JP2011007322A - 減衰力調整式緩衝器 - Google Patents
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Abstract
【課題】減衰力調整式油圧緩衝器において、ソレノイドバルブへの低電流の通電時の減衰力をソフト側にし、非通電時には一定の減衰力を発生させ、かつ、誤作動を抑制する。
【解決手段】シリンダ内のピストンの摺動によって生じる副通路33の油液の流れをコイル36への通電電流に応じて弁体35の開弁圧力を調整することによって制御して減衰力を発生させる。戻しバネ58によって弁体35を開弁方向に付勢し、アーマチャ37の推力を閉弁方向に作用させて開弁圧力を調整するので、低電流時の減衰力がソフト側になる。非通電時には、戻しバネ58のバネ力により、弁体35が通路42を閉じて、ソフト側よりも大きな一定の減衰力を発生する。弁体35が通路42を閉じる際、ダンピングプレート59が案内ボア60の小径部60Aに挿入されて、弁体35の移動に減衰力が作用するので、不用意に弁体35が通路42を閉じる誤作動を防止することができる。
【選択図】図1
【解決手段】シリンダ内のピストンの摺動によって生じる副通路33の油液の流れをコイル36への通電電流に応じて弁体35の開弁圧力を調整することによって制御して減衰力を発生させる。戻しバネ58によって弁体35を開弁方向に付勢し、アーマチャ37の推力を閉弁方向に作用させて開弁圧力を調整するので、低電流時の減衰力がソフト側になる。非通電時には、戻しバネ58のバネ力により、弁体35が通路42を閉じて、ソフト側よりも大きな一定の減衰力を発生する。弁体35が通路42を閉じる際、ダンピングプレート59が案内ボア60の小径部60Aに挿入されて、弁体35の移動に減衰力が作用するので、不用意に弁体35が通路42を閉じる誤作動を防止することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、自動車等の車両の懸架装置に装着される減衰力調整式緩衝器に関するものである。
自動車等の車両の懸架装置に装着される油圧緩衝器には、路面状況、走行状況等に応じて乗り心地や操縦安定性を向上させるために減衰力を適宜調整できるようにした減衰力調整式油圧緩衝器がある。
減衰力調整式油圧緩衝器は、一般的に、油液が封入されたシリンダ内にピストンロッドを連結したピストンを摺動可能に嵌装し、シリンダ内のピストンの摺動によって油液が流通する油路に、減衰力調整機構を設けた構成となっている。減衰力調整機構は、オリフィスおよびディスクバルブ等によって油液の流動を制御して減衰力を発生させ、さらに、スプール、シャッタ等の弁手段によって油液の流路面積を変化させることによって減衰力を調整する。
減衰力調整式油圧緩衝器には、減衰力調整機構のスプール、シャッタ等の弁手段の弁体を比例ソレノイド等のアクチュエータによって駆動して減衰力を調整するようにしたものがある。これにより、減衰力調整機構を遠隔操作することができるので、車両走行中においても減衰力を調整することが可能となる。
この種のソレノイドアクチュエータを備えた減衰力調整式油圧緩衝器は、車両の懸架装置に搭載される場合、減衰力調整機構の弁体をバネ手段によって閉弁方向(減衰力ハード側)に付勢し、コイルへの通電によってばね手段のバネ力に抗して弁体を開弁方向(減衰力ソフト側)へ付勢することにより、減衰力を調整するようにしている。これにより、減衰力は、コイルへの通電電流が0のとき最大となり、通電電流の増大に伴って小さくなる。その結果、断線等のフェイルの発生によってコイルへの通電が不能になった場合、減衰力がハード側に固定されることになり、車両操縦安定性を確保することができる。
しかしながら、上述のコイルへの非通電時の減衰力をハード側とした減衰力調整式油圧緩衝器では、次のような問題がある。減衰力をソフト側に調整するためには、コイルに通電する必要があるが、車両の懸架装置に搭載された減衰力調整式油圧緩衝器では、一般的に、減衰力がハード側に調整される頻度は少なく、殆どの状況においてソフト側に調整されるため、消費電力が大きくなってしまう。
そこで、例えば特許文献1に記載された減衰力調整式油圧緩衝器では、減衰力調整機構の弁体を駆動するソレノイドアクチュエータのプランジャに2つのバネのバネ力を作用させると共に、コイルへの通電によってプランジャとは反対方向の推力を発生する可動部材によって一方のバネのバネ力を調整するようにしている。これにより、コイルへの通電電流の増大によって減衰力をソフト側からハード側へ調整する特性として、消費電力を低減しつつ、非通電時(フェイル時)には、ソフト側よりも大きい一定の減衰力を確保することができる。
しかしながら、特許文献1に記載されたものでは、プランジャを付勢する2つのバネ及びコイルへの通電によりプランジャとは反対方向の推力を発生させる可動部材が設けられているため、構造がやや複雑であり、また、確実に所期の作動を行なうためには、これらの作動特性の綿密な調整が必要となる。
本発明は、簡単な構造で、コイルへの低電流の通電時の減衰力をソフト側にすると共に、非通電時には、ソフト側よりも大きな一定の減衰力を得ることができ、かつ、誤作動を抑制するようにした減衰力調整式緩衝器を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は、流体が封入されたシリンダと、該シリンダ内に摺動可能に嵌装されたピストンと、一端が前記ピストンに連結され他端が前記シリンダの外部へ延出されたピストンロッドと、前記シリンダ内の前記ピストンの摺動によって通路に生じる流体の流れを制御して減衰力を発生させ、開弁圧力を調整可能な圧力制御弁とを備え、
前記圧力制御弁は、弁体をバネ手段によって開弁方向に付勢し、コイルへの通電によってアーマチャの推力を前記弁体の閉弁方向に作用させて開弁圧力を調整するソレノイドバルブであり、非通電時には、前記弁体が前記バネ手段のバネ力によって開弁方向にあって前記弁体の下流側への流路を閉じる閉止位置に移動する減衰力調整式緩衝器であって、
前記弁体が前記開弁方向に移動するとき、所定位置を越えたところから、該弁体の移動に対して減衰力を作用させる減衰手段を設けることを特徴とする。
前記圧力制御弁は、弁体をバネ手段によって開弁方向に付勢し、コイルへの通電によってアーマチャの推力を前記弁体の閉弁方向に作用させて開弁圧力を調整するソレノイドバルブであり、非通電時には、前記弁体が前記バネ手段のバネ力によって開弁方向にあって前記弁体の下流側への流路を閉じる閉止位置に移動する減衰力調整式緩衝器であって、
前記弁体が前記開弁方向に移動するとき、所定位置を越えたところから、該弁体の移動に対して減衰力を作用させる減衰手段を設けることを特徴とする。
本発明に係る減衰力調整式緩衝器によれば、簡単な構造で、コイルへの低電流の通電時の減衰力をソフト側にするとともに、非通電時には、ソフト側よりも大きな一定の減衰力を得ることができ、かつ、誤作動を抑制することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明の第1実施形態について、図1及び図2を参照して説明する。図2に示すように、本実施形態に係る減衰力調整式油圧緩衝器1(減衰力調整式緩衝器)は、シリンダ2の外側に外筒3を設けた二重筒構造となっており、シリンダ2と外筒3との間にリザーバ4が形成されている。シリンダ2内には、ピストン5が摺動可能に嵌装されており、このピストン5によってシリンダ2内がシリンダ上室2Aとシリンダ下室2Bとの2室に画成されている。ピストン5には、ピストンロッド6の一端がナット7によって連結されており、ピストンロッド6の他端側は、シリンダ上室2Aを通り、シリンダ2及び外筒3の上端部に装着されたロッドガイド8およびオイルシール9に挿通されて、シリンダ2の外部へ延出されている。シリンダ2の下端部には、シリンダ下室2Bとリザーバ4とを区画するベースバルブ10が設けられている。
本発明の第1実施形態について、図1及び図2を参照して説明する。図2に示すように、本実施形態に係る減衰力調整式油圧緩衝器1(減衰力調整式緩衝器)は、シリンダ2の外側に外筒3を設けた二重筒構造となっており、シリンダ2と外筒3との間にリザーバ4が形成されている。シリンダ2内には、ピストン5が摺動可能に嵌装されており、このピストン5によってシリンダ2内がシリンダ上室2Aとシリンダ下室2Bとの2室に画成されている。ピストン5には、ピストンロッド6の一端がナット7によって連結されており、ピストンロッド6の他端側は、シリンダ上室2Aを通り、シリンダ2及び外筒3の上端部に装着されたロッドガイド8およびオイルシール9に挿通されて、シリンダ2の外部へ延出されている。シリンダ2の下端部には、シリンダ下室2Bとリザーバ4とを区画するベースバルブ10が設けられている。
ピストン5には、シリンダ上下室2A、2B間を連通させる油路11、12が設けられている。そして、油路11には、シリンダ下室2B側からシリンダ上室2A側への油液の流通のみを許容する逆止弁13が設けられ、また、油路12には、シリンダ上室2A側の油液の圧力が所定圧力に達したとき開弁して、これをシリンダ下室2B側へリリーフするディスクバルブ14が設けられている。
ベースバルブ10には、シリンダ下室2Bとリザーバ4とを連通させる油路15、16が設けられている。そして、油路15には、リザーバ4側からシリンダ下室2B側への油液の流通のみを許容する逆止弁17が設けられ、また、油路16には、シリンダ下室2B側の油液の圧力が所定圧力に達したとき開弁して、これをリザーバ4側へリリーフするディスクバルブ18が設けられている。シリンダ2内には油液が封入されており、リザーバ4内には油液及びガスが封入されている。
シリンダ2には、上下両端部にシール部材19を介してセパレータチューブ20が外嵌されており、シリンダ2とセパレータチューブ20との間に環状油路21が形成されている。環状油路21は、シリンダ2の上端部付近の側壁に設けられた油路22によってシリンダ上室2Aに連通されている。セパレータチューブ20の側壁には、小径の開口23が設けられ、また、外筒3の側壁には、開口23と略同心に大径の開口24が設けられており、外筒3の側壁の開口24に減衰力発生機構25が取付けられている。
減衰力発生機構25は、開口24に取付けられた円筒状のケース26内に、パイロット型(背圧型)のメインバルブ27及びメインバルブ27の開弁圧力を制御する圧力制御弁であるソレノイドバルブ28が挿入されてナット29によって固定されている。メインバルブ27及びソレノイドバルブ28は、開口23に接続され、この開口23からリザーバ4への油液の流れを制御して減衰力を発生させるものである。
メインバルブ27は、開口23側の油液の圧力を受けて撓んで開弁して、リザーバ4側へ流通させるディスクバルブ30と、ディスクバルブ30の背面側に形成されて、その内圧をディスクバルブ30の閉弁方向に作用させる背圧室31とを備えている。また、開口23には、固定オリフィス32を介して副通路33が接続され、副通路33は、ソレノイドバルブ28に接続され、また、側壁の通路33Aを介して背圧室31に連通している。
次に、本実施形態の要部であるソレノイドバルブ28について、図1を参照して説明する。図1に示すように、ソレノイドバルブ28は、略円筒状のソレノイドケース34内に、弁体35、コイル36及びアーマチャ37を収容し、このソレノイドケース34をナット29によってケース26に固定している(図2参照)。ソレノイドケース34は、案内ボア38が形成され、案内ボア38の一端側に、段付円筒状のコア部材39の小径部が嵌合されている。案内ボア38の他端側には、アーマチャ37の前端部が挿入されている。ソレノイドケース34の一端側には、副通路33が開口する底部を有する円筒状のバルブ部材40が挿入され、バルブ部材40の端部がコア部材39に当接して、コア部材39を固定している。バルブ部材40内には、弁体35を収容する弁室41が形成されている。弁室41は、コア部材39の内部、コア部材39の大径部の側壁に設けられた通路42及びバルブ部材40とソレノイドケース34との間に形成された通路43を介してケース26内、すなわち、リザーバ4に連通している。
弁体35は、大径部及び小径部を有する凸形状に形成され、アーマチャ37に連結された中空の作動ロッド44の先端部が摺動可能かつ液密的に挿入、貫通されている。弁体35の小径部の先端部には、バルブ部材40の底部の副通路33の開口の周囲のシート面45に離着座する環状のシート部46が突出されている。そして、シート部46をシート面45に離着座させて副通路33と弁室41との間を開閉し、その開弁圧力によって副通路33の圧力を制御する。作動ロッド44は、コア部材39の小径部内に固定されたガイド部材47によって、軸方向に摺動可能に案内されている。
弁体35の大径部の端面外周縁部には、環状の当接部48が突出している。作動ロッド44の先端側には、止輪49が固定され、止輪49と弁体35の当接部48との間に、円板状の弁バネ50(板バネ)及びシート部材51が設けられている。弁バネ50は、弁体35を作動ロッド44に弾性的に支持している。また、シート部材51は、外周縁部にオリフィス51A(切欠)が形成されており、弁体35が後退して、その開弁方向にある閉止位置に達したとき、コア部材39に当接し、弁室41とコア部材39の内部、すなわち、通路42との間を閉止すると共に、これらの間をオリフィス51Aを介して連通させる。
ソレノイドケース34内のコイル36の後端側に、有底円筒状のコア52が嵌合され、ソレノイドケース34の後端部に環状のリテーナ53が嵌合され、これらが、ソレノイドケース34の後端縁部を内側にかしめることによってコイル36と共に固定されている。コア52には、アーマチャ37の後端部が挿入されている。作動ロッド44は、アーマチャ37を貫通して、コア52内の底部に形成された弁体背圧室54内まで延ばされている。弁体背圧室54には、ガイド部材55が設けられて、作動ロッド44を摺動可能に案内している。そして、中空の作動ロッド44内に形成された連通路44Aによって副通路33と弁体背圧室54とが常時連通されている。アーマチャ37には、その両端側に形成された室を互いに連通させる流路である絞り通路56が設けられており、その移動に適度な減衰力を作用させるようになっている。コイル36には、導線57が接続されて外部へ延ばされている。
弁体35の大径部とバルブ部材40の底部との間に圧縮コイルばねであるバネ手段としての戻しバネ58が介装されている。弁体35は、戻しバネ58のバネ力によって、その開弁方向であるコア部材39側に常時付勢されており、コイル36の非通電状態では、閉止位置まで後退してシート部材51がコア部材39に当接するようになっている。そして、コイル36への通電により、アーマチャ37に推力を発生させ、弁体35を戻しバネ58のバネ力に抗して前進させてシート面45に押圧し、通電電流に応じて弁体35の開弁圧力を調整する。なお、弁バネ50のバネ剛性は、戻しバネ58のバネ剛性よりも大きく、また、弁体35の質量は、アーマチャ37に比して充分小さくなっている。
アーマチャ37の後端部には、減衰手段を構成するアーマチャ37と同径の円板状のダンピングプレート59が取付けられている。ダンピングプレート59は、一端部に小径の突出部59Aが形成されており、作動ロッド44を貫通させて突出部59Aをアーマチャ37に当接させて固定されている。これにより、絞り通路56の開口を有するアーマチャ37の端部との間に隙間を形成して、絞り通路56の流路を確保している。コア52のアーマチャ37を案内する案内ボア60は、アーマチャ37及びダンピングプレート59よりもやや大径で、これらとの間に隙間が形成されている。また、案内ボア60は、底部付近で徐々に縮径されて、底部にダンピングプレート59との隙間が小さいダンピング手段を構成する小径部60Aが形成されている。そして、弁体35が副通路33を開閉して、その圧力を制御する位置にあるとき、ダンピングプレート59が案内ボア60の開口側にあって案内ボア60との間に隙間を形成し、弁体35がコア部材39の付近まで後退したとき、ダンピングプレート59が小径部60Aに挿入されて、その隙間が小さくなるようになっている。
コイル36の磁界の磁路の一部を構成するアーマチャ37及びコア52が強磁性体であるのに対して、ダンピングプレート59は、非磁性体であり、ステンレス鋼等で製造するとよい。また、図示の実施形態では、アーマチャ37及びダンピングプレート59は、ステーキング加工により塑性流動させて作動ロッド44に固定されている。
以上のように構成した本実施形態の作用について次に説明する。
ピストンロッド6の伸び行程時には、シリンダ2内のピストン5の移動によって、ピストン5の逆止弁13が閉じ、ディスクバルブ14の開弁前には、シリンダ上室2A側の油液が加圧されて、油路22及び環状油路21を通り、セパレータチューブ20の開口23から減衰力発生機構25へ流れる。減衰力発生機構25では、メインバルブ27のディスクバルブ30の開弁前においては、油液は、固定オリフィス32、副通路33及びソレノイドバルブ28を通ってリザーバ4へ流れる。そして、開口23の油液の圧力がディスクバルブ30の開弁圧力に達すると、ディスクバルブ30が開弁して、油液は開口23からリザーバ4へ流れる。
ピストンロッド6の伸び行程時には、シリンダ2内のピストン5の移動によって、ピストン5の逆止弁13が閉じ、ディスクバルブ14の開弁前には、シリンダ上室2A側の油液が加圧されて、油路22及び環状油路21を通り、セパレータチューブ20の開口23から減衰力発生機構25へ流れる。減衰力発生機構25では、メインバルブ27のディスクバルブ30の開弁前においては、油液は、固定オリフィス32、副通路33及びソレノイドバルブ28を通ってリザーバ4へ流れる。そして、開口23の油液の圧力がディスクバルブ30の開弁圧力に達すると、ディスクバルブ30が開弁して、油液は開口23からリザーバ4へ流れる。
このとき、ピストン5が移動した分の油液がリザーバ4からベースバルブ10の逆止弁17を開いてシリンダ下室2Bへ流入する。なお、シリンダ上室2Aの圧力がピストン5のディスクバルブ14の開弁圧力に達すると、ディスクバルブ14が開いて、シリンダ上室2Aの圧力をシリンダ下室2Bへリリーフすることにより、シリンダ上室2Aの過度の圧力の上昇を防止する。
ピストンロッド6の縮み行程時には、シリンダ2内のピストン5の移動によって、ピストン5の逆止弁13が開き、ベースバルブ10の油路15の逆止弁17が閉じて、ディスクバルブ18の開弁前には、シリンダ下室2Bの油液がシリンダ上室2Aへ流入し、ピストンロッド6がシリンダ2内に侵入した分の油液がシリンダ上室2Aから、上記伸び行程時と同様の経路を通ってリザーバ4へ流れる。なお、シリンダ下室2B内の圧力がベースバルブ10のディスクバルブ18の開弁圧力に達すると、ディスクバルブ18が開いて、シリンダ下室2Bの圧力をリザーバ4へリリーフすることにより、シリンダ下室2Bの過度の圧力の上昇を防止する。
これにより、ピストンロッド6の伸縮行程時共に、メインバルブ27の開弁前(ピストン速度低速域)においては、固定オリフィス32及びソレノイドバルブ28によって減衰力が発生し、メインバルブ27の開弁後(ピストン速度高速域)においては、その開度に応じて減衰力が発生する。そして、コイル36への通電電流によってソレノイドバルブ28の開弁圧力を調整することにより、ピストン速度にかかわらず、減衰力を直接制御することができる。このとき、ソレノイドバルブ28の開弁圧力によって背圧室31の内圧が調整されるので、メインバルブ27の開弁圧力を同時に調整することができ、これにより、減衰力特性の調整範囲を広くすることができる。
ソレノイドバルブ28では、弁バネ50のバネ剛性が戻しバネ58のバネ剛性よりも高く設定され、また、弁体35の質量がアーマチャ37の質量よりも充分小さく、弁体35の固有振動数が充分高く設定されているので、アーマチャ37の慣性による応答遅れが生じにくく、オーバーシュートを防止して適切な減衰力制御を行なうことができる。そして、副通路33の圧力が急激に上昇した場合には、弁バネ50が撓んで軽量の弁体35のみが後退して、開弁した後、アーマチャ37が追従して後退するので、弁体35の開弁遅れによって背圧室31の圧力が過度に上昇することがなく、安定した減衰力制御を行なうことができる。また、弁体35の固有振動数が充分高く設定されているので、自励振動による異音の発生及び減衰力が不安定になるのを防止することができる。
弁体35の閉弁時、すなわち、弁体35のシート部46がシート面45に着座した状態において、弁体背圧室54は、作動ロッド44の連通路44Aを介して副通路33に連通するので、副通路33に対する弁体35の受圧面積は、シート部46の内側の面積から作動ロッド44の断面積を差引いた面積となる。これにより、弁体35は、シート部46の径だけでなく、作動ロッド44の径によって副通路33に対する受圧面積を調整することができるので、弁体35の開弁特性の設定の自由度、延いては減衰力発生機構25の減衰力特性の設定の自由度を高めることができる。
コイル36の断線等のフェイルの発生により、アーマチャ37の推力が失われた場合には、戻しバネ58のバネ力によって弁体35が閉止位置まで後退して、シート部材51がコア部材39に当接して弁室41と通路42との間の流路を閉じ、これらの間がシート部材51のオリフィス51Aによって連通される。そして、オリフィス51Aの流路面積に応じて減衰力が発生し、これにより、背圧室31の圧力すなわちディスクバルブ30の開弁圧力が調整されるので、フェイル時においても適度な減衰力を発生させることができる。
このように、コイル36への低電流の通電により、一般的に使用頻度の高いソフト側の減衰力が得られるので、消費電力を低減することができ、また、非通電時には、ソフト側よりも大きな適度な減衰力が得られるので、車両の操縦安定性を確保して、フェイルセーフを実現することができ、更に、ハード側固定による車体への振動入力の増大の等の弊害が生じることもない。
また、弁体35が開弁方向に移動する際、所定位置、例えば通常の制御範囲を越えたところから閉止位置まで後退して、シート部材51がコア部材39に当接する際には、ダンピングプレート59がコア52の案内ボア60の小径部60Aに挿入されることにより、ダンピングプレート59の後退に対して、小径部60A内からダンピングプレート59と小径部60Aとの間の隙間を通って流出する油液の流路が絞られることによって減衰力が作用する。これにより、コイル36への通電による弁体35の開弁圧力の制御中に、副通路33の圧力が急激に上昇し、弁体35が大きく後退した場合でも、弁体35の移動にダンピングプレート59による減衰力が作用してシート部材51がコア部材39に当接して、不用意に減衰力が増大するのを防止することができる。その結果、コイル36への通電による開弁圧力の制御中に弁体35が閉止位置へ移動するのを防止するために、弁体35のストローク量を大きくする必要がないので、ソレノイドバルブ28の小型化が可能になる。このように、所定位置、つまり通常の制御範囲を越えたところから減衰力を作用させるので、通常の制御範囲ではその減衰力が生じることがなく、応答遅れなどが発生することがない。ここで、減衰力が作用するとは、減衰力が殆どない、または小さいところから、さらに大きくすることをいう。
また、ダンピングプレート59は、比較的大径のアーマチャ37を案内する案内ボア60に挿入しているので、小径部60Aとの隙間をあまり小さくしなくても充分な減衰効果を得ることができ、寸法精度を緩和しつつ、隙間に異物が詰まり難くなっている。ダンピングプレート59を非磁性体としたことにより、磁性体の摩耗粉の吸着、堆積を防止することができる。また、ダンピングプレート59をアーマチャ37と別体としたことにより、アーマチャ37の絞り通路56及びダンピングプレート59を容易に製造することができる。
次に、本発明の第2実施形態について、図3を参照して説明する。なお、上記第1実施形態に対して、同様の部分には同じ符号を用いて、異なる部分についてのみ詳細に説明する。
図3に示すように、本実施形態に係る減衰力調整式油圧緩衝器では、ダンピングプレート61は、アーマチャ37には取付けられておらず、テーパ状のコイルスプリングである保持バネ62によって案内ボア60の底部付近に弾性的に保持され、作動ロッド44が摺動可能に挿通されている。保持ばね62は、大径の端部が案内ボア60の端部に固定され、自由端である小径の端部にダンピングプレート61が結合されている。ダンピングプレート61は、アーマチャ37の絞り通路56の開口部に対向して配置されており、アーマチャ37が後退してダンピングプレート61に当接したとき、絞り通路56がダンピングプレート61によって閉止されるようになっている。なお、案内ボア60には、小径部60Aは、設けられていない。
このように構成したことにより、弁体35が後退して、シート部材51がコア部材39に当接する際には、アーマチャ37がダンピングプレート61に当接して、絞り通路56が閉止される。これにより、アーマチャ37及び弁体35の後退に対して、減衰力が作用し、また、保持バネ62が圧縮されることによりバネ力が作用する。その結果、副通路33の圧力の急激な上昇によりシート部材51が不用意にコア部材39に当接するのを防止することができ、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
次に、本発明の第3実施形態について、図4乃至図8を参照して説明する。なお、上記第1実施形態に対して、同様の部分については、同じ符号を用いて、異なる部分についてのみ詳細に説明する。
本実施形態に係る減衰力調整式油圧緩衝器では、図4に示すように、ソレノイドケース34の案内ボア38とコア部材39との間に段付円筒状のスペーサ部材391が介装され、スペーサ部材391とソレノイドケース34との間がシール部材392によってシールされている。なお、アーマチャ37には、ダンピングプレート59が取り付けられていない。
バルブ部材40内の弁室41は、コア部材39の大径部に形成された通路42とソレノイドケース34に取付けられた通路部材421とを介して、ケース26内、すなわち、リザーバ4に連通している。
また、弁室41は、バネ及びボール等からなるリリーフ弁401と通路41aとを介して、ケース26内、すなわち、リザーバ4に連通している。そして、弁室41が所定圧力に達したとき、リリーフ弁401が開弁して、その圧力をリザーバ4にリリーフする。
また、弁室41は、バネ及びボール等からなるリリーフ弁401と通路41aとを介して、ケース26内、すなわち、リザーバ4に連通している。そして、弁室41が所定圧力に達したとき、リリーフ弁401が開弁して、その圧力をリザーバ4にリリーフする。
また、図4、図5に示すように、本実施形態の減衰力調整式油圧緩衝器のソレノイドバルブ28では、コア52の底部に形成された弁体背圧室54に、ガイド部材55Aと、抵抗部材63と、バネ64とが設けられている。
ガイド部材55Aは、略円筒形状に形成されており、コア52の底部の凹部521に嵌合した状態で固定されている。ガイド部材55Aの孔部551には、小径孔部552と大径孔部553とが同心状に形成されている。小径孔部552はガイド部材55Aの作動ロッド44側に形成され、大径孔部553はそれと反対側に形成されている。ガイド部材55Aの小径孔部552には、作動ロッド44の端部が摺動可能に挿入されている。大径孔部553及び小径孔部552内には、抵抗部材63が摺動可能に嵌合されている。
ガイド部材55Aには、コア52の案内ボア60の内部と大径孔部553内とを連通する通路554が形成されている。
ガイド部材55Aには、コア52の案内ボア60の内部と大径孔部553内とを連通する通路554が形成されている。
抵抗部材63は、段付の略円筒状で、内部に通路631が形成されている。抵抗部材63の通路631は、作動ロッド44の連通路44Aと略同径に形成され、連通路44Aと連通可能に構成されている。
抵抗部材63の外周部には、両端の小径部632、633と、中央の大径部634が形成されている。抵抗部材63の小径部632は、作動ロッド44と同径に形成され、ガイド部材55Aの小径孔部552に摺動可能に嵌合している。抵抗部材63の大径部634は、ガイド部材55Aの大径孔部553に摺動可能に嵌合している。また、小径部633は、小径部632よりも小径に形成され、大径部634の小径部633側の端部とコア52の底部との間にはバネ64が設けられている。
抵抗部材63の小径部632の端部には、作動ロッド44の端面441(受圧面)に対向して、これと密着可能な当接面635が形成されている。
抵抗部材63の外周部には、両端の小径部632、633と、中央の大径部634が形成されている。抵抗部材63の小径部632は、作動ロッド44と同径に形成され、ガイド部材55Aの小径孔部552に摺動可能に嵌合している。抵抗部材63の大径部634は、ガイド部材55Aの大径孔部553に摺動可能に嵌合している。また、小径部633は、小径部632よりも小径に形成され、大径部634の小径部633側の端部とコア52の底部との間にはバネ64が設けられている。
抵抗部材63の小径部632の端部には、作動ロッド44の端面441(受圧面)に対向して、これと密着可能な当接面635が形成されている。
図5に示すように、抵抗部材63の後端側の受圧面636(小径部633の端面及び大径部634の端面)の面積は、作動ロッド44の端面441の面積よりも充分大きく設定されている。
コイル36への通電により弁体35が閉弁位置付近の通常の制御範囲にあるとき、図5に示すように、作動ロッド44と抵抗部材63とが離間した状態となり、作動ロッド44が弁体35の開弁方向に移動して通常の制御範囲を越えた閉止位置付近の所定位置まで移動したとき、図6に示すように、作動ロッド44が抵抗部材63に当接する。
そして、作動ロッド44の弁体背圧室54に対する受圧面は、図5に示すように作動ロッド44と抵抗部材63とが当接していない状態では、端面441であり、その受圧面積はA1(図7(a)斜線部参照)となる。そして図6に示すように作動ロッド44と抵抗部材63とが当接した後は、これらが一体となることにより、作動ロッド44の弁体背圧室54に対する受圧面は、抵抗部材63の受圧面636となり、その受圧面積はA2(図7(b)斜線部参照)となって増大することになる。
コイル36への通電により弁体35が閉弁位置付近の通常の制御範囲にあるとき、図5に示すように、作動ロッド44と抵抗部材63とが離間した状態となり、作動ロッド44が弁体35の開弁方向に移動して通常の制御範囲を越えた閉止位置付近の所定位置まで移動したとき、図6に示すように、作動ロッド44が抵抗部材63に当接する。
そして、作動ロッド44の弁体背圧室54に対する受圧面は、図5に示すように作動ロッド44と抵抗部材63とが当接していない状態では、端面441であり、その受圧面積はA1(図7(a)斜線部参照)となる。そして図6に示すように作動ロッド44と抵抗部材63とが当接した後は、これらが一体となることにより、作動ロッド44の弁体背圧室54に対する受圧面は、抵抗部材63の受圧面636となり、その受圧面積はA2(図7(b)斜線部参照)となって増大することになる。
バネ64は、抵抗部材63と弁体背圧室54の底部との間に設けられており、その一端部が抵抗部材63の小径部633の外周部に嵌合され、他端部がコア52の底部に当接している。バネ64は、バネ定数(バネ剛性)が戻しバネ58より小さく設定されている。抵抗部材63は、バネ64により、ガイド部材55A側に向かって(弁体35の閉弁方向に)常時付勢されている。
そして、弁体35が閉弁位置付近の通常の制御範囲にあるとき、作動ロッド44と抵抗部材63との間には隙間が形成されており(図5)、作動ロッド44が所定位置まで後退して抵抗部材63に当接すると(図6)、作動ロッド44の端面441と抵抗部材63の当接面635が密着して、連通路44Aと通路631とが直接連通する。その後、作動ロッド44がさらに後退すると、抵抗部材63は、バネ64のバネ力に抗して作動ロッド44と共に移動する。
そして、弁体35が閉弁位置付近の通常の制御範囲にあるとき、作動ロッド44と抵抗部材63との間には隙間が形成されており(図5)、作動ロッド44が所定位置まで後退して抵抗部材63に当接すると(図6)、作動ロッド44の端面441と抵抗部材63の当接面635が密着して、連通路44Aと通路631とが直接連通する。その後、作動ロッド44がさらに後退すると、抵抗部材63は、バネ64のバネ力に抗して作動ロッド44と共に移動する。
次に、本実施形態に係る減衰力調整式油圧緩衝器のソレノイドバルブ28の動作を説明する。
コイル36への通電により弁体35が閉弁位置付近の通常の制御範囲にあるとき、図5に示すように、作動ロッド44と抵抗部材63とが離間した状態となっている。抵抗部材63は、バネ64によりガイド部材55Aに向かって付勢されており、大径部634の段部がガイド部材55Aの段部に当接している。
弁体背圧室54は、抵抗部材63の通路631、ガイド部材55Aの孔部551、及び作動ロッド44の連通路44Aを介して、副通路33に連通している。この状態では、作動ロッド44の弁体背圧室54に対する受圧面は、その端面441であり、図7(a)斜線部に示す受圧面積A1となっている。このため、作動ロッド44の端面441には、受圧面積A1と弁体背圧室54の圧力を乗じた力が閉弁方向に作用している。
コイル36への通電により弁体35が閉弁位置付近の通常の制御範囲にあるとき、図5に示すように、作動ロッド44と抵抗部材63とが離間した状態となっている。抵抗部材63は、バネ64によりガイド部材55Aに向かって付勢されており、大径部634の段部がガイド部材55Aの段部に当接している。
弁体背圧室54は、抵抗部材63の通路631、ガイド部材55Aの孔部551、及び作動ロッド44の連通路44Aを介して、副通路33に連通している。この状態では、作動ロッド44の弁体背圧室54に対する受圧面は、その端面441であり、図7(a)斜線部に示す受圧面積A1となっている。このため、作動ロッド44の端面441には、受圧面積A1と弁体背圧室54の圧力を乗じた力が閉弁方向に作用している。
弁体35が開弁方向に移動して所定位置に達すると、図6に示すように、作動ロッド44の端面441と、抵抗部材63の当接面635とが密着して、作動ロッド44の連通路44Aと抵抗部材63の通路631が直接連通する。その後、作動ロッド44がさらに後退すると、抵抗部材63は、作動ロッド44と一体に移動する(図8参照)。このとき、作動ロッド44の弁体背圧室54に対する受圧面は、抵抗部材63の受圧面636となり、その受圧面積は、図7(b)斜線部に示す受圧面積A2となり、受圧面積A1よりも大きくなる。その結果、弁体背圧室54の圧力によって、作動ロッド44に対して、弁体35の閉弁方向に作用する力が増大し、すなわち、作動ロッド44の後退に対する反力(減衰力)が大きくなる。
これにより、コイル36への通電による弁体35の開弁圧力の制御中に、副通路33の圧力が急激に上昇し、弁体35が大きく後退した場合、作動ロッド44が抵抗部材63に当接して、その弁体背圧室54に対する受圧面積が増大することにより、作動ロッド44の後退に対して、減衰力を充分大きくすることができ、シート部材51が不用意にコア部材39に当接するのを防止して、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
これにより、コイル36への通電による弁体35の開弁圧力の制御中に、副通路33の圧力が急激に上昇し、弁体35が大きく後退した場合、作動ロッド44が抵抗部材63に当接して、その弁体背圧室54に対する受圧面積が増大することにより、作動ロッド44の後退に対して、減衰力を充分大きくすることができ、シート部材51が不用意にコア部材39に当接するのを防止して、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
なお、抵抗部材63が作動ロッド44と共に移動するとき、コア52の案内ボア60から油液が通路554を通って、抵抗部材63とガイド部材55Aとの間の室54Bに流入するので、この通路554の絞りにより、抵抗部材63の移動に対して減衰力を作用させるようにしてもよい。
コイル36への非通電時には、バネ64よりも戻しバネ58のバネ剛性(バネ定数)が大きいので、戻しバネ58のバネ力により、弁体35が開弁方向に移動し、作動ロッド44の端面441が抵抗部材63の当接面635に当接した後、抵抗部材63は、作動ロッド44と共にバネ64のバネ力に抗してコア52側に向かって移動する。これにより、フェイル時には、弁体35がフェイル位置まで移動する。
以上、説明したように、本実施形態では、弁体35が閉弁状態付近の通常の制御位置にあるとき、作動ロッド44の端面441と抵抗部材63との間に隙間が形成され、弁体背圧室54に対する作動ロッド44の端面441が受圧面積A1の受圧面となる。
弁体35が開弁方向に移動し、作動ロッド44が後退して、所定位置を越えたところから、作動ロッド44の端面441と中空の抵抗部材63の対向する当接面635とが密着して、作動ロッド44の連通路44Aと抵抗部材63の通路631とが直接連通する。
その際、作動ロッド44の弁体背圧室54に対する受圧面が抵抗部材63の受圧面636となり、その受圧面積A2は、通常の制御位置にある作動ロッド44の弁体背圧室54に対する受圧面積A1よりも大きくなる。その結果、弁体背圧室54の圧力によって、作動ロッド44に対して、弁体35の開弁方向に作用する力が増大し、作動ロッド44の後退に対する反力が大きくなる。
これにより、コイル36への低電流の通電時に、弁体35が開弁する方向に移動して、所定位置を越えたところから、弁体35の移動に対して大きな減衰力を作用させることができ、例えば副通路33の圧力が急激に上昇した場合であっても、不用意にシート部材51がコア部材39に当接する(弁体35がフェイル位置に移動する)ことを防止することができる。
弁体35が開弁方向に移動し、作動ロッド44が後退して、所定位置を越えたところから、作動ロッド44の端面441と中空の抵抗部材63の対向する当接面635とが密着して、作動ロッド44の連通路44Aと抵抗部材63の通路631とが直接連通する。
その際、作動ロッド44の弁体背圧室54に対する受圧面が抵抗部材63の受圧面636となり、その受圧面積A2は、通常の制御位置にある作動ロッド44の弁体背圧室54に対する受圧面積A1よりも大きくなる。その結果、弁体背圧室54の圧力によって、作動ロッド44に対して、弁体35の開弁方向に作用する力が増大し、作動ロッド44の後退に対する反力が大きくなる。
これにより、コイル36への低電流の通電時に、弁体35が開弁する方向に移動して、所定位置を越えたところから、弁体35の移動に対して大きな減衰力を作用させることができ、例えば副通路33の圧力が急激に上昇した場合であっても、不用意にシート部材51がコア部材39に当接する(弁体35がフェイル位置に移動する)ことを防止することができる。
なお、上記第1乃至第3実施形態では、一例として、パイロット型のメインバルブの開弁圧力を制御するソレノイドバルブに減衰手段を設けた場合について説明しているが、本発明は、これに限らず、作動流体の流れを制御するソレノイドバルブを有する減衰力調整式緩衝器に適用することができる。また、減衰力調整式緩衝器の作動流体は、油液に限らず、ガス等の他の流体でもよい。また、作動ロッド44内の連通路44Aに絞りを設けることによっても弁体35が閉止位置まで後退する際に減衰力を作用させることができるが、通常の制御範囲においても減衰力が作用するという問題が生じる。上記第1乃至第3実施形態では、所定位置を越えたところから減衰力を作用させるようにしたので、通常の制御範囲においては弁体35の動きに遅れを生じさせるような減衰力が作用することがなく、安定した減衰力を得ることができる。
1 減衰力調整式油圧緩衝器(減衰力調整式緩衝器)、2 シリンダ、5 ピストン、6 ピストンロッド、28 ソレノイドバルブ(圧力制御弁)、35 弁体、36 コイル、37 アーマチャ、58 戻しバネ(ばね手段)、59 ダンピングプレート(減衰手段)、60A 小径部(減衰手段)。
Claims (6)
- 流体が封入されたシリンダと、該シリンダ内に摺動可能に嵌装されたピストンと、一端が前記ピストンに連結され他端が前記シリンダの外部へ延出されたピストンロッドと、前記シリンダ内の前記ピストンの摺動によって通路に生じる流体の流れを制御して減衰力を発生させ、開弁圧力を調整可能な圧力制御弁とを備え、
前記圧力制御弁は、弁体をバネ手段によって開弁方向に付勢し、コイルへの通電によってアーマチャの推力を前記弁体の閉弁方向に作用させて開弁圧力を調整するソレノイドバルブであり、非通電時には、前記弁体が前記バネ手段のバネ力によって開弁方向にあって前記弁体の下流側への流路を閉じる閉止位置に移動する減衰力調整式緩衝器であって、
前記弁体が前記開弁方向に移動するとき、所定位置を越えたところから、該弁体の移動に対して減衰力を作用させる減衰手段を設けることを特徴とする減衰力調整式緩衝器。 - 前記減衰手段は、前記弁体が前記開弁方向に移動するとき、所定位置を越えたところから、前記アーマチャの移動によって流体の流れが生じる流路を絞ることにより、前記アーマチャ及び弁体の移動に減衰力を作用させることを特徴とする請求項1に記載の減衰力調整式緩衝器。
- 前記減衰手段は、前記アーマチャの端部に設けられたダンピングプレートと、前記アーマチャを案内する案内ボアに形成された小径部とを含み、前記弁体が前記開弁方向に移動するとき、所定位置を越えたところから、前記ダンピングプレートが小径部に挿入され、前記案内ボアと前記ダンピングプレートとの隙間が小さくなって前記流路を絞ることを特徴とする請求項2に記載の減衰力調整式緩衝器。
- 前記減衰手段は、前記アーマチャに設けられた前記流路と、前記アーマチャを案内する案内ボア内に配置されて、前記弁体が前記開弁方向に移動するとき、所定位置を越えたところから、前記アーマチャに当接して前記流路を閉じるダンピングプレートとを含んでいることを特徴とする請求項に2に記載の減衰力調整式緩衝器。
- 前記減衰手段は、前記アーマチャに連結された作動ロッドと、該作動ロッドに前記弁体の閉弁方向に圧力を作用させる弁体背圧室とを備え、前記作動ロッドが前記弁体の開弁方向に移動するとき、所定位置を越えたところから前記弁体背圧室に対する受圧面積が増大して、前記弁体の移動に対する減衰力を増大させることを特徴とする請求項1に記載の減衰力調整式緩衝器。
- 前記作動ロッドの前記弁体背圧室に対する受圧面に対向して配置され、前記作動ロッドの受圧面よりも前記弁体背圧室に対する受圧面積が大きい受圧面を有する抵抗部材が設けられ、前記作動ロッドが前記弁体の開弁方向に移動するとき、所定位置を越えたところから前記作動ロッドが前記抵抗部材に当接して一体に移動することにより、前記作動ロッドの前記弁体背圧室に対する受圧面積が増大して、前記弁体の移動に対する減衰力を増大させることを特徴とする請求項5に記載の減衰力調整式緩衝器。
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