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JP2010521246A - 細胞接着性のタンパク質及びペプチドの安定性を改善する方法 - Google Patents

細胞接着性のタンパク質及びペプチドの安定性を改善する方法 Download PDF

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JP2010521246A JP2009553816A JP2009553816A JP2010521246A JP 2010521246 A JP2010521246 A JP 2010521246A JP 2009553816 A JP2009553816 A JP 2009553816A JP 2009553816 A JP2009553816 A JP 2009553816A JP 2010521246 A JP2010521246 A JP 2010521246A
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Abstract

本願の開示は、表面結合細胞接着性ポリペプチドを提供することであり、同表面結合細胞接着性ポリペプチドは、金属及び/又は非金属無機表面に存在する一つ以上の材料との結合親和性を有する表面結合部分に付着される細胞接着性ポリペプチドを含む。表面結合細胞接着性ポリペプチドは、ステントのような移植可能な医療機器の表面の少なくとも一部への改善された接着性及び安定性を有する層を形成するために有用である。

Description

本発明は、細胞接着性タンパク質及び細胞接着性ペプチドの安定性を改善する方法に関する。
本願はPCT国際特許出願として2008年3月14日に出願されたものであり、米国を除く全ての指定国に対しての出願人は米国の法人である、ボストン・サイエンティフィック・サイムド社(Boston Scientific Scimed,Inc.)であり、米国のみを指定した出願人は、米国国民である、ジョン エス.ベンコ(John S.Benco)であり、本明細書において参照により援用されている2007年3月15日に出願された米国仮特許出願第60/894,944号からの優先権を主張するものである。
移植可能なステントのような医療機器は、生物学的に活性な物質でコーティングされ得る。しかしながら、生理学的に関連した条件下でそのような医療機器上においてコーティングの有効性及び/又は安定性と関連付けることは困難である。これらが困難であることは、いくつかの要因によるものである。生物学的に活性なコーティングは、伝統的には、医療機器の表面との付着に対して、疎水性相互作用及び/又は極性の相互作用(例えば、水素結合)のような非特異的な吸着現象に依存していた。残念ながら、これらの付着機構は熱力学的に弱く、ほぼ10の推定結合定数を有するものである。バドガマ(Vadgama)により編集された非特許文献1を参照されたい。
バドガマ編、「生体材料の表面及び界面(Surfaces and Interfaces for Biomaterials)」、Woodhead Publishing LTD(英国、ケンブリッジ(2005年))、第770頁
したがって、医療機器の表面における生物学的に活性な分子及び/又はコーティングの付着を改善するための新たな方法が必要とされている。
本願の開示は、移植可能な医療機器の基質表面の少なくとも一部に結合し(例えば、吸収する)かつ安定した状態とするのに有用な表面結合部分に付着される細胞接着性ポリペプチドを提供する。本願の開示はまた、ステント又は他の移植可能な医療機器であって、その基質表面の一部に分散される表面結合細胞接着性ポリペプチドの層を有するステント又は他の移植可能な医療機器を提供する。
本願の開示はまた、表面結合細胞接着性ポリペプチドの層を有する移植可能な医療機器を提供し、同細胞接着性ポリペプチドはカテコール含有表面結合部分に付着されている。
本願の開示はまた、表面結合細胞接着性ポリペプチドの層を有する移植可能な医療機器を提供し、同細胞接着性ポリペプチドはポリビスホスホネート表面結合部分に付着されている。
本願の開示はまた、細胞接着性ポリペプチドの層を有する移植可能な医療機器を提供し、同細胞接着性ポリペプチドは接着性ポリペプチドセグメントに結合されている。
本願の開示はまた、同医療機器上での内皮細胞接着を促進するために移植可能な医療機器に層を提供する方法を提供し、同方法は、移植可能な医療機器の少なくとも一部に表面結合細胞接着性ポリペプチドの層を接着する工程を含む。
開示した表面結合細胞接着性ポリペプチドとともに使用するための例示的なステントの拡大図を示す概略図である。 表面結合細胞接着性ポリペプチドの層を含む医療機器の一例の概略図である。 表面結合細胞接着性ポリペプチドの別の例の概略図である。 表面結合細胞接着性ポリペプチドの層の更なる例の概略図である。 開示したペプチドでコーティングされたステンレス鋼ストリップと比較した、ステンレス鋼のストリップのみの場合における、ヒト冠状動脈内皮細胞(HCAEC)移動を示すグラフである。 開示したポリペプチドのコーティング濃度について比較される、ODにおける変化を示すグラフである。 開示したポリペプチドのステンレス鋼に対する経時的な親和性を示すグラフである。 ステンレス鋼に対する開示したポリペプチドの親和性を、pHについて比較したグラフである。 ステンレス鋼基質上にコーティングされた場合の、開示したポリペプチドの適合性におけるEtO滅菌の影響を示すグラフである。アスタリスク(*)は統計的な有意性を示す。 開示したポリペプチドでコーティングされたLiberte WHステントの画像である。 ラングミュア(Langmuir)等温線を使用して測定されたステンレス鋼における、開示したポリペプチドの平衡結合定数を示すグラフである。
同図面において、同一の符号は、全体を通して、同一の部材を示す。
以下に定義された用語に対して、これらの定義は、別の定義が特許請求の範囲又は本明細書のその他の箇所において与えられていない場合、適用される。
本明細書及び添付された特許請求の範囲において使用されているように、単数の形態である「a」、「an」及び「the」は、内容が明確に記載されていない場合は、複数の指示対象を含む。本明細書及び添付された特許請求の範囲において使用されているように、用語「or(又は)」は、内容が明確に記載されていない場合は、「and/or(及び/又は)」を含む意味において一般的には使用される。
天然に存在するアミノ酸及び天然に存在しないアミノ酸を、個々に、又はポリペプチド鎖内で連結される場合のいずれにおいても参照する場合、本明細書においては標準的な一文字及び三文字の略号が使用される。
本明細書において使用されているように、所定の材料の「層」は、その厚みがその全長及び幅の両者と比較して小さい当該材料の領域である。本明細書において使用されているように、層は平面である必要ははく、例えば、下側にある基質の輪郭とすることもできる。層は、下側にある基質の部分的な被覆のみを提供する、不連続なものとすることもできる。「フィルム」、「層」及び「コーティング」のような用語は、本明細書において相互に変換可能に使用され得る。
本願の開示は、表面を有する基質を含む移植可能な医療機器を提供し、表面結合細胞接着性ポリペプチドが基質表面の少なくとも一部に配置されている。本願の開示の表面結合細胞接着性ポリペプチドは少なくとも1つの表面結合部分に付着される少なくとも1つの細胞接着性ポリペプチドを含む。表面結合細胞接着性ポリペプチドは、少なくとも1つの表面結合部分に付着していない細胞接着性ポリペプチドよりも基質表面の部分によりよく接着するか、又は結合する。本願の開示はまた、基質表面の少なくとも一部で表面結合細胞接着性ポリペプチドの層を形成するための方法を提供する。
その基質表面の少なくとも一部に配置される表面結合細胞接着性ポリペプチドを有する移植可能な医療機器は、そのような機器を患者の血管系又は組織に移植した場合、同医療機器またはその一部上の上皮細胞の接着及び/又は成長を促進し得る。移植された医療機器への上皮細胞(例えば、内皮細胞)の動員(Recruitment)は同移植された機器を患者の身体から効果的に「隠し」、それにより血栓症又は再狭窄並びに免疫反応及び拒絶のような負の影響が起こりうる可能性を低減する。例えば、管状の移植可能な機器(例えば、ステント)の内腔のような基質表面の表面結合細胞接着性ポリペプチドの層は、そのような機器が患者の血管に移植された場合、同ステントの内腔表面上を覆う内皮細胞の付着及び/又は増殖を促進する。表面結合細胞接着性ポリペプチドの内腔層への内皮細胞の付着及び/又は成長を促進することによって、ステントが、流れる血液から分離され、それによって、乱流及び/又は免疫応答の起こりうる可能性並びに血栓症及び/又は再狭窄の起こりうる可能性を低減する。
表面結合細胞接着性ポリペプチドは、基質の少なくとも1つの表面の少なくとも一部に優先的に結合するかもしれない。多くの場合、表面結合細胞接着性ポリペプチドは、基質の1つ以上の表面の少なくとも一部に結合する。通常、表面結合細胞接着性ポリペプチドは、移植可能な医療機器の基質の内部の(例えば、内腔の)表面に優先的に結合する。場合によっては、表面結合細胞接着性ポリペプチドは、移植可能な医療機器の基質の少なくとも1つの内部の表面(例えば、内腔)及びそして少なくとも1つの外側の表面(例えば、反管腔側の(abluminal)の表面)に優先的に結合する。
表面結合細胞接着性ポリペプチドの表面結合部分は、結合が好ましい基質表面又はその一部における材料の選択に基づいて、表面結合部分が基質表面の少なくとも一部に見出される材料に対して表面結合細胞接着性ポリペプチドの結合を如何に支援するかに基づいて、表面結合細胞接着性ポリペプチドが基質表面に結合される環境に基づいて、選択される。多くの場合、表面結合細胞接着性ポリペプチドは基質表面の金属部分に優先的に結合する表面結合部分を含む。代替的に、又は付随的に、表面結合細胞接着性ポリペプチドは、基質表面の非金属無機部分に優先的に結合する表面結合部分を含む。
表面結合細胞接着性ポリペプチドの更なる記述は、限定よりもむしろ例示のために、移植可能な医療機器との関係において示される。次に図面を参照すると、図1は移植可能な医療機器、ステント100を示し、同ステント100は、単一の部材102、または複数の相互に連結されたストラットおよびコネクタ(図示しない)から少なくとも部分的に構成されている。部材102は、近位開口部114と、遠位開口部116と、両者の間に流路118と、を定義する。部材102はまた、流路118と流体連通可能な細胞開口部104を定義する。部材102は流路118に対向する内腔面120、ならびに外側の、即ち反管腔側の表面122を有するように考慮される。
基質表面の少なくとも一部に結合される表面結合細胞接着性ポリペプチドの例は、図2においてステント100の一部の拡大した概略図にて示される。上記したように、ステント100は少なくとも1つの部材102から構成され、同部材102は、内腔面120の少なくとも一部に配置される表面結合細胞接着性ポリペプチド106に対する基質として提供される。図2に示されるように、表面結合細胞接着性ポリペプチド106は表面結合部分112にリンカー領域110を介して付着される細胞接着性ポリペプチド108を含み得る。
表面結合部分
本願の開示の表面結合細胞接着性ポリペプチドは、移植可能な医療機器の基質表面の少なくとも一部に見出される1つ以上の材料に結合する能力にて一部には少なくとも選択される表面結合部分を含む。表面結合部分の選択は、移植可能な医療機器の1つ以上の表面で見出される材料に基づいて、特定の表面結合部分が表面結合細胞接着性ポリペプチドの1つ以上の材料への接着をどれほど支援するかに基づいて、そして、移植可能な医療機器の基質表面の少なくとも一部に結合される環境が望まれるかに基づいている。
多くの場合、移植可能な医療機器の基質表面の部分に結合するべく使用するのに適した表面結合部分は、金属表面にて見出される1つ以上の材料に対して使用可能な結合親和性を有する。金属表面は、典型的には1つ以上の材料、例えば、ステンレス鋼、チタン合金、タンタル、コバルトクロム合金、又はその他のFe−、Cr−、又はTi−含有合金を含む。例えば、Crに対して使用可能な結合親和性を有する表面結合部分は、コバルトクロム合金、ステンレス鋼、又は他のCr含有合金のようなCrを含有する移植可能な医療機器の基質表面の部分に結合することが期待される。
代替的又は付随的に、移植可能な医療機器の基質表面と結合するための使用に適した表面結合部分は、非金属無機表面にて見出される1つ以上の材料と使用可能な結合親和性を有する。非金属無機表面は1つ以上の材料、例えば、酸化アルミニウム及び遷移金属酸化物(チタン、ジルコニウム、ハフニウム、タンタル、モリブデン、タングステン、レニウム、鉄、ニオブ及びイリジウムの酸化物);シリコン;窒化珪素、炭化ケイ素及び酸化ケイ素(時として、ガラス・セラミックスと称される)含むシリコンベースのセラミック;リン酸カルシウムセラミック(例えば、ハイドロキシアパタイト);カーボン;及び窒化炭素のようなカーボンベースのセラミック様材料、を含む、金属酸化物セラミックを含む。
Kaのような平衡結合定数の決定は、使用可能な結合親和性を決定するために、あるいはそうでなければ、表面結合細胞接着性ポリペプチド(或いはより詳細にはその内部の表面結合部分)と、同表面結合細胞接着性ポリペプチドが配置される基質表面の部分との間の結合の相互作用を特徴付ける、一つの方法である。多くの場合、表面結合細胞接着性ポリペプチド(或いはより詳細にはその内部の表面結合部分)と移植可能な医療機器の基質表面との間のKaは1010以上である。典型的には、表面結合細胞接着性ポリペプチド(或いはより詳細にはその内部の表面結合部分)と移植可能な医療機器の基質表面との間のKaは1012より大きい。いくらかの例において、表面結合細胞接着性ポリペプチド(或いはより詳細にはその内部の表面結合部分)と移植可能な医療機器の基質表面との間のKaは1015より大きい。Kaを決定するために使用できる方法は周知である。例えば、本明細書において参照により援用されているセーバー(Sever)他、Dolton Trans.813−822頁を参照されたい。
使用可能な結合親和性を特徴付ける別の方法は、治療上の利点を提供するために、ステント又は他の移植可能な医療機器の表面の少なくとも一部への、十分な量のそして十分な期間にわたる、表面結合細胞接着性ポリペプチドの結合を評価することによるものである。治療上の利点は、疾病又は症状の治療(即ち、疾病又は症状に関連した徴候の減少又は排除、或いは同疾病又は症状の実質的な減少又は排除若しくは完全な減少又は排除)を参照する。治療上の利点を提供するために、典型的には金属表面に対する表面結合細胞接着性ポリペプチドの結合及び/又は接着部分の結合は、少なくとも生物学的に関連した条件下で評価される。生物学的に関連した条件とは、本願の開示の目的のために、pH 7.0乃至7.6、かつ25乃至40℃の間である緩衝水溶液として定義される。特に、生物学的に関連した条件は、生きているほ乳動物の血流中において認められる条件である。多くの場合、生物学的に関連した条件は、生きているヒト患者の血流中において認められる条件である。例えば、生物学的に関連した条件は、生きているヒト患者の心臓の動脈血中において認められる条件である。
多くの場合、使用可能な結合親和性は、表面結合細胞接着性ポリペプチドの少なくとも1%が、移植可能な医療機器の基質表面の部分に配置された場合、少なくとも5分間、生物学的に関連した条件へ露出された後に、移植可能な医療機器の基質表面の部分に結合された状態である期待値を示す。典型的には、使用可能な結合親和性は、表面結合細胞接着性ポリペプチドの少なくとも1%が、移植可能な医療機器の基質表面の部分に配置された場合、少なくとも2時間、生物学的に関連した条件へ露出された後に、移植可能な医療機器の基質表面の部分に結合された状態である期待値を示す。場合によっては、使用可能な結合親和性は、表面結合細胞接着性ポリペプチドの少なくとも1%が、移植可能な医療機器の基質表面の部分に配置された場合、少なくとも24時間、生物学的に関連した条件へ露出された後に、移植可能な医療機器の基質表面の部分に結合された状態である期待値を示す。一例において、使用可能な結合親和性は、表面結合細胞接着性ポリペプチドの少なくとも1%が、移植可能な医療機器の基質表面の部分に配置された場合、少なくとも90日間、生物学的に関連した条件へ露出された後に、移植可能な医療機器の基質表面の部分に結合された状態である期待値を示す。
他の例において、使用可能な結合親和性は、表面結合細胞接着性ポリペプチドの少なくとも50%が、移植可能な医療機器の基質表面の部分に配置された場合、少なくとも5分間、生物学的に関連した条件へ露出された後に、移植可能な医療機器の基質表面の部分に結合された状態である期待値を示す。時として、使用可能な結合親和性は、表面結合細胞接着性ポリペプチドの少なくとも50%が、移植可能な医療機器の基質表面の部分に配置された場合、少なくとも2時間、生物学的に関連した条件へ露出された後に、移植可能な医療機器の基質表面の部分に結合された状態である期待値を示す。場合によっては、使用可能な結合親和性は、表面結合細胞接着性ポリペプチドの少なくとも50%が、移植可能な医療機器の基質表面の部分に配置された場合、少なくとも24時間、生物学的に関連した条件へ露出された後に、移植可能な医療機器の基質表面の部分に結合された状態である期待値を示す。一例において、使用可能な結合親和性は、表面結合細胞接着性ポリペプチドの少なくとも50%が、移植可能な医療機器の基質表面の部分に配置された場合、少なくとも90日間、生物学的に関連した条件へ露出された後に、移植可能な医療機器の基質表面の部分に結合された状態である期待値を示す。
場合によっては、使用可能な結合親和性についてEC50に関して考慮することが望ましいかもしれない。同EC50は、基質表面の結合部位の半分が吸着質(表面結合細胞接着性ポリペプチド)によって占められる有効濃度である。場合によっては、使用可能な結合親和性は、非特異的な生物学的に活性なコーティングに対するEC50(それは通常100μMの範囲にEC50を有する)よりも実質的に小さいEC50(例えば、少なくとも2桁、或いは少なくとも3桁小さいことによって)を参照する。代替的に、使用可能な結合親和性は10μM未満、1μM未満、0.5μM未満、若しくは0.3μM未満、或いは0.2μM乃至0.5μMの間、0.25μM乃至0.35μMの間のEDC50を参照する。基質表面の表面結合細胞接着性ポリペプチドの使用可能な結合親和性はまた、生物学的に関連した一定期間にわたってEC50が実質的に一定の状態であるといった期待値を参照する。例えば、使用可能な結合親和性は、例えば、24時間以内の間、10時間以内の間、5時間以内の間、又は1時間以内の間といった関連した期間にわたって、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、又は1%未満において変化するEC50を参照するかもしれない。場合によっては、使用可能な結合親和性は24時間にわたって15%未満にて変化するEC50を参照するかもしれない。
他の例では、使用可能な結合親和性について、pHの範囲にわたってEC50に関して考慮することが有用であるかもしれない。例えば、使用可能な結合親和性は、pHがpH4とpH7との間で変化する場合、最初のEC50の50%、25%、20%、15%、10%、5%又は1%の範囲内にとどまるといったように、実質的に一定にとどまるEC50を参照する。場合によっては、使用可能な結合親和性は、pHがpH4とpH7との間で変化する場合、1μM、0.5μM、0.4μM、0.3μM、0.2μM、又は0.1μMの範囲内にて実質的に一定の状態であるEC50を参照する。場合によっては、pH7におけるEC50は、1.5μM未満、1.0μM未満、0.5μM乃至1.5μMの間、又は0.5μM乃至1.0μMの間であり得る。
移植可能な医療機器のためのコーティングの使用可能な結合親和性を決定する際の別の重要な考察は、コーティングされた機器が滅菌される際に結合親和性がほぼ一定の状態であるかという点である。従って、場合によっては、使用可能な結合親和性は、例えば発色ラベルの光学濃度(OD)測定によって定められるように結合親和性を参照し、同結合親和性は、滅菌の後では、25%、20%、15%、10%、5%又は1%未満、1%乃至25%の間、5%乃至20%の間或いは10%乃至20%の間だけ低減する。
更に別の例において、使用可能な結合親和性は、基質表面の表面結合細胞接着性ポリペプチドの表面被覆率を示すかもしれない。表面被覆率(θ)は吸着質(この場合、表面結合細胞接着性ポリペプチド)によって占められる基質表面の吸着部位の関数として定義され得る。表面被覆率は実験的に測定することは困難な場合もある。しかしながら、表面被覆率は計算することができ、一般的にはθ=Kc(K=平衡結合定数;かつc=濃度)からθ=1の範囲に及ぶ。表面被覆率はまた、例えばラングミュアの等温線、即ち、吸着剤(又は基質表面)の吸着質(この場合、表面結合細胞接着性ポリペプチド)の量と、その濃度とを関係付ける関数、のようなアルゴリズムを使用して決定され得る。
ラングミュアの等温線:1/m=1/b+l/(bKc)、ここで、mは吸着された質量、bは定数、Kは平衡結合定数、cはペプチド濃度である。
場合によっては、使用可能な結合親和性はラングミュア等温線に適合する吸着パターンを示し、通常、表面被覆が単一層であることを提案する。
基質表面の一部に結合される表面結合細胞接着性ポリペプチドの相対量又は絶対量、或いは、基質表面に結合される表面結合細胞接着性ポリペプチドの結合の結合定数は、比色分析タイプのアッセイのような周知のアッセイにより測定され、表面結合細胞接着性ポリペプチドは容易に検出されるようにラベリングされる。表面結合細胞接着性ポリペプチドの結合量は、生物学的に関連した環境への露出の前に、露出の後に、及び/又は露出の間に評価されるかもしれない。例えば:ビオチンの標識が、各表面結合細胞接着性ポリペプチドに付着される。ビオチン−表面結合細胞接着性ポリペプチドは医療機器の代表である、又は以下に記載される医療機器である基質表面の少なくとも一部に配置される。過剰量のラベルされたストレプトアビジンが、ビオチンの標識と結合するために加えられる。コーティングされた基質表面は水溶液から除去され、いかなる未結合のラベルされたストレプトアビジンをも除去するために洗浄される。続いて、基質表面は基質表面に結合される表面結合細胞接着性ポリペプチドの最初の量を決定するために読み取られる。次に、結合された表面結合細胞接着性ポリペプチドを備えた基質表面は、例えば、上記された生物学的に関連した環境、例えば、24時間の間、pH7.3、かつ37℃にて、緩衝水溶液中に置かれる。基質が水溶液から除去され、いかなる未結合のラベルされたストレプトアビジン及びビオチン−表面結合細胞接着性ポリペプチドをも除去するために洗浄される。基質表面は続いて、基質表面に結合した状態にて残る表面結合細胞接着性ポリペプチドの量を測定するために読み取られる。ラベル、例えば蛍光分子、金ナノ粒子又はその他の部分は、周知の分光技術を使用して容易に検出かつ定量される。代替的に、又は付随的に、接着部分を欠く細胞接着性ポリペプチドコーティングとの比較が同様に行われる。本明細書に参照により援用されている、サイ(Tsai)他(2005年)Chem.Commun.4273−4275頁も同様に参照されたい。
上述されているような実験が表面結合細胞接着性ポリペプチドを基質表面に適用するための濃度範囲を決定するために使用され得る。場合によっては、少なくとも約0.01μMの濃度で表面結合細胞接着性ポリペプチドを提供することは望ましいかもしれない。他の例では、少なくとも約1μMの濃度を提供することが望ましいかもしれない。更に典型的には、少なくとも10μMの、0.1μM及び1000μM、1μM乃至100μMの間の、1μM乃至10μMの間の、又は10μM乃至100μMの間の、濃度にて、基質に表面結合細胞接着性ポリペプチドを加えることによってコーティングが得られる。
使用可能な結合親和性を特徴付ける更に別の方法は、その上に配置される表面結合細胞接着性ポリペプチドを有するステント又は他の移植可能な医療機器の表面の一部での上皮細胞(例えば、内皮細胞)の接着及び/又は成長を評価することである。表面の一部に上皮細胞を接着させる及び/又は成長させる能力は、同表面に配置される細胞接着性ポリペプチドの使用可能な結合親和性を示すと予測される。表面への細胞接着は、本明細書中に参照により援用されるラザトス(Razatos)ら(1998)、PNAS 95:11059−11064、に記載されているAFM(原子力間顕微鏡)技術によって測定され得る。上皮細胞の成長はまた、細胞移動、例えば、以下の実施例1に記載されているように、ヒト冠状動脈内皮細胞(HCAEC)の移動活性を試験することにより測定され得る。場合によっては、表面結合細胞接着性ポリペプチドでコーティングされた基質表面の上皮細胞の移動活性は、未コーティングの基質の、1.2倍、1.5倍、1.7倍、2倍、3倍、又は5倍より大きい。場合によっては、上皮細胞の移動活性は、未コーティングの基質の、1.2乃至3倍、又は1.5乃至2倍大きい。
接着部分は、表面結合細胞接着性ポリペプチドを形成するために、周知のペプチド化学によって細胞接着性ポリペプチドに容易に付着される。本願の開示の表面結合細胞接着性ポリペプチドの接着部分の例は、カテコール部分、ポリビスホスホネート部分及び接着性ポリペプチドセグメントを含む。
カテコール部分
本願の開示の表面結合部分はカテコール部分を含むかもしれない。カテコール部分は細胞接着性ポリペプチドに付着される。1つ以上のカテコール部分は1つ以上の細胞接着性ポリペプチドに付着されるかもしれない。付着は、細胞接着性ポリペプチドに直接されるか、又は例えばリンカーを介して間接的にされる。例えば、表面結合部分は、1つ以上の付随的なカテコール部分、またはその他の表面結合部分、及び1つ以上の細胞接着性ポリペプチドに、一つ以上のリンカーを介して結合されるカテコール部分を含み得る。
1つ以上のカテコール部分を含む表面結合部分は使用可能な親和性を備えた金属表面に結合することが予測される。典型的には、カテコール部分は1016またはそれ以上のオーダーの結合定数を備えた第1列遷移金属と結合する。参照によって本明細書において援用されるシーバー(Sever)ら(2006)のDalton Trans.813−822を参照されたい。カテコール部分の熱力学結合は、水素結合のような非特異的吸着現象に寄与する強度よりも数桁大きいので、カテコール部分を含む細胞接着性ポリペプチドは、生理学的な条件の下で基質表面の一部に配置されるよりも大きい安定性を示すことが期待される。
多くの場合、カテコール部分は以下の式Iにて示され
ここで、R及びRは細胞接着性ポリペプチド、リンカー、付随的な表面結合部分、H又はそれらの組み合わせからそれぞれ選択され、R及びRの少なくとも一方は、少なくとも一つの細胞接着性ポリペプチドに直接的又は間接的に付着される。ある例において、Rは細胞接着性ポリペプチド又はリンカーであり、同リンカーは少なくとも一つの細胞接着性ポリペプチドに付着されており、かつRはHである。例えば、Rはリンカーであり、同リンカーは少なくとも一つの細胞接着性ポリペプチドに付着されており、かつRはHである。
例えば、表面結合部分に有用なカテコール部分は、DOPAとも称される、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニンである。 DOPAは1016のオーダーにて結合定数を備えた第1列遷移金属と結合親和性を示し、かつ本明細書に記述されている表面結合部分及び表面結合細胞接着性ポリペプチドに対して使用可能な結合親和性を提供すると期待される。前述のシーバーらを参照されたい。DOPA部分はまた、生物学的に関連した条件下で金属表面上にて数ヶ月間の長期にわたる安定性を示した。参照によって本明細書において援用されるスタッツ(Statz)ら(2005)、JACS、127:7972−7973を参照されたい。DOPA及びその誘導体は、以下の式IIにて示される。
ここで、R及びRが細胞接着性ポリペプチド、リンカー、付随的な表面結合部分、H又はそれらの組み合わせからそれぞれ選択され、R及びRの少なくとも一方は、少なくとも一つの細胞接着性ポリペプチドに直接的又は間接的に付着される。ある例において、Rは細胞接着性ポリペプチド又はリンカーであり、同リンカーは少なくとも一つの細胞接着性ポリペプチドに付着されており、かつRはHである。例えば、Rはリンカーであり、同リンカーは少なくとも一つの細胞接着性ポリペプチドに付着されており、かつRはHである。代替的に、Rは細胞接着性ポリペプチド又はリンカーであり、同リンカーは少なくとも一つの細胞接着性ポリペプチドに付着されており、かつRはOHである。例えば、Rはリンカーであり、同リンカーは少なくとも一つの細胞接着性ポリペプチドに付着されており、かつRはOHである。
ある特定の例では、表面結合部分は式IIIで示されるカテコール部分を含む。式IIIのカテコール部分はまた、本明細書に記述されている表面結合部分及び表面結合細胞接着性ポリペプチドに使用可能な結合親和性を提供すると期待される。例えば、式IIIで示される部分に構造的に類似したカテコール部分は、ヒト血漿の条件に類似した条件下で、少なくとも2日間、TiO表面への安定した結合を示した。参照によって本明細書において援用されるチェルシェ(Zurcher)ら(2005)、JACS 128:1064−1065、を参照されたい。
下記のように示されている式IIIでは:
ここで、Rが細胞接着性ポリペプチド、リンカー、付随的な表面結合部分、H又はそれらの組み合わせであり、かつRは、少なくとも一つの細胞接着性ポリペプチドに直接的又は間接的に付着される。例えば、Rはリンカーであり、同リンカーは少なくとも一つの細胞接着性ポリペプチドに付着されている。
カテコール部分は標準的なペプチド合成技術によってポリペプチドに容易に付着され、同ポリペプチドは細胞接着性ポリペプチド、ペプチドリンカー及び/又は付随的なカテコール部分を含む。参照によって本明細書において援用される、フー(Hu)ら(2000)、Tetrahedron Letters、41:5795−5798、を参照されたい。細胞接着性ポリペプチド、ペプチドリンカー、及び/又は付随的なカテコール部分の一部である、又は付着される付随的なアミノ酸に付着された式IIのカテコール部分の1例を、式IVとして以下に示す:
ここで、R及びRは天然由来のアミノ酸側鎖又は非天然由来のアミノ酸側鎖であり;RはH、リンカー、カテコール部分、細胞接着性ポリペプチド又はそれらの組合せであり;そしてRはOH、リンカー、カテコール部分、細胞接着性ポリペプチド又はそれらの組合せであり;かつR及びRの少なくとも1つが少なくとも1つの細胞接着性ポリペプチドに付着されている。更なる例は、R及びRの少なくとも1つがリンカーである場合を含み、1つ以上のリンカーが少なくとも1つ細胞接着性ポリペプチドに付着されている。
ある特定の例では、表面結合部分は1つ以上のアミノ酸によって結合される少なくとも2つの式IIのDOPA部分を含む。特定の例は以下の式Vで示され、カテコール表面結合部分がDOPA−Lys−DOPA−Lys−であるか、又は(DOPA−Lys)である。式Vはまた、細胞接着性ポリペプチドの例であるYIGSRに付着される(DOPA−Lys)表面結合部分を示す。式Vでは、細胞接着性ポリペプチドはペプチドリンカー,(Ala−Aib)に付着されている。
一般に、カテコール部分を含むがそれに限定されない接着性部分は互いに結合され得、そしてリンカーによって細胞接着性ポリペプチドに結合される。リンカーは、金属表面からの間隔を、可撓性を、二次若しくは高レベル構造(例えば、α螺旋形)を、そして表面結合細胞接着性ポリペプチドの成分又は一部に付着されるための反応部位を、提供する。カテコール接着部分及び細胞接着性ポリペプチドの間のリンカーは、内皮細胞のような上皮細胞への結合に対し、基質表面からの細胞接着部分の間隙を提供するのに十分な長さであることが好ましい。リンカーを介する金属表面からの間隙はまた、例えば医療機器の表面に対する血液タンパク質又はその他の成分の非特異的な会合により細胞接着部分が遮断される(例えば、生物付着)のを回避するのに十分な長さである。カテコール接着部分及び細胞接着性ポリペプチド間のリンカーは、多くの場合、少なくとも20Åの長さである。典型的には、カテコール接着部分及び付着された細胞接着性ポリペプチド間のリンカーは、少なくとも20Å乃至70Åの範囲内であるが、代替的な長さも可能である。
本明細書に記載されているように、使用に適した例示的なリンカーは、任意のアルカン、アルケン又は芳香族分子から選択され、それらの任意のものは、付着が可能なN、S、又はO及びそれらの組合せとのヘテロ置換型である。多くの場合、リンカーは、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、並びに天然由来の及び非天然由来のアミノ酸のポリペプチドから選択される。典型的には、カテコール接着部分及び細胞接着性ポリペプチド間のリンカーは、少なくとも2つの天然由来の及び/又は非天然由来のアミノ酸から形成されたポリペプチドであることが好ましい。場合によっては、カテコール接着部分及び細胞接着性ポリペプチド間のリンカーは、2乃至6個のアミノ酸から形成されたポリペプチドであることが好ましいが、代替的なものも可能である。例えば、個々のカテコール部分のような接着性部分間のリンカーは、より短い、例えば少なくとも1つの天然由来の及び/又は非天然由来のアミノ酸であり得る。
ポリビスホスホネート
表面結合細胞接着性ポリペプチド106の別の例を図3に示す。表面結合細胞接着性ポリペプチド106において、細胞接着性ポリペプチド108がポリビスホスホネート接着部分112に付着されている。図3に示されるように、1つ以上のポリビスホスホネート接着部分112はリンカー110によって細胞接着性ポリペプチド108に付着されるかもしれない。ポリビスホスホネートはリンカーによって互いに結合され、そして細胞接着性ポリペプチドに結合される。適切なリンカーは、任意のアルカン、アルケン又は芳香族分子から選択され、それらの任意のものは、N、S、又はO及びそれらの組合せとのヘテロ置換型である。場合によっては、リンカーは、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、並びに天然由来の及び非天然由来のアミノ酸のポリペプチドから選択される。
加えて、リンカー110は、基質表面からの間隔を、可撓性を、二次若しくは高レベル構造(例えば、α螺旋形)を、自己凝集単一層を、そして付着のための反応部位を、提供する。ポリビスホスホネート接着部分112と細胞接着性ポリペプチド108との間のリンカー110は、内皮細胞のような上皮細胞への結合に対し、基質表面からの細胞接着部分の間隙を提供するのに十分な長さであることが好ましい。リンカーを介する金属表面からの間隙はまた、例えば医療機器の表面に対する血液タンパク質又はその他の成分の非特異的な会合により細胞接着部分が遮断される(例えば、生物付着)のを回避するのに十分な長さである。ポリビスホスホネート接着部分及び細胞接着性ポリペプチド間のリンカーは、多くの場合、少なくとも20Åの長さである。典型的には、ポリビスホスホネート接着部分及び付着された細胞接着性ポリペプチド間のリンカーは、少なくとも20Å乃至70Åの範囲内であるが、代替的な長さも可能である。
ポリアリルアミンビスホスホネートのようないくらかのポリビスホスホネートは、標準的なペプチドカップリング化学を使用してペプチドリンカー及び/又は細胞接着性ポリペプチドに結合され得るアミノ官能基を有する。更なるポリビスホスホネートは、参照によって本明細書において援用されるフィッシュベイン(Fishbein)ら(2006)、Proc.Natil.Acad.Sci.、103(1):159−164に記載されている。
接着性ポリペプチド部分
表面結合細胞接着性ポリペプチド106の別の例を図4に示し、細胞接着性ポリペプチドが接着性ポリペプチドセグメントに付着されるか、又は同セグメントとともに合成されている。接着性ポリペプチド部分は、複数の疎水性アミノ酸又は帯電されたアミノ酸を含有するペプチドを含む。多くの場合、接着性ポリペプチド部分は、リジン、アルギニン、ヒスチジン、又はそれらの組合せである正荷電のアミノ酸を含む。例えば、図4に示されるように、細胞接着性ポリペプチド108は、ポリリジンアミノ酸の配列を含む接着性ポリペプチドセグメント112に付着されており、当該アミノ酸の各々はpH10未満の正の電荷を保持する。更なる例はまた、参照によって本明細書において援用される、ウィレット(Willet)ら(2005)、Proc.Natl.Acad.Sci.、102(22):7817−7822、トサッティ(Tosatti)ら(2003)、Biomaterials、24:4949−4958、及びエリス−ベンケ(Ellis−Behnke)(2006)、Proc.Natil.Acad.Sci.、103:5054−5059を参照されたい。ある特定の例において、各接着性ポリペプチド部分は少なくとも5つの連結された疎水性又は帯電されたアミノ酸を含む。ある特定の例において、各接着性ポリペプチド部分は少なくとも10個の連結された疎水性又は帯電されたアミノ酸を含む。
リンカー110は、基質表面からの間隔を、可撓性を、二次若しくは高レベル構造を、自己凝集単一層を、提供する。多くの場合、リンカーは、例えば、医療機器の表面に対する血液タンパク質又はその他の成分の非特異的な会合により細胞接着部分が遮断される(例えば、生物付着)のを回避するのに十分な長さである金属表面からの間隙を提供する。典型的には、接着性ポリペプチドセグメント112及び細胞接着性ポリペプチド108間のリンカー110は、同細胞接着性ポリペプチドを移植可能な医療機器の表面から分離するために少なくとも20Åの長さである。典型的には、接着性ポリペプチドセグメント及び付着された細胞接着性ポリペプチド間のリンカーは、20Å乃至70Åの範囲内であるが、代替的なものも可能である。場合によっては、リンカーは、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、並びに天然由来の及び非天然由来のアミノ酸のポリペプチドから選択される。
細胞接着性ポリペプチド
本明細書において使用されるように、用語「細胞接着性ポリペプチド」は、上皮細胞の表面に表示されるインテグリンのような細胞表面分子を介して上皮細胞(例えば、内皮細胞)に結合することができる化合物であって、分子ごとに少なくとも2つのアミノ酸を有する、化合物を指す。
典型的には、細胞接着性ポリペプチドは、細胞接着の役割を担うことが知られている細胞外マトリックスのタンパク質の任意のものであり、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニン、エラスチン、フィブリノゲン並びにI型、II型及びV型等のコラーゲンを含む。付随的に、細胞接着性ポリペプチドは上記分子の結合ドメインを含む誘導体又はフラグメントを含む前述のタンパク質の任意のものから得られる任意のペプチドであるかもしれない。例示的なペプチドは、RGD(アルギニン−グリシン−アスパラギン酸塩)のモチーフ、YIGSR(チロシン−イソロイシン−グリシン−セリン−アルギニン)のモチーフ及び機能的等価物である関連したペプチドのようなインテグリン−結合モチーフを有するものを含む。例えば、RGD配列(例えば、GRGDS)及びWQPPRARI配列を含むポリペプチドは、内皮細胞の拡散及び遊走特性を指示することが知られている。ブイ.ゴウロー(V.Gauvreau)、Bioconjug Chem.、(2005)9月−10月、16(5),1088−97を参照されたい。REDVのテトラペプチドは、内皮細胞の接着を支持するが、平滑筋細胞、繊維芽細胞、又は血小板の接着を支持することは示されず、YIGSRのペンタペプチドは上皮細胞の付着は促進するが、血小板の付着は促進しないことが示されていた。REDV及びYIGSRペプチドの更なる情報は、米国特許第6,156,572号明細書及び米国特許出願第2003/0087111号で見つけることができる。また、本明細書中において参照により援用されている、ボーテン(Boateng)らの「RGD及びYIGSR合成ペプチドはラミニン及びフィブロネクチンと同一の細胞接着を促進するが新生児の心筋細胞の生理機能を変更する(RGD and YIGSR Synthetic Peptide Facilitate Cellular Adhesion Identical to That of Laminin and Fibronectin But Alter the Physiology of Neonatal Cardiac Myocytes)」、Am.J.Physiol.−Cell Physiol.288:30−38(2005)を参照されたい。細胞接着配列の更なる例は内皮細胞のCD13に結合するNGRトリペプチドである。例えば、エル.ホール(L.Holle)ら「ヒト結晶とα(1−3)ガラクトースエピトープを担持するヒトアルブミンタンパク質に結合されたNGRペプチドとの共培養によるヒト内皮細胞のインビトロ標的化による死滅(In vitro targeted killing of human endothelial cells by co−incubation of human serum and NGR peputide conjugated human albumin protein bearing alpha(1−3) galactose epitopes)」、Oncol.Rep.(2004年3月);11(3):613−6を参照されたい。細胞接着性ポリペプチドはまた、本明細書中において参照により援用されている、米国特許出願公開第20060067909号(ウェスト(West)ら)に記述されているペプチドの任意のものであり得る。代替的に、細胞付着性ポリペプチドは特定の細胞タイプ(例えば内皮細胞)への付着及び選択性のためにライブラリーをスクリーニングすることによって得られるか、或いは、バクテリオファージディスプレイ技術によって経験的に開発され得る。
表面結合細胞接着性ポリペプチドでコーティングされる移植可能な医療機器
移植可能な医療機器は、第1の表面及び第2の表面を有する基質を含むものとして提供され、第1の基質表面の少なくとも一部が表面結合細胞接着性ポリペプチドに結合するかもしれない。典型的に、移植可能な医療機器は、第1の表面及び第2の表面を有する基質と、第1の基質表面の少なくとも一部に配置される表面結合細胞接着性ポリペプチドの層と、を含む。表面結合細胞接着性ポリペプチドはまた、第1の表面に結合する前に、後に、又は同結合する間に、上皮細胞(例えば、内皮細胞)に結合するかもしれない。
移植可能な医療機器の例は、例えば、ステント(冠状血管用ステント、末梢血管用ステント、大脳用、尿道用、尿管用、胆管用、気管用、消化管用及び食道用のステント)、ステントカバー、ステント移植片、血管移植片、腹部大動脈瘤(AAA)装置(例えば、AAAのステント、AAA移植片)、血管アクセスポート、透析用ポート、カテーテル(バルーンカテーテル及び種々の中心静脈カテーテルのような泌尿器科用カテーテルまたは血管カテーテル)、バルーン、フィルタ(例えば、大静脈フィルタ及び蒸留保護装置のためのメッシュフィルタ)、脳動脈瘤フィラーコイル、中隔欠損閉鎖装置、心筋プラグ、パッチ、ペースメーカー、ペースメーカーリードを含むリードコーティング、除細動リード及びコイルを含む塞栓装置、左心室補助用ヒア及びポンプ、完全人工心臓、バイパスを含む左心室補助装置、心臓弁及び血管弁を含む弁、吻合用クリップ及びリング、蝸牛インプラント、組織バルク装置、軟骨、骨、皮膚及びインビボの組織再生におけるその他のもののための組織工学用足場、縫合、縫合アンカー、組織ステープル及び手術部位における結紮クリップ、カニューレ、金属ワイヤ結紮糸、尿道用スリング、ヘルニア「メッシュ」、人工結紮糸、骨移植片のような整形外科用プロテーゼ、骨プレート、フィン、及び融合装置、関節プロテーゼ、くるぶし、膝及び手の領域における干渉スクリュ、結紮糸取り付け及び半月板修復のための鋲のような整形外科用固定装置、歯科用インプラント、或いは内皮と接触した状態にて身体に移植される装置を含む。
表面結合細胞接着性ポリペプチドの層が配置された医療機器は、例えば、全身処置のために、同様に、任意の組織又は器官の局所用処置のために、使用される移植可能な医療機器を含む。非限定的な例は、腫瘍、心臓、冠状血管系及び末梢血管系(全体として「血管系」として参照される)を含む器官、腎臓、膀胱、尿道、尿管、前立腺、子宮及び卵巣を含む尿生殖器系、目、耳、脊柱、神経系、肺、気管、食道、腸、胃、脳、肝臓及び膵臓、骨格筋、平滑筋、胸、皮膚組織、軟骨組織、歯及び骨である。本明細書において使用されるように、「治療」とは、病気又は症状と関連付けられる徴候の低減又は除去、或いは病気又は症状の実質的な、若しくは完全な除去を示す。被験者は脊椎動物被験者、より典型的には、ヒト被験者、ペット及び家畜を含む哺乳動物の被験者、である。
上記されるように、移植可能な医療機器は、第1の表面を有する基質と、同第1の基質表面の少なくとも一部に配置される表面結合細胞接着性ポリペプチドの層と、を含む。多くの場合、移植可能な医療機器は第1の表面及び第2の表面を有し、表面結合細胞接着性ポリペプチドの層が上皮細胞(例えば、内皮細胞)の付着及び/又は増殖を促進するために第1の基質表面の少なくとも一部に配置される。表面結合細胞接着性ポリペプチドの層はまた、第2の基質表面の少なくとも一部に配置され得る、及び/又は、薬物溶出コーティングが第2の基質表面の少なくとも一部に配置され得る。場合によっては、第1の表面及び第2の表面はそれぞれ、内腔面及び反管腔側の面である。例えば、医療機器は、内腔面及び反管腔側の面を有する血管に移植可能な医学機器であり、内腔面の少なくとも一部は、その上に配置される表面結合細胞接着性ポリペプチドを有する。
場合によっては、移植可能な医療機器は第1の表面及び第2の表面が内腔面及び反管腔側の面であり、かつ表面結合細胞接着性ポリペプチドの層が第1の基質表面の少なくとも一部に配置される、ステントである。典型的に、ステントは、開口した格子状の側壁構造を含む血管内ステントであり、患者の血管に永久的に移植されるように設計されている。例としては、自己拡張可能なステント又はバルーンで拡張可能なステントを含む拡張可能なステントを含み、開口した端部と、その内部に開口部を有する側壁構造と、同側壁構造の表面の少なくとも一部に配置される表面結合細胞接着性ポリペプチドの層と、を含む管状の金属体を有する。
多くの場合、上記した表面結合細胞接着性ポリペプチドは、細胞接着性ポリペプチド上に付着された表面結合接着性部分を介してステント表面の金属部分に優先的に結合する。表面結合細胞接着性ポリペプチドの層は金属部分に付着するので、それは、ステントが拡張する場合のような、開口部を保持した様式にて同構造体と生来的に適合する。
代替的に、又は付随的に、上記した表面結合細胞接着性ポリペプチドは、細胞接着性ポリペプチド上に付着された表面結合接着性部分を介してステント表面の非金属無機部分に優先的に結合する。同層は非金属無機部分に付着するので、それは、ステントが拡張する場合のような、開口部を保持した様式にて同構造体と生来的に適合する。
本願の開示に従って、表面結合細胞接着性ポリペプチドは、同表面結合細胞接着性ポリペプチドが使用可能な結合親和性を有するステント又は他の移植可能な医療機器の表面の少なくとも一部に結合される。典型的には、表面結合細胞接着性ポリペプチドは、ステント又は他の移植可能な医療機器の内腔面の一部に結合される。多くの場合、表面結合細胞接着性ポリペプチドは、ステント又は他の移植可能な医療機器の内面の一部又は複数の部分(例えば、内腔面)、あるいは、同ステント又は他の移植可能な医療機器の外面(例えば、反管腔側の面)の一部又は複数の部分に結合される。いくらかの例において、表面結合細胞接着性ポリペプチドは、ステント又は他の移植可能な医療機器の複数の部分及び/又は複数の表面に結合される。それらの例において、表面結合細胞接着性ポリペプチド。
本願の開示の移植可能な医療機器は、本願の開示の表面結合細胞接着性ポリペプチドが使用可能な結合親和性を有するべく選択される金属材料又は無機非金属材料の少なくとも1つの基質表面を含む。移植可能な医療機器の残りの部分は、組成において広く変更可能であり、任意の特定材料に制限されない。
本明細書に開示されている、移植可能な医療機器の医療機器のための基質材料は、一定の範囲の生体安定性の材料及び生体分解可能な材料(即ち、患者の体内に配置された場合、溶解されるか、分解されるか、再吸収されるか、及び/又はそうでなければ配置された部位から除去される材料)から選択され、当該材料としては、(a)重合体材料(即ち、ポリマー、典型的には50wt%以上のポリマー、例えば、50wt%から、75wt%までの、90wt%までの、95wt%までの、97.5wt%までの、99wt%又はそれ以上までの、ポリマーを含有する材料)及び生物製剤のような有機材料(即ち、有機種を含む材料であって、典型的には、50wt%以上の有機種、例えば、50wt%から、75wt%までの、90wt%までの、95wt%までの、97.5wt%までの、99wt%又はそれ以上までの、有機種を含有する材料)、(b)金属材料(即ち、金属、典型的には50wt%以上の金属、例えば、50wt%から、75wt%までの、90wt%までの、95wt%までの、97.5wt%までの、99wt%又はそれ以上までの、金属を含有する材料)及び非金属無機材料(即ち、非金属無機材料、典型的には、50wt%以上の非金属無機材料、例えば、50wt%から、75wt%までの、90wt%までの、95wt%までの、97.5wt%までの、99wt%又はそれ以上までの、非金属無機材料を含有する材料))のような無機材料(即ち、無機種を含む材料であって、典型的には、50wt%以上の無機種、例えば、50wt%から、75wt%までの、90wt%までの、95wt%までの、97.5wt%までの、99wt%又はそれ以上までの、無機種を含有する材料)(例えば、種々の金属及び非金属酸化物、種々の金属及び非金属窒化物、種々の金属及び非金属カーバイド、種々の金属及び非金属ホウ化物、種々の金属及び非金属リン酸塩、及び種々の金属及び非金属硫化物等を含む、炭素、半導体、ガラス及びセラミックを含む)、及び(c)ハイブリッド材料(例えば、ハイブリッド化した有機/無機材料、例えばポリマー/金属−無機ハイブリッド及びポリマー/非金属−無機ハイブリッド)、を含む。
無機非金属材料の特殊な例は、例えば、以下の一つ以上:酸化アルミニウムおよび遷移金属酸化物(例えば、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、タンタル、モリブデン、タングステン、レニウム、鉄、ニオブ及びイリジウムの酸化物)を含む金属酸化物セラミック;シリコン;チッ化シリコン、シリコーンカーバイド及び酸化ケイ素を含むシリコンベースのセラミック(時として、ガラスセラミックと称される);リン酸カルシウムセラミック(例えば、ヒドロキシアパタイト);炭素及びチッ化炭素のような炭素ベースの、セラミック様材料、を含む材料から選択される。
金属材料の特殊な例は、例えば、金、鉄、ニオブ、プラチナ、パラジウム、イリジウム、オスミウム、ロジウム、チタン、タンタル、タングステン、ルテニウム及びマグネシウム等のような金属;鉄及びクロムを含むもの(例えば、プラチナに富んだ放射線不透過性のステンレス鋼を含むステンレス鋼)、ニオブ合金、チタン合金、ニッケル及びチタンからなる合金(例えば、ニチノール(登録商標))、コバルト及びクロムからなる合金、コバルト、クロム及び鉄からなる合金(例えば、エルジロイ(登録商標)合金)、ニッケル、コバルト及びクロムからなる合金(例えば、MP35N)、コバルト、クロム、タングステン及びニッケルからなる合金(例えば、L605)、ニッケル及びクロムからなる合金(例えば、インコネル合金)及びマグネシウム及び/又は鉄の合金を含む生体分解性の合金(及びその、Ce,Ca,Zn,Zr及びLiと組み合わせられた合金)等を含む合金、から選択され得る。
有機材料の特殊の例はポリマー(生体安定性の、及び生体分解可能な)及び他の高分子量有機材料が含まれ、例えば以下の1つ以上を含む適切な材料から選択され得る:ポリアクリル酸を含むポリカルボン酸ポリマー及びコポリマー;アセタールポリマー及びコポリマー;アクリル酸塩及びメタクリル酸塩のポリマー及びコポリマー(例えば、n−ブチルメタクリル酸塩);酢酸セルロース、硝酸セルロース、プロピオン酸セルロース、セルロースアセテートブチレート、セロハン、レーヨン、レーヨントリアセテートを含むセルロースポリマー及びコポリマー及びカルボキシメチルセルロース及びヒドロキシアルキルセルロースのようなセルロースエーテル;ポリオキシメチレンのポリマー及びコポリマー;ポリエーテルブロックイミド、ポリアミジミド、ポリエステルイミド及びポリエーテルイミドのようなポリイミドのポリマー及びコポリマー;ポリアリールスルホン及びポリエーテルスルホンを含むポリスルホンのポリマー及びコポリマー;ナイロン6,6、ナイロン12、ポリエーテル・ブロックコポリアミドポリマー(例えば、Pebax(登録商標)樹脂)、ポリカプロラクタム及びポリアクリルアミドを含むポリアミドのポリマー及びコポリマー;アルキド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アリル樹脂及びエポキシドの樹脂を含む樹脂;ポリカーボネート;ポリアクリロニトリル;ポリビニルピロリドン(架橋されたもの及びそうではないもの);ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニルのようなポリビニルハライド、エチレン−ビニルアセテートコポリマー(EVA)、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルメチルエーテルのようなポリビニルエーテル、ポリスチレン、スチレン−マレイン酸無水物コポリマーのようなビニル芳香族のポリマー及びコポリマー、スチレンブタジエンコポリマーを含むビニル芳香族炭化水素コポリマー、スチレン−エチレンーブチレンコポリマー(例えば、Kraton(登録商標)Gシリーズのポリマーとして入手可能な、ポリスチレンポリエチレン/ブチレンポリスチレン(SEBS)コポリマー)、スチレンイソプレンのコポリマー(例えば、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン)、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー、スチレン−ブタジエンコポリマー及びスチレン−イソブチレンコポリマー(例えば、SIBSのようなポリイソブチレン−ポリスチレンのブロックコポリマー)、ポリ酢酸ビニルのようなポリビニルケトン、ポリビニルカルバゾール及びポリビニルのエステルを含むビニルモノマーのポリマー及びコポリマー;ポリベンズイミダゾール;イオノマー;ポリエチレン酸化物(PEO)を含むポリアルキル酸化物のポリマー及びコポリマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びラクチド(乳酸並びに、d−,l−及びメソラクチドを含む)、ε−カプロラクトン、グリコリド(グリコール酸を含む)、ヒドロキシブチレート、ヒドロキシバレレート、パラ−ジオキサノン、トリメチレンカーボネート(及びそのアルキル誘導体)、1,4−ジオキセパン−2−オン、1,5−ジオキセパン−2−オンおよび6,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2−オン(ポリ乳酸とポリカプロラクトンのコポリマーが1つの特殊な例である)のような脂肪族ポリエステルを含むポリエステル;ポリフェニレンエーテルのようなポリアリールエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンのようなポリエーテルのポリマー及びコポリマー、ポリフェニレンスルフィド;ポリイソシアネート;ポリプロピレン、ポリエチレン(低密度及び高密度、低分子量及び高分子量)、ポリブチレン(ポリブト−1−エン及びポリイソブチレンのような)を含むポリアルキレン、ポリオレフィンエラストマー(例えば、サントプレン)、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム、ポリ−4−メチル−ペン−1−エン、エチレン−α−オレフィンコポリマー、エチレン−メチルメタクリレートコポリマー及びエチレン−酢酸ビニルコポリマーを含むポリオレフィンのポリマー及びコポリマー;ポリテトラフルオルエチレン(PTFE)、ポリ(テトラフルオロエチレン−コ−ヘキサフルオロプロピレン)(FEP)、修飾したエチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含むフッ素化されたポリマー及びコポリマー;シリコンのポリマー及びコポリマー;ポリウレタン;p−キシリレンポリマー;ポリイミノカーボネート;ポリエチレンオキシド−ポリ乳酸コポリマーのようなコポリ(エーテル−エステル);ポリホスファジン;ポリアルキレンオキザレート;ポリオキザアミド及びポリオキザエステル(アミン基及び/又はアミド基を含むものを含む);ポリオルトエステル;フィブリン、フィブリノゲン、コラーゲン、エラスチン、キトサン、ゼラチン、澱粉及びヒアルロンサンのようなグリコサミノグリカンを含む、ポリペプチド、タンパク質、多糖類及び脂肪酸(及びそのエステル)のようなバイオポリマー;並びに上記したものの混合物及び更なるコポリマーを含む。
典型的には、表面結合細胞接着性ポリペプチドとのコーティングに適したステント又は他の移植可能な医療機器は1つ以上の金属表面を備えている。多くの場合、金属表面は、ステンレス鋼、チタン合金、タンタル及びコバルトクロム合金からなる群より選択される。場合によっては、ステント又は移植可能な医療機器の金属表面は、表面結合細胞接着性ポリペプチドでコーティングされる前に少なくとも部分的に酸化される。例えば、クロムを含有するステンレス鋼のようなある種の合金は、標準的な環境条件下で酸化し、結果として、予め酸化されることが考慮される。場合によっては、医療機器の表面は、例えば酸化物を除去することによって、金属表面の化学的環境を変えるべく処理される。
ステントの金属表面は、テキスチャ化されていない(untextured)か、又はテキスチャ化されている(textured)。時として、移植可能な医療機器の金属表面は、本明細書において参照により援用される米国特許出願公開第2005/0266040号(ガーベディング(Gerberding))に記載されているような多孔ステント表面のような多孔性である。ある場合において、移植可能な医療機器の表面は、例えば、表面に地形的な特徴(topographical features)を提供することにより、テキスチャを与えるべく改質される。例えば、表面のテキスチャは、内皮細胞が表面を提供され、被覆されるべき増殖(例えば、コンフルエンス)が迅速に生ずるように最適化され得る(例えば、テキスチャの特徴が適切にサイズ化され、かつ間隔をあけられる)。例えば、テキスチャ表面にて培養された内皮細胞は迅速に広がり、生来の動脈においてより細胞のように見えることが文献に示されている。例えば、本細書において参照により援用される、アール.ジー.フレミング(R.G.Flemming)ら、Biomaterials、20(1999年)、573−588頁及び等エヌ.フジサワ(N.Fujisawa)ら、Biomaterials、20(1999年)、955−962頁を参照されたい。加えて、地形的な特徴備えた表面は表面積が増大している。典型的には、移植可能な医療機器がテキスチャ化された表面を有する場合、当該テキスチャは、同表面を表面結合細胞接着性ポリペプチドでコーティングされる前に与えられる。
血管系へ送達するための分岐したステント及びシステムの例は、それらに限定されるものではないが、いずれも発明の名称が回転するバルーン拡張可能なシース分岐部送達(Rotating Balloon Expandable Sheath Bifurcation Delivery)である、2003年2月27日に出願された、米国特許出願第10/657,472号及び2003年9月8日に出願された、米国特許出願第10/657,472号に示されるとともに記載されており、かつ、発明の名称が回転するバルーン拡張可能なシース分岐部送達システム(Rotating Balloon Expandable Sheath Bifurcation Delivery System)である、2003年12月29日に出願された米国特許出願第10/747,546号及び発明の名称が、分岐したステント送達システム(Bifurcation Stent Delivery System)である2004年1月13日に出願された米国特許出願第10/757,646号に記載されており、これらの各々の全体の内容は、本明細書において参照により援用される。ステント100は、既に記載されたような標準的な「単一の容器」型のステントであるが、ステント100はまた、トランク又はステム部を有するとともに、同トランク又はステム部に隣接する一つ以上の脚部及び/又は分岐開口部を備えた、分岐したステント、であり得ることを、更に明記すべきである。そのような分岐したステント及びステントアセンブリは、当該技術分野において周知である。
加えて、1つの表面基質の少なくとも一部に配置される表面結合細胞接着性ポリペプチドを有する移植可能な医療機器は、血管内、又は同血管に隣接する一つ以上の領域のような送達部位に、1つ以上の治療剤を送達するように構成され得る。例えば、図1において、ステント100は内腔面120の少なくとも一部に配置される表面結合細胞接着性ポリペプチドの層を含み、薬剤溶出用のコーティング層は反管腔側の面122の少なくとも一部に配置され得る。薬剤溶出用コーティングは少なくとも1つの治療剤及び少なくとも1つのポリマーを含む。
「治療剤」、「生物学的な活性剤」、「薬物」、「製薬的な活性剤」、「製薬的に活性を有する材料」、及び他の関連した用語は、本明細書においては相互に変換可能に使用され、遺伝的な治療剤、非遺伝的な治療剤及び細胞を含むかもしれない。多種にわたる治療剤は、多種にわたる疾病及び症状(即ち、疾病又は症状の関連した徴候の低減又は除去、或いは、疾病又は症状の実質的な、又は完全な除去)の治療のために使用されるものを含み、本明細書において開示された移植可能な医療機器と組み合わせて使用され得る。種々の治療剤は以下に列挙されている。
本明細書に開示されている移植可能な医療機器と関連して使用するのに適切な非遺伝的治療剤は、例えば以下のうちの1つ以上から選択され得る:(a)ヘパリン、ヘパリン誘導体、ウロキナーゼ、クロピドグレル及びPPack(デキストロフェニルアラニンプロリンアルギニンクロロメチルケトン)のような抗血栓剤、(b)デキサメタゾン、プレドニゾロン、コルチコステロン、ブデソニド、エストロゲン、スルファサラジン及びメサラミンのような抗炎症剤;(c)パクリタキセル、5−フルオロウラシル、シスプラチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エポシロン、エンドスタチン、アンジオスタチン、アンジオペプチン、平滑筋細胞増殖をすることが可能なモノクロナール抗体及びチミジンキナーゼ阻害剤のような抗腫瘍性/抗増殖性/抗縮瞳剤;(d)リドカイン、ブピバカイン及びロピバカインのような麻酔剤;(e)D−Phe−Pro−Argクロロメチルケトン、RGDペプチド含有化合物、ヘパリン、ヒルジン、抗トロンビン化合物、血小板受容体拮抗剤、抗トロンビン抗体、抗血小板受容体抗体、アスピリン、プロスタグランジン阻害剤、血小板阻害剤及びダニ抗血小板ペプチドのような抗凝血剤;(f)成長因子、転写活性化因子及び翻訳プロモータのような血管細胞成長プロモータ;(g)成長因子阻害剤、成長因子受容体のアンタゴニスト、転写リプレッサ、翻訳リプレッサ、複製阻害剤、阻害的な抗体、成長因子に指向する抗体、成長因子及び細胞毒素から構成される2機能分子、抗体及び細胞毒素から構成される2機能分子を含む血管細胞成長阻害剤;(h)タンパク質キナーゼ及びチロシンキナーゼの阻害剤(例えば、チルホスチン、ゲニステイン、キノキサリン);(i)プロスタサイクリンの類似体;(j)コレステロール低下剤;(k)アンジオポイエチン;(l)トリクロサン、セファロスポリンのような抗菌剤、マガイニン、アミノグリコシド及びニトロフラントインのような抗菌ペプチド;(m)細胞毒素剤、細胞増殖抑制剤及び細胞増殖影響因子;(n)血管拡張剤;(o)内因性血管作動機構に影響を与える薬剤、(p)モノクロナール抗体のような白血球動員の阻害剤、;(q)サイトカイン;(r)ホルモン;(s)ゲルダマイシンを含むHSP90プロテインの阻害剤(即ち、分子シャペロン又はハウスキーピングタンパク質であり、かつ細胞の成長及び生存に寄与するその他のクライアントタンパク質/シグナル伝達タンパク質の安定性及び機能のために必要である、ヒートショックタンパク質)、(t)β−ブロッカー(u)bARKct阻害剤、(v)ホスホランバン阻害剤、(w)Serca2遺伝子/タンパク質、(x)アミノキノリン、例えば、レシキモド及びイミキモドのようなイミダゾキノリンを含む免疫反応調整剤、(y)ヒトアポリポタンパク質(apolioproteins)(例えば、AI、AII、AIII、AN、AV等)。
好ましい非遺伝的治療剤は、パクリタキセル(その粒子形態のもの、例えば、ABRAXANE(登録商標)のようなアルブミン結合パクリタキセルナノ粒子のようなタンパク質と結合されたパクリタキセル粒子を含む)、シロリムス、エベロリムス、タクロリムス、EpoD、デキサメタゾン、エストラジオール、ハロフィギノン(halofirginone)、シロスタゾール、ゲルダマイシン、ABT−578(アボット・ラボラトリーズ(Abbott Laboratories)社)、トラピジル、リプロスチン、アクチノマイシンD、RestenNG、Ap−17、アブシキシマブ、クロピドグレル、リドグレル、β−ブロッカー、bARKct阻害剤、ホスホランバン阻害剤、Serca2遺伝子/タンパク質、イミキモド、ヒトアポリオプロテイン(例えば、AI−AV)、成長因子(例えば、VEGF−2)並びに上記の誘導体等を含む。
本明細書に開示されている移植可能な医療機器に関連して使用するための例示的な遺伝的治療剤は、アンチセンスDNA及びRNA並びに、(a)アンチセンスRNA、(b)不完全又は不十分な内因性分子と置き換えるためのtRNA又はrRNA、(c)酸性及び塩基性の繊維芽細胞成長因子、血管内皮成長因子、表皮成長因子、形質転換成長因子α及びβ、血小板由来の内皮成長因子、血小板由来の成長因子、腫瘍壊死要因α、肝細胞増殖成長因子及びインシュリン様成長因子のような成長因子を含む血管新生因子、(d)CD阻害剤を含む細胞周期阻害剤、及び(e)チミジンのキナーゼ(「TK」)及びその他の細胞増殖を干渉するのに有用な薬剤、に対してコードするDNA、を含む。また、興味深いものは、BMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6(Vgr−1)、BMP−7((OP−I)、BMP−8、BMP−9、BMP−10、BMP−11、BMP−12、BMP−13、BMP−14、BMP−15及びBMP−16を含む、骨形態形成タンパク質(BPM)のファミリーをコードするDNAである。現在のところ好ましいBMPは、BMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6及びBMP−7のうちの任意のものである。これらの二量体タンパク質は、ホモ二量体、ヘテロ二量体、若しくはその組み合わせを単独で、又は他の分子と組み合わせて提供され得る。代替的に、又は付随的に、BMPの上流側又は下流側の効果を誘導することが可能な分子が提供され得る。そのような分子は、「ヘッジホッグ」タンパク質、又はそれをコードするDNAの任意のものを含む。
遺伝的治療剤を送達するためのベクタは、アデノウィルス、guttedアデノウィルス、アデノ関連ウイルス、レトロウィルス、アルファウイルス(セムリキフォレスト及びシンドビス等)、レンチウィルス、単純ヘルペスウイルス、複製型ウィルス(例えば、ONYX−015)のようなウィルスベクタ、及びハイブリッドベクタ;人工染色体及びミニ染色体、プラスミドDNAベクタ(例えば、pCOR)、カチオンポリマー(例えば、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミン(PEI))、グラフトコポリマー(例えば、ポリエーテル−PEI及びポリエチレン酸化物−PEI)、中性ポリマー PVP、SP1017(SUPRATEK社)、カチオン脂質、リポソーム、リポプレックスのような脂質、ナノ粒子又はマイクロ粒子のような非ウィルスベクタであって、タンパク質導入ドメイン(PTD)のような標的配列を伴う及び伴わないもの、を含む。
本明細書において開示されている移植可能な医療機器に関連して使用するための細胞は、ヒト器官(自己移植の、または同種異系の)の細胞を含み、全骨髄細胞、骨髄細胞に由来する単核細胞、前駆細胞(例えば、内皮前駆細胞)、幹細胞(例えば、間葉細胞、造血細胞、神経細胞)、多能性幹細胞、繊維芽細胞、筋芽細胞、衛星細胞、周皮細胞、心筋細胞、骨格筋細胞若しくはマクロファージ、を含み、或いは、動物由来のもの、細菌由来のもの若しくは真菌由来のもの(異種)を含み、それらは、関心のあるタンパク質を送達するために所望に応じて遺伝的に設計することができる。
上記に列挙されたものに必ずしも制限されるものではないが、種々の治療剤は、例えば、再狭窄を標的とする薬剤として、血管治療及びその他の治療の投薬計画のための候補として特定された。そのような薬剤は、本明細書に開示されている移植可能な医療機器の実施において有用であり、適切な例は以下のうちの一つ以上から選択され得る:(a)ジルチアゼム及びクレンチアゼムのようなベンゾチアゼピン、ニフェジピン、アムロジピン及びニカルダピンのようなジヒドロピリジン及びベラパミルのようなフェニルアルキルアミンを含むCa−チャネルブロッカー、(b)ケタンセリン及びナフチドロフリルのような5HTアンタゴニスト並びにフロキセチンのような5HT−取り込み阻害剤を含むセロトニン経路調整剤、(c)シロスタゾール及びジピリダモールのようなホスホジエステラーゼ阻害剤、フォルスコリンのようなアデニレート/グアニレートシクラーゼ刺激剤、並びにアデノシン類似体を含む環状ヌクレオチド経路作用剤、(d)プラゾシン及びブナゾシンを含むα−アンタゴニスト、プロプラノロールのようなβ−アンタゴニスト、ラベタロール及びカルベジロールのようなα/β−アンタゴニストを含むカテコールアミン調整剤、(e)エンドセリン受容体アンタゴニスト、(f)ニトログリセリン、2硝酸イソソルバイド、及び亜硝酸アミルのような有機硝酸塩/亜硝酸塩、ニトロプルシドナトリウムのような無機ニトロソ化合物、モルジドミン及びリンシドミンのようなシドノンイミン、ジアゼニウムジオレート(diazenium diolates)のようなノノエート、アルカンジアミンのNO添加物、低分子量化合物(例えば、カプトプリルのSニトロソ誘導体、グルタチオン及びN−アセチルペニシラミン)及び高分子量化合物(例えば、タンパク質、ペプチド、オリゴ糖類、多糖類、合成ポリマー/オリゴマー及び天然ポリマー/オリゴマーのS−ニトロ誘導体)を含むS−ニトロソ化合物並びにCニトロソ化合物、O−ニトロソ化合物、N−ニトロソ化合物及びL−アルギニン、(g)シラザプリル、ホシノプリル及びエナラプリルのようなアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、(h)サララシン及びロサルチンのようなATII−受容体アンタゴニスト、(i)アルブミン及びポリエチレン酸化物のような血小板接着阻害剤、(j)シロスタゾール、アスピリン及びチエノピリジン(チクロピジン、クロピドグレル)を含む血小板凝集阻害剤及びアブシキシマブ、エプチフィバチド及びチロフィバンを含むGP IIb/IIIa阻害剤、(k)ヘパリン、低分子量ヘパリン、硫酸デキストラン及びβ−シクロデキストリンテトラデカスルフェートのようなヘパリノイドを含む凝血経路調整剤、ヒルジン、ヒルログ、PPACK(D−Phe−L−プロピルーL−arg−クロロメチルケトン)及びアルガトロバンのようなトロンビン阻害剤、アンチスタチン及びTAP(ダニ抗凝固ペプチド)のようなFXa阻害剤、ワルファリンのようなビタミンK阻害剤並びに活性化タンパク質C、(l)アスピリン、イブプロフェン、フルルビプロフェン、インドメタシン及びスルフィンピラゾンのようなシクロオキシゲネーゼ経路阻害剤、(m)デキサメタゾン、プレドニゾロン、メタプレドニゾソン及びヒドロコルチゾンのような天然の及び合成のコルチコステロイド類、(n)ノルジヒドログアヤレチック酸及びカフェイン酸のようなリポオキシゲネーゼ経路阻害剤、(o)ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、(p)E−及びP−セクレチンのアンタゴニスト、(q)VCAM−I及びICAM−Iの相互作用の阻害剤、(r)PGEl及びPGI2のようなプロスタグランジン、シプロステン、エポプロステノール、カルバサイクリン、イロプロスト及びベラプロストのようなプロスタサイクリン類似体を含むプロスタグランジン及びその類似体、(s)ビスホスホネートを含むマクロファージ活性化遮断剤、(t)ロバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、シムバスタチン及びセリバスタチンのようなHMG−CoAリダクターゼ阻害剤、(u)魚油及びオメガ3−脂肪酸、(v)プロブコール、ビタミンC及びE、エブセリン、トランス−レチノイン酸及びSOD模倣体のようなフリーラジカルスカベンジャー/抗酸化剤、(w)bFGF抗体及びキメラ融合タンパク質のようなFGF経路作用剤、トラピジルのようなPDGF受容体アンタゴニスト、アンジオペプチン及びオクレオチドのようなソマトスタチン類似体を含むIGF経路作用剤、ポリアニオン系作用剤(ヘパリン、フコイジン)、デコリン及びTGF−β抗体を含むTGF−β経路作用剤、EGFの抗体、受容体アンタゴニスト、キメラ融合タンパク質のようなEGF経路作用剤、サリドマイド及びその類似体のようなTNF−α経路作用剤、スロトロバン、バピプロスト、ダゾキシベン及びリドグレルのようなトロンボキサンA2(TXA2)経路調整剤並びにチロホスチン、ゲニステイン及びキノキサリン誘導体のようなタンパク質チロシンのキナーゼ阻害剤を含む種々の成長因子に影響を与える薬剤、(x)マリマスタット、イロマスタット及びメタスタットのようなMMP経路阻害剤、(y)サイトカラシンBのような細胞運動阻害剤、(z)プリン類似体(例えば、塩素化されたプリンヌクレオシド類似体である6−メルカプトプリン又はクラドリビン)、ピリミジン類似体(例えば、シタラビン及び5−フルオロウラシル)及びメトトレキセートのような代謝拮抗物質、ナイトロジェンマスタード、アルキルスルフォン酸塩、エチレンイミン、抗生物質(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン)、ニトロソウレア、シスプラチン、微小管動態に影響を与える薬剤(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、コルヒチン、EpoD、パクリタキセル及びエポチロン)、カスパーゼ活性化剤、プロテアソーム阻害剤、血管新生阻害剤(例えば、エンドスタチン、アンジオスタチン及びスクアラミン)、ラパマイシン、セリバスタチン、フラボピリドール及びスラミンを含む抗増殖剤/抗新生物剤、(aa)ハロフィギノン又はその他のキナゾリノン誘導体及びトラニラストのようなマトリックス沈殿/形成経路阻害剤、(bb)VEGF及びRGDのペプチドのような内皮化促進剤及び(cc)ペントキシフィリンのような血液レオロジー調整剤。
本明細書に開示されている移植可能な医療機器の実施のために有用な種々の更なる治療剤はまたクンツ(Kunz)らに付与された米国特許第5,733,925号明細書にも開示されている。
治療剤溶出ポリマー層は、典型的には、例えば、層内に、1wt%から、2wt%未満まで、5wt%未満まで、10wt%未満まで、25wt%未満まで、50wt%未満まで、又はそれ以上の単一の治療剤若しくは複数の治療剤の混合物を含むであろう。治療剤はまた、例えば以下に列挙されたものから選択され得る。
薬剤溶出コーティングはまた、典型的には、例えば、層内に、50wt%から、75wt%未満まで、90wt%未満まで、95wt%未満まで、97.5wt%未満まで、99wt%未満まで、又はそれ以上の単一のポリマー若しくは複数のポリマーの混合物を含むであろう。ポリマーはまた生体分解性ポリマー又は生体安定性ポリマーであり、かつ例えば、基質において使用するために上記に列挙されたもの、及びテキスチャ化ポリマー層と組み合わせて以下に記載されたものから、選択され得る。
薬剤溶出コーティングの厚みは広く変更可能であり、典型的には、10nmから、25nmまで、50nmまで、100nmまで、250nmまで、500nmまで、1μmまで、2.5μmまで、5μmまで、10μmまで、20μmまで、の範囲の厚みであり得る。
薬剤溶出コーティングは、当該技術分野において周知の任意の適切な方法を使用して、基質上に配置され得る。例えば、層が熱可塑性の特徴を有する1つ以上のポリマーを含む場合、層は、例えば、(a)ポリマー、治療剤及び所望とされる任意のその他の選択的な種を含有する溶融物を提供する工程と、(b)引き続いて同溶融物を冷却する工程と、により形成され得る。別の例として、層は、例えば、(a)1つ以上の溶媒種、ポリマー、治療剤及び所望とされる任意のその他の選択的な種を含有する溶液又は分散体を提供する工程と、(b)引き続いて溶媒種を除去する工程と、により形成され得る。溶融物、溶液及び分散体は例えば、基質への押出成形によって、基質とともに共押出成形によって、基質へのロール塗布によって、ブラシ、ローラ、スタンプ若しくはインクジェットプリンタのような適切な塗布装置を使用して基質に塗布することによって、基質に浸漬することによって、超音波スプレーコーティングのような噴霧技術を使用して基質に噴霧コーティングすることによって、電気流体力学的なコーティングによって、その他の方法によって、基質表面の少なくとも一部に配置され得る。ある例において、基質の別の表面が、薬剤溶出ポリマー層が当該表面に塗布されることを回避するために、マスクされる。
適用方法
表面結合細胞接着性ポリペプチドはステント又は他の移植可能な医療機器の表面の少なくとも一部に結合される。ある特定の例では、表面結合細胞接着性ポリペプチドは、ステント又は他の移植可能な医療機器の表面の全ての表面に結合される。場合によっては、表面結合細胞接着性ポリペプチドは、ステント又は他の移植可能な医療機器の表面の内面及び外面に結合される。多くの場合、表面結合細胞接着性ポリペプチドは、ステント又は他の移植可能な医療機器の内面に結合される。一例では、移植可能な医療機器の内面は内腔面であり、移植可能な医療機器の外面は反管腔側の面である。
表面結合細胞接着性ポリペプチドは、ステント又は他の移植可能な医療機器の表面の少なくとも一部に結合され、また上皮性細胞(例えば、内皮細胞)に結合され得るが、結合の相互作用が起こる順序に関しては制限されるものではない。表面結合細胞接着性ポリペプチドは、基質表面の一部への結合の前に、後に、又は結合時に上皮細胞(例えば、内皮細胞)に結合し得る。典型的には、表面結合細胞接着性ポリペプチドは、上皮細胞へ結合される前に、ステント又は他の移植可能な医療機器の表面の少なくとも一部に配置される。多くの場合、表面の結合の細胞接着性ポリペプチドは、患者にステント又は他の移植可能な医療機器を使用する前に、即ち、移植前に、同ステント又は他の移植可能な医療機器の少なくとも一部に配置され得る。代替的に、表面結合細胞接着性ポリペプチドは、ステント又は他の移植可能な医療機器の表面の少なくとも一部と、同表面結合細胞接着性ポリペプチドを結合する前に、上皮細胞に結合され得る。そのような例では、患者への機器の移植は、ステント又は他の移植可能な医療機器の表面に表面結合細胞接着性ポリペプチドを結合する前、又は後に実施され得る。
細胞接着性ポリペプチドは、当該技術分野において周囲のコーティング法を使用することを含む、種々の様式にて、医療機器の表面に適用され得る。一般に、表面結合細胞接着性ポリペプチドは、ステント又は他の移植可能な医療機器と接触される溶媒を含む混合物中に供給される。コーティングは、ステントを完全に拡張した状態にて適用され得る。また、コーティングはステントを回転した状態にて適用され得る。例えば、参照によって本明細書において援用される米国特許出願公開第2005/01584050号を参照されたい。混合物との接触時間は、表面結合細胞接着性ポリペプチドがステント又は他の移植可能な医療機器との結合によってコーティングを形成すること可能とするように選択される。次に溶媒は、典型的には蒸発によって、取除かれる。ステントは、コーティングを形成するために、表面結合細胞接着性ポリペプチドと1回以上接触され得る。
混合物中の表面結合細胞接着性ポリペプチドの濃度は、典型的には約0.1乃至約100μMである。適切な溶媒は、蒸発を促進するための添加物を含むかもしれない水溶液を含む。溶媒は典型的には、本明細書に記載されている表面結合細胞接着性ポリペプチドを少なくとも1μMの濃度で溶媒和するのに適した、pH4.0乃至9.0の緩衝液である。
表面結合細胞接着性ポリペプチドは、溶媒中に同表面結合細胞接着性ポリペプチドを含む混合物中に、ステント又は他の移植可能な医療機器を浸すことによって適用され得る。この方法はステントの全表面をコーティングするのに使用され得る。代替的に、コーティングは溶媒中に同表面結合細胞接着性ポリペプチドを含む混合物を含むコーティング組成物を噴霧することによってステントに適用され得る。ステントの選択された領域の全ての表面が噴霧コーティングされ得る。
例えば、表面結合細胞接着性ポリペプチドは、医療機器に堆積される荷電したペプチドを含有する液滴を生ずる従来からの静電気噴霧プロセスによって、医療機器に噴霧され得る。コーティング流体が乾燥すると、ポリペプチドは、同ポリペプチドの側鎖基との分子間結合によって医療機器に接着した状態になる。ある特定の例では、堆積されたポリペプチドは、ヴァン アルステン(Van Alsten)の「加工金属における自己アセンブリされた単層:構造、派生及び実用性(Self−Assembled Monolayers on Engineering Metals:Structure,Derivation、and Utility)」、Langmuir 15:7605−14(1999年)、に記載されているように、ラングミュアの単層又は自己アセンブリした単層のような単層を医療機器の表面に形成するかもしれない。
実施例1:HCAEC移動
生体材料上の内皮細胞の移動及び増殖は、移植可能な医療機器の開発及び成功時に重要である場合もある再内皮化(reendothelization)及び血管新生の速度に影響を与える。この実験では、ステンレス鋼の基質上にあるヒト冠状動脈内皮細胞(HCAEC)の運動性に対する表面結合細胞接着性ポリペプチドの効果をインビトロで試験した。この実施例で使用された表面結合細胞接着性ポリペプチドは、表面結合部分としてのDOPA、(ALA−Aib)3リンカー及び細胞接着性ポリペプチドとしてラミニン受容体(YIGSR)のため認識配列を含んでいた、即ち、[(DOPA)2―(ALA−Aib)3−YIGSR−OH、以下においてPEPTIDE−1と記載](マサチューセッツ州ボストンに所在の、ハーバード医学校のMGHペプチド/プロテイン・コア施設にて合成した)である。
ヒト冠状動脈内皮細胞(HCAEC,カリフォルニア州サンディエゴに所在の、セル・アプリケーションズ(Cell Applications,Inc.)社より入手できる)をこの試験で使用した。基質は滅菌したステンレス鋼ストリップ[3.5”x0.308”x0.031”]、又はPEPTIDE−1でコーティングした滅菌したステンレス鋼ストリップであった。
コラーゲンゲルを以下のプロトコルを使用して調製した:高濃度(HC)I型コラーゲン(カリフォルニア州サンノゼ所在のBD Miosciences社より入手、ラット尾)の10mgのバイアル1つを蒸留した滅菌水にて希釈し、最終濃度を38mlとし、(ピペットを上下に操作させることにより)気泡を入れることなく完全に混合した。次に、コラーゲン溶液を6つの正方形のペトリ皿(6ml/ペトリ皿)に移した。粘性コラーゲン溶液の容積損失を最小限にするために、同一のピペットを使用して、溶液の全てを移した。緩やかな傾斜と軽い振とうによってコラーゲン溶液をペトリ皿の底にコーティングした。大きな気泡は潰して除去した。小さな泡はピペットの先端を使用して皿の側部に押し出した。
折ったペーパータオルを水酸化アンモニウムで飽和し、同ペーパータオルを少なくとも1つのペトリ皿を保持するのに十分な大きさのタッパーウェア(Tupperware(登録商標))の容器内に置くことにより、水酸化アンモニウムチャンバを準備した。覆われていないペトリ皿を水酸化アンモニウムチャンバの水平面に置いて、ふたを密閉した。ペトリ皿はチャンバ内のアンモニア蒸気に5分間さらし、次に除去した。コラーゲンゲルの頂部に蒸留した滅菌水(DS H2O)の15のmlを加え、15分間室温に静置した。次に、ゲルを更なる15mlのDS H2Oを用いて緩やかに2回洗浄し、次にDS H2O中にて、フード内にて一晩静置した。代替的に、ペトリ皿は覆われて、4℃にて2週間まで保存された。
実験を行う朝に、ゲルを10mlのHCAECの成長培地(カリフォルニア州サンディエゴに所在のセル・アプリケーションズ社)で緩やかに3回洗浄し、洗浄と洗浄の間は、室温(RT)にて5分間放置した。HCAEC成長培地中にて成長したコンフルエントに達したHCAECを含む1個のT−75細胞培養フラスコ(ビーディ・ファルコン(BD Falcon))は、アッセイにて使用すべく、ペトリ皿ごとにトリプシン処理により採集した。ペトリ皿上にプレート化される全細胞は、HCAEC成長培地中のマスター細胞懸濁液と合わせた。マスター細胞懸濁液は各ペトリ皿について少なくとも10mlの懸濁液を含んでいた。次に10mlの細胞懸濁液を各ペトリ皿に配置し、37℃にて約4乃至5時間培養した。
細胞の単一層が形成された後、適切な分配及び拡散についてプレートをチェックした。次にプレートを吸引し、15mlのHCAEC成長培地を再びプレートに戻した。
滅菌したステンレス鋼ストリップは以下のプロトコルを使用してPEPTIDE−1でコーティングした:カルシウム及びマグネシウム(カリフォルニア州カールズバッド所在のインビトロージェン(Invitrogen)社)並びに10μMのPEPTIDE−1を備えたダルベッコ(Dulbecco)リン酸緩衝生理食塩水を含有する1.5mlのコーティング溶液を、各ステンレス鋼ストリップをコーティングするために調製した。ピンセットを使用して各ストリップの一方の側の頂部付近に、ストリップの裏側であることを示すべく印「X」を刻み込んだ。ステンレス鋼ストリップをポリスチレン管に置いて、少なくとも1.5mlのコーティング溶液を各管に加えた。次に、ステンレス鋼のストリップの「X」側を上向きにした状態にて、振とう機の一方の側に管をおいた。管は4℃にて約100RPMにて一晩振とうした。
3連のステンレス鋼ストリップを各ペトリ皿のゲルに押しつけた。完全に垂直になっている場合、ストリップがペトリ皿に適合しなかったので、同ストリップを皿に対してわずかな角度にてゲルに押し込んだ。ストリップが完全にぬれなかった場合、培地がストリップを覆うまで皿を揺らした。ストリップ及び皿を、37℃のインキュベータに、2日間(48時間)戻した。
HCAECの移動活性は以下のプロトコルを使用して定量した:
カルセインAM染料は、所望とされる12.5mlの染色液(ハンクス平衡液(Hanks’ Balanced Salt Solution)−HBSS)の各々に対して1つの50μgバイアルの染料を得ることによって調製した(約9−12.5mlの染色液は典型的には正方形のペトリ皿の6個のステンレス鋼ストリップを染色する)。20μlのジメチルスルホキシド(DMSO)及び150μlの温HBSS染色液を、カルセインAMの50μgバイアルの各々に加え、緩やかに混合した。次にこの溶液を、12.5mlのHBSSとともに、正方形のペトリ皿(100×15mm、ファルコン製)に移した。バイアルはHBSSを用いて洗浄した。HBSSを染料と完全に混合し、同染料の約7乃至10mlが正方形のペトリ皿の各々に移され、その後、同ペトリ皿はホイルにて覆われ、別にしておいた。
ステンレス鋼ストリップをゲルから取り除き、HBSSで2回洗浄し、次に染色液に沈めた。ストリップを37℃にて60分間培養した後、HBSSで3回洗浄し、軽く叩いて乾燥し、以下の設定条件を用いたSpectramax M5にて読み取った:最上部蛍光読み取り(top read fluorescence);自動カットオフを備えたEX/EM=485/530nm;及び9位置の十分なスキャン。ペプチドでコーティングされたステンレス鋼ストリップに対して得られた蛍光の読取値は、コーティングされていないステンレス鋼ストリップ(対照)から得られた読取値によって正規化された。
結果は、ステンレス鋼対照に対するパーセントにて図5において示されており、コーティングされていないステンレス鋼は1に正規化されている。HCAECの移動は、ステンレス鋼単独のものと比較して、PEPTIDE−1で予めコーティングされたステンレス鋼ストリップは1.7倍大きかった。この差異は統計学的に有意であった(p<0.01)。
実施例2.濃度範囲試験
濃度範囲試験はステンレス鋼基質上における開示されたポリペプチドに対する有効濃度を決定するために行われた。
この実施例において、表面結合ポリペプチドは、表面結合部分としてのDOPA、(ALA−Aib)3リンカー、ペプチドフラグメント(RIGSY)、及びビオチン含んでいた[(DOPA)2−(ALA−Aib)3−RIGSY−(ビオチン)−OH、以下PEPTIDE−2と記載]。PEPTIDE−2は、8mmのLiberte WHステントに上に、100RPMの緩やかな撹拌下で、室温にて1時間培養することにより0.0001μM乃至1000μMの間の複数の濃度でコーティングした。
ビオチンアッセイのために、以下の手順を使用した:PEPTIDE−2をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)によって順次希釈して調製することにより、0.0001μM乃至1000μMの濃度を有するサンプルを生成した。PBSのみの対照溶液も調製した。
8mmのLiberte WHのステントを、48ウェルのポリスチレンプレートのウェル内に置いて、各ペプチド濃度(対照を含む)の240μlを各ウェルに加えた。次にプレートを室温(RT)にて少なくとも1時間、緩やかに振とう(100rpm)しながら培養して結合させた。過剰のペプチド溶液は、マイクロピペットを使用して除去及び廃棄した。
次にステントを1.5mlのPBS−Tweenを用いて3回洗浄し、洗浄と洗浄の間は150rpmにて約30秒振とうした。次に、PBS中に1%のウシ血清アルブミン(BSA)を含む溶液1.5ml(ブロッキング溶液)を各ステントに加え、RTにて1時間、緩やかに振とう(100rpm)しながら培養してブロッキングさせた。1時間後、過剰のブロッキング溶液は、マイクロピペットを使用して除去及び廃棄した。次に、ステントは、上記した洗浄方法を用いて1.5mlのPBS−Tweenを用いて3回洗浄した。
300μlのストレプトアビジン−AP(アルカリホスファターゼ)溶液を各ステントに、TBS+1%BSA中に1/1000にて加え、室温にて緩やかに振とう(100rpm)しながら30分間培養した。次に、過剰のストレプトアビジン溶液を除去及び廃棄した。次に、ステントを1.5mlのPBS−Tweenを用いて2回洗浄し、次に、ピンセットを用いて同じプレート上の一組の新たなウェルに移した。ステントが移動されると、次にそれらをもう一度1.5mlのPBS−Tweenを用いて洗浄した。300μlの色原体p−ニトロフェニルホスフェート(pNPP)を48ウェルプレートの各ステントに加えた。次にプレートを振とう機のプラットホーム上に置いて、100rpmにて5分間培養し、発色させた。次に、10μlの水酸化ナトリウム(NaOH)を、96ウェル組織培養プレートのウェルに加えた。発色を止めるために、ステントを含有する各ウェル中の溶液の100μlを、96ウェルプレートのNaOHを含有するウェルに移した。
光学濃度(OD)は、終点モードの405nmにおいてプレートリーダ(モレキュラー・デバイシーズ(Molecular Devices)社のSpectramax Plus)中の96ウェルプレートを読み取ることにより決定した。対照に対する測定したOD値を、全てのその他の溶液に対するODから引いた。得られたODを濃度(μM)(logx−軸)に対してプロットした(y軸)。
結果を図6に示す。二つのラインは、同一のアッセイの二つの別々のランを示す。以下の実験にて使用するのに適したコーティング濃度は10μMであると決定された。最大値の半分の濃度(EC50)は、約0.37μMであると決定された。
実施例3.培養時間試験
培養時間試験は、ステンレス鋼の、時間の経過におけるペプチド親和性を調査することによって実施した。
実施例2の表面結合ポリペプチド(PEPTIDE−2)は、実施例2に記載した方法を用いて、0.0001μM乃至100μMの間の複数の濃度で、ステンレス鋼の基質(8mm−LiberteWHステント、ボストンサイエンティフィック(Boston Scientific)社)に適用した。5分におけるOD(405nm)を、上記したように、1時間、4時間及び24時間に測定した。
結果を図7に示す。EC50のデータ(24時間=0.27μM;4時間=0.30μM;1時間=0.31μM)は、時間の経過におけるステンレス鋼基質へのPEPTIDE−2の親和性はわずかに変化することのみを示している。
実施例4.pH試験
ステンレス鋼基質(8mm−LiberteWHステント、ボストンサイエンティフィック社)へのPEPTIDE−2の親和性におけるpHの影響を調査することによってpH試験を実施した。
実施例2のPEPTIDE−2ポリペプチドは、実施例2に記載した方法を用いて、0.0001μM乃至100μMの間の濃度範囲にわたり、pH8、7、6及び4にて、ステンレス鋼基質にコーティングした。5分におけるOD(405nm)を、上記したように測定し、EC50を決定した。
結果を図8に示す。EC50は、1つの傾向はあるもののpHを7から4に低減しても接着は大きくは変化しなかったことを示す。
実施例5.滅菌試験
滅菌試験は、ステンレス鋼ストリップにコーティングされたPEPTIDE−2のEtO滅菌の影響を調べるために実施した。合計9個のステンレス鋼ストリップを、実施例2にて記載したように、100μM濃度のPEPTIDE−2でコーティングした。9個のステンレス鋼ストリップを3つのカテゴリに分類した:(A)3つのコーティングされたストリップを、ODを測定するまで2週間4℃にて保存した(「保存(shelf)」と参照);(B)3つのストリップを、ODを測定する前にEtOを用いて滅菌した(滅菌済み(sterilized)と参照);及び(C)3つのストリップは「未処理」(“fresh”)であった(即ち、ストリップは試験直前にコーティングされ、ペプチド構造における乾燥の影響を評価するために乾燥しなかった)。10分間での光学濃度(OD)(405nm)は、上記したように、9個の全てのストリップについて測定した。
滅菌工程の条件は以下のとおりである:
プロセス温度:120±5°F(46.1〜51.7℃)
初期の真空圧力:1.0±0.5psia(6891.2±3445.6Pa)
初期の調節圧力:1.25±0.25psia(8613.9±1722.8Pa)
相対湿度(調節):30−100%
ガス放出圧力:5.4±0.3psia(37212.2±2067.3Pa)
初期のガス放出圧力:1.2+0.3/−0.2psia(8269.4+2067.3/−1378.2Pa)
ガス露出圧力:14.0psia(96476.2Pa)
EtOガス濃度:585mg/l
真空後シリーズ#1圧力:1.0±0.5psia(6891.2±3445.6Pa)
真空後シリーズ#2圧力:1.0±0.5psia(6891.2±3445.6Pa)
総プロセス時間:22時間
PEPTIDE−2ペプチドの親和性は、以下に記載されているビオチンアッセイを使用して試験した。ビオチンアッセイはビオチン基の存在を示すが、ペプチド活性を調査しないことに注意することは重要である。
ピンセットを使用して、ステンレス鋼ストリップの1つの側に印「X」を刻んだ。ストリップのこの側は、コーティングされていない状態であると推定された。ストリップをポリスチレンファルコン(Falcon)において、1.5mlのペプチドコーティング溶液を、ストリップを含有する各バイアルに加えた。次に同バイアルをインキュベータ内において、ストリップの刻印された側が上向きになるように配向した。コーティング溶液と接触しているストリップの底部側(刻印されていない側)をストリップのコーティングされた側と考えた。バイアルを室温にて少なくとも1時間、緩やかに振とう(100rpm)しながら培養して結合させた。過剰のペプチド溶液は、ピンセットを用いてバイアルからストリップを持ち上げて、同溶液を注ぎだすことによって除去及び廃棄した。ペプチド溶液を除去した後、ステンレス鋼ストリップをバイアル内に戻した。次にストリップをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)−Tweenの5mlを用いて150rpmにて30秒振とうさせることによる洗浄を3回実施した。洗浄液は上記した注ぎだす方法を用いて廃棄した。
同じバイアル中にて、各ストリップを5mlのBSAブロッキング溶液でブロックした。次にバイアルを刻印した側を上向きにしてインキュベータ内において、室温で100rpmにて1時間培養した。1時間後、ブロッキング溶液を除去及び廃棄し、上記した洗浄の手順を繰り返した。
次に、3.6mlのストレプトアビジン−AP溶液を、ストリップを含有する各バイアルに加えた。バイアルは、ストリップの刻印された側を上にして、室温で100rpmにて30分間培養した。次に、ストレプトアビジン−AP溶液を除去及び廃棄した。洗浄手順を繰り返した。
次にストリップをマニホルドに装填し、マニホルドの各ウェルに300μlのpNPPを加えた。マニホルドを、振とう機のプラットホーム上に置いて、10分間、緩やかに撹拌(100rpm)しながら、発色させた。
10μlのNaOHを、96ウェル組織培養プレートのウェルに加えた。発色を止めるために、各ウェル内の溶液の100μlを、96ウェルプレートのNaOHを含有する対応するウェルに移した。光学濃度(OD)は、終点モードの405nmにおいてプレートリーダ中の溶液を含有する96ウェルプレートを読み取ることにより決定した。
各ストリップに対して6回の測定を行った。結果を図9に示す。未処理のストリップでの結果は、保存ストリップ及び滅菌ストリップでの結果と統計学的に異なっている。保存ストリップ及び滅菌ストリップは、互いに統計学的に異なってはいなかった。ビオチンアッセイのデータは、保存及び滅菌がステンレス鋼表面に存在するペプチドの量に負の影響を与えないことを示す。このアッセイは表面のペプチド親和性を評価するようには設計されていない。
実施例6.蛍光及び金標識画像化
蛍光及び金標識画像化を使用して、表面結合ポリペプチドのLiberte WHステント(マサチューセッツ州ネイティックに所在のボストンサイエンティフィック社)に対する結合を視認化した。Liberte WHステントは、上記実施例2に記載されたプロトコルを用いて100μMのPEPTIDE−2にてコーティングした。次にコーティングされたステントは、Alexa−488(カリフォルニア州、カールズバッドに所在のインビトロージェン社)に結合されたストレプトアビジン又は20nmの免疫金ナノ粒子(コロラド州サリダ(Salida)に所在のビービーアイ・インターナショナル(BBI International)社)を用いて標識化した。
蛍光は、オリンパス(Olympus)社のFluoview FVl000共焦点顕微鏡を使用して画像化した。400倍での蛍光画像を図10Aに示す。免疫金ナノ粒子で標識化したPEPTIDE−2を検出するために使用した走査型電子顕微鏡(SEM)はJEOL 7401Fであった。画像は、12.0kV、WD8.0mmで撮影された。50000でのSEM画像を図10Bに示す。
実施例7.ラングミュアの等温線
本実施例において、本開示のポリペプチド(PEPTIDE−3[(DOPA)2(Ala−Aib)3−RIGSY−OH])の表面の被覆を、散逸型水晶振動子マイクロバランス(QCM−D)技術を用いて、非特異的タンパク質(ウシ血清アルブミン、BSA)の表面被覆と比較した。
表面の調製:ステンレス鋼の水晶振動子(Q−Sense,QSX304)を、UV/オゾン処理(Bioforce,UV Tipcleaner,モデル番号UV.TC.110)を用いて10分間洗浄した。次に、水晶を、dHO溶液中の2%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)(MPI、製品番号811036)に5分間浸漬し、dHOを用いて完全に洗浄し、Nにて乾燥させ、更に10分間UV/オゾンにて処理した。
表面の特徴化:QCM−D測定(Q−Sense E4)は、1分当り100μLの流速の溶液を用いて行った。実験は、25℃に温度制御されていた。
実験では、4つのサンプルを、QCM−Dを用いて一度に試験した。安定したベースラインを確立するために、各実験は約10分間の間PBSを流すことを含んでいた。次に、周波数の変化が30分以下につき2Hzとなるまで、種々の濃度にてペプチド溶液を加えた。最後の工程は、30分間、又は周波数の変化が30分以下につき2Hzとなるまで、PBSで洗浄することである。分析のために(Sauerbreyモデル,Q−Tools)、通常、各サンプルから、3番目の倍音を使用した。
及びEC50を決定し、結果を図11に示す。0.26μMのK値又は0.28μMのEC50が認められた。吸着機構が、単層が形成されていることを示唆するラングミュアの等温線に従っていることを理論的な適合が示している。100μM以上のEC50を有することが決定されている非特異的タンパク質,BSAと比較して、PEPTIDE−2は、ステンレス鋼に対する親和性が3桁分大きいことが示される。
上記した種々の実施例は例示のみの目的にて提供されたものであり、本願の開示を制限するものであると解釈されるべきではない。本明細書に例示されるとともに記載されている実施例及び適用に従うことなく、そして、本発明の真の精神及び範囲から逸脱することなく、本願の開示に対して種々の修正及び変更がなされることを当業者は容易に理解するであろう。

Claims (20)

  1. 移植可能な医療機器であって、
    第1の表面を有する基質と、
    前記第1の表面の少なくとも一部に配置される表面結合細胞接着性ポリペプチドと、からなり、表面結合細胞接着性ポリペプチドは、前記第1の表面に結合される表面結合部分と、前記表面結合部分に付着される細胞接着性ポリペプチドと、からなる、移植可能な医療機器。
  2. 前記第1の表面が内腔表面である、請求項1に記載の移植可能な医療機器。
  3. 前記第1の表面が内腔面であり、かつ前記内腔面の少なくとも一部が1つ以上の金属材料を含む、請求項1に記載の移植可能な医療機器。
  4. 前記第1の表面が内腔面であり、かつ前記内腔面の少なくとも一部が1つ以上の非金属無機材料を含む、請求項1に記載の移植可能な医療機器。
  5. 前記移植可能な医療機器がステントである、請求項1に記載の移植可能な医療機器。
  6. 前記細胞接着性ポリペプチドがリンカーを介して前記表面結合部分に付着される、請求項1に記載の移植可能な医療機器。
  7. 前記表面結合部分がカテコール部分からなる、請求項6に記載の移植可能な医療機器。
  8. 前記表面結合部分がDOPA部分からなる、請求項7に記載の移植可能な医療機器。
  9. 前記表面結合部分が(DOPA−Lys)からなる、請求項8に記載の移植可能な医療機器。
  10. 前記表面結合部分がポリビスホスホネート部分からなる、請求項1に記載の移植可能な医療機器。
  11. 前記表面結合部分が付着性ポリペプチド部分からなる、請求項1に記載の移植可能な医療機器。
  12. 前記基質は付随的に第2の表面と、前記第2の表面の少なくとも一部に配置される薬剤溶出コーティング部と、からなり、前記薬剤溶出コーティング部は治療剤およびポリマーからなる、請求項1に記載の移植可能な医療機器。
  13. その表面にコーティング部を有するステントであって、前記コーティング部は前記ステントの表面の少なくとも一部に表面結合細胞接着性ポリペプチドを結合する工程により提供され、前記表面結合細胞接着性ポリペプチドは表面結合部分と同表面結合部分にリンカーを介して付着される細胞接着性ポリペプチドとからなる、ステント。
  14. 前記コーティング部は前記ステントの少なくとも一部に内皮細胞を接着する更なる工程によって更に提供される、請求項13に記載のステント。
  15. 前記表面結合細胞接着性ポリペプチドの表面結合部分はカテコール部分からなる、請求項14に記載のステント。
  16. 前記細胞接着性ポリペプチドが、細胞外マトリックスのタンパク質、又はその結合ドメインフラグメントである、請求項15に記載のステント。
  17. 前記細胞接着性ポリペプチドが、RGD、YIGSR、WQPPRARI、REDV、又はNGRからなる、請求項16に記載のステント。
  18. 前記ステントの表面の一部が、同ステントの内腔面の一部からなる、請求項16に記載のステント。
  19. 移植可能な医療機器を調製するための方法であって、
    前記移植可能な医療機器の表面に表面結合細胞接着性ポリペプチドを接触させる工程と、
    前記表面結合細胞接着性ポリペプチドを前記表面の少なくとも一部分であって、1つ以上の金属材料を含む部分に結合させる工程と、からなり、
    前記表面結合細胞接着性ポリペプチドは少なくとも1つの細胞接着性ポリペプチドと少なくとも1つの表面結合部分とからなり、前記少なくとも1つの表面結合部分は1つ以上の金属材料との結合親和性を有する、方法。
  20. 前記移植可能な医療機器を表面結合細胞接着性ポリペプチドと接触させる工程は、前記移植可能な医療機器を、表面結合細胞接着性ポリペプチドを含む溶液中に浸漬させる工程からなる、請求項19に記載の方法。
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