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JP2010540528A - 治療的抗ウイルス性ペプチドの新規合成方法 - Google Patents

治療的抗ウイルス性ペプチドの新規合成方法 Download PDF

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JP2010540528A JP2010526952A JP2010526952A JP2010540528A JP 2010540528 A JP2010540528 A JP 2010540528A JP 2010526952 A JP2010526952 A JP 2010526952A JP 2010526952 A JP2010526952 A JP 2010526952A JP 2010540528 A JP2010540528 A JP 2010540528A
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エル. ブライ ブリアン
イー.ジョフンストン バルバラ
イー.スクフネイデル ステプヘン
エー.トベルモエス ニクオライ
ズハング フイイ
イー.フリエドリクフ パウル
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トリメリス,インコーポレーテッド
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Abstract

ペプチドの合成方法が、本明細書で提供される。詳細には、治療的抗ウイルス性ペプチドの合成方法が、本明細書で提供される。
【選択図】図1

Description

(関連出願の相互参照)
本出願は、引用によりその全体が本明細書に組み込まれている、2007年9月25日に出願の米国特許仮出願第60/995,318号の優先権を主張する。
(分野)
ペプチド及びそのペプチドを含む組成物、並びにペプチドの合成方法が、本明細書で提供される。治療剤の投与方法も提供される。詳細には、配列番号:9(TRI-1144)及び類似したペプチドの合成方法が、本明細書で提供される。そのような方法は、固液相合成手順を利用して、特定のペプチドフラグメントの群を合成して組み合わせることにより、関心対象のペプチドを得る。例えば、関心対象のペプチド、例えば配列番号:9の合成で中間体として働く個々のペプチドも、本明細書で提供される。完全長配列番号:9及び類似したペプチドを生成するために一緒に用いることができるペプチドの群も、本明細書でさらに提供される。
(背景)
(ペプチド送達系)
ペプチド生成物は、疾患の予防及び治療のための治療剤及び/又は予防剤として、広範囲の用途を有する。そのようなペプチド生成物は、多様なカテゴリー、例えばホルモン、酵素及び免疫調節剤(例えば、抗体、血清タンパク質及びサイトカイン)に分類される。
ペプチドは、患者でそれらの固有の生物作用及び治療作用を発現するためには、インビボでそれらの作用部位において適当な濃度で存在しなければならない。より具体的には、任意の特定のペプチドを含む任意の特定の化合物の薬物動態学的特性は、その化合物のインビボでの生物学的利用能、分布及びクリアランスに依存する。しかし、ペプチドのサイズ、複雑性、立体配置的要件及び溶解性プロフィールなどの化学的性質及び特徴は、ペプチドが、他の化合物の薬物動態学的プロフィールと比較して最適未満の薬物動態学的プロフィールを有する元となる傾向がある。
従って、治療剤の生物学的利用能及び半減期の両方が増加するように、ペプチドなどの治療剤を投与する方法を開発しようと、当技術分野でかなりの努力が払われてきた。この点に関して進展が見られたが、好ましい薬物動態学的プロフィールを有するペプチド治療薬を送達するのに有用なさらなる組成物の必要性が、当技術分野に残されている。本発明で提供する組成物及び方法は、これらの必要性に対処する。
(要旨)
例えば、患者に生体活性分子を投与するために用いることができる組成物、及びこれらの組成物の合成方法が本明細書で提供される。具体的には、溶媒、ゲル化物質及び抗ウイルス性ペプチドなどの生体活性分子を含む組成物が、本明細書で提供される。抗ウイルス性ペプチドを含む組成物を生成するための、線形合成、2フラグメント及び3フラグメントアプローチを含む合成方法が、本明細書でさらに提供される。理論によって制限されることなく、本明細書で提供する実施態様は、対象に投与した後に望ましい薬物動態学的プロフィールを示しつつ、増加した重量パーセントの生体活性分子を組成物に組み込むことができるという、予想外の発見に少なくとも一部基づく。本明細書で提供される実施態様は、少なくとも一部、合成法からの予想外の結果、例えば、スケーラビリティ及び純度などの次元にも基づく。
一実施態様では、本発明で提供される組成物は、患者に投与した後、速やかに(例えば、8、12、16、20、24、28、32、36又は48時間以内に)Cmaxに到達し、その後5、7、10、14、17、21又は28日間以上、生体分子の比較的一定した血漿中濃度を提供する生体分子の血漿中濃度を生じる。特定の実施態様では、本発明で提供される組成物の望ましい薬物動態学的特性は、より低いCmax、より長いtmax及びより長いt0.01若しくはt0.1である。
本発明で提供される組成物は、例えば、T20(配列番号:2)、T1249(配列番号:57)、T897(配列番号:58)、T2635(配列番号:5)、T999(配列番号:59)及びT1144(配列番号:9)と呼ばれるある抗ウイルス性ペプチド、又はこれらのペプチドの2つ以上の組合せ、並びにT20(配列番号:2)、T1249(配列番号:57)、T897(配列番号:58)、T2635(配列番号:5)、T999(配列番号:59)及びT1144(配列番号:9)ペプチドの誘導体を含む組成物の投与に有用である。
一実施態様では、組成物は、溶媒、溶媒-皮下体液交換に際してマトリックスを形成するゲル化物質、及び少なくとも1つの生体活性分子、例えば抗ウイルス性ペプチド、例えばT20(配列番号:2)、T1249(配列番号:57)、T897(配列番号:58)、T2635(配列番号:5)、T999(配列番号:59)及びT1144(配列番号:9)又はそれらの誘導体を含む。
別の実施態様では、そのような組成物は、医薬として許容し得る担体、巨大分子又はそれらの組合せなどの、少なくとも1つの追加の成分をさらに含む。さらに別の実施態様では、そのような組成物は、上記の抗ウイルス性ペプチドに加えて、抗ウイルス薬をさらに含むことができる。
本発明で提供される組成物を用いる方法が、本明細書でさらに提供される。一実施態様では、組成物は治療計画、例えば抗ウイルス治療計画の一部として用いられる。ある実施態様では、そのような治療計画は、例えば、HIV感染症、例えばHIV-1感染症の療法のために用いることができる。
一実施態様では、標的細胞へのHIVの伝搬の阻止のために本発明で提供される組成物を用いる方法であって、標的細胞が、ウイルスによる細胞の感染を阻止するのに有効な量の活性剤、例えば、抗ウイルス性ペプチド及び/又は別の抗ウイルス薬と接触するように、本発明で提供される組成物の量を患者に投与することを含む方法が本発明で提供される。
HIV感染症(一実施態様では、HIV-1感染症)を治療する方法であって、HIV感染患者にHIV感染症を治療するのに有効な量で、本発明で提供される組成物を投与することを含む方法も、本発明で提供される。
さらに、HIV感染症の療法に用いられる(例えば、HIVの伝搬を阻止する方法、HIV融合を阻止する方法及び/又はHIV感染症を治療若しくは阻止する方法で用いられる)医薬の製造における、抗ウイルス性ペプチドなどの生体活性分子の有効な量を含む組成物の使用方法が、本明細書でさらに提供される。
本発明で提供される組成物及び方法の上記及び他の目的、特徴及び利点は、添付の図と一緒に読むならば、以下の詳細な説明で明らかになる。
図1は、gp41の他の機能的領域とともに公知のロイシンジッパー様モチーフINNYTSLIを含む、ヘプタッドリピート1領域(HR1)及びヘプタッドリピート2領域(HR2)を示す、HIV-1 gp41の模式図である。例示の目的のために及びHIVIIIB株gp160に関して、HR1及びHR2に相当する例証的な天然アミノ酸配列、及びアミノ酸位置番号を示す。
図2は、例示の目的のために、かつ制限されない、様々な実験株及び臨床分離体から決定したHIV-1 gp41のHR2領域に含まれる天然アミノ酸配列の比較を示す。一文字アミノ酸コードにより示されるように、アミノ酸配列の変異(例えば多型)の幾つかを例示する。例示目的のために、最上部分離株配列中のアミノ酸配列INNYTSLIと整列する分離株配列は、HR2ロイシンジッパー様モチーフに対応する。
図3は、2つのペプチドフラグメントのアセンブリを含むフラグメント縮合アプローチを用いた、配列番号:9のアミノ酸配列を有するペプチドの合成を示す模式図である。
リンク充填CTC 2フラグメント縮合アセンブリ戦略を用いた、配列番号:9のアミノ酸配列を有するペプチドの合成を示す模式図である。
2フラグメント縮合アプローチにSieber樹脂の使用を応用した、配列番号:9のアミノ酸配列を有するHIV融合阻害ペプチドの合成を示す模式図である。
2つのペプチドフラグメントのアセンブリを含むアプローチでGlu側鎖充填樹脂を用いた、配列番号:9のアミノ酸配列を有するHIV融合阻害ペプチドの合成を示す模式図である。
3つのペプチドフラグメントのアセンブリを含むフラグメント縮合アプローチを用いた、配列番号:9のアミノ酸配列を有するHIV融合阻害ペプチド-配列番号:9の合成を示す模式図である。
図8は、2つのペプチドフラグメントのアセンブリを含むフラグメント縮合アプローチを用いた、配列番号:9のアミノ酸配列を有するHIV融合阻害剤ペプチド配列番号:9の合成を示す模式図である。
図9は、以下の組成で投与されたT1144の投薬後432時間の間のカニクイザルにおけるT1144血漿中濃度のプロットを示す図である:74:11:15のSAIB:PLA3L:NMP中のZnSO4溶液によって沈殿したT1144の100mg/g懸濁液の1000μl(89%ペプチド)(--◆--)、及び40:60のPLA3L:NMP中のZnSO4溶液によって沈殿したT1144の50mg/g懸濁液の400-)(60%ペプチド)(--■--)。
図10は、以下の組成で投与されたT1144の投薬後168時間の間のラットにおけるT1144血漿中濃度のプロットを示す図である:74:11:15のSAIB:PLA3L:NMP中のZnSO4溶液によって沈殿したT1144の100mg/g懸濁液の400μl(89%ペプチド)(--◆--)、及び40:60のPLA3L:NMP中のZnSO4溶液によって沈殿したT1144の50mg/g懸濁液の400μl(60%ペプチド)(--■--)。
図11は、以下の組成で投与されたT1144の投薬後168時間の間のラットにおけるT1144血漿中濃度のプロットを示す図である:T1144の3mg/mL溶液の1200μl(−)、80:0:20のSAIB:PLA3M:NMP中のZnSO4溶液によって沈殿したT1144の50mg/g懸濁液の400μl(89%ペプチド、2%亜鉛)(--◆--)、75:5:20のSAIB:PLA3M:NMP中のZnSO4溶液によって沈殿したT1144の50mg/g懸濁液の400μl(89%ペプチド、2%亜鉛)(--■--)、及び65:15:20のSAIB:PLA3M:NMP中のZnSO4溶液によって沈殿したT1144の50mg/g懸濁液の400μl(89%ペプチド、2%亜鉛) (--▲--)。
図12は、以下の組成で投与されたT1144の投薬後168時間の間のラットにおけるT1144血漿中濃度のプロットを示す図である:T1144の3mg/mL溶液の1200μl(−)、85:0:15のSAIB:PLA3M:NMP中のZnSO4溶液によって沈殿したT1144の50mg/g懸濁液の400μl(73%ペプチド、2%亜鉛)(--◆--)、及び74:11:15のSAIB:PLA3M:NMP中のZnSO4溶液によって沈殿したT1144の50mg/g懸濁液の400μl(73%ペプチド、2%亜鉛)(--■--)。
図13は、以下の組成で投与されたT1144の投薬後168時間の間のラットにおけるT1144血漿中濃度のプロットを示す図である:T1144の3mg/mL溶液の1200μl(−)、70:10:20のSAIB:PLA3M:NMP中のZnSO4溶液によって沈殿したT1144の50mg/g懸濁液の400μl(73%ペプチド、2%亜鉛)(--◆--)、及び75:5:20のSAIB:PLA3M:NMP中のZnSO4溶液によって沈殿したT1144の50mg/g懸濁液の400μl(73%ペプチド、2%亜鉛)(--■--)。
図14は、以下の組成で投与されたT1144の投薬後168時間の間のラットにおけるT1144血漿中濃度のプロットを示す図である:T1144の3mg/mL溶液の1200μl(−)、70:10:20のSAIB:PLA3M:NMP中のZnSO4溶液によって沈殿したT1144の50mg/g懸濁液の400μl(73%ペプチド、2%亜鉛)(--◆--)、及び74:11:15のSAIB:PLA3M:NMP中のZnSO4溶液によって沈殿したT1144の50mg/g懸濁液の400μl(73%ペプチド、2%亜鉛)(--■--)。
図15は、以下の組成で投与されたT1144の投薬後168時間の間のラットにおけるT1144血漿中濃度のプロットを示す図である:T1144の3mg/mL溶液の1200μl(−)、75:5:20のSAIB:PLA3M:トリアセチン中のZnSO4溶液によって沈殿したT1144の50mg/g懸濁液の400μl(73%ペプチド、2%亜鉛)(--◆--)、75:5:20のSAIB:PLA3M:安息香酸ベンジル中のZnSO4溶液によって沈殿したT1144の50mg/g懸濁液の400μl(73%ペプチド、2%亜鉛)(--■--)、及び75:5:20のSAIB:PLA3M:NMP中のZnSO4溶液によって沈殿したT1144の50mg/g懸濁液の400μl(73%ペプチド、2%亜鉛)(--▲--)。
図16は、以下の組成で投与されたT1144の投薬後168時間の間のラットにおけるT1144血漿中濃度のプロットを示す図である:T1144の3mg/mL溶液の1200μl(−)、75:5:20のSAIB:PLA3M:NMP中のZnSO4溶液によって沈殿したT1144の50mg/g懸濁液の400μl(73%ペプチド、2%亜鉛)(--◆--)、75:5:20のSAIB:PLA3M:NMP中のZnSO4溶液によって沈殿したT1144の75mg/g懸濁液の400μl(73%ペプチド、2%亜鉛)(--■--)、及び75:5:20のSAIB:PLA3M:NMP中のZnSO4溶液によって沈殿したT1144の100mg/g懸濁液の400μl(73%ペプチド、2%亜鉛)(--▲--)。
図17は、以下の組成で投与されたT1144の投薬後168時間の間のラットにおけるT1144血漿中濃度のプロットを示す図である:T1144の3mg/mL溶液の1200μl(−)、77:15:8のSAIB:NMP:エタノール中のZnSO4溶液によって沈殿したT1144の50mg/g懸濁液の400μl(88%ペプチド、2%亜鉛)(--◆--)、77:15:8のSAIB:NMP:エタノール中のZnSO4溶液によって沈殿したT1144の100mg/g懸濁液の200μl(88%ペプチド、2%亜鉛)(--■--)、74:11:15のSAIB:PLA3M:NMP中のZnSO4溶液によって沈殿したT1144の100mg/g懸濁液の400μl(73%ペプチド、2%亜鉛)(--◇--)、及び74:11:15のSAIB:PLA3M:NMP中のZnSO4溶液によって沈殿したT1144の100mg/g懸濁液の200μl(73%ペプチド、2%亜鉛)(--□--)。
図18は、以下の組成で投与されたT1144の投薬後168時間の間のラットにおけるT1144血漿中濃度のプロットを示す図である:T1144の3mg/mL溶液の1200μl(−)、75:5:20のSAIB:PLA3L:NMP中のZnSO4溶液によって沈殿したT1144の50mg/g懸濁液の400μl(89%ペプチド、2%亜鉛)(--◆--)、及び75:5:20のSAIB:PLA3M:NMP中のZnSO4溶液によって沈殿したT1144の50mg/g懸濁液の400μl(89%ペプチド、2%亜鉛)(--■--)。
図19は、以下の組成で投与されたT1144の投薬後168時間の間のラットにおけるT1144血漿中濃度のプロットを示す図である:T1144の3mg/mL溶液の1200μl(−)、75:5:20のSAIB:PLA3L:NMP中のZnSO4溶液によって沈殿した(73%)T1144の50mg/g懸濁液の400μl(--◆--)、75:5:20のSAIB:PLA3L:NMP中のZnSO4溶液によって沈殿した(89%)T1144の50mg/g懸濁液の400μl(--■--)、75:5:20のSAIB:PLA3L:NMP中のZnSO4溶液によって沈殿し(73%)、ZnSO4溶液でスラリーにした(70%)T1144の50mg/g懸濁液の400μl(--▲--)、75:5:20のSAIB:PLA3L:NMP中のZnSO4溶液で噴霧乾燥させ(89%)、スラリーにした(66%)T1144の50mg/g懸濁液の400μl(--o--)、75:5:20のSAIB:PLA3L:NMP中のZnSO4溶液によって沈殿し(88%)、ZnSO4溶液でスラリーにした(71%)T1144の50mg/g懸濁液の400μl(--Ж--)、及び75:5:20のSAIB:PLA3L:NMP中のZnSO4溶液で噴霧乾燥させ(89%)、スラリーにした(65%)T1144の50mg/g懸濁液の400μl(--x--)。
図20は、以下の組成で投与されたT1144の投薬後432時間の間のカニクイザルにおけるT1144血漿中濃度のプロットを示す図である:T1144の3.5mg/mL溶液の800μl(−)、75:5:20のSAIB:PLA3M:NMP中のZnSO4溶液によって沈殿したT1144の50mg/g懸濁液の400μl(89%)(--◆--)、74:11:15のSAIB:PLA3L:NMP中のZnSO4溶液によって沈殿したT1144の100mg/g懸濁液の400μl(89%)(--■--)、及び74:11:15のSAIB:PLA3L:NMP中のZnSO4溶液によって沈殿したT1144の100mg/g懸濁液の1000μl(89%)(--▲--)。
図21は、以下の組成で投与されたT1144の投薬後168時間の間のラットにおけるT1144血漿中濃度のプロットを示す図である:T1144の3mg/mL溶液の1200μl(−)、40:60のPLGA1A:NMP中のZnSO4溶液によって沈殿したT1144の50mg/g懸濁液の400μl(89%ペプチド、2%亜鉛)(--◆--)、60:40のPLGA1A:NMP中のZnSO4溶液によって沈殿したT1144の50mg/g懸濁液の400μl(89%ペプチド、2%亜鉛)(--■--)、及び40:60のPLA3L:NMP中のZnSO4溶液によって沈殿したT1144の50mg/g懸濁液の400μl(88%ペプチド、2%亜鉛)(--▲--)。
図22は、以下の組成で投与されたT1144の投薬後168時間の間のラットにおけるT1144血漿中濃度のプロットを示す図である:T1144の3mg/mL溶液の1200μl(−)、50:50のPLGA1A:NMP中のZnSO4溶液によって沈殿したT1144の50mg/g懸濁液の400μl(73%ペプチド、2%亜鉛)(--◆--)、40:60のPLGA1A:トリアセチン中のZnSO4溶液によって沈殿したT1144の50mg/g懸濁液の400μl(73%ペプチド、2%亜鉛)(--■--)、40:60のPLGA3A:NMP中のZnSO4溶液によって沈殿したT1144の50mg/g懸濁液の400μl(73%ペプチド、2%亜鉛)(--▲--)、及び40:60のPLA3L:NMP中のZnSO4溶液によって沈殿したT1144の50mg/g懸濁液の400μl(73%ペプチド、2%亜鉛)(--o--)。
図23は、以下の組成で投与されたT1144の投薬後168時間の間のラットにおけるT1144血漿中濃度のプロットを示す図である:T1144の3mg/mL溶液の1200μl(−)、50:50のPLGA1A:NMP中のZnSO4溶液によって沈殿したT1144の50mg/g懸濁液の400μl(73%ペプチド、2%亜鉛)(--◆--)、50:50のPLGA1A:NMP中のZnSO4溶液によって沈殿したT1144の100mg/g懸濁液の400μl(73%ペプチド、2%亜鉛)(--■--)、40:60のPLA3L:NMP中のZnSO4溶液によって沈殿したT1144の50mg/g懸濁液の400μl(91%ペプチド、2%亜鉛)(--◇--)、40:60のPLA3L:NMP中のZnSO4溶液によって沈殿したT1144の100mg/g懸濁液の400μl(91%ペプチド、2%亜鉛)(--□--)、及び40:60のPLA3L:NMP中のZnSO4溶液によって沈殿したT1144の200mg/g懸濁液の400μl(90%ペプチド、2%亜鉛)(--△--)。
図24は、以下の組成で投与されたT1144の投薬後168時間の間のラットにおけるT1144血漿中濃度のプロットを示す図である:T1144の3mg/mL溶液の1200μl(−)、40:60のPLA3L:NMP中の噴霧乾燥によって製造されたT1144の50mg/g懸濁液の400μl(--◆--)、及び40:60のPLA3L:NMP中のMeOHでpH沈殿したT1144の50mg/g懸濁液の400μl(88%ペプチド)(--■--)。
図25は、以下の組成で投与されたT1144の投薬後168時間の間のラットにおけるT1144血漿中濃度のプロットを示す図である:T1144の3mg/mL溶液の1200μl(−)、40:60のPLA3L:NMP中のZnSO4溶液によって沈殿したT1144の50mg/g懸濁液の400μl(60%)(--◆--)、40:60のPLA3L:NMP中の洗浄したT1144の50mg/g懸濁液の400μl(94%)(--■--)、40:60のPLA3L:NMP中のZnSO4溶液によって沈殿したT1144の50mg/g懸濁液の400μl(88%)(--▲--)、及び40:60のPLA3L:NMP中のMeOH/H2Oから沈殿したT1144の50mg/g懸濁液の400μl(91%)(--o--)。
図26は、以下の組成で投与されたT1144の投薬後168時間の間のラットにおけるT1144血漿中濃度のプロットを示す図である:T1144の3mg/mL溶液の1200μl(−)、40:60のPLA3L:NMP中のCaCl2溶液によって沈殿したT1144の50mg/g懸濁液の400μl(29%)(--◆--)、40:60のPLA3L:NMP中のCaCl2溶液によって沈殿したT1144の50mg/g懸濁液の400μl(53%)(--■--)、40:60のPLA3L:NMP中のFeSO4溶液によって沈殿したT1144の50mg/g懸濁液の400μl(88%)(--▲--)、及び40:60のPLA3L:NMP中のFeSO4溶液によって沈殿したT1144の50mg/g懸濁液の400μl(91%)(--o--)。
図27は、以下の組成で投与されたT1144の投薬後432時間の間のカニクイザルにおけるT1144血漿中濃度のプロットを示す図である:T1144の3.5mg/mL溶液の800μl(−)、40:60のPLGA1A:NMP中の亜鉛溶液によって沈殿したT1144の50mg/g懸濁液の400μl(89%)(--◆--)、及び40:60のPLA3L:NMP中の亜鉛溶液によって沈殿したT1144の50mg/g懸濁液の400μl(60%ペプチド)(--■--)。
図28は、以下の組成で投与されたT1144の投薬後168時間の間のカニクイザルにおけるT1144血漿中濃度のプロットを示す図である:T1144の3mg/mL溶液の1200μl(−)、40:60のPLA3L:NMP中の沈殿Hの懸濁液の400μl(--□--)、40:60のPLA3L:NMP中の沈殿Jの懸濁液の400μl(--◇--)、40:60のPLA3L:NMP中の沈殿Mの懸濁液の400μl(--◆--)、及び40:60のPLA3L:NMP中の沈殿Nの懸濁液の400μl(--■--)。
SAIB:PLA:NMP最適化ラット医薬(「PK」)試験#526におけるin situ形成ゲルの結果を示す図である。ラット血漿中のTRI-1144濃度。803-003-A: SAIB:PLA3L:NMP(74:11:15)に懸濁させた硫酸亜鉛によって沈殿させた100mg/gのTRI-1144; 803-003-B: SAIB:PLA3L:NMP (65:15:20)に懸濁させた硫酸亜鉛によって沈殿させた50mg/gのTRI-1144; 803-003-C: SAIB:PLA3L:NMP (70:15:15)に懸濁させた硫酸亜鉛によって沈殿させた50mg/gのTRI-1144; 803-003-D: SAIB:PLA3L:NMP (75:5:20)に懸濁させた硫酸亜鉛によって沈殿させた50mg/gのTRI-1144。
SAIB:PLA:NMP及びPLGA:NMP比較ラットPK試験#526におけるin situ形成ゲルの結果を示す図である。ラット血漿中のTRI-1144濃度。803-010-A: SAIB:PLA3L:NMP (75:5:20)に懸濁させた過剰の硫酸亜鉛によって沈殿させた50mg/gのTRI-1144; 803-010-E: SAIB:PLA3L:NMP (75:5:20)に懸濁させた硫酸亜鉛によって沈殿させた50mg/gのTRI-1144; 803-010-F: PLA3L:NMP (40:60)に懸濁させた過剰の硫酸亜鉛によって沈殿させた50mg/gのTRI-1144。
in situ形成ゲルPLGA最適化サルPK試験#527の結果を示す図である。サル血漿中のTRI-1144濃度。0782-096: (50:50) PLA3L:NMP (40:60)に懸濁させた過剰な硫酸亜鉛の添加によって水から沈殿させた50mg/gのTRI-1144; 803-020: SAIB:PLA3L:NMP (75:11:15)に懸濁させた過剰な硫酸亜鉛の添加によって水から沈殿させた50mg/gのTRI-1144。
in situ形成ゲルPLGA最適化ラットPK試験#530及び531の結果を示す図である。ラット血漿中のTRI-1144濃度。0782-099 PLA3L:NMP (40:60)に懸濁させた硫酸亜鉛の添加によって50:50のメタノール:水から沈殿させた50mg/gのTRI-1144; 0782-102 PLA3L:NMP (40:60)に懸濁させた過剰な硫酸亜鉛の添加によって水から沈殿させた50mg/gのTRI-1144。
in situ形成ゲルPLGA最適化ラットPK試験#552の結果を示す図である。ラット血漿中のTRI-1144濃度。803-050-1 懸濁させた((50:50) PLGA 2A):NMP (40:60)硫酸亜鉛の添加によって50:50のメタノール:水から沈殿させた50mg/gのTRI-1144; 803-050-3 懸濁させた((50:50) PLGA2.5A):NMP (40:60)硫酸亜鉛の添加によって50:50のメタノール:水から沈殿させた50mg/gのTRI-1144; 803-050-4 ((50:50) PLGA 3A):NMP (40:60)に懸濁させた硫酸亜鉛の添加によって50:50のメタノール:水から沈殿させた50mg/gのTRI-1144。
試験#in situ形成ゲルPLA-PEG 1500及びPLGA-PEG 1500共重合体:NMPラットPK試験#553の結果を示す図である。ラット血漿中のTRI-1144濃度。803-051-2: ((65:35) PLGA-PEG1500):NMP (40:60)に懸濁させた硫酸亜鉛の添加によって50:50のメタノール:水から沈殿させた50mg/gのTRI-1144; 803-051-3: PLA3L-PEG1500:NMP (40:60)に懸濁させた硫酸亜鉛の添加によって50:50のメタノール:水から沈殿させた50mg/gのTRI-1144; 803-0514 PLA3L:NMP (40:60)に懸濁させた硫酸亜鉛の添加によって50:50のメタノール:水から沈殿させた50mg/gのTRI-1144。
溶媒比及びPLA/NMP最適化PK試験#560を示す図である。ラット血漿中のTRI-1144濃度。803-072-8: PLA3L:NMP (40:60)に懸濁させた硫酸亜鉛の添加によって50:50のメタノール:水から沈殿させた50mg/gのTRI-1144; 803-072-9: PLA3L:NMP (30:70)に懸濁させた硫酸亜鉛の添加によって50:50のメタノール:水から沈殿させた50mg/gのTRI-1144; 803-072-10 (50:50 PLGA3A):NMP (40:60)に懸濁させた硫酸亜鉛の添加によって50:50のメタノール:水から沈殿させた50mg/gのTRI-1144。
溶媒最適化PK試験#561を示す図である。ラット血漿中のTRI-1144濃度。803-073-3: (PLA3L:((NMP:PEG400 (50:50))) (30:70)に懸濁させた硫酸亜鉛の添加によって50:50のメタノール:水から沈殿させた50mg/gのTRI-1144; 803-073-4: (PLA3L:((NMP:PEG400 (50:50))) (40:60)に懸濁させた硫酸亜鉛の添加によって50:50のメタノール:水から沈殿させた50mg/gのTRI-1144; 803-073-5: (PLA3L:((NMP:プロピレングリコール(70:30))) (40:60)に懸濁させた硫酸亜鉛の添加によって50:50のメタノール:水から沈殿させた50mg/gのTRI-1144。
PLGA部位クリアランスPK試験#585の結果を示す図である。ラット血漿中のTRI-1144濃度。782-165-1: (50:50 PLGA 2.5A:(((NMP:PEG400 (50:50))) (40:60)に懸濁させた硫酸亜鉛の添加によって50:50のメタノール:水から沈殿させた50mg/gのTRI-1144; 782-165-2: (50:50 PLGA 2A:((NMP:PEG400 (50:50))) (40:60)に懸濁させた硫酸亜鉛の添加によって50:50のメタノール:水から沈殿させた50mg/gのTRI-1144; 782-165-3: (50:50 PLGA IA:((NMP:PEG400 (50:50))) (40:60)に懸濁させた硫酸亜鉛の添加によって50:50のメタノール:水から沈殿させた50mg/gのTRI-1144。
(詳細な説明)
(定義)
用語「患者」は、本明細書及び請求項の目的のために本明細書中で使用される場合、ヒトなどの哺乳動物を意味する。特定の実施態様では、「患者」は、HIV又はエイズなどの本明細書で開示される疾患又は障害の治療が必要な、ヒトなどの哺乳動物である。
用語「標的細胞」は、本明細書及び請求項の目的のために本明細書中で使用される場合、HIVに感染することができる細胞を意味する。一実施態様では、細胞はヒト細胞(複数可)であり;別の実施態様では、細胞は、膜融合を含む過程を通してHIVに感染することができるヒト細胞(複数可)である。別の実施態様では、細胞は、ヒト患者などの患者に存在する。
用語「組成物」は、本明細書及び請求項の目的のために本明細書中で使用される場合、溶媒、ゲル化物質及び抗ウイルス性ペプチドなどの生体活性分子を含む製剤を意味する。例示的な組成物は、本明細書に記載される。本発明で提供される組成物は、例えば、医薬品として用いること、又は医薬品を製造するために用いることができる。
用語「溶媒」は、本明細書及び請求項の目的のために本明細書中で使用される場合、水混和性液体を意味する。一実施態様では、溶媒は水混和性液体であり、共存溶媒、例えばNMPと組み合わせて用いられる。溶媒は、例えば、患者への注射を可能にするためにゲル化物質を十分に希釈するために用いることができる。例示的な溶媒は本明細書に記載され、当業者に公知である。
用語「ゲル化物質」は、本明細書及び請求項の目的のために本明細書中で使用される場合、溶媒及びゲル化物質を含む組成物中に存在する場合、溶媒-皮下体液交換、すなわち溶媒-皮下患者体液交換に際してマトリックスを形成する、溶媒混和性の物質を意味する。例示的なゲル化物質は本明細書に記載され、当業者に公知である。
用語「マトリックス」は、本明細書及び請求項の目的のために本明細書中で使用される場合、溶媒-皮下体液交換の後にゲル化物質がとる、生物分解性又は生物浸食性の形態を意味する。一実施態様では、マトリックスは粘性(すなわち、剪断に抵抗性)のマトリックスである。別の実施態様では、マトリックスはゲルである。
用語「媒体」は、本明細書及び請求項の目的のために本明細書中で使用される場合、患者に生体活性分子(例えば、抗ウイルス性ペプチドなどのペプチド)を送達するために使用することができる、溶媒及びゲル化物質を含む液状物質を意味する。媒体は、水性の状態で保存することができる。
用語「医薬として許容し得る担体」は、本明細書及び請求項の目的のために本明細書中で使用される場合、それが加えられた活性成分(例えば、HIV融合阻害剤ペプチド)の生物活性を有意に変更しない担体媒体を意味する。医薬として許容し得る担体は、制限されないが:水、緩衝液、生理食塩水、0.3%グリシン、水性アルコール、等張水溶液の1つ以上を含み;グリセロール、油、塩(例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、及びアンモニウムなど)、ホスホン酸塩、炭酸エステル、脂肪酸、糖類(例えばマンニトール)、多糖類、重合体、賦形剤、及び(保存寿命を増加するための、又は組成物の製造及び配布に必要かつ適切な)防腐剤及び/又は安定剤などの物質を1つ以上さらに含むことができる。一実施態様において、医薬として許容し得る担体は、筋肉内投与、皮下投与、又は非経口投与に適する。
用語「イソロイシン又はロイシンを含むアミノ酸」は、特に他で示されない限り、本明細書及び請求項の目的のために並びにHIV融合阻害剤ペプチドに関して意味されるものであり、それぞれイソロイシン又はロイシン、或いは、これらの個別の天然アミノ酸(例えばL-アミノ酸)、非天然アミノ酸(例えばD-アミノ酸)、異性体(例えばノルロイシン、アロ-イソロイシンなど)、又は誘導体(例えばtert-ロイシン)を指す。アミノ酸イソロイシン又はロイシンの一形態を、そのアミノ酸の他の形態を除外して用いることができる。本明細書に記載されるHIV融合阻害ペプチドは、それらのアミノ酸配列中に、各々が誘導されるHIV gp41のHR2領域の配列で見られる1つ以上の多型を含むこともでき(図2を参照)、但しイソロイシン又はロイシンを含むアミノ酸を含むと本明細書で教示されるアミノ酸配列の1つ以上の位置においてである。
用語「HIV」は、ヒト免疫不全ウイルスを指し、一実施態様ではHIV-1を指す。
用語「単離された」は、生体活性分子、例えば、HIV融合阻害ペプチドなどの抗ウイルス性ペプチド、又はペプチドフラグメントに関して用いられる場合、生体活性分子自体の一体構造の一部になっていない成分をそれが実質的に含まないこと、例えば、生物学的プロセス、生化学的プロセス、又は化学的プロセスを用いた化学的合成、製造、又は修飾時に、化学前駆体又は他の化学物質を実質的に含まないことを意味する。ある実施態様では、単離された生体活性分子は、重量で約75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%又は99.9%を超えて純粋である。
用語「1〜3個のアミノ酸置換」は、HIV融合阻害剤ペプチドに関して使用される場合、HIV融合阻害剤ペプチドが、配列番号:9〜15のいずれか1つのアミノ酸配列も有することができるが、但し、配列番号:9〜15のいずれか1つと比較して、1個以上及び3個以下のアミノ酸相違を有し;同時に(a)2つ以上のロイシンジッパー様モチーフを有し、かつロイシンジッパー様モチーフの形成に必要とされるロイシン以外(すなわち、ロイシンジッパー様モチーフの位置1又は8以外)にさらなるロイシンを少なくとも1つ有し;又は(b)3〜5つのロイシンジッパー様モチーフを有し;かつHIVに対する抗ウイルス活性(HIV媒介融合の阻害活性)を有することを意味する。その点において、置換を有するHIV融合阻害剤ペプチドのアミノ酸相違(配列番号:9〜15と比較した場合)は、本発明の融合阻害剤ペプチドについて示されたロイシン及び/又はイソロイシン残基以外のアミノ酸配列位置に存在する(例えば、本明細書中の例示(I)及び(II)を参照されたい。)。1個以上及び3個以下のアミノ酸相違は、保存アミノ酸置換(制限されないが、グリシン-アラニン-バリン、トリプトファン-チロシン、アスパラギン酸-グルタミン酸、アルギニン-リジン、アスパラギン-グルタミン、及びセリン-スレオニンなどの例のようにアミノ酸を置き換えた、当該技術分野で公知である実質的に同じ電荷、サイズ、親水性、及び/又は芳香族性を有するアミノ酸の置換を含む)、及び/又は多型(例えば、図2に示される、又はHIV-1の実験体、様々なクレード、及び/又は臨床分離体に見出せる)を含む。例えば、配列番号:11、12、又は13に関して、HIV融合阻害剤ペプチドは、配列番号:11、12、又は13のいずれか1つのアミノ酸残基10、17、24、31、及び38以外の位置に1〜3個のアミノ酸相違を有する。例えば、配列番号:9及び14に関して、HIV融合阻害剤ペプチドは、配列番号:9又は14のアミノ酸残基10、17、24、及び38以外の位置に1〜3個のアミノ酸相違を有する。例えば、配列番号:10又は15に関して、HIV融合阻害剤ペプチドは、配列番号:10又は15のアミノ酸残基10、17、21、31、及び38以外の位置に1〜3個のアミノ酸相違を有する。この実施態様における実例を挙げると、制限されないが、配列番号:16のアミノ酸配列があり、1〜3個のアミノ酸置換のアミノ酸相違部位となり得る位置は、Xaa(任意のアミノ酸、天然又は非天然型を表す;すなわち、2つ以上の可能なアミノ酸が、このアミノ酸位置に使用され得る。)で示される。また、1つ以上の保存アミノ酸置換は、リジンをアルギニン又はヒスチジンに置換、アルギニンをリジン又はヒスチジンに置換、グルタミン酸をアスパラギン酸に置換、又はアスパラギン酸をグルタミン酸に置換などのように行うことができる。アミノ酸位置10、17、21、24、31、及び38は、図示目的のために下線を引いた。配列番号:9〜15に関しても、配列番号:16の「Zaa」が使用され、ロイシン、イソロイシンのいずれかとなることができるアミノ酸を示し;Baaは好ましくはロイシン、イソロイシンであるアミノ酸を示し、Xaaになることができるが、但し、少なくとも1つのBaaは、ロイシン又はイソロイシンのいずれかである。
Figure 2010540528
また、本明細書に記載されるHIV融合阻害ペプチドは、例えば、HIV-1の実験体、クレード又は臨床分離体、例えば、HIV融合阻害ペプチドが配列番号:16のアミノ酸要件を満たす限り、図2に記載の実験株及び臨床分離体に存在する(配列アライメントにより)配列番号:5に相当するHIV gp41のHR2領域から誘導されたペプチドを含むことができる。一実施態様において、前記HIV融合阻害剤ペプチドは、配列番号:9〜15のいずれかと比較して1〜3個のアミノ酸置換を示す。一実施態様において、該HIV融合阻害剤ペプチドは、N末端ブロック基又はC末端ブロック基、或いはその両方をさらに含む;これらの末端基は、制限されないが:N末端にアミノ基又はアセチル基;及びC末端にカルボキシル基又はアミド基を含むことができる。
また、本明細書に記載されるHIV融合阻害剤ペプチドは、そのHIV融合阻害剤ペプチドが配列番号:16のアミノ酸要求を満たす限り、US 2006/0247416(その全内容は、引用によりその全体が本明細書中に組み込まれている。)に開示されたペプチドのいずれかの変異アミノ酸配列を示すペプチドを含むことができる。一実施態様において、前記HIV融合阻害剤ペプチドは、配列番号:9〜15のいずれか1つと比較して1〜3個のアミノ酸置換を示す。好ましい実施態様において、該HIV融合阻害剤ペプチドは、14〜60アミノ酸残基の長さである。一実施態様において、該HIV融合阻害剤ペプチドは、N末端ブロック基又はC末端ブロック基、或いはその両方をさらに含む;これらの末端基は、制限されないが:N末端にアミノ基又はアセチル基;及びC末端にカルボキシル基又はアミド基を含むことができる。
用語「反応性官能基」は、本明細書及び請求項の目的のために本明細書中で使用される場合、別の化学基又は化学部位と結合を形成することができる化学基又は化学部位を意味する。化学基に関して、反応性官能基は、制限されないが、マレイミド、チオール、カルボン酸、水素、ホスホリル、アシル、ヒドロキシル、アセチル、疎水性、アミン、アミド、ダンシル、スルホ、スクシンイミド、チオール反応性、アミン反応性、カルボキシル反応性などを含む基を含むことが当業者に公知である。1つの反応性官能基が、別の反応性官能基を除外して使用され得る。
用語「連結基」は、本明細書及び請求項の目的のために本明細書中で使用される場合、2つの異なる分子を操作可能に連結するための分子架橋として作用する化合物又は部位を意味する(例えば、連結基の第一の反応性官能基は、高分子担体の反応性官能基に共有結合的にカップリングし、連結基の第二の反応性官能基は、HIV融合阻害剤ペプチドの反応性官能基に共有結合的にカップリングする。)。連結基は、HIV融合阻害剤ペプチドの1以上の複製を含む組換え融合タンパク質を製造する目的で、アミノ酸であってもよい。あるいは、該2つの異なる分子は、段階的手法(例えば、化学結合を介して)で連結基に結合されてもよい。一般に、分子架橋としての目的を実現することができる限り、連結基に特定のサイズ制限又は体積制限はない。連結基は、当業者に公知であり、制限されないが、化学鎖、化合物(例えば試薬)、アミノ酸などを含む。連結基は、制限されないが、ホモ二官能性連結基、ヘテロ二官能性連結基、生物学的安定性連結基、加水分解性連結基、及び生分解性連結基、並びに当該技術分野において公知の他の連結基があってもよい。当業者に周知であるヘテロ二官能性連結基は、第一の分子に特異的に連結する第一の反応性官能基を有する一端、及び第二の分子に特異的に連結する第二の反応性官能基を有する反対端を含む。様々な一官能性、二官能性、及び多官能性試薬(例えば、Pierce Chemical社., Rockford, IIIのカタログに記載されているものなど)が連結基として使用することができることは、当業者に明らかであろう。連結される分子、連結を行う条件、及び投与時の意図される薬物動態学的特性などの要因に応じて、連結基は、生物活性及び機能の保存、安定性、特定の化学物質及び/又は温度パラメータに対する耐性、インビボでの切断感受性、及び有意な立体選択性又はサイズなどの特性を最適化する長さ及び組成に変更することができる。
用語「高分子担体」は、本明細書及び請求項の目的のために本明細書中で使用される場合、本発明の1つ以上のペプチドに(例えば、化学的に、又は遺伝子発現を用いる組換え手段を介して)連結、結合、又は融合する分子を意味する。それによって、該分子は、該分子の非存在下での該1つ以上のペプチドと比較して、該1つ以上のペプチドの安定性、該1つ以上のペプチドの生物活性の増加、又は該1つ以上のペプチドの血漿半減期の増加(例えば、該1つ以上のペプチドの体内での持続性を増加する。)の1つ以上の特性を与えることができる。前記高分子担体は、当該技術分野において周知であり、制限されないが、血清タンパク質、重合体、炭水化物、及び脂質-脂肪酸複合体がある。高分子担体として典型的に使用される血清タンパク質には、制限されないが、トランスフェリン、アルブミン(好ましくはヒト)、免疫グロブリン(好ましくはヒトIgG又はその1つ以上の鎖)、又はホルモンがある。高分子担体として典型的に使用される重合体には、制限されないが、ポリリジン、又はポリ(D-L-アラニン)-ポリ(L-リジン)、又はポリオールがある。ポリオールは、水溶性ポリ(アルキレンオキシド)ポリマーであってもよく、直鎖又は分枝鎖を有することができる。重合体は、分枝鎖ポリオール(例えば、複数(例えば3つ以上)の鎖を有するPEG。そのそれぞれは、HIV融合阻害剤ペプチドに直接結合するか、又は連結基を介して結合することができる。)であってもよく;一実施態様において、生分解性であり、かつ/又はインビボ条件下で時間とともに切断される、分枝鎖ポリオールである。適切なポリオールは、制限されないが、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、及びPEG-PPG共重合体である。一実施態様において、ポリオールは、約1,000ダルトン〜約20,000ダルトンの範囲から選択される平均分子サイズを有するPEGである。一般に20,000ダルトンよりも大きい分子量を有する使用可能な他の高分子担体種は、当該技術分野で周知のものである。
用語「化学的保護基」又は「CPG」は、本明細書及び請求項の目的のために本明細書中で使用される場合、アミン基を含む反応性官能基を、別の反応性官能基との化学反応から遮断するために使用される化学部位を意味する。化学的保護基は、ペプチド合成の当業者に周知であり、制限されないが、Dmcp(ジメチルシクロプロピルメチル)、Bsmoc(ベンゾ[b]チオフェンスルホン-2-メトキシカルボニル)、tBu(t-ブチル)、trt(トリフェニルメチル(トリチル))、OtBu(tert-ブトキシ)、Boc又はt-Boc(tert-ブチルオキシカルボニル)、Fmoc(9-フルオレニルメトキシカルボニル)、Aoc(t-アミルオキシ-カルボニル)、TEOC(β-トリメチルエチルオキシカルボニル)、CLIMOC(2-クロロ-1-インダニルメトキシルカルボニル)、BIMOC(ベンズ-[f]-インデン-3-メトキシルカルボニル)、PBF(2,2,4,6,7-ペンタメチルジヒドロベンゾフラン-5-スルホニル)、2-Cl-Z(クロロベンジル-オキシカルボニル)、Alloc(アリルオキシカルボニル)、Cbz(ベンジルオキシカルボニル)、Adoc(アダマンチルオキシ-カルボニル)、Mcb(1-メチルシクロブチルオキシカルボニル)、Bpoc(2-(p-ビフェニリル)プロピル-2-オキシカルボニル)、Azoc(2-(p-フェニルアゾフェニル)プロピル-2-オキシカルボニル)、Ddz(2,2-ジメチル-3,5-ジメチルオキシベンジル-オキシカルボニル)、MTf(4-メトキシ-2,3,6-トリメトイルベンゼンスルホニル)、PMC(2,2,5,7,8-ペンタメチルクロマン-6-スルホニル)、Tos(トシル)、Hmb(2-ヒドロキシル-4-メトキシベンジル)、Poc(2-フェニルプロピル-2-オキシカルボニル)、Dde(1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキサ-1-イリデン)エチル)、ivDde(1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソ-シクロヘキサ-1-イリデン)-3-メチルブチル)、ベンジル、ダンシル、パラ-ニトロベンジルエステルなどがある。1つの化学的保護基が、別の化学的保護基を除外して使用され得る。
用語「脱保護」は、本明細書及び請求項の目的のために本明細書中で使用される場合、当該技術分野で公知であり、1つ以上の化学的保護基を、1つ以上の化学的保護基を含む分子から除去するプロセスを意味する。該分子は、アミノ酸、ペプチドフラグメント、又はHIV融合阻害剤ペプチドを含む。一般に、脱保護プロセスは、1つ以上の化学的保護基により保護された分子を、その化学的保護基を除去する化学物質と反応させることを含む。例えば、化学的保護基により保護されたN末端アルファアミノ基を、塩基と反応させ、塩基性に不安定な化学的保護基(例えば、Fmocなど)を除去することができる。化学的保護基(例えば、Boc、TEOC、Aoc、Adoc、Bopc、Ddz、Cbzなど)を、酸により除去する。他の化学的保護基、特にカルボン酸から誘導されたものは、酸又は塩基により除去することができる。
用語「誘導体(複数可)」は、本明細書及び請求項の目的のために本明細書中で使用される場合、1つ以上の原子の別の原子又は原子団による置換によって親化合物から生じる化合物を意味し、別の原子又は原子団は、抗ウイルス性化合物の場合、親化合物の抗ウイルス活性のすべて又は実質的にすべてを好ましくは保持する。
用語「第一」、「第二」、「第三」などは:(a)順序を示すために;又は(b)分子又は分子の反応性官能基を区別するために;又は(c)(a)及び(b)の組合せで、本明細書中に使用され得る。しかし、用語「第一」、「第二」、「第三」などは、別に本発明を限定するものとして解釈されるものではない。
用語「ペプチドフラグメント」及び「中間体」は、本発明のHIV融合阻害剤ペプチドに関して並びに本明細書及び請求項の目的のために、本明細書中で同義的に使用され、約5個以上のアミノ酸残基長さ及び30個以下のアミノ酸残基長さのアミノ酸配列を含むペプチドを意味し、そのHIV融合阻害剤ペプチドのアミノ酸配列の少なくとも一部(連続するアミノ酸)を含む。配列番号:9及び10の製造に有用なペプチドフラグメントの実例について、本明細書中の実施例4〜7及び表4、5、7、及び8を参照されたい。さらに、好ましい実施態様において、ペプチドフラグメント(1つ1つ、又はHIV融合阻害剤ペプチドを形成する集団としての組合せの場合)は、アミノ酸残基間でペプチド結合を形成するように合成される。非ペプチド結合が当業者に公知の反応を用いて形成可能であることは、当業者に明らかである(例えば、イミノ、エステル、ヒドラジド、アゾ、セミカルバジドなど)。
用語「薬物動態学的特性」は、本明細書及び請求項の目的のために本明細書中で使用される場合、経時的に系統的に利用可能である、組成物中の生体活性分子(例えば、抗ウイルス性ペプチド)の総量を意味する。薬物動態学的特性は、インビボで投与された後に、生体活性分子(例えば、抗ウイルス性ペプチド)の全身の濃度を経時的に測定することによって判定することができる。例えば、薬物動態学的特性は、曲線下面積(AUC)、生物学的半減期及び/又はクリアランスで表すことができる。AUCは、質量-時間/容量の単位で表した、経時的な全身の生体活性分子濃度の総合尺度である。生体活性分子の投薬の後の、投薬時間から体内の有効成分が消失する時間までのAUCは、生体活性分子(及び/又は生体活性分子の代謝産物)への個体の曝露の尺度である。組成物は、それが含有する生体活性分子(複数可)が以下の1つ以上を有する場合、「改善された」又は「向上した」薬物動態学的特性を有する:本明細書に記載されるもの以外の製剤に含まれる生体活性分子(複数可)のそれと比較して、(a)より長い(「増加した」)生物学的(最終排出)半減期(「t1/2」)、(b)生物学的(全身)クリアランス(Cl)の低下、(c)より長い持続的放出プロフィール、(d)組成物へのより高い重量パーセント(例えば、約10%以上)の組込み、(e)低下したかより低いCmax、(f)より長いtmax、及び(g)より長いt0.01又はt0.1である。一実施態様では、改善された薬物動態学的特性とは、比較製剤のそれと比較して減少した生体活性分子のクリアランス、例えば一般的には約2倍の減少から約10倍の減少を意味する。別の実施態様では、改善された薬物動態学的特性とは、比較に比較対象製剤のそれと比較して、約10%の増加から約60%の増加の、生物学的半減期の増加を意味する。改善された薬物動態学的特性は、クリアランスの減少及び生物学的半減期の増加の両方を包含することもできる。一実施態様では、望ましい薬物動態学的特性には、Cmaxに速やかに(例えば8、12、16、20、24、28、32、36又は48時間以内に)到達し、その後、比較的一定した血漿中濃度を5、7、10、14、17、21又は28日間以上維持することが含まれる。特定の実施態様では、本発明で提供される組成物の望ましい薬物動態学的特性は、より低いCmax、より長いtmax及びより長いt0.01若しくはt0.1である。血漿濃度下面積対時間曲線(AUC)、全身クリアランス(Cl)、及び最終排出半減期(t1/2)の計算に使用される式は、本明細書中の実施例1で説明する。
用語「溶液中」は、1以上の個体を溶解する水性流体に関して当該技術分野で標準的であるように本明細書及び請求項の目的のために本明細書中で使用され、さらに詳細に本明細書中で記載されるように、かつ注射用薬剤配合の当該技術分野で標準的であるように、実際に使用する濃度及び温度条件下で溶解したHIV融合阻害剤ペプチドなどの生体活性分子を含む水溶液を意味する。溶液の形成と、対照的な懸濁液の形成とを識別するための当該技術分野で公知である様々な方法がある。例えば、視覚的透明度(溶液の透明度対懸濁液の濁度)、光透過率の調査などである。「溶解度」は、HIV融合阻害剤ペプチドなどの生体活性分子を含む水性流体の溶液中からの沈殿又はゲル化が観測される証拠を示さない、水性流体の溶液に存在する生体活性分子の量(例えば重量パーセント)により測定される。
用語「徐放性」は、本明細書及び請求項の目的のために本明細書中で使用される場合、投与時、生体活性分子が指定された時間の間連続的に放出されることを意味する。
用語「有効量」は、本明細書及び請求項の目的のために本明細書中で使用される場合、特定の方法の所望の結果を達成する生体活性分子の量を意味する。一実施態様では、生体分子の有効量は、患者でHIVウイルスの負荷を(例えば、生体活性分子の非存在下のそれと比較して)減少させるのに十分な量(それ自体で及び/又は投薬計画と併用して)であってもよい。別の実施態様では、生体分子の有効量は、HIVによる細胞の感染を抑制する(例えば、生体活性分子の非存在下でのそれと比較して)か、標的細胞のウイルス侵入を阻止するのに十分な量であってもよい。そのような阻止は、当技術分野で公知であるアッセイを用いて測定することができる。別の実施態様では、生体分子の有効量は、HIV感染に付随する症状を改善するのに十分な量であってもよい。生体分子の有効量は、当業者に公知である常用のインビトロ及びインビボ研究からのデータを用いて、当業者が判定することができる。
用語「治療」又は「療法」又はその文法上の同等物は、HIV感染に関して互換的に用いられ、それらは、本明細書及び請求項の目的のために、HIV融合阻害ペプチドなどの生体活性分子を含む組成物を、HIV感染に付随する1つ以上の過程、又はそのような治療若しくは療法(例えば、「医療適用」)の治療効果を判定するための指標として用いられる1つ以上のパラメータ若しくはエンドポイントに影響を及ぼすために用いることができることを意味する。例えば、生体活性分子を用いて、1つ以上の下記プロセスを阻害することができる:HIVの標的細胞への感染;HIVと標的細胞との融合(「HIV融合」);ウイルス侵入(感染プロセス時に標的細胞内に侵入するHIV又はその遺伝物質のプロセス);及び合胞体形成(例えば、HIV感染細胞と標的細胞との融合)である。ウイルス抑制(体液又は組織中のHIVのウイルス量を測定する当該技術分野で公知である方法により決定される。)は、HIV感染の治療又は療法において薬剤の有効性を評価するために共通して使用される主要な評価項目であり、血流に循環するCD4+細胞数の増加は、共通して使用される第二の評価項目である;それぞれは、HIVの標的細胞への感染を阻害する測定可能な作用である。従って、HIV融合阻害ペプチドなどの生体活性分子を含む組成物は、ウイルスの抑制及び/又は循環CD4+細胞の相対数の増加を含む医療適用に影響を及ぼすために用いることができる。
(組成物)
患者に生体活性分子(複数可)を投与するために有用な組成物が、本発明で提供される。具体的には、溶媒、ゲル化物質及び抗ウイルス性ペプチドなどの生体活性分子を含む組成物が、本発明で提供される。理論によって制限されることなく、本発明で提供する実施態様は、患者に投与した後、望ましい徐放プロフィールを示しつつ、生体活性分子の重量パーセントの増加を組成物に組み込むことができるという、予想外の発見に少なくとも一部基づく。患者に投与され、溶媒-皮下体液交換が起こる場合に組成物がマトリックスを含むようになるという点で、本明細書に記載される組成物は、in situでゲル組成物を形成することを含むことができる。
一実施態様では、本発明で提供される組成物は、患者への投与時に、速やかに(例えば、8、12、16、20、24、28、32、36又は48時間以内に)Cmaxに到達し、その後5、7、10、14、17、21又は28日間以上、生体分子の比較的一定した血漿中濃度を提供する生体分子の血漿中濃度を生じる。特定の実施態様では、本発明で提供される組成物の望ましい薬物動態学的特性は、より低いCmax、より長いtmax及びより長いt0.01若しくはt0.1である。
本発明で提供される組成物は、例えば、T20(配列番号:2)、T1249(配列番号:57)、T897(配列番号:58)、T2635(配列番号:5)、T999(配列番号:59)及びT1144(配列番号:9)と呼ばれるある抗ウイルス性ペプチド、又はこれらのペプチドの2つ以上の組合せ及び、T20(配列番号:2)、T1249(配列番号:57)、T897(配列番号:58)、T2635(配列番号:5)、T999(配列番号:59)及びT1144(配列番号:9)ペプチドの誘導体を含む組成物の投与に有用である。
一実施態様では、組成物は、溶媒、溶媒-皮下流体交換に際してマトリックスを形成するゲル化物質、及び少なくとも1つの生体活性分子、例えば抗ウイルス性ペプチド、例えばT20(配列番号:2)、T1249(配列番号:57)、T897(配列番号:58)、T2635(配列番号:5)、T999(配列番号:59)及びT1144(配列番号:9)又はそれらの誘導体を含む。組成物は、例えば、投与前に溶液又は懸濁液として存在することができる。溶液又は懸濁液は、水性であるか、又は有機溶媒を含むことができる。一実施態様では、組成物は、最高18ヵ月間、室温で保存することができる。患者の皮下空間の体液への投与及び曝露の後に、ゲル化物質は、生物分解性であるか少なくとも生物浸食性であるマトリックスを形成することができる。従って、一実施態様では、組成物は液状剤形で、例えば皮下注射によって、それを必要とする患者に投与することができる。生じたマトリックスは、例えば、生体活性分子(複数可)のための徐放性マトリックスとして働くことができる。
一般に、本発明で提供される組成物は、少なくとも1つのゲル化物質を、患者への投与時にマトリックスを形成するのに十分な量(例えば、約50〜1000mg/g、100〜900mg/g、150〜900mg/g、200〜900mg/g、250〜900mg/g、500〜900mg/g、750〜900mg/g又は750〜1000mg/g)で含む。一実施態様では、ゲル化物質の適当な量(mg/g)は、媒体比からの媒体ゲル化物質組成物を加え、10を掛けることによって決定することができる。一実施態様では、ゲル化物質は、ラクチド又はグリコリド重合体である。特定の実施態様では、ゲル化物質は、酢酸スクロースイソブチレート(SAIB)、ポリ乳酸(PLA、例えばPLA3L、PLA3M若しくはPLA-PEG)又はポリ乳酸-グリコリド共重合体(PLG、PLGA、例えばPLGA1、PLGA-グルコース若しくはPLGA-PEG)である。本発明で提供される組成物は、抗ウイルス性ペプチドなどの生体活性分子を含むこともできる。一実施態様では、本発明で提供される組成物は、生体活性分子の有効量が、患者へ投与時に形成されたマトリックスから、例えば徐放的に放出されるように、生体活性分子の十分な濃度を含む。
本発明で提供される組成物は、少なくとも5%の生体活性分子の濃度を一般に含み、及びその濃度で投与することができる。従って、一実施態様では、本発明で提供される組成物は、組成物の重量の5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、20%以上かその近似値の量の生体活性分子(例えば、抗ウイルス性ペプチド)を含む。一実施態様では、本明細書で提供される組成物は、生体活性分子の約80〜90mg/ml、90〜100mg/ml、100〜105mg/ml、105〜110mg/ml、110〜125mg/ml、125〜130mg/ml、130〜140mg/ml、140〜150mg/ml、150〜200mg/ml、200〜250mg/ml、250〜300mg/mlを含む。
特定の実施態様では、本発明で提供される組成物は、患者への投与時に、生体活性分子の初期バーストに続いて、組成物の投与後の少なくとも5、7、10又は14日間に生体活性分子の持続的放出を提供するマトリックスを形成する。ある実施態様では、患者への本発明で提供される組成物の投与によって提供される生体活性分子の初期バーストは、組成物の投与から2、4、6、8、10、12、14、16、18、20又は24時間以内に、少なくとも又は約1μg/ml、2μg/ml、3μg/ml、4μg/ml、5μg/ml、6μg/ml、7μg/ml、8μg/ml、9μg/ml、10μg/ml、11μg/ml、12μg/ml、13μg/ml、14μg/ml又は15μg/ml以上のCmaxである。ある実施態様では、患者への本発明で提供される組成物の投与によって提供される生体活性分子の持続的放出は、組成物の投与後少なくとも5、7、10、14、21、25又は28日間以上、0.1μg/ml、0.5μg/ml、1μg/ml、1.25μg/ml、1.5μg/ml又は2.0μg/ml以上であるかそれを超える。
別の実施態様では、患者への投与時にマトリックスを形成し(例えば、in situで)、投与から12時間以内に少なくとも10μg/mlの生体活性分子(例えば、抗ウイルス性ペプチド)のCmaxと、続いて少なくとも7日間少なくとも1μg/mlの血漿レベルをもたらす持続的放出を提供する組成物が、本発明で提供される。
一実施態様では、本発明で提供される抗ウイルス性ペプチドを含む組成物は、医薬として許容し得る担体、巨大分子又はそれらの組合せなどの、少なくとも1つの追加の成分をさらに含む。
別の実施態様では、組成物は1つ以上の追加の生体活性分子を含む。一実施態様では、組成物は、T20、T1249、T897、T2635、T999又はT1144ペプチド又はそれらの誘導体を含むことができる。別の実施態様では、そのような組成物は、1つ以上の他の抗ウイルス薬を含むことができるか、さらに含む。単独で、又は組合せ療法体系の一部として組成物で用いることができる他の抗ウイルス薬には、それらに限定されないが、DP107(T21)又は、引用によりその全体が本明細書に組み込まれている米国特許第6,541,020号B1に記載のものなどの、任意の他の抗ウイルス性ポリペプチドが含まれる。治療剤の他の例示的な非限定例には、サイトカインなどの抗ウイルス薬、例えばrIFNα、rIFNβ、rIFNγ;逆転写酵素阻害剤、例えば、それらに限定されないが、アバカビル、AZT(ジドブジン)、ddC(ザルシタビン)、ネビラピン、ddI(ジダノシン)、FTC(エムトリシタビン)、(+)及び(-) FTC、レバーセット、3TC(ラミブジン)、GS 840、GW-1592、GW-8248、GW-5634、HBY097、デラビリジン、エファビレンツ、d4T(スタブジン)、FLT、TMC125、アデフォビル、テノフォビル及びアロブジン;プロテアーゼ阻害剤、例えば、それらに限定されないが、アムプレニビル、CGP-73547、CGP-61755、DMP-450、インディナビル、ネルフィナビル、PNU-140690、リトナビル、サキナビル、テリナビル、チプラノビル、アタザナビル、ロピナビル、ABT378、ABT538及びMK639;リバビリンなどのウイルスmRNAキャッピング阻害剤;抗HIV活性を有する脂質結合分子としてのアムホテリシンB;糖タンパク質プロセシング阻害剤としてのカスタノスペルミン;ウイルス侵入阻害剤、例えば融合阻害剤(エンフュービルタイド、T1249、他の融合阻害ペプチド及び小分子)、SCH-D(Schering-Plough)、UK-427857(Pfizer)、TNX-355(Tanox社)、AMD-070(AnorMED)、Pro 140、Pro 542(Progenics)、FP-21399(EMD Lexigen)、BMS806、BMS-488043(Bristol-Myers Squibb)、マラビロク(UK-427857)、ONO-4128、GW-873140、AMD-887、CMPD-167及びGSK-873,140(GlaxoSmithKline);CXCR4アンタゴニスト、例えばAMD-070);脂質及び/又はコレステロール相互作用調節因子、例えば塩酸プロカイン(SP-01及びSP-01A);それらに限定されないがL-870及び810を含む、インテグラーゼ阻害剤; RNアーゼH阻害剤; rev又はREVの阻害剤; vif阻害剤(例えば、vif由来のプロリンに富むペプチド、HIV-1プロテアーゼN末端由来のペプチド);それらに限定されないがベツリン及びジヒドロベツリン誘導体を含む、ウイルスプロセシング阻害剤(例えば、PA-457);並びに、それらに限定されないが、AS-101、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、IL-2、バルプロン酸及びサイモペンチンを含む免疫調節剤が含まれる。
一実施態様では、生体活性分子(例えば、抗ウイルス性ペプチド)が溶解される組成物が、本発明で提供される。
別の実施態様では、生体活性分子(例えば、抗ウイルス性ペプチド)が懸濁される組成物が、本発明で提供される。
別の実施態様では、懸濁される生体活性分子(例えば、抗ウイルス性ペプチド)が噴霧乾燥形態である組成物が、本発明で提供される。
別の実施態様では、懸濁される生体活性分子(例えば、抗ウイルス性ペプチド)が塩(例えば金属塩)を含む噴霧乾燥形態である組成物が、本発明で提供される。
別の実施態様では、懸濁される生体活性分子(例えば、抗ウイルス性ペプチド)が亜鉛を含む噴霧乾燥形態である組成物が、本発明で提供される。
別の実施態様では、懸濁される生体活性分子(例えば、抗ウイルス性ペプチド)がカルシウムを含む噴霧乾燥形態である組成物が、本発明で提供される。
別の実施態様では、懸濁される生体活性分子(例えば、抗ウイルス性ペプチド)が鉄を含む噴霧乾燥形態である組成物が、本発明で提供される。
別の実施態様では、懸濁される生体活性分子(例えば、抗ウイルス性ペプチド)が沈殿形態である組成物が、本発明で提供される。
別の実施態様では、懸濁される生体活性分子(例えば、抗ウイルス性ペプチド)が塩(例えば金属塩)を含む沈殿形態である組成物が、本発明で提供される。
別の実施態様では、懸濁される生体活性分子(例えば、抗ウイルス性ペプチド)が亜鉛を含む沈殿形態である組成物が、本発明で提供される。
別の実施態様では、懸濁される生体活性分子(例えば、抗ウイルス性ペプチド)がカルシウムを含む沈殿形態である組成物が、本発明で提供される。
別の実施態様では、懸濁される生体活性分子(例えば、抗ウイルス性ペプチド)が鉄を含む沈殿形態である組成物が、本発明で提供される。
別の実施態様では、懸濁される生体活性分子(例えば、抗ウイルス性ペプチド)がマグネシウムを含む沈殿形態である組成物が、本発明で提供される。
別の実施態様では、懸濁される生体活性分子(例えば、抗ウイルス性ペプチド)が銅を含む沈殿形態である組成物が、本発明で提供される。
別の実施態様では、懸濁される生体活性分子(例えば、抗ウイルス性ペプチド)がアルミニウムを含む沈殿形態である組成物が、本発明で提供される。
別の実施態様では、約1〜15%、1〜14%、1〜13%、1〜12%、1〜11%、1〜10%、1〜9%、1〜8%、1〜7%、1〜6%、1〜5%、1〜4%、1〜3%、1〜2%、5〜15%、7〜15%、5〜10%、7〜10%又は10〜15%の塩、例えば金属塩を含む組成物が、本発明で提供される。さらなる実施態様では、抗ウイルス性ペプチドなどの生体分子に対して1:1のモル比で存在する金属塩などの塩を含む組成物が、本発明で提供される。本発明で提供される組成物で有用な金属塩の特定の例には、それらに限定されないが、亜鉛、カルシウム及び鉄が含まれる。
本発明で提供される組成物中のゲル化物質の比を変化させることは、本発明で提供される組成物の患者への投与の後に形成されるマトリックスからの生体分子の送達速度を調節すること、例えば改善又は最適化することができる。特定の実施態様では、本発明で提供される組成物中のSAIB:PLA比を低下させることは、任意の特定の時間における患者の生体分子の血漿中濃度の増加をもたらすことができ、また、生体分子の特定の血漿レベルが患者で維持される期間を延長することができる。
特定の実施態様では、本発明で提供される組成物で溶媒としてトリアセチン又は安息香酸ベンジルの代わりにNMPを用いることは、任意の特定の時間に患者の生体分子の血漿中濃度の増加をもたらすことができ、また、生体分子の特定の血漿レベルが患者で維持される期間を延長することができる。具体的な実施態様において、溶媒としてトリアセチンの代わりにNMPを用いることは、Cmaxの増加をもたらすことができる。
別の実施態様では、本発明で提供される組成物の投与される注射容量を増加させる(例えば2倍にする)ことは、任意の特定の時間における患者の生体分子の血漿中濃度の増加をもたらすことができ、また、生体分子の特定の血漿レベルが患者で維持される期間を延長することができる。
別の実施態様では、用いるゲル化物質の型(例えば、PLA)は、本発明で提供される組成物の薬物動態学的パラメータに影響を及ぼすことができる。特定の実施態様では、3Lから3MへのPLA型の変更は、Cmaxの低下、tmaxの増加及びt0.01の増加をもたらすことができる。
別の実施態様では、本発明で提供される組成物で溶媒に対するゲル化物質の比を変更することは、生体分子の送達速度に影響を及ぼすことができる。特定の実施態様では、本発明で提供される組成物でゲル化物質対溶媒(例えば、PLGA1A対NMP)の比を増加させることは、Cmaxの低下、tmaxの増加及びt0.01の増加をもたらすことができる。
別の実施態様では、重合体の型及び分子量を変更することは、生体分子の送達速度を向上させることができる。特定の実施態様では、重合体の分子量を増加させること及び/又はL:G(ラクチド:グリコリド)の比を増加させることは、Cmaxの低下、tmaxの増加及びt0.01の増加をもたらすことができる。
別の実施態様では、本発明で提供される組成物でペプチド濃度を増加させる(例えば2倍にする)ことは、Cmaxの低下、tmaxの増加及びt0.01の低下をもたらすことができる。
別の実施態様では、媒体中のゲル化物質(例えば、PLGA)の量を増加させることは、Cmaxの低下、tmaxの増加及びt0.01の低下をもたらすことができる。
別の実施態様では、媒体(例えば、SAIBを含有する媒体)中のゲル化物質(例えば、PLA)の量を増加させることは、本発明で提供される組成物からの生体分子の放出を遅くする(例えば、Cmaxを低下させ、tmaxを増加させ、及び/又はt0.01を増加させる)。特定の実施態様では、媒体中のPLAの量を1%から5%に増加させることは、本発明で提供される組成物からの生体分子の放出をさらに遅くする。別の実施態様では、媒体中のPLAの量を5%から10%に増加させることは、本発明で提供される組成物からの生体分子の放出をさらに遅くする。
(溶媒)
本発明で提供される組成物及び方法で有用である溶媒には、患者への組成物の注射を可能にするのに十分なゲル化物質を希釈することができる、任意の水混和性液体が含まれる。一実施態様では、溶媒はN-メチル-2-ピロリドン(NMP)である。他の適する溶媒には、それらに限定されないが、水、アルコール類(例えば、メチル、エチル、イソプロピル及びベンジルアルコール)、グリコール類(例えば、ポリエチレン、プロピレン及びテトラグリコール)、安息香酸類(例えば、安息香酸エチル及び安息香酸ベンジル)、グリセリド類(例えば、モノグリセリド、ジグリセリド及びトリグリセリド)、トリアセチン並びに医薬として許容し得るエステル類(例えば、乳酸エチル及び炭酸プロピル)が含まれる。
(ゲル化物質)
本発明で提供される組成物及び方法で有用であるゲル化物質には、溶媒皮下体液交換に際してマトリックスを形成する任意の溶媒混和性の物質が含まれる。一実施態様では、ゲル化物質は、酢酸スクロースイソブチレート(SAIB)又はその誘導体、例えば酢酸スクロース又は酢酸スクロースイソブチレート特級(SAIB-SG)である。別の実施態様では、ゲル化物質は、ポリ乳酸(PLA)、例えばPLA3L又はPLA3Mである。別の実施態様では、ゲル化物質は、ポリ乳酸-グリコリド共重合体(PLG、PLGA、PLGA-グルコース又はその誘導体、例えばPLGA-PEG1500若しくはPLA-PEG1500)である。別の実施態様では、ゲル化物質は、ポリカプロラクトン又はその誘導体若しくはそのラクチド/グリコリド共重合体である。PLA及びPLGAは、ラクチド:グリコリド比、分子量及びそれらの末端基が異なる。分子量は、名称中の番号によって等級分けされる。分子量の推定値は、番号の10000倍である。末端基は、カルボン酸(A)、メチルエステル(M)又はラウリルエステル(L)である。
一実施態様では、本発明で提供される組成物は、同じであるか異なる重量パーセントで存在する2つ以上の異なるゲル化剤を含むことができる。特定の実施態様では、ゲル化物質は、PLA、PLG、PLGA又はPLGA-グルコースから選択される2つ以上の物質の混合物である。
ある実施態様では、ゲル化物質は、約5〜95重量%、約5〜90重量%、約10〜90重量%、約10〜85重量%、約15〜85重量%、約20〜85重量%、約30〜85重量%、約30〜80重量%、約30〜70重量%、約30〜65重量%、約30〜60重量%、約40〜85重量%、約45〜85重量%、約50〜85重量%、約55〜85重量%、約60〜85重量%、約65〜85重量%、約70〜85重量%、約75〜85重量%、約80〜85重量%、約1〜15重量%、約5〜15重量%又は約10〜15重量%の量で存在する。
別の実施態様では、ゲル化物質は、約25〜900mg/g、100〜900mg/g、200〜900mg/g、300〜900mg/g、400〜900mg/g、500〜900mg/g、100〜800mg/g、100〜700mg/g、100〜600mg/g、100〜500mg/g、200〜800mg/g、300〜600mg/g、25〜250mg/g、25〜200mg/g、25〜150mg/g、50〜150mg/g、50〜100mg/g、50mg/g、75mg/g又は100mg/gの量で存在する。
(ペプチド)
抗ウイルス性ペプチドである生体活性分子に関して、当技術分野で公知である任意の抗ウイルス性ペプチドを、本発明で提供される組成物及び方法で用いることができる。一実施態様では、抗ウイルス性ペプチドは、T20、T1249、T897、T2635、T999又はT1144ペプチド又はそれらの誘導体である。
本発明で提供される組成物及び方法で有用な特定の抗ウイルス性ペプチドには、配列番号:5のアミノ酸配列を有する基準アミノ酸配列(「基準配列」)に由来するHIV融合阻害ペプチドが含まれるが、各HIV融合阻害ペプチドは、そのアミノ酸配列に複数のロイシンジッパー様モチーフを有すること、及び、ロイシンジッパー様モチーフを形成するのに必要なもの以外の、そのアミノ酸配列に存在する少なくとも1つの追加のロイシン(すなわち、配列番号:5のアミノ酸位置21のイソロイシンをロイシンで置換することによって例示されるように;ロイシンジッパー様モチーフのアミノ酸位置1又は8以外の配列中のアミノ酸)を有することによって基準配列とは異なる。
本発明で提供される組成物及び方法で有用なさらなる抗ウイルス性ペプチドには、配列番号:5のアミノ酸配列を有する基準アミノ酸配列(「基準配列」)に由来するHIV融合阻害ペプチドが含まれるが、各HIV融合阻害ペプチドは、そのアミノ酸配列に2つを超えるロイシンジッパー様モチーフを有することによって、基準配列とは異なる。
本発明で提供される組成物及び方法で有用なさらなる抗ウイルス性ペプチドには、一連のHIV融合阻害ペプチドが含まれ、各HIV融合阻害ペプチドは:(a)HIV gp41のHR2領域に由来するアミノ酸配列を含み;(b)2つ以上及び5つ以下のロイシンジッパー様モチーフを有するアミノ酸配列を有し;(c)ロイシンジッパー様モチーフのアミノ酸位置1又は8以外でそのアミノ酸配列に少なくとも1つの追加のロイシンを有する(例えば、配列番号:5〜7のいずれか1つ以上の基準配列と比較して)アミノ酸配列を有し;任意選択で(d)1つ以上の生物的性質の予想外の改善を示す。一実施態様では、HIV融合阻害ペプチドはHIV gp41のHR2領域に由来するアミノ酸配列を含み、そのアミノ酸配列は、HR2ロイシンジッパー様モチーフ、例えば、図1又は図2に示すHR2ロイシンジッパー様モチーフを含む。好ましい実施態様では、HIV融合阻害ペプチドは、長さが14〜60個のアミノ酸残基である。一実施態様では、HIV融合阻害ペプチドは、N末端ブロック基又はC末端ブロック基、又は両方をさらに含み;それらの末端ブロック基には、それらに限定されないが:N末端のアミノ基又はアセチル基;及び、C末端のカルボキシル基又はアミド基を含めることができる。
本発明で提供される組成物及び方法で有用なさらなる抗ウイルス性ペプチドには、HIV融合阻害ペプチドが含まれ、各HIV融合阻害ペプチドは:(a) HIV gp41のHR2領域に由来するアミノ酸配列を含み;(b)2つを超え、5つ以下のロイシンジッパー様モチーフを有するアミノ酸配列を有し;(c)ロイシンジッパー様モチーフのアミノ酸位置1又は8以外でそのアミノ酸配列に少なくとも1つの追加のロイシンを有する(例えば、配列番号:5〜7のいずれか1つ以上の基準配列と比較して)アミノ酸配列を有し;(d)1つ以上の生物的性質の予想外の改善を示す。一実施態様では、HIV融合阻害ペプチドは、HIV gp41のHR2領域に由来するアミノ酸配列を含み、そのアミノ酸配列は、HR2ロイシンジッパー様モチーフ、例えば、図1又は図2に示すHR2ロイシンジッパー様モチーフを含む。好ましい実施態様では、HIV融合阻害ペプチドは、長さが14〜60個のアミノ酸残基である。一実施態様では、HIV融合阻害ペプチドは、N末端ブロック基又はC末端ブロック基、又はその両方をさらに含み;それらの末端基には、それらに限定されないが:N末端のアミノ基又はアセチル基;及び、C末端のカルボキシル基又はアミド基を含めることができる。
本発明で提供される組成物及び方法で有用なさらなる抗ウイルス性ペプチドには、配列番号:5に類似したアミノ酸配列を有するHIV融合阻害ペプチドが含まれるが、但し、HIV融合阻害ペプチドのアミノ酸配列は:(a)一つを超えるロイシンジッパー様モチーフを有し、ロイシンジッパー様モチーフを形成するのに要するロイシン以外の少なくとも1つの追加のロイシンを有する(すなわち、ロイシンジッパー様モチーフの位置1又は8以外で);又は(b)2つを超えるロイシンジッパー様モチーフを有し;HIV融合阻害ペプチドは、1つ以上の生物的性質の改善を示す。一実施態様では、HIV融合阻害ペプチドは、長さが14〜60個のアミノ酸残基である。一実施態様では、HIV融合阻害ペプチドは、HIV gp41のHR2領域に由来するアミノ酸配列を含み、そのアミノ酸配列は、HR2ロイシンジッパー様モチーフ、例えば、図1又は図2に示すHR2ロイシンジッパー様モチーフを含む。
本発明で提供される組成物及び方法で有用なさらなる抗ウイルス性ペプチドには、配列番号:9、10、14及び15によって例示されるペプチド、又は配列番号:9、10、14及び15のいずれか1つと比較して1〜3つのアミノ酸の差を含むHIV融合阻害ペプチドが含まれる。
本発明で提供される組成物及び方法で有用なさらなる抗ウイルス性ペプチドには、配列番号:5の基準アミノ酸配列にアミノ酸配列が類似しているHIV融合阻害ペプチドが含まれるが、但し、その基準アミノ酸配列と比較して、HIV融合阻害ペプチドのアミノ酸配列はそのアミノ酸配列に2つを超えるロイシンジッパー様モチーフを有し;HIV融合阻害ペプチドは、1つ以上の生物的性質の予想外の改善を示す。本発明で提供される組成物及び方法で有用なさらなる抗ウイルス性ペプチドには、配列番号:11〜13によって例示されるペプチド、又は配列番号:11〜13のいずれか1つと比較して1〜3つのアミノ酸の差を含むHIV融合阻害ペプチドが含まれる。
本明細書に記載されるHIV融合阻害ペプチドは、ペプチドをコードする核酸の組換え発現を含む公知の方法により、通常通り生成することができる。例えば、ペプチドを発現させ、そこからペプチドを得ることができるように、HIV融合阻害ペプチドを組換えにより発現するように操作された細胞を、適当な時間、適当な条件下で培養することができる。本明細書に記載されるHIV融合阻害ペプチドは、合成法によって生成することもできる。一実施態様では、ペプチドは、線形合成法によって組み立てられる。他の実施態様では、ペプチドは、2つ以上のペプチドフラグメントからフラグメント縮合アプローチを用いて組み立てられる。一実施態様では、フラグメントAA (1-26)及びAA (27-37)が共有結合的にカップリングし、AA (38)と組み立てられて、配列番号:9のアミノ酸配列を有するHIV融合阻害ペプチドを生成する、2フラグメント縮合アプローチが用いられる。さらなる実施態様では、フラグメントAA (1-12)、AA (13-26)及びAA (27-37)が共有結合的にカップリングし、AA (38)と組み立てられて、配列番号:9のアミノ酸配列を有するHIV融合阻害ペプチドを生成する、3フラグメントアプローチが用いられる。
本明細書に記載される組成物で用いることができる具体的なペプチドフラグメントを、以下に記載する。各ペプチドフラグメントは、ペプチドフラグメントの集団の1つ以上の他のペプチドフラグメントに共有結合させて、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14又は配列番号:15のアミノ酸配列を有するHIV融合阻害ペプチドを生成することができる、中間体の役目を果たすことができる。一実施態様では、ペプチドフラグメントの集団内のペプチドフラグメントを、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14又は配列番号:15のアミノ酸配列を有する所望のHIV融合阻害ペプチドをもたらす方法で溶液相工程で結合させる。その構成ペプチドフラグメントを合成し、次にそれらのペプチドフラグメントを組み立ててHIV融合阻害ペプチドを形成することによって生成されるHIV融合阻害ペプチドも、本発明で提供される組成物で有用であり、そこにおいて、HIV融合阻害ペプチドは配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14又は配列番号:15のアミノ酸配列を有する。
一実施態様では、ペプチドを噴霧乾燥させることを含む、ペプチドの製造方法が本発明で提供される。例えば、ペプチドを、4未満又は6を超えるpHで(例えば、水に)溶解させることができ、そこでは、1N NaOH又は1N HClなどの適当な酸又は塩基を用いてpHを調節し、その後、噴霧ノズルを通してペプチド溶液を加熱チャンバ内に噴霧する。乾燥したペプチド粒子は、手動で収集することができる。
別の実施態様では、上記の噴霧乾燥方法は、賦形剤を噴霧乾燥溶液に加え、それによって賦形剤及びペプチドを混和することをさらに含む。例示的な賦形剤の例には、それらに限定されないが、充填剤、増量剤、希釈剤、湿潤剤、溶媒、乳化剤、防腐剤、香料、吸収促進剤、徐放性マトリックス、着色剤及びアルブミンなどの高分子物質又はアミノ酸及び糖などの物質が含まれる。
別の実施態様では、噴霧ノズルを通してペプチド溶液を別の溶液(例えば、亜鉛塩、鉄塩又はカルシウム塩溶液などの金属塩溶液)中に噴霧する(噴霧乾燥に類似した方法で)ことを含む、ペプチドの製造方法が本発明で提供される。次に、生じた懸濁液を遠心分離し、上清を別の容器に移し、沈殿物を冷凍することができる。沈殿物を凍結乾燥させ、200μmスクリーンに通すことができる。
別の実施態様では、塩又はpH沈殿を含むペプチドの製造方法が本発明で提供され、そこでは、ペプチドを4未満又は6を超えるpHで(例えば、水に)溶解させ、1N NaOH又は1N HClなどの適当な酸又は塩基を用いてpHを約4〜6又は約4.8〜5.2に調節する。特定の実施態様では、この方法は、沈殿を引き起こすために、塩溶液又は強い酸/塩基溶液をペプチド溶液に加えることを含む。別の実施態様では、この方法は、遠心分離による沈殿の収集、凍結乾燥による沈殿の乾燥、及び任意選択で、粒子サイズの調整のために200μmスクリーンに沈殿を通すことをさらに含む。
理論によって限定されることなく、本発明で提供される組成物で用いるペプチドを製造するために用いる工程及び試薬は、ある患者又は疾患のために有益な望ましいか改善された薬物動態学的パラメータ(例えば、生体活性分子の放出の量又は持続時間)をもたらすことができると思われる。詳細には、金属(例えば、亜鉛、鉄又はカルシウム)が沈殿ペプチドに組み込まれる方法(例えば、噴霧及び/又は沈殿)は、生じる組成物の薬物動態学的パラメータに影響を及ぼすことができる。
一実施態様では、ペプチド沈殿工程の間に金属量(例えば、亜鉛量)を増加させることは、Cmaxを低下させ、tmaxを増加させ、t0.01を増加させることができる。別の実施態様では、低金属量(例えば、低亜鉛量)沈殿に金属塩(例えば、硫酸亜鉛)を凍結乾燥塩として加えることは、Cmaxを低下させ、tmaxを増加させ、t0.01を増加させることができる。
別の実施態様では、ペプチドがそこから沈殿する溶液は、Cmax及びtmaxに影響を及ぼすことができる。例えば、50:50のメタノール:水からペプチドを沈殿させることは、水単独からペプチドを沈殿させることと比較して、Cmaxを低下させ、tmaxを増加させることができる。
別の実施態様では、ペプチドを製造する方法は、Cmax及びtmaxに影響を及ぼすことができる。例えば、噴霧される沈殿物は、噴霧されない沈殿物と比較してCmaxを増加させ、tmaxを増加させることができる。
(使用方法)
本発明で提供される組成物を用いる方法が、本明細書でさらに提供される。一実施態様では、組成物は治療計画、例えば抗ウイルス治療計画の一部として用いられる。ある実施態様では、そのような治療計画は、例えば、HIV感染症の療法のために用いることができる。
一実施態様では、標的細胞へのHIVの伝搬の阻止のために本発明で提供される組成物を用いる方法であって、標的細胞が、ウイルスによる細胞の感染を阻止するのに有効な量の活性剤、例えば、抗ウイルス性ペプチドと接触するように、本発明で提供される組成物の量を患者に投与することを含む方法が本発明で提供される。この方法は、例えば、HIV感染患者を治療するために用いることができる。一実施態様では、標的細胞へのHIVの伝搬を阻止することは、標的細胞へのHIV-1のgp41媒介性の融合を阻止すること、及び/又はHIV感染細胞と標的細胞との間のシンシチウム形成を阻止することを含む。
HIV感染症(一実施態様では、HIV-1感染症)を治療する方法であって、HIV感染患者にHIV感染症を治療するのに有効な量により本発明で提供される組成物を投与することを含む方法も、本発明で提供される。一実施態様では、組成物は、標的細胞へのHIVの伝搬を阻止するのに有効な量のHIV融合阻害ペプチド、及び/又は標的細胞へのHIVのgp41媒介性の融合を阻止するのに有効な量のHIV融合阻害ペプチドを含む。これらの方法は、例えば、HIV感染患者を治療するために用いることができる。
特定の実施態様では、HIV感染症に付随する症状を改善する方法であって、HIV感染患者に、溶媒、ゲル化物質並びに、T20、T1249、T897、T2635、T999及びT1144から選択されるペプチド又はそれらの組合せを含む組成物を投与することを含む方法が本発明で提供される。
HIV感染症の療法に用いられる(例えば、HIVの伝搬を阻止する方法、HIV融合を阻止する方法及び/又はHIV感染症を治療する方法で用いられる)医薬の製造における、HIV融合阻害ペプチドを含む組成物の使用方法が、本明細書でさらに提供される。医薬は、HIV融合阻害ペプチドなどの生体活性分子、溶媒、ゲル化物質、及び任意選択で、1つ以上の医薬として許容し得る担体を含む医薬組成物の形であってもよい。
一実施態様では、本発明で提供される組成物は、皮下注射などの注射によって投与することができる。
別の実施態様では、本発明で提供される組成物は、3、5、7、10、14、17、21、28又は60日毎に1回、投与することができる(例えば、皮下注射によって)。
別の実施態様では、本発明で提供される組成物は、1日又は数日間、1週又は数週間、1ヶ月又は数ヶ月間、或いは1年又は数年間、1日につき1回、2回、3回又はそれ以上投与することができる(例えば、皮下注射によって)。
別の実施態様では、本発明で提供される組成物は、1週間に1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回又はそれ以上投与することができる(例えば、皮下注射によって)。具体的な実施態様では、本発明で提供される組成物は、1週間に1回又は2回投与することができる(例えば、皮下注射によって)。別の具体的な実施態様では、本発明で提供される組成物は、2週間毎に2回投与される(例えば、皮下注射によって)。各投与は、1つ、2つ、3つ又はそれ以上の注射を含むことができる。
一実施態様では、本発明で提供される組成物は、100μl、200μl、300μl、400μl、500μl、600μl、700μl、800μl、900μl、1000μl又はそれ以上の容量で投与される。
一実施態様では、本明細書で提供される組成物は、注射器、例えば、100μl、200μl、300μl、400μl、500μl、600μl、700μl、800μl、900μl、1000μl又はそれ以上の容量の注射器による注射によって送達される。一実施態様では、送達のための自動注入デバイス又はペンデバイスを用いることができる。別の実施態様では、送達デバイスは予め充填されてもよい。1つの特定の実施態様では、30ゲージ、0.5インチの固定針を有する、300μl、500μl又は1000μl容量の送達注射器として、Owen MumfordによるAutoJect 2を用いることができる。別の特定の実施態様では、30ゲージ、0.5インチの固定針を有する、300μl、500μl又は1000μl容量のBecton Dickinson UltraFine注射器を用いることができる。一実施態様では、薬剤送達の注入深度を制御することができる。
1つの特定の実施態様では、本明細書で提供される組成物は、注射用蒸留水(pH 7.4)中の活性医薬成分、例えば配列番号:9の50mg/mlの投薬量で、医薬として許容し得る担体、例えばマンニトールと一緒に1日1回投与される。別の特定の実施態様では、本明細書で提供される組成物は、pH 7.4の水の中の活性医薬成分、例えば配列番号:9の125mg/mlの投薬量で、1日1回投与される。
(実施例1)
下記実施例において、様々な生物物理学的パラメータ、及び生物学的パラメータを評価した。これらのパラメータを測定する一般的方法は下記の通りである。
HIV融合阻害剤ペプチドを含めたペプチド、及び基準配列は、標準的固相合成技術を用い、かつ標準的FMOCペプチド化学、又は本明細書中の実施例3に詳細に記載されている固相合成と液相合成との組合せを用いて、ペプチド合成機で合成した。この実施例において、HIV融合阻害剤ペプチドは、反応性官能基をさらに含むことができた;すなわち、多くはN末端をアセチル基により、及び/又はC末端をアミド基によりブロックした。樹脂からの切断後に、該ペプチドを沈殿させ、該沈殿物を凍結乾燥した。次に該ペプチドを、逆相高速液体クロマトグラフィーを用いて精製し;かつエレクトロスプレー質量分析を用いて、ペプチド同一性を確認した。
生物物理学的パラメータの評価には、ヘリシティ及び熱的安定性の測定値を含ませた。ヘリシティは、下記のように円二色性(「CD」)により評価した。簡潔に言うと、熱電温度調節器を備えた分光計を用いてCDスペクトルを得た。該スペクトルは、25℃で、200nm〜260nmの0.5ナノメートル(nm)刻み、1.5nmバンド幅、及び4秒/刻みの典型的な平均時間で得たものである。セル/緩衝液のブランクを引き算した後に、スペクトルを、ランダムな剰余(random residuals)を与えるように、保存的ウィンドウサイズ(conservative window size)と一致する最小二乗法の三次多項式(third-order least-squares polynomial)を用いて平滑化した。生の楕円率値を、標準的方法を用いて平均残基楕円率に変換し、波長(200〜260nm)対[θ]×10-3(度cm2/dmol)をプロットした。次に、標準的方法を用いて、パーセントヘリシティ値(Percent helicity values)を計算した(通常、10μM、25℃でのパーセントヘリシティとして表される。)。熱的安定性の評価は、温度を2℃刻みで上昇させ、1分の平衡化時間を用いて、222nmのCDシグナルの変化をモニターすることにより行った。各サンプル(例えば、HIV融合阻害剤ペプチド)の安定性は、Tm値で表されるように、熱遷移の第一の誘導体の最大値に相当する温度である。
生物学的特性の評価には、HIV-1株に対する抗ウイルス活性の測定値を含ませた。HIV融合阻害剤ペプチドの抗ウイルス活性の測定において(例えば、ある測定は、HIVの標的細胞への感染を阻害する能力である。)、HIV gp41のHR領域から誘導されるペプチドを用いて作成されるデータにより、インビボにおいて観測される抗ウイルス活性の予測となることが明らかにされているインビトロアッセイを使用した。より詳細には、インビトロ感染性アッセイ(「Magi-CCR5感染性アッセイ」;例えば、米国特許第6,258,782号を参照)を用いて観測される抗ウイルス活性は、同じHIV gp41誘導ペプチドについてインビボで観測される抗ウイルス活性と合理的に相関することが示されている(例えば、Kilbyらの論文, 1998, Nature Med. 4:1302-1307を参照)。これらのアッセイは、誘導体cMAGIを発現する指標細胞株MAGI又はCCR5を用いて、感染性ウイルス力価の減少について点数を付けるものである。両細胞株は、HIV-1 tatの能力を利用して、HIV-LTRにより駆動されるβ-ガラクトシダーゼレポーター遺伝子の発現を転写促進するものである。β-galレポーターは、核に局在するように修飾されており、強度の核染色としてのX-gal基質を用いて、感染の数日以内に検出され得る。従って、染色された核の数は、染色前にたった一回の感染がある場合、接種物中の感染性ウイルス粒子数に等しいものとして解釈することができる。感染細胞はCCD画像を用いて数え、かつ第一及び実験適合分離体の双方は、ウイルス投入と画像により可視化した感染細胞数との間で直線関係を示す。MAGI及びcMAGIアッセイにおいて、抗ウイルス活性を評価するために、感染力価(Vn/Vo = 0.5)の50%減少を有意とし、かつ第一のカットオフ値を提供する(「IC50」は、感染性ウイルス力価の50%減少をもたらす活性成分の濃度として定義される。)。抗ウイルス活性について試験されるペプチドを、様々な濃度に希釈し、48ウェルマイクロタイタープレートにおいて約1500〜2000感染細胞/ウェルとなるように調節したHIV接種物に対して、2回繰返し又は3回繰返しで試験した。該ペプチド(個別の希釈物)を、cMAGI又はMAGI細胞に加え、続いてウイルス接種物を加えた;24時間後に、感染及び細胞-細胞融合の阻害剤(例えば、配列番号:2(エンフビルチド))を加え、第二回目のHIV感染及び細胞-細胞ウイルス伝播を抑制させた。該細胞を2日以上培養し、続いてHIV感染細胞を検出するために固定し、かつX-gal基質を用いて染色した。各対照及びペプチド希釈物について、CCD画像を用いて感染細胞数を測定し、続いてIC50を計算した(μg/mlで表す)。
基準配列からなるペプチドの抗ウイルス活性に耐性を示すウイルスを、標準的実験方法を用いて産生することができる。基本的には、IC50及びIC90の計算後に、細胞をウイルスと該ペプチド(例えば、IC90に近い濃度)とともに培養液中に混合した(その後に該細胞が分裂される時を含む。)。合胞体が現れるまで、該培養液を維持し、かつモニターした。一回目の培養から集菌したウイルスを用いて、二回目の培養の細胞を感染させ、一回目の培養に使用したペプチドよりも高濃度のペプチド(2〜4倍)を使用した。該ペプチドの抗ウイルス活性に耐性を示すウイルスを存在させるために、二回目の培養を維持し、かつモニターした。該ペプチドの抗ウイルス活性(前記分離体の前測定したIC50レベル)に耐性を示すウイルス分離体が最終的に産生されるように、次の回の培養を必要としてもよい。
薬物動態学的特性を測定するために、HIV融合阻害剤ペプチド、又はHIV融合阻害剤ペプチドを誘導した基準配列を、カニクイザル(Macaca fasicularis)の静脈内に投与した(薬物動態学的特性を測定するために、当該技術分野で公知の他の動物モデルを使用してもよい。)。投与後様々な時間で、血液サンプルを採取し、遠心分離により血漿を分離した。血漿サンプルは、エレクトロスプレー陽イオンモードのLC-MS(液体クロマトグラフィー/質量分析)により分析するまで冷凍保存した。HIV融合阻害剤又は基準配列は、10mM酢酸アンモニウムpH6.8の緩衝液中にアセトニトリルの勾配を用いて、C18又はC8 HPLCカラムから溶出した。分析時に、2又は3倍容量の0.5%ギ酸含有アセトニトリルを用いて、血漿サンプルを除タンパクした。カニクイザル血漿サンプルの2回繰返し較正基準を、該サンプルと同時に準備し、HIV融合阻害剤ペプチド又は基準配列を含む該サンプルの前後で分析した。単一指数又は二次指数数学モデルを用いて、血漿濃度-時間データから薬物動態学的特性を計算した。非線形最小二乗最適化によりモデルを導き出した。濃度の1/C2重み付けを使用した。下記式を用いて、血漿濃度下面積対時間曲線(AUC)、全身クリアランス(Cl)、及び最終排出半減期(t1/2)を計算した。
AUC = A/-a + B/-b
(式中、A及びBは切片であり、かつa及びbはそれぞれ分布及び排出相を表す指数式の速度定数である。単一指数モデルを使用した場合、「A」及び「a」の性質は除外される。)
Cl = 投与量/AUC (L/K/時間で表される。)
t1/2 = -0.6903/b (時間で表される。)
(実施例2)
本明細書で提供される実施態様を例示する目的のために、基準配列は、下記アミノ酸配列(配列番号:5)を有する。
Figure 2010540528
一実施態様において、HIV融合阻害剤ペプチドは、誘導化される基準配列と比較して、3つ以上のロイシンジッパー様モチーフを含む。前記HIV融合阻害剤ペプチドの例を挙げると、配列番号:11、配列番号:12、及び配列番号:13;或いは配列番号:11、配列番号:12、又は配列番号:13のいずれか1つ(例えば、少なくとも92%同一性を有する)と比較して、1〜3個のアミノ酸相違を有するアミノ酸配列を含むが、これらに制限されない;各HIV融合阻害剤ペプチドは、3〜5個のロイシンジッパー様モチーフのアミノ酸配列を有する。下記例示(I)は、基準配列のアミノ酸位置の下に(「|」を用いて並べられたとおりに)一文字アミノ酸コード(ロイシンに対して「L」、イソロイシンに対して「I」)を用いた(該基準配列と比較して)アミノ酸相違を有し、かつ下線が引かれたロイシンジッパー様モチーフ(同じロイシンジッパー様モチーフの位置1又は8、或いは、1つのロイシンジッパー様モチーフの位置8及び近接するロイシンジッパー様モチーフの位置1)に関与するイソロイシン及びロイシンを有する、HIV融合阻害剤ペプチドのアミノ酸配列を示す。また、1つのロイシンジッパーの位置1又は8は、配列中の反対側の末端位置の別のロイシンジッパー様モチーフとして、すなわち、位置8の1つのモチーフ及び位置1の別の次のモチーフとして作用することができる。
Figure 2010540528
別の実施態様において、HIV融合阻害剤ペプチドは、誘導化される基準配列と比較して、2つ以上のロイシンジッパー様モチーフ、並びに、ロイシンジッパー様モチーフに関与しないさらなるロイシンを含む。そのようなHIV融合阻害剤ペプチドの例を挙げると、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:14、及び配列番号:15;或いは配列番号:9、配列番号:10、配列番号:14、又は配列番号:15のいずれか1つ(例えば、少なくとも92%同一性を有する)と比較して、1〜3個のアミノ酸相違を有するアミノ酸配列を含むが、これらに制限されない;各HIV融合阻害剤ペプチドのアミノ酸配列は、2つ以上のロイシンジッパー様モチーフ、及びロイシンジッパー様モチーフの形成に関与しない(すなわち、ロイシンジッパー様モチーフの位置1又は8以外に)さらなるロイシンを含む点で、配列番号:5の基準配列とは異なる。一実施態様では、非ロイシンジッパー様モチーフのロイシン置換は、配列番号:5の基準配列のアミノ酸21の位置でイソロイシンを置換し、それは、これらのペプチドの有益な生物的性質を促進する因子を提供する置換である。下記例示(II)は、基準配列のアミノ酸位置の下に(「|」を用いて並べられたとおりに)一文字アミノ酸コード(ロイシンに対して「L」、イソロイシンに対して「I」)を用いた(該基準配列と比較して)アミノ酸相違を有し、かつ下線が引かれたロイシンジッパー様モチーフ(同じロイシンジッパー様モチーフの位置1又は8、或いは、1つのロイシンジッパー様モチーフの位置8及び近接するロイシンジッパー様モチーフの位置1)に関与するイソロイシン及びロイシンを有する、HIV融合阻害剤ペプチドのアミノ酸配列を示す。イタリック体は、ロイシンジッパー様モチーフの形成に関与しないロイシンである。
Figure 2010540528
以下の例示(III)は、「基準配列」配列番号:5と本開示のペプチド配列番号:9〜15との総括比較を提供し、それは、配列番号:5と比較して改善された生物的性質を示す。配列番号:5の基準配列と比較した配列番号:9〜15のそれぞれのアミノ酸置換には下線を引き、太字体で示す。
Figure 2010540528
表1に関して、本発明のHIV融合阻害剤ペプチドを、同じ基準配列を有するが(配列番号:9〜15と比較して)アミノ酸配列が異なり、かつ抗HIV活性を有する合成ペプチドと比較した。その比較は、本明細書中の実施例1に記載した方法を用いて測定された、生物物理学的パラメータ、及び生物活性パラメータを含む。生物活性の測定において、抗ウイルス活性により評価されるように、HIV媒介融合を阻害することが知られている幾つかのペプチドの抗ウイルス活性に耐性を示すウイルス分離体(表1における「Res」として指定される耐性ウィルス分離体)を利用する。
Figure 2010540528
配列番号:6及び配列番号:7は、基準配列配列番号:5とは単一のロイシン置換(それぞれ位置24又は位置31)が異なる;上の表1で見られるように、この置換は抗ウイルス活性にあまり影響しないが、この置換は半減期の向上をもたらす(下の表2を参照)。配列番号:6は、配列番号:9を有する本発明のHIV融合阻害剤ペプチドと類似する。但し、配列番号:9のアミノ酸配列は1つのさらなるアミノ酸相違、すなわちアミノ酸位置21にロイシンを有する(一方、配列番号:6は、アミノ酸位置21にイソロイシンを有する。)。表1に関して、配列番号:9におけるイソロイシンのロイシン置換は、配列番号:6のペプチドと比較して、ヘリシティの減少(97%から61%)を与え、同時に良好な耐性プロファイル(耐性ウイルス分離体「Res」に対する活性)を維持している。同様に、配列番号:7は、配列番号:10を有する本発明のHIV融合阻害剤ペプチドに類似するアミノ酸配列である。但し、配列番号:10のアミノ酸配列は、1個のアミノ酸相違、すなわちアミノ酸位置21にロイシンを有する(一方、配列番号:7は、アミノ酸位置21にイソロイシンを有する。)。表1に関して、配列番号:10におけるイソロイシンのロイシン置換は、配列番号:7のペプチドと比較して、ヘリシティの減少(84%から77%)を示し、同時に良好な耐性プロファイル(耐性ウイルス分離体「Res」に対する活性)を維持している。従って、表1は、配列番号:6〜7に対して配列番号:9及び10の改善された特性を示している。
基準アミノ酸配列と比較して、本発明のHIV融合阻害剤ペプチドの薬物動態学的特性が、この実施態様において示されている。上の実施例1でさらに詳細に記載した薬物動態学的特性を評価する方法を用いて、表2は、基準配列配列番号:5の薬物動態学的特性と比較した、本発明によるHIV融合阻害ペプチドの代表の薬物動態学的特性を示す。
Figure 2010540528
表2に示されるように、配列番号:6、7、9、及び10の各々は、生物学的半減期(t1/2)の増加を示す。配列番号:8は、アミノ酸位置21にロイシンを含むが、アミノ酸位置24又は31には含まず、配列番号:6、7、9、及び10のペプチドにより示される半減期の劇的な増加を示さない。
医薬製剤の製造において、HIV融合阻害剤を医薬として許容し得る担体に配合するために、水溶液への安定性は、特に医薬製剤が非経口投与される場合に、重要なパラメータとなり得る。本発明のHIV融合阻害剤ペプチドが、生理的pHでの水溶液の安定性に改善を示すことに留意されたい。例えば、配列番号:2のアミノ酸配列を有する合成ペプチド、配列番号:5、及び配列番号:9のアミノ酸配列を有するHIV融合阻害剤ペプチドの各々を、リン酸緩衝食塩水(PBS)に濃度10mg/mlで該ペプチドを加えることにより、及び1週間(168時間)にわたって異なる時間点で、37℃、約pH7.3〜約pH7.5の範囲の溶液中に残存するペプチドの量を測定することにより(例えばHPLCにより)、溶解度について個々に試験した。配列番号:2を含む溶液は、数時間後に不安定になる(溶液中に検出される最小量のペプチド)。対照的に、配列番号:9のアミノ酸配列を有するHIV融合阻害剤ペプチドの90%以上が、1週間の時間点で溶液中に検出可能に残存し、一方、配列番号:5のアミノ酸配列を有するペプチドの80%未満が、1週間の時間点で、溶液中に検出可能に残存する。
(実施例3)
本明細書で提供されるHIV融合阻害剤ペプチドの生物学的特性を、配列番号:2(エンフビルチド)などの他の認可されている効果的な抗ウイルス薬と比較した。特に、関心対象の新規な配列番号:9の化合物と、配列番号:2の立証されている抗ウイルス薬との間で、下記に詳細に記載されるインビトロ耐性比較研究を行った:MT2細胞を、ウイルス分離体(IIIB、030、060、及び098)で感染させ、配列番号:2(エンフビルチド)又は配列番号:9の増加する濃度で培養し、耐性について選択した。最初のペプチド濃度は、対応する野生型分離体に対する各ペプチドのIC50の約2倍にした。1〜3日毎に新たなペプチドを加えることにより、ペプチド濃度を維持した。標準的技術を用いて、培養物を細胞変成作用(CPE)についてモニターし、最大CPEが達成された時、ウイルスの小アリコートを次の回の感染に使用した。ペプチド濃度を野生型ウイルスの増殖速度と比較する場合、培養時間の長さに応じてペプチド濃度を2〜4倍に増加させた。また、選択の過程において、ペプチド非含有ウイルスストックを収集した。ペプチド非含有ウイルスストックを、ジデオキシ配列決定化学によりgp41遺伝子型変異について特徴付けし、cMAGI感染性アッセイを用いて、表現型感受性を測定した。
配列番号:2及び配列番号:9を用いた、インビトロ選択の間の比較結果を表3に示す。これらのデータは、配列番号:9選択が、培養において、配列番号:2選択よりも平均3倍長く、IC50においてより小さい倍変化(fold change)を生じた(配列番号:9の24倍と比較して、配列番号:2について42倍)ことを示す。配列番号:9選択は、より多くの突然変異(幾何平均3.6)を要求し、配列番号:2(幾何平均1.7)よりも小さい倍変化を達成した。培養においてより長い日数、より小さい倍変化、及びより多い突然変異体数が、より小さい倍変化をもたらすことを要求し、すべては、配列番号:9が、配列番号:2と比較して、インビトロにおいて耐性の発生に対するより高い障壁を示すことを表している。すなわち、これらの結果は、配列番号:9に対するHIV耐性が、配列番号:2に対する耐性よりも、生じるのにより長い時間がかかることを示している。他のペプチド、例えば配列番号:2及びT1249で導かれるHIV耐性発生の以前の研究に基づき、本明細書中のインビトロにおける結果が、インビボにおける結果と合理的に相関するであろうと予測される。
Figure 2010540528
他のペプチド、例えば配列番号:2及びT1249で実行されたHIV耐性発達についての過去の研究に基づき、本発明で提供されるインビトロの結果がインビボの結果と相応に相関するはずであると予想されよう(例えば、Melbyらの論文、2006、AIDS Research and Human Retroviruses 22(5):375-385; Greenberg & Cammackの論文、2004、J. Antimicrobial Chemotherapy 54:333-340; Sistaらの論文、2004、AIDS 18:1787-1794を参照)。
(実施例4)
一般に、本明細書で提供されるHIV融合阻害剤ペプチドは、2つの方法それぞれにより合成することができる。第一の方法は、標準的固相合成技術を用い、かつ標準的Fmocペプチド化学、又は他の標準的ペプチド化学(化学的保護基、又はCPGを用いる)を用いる、線形合成によるものである。本明細書で提供されるHIV融合阻害剤ペプチドの第2の合成方法は、フラグメント縮合アプローチによるものである。簡潔に言うと、2つ以上のフラグメント(製造されるHIV融合阻害剤ペプチドの全アミノ酸配列の各部分を含む各フラグメント)を合成する。フラグメントの合成において、所望であれば、化学的保護物質により化学的に保護された遊離アミン(例えば側鎖アミン)を有するアミノ酸を組み込んでもよい。次にフラグメントを組立て(様式及び順番において共に共有結合的にカップリングさせる)、このようにして該HIV融合阻害剤ペプチドが製造される(適切なアミノ酸配列を有する)。
ペプチド合成に関して、個々のペプチドフラグメント自身、及び一集団のペプチドフラグメントの組合せから製造される本明細書で提供されるHIV融合阻害剤ペプチドを、それぞれ、ペプチド配列を合成するための当業者に公知の技術を用いて製造してもよい。例えば、1つのアプローチにおいて、ペプチドフラグメントを固相中で合成し、続いて、組立てプロセスにおいて液相中で結合させ、結果として生じるHIV融合阻害剤ペプチドを製造してもよい。別のアプローチにおいて、液相合成を使用してペプチドフラグメントを製造し、続いて、組立てプロセスにおいて固相中で結合させ、HIV融合阻害剤ペプチドを製造してもよい。また別のアプローチにおいて、各ペプチドフラグメントを固相合成を用いて合成し、続いて、組立てプロセスにおいて固相中で結合させ、HIV融合阻害剤ペプチドの全アミノ酸配列を製造してもよい。一実施態様において、各ペプチドフラグメントは、当業者に公知の固相合成を用いて製造される。別の実施態様において、配列番号:9のアミノ酸配列を有するHIV融合阻害剤ペプチドは、ペプチドフラグメント一集団を用いて、固相及び液相技術を組み合わせた組立てプロセスを使用して製造される。例えば、ペプチドフラグメント一集団は、本明細書で提供されるHIV融合阻害剤ペプチドの合成を完成するように合成され、その後組立てられる、2〜4つのペプチドフラグメントを含む。本明細書中の教示に基づき、配列番号:9〜16のいずれか1つのアミノ酸配列を有する幾つかのHIV融合阻害剤ペプチドに対して、フラグメントアセンブリアプローチを使用することができること、及びそれを使用していることは、当業者に明らかである。
フラグメント縮合アプローチによる本明細書で提供されるHIV融合阻害剤ペプチドの製造を例示するために、配列番号:9のアミノ酸配列を有するHIV融合阻害剤ペプチドの合成方法におけるペプチドフラグメントの組立てにおいて、ペプチドフラグメント一集団中のペプチドフラグメントを共有結合的にカップリングした。本明細書で提供されるペプチドフラグメントは、制限されないが、下記表4に示したアミノ酸配列を有するものを含むことができる。本明細書で提供される特定のペプチドフラグメントは、他のペプチドフラグメントを除外して使用され得る。また、各ペプチドフラグメントの配列番号:9の対応するアミノ酸を示す;従って、各ペプチドフラグメントは、配列番号:9のアミノ酸配列の多くの連続するアミノ酸で構成される。
Figure 2010540528
配列番号:9のアミノ酸配列を有するHIV融合阻害剤ペプチドの合成方法における中間体として作用する、特定集団のペプチドフラグメントが本明細書でさらに提供される。本明細書で提供されるペプチドフラグメントの集団は、表5に示されるように、集団1〜16を含む(集団の番号は、記述を簡潔にするためだけのものである)。ペプチドフラグメントの特定の集団は、他のペプチドフラグメントの集団を除外して使用され得る。
Figure 2010540528
従って、一実施態様において、配列番号:9のアミノ酸配列を有するHIV融合阻害剤ペプチドの合成に使用することができる方法、ペプチドフラグメント、及びペプチドフラグメントの集団が本明細書で提供される。また、前記方法、ペプチドフラグメント、及びペプチドフラグメントの集団が、配列番号:9のアミノ酸配列を有するHIV融合阻害剤ペプチド(該HIV融合阻害剤ペプチドは1つ以上の化学基を含む)の合成に使用され得ることは、本明細書中の記述から明らかである:
Figure 2010540528
(式中、アミノ末端、カルボキシル末端、又は側鎖遊離反応性官能基(例えば、内部リジンのイプシロンアミン)の1つ以上は、化学基(B, U, Z;ここでB、U、及びZは同一化学基又は異なる化学基とすることができる)により修飾される。該化学基は、制限されないが:1つ以上の反応性官能基、化学的保護基(CPG)、及び連結基を含むことができる。)。ペプチドフラグメントのN末端若しくはペプチドフラグメントのC末端、内部アミノ酸の遊離アミン、又はこれらの組合せでの化学基導入に有用な技術は、当該技術分野で周知である。配列番号:9のアミノ酸配列を有するHIV融合阻害剤ペプチドの製造に関連して、保護されたペプチドフラグメント(1つ以上の化学基を有するペプチドフラグメント)の実例を挙げると、制限されないが、表6に示したペプチドフラグメントがある。
Figure 2010540528
Ac-アセチル基、NH2-アミド基(しかし、本明細書中の「定義」の項でより詳細に記載されるような別の化学基とすることができる);CPGは化学的保護基(例えば、本明細書中の「定義」の項でより詳細に記載されるようなFmoc又は他のN末端化学的保護基)である;Uは上記で定義されたものである。
最初の試験量を生成するために、最初に配列番号:9を線形的に合成した。大量の配列番号:9を生成するために最初に2フラグメント合成を用い、2フラグメントアプローチによって本方法に導入された効率のために、毒物学及び臨床用の材料の最初のGMP合成について、この経路(図3)を用いた。3フラグメントアプローチ(図7を参照)も、実施した。合成の主な経路には、例えば、アミノ酸位置1〜26及びアミノ酸位置27〜37のフラグメントを用いる2フラグメントアプローチ、並びに、アミノ酸位置1〜12、アミノ酸位置13〜26及びアミノ酸位置27〜37のフラグメントを用いる3フラグメントアプローチが含まれる。配列番号:9の本来線形の合成への、様々な改変が調べられている(実施例12)。配列番号:9は、例えば、Sieberアミド樹脂、リンク充填CTC樹脂及びGlu37側鎖充填樹脂で、線形的に組み立てられた。配列番号:9を組み立てるために用いた線形合成法のさらなる例には、例えば、リンク充填CTC(図4)、Sieber樹脂(図5)及びGlu充填CTC(図6)を用いる合成が含まれる。
(実施例5)
表5(集団1又は集団2)及び図7に関して、3つの特定のペプチドフラグメント(例えば、配列番号:17〜19+Leu;又は配列番号:17、18、及び20)を用い、かつHIV融合阻害剤ペプチドを製造するように3つのペプチドフラグメントを結合させることを含むフラグメント縮合アプローチを用いて、配列番号:9のアミノ酸配列を有するHIV融合阻害剤ペプチドの合成方法を例示する。これらのペプチドフラグメントの各々は、配列番号:9のアミノ酸配列を有するHIV融合阻害剤ペプチドの高収率高純度合成方法において使用される(ある種の2つのフラグメントアプローチに対して)好ましいペプチドフラグメントである物理的特性及び溶解度特性を示した。これらは出発物質として1つの充填樹脂のみ(合成方法の単純化)をさらに要求する。配列番号:17のアミノ酸配列を有し、かつ配列番号:9の最初の12アミノ酸を含むペプチドフラグメント(図7,「AA(1-12)」を参照)を、N末端のアセチル化(化学基として「Ac」)(一方、C末端でカルボキシル基(-COOH)を有する。)(図7,「Ac-AA(1-12)-OH」を参照)を用いて標準的固相合成(超酸感受性樹脂;例えば、4-ヒドロキシメチル-3-メトキシフェノキシ-酪酸樹脂、又は2-クロロトリチルクロライド樹脂-「CTC」を使用,図7)により合成した。配列番号:18のアミノ酸配列を有し、かつ配列番号:9のアミノ酸13〜26を含むペプチドフラグメント(図7,「AA(13-26)」を参照)を、N末端でFmoc(化学的保護基として)及びC末端で-OH(図7,「Fmoc-AA(13-26)-OH」を参照)を用いて標準的固相合成により合成した。配列番号:19のアミノ酸配列を有し、かつ配列番号:9のアミノ酸27〜37を含むペプチドフラグメント(図7,「AA(27-37)」を参照)を、N末端でFmoc(化学的保護基として)及びC末端で-OH(図7,「Fmoc-AA(27-37)-OH」を参照)を用いて標準的固相合成により合成した。当業者に周知の切断試薬、溶媒、及び技術により、その固相合成のために使用される樹脂から、各ペプチドフラグメントを切断した。次に、蒸留により前記溶媒の大部分を除去し、かつ水にアルコールを含む共溶媒又はアルコール未含有水の添加によりペプチドフラグメントを沈殿させて、各ペプチドフラグメントを分離した。得られた固体を濾過、洗浄、水又はアルコール/水への再スラリー化、再濾過、及び真空オーブン中での乾燥により単離した。
図7に示すように、液相合成によりペプチドフラグメントを製造した。配列番号:19のアミノ酸配列を有するペプチドフラグメント(図7,「Fmoc-AA(27-37)-OH」を参照)を、液相中でアミド化されているLeu(配列番号:9のアミノ酸38)と化学的にカップリングさせ、C末端のアミド化(化学基として)とともに配列番号:20(配列番号:9のアミノ酸27〜38を含む)のアミノ酸配列を有するペプチドフラグメントを生じた(図7,「Fmoc-AA(27-38)-NH2」を参照)。1つの合成方法において、制限されないが、ペプチドフラグメントH-AA(27-38)-NH2などの本明細書で提供されるアミド化ペプチドフラグメントは、アミド樹脂を用いて直接的に合成されてもよい。この液相反応の要約において、単離ペプチドフラグメントFmoc-AA(27-37)-OHのカルボキシ末端は、HBTU(O-ベンゾトリアゾール-1-イル-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)又はTBTU(O-ベンゾトリアゾール-イル-N,N,N',N'-テトラメチルテトラフルオロ-ボラート)とHOBT、6-Cl HOBt、又はHOATとをそれぞれ用いて、DIEA(ジイソプロピルエチルアミン)及びロイシンアミド(例えば、カップリング試薬とラセミ化抑制剤との組合せ)の存在下で、HOBT(1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物)、6-Cl HOBt・H2O、又はHOAT(1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール)の活性エステルに変換される。該反応は、DMF(ジメチルホルムアミド)、DMAc(ジメチルアセトアミド)又はNMP(N-メチルピロリジノン)などの極性非プロトン性溶媒中、0〜30℃で行われる。カップリング反応終了時に、ピペリジン、炭酸カリウム、DBU、又は当業者に公知の他の塩基を該反応液に追加の共溶媒とともに又は共溶媒を含まずに加え、末端Fmoc保護基の除去をもたらす。その反応終了時に、アルコール又は水混和性溶媒、及び/又は水を加え、C末端のアミド化とともに配列番号:20のアミノ酸配列を有するペプチドフラグメント(H-AA(27-38)-NH2)を沈殿させる。
図7に模式的に示すように、液相プロセスにおいて、ペプチドフラグメントFmoc-AA(27-37)-OHをロイシンアミド(図3,「H-Leu-NH2」を参照)と結合させてペプチドフラグメントH-AA(27-38)-NH2を製造するために、ペプチドフラグメントFmoc-AA(27-37)-OH(571g, 205mmol, 1eq)、H-Leu-NH2(32.0g, 246mmol, 1.2eq)、及び6-Cl HOBT(41.7g, 246mmol, 1.2eq)をDMF(4568ml, 8vol)に加え、DIEA(53.6ml, 307.5mmol, 1.5eq)で処理し、かつ溶解するまで室温で撹拌した(約20分)。溶液を冷却し、かつTBTU(79.0g, 246mmol, 1.2eq)を加えた。反応液を0℃、次に25℃で撹拌した。HPLCによる分析が反応終了を示した時に、ピペリジン(81ml, 820mmol, 4eq)を加え、ペプチドフラグメントFmoc-AA(27-38)-NH2のFmoc保護基を除去した(炭酸カリウム、DBUなどの他の塩基を使用してもよい)。HPLCにより終了が示されるまで、反応液を30℃で撹拌した。次に、反応混合物を5℃未満に冷却し、10℃未満のスラリー生成温度を保ちながら、予め冷却した水(8vol, 4568mL)をゆっくりと加えた。懸濁液を30分間撹拌し、続いて濾過し、かつ25%エタノール/水を用いて二回洗浄(各2284mL, 4vol)した。残渣ピペルジン(piperdine)、及びピペルジンジベンジルフルベン(piperdine dibenzylfulvene)を、エタノール/水(希釈酸含有又は未含有)、及び/又はMTBE/ヘプタン、又は他の類似溶媒混合物の再スラリー化により除去した。図7に示すように、結果、単離ペプチドフラグメントH-AA(27-38)-NH2を調製した。
図7に示すように、続いて、ペプチドフラグメントH-AA(27-38)-NH2(配列番号:20)をペプチドフラグメントFmoc-AA(13-26)-OH(配列番号:18)と結合させる液相反応を行い、脱保護し、ペプチドフラグメントH-AA(13-38)-NH2(N末端及びC末端の各々に化学基を有する配列番号:35)を得た。
ペプチドフラグメントFmoc-AA(13-26)-OH(460g 167mmol, 1eq)、ペプチドフラグメントH-AA(27-38)-NH2(460g, 172mmol, 1.03eq)、及び6-Cl HOBT(34g, 200mmol, 1.2eq)をDMF(6900ml, 15vol)に加え、DIEA(47mL, 267mmol, 1.6eq)で処理し、撹拌し、すべての固体を溶解した。得られた溶液を5℃未満に冷却した。その反応液にTBTU(64g, 200mmol, 1.2eq)を加え、かつ反応液を0℃、次に25℃で撹拌した。HPLCによる分析が反応終了を示した後すぐに、ピペリジン(58ml, 668mmol, 4eq)を加えてFmocを除去し、HPLCにより終了が示されるまで反応液を撹拌した。溶液を5℃未満に冷却し、温度が10℃よりも高くならないような速度で水(6900mL, 15vol)をゆっくりと加えた。得られた懸濁液を30分間撹拌した後、濾過により固体を収集し、水で洗浄(2回、各2300mL, 5vol)し、乾燥した。残渣ピペルジン、及びピペルジンジベンジルフルベンを、エタノール/水(希釈酸含有又は未含有)、及び/又はMTBE/ヘプタン、又は他の類似溶媒混合物の再スラリー化により除去した。固体を濾過により収集し、洗浄、乾燥し、H-AA(13-38)-NH2(配列番号:35)を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)純度分析により決定されたように実質的に純粋な白色固体として得た。
図7に示すように、続いて、ペプチドフラグメントH-AA(13-38)-NH2(配列番号:35)を、液相反応中でペプチドフラグメントAc-(1-12)-OH(配列番号:17)と組立て、配列番号:9のアミノ酸配列を有するHIV融合阻害剤ペプチドを得た(例えば図7, Ac-(1-38)-NH2を参照)。ペプチドフラグメントAc-AA(1-12)-OH(130g, 58.5mmol, 1eq)を微細な粉末に製粉し、ペプチドフラグメントH-AA(13-38)-NH2(303g, 58.5mmol, 1eq)と混合した。この混合物を、2:1のDCM/DMF(20vol, 2600mL)とDIEA(25.5mL, 146mmol, 2.5eq)との温溶液にゆっくりと加えた。HOAT(15.9g, 117mmol, 2.0eq)を加え、その混合物を撹拌し、すべての固体を溶解した。得られた溶液を5℃未満に冷却し、TBTU(28.2g, 87.8mmol, 1.5eq)を加えた。溶液を0℃で30分間、次に25℃でHPLCが反応終了を示すまで撹拌した。溶液を30〜35℃に温め、さらなるDCM(13vol, 1740mL)、続いてH2O(1820mL, 14vol)を加えた。混合物を5分間撹拌し、次に層を分離させた。水層を除去し、新たなH2O(1820mL, 14vol)と入れ替えた。この分離を全5回繰り返した。有機層を、その元の体積の約1/3に蒸留し、イソプロピルアルコール(IPA;1820mL, 14vol)を加えた。蒸留を続け、残りのDCMを除去した。得られたスラリーを5℃未満に冷却し、H2O(1820mL, 14vol)をゆっくりと加えた。形成された固体を濾過により収集し、H2Oで2回洗浄(各520ml, 4vol)し、乾燥し、HPLC純度分析により測定されたように、単離HIV融合阻害剤ペプチドAc-AA(1-38)-NH2(配列番号:9)を調製した。
図7に示すように、HIV融合阻害剤ペプチドAc-AA(1-38)-NH2の側鎖の化学的保護基は、酸分解、又は側鎖の化学的保護基を除去することによるペプチドの脱保護のための当業者に公知の任意の他の方法により除去することができる。この実施例において、HIV融合阻害剤ペプチドAc-AA(1-38)-NH2(60g, 8.1mmol)を、TFA(トリフルオロ酢酸):DTT(ジチオスレイトール):水(90:10:5;570ml)で処理し、室温で6時間撹拌した。その溶液を10℃未満に冷却し、予め冷却したMTBE(25vol, 1500ml)を、10℃未満の温度を維持するような速度でゆっくりと加えた。得られた固体を濾過により収集し、MTBEで洗浄し、乾燥した。続いて、得られた粉末をアセトニトリル(ACN;10vol, 600mL)中でスラリー化し、DIEA及び酢酸でpHを4〜5に調節し、該ペプチドを脱カルボン酸化した。HPLCにより、それが終了した後すぐに、固体を濾過により収集し、ACNで洗浄し、乾燥し、脱保護化脱カルボン酸化ペプチドを調製した。続いて、それをHPLC、又は他の適切なクロマトグラフィー技術により精製し、配列番号:9のアミノ酸配列を有する単離保護化HIV融合阻害剤ペプチドを調製した。
(実施例6)
表5(集団3及び集団4)及び図8に関して、2つの特定のペプチドフラグメント(例えば、配列番号:29及び30+Leu;又は配列番号:29及び31)を用い、かつ配列番号:9のアミノ酸配列を有するHIV融合阻害剤ペプチドを製造するように2つのペプチドフラグメントを化学的カップリング(「アセンブリング(assembling)」)により結合することを含むフラグメントアセンブリアプローチを用いて、配列番号:9のアミノ酸配列を有するHIV融合阻害剤ペプチドの合成方法を例示する。これらのペプチドフラグメントの各々は、配列番号:9のアミノ酸配列を有するHIV融合阻害剤ペプチドの(2つのペプチドフラグメントを用いる)高収率高純度合成方法に有用な及び/又は好ましい、物理的特性及び溶解度特性を示した。2つのフラグメントアセンブリアプローチに使用されるペプチドフラグメントの選択において、共に組立てられる2つのフラグメント間の連結点(例えば、配列番号:29のアミノ酸配列を有するペプチドフラグメントのC末端アミノ酸と、配列番号:31のアミノ酸配列を有するペプチドフラグメントのN末端アミノ酸)でロイシン及び/又はグルタミン酸残基を有することにより、得られる収率及び純度が高く、アセンブリに有利になることが発見された。
配列番号:29のアミノ酸配列を有し、かつ配列番号:9の最初の20アミノ酸を含むペプチドフラグメント(「AA(1-20)」)を、N末端のアセチル化(化学基として「Ac」)(一方、C末端でヒドロキシル基(-OH)を有する。)(本明細書中では「Ac-AA(1-20)-OH」とも呼ばれる。)を用いる標準的固相合成により合成した。配列番号:30のアミノ酸配列を有し、かつ配列番号:9のアミノ酸21〜37を含むペプチドフラグメント(「AA(21-37)」)を、N末端でFmoc(化学的保護基として)及びC末端で-OH(表6参照;「Fmoc-AA(27-37)-OH」とも呼ばれる)を用いる標準的固相合成により合成した。
表5(集団3及び集団4)及び図8に示すように、ペプチドフラグメントFmoc-AA(21-37)-OHを液相中でLeu(アミド化されている配列番号:9のアミノ酸38)と化学的にカップリングし、C末端のアミド化(化学基として)とともに配列番号:31のアミノ酸配列(配列番号:9のアミノ酸21〜38を含む)を有するペプチドフラグメントを生じる場合、ペプチドフラグメントを液相合成により製造した(「Fmoc-AA(21-38)-NH2」)。液相プロセスにおいて、ペプチドフラグメントFmoc-AA(21-37)-OHをロイシン(「H-Leu-NH2」)と結合させてペプチドフラグメントFmoc-AA(21-38)-NH2を製造するために、ペプチドフラグメントFmoc-AA(21-37)-OH(30g, 7.43mmol, 1.0eq)、H-Leu-NH2*HCl(1.36g, 8.16mmol, 1.2eq)、及びHOAT(1.52g, 11.2mmol, 1.5eq)をDMF(450ml, 15vol)に溶解し、DIEA(6.5ml, 37.3mmol, 5eq)で処理し、かつ溶解するまで室温で撹拌(約30分)した。溶液を0±5℃に冷却し、TBTU(2.86g, 8.91mmol, 1.2eq)を加え、0±5℃で5分間撹拌し、続いて25±5℃で2時間又はHPLCにより反応終了が示されるまで、反応させた。
次に、フラグメントH-AA(21-38)-NH2の単離前に、ペプチドフラグメントFmoc-AA(21-38)-NH2のFmoc化学的保護基を除去した。ピペリジン(7.3mL, 73.8mmol, 10eq)を加え、その溶液を25±5℃で1時間、又はHPLCによる分析により、実質的にすべてのFmocがペプチドフラグメントから除去されたことが示されるまで、撹拌した。反応器を冷却し、水(1000ml, 30vol)を加え、自由流動スラリーを30分10℃未満で撹拌し、続いて濾過により分離した。収集した固体を1:1 EtOH/水で洗浄し、35±5℃の真空オーブン中で乾燥した。次に、ペプチドフラグメントを1:1 EtOH/水(450mL, 15vol)中で3時間、再スラリー化した。固体を収集し、乾燥した。次に、ペプチドフラグメントを3:1ヘキサン:MTBE(450mL,15vol)中で一晩、スラリー化し、続いて濾過により分離し、再び乾燥させた。必要であれば、MTBE再スラリー化を、さらなるピペリジンを除去するために繰り返してもよい。結果、単離ペプチドフラグメントH-AA(21-38)-NH2(図8参照)を調製した。
次に、ペプチドフラグメントH-AA(21-38)-NH2(配列番号:31)をペプチドフラグメントAc-AA(1-20)-OH(配列番号:29)と結合させる液相反応を行い、配列番号:9のアミノ酸配列を有するHIV融合阻害剤ペプチドを得た(図8, Ac-(1-38)-NH2を参照)。ペプチドフラグメントH-AA(21-38)-NH2(3.40g, 0.86mmol, 1eq)、ペプチドフラグメントAc-AA(1-20)-OH(3.00g, 0.86mmol, 1.0eq)、及びHOAT(0.177g, 1.3mmol, 1.5eq)、及びDIEA(0.599ml, 3.44mmol, 4eq)をDMAc(ジメチルアセトアミド;100ml, 33vol)に溶解し、0±5℃に冷却した。その反応液にTBTU(0.331g. 1.03mmol, 1.2eq)を加えた。その反応液を0±5℃で5分間、及び25±5℃で3時間、又はHPLCにより反応終了が示されるまで、撹拌した。反応器を冷却し、水(200ml, 66vol)をゆっくりと加えた。スラリーを形成させ、10℃未満で少なくとも30分間撹拌した。固体を濾過により分離し、さらなる水で洗浄した。収集した固体を35±5℃の真空オーブンで乾燥した。結果、HPLC純度分析により測定されたように、完全保護化単離HIV融合阻害剤ペプチドAc-AA(1-38)-NH2(配列番号:9)を調製した。次に、そのHIV融合阻害剤ペプチドを、本明細書中の実施例5に記載される方法、又は脱保護及び脱カルボキシル化のための当業者に公知の任意の他の方法を用いることにより、脱保護(側鎖の化学的保護基の除去により)、及び脱カルボン酸化(トリプトファン残基位置で)し、続いて精製(例えばHPLCにより)した。結果、配列番号:9のアミノ酸配列を有するHIV融合阻害剤ペプチド(この例示において、N末端でアセチル化、C末端でアミド化されている)を調製(脱保護及び脱カルボン酸化)した。
類似の技術及び条件を用いて、2つのフラグメントアセンブリ又は3つのフラグメントアセンブリを含むさらなるフラグメントアセンブリアプローチを使用し、配列番号:9のアミノ酸配列を有するHIV融合阻害剤ペプチドを製造している(例えば、表4及び5を参照)。本発明の方法により配列番号:9のアミノ酸配列を有するHIV融合阻害剤ペプチドを製造するために使用される好ましいペプチドフラグメントは、好ましいペプチドフラグメント以外のペプチドフラグメントを除外して使用され得ることが、本明細書中の記述から理解される。同様に、本発明の方法により配列番号:9のアミノ酸配列を有するHIV融合阻害剤ペプチドを製造するために使用されるペプチドフラグメントの好ましい集団は、ペプチドフラグメントの好ましい集団以外のペプチドフラグメントの集団を除外して使用され得る。
(実施例7)
本発明の別の実施態様は、配列番号:10のアミノ酸配列を有するHIV融合阻害剤ペプチドの合成に使用することができる方法、ペプチドフラグメント、及びペプチドフラグメントの集団に関する。また、前記方法、ペプチドフラグメント、及びペプチドフラグメントの集団が、配列番号:10のアミノ酸配列を有するHIV融合阻害剤ペプチド(該HIV融合阻害剤ペプチドは1つ以上の化学基を含む)の合成に使用され得ることは、本明細書中の記述から明らかである:
Figure 2010540528
(式中、アミノ末端又はカルボキシル末端のうちの一方又は両方は、化学基(B, U, Z;ここでB、U、及びZは同一化学基又は異なる化学基とすることができる)により修飾される。該化学基は、制限されないが、1つ以上の反応性官能基、化学的保護基(CPG)、及び連結基を含むことができる。)。配列番号:10のアミノ酸配列を有するHIV融合阻害剤ペプチドの製造に関して、ペプチドフラグメント、ペプチドフラグメントの集団、及び保護化ペプチドフラグメント(1つ以上の化学基を有するペプチドフラグメント)の実例を挙げると、制限されないが、それぞれ表7、8、及び9に示すものがある。
Figure 2010540528
配列番号:10のアミノ酸配列を有するHIV融合阻害剤ペプチドの合成方法における中間体として作用する、特定集団のペプチドフラグメントは本明細書でさらに提供される。本明細書で提供されるペプチドフラグメントの集団は、表8に示されるように、集団1〜14を含む(集団の番号は、記述を簡潔にするためだけのものである)。ペプチドフラグメントの特定の集団は、他のペプチドフラグメントの集団を除外して使用され得る。
Figure 2010540528
Figure 2010540528
表8(集団3及び集団4)に関して、2つの特定のペプチドフラグメント(例えば、配列番号:29及び48+Leu;又は配列番号:29及び49)を用い、かつ配列番号:10のアミノ酸配列を有するHIV融合阻害剤ペプチドを製造するように2つのペプチドフラグメントを化学的カップリング(「アセンブリング」)により結合することを含むフラグメントアセンブリアプローチを用いて、配列番号:10のアミノ酸配列を有するHIV融合阻害剤ペプチドの合成方法を例示する。液相プロセスにおいて、配列番号:48のアミノ酸配列を有するペプチドフラグメント(「Fmoc-AA(21-37)-OH」)をロイシン(「H-Leu-NH2」)と結合させて、配列番号:49のアミノ酸配列を有するペプチドフラグメント(「Fmoc-AA(21-38)-NH2」)を製造するために、ペプチドフラグメントFmoc-AA(21-37)-OH(30.01g, 7.98mmol, 1.0eq)、H-Leu-NH2*HCl(1.48g, 8.78mmol, 1.1eq)、及びHOAT(1.63g, 11.97mmol, 1.5eq)をDMF(450ml, 15vol)に溶解し、DIEA(7.0ml, 39.91,mmol, 5eq)で処理し、かつ溶解するまで室温で撹拌(約30分)した。溶液を0±5℃に冷却し、TBTU(3.09g, 9.58mmol, 1.2eq)を加え、0±5℃で5分間撹拌し、続いて25±5℃で2時間又はHPLCにより反応終了が示されるまで、反応させた。
次に、フラグメントH-AA(21-38)-NH2の単離前に、ペプチドフラグメントFmoc-AA(21-38)-NH2のFmoc化学的保護基を除去した。ピペリジン(8.0mL, 79.8mmol, 10eq)を加え、その溶液を25±5℃で1.5時間、又はHPLCによる分析により実質的にすべてのFmocがペプチドフラグメントから除去されたことが示されるまで、撹拌した。反応器を冷却し、水(1000ml, 30vol)を加え、自由流動スラリーを30分10℃未満で撹拌し、続いて濾過により分離した。収集した固体を1:3 EtOH/水で洗浄し、35±5℃の真空オーブン中で乾燥した。次に、ペプチドフラグメントを1:3 EtOH/水(400mL, 13vol)中で3時間、再スラリー化する。固体を収集し、乾燥し、続いてペプチドフラグメントを3:1のヘキサン:MTBE(400mL,13vol)中で一晩、スラリー化し、濾過により分離し、再び乾燥させた。必要であれば、MTBE再スラリー化を、さらなるピペリジンを除去するために繰り返してもよい。結果、単離ペプチドフラグメントH-AA(21-38)-NH2(表9,配列番号:49を参照)を調製した。
次に、ペプチドフラグメントH-AA(21-38)-NH2(配列番号:49)をペプチドフラグメントAc-AA(1-20)-OH(配列番号:29,表9)と結合させる液相反応を行い、配列番号:10のアミノ酸配列を有するHIV融合阻害剤ペプチドを得た(例えば、Ac-(1-38)-NH2を参照)。ペプチドフラグメントH-AA(21-38)-NH2(3.14g, 0.86mmol, 1eq)、ペプチドフラグメントAc-AA(1-20)-OH(3.00g, 0.86mmol, 1.0eq)、及びHOAT(0.18g, 1.3mmol, 1.5eq)、及びDIEA(0.599ml, 3.44mmol, 4eq)をDMAc(100ml, 33vol)に溶解し、0±5℃に冷却した。その反応液にTBTU(0.331g. 1.03mmol, 1.2eq)を加えた。その反応液を0±5℃で5分間、及び25±5℃で3時間、又はHPLCを使用して反応終了が示されるまで、撹拌した。反応器を冷却し、水(250ml, 83vol)をゆっくりと加えた。スラリーを形成させ、10℃未満で少なくとも30分間撹拌した。固体を濾過により分離し、さらなる水で洗浄した。収集した固体を35±5℃の真空オーブンで乾燥した。結果、HPLC純度分析により測定されたように、完全保護化単離HIV融合阻害剤ペプチドAc-AA(1-38)-NH2(配列番号:10)を調製した。次に、そのHIV融合阻害剤ペプチドAc-AA(1-38)-NH2を、本明細書中の実施例4に記載される方法、又は脱保護及び脱カルボキシル化のための当業者に公知の任意の他の方法を用いることにより、脱保護(側鎖の化学的保護基の除去により)、及び脱カルボン酸化(トリプトファン残基位置で)した。精製後に、HPLCを使用して測定されたように、結果、配列番号:10のアミノ酸配列を有する単離HIV融合阻害剤ペプチド(N末端でアセチル化、C末端でアミド化されている)を調製(脱保護及び脱カルボン酸化)した。
類似の技術及び条件を用いて、2つのフラグメントアセンブリ又は3つのフラグメントアセンブリを含むさらなるフラグメントアセンブリアプローチを使用し、配列番号:10のアミノ酸配列を有するHIV融合阻害剤ペプチドを製造することができる(例えば、表8及び9を参照)。本発明で提供される方法によって配列番号:10のアミノ酸配列を有するHIV融合阻害ペプチドを生成するために用いられるペプチドフラグメントは、他のペプチドフラグメントを除外して用いることができることが本明細書の記載から理解される。同様に、本発明で提供される方法によって配列番号:10のアミノ酸配列を有するHIV融合阻害ペプチドを生成するために用いられるペプチドフラグメントの集団は、他のペプチドフラグメントの集団を除外して用いることができる。
(実施例8)
配列番号:9ペプチドの合成では、Ac-AA (1-26)-OH及びFmoc-AA (27-38)-OHを用いる2フラグメントアプローチが開発された。標準的固相合成技術によって、先ず配列番号:9のフラグメントAc-AA (1-26)-OH及びFmoc-AA(27-37)-OHを合成した。
Fmoc-AA (27-37)-OHの合成のために、樹脂(2-CTC、2kg、3.1mol活性Cl)を25±5℃で15〜30分間DCM (10vol、20L)中で膨潤させ、次に排水させ、一方、Fmoc-Glu (Otbu)-OH*H2O (0.45eq、619g、1.40mol)及びDIEA (Gluに3eq、4.19mmol、729mL)の溶液をDCM (5vol、10L)で調製した。樹脂をDCM (5vol、10L)で再びスラリーにし、アミノ酸溶液を樹脂に加え、スラリーを25±5℃で2時間撹拌した。容器を排水させ、樹脂をNMP (4vol、8L)でスラリーにした。末端キャッピング溶液9:1 (v/v) MeOH/DIEA (6vol、12L)を加え、スラリーを25±5℃で40〜50分間撹拌した。容器を排水させ、樹脂をDCM (2×6vol、各々900mL)で洗浄した。次に、樹脂をNMP (4vol、600mL)で洗浄して、10℃で保存した。
樹脂を、25±5℃で30〜60分間NMP(10vol、20L)中で膨潤させ、次に排水させた。フラグメントの組み立ては、30±5℃のNMP中の10%PIPの2×20〜40分間×5容による脱保護を用いて達成した。次に、陰性のクロラニル試験結果が得られるまで、樹脂をNMPで洗浄した。カップリングは、0〜5℃で15分間、1.5eq保護アミノ酸、1.5eq 6-Cl HOBt、1.7eq DIEA及び1.5eq TBTUを用いて、DMF(6vol)中で前活性化した後開始した。カップリング溶液を加えた後に、DMF洗浄液(2vol)を加え、Kaiser試験によって完了するまで、30±5℃で最高4時間反応を進行させた。3時間後に未完了である場合、再カップリングを実行した。カップリングが完了したならば、樹脂をNMP(3×6vol、12L)で各々5分間洗浄した。
完了した樹脂結合フラグメントを、8容NMP(16L)で2回及び8容DCM(16L)で4回洗浄した。樹脂を、2容(4L) DCMでスラリーにし、5℃未満に予備冷却したDCM (5vol、10L)中の1%TFAを加えた。スラリーを5分間撹拌し、次に濾過して、ピリジン(TFAに対して1.26vol、126mL)を含有するカーボイに入れた。5℃未満に予備冷却したDCM (5vol、10L)中の1%TFAの別の一部を加え、撹拌し、前と同様に排水させた(2vol前膨潤なしで)。追加の3つのTFA/DCM処理を実施した(合計5つ)。樹脂をDCM (5vol、10L)中で5分間スラリーにし、排水させ、HPLCによってろ液を生成物についてモニタリングした。DCM洗浄は、洗浄液中の生成物の量が最小限になるまで継続した。残りの溶液が4容レベル(8L)未満になるまで、プールしたDCMろ液から蒸留によってDCMを除去した。イソプロパノール(8vol、16L)を加え、IPAスラリー中の残りのDCM含量が1%未満になるまで、蒸留を継続した。濃縮物を10℃未満に冷却し、温度を10℃未満に保つ速度で、予備冷却した水(8vol、16L)を急撹拌しながら加えて生成物を沈殿させた。スラリーを10〜15℃に暖め、熟成させた。生成物を濾過によって単離し、水(2×4vol)で洗浄した。固体を空気乾燥し、次に、20%IPA/水(10vol)で再スラリー化した。生成物を濾過により再単離し、水(2vol)で洗浄し、一定重量まで30〜40℃の真空オーブンで乾燥させた。2618g (72.6%)の白色の粉末が回収された。
フラグメントAc-AA(1-26)-OHの合成のために、フラグメントFmoc-AA(27-37)-OHのために上記のように樹脂(2-CTC、1.5kg、2.3mol活性Cl)を充填した。フラグメントAc-AA(1-26)-樹脂を上に述べた通りに組み立て、同様の方法で切断した。2841g (61.6%)の白色の粉末が回収された。
フラグメントH-AA(27-38)-NH2の対応する合成は、液相合成法によって生成し、そこでは、ペプチドフラグメントFmoc-AA(27-37)-OHが液相でH-Leu-NH2(アミノ酸38)に化学的に結合して、Fmoc-AA(27-38)-NH2を生成し、続いてN末端Fmoc保護基を除去してH-AA(27-38)-NH2を生成した。代わりの塩基(K2CO3、DBU、N-メチルピペリジン及びDEA(ジエチルアミン)を、用いることができる。
ペプチドフラグメントFmoc-AA(27-38)-NH2を生成するために、ペプチドフラグメントFmoc-AA(27-37)-OH(2618g、940mmol、1.0eq)、H-Leu-NH2(153g、1.18mol、1.25eq) (H-Leu-NH2 HCl塩も用いた)及び6-Cl-HOBT(183g、1.08mol、1.15eq)を、DMF(18.3L、7vol)に溶解し、DIEA(287m1、1.65mol、1.75eq)で処理し、2.5℃未満に冷却しながら溶解するまで撹拌した。TBTU(347g、1.08mol、1.15eq)をDMF(1vol、2.6L)でスラリーにして加え、溶液を0±5℃で15分間撹拌し、HPLCによって反応の完了が示されるまで35±5℃で反応させた。
次に、フラグメントHAA(27-38)-NH2の単離の前に、ペプチドフラグメントFmoc-AA(27-38)-NH2のFmoc化学保護基を除去した。ピペリジン(372mL、3.76mol、4eq)を加え、HPLC分析によってペプチドフラグメントから実質的にすべてのFmocが除去されたことが示されるまで、溶液を35±5℃で撹拌した。溶液を10℃未満に冷却し、前冷却した水(20.8L、8vol)を徐々に加えて生成物を沈殿させた。易流動性のスラリーを10〜15℃で熟成させ、次に濾過によって単離した。収集した固体を25%EtOH/水で洗浄し、空気乾燥させた。次に、2時間を超えて、ペプチドフラグメントを25%EtOH/水(20.8L、8vol)で再スラリー化した。固体を収集し、洗浄し、空気乾燥させた。次に、湿った固体をMTBE/ヘプタン(1:1、8vol、20.8L)で再スラリー化し、濾過によって収集し、MTBE/ヘプタン(2×4vol、それぞれ10.4L)で洗浄し、空気乾燥させた。第二のMTBE/ヘプタン再スラリー化を実行し、その後、35±5℃の真空オーブンで固体を乾燥させた。結果は、単離されたペプチドフラグメントH-AA(27-38)-NH2の調製物の2475g(98.4%)であった。
フラグメントAc-AA(1-38)-NH2の調製のために、ペプチドフラグメントH-AA(27-38)-NH2をペプチドフラグメントAc-AA(1-26)-OHと組み合わせてAc-(1-38)-NH2を与える、液相反応を実施した。ペプチドフラグメントAc-AA(1-26)-OH(1.18kg、0.25mol、1.0eq)、ペプチドフラグメントH-AA(27-38)-NH2(836g、0.31mol、1.25eq)、6-Cl-HOBT(57g、338mmol、1.35eq)及びDIEA(78mL、0.45mol、1.8eq)を、DMF(8.9L、7.5vol)に溶解し、2.5℃未満に冷却した。DMF(0.5vol、0.6L)でスラリーにしたTBTU(108g、338mmol、1.35eq)を、反応に加えた。反応液を0±5℃で15分間、及び、HPLCによって反応が完全であることが示されるまで30±5℃で撹拌した。反応器を冷却し、前冷却した水(9.4L、8vol)を急撹拌しながら加えた。生じた固体を濾過によって単離し、追加の水で洗浄した。固体を20%エタノール/水(7.1L、6vol)で再スラリー化し、濾過によって再収集し、水で洗浄した。収集した固体を、35±5℃の真空オーブンで乾燥させた。結果は、完全に保護された、単離されたHIV融合阻害ペプチドAc-AA(1-38)-NH2の、2005g(108%)の調製物であった。
粗配列番号:9ペプチドの合成方法の態様として、HIV融合阻害ペプチドAc-AA(1-38)-NH2の側鎖化学保護基を、アシドリシス又は、側鎖化学保護基を除去することによってペプチドを脱保護するための、当分野の技術者に公知である他の任意の方法によって除去することができる。一例として、HIV融合阻害ペプチドAc-AA(1-38)-NH2(678g、92mmol)をTFA(トリフルオロ酢酸):DTT(ジチオスレイトール):水(90:15:5;10vol)で処理し、20±2℃で5時間撹拌した。好ましい実施態様では、結果を最適化するために、5eqではなく10〜15eqのDTTを用いた。溶液を10℃未満に、好ましくは5℃未満に冷却し、前冷却したMTBE(25vol、17L、0℃未満、好ましくは-15℃未満)を、温度が10℃未満、好ましくは7〜8℃の間に保たれるように、徐々に加えた。スラリーを10〜15℃で熟成させ、生じた固体を濾過によって収集し、MTBEで洗浄し、空気乾燥させた。次に、生じた粉末をアセトニトリル(ACN;10vol、6.8L)でスラリーにし、pHをDIEA及び酢酸で4〜5、好ましくは5により近く調節し、スラリーを25±5℃で撹拌して、ペプチドを脱カルボン酸化した。HPLCによってこれが完了したならば、固体を濾過によって収集し、ACNで洗浄し、乾燥させて、脱保護及び脱カルボン酸化されたペプチドの調製物(414g、100%)を与えた。
一実施態様では、1144ペプチド配列番号:9を精製し、濃縮し、濃縮カラムから直接沈殿させた。配列番号:9(270g)を、水性NH4OAc/アセトニトリル緩衝液でのRP-HPLCによって、3回の注入で精製した。許容される分画をプールし、緩衝液中のアセトニトリルの総含量が約28%になるまで、水で希釈した。溶液をHPLCカラムに再充填し、1:1の水性NaOAc/アセトニトリル緩衝液でペプチドを溶出させた。プールされた分画のpHを5〜6に調節し、次に、アセトニトリルを溶液に加えることによって、アセトニトリルの総含量を85%超に上げた。沈殿固体を減圧濾過によって収集し、90%アセトニトリル/水によって洗浄し、真空オーブンで乾燥させて、78gの純粋な配列番号:9ペプチドを与えた。
(実施例9)
2フラグメントリンク充填CTC戦略を用いる1つのアプローチにおいて、H-AA(27-38)-リンク-OH(表1、配列27)を標準的固相合成によって合成し、これはN末端にHを、及びC末端には化学保護基としてリンクリンカー-OH(p-[(R,S)-α-アミノ-2,4-ジメトキシベンジル]-フェノキシ酢酸を有する。
次に、ペプチドフラグメントH-AA(27-38)-リンク-OH(配列番号:18)をペプチドフラグメントAc-AA(1-26)-OH(配列番号:10)と組み合わせて、配列番号:9のアミノ酸配列を有するHIV融合阻害ペプチドを与える、液相反応を実施した。ペプチドフラグメントAc-AA(1-26)-OH(1.0g、0.21mmol、1.0eq)、6-Cl-HOBT(39mg、0.23mmol、1.1eq)及びDIEA(55μL、0.32mmol、1.5eq)をDMF(10ml、10vol)に溶解し、0〜5℃に冷却した。TBTU(71mg、0.22mmol、1.05eq)を、反応に加えた。反応液を0〜5℃で15分間撹拌し、DIEA(37μL、0.21mmol、1.0eq)とDMF(2mL)に別々に溶解して0〜5℃に冷却した、ペプチドフラグメントHAA(27-38)-リンク-OH(628mg、0.21mmol、1.0eq)を加えた。反応液を0〜5℃で15分間、及び25±5℃で3時間、又はHPLCによって反応が完全であることが示されるまで撹拌した。反応器を冷却し、水(10vol)を急撹拌しながら加えた。生じた固体を濾過によって単離し、追加の水で洗浄した。固体を水/イソプロパノールで再スラリー化し、濾過によって再収集し、水で洗浄した。収集した固体を、35±5℃の真空オーブンで乾燥させた。結果は、完全に保護された、単離されたHIV融合阻害ペプチドAc-AA(1-38)-リンク-OHの、1.55g(95.7%)の調製物であった。次に、脱保護及び脱カルボン酸化のための上記の方法又は当分野の技術者に公知である他の任意の方法を用いて、HIV融合阻害ペプチドを脱保護(側鎖化学保護基及びC末端のリンク基を除去することによって)し、脱カルボン酸化(トリプトファン残基で)し、次に、精製した(例えば、HPLCによって)。結果は、配列番号:9の配列(この図では、N末端でアセチル化され、C末端でアミド化されている)を有するHIV融合阻害ペプチドの調製物(脱保護され、脱カルボン酸化され、精製された)であった。
(実施例10)
さらなる実施態様では、配列番号:9のペプチドを生成するために超酸感受性樹脂による2フラグメントアプローチを用いて、配列番号:9のアミノ酸27〜38を含むペプチドフラグメント(「H-AA(27-38)-NH2」)をSieberアミド樹脂(Ramageなどの他のアミド樹脂を用いることができた)での標準的固相合成によって合成し、これはN末端にHを、及びC末端に-NH2を有する。
次に、ペプチドフラグメントH-AA(27-38)-NH2をペプチドフラグメントAc-AA(1-26)-OH(配列番号:40)と組み合わせて、配列番号:9のアミノ酸配列を有するHIV融合阻害ペプチドを与える、液相反応を実施した。ペプチドフラグメントAc-AA(1-26)-OH(1g、0.21mmol、1.0eq)、ペプチドフラグメントH-AA(27-38)-NH2(677mg、0.25mmol、1.2eq)、6-Cl-HOBT(39mg、0.23mmol、1.1eq)及びDIEA(92μL、0.053mmol、2.5eq)をDMF(10ml、10vol)に溶解し、0〜5℃に冷却した。TBTU(75mg、0.23mmol、1.1eq)を、反応に加えた。反応液を0〜5℃で15分間、次に25±5℃で3時間、又はHPLCによって反応が完了したことが示されるまで撹拌した。反応器を冷却し、水(10vol)を急撹拌しながら加えた。生じた固体を濾過によって単離し、追加の水で洗浄した。固体を水/イソプロパノールで再スラリー化し、濾過によって再収集し、水で洗浄した。収集した固体を、35±5℃の真空オーブンで乾燥させた。結果は、完全に保護された、単離されたHIV融合阻害ペプチドAc-AA(1-38)-NH2の、1.58g(101%)の調製物であった。次に、脱保護及び脱カルボン酸化のための上記の方法又は当分野の技術者に公知である他の任意の方法を用いて、HIV融合阻害ペプチドを脱保護(側鎖化学保護基及びC末端のリンク基を除去することによって)し、脱カルボン酸化(トリプトファン残基で)し、次に、精製した(例えば、HPLCによって)。結果は、配列番号:9(この図では、N末端でアセチル化され、C末端でアミド化されている)を有するHIV融合阻害ペプチドの調製物(脱保護され、脱カルボン酸化され、精製された)であった。
(実施例11)
配列番号:9の合成のためのさらなる好ましい2フラグメントアプローチでは、配列番号:9のアミノ酸27〜38を含むフラグメント(「AA(27-38)-NH2」)を、H-Glu-(CTC樹脂)-Leu-NH2(これの合成は、下に記載する)から出発する標準的固相合成によって合成し、これはN末端にHを、及びC末端に-NH2を有し、CTC樹脂に結合するGlu37の側鎖を有する。(表7を参照;本明細書で「H-AA(27-38)-NH2遊離Glu37」とも呼ばれる)。
次に、ペプチドフラグメントH-AA(27-38)-NH2遊離Glu37側鎖(配列番号:9)をペプチドフラグメントAc-AA(1-26)-OH(配列番号:40)と組み合わせて、291144のアミノ酸配列を有するHIV融合阻害剤ペプチドを与える、液相反応を実施した。ペプチドフラグメントAc-AA(1-26)-OH(1.0g、0.21mmol、1.0eq)、6-Cl-HOBT(39mg、0.23mmol、1.1eq)及びDIEA(55μL、0.32mmol、1.5eq)をDMF(10ml、10vol)に溶解し、0±5℃に冷却した。TBTU(71mg、0.22mmol、1.05eq)を、反応に加えた。反応液を0±5℃で15分間撹拌し、DIEA(37μL、0.21mmol、1.0eq)とDMF(2mL)に別々に溶解して0〜5℃に冷却した、ペプチドフラグメントH-AA(27-38)-NH2遊離Glu37(556mg、0.21mmol、1eq)を加えた。反応液を0±5℃で15分間、及び25±5℃で3時間、又はHPLCによって反応が完了したことが示されるまで撹拌した。反応器を冷却し、水(10vol)を急撹拌しながら加えた。生じた固体を濾過によって単離し、追加の水で洗浄した。収集した固体を水/イソプロパノールで再スラリー化し、濾過によって再単離し、水で洗浄し、35±5℃の真空オーブン内で乾燥させた。結果は、純度のためのHPLC分析によって決定された、完全に保護された、単離HIV融合阻害剤ペプチドAc-AA(1-38)-NH2遊離Glu37(配列番号:9)の、1.43g(92%)の調製物であった。次に、脱保護及び脱カルボン酸化のための本明細書の実施例8に記載の方法、又は当分野の技術者に公知である他の任意の方法を用いて、HIV融合阻害剤ペプチドを脱保護(側鎖化学保護基及びC末端のリンク基を除去することによって)し、脱カルボン酸化(トリプトファン残基で)し、次に、精製した(例えば、HPLCによって)。結果は、HIV融合阻害剤ペプチド配列番号:9(この図では、N末端でアセチル化され、C末端でアミド化されている)の調製物(脱保護され、脱カルボン酸化され、精製された)であった。
(実施例12)
線形固相合成アプローチを用いる、1144アミノ酸配列(配列番号:9)を有するHIV融合阻害剤ペプチドの合成方法を、本明細書で例示する。配列番号:9を有するHIV融合阻害剤ペプチドは、固相支持体の上で線形的方法により高収率及び高純度で合成することができ、それは、合成方法の単純化の一環として、出発物質として充填される1つの樹脂だけを必要とし、フラグメントの溶液縮合及び液相の対応するフラグメントの脱保護を必要としない。
配列番号:9のペプチドは、(アミド樹脂、例えば、Sieber樹脂若しくはリンク樹脂(Ramageなど他の樹脂も利用可能である);又は修飾された酸樹脂、例えば、リンク-リンカー充填CTC樹脂、若しくはγ-グルタミル(Leu-アミド)-充填CTC樹脂を用いて)標準的固相合成によって合成し、N末端をアセチル化(化学基として「Ac」)し、C末端にアミド基(-NH2)を有する。ペプチドをその固相合成のために用いた樹脂から切断し、HIV融合阻害剤ペプチドAc-AA(1-38)-NH2の側鎖化学保護基は、アシドリシス又は、側鎖化学保護基を除去することによってペプチドを脱保護するための、当分野の技術者に公知である他の任意の方法によって除去することができる。次に、脱保護及び脱カルボン酸化されたペプチドを、HPLC又は他の適するクロマトグラフィー技術によって精製して、単離されたHIV融合阻害剤配列番号:9ペプチドの調製物を与えた。
リンク-リンカー充填CTC樹脂は、当分野の技術者に公知である方法によって、CTC樹脂にFmoc-リンクリンカーを充填することによって得ることができる。この実施例では、Fmoc-γ-グルタミル(Leu-アミド)及びCTC樹脂へのそのローディングが例示される。Fmoc-Glu(OtBu)-OH(22.175g、50mmol)、6-Cl-HOBT(10.176g、60mmol)、DIEA(21.78ml、125mmol)及びH-Leu-NH2(9.764g、75mmol)をDMF(220mL、10vol)に溶解して5℃未満に冷却し、次に、TBTU(19.266g、60mol)を反応フラスコに加えた。反応混合液を5℃未満で30分間、及び室温で1時間、又はHPLCによって反応の完了が示されるまで撹拌した。Fmoc-Glu(OtBu)-Leu-NH2を水で沈殿させ、0.2%N HClで洗浄し、20%IPA及び4%NaHCO3で再スラリー化した。95% TFA/水による処理でt-Bu保護基を除去した後、Fmoc-Glu-Leu-NH2を当分野の技術者に公知である方法によってCTC樹脂に充填し、γ-グルタミル(Leu-アミド)-充填CTC樹脂を提供した。
Figure 2010540528
(実施例13)
配列番号:9ペプチドの単離及び精製のアプローチでは、純粋な凍結乾燥Ac-AA(1-38)-NH2(908mg)を、20±5℃で3時間(1〜5時間が許容される)、8:2のアセトニトリル:水(18mL、20vol)(10〜30容が許容される)でスラリーにした。生成物を濾過により再単離し、8:2のアセトニトリル:水で洗浄し、35±5℃の減圧下で乾燥させて、854mg(94%)の純粋な脱塩Ac-AA(1-38)-NH2を与えた。
配列番号:9の塩含量のかなりの低下(製剤として許容されるように)は、純粋な配列番号:9をセファデックスカラムに充填し、9:1の水/ACNで溶出することによって、又はRP-HPLCカラムに戻し再充填し、1:1のNH4OAc/ACNの5mMで溶出することによって達成することもできる。いずれの場合も、ペプチドは凍結乾燥によって再単離される。
凍結乾燥配列番号:9ペプチドの沈殿1。1144(配列番号:9)固体(186.2g、前に凍結乾燥によって単離されている)を9312mLの20%ACN水溶液に溶解し、TFA(46mL)でpHを約1.6に低下させた。次に、1N NaOH(583mL)でpHを4.76の最終pHに高めた。フラスコを氷浴上で2時間冷却し、次に、固体を濾去し、35±5℃の真空オーブンで乾燥させて、179.5g(96%)の純粋な脱塩Ac-AA(1-38)-NH2を与えた。
凍結乾燥配列番号:9ペプチドの沈殿2。1144(配列番号:9)固体(前に、凍結乾燥によって単離されている)を、pH8〜9に調節することによって、50mg/mlの濃度で50%アセトニトリル-水に溶解した。次に、溶液のpHを5〜6に戻し調節した後に、さらなるアセトニトリルを加えて、アセトニトリルの総含有量が85%を超えるようにした。沈殿固体を減圧濾過によって収集し、90%アセトニトリル/水によって洗浄し、真空オーブンで乾燥させた。
別の実施態様では、1144(配列番号:9)固体(前に、凍結乾燥によって単離されている)を、70mg/mlの濃度で50%アセトニトリル/水(14vol)に溶解し、NH4OHでpH6〜9に調節した。研磨濾過の後、溶液をアセトニトリル(48vol)に加え、さらなる2容の50%アセトニトリル/水を用いて溶解タンク及びラインを洗浄した。生じたスラリーは、減圧濾過の前に10分間撹拌した。10容の90%アセトニトリル/水及びストレートのアセトニトリル(各々10vol)を用いて、固体を洗浄した。収集したペプチドは、一定の重量まで、真空オーブンで乾燥させた。
別の実施態様では、50%ACN、50%10mMNaOAC中の純粋な1144(配列番号:9)の溶液をpH5〜6に酸性化し、アセトニトリルで希釈して生成物を沈殿させた。生じた固体を濾過によって単離し、90%アセトニトリル/水で、次にストレートアセトニトリル(それぞれ10vol)で洗浄した。収集したペプチドは、一定の重量まで、真空オーブンで乾燥させた。
(実施例14)
HIV感染症及び/又はエイズの治療で、その療法で、又はその治療計画の一部として、抗ウイルス性ペプチド、例えばHIV融合阻害ペプチドをそれ自体で、又は、本発明で提供される組成物中の活性薬剤物質として投与する方法が本発明でさらに提供される。HIV融合阻害ペプチドの抗ウイルス活性は、標的細胞へのHIVの伝搬を阻止する方法であって、ウイルス及び/又は細胞を、HIVによる細胞の感染を阻止するのに有効な量、より好ましくウイルスと標的細胞との間のHIV媒介性の融合を阻止するのに有効な量のHIV融合阻害ペプチドと接触させることを含む方法で利用することができる。この方法は、HIV感染患者の治療(治療的)、又はHIVに新たに曝露される患者又は曝露の危険性(例えば、薬物使用又は高い危険性のある性行動を介して)が高い個体の治療(予防的)に使用することができる。従って、例えば、HIV-1感染患者の場合、有効な量のHIV融合阻害剤ペプチドは、治療される患者のHIVウイルス量が減少するのに(単独で及び/又は投与計画と組み合わせて)十分な投与量であろう。当業者に公知のものとして、制限されないが、末梢血単核球の定量的培養、及び血漿HIV RNA測定を含む、HIVウイルス量を測定するための幾つかの標準的方法がある。HIV融合阻害剤ペプチドは、ウイルス量のモニタリングなど、医師によって測定され得るように、単一投与量で、断続的に、周期的に、又は連続的に投与することができる。HIV融合阻害剤ペプチドを含む本明細書で提供される特定の組成物、並びに、その本明細書で提供される特定の組成物が医薬として許容し得る担体及び/又は高分子担体をさらに含むかどうか等の要因に応じて、HIV融合阻害剤ペプチドは、数日〜数週間又は場合によってはさらに長いの周期範囲で投与することができる。さらに、HIV融合阻害剤ペプチドは、HIV治療用の他の抗ウイルス薬又は予防薬と組み合わせて、又はそれらを用いる治療計画において使用される場合(例えば、同時に使用される場合、又は1つの薬剤を用いてサイクリングオン及び別のものを用いてサイクリングオフにおいて使用される場合)、抗ウイルス療法に使用することができる。
抗ウイルス薬の組み合わせを含む共通して使用される治療は、HAART(高活性抗レトロウイルス療法)として知られている。HAARTは通常、HIVに対して抗ウイルス活性を有する3つ以上の薬剤を組み合わせ、かつ通常、2クラス以上の薬剤を含む(「クラス」は、作用機序、或いは薬剤により標的とされるウイルスタンパク質又はプロセスに関する。)。従って、HIV融合阻害剤ペプチドを含有する本明細書で提供される組成物を単独で投与してもよく(例えば単剤療法)、或いは、本明細書中により詳細に記載されるように、HIV感染治療及び/又はAIDS治療用のさらなる治療薬の組み合わせを含めて、治療投与計画において投与しても、又は同時投与してもよい。
例えば、一実施態様では、本発明で提供される組成物中のHIV融合阻害ペプチドによる治療において、1つ以上の治療剤を組み合わせることができる。そのような組合せは、HIV融合阻害ペプチドに加えて少なくとも1つの抗ウイルス薬を含むことができる。そのような組合せは、例えば、現在承認されているか将来承認される抗ウイルス薬(HIV感染症の治療に有益な)の有効量から製造することができ、その例には、それらに限定されないが、以下から選択される1つ以上の追加の治療剤が含まれる:サイトカイン、例えばrIFNα、rIFNβ、rIFNγなどの抗ウイルス薬;逆転写酵素阻害剤、例えば、それらに限定されないが、アバカビル、AZT(ジドブジン)、ddC(ザルシタビン)、ネビラピン、ddI(ジダノシン)、FTC(エムトリシタビン)、(+)及び(-) FTC、レバーセット、3TC(ラミブジン)、GS 840、GW-1592、GW-8248、GW-5634、HBY097、デラビリジン、エファビレンツ、d4T(スタブジン)、FLT、TMC125、アデフォビル、テノフォビル及びアロブジン;プロテアーゼ阻害剤、例えば、それらに限定されないが、アムプレニビル、CGP-73547、CGP-61755、DMP-450、インディナビル、ネルフィナビル、PNU-140690、リトナビル、サキナビル、テリナビル、チプラノビル、アタザナビル、ロピナビル、ABT378、ABT538及びMK639;リバビリンなどのウイルスmRNAキャッピング阻害剤;抗HIV活性を有する脂質結合分子としてのアムホテリシンB;糖タンパク質プロセシング阻害剤としてのカスタノスペルミン;ウイルス侵入阻害剤、例えば融合阻害剤(エンフュービルタイド、T1249、他の融合阻害ペプチド及び小分子)、SCH-D、UK-427857(Pfizer)、TNX-355(Tanox社)、AMD-070(AnorMED)、Pro 140、Pro 542(Progenics)、FP-21399(EMD Lexigen)、BMS806、BMS-488043(Bristol-Myers Squibb)、マラビロク(UK-427857)、ONO-4128、GW-873140、AMD-887、CMPD-167及びGSK-873,140(GlaxoSmithKline);AMD-070などのCXCR4アンタゴニスト;塩酸プロカイン(SP-01及びSP-01A)などの脂質及び/又はコレステロール相互作用調節因子;それらに限定されないがL-870及び810を含む、インテグラーゼ阻害剤; RNアーゼH阻害剤; rev又はREVの阻害剤; vif阻害剤(例えば、vif由来のプロリンに富むペプチド、HIV-1プロテアーゼN末端由来のペプチド);それらに限定されないがベツリン及びジヒドロベツリン誘導体を含むウイルスプロセシング阻害剤(例えば、PA-457);並びに、それらに限定されないが、AS-101、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、IL-2、バルプロン酸及びサイモペンチンを含む免疫調節剤。HIV感染症及び/又はエイズの治療の分野の技術者に理解されるように、併用薬剤治療は同じ作用機構を有する2つ以上の治療剤を含むことができるか、異なる作用機構を有する2つ以上の治療剤を含むことができる。
HIV融合阻害ペプチド及び/又は本発明で提供される組成物と併用することができるこれらの例示的な追加の治療剤の有効な投薬量は、当技術分野で公知である。さらに、HIV融合阻害ペプチド又は本発明で提供される医薬組成物の投与すべき有効な投薬量は、当業者に公知である手順を通して;例えば、効力、生物学的半減期、生物学的利用能及び毒性を判定することによって決定することができる。一実施態様において、HIV融合阻害剤ペプチドの有効な量及びその投与量範囲は、当業者に周知の慣例的インビトロ及びインビボ研究からのデータを用いて、当業者により決定される。例えば、本明細書中に記載したような抗ウイルス活性のインビトロ感染性アッセイにより、当業者は、単独活性成分として又は他の活性成分との組合せにおいて、所定範囲のウイルス感染(例えば、50%阻害,IC50;又は90%阻害,IC90)又はウイルス複製を阻害するのに必要な化合物の平均阻害濃度(IC)を測定することができる。続いて、ウイルス感染又はウイルス複製を阻害するための所定値と等しいか又はそれを超える活性成分の最小血漿濃度(C[min])を得るように、適切な投与量を、1つ以上の標準的モデルの薬物動態学的データを用いて、当業者により選択することができる。投与量範囲は通常、制限されないが皮下、非経口、皮内、又は経口を含めた投与経路など、投与される時の選択される投与経路、及び投与製剤に依存するが、化合物の典型的な投与量範囲は、約1mg/kg体重〜約100mg/kg体重;より好ましくは1mg/kg体重以上〜10mg/kg未満とすることができる。一実施態様では、投与は注射(例えば、皮下を用いる)により、一実施態様では、HIV融合阻害ペプチドである。
従って、細胞へのHIVの伝搬の阻止のための方法であって、HIV融合阻害ペプチドを含む本明細書に記載の組成物を、HIVによる細胞の感染を阻止するのに有効な量で投与することを含む方法が提供される。本方法は、個体にHIV融合阻害ペプチド又は本発明で提供される医薬組成物の有効な量を含む治療剤の組合せを(同時に又は逐次的に、又は治療計画の一部として)投与することによって、本明細書に記載される組成物を、HIV感染症及び/又はエイズを治療するために用いられる他の治療剤と組み合わせて患者に投与することをさらに含むことができる。HIVの侵入を阻止する方法であって、それを必要とする患者に、HIV融合阻害ペプチドを含む本明細書に記載の組成物を標的細胞のウイルス侵入を阻止するのに有効な量で投与することを含む方法も提供される。本方法は、HIV感染症の治療に有用である1つ以上の追加の阻害剤、例えばウイルス侵入の阻害剤の有効量と組み合わせて、本明細書に記載される組成物を投与することをさらに含むことができる。
(実施例15)
本発明で提供される組成物の製造方法を、下に示す。さらに、例示的な組成物を記載する。
材料:酢酸スクロースイソブチレート(SAIB)は、Eastman Chemicalsから得た。ポリ乳酸(PLA)及びポリ乳酸グリコリド共重合体(PLGA)は、Lakeshore Biomateialsから得た。PLA及びPLGAは、ラクチド:グリコリド比、分子量及びそれらの末端基が異なる。この研究で用いたすべてのPLGAは、50:50のラクチド:グリコリド比であった。分子量は、名称中の番号によって等級分けされる。分子量の推定値は、番号の10000倍である。末端基は、カルボン酸(A)、メチルエステル(M)又はラウリルエステル(L)である。N-メチル-2-ピロリドン(NMP)は、Spectrumから得た。安息香酸ベンジル及びトリアセチンは、Sigmaから得た。グアニジンHClは、Amrescoから得た。トリス-HClは、Sigmaから得た。4-(2-ピリジルアゾ)レゾルシノールは、Sigmaから得た。メタノールは、VWRから得た。硫酸亜鉛七水和物は、Sigmaから得た。塩化亜鉛は、Sigmaから得た。
T1144ペプチド物質の製造: T1144ペプチド物質は、以下のプロトコルによって製造した。
噴霧乾燥: T1144ペプチドは、4未満又は6を超えるpHで、通常、水に溶解した。1N NaOH又は1N HClを用いて、pHを調節した。ペプチド溶液を、噴霧ノズルを通して加熱チャンバ内に噴霧した。乾燥したペプチド粒子を、手動で収集した。
ペプチドは、上記の噴霧乾燥方法によって製造することがさらにできるが、賦形剤を噴霧乾燥溶液に加え、それによって賦形剤及びペプチドを混和する。
塩又はpHによる沈殿:ペプチドは、4未満又は6を超えるpHで、通常、水に溶解した。1N NaOH又は1N HClを用いて、pHを調節した。沈殿を引き起こすために、塩溶液又は強い酸/塩基を加えた。沈殿物を遠心分離によって収集し、凍結乾燥によって乾燥させ、粒子サイズを調整するために200μmスクリーンに通した。
媒体製造:媒体は、以下のプロトコルによって製造した。
SAIB媒体製造:所望の最終濃度に到達するSAIBの適当な量を加温し、NMPに加え、均一になるまで混合した。
SAIB/PLA媒体製造:所望の最終濃度に到達するPLAの適当な量を、NMP、安息香酸ベンジル又はトリアセチンに溶解した。所望の最終濃度に到達するSAIBの適当な量を加温し、PLA溶液に加え、均一になるまで混合した。
PLA、PLG及びPLGA媒体製造: PLA、PLG又はPLGAの所望の最終濃度に到達するPLA、PLG又はPLGAの適当な量を、NMPに溶解した。
組成物は、当業者に公知である任意の方法によって製造することができる。本実施例では、ペプチド物質(沈殿又は噴霧乾燥した)をバイアルに加えた。媒体をバイアルに加え、内容物を均一になるまで混合した。場合によっては、適切な混合を確保するために、これは〜40℃への加温を必要とした。処方は、mg/gで表した処方重量あたりのペプチド重量として定量化した。
ペプチド含有量は、Edelhoch方法に類似した方法で、トリプトファン及びチロシン吸光度に基づいて判定した。簡潔には、〜1mgのペプチド物質を、1mLの8M塩酸グアニジンに溶解した。溶液は、276、280及び288nmにおけるUV吸光度を評価した。これらの吸光度測定値を既知の試料重量、試料容積、ペプチド中のトリプトファン及びチロシン残基の数、及びペプチド分子量と一緒に用いて、固体のペプチド含有量(% w/w)を判定した。
金属カチオン含有量は、M2+と2:1の複合体を形成することが知られている金属指示薬である4-(2-ピリジラゾ)レゾルシノール(PAR)の使用を採用した、UV/可視吸光度アッセイを用いて判定した。簡潔には、〜1mgの固体を、6MグアニジンHClを含む1mLのトリス-HCl緩衝液(pH8)に溶解した。最終金属カチオン濃度が1〜10μMであるように、この溶液を希釈した(同じ緩衝液を用いた)。50μLの0.1M PARを、950μLの希釈した溶液に加えた。平衡化の後、試験溶液を、500nmのUV/可視吸光度について評価した。金属カチオン濃度を同日に得られた標準曲線からの線形最小二乗解析に基づいて計算し、試料の金属カチオン含有量(重量%)を判定した。
血漿中のペプチド濃度は、LC-MS測定によって判定した。血漿試料を、0.5%(v/v)ギ酸を含有する3容のアセトニトリルで希釈し、遠心分離し、上清を直接分析した。勾配溶離(10mM酢酸アンモニウム、pH6.8:アセトニトリル、0.6mL/分)を用いて、6分の総実行時間でクロマトグラフィーを実施した。4×2mmのPhenomenex SecurityGuard C8ガードカラムによって保護されたPhenomenex Luna C8(2) 50×2mmのカラムで、分離を実施した。通常単一のquadモードで、Sciex API4000又はAPI4000 Qtrap機器で質量分光分析(ESI+)を実施し、[M+3H]3+又は[M+4H]4+イオンを検出した。T1144のための較正曲線を、30ng/mLから30ng/mLで構築した。結果は、経時的血漿ペプチド濃度で表す。以下の略語を用いる:Cmax=最大血漿ペプチド濃度; tmax=Cmax時の時間; t0.1=血漿ペプチド濃度が0.1μg/ml未満に低下する時間; t0.01は標準化血漿中濃度が0.01μg/mL未満に低下する時間である。場合によっては、比較を容易にするために、血漿中濃度をkg動物体重あたり3mgペプチドに標準化した。
以下の通りに動物に投薬した。過剰なT1144を含有する組成物を、16G針を通して1ccの注射器に引き抜いた。この針を18G又は21G針に交換し、注射器から正しい用量まで抜いた。動物は、肩甲骨の間の皮下空間に投薬した。ラット(400g)は、用量群につき3匹の動物に、400μLで投薬した。カニクイザル(2.5kg)は、群につき3匹の動物に、400μL又は1000μLで投薬した。
すべての薬物動態学的データは、ラット又はサルを用いて収集した。場合によっては、比較を容易にするために、血漿中濃度を3mgペプチド/kg動物に標準化した。
以下のペプチド含有組成物を製造した。
T1144/亜鉛沈殿A。T1144を、水に溶解した。pHを〜6.2に調節し、25mg/mLの濃度まで水を加えた。溶液を、0.22μmフィルターに通した。2mLの0.1M ZnSO4を、80mLのT1144溶液に加えた。生じた懸濁液を遠心分離し、上清を別の容器に移し、沈殿を冷凍した。沈殿物を凍結乾燥させ、200μmスクリーンに通した。
T1144/亜鉛沈殿B。T1144を、水に溶解した。pHを〜6.2に調節し、25mg/mLの濃度まで水を加えた。溶液を、0.22μmフィルターに通した。60mLの0.1M ZnSO4を、120mLのT1144溶液に加えた。生じた懸濁液を遠心分離し、上清を別の容器に移し、沈殿を冷凍した。沈殿物を凍結乾燥させ、200μmスクリーンに通した。
T1144/亜鉛沈殿C。T1144を、水に溶解した。pHを〜5.7に調節し、40mg/mLの濃度まで水を加えた。溶液を、0.22μmフィルターに通した。<100mgのZnCl2を、20mLのT1144溶液に加えた。生じた懸濁液を遠心分離し、上清を別の容器に移し、沈殿を1mLの水で洗浄した。沈殿物を冷凍し、凍結乾燥させ、200μmスクリーンに通した。
T1144/亜鉛沈殿D。沈殿Bを5mLの水で洗浄し、遠心分離し、上清を別の容器に移した。これを、さらに2回繰り返した。生じた沈殿物を冷凍し、凍結乾燥させ、200μmスクリーンに通した。
T1144/亜鉛沈殿E。445mgのZnSO4*7H2Oを、2mLの水に溶解した。1.0gの沈殿Dを、亜鉛溶液でスラリーにした。スラリーを冷凍し、凍結乾燥させ、200μmスクリーンに通した。
T1144沈殿F。T1144を、水に溶解した。pHを〜6.2に調節し、25mg/mLの濃度まで水を加えた。溶液を、0.22μmフィルターに通した。5mLの1N酢酸を加えて、pHを〜5まで低下させた。生じた懸濁液を遠心分離し、上清を別の容器に移し、沈殿を冷凍した。沈殿物を凍結乾燥させ、200μmスクリーンに通した。
T1144/亜鉛沈殿G。230mgのZnSO4*7H2Oを、2mLの水に溶解した。500mgの沈殿Fを、亜鉛溶液でスラリーにした。スラリーを冷凍し、凍結乾燥させ、200μmスクリーンに通した。
T1144/亜鉛沈殿H。T1144を、水に溶解した。pHを〜8.4に調節し、50mg/mLの濃度まで水を加えた。溶液を、0.22μmフィルターに通した。メタノールを、25mg/mLの濃度(50:50のメタノール:水)まで加えた。〜1mLの0.1M ZnSO4を、20mLのTRI-1144溶液に加えた。生じた懸濁液を遠心分離し、上清を別の容器に移し、沈殿物を冷凍した。沈殿物を凍結乾燥させ、200μmスクリーンに通した。
T1144沈殿I。TRI-1144を、水に溶解した。pHを〜8.4に調節し、50mg/mLの濃度まで水を加えた。溶液を、0.22μmフィルターに通した。メタノールを、25mg/mLの濃度(50:50のメタノール:水)まで加えた。pHを、〜5に調節した。生じた懸濁液を遠心分離し、上清を別の容器に移し、沈殿を冷凍した。沈殿物を凍結乾燥させ、200μmスクリーンに通した。
T1144/亜鉛沈殿J。T1144を、水に溶解した。pHを〜6.2に調節し、25mg/mLの濃度まで水を加えた。溶液を、0.22μmフィルターに通した。60mLの0.1M ZnSO4を、120mLのT1144溶液に加えた。生じた懸濁液を遠心分離し、上清を別の容器に移し、沈殿を冷凍した。沈殿物を凍結乾燥させ、150μmスクリーンに通した。
T1144/亜鉛沈殿K。T1144を、水に溶解した。pHを〜6.2に調節し、25mg/mLの濃度まで水を加えた。溶液を、0.22μmフィルターに通した。1mLの0.1M ZnSO4を、40mLのT1144溶液に加えた。生じた懸濁液を遠心分離し、上清を別の容器に移し、沈殿を冷凍した。沈殿物を凍結乾燥させ、150μmスクリーンに通した。
T1144/亜鉛沈殿L。1.0gの沈殿Jを30mLの水で洗浄し、遠心分離し、上清を別の容器に移した。これを繰り返した。生じた沈殿物を冷凍し、凍結乾燥させ、200μmスクリーンに通した。
T1144/亜鉛沈殿M。T1144を、水に溶解した。pHを〜6.3に調節し、25mg/mLの濃度まで水を加えた。溶液を、0.22μmフィルターに通した。激しく混合した0.3MのZnSO4溶液の50mLに、25mLのT1144溶液を、噴霧ノズルを通して(噴霧乾燥に類似した方法で)噴霧した。生じた懸濁液を遠心分離し、上清を別の容器に移し、沈殿を冷凍した。沈殿物を凍結乾燥させ、200μmスクリーンに通した。
T1144/亜鉛沈殿N。T1144を、水に溶解した。pHを〜6.3に調節し、50mg/mLの濃度まで水を加えた。メタノールを、25mg/mLの最終T1144溶液濃度まで加えた。溶液を、0.22μmフィルターに通した。激しく混合した0.1MのZnSO4溶液の50mLに、25mLのT1144溶液を、噴霧ノズルを通して(噴霧乾燥に類似した方法で)噴霧した。生じた懸濁液を遠心分離し、上清を別の容器に移した。沈殿物は、10mLの水で3回洗浄した。懸濁液を遠心分離し、上清を別の容器に移し、沈殿を冷凍した。沈殿物を凍結乾燥させ、200μmスクリーンに通した。
Figure 2010540528
上記組成物を、下記のようにラット又はサルに投与した。ラット又はサルで得た結果は、ヒトでの結果と相応に相関すると予想される。
沈殿物Dを74:11:15のSAIB:PLA3L:NMPにより100mg/gで製剤化し、カニクイザルに1000μLの用量で投薬した。図9(--◆--)に示すように、血漿中濃度は12日間、1μg/mLの目標値よりも大きく、7日の目標時間を超えた。沈殿物Jは40:60のPLA3L:NMPにより50mg/gで製剤化し、カニクイザルに400μLの用量で投薬した。図9(--■--)に示すように、血漿中濃度は7日間、1μg/mLの目標値よりも大きかった; 1000μLの100mg/g沈殿物Jなどのより大きな用量は、目標血漿中濃度を10〜12日間もたらすことが潜在的にできたであろう。このことは、T1144は、SAIB/PLA又はPLA媒体で皮下に送達することができ、目標値(すなわち、1μg/mL)を上回る血漿中濃度を、1週間を超えて提供することができることを示す。
沈殿物Dを74:11:15のSAIB:PLA3L:NMPにより100mg/gで製剤化し、ラットに400μLの用量で投薬した。図10(--◆--)に示すように、血漿中濃度は6日間、1μg/mLの目標値よりも大きく、7日の目標時間をほぼ満たした。沈殿物Jは40:60のPLA3L:NMPにより50mg/gで製剤化し、ラットに400μLの用量で投薬した。図10(--■--)に示すように、血漿中濃度は7日間、1μg/mLの目標値よりも大きかった。このことは、これらの製剤が、齧歯動物及び霊長類の両モデルにおいて、T1144の類似した持続的送達を提供したことを示す。
ラットにおける薬物動態学的プロフィールに及ぼすSAIB:PLA比の影響。沈殿物AをSAIB:PLA3M:NMP媒体により50mg/gで製剤化し、ラットに400μLの用量で投薬した。図11に示すように、SAIB:PLA比を低下させること(すなわち、より多くのPLA)はCMAXを低下させ、tMAXを増加させ、t0.01を増加させた。沈殿物BもSAIB:PLA3M:NMP媒体により50mg/gで製剤化し、ラットに400μLの用量で投薬した。図12及び13に示すように、結果は、沈殿物Aで提供されたものに質的に類似していた。しかし、SAIB:PLA比が沈殿物Bからの送達に及ぼした影響の程度は、沈殿物Aからの送達へのその影響よりも低かった。このことは、SAIB:PLA比を低下させることがTRI-1144の持続的送達を向上させ、沈殿特性、特に沈殿中の亜鉛の量は送達速度に影響を及ぼすことができることを示す。
ラットにおける薬物動態学的プロフィールに及ぼすマトリックス:溶媒比の影響。沈殿物BをSAIB:PLA3M:NMP媒体により50mg/gで製剤化し、ラットに400μLの用量で投薬した。図14に示すように、10%前後のPLAレベルは、より低いPLAレベルと比較してペプチド送達を遅くすることができる。
ラットにおける薬物動態学的プロフィールに及ぼす溶媒の種類の影響。沈殿物Bを75:5:20のSAIB:PLA3M:溶媒(すなわち、トリアセチン、安息香酸ベンジル又はNMP)媒体により50mg/gで製剤化し、ラットに400μLの用量で投薬した。図15に示すように、溶媒の種類を変更すると、CMAXが低下し、tMAXが増加し、t0.01が増加した。NMPは、安息香酸ベンジルに勝るトリアセチンよりも望ましい薬物動態学的特性を与えた。このことは、溶媒の種類がペプチド送達に影響を及ぼすことを示す。
ラットにおける薬物動態学的プロフィールに及ぼすペプチド濃度の影響。沈殿物Bを75:5:20のSAIB:PLA3M:NMP媒体により製剤化し、ラットに400μLの用量で投薬した。結果を図16に示すが、この媒体では、ペプチド送達に悪影響を与えることなくペプチド濃度を高くすることができることを示す。
ラットにおける薬物動態学的プロフィールに及ぼす注射容量の影響。沈殿物Bを74:11:15のSAIB:PLA3M:NMP媒体により100mg/gで製剤化し、ラットに投薬した。図17に示すように、持続的送達パラメータに及ぼす投薬容量の有意な影響はなかった;しかし、400μL用量は、200μL用量(すべて標準化した)よりも多少勝っていた。沈殿物Cは、77:15:8のSAIB:NMP:エタノール媒体で製剤化し、ラットに投薬した。図17に示すように、ペプチド用量を調節した最初の3日間、持続的送達パラメータに及ぼす投薬容量の有意な影響はなかった;しかし、3日後、400μL用量は、200μL用量よりも多少勝っていた。このことは、注射容量の増加が持続的送達を促進することができることを示す。
ラットにおける薬物動態学的プロフィールに及ぼすSAIB媒体中のPLAの種類の影響。沈殿物Aを75:5:20のSAIB:PLA:NMP媒体により50mg/gで製剤化し、ラットに400μLの用量で投薬した。図18に示すように、3Lから3MにPLAの種類を変更することは、CMAXを低下させ、tMAXを増加させ、t0.01を増加させた。このことは、PLAの種類が持続的送達に影響を及ぼすことができることを示す。
ラットにおける薬物動態学的プロフィールに及ぼすペプチド沈殿形態の影響。沈殿物A、B、E及びGを、75:5:20のSAIB:PLA3M:NMP媒体により別々に50mg/gで製剤化し、ラットに400μLの用量で投薬した。図19に示すように、初期沈殿工程の間の亜鉛量の増加は、CMAXを低下させ、tMAXを増加させ、t0.01を増加させた(A及びB)。凍結乾燥塩として硫酸亜鉛を低亜鉛沈殿に加えることは、CMAXを低下させ、tMAXを増加させ、t0.01を増加させた(A及びE)。pHの代わりに亜鉛で沈殿させることは、最終沈殿物が凍結乾燥塩として硫酸亜鉛を含有した場合、持続的送達パラメータに影響しなかった(E及びG)。総亜鉛量は類似していたが、沈殿物E及びGのいずれも、この媒体では沈殿物Bと同等の性能を発揮しなかった。このことは、亜鉛が沈殿に組み込まれる方法(例えば、それがどのように沈殿又は噴霧されるか)が、ペプチドの持続的送達にかなり影響することを示す。
サルにおける薬物動態学的プロフィールに及ぼす重合体の種類及び投薬容量の影響。沈殿物Dを、SAIB:PLA:NMP媒体で製剤化し、カニクイザルに投薬した。図20に示すように、媒体を75:5:20から74:11:15(400μL用量)に変更することは、持続的送達パラメータにあまり影響を及ぼさなかった;しかし、両方とも水溶液よりも優れた性能を発揮した。74:11:15で投薬容量を1000μLに増加させることは、CMAXを低下させ、tMAXを低下させ、t0.01を増加させた。このことは、投薬容量の変更が持続的送達に影響を及ぼすことができることを示す。
PLA及びPLGAゲル系
ラットにおける薬物動態学的プロフィールに及ぼすマトリックス:溶媒比の影響。沈殿物A及びDをPLGA1A:NMP媒体により50mg/gで別々に製剤化し、ラットに400μLの用量で投薬した。図21に示すように、マトリックス:溶媒比の増加(より多くのPLGA)は、CMAXを低下させ、tMAXを増加させ、t0.01を増加させた。このことは、媒体中の重合体の量が、持続的送達に影響を及ぼすことを示す。
ラットにおける薬物動態学的プロフィールに及ぼす重合体の種類の影響。沈殿物A及びDを重合体:NMP媒体により50mg/gで別々に製剤化し、ラットに400μLの用量で投薬した。図21に示すように、重合体MW及びL:G比の同時増加は、CMAXを低下させ、tMAXを増加させ、t0.01を増加させた。沈殿物Bは重合体:NMP媒体により50mg/gで製剤化し、ラットに400μLの用量で投薬した。図22に示すように、L:G比の増加は、CMAXを低下させ、tMAXを増加させ、t0.01を増加させた。重合体MWの増加は、CMAXを低下させ、tMAXを増加させ、t0.01を増加させた。このことは、媒体中の重合体の種類が、持続的送達に影響を及ぼすことを示す。
ラットにおける薬物動態学的プロフィールに及ぼす溶媒の種類の影響。沈殿物BをPLGA1A:溶媒媒体により50mg/gで製剤化し、ラットに400μLの用量で投薬した。図22に示すように、NMPからトリアセチンに溶媒を変更することは、t0.01を増加させるだけであった。このことは、媒体中の溶媒の種類が、持続的送達に影響を及ぼすことを示す。
ラットにおける薬物動態学的プロフィールに及ぼすペプチド濃度の影響。沈殿物Bを50:50のPLGA1A:NMP媒体で製剤化し、ラットに400μLの用量で投薬した。図23に示すように、用量の増加はCMAXを低下させ、tMAXを増加させ、t0.01を低下させた(すべて標準化した)。沈殿物Hは40:60のPLA3L:NMP媒体で製剤化し、ラットに400μLの用量で投薬した。図23に示すように、用量の増加はCMAXを低下させ、tMAXを増加させ、t0.01を低下させた(すべて標準化した)。このことは、PLA及びPLGA媒体が、高用量のペプチドの持続的送達を提供することができることを示す。
ラットにおける薬物動態学的プロフィールに及ぼすペプチドの形態(亜鉛なし)の影響。沈殿物I及び噴霧乾燥物質を、40:60のPLA3L:NMP媒体により50mg/gで製剤化し、ラットに400μLの用量で投薬した。図24に示すように、亜鉛非含有ペプチドの形態を変更することは、持続的送達パラメータを変化させなかった。このことは、亜鉛を含まないペプチドの物理的形態が、持続的送達にあまり影響しないことを示す。
ラットにおける薬物動態学的プロフィールに及ぼすペプチドの形態の影響。沈殿物H、J、K及びLを、40:60のPLA3L:NMP媒体により50mg/gで製剤化し、ラットに400μLの用量で投薬した。図25に示すように、沈殿を洗浄し、それによって亜鉛量を減少させることは、持続的送達パラメータを変化させなかった(J及びL)。洗浄した沈殿は、洗浄しない低亜鉛沈殿とかなり異なる方法で性能を発揮した(K及びL)。50:50のメタノール:水溶液からの沈殿は、CMAXの低下及びtMAXの増加をもたらした。このことは、この媒体では、ペプチドと一緒に沈殿させた亜鉛の量が、持続的送達に影響しないことを示す;しかし、ペプチドを沈殿させた溶液は、送達にかなり影響を及ぼす。
ラットにおける薬物動態学的プロフィールに及ぼすカチオン種の影響。幾つかのカルシウム及び鉄の沈殿物を、40:60のPLA3L:NMP媒体で製剤化し、ラットに400μLの用量で投薬した。図26に示すように、すべての製剤が多少の持続的送達を示し、鉄の製剤がカルシウム製剤よりも優れた。このことは、亜鉛に加えて他のカチオンの沈殿物が、ペプチドの持続的送達を提供することができることを示す。
サルにおける薬物動態学的プロフィールに及ぼす重合体の種類及びペプチドの形態の影響。沈殿物を重合体:NMP媒体で製剤化し、カニクイザルに投薬した。図27に示すように、40:60のPLGA1A:NMP媒体及び沈殿物Aから40:60のPLA3L:NMP媒体及び沈殿物Jに同時に変更することは、CMAXを低下させ、tMAXを低下させ、t0.01を増加させた。このことは、重合体特性(例えば、種類及び分子量)並びにペプチドが製造された方法が持続的送達で重要なことを示す。
ラットにおける薬物動態学的プロフィールに及ぼす沈殿法の影響。沈殿物H、J、M及びNを、40:60のPLA3L:NMP媒体で別々に製剤化し、ラットに400μLの用量で投薬した。図28に示すように、標準の沈殿物J及びHは、噴霧された沈殿物M及びNにそれぞれ類似している(すなわち、類似したペプチド及び亜鉛含量を有する)。それぞれの場合、噴霧沈殿物は、増加したCMAX及びtMAXを示した。噴霧沈殿物の週の終わりの血漿中濃度は、標準沈殿物のそれ以上か同等であった。このことは、噴霧沈殿物が、標準沈殿物と比較して向上した持続的送達能力を提供することができることを示す。
(in-situ形成性ゲル)
以下の実施例は、本発明のペプチドを含むin situ形成性ゲル製剤の調製を例示する。以下の実施例では、in situゲル製剤は、Atrix PharmaceuticalsからのAtrigel技術及びDURECT PharmaceuticalsからのSABER(商標)技術に基づいた。
一実施例では、熱可塑性系に薬剤物質を懸濁させ、ここで固体の直鎖生物分解性重合体又は共重合体、例えばポリ-ラクチド-グリコリド酸共重合体(PLGA)をN-メチルピロリジノン(NMP)などの溶媒に溶解して液体溶液を形成する。十分な水がある体に重合体溶液を入れると、溶媒は重合体から拡散して、残された重合体を固体構造に固化させる。PLGAが分解するに従い、薬剤物質は徐々に放出される。商業製品の例は、Eligard(登録商標)又はAtrigel(登録商標)に懸濁された酢酸ロイプロリドである。
別の例では、SABER技術を用いて、溶液の粘性を低下させるためにエタノールと混合されている酢酸スクロースイソブチレート(SAIB)に薬剤物質を懸濁させる。SAIBは、周囲条件又は生理学的条件の下で結晶化しない、非重合体の、非水溶性高粘度の液状物質である。十分な水がある体にペプチド-SAIB溶液を入れると、溶媒はSAIBから拡散して、残されたSAIBを固体構造に固化させる。SAIBが分解するに従い、薬剤物質は血流に徐々に放出される。有用な商業製品の例は、Posidur(商標)又はSAIBに懸濁させたブピビカインである。
(実施例16)
本発明のペプチドを含むin situゲル製剤の調製のさらなる例が、ここで例示される。最初に、TRI-1144を噴霧乾燥させるか、氷酢酸を添加して沈殿させる。次に、TRI-1144を、硫酸亜鉛を含む水溶液から沈殿させて、Zn:TRI-1144複合体を形成する。亜鉛及びペプチド含有量について分析すると、Zn:TR-1144比は1.1:1であった。他の実施例では、TRI-1144を50:50の水:メタノール溶液に溶解してから、硫酸亜鉛を添加して沈殿させた。
SAIBは、Mallinckrodtから購入した。TRI-1144沈殿物を、様々なSAIB:PLGA:エタノール(表11)溶液に懸濁させてから、ラット/サルに投薬した。PLGAをエタノールに溶解し、次に、SAIBに加えて所望の重量%を達成した。動物PK試験の結果に基づいて、沈殿型及び溶媒を最適化した。
Figure 2010540528
すべてのPLA/PLGA重合体は、Lakeshore Biomaterials、Mobile、Alabamaから得た。亜鉛沈殿物を様々なPLA:NMP及びPLGA:NMP溶液(表12)に懸濁させてから、ラット/サルに投薬した。一般に、NMPにPLA/PLGAを溶解し、次に、必要に応じて他の親水性溶媒を加えることによって、溶媒を調製した。動物PK試験の結果に基づいて、沈殿型及び溶媒を最適化した。
Figure 2010540528
Figure 2010540528
(結果/考察)
SAIBで形成されたTRI-1144のin situ形成性ゲルは、最初の1週間の持続的放出を実証した。図29は、TR-1144 SAIBゲルのラットにおけるTRI-1144放出を示す。SAIBの濃度が増加するに従い、より長くTRI-1144が放出される。しかし、PLA/PLGA:NMPでのTRI-1144のin situ形成性ゲルと比較すると、TRI-1144の放出はそれほど長くはない。図30は、SABERに対するAtrigel系で形成されたin situ形成性ゲルの比較を示す。SABERゲルは比較的高いバーストを有し、TRI-1144の基本的にすべては、100時間の間に放出される。しかし、Atrigel系で形成されるTRI-1144ゲルは、1週間後にもまだTRI-1144を放出している。また、Atrigel技術を用いるTRI-1144製剤は、SABER技術を用いる製剤よりも低粘性であった。これは、図31に示すサルPK試験#527の結果で明白である。TRI-1144は、両製剤で同期間にわたって放出される。しかし、PLGAに懸濁されるTRI-1144は、その比較的低い粘度のためにずっとより容易に投薬される。
(Zn-TRI-1144沈殿最適化)
TRI-1144の持続的放出は、硫酸亜鉛でTRI-1144を沈殿させることによって、さらに向上する。亜鉛量を分析すると、亜鉛は1.1:1の比でTRI-1144と複合体を形成する。最初の製剤は、亜鉛の100倍までのアクセスを含んでいた。図31のサルPK試験#で示される結果は、及び、図8のラットPK試験#530からの製剤782-102の結果は、持続的放出がZn-TRI-1144複合体によって高められることを示す。しかし、図32のラットPK試験#531からの製剤782-099の結果が示すように、TRI-1144と複合体を形成するために最小限の量の亜鉛が用いられる場合、結果は類似している。硫酸亜鉛で沈殿させる前に50:50の水:メタノール溶液にTRI-1144を溶解することによって、Zn-TRI-1144沈殿物はさらに最適化された。水に溶解されるTR-1144の沈殿からの沈殿物は微細な白色流動性粉末であるが、TRI-1144を有機溶液に溶解したときに形成されるZn-TRI-1144沈殿物は、投薬溶媒に懸濁させる前に摩砕を必要とする塊状固体である。X線粉末回折によって分析すると、水溶液からのZn-TRI-1144沈殿物は非晶質であり、有機溶液からの沈殿物は約10%の結晶性を有する。
(PLA/PLGA最適化)
重合体の鎖長及び種類も、最適化された。一般に、PLAはPLGAよりも長い持続的放出を有し、より長い鎖長の重合体はより長い持続的放出を有する。これは、重合体の分解及び投薬溶液の溶液粘度に正比例する。図33では、PLGA2.5A及びPLGA3Aを用いる製剤と比較して、PLGA2AをNMPに溶解する製剤は、より高いバースト及びより劣る持続的放出を有する。
(PLA-PEG1500及びPLGA-PEG1500を用いるin situ形成性ゲル)
Zn-TRI-1144のin situ形成性ゲル製剤は、PEG1500とPLAとの共重合体及びPEG1500とPLGAとの共重合体を用いても調製された。理論は、PEG1500が重合体をより親水性にするということである。これはNMPのより速い消散を可能にし、従って、ゲルの硬化に役立つであろう。図34のラットPK試験#からの結果は、PLA-PEG及びPLGA-PEG1500共重合体を用いるin situ形成性ゲルからの、TRI-1144の1週間にわたるゼロオーダーの放出を証明する。これらの製剤は、TRI-1144の週一度投与製剤の実行可能性を証明する最初のものであった。
(親水性溶媒最適化)
NMPは皮下注射のために許容される溶媒であるが、これまで研究された製剤中のNMPの量は、一日一度及び可能性としては週一度の投薬のために医薬として許容し得る限度を超える。従って、PLA-PEG1500及びPLGA-PEG1500共重合体がin situ形成性ゲルを形成するために用いられたラットPK試験#553からの結果に基づき、MPによりPLA/PLGA重合体をまだ溶解するであろう他の親水性溶媒を最適化するために、一連の試験が設計された。それぞれ図35及び36のラットPK試験#560及び#561からの結果は、PLA/PLGA希釈剤への親水性溶媒の添加は、in situ形成性ゲルがより速く硬化し、従って、TRI-1144の放出を持続することを可能にすることを示す。試験した溶媒のうち、PEG400が研究された最適な溶媒のようである(図36、803-073-3及び803-073-4)。
(PLGA最適化)
PLA 3L及びPLGA 3Aはより良好な持続的放出を有するので、溶媒系を最適化する研究においてPLA 3L及びPLGA 3Aを最初に用いた。異なる溶媒系に起因するTRI-1144の放出のいかなる差も、認めるのがより容易になるであろう。しかし、PLA 3Lは6ヵ月にわたって分解し、PLGA 3Aは1ヶ月の間に分解するが、その両方はTRI-1144の週一度の投薬に許容されないであろう。ラットPK試験#560及び#561で最適化された溶媒系は、40:60の重量%の比でNMP:PEG400(50:50)に溶解させたPLA 3L/PLGA 3Aを含む系であった。より速く分解する重合体が必要である。図37は、ラットPK試験#585の結果を示す。この試験では、製剤は、NMP:PEG 1500に溶解させたPLGA 1A、PLGA 2A及びPLGA 2.5Aを含んでいた。PLGA 1A及びPLGA 2Aを用いるin situ形成性ゲルは類似した結果を有し、TRI-1144の週一度の投薬に適当でない。PLGA 2.5Aを用いるin situ形成性ゲルは、1週間の間擬一次放出を有し、TRI-1144の週一度の投薬に許容される。
単一及び二重の乳剤を用いるTRI-1144の持続的放出製剤は、TR-1144の週一度の投薬の実行可能性を判定するために、さらに研究する必要がある。ペプチドの添加は、マイクロスフェアの適正な形成を阻止した。インビボで分析すると、これらの製剤は、TRI-1144のバーストと、続くTRI-1144の緩放出をもたらした。これらの製剤のインビボ放出プロフィールは、TRI-1144の即時放出液体製剤と同等であった。TRI-1144の週一度の投薬のプロトタイプ製剤は、50:50のNMP:PEG 400に溶解させた50:50のPLGA 2.5Aに懸濁させた、亜鉛-TRI-1144沈殿物のin situ形成性ゲルを用いて達成された。50:50のPLGA 2.5Aは、2週間の間注射部位に残る。NMP:PEG 400溶媒系は、NMPの医薬として許容し得る限度の範囲内である。
本発明で提供される具体的な実施態様の前述の記載は、例示目的のために詳細に記載した。記載及び図示に照らし、他の当業者は、現在の知識を応用することによって、基本概念から逸脱しない範囲で様々な用途ために実施態様を修正及び/又は応用することが容易にできる;従って、そのような修正及び/又は適応は、添付の請求項の意味及び範囲内にあるものとする。
様々な参考文献が本明細書で引用されており、その開示は引用によりその全体が組み込まれている。

Claims (19)

  1. 配列番号:9のアミノ酸配列を含むペプチドの合成方法であって、ペプチドフラグメントの縮合を含み、該ペプチドフラグメントが配列番号:58〜77からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、前記方法。
  2. 2つのペプチドフラグメントの縮合を含む、請求項1記載の方法。
  3. 前記ペプチドフラグメントが、配列番号:72及び58;配列番号:70及び59;配列番号:64及び60;又は配列番号:63及び62のアミノ酸配列を含む、請求項2記載の方法。
  4. 前記合成が、リンク充填CTC樹脂、Sieber樹脂、Ramage樹脂、Glu充填CTC樹脂又はGlu37側鎖充填樹脂を用いて実施される、請求項1記載の方法。
  5. 前記ペプチドのN末端にアセチル基を形成する脱保護の工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
  6. 前記ペプチドのC末端にアミド基を形成する脱カルボン酸化の工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
  7. 前記ペプチドのN末端にアセチル基を形成する脱保護の工程;及び該ペプチドのC末端にアミド基を形成する脱カルボン酸化の工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
  8. 3つのペプチドフラグメントの縮合を含む、請求項1記載の方法。
  9. 前記ペプチドフラグメントが、配列番号:72、74及び20;配列番号:71、75及び20;配列番号:70、76及び20;又は配列番号:68、77及び20のアミノ酸配列を含む、請求項8記載の方法。
  10. 前記合成が、リンク充填CTC樹脂、Sieber樹脂、Ramage樹脂、Glu充填CTC樹脂又はGlu37側鎖充填樹脂を用いて実施される、請求項8記載の方法。
  11. 前記ペプチドのN末端にアセチル基を形成する脱保護の工程をさらに含む、請求項8記載の方法。
  12. 前記ペプチドのC末端にアミド基を形成する脱カルボン酸化の工程をさらに含む、請求項8記載の方法。
  13. 前記ペプチドのN末端にアセチル基を形成する脱保護の工程;及び前記ペプチドのC末端にアミド基を形成する脱カルボン酸化の工程をさらに含む、請求項8記載の方法。
  14. 配列番号:9を含むペプチドの合成方法であって、ペプチドフラグメントの縮合を含み、該ペプチドフラグメントが、配列番号:72、74及び19;配列番号:71、75及び19;配列番号:70、76及び19;又は配列番号:68、77及び19のアミノ酸配列を含む、前記方法。
  15. 前記ペプチドフラグメントの縮合の前に、配列番号:19のアミノ酸配列を含むペプチドフラグメントをロイシンアミノ酸残基に共有結合的にカップリングさせる工程をさらに含む、請求項14記載の方法。
  16. 配列番号:9を含むペプチドの合成方法であって、2つのペプチドフラグメントの縮合を含み、該ペプチドフラグメントが配列番号:40及び配列番号:20のアミノ酸配列を含み、該合成がリンク充填CTC樹脂、Sieber樹脂又はGlu充填CTC樹脂を用いて実施される、前記方法。
  17. 配列番号:9を含むペプチドの合成方法であって、リンク樹脂、修飾酸樹脂、リンク連結充填CTC樹脂又はγ-グルタミル(Leu-アミド)充填CTC樹脂を用いる線形固相合成を含む、前記方法。
  18. (a) Ac-AA(1-26)-OH及びAA(27-37)-リンク-OH;
    (b) Ac-AA(1-26)-OH及びAA(27-38)-リンク-OH;
    (c) Ac-AA(1-12)-OH、Fmoc-AA(13-26)-OH及びAA(27-37)-リンク-OH;
    (d) Ac-AA(1-12)-OH; Fmoc-AA(13-26)-OH及びAA(27-38)-リンク-OH;又は
    (e) Ac-AA(1-26)-OH及びH-AA(27-38)-NH2遊離Glu37
    からなる群から選択されるセットを含む、配列番号:9の合成のためのペプチドフラグメントのセット。
  19. 配列番号:58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76又は77のアミノ酸配列からなるペプチド。
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