の押圧による操作であるが、その代りに、流体圧や電磁気的手段を用いた操作であってもよい。
吐出口の形状は、押圧操作によって、筒体内部の内容物を筒体外部に吐出できる形状であれば特に限定されなく、使用目的・用途に応じて適宜変更できる。例えば、吐出口の断面の形状としては、ほぼ円形が好ましいが、幅広であってもよいし、内容物の混合攪拌をさらに促すために、吐出口において、内壁に凹凸形状物を設けてもよいし、迷路状の経路を形成してもよい。
なお、図4に示すように、易破壊性アンプルの破割片が吐出することを防ぐためのフィルター42bが、吐出口の筒体内部側(押圧部側)に設置されていることが好ましい。このフィルターとしては、易破壊性アンプルの破割片が吐出することを阻止できる限り特に限定されるものではないが、例えば、ガラスフィルター、脱脂綿などを硬く押し固めたものなどが好適である。該フィルターを有することで、後述する折り曲げ操作により生じる易破壊性アンプルの破砕片が筒体外に吐出することを防ぐことができる。
また、このようなフィルターは、図5(A)の付け番52bに示すように、筒体内にて、易破壊性アンプルよりも吐出口側に設置されていてもよい。図5Aに示されるプレフィルドシリンジ(2)では、フィルター52bと、最吐出側において、最吐出側壁面46´と内容物を吐出するための吐出口46とを有する吐出部46´´とから画定される空間58に固体の内容物58aが含まれている。
また、図5(B)の付け番52b´に示すように、易破壊性アンプルの破割片が吐出することを防ぐためのフィルターが、易破壊性アンプルを被覆していてもよい。図5(B)においては、このフィルター52b´は、接着剤や固定部材等により筒部内面に固定されていないが、これらにより押圧側に仮止めされていてもよい。
図5(A)〜(B)で示されるようなフィルターを有する構成にすることにより、易破壊性アンプル内や筒体内に含まれる他の流動性内容物に不溶または難溶であるためにフィルターの通過が困難な内容物であっても、フィルターに目詰まり等の不具合を起こすことなく、内容物を吐出することができる。
なお、図5(B)に示すように、易破壊性アンプルとそれを被覆するフィルター外の筒体内部58´に粉体などの固体の内容物58a´を収納しておいてもよい。さらに、易破壊性アンプルとそれを被覆するフィルター外の筒体内部58´には、粉体などの固体の内容物以外の液体および/または気体の内容物を収容・充填してもよい。
この場合、筒体内部と筒体外部との接触を防ぎ、液体および/または気体の内容物の漏出を防ぐために、封止手段により吐出口を封止していることが好ましい。例えば、図4に示されるように、吐出部の吐出側の先端部分には、漏洩を防止するためのキャップ42cを設置してもよい。当該キャップは、吐出部に嵌合や螺結されるものであってもよいし、蝶番またはその代替形態にて係合された跳ね上げ式蓋や、リボルバー式に開口部と閉口部を選択でき、開閉自在である留め金部であってもよい。
また、本発明のプレフィルドシリンジ(2)は、図4にて例示されるように、筒部41の内部空間43には、折り曲げ操作によって破割され得る易破壊性アンプル43a、43bが収納されている。
図4(B)の付け番41´は、図4(A)の筒体41を、例えば人力にて折り曲げた際(折り曲げ操作時)の筒体を示している。さらに、図4(C)の付け番43a´、43b´は、それぞれ、折り曲げ操作によって、破割された易破壊性アンプル43a、43bを示している。図4(B)〜(C)に示されるように、このプレフィルドシリンジ(2)を折り曲げる操作(折り曲げ操作)を実施しても、筒体41は、可撓性材料で構成されているために、破れたり割れたりしない。一方、破割可能な材質で構成されているために、図4(C)に示されるように易破壊性アンプル43a、43bは破割され、該アンプルに含まれる内容物43abが筒体内部に漏出する。
易破壊性アンプルの材質は、上記のように破割可能な材質である限り特に限定されないが、例えば、ガラスが挙げられる。特に好ましい可撓性材料としては、硼珪酸ガラスなどの破割性ガラスが挙げられる。
さらに、易破壊性アンプル43a、43bから漏出された内容物43abは、筒体内部で適宜混合され、プランジャー部45の押圧操作により、ガスケット部42aが押圧側41aから吐出側41bに移動し、吐出口46を介して、筒体外部へ吐出される。
本発明のプレフィルドシリンジ(2)に含まれる内容物としては、後述する[プレフィルドシリンジに適用される内容物]にて具体的に例示する。
内容物を収容するシリンジを複数備えたプレフィルドシリンジは、従来から知られているが、その構造・機構(例えば、複数のシリンジを並列状態で配している構成など)が複雑であり、このプレフィルドシリンジを製造するにあたっては、複雑な成形を要する。それに対して、上述したように、本発明のプレフィルドシリンジ(2)は、従来のプレフィルドシリンジとは異なった構造・機構を有することで、以下のような効果を発揮することができる。
(1)保存時においては、複数の内容物が混じる合うことなく、安全且つ確実に、各内容物を個別に収納・保存できる。
(2)使用時においては、シリンジから各内容物を取り出す必要無く、シリンジ内で各内容物を十分に混合でき、さらに、内容物を良好な信頼性とともに簡便かつ円滑に吐出できる。
[プレフィルドシリンジ(3)]
本発明のプレフィルドシリンジ(3)は、図6の付け番600で示されるような内筒部(B)610内の空間部が2つ有する態様と、図7の付け番700で示されるような内筒部(B)610内の空間部が3つ以上である態様を有する態様とに大別される。
後述するように、両プレフィルドシリンジ(3)は、内筒部(B)のガスケット部および空間部において構成上の相違があり、その他の部材・構成については共通している。以下、図6〜7を用いて、本発明のプレフィルドシリンジ(3)について具体的に説明する。
図6〜7の付け番600、700は本発明の複合型プレフィルドシリンジ(プレフィルドシリンジ(3))を示す。付け番620は、プレフィルドシリンジ(3)を構成する外筒部(A)を、付け番610は、内筒部(B)をそれぞれ示す。
図6〜7に示されるように、外筒部(A)620は、以下の(A1)〜(A4)を有している。
(A1)最吐出側に位置する最吐出側壁面(a)626bと内容物を吐出するための吐出口(a)626aとを有する吐出部(a)626を備えた筒体(a)621
(A2)筒体(a)621内で、吐出部(a)626の押圧側に位置する押圧側ガスケット部(a)622a
(A3) 筒体(a)621内で、押圧側ガスケット部(a)622aと前記吐出部(a)626とで画定される空間部(a)623
(A4) 空間部(a)623に含まれる内容物(a)623´
筒体(a)621は、長軸方向に、付け番621aを押圧側、付け番621bを吐出側とした場合、吐出側621bの最吐出側において、最吐出側壁面626bと内容物を吐出するための吐出口626aとを有する吐出部626を備えている。
吐出部(a)の吐出口の形状は、特に限定されるものではなく、使用目的・用途に応じて適宜変更できる。例えば、吐出口の断面の形状としては、略円形が好ましいが、幅広であっても良いし、吐出口内に内容物の混合攪拌を更に促すために、吐出口において、その内壁に凹凸形状物を設けても良いし、迷路状の経路を形成しても良い。
図6〜7の付け番622aは、押圧側ガスケット部(a)を示し、付け番623は、吐出部(a)626と押圧側ガスケット部(a)622aとで画定される空間部(a)を示している。
また、図6〜7で示されるように、外筒部(A)620の外部からの微生物や塵埃等の異物の混入や内容物の漏出を防ぐために、使用前(押圧操作前)において、吐出部(a)626の吐出口626aには、キャップ622bが設置されていることが好ましい。
また、付け番623´は、空間部(a)623に含まれる内容物(a)を示す。かかる内容物(a)としては、特に限定されないが、粉末等の固体の内容物であることが好ましい。また、内容物(a)の種類も特に限定されないが、具体的には、[プレフィルドシリンジに適用される内容物]の項にて詳細に説明する。
図6〜7に示されるように、筒体(a)621内に、吐出部(a)626に向かって、押圧側ガスケット部(a)622a、内筒部(B)610が順に挿嵌され、かつ吐出部(b)616が押圧側ガスケット部(a)622aを貫通している。
図6に示されるプレフィルドシリンジ(3)600の内筒部(B)610は、以下の(B1)〜(B7)を有している。この内筒部(B)610は、空間部として、押圧側空間部(b)613と吐出側空間部(b)613´とを有する。
(B1) 最吐出側に位置する最吐出側壁面(b)616bと内容物を吐出するための吐出口(b)616aとを有する吐出部(b)616を備えた筒体(b)611
(B2) 筒体(b)611に挿嵌されたプランジャー部(b)615
(B3) 筒体(b)611内で、プランジャー部(b)615よりも吐出側に位置する押圧側ガスケット部(b)612a
(B4) 筒体(b)611内で、押圧側ガスケット部612aと吐出部616との間に位置する吐出側ガスケット部(b)612c
(B5) 筒体(b)611内で、押圧側ガスケット部(b)612aと吐出側ガスケット部(b)612cとで画定される押圧側空間部(b)613
(B6) 筒体(b)611内で、吐出側ガスケット部(b)612cと吐出部(b)616とで画定される吐出側空間部(b)613´
(B7) 押圧側空間部(b)613に含まれる内容物(b)
また、図7に示されるプレフィルドシリンジ(3)700の内筒部(B)610は、以下の(B1)〜(B9)を有している。このプレフィルドシリンジ(3)700の内筒部(B)610は、空間部として、押圧側空間部(b)713aと吐出側空間部(b)713´と中間空間部(b)713bを有する。
(B1) 最吐出側に位置する最吐出側壁面(b)616bと内容物を吐出するための吐出口(b)616aとを有する吐出部(a)616を備えた筒体(a)611
(B2) 筒体(b)611に挿嵌されたプランジャー部(b)615
(B3) 筒体(b)611内で、プランジャー部(b)615よりも吐出側に位置する押圧側ガスケット部(b)712a
(B4) 筒体(b)611内で、押圧側ガスケット部712aと吐出部616との間に位置する吐出側ガスケット部(b)712c
(B5) 筒体(b)611内で、押圧側ガスケット部(b)712aと吐出側ガスケット部(b)712cとの間に位置する中間ガスケット部(b)712b
(B6) 筒体(b)611内で、押圧側ガスケット部(b)712aと中間ガスケット部(b)712bとで画定される押圧側空間部(b)713a
(B7) 筒体(b)611内で、吐出側ガスケット部(b)712cと吐出部(b)616とで画定される吐出側空間部(b)713´
(B8) 筒体(b)611内で、吐出側ガスケット部(b)712cと中間ガスケット部(b)712bとで画定される中間空間部(b)713b
(B9) 押圧側空間部(b)713aおよび/または中間空間部(b)713bに含まれる内容物(b)
図6〜7に示されるプレフィルドシリンジ(3)を構成する筒体(b)611は、長軸方向に、付け番611aを押圧側、付け番611bを吐出側とした場合、吐出側611bにおいて、内容物を内筒体(B)610内部から空間部(a)623へ吐出するための吐出部(b)616を備えている。吐出部(b)の吐出口の形状は、上述の吐出部(a)と同様に、使用目的・用途に応じて適宜変更でき、例えば、吐出口の断面の形状として、略円形、幅広形状が挙げられ、吐出口の内壁に凹凸形状物を設けても良いし、吐出口に迷路状の経路を形成しても良い。
また、図6〜7で例示されるプレフィルドシリンジ(3)は、筒体(b)611に挿嵌されたプランジャー部(b)615を有している。
図6、7で例示されたプランジャー部615は、それぞれ、後述する押圧側ガスケット部612a、712aと連結している。プランジャー部としては、このような構成を有するものが好ましいが、これに限定されるものではない。
例えば、プランジャー部は、押圧側ガスケット部とプランジャー部とが連結されておらず、単に接しているだけの構造であってもよい。
また、押圧操作は、通常、手動によるプランジャー部の押圧による操作であるが、その代りに、流体圧や電磁気的手段を用いた操作であってもよい。
図6で示されるプレフィルドシリンジは、内筒部(B)610に2つの空間部(押圧側空間部、吐出側空間部)を有していることを特徴としている。図6の付け番612a、612cは、それぞれ、筒体(b)611の押圧側611aに位置する押圧側ガスケット部(b)、吐出側611bに位置する吐出側ガスケット部(b)を示している。また、付け番613は、筒体内で押圧側ガスケット部(b)612aと吐出側ガスケット部(b)612cで画定された押圧側空間部(b)を示している。
また、付け番613´は、筒体内で吐出側ガスケット部(b)612cと吐出部(b)616で画定された吐出側空間部(b)を示している。押圧側空間部(b)613には、内容物(b)が含まれる。
図6に示されるプレフィルドシリンジ(3)600には、吐出側空間部(b)613´において、押圧側空間部(b)613と吐出側空間部(b)613´とを導通可能にするためのバイパス部(b2)が形成されている(付け番614b)。
図6に示されるプレフィルドシリンジ(3)において、プランジャー部615の押圧操作がなされると、押圧側ガスケット部612a、吐出側ガスケット部612cが、筒体内の吐出側へ移動する。そして、吐出側ガスケット部612cの押圧側の面S1´が、バイパス部(b2)614bの押圧側端部S2´を通過したときに、前記バイパス部(b2)614bを介して押圧側空間部(b)613と吐出側空間部(b)613´とが導通状態となる。すなわち、押圧側空間部(b)613から吐出側空間部(b)613´へ内容物(b)が流入する。
このとき、内容物(流体)はバイパス部(b2)614bに迂回して吐出側空間部(b)613´へ移動するので、吐出側ガスケット部(b)612cは、停止している。また、吐出側ガスケット部(b)612cは、押圧側ガスケット部(b)612aと接触すると、再び吐出側に移動する。
吐出側空間部(b)613´に流入した内容物(b)は、吐出部(b)616を介して空間部(a)623に流入する。そして、当該内容物(b)とともに内容物(a)623´が、吐出部(a)626を介して外筒部(A)620の外部へ吐出される。
図7に示されるプレフィルドシリンジ(3)は、内筒部(B)に少なくとも3つの空間部(押圧側空間部、吐出側空間部および複数の中間空間部)を有していることを特徴としている。
付け番712a、712c、712bは、それぞれ、筒体(b)611の押圧側611aに位置する押圧側ガスケット部(b)、吐出側に位置する吐出側ガスケット部(b)、押圧側ガスケット部(b)と吐出側ガスケット部(b)との間に位置する中間ガスケット部(b)を示している。
付け番713aは、筒体(b)内で押圧側ガスケット部(b)712aと中間ガスケット部(b)712bで画定された押圧側空間部を示している。付け番713´は、筒体内で吐出側ガスケット部(b)712cと吐出部(b)616で画定された吐出側空間部(b)を示している。さらに、付け番713bは、中間ガスケット部(b)712bと吐出側ガスケット部(b)712cとで画定される中間空間部(b)を示している。
図7に示されるようなプレフィルドシリンジ(3)には、少なくとも1つの中間空間部(b)において、押圧側空間部(b)と中間空間部(b)とを導通可能にするためのバイパス部(b1)が形成されている(図7の付け番614a)。また、上記プレフィルドシリンジ(3)には、吐出側空間部(b)において、中間空間部(b)と吐出側空間部(b)とを導通可能にするためのバイパス部(b2)が形成されている(図7の付け番614b)。
図7に示されるプレフィルドシリンジ(3)700において、プランジャー部615の押圧操作がなされると、押圧側ガスケット部(b)712a、中間ガスケット部(b)712bが、筒体内の吐出側へ移動する。そして、中間ガスケット部(b)712bの押圧側の面(図7中ではS1で示す。)が、バイパス部(b1)の押圧側端部S2を通過したときに、バイパス部(b1)614aを介して押圧側空間部(b)713aと中間空間部713bとが導通状態となる。すなわち、押圧側空間部(b)713aから中間空間部(b)713bへ内容物(b)が流入する。なお、内容物(流体)はバイパス部(b1)614aに迂回して中間空間部(b)713bへ移動するので、中間ガスケット部(b)712bは、停止している。
さらに、吐出側ガスケット部712cの押圧側の面S1´が、バイパス部(b2)614bの押圧側端部S2´を通過したときに、前記バイパス部(b2)614bを介して中間空間部713bと吐出側空間部713´とが導通状態となる。そのため、中間空間部(b)713bに流入した内容物(b)は、前記バイパス部(b2)614bを介して中間空間部(b)713bから吐出側空間部(b)713´へ流入する。そして、当該内容物(b)が吐出側空間部(b)713´から空間部(a)623へ流入する。さらに、内容物(b)とともに内容物(a)623´が、吐出部(a)626を介して外筒部(A)620外部へ吐出される。
また、図7に示されるようなプレフィルドシリンジ(3)は、一つの中間空間部を有しているが、プレフィルドシリンジ(3)は、複数の中間空間部(b)を有し、当該複数の中間空間部(b)のうち、少なくとも1つの空間部に、吐出側の中間空間部(b)と押圧側の中間空間部(b)とを導通可能にするためのバイパス部(b3)が形成されていてもよい。このような構成を有する場合、プランジャー部の押圧操作により、吐出側の中間空間部(b)の押圧側に位置する中間ガスケット部(b)が、吐出側に移動し、当該中間ガスケット部の押圧側の面が、前記中間空間部のバイパス部(b3)の押圧側端部を通過したときに、当該バイパス部(b3)を介して、吐出側の中間空間部(b)と押圧側の中間空間部(b)とを導通状態となる。
なお、図6〜7に示されるプレフィルドシリンジ(3)において、筒体(a)621および筒体(b)611の内面は、各ガスケット部(図6:吐出側ガスケット部(a)、吐出側ガスケット部(b)、押圧側ガスケット部(b)、図7:吐出側ガスケット部(a)、吐出側ガスケット部(b)、押圧側ガスケット部(b)、中間ガスケット部(b))が密閉状態(液密状態/気密状態)を保持したまま滑らかに摺動できるようになっている。すなわち、筒体(a)621および筒体(b)611の内面は、長軸方向に平行で凹凸のない形状を有するものが好適であり、材質としては、特に限定されるものではなく、例えば、ガラス、テフロン(登録商標)、ポリプロピレン等が挙げられる。
図6〜7に示されるプレフィルドシリンジ(3)において、各ガスケット部の材質は、筒体(a)611または筒体(b)621内で、液密的または気密的な状態で筒体内を摺動および停止することができる材質である限り、特に限定されない。例えば、このような材質としては、天然ゴム、合成ゴム、天然ゴムと合成ゴムとの混合ゴム、テフロン(登録商標)、シリコーンゴム等が挙げられる。
ガスケット部の形状としては、複数のリング状凸部を有する略円筒乃至は略円盤状のプラグまたはピストンなどの形状であることが好ましい。このような形状にすることにより、ガスケット部の摺動の際に摩擦力が低減されるとともに、ガスケット部が筒体内壁に密着する部分が分割されるために、空間部において、液密的または気密的な状態を安定的に保持することができる。
図6〜7に示される各ガスケット部においては、押圧側の面および/または吐出側の面の形状として略平面が例示されているが、ガスケット部の押圧側の面および/または吐出側の面の形状は、凹面または凸面であっても良い。
図6〜7に示されるプレフィルドシリンジ(3)において、吐出部(a)626の吐出口(a)626a、吐出部(b)616の吐出口(b)616aがそれぞれ、留め金627、617にて締結されているが、留め金を介さずに吐出部と筒体とが直接係合されても良いし、筒体と吐出部とが一体成形されていても良い。前者の場合、図6〜7の付け番626bに示されるように、留め金の押圧側の面が最吐出側壁面となる。
また、図6〜7に示されるプレフィルドシリンジ(3)における内容物(a)〜(b)の種類については、特に限定されるものではなく、具体的には、後述する[プレフィルドシリンジに適用される内容物]の項にて詳述する。
なお、図7に示されるプレフィルドシリンジ(3)において、押圧側空間部(b)713aおよび中間空間部(b)713bの両方とも内容物(b)を含む場合、それぞれの空間部に含まれる内容物は同一でもよいし、異なっていてもよい。
図6〜7に示されるプレフィルドシリンジ(3)における各バイパス部の形状は、特に限定されないが、プレフィルドシリンジ(3)のバイパス部は、上述のように押圧操作によるガスケット部の移動により、空間部の間を導通可能にできる限り、特に限定されない。例えば、筒体壁内または筒体外に形成された管状構造や、筒体内壁に形成された溝などが挙げられる。この中でも、構造が単純で、作成し易く障害が発生し難いという点で、バイパス部は、溝形状であることが好ましい。
また、形成し易いという点で、図3(A)の付け番34で示されるように、バイパス部が、筒体外周31に向かって、溝の幅34´が漸次減少している形状を有することが好ましい。なお、図3(B)の付け番34a、34bで示されるように、バイパス部として、複数の溝を設けても良い。溝の幅34´は、内容物の導通に差し支えがないほど大きく、かつガスケット部の移動に支障を生じない程度に小さいものであれば、特に限定されるものではない。また、溝の深さ34´´は、内容物の導通に差し支えがない程度に深く形成されていればよい。
例えば、筒体の長軸方向に垂直な面内において、任意の方向からの平行光線による射影の幅において比較すると、筒体内面の幅の方が溝の幅よりも大きいことが挙げられ、筒部内面の内周31´に沿って計測して、好ましくは0.2〜10mmであり、より好ましくは0.5〜6mm、更に好ましくは1〜4mmである。
筒体のバイパス部が形成されている部分を、長軸方向に対して垂直に断面した際の面積が最大である場合、このバイパス部の面積(バイパス部の最大断面積)に対する溝幅の比(バイパス部の最大断面積/溝幅)は、好ましくは0.01〜2mm、より好ましくは0.05〜1mm、更に好ましくは0.1〜0.5mmである。なお、上記比(バイパス部の最大断面積/溝幅)は、バイパス部としての溝が最大断面積を有する場合での、平均的な溝深さを示す値と同一である。
バイパス部としての溝は、筒体内面に切削器具を差し込んで、切削して形成されてもよいし、溝の長さと幅のサイズに筒部を切り取った後に溝深さ分だけ浅い部材を嵌め込み、それらを接合して形成されてもよい。あるいは分割式の入れ子を用いて射出成形を用いて溝を形成してもよい。または、溝を設ける部分を加熱軟化させた状態にて、筒内部にガス圧かけたり、当該部分に型を押しつけたりすることにより、外部に膨らませて、溝を形成してもよい。
また、管状構造や溝等のバイパス部が、ポリマーや接着材等を用いて形成し手なる場合、当該バイパス部が形成された空間部に含まれる内容物が、上記ポリマーや接着材等と接触することで、内容物とポリマーや接着材等とが反応したり、特性が変化したりするなどの問題が生じる場合がある。この場合、このような内容物を、図6〜7の押圧側空間(b)613、713aまたは空間部(a)623のような空間部内にバイパス部が形成されていない空間部に収納すれば、上記の問題を回避できる。
また、前記バイパス部(b1)および/またはバイパス部(b2)の長軸方向における長さ(図6〜7:L1、L1´)が、当該バイパス部が形成されている空間部の長軸方向における長さ(図6〜7:L2、L2´)がよりも短く、前記バイパス部の押圧側に位置するガスケット部の長軸方向における厚さ(図6〜7:L3、L3´)よりも長いことが好ましい。
また、バイパス部の押圧側に位置する各ガスケット部の長軸方向における厚さの合計(図6:L3+L4、図7:L3+L4またはL3+L3´+L4)または、これのうち、1つのガスケット部の長軸方向における厚さ(図6:L3、L4、7:L3、L3´、L4)よりも、前記バイパス部の長軸方向における長さ(図6〜7:L1、L1´)が、小さいことが好ましい。このように構成することで、吐出側に位置する空間部から、押圧側に位置する空間部へ内容物が逆流することを防止できる。
なお、空間部同士が導通状態になっていない場合、内容物が筒体外部に曝されておらず、吐出することもない。そのために、中間空間部において、内容物を自由に攪拌操作することが出来る。攪拌操作は、例えば、手で振って筒体を震蕩させても良いし、超音波振動装置で振動を加えても良い。あるいは、押圧操作とは逆の操作(プランジャー部を吐出側から押圧側に引き戻す操作)により、吐出側に位置する空間部から押圧側に位置する空間部に内容物を一回以上逆流させて、内容物の攪拌を促すことができる。
このように、本発明のプレフィルドシリンジ(3)は、バイパス部を有することで、内容物の混合の際に、ガス抜きや内容物漏洩防止のために吐出部の閉開操作をする煩わしさがなく、混合物の攪拌操作も安全に行うことができる。
なお、内容物が収容・充填される空間部の容積は、それぞれ収納・充填される内容物の種類や量に応じて設定されるが、該内容物の量よりも大きめに設定し、内容物を空間部に収納・充填後に該空間部の余った空間には、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガスや、内容物に対して反応性が低いガス(低反応性ガス)や液体(低反応性液体)を封入して置いても良い。
筒体内に含まれる内容物を筒体外部に暴露されることを確実に防ぐために、図6で示されるような中間空間部(b)を有していないプレフィルドシリンジ(3)において、押圧側空間部(b)に、内容物として低活性物質または不活性物質が含まれ、かつ吐出側空間部(b)に、内容物として活性物質が含まれることが好ましい。
内容物同士の隔離をより確実なものとするために、図7で示されるような複数の中間空間部(b)を有するプレフィルドシリンジ(3)において、複数の中間空間部のうち、少なくとも1つの空間部に、内容物として低活性物質または不活性物質が含まれ、かつ当該低活性物質または不活性物質を含む中間空間部の両側に位置する中間空間部または押圧側空間部に、内容物として活性物質が含まれることが好ましい。
空間部(a)に含まれる内容物(a)としては、好ましくは、粉末等の固体の内容物であり、より好ましくは、内容物(b)に対して不溶または難溶である粉体である。
また、図8に示すようなプレフィルドシリンジ(3)800には、空間部(a)が、下記(A5)〜(A7)を有し、内容物(a)823´が、押圧側空間部(a)823aに含まれ、押圧側空間部(a)823aと吐出部側空間部(a)823bとを導通可能にするためのバイパス部(a)814bが形成されていてもよい。このような構成を有する場合、プランジャー部615の押圧操作により、内筒部610から内容物(a)が、押圧側空間部(a)823aに流入する。さらに、吐出側ガスケット部(a)822cが吐出側に移動し、当該吐出側ガスケット部(a)822aの押圧側の面S1´´が前記バイパス部(a)814bの押圧側端部S2´´を通過したときに、押圧側空間部(a)823aと吐出側空間部(a)823bとが、前記バイパス部(a)814bを介して導通状態となることが可能なように形成されている。
(A5) 筒体(a)621内で、押圧側ガスケット部(a)622aと吐出部(a)626との間に位置する吐出側ガスケット部(a)822c
(A6) 筒体(a)621内で、押圧側ガスケット部(a)622aと吐出側ガスケット部(a)822cとで画定される押圧側空間部(a)823a
(A7) 筒体(a)621内で、吐出側ガスケット部(a)822cと吐出部(a)626とで画定される吐出部側空間部(a)823b
さらに、本発明のプレフィルドシリンジ(3)は、空間部(a)の内容物に筒体部(A)の外部からの異物が混入することを防ぐために、吐出部(a)626の吐出口(a)626aに、リボルバー式切換チャネル、逆止弁、フィルター等を有していても良い。
また、図6〜7において、外筒部(A)620の内容物の外部への吐出を防ぐために、図4、5に図示したプレフィルドシリンジ(2)と同様のキャップが吐出部(a)の吐出口(a)に装着されているが、特にこれに限定すべき必要はない。例えば、図8で示されるように、内筒体(B)に含まれるバイパス部、ガスケット部と同様のバイパス部814b、吐出側ガスケット部(a)822cを利用する機構を用いても良い。
ただし、その場合、混合するための押圧過程において、予期しないタイミングにて、外筒体側のガスケット部が動いて、十分混合されていない内容物が外界に吐出される恐れがある。それを防止するためには、外筒体側のガスケット部の可動抵抗を他のガスケット部よりも十分大きくしておくなど、何らかのストッパー機能を設けておくことが好ましい。
なお、内筒体側の押圧過程にかかわらず、内筒体自体を押し引きすることにより、外筒体の空間部(a)623の容積は、自由に調整可能である。従って、外筒体の空間部(a)623は、筒体(A)のように、押圧過程に見合った空の容積を備える必要がない。
また、吐出部(a)626が、図6〜7で示される態様よりも更に太く、殆ど内筒体610の内径程度の大きさであってもよい。この場合、内筒体610の吐出側空間部613´と外筒体621の吐出側空間部623との区別が殆ど無く、両空間に渡って外筒体側の内容物が保持されているような態様であっても良い。
さらに、図6にて図示した例では、内筒体(B)として、図1にて図示したプレフィルドシリンジ(1)と同様の構成の筒体を用いているが、これに限定されるものではない。
例えば、内筒部(B)として、図4で例示されるプレフィルドシリンジ(2)を採用しても良い。また、プレフィルドシリンジ(3)そのものを内筒部(B)として、採用してもよい。この場合、全体として3つの筒部より構成される。
内容物を収容するシリンジを複数備えたプレフィルドシリンジは、従来から知られているが、その構造・機構(例えば、複数のシリンジを並列状態で配している構成など)が複雑であり、このプレフィルドシリンジを製造するにあたっては、複雑な成形を要する。それに対して、上述したように、本発明のプレフィルドシリンジ(3)は、従来のプレフィルドシリンジとは異なった構造・機構を有することで、以下のような効果を発揮することができる。
(1)保存時においては、複数の内容物が混じる合うことなく、安全且つ確実に、各内容物を個別に収納・保存できる。
(2)使用時においては、シリンジから各内容物を取り出す必要無く、シリンジ内で各内容物を十分に混合でき、さらに、内容物を良好な信頼性とともに簡便かつ円滑に吐出できる。
[プレフィルドシリンジに適用される内容物]
本発明のプレフィルドシリンジまたは複合型プレフィルドシリンジの各空間部に含まれる内容物の種類やその組み合わせとしては、特に限定されるものではないが、保存中に長期間混合された状態に置かれることが好ましくなく、使用直前に混合することが要求される内容物の組み合わせが挙げられる。
内容物の組み合わせの例としては、2種類以上を混合して使用される、歯科用または外科用などの医療用組成物、前記医療用として使用される、生体用接着材、硬化性組成物等の接着組成物が挙げられる。
以下、歯科用または外科用などの医療用接着組成物として好適な組成物の組み合わせを説明する。
即ち、開始剤とそれを用いた接着組成物であって、生体組織とよい親和性を有し、生体組織の接着修復、例えば歯牙や骨組織の接着修復、軟組織創傷部の保護または外科処置時の接着固定などに好適である。
そのような組成物としては、第1に、トリアルキルホウ素、アルコキシアルキルホウ素、ジアルキルボランおよび部分酸化トリアルキルホウ素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の有機ホウ素化合物(A)100重量部、沸点50℃〜120℃の非プロトン性溶媒(B)5〜40重量部、および、沸点が60℃〜180℃のアルコール(C)0.2〜5重量部を含有してなる重合開始剤組成物が例示される。第2に、重合性モノマー(a)30〜100重量部、(メタ)アクリレート重合体(b)0〜70重量部および上記重合開始剤組成物(c)1〜20重量部を含有してなりかつ重合性モノマー(a)と(メタ)アクリレート重合体(b)の合計が100重量部である歯科用接着剤組成物が例示される。この組成物によれば、発火に対する安全性、流動性および重合活性に優れた有機ホウ素系重合開始剤組成物が得られ、さらに、それを用いることにより安全性、操作性、接着性および経済性に優れた歯科用接着剤組成物が得られる。
本組成物において使用される有機ホウ素化合物(A)は、トリアルキルホウ素、アルコキシアルキルホウ素、ジアルキルボランおよび部分酸化トリアルキルホウ素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の有機ホウ素化合物であり、これらは1種または2種以上一緒に使用することができる。
トリアルキルホウ素としては、例えばトリエチルホウ素、トリプロピルホウ素、トリイソプロピルホウ素、トリブチルホウ素、トリ−sec−ブチルホウ素、トリイソブチルホウ素、トリペンチルホウ素、トリヘキシルホウ素、トリヘプチルホウ素、トリオクチルホウ素、トリシクロペンチルホウ素、トリシクロヘキシルホウ素など、炭素数2〜8の直鎖状、分枝状またはシクロ環状のアルキル基を有するものを挙げることができる。前記の通り、アルキル基が3つとも同一であるものでもよいし、2つだけが同じものや3つとも異なるものであってもよく、その場合には、例えば、前述のトリアルキルホウ素が有しているようなアルキル基を適宜に組み合わせて用いればよい。
アルコキシアルキルホウ素としては、例えばブトキシジブチルホウ素などのようなモノアルコキシジアルキルホウ素を挙げることができる。この場合のようにアルコキシ基のアルキル部とアルキル基が同じである方が原料の入手が容易なので好ましいが、特に限定されるものではない。これ以外にも、ジアルコキシモノアルキルホウ素であってもよい。ジアルキルボランとしては、例えばジシクロヘキシルボラン、ジイソアミルボランのようにアルキル基が2つとも同一であるものでもよいし、場合によっては異なっていてもよい。また、9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナンなどのように、ホウ素原子が単環状構造乃至はビシクロ構造の架橋を形成しているものを挙げることができる。
部分酸化トリアルキルホウ素としては、例えば前記トリアルキルホウ素の部分酸化物などが例示できる。特に好ましくは、部分酸化トリブチルホウ素などを挙げることができる。部分酸化トリアルキルホウ素としては、トリアルキルホウ素1モルに対し好ましくは0.3〜0.9モル、より好ましくは0.4〜0.6モルの酸素を付加させたものが用いられる。
これらの有機ホウ素化合物の中ではトリブチルホウ素あるいは部分酸化トリブチルホウ素を用いると特に好結果が得られる。最も好ましい有機ホウ素化合物は部分酸化トリブチルホウ素である。なお、前記の通り、アルキル基が3つとも同一であるものでもよいし、2つだけが同じものや3つとも異なるものであってもよい。
非プロトン性溶媒(B)としては、好ましくは1気圧における沸点が50℃〜120℃の溶媒が用いられる。より好ましい沸点は、60℃〜90℃の範囲にある。非プロトン性溶媒(B)としては、前記数値範囲の下限値を下回ると本重合開始剤を搬送・保存中に非プロトン性溶媒(B)が揮発・飛散してその配合比率が減少して発火抑制などの効果が低下して好ましくなく、前記数値範囲の上限値を上回ると、使用の際に揮発・飛散が不十分となり硬化組成物中に残存して、接着剤組成物の接着性能を低下させて好ましくない。
非プロトン性溶媒(B)としては、有機ホウ素化合物(A)と反応するようなヒドロキシ基、メルカプト基などに存在するような活性水素を持たず、有機ホウ素化合物(A)と均一な溶液を形成しうる溶媒が好ましく用いられる。
非プロトン性溶媒(B)の具体例としては、例えばペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素;フルオロベンゼン、ジクロロエタン、いわゆるフロンなどのハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトンなどのケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピルなどのエステルなどが挙げられる。これらの中ではアルカン、エーテルおよびエステルが好ましく、とりわけヘキサン、ジイソプロピルエーテル、酢酸エチルが特に好ましい。これらの非プロトン性溶媒(B)は単独で使用しても、2種以上併用してもよい。
本重合開始剤組成物における非プロトン性溶媒(B)の含有量は、有機ホウ素化合物(A)100重量部に対し、5〜40重量部である必要があり、より好ましくは10〜30重量部、最も好ましくは10〜25重量部である。非プロトン性溶媒(B)の含有量が有機ホウ素化合物(A)100重量部に対して5重量部未満の場合には、十分な希釈効果が得られなく、発熱(発火)の抑制効果が得られない。また、非プロトン性溶媒(B)の含有量が有機ホウ素化合物(A)100重量部に対して40重量部を越える場合には、重合開始剤組成物の重合能を低下させる傾向がある。
本開始剤組成物におけるアルコール(C)は、驚くことに、特定少量の添加により、非プロトン性溶媒(B)との共存にて、重合活性を低下させることがなく発熱(発火)性を抑制することが可能である。アルコール(C)としては、1気圧における沸点が60℃〜180℃のものが用いられる。好ましい沸点は、60〜120℃の範囲にある。アルコール(C)としては、前記数値範囲の下限値を下回ると本重合開始剤を搬送・保存中にアルコール(C)が揮発・飛散してその配合比率が減少して発火抑制などの効果が低下して好ましくなく、前記数値範囲の上限値を上回ると、接着剤組成物の硬化時間が長くなり、接着性能を低下させて好ましくない。
アルコール(C)の具体例としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノールまたはその異性体、n−ブタノールまたはその異性体、n−ペンタノールまたはその異性体、n−ヘキサノールまたはその異性体、n−ペプタノールまたはその異性体などが挙げられる。より好ましくは炭素数4以下のアルコールであり、これらの中では、とりわけエタノール、n−プロパノールが特に好ましい。これらのアルコール(C)は単独で使用しても、2種以上併用してもよい。
本重合開始剤組成物におけるアルコール(C)の含有量は、有機ホウ素化合物(A)100重量部に対し、0.2〜5重量部である必要があり、より好ましくは0.3〜4.5重量部、最も好ましくは0.5〜4重量部である。アルコール(C)の含有量が有機ホウ素化合物(A)100重量部に対して0.2重量部未満の場合には、十分な発熱(発火)の抑制効果が得られない。また、アルコール(C)の含有量が有機ホウ素化合物(A)100重量部に対して5重量部を越える場合には、重合開始剤組成物の重合能を低下させる傾向がある。
さらに、上記重合開始剤組成物を用いた、歯科用接着剤組成物が提供される。
すなわち、本組成物によれば、さらに、(a)重合性モノマーが好ましくは30〜100重量部、より好ましくは40〜80重量部、(b)(メタ)アクリレート重合体が0〜70重量部、より好ましくは10〜60重量部および(c)上記重合開始剤組成物が1〜20重量部、より好ましくは3〜15重量部を含有してなり、かつ、重合性モノマー(a)と(メタ)アクリレート重合体(b)の合計が100重量部である歯科用もしくは外科用接着剤組成物が提供される。上記(a)成分が前記数値範囲の下限値を下回ると組成物の操作性が低下することとなり好ましくない。また、上記(b)成分が前記数値範囲の上限値を上回ると組成物の操作性が低下することとなり好ましくない。さらに、上記(c)成分が前記数値範囲の下限値を下回ると接着組成物の硬化時間が長くなり好ましくなく、前記数値範囲の上限値を上回ると接着組成物の硬化時間が過度に短くなり、操作性が損なわれることとなり好ましくない。なお、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレートおよび/またはメタクリレート」の意味であり、他の場合(例えば「(メタ)アクリル酸メチル」ならば「アクリル酸メチルおよび/またはメタクリル酸メチル」の意)でも同様である。これは、当該技術分野において慣用的表現である。
本接着剤組成物において、上記重合性モノマー(a)としては、公知の単官能モノマーもしくは多官能モノマーが何ら制限なく使用できる。(メタ)アクリレート系モノマーは、人体への刺激性が比較的低いため好ましく用いられる。また、分子内に酸性基を有する重合性モノマーは、特に歯質に対する高い接着力を与える成分として好ましい。それ故、(メタ)アクリレートと酸性基を有する重合性モノマーの組合せも好ましく用いられる。
単官能性の(メタ)アクリレートとしては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボルニルなどの(メタ)アクリル酸アルキル;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−または3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、1,2−または1,3−ジヒドロキシプロピルモノ(メタ)アクリレート、エリスリトールモノ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル;ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート;エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレートなどの(ポリ)グリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート;パーフルオロオクチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のフルオロアルキルエステル;γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリ(トリメチルシロキシ)シランなどの(メタ)アクリロキシアルキル基を有するシラン化合物;およびテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなどの複素環を有する(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
また、多官能性の(メタ)アクリレートとしては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、へキシレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどのアルカンポリオールのポリ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどのポリオキシアルカンポリオールポリ(メタ)アクリレート;
下記式(1)
Figure 2011067265
ここで、Rは水素原子またはメチル基であり、mおよびnは同一もしくは異なり0〜10の数であり、そしてR1
Figure 2011067265
で表わされる脂肪族または芳香族のジ(メタ)アクリレート;
さらに、下記式(2)
Figure 2011067265
ここで、Rは水素原子またはメチル基であり、nは0〜10の数であり、そしてR1
Figure 2011067265
で表わされる、分子内にヒドロキシル基を有する脂肪族または芳香族ジ(メタ)アクリレート;
および下記式(3)
Figure 2011067265
ここで、Rは水素原子またはメチル基であり、そしてR1
Figure 2011067265
で表わされる分子中にウレタン結合を有する多官能(メタ)アクリレート
などを挙げることができる。
これらのうち、単官能性(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルのような(メタ)アクリル酸アルキル;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,3−ジヒドロキシプロピルモノ(メタ)アクリレート、エリスリトールモノ(メタ)アクリレートのような水酸基含有(メタ)アクリレート;トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートのように分子内にエチレングリコール鎖を有する(メタ)アクリレートなどが特に好ましく用いられる。
また、多官能性(メタ)アクリレートとしては、例えばトリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートのような分子内にエチレングリコール鎖を有するジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピルジ(メタ)アクリレート、
下記式(1)−a
Figure 2011067265
(ここで、R、mおよびnの定義は式(1)に同じである。)
で表わされる化合物、
下記式(2)−a
Figure 2011067265
(ここで、Rの定義は式(2)に同じである。)
で表わされる化合物、
下記式(3)−a
Figure 2011067265
(ここで、Rの定義は式(3)に同じである。)
などが特に好ましく用いられる。これらは単独で、または2種類以上併用することができる。
また、分子内に酸性基を有する重合性モノマーとしては、例えば、
(メタ)アクリル酸およびその無水物、1,4−ジ(メタ)アクリロキシエチルピロメリット酸、6−(メタ)アクリロキシエチルナフタレン−1,2,6−トリカルボン酸、N−(メタ)アクリロイル−p−アミノ安息香酸、N−(メタ)アクリロイル−o−アミノ安息香酸、N−(メタ)アクリロイル−m−アミノ安息香酸、N−(メタ)アクリロイル−5−アミノサリチル酸、N−(メタ)アクリロイル−4−アミノサリチル酸、4−(メタ)アクリロキシエチルトリメリット酸およびその無水物、4−(メタ)アクリロキシブチルトリメリット酸およびその無水物、4−(メタ)アクリロキシヘキシルトリメリット酸およびその無水物、4−(メタ)アクリロキシデシルトリメリット酸およびその無水物、2−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、3−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、4−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンマレエート、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、11−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸、p−ビニル安息香酸などのカルボン酸基またはその無水物を含有するモノマー;
(2−(メタ)アクリロキシエチル)ホスホリック酸、(2−(メタ)アクリロキシエチルフェニル)ホスホリック酸、10−(メタ)アクリロキシデシルホスホリック酸などの燐酸基を含有するモノマー;および
p−スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などのスルホン酸基を含有するモノマーを挙げることができる。
これらの酸性モノマーは単独であるいは組み合わせて使用することができる。これら酸性基を含有する重合性モノマーの配合量は、全重合性モノマー(a)を100重量部とした場合、2〜20重量部が好ましい。
本接着剤組成物が含有する(メタ)アクリレート重合体(b)としては、例えばポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート・エチル(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート・ブチル(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート・スチレン共重合体などの非架橋性ポリマー、メチル(メタ)アクリレート・エチレングリコールジ(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート・トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸メチルとブタジエン系モノマーとの共重合体などの架橋性ポリマーを挙げることができる。また、(b)成分として、これらのアルキルメタクリレート系重合体で金属酸化物や金属塩をコートした無機粒子を使用することも可能である。成分(b)は成分(a)と予め混合して用いることもできる。特に好ましくは、ポリメチル(メタ)アクリレートであり、重量平均分子量は好ましくは1万〜100万であり、より好ましくは5万〜50万であり、更に好ましくは10万〜35万である。又、分子量分布の指標である重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)は、好ましくは3.2以下であり、より好ましくは、2.5以下であり、さらに好ましくは2.2以下である。又、粒子は球状であることが好ましく、粒子径(HORIBA社製レーザー回折散乱式粒度分布測定装置LA−910にて測定)は、好ましくは1〜50μmであり、より好ましくは3〜30μmであり、更に好ましくは5〜20μmである。は前記数値範囲等の条件外では、単量体と混合した際に急速に粘度を増して可使時間が短くなったり、適用するのに適切な粘度に調製することが困難となったりするおそれがある。なお、前記条件を満たすポリメチルメタクリレート粒子は、重量平均分子量100万〜200万程度のパール重合ポリメチルメタクリレート粒子に30〜80kGy程度のガンマ線照射にて、得られる。
本接着剤組成物には、必要に応じ、無機、有機の充填剤;有機複合フィラー;充填剤着色剤;ヒドロキノン類などの重合禁止剤を適量配合させることもできる。
無機充填材の例としては、ジルコニウム酸化物、ビスマス酸化物、チタン酸化物、酸化亜鉛、酸化アルミニウム粒子などの金属酸化物粉末、炭酸カルシウム、炭酸ビスマス、リン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、硫酸バリウムなどの金属塩粉末、シリカガラス、アルミニウム含有ガラス、バリウム含有ガラス、ストロンチウム含有ガラス、ジルコニウムシリケートガラスなどのガラスフィラー、銀徐放性を有するフィラー、フッ素徐放性を有するフィラーなどを挙げることができる。これら無機充填材は単独であるいは組み合わせて使用することができる。
また、無機充填材と樹脂間に強固な結合を得るためには、シラン処理、ポリマーコートなどの表面処理を施した無機充填材を使用することが好ましい。
接着剤組成物の皮膜厚さ低減および修復効果を向上させるには、上記粒子の平均粒子径は、0.01〜30μmの範囲内にあることが好ましく、さらに、0.05〜25μmの範囲内にあることが特に好ましい。
尚、本歯科用接着剤や重合開始剤組成物の前述のごとき組成や配合は、処方であり、混合することにより、化学反応を生起して、前記とは異なった生成物を生じることもあり得る。例えば、有機ホウ素化合物であるトリアルキルホウ素などとアルコールが反応してアルコキシアルキルホウ素を生じることがあり得る。
本接着剤組成物は、歯科用または外科用に用いられる。本接着剤組成物を歯科に使用するにあたっては、歯牙に前処理を施すのが好ましい。前処理としては、例えば酸性溶液による接着面のエッチング処理、プライマーによる接着面の改質処理あるいはエッチング能を有するプライマーによる接着面のエッチングおよび改質処理などを挙げることができる。エッチング処理に用いられる酸性溶液としては、例えば5〜60重量%のリン酸水溶液、および10重量%のクエン酸と3重量%の塩化第二鉄とを含む水溶液を挙げることができる。接着面の改質処理に用いられるプライマーとしては、例えば20〜50重量%の2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシメチルアクリレート、1,3−ジヒドロキシプロピルモノ(メタ)アクリレートを含有する水溶液を挙げることができる。また、接着面のエッチングと改質処理に用いられるエッチング能を有するプライマーとしては、例えば有機酸(酸性基を有するモノマーを含む概念)と、脱灰した歯質を改質し、歯質への接着剤組成物の拡散を促進する成分とを含有する水溶液などが好ましく用いられる。歯質への接着剤組成物の拡散を促進する成分としては、例えばアルキレングリコール、ポリアルキレングリコール、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,3−ジヒドロキシプロピルモノ(メタ)アクリレートなどの水酸基含有モノマーあるいはポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
有機ホウ素化合物を含む組成物(A)は、非プロトン性溶媒(B)やアルコール(C)により安定性が高められてはいるが、やはり反応活性は高いものであるので、接着剤等が用いられたバイパス部が配置されている空間部には当該組成物を収納すること避けた方が好ましい。あるいは、外気に触れる可能性が高い吐出側空間部よりも、両側から空間部に挟まれた内部側の中間空間部に収容することが好ましい。又、(メタ)アクリレート重合体(b)を含む組成物は、重合性モノマー(a)等に対して不溶というわけではないが、粘度が著しく上昇してしまい、粘度が上昇した内容物がバイパス部を迂回することが困難になる場合がある。そのために、プレフィルドシリンジ(1)の場合では吐出側空間部に、プレフィルドシリンジ(3)の場合では空間部(a)に、それぞれ収納することが好ましい。
なお、プレフィルドシリンジ(1)〜(3)において、輸送中にプランジャー部が押圧されてしまうこと(プレフィルドシリンジ(1)、(3))や易破割性アンプルの破割(プレフィルドシリンジ(2))などにより、内容物同士が混合されたり、吐出部からの漏洩が発生したりする事態がある。このような事態を防ぐために、吐出側をシーリングしたり、プランジャー部を留め具にて固定したりするなどの措置を施しておくことが好ましい。
本発明によれば、医療用途などの各種用途において適し、(1)保存時には、安全且つ確実に各内容物を個別に収納・保存でき、(2)使用時には、シリンジ内で各内容物を十分に混合でき、さらに、混合物を良好な信頼性とともに簡便かつ円滑に吐出できるプレフィルドシリンジまたは複合型プレフィルドシリンジを提供することができる。
10:プレフィルドシリンジ(1)
11:筒体
11a:筒体の押圧側
11b:筒体の吐出側
12a:押圧側ガスケット部
12b、12b´:中間ガスケット部
12c:吐出側ガスケット部
13a:押圧側空間部
13b、13b´:中間空間部
13´:吐出側空間部
14a:バイパス部(a)
14a´:バイパス部(a´)
14b:バイパス部(b)
15:プランジャー部
16:吐出部
16a:吐出口
16b:最吐出側壁面
17:留め金
18:吐出された内容物
31:筒体外周面
31´:筒体内面の内周
33:空間部
34´:溝の幅
34´´:溝の深さ
34、34a、34b:溝形状のバイパス部
40:プレフィルドシリンジ(2)
41:筒体
41a:筒体の押圧側
41b:筒体の吐出側
41´:折り曲げ操作が実施された筒部
42a:ガスケット部
42b:フィルター
42c:漏洩防止キャップ
43:筒体内部
43a、43b:内容物を含む易破壊性アンプル
43a´、43b´:破割された易破壊性アンプル
43ab:破割された易破壊性アンプルから漏出した内容物
45:プランジャー部
46:吐出部
47:留め金
52b、52b´:フィルター
58:フィルターと吐出部とで画定される空間
58a、58a´:内容物(粉末)
600:プレフィルドシリンジ(3)
610:内筒部(B)
611:筒体(b)
611a:筒体(b)の押圧側
611b:筒体(b)の吐出側
612a:押圧側ガスケット部(b)
612c:吐出側ガスケット部(b)
613:押圧側空間部(b)
613´:吐出側空間部(b)
614a:バイパス部(b1
614b:バイパス部(b2
615:プランジャー部
616:吐出部(b)
616a:吐出口(b)
616b:最吐出側壁面(b)
617、627:留め金
620:外筒部(A)
621:筒体(a)
621a:筒体(a)の押圧側
621b:筒体(a)の吐出側
622a:押圧側ガスケット部(a)
622b:漏洩防止キャップ
623:空間部(a)
623´:内容物(a)
626:吐出部(a)
626a:吐出口(a)
626b:最吐出側壁面(a)
700:プレフィルドシリンジ(3)
712a:押圧側ガスケット部(b)
712b:中間ガスケット部(b)
712c:吐出側ガスケット部(b)
713a:押圧側空間部(b)
713b:中間空間部(b)
713´:吐出側空間部(b)
800:プレフィルドシリンジ(3)
822c:吐出側ガスケット部(a)
823a:押圧側空間部(a)
823b:吐出側空間部(a)
814b:バイパス部(a)
1、S1´、S1´´:ガスケットの押圧側の面
2、S2´、S2´´:バイパス部の押圧側端部
1、L1´:バイパス部の長軸方向における長さ
2、L2´:バイパス部が形成されている空間部の長軸方向における長さ
3、L3´、L4:ガスケット部の長軸方向における厚さ

Claims (15)

  1. 下記(1)〜(9)を備え、
    少なくとも1つの中間空間部において、押圧側空間部と中間空間部とを導通可能するためのバイパス部(a)が形成され、
    吐出側空間部において、中間空間部と吐出側空間部とを導通可能にするためのバイパス部(b)が形成されてなるプレフィルドシリンジであって、
    プランジャー部の押圧操作により、
    前記バイパス部(a)より押圧側に位置する中間ガスケット部が吐出側に移動して、当該中間ガスケット部の押圧側の面が、当該バイパス部(a)の押圧側端部を通過したときに、当該バイパス部(a)を介して押圧側空間部と中間空間部とが導通状態となり、
    吐出側ガスケット部が吐出側に移動して当該吐出側ガスケット部の押圧側の面が前記バイパス部(b)の押圧側端部を通過したときに、当該バイパス部(b)を介して中間空間部と吐出側空間部とが導通状態となり、
    さらに、吐出側空間部に流入した内容物が、吐出部を介して、筒体外部へ吐出されることが可能なように形成されていることを特徴とするプレフィルドシリンジ。
    (1) 最吐出側に位置する最吐出側壁面と内容物を吐出するための吐出口とを有する吐出部を備えた筒体
    (2) 筒体内に挿嵌されたプランジャー部
    (3) 筒体内で、プランジャー部よりも吐出側に位置する押圧側ガスケット部
    (4) 筒体内で、押圧側ガスケット部と吐出部との間に位置する吐出側ガスケット部
    (5) 筒体内で、押圧側ガスケット部と吐出側ガスケット部との間に位置する少なくとも1つの中間ガスケット部
    (6) 筒体内で、押圧側ガスケット部と中間ガスケット部とで画定される押圧側空間部
    (7) 筒体内で、吐出側ガスケット部と吐出部とで画定される吐出側空間部
    (8) 筒体内で、中間ガスケット部と吐出側ガスケット部で画定される中間空間部
    (9)押圧側空間部および/または中間空間部に含まれる内容物
  2. 複数の中間空間部を有し、当該複数の中間空間部のうち、少なくとも1つの空間部に、吐出側の中間空間部と押圧側の中間空間部とを導通可能にするためのバイパス部(a´)が形成され、
    プランジャー部の押圧操作により、
    吐出側の中間空間部の押圧側に位置する中間ガスケット部が、吐出側に移動し、当該中間ガスケット部の押圧側の面が、前記中間空間部のバイパス部(a´)の押圧側端部を通過したときに、当該バイパス部(a´)を介して、吐出側の中間空間部と押圧側の中間空間部とを導通状態となるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のプレフィルドシリンジ。
  3. 前記バイパス部の長軸方向における長さが、当該バイパス部が形成されている空間部の長軸方向における長さがよりも短く、前記バイパス部の押圧側に位置するガスケット部の長軸方向における厚さよりも長いことを特徴とする請求項1または2に記載のプレフィルドシリンジ。
  4. 前記バイパス部の形状が、溝形状であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のプレフィルドシリンジ。
  5. 1つの中間空間部を有し、当該中間空間部に、内容物として低活性物質または不活性物質が含まれ、かつ押圧側空間および吐出側空間部に、内容物として活性物質が含まれるか、
    複数の中間空間部を有し、当該複数の中間空間部のうち、少なくとも1つの空間部に、内容物として低活性物質または不活性物質が含まれ、かつ当該低活性物質または不活性物質を含む中間空間部の両側に位置する中間空間部または押圧側空間部に、内容物として活性物質が含まれることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のプレフィルドシリンジ。
  6. 内容物を吐出するための吐出部を備えた筒体と、該筒部の長軸方向に液密的または気密的に摺動可能なガスケット部と、当該ガスケット部を押圧するためのプランジャー部と、を有するプレフィルドシリンジであって、
    前記筒体が可撓性材料から構成され、当該筒体内部に、内容物が封入された易破壊性アンプルを有し、
    前記筒部を折り曲げた際に、筒部が破割することなく、易破壊性アンプルが破割して、破割された易破壊性アンプルから内容物が筒部内部に漏出でき、プランジャー部の押圧操作により、吐出部から筒体外部へ吐出されることが可能なように形成されていることを特徴とするプレフィルドシリンジ。
  7. 前記筒体内部に、さらに固体の内容物が含まれることを特徴とする請求項6に記載のプレフィルドシリンジであり。
  8. 前記易破壊性アンプルの破割片が吐出することを防ぐためのフィルターが、筒体内にて、易破壊性アンプルよりも吐出部側に設置され、当該フィルターと吐出部とから画定される空間に固体の内容物が含まれていることを特徴とする請求項6または7に記載のプレフィルドシリンジ。
  9. 前記易破壊性アンプルの破割片が吐出することを防ぐためのフィルターが、易破壊性アンプルを被覆していることを特徴とする請求項6〜8の何れか一項に記載のプレフィルドシリンジ。
  10. 前記易破壊性アンプルの材質が、ガラスであることを特徴とする請求項6〜9の何れか一項に記載のプレフィルドシリンジ。
  11. 前記易破壊性アンプルの材質が、破割性ガラスであることを特徴とする請求項10に記載のプレフィルドシリンジ。
  12. 下記(A1)〜(A4)を有する外筒部(A)と下記(B1)〜(B7)を有する内筒部(B)とを備え、
    筒体(a)内に吐出部(a)に向かって、押圧側ガスケット部(a)、前記内筒部(B)が順に挿嵌され、かつ吐出部(b)が押圧側ガスケット部(a)を貫通し、
    吐出側空間部(b)において、押圧側空間部(b)と吐出側空間部(b)とを導通可能にするためのバイパス部(b2)が形成されてなる複合型プレフィルドシリンジであって、
    プランジャー部の押圧操作により、
    吐出側ガスケット部(b)が吐出側に移動して、当該吐出側ガスケット部(b)の押圧側の面がバイパス部(b2)の押圧側端部を通過したときに、前記バイパス部(b2)を介して吐出側空間部(b)と押圧側空間部(b)とが導通状態となり、
    内容物(b)が吐出側空間部(b)に流入し、さらに、当該内容物(b)が、吐出部(b)を介して空間部(a)に流入し、当該内容物(b)とともに内容物(a)が、吐出部(a)を介して外筒部外部へ吐出されることが可能なように形成されていることを特徴とする複合型プレフィルドシリンジ。
    (A1) 最吐出側に位置する最吐出側壁面(a)と内容物を吐出するための吐出口(a)とを有する吐出部(a)を備えた筒体(a)
    (A2) 筒体(a)内で、吐出部(a)の押圧側に位置する押圧側ガスケット部(a)
    (A3) 筒体(a)内で、押圧側ガスケット部(a)と前記吐出部(a)とで画定される空間部(a)
    (A4) 空間部(a)に含まれる内容物(a)
    (B1) 最吐出側に位置する最吐出側壁面(b)と内容物を吐出するための吐出口(b)とを有する吐出部(b)を備えた筒体(b)
    (B2) 筒体(b)に挿嵌されたプランジャー部(b)
    (B3)筒体(b)内で、プランジャー部(b)よりも吐出側に位置する押圧側ガスケット部(b)
    (B4) 筒体(b)内で、押圧側ガスケット部(b)と吐出部(b)との間に位置する吐出側ガスケット部(b)
    (B5) 筒体(b)内で、押圧側ガスケット部(b)と吐出側ガスケット部(b)とで画定される押圧側空間部(b)
    (B6) 筒体(b)内で、吐出側ガスケット部(b)と吐出部(b)とで画定される吐出側空間部(b)
    (B7) 押圧側空間部(b)に含まれる内容物(b)
  13. 下記(A1)〜(A4)を有する外筒部(A)と下記(B1)〜(B9)を有する内筒部(B)とを備え、
    筒体(a)内に吐出部(a)に向かって、押圧側ガスケット部(a)、前記内筒部(B)が順に挿嵌され、かつ吐出部(b)が押圧側ガスケット部(a)を貫通し、
    少なくとも1つの中間空間部(b)において、押圧側空間部(b)と中間空間部(b)とを導通可能にするためのバイパス部(b1)、
    当該吐出側空間部(b)において、中間空間部(b)と吐出側空間部(b)とを導通可能にするためのバイパス部(b2)が形成されてなる複合型プレフィルドシリンジであって、
    プランジャー部(b)の押圧操作により、
    前記バイパス部(b1)より押圧側に位置する中間ガスケット部(b)が吐出側に移動し、当該中間ガスケット部(b)の押圧側の面が前記バイパス部(b1)の押圧側端部を通過したときに、前記バイパス部(b1)を介して中間空間部(b)と押圧側空間部(b)とが導通状態となり、
    吐出側ガスケット部(b)が吐出側に移動し、当該吐出側ガスケット部(b)の押圧側の面が当該バイパス部(b2)の押圧側端部を通過したときに、前記バイパス部(b2)を介して中間空間部(b)と吐出側空間部(b)とが導通状態となり、
    内容物(b)が吐出側空間部(b)に流入し、さらに、当該内容物(b)が、吐出部(b)を介して空間部(a)に流入し、当該内容物(b)とともに内容物(a)が、吐出部(a)を介して外筒部外部へ吐出されることが可能なように形成されていることを特徴とする複合型プレフィルドシリンジ。
    (A1) 最吐出側に位置する最吐出側壁面(a)と内容物を吐出するための吐出口とを有する吐出部(a)を備えた筒体(a)
    (A2) 筒体(a)内で、吐出部(a)の押圧側に位置する押圧側ガスケット部(a)
    (A3) 筒体(a)内で、押圧側ガスケット部(a)と前記吐出部(a)とで画定される空間部(a)
    (A4) 空間部(a)に含まれる内容物(a)
    (B1) 最吐出側に位置する最吐出側壁面(b)と内容物を吐出するための吐出口とを有する吐出部(b)を備えた筒体(b)
    (B2) 筒体(b)に挿嵌されたプランジャー部(b)
    (B3) 筒体(b)内で、プランジャー部(b)よりも吐出側に位置する押圧側ガスケット部(b)
    (B4) 筒体(b)内で、押圧側ガスケット部と吐出部との間に位置する吐出側ガスケット部(b)
    (B5) 筒体(b)内で、押圧側ガスケット部(b)と吐出側ガスケット部(b)との間に位置する中間ガスケット部(b)
    (B6) 筒体(b)内で、押圧側ガスケット部(b)と中間ガスケット部(b)とで画定される押圧側空間部(b)
    (B7) 筒体(b)内で、吐出側ガスケット部(b)と吐出部(b)とで画定される吐出側空間部(b)
    (B8) 筒体(b)内で、吐出側ガスケット部(b)と中間ガスケット部(b)とで画定される中間空間部(b)
    (B9) 押圧側空間部(b)および/または中間空間部(b)に含まれる内容物(b)
  14. 複数の中間空間部(b)を有し、当該複数の中間空間部(b)のうち、少なくとも1つの空間部に、吐出側の中間空間部(b)と押圧側の中間空間部(b)とを導通可能にするためのバイパス部(b3)が形成され、
    プランジャー部の押圧操作により、
    吐出側の中間空間部(b)の、押圧側に位置する中間ガスケット部(b)が、吐出側に移動し、当該中間ガスケット部の押圧側の面が、前記中間空間部のバイパス部(b3)の押圧側端部を通過したときに、当該バイパス部(b3)を介して、吐出側の中間空間部(b)と押圧側の中間空間部(b)とを導通状態となるように形成されていることを特徴とする請求項12または13に記載の複合型プレフィルドシリンジ。
  15. 前記空間部(a)が、下記(A5)〜(A7)を有し、
    内容物(a)が、下記押圧側空間部(a)に含まれ、
    押圧側空間部(a)と吐出側空間部(a)とを導通可能にするためのバイパス部(a)が形成されてなり、
    吐出側ガスケット部(a)が吐出側に移動し、当該吐出側ガスケット部(a)の押圧側の面が前記バイパス部(a)の押圧側端部を通過したときに、押圧側空間部(a)と吐出側空間部(a)とが、前記バイパス部(a)を介して導通状態となることが可能なように形成されていることを特徴とする請求項12〜14の何れか一項に記載の複合型プレフィルドシリンジ。
    (A5) 筒体(a)内で、押圧側ガスケット部(a)と吐出部(a)との間に位置する吐出側ガスケット部(a)
    (A6) 筒体(a)内で、押圧側ガスケット部(a)と吐出側ガスケット部(a)とで画定される押圧側空間部(a)
    (A7) 筒体(a)内で、吐出側ガスケット部(a)と吐出部(a)とで画定される吐出部側空間部(a)
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