JP2010516239A - 細胞の産生に対する新規方法および試薬 - Google Patents
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Abstract
【選択図】なし
Description
幹細胞は一連の成熟した機能細胞を生じうる未分化の細胞である。例えば、造血幹細胞は任意の各種の最終分化した血液細胞を生じ得る。胚性幹(ES)細胞は胚に由来し、多能性であり、そのため任意の器官または組織に、または、少なくとも潜在的に、完全な胚へと発生する能力を有する。
この研究は:1)レクチンに結合する分子の実際の量または2)細胞選別または実験上の問題、例えば細胞のトリプシン処理、により引き起こされた欠陥による任意の分子の存在。細胞がトリプシン処理され、これがタンパク質を除去し、次いで有り得る糖脂質結合SSEA4抗体および二次抗マウス抗体により濃縮され、パラホルムアルデヒドにより抗体が除去されることなく固定され、レクチンおよび同一の抗体によって同時に標識され、そして観察されるグリカンプロファイルが同一の科学者による抗体グリコシル化に対するレクチン分析で明らかになるものと同様である(M.Pierce US2005)ことは極めて注意が必要である;または3)レクチンにより結合される実際の構造;を明らかにしていない。細胞への有り得る残留する結合を明らかにするためには用いられた抗体のグリコシル化の分析が必要である(供給源およびロットが示されていない)。SSEA−4陽性細胞の純度は98〜99%と報告されており、これは異常に高い。結合の定量は明らかでなく、図3は、hESC−細胞に結合しないレクチンLTLおよびDBAによる約10%の結合を示している 3頁目、2列目、第2段落および免疫細胞化学4頁最終行による。
i.幹細胞内/上で特異的発現を示し、フィーダー細胞および/または分化した体細胞内/上に発現が存在しないグリカン構造を選択すること;
ii.ならびに、幹細胞内/上の該グリカン構造に対する結合剤の結合を確認すること;
を含む、式(I)のグリカン構造に対する選択的幹細胞結合剤を同定するための方法:
の工程を含む、選択的胚幹細胞結合剤/マーカーを同定するための方法を提供する。
a.ヒト幹細胞との関連においていずれかが用いられるべきである場合、どのレクチンであるかに関する教示が無い
b.示されない場合、本発明の好ましい末端グリカンエピトープ、しかし、活性レクチンConAは極めて非特異的にN−グリカンコア構造、特に複合型および他の型の構造を含むマンノース含有N−グリカンを認識し、Pha−EはN−グリカンコア構造の中央における二つに分かれるGlcNAc分岐を特異的に認識した。不活性レクチンWGAの特異性は、各種グリカンの中央におけるGlcNAc含有構造、およびシアル酸の非特異的認識を含む
c.レクチンの効果は細胞の増殖の減少であった。
d.レクチンの固定化、および特異的な、好ましくは共有結合性の固定化は示されなかった。
グリコシル化およびグリカン認識の種および細胞/組織型特異性を考慮すると、動物間葉系幹細胞からの推測は任意のヒト細胞に対しては、ましてや血液由来幹細胞等の異なる細胞型に対しては、一般化することができない。
R1Hexβz{R3}n1HexNAcXyR2 (I)
[式中、Xは無であるかグリコシド結合した二糖エピトープβ4(Fucα6)nGNであり、ここでnは0または1であり;
HexはGalまたはManまたはGlcAであり;
HexNAcはGlcNAcまたはGalNAcであり;
yはアノマー結合構造αおよび/もしくはβ、または誘導体化アノマー炭素からの結合であり、
zは結合位置3または4であり、ただしzが4である場合にはHexNAcはGlcNAcであり、HexはManであるか、またはHexはGalであるか、またはHexはGlcAであり、zが3である場合には、HexはGlcAまたはGalであり、HexNAcはGlcNAcまたはGalNAcであり;
R1はコア構造に結合した1〜4個の天然型炭化水素置換基を表し;
R2は還元末端水酸基、化学的還元末端誘導体、あるいは、タンパク質由来のアスパラギン、N−グリコシドアミノ酸および/もしくはペプチドを含む天然アスパラギン結合N−グリコシド誘導体、または、タンパク質由来のアスパラギン、N−グリコシドアミノ酸および/またはペプチドを含む天然セリンまたはスレオニン結合O−グリコシド誘導体であり;
HexNAcがGalNAcである場合、R3は無であるか、もしくはGlcNAcβ6を示す分岐構造であるか、もしくはそのGalNAcに結合する還元末端にGlcNAcβ6を有するオリゴ糖であり、または、HexがGal、HexNAcがGlcNAc、およびzが3である場合、R3は無もしくはFucα4であり、または、zが4である場合、R3は無もしくはFucα3である]
のグリカンマス成分(glycan mass components)のそれぞれに対する単糖組成を有するグリカン材料を含む、本発明の幹細胞のグライコームに関する。
本発明は幹細胞の状態の調節のための方法に関するものであり、ここで少なくとも1個の幹細胞が、本明細書において結合剤とも呼ばれるグリカン結合タンパク質と接触させられる。好ましい一態様において、結合剤は幹細胞の表面上の少なくとも1個のグリカン構造に結合し得る。より好ましくは結合剤は幹細胞の末端グリカン構造を認識する。
本発明は幹細胞から各種サイズの新規グリカンを明らかにした。幹細胞は小さなオリゴ糖から大きな複合構造にまでわたる範囲のグリカンを含んでいる。本分析は多数の成分と構造タイプとを相当量有する組成を明らかにする。これまで、これらの希少材料からの全グライコームは入手できず、幹細胞の遊離可能なグリカンの混合物、すなわちグライコームの性質は未知であった。
i)α3−フコシル化構造、
好ましいα3−フコシル化構造は特にLewis x、より好ましくはシアリルLewis xを含む。本発明は好ましい一態様において、特異的結合試薬による細胞表面上のα3−フコシル化構造への結合によって濃縮された幹細胞集団に関する。
本発明はさらに、特に細胞培養の使用のための、α3−フコース特異的結合試薬と幹細胞との複合体に関する。
特異的シアリルLewis x構造は効果的に間葉系または胚幹細胞特異的であり、細胞の結合および操作のために有用であることが明らかになった。
sLexのための好ましい結合試薬としてGF526、およびGF307等が挙げられる。
好ましい一態様において、シアリルLewis x特異的試薬は特にコアII sLex[SAα3Galβ4(Fucα3)GlcNAcβ6(R1Galβ3)GalNAcαSer/Thr[式中、R1すなわちシアル酸(SAα3)または無]を抗体GF526と同様に結合する。本発明は、特に幹細胞の培養のための、特にsLexおよびコアIIsLEx陽性細胞の、特異的結合試薬による、幹細胞を含んだ材料からの選択に関する。好ましい一態様において、細胞選別システムはFACSまたは結合剤を含んだ固相である。
本発明は幹細胞を増殖させることとの関連において有用な新規レクチン試薬を明らかにした。
レクチンの好ましい型は、非哺乳類、好ましくは非動物細胞培養において産生された組み替えタンパク質である。このようなタンパク質は特に低い混入のリスクを有すると考えられる。好ましい産生宿主としては細菌、昆虫、イースト、菌類または植物細胞等が挙げられ、イーストまたは菌類が、アレルゲン性植物材料または潜在的エンドトキシン含有細菌産生と比べ、潜在的に有害な成分の量が最も少ないことから好ましい。実施例24にhESC細胞の培養に特に有用な新規組み替えレクチンを示す。
好ましい一態様において、本発明は生物活性グリコシル化を減少させるために改造された天然グリコシル化レクチンの使用に関する。動物グリコシル化、および非動物グリコシル化さえも、生物活性、抗原性または免疫原性構造を含んでおり、これは治療用幹細胞調製物とともに患者に移された場合に有害であり得るか、または動物モデルにおける誤った研究をもたらすか、または培養された細胞に天然グリカン結合受容体を介して変化を引き起こす。
a)グリカン/グリコシル化部位の除去または
b)グリカンの不活性化
により改造される。
植物レクチン等の天然グリコシル化レクチンの非グリコシル化型は、複数の糖型を有するグリコシル化タンパク質と比べ、タンパク質が均質であることから、生物工学的方法に対して有用であり得ると考えられる。非グリコシル化レクチンは大腸菌によるもの等の原核細胞系において産生されてよく、例えばECAレクチンは細菌中で産生されている。糖アフィニティーカラムと反応性の細菌内毒素および潜在的細菌レクチンまたはグリコシダーゼのため、菌類のイーストの発現が好ましい。
本発明はさらに、レクチンのグリカンを不活性型に修飾することに関する。好ましい一態様において、グリカンは酸化により、好ましくはperjodate酸化により、修飾され、さらに不活性型に派生し、またはグリカンが細胞による認識に対して立体的に有効でないように固相へのグリカンから(に対して)結合させられる。
グリカン不活性化レクチンのグリカン結合型は、受動的にまたは非特異的に化学的に固相に接着したレクチンと比べ、他の利点を有する。何故ならこれらの方法は少なくとも部分的にレクチンの結合部位の妨げとなる場合があるためである。さらに、グリカン結合レクチンは表面に均一に接着され得る。本発明は、タンパク質に対するビオチン化等の標準的な結合手段がタンパク質の生物活性を減少させ得ることを明らかにした。実施例において
本発明は、好ましい一態様において、組み替え非グリコシル化(aglycosylated)ECAタンパク質であって該タンパク質のNグリコシル化部位が変異したものに関する。
ECAレクチンの好ましい変異型の一つは部位113のアミノ酸残基NがQとなった変異を含み、グリコシル化部位NNSが変化してQNSを形成する。Q残基は天然アミノ酸残基の最も近い模倣物として好ましい。アスパラギン残基はいくつかの他の残基に変化させ得ると考えられ、レクチンの活性を維持することが可能である。さらに、NNSグリコシル化部位はセリン残基等の他の残基を、例えばアラニンに変化させることにより、または長いもしくはプラリン(praline)残基をNとSとの間に導入することにより、不活性型に変異させることができ、このようなアプローチによりタンパク質の性質を部分的に変化させることができる。
本発明は、各種レクチン上でHESC細胞を増殖させることが可能であることを明らかにした。本発明は管理された条件において効果的に胚幹細胞を産生するための方法を提供する。現在の不均質な、および動物由来の材料、例えば線維芽細胞フィーダー細胞またはマトリゲルは、再現性、動物由来の有害な分子、例えばN−グリコリルノイラミン酸(NeuGc)等の抗原性構造によるあり得る混入、ウイルス、プリオンおよび他の感染性病原体のリスクに関して深刻な問題を含むと考えられる。レクチンタンパク質は 等の許容される動物供給源から入手可能である。本発明は細胞培養槽を被覆する単一の純粋なタンパク質を含んだ、細胞を支持するマトリクスを提供する。
レクチン上における幹細胞の増殖の新規方法は、さらなる利点を示した。細胞に有害であり得る酵素または掻き取りを用いることなく、穏やかに振とうする形式の動作により細胞を剥離することが可能であろう。
本願発明者らは、細胞を細胞培養槽または容器から剥離するために阻害剤レクチンの使用が可能であろうとさらに考えた。
本発明は、ヒト胚幹細胞が、好ましくはECA、ガレクチン、DSAおよびUEA−1の群から選択される(Fucα2)nGalβ4GlcNAc[式中、nは0または1]認識レクチンとの接触において、特に効果的に培養されることを明らかにした。Galβ4GlcNAc特異的なレクチンECA、ガレクチン、DSAは初期の接着および増殖のために好ましく、Fucα2Galβ4GlcNAcは実質的に後の段階での細胞収率のために好ましい。ECA型レクチンは幹細胞マーカーのより良好な保存のため、ガレクチンまたはDSA型レクチンよりも好ましい。実施例27参照。
本発明は好ましい一態様において、結合剤からのグリカンの遊離に関する。これは:
a)結合剤を伴う方法による細胞の濃縮または単離後の、可溶性結合剤からの細胞の遊離
b)細胞の濃縮もしくは単離後の、または細胞培養中の、例えば細胞の継代のための、固相に結合した結合剤からの遊離
等のいくつかの方法のために好ましい
複合体中の好ましい還元末端構造は、
AR[式中、Aはアノマー構造であって好ましくはGalβ4Glc、Galβ4GlcNAc、Galβ3GlcNAcに対するベータ、およびGalβ3GalNAcに対するアルファであり、Rは糖にグリコシド結合する有機残基であり、好ましくは方法、エチルもしくはプロピル等のアルキル、またはシクロヘキシルもしくは芳香環構造等の環構造であって、任意にさらなる官能基により修飾される]
である。
好ましい単糖としては、Fuc、Gal、GalNAc、GlcNAc、Man等の結合エピトープの末端のまたは2個もしくは3個の末端の単糖などが挙げられ、好ましくはアノマー複合体:例えばFucαR、GalβR、GalNAcβR、GalNAcαR GlcNAcβR、ManαRとしてのものである。例えばPNAレクチンは好ましくはGalβ3GalNAcまたはラクトースまたはGalにより阻害され、STAはGalβ4Glc、Galβ4GlcNAまたはその由来するオリゴマーもしくはポリ−LacNAcエピトープにより阻害され、およびLTAはフコシララクトースGalβ4(Fucα3)Glc、Galβ4(Fucα3)GlcNAcまたはFucもしくはFucαRにより阻害される。一価の阻害条件の例はVenable A. et al. (2005) BMC Developmental biologyに示されており、細胞が多価で固相に結合する場合の阻害については、より大きなエピトープおよび/または濃度またはマルチ/ポリバレント複合体が好ましい。
本発明は、幹細胞の培養のための、またはそれに関連する、特異的結合剤の使用に関するものであり、ここで該結合剤は固定化される。
前記固定化には、非共有結合的固定化、および共有結合を伴う固定化法、ならびにさらに部位特異的固定化および非特異的固定化が含まれる。
特異的固定化は、結合剤の結合部位がそのリガンドグリカンド、例えば本発明の幹細胞の特異的細胞表面グリカンに結合するのを妨げないタンパク質領域からの固定化を目的とする。
好ましくはグリカンが結合部位に近接していない、またはより長いspecarが用いられる場合に、好ましい特異的固定化は結合剤のO−またはN−グリカン等のタンパク質結合炭水化物から起こる。
好ましいグリカン固定化はグリカンの反応性化学選択的連結基(reactive chemoselective ligation group)R1を介して起こり、ここで該化学基は第二の化学選択的連結基R2に特異的に、結合剤のタンパク質部分に大きなまたは結合破壊性の変化をもたらすことなく、結合され得る。アルデヒドおよびケトンと反応する化学選択的基としてはアミノ−オキシ−メチルヒドロキシルアミンまたはヒドラジン構造等が挙げられる。好ましいR1基の一つはタンパク質の表面上に化学的に合成されたアルデヒドまたはケトン等のカルボニルである。他の好ましい化学選択的基としては、マレイミドおよびチオール;ならびにアジドおよびそれに対する反応性基を含んだ「Click」試薬等が挙げられる。。
好ましい合成工程は
a)炭水化物選択的酸化化学による、好ましくは過ヨウ素酸による、化学酸化、または
b)ガラクトース酸化酵素等の、非還元末端の末端単糖酸化酵素による、または、修飾単糖残基のグリカンの末端単糖への転移による、酵素的酸化
を含む。
酸化酵素または過ヨウ素酸の使用は当該分野に公知であり、Kabi−Frensenius(WO2005EP02637、WO2004EP08821、WO2004EP08820、WO2003EP08829、WO2003EP08858、WO2005092391、WO2005014024;参照により全体が組み込まれたものとする)およびドイツの研究機関によるHES−多糖の組み替えタンパク質への結合に関する特許出願に記載されている。
末端単糖残基の転移のための好ましい方法としては、本願発明者らの一部による特許出願US2005014718(参照により全体が組み込まれたものとする)もしくはQasbaおよびRamakrishmanほかによるUS2007258986(参照により全体が組み込まれたものとする)に記載されるような、またはNeoseの糖ペグ化(glycopegylation)特許(US2004132640;参照により全体が組み込まれたものとする)に記される方法を用いることによる、変異ガラクトシルトランスフェラーゼの使用などが挙げられる。
好ましい一態様において、結合剤はリガンドLによって特異的に認識され得るタグ(Tと呼ぶ)に特異的にまたは非特異的に結合する。タグの例としてはビオチン結合リガンド(ストレプト)アビジン、または他のフルオロカルボニルに結合するフルオロカルボニル、またはペプチド/抗原および該ペプチド/抗原に対する特異的抗体等が挙げられる。
タグ複合体構造
好ましい複合体構造は
式CONJ
B−(G−)mR1−R2−(S1−)nT−、
[式中、Bは結合剤であり、Gはグリカン(前記結合剤がグリカンを結合する場合)であり、
R1およびR2は化学選択的連結基であり、Tはタグ、好ましくはビオチンであり、Lはタグに特異的に結合するリガンドであり;S1は任意のスペーサー基、好ましくは炭素数1〜10のアルキルであり、mおよびnは独立に0または1のいずれかの整数である]
によるものである。
スペーサー構造連結基または(ストレプト)アビジン等のリガンドを固相に化学的に付着させる方法は当該分野において公知である。
好ましい複合構造は
式COMP
B−(G−)mR1−R2−(S1−)n(T−)p(L−)r−(S2)s−SOL
[式中、Bは結合剤であり、SOLは固相またはマトリクスまたは表面であり、Gはグリカン(前記結合剤がグリカンを結合する場合)であり、
R1およびR2は化学選択的連結基であり、Tはタグ、好ましくはビオチンであり、Lはタグに特異的に結合するリガンドであり;S1およびS2は任意のスペーサー基、好ましくは炭素数1〜10のアルキルであり、m、n、p、rおよびはs独立に0または1のいずれかの整数である]
によるものである。
スペーサー構造を固相に化学的に付着させる方法は当該分野において公知である。
1.幹細胞の培養のための、幹細胞および/または関連する細胞を認識する特異的結合構造の試験および選択
2.幹細胞、特に間葉系または胚幹細胞の培養中または培養前の細胞の選択のための、好ましくは2種類の方法:
a)可溶性結合剤分子による、好ましくはFACS等の標識細胞を識別する物理的方法による、細胞の選択、および/または
b)固相に結合した結合剤分子、例えば
b1)プレートまたは容器等の細胞培養槽に結合した結合剤、および/または
b2)細胞培養に有用な高分子またはゲル形成材料等のポリマー材料に結合した結合剤
b3)ビーズ、特に磁性ビーズ等の微小粒子に結合した結合剤
による細胞の選択
における、特異的結合剤の使用
3.細胞培養中の可溶性のもしくは表面に結合した形態の幹細胞または混入/関連細胞集団を認識する特異的結合剤構造の使用
に関する。
本発明は、NMRおよび/または質量分析による物理化学的分析に加え、いくつかの方法が前記構造の分析に有用であることを明らかにした。本発明は特に、方法:
i)結合剤と呼ばれる、グリカンを結合する分子による識別
これらの分子はグリカンを結合し、結合剤に連結した標識等の、結合の観察を可能にする特性を有する。好ましい結合剤としては、
a)抗体、レクチンおよび酵素等のタンパク質
b)タンパク質の結合ドメインおよび部位等のペプチド、ならびにファージディスプレイペプチド等の合成ライブラリー由来類似体
c)ペプチド材料を模倣する他のポリマーまたは有機骨格分子(organic scaffold molecule)等が挙げられる
に関する。
a)天然グリコシルトランスフェラーゼ(Rauvala et al.(1983)PNAS(USA)3991−3995)およびグリコシダーゼ(Rauvala and Hakomori(1981)J.Cell Biol.88,149−159)はレクチン活性を有する。
b)炭水化物結合酵素は触媒アミノ酸残基を変異させることによりレクチンに改変することができる(WO9842864;Aalto J.et al.Glycoconjugate J.(2001),18(10);751−8;Mega and Hase(1994)BBA1200(3)331−3を参照)。
c)グリコシダーゼに構造的に相同な天然レクチンも知られており、酵素属およびレクチン属の連続性を示唆している(Sun,Y−J.et al.J.Biol.Chem.(2001)276(20)17507−14)。
酵素活性を有しない炭水化物結合タンパク質としての抗体の属もレクチンの概念に非常に近いが、抗体は通常レクチンとしては分類されない。
タンパク質はペプチド鎖を有しており、そのためペプチドによる炭水化物の認識は明白であるとさらに考えられる。例えば、炭水化物結合タンパク質の活性部位由来のペプチドは炭水化物を認識し得ることが当業者に公知である(例えばGeng J−G.et al(1992)J.Biol.Chem.19846−53)。
上記の通り、抗体断片は記載に含まれ、結合タンパク質の遺伝子組み替えバリアントである。明白な遺伝子組み替えバリアントは酵素、抗体およびレクチンの、短くなった、または断片のペプチドを含みうる。
本発明は、特定の分化段階のマーカーとしてのオン・オフ変化またはグライコームの定量的比較に基づく量的相違によって、構造的特徴を明らかにするための、グライコミクスプロファイリング法の使用に関する。個々の特異的バリアントは、グリコシルトランスフェラーゼの遺伝的変異、および/または、個々の特異的構造の合成を妨げる、または引き起こすグリコシル化機構の他の要素に基づくものである。
本願発明者らはこれまでにヒトグライコームのグライコーム組成を明らかにしており、本明細書において本願発明者らは、幹細胞グライコームの、特に特異的結合剤による、分析に有用な構造的末端エピトープを提供する。
該構造は式T1により表すことができる。この式では第1の単糖残基が左側に記され、これはβ−D−ガラクトピラノシル構造であって、R5がOHの場合はα−またはβ−D−(2−デオキシ−2−アセトアミド)ガラクトピラノシル構造の、R4がO−を有する場合はβ−D−(2−デオキシ−2−アセトアミド)グルコピラノシルの、3または4位いずれかに結合する。式T1およびT2において、還元末端の特定されない立体化学はさらに(請求の範囲において)曲線で示される。シアル酸残基はGalの3もしくは6位、またはGlcNAcの6位に結合してよく、フコース残基はGalの2位、またはGlcNAcの3もしくは4位、またはGlcの3位に結合してよい。
式T1
式中、Xは結合位置であり、
R1、R2およびR6はOHまたはグリコシド結合した単糖残基シアル酸、好ましくはNeu5Acα2またはNeu5Gcα2、最も好ましくはNeu5Acα2であり、または
R3はOHまたはグリコシド結合した単糖残基Fucα1(L−フコース)またはN−アセチル(N−アセトアミド、NCOCH3)であり;
R4はH、OHまたはグリコシド結合した単糖残基Fucα1(L−フコース)であり、
R4がHである場合、R5はOHであり、R4がHでない場合、R5はHであり、
R7はN−アセチルまたはOHであり、
Xは細胞由来の天然オリゴ糖主鎖構造、好ましくはN−グリカン、O−グリカンもしくは糖脂質構造であり、またはnが0である場合、Xは無であり、
Yはリンカー基(linker group)、好ましくはO−グリカンおよびO−結合末端オリゴ糖および糖脂質のための酸素、ならびにN−グリカンのためのN、またはnが0である場合、無であり、
Zは担体構造、好ましくは細胞により産生された天然担体であり、例えばタンパク質または脂質であって、好ましくは担体上のセラミドもしくは分岐グリカンコア構造、またはHであり、
アーチはガラクトピラノシルからの結合が左側の残基の3位または4位いずれかに対するものであること、およびR4構造が他の4または3位にあることを表し、
nは0または1の整数であり、mは1〜1000、好ましくは1〜100、および最も好ましくは1〜10の整数(担体上のグリカンの数)であり、
ただしR2およびR3のうち1つはOHまたはR3はN−アセチルであり、
左側の第1の残基が右側の残基の4位に結合する場合、R6はOHであり、
XはGalα4Galβ4Glcではなく、(SSEA−3または4のコア構造)またはR3はフコシルであり、
R7は左側の第1の残基が右側の残基の3位に結合している場合、好ましくはN−アセチルである。
式T2
式中、R1〜R7等の変数は、T1に対して記載される通りである。
式T3
式中、R1〜R4およびR7を含む変数はT1に対して記載される通りであり、ただしR4はOHまたはグリコシド結合した単糖残基Fucα1(L−フコース)である。
コアGalβエピトープ式T4:
Galβ1−xHex(NAc)p
xは結合位置3または4であり、
および、HexはGalまたはGlcであり、
ただし、pは0または1であり、
xが結合位置3である場合、pは1であり、HexNAcはGlcNAcまたはGalNAcであり、
xが結合位置4である場合、HexはGlcである。
コアGalβ1−3/4エピトープは、好ましくはGal結合SAα3またはSAα6またはFucα2、およびGlc結合Fucα3またはGlcNAc結合Fucα3/4の群より選択される、1または2個の構造SAαまたはFucαにより、任意に水酸基に置換される。
[Mα]mGalβ1−x[Nα]nHex(NAc)p
式中、m、nおよびpは独立に0または1の整数であり、
HexはGalまたはGlcであり、
Xは結合位置であり、
MおよびNは単糖残基であって、
独立に無(前記位置の遊離水酸基)ならびに/または、
Galの3位もしくは/およびHexNAcの6位に結合したシアル酸であるSA、ならびに/または
Galの2位;および/もしくは、Galが他の位置(4または3)に結合し、HexNAcがGlcNAcである場合、HexNAcの3もしくは4位;または、Galが他の位置(3)に結合する場合、Glcの3位;に結合したFuc(L−フコース)残基であり、
ただし、mおよびnの合計は2であり
好ましくはmおよびnは独立に0または1である。
全てのエピトープの末端Galβ上のNeuXα3、Fucα2、および
Galβ4GlcNAcの末端Galβを修飾するNeuXα6、または結合が6競合である場合はHexNAc
またはGlcNAcに残存する遊離アキシャル位(axial)第1級水酸基を修飾するFucα(GalNAc残基に遊離アキシャル位水酸基が存在しない)。
式T6:
[Mα]mGalβ1−3[Nα]nHexNAc
式中、変数はT5に対して記載される通りである。
式T7:
[Mα]mGalβ1−4[Nα]nGlc(NAc)p
式中、変数はT5に対して記載される通りである。
これらは好ましいII型N−アセチルラクトサミン構造および関連するラクトシル誘導体であり、好ましい一態様において、pは1であり、構造は2型N−アセチルラクトサミンのみを含む。本発明はこれらが幹細胞、好ましくは間葉系幹細胞もしくは胚性幹細胞またはその分化したバリアント(組織型特異的に分化した間葉系幹細胞または各種ステージの胚幹細胞)の特定の亜型の識別に非常に有用であることを明らかにした。各種フコシルおよび/またはシアル酸修飾が幹細胞型に特徴的なパターンを生成したことは注目に値する。
好ましい構造は、T4と同様に、オリゴ糖コア配列Galβ1−3/4GlcNAc構造を有する好ましい1(I)型および2(II)型N−アセチルラクトサミン構造に分類することができ、
式T8:
[Mα]mGalβ1−3/4[Nα]nGIcNAc
式中、変数はT5に対して記載される通りである。
式T9:
[Mα]mGalβ1−3[Nα]nGlcNAc
式中、変数はT5に対して記載される通りである。
これらは好ましいI型N−アセチルラクトサミン構造である。本発明は、これらが幹細胞、好ましくは間葉系幹細胞もしくは胚性幹細胞またはその分化したバリアント(組織型特異的に分化した間葉系幹細胞または各種ステージの胚幹細胞)の特定の亜型の識別に非常に有用であることを明らかにした。各種フコシルまたはシアル酸修飾が細胞または幹細胞型に特徴的なパターンを生成したことは注目に値する。
式T10:
[Mα]mGalβ1−4[Nα]nGlcNAc
式中、変数はT5に対して記載される通りである。
これらは好ましいII型N−アセチルラクトサミン構造である。本発明は、これらが幹細胞、好ましくは間葉系幹細胞もしくは胚性幹細胞またはその分化したバリアント(組織型特異的に分化した間葉系幹細胞または各種ステージの胚幹細胞)の特定の亜型の識別に非常に有用であることを明らかにした。
本発明はさらに、各種幹細胞、特に胚および間葉系幹細胞ならびにその分化したバリアントの:
a)I型およびII型アセチルラクトサミンおよびそれらのフコシル化バリアント、ならびに好ましい一態様において
b)非シアル化フコシル化、ならびにより好ましくは
c)好ましくはFucα2末端および/またはFucα3/4分岐構造を有する、フコシル化I型およびII型N−アセチルラクトサミン構造、ならびにさらに好ましくは
d)好ましくはFucα2末端を有する、フコシル化I型およびII型N−アセチルラクトサミン構造
を認識する、本発明の方法のための結合試薬の組み合わせの使用に関する。
本発明はさらに、式:
式T11
[M]mGalβ1−x[Nα]nHex(NAc)p
[式中、m、nおよびpは独立に0または1の整数であり
HexはGalまたはGlcであり、Xは結合位置であり;
MおよびNは単糖残基であって
独立に無(前記位置の遊離水酸基)
ならびに/または
Galの3位もしくは/およびHexNAcの6位に結合したシアル酸であるSAα
Galの3もしくは4位に結合したGalα、または
Galの4位に結合するGalNAcβ、ならびに/または
Galの2位;および/もしくは、Galが他の位置(4または3)に結合し、HexNAcがGlcNAcである場合、HexNAcの3もしくは4位;または、Galが他の位置(3)に結合する場合、Glcの3位;に結合したFuc(L−フコース)残基
であり、
ただし、mおよびnの合計は2であり
好ましくはmおよびnは独立に0または1であり、ならびに
MがGalαである場合、Galβ1に結合するシアル酸は存在せず、
ならびに
nは0であり、xは好ましくは4であり、
MがGalNAcβである場合、Galβ1にα6結合するシアル酸は存在せず、nは0であり、xは4である]
の、グロボおよびガングリオ型グリカンコア構造を有する一般式に関する。
式T12
[M][SAα3]nGalβ1−4Glc(NAc)p、
[式中、nおよびpは独立に0または1の整数であり、
MはGalの3もしくは4位に結合したGalα、またはGalの4位に結合したGalNAcβであり、および/またはSAαはGalの3位に結合したシアル酸分岐であり、
MがGalαである場合、Galβ1に結合するシアル酸は存在しない(nは0である)]
の、グロボおよびガングリオ型グリカンコア構造を有する一般式に関する。
式T13
[M][SAα]nGalβ1−4Glc
[式中、nおよびpは独立に0または1の整数であり、
MはGalの3もしくは4位に結合したGalα、または
Galの4位に結合したGalNAcβ
および/または
Galの3位に結合したシアル酸であるSAαであり
MがGalαである場合、Galβ1に結合するシアル酸は存在しない(nは0である)]
の、グロボおよびガングリオ型グリカンコア構造を有する一般式に関する。
式T14
Galα3/4Galβ1−4Glc
の、グロボ型グリカンコア構造を有する一般式に関する。
好ましいグロボ型構造としては、Galα3/4Galβ1−4Glc、GalNAcβ3Galα3/4Galβ4Glc、Galα4Galβ4Glc(グロボトリオース、Gb3)、Galα3Galβ4Glc(イソグロボトリオース)、GalNAcβ3Galα4Galβ4Glc(グロボテトラオース、Gb4(またはGl4))、およびFucα2Galβ3GalNAcβ3Galα3/4Galβ4Glc等が挙げられる。または、前記結合剤が 未分化胚性もしくは間葉系幹細胞に関して使用されない、もしくは前記結合剤が本発明の他の好ましい結合剤と一緒に使用される場合、好ましい結合剤標的に対する他のグロボ型結合剤として、好ましくはさらにGalβ3GalNAcβ3Galα4Galβ4Glc(SSEA−3抗原)および/またはNeuAcα3Galβ3GalNAcβ3Galα4Galβ4Glc(SSEA−4抗原)またはその末端の非還元末端二もしくは三糖エピトープ等が挙げられる。
式T15
[GalNAcβ4][SAα]nGalβ1−4Glc
[式中、nおよびpは独立に0または1の整数であり
Galの4位に結合したGalNAcβ、および/またはGalの3位に結合したシアル酸分岐であるSAα]
の、グロボおよびガングリオ型グリカンコア構造を有する一般式に関する。
好ましいガングリオ型構造としては、GalNAcβ4Galβ1−4Glc、GalNAcβ4[SAα3]Galβ1−4Glc、およびGalβ3GalNAcβ4[SAα3]Galβ1−4Glc等が挙げられる。好ましい結合剤標的構造としては、さらに、好ましいオリゴ糖配列の糖脂質および可能な糖タンパク質複合体等が挙げられる。好ましい結合剤は好ましくは少なくとも二および三糖エピトープを特異的に認識する
本発明はさらに、式T16:[SAα6]mGalNAcα[Ser/Thr]n−[Peptide]p
[式中、m、nおよびpは独立に0または1の整数であり、
式中、SAは好ましくはNeuAcであるシアル酸であり、Ser/Thrはセリンまたはスレオニン残基を表す]
のペプチド/タンパク質結合GalNAcα構造の識別に関する。Peptideは結合残基に近いペプチド配列の部分を表し、ただしmまたはnのいずれかは1である。
本発明は特に、少なくとも、a)フコシル化、好ましくはα2/3/4フコシル化構造、および/またはb)グロボ型構造、および/またはc)GalNAcα型構造の組み合わせにおける使用に関する。異なる生合成を伴い、そのため幹細胞集団に対して特徴的な結合プロファイルを有する構造を認識する結合剤の組み合わせの使用が考えられる。より好ましくは、フコシル化構造およびグロボ構造、またはフコシル化構造およびGalNAcα型構造のための少なくとも1種の結合剤が用いられ、最も好ましくはフコシル化構造およびグロボ構造のためのものが用いられる。
本発明はさらに、コア二糖エピトープ構造であって該構造がシアル酸により修飾されていないものに関する(式T1〜T3のR基または式T4〜T7のMもしくはNがいずれもシアル酸ではない)。
本発明は好ましい一態様において、少なくとも1個の本発明のフコース残基を有する構造に関する。これらの構造は新規特異的フコシル化末端エピトープであり、本発明の幹細胞の分析に有用である。好ましくは天然幹細胞が分析される。
好ましいフコシル化構造としては、(SAα3)0または1Galβ3/4(Fucα4/3)GlcNAc、例えばLewis xおよびそのシアル化バリアント等の、ヒト幹細胞の新規α3/4フコシル化マーカーなどが挙げられる。
Fucα2Galβ4GlcNAcβを認識する抗体の中で、結合における実質的な相違は担体構造に基づくものであるらしいことが明らかになった。本発明は特に、この種類の構造を認識する抗体に関するものであって、該抗体の特異性が実施例14にフコース認識抗体とともに示す胚幹細胞に結合するものと類似している場合のものに関する。本発明は好ましくは、末端エピトープ表28中に共通構造型として示されるN−グリカン上のFucα2Galβ4GlcNAcβを認識する抗体に関する。別の一態様において、非結合クローンの抗体はフィーダー細胞の認識を対象とする。
さらなる好ましい非修飾構造としては、GalNAcβ構造等が挙げられ、末端LacdiNAc、GalNAcβ4GlcNAc、好ましくはN−グリカン上、およびグロボ系列糖脂質内にグロボテトラオース構造の末端として存在するGalNAcβ3GalGalNAcβ3Gal等が挙げられる。
好ましいシアル化構造としては、特徴的SAα3Galβ構造であるSAα3Galβ4Glc、SAα3Galβ3GlcNAc、SAα3Galβ3GalNAc、SAα3Galβ4GlcNAc、SAα3Galβ3GlcNAcβ、SAα3Galβ3GalNAcβ/α、およびSAα3Galβ4GlcNAcβ;ならびに生合成的に部分的に競合するSAα6Galβ構造であるSAα6Galβ4Glc、SAα6Galβ4Glcβ;SAα6Galβ4GlcNAc、およびSAα6Galβ4GlcNAcβ;ならびにジシアロ構造であるSAα3Galβ3(SAα6)GalNAcβ/α等が挙げられる。
これらは各種幹細胞に対して特徴的な好ましい新規調節マーカー(regulated marker)である。
末端非修飾または修飾エピトープは好ましい態様において少なくとも1種のManαMan構造と併用される。これは、該構造が他のエピトープとは異なるN−グリカンまたはグリカン亜群中に存在するため好ましい。
本発明は、特に胚性および成体幹細胞のための、新規マーカーおよび標的構造ならびにこれらに対する結合剤を提供するものであり、これらの細胞は造血幹細胞ではない。造血CD34+細胞から、NeuNAcα3Galβ4GlcNAc(Magnani J.US6362010)等の末端シアル化2型N−アセチルラクトサミンなどの特定の末端構造が示唆されており、Slex型構造NeuNAcα3Galβ4(Fucα3)GlcNAc(Xia L et al Blood(2004)104(10)3091−6)の低発現に対する徴候が存在する。本発明は、特異的な特徴的O−グリカンおよびN−グリカンとは別に、NeuNAcα3Galβ4GlcNAc非ポリラクトサミンバリアントにも関する。本発明はさらに、本発明によるCD133+細胞に対する新規マーカーおよび新規造血幹細胞マーカーを提供し、特に前記構造はNeuNAcα3Galβ4(Fucα3)0−1GlcNAcを含まない。好ましくは前記造血幹細胞構造は本発明による非シアル化、フコシル化構造Galβ1−3構造、およびより好ましくは1型N−アセチルラクトサミン構造Galβ3GlcNAc、または別に好ましいGalβ3GalNAcを基盤とした構造である。
前記標的エピトープ構造は、特異的N−グリカン、O−グリカン上で、または糖脂質コア構造上で、最も効果的に認識されると考えられる。
本発明は特に、最適化された結合剤およびその生産に関するものであり、該結合剤の結合エピトープは隣接する結合構造、および、より好ましくは標的エピトープの還元側上に隣接する構造(O−グリカンについては単糖もしくはアミノ酸、または糖脂質についてはセラミド)の少なくとも一部を含む。本発明は実施例に示すような、および表28にまとめたもののような末端エピトープのためのコア構造を明らかにした。
本発明は特に、二分岐N−グリカン上の末端N−グリカンエピトープの識別に関する。N−グリカンのための好ましい非還元末端単糖エピトープとしてはβ2Manおよびその還元末端がさらに伸長したバリアント
β2Man、β2Manα、β2Manα3、およびβ2Manα6
等が挙げられる。
発明はさらに、Ozawa H et al(1997)Arch Biochem Biophys 342,48−57に記載される、2型N−アセチルラクトサミンβ2Manを認識する、二分岐N−グリカンを対象とする抗体の特異性を有する抗体に関する。
本発明は特に、末端コアIエピトープとしての、ならびにコアIおよびコアII O−グリカンの伸長バリアントとしての、末端O−グリカンエピトープの識別に関する。O−グリカンのための好ましい非還元末端単糖エピトープとしては:
a)αSer/Thr−[Peptide]0−1に結合したコアIエピトープ[式中、Peptideは存在するまたは存在しないペプチドを表す]
本発明は好ましくは
b)好ましいコアII型エピトープ
R1β6[R2β3Galβ3]nGalNAcαSer/Thr
[式中、nは=または1であって、該構造の有りうる分岐を表し、R1およびR2は末端エピトープの好ましい位置であり、R1がより好ましい]
c)伸長コアIエピトープ
[β3Galおよびその還元末端がさらに伸長したバリアントβ3Galβ3GalNAcα、β3Galβ3GalNAcαSer/Thr]
等が挙げられる。
O−グリカンコアIIシアリル−Lewis x特異的抗体がWalcheck B et al. Blood (2002) 99, 4063−69に記載されている。
O−グリカンの識別のためのペプチド特異性を有する抗体としては、さらにGalNAcアルファ(Tn)またはGalb3GalNAcアルファ(T/TF)構造を認識するムチン特異的抗体(Hanisch F−G et al (1995) cancer Res. 55、4036−40; Karsten U et al. Glycobiology (2004) 14, 681−92)等が挙げられる。
本発明はさらに、脂質構造上の構造の識別に関する。好ましい脂質コア構造としては、
a)Galβ4Glcに対するβCer(セラミド)およびそのフコシルまたはシアリル誘導体
b)ラクトシルCer−糖脂質上のI型およびII型N−アセチルラクトサミンに対するβ3/6Galであって、好ましい伸長バリアントとしてβ3/6[Rβ6/3]nGalβ、β3/6[Rβ6/3]nGalβ4およびβ3/6[Rβ6/3]nGalβ4Glcが挙げられ、これはさらに、部分的により大きなエピトープとして認識され得る他のラクトサミン残基により分岐していてよく、nは0または1であって分岐を表し、R1およびR2は末端エピトープの好ましい位置である。好ましい直鎖(非分岐)共通構造としてはβ3Gal、β3Galβ、β3Galβ4およびβ3Galβ4Glc等が挙げられる
c)グロボ系列エピトープに対するα3/4Gal、および伸長バリアントα3/4Galβ、α3/4Galβ4Glcであって、好ましいグロボエピトープは伸長エピトープα4Gal、α4Galβ、α4Galβ4Glcを有し、好ましいイソグロボエピトープは伸長エピトープα3Gal、α3Galβ、α3Galβ4Glcを有する
d)ガングリオ系列エピトープ含有に対するβ4Galであって、好ましい伸長バリアントとしてβ4Galβ、およびβ4Galβ4Glcが挙げられる
等が挙げられる。
O−グリカン、N−グリカン、または糖脂質上のポリ−N−アセチルラクトサミン主鎖構造はI型(ラクト系列)およびII型(ネオラクト)糖脂質上のラクトシル(cer)コア構造に類似した特徴的構造を有するが、末端エピトープは他のI型またはII型N−アセチルラクトサミンに結合しており、これは分岐構造からのものでありうる。好ましい伸長エピトープとしては:
I型およびII型N−アセチルラクトサミンエピトープに対するβ3/6Gal等が挙げられ、好ましい伸長バリアントとしてR1β3/6[R2β6/3]nGalβ、R1β3/6[R2β6/3]nGalβ3/4およびR1β3/6[R2β6/3]nGalβ3/4GlcNAc等が挙げられ、これはさらに、部分的により大きなエピトープとして認識され得る他のラクトサミン残基により分岐していてよく、nは0または1であって分岐を表し、R1およびR2は末端エピトープの好ましい位置である。好ましい直鎖(非分岐)共通構造としてはβ3Gal、β3Galβ、β3Galβ4およびβ3Galβ4GlcNAc等が挙げられる。
同一の末端エピトープが主要な担体型であるO−グリカン、N−グリカンおよび糖脂質の2種または3種上に存在する標的構造に結合する抗体に認識される場合、より強い標識が得られうると考えられる。さらに、このような使用に関して、末端エピトープは、有りうる混入細胞または混入細胞材料上に存在するエピトープと比べて十分に特異的である必要があると考えられる。さらに、高度に末端特異的な(terminally specific)抗体が存在し、これはいくつかの伸長構造上への結合を可能にすると考えられる。
本発明は伸長特異性(elongated specificity)を有する結合剤の使用に関するものであり、該結合剤は式
AxHex(NAc)n
[式中、Aはアノマー構造アルファまたはベータであり、Xは結合位置2、3、4または6であり、
ならびに、Hexはヘキソピラノシル残基Gal、またはManであり、nは0または1の整数であり、nが1である場合、AxHexNAcはβ4GalNAcまたはβ6GalNAcであり、HexがManである場合、AxHexはβ2Manであり、および、HexがGalである場合、AxHexはβ3Galまたはβ6Galである]
の少なくとも1種の還元末端伸長単糖エピトープを認識するか、またはそこに結合することができる。
単糖伸長構造以外に、αSer/Thrが還元末端GalNAc含有O−グリカンのための好ましい還元末端伸長構造であり、βCerがラクトシル含有糖脂質エピトープのために好ましい。
本発明は、本発明の細胞、より具体的には本発明の好ましい細胞群および細胞型の分析に有用な各種の型の結合剤分子を明らかにした。好ましい結合剤分子は、細胞表面の炭水化物上の特異的な構造または構造的特徴に関する結合特異性に基づいて分類される。好ましい結合剤は特異的に複数の単糖残基を認識する。
A)少なくとも1種の単糖残基、およびそれらと他の単糖隣接単糖残基(monosaccharides next monosaccharide residue)との間の特異的結合構造を認識し、MS1B1結合剤と称される、
B)より好ましくは少なくとも第2の単糖残基の一部を認識し、MS2B1結合剤と称される、
C)さらに好ましくは第2の結合構造および/または第3の単糖残基の少なくとも一部を認識し、MS3B2結合剤と称され、好ましくはMS3B2は特異的な完全な三糖構造を認識する、
D)最も好ましくは前記結合構造は3個の結合構造を有する四糖を少なくとも部分的に認識し、MS4B3と称され、好ましくは該結合剤は完全な四糖配列を認識する。
本発明は細胞型と関連する特異的結合剤を細胞の調節に用いることができることを明らかにした。好ましい一態様においては、(幹)細胞が炭水化物媒介相互作用に関して調節される。本発明は、グリカンの構造を変え、それにより受容体の構造および該グリカンの機能を変える特異的結合剤を明らかにした。これらは特にグリコシダーゼ、ならびにグリコシルトランスフェラーゼおよび/またはトランスグリコシル化酵素等の糖転移酵素である。非酵素結合剤の結合それ自体が細胞を選択および/または操作するとさらに考えられる。操作は典型的には、グリカン受容体のクラスタリング;またはグリカン受容体の、細胞と関連する生物学的系またはモデルに存在するレクチン等のカウンターレセプターとの相互作用の影響に依存する。本発明はさらに、細胞培養における結合剤による調節は細胞の増殖速度に関する効果を有することを明らかにした。
幹細胞の好ましい調節は次を含む
1)次の調節型のうちの1つまたはいくつかを含む細胞の状態の調節
1.1.幹細胞の未分化状態の支持
1.2.幹細胞の生物学状態、例えば
1.2.1.形態学的状態
および/または
1.2.2.細胞の分化関連状態
の変化
1.3.細胞の接着状態の変化、例えば
1.3.1.均質な細胞集団の接着の変化
または
1.3.2.不均質な細胞集団の接着状態の変化
2.1.幹細胞の増殖速度の増加
または
2.2.幹細胞の増殖速度の減少
増殖速度の減少のための方法は、生きた細胞を特定の生物学的および/または科学的利用のために準備のできた状態に維持するのに有用である。本発明の好ましい一態様において、この維持はさらに細胞の生物学的または接着状態を維持するか、または変化させるためのものである。
レクチンの標的構造特異性は共通のエピトープを共有しており、レクチンは異なる構造も結合し得るが、その特異性に相同な一般構造テーマが存在すると考えられる。
1)式Hex(NAc)nのβ結合D−ヘキソピラノシドであって、式中、nは0または1であり、HexはGalまたはGlcであり、ただしnが1である場合、HexはGlcである場合:末端Galβ、GalNAcβ、GlcNAcβを含むもの、ならびに
2)α結合ピラノシド残基Manα Fucα、oρ シアル酸α、好ましくはNeu5AcまたはNeu5Gc、Manα、およびFucα含有グリカン構造が幹細胞の増殖の調節のために有用である。
[SA]pHex(NAc)nβ4[FucαX]mGlcNAcβR、
[式中、n、m、およびpは独立に0または1であり
Xは3または6のいずれかの結合位置であり、
HexはGalまたはGlcであり
SAは伸長する単−またはオリゴ糖構造、
好ましくはシアル酸であり、これは好ましくはSAα3、もしくはSAα6であって、好ましいシアル酸型はNeu5AcまたはNeu5Gcであり、
または、N−グリカンコア構造Manα3[Manα6]Manβ4であって、ここでManα残基はさらに1つまたはいくつかのGlcNAcβ2またはLacNAcβ2等の複合型末端構造により伸長されていてよく、
Rは任意の伸長単糖残基構造であって、好ましくはN−アセチルラクトサミンの/ラクトシル−セラミド等の糖脂質の/O−グリカンの/3/6Gal(NAc)、またはN−グリカンの2Man、または、Hex(NAc)がGlcNAcである場合の潜在的な結合コアタンパク質/ペプチドを表すAsn−(ペプチド)0または1であり、
ただし、mが1であり、Xが6である場合、nは1であり、およびHexはGlcであり、およびSAはN−グリカンコア構造Manα3[Manα6]Manβまたはその伸長バリアントであり、
nが1であり、HexがGalである場合、pは0である]
の少なくとも1つの構造を認識する結合剤に関する。
Galβ4GlcNAc、Neu5Acα3Galβ4GlcNAc、Neu5Acα6Galβ4GlcNAc、Fucα2Galβ4GlcNAc GalNAcβ4GlcNAc、およびGlcNAcβ4(Fucα6)GlcNAc
である。
[SA]pHex(NAc)nβ4[Fucα6]mGlcNAcβR
[式中、n、m、およびpは独立に0または1であり
HexはGalまたはGlcであり
SAは伸長する単−またはオリゴ糖構造、
好ましくはシアル酸であり、これは好ましくはSAα3であって、好ましいシアル酸型はNeu5AcまたはNeu5Gcであり、
または、N−グリカンコア構造Manα3[Manα6]Manβ4であって、ここでManα残基はさらに1つまたはいくつかのGlcNAcβ2またはLacNAcβ2等の複合型末端構造により伸長されていてよく、
Rは任意の伸長単糖残基構造であって、好ましくはN−アセチルラクトサミンの/ラクトシル−セラミド等の糖脂質の/O−グリカンの/3/6Gal(NAc)、またはN−グリカンの2Man、または、Hex(NAc)がGlcNAcである場合の潜在的な結合コアタンパク質/ペプチドを表すAsn−(ペプチド)0または1であり、
ただし、mが1である場合、nは1であり、およびHexはGlcであり、およびSAはN−グリカンコア構造Manα3[Manα6]Manβまたはその伸長バリアントであり、
nが1であり、HexがGalである場合、pは0である]
の少なくとも1つの構造を認識する結合剤に関する。
Galβ4GlcNAc、Neu5Acα3Galβ4GlcNAc、GalNAcβ4GlcNAc、およびGlcNAcβ4(Fucα6)GlcNAc
である。
式CC2
[SA]pGal(NAc)nβ4GlcNAcβR
[式中、残っており
pおよびnは独立に0または1であり
SAはシアル酸SAα3であり、好ましいシアル酸型はNeu5AcまたはNeu5Gc、より好ましくはNeu5Acであり、
nが1であり、HexがGalの場合、pは0である]
の構造を含む。
式CC3
Manα3[Manα6]Manβ4GlcNAcβ4(Fucα6)GlcNAcβR
[式中、Manα残基はさらに1つまたはいくつかのGlcNAcβ2、またはLacNAcβ2、またはLacNAcの末端シアル化バリアント、好ましくはGalβ4GlcNAc、等の複合型末端構造により伸長されてよく
Rは任意にAsn−(ペプチド)0または1であり、潜在的な結合コアタンパク質/ペプチドを示す]
の構造を含む。
GlcNAcβ4(Fucα6)GlcNAc、GlcNAcβ4(Fucα6)GlcNAcβ GlcNAcβ4(Fucα6)GlcNAcβAsn、Manβ4GlcNAcβ4(Fucα6)GlcNAc、Manβ4GlcNAcβ4(Fucα6)GlcNAcβR
Manβ4GlcNAcβ4(Fucα6)GlcNAcβAsn
Manα3[Manα6]Manβ4GlcNAcβ4(Fucα6)GlcNAcβ
Manα3[GlcNAcβ2Manα6]Manβ4GlcNAcβ4(Fucα6)GlcNAcβ
GlcNAcβ2Manα3[Manα6]Manβ4GlcNAcβ4(Fucα6)GlcNAcβ
GlcNAcβ2Manα3[GlcNAcβ2Manα6]Manβ4GlcNAcβ4(Fucα6)GlcNAcβ
を含む
表24に、炭水化物特異性が異なる各種結合剤上の間葉系幹細胞の増殖速度を示す。データは、各種レクチン上でいくつかの細胞を培養することが可能であり、該タンパク質が本実験のプラスチック表面と比較して細胞の増殖速度を調節することを明らかにした。受動的に固定化された形態のレクチンRCAは細胞にある程度の毒性を示す場合があり、本発明は特に、リシン等の細胞毒性レクチンの非毒性のバリアントまたは共有結合的に結合した形態に関する。本発明は、各種条件下での、好ましい一態様においては、実施例におけるように2週間以内等のより短い培養期間の下での、増殖速度の調節に関する。
最高の増殖速度は、末端N−アセチルグルコサミン残基に対して特に特異的なGSAII−レクチンで得られた。好ましい一態様において、本発明はGSAIIと類似の特異性を有するレクチンの存在下での幹細胞の培養に関する。この培養法は特に細胞の増殖速度を変化させるものである。好ましくはGSAIIと共に増殖させる幹細胞調製物はGSAIIに結合するグリカン、より好ましくは末端GlcNAc含有グリカン、さらに好ましくは末端GlcNAcβ含有グリカンを含む。
本発明は、特異的α6−結合シアル酸であるレクチンSNAレクチンおよび特異的α3−結合シアル酸残基に対して特異的なレクチンMAAと同様の、またはやや減少した増殖活性を有するレクチン表面も明らかにした。好ましい一態様において本発明はSNAまたはMAAと同様な特異性を有するレクチンの存在下での幹細胞の培養に関する。この培養法は特に、細胞の増殖速度および/または本発明による他の好ましい特性を変化させるものである。好ましくはSNAまたはMAAと共に増殖させる幹細胞調製物はそれぞれSNAまたはMAAに結合するグリカン、より好ましくはレクチンMAAに対するα3−結合シアル酸、およびSNAに対するα6−結合シアル酸を含む。好ましい態様においては、末端標的グリカンエピトープを有し、本発明により記載される特異的N−グリカン、O−グリカンまたは糖脂質構造を含む幹細胞が選択される。好ましい共通の特異性は式SAα3/6Galβ4GlcNAc[式中、SAはシアル酸、好ましくはN−アセチルラクトサミンにα3またはα6−結合するNeu5Acである]によるものである。
本発明は、この特異性を有するレクチンの特異的標的構造群を明らかにしたものであり、還元末端伸長ポリ−Nアセチルラクトサミン(STAのように)、またはWFAおよびUEAに対する、それぞれLacdiNAcおよびFucα2Gal−の2−修飾Gal含有構造を含む。本発明は、幹細胞の増殖の調節のためのこれらのN−アセチルラクトサミン型特異性を有するレクチンの群に関する。好ましい共通の特異性は式[R2]nGalβ4GlcNAc[β3Galβ]m [式中、nおよびmは0または1であり、R2はN−アセチル基(NAc)であり、ガラクトピラノシルの2位の水酸基またはグリコシド結合した2位のFucα−残基を置換する]によるものである。
実施例10に、より長い培養実験における細胞培養の効果をさらに記載する。細胞は恐らく、プラスチックまたは他の種類の表面と比較して、MAAおよびECA上で最も効果的に増殖した。全てのウェルが1週間以内にコンフルエントになった。WFAおよびPWA上で培養した細胞は5週間の期間中にその増殖能力を失うようであり、WFAコーティング上ではいくらかの形態学的に異なる細胞が存在していた。レクチンMAAおよびECAは特に、長期増殖効果のために好ましい。レクチンWFAは細胞の形態に影響を与えるために好ましい。
本発明は、細胞の状態の分析のための、特異的末端構造の有用な組み合わせを明らかにした。好ましい一態様において、本発明は、本発明の2種の異なる末端構造の水準を、好ましくは特異的結合分子により、好ましくは少なくとも2種の異なる結合剤により、測定することに関する。好ましい一態様において、該結合分子は、末端受容体グリカン構造の修飾を示す構造を対象とし、好ましくは該構造は連続的な(基質構造およびその修飾、例えば末端Gal構造および対応するシアル化構造)または競合的な生合成段階(例えば、末端Galβ、または末端Galβ3GlcNAcおよびGalβ4GlcNAcの、フコシル化およびシアル化)を示す。他の態様において、前記結合剤は連続的または競合的な段階、例えば末端Gal構造および対応するシアル化構造、および対応するシアル化構造を示す3種の異なる構造を対象とする。
末端構造の、特異的グリカンコア構造との組み合わせ
構造要素の一部は特異的に特定のグリカンコア構造と関連していると考えられる。特定のコア構造に結合する末端構造の識別は特に好ましく、このような高特異性試薬は本発明の物理化学的分析の水準にまでほとんど完全な個々のグリカンを識別する能力を有する。例えば本発明の多くの特異的マンノース構造は一般に本発明のN−グリカングライコームに極めて特徴的である。本発明は特に識別末端エピトープに関する。
本発明は、いくつかのグリカン型上に特定の共通構造の特徴が存在すること、および、前記試薬の特異性が末端に限定され、コア構造に対する特異性を有していない場合、異なるグリカン構造上の特定の共通エピトープを特異的試薬により識別することが可能であることを明らかにした。本発明は特に、本発明の特定の細胞型の特徴的末端特性を明らかにした。本発明において、共通エピトープが識別の効果を高めることが認められた。この共通末端構造は、該共通末端構造を実質的な量含んでいない、有り得る他の細胞型または材料との関連において、識別に特に有用である。
本発明はN−グリカン、O−グリカンおよび/または糖脂質等の特定のコア構造上の末端構造の存在を明らかにした。本発明は好ましくは特定のグリカンコア型の識別を含む、前記構造のための特異的結合剤の選択に関する。
本発明は、任意にさらに特異的コア構造を含んだ、特異的末端単糖型を有するオリゴ糖配列の識別に関する。好ましいオリゴ糖配列は、好ましい一態様において、末端単糖構造に基づき分類される。本発明はさらに、末端(非還元末端の末端)二糖エピトープのファミリーを、β結合ガラクトピラノシル構造に基づき明らかにしたものであり、これはさらに、末端Gal残基をGalNAcに変える、フコースおよび/もしくはシアル酸残基により、またはN−アセチル基により修飾されていてよい。このような構造はN−グリカン、O−グリカンおよび糖脂質サブグライコーム(subglycome)中に存在する。さらに、本発明は末端ManαManを有するN−グリカンの末端二糖エピトープに関する。
好ましいマンノース型標的構造が本発明により特異的に分類された。これらは本発明の各種の高および低マンノース構造ならびにハイブリッド型構造を含む。
本発明は低マンノースN−グリカンおよび高マンノースN−グリカン上のManαの存在を明らかにした。生合成の知識に基づき、ならびに生合成酵素のmRNAの分析による、およびNMR分析による、この見解の支持に基づき、
前記構造および末端エピトープは、
Manα2Man、Manα3Man、Manα6ManおよびManα3(Manα6)Man
[式中、還元末端Manは好ましくはαまたはβ結合グリコシド、およびManα2Manの場合はα結合グリコシドである]
であると明らかにすることができた。
末端Manα構造の一般構造は、
Manαx(Manαy)zManα/β
[式中、xは結合位置2、3または6であり、yは結合位置3または6であり、
zは0または1の整数であり、分岐の存在または非存在を表し、
ただしxおよびyは同一の位置ではなく、および
xが2の場合、zは0であり、還元末端Manは好ましくはα結合する]
である。
Manαx(Manαy)zManα/β
[式中、xおよびyは3または6の結合位置であり、
zは0または1の整数であって分岐の存在または非存在を表す]
を有する非還元末端の末端エピトープを含む。
末端Manα構造の存在は幹細胞において制御されており、末端Manα2構造を有する高Man構造の、Manα3/6を有する低Man構造に対する、
および/またはGal主鎖エピトープを有する複合型N−グリカンに対する割合は、細胞型特異的に相違する。
データは、特異的末端Manα2Manおよび/またはManα3/6Manを明らかにする結合剤が幹細胞の分析において非常に有用であることを示した。これまでの科学ではエピトープは細胞型または状態の特異的シグナルとして分析されなかった。
本発明は特に、好ましくは2つの構造型、Manα2Man構造およびManα3/6Man構造を同一試料から定量することにより、低Manおよび高Man構造両者の量を測定することに関する。
末端マンノース構造の識別に好ましいものとしてマンノース単糖結合植物レクチン等が挙げられる。本発明は好ましい態様において、胚性幹細胞等の幹細胞の、レクチンPSA等のManα認識レクチンによる識別に関する。好ましい一態様において、前記識別は透過性細胞中の細胞内グリカンを対象とする。他の一態様において、Manα結合レクチンは、対応する実施例3に示すように、線維芽細胞型細胞またはフィーダー細胞等の混入細胞集団から末端Manαを識別するために、無傷の非透過性細胞に対して用いられる。
i)特異的マンノース残基遊離酵素(releasing enzyme)、例えば結合特異的マンノシダーゼ、より好ましくはα−マンノシダーゼまたはβ−マンノシダーゼ。
好ましいα−マンノシダーゼとしては、好ましくは非還元末端の末端を開裂するα−マンノシダーゼ等の結合特異的α−マンノシダーゼなどが挙げられ、好ましいマンノシダーゼの一例はタチナタマメα−マンノシダーゼ(Canavalia ensiformis; Sigma, USA)および相同なαマンノシダーゼ
特異的にもしくは他の結合よりも効果的にα2結合マンノース残基を、より好ましくは特異的にManα2構造を開裂するもの;または
特異的にもしくは他の結合よりも効果的にα3結合マンノース残基を、より好ましくは特異的にManα3構造を開裂するもの;または
特異的にもしくは他の結合よりも効果的にα6結合マンノース残基を、より好ましくは特異的にManα6構造を開裂するもの;
である。
好ましいβ−マンノシダーゼとしては、β4結合マンノースをN−グリカンコアManβ4GlcNAc構造の非還元末端の末端から開裂することができ、グライコーム中の他のβ結合した単糖を開裂しないβ−マンノシダーゼ等が挙げられる。
ii)本発明の好ましいマンノース構造を認識する特異的結合タンパク質。好ましい試薬として抗体および抗体の結合ドメイン(Fabフラグメント等)、ならびに他の改変された炭水化物結合タンパク質等が挙げられる。本発明はMS2B1およびより好ましくはMS3B2構造を認識する抗体に関する。
α−マンノシダーゼ結合剤によるマンノシル化の検出ならびに実施例1におけるグリカン臍帯血および末梢血間葉系細胞の;実施例15における臍帯血細胞のための、実施例7におけるhESC EBおよびステージ3細胞、実施例17および2においては胚幹細胞および分化した細胞のための;質量分析プロファイリングの例、ならびに本発明によって記載されるMan1−4GlcNAcβ4(Fucα6)0−1GlcNAc含有低マンノースグリカンのManβ4、Manα3/6末端構造の全ての種類の存在を示す。
α結合マンノースは実施例4においてヒト間葉系細胞に対してレクチンHippeastrum hybrid(HHA)により示され、Pisum sativum(PSA)レクチンは、それらがN−グリカン等のその表面複合糖質上にマンノース、より具体的にはα結合マンノース残基を発現していることを示唆している。有り得るα−マンノース結合としてはα1→2、α1→3、およびα1→6等が挙げられる。Galanthus nivalis(GNA)レクチンの低結合は、細胞表面上の一部のα−マンノース結合が他と比べて優勢であることを示唆している。末端Manα認識低親和性試薬の組み合わせは有用であり、マンノシダーゼスクリーニングにより得られた結果;NMRおよび質量分析の結果に対応すると思われる。臍帯血細胞のレクチン結合を実施例5に示す。PSAはコアFuca6−エピトープを有する複合型N−グリカンに対する特異性を有する。
実施例2における間葉系細胞の標識は、蛍光標識に結合したヒト血清マンノース結合レクチン(MBL)でも検出された。これは、この先天性免疫系成分のためのリガンドがin vitro培養されたBM MSC細胞表面上で発現され得ることを示唆している。
本発明は特に、細胞表面上の末端Manαの分析に関するものであり、それは該構造がMBLおよび先天性免疫の他のレクチンに対するリガンドであるためである。さらに、末端Manα構造は、血液循環中で細胞を肝臓のKupfer細胞等のマンノース受容体含有組織に導くと考えられる。本発明は特に、末端Manα構造を認識する結合剤の結合による、前記構造の量の制御に関する。
高マンノース結合抗体は例えばWang LX et al(2004)11(1)127−34に記載されている。トリマンノシルコア構造等の短いマンノシル化構造に対する特異的抗体も公開されている。
好ましいガラクトース型標的構造が特に本発明により分類された。これらは本発明の各種のN−アセチルラクトサミン構造を含む。
末端ガラクトース構造の識別に好ましいものとして、リシンレクチン(トウゴマ(ricinus communis)凝集素RCA)、ピーナッツレクチン(/凝集素PNA)等の植物レクチンなどが挙げられる。低分解能結合剤(low resolution binder)は様々な広範な特異性を有する。
i)特異的ガラクトース残基遊離酵素、例えば結合特異的ガラクトシダーゼ、より好ましくはα−ガラクトシダーゼまたはβ−ガラクトシダーゼ。
好ましいα−ガラクトシダーゼとしては、特定の細胞調製物から明らかになったGalα3Gal構造を開裂し得る結合ガラクトシダーゼ(linkage galactosidase)等が挙げられる。
β4結合ガラクトースを非還元末端の末端Galβ4GlcNAc構造から開裂することができ、グライコーム中の他のβ結合単糖は開裂しない、および
β3結合ガラクトースを非還元末端の末端Galβ3GlcNAc構造から開裂することができ、グライコーム中の他のβ結合単糖は開裂しない
β−ガラクトシダーゼなどが挙げられる。
ii)本発明の好ましいガラクトース構造を認識する特異的結合タンパク質。好ましい試薬としては抗体および抗体の結合ドメイン(Fabフラグメント等)、ならびに他の改変された炭水化物結合タンパク質およびガレクチン等の動物レクチンなどが挙げられる。
前記構造の特異的エキソグリコシダーゼおよび糖転移酵素分析が、胚幹細胞および分化した細胞に対しては実施例17および2に、実施例1間葉系細胞、臍帯血細胞については実施例15に、ならびに細胞表面に対する実施例16に、ならびに糖転移酵素を含んで、糖脂質に対しては実施例11に含まれる。末端Galβおよびシアル酸発現に関連するシアル化度分析を実施例6に示す。
植物低特異性レクチン、例えばRCA、PNA、ECA、STA、および
PWA、データはhESCに対しては実施例3に、MSCに対しては実施例4に、臍帯血に対しては実施例5に、細胞増殖のためのレクチン結合剤の効果は実施例10に、臍帯血細胞の選択は実施例12に示す。
各種ガレクチン発現によるヒトレクチン分析は臍帯血および胚細胞からの実施例13である。
実施例14に、特にフコシル化およびガラクトシル化された構造の抗体標識を示す。
アメリカヤマゴボウ(pokeweed)(PWA)による細胞の標識、およびSolanum tuberosum(STA)レクチンによる、より弱い細胞の標識は、細胞が、N−および/またはO−グリカンおよび/または糖脂質等のそれらの表面複合糖質上に、ポリ−N−アセチルラクトサミン配列を発現することを示唆する。結果はさらに、細胞表面ポリ−N−アセチルラクトサミン鎖が直鎖および分岐鎖配列の両者を有することを示唆する。
好ましいGalNAc型標的構造が特に本発明により明らかにされた。これらは特に、本発明のLacdiNAc、GalNAcβGlcNAc型構造を含む。
いくつかの植物レクチンが末端GalNAcの認識に関して報告されている。一部のGalNAc認識レクチンは好ましいLacdiNAc構造の低特異性認識のために選択されてよいと理解される。
Wisteria floribundaレクチン(WFA)によるhESCの豊富な標識は、hESCが、β−結合非還元末端N−アセチルガラクトサミン残基を、N−および/またはO−グリカン等のそれらの表面複合糖質上に発現していることを示唆する。WFAのmEFに対する特異的結合が存在しないことは、レクチンリガンドエピトープが、mEFにおいて、より少ないということを示唆する。
i)本発明は、β結合GalNAcが、β−N−アセチルヘキソサミニダーゼ酵素と組み合わせた特異的β−N−アセチルヘキソサミニダーゼ酵素によって認識され得ることを明らかにした。
この組み合わせは、末端単糖および少なくとも結合構造の一部を示す。
本発明の構造である、好ましいGalNAcβ4、より好ましくはGalNAcβ4GlcNAcを認識する特異的結合タンパク質。好ましい試薬としては抗体および抗体の結合ドメイン(Fabフラグメント等)、ならびに他の改変された炭水化物結合タンパク質等が挙げられる。
好ましいGlcNAc型標的構造が本発明により具体的に明らかになった。これらは特に本発明のGlcNAcβ−型構造を含む。
いくつかの植物レクチンでは末端GlcNAcの認識が報告されている。一部のGlcNAc認識レクチンは好ましいGlcNAc構造の低特異性認識のために選択され得ると考えられる。
i)本発明は、β結合GlcNAcが特異的β−N−アセチルグルコサミニダーゼ酵素により認識され得ることを明らかにした。
ii)本発明の構造である、好ましいGlcNAcβ2/3/6、より好ましくはGlcNAcβ2Manαを認識する特異的結合タンパク質。好ましい試薬としては抗体および抗体の結合ドメイン(Fabフラグメント等)、ならびに他の改変された炭水化物結合タンパク質等が挙げられる。
前記構造のための特異的エキソグリコシダーゼ分析が胚幹細胞および分化した細胞のための実施例17および2に、間葉系細胞のための実施例1に、臍帯血細胞に対しては実施例15に、ならびに糖脂質に対しては実施例11に含まれる。
WFAおよびGNAII等の植物性低特異性レクチン、およびデータは、hESCに対する実施例3に、MSCに対する実施例4に、臍帯血に対する実施例5に示し、該レクチン結合剤の細胞増殖に対する効果は実施例10に示し、臍帯血細胞選択は実施例12に示す。
好ましいフコース型標的構造が本発明により特異的に分類された。これらは本発明の各種のN−アセチルラクトサミン構造を含む。本発明はさらに、N−グリカンコア、GlcNAcβ4(Fucα6)GlcNAcのラクトサミン類似α6−フコシル化エピトープに対する識別および他の方法に関する。本発明は、レクチンPSA(Kornfeld(1981)J Biol Chem 256、6633−6640;Cummings and Kornfeld(1982)J Biol Chem 257、11235−40)によって認識され得るこのような構造が例えば胚幹細胞および間葉系幹細胞中に存在することを明らかにした。
末端フコース構造の識別に好ましいものとして、フコース単糖結合植物レクチンが挙げられる。Ulex europeausおよびLotus tetragonolobusのレクチンは、例えば末端フコースを認識し、それぞれα2結合構造および分岐α3フコースに対するある程度の特異性結合(specificity binding)を有することが報告されている。データをhESCに対する実施例3に、MSCに対する実施例4に、臍帯血に対する実施例5に示し、および細胞増殖に対するレクチン結合剤の効果を実施例10に示し、臍帯血細胞選択を実施例12に示す。
i)特異的フコース残基遊離酵素、例えば結合フコシダーゼ(linkage fucosidase)、より好ましくはα−フコシダーゼ。
好ましいα−フコシダーゼとしては、特定の細胞調製物から明らかになったFucα2GalおよびGalβ4/3(Fucα3/4)GlcNAc構造を開裂することができる結合フコシダーゼ等が挙げられる。
好ましい抗体としては、特異的にLewis x、およびシアリル−Lewis x等のLewis型構造を認識する抗体が挙げられる。より好ましくは前記Lewis x抗体は典型的なSSEA−1抗体ではないが、該抗体は、N−グリカンコアに結合したGalβ4(Fucα3)GlcNAcβ2Manα等の特異的タンパク質結合Lewis x構造を認識する。
好ましいシアル酸型標的構造が本発明により特異的に分類された。
末端シアル酸構造の識別に好ましいものとして、シアル酸単糖結合植物レクチンが挙げられる。
i)特異的シアル酸残基遊離酵素、例えば結合シアリダーゼ、より好ましくはα−シアリダーゼ。
好ましいα−シアリダーゼとしては、本発明の特定の細胞調製物から明らかになった、SAα3GalおよびSAα6Gal構造を開裂し得る結合シアリダーゼ等が挙げられる。
結合特異性を有する好ましい低特異性レクチンとしては、SAα3Gal構造に特異的なレクチン、好ましくはMaackia amurensisレクチン、および/またはSAα6Gal構造に特異的なレクチン、好ましくはSambucus nigra凝集素等が挙げられる。
前記構造に対する特異的エキソグリコシダーゼ分析が、胚幹細胞および分化した細胞のための実施例17および2に、間葉系細胞のための実施例1に、臍帯血細胞に対しては実施例15に、ならびに細胞表面に対する実施例16に、ならびに糖転移酵素を含んで、糖脂質に対しては実施例11に含まれる。末端Galβおよびシアル酸発現と関連したシアル化水準の分析を実施例6に示す。
本発明のシアル酸エピトープの結合のために好ましい酵素結合剤としては、A.ureafaciens由来の一般的シアリダーゼα2,3/6/8/9シアリダーゼ(Glyko)、S.pneumoniae由来のα2,3−シアリダーゼ等のα2,3−シアリダーゼ(Calbiochem、USA)などの、シアリダーゼなどが挙げられる。他の有用なシアリダーゼは大腸菌およびコレラ菌から知られている。
特異的N−アセチルラクトサミンエピトープ、特にSAα3Galβ4GlcNAcを有するFuc−TVIを認識することが知られるα1,3−フコシルトランスフェラーゼVI(ヒト、S.frugiperdaにおける組み替え体、Calbiochem)。
MAAおよびSNA等の植物低特異性レクチン、およびデータは、hESCのための実施例3に、MSCのための実施例4に、臍帯血のための実施例5に示し、細胞増殖に対するレクチン結合剤の効果は実施例10に示し、臍帯血細胞選択は実施例12に示す。
実施例14においては、シアリル構造の抗体標識を示す。
実施例に記載されるように、本願発明者らは各種幹細胞が異なったガレクチン発現プロファイルおよび異なったガレクチン(グリカン)リガンド発現プロファイルを有することも見出した。本発明はさらに、ガラクトース結合試薬、優先的にはガラクトース結合レクチン、より優先的には特異的ガレクチンを幹細胞型特異的な様式で用い、記載の使用に対して本発明に記載されるように特定の幹細胞を調節する、またはそれに結合させることに関する。さらに好ましい一態様において、本発明は、ガレクチンリガンド構造、その誘導体、またはリガンド模倣試薬を、本発明に記載される使用に対して幹細胞型特異的様式で用いることに関する。好ましいガレクチンを実施例13に列挙する。
グリカンおよびグリカン画分の単離
本発明のグリカンは当該分野で公知の方法により単離することができる。好ましいグリカン調製法は次の工程からなる:
1° グリカン含有画分を試料から単離し、
2° 任意に前記画分をグライコーム分析に有用な純度に精製する。
1° 水または他の親水性溶媒による抽出であって、水溶性グリカンまたは遊離オリゴ糖もしくは糖ペプチド等の複合糖質を生成するもの、
2° 疎水性溶媒による抽出であって、糖脂質等の疎水性複合糖質を生ずるもの、
3° N−グリコシダーゼ処理、特にFlavobacterium meningosepticum N−グリコシダーゼF処理であって、N−グリカンを生ずるもの、
4° ホウ化水素等の還元剤を用いた、または用いない、アルカリ処理、例えば弱い(0.1M等)水酸化ナトリウムまたは濃アンモニア処理であって、前者の場合、炭酸塩等の保護剤の存在下で処理が行われ、O−グリカン等のβ脱離産物(β−elimination product)および/もしくはN−グリカン等の他の脱離産物を生ずるもの、
5° エンドグリコシダーゼ処理、例えばエンド−β−ガラクトシダーゼ処理、特にEscherichia freundiiエンド−β−ガラクトシダーゼ処理であって、ポリ−N−アセチルラクトサミングリカン鎖もしくは酵素特異性に応じて類似の産物からの断片を生ずるもの、ならびに/または
6° プロテアーゼ処理、例えば広範囲のまたは特異的なプロテアーゼ処理、特にトリプシン処理であって、糖ペプチド等のタンパク質分解断片を生ずるもの、
の1つまたは組み合わせ、またはもとの試料の画分を生ずる他の分画法であってよい。
好ましいグリカン遊離法としては次の方法:
遊離グリカン − 遊離グリカンの、例えば水または適した水−溶媒混合物による抽出。
O−およびN−結合グリカン等のタンパク質結合グリカン − タンパク質結合グリカンのアルカリ脱離(alkaline elimination)、次いで任意に遊離したグリカンの還元を行う。
ムチン型および他のSer/Thr O−結合グリカン − グリカンのアルカリβ脱離(alkaline β−elimination)、次いで任意に遊離したグリカンの還元を行う。
N−グリカン − 酵素的遊離(enzymatic liberation)、任意に、例えばC. meningosepticum由来のN−グリコシダーゼF、Streptomyces由来のエンドグリコシダーゼH、またはアーモンド由来のN−グリコシダーゼA等のN−グリコシダーゼ酵素を用いる。
スフィンゴ糖脂質等の脂質結合グリカン − エンドグリコセラミダーゼ酵素を用いた酵素的遊離;化学的遊離;オゾン分解遊離。
グリコサミノグリカン − グリコサミノグリカンを開裂するエンドグリコシダーゼ、例えばコンドロイナーゼ(chondroinase)、コンドロイチンリアーゼ、ヒアルロンダーゼ(hyalurondase)、ヘパラナーゼ、ヘパラチナーゼ、もしくはケラタナーゼ/エンド−ベータ−ガラクトシダーゼを用いた処理;またはO−グリコシドグリコサミノグリカンに対するO−グリカン遊離法の使用;またはN−グリコシドグリコサミノグリカンに対するN−グリカン遊離法もしくは特異的グリコサミノグリカンコア構造を開裂する酵素の使用;または特異的化学的亜硝酸開裂法、特にアミン/N−硫酸エステル含有グリコサミノグリカンに対するもの
グリカン断片 − 特異的エキソまたはエンドグリコシダーゼ酵素、例えばケラタナーゼ、エンド−β−ガラクトシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、シアリダーゼ、または他のエキソおよびエンドグリコシダーゼ酵素;化学的開裂法;物理的方法
等が挙げられるが、これらに限定されない。
初期ヒト細胞集団
ヒト幹細胞および多分化能細胞
最も広い態様において、本発明は全ての型のヒト幹細胞に関するものであり、これは新鮮な、かつ培養されたヒト幹細胞を意味する。本発明の幹細胞は、天然の細胞に似た分化を示し得るが典型的には染色体の変化またはウイルス感染による非天然の発生を示す、従来の癌細胞株は含まない。幹細胞には、他の細胞型に分化することができる全ての型の良性多分化能細胞が含まれる。幹細胞は細胞分裂後に幹細胞のまま存在できる特別な能力、自己複製能を有する。
本発明は細胞の組織起源(tissue origin)および/またはその分化状態に基づく、初期ヒト細胞の特異的な型に関する。
分化状態を基盤とした好ましい分類は、好ましくは「固形組織前駆」細胞、より好ましくは「間葉系幹細胞」、または固形組織に分化する細胞、もしくは外胚葉、中胚葉、もしくは内胚葉、より優先的には間葉系幹細胞に分化し得る細胞を含む。
本発明は特に、ドナー個体の年齢および細胞が由来する組織の種類などの細胞の由来に基づく、初期ヒト細胞集団、すなわち多分化能細胞およびそれに由来する細胞集団に関する。
a)1)ヒト新生児、好ましくは臍帯血および関連する材料に関するもの、および2)胚細胞型材料、などの若齢(early age cell)細胞から
b)年上の個体(非新生児、好ましくは成人)由来の幹および前駆細胞から、好ましくはヒト「血液関連組織」由来の、好ましくは骨髄細胞を含むものから。
本発明は特に、好ましい一態様の下で、「固形組織前駆細胞」と称する非造血組織に分化することができる細胞、すなわち血液細胞以外の細胞に分化する細胞に関する。より好ましくは、固形組織に分化するために産生される前記細胞集団は「間葉系細胞」であり、これは中胚葉起源の細胞、より好ましくは間葉系幹細胞に効果的に分化し得る多分化能細胞である。
臍帯血
前記初期血液細胞集団は多分化能細胞に富んだ血液細胞材料を含む。好ましい初期血液細胞集団としては、多分化能細胞に富む末梢血細胞、骨髄血細胞および臍帯血細胞等が挙げられる。好ましい一態様において、本発明は初期血液または初期血液由来細胞集団に由来する間葉系幹細胞、好ましくは該細胞集団の分析に関する。
初期血液細胞の他の別に好ましい群は骨髄血細胞である。これらの細胞も多分化能細胞を含む。好ましい一態様において、本発明は骨髄細胞集団に由来する間葉系幹細胞、好ましくは該細胞集団の分析に関する。
本発明は特に、初期ヒト細胞の亜集団に関する。好ましい一態様において、該亜集団は抗体による選択によって産生され、他の態様においては特定の細胞型に有利な細胞培養により産生される。好ましい一態様において、前記細胞は抗体選択法により、好ましくは初期血液細胞から産生される。好ましくは、前記初期ヒト血液細胞は臍帯血細胞である。
均質細胞集団はCD34+細胞集団の亜集団であってよく、好ましい態様においてこれは具体的にCD133+細胞集団またはCD133型細胞集団である。本発明の「CD133型細胞集団」は、CD133+細胞集団と類似しているが、好ましくはCD133以外の他のマーカーに関して選択される。該マーカーは好ましくはCD133共発現マーカーである。好ましい一態様において、本発明はCD133+細胞集団、またはCD133型細胞集団としてのCD133+亜集団に関する。好ましい均質細胞集団はさらに、特別なCD133型細胞として定義され得るもの以外の他の細胞集団を含むと考えられる。
本発明は特に、ヒト臍帯血由来の精製された細胞集団の産生に関する。上記の通り、ヒト臍帯血由来の高度に精製された完全細胞(complete cell)調製物の産生は当該分野において問題であった。最も広い態様において、本発明は本発明のヒト臍帯血の生物学的等価物に関するものであり、これらは同様なマーカーを有し、本発明のCD133+細胞集団および等価物と同様に分離された際に同様な細胞集団を生ずるか、または臍帯血と等価な細胞が、さらに他の細胞型も含む試料に含まれる。臍帯血と同様の特性は少なくとも部分的にヒトの出生前に存在し得ると考えられる。本願発明者らは、高度に精製された細胞集団を、シアル化グリカンおよび関連するマーカーの正確な分析に有用な純度で初期ヒト細胞から生成することが可能であることを見出した。
本発明はヒト骨髄由来の多分化能細胞集団または初期ヒト血液細胞に関する。もっとも好ましいのは骨髄由来間葉系幹細胞である。好ましい一態様において、本発明は、骨および/または軟骨等の、構造的な支持機能を有する細胞に分化する間葉系幹細胞に関する。
本発明は特に、胚性細胞集団を対象とした方法に関するものであり、好ましくは前記使用はヒト胚の商業的または産業的使用も、ヒト胚の破壊も伴わない場合のものである。本発明は特定の一態様の下で、法律上許容される任意の時と場合における、胚細胞、および胚幹細胞等の胚由来材料の使用に関する。法律は国や地域によって異なることが理解される。
本発明はさらに、本発明の好ましい細胞集団としての間葉系幹細胞または多分化能細胞に関する。好ましい間葉系幹細胞としては初期ヒト細胞、好ましくはヒト臍帯血またはヒト骨髄から得られた細胞等が挙げられる。好ましい一態様において、本発明は、骨および/もしくは軟骨等の構造的な支持機能を有する細胞または脂肪組織等の軟組織を形成する細胞に分化する間葉系幹細胞に関する。
細胞状態の制御
原料細胞集団の制御
本発明は治療において用いるための細胞集団のグリコシル化の制御に関する。
1)細胞材料の由来と移植材料の潜在的レシピエントとの間に相違がある。好ましい一態様においては、潜在的な個体間の特異性の相違が細胞材料のドナーと該細胞材料のレシピエントとの間に存在する。好ましい一態様においては、本発明は動物またはヒト、より好ましくはヒトに特異的、個体特異的なグリコシル化の相違に関する。個体特異的な相違は好ましくは初期ヒト細胞、初期ヒト血液細胞および胚性細胞の単核細胞集団中に存在する。本発明は好ましくは公知の個体特異的相違、例えば赤血球上の血液型抗原の変化の観察に関するものではない。
2)材料中の疾患特異的変異による変異の可能性がある。本発明は特に、感染性疾患、炎症性疾患または悪性疾患と関連する本発明の初期細胞集団中のグリコシル化の相違の探索に関する。本願発明者らの一部は多数の癌および腫瘍を分析し、初期細胞中の特定のグリコシル化型と類似した型のグリコシル化を観察した。
3)細胞が得られた動物、好ましくはヒトにおける特異的な個体間の生物学的相違の可能性がある。例えば細胞材料における、種、系統、集団、隔離集団、または品種特異的相違。
4)特定の細胞集団が細胞治療用途に用いられ得ることが証明された場合、グリカン分析は、該細胞集団を臨床の場において有用であることが知られている細胞集団と同一の特徴を有するように制御するために用いることができる。
さらに、細胞の長期培養において、自然突然変異が培養細胞材料中に生ずる場合がある。培養細胞株中の突然変異はグリコシル化度に対して有害な欠陥を生じさせることが多いことに留意されたい。
本発明は特に、細胞株の分化が観察される場合に本発明のグリコシル化変化を観察することに関する。好ましい一態様において、本発明は、本発明の初期ヒト細胞または他の好ましい細胞型から、中胚葉性の幹細胞への分化の観察のための方法に関する。
本発明は特に、幹細胞および初期ヒト細胞または他の好ましい細胞型の培養において用いられる支持/フィーダー細胞上の本発明のグリコシル化の相違を観察することに関する。一部の細胞は他の細胞よりも支持/フィーダー細胞として作用する優れた活性を有することが当該分野において知られている。好ましい一態様において、本発明はこれらの支持/フィーダー細胞上のグリコシル化の相違の観察のための方法に関する。この情報は幹細胞および初期ヒト細胞または他の好ましい細胞型の増殖を補助するための新規試薬の設計において用いることができる。
細胞操作中に細胞に対して有害なグリコシル化または有害なグリコシル化関連作用を誘発する条件および試薬
本願発明者らはさらに、混入グリカンと同一の関連する問題を伴う、有害なグリカンが細胞により発現されるように誘導する条件および試薬を明らかにした。本願発明者らは、通常の細胞精製過程において用いられるいくつかの試薬が初期ヒト細胞材料において変化を引き起こすことを見出した。
細胞の操作中の前記物質は細胞材料のグリコシル化に影響する場合があると考えられる。これは作業下の細胞における前記構造の付着、吸収、または代謝的蓄積に基づくものであり得る。
前記エフェクター分子としては各種サイトカイン、増殖因子、ならびにそれらのシグナリング分子およびコレセプター等が挙げられる。エフェクター分子は炭水化物またはレクチン等の炭水化物結合タンパク質であってもよい。
細胞の操作により引き起こされるストレス
単離/精製等の細胞の操作ならびに細胞貯蔵および細胞培養過程と関連する操作は細胞にとって自然な条件ではなく、物理的および化学的ストレスを細胞に対して引き起こすと考えられる。本発明は該ストレスによって引き起こされる潜在的な変化の制御を可能にする。この制御は常法と組み合わせられてよく、他の手法による、細胞の生存能力または細胞構造が無傷であることの通常の確認と組み合わせられてもよい。
細胞の洗浄および遠心分離は物理的ストレスを引き起こし、細胞膜構造を破壊または損傷する場合がある。非生理的流れ(non−physiological flow)条件下での細胞の精製および分離または分析も、細胞を特定の非生理的なストレスに曝露する。低温での細胞貯蔵過程および細胞保存および操作は膜構造に影響を与える。培地または他の溶液、特に細胞周囲の洗浄溶液、の組成の変化を伴う全ての操作工程は、例えば変化した水と塩とのバランスにより、または細胞の生化学的および生理学的調節に影響する他の分子の濃度を変えることにより、細胞に影響を与える。
本願発明者らは、本発明の方法が、本発明により観察されるグライコームの少なくとも一部を通常効果的に改変する、細胞膜における変化を観察するのに有用であることを明らかにした。これは正確な構成および無傷構造細胞膜ならびに該構成の一部の特異的グリカン構造に関連すると理解される。
本願発明者らは一般的な細胞調製法の処理工程を分析した。動物材料による潜在的混入の複数の発生源が発見された。
1.観察可能な量の有害なグリカン構造、好ましくはN−グリコリルノイラミン酸またはそれに関連した構造を含まないように管理された試薬
2.観察可能な量の、細胞調製に用いられるものと類似したグリカン構造を含まないように管理された試薬
3.観察可能な量の任意のグリカン構造を含まないように管理された試薬
において制御されてよい。
管理レベル2および3は特に細胞状態がグリカン分析および/またはプロファイリング法により制御される場合に有用である。細胞調製における試薬が示されたグリカン構造を含んでいる場合、この制御がより困難になるか、または妨げられるであろう。さらに、前記グリカン構造は細胞状態を変える生物学的活性を示す場合があることに留意されたい。
本発明はさらに、グリカン管理試薬を含む特異的細胞精製法に関する。
結合剤が細胞の精製または他の方法のために用いられ、その後該結合剤のグリカンが生物学的作用を有し得る方法において細胞が用いられる場合、該結合剤は好ましくはグリカン管理またはグリカン中和(glycan neutralized)タンパク質である。
細胞の好ましい精製は、少なくとも1つの、管理された試薬の使用を含む工程を含み、より好ましくは少なくとも2つの工程が含まれ、より好ましくは少なくとも3つの工程、および最も好ましくは少なくとも工程1、2、3、4、および6が含まれる。
1.細胞材料を管理された試薬で洗浄する。
2.抗体を基盤とした方法が用いられる場合、細胞材料は、好ましい一態様において、管理されたFc受容体ブロッキング試薬によりブロックされる。さらに、グリコシル化の一部が抗体の調製において必要とされる場合があり、より好ましい一態様においては末端除去(terminally depleted)グリカンが用いられると理解される。
3.細胞を、管理されたブロッキング材料と管理された細胞結合剤材料とを有する固定化された細胞結合剤材料に接触させる。より好ましい一態様において、該細胞結合剤材料は本発明の磁性ビーズと管理されたゼラチン材料とを有する。好ましい一態様において、細胞結合剤材料は管理されており、好ましくは細胞結合剤抗体材料は管理されている。さもなくば、特に該抗体がN−グリコリルノイラミン酸を産生して産物を汚染する細胞株により産生される場合に、該細胞結合剤抗体はN−グリコリルノイラミン酸を含む場合もある。
4.固定化された細胞を管理されたタンパク質製剤または非タンパク質製剤で洗浄する。好ましい方法において磁性ビーズは管理されたタンパク質製剤、より好ましくは管理されたアルブミン製剤で洗浄される。
5.固定化からの細胞の任意の解放。
6.精製された細胞の、管理されたタンパク質製剤または非タンパク質製剤による洗浄。
好ましい一態様において、好ましい方法は、初期ヒト細胞の精製、好ましくは臍帯血細胞の精製のための、免疫磁性ビーズを用いる方法である。
いくつかのグリカン構造混入細胞産物は産物の生物学的活性を弱める場合がある。
本発明は幹細胞のための有用なグリカンマーカーおよびその組み合わせ、ならびに特異的な量の主要グリカン構造を有するグライコーム組成を明らかにする。本発明はさらに、特異的末端およびコア構造ならびにその組み合わせに関する。
式C0:
R1Hexβz{R3}n1Hex(NAc)n2XyR2
[式中、Xはグリコシド結合した二糖エピトープβ4(Fucα6)nGNであり、ここでnは0または1であり、またはXは無であり、そして
HexはGalまたはManまたはGlcAであり、
HexNAcはGlcNAcまたはGalNAcであり、
yはアノマー結合構造αおよび/またはβまたは誘導体化アノマー炭素からの結合であり、
zは結合位置3または4であり、ただしzが4の場合、HexNAcはGlcNAcであり、およびその場合HexはManであるか、または
HexはGalであるか、またはHexはGlcAであり、ならびに
zが3である場合、HexはGlcAまたはGalであり、HexNAcはGlcNAcまたはGalNAcであり、
n1は0または1であってR3の存在または非存在を表し、
n2は0または1であってNAcの存在または非存在を表し、ただしn2はHexβzがGalβ4である場合にのみ0であってよく、およびn2は好ましくは0であり、n2構造は好ましくは糖脂質に由来するものであり、
R1はコア結合に結合する1−4、好ましくは1−3、天然型炭水化物置換基、または無であり、
R2は還元末端水酸基、化学的還元末端誘導体、またはタンパク質由来のアスパラギンN−グリコシドアミノ酸および/もしくはペプチドを含むアスパラギンN−グリコシド等の天然アスパラギンN−グリコシド誘導体、またはタンパク質由来のアスパラギンN−グリコシドアミノ酸および/もしくはペプチドを含むセリンもしくはスレオニン結合O−グリコシド等の天然セリンもしくはスレオニン結合O−グリコシド誘導体であり、または、n2が1である場合、R2は無もしくはセラミド構造もしくはセラミド構造の誘導体、例えばリゾ脂質およびそのアミド誘導体であり、
R3は無であるか、または、GlcNAcβ6、もしくはGalNAc(HexNAcがGalNAcである場合)に結合するその還元末端にGlcNAcβ6を有するオリゴ糖、を示す分岐構造であり、またはHexがGalであり、HexNAcがGlcNAcである場合、およびzが3である場合、R3はFucα4もしくは無であり、およびzが4である場合、R3はFucα3または無である]
の構造を有する。
N−アセチルラクトサミンGalβ3/4GlcNAc末端エピトープ
2つのN−アセチルラクトサミンエピトープGalβ4GlcNAcおよび/またはGalβ3GlcNAcは、好ましい末端エピトープであって、幹細胞上またはこの好ましい末端エピトープの主鎖構造上に存在するものを表し、例えばさらに本発明のシアル酸またはフコース誘導体化を有する。好ましい一態様において、本発明はフコシル化および/または非置換グリカン非還元末端型の末端エピトープ、より好ましくはフコシル化および非置換型に関する。本発明は特に、ヒト幹細胞グライコームからの非還元末端の末端(非置換)天然Galβ4GlcNAcおよび/またはGalβ3GlcNAc構造に関する。本発明は特定の態様においてヒト幹細胞グライコームからの非還元末端の末端フコシル化天然Galβ4GlcNAcおよび/またはGalβ3GlcNAc構造に関する。
好ましいフコシル化エピトープは式TF:
(Fucα2)n1Galβ3/4(Fucα4/3)n2GlcNAcβ−R
[式中、n1は0または1であってFucα2の存在または非存在を表し、
n2は0または1であってFucα4/3(分岐)の存在または非存在を表し、
RはN−グリカン、O−グリカンおよび/または糖脂質の還元末端コア構造である]
によるものである。
Galβ3(Fucα4)GlcNAc(Lewis a)、Fucα2Galβ3GlcNAc H−1型、構造、および、
Fucα2Galβ3(Fucα4)GlcNAc (Lewis b)および、
2型ラクトサミン(Galβ4GlcNAc基盤):
Galβ4(Fucα3)GlcNAc(Lewis x)、Fucα2Galβ4GlcNAc H−2型、構造、および、
Fucα2Galβ4(Fucα3)GlcNAc (Lewis y)
等が挙げられる。
ラクトサミンはラクトース基盤の糖脂質とともに好ましい構造群を形成する。これらの構造はβ3/4Gal転移酵素の産物としての類似した特徴を共有する。β3/4ガラクトース基盤の構造はタンパク質結合および糖脂質グライコームの特徴的な特性を生ずることが観察された。
ならびに好ましくは式:
(Sacα3)n5(Fucα2)n1Galβ3(Fucα4)n3GlcNAcβ3[Galβ3/4(Fucα4/3)n2GlcNAcβ3]n4Galβ4GlcβCer
[式中、n1は0または1であってFucα2の存在または非存在を表し、
n2は0または1であってFucα4/3(分岐)の存在または非存在を表し、
n3は0または1であってFucα4(分岐)の存在または非存在を表し、
n4は0または1であって(フコシル化)N−アセチルラクトサミン伸長の存在または非存在を表し、
n5は0または1であってSacα3伸長の存在または非存在を表し、
Sacは末端構造、好ましくはα3結合を有するシアル酸であって、ただしSacが存在する場合、n5は1であり、その場合n1は0である]
などのそのフコシル化および/または伸長バリアント
ならびに、ネオラクト(Galβ4GlcNAc)含有糖脂質、例えばネオラクトテトラオシルセラミドGalβ4GlcNAcβ3Galβ4GlcβCerであって、好ましい構造はさらにその非還元末端のGalβ4(Fucα3)GlcNAc (Lewis x)、Fucα2Galβ4GlcNAc H−2型、構造、および、Fucα2Galβ4(Fucα3)GlcNAc(Lewis y)を有するもの
ならびに、好ましくは、
(Sacα3/6)n5(Fucα2)n1Galβ4(Fucα3)n3GlcNAcβ3[Galβ4(Fucα3)n2GlcNAcβ3]n4Galβ4GlcβCer
[n1は0または1であってFucα2の存在または非存在を表し、
n2は0または1であってFucα3(分岐)の存在または非存在を表し、
n3は0または1であってFucα3(分岐)の存在または非存在を表し
n4は0または1であって(フコシル化)N−アセチルラクトサミン伸長の存在または非存在を表し、
n5は0または1であってSacα3/6伸長の存在または非存在を表し、
Sacは末端構造、好ましくはα3結合を有するシアル酸(SA)、またはα6結合を有するシアル酸であって、ただしSacが存在する場合、n5は1であり、その場合n1は0であり、およびシアル酸がα6結合により結合する場合、好ましくはn3も0である]
などのそのフコシル化および/または伸長バリアント等が挙げられる。
本願発明者らは幹細胞糖脂質グライコームを、遊離させた遊離グリカンの質量分析プロファイリングにより記載し、約80個のグリカンシグナルを各種幹細胞型から明らかにすることができた。中性グリカンの提案された単糖組成は2−7Hex、0−5HexNAc、および0−4dHexからなっていた。酸性グリカンシグナルの提案された単糖組成は0−2NeuAc、2−9Hex、0−6HexNAc、0−3dHex、および/または0−1硫酸もしくはリン酸エステルからなっていた。本発明は特に、このような幹細胞グリカンプロファイルならびに/または本発明において幹細胞に関して記載される使用のための構造の、分析およびターゲッティングに関する。
Galβ4(Fucα3)Glc(3−フコシルラクトース)、Neu5Ac、Neu5Acα2,3、およびNeu5Acα2,6の末端エピトープ等が挙げられる。本発明はさらに、全幹細胞スフィンゴ糖脂質グライコームおよび/またはグライコーム内の全末端エピトーププロファイルに関する。
細胞培養法のための好ましい結合剤分子としては、レクチン、抗体、およびグリカン修飾酵素等が挙げられる。
特定のレクチン分子は、細胞培養下の細胞を維持するための好ましい分子の群であると考えられる。より好ましい群のレクチンとしては本発明の末端グリカンエピトープを対象とする植物レクチンおよび動物レクチン等が挙げられる。
a)植物レクチン。植物レクチンは、これらが非哺乳動物の細胞培養物または生物学的材料由来である場合に特に好ましい。
b)好ましい動物レクチンとしてはガレクチンおよびセレクチン等が挙げられる。
調製された幹細胞を結合剤と接触させることができる。これは、例えば、単純に結合剤を幹細胞調製物の培養物と混合することにより行うことができる。混合は幹細胞の生存能力を維持することができる多くの適した容器内で行うことができる。前記容器としては組織培養フラスコ、コニカルチューブ、培養バッグ(culture bag)、バイオリアクター、または連続的に混合される培養液(cultures)等が挙げられるがこれらに限定されない。幹細胞/LPCM混合物は次いで所望のように増殖させられる。
結合剤で被覆された表面は上記および実施例に記載される。結合剤、例えばレクチンおよび抗体によるコーティングは、2つの反応性アルデヒド基の生成を伴う一連の化学的カップリング反応によって行うことができ、この方法は当業者に公知である。例えば、どのような特定の理論にも拘束されるものではないが、アルデヒド部分(RCHO)が1級アミン(R’NH.sub.2)と反応すると、比較的不安定なイミン部分(R’N CHR)である反応産物と平衡に達する。カップリング反応は酸化に対するものと同一の、糖タンパク質を損傷から保護するように考案された条件下で行うことができる。糖タンパク質および生体材料表面の間の結合を安定化するために、それに続くイミン部分の還元的アルキル化が、例えば水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ほう素ナトリウム、およびアミンボラン等の還元剤(すなわち安定化剤)を用いて行われ、2級アミン(R’NH−−CH.sub.2R)が形成される。この反応も酸化に対するものと同一の条件下で行われ得る。典型的には、しかし、カップリングおよび安定化反応は中性またはやや塩基性の溶液中において、約0〜50度Cの温度で行われる。好ましくは、カップリングおよび安定化反応に対して、pHは約6〜10であり、温度は約4〜37度Cである。これらの反応(カップリングおよび安定化)は、ほんの数分間または何時間もの間行われる。一般に、反応は24時間以内に完了する(すなわちカップリングおよび安定化)。
本発明の方法は末端グリカン構造に結合する結合剤を接触させることによる幹細胞の刺激に関する。結合剤の細胞への結合はシグナル伝達経路の引き金となり、特定の表現型上のまたは生物学的な変化を細胞において活性化する。細胞の活性化は、異常な細胞において、正常な細胞機能を増進し、または正常な細胞機能を開始させ得る。
本開示の多能性ES細胞は系統非拘束(uncommitted)(すなわち、それらは内胚葉、中胚葉および外胚葉等の特定の胚系統(germ lineage)に拘束されない)である。多能性ヒトES細胞も、in vitroおよびin vivoの両者において、高い自己複製能を有する場合があり、分化能を有する。あるいは、細胞、組織、または器官内で、休眠または静止したままでいることができる。ヒトES細胞が単離される、単離された胚盤胞は、体外受精、卵細胞質内精子注入法、および卵細胞質移植等の当業者に周知の多くの方法により生成することができる。特定の態様においては、単離されたヒトES細胞を、マウス胚性線維芽細胞、ヒト胚性線維芽細胞、または成体ヒト組織から得られた線維芽細胞様細胞等であるが限定されない胚性線維芽細胞上で増殖させる。好ましい一態様においては、ヒトES細胞を結合剤の存在下で増殖させる。
胚幹細胞を用いた抗体標識実験表19は、非修飾二糖Galβ3GlcNAc(Le c、Lewis c)およびフコシル化誘導体H型およびLewis bを認識する、1型N−アセチルラクトサミン抗原認識抗体の特異性を明らかにした。前記抗体は幹細胞の培養に用いられるマウスフィーダー細胞mEFと比べ、hESC細胞集団の認識において有効であった。
特異的な各種のH2型認識抗体は胚幹細胞の各種亜集団を認識することが示され、そのため細胞の亜集団の定義に対する有用性が明らかになった。本発明はさらに、胚幹細胞上の特異的Lewis xおよびシアリルLewis x構造を明らかにした(本発明の図を参照のこと)。
他の好ましい結合剤および/またはレクチンは、ECA(Erythrina cristacalli)と同一のエピトープに結合する結合剤を含む。好ましい一態様において、前記レクチンはXXXXエピトープに結合する。より好ましいレクチンはレクチンECAを含む。このエピトープは幹細胞の増殖または幹細胞もしくは幹細胞のサブセットの状態の調節に有用である。より好ましい態様において、幹細胞はヒト胚幹細胞を含む。ECA被覆表面、好ましくは培養皿は、本発明の好ましい一態様である。好ましい一態様においては、hESCはECA被覆表面上で増殖させられ、本質的にフィーダー細胞を含まない。好ましくは、ECA被覆表面はhESCを実質的に未分化の状態で維持する。好ましい一態様においては、hESCはマウスフィーダー細胞に曝露されることなく、直接胚盤胞から得られる。他の好ましい態様においては、hESC培地は馴化培地、好ましくはmEFまたはhEF馴化のものを含む。好ましくは、hESCはマウスフィーダー細胞上で増殖させられ、ECA被覆プレート上に移されて増殖させられる。より好ましい一態様において、hESCは胚盤胞から得られ、ECA被覆表面上で増殖させられる。
間葉系幹細胞の分化状態の評価のために有用な抗体
実施例14および表19(下部)に、間葉系幹細胞および分化した間葉系幹細胞の標識を示す。
本発明は、抗体GF303、好ましくはFucα2Galβ3GlcNAc、およびGF276により認識される構造が、間葉系幹細胞が骨原性に分化した幹細胞へと分化する際に現れることを明らかにした。さらに、Tn抗原に対応するGalNAcα基構造GF278、およびGF277、シアリル−Tnが同時に増加することも明らかにした。
本発明はさらに、間葉系幹細胞(特に骨髄由来)および骨原性に分化した間葉系幹細胞の両者に特徴的ないくつかの標的構造に対する結合剤のための本発明による好ましい使用に関する。好ましい標的構造は抗体GF275により認識され得る1つのGalNAcα基構造を含み、該抗体の抗原は好ましくは該抗体に対して公知のシアル化O−グリカン糖ペプチドエピトープである。間葉系および骨原性に分化した幹細胞の両者に発現するエピトープはさらに2つの特徴的グロボ型抗原構造:結合がグロボトリオース(Gb3)型抗原に対応するGF298の抗原、およびグロボテトラオース(Gb4)型抗原に対応するGF297の抗原を含む。本発明はさらに、末端2型ラクトサミンエピトープが特に両型の間葉系幹細胞に発現していることを明らかにしたものであり、これは、実施例14表19において、両細胞をHII型抗原を認識する抗体で染色することにより例示された。
本データは、1型および2型N−アセチルラクトサミンの群の比較が、間葉系幹細胞および胚幹細胞等の幹細胞の分析のために、および/または線維芽細胞様フィーダー細胞等の混入細胞集団からの細胞の分離のために、有用な方法であることを明らかにした。未分化間葉系細胞はhESC細胞から明らかになったI型N−アセチルラクトサミン抗原を欠いていたが、両細胞型および潜在的混入線維芽細胞はII型N−アセチルラクトサミン認識抗体による一様でない標識を有している。
本発明は、新規結合試薬が好ましい一態様において新規標的/マーカー構造を有する幹細胞からの細胞成分の単離に用いられることを明らかにした。単離された細胞は好ましくは遊離グリカン、またはタンパク質もしくは脂質もしくはその断片に結合したグリカンである。
a)幹細胞材料から遊離した遊離グリカンならびに/または
b)グリカン複合体材料、例えば
b1)糖アミノ酸材料、例えば
b1a)糖タンパク質
b1b)糖オリゴペプチドおよび糖ポリペプチド等の糖ペプチド
および/もしくは
b2)本発明により明らかになった好ましい炭水化物構造を有する脂質結合材料
を含む場合の、前記構造を含む細胞成分の単離に関する。
本発明の細胞成分の単離とは、特異的結合剤によって結合されるグリカン構造である対応する標的構造に本発明の結合剤分子を結合させる工程を含む方法において、本発明の標的構造を有する増加した(または濃縮された)量のグリカンを含んだ分子画分を産生することを意味する。
1)幹細胞試料を提供すること
2)本発明の結合剤分子を対応する標的構造と接触させること
3)前記結合剤と標的構造との複合体を少なくとも細胞材料の一部から単離すること
を含む。
好ましい一態様において、標的構造は、プロテアーゼにより遊離する細胞表面タンパク質または界面活性剤可溶性膜タンパク質等の、細胞タンパク質の画分内に豊富に存在する。
本発明は単離または精製された標的グリカン−結合剤複合体および単離された標的グリカン分子組成物に関するものであり、ここで該標的グリカンは本発明の特異的標的構造に富む。
好ましくは、精製された標的グリカン−結合剤複合体組成物は少なくとも10%の、結合剤と複合した標的グリカン含有分子、より好ましくは少なくとも30%、さらに好ましくは少なくとも50%、さらになお好ましくは少なくとも70%の純粋な、および最も好ましくは少なくとも90%の純粋な、結合剤と複合した標的グリカン含有分子を含む。
細胞の糖タンパク質、糖ペプチド、遊離オリゴ糖および他のグリカン複合体の親和性精製のための方法は、当該分野において周知である。好ましい方法としては、アフィニティークロマトグラフィー等の固相を用いる結合剤技術、免疫沈降等の沈降、免疫磁性ビーズ法等の結合剤−磁性法などが挙げられる。アフィニティークロマトグラフィーは、レクチン(Wang Y et al(2006)Glycobiology16(6)514−23)を用いた、もしくは抗体による、糖ペプチドの精製に対して、または、抗体(例えばPrat M et al cancer Res(1989)49,1415−21;Kim YD et al et al Cancer Res(1989)49、2379)および/もしくはレクチン(例えばCumming and Kornfeld(1982)J Biol Chem 257、11235−40; Yae E et al.(1991)1078(3)369−76;Shibuya N et al(1988)267(2)676−80;Gonchoroff DG et al.1989、35、29−32;Hentges and Bause(1997)Biol Chem 378(9)1031−8)を用いた糖タンパク質/ペプチドの精製に対して、記載されている。遊離オリゴ糖の識別も対象とする弱く結合する抗体のための具体的な方法が例えば(Ohlson S et al.J Chromatogr A (1997)758(2)199−208)、Ohlson S et al.Anal Biochem (1988)169(1)204−8)に記載のように開発されている。該方法は例えば(Cummings and Kornfeld(1982)J Biol Chem 257、11235−40)に示されるように異なった特異性の結合剤による複数の工程を伴っている場合がある。オリゴ糖混合物のための抗体またはタンパク質(レクチン)結合剤アフィニティークロマトグラフィーも、例えば(Kitagawa H et al.(1991)J Biochem110(49 598−604;Kitagawa H et al.(1989)Biochemistry 28(22)8891−7;Dakour J et al Arch Biochem Biophys(1988)264,203− 13)、糖脂質のためのものが、例えば(Bouhours D et al(1990)Arch Biochem Biophys 282(1)141−6)に記載されている。グリカンを対象とするアフィニティークロマトグラフィーおよび/または有用なレクチンおよび抗体特異性のさらなる情報は、(Debaray and Montreuil(1991)Adv.Lectin Res 4、51−96;“The molecular immunology of complex carbohydrates”Adv Exp Med Biol(2001)491(ed Albert M Wu)Kluwer Academic/Plenum publishers,New York;“Lectins”second Edition(2003)(eds Sharon、Nathan and Lis、Halina)Kluwer Academic publishers Dordrecht,The Neatherlands)等の総説およびモノグラフから入手可能である。
本発明は実施例20において本グリカン結合剤、特にモノクローナル抗体、の標的構造の一部が、トリプシン感受性であることを明らかにした。細胞がトリプシンにより処理(培養から解放)されると、細胞表面抗原のFACS分析において、抗原構造は本質的に観察されないか、またはこれらは少ない量で観察されるが、Versene処理(PBS中の0.02%EDTA)後には観察可能である。これは例えば、SSEA−4抗原に結合することが示されている抗体GF354による間葉系幹細胞の標識において観察された。この標的抗原構造は従来、シアリル−ガラクトシルグロボシド糖脂質と考えられてきたが、明らかに抗体はグリカン配列の非還元末端のエピトープのみを認識する。本発明はそこで特に、SSEA−4抗体によって結合・濃縮される、間葉系幹細胞糖ペプチド結合グリカン構造の単離および分析の方法、および対応する糖ペプチドおよび糖タンパク質の分析に関する。本発明はさらに、幹細胞、特に間葉系幹細胞および胚幹細胞由来のトリプシン非感受性グリカン材料の分析に関する。
本発明はまた、ab GF275のシアリルムチン型標的の大部分はトリプシン感受性であり、少数は非トリプシン感受性であることも明らかにした。本発明は、トリプシン感受性およびトリプシン非感受性の両者のグリカン画分、好ましくは糖タンパク質および糖ペプチドの、本発明の方法による単離に関する。本発明はさらに、好ましくは材料が間葉系幹細胞から単離された場合の、抗体GF302によって結合されるタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)感受性様糖ペプチドおよび糖タンパク質の単離および分析に関する。
本発明の有用なレクチンおよび有用な抗体特異性、および還元末端伸長抗体エピトープに関する情報は、(Debaray and Montreuil(1991)Adv.Lectin Res 4,51−96;“The molecular immunology of complex carbohydrates”Adv Exp Med Biol(2001)491(ed Albert M Wu)Kluwer Academic/Plenum publishers,New York;“Lectins”second Edition(2003)(eds Sharon,Nathan and Lis,Halina)Kluwer Academic publishers Dordrecht、The Neatherlands等の総説およびモノグラフならびにpubmed/espacenet等のインターネットデータベース、またはモノクローナル抗体特異性を列挙するwww.glyco.is.ritsumei.ac.jp/epitope/等の抗体データベース)から入手可能である。
本明細書に概要を述べる方法は特にHSCまたはその子孫を細胞の集団から同定するために有用である。しかし、さらなるマーカーを、一般的なHSC、または幹細胞、集団内の亜集団をさらに区別するために用いてもよい。
幹細胞またはその子孫を含んだ細胞集団を得ること;
前記細胞集団を、その幹細胞上の式(I)のグリカン構造に対する結合タンパク質または結合剤と結合させること;
その幹細胞上の式(I)のグリカン構造に対する前記結合タンパク質または結合剤により同定されるそれらの細胞を選択すること;および
選択された細胞の量を、結合タンパク質による選択前の細胞集団内の細胞の量との比較において定量すること;
を含む。
本発明は特に、前記結合剤が「標識構造」と結合させられる場合の、本発明の構造の結合に関する。この標識構造とは、アッセイにおいて観察可能な分子、例えば蛍光分子、放射性分子、西洋わさびペルオキシダーゼ等の検出可能な酵素またはビオチン/ストレプトアビジン/アビジンを意味する。標識された結合分子を本発明の細胞に接触させると、細胞を細胞表面上の標識の存在に基づいてモニタリング、観察および/または選別することができる。モニタリングおよび観察は標識を観察するための常法、例えば蛍光測定装置、顕微鏡、シンチレーションカウンターおよび他の放射能を測定するための装置により行うことができる。
本発明は特に、他の細胞型を含んだ細胞材料等の生体材料または試料からのヒト幹細胞の選別または選択のための、結合剤およびその標識された複合体の使用に関する。好ましい細胞型としては、臍帯血、末梢血、および胚幹細胞、ならびに関連した細胞などが挙げられる。標識は本発明の細胞型を他の類似した細胞から選別するために用いることができる。他の態様において、前記細胞は、血液細胞;または培養細胞については好ましくはフィーダー細胞、例えば胚幹細胞についてはヒトまたはマウスフィーダー細胞等の対応するフィーダー細胞;等の各種細胞型から選別される。好ましい細胞選別法はFACS選別である。他の選別法では固定化した結合剤構造が用いられ、結合および未結合細胞の分離のために未結合細胞が除去される。
好ましい一態様において、前記結合剤構造は固相に結合される。細胞が固相と接触させられ、材料の一部が表面に結合する。この方法は細胞の分離および細胞表面構造の分析、または固定化による細胞の細胞生物学的変化の研究に用いることができる。分析を伴う方法において、細胞は好ましくは試薬によってタグをつけられ、または標識され、固相上の結合剤構造を介して固相に結合した細胞が検出される。この方法は好ましくはさらに1または複数個の、未結合細胞除去のための洗浄の工程を含むことができる。
本発明はさらに、幹細胞を、フィーダー細胞等の分化した細胞、好ましくは動物フィーダー細胞およびより好ましくはマウスフィーダー細胞から識別する方法に関する。さらに、本試薬は特異的結合試薬を用いた任意の分別法による幹細胞の精製のために用いることができると理解される。
i)マンノース型構造、特にレクチンPSAのようにアルファ−Man構造であって、好ましくは混入細胞の表面上のもの
ii)MAAレクチンによるものと同様に、α3−シアル化構造であって、好ましくは胚性幹細胞の識別のためのもの
iii)Gal/GalNAc結合特異性、好ましくはGal1−3/GalNAc1−3結合特異性、より好ましくはPNAと類似のGalβ1−3/GalNAcβ1−3結合特異性であって、好ましくは胚性幹細胞の識別のためのもの
の認識等が挙げられる。
本発明は特に、特異的結合タンパク質による細胞の操作に関する。記載されたグリカンは細胞間の相互作用において重要な役割を担っており、従って結合剤または結合分子を細胞の特定の生物学的操作のために用いることができると考えられる。この操作は遊離または固定化結合剤により行われ得る。好ましい一態様において、細胞は、該細胞の増殖速度に影響する細胞培養条件下で細胞の操作のために用いられる。
本発明は全ての幹細胞型、好ましくはヒト幹細胞の分析に関する。幹細胞の一般的な命名を図9に記す。本発明の別の命名基準は、図9に示すように、好ましい一態様において成体幹細胞(臍帯血型材料等)の同等物である、初期ヒト細胞を記載する。骨髄および血液中の成体幹細胞は「血液関連組織」由来の幹細胞に対する同等物である。
本発明は特に、幹細胞の状態の分析のための、および/または幹細胞の操作のための、特異的結合タンパク質としてのレクチンの使用に関する。
本発明は、特にFACS法による、幹細胞の選別のための、本発明の細胞表面グリカンエピトープを認識する特異的レクチン型の使用を明らかにした。最も好ましい選別される細胞型として血液および骨髄中の成体幹細胞、特に臍帯血細胞などが挙げられる。臍帯血細胞の選別のための好ましいレクチンとしては、GNA、STA、GS−II、PWA、HHA、PSA、RCAおよび実施例12に示される他のものなどが挙げられる。特定の幹細胞集団の単離のためのレクチンの妥当性は、実施例12に示すように公知の幹細胞マーカーを用いた二重標識により示された。
本発明は特に、幹細胞の次のO−グリカンマーカー構造に関する:
マーカー組成NeuAc2Hex1HexNAc1に従うコア1型O−グリカン構造、好ましくは構造SAα3Galβ3GaINAcおよび/またはSAα3Galβ3(Saα6)GalNAcを含む;
ならびに、マーカー組成NeuAc0−2Hex2HexNAc2dHex0−1に従うコア2型O−グリカン構造、より優先的にはさらにグリカン系列NeuAc0−2Hex2+nHexNAc2+ndHex0−1[式中、nは1、2または3であり、より優先的にはnは1または2であり、さらに優先的にはnは1である]を含む;
より具体的に好ましくはR1Galβ4(R3)GlcNAcβ6(R2Galβ3)GalNAc
[式中、R1およびR2は独立に無またはシアル酸残基、好ましくはα2,3−結合シアル酸残基、またはHexnHexNAcnによる伸長であって、ここでnは独立に少なくとも1、好ましくは1〜3、最も好ましくは1〜2、最も好ましくは1、の整数であり、前記伸長はシアル酸残基、好ましくはα2,3−結合シアル酸残基で終結してよく;そして
R3は独立に無またはフコース残基、好ましくはα1,3−結合フコース残基である]を含む。
これらの構造はコア2構造を合成するβ6GlcNAc転移酵素の発現と相関していると考えられる。
本発明はさらに、分岐した、I型の、2個の末端Galβ4残基を有するポリ−N−アセチルラクトサミンを、ヒト幹細胞の糖脂質から明らかにした。この構造は、ポリ−N−アセチルラクトサミンを分岐させることができるβ6GlcNAc転移酵素の発現と、またさらに分岐ポリ−N−アセチルラクトサミンに特異的なレクチンの結合と、相関している。さらに、PWAレクチンは幹細胞の操作、特にその増殖速度における作用を有していることが注目された。
幹細胞選別および単離のための好ましい結合剤
実施例に記載されるように、本願発明者らは、特にマンノース特異的および特にα1,3−結合マンノース結合レクチンGNAがCB MNCからのCD34+幹細胞のネガティブセレクション濃縮のために適していたことを見出した。さらに、ポリ−LacNAc特異的レクチンSTA、ならびにフコース特異的および特にα1,2−結合フコース特異的レクチンUEAがCB MNCからのCD34+幹細胞のポジティブセレクション濃縮のために適していた。
実施例に記載されるように、本願発明者らは、異なる幹細胞が異なったガレクチン発現プロファイル、および異なったガレクチン(グリカン)リガンド発現プロファイルを有していることも見出した。本発明はさらに、ガラクトース結合試薬、優先的にはガラクトース結合レクチン、より優先的には特異的ガレクチンを;幹細胞型特異的様式で、記載の前記使用に対して本発明に記載される特定の幹細胞を調節するために、またはそれに結合するために、使用することに関する。さらに好ましい一態様において、本発明は、ガレクチンリガンド構造、その誘導体、またはリガンド模倣試薬を、幹細胞型特異的様式で、本発明に記載される使用に対して使用することに関する。
実施例1
臍帯血由来および骨髄由来間葉系幹細胞株のMALDI−TOF質量分析によるN−グリカンプロファイリング、グリコシダーゼおよびレクチンプロファイリング
細胞試料生成の例
臍帯血由来間葉系幹細胞株
臍帯血の採取
ヒト出産臍帯血(UCB)ユニットを母親のインフォームドコンセントを得て出産後に採取し、該UCBを採取後24時間以内に処理した。該UCBをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に1:1で希釈し、Ficoll−Paque Plus(Amersham Biosciences, Uppsala, Sweden)密度勾配遠心(400g/40分間)を行って、単核球(MNC)を各UCBユニットから単離した。単核球フラグメントをグラジエントから回収し、PBSで2回洗浄した。
CD45/グリコホリンA(GlyA)陰性細胞選択を、免疫標識磁性ビーズ(Miltenyi Biotec)を用いて行った。MNCをCD45およびGlyA磁性マイクロビーズの両者と同時に30分間インキュベートし、LDカラムを用いて製品の使用説明書に従って(Miltenyi Biotec)ネガティブに選択した。CD45/GlyA陰性溶出画分および陽性画分の両者を回収し、培地中に懸濁して計数した。CD45/GlyA陽性細胞はフィブロネクチン(FN)被覆6ウェルプレート上に1x106/cm2の密度でプレーティングした。CD45/GlyA陰性細胞はFN被覆96ウェルプレート(Nunc)上に約1x104細胞/ウェルでプレーティングした。翌日培地を交換したため、非接着細胞のほとんどが除去された。残った非接着細胞はそれに続く週2回の培地交換で除去した。
骨髄由来幹細胞の単離および培養
骨髄(BM)由来MSCを、Leskela et al.(2003)による記載のように得た。簡単に述べると、整形外科手術中に得られた骨髄を、20mM HEPES、10% FCS、1xペニシリン−ストレプトマイシンおよび2mM L−グルタミン(全てGibcoから)を添加した最小必須アルファ培地(α−MEM)中で培養した。2日間の細胞接着期の後、細胞をCa2+およびMg2+不含PBS(Gibco)で洗浄し、さらに同一培地中に2000〜3000細胞/cm2の密度でプレーティングし、週2回、半分の培地を除去し、新鮮な培地に置き換えることにより、ほぼコンフルエントになるまで継代培養した。
間葉系幹細胞表現型のフローサイトメトリー分析
UBCおよびBMの両者に由来する間葉系幹細胞をフローサイトメトリー(FACSCalibur, Becton Dickinson)によって表現型分析した。CD13、CD14、CD29、CD34、CD44、CD45、CD49e、CD73およびHLA−ABC(全てBD Biosciences、San Jose, CA, http://www.bdbiosciences.comから)、CD105(Abcam Ltd., Cambridge, UK, http://www.abcam.com)ならびにCD133(Miltenyi Biotec)に対するフルオレセインイソチシアネート(FITC)またはフィコエリトリン(PE)結合抗体を用いて直接標識を行った。適当なFITCおよびPE結合アイソタイプコントロール(BD Biosciences)を用いた。CD90およびHLA−DR(両者ともBD Biosciencesから)に対する非結合抗体を用いて間接標識を行った。間接標識のため、FITC結合ヤギ抗マウスIgG抗体(Sigma−aldrich)を二次抗体として用いた。
UCB由来MSCの脂質生成能力を評価するために、細胞を3x103/cm2の密度で24ウェルプレート(Nunc)中に3ウェルずつの重複で播種した。UCB由来MSCを、試料がグライコーム分析のために調製される前に、5週間、DMEM低グルコース、2% FCS(両者ともGibcoから)、10μg/ml インシュリン、0.1mM インドメタシン、0.1μM デキサメタゾン(Sigma−Aldrich)およびペニシリン−ストレプトマイシン(Gibco)からなる脂質生成誘導培地中で培養した。培地は週に2回、分化培養中に交換した。
BM由来MSCの骨原性分化を誘導するため、細胞をそれらの通常の増殖培地に3x103/cm2の密度で24ウェルプレート(Nunc)上に播種した。翌日、培地を、10% FBS(Gibco)、0.1μM デキサメタゾン、10mM β−グリセロリン酸、0.05mM L−アスコルビン酸−2−リン酸(Sigma−Aldrich)およびペニシリンーストレプトマイシン(Gibco)を添加したα−MEM(Gibco)からなる骨原性誘導培地に交換した。BM由来MSCを、グライコーム分析のための試料を調製する前に、3週間、週2回の培地交換を行いながら培養した。
1mlの細胞培養液をグライコーム分析のために確保し、残りの培地を吸引により除去した。細胞培養プレートをPBS緩衝液pH7.2で洗浄した。PBSを吸引し、細胞を掻き取り、5mlのPBSで回収した(2回反復した)。この時点で少量の細胞画分(10μl)を細胞計数のために採取し、残りの試料を5分間400gで遠心分離した。上清を吸引し、ペレットをPBS中でさらに2回洗浄した。
細胞を1.5mlのPBSで回収し、50mlチューブから1.5ml回収チューブ内に移し、7分間5400rpmで遠心分離した。上清を吸引し、もう1回洗浄を繰り返した。細胞ペレットを−70℃で貯蔵し、グライコーム分析のために用いた。
FITC標識したMaackia amurensis凝集素(MAA)をEY Laboratories(USA)より購入し、FITC標識したSambucus nigra凝集素(SNA)をVector Laboratories(UK)より購入した。骨随由来間葉系幹細胞株を上記のように培養した。培養後、細胞を5回PBS(10mM リン酸ナトリウム、pH7.2、140mM NaCl)で洗浄し、4% PBS緩衝パラホルムアルデヒドpH7.2で室温(RT)において10分間固定した。固定後、細胞を3回PBSで洗浄し、非特異的結合部位を3% HSA−PBS(FRC Blood Service、Finland)または3% BSA−PBS(純度>99%のBSA、Sigma)で30分間、RTでブロックした。レクチンインキュベーションの前に、製品の使用説明書記載の方法により、細胞をPBS、TBS(20mM Tris−HCl、pH7.5、150mM NaCl、10mM CaCl2)またはHEPES緩衝液(10mM HEPES、pH7.5、150mM NaCl)で2回洗浄した。FITC標識したレクチンをバッファー中の1% HSAまたは1% BSA中で希釈し、細胞とともに60分間、RTで暗所においてインキュベートした。さらに、細胞を3回、10分間、PBS/TBS/HEPESで洗浄し、DAPI染色剤を含有するVectashield封入剤(Vector Laboratories、UK)中に封入した。レクチン染色を、Zeiss Axioskop 2 plus蛍光顕微鏡(Carl Zeiss Vision GmbH、ドイツ)を用いて、FITCおよびDAPIフィルターとともに観察した。像をZeiss AxioCam MRcカメラを用いて、AxioVision Software 3.1/4.0(Carl Zeiss)を使用し、400Xの倍率で撮影した。
間葉系幹細胞集団からのグリカンの単離
本結果は2つの臍帯血由来間葉系幹細胞株および脂質生成方向に分化するように誘導された細胞、ならびに2つの骨髄由来間葉系幹細胞株および骨原性方向に分化するように誘導された細胞から生成される。細胞株およびそれらに由来する分化した細胞の分析は上記の通りである。N−グリカンを試料から単離し、グリカンプロファイルを、先の例に記載されるように単離された中性およびシアル化N−グリカン画分のMALDI−TOFF質量分析データから生成した。
中性N−グリカンの構造的特徴
2つのCB MSC株に対して提案された中性N−グリカンのグルーピングは互いによく類似しており、それらの中性N−グリカンの構造的特徴に大きな相違は無いことを示している。しかし、CB MSCはCB単核球集団と異なり、それらはプロファイルにおいて、例えば他の構造群と比較して比較的多量の中性複合型N−グリカンおよびハイブリッド型または単分岐中性N−グリカンを有している。
CB単核球集団と同様に、本分析において、グリカン群Hex2−12HexNAc1からの成分を含む提案された単糖組成に基づいて可溶性グリカンと同定された中性グリカン成分が全ての細胞型において同定された(図参照)。これらのグリカン成分の存在量は、互いに対して、また他のグリカンシグナルに対して、個々の試料および細胞型間で異なる。
2つのCB MSC株から得られたシアル化N−グリカンプロファイルは、そのシアル化N−グリカンプロファイル全体に関して互いによく類似している。しかし、プロファイル間で小さな相違が観察され、一部のグリカンシグナルは1つの細胞株においてのみ観察することができ、この2つの細胞株が違いに異なるグリカン構造を有することを示している。分析は、各細胞型において、酸性N−グリカン成分に割り当てられる約50〜70個のグリカンシグナルの相対的な割合を明らかにした。典型的には、グリカンプロファイルにおける細胞集団間の有意な相違は複数の実験を通じて一貫性がある。
CB MSCの中性N−グリカンプロファイルは脂質生成細胞培養液中での分化の際に変化する。本結果は、いくつかの個々のグリカンシグナルおよびグリカンシグナル群の相対存在量が分化培地内での細胞培養により変化することを示す。分化と関連したグリカン構造群の主要な変化は中性複合型N−グリカン、例えばHex5HexNAc4およびHex5HexNAc4dHex1単糖組成にそれぞれ対応するm/z 1663およびm/z 1809におけるシグナルの量の増加などである。変化はシアル化グリカンプロファイルでも観察された。
特異的エキソグリコシダーゼ消化を、実施例に記載のように、CB MSC株から単離した中性N−グリカン画分に対して行った。α−マンノシダーゼ分析の結果は、CB MSC株の中性N−グリカンプロファイルにおけるどのN−グリカンシグナルがαマンノシダーゼ消化に感受性であるかを詳細に示し、非還元末端α−マンノース残基の、対応するグリカン構造における存在を示す。例えば、提案された単糖組成Hex5−9HexNAc2によって予備的に高マンノース型N−グリカンに割り当てられたm/z 1257、1419、1581、1743、および1905の主要な中性N−グリカンシグナルは、末端α−マンノース残基を含んでいることが示され、従って前記の予備的な割当てが確認された。結果は、対応するグリカン構造における非還元末端β1,4−ガラクトース残基の存在を示す。例えば、m/z 1663およびm/z 1809における主要な中性複合型N−グリカンシグナルは末端β1,4−結合ガラクトース残基を含むことが示された。
中性N−グリカンプロファイル、およびグリカンプロファイルにおける分化と関連した変化
増殖培地中および骨原性培地中で増殖させたBM MSC株から得られた中性N−グリカンプロファイルは、その中性N−グリカンプロファイル全体がCB MSC株と類似している。しかし、2つの供給源に由来する細胞株間の相違が観察され、一部のグリカンシグナルは1つの細胞株においてのみ観察することができ、これらの細胞株が違いに異なるグリカン構造を有することを示している。BM MSCの主要な特徴的構造特性は、CB MSC株と比べてさらに豊富な中性複合型N−グリカンである。CB MSCと同様、これらのグリカンもBM MSCの分化の際の主要な増加したグリカンシグナル群であった。分析は、各細胞型において、非シアル化N−グリカン成分に割り当てられる約50〜70個のグリカンシグナルの相対的な割合を明らかにした。典型的には、グリカンプロファイルの細胞集団間の有意な相違は複数の実験を通じて一貫性がある。
増殖培地中および骨原性培地中で増殖させたBM MSC株から得られたシアル化N−グリカンプロファイル。未分化のおよび分化した細胞はそのシアル化N−グリカンプロファイル全体が互いによく類似している。しかし、プロファイル間の小さな相違が観察され、一部のグリカンシグナルは1つの細胞株においてのみ観察することができ、2つの細胞型が違いに異なるグリカン構造を有することを示している。分析は、各細胞型において、酸性N−グリカン成分に割り当てられた約50個のグリカンシグナルの相対的な割合を明らかにした。典型的には、グリカンプロファイルの細胞集団間の有意な相違は複数の実験を通して一貫性がある。
BM MSCから単離されたシアル化N−グリカン画分を先の実施例に記載のように広範なシアリダーゼで消化した。反応後、MALDI−TOF質量分析により、シアル化N−グリカンの大部分が脱シアル化され、対応する中性N−グリカンに変換されたことが観察され、それらが、提案された単糖組成により示唆されるように、シアル酸残基(NeuAcおよび/またはNeuGc)を有していたことが示された。増殖培地中および骨原性培地中で増殖させたBM MSCの中性および脱シアル化(元シアル化)N−グリカン画分の組み合わせのグリカンプロファイルは、(脱シアル化型の)細胞試料から単離された全N−グリカンプロファイルに対応する。未分化BM MSC(骨原性培地中で増殖)においては、およそ53%のN−グリカンシグナルが高マンノース型N−グリカン単糖組成、8%が低マンノース型N−グリカン、31%が複合型N−グリカン、および7%がハイブリッド型または単分岐N−グリカン単糖組成に対応すると算出される。分化したBM MSC(骨原性培地中で増殖)においては、およそ28%のN−グリカンシグナルが高マンノース型N−グリカン単糖組成、9%が低マンノース型N−グリカン、50%が複合型N−グリカン、および11%がハイブリッド型または単分岐N−グリカン単糖組成に対応すると算出される。
実験手順の下で記載されるように、骨髄由来間葉系幹細胞を、それらの表面上のα2,3−結合シアル酸特異的(MAA)およびα2,6−結合シアル酸特異的(SNA)レクチンのリガンドの存在に関して分析した。MAAは強く細胞と結合したのに対し、SNAは弱く結合したことが明らかになり、細胞培養条件において細胞が、α2,6−結合シアル酸よりも有意に多いα2,3−結合シアル酸をその表面複合糖質上に有していたことが示された。本結果はレクチン染色を異なる細胞型の識別のためのさらなる手段として用いることができ、それが質量分析プロファイリングの結果を補完することを示唆する。
MSC株のシアル化N−グリカンプロファイルにおいて、異常なシアル酸残基による間葉系幹細胞複合糖質の汚染を示す特異的N−グリカンシグナルが観察された。まず、細胞を、ウマ血清のウシ等の添加動物血清とともに細胞培地中で培養した際、N−グリコリルノイラミン酸(Neu5Gc)による潜在的混入が検出された。NeuGc1Hex5HexNAc4の[M−H]−イオンに対応するm/z 1946、ならびにNeuGc1NeuAc1Hex5HexNAc4およびNeuGc2Hex5HexNAc4の[M−H]−イオンにそれぞれ対応するm/z 2237およびm/z 2253におけるグリカンシグナルは、Neu5Gc、すなわちN−アセチルノイラミン酸(Neu5Ac)よりも16Da大きい質量を有するシアル酸残基の存在を示した。さらに、細胞がウマ血清を添加した細胞培養液中で培養された際、O−アセチル化シアル酸による潜在的な混入が検出された。O−アセチル化シアル酸含有シアル化N−グリカンの検出のために用いられた特徴的シグナルには、算出されたm/z 1972.7、2263.8および2305.8における、それぞれ、Ac1NeuAc1Hex5HexNAc4、Ac1NeuAc2Hex5HexNAc4、およびAc2NeuAc2HeX5HeXNAc4の[M−H]−イオンが含まれた。
グリカンプロファイリング法の使用
本結果は、本グリカンプロファイリング法がCB MSC株およびBM MSC株を互いに、また臍帯血単核球集団等の他の細胞型から、識別するのに用いることができることを示している。分化に誘導された変化、および細胞培養液等からの潜在的グリカン混入もグリカンプロファイルにおいて検出することができ、細胞状態の変化が本方法により検出され得ることを示している。本方法は、以下で議論されるものを含むMSC特異的グリコシル化特性の検出にも用いることができる。
本結果は、BM MSC株が、臍帯血から単離された単核球よりも、他のNーグリカン構造群と比較して多くの高マンノース型N−グリカンおよび少ない低マンノース型N−グリカンを有することを示す。以下の実施例で培養ヒト胚幹細胞から得られた結果と併せて考えると、これは、天然の単離された幹細胞との比較における、培養された幹細胞の一般的傾向であることが示唆される。しかし、BM MSCの骨原性培地中での分化は有意な複合型N−グリカンの量の増加および高マンノース型N−グリカンの量の減少をもたらす。
本結果は、間葉系幹細胞株がそのグリコシル化の特異的特性:
1)CB MSC株およびBM MSC株の両者が固有の中性およびシアル化N−グリカンプロファイルを有する;
2)CBおよびBM MSC株の主要な特徴的構造特性は豊富な中性複合型N−グリカンである;
3)さらなる特徴的な特性は複合型N−グリカンの低シアル化水準である;
等に関して、本研究で研究された他の細胞型と異なることを示唆する。
ヒト胚幹細胞株のMALDI−TOF質量分析によるN−グリカンプロファイリング
細胞材料生成の例
ヒト胚幹細胞株(hESC)
未分化hESC
胚盤胞期の体外受精過剰ヒト胚からのhESC株の生成の方法は先に記載されている(例えばThomson et al.,1998)。本研究における分析された細胞株のうち2つは、最初に得られ、マウス胚線維芽細胞フィーダー(MEF;ICR系の交尾後12〜13の胎児)上で、2つはヒト包皮線維芽フィーダー細胞(HFF;CRL−2429 ATCC,Mananas,USA)上で培養された。本研究のため、全ての株をマイトマイシン−C(1μg/ml;Sigma−Aldrich)で処理したHFFフィーダー細胞に移し、2mM L−グルタミン/ペニシリンストレプトマイシン(Sigma−Aldrich)、20% Knockout Serum Replacement(Gibco)、1 X 非必須アミノ酸(Gibco)、0.1mM β−メルカプトエタノール(Gibco)、1 X ITSF(Sigma−Aldrich)および4ng/ml bFGF(Sigma/Invitrogen)を添加した無血清培地(Knockout(商標) D−MEM; Gibco(登録商標) Cell culture systems, Invitrogen, Paisley, UK)中で培養した。
胚様体(EB)の形成を誘導するため、hESCのコロニーを最初に10〜14日間増殖させ、その後該コロニーを小片に切断し、非接着性シャーレ上に移して浮遊培養を形成した。形成されたEBを次の10日間、bFGFを含まない標準培地(上記参照)中で浮遊培養した。
さらなる分化のため、EBを、ITS、フィブロネクチン(Sigma)、L−グルタミンおよび抗生物質を添加したDMEM/F12混合物(Gibco)からなる培地中の、ゼラチン被覆(Sigma−Aldrich)接着性培養皿上に移した。接着した細胞を10日間培養し、その後それらを回収した。
細胞を機械的に回収し、洗浄し、グリカン分析の前に凍結保存した。
中性N−グリカンプロファイル − 分化状態の影響
ヒト胚幹細胞(hESC)株、その胚様体(EB)分化型、およびそのステージ3(st.3)分化型から得られた中性N−グリカンプロファイル。細胞型は主要な中性N−グリカンシグナルに関しては互いに類似するが、2つの分化した細胞型の中性N−グリカンプロファイルは未分化hESCのプロファイルとは有意に異なる。実際、細胞型の分化が進むほど、その中性N−グリカンプロファイルは未分化hESCのプロファイルとより大きく異なってくる。プロファイル間の多数の相違が観察され、多くのグリカンシグナルは3つの細胞型のうち1つまたは2つにおいてのみ観察することができ、分化が新たなグリカン型の出現を誘導することが示唆される。分析は、各細胞型において、非シアル化N−グリカン成分に割り当てられた約40〜55個のグリカンシグナルの相対的割合を明らかにした。典型的には、グリカンプロファイルにおける細胞集団間の有意な相違は複数の実験を通して一貫している。
4つのhESC株から得られた中性N−グリカンプロファイルは互いによく似ている。個々のプロファイルの特徴および細胞株特異的グリカンシグナルはグリカンプロファイル中に存在するが、hESC株はそれらの中性N−グリカンプロファイルに関して互いにより類似しており、分化したEBおよびst.3細胞型とは異なっていると結論される。hESC株3および4は兄弟胚(sigling embryo)由来であり、それらの中性N−グリカンプロファイルは互いにより類似しており、2つの他の細胞株とは異なっていた:すなわち、それらは共通のグリカンシグナルを有していた。分析は、各細胞型において、非シアル化N−グリカン成分に割り当てられた約40〜55個のグリカンシグナルの相対的割合を明らかにした。典型的には、グリカンプロファイルにおける細胞集団間の有意な相違は複数の実験を通して一貫している。
分析された細胞型に対して提案された中性N−グリカンの分類を表6に示す。ここでも、分析された3つの主要な細胞型、すなわち未分化hESC、分化細胞、およびヒト線維芽細胞フィーダー細胞は、互いに有意に異なる。各細胞型内では、しかし、個々の細胞株間で小さな相違が存在する。さらに、分化と関連した中性N−グリカンの構造的特徴はst.3の分化した細胞において、EB細胞におけるよりも強く発現している。細胞型特異的グリコシル化特性を、以下、結論において考察する。
特異的エキソグリコシダーゼ消化を、先の実施例に記載されるhESC株から単離された中性N−グリカン画分に対して行った。α−マンノシダーゼ分析においては、いくつかの中性グリカンシグナルがα−マンノシダーゼ消化に対して感受性が高いことが示され、対応するグリカン構造における非還元末端α−マンノース残基の潜在的な存在が示唆された。hESCおよびEB細胞においては、これらのシグナルはm/z 917、1079、1095、1241、1257、1378、1393、1403、1444、1555、1540、1565、1581、1606、1622、1688、1743、1768、1905、1996、2041、2067、2158、および2320を含んでいた。β1,4−ガラクトシダーゼ分析においては、いくつかの中性グリカンシグナルがβ1,4−ガラクトシダーゼ消化に対して感受性が高いことが示され、対応するグリカン構造における非還元末端β1,4−ガラクトース残基の潜在的な存在が示唆された。hESCおよびEB細胞においては、これらのシグナルはm/z 609、771、892、917、1241、1378、1393、1555、1565、1606、1622、1647、1663、1704、1809、1850、1866、1955、1971、1996、2012、2028、2041、2142、2174、および2320を含んでいた。α1,3/4−フコシダーゼ分析においては、いくつかの中性グリカンシグナルがα1,3/4−フコシダーゼ消化に対して感受性が高いことが示され、対応するグリカン構造における非還元末端α1,3−および/またはα1,4−フコース残基の潜在的な存在が示唆された。hESCおよびEB細胞においては、これらのシグナルはm/z 1120、1590、1784、1793、1955、1996、2101、2117、2142、2158、2190、2215、2247、2263、2304、2320、2393、および2466を含んでいた。
先の実施例に記載された細胞型と同様に、本分析において、中性グリカン成分であって、グリカン群Hex2−12HexNAc1からの成分を含むそれらの提案された単糖組成に基づき可溶性グリカンに割り当てられたものが、全ての細胞型において同定された(図参照)。これらのグリカン成分の互いに対する、および他のグリカンシグナルに対する、存在量は、個々の試料および細胞型間で異なる。
ヒト胚幹細胞(hESC)株、その胚様体(EB)分化型、およびそのステージ3(st.3)分化型から得られたシアル化N−グリカンプロファイル。細胞型は主要なシアル化N−グリカンシグナルに関しては互いに類似するが、2つの分化した細胞型のシアル化N−グリカンプロファイルは未分化hESCのプロファイルとは有意に異なる。実際、細胞型の分化が進むほど、そのシアル化N−グリカンプロファイルは未分化hESCのプロファイルとより大きく異なってくる。プロファイル間の多数の相違が観察され、多くのグリカンシグナルは3つの細胞型のうち1つまたは2つにおいてのみ観察することができ、分化が新たなグリカン型の出現および幹細胞特異的グリカン型の量の減少を誘導することが示唆される。例えば、m/z 1946および2222における、それぞれ単糖組成NeuGc1Hex5HexNAc4およびNeuAc1Hex5HexNAc4dHex2に対応するグリカンシグナルの相対量の、分化と関連した有意な減少が存在する。分析は、各細胞型において、酸性N−グリカン成分に割り当てられた約50〜70個のグリカンシグナルの相対的割合を明らかにした。典型的には、グリカンプロファイルにおける細胞集団間の有意な相違は複数の実験を通して一貫している。
4つのhESC株から得られたシアル化N−グリカンプロファイルは互いによく似ている。個々のプロファイルの特徴および細胞株特異的グリカンシグナルはグリカンプロファイル中に存在するが、hESC株はそれらのシアル化N−グリカンプロファイルに関して互いにより類似しており、分化したEBおよびst.3細胞型とは異なっていると結論される。分析は、各細胞型において、酸性N−グリカン成分に割り当てられた約50〜70個のグリカンシグナルの相対的割合を明らかにした。典型的には、グリカンプロファイルにおける細胞集団間の有意な相違は複数の実験を通して一貫している。
ヒト線維芽細胞フィーダー細胞株から得られたシアル化N−グリカンプロファイルはhESC、EB、およびst.3分化細胞とは異なっており、hESC細胞と別々におよび一緒に増殖させたそのフィーダー細胞は互いに異なっている。
分析された細胞型に対して提案されたシアル化N−グリカンの分類を表7に示す。ここでも、分析された3つの主要な細胞型、すなわち未分化hESC、分化細胞、およびヒト線維芽細胞フィーダー細胞は、互いに有意に異なる。各細胞型内では、しかし、個々の細胞株間で小さな相違が存在する。さらに、分化と関連したシアル化N−グリカンの構造的特徴はst.3の分化した細胞において、EB細胞におけるよりも強く発現している。細胞型特異的グリコシル化特性を、以下、結論において考察する。
グリカンプロファイルの比較
細胞型間のグリカンプロファイルの相違は複数の試料および実験を通じて一貫しており、グリカンプロファイリングの本方法、および本グリカンプロファイルにおける相違を、hESCもしくはそこから分化した細胞またはフィーダー細胞等の他の細胞を同定するために、またはそれらの純度を測定するために、または試料中に存在する細胞型を同定するために、用いることができると示唆された。本方法および本結果は、細胞型特異的グリカンの構造的特徴または細胞型特異的グリカンプロファイルを同定するために用いることもできる。該方法は、hESC、EB、およびst.3分化細胞間での分析結果の比較により示されたように、特に分化段階の決定において有用であることが分かった。さらに、hESCは固有のグリコシル化プロファイルを有することが示され、これは分化した細胞型から、およびMSC等の他の幹細胞型から、識別することが可能であり、幹細胞一般および特定の幹細胞型も本方法により同定することができることが示唆された。本方法は、兄弟胚由来のhESC株に共通のグリカン構造も検出することができ、本方法によって、異なる細胞株において関連する構造的特徴を同定し得ること、またはそれらの類似性を評価し得ることが示唆された。
分析された細胞型間のグリコシル化プロファイルの相違を、提案された構造的特徴に基づき同定し、これを細胞型特異的グリカンの構造的特徴の同定のために用いることができる。同定された中性N−グリカンプロファイルの細胞型特異的特徴は以下のように結論される。
1)増加した量のフコシル化中性N−グリカン、特に鎖あたり2つ以上ののデオキシヘキソース残基を有するグリカン。α1,2−、α1,3−、またはα1,4−結合フコース残基を有する中性N−グリカンの増加した発現を表す;そして
2)増加した量の、より大型の中性N−グリカン。
1)より少ない量の、鎖あたり2つ以上のデオキシヘキソース残基を有する中性N−グリカン。α1,2−、α1,3−、またはα1,4−結合フコース残基を有する中性N−グリカンの減少した発現を表す;
2)増加した量のハイブリッド型、単分岐、および複合型中性N−グリカン。
3)増加した量の末端HexNAc残基;そして
4)潜在的に増加した量の二分岐GlcNAc構造。
1)増加した量の、より大型の中性N−グリカン;
2)より少ない量の、鎖あたり2つ以上のデオキシヘキソース残基を有する中性N−グリカン。α1,2−、α1,3−、またはα1,4−結合フコース残基を有する中性N−グリカンの減少した発現を表す;
3)増加した量の末端HexNAc残基;そして
4)潜在的に二分岐GlcNAc構造を有しない。
分析された細胞型間のグリコシル化プロファイルの相違を提案された構造的特徴に基づき同定し、これを細胞型特異的グリカンの構造的特徴を同定するために用いることができる。シアル化N−グリカンプロファイルの同定された細胞型特異的な特徴は以下のように結論された。
1)増加した量のフコシル化シアル化N−グリカン、特に鎖あたり2つ以上ののデオキシヘキソース残基を有するグリカン。α1,2−、α1,3−、またはα1,4−結合フコース残基を有するシアル化N−グリカンの増加した発現を表す;
2)増加した量の末端HexNAc残基;そして
3)増加した量のNeu5Gc含有シアル化N−グリカン。
1)より少ない量の、鎖あたり2つ以上のデオキシヘキソース残基を有するシアル化N−グリカン。α1,2−、α1,3−、またはα1,4−結合フコース残基を有するシアル化N−グリカンの減少した発現を表す;
2)増加した量のハイブリッド型または単分岐シアル化中性N−グリカン;そして
3)潜在的に増加した量の二分岐GlcNAc構造。
1)増加した量の、より大型のシアル化N−グリカン;
2)より少ない量の末端HexNAc残基;そして
3)潜在的に、より少ない量の二分岐GlcNAc構造。
ヒト胚幹細胞のレクチンおよび抗体プロファイリング
実験手順
細胞試料
ヒト胚幹細胞(hESC)株FES22およびFES30(Family Federation of Finland)を、上記のように、マウスフィーダー細胞(mEF)層上で増殖させた。
フルオレセインイソチオシアネート(FITC)標識レクチンをいくつかの製造者から購入した:FITC−GNA、−HHA、−MAA、−PWA、−STAおよび−LTAはEY Laboratories (USA)から;FITC−PSAおよび−UEAならびにビオチン標識WFAはSigma(USA)から;およびFITC−RCA、−PNAおよび−SNAはVector Laboratories (UK)から。
表19に、試験したFITC標識レクチンおよび抗体、それらの標的単糖配列の例、ならびに、顕微鏡スライド上の増殖させた固定細胞の蛍光顕微鏡検査における、表の説明文中に記載されるようにグレード分けされたレクチン結合強度を示す。用いたレクチンの複数の結合特異性が当該分野において記載されており、一般に本実験におけるレクチンの結合は細胞がその表面上にレクチンに対する特異的リガンドを発現していることを意味するが、該レクチンによって認識される他のリガンドの存在も排除しない。GF抗体の特異性については実施例14を参照のこと。
Pisum sativum (PSA)レクチンによるmEFの多量の標識は、それらがマンノース、より具体的にはN−グリカン等のそれらの表面(または細胞内)複合糖質上のα結合マンノース残基およびコアFucα6エピトープを発現することを示唆する。結果はさらに、両者hESC株がこれらのリガンドをそれらの表面上にmEFほど高い濃度では発現しないことを示唆する。
hESCの、ピーナッツレクチン(PNA)による、多量の標識、およびRicinus communisレクチンI(RCA−I)による、より弱い標識は、hESCがβ結合非還元末端ガラクトース残基をN−および/またはO−グリカン等のその表面複合糖質上に発現していることを示唆する。より具体的には、RCA−Iの結合は、細胞が多量の非置換Galβエピトープをその表面上に有していることを示唆する。PNAの結合は、非置換Galβの存在を示唆し、mEFに対するPNAの特異的結合が無いことは、このレクチンの結合エピトープが、mEFにおいて、より少ないことを示唆する。
Maackia amurensis(MAA)およびSambucus nigra(SNA)レクチンの両者によるhESCの特異的標識は、細胞がシアル酸残基を、N−および/もしくはO−グリカンならびに/または糖脂質等のその表面複合糖質上に発現していることを示唆する。より具体的には、hESCの特異的なMAAの結合は、該細胞が多量のα2,3−結合シアル酸残基を有していることを示唆する。一方、結果は、これらのエピトープがmEFにおいてはより少ないことを示唆する。両細胞型におけるSNAの結合は、細胞表面上のシアル酸残基におけるα2,6−結合の存在も示唆する。
アメリカヤマゴボウ(PWA)レクチンによる、細胞の標識、およびSolanum tuberosum(STA)レクチンによる、より弱い標識は、細胞がポリ−N−アセチルラクトサミン配列をN−および/もしくはO−グリカンならびに/または糖脂質等のその表面複合糖質上に発現していることを示唆する。結果はさらに、細胞表面ポリ−N−アセチルラクトサミン鎖が直鎖および分岐鎖配列の両者を含んでいることを示唆する。
Wisteria floribundaレクチン(WFA)によるhESCの多量の標識は、hESCがβ−結合非還元末端N−アセチルガラクトサミン残基を、N−および/またはO−グリカン等のその表面複合糖質上に発現していることを示唆する。mEFに対するWFAの特異的結合が無いことは、前記レクチンリガンドエピトープが、mEFにおいて、より少ないことを示唆する。
Ulex europaeus(UEA)による、細胞の標識、およびLotus tetragonolobus(LTA)レクチンによる、より弱い標識は、細胞がフコース残基をN−および/もしくはO−グリカンならびに/または糖脂質等のその表面複合糖質上に発現していることを示唆する。より具体的には、UEAの結合は、細胞がα1,2−結合フコース残基等のα結合フコース残基を有していることを示唆する。LTAの結合は、α1,3−またはα1,4−結合フコース残基等のα−結合フコース残基の細胞表面上における存在を示唆する。
前記の2つのhESC株FES22およびFES30に異なって結合し、hESC細胞表面の細胞株特異的グリコシル化が示唆された(表19)。
Venable, A. et al.(2005 BMC Dev. Biol.)は、マウスフィーダー細胞上で増殖させたSSEA−4を多く含むヒト胚幹細胞(hESC)のレクチン結合プロファイルを先に記載した。用いたレクチンは、Lycopersicon esculentum(LEA、TL)、RCA、Concanavalin A(ConA)、WFA、PNA、SNA、Hippeastrum hybrid(HHA、HHL)、Vicia villosa(VVA)、UEA、Phaseolus vulgaris(PHA−LおよびPHA−E)、MAA、LTA(LTL)、およびDolichos biflorus(DBA)レクチンであった。FACSおよび細胞化学分析においては、4種のレクチンがSSEA−4と同様な結合割合を有する(LEA、RCA、ConA、およびWFA)ことが見出され、さらに2種のレクチンも高い結合割合を有していた(PNAおよびSNA)。2種のレクチンはhESCに結合しなかった(DBAおよびLTA)。6種のレクチンは部分的にhESCに結合することが見出された(PHA−E、VVA、UEA、PHA−L、MAA、およびHHA)。著者らは、前記の相違するレクチン結合特異性を、炭水化物提示に基づくhESCおよび分化したhESC型の識別に用いることができることを示唆した。
ヒト間葉系幹細胞のレクチンおよび抗体プロファイリング
実験手順
細胞サンプル
骨髄由来ヒト間葉系幹細胞株(MSC)を生成し、上記のように増殖培地中で培養した。
フルオレセインイソチオシアネート(FITC)標識レクチンをいくつかの製造者から購入した:FITC−GNA、−HHA、−MAA、−PWA、−STAおよび−LTAはEY Laboratories(USA)から;FITC−PSAおよび−UEAはSigma(USA)から;およびFITC−RCA、−PNAおよび−SNAはVector Laboratories(UK)から。レクチンはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の1%ヒト血清アルブミン(HSA;FRC Blood Service、Finland)中において5μg/105細胞に希釈して用いた。
レクチン結合のフローサイトメトリー分析を用いてMSCの細胞表面炭水化物発現を分析した。継代9〜11における90%コンフルエントのMSC層をPBSで洗浄し、0.25%トリプシン−1mM EDTA溶液(Gibco)により回収し、単細胞懸濁液にした。トリプシン処理は穏やかに行うようにしたが、抗体による実験と比較して、認識される構造の一部は部分的に失われるか、または減少する場合があると考えられる。剥がされた細胞を600gで5分間室温にて遠心分離した。細胞ペレットを2回1% HSA−PBSで洗浄し、600gで遠心分離し、1% HSA−PBS中に再懸濁した。細胞を、コニカルチューブ中に70000〜83000細胞ずつに小分けにして入れた。小分けした細胞をFITC標識レクチンの一つとともに20分間室温にてインキュベートした。インキュベート後、細胞を1% HSA−PBSで洗浄し、遠心分離し、1% HSA−PBS中に再懸濁した。非処理細胞を対照として用いた。レクチン結合はフローサイトメトリー(FACSCalibur, Becton Dickinson)により検出した。データ分析はWindows(登録商標) Multi Document Interface for Flow Cytometry (WinMDI 2.8)を用いて行った。2回の独立した実験を行った。
表20に、試験したFITC標識レクチン、その標的単糖配列の例、および穏やかなトリプシン処理後のFACS分析における陽性レクチン結合を示す細胞の量(%)を示す。表21に、試験したFITC標識レクチン、その標的単糖配列の例、および、顕微鏡スライド上の増殖させた固定細胞の蛍光顕微鏡検査における、表の説明文中に記載されるようにグレード分けされたレクチン結合強度を示す。用いたレクチンの結合特異性は当該分野において記載されており、一般に本実験におけるレクチンの結合は細胞がその表面上にレクチンに対する特異的リガンドを発現していることを意味する。以下に議論される特異性の一部および表中に記されるものの例は、従って事実上非排他的である。
Hippeastrum hybrid(HHA)およびPisum sativum(PSA)レクチン両者による細胞の多量の標識は、それらがマンノース、より具体的にはN−グリカン等のそれらの表面複合糖質上のα結合マンノース残基を発現することを示唆する。有り得るα−マンノース結合としては、α1→2、α1→3、およびα1→6等が挙げられる。Galanthus nivalis(GNA)レクチンの低結合は、細胞表面上の一部のα−マンノース結合が他よりも優勢であることを示唆する。
Ricinus communisレクチンI(RCA−I)による細胞の多量の標識およびピーナッツレクチン(PNA)によるより弱い標識は、細胞がβ結合非還元末端ガラクトース残基をN−および/またはO−グリカン等のその表面複合糖質上に発現していることを示唆する。より具体的には、強いRCA−I結合は、細胞が多量の非置換Galβエピトープをその表面上に有していることを示唆する。RCA−Iの結合はレクチン結合前の細胞のシアリダーゼ処理により増加し、MSC上のRCA−Iのリガンドが本来部分的にシアル酸残基に被覆されていたことを示唆している。PNA結合は、コア1 O−グリカンエピトープ等の他の型の非置換Galβエピトープの細胞表面上における存在を示唆する。PNAの結合もレクチン結合前の細胞のシアリダーゼ処理により増加し、MSC上のPNAのリガンドが本来ほとんどシアル酸残基により被覆されていたことを示唆する。これらの結果は、RCA−IおよびPNAの両者を、BM MSCの細胞表面上のそれらの特異的リガンドの量を評価するために、それらの特異的エピトープのシアル化水準を評価するためのシアリダーゼ処理と併せて、または併せずに、用いることができることを示唆する。
Maackia amurensis(MAA)による細胞の多量の標識、およびSambucus nigra(SNA)レクチンによるより弱い標識は、細胞がシアル酸残基を、N−および/もしくはO−グリカンならびに/または糖脂質等のその表面複合糖質上に発現していることを示唆する。より具体的には、強いMAA結合は、細胞が多量のα2,3−結合シアル酸残基をその表面上に有していることを示唆する。SNA結合は、α2,6−結合シアル酸残基が細胞表面上に存在するが、しかしα2,3−結合シアル酸よりも少量であることを示唆する。これら両者のレクチン結合活性はシアリダーゼ処理により減少する可能性があり、BM MSCにおけるレクチンの特異性がほぼシアル酸を標的としていることを示唆している。
Solanum tuberosum(STA)による細胞の標識およびアメリカヤマゴボウ(PWA)レクチンによるより弱い標識は、細胞がポリ−N−アセチルラクトサミン配列をN−および/もしくはO−グリカンならびに/または糖脂質等のその表面複合糖質上に発現していることを示唆する。STAによる、PWAによるよりも強い標識は、細胞表面ポリ−N−アセチルラクトサミン配列のほとんどが直鎖であり、分岐または置換された鎖ではないことを示唆する。
Ulex europaeus(UEA)による細胞の標識およびLotus tetragonolobus(LTA)レクチンによるより弱い標識は、細胞がフコース残基をN−および/もしくはO−グリカンならびに/または糖脂質等のその表面複合糖質上に発現していることを示唆する。より具体的には、UEAの結合は、細胞がα1,2−結合フコース残基等のα結合フコース残基をその表面上に有していることを示唆する。LTAの結合は、α1,3−結合フコース残基等のα結合フコース残基が細胞表面上に存在するが、しかしUEAリガンドフコース残基よりも少量であることを示唆する。
弱い標識強度が、フルオレセイン標識に結合したヒト血清マンノース結合レクチン(MBL)でも検出され、この先天性免疫系成分に対するリガンドがin vitro培養したBM MSC細胞表面上に発現している場合があることを示唆している。
ヒト臍帯血細胞集団のレクチンおよび抗体プロファイリング
結果および考察
図1に、7つの個々の臍帯血単核球(CB MNC)調製物に結合するFITC標識レクチンのFACS分析の結果を示す(実験は上記の通り行った)。GNA、HHA、PSA、MAA、STA、およびUEA FITC標識されたレクチンによる強い結合が全ての試料で観察され、それらの特異的リガンド構造のCB MNC細胞表面上における存在が示唆される。中程度(mediocre)の結合(PWA)、CB試料間で異なる結合(PNA)、および弱い結合(LTA)も観察され、これらレクチンに対するリガンドはCB MNC細胞表面上において上記レクチンのように様々であるかまたはより希であることが示唆される。
ヒト幹細胞および細胞集団の全N−グライコームの分析
実験手順
細胞およびグリカン試料を先の実施例のように調製した。
[式中、IneutralおよびIcombinedは、中性および併せられたN−グリカン画分それぞれにおける、m/z 1257、1419、1581、1743および1905における5つの高マンノース型N−グリカンの[M+Na]+イオンシグナルの相対強度の合計に相当する]
に従って計算された。
分析された幹細胞型における酸性N−グリカン画分の相対的割合は次の通りであった:ヒト胚幹細胞(hESC)においては約35%(シアル化および中性N−グリカンの割合は約1:2)、ヒト骨髄由来間葉系幹細胞(BM MSC)においては約19%(シアル化および中性N−グリカンの割合は約1:4)、骨芽細胞に分化したBM MSCにおいては約28%(シアル化および中性N−グリカンの割合は約1:3)、およびヒト臍帯血(CB)CD133+細胞においては約38%(シアル化および中性N−グリカンの割合は約2:3)。
ヒト胚幹細胞N−グライコームの分析
実験手順
ヒト胚幹細胞株(hESC)
4つのフィンランド人hESC株、FES21、FES22、FES29、およびFES30が本研究で用いられた。該株の生成は記載されている(Skottman et al.,2005、およびM.M.,C.O.,T.T.,and T.O.,投稿中)。本研究において分析された細胞株のうち2つは、最初に得られ、マウス胚線維芽細胞フィーダー上で、および2つはヒト包皮線維芽フィーダー細胞上で培養された。質量分析法のため、全ての株をマイトマイシン−C(1μg/ml;Sigma−Aldrich, USA)で処理したHFFフィーダー細胞上に移し、2mM L−グルタミン/ペニシリンストレプトマイシン(Sigma−Aldrich)、20% Knockout Serum Replacement(Gibco)、1 X 非必須アミノ酸(Gibco)、0.1mM β−メルカプトエタノール(Gibco)、1 X ITS(Sigma−Aldrich)および4ng/ml bFGF(Sigma/Invitrogen)を添加した無血清培地(Knockout(商標) D−MEM; Gibco(登録商標) Cell culture systems, Invitrogen, UK)中で培養した。胚様体(EB)の形成を誘導するため、hESCのコロニーを最初に10〜14日間増殖させ、その後該コロニーを小片に切断し、非接着性シャーレ上に移して浮遊培養を形成した。形成されたEBを次の10日間、bFGFを含まない標準培地(上記参照)中で浮遊培養した。さらなる分化(ステージ3分化細胞へ)のため、EBを、ITS、フィブロネクチン(Sigma)、L−グルタミンおよび抗生物質を添加したDMEM/F12混合物(Gibco)からなる培地中の、ゼラチン被覆(Sigma−Aldrich)接着性培養皿上に移した。接着した細胞を10日間培養し、その後それらを回収した。グリカン分析のため、細胞を機械的に回収し、洗浄し、分析まで凍結保存した。FACS分析において、機械的に単離したhESCコロニーからの70〜90%の細胞が典型的にはTra1−60およびTra1−81陽性であった(不掲載)。胚様体(EB)に分化した細胞、およびEBから単層として増殖したさらに分化した細胞(ステージ3分化)を、hESCに対する比較のために用いた。分化のプロトコルは神経上皮細胞の発生に有利であるが、異なる最終分化細胞型への分化は導かない(Okabe et al., 1996)。ステージ3の培養物は、線維芽細胞様およびニューロンの形態が優位を占める、細胞の不均質な集団からなっていた。
アスパラギン結合グリカンを、基本的に記載(Nyman et al., 1998)の通りに、F.meningosepticum N−グリコシダーゼF消化(Calbiochem、USA)によって細胞糖タンパク質から遊離させた。遊離したグリカンを、シアル酸残基の負電荷に基づき、シアル化および非シアル化画分に分けた。細胞の混入を、基本的に先の記載(Verostek et al.,2000)のように、グリカンの80−90%(v/v)含水アセトンを用いた−20℃における沈殿および60%(v/v)氷冷メタノールを用いたそれらの抽出により除去した。次いでグリカンを水中でC18シリカ樹脂(BondElut、Varian、USA)に通し、先の方法(Davies et al.,1993)に基づき多孔質グラファイトカーボン(Carbograph、Alltech、USA)に吸着させた。カーボンカラムを水で洗浄し、次いで中性グリカンを水中の25%(v/v)アセトニトリルで溶出し、シアル化グリカンを水中の25%アセトニトリル(v/v)中の0.05%(v/v)トリフルオロ酢酸で溶出した。両グリカン画分をさらに水中で強陽イオン交換樹脂(Bio−Rad,USA)およびC18シリカ樹脂(ZipTip, Millipore,USA)に通した。シアル化グリカンをさらに、それらをn−ブタノール:エタノール:水(10:1:2、v/v)中で微結晶性セルロースに吸着させ、同一の溶媒で洗浄し、50%エタノール:水(v/v)で溶出することにより、精製した。上記の全ての工程は小型クロマトグラフィーカラム上で行い、少ない溶出および処理容量を用いた。グリカン分析法はヒト細胞試料を5人の異なる個人による分析にかけることで確実なものとした。結果は、特に個々のグリカンシグナルおよびその相対シグナル強度の検出に関して、高度に類似しており、本方法の信頼性が異なる細胞型からの分析結果の比較に適したものであることが示された。
MALDI−TOF質量分析を、Bruker Ultraflex TOF/TOF装置(Bruker、Germany)を用いて、基本的に記載(Saarinen et al.,1999)のように行った。中性およびシアル化グリカン成分の相対モル存在量は、質量スペクトル中のそれらの相対シグナル強度に基づき正確に付与され得る(Naven and Harvey, 1996; Papac et al.,1996; Saarinen et al., 1999; Harvey,1993)。質量分析法の各工程は合成グリカンの混合物またはヒト細胞から抽出されたグリカン混合物によってその再現性を管理した。質量分析の粗データを、同位体パターン重複、複数のアルカリ金属付加物(alkali metal adduct)のシグナル、還元オリゴ糖からの水の除去産物、および、試料の本来のグリカンから生じたものではない他の干渉する質量分析シグナルの影響を注意深く排除することにより、本グリカンプロファイルに変換した。示されたグリカンプロファイル中に生じたグリカンシグナルは試料間の比較を可能にするために100%に対して標準化した。2つのグリカンプロファイル間の量的相違(%)は式:
[式中、pはプロファイルaまたはbにおけるグリカンシグナルiの相対存在量(%)であり、nはグリカンシグナルの総数である]
により算出した。
中性N−グリカン画分を、タチナタマメα−マンノシダーゼ(Canavalia ensiformis; Sigma, USA)を用いて、基本的に記載(Saarinen et al., 1999)に従い、消化にかけた。酵素の特異性はヒト組織から単離されたグリカンおよび精製されたオリゴ糖を用いて制御した。
NMR分析のため、多量のhESCをマウスフィーダー細胞(MEF)層上で増殖させた。回収されたhESC試料の純度(約70%)はHFF上で増殖させた質量分析試料におけるよりも低かった。しかし、同一のH5−9N2グリカンがMEFおよびhESCの両者において主要な中性N−グリカンシグナルであった。単離されたグリカンを、さらにゲル濾過高圧液体クロマトグラフィーにより、Superdex peptide HR 10/30(Amersham)中で、水(中性グリカン)または50mM NH4HCO3(シアル化グリカン)を溶出液として用いて、1ml/分の溶出速度で、分析のために精製した。溶出液を214nmで測定し、オリゴ糖を外部標準に対して定量した。NMR分析におけるN−グリカンの量は5ナノモル未満であった。
3種類全ての分化ステージ(hESC、EB、およびst.3)のグリカンスコア分布を、クラスカル・ワリス検定により分析した。対比較を、ウェルチの近似を用いた両側スチューデントt検定および両側マンホイットニーU検定により行った。0.05未満のp値を有意とみなした。
フルオレセイン標識レクチンはEY Laboratories(USA)からのものであり、染色は基本的に製品の説明書に従って行った。染色の特異性は、特異的オリゴおよび単糖によるレクチンの結合の阻害による並行実験において制御した。
hESC N−グライコームの質量分析プロファイリング
hESC、胚様体(embryonic bodies)、およびさらに分化した細胞のグリカンプロファイルを生成するため、MALDI−TOF質量分析を基盤とした分析を行った。我々は、タンパク質の最も一般的な種類の翻訳後修飾、アスパラギン結合グリカン(N−グリカン)を細胞糖タンパク質から酵素的に遊離したものに焦点を当てた。グリカンの単離および精製の過程で、全N−グリカンプールを、イオン交換工程によって中性N−グリカンおよびシアル化N−グリカンに分離した。次いで、これら2つのグリカン画分を別々に質量分析プロファイリングにより分析し(図12)、これにより試料のN−グリカンのレパートリーの全体像を生成した。観察されたグリカンシグナルの相対存在量をそれらの相対シグナル強度に基づいて決定し(Naven and Harvey, 1996; Papac et al., 1996; Saarinen et al., 1999)、これにより試料間のグライコームの相違の定量的な比較が可能となった。100個超のN−グリカンシグナルが各細胞型から検出された。
中性N−グリカンは中性およびシアル化N−グリカンを組み合わせたプールのうち約3分の2を構成していた。hESC株の50個の最も多量な中性N−グリカンシグナルを図12a(灰色のカラム)に示す。グリカンシグナルの変異が少ないことにより示されるプロファイルの類似性は、4つの細胞株が互いによく似ていることを示唆する。例えば、20個の最も多量なグリカンシグナルのうちの15個は、全てのhESC株において同一であった。5つの最も多量のシグナルがhESCの中性N−グリカンのうちの76%を構成しており、プロファイルにおいて優勢であった。
シアル化N−グリカン画分における全てのN−グリカンシグナル(図12b、灰色のカラム)はシアル酸残基(S:N−アセチル−D−ノイラミン酸、またはG:N−グリコリル−D−ノイラミン酸)を含む。4つのhESC株における50個の最も多量なシアル化N−グリカンは、中性N−グリカンよりも個々の細胞株間で大きな変異を示していた。しかし、4つの細胞株はこの場合も互いに類似していた。5つの最も多量なシアル化N−グリカンシグナルは全ての細胞株において同一であった:S1H5N4F1、S1H5N4F2、S2H5N4F1、S1H5N4、およびS1H6N5F1(略号については図12参照)。シアル化グリカンシグナルの大部分(61%、8つのシグナルにおける)はH5N4コア組成を含み、シアル酸(SまたはG)およびデオキシヘキソース(F)残基の量の相違によってのみ異なっていた。同様に、他の一般的なコア構造はH6N5(12%、7つのシグナルにおける)であった。これは、細胞におけるスペクトルの全領域のN−グリカン構造をもたらす生合成機構を浮き彫りにする:N−グリカンは典型的には各種エピトープの付加によって修飾された一般的コア構造からなる。
4つのhESC株は同一の全体のN−グリカンプロファイルを共有していたが、プロフィール内に細胞株特異的な変異が存在した。各細胞株に固有の個々のグリカンシグナルが検出され、全ての細胞株が、それらが合成した約100個の最も多量なN−グリカン構造に関して、互いにわずかに異なっていたことが示唆された。
本研究の主要な目的は幹細胞または分化した細胞のいずれかに特異的であり、従って分化段階のマーカーとして役立ち得るグリカン構造を同定することであった。hESCのN−グライコームが分化中に変化を受けるか決定するため、hESC、EB、およびステージ3分化細胞から得たN−グリカンプロファイルを比較した(図12)。分化した細胞型(EBおよびst.3)のプロファイルは未分化hESCのプロファイルとは有意に異なっており、これは多くのグリカンシグナルにおける重ならない分布バー(distribution bar)により示された。さらに、hESCおよびEBの両者に存在するがステージ3分化細胞では検出されない多数のシグナルが存在した。全体で、hESCに存在するグリカンシグナルの10%がステージ3分化細胞において消失していた。同時に多数の新規シグナルがEBおよびステージ3分化細胞に出現した。EBおよびステージ3分化細胞におけるそれらの割合はそれぞれ14%および16%であった。hESCに特徴的であったグリカンシグナルは典型的にはEBにおいて減少し、ステージ3分化細胞ではさらに減少したかまたは完全に消失した。しかし、最も一般的であった100個のグリカンシグナルのうち、hESCのシグナルであってEBで発現されていなかったものは存在せず、EBのN−グライコームがhESCとステージ3分化細胞との中間物であることが示唆された。
ヒトN−グリカンは高マンノース型、ハイブリッド型、および複合型N−グリカンの主要な生合成群(biosynthetic groups)に分けることができる。これらN−グリカン群のhESCおよびその子孫における存在を決定するため、ヒトN−グリカンの生合成の確立した経路(Kornfeld and Kornfeld,1985; Schachter,1991)を利用し、各シグナルの単糖組成に一致する確からしい構造の割当てを行った。ここでは、検出されたN−グリカンシグナルを、NおよびH残基の数によって4つのN−グリカン群:提案された単糖組成における2個のN残基(N=2)によって両者とも特徴付けられる1)高マンノース型および2)低マンノース型N−グリカン、3)3個のN残基(N=3)によって特徴付けられるハイブリッド型または単分岐N−グリカン、ならびに4)4個以上のN残基(N≧4)によって特徴付けられる複合型N−グリカン、に分類した。これは近似であり:例えば、複合型N−グリカンに加え、ハイブリッド型および単分岐型N−グリカンも3個を超えるN残基を有する場合がある。
検出された質量および確からしい単糖組成に基づき行われたグリカン構造の割当ての妥当性を検証するため、選択された中性およびシアル化N−グリカンの酵素分解およびプロトン核磁気共鳴分析(1H−NMR)を行った。
上記のグリカンシグナルの分類は、N−グリカンのコア配列の変化を示唆した。本データは、N−グリカンコア構造に付加された各種エピトープ、すなわち多くの個々のグリカンシグナル中に存在するグリカン特性、の相違も示唆した。このようなグリカンの構造特性を定量するため、N−グライコームのデータを、類似した特徴をその提案された単糖組成において共有するグリカンシグナル群にさらに分類した(表22、列F〜IおよびM〜P)。その結果、EBおよびステージ3分化細胞試料における分化と関連したグリカンシグナルの大部分がhESC特異的グリカンとは異なる群に分類された。複雑なフコシル化を有するグリカンシグナル(表22、列N)は未分化hESCと関連しており、一方、潜在的な末端N−アセチルヘキソサミン(表22、列HおよびP)を有するグリカンシグナルは分化した細胞と関連していた。
シアル化N−グリカンプロファイルにおける分化段階と関連した変化は、中性N−グリカン画分におけるよりもより激しく、5つの最も多量なシアル化N−グリカンシグナルの群が全ての分化段階において異なっていた(図12b)。特に、グリカンS1H5N4F2およびS1H5N4F3、ならびに、提案された単糖組成において少なくとも2つのデオキシヘキソース残基を有していた(F≧2)他のグリカンシグナルの相対量の、分化と関連した有意な減少があった。一方、Fを含まなかったS2H5N4等のグリカンシグナルは分化した細胞型において増加した。結果は、未分化のhESCにおけるシアル化N−グリカンが、分化した細胞型におけるよりも複雑なフコシル化を受けやすいことを示唆した(表22、列N)。
分化中に増加したN−グリカンシグナルの群は、等しい量のN−アセチルヘキソサミンおよびヘキソース残基(N=H)をそれらの単糖組成、例えばS1H5N5F1中に含んでいた。これは非還元末端N−アセチルヘキソサミン残基を有する構造と一致した。通常、N−グリカンコア構造はN−アセチルヘキソサミン残基よりも多くのヘキソースを有する。しかし、複合型N−グリカンがヘキソースによってキャップされていない末端N−アセチルヘキソサミン残基を有する場合、それらの単糖組成はN=HまたはN>Hのいずれかに変化する。EBおよびステージ3分化細胞は増加した量の潜在的末端N−アセチルヘキソサミン構造を示し、分化中にそのN=H構造特性は中性およびシアル化両者のN−グリカンプールにおいて増加した(表22、列IおよびP)が、N>H構造特性は中性N−グリカンプールにおいて上昇し、しかしシアル化N−グリカンプールにおいて減少した(表22、列HおよびO)。
グライコームプロファイルの分析は、分析したhESC株および分化した細胞が分化段階特異的N−グリカン特性を有していたことを示唆した。しかし、データは、個々のhESC株のN−グリカンプロファイルが互いに相違しており、特にhESC株FES22は他の3つの幹細胞株から異なっていたことも示した(表22、列CおよびI)。得られたN−グリカンプロファイルが、細胞株特異的変異を考慮した際においても、hESCと分化した細胞との間を判別するであろうアルゴリズムを生成するために使用できるかを試験するため、表22のデータを用いて分析を行った。hESC株FES29およびそれに由来する胚様体(EB29)を計算のためのトレーニンググループ(training group)として選択した。アルゴリズム、グリカンスコア(式1)を、FES29においてEB29におけるよりも少なくとも2倍大きかったそれらの構造特性の合計と定義し(表22における列N)、そこからEB29においてFES29におけるよりも少なくとも2倍大きかった構造特性の割合の合計を引いた(表22における列C、I、JおよびP):
グリカンスコア=N−(C+I+J+P) (1)
[式中、文字は表22の列の番号を表す]。
実用的観点から、幹細胞の研究には細胞表面上の標的構造の同定が最も役立つであろう。同定した個々のグリカン構造が細胞表面上でそれらを標的とする試薬にとって到達可能であるか調査するため、2つの候補となる構造型のレクチン標識を行った。レクチンはグリカンを認識するタンパク質であり、hESCにおいても特定のグリカン構造に対する特異性を有する(Venable et al.,2005)。hESCにおけるグリカン成分の局在を分析するため、マウスフィーダー細胞層上で増殖させた幹細胞コロニーを、フルオレセイン標識したレクチンによりin vitroで標識した(図2)。hESC細胞表面は、α2,3−結合シアル化を有する構造を認識するMaackia amurensis凝集素(MAA)により明瞭に標識され、シアル化グリカンがhESC細胞表面上に豊富であることが示唆された(図2a)。このようなグリカンは、従って、抗体等のより特異的なグリカン認識試薬による識別のために利用可能であろう。一方、細胞表面はα−マンノシル化グリカンを認識するPisum sativum凝集素(PSA)によっては標識されなかった(図2b)。しかし、PSAは透過処理(permeabilization)後の細胞は標識し(データ不掲載)、hESCにおけるマンノシル化N−グリカンは小胞体(ER)またはゴルジ複合体等の細胞内区画に局在していたことが示唆された。興味深いことに、マウス線維芽細胞は相補的な染色様式を示し、これらのレクチン試薬が効果的にhESCとフィーダー細胞とを識別したことが示唆された。まとめると、結果は、同定されたグリカン構造がhESCを標的とする特異的試薬の設計に利用できることを示唆した。
4つのhESC株のN−グリカンプロファイルは類似した全体的なプロファイル形状を共有するが、細胞株特異的変異がN−グリカンプロファイル中に存在した。各細胞株に固有の個々のグリカンシグナルが見出され、全ての細胞株が、それらが合成する約100個の最も多量なグリカン構造に関して、互いにわずかに異なっていたことが示唆された。これを、中性および酸性N−グリカン画分の両者からの全ての検出されたグリカンシグナルを合わせたベン図として、34aに示す。FES29およびFES30は兄弟胚に由来するが、それらのN−グリカンプロファイルは、互いに、それらがベン図においてFES21に類似するほどにはよく似ていなかった。さらに、核型XXを有するFES30は、3つのXY hESC株とは有意に異なっていなかった。
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ヒトおよびマウス線維芽細胞フィーダー細胞の分析
マウス(mEF)およびヒト(hEF)線維芽細胞フィーダー細胞を調製し、それらのN−グリカン画分を先の実施例に記載するように分析した。
結果は、mEFおよびhEF細胞N−グリカン画分は互いに有意に相違することを示した。この相違としては、該細胞試料から得られた、異なったグリカン群の割合、主要なグリカンシグナル、およびグリカンプロファイル等が挙げられる。さらに、主要な相違は、本発明の先の実施例で考察された、mEF細胞におけるGalα3Galエピトープの存在である。
ヒト胚幹細胞のグライコームはそれらの分化段階を反映する
本発明において、我々はhESC、EB、およびステージ3分化細胞のN−グライコームプロファイルを分析した(図4)。
本データは、hESCのグライコームプロファイリングを示す:
・hESCは100超のグリカン成分からなる固有のN−グライコームを有する
・分化は、hESCのN−グライコームおよび細胞表面の分子環境の大きな変化を誘導する
hESCグライコームデータの利用:
・例えば抗体開発のための、新規幹細胞マーカーの同定
・幹細胞製品の品質管理
・hESC分化段階の同定
・hESC株間の変異の管理
・hESCの状態に対する外的要因および培養条件の影響
多能性hESCに特徴的な特異的細胞表面マーカーの同定のためのhESCグライコームの使用。本発明は今回のおよび類似したグライコームデータのさらなる分析および生成と、新規幹細胞特異的グリコシル化特性のさらなる同定のための方法の使用とに関するものであり、hESC糖鎖生物学の研究およびその結果として生ずる本発明による用途のための基礎を形成する。
幹細胞増殖速度に対するレクチンの影響
実験手順
リン酸緩衝生理食塩水中での一晩のインキュベートにより、レクチン(EY laboratories、USA)を受動的に48ウェルプレート(Nunclon surface、catalog No 150687、Nunc、Denmark)上に吸着させた。
レクチン(EY laboratories、USA)をリン酸緩衝生理食塩水中に溶解した(140μg/1ml)。レクチンの希釈物を、Millex−GVシリンジ駆動フィルターユニット(0.22μm、SLGV 013 SL, Millipore,Ireland)を用いて滅菌濾過し、リン酸緩衝生理食塩水中での+4℃における一晩のインキュベートによりレクチンを受動的に12ウェルプレート(Costar 3513,Corning Inc.,USA)上に吸着させた。インキュベート後、ウェルをリン酸緩衝生理食塩水で3回洗浄し、幹細胞をそれらの上にプレーティングした。
レクチン(EY laboratories、USA)をリン酸緩衝生理食塩水中に溶解した(100μg/1ml)。レクチンの希釈物を、Millex−GVシリンジ駆動フィルターユニット(0.22μm、SLGV 004 SL,Millipore,Ireland)を用いて滅菌濾過し、リン酸緩衝生理食塩水中での+4℃における一晩のインキュベートによりレクチンを受動的に48ウェルプレート(Nunclon surface,カタログ番号150687 Nunc,Denmark)上に吸着させた。インキュベート後、ウェルをリン酸緩衝生理食塩水で3回洗浄し、幹細胞をそれらの上にプレーティングした。
BM MSCの増殖速度は各種レクチン被覆表面において、互いに、および非被覆プラスチック表面との比較において、異なっており(表24)、幹細胞表面グリカンに結合する異なるグリカン結合特異性を有するタンパク質は特異的にその増殖速度に影響することが示唆された。
GS II(β−GlcNAc)>ECA(LacNAc/β−Gal)>PWA(I−分岐ポリ−LacNAc)>LTA(α1,3−Fuc)>PSA(α−Man)、
を含んでおり、式中、レクチンの好ましいオリゴ糖特異性を括弧内に示す。しかし、PSAは本実験においてほぼプラスチックに等しかった。
RCA(β−Gal/LacNAc)>>UEA(α1,2−Fuc)>WFA(β−GalNAc)>STA(直鎖ポリ−LacNAc)>NPA(α−Man)>SNA(α2,6−結合シアル酸)=MAA(α2,3−結合シアル酸/α3’−シアリルLacNAc)、
を含んでおり、式中、レクチンの好ましいオリゴ糖特異性を括弧内に示す。しかし、NPA、SNA、およびMAAは本実験においてほぼプラスチックに等しかった。
細胞増殖
プラスチックまたは他の型の表面と比べると、細胞は恐らくMAAおよびECA上で最も効果的に増殖した。全てのウェルが1週間以内にコンフルエントに達した。WFAおよびPWA上で培養した細胞はそれらの増殖能を5週間の期間の間に緩めるようであり、WFAコーティング上では形態学的に異なる細胞がいくらか存在した。
形態学的に、PSAコーティング上で増殖させた細胞はそれらが網状単層を形成する様式において他と異なっていた。MAAおよびPSA上の細胞はまた、より強固に表面に接着しており、トリプシンによるそれらの剥離は不可能であり、それらの細胞は機械的に掻き取る必要があった。
ヒト幹細胞のスフィンゴ糖脂質グリカン
実験手順
マウス線維芽細胞フィーダー細胞上で増殖させたMSC、CB MNC、およびhESCからの試料を、先の実施例に記載のように生成した。中性および酸性スフィンゴ糖脂質画分を細胞から、基本的に記載(Miller−Podraza et al, 2000)されるように単離した。グリカンをMacrobdella decoraエンドグリコセラミダーゼ消化(Calbiochem, USA)により、基本的に製品の説明書に従って遊離し、試料からの全グリカンオリゴ糖画分を生成した。オリゴ糖を精製し、タンパク質結合オリゴ糖画分のための先の実施例に記載のようにMALDI−TOF質量分析によって分析した。
ヒト胚幹細胞(hESC)
hESC中性脂質グリカン
hESCのスフィンゴ糖脂質中性グリカン画分の分析された質量分析プロファイルを図10に示す。
全部で全グリカンシグナル強度の90%超を構成していた6つの主要なグリカンシグナルは、単糖組成Hex3HexNAc1(730)、Hex3HexNAc1dHex1(876)、Hex2HexNAc1(568)、Hex3HexNAc2(933)、Hex4HexNAc1(892)、およびHex4HexNAc2(1095)に対応した。
730 Hex3HexNAc1 > Hex1HexNAc1Lac > Galβ4GlcNAcLac
876 Hex3HexNAc1dHex1 > Fucα2[Hex1HecNAc1]Lac > Fucα2Galβ4GlcNAcLac > Fucα3/4[Hex1HecNAc1]Lac
568 Hex2HexNAc1 > HecNAcLac
933 Hex3HexNAc2 > [Hex1HecNAc2]Lac
892 Hex4HexNAc1 > [Hex2HecNAc1]Lac > Galβ3[Hex1HecNAc1]Lac
1095 Hex4HexNAc2 > [Hex2HecNAc2]Lac > Galβ3HexNAc[Hex1HecNAc1]Lac > Galβ4GlcNAc[Hex1HecNAc1]Lac
1460 Hex5HexNAc3 > [Hex3HecNAc3]Lac > Galβ4GlcNAc(Galβ4GlcNAc)[Hex1HecNAc1]Lac
hESCのスフィンゴ糖脂質シアル化グリカン画分の分析された質量分析プロファイリングを図11に示す。4つの主要なグリカンシグナルが、合わせて全グリカンシグナル強度の96%超を構成しており、単糖組成NeuAc1Hex3HexNAc1(997)、NeuAc1Hex2HexNAc1(835)、NeuAc1Hex4HexNAc1(1159)、およびNeuAc2Hex3HexNAc1(1288)に対応した。
骨髄由来(BM)MSC中性脂質グリカン
BM MSCスフィンゴ糖脂質中性グリカン画分の分析された質量分析プロファイルを図10に示す。6つの主要なグリカンシグナルが合わせて全グリカンシグナル強度の94%超を構成しており、単糖組成Hex3HexNAc1(730)、Hex2HexNAc1(568)、Hex2dHex1(511)、Hex2HexNAc2dHex2(1063)、Hex3HexNAc2dHex2(1225)、およびHex3HexNAc2dHex1(1079)に対応した。4つの最も多量なシグナル(730、568、511、および1063)は合わせて全強度の75%超を含んでいた。
CB MSCスフィンゴ糖脂質中性グリカン画分の分析された質量分析プロファイルを図10に示す。10個の主要なグリカンシグナルが合わせて全グリカンシグナル強度の92%超を構成しており、単糖組成Hex2HexNAc1(568)、Hex3HexNAc1(730)、Hex4HexNAc2(1095)、Hex5HexNAc3(1460)、Hex3HexNAc2(933)、Hex2dHex1(511)、Hex2HexNAc2dHex2(1063)、Hex4HexNAc3(1298)、Hex3HexNAc2dHex2(1225)、およびHex2HexNAc2(771)に対応した。5つの最も多量なシグナル(568、730、1095、1460、および933)は合わせて全強度の82%超を含んでいた。
568 Hex2HexNAc1 > HecNAcLac
730 Hex3HexNAc1 > Hex1HexNAc1Lac > Galβ4GlcNAcLac
1095 Hex4HexNAc2 > [Hex2HecNAc2]Lac > Galβ4GlcNAc [Hex1HecNAc1]Lac > Galβ4GlcNAc(Galβ4GlcNAc)Lac
1460 Hex5HexNAc3 > [Hex3HecNAc3]Lac > Galβ4GlcNAc[Hex2HecNAc2]Lac > Galβ4GlcNAc(Galβ4GlcNAc)[Hex1HecNAc1]Lac
933 Hex3HexNAc2 > Hex1HexNAc2Lac
hESCスフィンゴ糖脂質シアル化グリカン画分の分析された質量分析プロファイルを図11に示す。BM MSCの5個の主要なグリカンシグナルが合わせて全グリカンシグナル強度の96%超を構成しており、単糖組成NeuAc1Hex2HexNAc1(835)、NeuAc1Hex1HexNAc1dHex1(819)、NeuAc1Hex3HexNAc1(997)、NeuAc1Hex3HexNAc1dHex1(1143)、およびNeuAc2Hex1HexNAc2dHex1(1313)に対応した。CB MSCの6つの主要なシグナルが合わせて全グリカンシグナル強度の92%超を構成しており、単糖組成NeuAc1Hex2HexNAc1(835)、NeuAc1Hex3HexNAc1(997)、NeuAc2Hex2(905)、NeuAc1Hex4HexNAc2(1362)、NeuAc1Hex5HexNAc3(1727)、およびNeuAc2Hex2HexNAc1(1126)に対応した。
CB MNC中性脂質グリカン
CB MNCスフィンゴ糖脂質中性グリカン画分の分析された質量分析プロファイルを図10に示す。5つの主要なグリカンシグナルが全グリカンシグナル強度の合わせて91%超を含んでおり、単糖組成Hex3HexNAc1(730)、Hex2HexNAc1(568)、Hex3HexNAc1dHex1(876)、Hex4HexNAc2(1095)、およびHex4HexNAc2dHex1(1241)に対応した。
730 Hex3HexNAc1 > Hex1HexNAc1Lac > Galβ4GlcNAcLac
568 Hex2HexNAc1 > HecNAcLac
876 Hex3HexNAc1dHex1 > [Hex1HecNAc1dHex1]Lac > Fuc[Hex1HecNAc1]Lac
1095 Hex4HexNAc2 > [Hex2HecNAc2]Lac > Galβ4GlcNAc [Hex1HecNAc1]Lac
1241 Hex4HexNAc2dHex1 > [Hex2HecNAc2dHex1]Lac > Fuc[Hex2HecNAc2]Lac
1460 Hex5HexNAc3 > [Hex3HecNAc3]Lac > Galβ4GlcNAc[Hex2HecNAc2]Lac > Galβ4GlcNAc(Galβ4GlcNAc)[Hex1HecNAc1]Lac
CB MNCスフィンゴ糖脂質シアル化グリカン画分の分析された質量分析プロファイルを図11に示す。CB MNCの3個の主要なグリカンシグナルが合わせて全グリカンシグナル強度の96%超を構成しており、単糖組成NeuAc1Hex3HexNAc1(997)、NeuAc1Hex4HexNAc2(1362)、およびNeuAc1Hex5HexNAc3(1727)に対応した。
全ての本試料型の中性グリカン画分は合わせて45個のグリカンシグナルを含んでいた。シグナルの提案された単糖組成は2−7Hex、0−5HexNAc、および0−4dHexからなっていた。グリカンシグナルは511〜2263の間のモノアイソトピックm/z値で検出された([M+Na]+イオンに対して)。
hESCに典型的なグリカンシグナルは優先的には(特にMSCと比べて)876および892を含み;前者は優先的にはFucHexHexNAcLacに対応し、ここでα1,2−Fucはα1,3/4−Fucに対して優先的であり、後者は優先的にはHex2HexNAc1Lac、より優先的にはGalβ3[Hex1HexNAc1]Lacに対応し;フコシル化、およびより優先的にはα1,2−結合フコシル化に加え、グリカンコア組成Hex4HexNAc1は他のヒト幹細胞型と比べてhESCに特に特徴的であった。
Gal
Galβ4Glc(Lac)
Galβ4GlcNAc(LacNAc2型)
Galβ3
非還元末端HexNAc
Fuc
α1,2−Fuc
α1,3−Fuc
Fucα2Gal
Fucα2Galβ4GlcNAc(H2型)
Fucα2Galβ4Glc(2’−フコシルラクトース)
Fucα3GlcNAc
Galβ4(Fucα3)GlcNAc(Lex)
Fucα3Glc
Galβ4(Fucα3)Glc(3−フコシルラクトース)
Neu5Ac
Neu5Acα2,3
Neu5Acα2,6
等が挙げられる。
本発明によると、スフィンゴ糖脂質グリカン組成Hex4HexNAc1は優先的には(イソ)グロボ構造に対応する。SSEA−3糖脂質抗原のグリカン配列はGalβ3GalNAcβ3Galα4Galβ4Glcと同定され、本実験においてhESCに検出されたグリカンシグナルHex4HexNAc1(892)に対応する。同様に、SSEA−4糖脂質抗原のグリカン配列はNeuAcα3Galβ3GalNAcβ3Galα4Galβ4Glcと決定され、これは本実験においてhESCで検出されたグリカンシグナルNeuAc1Hex4HexNAc1(1159)に対応する。本グリカン構造分析と一致して、hESC試料は先の実施例に記載されるモノクローナル抗体染色によりSSEA−3およびSSEA−4陽性と決定された。高解像度分析において、グリカンシグナル Hex4HexNAc1およびNeuAc1Hex4HexNAc1がMSCにおいても少量検出され、MSCにおいてはグロボシド型スフィンゴ糖脂質が比較的希ではあるが有意な構造であることが示唆された(表29)。マウスES細胞とは対照的に、hESCはSSEA−1抗原を発現しない。これと一致して、α1,3/4−フコシル化中性糖脂質グリカンは低水準の発現しか見出されなかった。一方、hESCスフィンゴ糖脂質グリカンの主要なフコシル化構造はα1,2−Fucを有するということを示すことができた。これはSSEA−1反応性におけるマウス−ヒト間の相違に対する分子レベルでの説明となる。
CB MNC細胞集団のレクチンに基づく選択
フルオレセイン標識レクチンおよびCB MNCを用いたFACS実験を、本質的に実施例4と同様に行った。二重染色を、CD34特異的モノクローナル抗体(Jaatinen et al.,2006)を相補的な蛍光色素とともに用いて行った。CB MNC画分からの赤芽球減少(erythroblast depletion)を、抗グリコホリンA(GlyA)モノクローナル抗体ネガティブセレクションにより行った。
CB MNC画分と比べ、GlyA減少(GlyA depleted)CB MNCは、次のレクチンを用いたFACSにおいて減少した染色を示し(減少を%で括弧内に示す):PWA(48%)、LTA(59%)、UEA(34%)、STA、MAA、およびPNA(最後の3つは全て23%未満);GlyA減少が細胞選別におけるレクチンの分解能を増加させたことが示唆された。
1)GNAは、CD34+細胞の単離におけるCB MNCのネガティブセレクションにおいて、CB MNCの約70%に結合するがCD34+細胞には結合せず、約3Xの濃縮をもたらす。
2)STAは、CD34+細胞の単離におけるCB MNCのポジティブセレクションにおいて、CB MNCの約50%およびCD34+細胞にも結合し、約2Xの濃縮をもたらす。
3)UEAは、CD34+細胞の単離におけるCB MNCのポジティブセレクションにおいて、CB MNCの約50%およびCD34+細胞にも結合し、約2Xの濃縮をもたらす。
幹細胞のガレクチン遺伝子発現プロファイル
実験手順
CB CD133+細胞の遺伝子発現分析は記載されており(Jaatinen et al.,2006)、本分析は本質的に同様に行った。遺伝子発現プロファイルが分析されたガレクチンとしては(対応するアフィメトリクスの記号を括弧内に記す):ガレクチン−1(201105_at)、ガレクチン−2(208450_at)、ガレクチン−3(208949_s_at)、ガレクチン−4(204272_at)、ガレクチン−6(200923_at)、ガレクチン−7(206400_at)、ガレクチン−8(208933_s_at)、ガレクチン−9(203236_s_at)、ガレクチン−10(206207_at)、ガレクチン−13(220158_at)が含まれた。
CB CD133+対CD133−、およびCD34+対CD34− CB MNC細胞においては、ガレクチン遺伝子発現プロファイルは次の通りであった:全体として、ガレクチン1、2、3、6、8、9、および10はCD34+/CD133+細胞において遺伝子発現を示した。ガレクチン1、2、および3は、CD34+/CD133+の両者細胞において、CD34−/CD133−細胞よりも下方制御されており、さらにガレクチン10は、CD133+細胞において、CD133−細胞よりも下方制御されていた。一方、CD34+/CD133+の両者細胞において、ガレクチン8は、CD34−/CD133−細胞よりも上方制御されていた。
幹細胞の免疫組織化学染色
(培養中の)胚幹細胞の免疫組織化学染色による研究(GF系列の染色)
hESC細胞を実施例に記載のように培養した。細胞を固定し、PBSでリンスした後、幹細胞培養物/切片をPBS中の3%の高純度に精製されたBSA中で30分間、室温でインキュベートし、非特異的結合部位をブロックした。一次抗体(GF279、288、287、284、285、283,286,290および289)を、1% BSA−PBSを含むPBS中で希釈(1:10)し、1時間、室温でインキュベートした。PBSで3回リンスした後、切片を、PBS中のビオチン化ウサギ抗マウス、二次抗体(Zymed Laboratories, San Francisco, CA, USA)とともに30分間室温でインキュベートし、PBS中でリンスし、PBS中に希釈されたペルオキシダーゼ結合ストレプトアビジン(Zymed Laboratories)とともにインキュベートした。切片を最後にAEC基質(3−アミノ−9−エチルカルバゾール; Lab Vision Corporation, Fremont, CA, USA)で現像した。水でリンス後、対比染色をMayerのヘマラム溶液で行った。
材料および方法
細胞試料
骨髄からの間葉系幹細胞(MSC)を生成し、増殖培地中で上記のように培養した。MSCを分化培地(4ng/ml デキサメタゾン、10mmol/L β−グリセロリン酸、および50μmol/L アスコルビン酸を含む増殖培地)中で6週間培養し、骨原性分化を誘導した。分化培地は分化期間を通じて週2回新しいものに換えた。
免疫染色
継代9〜12における骨髄由来間葉系幹細胞を、0.01% ポリ−L−リジン(Sigma、USA)で被覆したガラス8チャンバースライド(Lab−TekII、Nalge Nunc、Denmark)上で、37℃、5%CO2の下、2〜4日間増殖させた。骨原性細胞を同一の8チャンバースライドを用いて分化培地中で6週間培養した。培養後、細胞を5回PBS(10mM リン酸ナトリウム、pH7.2、140mM NaCl)で洗浄し、4% PBS緩衝パラホルムアルデヒドpH7.2で室温(RT)において10〜15分間固定し、次いでPBSで3回5分間洗浄した。非特異的結合部位を3% HSA−PBS(FRC Blood Service、Finland)で30分間、RTでブロックした。一次抗体を1% HSA−PBS(1:10〜1:200)中で希釈し、60分間RTでインキュベートし、次いでPBSで3回10分間洗浄した。1% HSA−PBS中の二次抗体、Alexa Fluor 488ヤギ抗マウスIgG(H+L;1:1000)(Invitrogen)、Alexa Fluor 488ヤギ抗ウサギIgG(H+L;1:1000)(Invitrogen)、またはFITC−結合ウサギ抗ラットIgG(1:320)(Sigma)を60分間RTで暗所においてインキュベートした。さらに、細胞をPBSで3回10分間洗浄し、DAPI染色剤を含有するVectashield封入剤(Vector Laboratories、UK)に封入した。免疫染色を、Zeiss Axioskop 2 plus蛍光顕微鏡(Carl Zeiss Vision GmbH、ドイツ)を用いて、FITCおよびDAPIフィルターとともに観察した。像をZeiss AxioCam MRcカメラを用いて、AxioVision Software 3.1/4.0(Carl Zeiss)を使用し、400Xの倍率で撮影した。
継代12における増殖中MSCを、0.02% Versene溶液(pH7.4)、45分間、37℃により、培養プレートから遊離させた。抗体標識の前に、細胞を2回、0.3% HSA−PBS溶液で洗浄した。一次抗体を30分間RTでインキュベート(4μl/100μl 細胞懸濁液/50000細胞)し、1回0.3% HSA−PBSで洗浄した後、Alexa Fluor 488ヤギ抗マウス(1:500)による二次抗体検出を30分間RTで暗所中において行った。ネガティブコントロールとして、細胞を一次抗体無しでインキュベートした以外は標識細胞と同様に処理した。細胞をBD FACSAria(Becton Dickinson)により、波長488のFITC検出器を用いて分析した。結果をBD FACSDivaソフトウェア バージョン5.0.1(Becton Dickinson)により分析した。
臍帯血単核球N−グリカンのグリコシダーゼプロファイリング
実験手順
エキソグリコシダーゼ消化
中性N−グリカン画分を上記のように臍帯血単核球集団から単離した。エキソグリコシダーゼ反応を本質的に製品の使用説明書に従い、および(Saarinen et al.,1999)に記載されるように行った。各種反応は;α−Man:タチナタマメからのα−マンノシダーゼ(C.ensiformis;Sigma,USA);β1,4−Gal:S.pneumoniaeからのβ1,4−ガラクトシダーゼ(大腸菌における組み替え体;Calbiochem,USA);β1,3−Gal:組み替えβ1,3−ガラクトシダーゼ(Calbiochem,USA);β−GlcNAc:S. pneumoniaeからのβ−グルコサミニダーゼ(Calbiochem,USA);α2,3−SA:S.pneumoniaeからのα2,3−シアリダーゼ(Calbiochem,USA);であった。分析のための反応は、特異性に関して、並行したコントロール反応において合成オリゴ糖を用い、それをMALDI−TOF質量分析により分析して注意深く制御された。α2,3−SAのシアル酸結合特異性は、並行したコントロール反応において合成オリゴ糖を用いて制御され、反応条件下で酵素がα2,3−結合シアル酸を加水分解したがα2,6−結合シアル酸を加水分解しなかったことが確認された。分析は先の実施例に記載のようにMALDI−TOF質量分析により行った。消化の結果を、反応前後のグリカンプロファイルの比較により分析した。
中性N−グリカンのグリコシダーゼプロファイリング
臍帯血単核球からのアフィニティー精製されたCD34+、CD34−、CD133+、CD133−、Lin+、およびLin−細胞試料からの中性N−グリカン画分を上記のように単離した。グリカン試料を、実験手順に記載されるように並行したグリコシダーゼ消化にかけた。プロファイリングの結果を表2(CD34+およびCD34−細胞)、表3(CD133+およびCD133−細胞)、および表4(Lin−およびLin+細胞)にまとめる。本結果は、いくつかの中性N−グリカンシグナルが個々に全てのエキソグリコシダーゼに対して感受性であることを示し、全ての細胞型においていくつかの中性N−グリカンがそれらの非還元末端に特異的基質グリカン構造を有することが示唆された。結果は、前述の表中に詳細に述べたように、個々のグリカンシグナルの各酵素に対する感受性、およびさらにはプロファイル全体にわたる細胞型間の相違、の両者における、細胞型間の明瞭な違いも示す。
臍帯血単核球からのアフィニティー精製されたCD133+およびCD133−細胞試料からのシアル化N−グリカン画分を上記のように単離した。グリカン試料を、実験手順に記載されるように並行したグリコシダーゼ消化にかけた。a2,3−シアリダーゼによるプロファイリングの結果を表5に示す。結果は、反応中に生ずるシアル化および中性グリカン画分における、分析された細胞型のグリカンプロファイル間の有意な相違を示す。本結果は、プロファイル全体にわたる様式で複数のシグナルにおいて相違が認められることを示す。上で考察されるように、個々のシグナルも細胞型間で相違する。
実験手順に記載のように、臍帯血CD133+およびCD133−細胞からのシアル化N−グリカンをα2,3−シアリダーゼで処理し、その後生じたグリカンをシアル化および非シアル化画分に分けた。α2,3−シアリダーゼ抵抗性および感受性の両者のシアル化N−グリカンが観察された。すなわち、シアリダーゼ処理後、シアル化グリカンがシアル化N−グリカン画分で観察され、脱シアル化グリカンが中性N−グリカン画分で観察された。結果は、臍帯血CD133+およびCD133−細胞が異なってα2,3−シアル化されていることを示す。例えば、α2,3−シアリダーゼ処理後、NeuAc1Hex5HexNAc4dHex1の[M−H]−イオンに対応するm/z 2076におけるモノシアル化(SA1)グリカンシグナルと、NeuAc2Hex5HexNAc4dHex1の[M−H]−イオンに対応するm/z 2367におけるジシアル化(SA2)グリカンシグナルとの相対的な割合は、α2,3−シアリダーゼ抵抗性ジシアル化N−グリカンが、α2,3−シアリダーゼ抵抗性モノシアル化N−グリカンと比較した際に、CD133−細胞において、CD133+細胞におけるよりも相対的に多量であることを示す。N−グリカンのα2,3−シアル化は、特にα2,6−シアル化等の他のシアル酸結合と比べ、臍帯血CD133+細胞において、CD133−細胞におけるよりも、多量であると結論される。
臍帯血単核球集団(CB MNC)から単離されたシアル化N−グリカン画分を、先の実施例に記載される広範なシアリダーゼで消化した。反応後、シアル化N−グリカンの圧倒的多数が脱シアル化され、対応する中性N−グリカンに変換されたことがMALDI−TOF質量分析によって観察され、それらが、提案された単糖組成によって示唆されたように、シアル酸残基(NeuAcおよび/またはNeuGc)を有していたことが示された。CB MNC集団の中性および脱シアル化(本来はシアル化)N−グリカン画分の組み合わせグリカンプロファイルを生成した。プロファイルは細胞試料から単離された全N−グリカンプロファイル(脱シアル化型のもの)に対応する。N−グリカンシグナルの約25%が高マンノース型N−グリカンの単糖組成に、28%が低マンノース型N−グリカンの、34%が複合型N−グリカンの、そして13%がハイブリッド型または単分岐N−グリカンの単糖組成に対応すると計算される。
本結果は、1)グリコシダーゼプロファイリング法を用いて個々のグリカンシグナルの構造的特徴、および個々のグリカンの細胞型間での相違を分析することができること、2)異なる細胞型は互いにグリコシダーゼに対する個々のグリカンシグナルおよびグリカンプロファイルの両者の感受性に関して異なっていること、そして3)グリコシダーゼプロファイリングは各種細胞型を区別するためのさらなる手段として用いることができ、このような場合、比較のためのパラメーターは個々のシグナルおよびプロファイル全体にわたる相違の両者であること、を示唆する。
細胞表面グリカン構造の酵素修飾
実験手順
酵素修飾
シアル酸転移酵素反応:ヒト臍帯血単核球(3x106細胞)を、全量100μlの50mM 3−モルフォリノプロパンスルホン酸ナトリウム(MOPS)バッファー pH7.4、150mM NaCl中の、60mU α2,3−(N)−シアル酸転移酵素(ラット、S.frugiperdaにおける組み替え体、Calbiochem)、1.6μモル CMP−Neu5Acを用いて、12時間まで修飾した。フコース転移酵素反応:ヒト臍帯血単核球(3x106細胞)を、全量100μlの50mM MOPSバッファー pH7.2、150mM Nacl中の、4mU α1,3−フコース転移酵素VI(ヒト、S.frugiperdaにおける組み替え体、Calbiochem)、1μモル GDP−Fucを用いて、3時間まで修飾した。広範なシアリダーゼ反応:ヒト臍帯血単核球(3x106細胞)を、全量100μlの50mM 酢酸ナトリウムバッファー pH5.5、150mM NaCl中の、5mU シアリダーゼ(A.ureafaciens, Glyko, UK)を用いて、12時間まで修飾した。α2,3−特異的シアリダーゼ反応:細胞を、全量100μlの50mM 酢酸ナトリウムバッファー pH5.5、150mM NaCl中の、α2,3−シアリダーゼ(S.pneumoniae、大腸菌における組み替え体)を用いて修飾した。α−マンノシダーゼ反応:α−マンノシダーゼはタチナタマメからのものであり、反応は本質的に上記の他の酵素と同様に行った。逐次的酵素修飾:逐次反応の間に、細胞を遠心分離で沈殿させ、上清を捨て、その後、適当なバッファー中の次の修飾酵素および基質溶液を上記のように細胞に加えた。洗浄手順:修飾後、細胞をリン酸緩衝生理食塩水で洗浄した。
グリカン分析
細胞を洗浄後、全細胞糖タンパク質をN−グリコシダーゼ消化にかけ、シアル化および中性N−グリカンを単離して上記のように質量分析により分析した。O−グリカンの分析のため、糖タンパク質を、本質的に先の記載(Nyman et al.,1998)の通りに還元アルカリβ脱離(reducing alkaline β−elimination)にかけ、その後シアル化および中性グリカンアルジトール画分を単離し、上記のように質量分析で分析した。
シアリダーゼ消化
広範なシアリダーゼに触媒された生きた臍帯血単核球の脱シアル化の際、シアル化N−グリカン構造およびO−グリカン構造(データ不掲載)が、対応する中性N−グリカン構造、例えばHex6HexNAc3、Hex5HexNAc4dHex0−2、およびHex6HexNAc5dHex0−1単糖組成の相対量の増加で示されるように、脱シアル化された(表9)。一般に、グリコシル化プロファイルの、シアル酸残基がより少ないグリカン構造への変化が、シアル化N−グリカンの分析において広範なシアリダーゼ処理の際に観察された。反応の際の細胞のグリカンプロファイルの変化は、反応結果を特徴付けるための効果的な手段として役立った。生じた修飾された細胞は、より少ないシアル酸残基とより多くの末端ガラクトース残基とをそれらの表面に反応後に有していたと結論される。
同様に、α2,3−特異的シアリダーゼに触媒された生きた単核球の脱シアル化の際、対応する中性N−グリカン構造の相対量の増加で示されるように、シアル化N−グリカン構造が脱シアル化された(データ不掲載)。一般に、グリコシル化プロファイルの、シアル酸残基がより少ないグリカン構造への変化が、シアル化N−グリカンの分析においてα2,3−特異的シアリダーゼ処理の際に観察された。反応の際の細胞のグリカンプロファイルの変化は、反応結果を特徴付けるための効果的な手段として役立った。生じた修飾された細胞は、より少ないα2,3−結合シアル酸残基とより多くの末端ガラクトース残基とをそれらの表面に反応後に有していたと結論される。
α2,3−シアル酸転移酵素に触媒された生きた臍帯血単核球のシアル化の際、中性N−グリカン構造(表9におけるHex5HexNAc4dHex0−3およびHex6HexNAc5dHex0−2単糖組成)の相対量の減少および対応するシアル化構造(例えば表8のNeuAc2Hex5HexNAc4dHex1グリカン)の増加により示されるように、多数の中性(表9)およびシアル化N−グリカン(表8)構造ならびにO−グリカン構造(データ不掲載)がシアル化された。一般に、グリコシル化プロファイルの、シアル酸残基がより多いグリカン構造への変化が、N−グリカンおよびO−グリカン両者の分析において観察された。生じた修飾された細胞は、より多くのα2,3−結合シアル酸残基とより少ない末端ガラクトース残基とをそれらの表面に反応後に有していたと結論される。
α1,3−フコース転移酵素に触媒された生きた臍帯血単核球のフコシル化の際、非フコシル化グリカン構造(提案された単糖組成においてdHexを有しない)の相対量の減少および対応するフコシル化構造(提案された単糖組成においてndHex>0を有する)の増加により示されるように、多数の中性(表9)およびシアル化N−グリカン構造ならびにO−グリカン構造(下記参照)がフコシル化された。例えば、フコシル化前には、Hex2HexNAc2アルジトールの[M+Na]+イオンに対応するm/z 773の、およびHex2HexNAc2dHex1アルジトールの[M+Na]+イオンに対応するm/z 919の、O−グリカンアルジトールシグナルが、それぞれ約9:1の相対的割合で観察された(データ不掲載)。フコシル化後、前記シグナルのおおよその相対的割合は3:1であり、中性O−グリカンの有意なフコシル化が起こったことが示唆された。本来の細胞に観察されなかったいくつかのフコシル化N−グリカン構造、例えば提案された構造Hex6HexNAc5dHex1およびHex6HexNAc5dHex2を有する中性N−グリカン(表9)さえも反応後において観察され、α1,3−フコース転移酵素反応において、生細胞の細胞表面が、増加した量または通常と異なる構造型のフコシル化グリカン、特にタンパク質結合N−グリカンにおける、およびO−グリカンにおける、末端Lewis xエピトープで修飾され得ることが示唆された。
実験手順に記載されるように、臍帯血単核球を広範なシアリダーゼ反応にかけ、その後α2,3−シアル酸転移酵素およびCMP−Neu5Acを同一の反応物に添加した。この反応順序の効果はN−グリカンプロファイル上で観察可能であった。シアル化N−グリカンプロファイルも反応工程間で分析され、結果は、シアル酸がまずシアル化N−グリカンから除去され(例えば増加した量の中性N−グリカンの出現により示される)、次いでα2,3−結合シアル酸残基に置き換わった(例えば前記の新規に形成された中性N−グリカンの消失により示される;データ不掲載)ことを明瞭に示した。生じた修飾された細胞は反応後により多くのα2,3−結合シアル酸残基を有していたと結論される。
実験手順に記載されるように、臍帯血単核球をα2,3−シアル酸転移酵素反応にかけ、その後α1,3−フコース転移酵素およびGDP−フコースを同一の反応物に添加した。この反応順序の効果はシアル化N−グリカンプロファイル上で観察可能であった。結果はグリカンシグナルの主要な部分(表8および9における例)がそれらの相対強度に変化を受け、細胞に存在するシアル化N−グリカンの主要な部分が前記酵素の基質であったことが示唆された。前記酵素反応工程の組み合わせは、どちらか一方のみの反応工程とは異なる結果を生じたことも明らかであった。
全細胞のα−マンノシダーゼ反応は、先の実施例でα−マンノース残基を有することが示されたものを含むグリカンシグナルの軽微な減少を示した。
修飾反応において、グリコシル化された糖転移酵素が細胞に混入し得ることが検出された。例えば、細胞がS.frugiperda細胞で産生された組み替えフコース転移酵素またはシアル酸転移酵素とともにインキュベートされた際に、細胞および/または細胞関連糖タンパク質のN−グリコシダーゼおよび質量分析は、Hex3HexNAc2dHex1グリカン成分の[M+Na]+イオンに対応するm/z 1079における多量の中性N−グリカンシグナルの検出をもたらした(計算値 m/z 1079.38)。典型的には、組み替え糖転移酵素で処理された細胞において、このグリカンシグナルはその細胞自身のグリカンシグナルよりも多量であるかまたは少なくとも同程度であり、昆虫由来の複合糖質が、昆虫細胞内で産生された、組み替え体の、グリカン修飾された酵素と関連した非常に有力な混入物であることが示唆された。さらに、このグリカンの混入は細胞の洗浄後にも持続し、糖転移酵素に対応するまたは関連する昆虫型複合糖質が細胞に対して親和性を有するか、または細胞からの洗浄に対して抵抗性である傾向を有することが示唆された。前記グリカンシグナルの由来を確認するため、我々は市販の組み替えフコース転移酵素およびシアル酸転移酵素の調製物のグリカン含有物を分析し、m/z 1079グリカンシグナルがこれらの酵素と関連した主要なN−グリカンシグナルであることを見出した。対応するN−グリカン構造、例えばManα3(Manα6)Manβ4GlcNAc(Fucα3/6)GlcNAc(β−N−Asn)は、S.frugiperda細胞において産生される糖タンパク質から先に記載されている(Staudacher et al.,1992; Kretzchmar et al.,1994;Kubelka et al.,1994;Altmann et al.,1999)。文献に記載されるように、これらのグリカン構造、および組み替え体のまたは精製された酵素で処理された細胞に潜在的に混入する他のグリカン構造、特に昆虫由来産物は、潜在的にヒトにおいて免疫原性であり、および/または、そうでなければ修飾された細胞の使用に対して有害である。グリカン修飾酵素はヒト細胞の、特に臨床用途のための、修飾のために、免疫原性のグリカンエピトープ、非ヒトグリカン構造、および/または潜在的に望ましくない生物学的効果を有する他のグリカン構造を含まないように注意深く選択されるべきであると結論される。
ヒト胚幹細胞のエキソグリコシダーゼ分析
実験手順
hESCおよび分化した細胞試料
ヒト胚幹細胞(hESC)および胚様体(EB)試料をhESC株FES29(Skottman et al.,2005)から本質的に先の実施例に記載されるように調製したが、本実施例においてはhESCはマウス線維芽細胞フィーダー細胞(mEF)上で増殖させ、hESC試料はある程度のmEF細胞を含んだ。
hESC
中性および酸性N−グリカン画分を、マウスおよびヒト両者の線維芽細胞フィーダー細胞上で先の実施例に記載のように増殖させたhESCから単離した。中性(表10および11)および酸性(表12)グリカン画分の並行的なエキソグリコシダーゼ消化の結果を以下に考察する。以下の章においては、グリカンシグナルは、本発明の表の、その提案された単糖組成によって参照され、対応するm/z値を表から読み取ることができる。
α−マンノシダーゼ感受性構造
中性N−グリカン画分のαマンノシダーゼ消化の際に減少を示した全てのグリカンシグナル(表10および11)は、末端α−マンノース残基を有するグリカンに対応することが示唆される。本結果は、hESCの中性N−グリカンの大部分が末端α−マンノース残基を有することを示す。一方、増加したシグナルはそれらの反応産物に対応する。中性N−グリカン画分中のα−マンノシル化グリカンの系列および個々のα−マンノシル化グリカンを形成する構造群を以下に詳細に考察する。
Hex1−9HexNAc1グリカン系列は、Hex3−9HexNAc1が消化されてHex1HexNAc1に変換されるように消化され(データ不掲載)、それらが末端α−マンノース残基を有していたことが示唆された。それらがHex1HexNAc1に変換されたことから、それらの実験に基づく構造は(Manα)1−8Hex1HexNAc1であった。
Hex1−12HexNAc2グリカン系列は、Hex3−12HexNAc2が消化されてHex1−7HexNAc2に、および特に、反応前には存在しておらず、主要な反応産物であったHex1HexNAc2に変換されるように消化された。これは、1)グリカンHex3−12HexNAc2が末端α−マンノース残基を有するグリカンを含むこと、2)グリカンHex1−7HexNAc2がより大型のα−マンノシル化グリカンから形成され得ること、および3)グリカンHex3−12HexNAc2の大部分が新規に形成されたHex1HexNAc2に変換され、そのため実験に基づく構造(Manα)nHex1HexNAc2[式中、n≧1]を有していたことを示す。α−マンノシダーゼ反応が多くのシグナルに対して部分的にしか完了しなかったという事実は、他のグリカン成分もHex1−12HexNAc2グリカン系列中に含まれることを示唆する。特に、Hex10−12HexNAc2成分は最も大型の典型的な哺乳類高マンノース型N−グリカンよりも1〜3個多いヘキソース残基を有しており、それらが(Glcα)1−3Hex8HexNAc2等のグルコシル化構造、優先的にはα2−および/またはα3−結合Glcを含み、ならびにより優先的にはグルコシル化N−グリカンGlcα3→Man9GlcNAc2、Glcα2Glcα3→Man9GlcNAc2、および/またはGlcα2Glcα2Glcα3→Man9GlcNAc2に存在することが示唆される。対応するグルコシル化断片がα−マンノシダーゼ消化後に観察され、優先的にはGlc1−3Man4GlcNAc2(Hex5−7HexNAc2)に対応した。
Hex1−6HexNAc1dHex1グリカン系列は、Hex3−9HexNAc1dHex1が消化されてHex1HexNAc1dHex1に変換されるように消化され、それらが末端α−マンノース残基を有し、それらの実験に基づく構造が(Manα)2−5Hex1HexNAc1dHex1であったことが示唆された。Hex1HexNAc1dHex1が新規シグナルとして出現し、構造(Manα)nHex1HexNAc1dHex1[式中、n≧1]を有するグリカンが試料中に存在していたことが示唆された。
Hex2−7HexNAc3グリカン系列は、Hex5−7HexNAc3が消化されて系列内の他のグリカンに変換されるように消化され、それらが末端α−マンノース残基を有していたことが示唆された。Hex2HexNAc3が新規シグナルとして出現し、構造(Manα)nHex2HexNAc3[式中、n≧1]を有するグリカンが試料中に存在していたことが示唆された。
Hex2−7HexNAc3dHex1グリカン系列は、Hex5−7HexNAc3dHex1が消化されて系列内の他のグリカンに変換されるように消化され、それらが末端α−マンノース残基を有していたことが示唆された。Hex2HexNAc3dHex1が有意に増加し、構造(Manα)nHex2HexNAc3dHex1[式中、n≧1]を有するグリカンが試料中に存在していたことが示唆された。
Hex3HexNAc3dHex2が新規シグナルとして出現し、構造(Manα)nHex3HexNAc3dHex2[式中、n≧1]を有するグリカンが試料中に存在していたことが示唆された。
β−グルコサミニダーゼ感受性構造
Hex3HexNAc2−5およびHex3HexNAc2−5dHex1グリカン系列は、Hex3−5HexNAc1dHex0−1が消化されてHex3HexNAc2dHex0−1に変換されるように消化され、それらが末端β−GlcNAc残基を有し、それらの実験に基づく構造がそれぞれ(GlcNAcβ→)1−3Hex3HexNAc2および(GlcNAcβ→)1−3Hex3HexNAc2dHex1であったことが示唆された。
Hex4HexNAc4、Hex4HexNAc4dHex1、Hex4HexNAc4dHex2、およびHex5HexNAc5dHex1も消化され、それらがそれぞれ、(GlcNAcβ→)Hex4HexNAc3、(GlcNAcβ→)Hex4HexNAc3dHex1、(GlcNAcβ→)Hex4HexNAc3dHex2、および(GlcNAcβ→)Hex5HexNAc4dHex1を含む構造を有していたことが示唆された。
Hex4HexNAc5dHex1およびHex4HexNAc5dHex2はβ−グルコサミニダーゼにより消化され、2個のβ−GlcNAc残基をそれぞれ含むことが示された。一方、Hex4HexNAc5はβ−グルコサミニダーゼによって消化されなかった。
β−ヘキソサミニダーゼ感受性構造
Hex4HexNAc5グリカンシグナルはβ−ヘキソサミニダーゼに対して感受性であったが、β−グルコサミニダーゼには感受性ではなく、それがβ−GlcNAc以外の末端β−N−アセチルヘキソサミン残基、優先的にはβ−GalNacを有するグリカン構造に対応したことが示唆された。β−ヘキソサミニダーゼ消化の際、シグナルはHex4HexNAc3に変換され、酵素が2個のHexNAc残基を対応するグルカン構造から遊離させたことが示唆された。
β1,4−ガラクトシダーゼ感受性構造
β1,4−ガラクトシダーゼに対して感受性であったグリカンシグナルはhESCグリカンの主要な部分を構成しており、β1,4−結合ガラクトースがhESCの中性N−グリカンにおいて一般的な末端エピトープでることが示唆された。
Hex5HexNAc4およびHex5HexNAc4dHex1は消化されてHex3HexNAc4およびHex3HexNAc4dHex1となり、それらがそれぞれ構造(Galβ4GlcNAcβ→)2Hex3HexNAc2および(Galβ4GlcNAcβ→)2Hex3HexNAc2dHex1を有していたことが示唆された。一方、Hex5HexNAc4dHex2は消化されてHex4HexNAc4dHex2となり、それが構造(Galβ4GlcNAcβ→)Hex4HexNAc3dHex2を有していたことが示唆され、Hex5HexNAc4dHex3は全く消化されなかった。まとめると、hESCにおいて、ヘキソース残基はN−グリカン構造においてβ1,4−ガラクトシダーゼの作用からデオキシヘキソース残基によって保護されている。β1,4−結合ガラクトースを有するこのようなdHex−保護構造としてはGalβ4(Fucα3)GlcNAcおよびFucα2Galβ4GlcNAc等が挙げられる。
β1,3−ガラクトシダーゼ感受性構造
hESCの中性N−グリカン画分における少数の構造のみがβ1,3−ガラクトシダーゼの作用に対して感受性であったことから、末端ガラクトース残基の大部分はβ1,4−結合しているようである。
グリコシダーゼ抵抗性構造
本実験において、Hex4HexNAc3、Hex4HexNAc3dHex2、およびHex5HexNAc5は試験したエキソグリコシダーゼに対して抵抗性であった。2番目の単糖組成は1個を上回るデオキシヘキソース残基を有しており、それが、優先的にはFucα2Gal、Fucα3GlcNAc、および/またはFucα4GlcNAcエピトープに存在する、α2−、α3−、またはα4−結合フコース残基等のdHex残基によってグリコシダーゼ消化から保護されていることが示唆される。
hESCのエキソグリコシダーゼ消化に基づいてまとめられた中性N−グリカン画分のグリカン構造を表13に示す。
mEF細胞層上で増殖させたhESCの酸性N−グリカン画分を、並行したα2,3−シアリダーゼおよびA.ureafaciensシアリダーゼ処理ならびにα1,3/4−フコシダーゼおよびα1,2−フコシダーゼを用いた逐次消化によって分析した。これらの反応からの結果をMALDI−TOF質量分析によって分析したものを表12に記載する。結果は、hESC試料中の複数のN−グリカン成分がこれらの酵素に対する特異的グリカン基質、すなわちα2,3−結合および他のシアル酸残基ならびにα1,2−およびα1,3/4−結合フコース残基を含むことを示唆した。一部のグリカンシグナルは多数のこれらのエピトープの存在を示し、例えばm/z 2222におけるグリカンシグナル(NeuAc1Hex5HexNAc4dHex2に対応)はこれらのエピトープの全てを、優先的には複数のグリカン構造に含むことが示唆された。hESCのエキソグリコシダーゼ消化に基づきまとめられた酸性N−グリカン画分のグリカン構造を表25に示す。
EB
表10に記載するように、胚様体(EB;表10におけるFES29 st 2)とhESC(表10におけるFES29 st 1)との間の分化特異的変化がそれらの中性N−グリカン画分エキソグリコシダーゼ消化プロファイル中に反映されていた。異なったエキソグリコシダーゼ消化結果が、各種中性N−グリカン画分グリカンプロファイルに対応するm/z 1688、1704、1793、1866、1955、1971、2012、2028、2142、2158、および2320等のグリカンシグナルにおいて観察された。
mEF
表26および表10の比較により、マウスフィーダー細胞(mEF)特異的中性N−グリカン画分グリカン成分が同定され、それらを表27に列挙する。これらのグリカン成分は本発明のhESCまたはhEF特異的構造と比べ、さらなるヘキソース残基によって特徴付けられる。エキソグリコシダーゼ実験はβ1,4−結合ガラクトースエピトープが前記単糖組成中の任意のさらなるヘキソース残基によってβ1,4−ガラクトシダーゼ消化から保護されていることも示唆する。本発明のNMR分析結果と総合すると、表27に記載されるように、前記のさらなるヘキソース残基は、α−結合したガラクトース残基、より具体的にはN−グリカン分岐中のGalα3Galエピトープを含むと示唆される。
ヒト間葉系幹細胞のエキソグリコシダーゼ分析
エキソグリコシダーゼ消化結果表における変化は、記録された質量スペクトルにおける相対的な変化であり、それらはグリコシダーゼ処理の結果生じたグリカンプロファイルの絶対的な変化を反映するものではない。実験手順は先の実施例に記載される。
未分化BM MSC
中性および酸性N−グリカン画分を、記載のようにBM MSCから単離した。中性(表14)および酸性(データ不掲載)グリカン画分の並行的なエキソグリコシダーゼ消化の結果を以下に考察する。以下の章においては、グリカンシグナルは、本発明の表の、それらの提案された単糖組成によって参照され、対応するm/z値を表から読み取ることができる。
α−マンノシダーゼ感受性構造
中性N−グリカン画分のαマンノシダーゼ消化の際に減少を示した全てのグリカンシグナル(表14)は、末端α−マンノース残基を有するグリカンに対応することが示唆される。本結果は、BM MSCの中性N−グリカンの大部分が末端α−マンノース残基を有することを示している。一方、増大したシグナルはその反応産物に対応する。中性N−グリカン画分中の一連のα−マンノシル化グリカンを形成する構造群および個々のα−マンノシル化グリカンについて以下に詳細に考察する。
Hex1−9HexNAc1グリカン系列は、Hex3−9HexNAc1が消化されてHex1HexNAc1に変換されるように消化され(データ不掲載)、それらが末端α−マンノース残基を有していたことが示唆される。これらはHex1HexNAc1に変換されたことから、それらの実験に基づく構造は(Manα)1−8Hex1HexNAc1であった。
Hex2−7HexNAc3グリカン系列は、Hex6−7HexNAc3が消化されて該系列の他のグリカンに変換されるように消化され、それが末端α−マンノース残基を有していたことが示唆された。Hex2HexNAc3は新たなシグナルとして現れ、構造(Manα)nHex2HexNAc3[式中、n≧1]を有するグリカンが試料中に存在していたことをが示唆された。
Hex3HexNAc3dHex2およびHex3HexNAc4は新たなシグナルとして現れ、それぞれ構造(Manα)nHex3HexNAc3dHex2および(Manα)nHex3HexNAc4[式中、n≧1]を有するグリカンが試料中に存在していたことをが示唆された。
Hex3HexNAc2−5dHex1グリカン系列は、Hex3−9HexNAc1dHex1が消化されてHex1HexNAc1dHex1に変換されるように消化され、それが末端α−マンノース残基を有していたことが示唆され、その実験に基づく構造が(Manα)2−5Hex1HexNAc1dHex1であったことが示唆された。Hex1HexNAc1dHex1は新たなシグナルとして現れ、構造(Manα)nHex1HexNAc1dHex1[式中、n≧1]を有するグリカンが試料中に存在していたことをが示唆された。しかし、Hex3HexNAc6dHex1は消化されず、それがβ結合GlcNAc残基以外の末端HexNAc残基を有していたことが示唆された。
β1,4−ガラクトシダーゼ感受性構造
β1,4−ガラクトシダーゼに感受性だったグリカンシグナルは、BM MSCグリカンの大きな割合を構成しており、β1,4−結合ガラクトースがBM MSC中性N−グリカンにおける一般的な末端エピトープであることが示唆された。
β1,3−ガラクトシダーゼ感受性構造
BM MSC中性N−グリカン画分中の少数の構造のみがβ1,3−ガラクトシダーゼの作用に対し感受性であることから、末端ガラクトース残基の大部分はβ1,4−結合しているようである。β1,3−ガラクトシダーゼ感受性グリカンに対応するグリカンシグナルとしてはHex5HexNAc5dHex1およびHex4HexNAc5dHex3等が挙げられる。
グリコシダーゼ抵抗性構造
本実験において、Hex2HexNAc3dHex2、Hex4HexNAc3dHex2、およびHex11HexNAc2は試験したエキソグリコシダーゼに対し抵抗性であった。最初の2つの提案された単糖組成は2つ以上のデオキシヘキソース残基を有しており、それらが、優先的にはFucα2Gal、Fucα3GlcNAc、および/またはFucα4GlcNAcエピトープに存在する、α2−、α3−、またはα4−結合フコース残基等の第2のdHex残基によりグリコシダーゼ消化から保護されていることが示唆される。最後の提案された単糖組成は、2個のヘキソース残基を最大の典型的哺乳動物高マンノース型N−グリカンよりも多く有しており、それが(Glcα→)2Hex9HexNAc2等のグルコシル化構造を、より優先的にはジグルコシル化N−グリカン(GlcαGlcα→)Man9GlcNAc2中に存在するものを有していることが示唆される。
BM MSCのエキソグリコシダーゼ消化に基づいてまとめられた中性N−グリカン画分グリカン構造を表15に示す。
骨芽細胞分化BM MSCの分析を、CB MSCにおける分化特異的変化の比較ができるように表16に示す。BM MSCおよび骨芽細胞分化BM MSCに対して生成されたエキソグリコシダーゼプロファイルはこれら2つの細胞型に特徴的である。例えば、m/z 1339、1784、および2466のシグナルはこの2つの実験において異なって消化される。特に、骨芽細胞分化BM MSCにおけるβ1,3−ガラクトシダーゼ感受性中性N−グリカンシグナルは、分化した細胞が未分化細胞よりも多くのβ1,3−結合ガラクトース残基を有することを示唆する。
BM MSCの酸性N−グリカン画分に対して行われたシアリダーゼ分析は、該酸性N−グリカン画分中のシアル化(NeuAcまたはNeuGc含有)N−グリカンに基づき、提案された単糖組成を支持した。
β1,4−ガラクトシダーゼおよびβ−グルコサミニダーゼによる分析の結果を表17に示す。結果は、CB MSCにおいても、非還元末端β1,4−結合ガラクトース残基を有する中性N−グリカンが豊富であり、それらは、観察されたグリカンシグナルのほとんどに対して特徴的非還元末端エピトープの存在を示唆する。BM MSCに対して上記に記載されたものと同様に、脂肪細胞分化CB MSCの分析を、CB MSCにおける分化特異的変化の比較ができるように表18に示す。
CB MSCの酸性N−グリカン画分に対して行われたシアリダーゼ分析は、該酸性N−グリカン画分中のシアル化(NeuAcまたはNeuGc含有)N−グリカンに基づき、提案された単糖組成を支持した。
ヒト胚幹細胞上で式(I)のグリカン構造を発現するサブセットの単離
細胞の培養および継代
正常な核型を有するFES hESC株を得て、Mikkola et al.(2006;Distinct differentiation characteristics of individual human embryonic stem cell lines,BMC Dev Biol.2006;6:40)に記載されるように増殖させた。
FACS分析を、本質的にVenable et al.(2005)の記載のように行うが、代わりに生細胞およびFACSAria(商標)セルソーター(BD)を用いる。
プロテアーゼ感受性および非感受性抗体標的構造の解明
上記実施例中に記載された骨髄間葉系幹細胞をFACS分析により分析した。細胞がトリプシンにより処理(培養から解放)されると、細胞表面抗原のFACS分析において、いくつかの抗原構造は本質的に観察されないか、またはこれらは減少した量で観察されるが、Versene処理(PBS中の0.02%EDTA)後には観察可能である。これは例えば、大部分のトリプシンに感受性の標的構造である抗体GF354およびGF275による、ならびに標的構造が事実上完全にトリプシン感受性である抗体GF302による、間葉系幹細胞の標識により観察された。
特異的結合剤標的構造を有するプロテアーゼ遊離糖ペプチドの単離および分析
糖ペプチドをトリプシン等のプロテアーゼによる幹細胞の処理によって遊離させる。糖ペプチドをクロマトグラフ的に単離し、好ましい方法はSuperdex(Amersham Pharmacia(GE))カラム(Superdex peptideまたはsuperdex 75)におけるゲル濾過クロマトグラフィーを使用し、ペプチドは、該ペプチドを特異的標識でタギングすることにより、または該ペプチド(またはグリカン)の紫外吸光度により、クロマトグラフィー内で観察することができる。前記方法のための好ましい試料としては比較的多量(数百万細胞)の間葉系幹細胞等が挙げられ、本実施例で用いられる好ましい抗体としては、抗体GF354、GF275もしくはGF302、または同様の特異性を有する抗体もしくはレクチン等の他の結合剤が挙げられる。
レクチン被覆培養プレート上でのヒト胚幹細胞の増殖
FES30 hESC株を用いた。hESCをmEFからマトリゲル(商標)に移し、Geron Corporationのウェブサイト:http://www.geron.com/showpage.asp?code=prodstprotに見出されるプロトコルに従い培養した。
細胞は、ECA被覆およびマトリゲル(商標)被覆プレート上で、同様の効率で、顕微鏡観察された際に同様の形態を伴って、増殖した。分析された幹細胞および分化マーカーの発現プロファイルは類似していた(図31参照)。
細胞はECA被覆プレート上で、マトリゲル(商標)被覆プレート上におけるよりも均一に増殖し、増殖密度の明瞭なバッチ間変異は見られなかった。それらは小さなコロニーを形成し、これはマトリゲルとは異なっていた。コロニーはフィーダー細胞上で増殖したhESCによって形成されるものよりも小さかった。
hESC(FES29細胞、継代(p)36)を、プラスチック上で、またはECA、UEA1、DSA、またはガレクチン−1の存在下で、図32および33に示す期間の間、ならびに実施例22に記載されるように、増殖させた。
ヒト胚幹細胞(hESC)
2つのフィンランド人ヒト胚幹細胞(hESC)株、FES29およびFES30を用いて、レクチン被覆ウェル(Mikkola M.et al.BMC Dev.Biol.6:40,2006に記載される)上で培養中のhESCを分析した。
レクチンをPBS中に希釈し、Nunclon細胞培養プレート(Nunc, Roskilde,Denmark)上に加える前にフィルター滅菌した。レクチンの量は27μg/cm2であり、プレートは一晩、+4℃でインキュベートした。細胞をレクチン上に分割する前に、ウェルを3回PBSで洗浄した。
ECAレクチン上での培養
FES30 hESCをマトリゲルからECA、MAA、WFAおよびPWAレクチン上に分割した。ECA上でのみ細胞が増殖し、さらに分割することができた。FES30細胞は全部で23回の継代の間ECA上で培養された。ECA培養は、他のhESC株FES29を用いて6回の継代の間確認した。
ECA上で培養したhESCは形態学的に変化しており、分化しているように見え、典型的なhESCのコロニーを形成していなかった。ECA培養は「フィーダー様」細胞に有利なようであり、多能性マーカー、Tra−1−60およびSSEA−3の発現も減少した。FES29細胞をECA上での5回の継代後にマトリゲルに分けて戻し、マトリゲル上で5〜6回継代した後で、細胞は典型的なhESCコロニーを再び形成し始めた。従って、hESCはECA上で20回超の継代の間維持することができ、それらは典型的なhESC培養とは異なって見えても典型的な未分化hESCとして増殖する能力を失っていない。
FES29 hESCは、マウスフィーダー細胞馴化培地中のUEA−1、DSAおよびウシガレクチン−1上でも7回の継代の間維持された。hESCは形態学的に、これらのレクチン上で、ECA上と同様に見えた。7回の継代後、これら3種のレクチンの中ではガレクチン−1培養の細胞がTra−1−60およびSSEA−3の最も多い発現量を有していたが、その発現量は少なかった(それぞれ21.6%および32.3%)。
イーストにおける、組み替えErythrina cristagalli凝集素(ECA)およびその非グリコシル化型の発現および精製
Pichia pastorisのコドン選択で最適化された合成ヌクレオチド配列を、ジーンバンクアクセッション番号AY158072(Erythrina cristacalli凝集素遺伝子の部分コード配列)に従って構築した。天然アミノ酸配列(図38;遺伝子配列番号899)および非グリコシル化型(図39;遺伝子配列番号900)の両者をコードする遺伝子を構築した。DNA合成および遺伝子構築はGeneArt AGからの商業サービスとして得た。
ECAのグリカンの酸化およびビオチン化
ECA、Erythrina cristagalliレクチンをPBS中に溶解した。ECA試料の濃度は、0,7%の試料をSuperdex 200 10/300 GLカラム上でサイズ排除クロマトグラフィーにかけて測定した。ECA試料の濃度は0,7%のECA試料のUV吸光度をBSA標準に対して比較することにより0,31μg/μlと決定された。
先の実施例に記載のように、ヒト胚性幹細胞(hESC)を増殖させ、マトリゲル(BD Biosciences)およびKnockout血清代替細胞培養培地(Invitrogen)に移し、馴化させ、その後それらを、並行した実験において、各種の型のECA:天然ECA(EY Laboratories; Sigma−Aldrich)、タンパク質ビオチン化ECA(EY Laboratories)、またはグリカンビオチン化ECA(上記参照)、で吸着被覆された細胞培養プレート(マトリゲル表面を置換)上に移した。細胞増殖の水準、幹細胞マーカーの発現および幹細胞特異的な形態学的特徴を何回かの継代の間追跡することにより、グリカンビオチン化ECAは、hESC培養を支持することに関して、天然ECA(++)またはタンパク質ビオチン化ECA(++)よりも優れている(+++)と結論された。増殖支持能力は括弧内の−、+、++、または+++(増殖無し=−から、優れた増殖=+++まで)により評価された。
MSC
細胞試料
間葉系幹細胞試料
ヒト骨髄由来間葉系幹細胞(MSC)をLeskela et al. (Leskela H, Risteli J, Niskanen S, et al. Osteoblast recruitment from stem cells does not decrease at late adulthood; Biochemical and Biophysical Research Communications 311:1008−1013,2003)に記載のように生成した。簡単に述べると、整形外科手術中に得られた骨髄を、20mM HEPES、10% FCS、1xペニシリン−ストレプトマイシンおよび2mM L−グルタミン(全てGibcoから)を添加した最小必須アルファ培地(α−MEM)中で培養した。2日間の細胞接着期の後、細胞をCa2+およびMg2+不含PBS(Gibco)で洗浄し、レクチン分子で被覆された24ウェルチャンバースライド上の同一の培地内で2000〜3000細胞/cm2の密度で継代培養した。細胞を37℃で5% CO2の下、クラウンであり、新鮮な培地を週2回、ほぼコンフルエントになるまで交換した。MSCをレクチン被覆ウェルプレート上で5回の継代にわたり培養した。継代5〜10のMSCを実験に用いた。
MSC培養アッセイに用いた分子
継代5の増殖しているMSCを各種レクチン上で5日間増殖させた。細胞をPBSで洗浄し、Versene溶液により回収して単細胞懸濁液とした。剥離した細胞を600 x gで5分間、室温において遠心分離した。細胞ペレットを2回、0.3% BSA−PBSで洗浄し、600 x gで遠心分離し、0.3% BSA−PBS中に再懸濁した。細胞を50000細胞ずつに分けてコニカルチューブに入れた。分割した細胞を、抗体と共に、2μl/105細胞の希釈で、30分間、4℃で、暗所にてインキュベートした。インキュベート後、細胞を0.3% BSA−PBSで洗浄し、遠心分離し、0.3% BSA−PBS中に再懸濁した。
未標識細胞およびプラスチックで増殖した細胞をコントロールとして用いた。抗体結合をフローサイトメトリー(FACSAria, Becton Dickinson)で検出した。データ分析はFACSDiva(商標) Flow Cytometry Software Version 5.02を用いて行った。
選択されたレクチン上で5回の継代にわたり増殖させたBM由来間葉系幹細胞からの全細胞RNAを、RNeasy miniprep−kit(Qiagen,Chatsworth,CA)を用いて、製品の使用説明書に従って抽出した。次に、High Capacity cDNA Reverse Transcription試薬(Applied Biosystems)を用い、製品の使用説明書に従ってRNAをcDNAに逆転写し、TaqMan(登録商標) PCR反応の鋳型として用いた。
TaqMan(登録商標) PCR反応を用いて幹細胞分化マーカーの量的な水準を推定した。TaqMan(登録商標) PCR反応は標準的な条件の下、TaqMan(登録商標) Universal Gene Expression Master Mix(Applied Biosystems)およびPre−developed Inventored Gene Expression Assays for FABP4(Hs00609791_m1)およびRUNX2(Hs00231692_m1)(Applied Biosystems)を用いて行った。
PCRは2分間50℃から開始し、最初の10分間の変性温度は94℃であり、その後15秒間の変性ならびに1分間のアニーリングおよび伸長(60℃)を全部で40サイクル行った。
各種レクチン上で増殖させたMSC細胞の相対的遺伝子発現量
我々の結果は、レクチン上で増殖させたMSCが、骨原性分化マーカーRUNX2を、プラスチック上で増殖させた同一の細胞よりも少なく発現することを示す。しかし、これらの細胞は、以下に示すように、脂質生成マーカー脂肪酸結合タンパク質4(FABP4)を、プラスチック上で増殖させた細胞と比べてやや多く発現する。
レクチンのhESC細胞の培養
図32に、A 継代p4およびp6のhESC細胞を、それぞれECAレクチンまたはマトリゲル上で増殖させたものを示す。4回の継代後、FAS分析は、ECA培養細胞に対する胚幹細胞マーカーTra−1−60 32%およびSSEA3 83%を示し、一方マトリゲル上での値は49%および79%であった。C、継代p5。D、ECA上での培養のためのマーカーおよびhESC(FES29 p36)のFACS分析。E、マトリゲルp4対マトリゲルp2+ECAのFACS分析。
本実施例は、N−グリコシル化部位変異組み替えECAが細胞培養条件下で効果的に機能することを明らかにする。他のN−アセチルラクトサミン認識レクチンDSA ja ガレクチン−1も効果的であり、同様にFucα2Galb4GlcNAc認識UEAレクチンとして、UEA−1は最初はLacNAc特異的レクチンほど効果的ではなかった。初期の細胞接着および増殖は、末端を認識しないがN−グリカンコアエピトープを認識するレクチンPHA−Eに対しては弱かった。可溶性ガレクチンは細胞増殖を支持することができず、可溶性ECAもプラスチックコントロールより悪かったため、レクチンの固定化は非常に重要である。他の特異性を有するレクチン(MAA、WFAおよびPWA)は効果的ではなかった。
データは、グリカンビオチン化ECAが、ランダムにタンパク質をビオチン化したレクチンよりも効果的であることを示す。初期接着のアッセイは、接着だけでは効果的な細胞培養に対して十分ではないことを示す。
データは、これらのレクチン上においては、初期低下後にMatgel培養に匹敵する値を生ずるECAレクチンと比べ、マーカーが減少することを示した。
臍帯血CD133+およびCD133−細胞から単離されたシアル化N−グリカンに対するα2,3−シアリダーゼ処理の異なる影響。中性N−グリカンの列は、列挙されるシアル化N−グリカンに対応する中性N−グリカンがCD133+細胞N−グリカンの分析では出現するがCD133−細胞N−グリカンでは出現しないことを示す。括弧外の提案されたグリカン組成は、CD133+細胞のシアル化N−グリカンのα2,3−シアリダーゼ消化後の中性N−グリカン画分において認められる。
試料の提案された中性N−グリカンの分類;hESC、ヒト胚幹細胞株、株1〜4、EB、hESC株3および4由来の胚様体、st.3 3、hESC株3からのステージ3分化細胞、HEF フィーダー細胞として用いたヒト線維芽細胞。
試料の提案されたシアル化N−グリカンの分類;hESC、ヒト胚幹細胞株、株2〜4、EB、hESC株3由来の胚様体、st.3 3、hESC株3からのステージ3分化細胞、HEF フィーダー細胞として用いたヒト線維芽細胞。
ヒト臍帯血単核球の逐次酵素修飾工程における、単糖組成NeuAc1−2Hex5HexNAc4dHex0−3を有するシアル化N−グリカンの質量分析の結果。列は、修飾反応前の(MNC)、α2,3−シアル酸転移酵素反応後の(α2,3SAT)、および逐次的α2,3−シアル酸転移酵素およびα1,3−フコース転移酵素反応後の(α2,3SAT+α1,3FucT)相対グリカンシグナル強度(表中のシグナルの%)を示す。明瞭性のため、各列におけるグリカンシグナル強度の合計を100%に対して標準化した。
ヒト臍帯血単核球の酵素修飾工程における、選択された中性N−グリカンの質量分析の結果。列は、修飾反応前の(MNC)、広範なシアリダーゼ反応後の(SA’se)、α2,3−シアル酸転移酵素反応後の(α2,3SAT)、α1,3−フコース転移酵素反応後の(α1,3FucT)、および逐次的α2,3−シアル酸転移酵素およびα1,3−フコース転移酵素反応後の(α2,3SAT+α1,3FucT)相対グリカンシグナル強度(全グリカンシグナルの%)を示す。
1)記号:+++ 出現した新規シグナル、++ 高度に増加した相対シグナル強度、++ 増加した相対シグナル強度、− 減少した相対シグナル強度、−− 大きく減少した相対シグナル強度、−−− 消失したシグナル、空白:変化無し。
*[M+Na]+イオン、第1の同位体。
§“→”は、残りの構造内の単糖への結合を表す;“[]”は、構造内の分岐を表す。
#本発明による単糖組成に基づく好ましい構造群。HI、高マンノース;LO、低マンノース;S、可溶性マンノシル化;HF、フコシル化高マンノース;G、グルコシル化高マンノース;HY、ハイブリッド型または単分岐;CO、複合型;F、フコシル化;FC、複雑なフコシル化;N=H、末端HexNAc(HexNAc=Hex);N>H、末端HexNAc(HexNAc>Hex)。
*[M+Na]+イオン、第1の同位体。
§“→”は、残りの構造内の単糖への結合を表す;“[]”は、構造内の分岐を表す。
#本発明による単糖組成に基づく好ましい構造群。HI、高マンノース;LO、低マンノース;S、可溶性マンノシル化;HF、フコシル化高マンノース;G、グルコシル化高マンノース;HY、ハイブリッド型または単分岐;CO、複合型;F、フコシル化;FC、複雑なフコシル化;N=H、末端HexNAc(HexNAc=Hex);N>H、末端HexNAc(HexNAc>Hex)。
実施例14も参照。
+=陽性、(+)=弱陽性、(+/−)=単一の陽性細胞、−=陰性;NT=試験されず;*=結果がFACS分析によって確認された、**=特定の細胞バッチにおいてより高い結合または結合細胞が観察され、本発明においてはこれらのマーカーに関する。
4つのhESC株FES21、FES22、FES29、およびFES30の提案された単糖組成に基づくN−グリカンの構造的特徴の分析。数字は、中性(A〜E)もしくは酸性(J〜L)N−グリカンプールのいずれかからの、またはハイブリッド/単分岐および複合型N−グリカンの亜画分(N≧3、F〜IおよびM〜P)からの、パーセンテージを示す。EB29およびEB30:それぞれhESC株FES29およびFES30由来の胚様体;st.3 29:hESC株FES29由来のステージ3分化細胞。H:ヘキソース;N:N−アセチルヘキソサミン;F:デオキシヘキソース。
各種固定化レクチン表面上で増殖させたBM MSCの結果のまとめ。増殖率=3日目の細胞の数/1日目の細胞の数。3重反復を計算に用いた。プラスチックと対比した効果:‘n.g.’=増殖無し;‘−’=遅い増殖速度;‘+’=プラスチック上よりも速い増殖速度;‘()’ プラスチックとほぼ等しい。
*[M+H]−イオン、第1の同位体。
#本発明による単糖組成に基づく好ましい構造群。HY、ハイブリッド型または単分岐;CO、複合型;F、フコシル化;FC、複雑なフコシル化;N=H、末端HexNAc(HexNAc=Hex);N>H、末端HexNAc(HexNAc>Hex);SP、硫酸および/またはリン酸エステル;“()”はグリカンシグナルが他の構造型も含むことを示す。
*[M+Na]+イオン、第1の同位体。
§“→”は、残りの構造内の単糖への結合を表す;“[]”は、構造内の分岐を表す。
#本発明による単糖組成に基づく好ましい構造群。HI、高マンノース;LO、低マンノース;S、可溶性マンノシル化;HF、フコシル化高マンノース;G、グルコシル化高マンノース;HY、ハイブリッド型または単分岐;CO、複合型;F、フコシル化;FC、複雑なフコシル化;N=H、末端HexNAc(HexNAc=Hex);N>H、末端HexNAc(HexNAc>Hex)。
1)幹細胞および分化した細胞型は本文書の他の部分におけるように省略される;st.3はステージ3に分化した、優先的にはニューロン型に分化した細胞を示す;脂肪/骨はMSCから脂肪細胞または骨芽細胞方向に分化した細胞を示す。
2)複合糖質における、ならびに/または特にN−グリカン(N)、O−グリカン(O)、および/もしくはスフィンゴ糖脂質(L)における、末端エピトープの存在。記号:q、定性的データ;+/−、低発現;+、一般的;++、多量。
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Claims (113)
- 非造血幹細胞の調節または培養のための方法であって:(i)少なくとも1個の幹細胞または幹細胞集団を提供すること;ならびに(ii)前記の少なくとも1個の幹細胞または幹細胞集団を、非還元末端の末端および還元末端の末端グリカン構造から選択される末端グリカン構造を結合する1または複数種の結合剤と接触させること;を含む方法。
- さらに(iii)前記細胞を、所望の刺激、状態変化または増殖を達成するに十分な期間インキュベートすること、またはiii)幹細胞の増殖が実質的に分化を伴わずに起こる場合に幹細胞を培養すること、を含む、請求項1記載の方法。
- 前記結合剤がタンパク質またはポリペプチド結合剤であり、末端単糖エピトープGalβ、GalNAcβ、GlcNAcβ、ManαまたはFucαまたはシアル酸α、好ましくはNeu5AcαまたはNeu5Gcαの群から選択される1または複数種の末端グリカン構造を認識する、請求項1記載の方法。
- 前記の1または複数種の結合剤が1または数種の末端β−結合Hex(NAc)nを認識し、式中、nは0または1であり、HexはGalまたはGlcであり、ただしHexがGlcである場合、nは1であり:末端Galβ、GalNAcβ、またはGlcNAcβを含む、請求項1記載の方法。
- 前記の1または複数種の結合剤が1または数種の末端非還元末端α−結合ピラノシド残基Manα Fucα、またはシアル酸α、好ましくはNeu5AcまたはNeu5Gcを認識する、請求項1記載の方法。
- 前記の1または複数種の結合剤が幹細胞または幹細胞群上の末端グリカン構造を認識する、請求項1記載の方法。
- 前記の1または複数種の結合剤が表面に付着する、請求項1記載の方法。
- 幹細胞がヒト胚幹細胞であり、本質的にフィーダー細胞を含まず、または幹細胞はヒト間葉系幹細胞である、請求項1記載の方法。
- ヒト胚幹細胞が、好ましくはECA、ガレクチン、DSAおよびUEA−1の群から選択される、(Fucα2)nGalβ4GlcNAc[式中、nは0または1である]を認識するレクチンとの接触の下で培養される、請求項8記載の方法。
- 前記細胞が未分化状態で20回の継代の間維持される、請求項9記載の方法。
- 幹細胞がヒト間葉系幹細胞である、請求項1記載の方法。
- 幹細胞の状態の変化の調節が、接着、形態、増殖速度または分化を含む、請求項1または2に記載の方法。
- 前記結合剤が、抗体、レクチン、グリコシダーゼ、糖転移酵素およびそれらの断片からなる群より選択されるポリペプチドである、請求項1記載の方法。
- 前記結合剤がレクチン、好ましくは植物レクチンである、請求項1記載の方法。
- 前記グリカン構造が式CC0
[SA]pHex(NAc)nβ4[FucαX]mGlcNAcβR
[式中、n、m、およびpは独立に0または1であり
Xは3または6のいずれかの結合位置であり、
HexはGalまたはGlcであり
SAは伸長する単一またはオリゴ糖構造、
好ましくはシアル酸であり、これは好ましくはSAα3、もしくはSAα6であって、好ましいシアル酸型はNeu5AcまたはNeu5Gcであり、または、N−グリカンコア構造Manα3[Manα6]Manβ4であって、ここでManα残基はさらに1つまたはいくつかのGlcNAcβ2またはLacNAcβ2等の複合型末端構造により伸長されていてよく、Rは任意の伸長単糖残基構造であって、好ましくはN−アセチルラクトサミンの/ラクトシル−セラミド等の糖脂質の/O−グリカンの/3/6Gal(NAc)、またはN−グリカンの2Man、または、Hex(NAc)がGlcNAcである場合の潜在的な結合コアタンパク質/ペプチドを表すAsn−(ペプチド)0または1であり、ただしmが1であり、Xが6である場合、nは1であり、およびHexはGlcであり、およびSAはN−グリカンコア構造Manα3[Manα6]Manβまたはその伸長バリアントであり、nが1であり、HexがGalである場合、pは0である]
によるものである、請求項1記載の方法。 - 前記末端構造がGalβ4GlcNAc、GalNAcβ4GlcNAc、Neu5Acα3Galβ4GlcNAc、Neu5Acα6Galβ4GlcNAc、Fucα2Galβ4GlcNAc、Galβ4(Fucα3)GlcNAc、およびGlcNAcβ4(Fucα6)GlcNAcからなる群より選択される、請求項15記載の方法。
- 前記結合剤がECA、PWA、WFA、MAA、SNA、UEA、LTAおよびPSAからなる植物レクチン群から選択される、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
- 前記幹細胞がヒト間葉系幹細胞である、請求項15〜17のいずれかに記載の方法。
- 前記間葉系幹細胞が本質的に未分化の形態で維持される、請求項18記載の方法。
- 前記結合剤が短縮された末端エピトープGlcNAcβまたはManα、好ましくはGSAIIまたはNPAを認識する植物レクチン群から選択される、請求項1記載の方法。
- 前記グリカン構造が式CC1:
[SA]pHex(NAc)nβ4[Fucα6]mGlcNAcβR
[式中、n、m、およびpは独立に0または1であり、HexはGalまたはGlcであり、
SAは伸長する単−またはオリゴ糖構造、
好ましくはシアル酸であり、これは好ましくはSAα3であって、好ましいシアル酸型はNeu5AcまたはNeu5GcまたはN−グリカンコア構造Manα3[Manα6]Manβ4であって、ここで前記Manα残基はさらに1つまたはいくつかのGlcNAcβ2またはLacNAcβ2等の複合型末端構造により伸長されていてよく、Rは任意の伸長単糖残基構造であって、好ましくはN−アセチルラクトサミンの/ラクトシル−セラミド等の糖脂質の/O−グリカンの/3/6Gal(NAc)、または、N−グリカンの2Man、またはHex(NAc)がGlcNAcである場合の潜在的な結合コアタンパク質/ペプチドを表すAsn−(ペプチド)0または1であり、
ただし、mが1である場合、nは1であり、およびHexはGlcであり、およびSAはN−グリカンコア構造Manα3[Manα6]Manβまたはその伸長バリアントであり、
nが1であり、HexがGalである場合、pは0である]
によるものである、請求項1記載の方法。 - 前記構造がGalβ4GlcNAc、Neu5Acα3Galβ4GlcNAc、GalNAcβ4GlcNAc、およびGlcNAcβ4(Fucα6)GlcNAcからなる群より選択される、請求項21記載の方法。
- 前記結合剤がECA、PSA、PWA、MAA、およびWFAからなる植物レクチン群より選択される、請求項1〜22のいずれかに記載の方法。
- 前記グリカン構造が式CC2:
[SA]pGal(NAc)nβ4GlcNAcβR、
[式中、残っており
pおよびnは独立に0または1であり
SAはシアル酸SAα3であり、好ましいシアル酸型はNeu5AcまたはNeu5Gc、より好ましくはNeu5Acであり、nが1であり、HexがGalである場合、pは0である]
によるものである、請求項1記載の方法。 - 前記構造がGalβ4GlcNAc、Neu5Acα3Galβ4GlcNAc、およびGalNAcβ4GlcNAcからなる群より選択される、請求項24記載の方法。
- 前記グリカン構造が式CC3
Manα3[Manα6]Manβ4GlcNAcβ4(Fucα6)GlcNAcβR
[式中、Manα残基はさらに1つまたはいくつかのGlcNAcβ2、またはLacNAcβ2、またはLacNAcの末端シアル化バリアント、好ましくはGalβ4GlcNAc、等の複合型末端構造により伸長されてよく、Rは任意にAsn−(ペプチド)0または1であり、潜在的な結合コアタンパク質/ペプチドを示す]
によるものである、請求項1記載の方法。 - 前記構造が、
GlcNAcβ4(Fucα6)GlcNAc、GlcNAcβ4(Fucα6)GlcNAcβ
GlcNAcβ4(Fucα6)GlcNAcβAsn、Manβ4GlcNAcβ4(Fucα6)GlcNAc、Manβ4GlcNAcβ4(Fucα6)GlcNAcβR、
Manβ4GlcNAcβ4(Fucα6)GlcNAcβAsn、
Manα3[Manα6]Manβ4GlcNAcβ4(Fucα6)GlcNAcβ、
Manα3[GlcNAcβ2Manα6]Manβ4GlcNAcβ4(Fucα6)GlcNAcβ、
GlcNAcβ2Manα3[Manα6]Manβ4GlcNAcβ4(Fucα6)GlcNAcβ、および
GlcNAcβ2Manα3[GlcNAcβ2Manα6]Manβ4GlcNAcβ4(Fucα6)GlcNAcβ
からなる群より選択される、請求項26記載の方法。 - 前記結合物質がレクチンGS IIまたはLTAと同一のエピトープに結合する、請求項1記載の方法。
- 前記レクチンがECA、PSA、PWA、MAA、WFA、GS IIおよびLTAからなる群より選択される、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
- 前記の少なくとも1個の幹細胞が:身体の全ての組織型の細胞へと分化することができる、全能性;身体の多数の細胞へと分化することができるが全てではない、多能性;の群より選択される特徴を有するか、またはそれは限られた組織型へと分化することができる前駆細胞である、請求項1記載の方法。
- 前記幹細胞が;全能性幹細胞は胚幹細胞、非胚幹細胞(extraembryonic stem cell)、クローン化された幹細胞、および単為生殖由来細胞からなる群より選択される;多能性幹細胞は造血幹細胞、脂肪幹細胞、間葉系幹細胞、臍帯血幹細胞、および胎盤幹細胞からなる群より選択される;前駆幹細胞は神経、肝臓、腎形成、脂質生成、骨芽、破骨、肺胞、心臓、腸、および内皮前駆細胞からなる群より選択される;群より選択される、請求項30記載の方法。
- 前記胚幹細胞が、ステージ特異的胚抗原(SSEA)3、SSEA4、Tra−1−60およびTra−1−81、Oct−3/4、Cripto、ガストリン放出ペプチド(GRP)受容体、ポドカリキシン様タンパク質(PODXL)、ならびにヒトテロメラーゼ逆転写酵素からなる群より選択される少なくとも1種のマーカーを発現する、請求項31記載の方法。
- 前記細胞が請求項9または10に従って増殖させられる、請求項32記載の方法。
- 前記間葉系幹細胞がSTRO−1、CD105、CD54、CD106、HLA−Iマーカー、ビメンチン、ASMA、コラーゲン−1、およびフィブロネクチンからなるがHLA−DR、CD117、および造血細胞ではないマーカーの群より選択される少なくとも1種のマーカーを発現するか、またはRUNX orの少ない発現量を有する、請求項30記載の方法。
- 前記細胞が請求項18または19に従って増殖させられる、請求項34記載の方法。
- さらに細胞培養培地、少なくとも1種の増殖因子を添加した細胞培養培地、または馴化培地を含む、請求項1記載の方法。
- 前記の少なくとも1種の増殖因子が、WNTシグナル伝達アゴニスト、TGF−b、bFGF、IL−6、SCF、BMP−2、トロンボポエチン、EPO、IGF−1、IL−11、IL−5、Flt−3/Flk−2リガンド、フィブロネクチン、LIF、HGF、NFG、アンギオポイエチン様2および3、G−CSF、GM−CSF、Tpo、Shh、Wnt−3a、Kirre、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項36記載の方法。
- 前記馴化培地が、マウスフィーダー細胞馴化培地およびヒトフィーダー細胞馴化培地からなる群より選択される、請求項36記載の方法。
- 前記培地が、Roswell Park Memorial Institute (RPMI−1640)、ダルベッコ修飾必須培地(DMEM)、イーグル修飾必須培地(EMEM)、Optimem、およびIscove培地からなる群より選択される、請求項36記載の方法。
- 前記表面が、プレート、ディッシュ、バッグ、ロッド、ペレット、ファイバー、粒子およびメッシュからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
- 前記粒子が、ビーズ、ミクロスフィア、ナノ粒子、およびコロイド粒子からなる群より選択される、請求項40記載の方法。
- 前記表面が、ガラス、シリカ、シリコン、コラーゲン、ヒドロキシアパタイト、ヒドロゲル、PTFE、ポリプロピレン、ポリスチレン、ナイロン、デキストラン、およびポリアクリルアミドからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
- 前記表面が生体適合性、天然、合成であるか、またはポリマーを含む、請求項1記載の方法。
- 前記ポリマーが、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアンヒドリド(polyanhydrides)、ポリアルキルシアノアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン、ポリ酢酸ビニル、ブロック共重合体、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、およびポリウレタンからなる群より選択される、請求項43記載の方法。
- 前記生体適合性表面が、コラーゲン、金属、ヒドロキシアパタイト、バイオガラス、アルミン酸塩、バイオセラミック材料、ヒアルロン酸ポリマー、アルギン酸塩、アクリル酸エステルポリマー、乳酸ポリマー、グリコール酸ポリマー、乳酸/グリコール酸ポリマー、精製タンパク質、精製ペプチド、および細胞外マトリクス組成物からなる群より選択される、請求項43記載の方法。
- 前記結合剤が前記表面に共有結合的に、非共有結合的に、静電的に、または疎水的に付着する、請求項1記載の方法。
- 少なくとも1個の幹細胞または幹細胞集団が、培養において、20、40、または100回の継代後に実質的に未分化のままである、請求項2記載の方法。
- 結合剤と接触させられる前記の少なくとも1個の幹細胞が、薬剤を用いて分化するように誘導される、請求項47記載の方法。
- 少なくとも1個の幹細胞の拡張を誘導することができる前記薬剤が、TPO、SCF、IL−1、IL−3、IL−7、flt−3L、G−CSF、GM−CSF、Epo、FGF−1、FGF−2、FGF−4、FGF−20、VEGF、アクチビン−A、IGF、EGF、NGF、LIF、PDGF、および骨形成タンパク質ファミリーのメンバーからなる群より選択される、請求項48記載の方法。
- 多分化能または多能性ヒト胚幹細胞の精製された調製物であって、前記細胞が:(i)内胚葉、中胚葉、および外胚葉組織の派生物に分化する能力、(ii)正常な核型、(iii)少なくとも約10回の継代の間、in vitro培養において増殖する能力を有し、ならびに(iv)請求項1記載の方法から得られる、調製物。
- 前記細胞が、結合剤と接触した際、本質的に分化を阻害される、請求項50記載の調製物。
- 前記結合剤が、抗体、抗体断片、レクチン、およびグリコシダーゼからなる群より選択される、請求項50記載の調製物。
- 前記結合剤がレクチンである、請求項22記載の調製物。
- 前記レクチンがECA、PSA、PWA、MAA、WFA、GS IIおよびLTAからなる群より選択される、請求項53記載の調製物。
- 前記調製物が、培養において、20、40、または100回の継代後に実質的に未分化のままである、請求項50記載の調製物。
- 前記調製物が動物で生成された抗体または血清に曝露されていない、請求項50記載の調製物。
- 前記細胞がSSEA−3およびSSEA−4マーカーに対して陽性である、請求項50記載の調製物。
- 前記細胞がTRA−1−60およびTRA−1−81マーカーに対して陽性である、請求項50記載の調製物。
- 前記細胞が、懸濁培養にかけられたか、または免疫無防備状態の動物に移植された際に、胚様体を形成することができる、請求項50記載の調製物。
- 請求項1に従って得ることができる、幹細胞の集団または少なくとも1個の幹細胞。
- 前記細胞または細胞群が幹細胞マーカーを少なくとも20回の継代の間維持する、請求項50記載の幹細胞の集団または少なくとも1個の幹細胞。
- 式T1
[式中、Xは結合位置であり R1、R2、およびR6はOHもしくはグリコシド結合した単糖残基シアル酸、好ましくはNeu5Acα2もしくはNeu5Gc α2、最も好ましくはNeu5Acα2であり、またはR3、はOHまたはグリコシド結合した単糖残基Fucα1(L−フコース)またはN−アセチル(N−アセトアミド、NCOCH3)であり;R4、はH、OHまたはグリコシド結合した単糖残基Fucα1(L−フコース)であり、R4がHである場合、R5はOHであり、R4がHではない場合、R5はHであり;R7はN−アセチルまたはOHであり、Xは前記細胞からの天然オリゴ糖主鎖構造、好ましくはN−グリカン、O−グリカンもしくは糖脂質構造であり;またはnが0である場合、Xは無であり、Yはリンカー基、好ましくはO−グリカンおよびO−結合末端オリゴ糖および糖脂質のための酸素、ならびにN−グリカンのためのN、またはnが0である場合、無であり;Zは担体構造、好ましくは細胞により産生された天然担体であり、例えばタンパク質または脂質であって、好ましくは担体上のセラミドもしくは分岐グリカンコア構造、またはHであり;アーチはガラクトピラノシルからの結合が左側の残基の3位または4位いずれかに対するものであること、およびR4構造が他の4または3位にあることを表し;nは0または1の整数であり、mは1〜1000、好ましくは1〜100、および最も好ましくは1〜10の整数(担体上のグリカンの数)であり、ただしR2およびR3のうち1つはOHまたはR3はN−アセチルであり、左側の第1の残基が右側の残基の4位に結合する場合、R6はOHであり:XはGalα4Galβ4Glcではなく、(SSEA−3または4のコア構造)またはR3はフコシルである]
の幹細胞上のグリカン構造を認識することができる結合剤の群より選択される結合剤を選択する工程を含む方法。 - 前記グリカン構造が式T4:
Galβ1−xHex(NAc)p、 (T4)
[xは結合位置3または4であり、
および、HexはGalまたはGlcであり
ただしpは0または1であり、xが結合位置3である場合、pは1であり、HexNAcはGlcNAcまたはGalNAcであり、および、xが結合位置4である場合、HexはGlcである。コアGalβ1−3/4エピトープは、1または2個の構造SAαまたはFucαにより、任意に水酸基に置換され、ここでSAはシアル酸である]
のグリカン構造である、請求項62記載の方法。 - 前記細胞調製物が胚性幹細胞または非造血成体幹細胞調製物である、請求項62記載の方法。
- (i)少なくとも1個の幹細胞または幹細胞集団を提供すること;および(ii)前記の少なくとも1個の幹細胞または幹細胞集団を、グリカン構造を結合する1または複数種の結合剤と接触させること、を含み、前記結合剤はManα結合レクチンFRIL群レクチンもしくは同様な特異性を有するレクチンまたは造血幹細胞の培養のために用いられる他のレクチンではなく、または前記結合剤は共有結合的に表面に付着する、造血幹細胞の調節または培養のための方法。
- 前記結合剤が上記請求項のうちいずれかに記載される特異性を有する、請求項64記載の方法。
- 前記調節が前記細胞の分化を伴う、請求項67および68のいずれかに記載の方法。
- 前記結合物質がGF287、GF279、GF288、GF284、GF283、GF286、GF290、GF289、GF275、GF276、GF277、GF278、GF297、GF298、GF302、GF303、GF305、GF307、GF353、およびGF354からなる群より選択される抗体と同一のエピトープに結合する、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
- 前記結合物質がGF287、GF279、GF288、GF284、GF283、GF286、GF290、およびGF289、GF275、GF276、GF277、GF278、GF297、GF298、GF302、GF303、GF305、GF307、GF353、およびGF354からなる群より選択される、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
- 前記タンパク質が、少なくとも部分的に2つの単糖構造および前記単糖残基間の結合構造を認識する高特異性結合剤である、請求項13記載の方法。
- 保存された増殖する能力を有するが、本発明の幹細胞を本発明の結合剤との接触の下で培養することを含む、分化状態における阻害を有し、ここで任意に前記結合剤は表面に付着する、幹細胞。
- 前記細胞が全能性幹細胞、多能性幹細胞、および前駆幹細胞からなる群より選択される、請求項73記載の方法。
- 最初にある期間結合剤との接触の下で培養され、次いで第2の/異なる結合剤を含んだ第2の培養液中およびサイトカインまたは増殖因子の同一のまたは各種の混合物中で培養される、請求項73記載の細胞。
- 任意に少なくとも1種の、幹細胞を支持するまたはその分化を誘導することが知られる、WNTシグナル伝達アゴニスト、TGF−b、bFGF、IL−6、SCF、BMP−2、トロンボポエチン、EPO、IGF−1、IL−11、IL−5、Flt−3/Flk−2リガンド、フィブロネクチン、LIF、HGF、NFG、アンギオポイエチン様2および3、G−CSF、GM−CSF、Tpo、Shh、Wnt−3a、Kirre、およびそれらの混合物からなる群より選択される増殖因子を添加した細胞培養液または増殖培地中で前記細胞が維持される、請求項73記載の細胞。
- IL−3(約20ng/ml)、IL−6(約250ng/ml)、SCF(約10ng/ml)、TPO(約250ng/ml)、flt−3L(約100ng/ml)からなる群より選択される増殖因子を添加した、請求項76記載の培地。
- 前記細胞が、GSK−3の阻害剤、ヒストン脱アセチル化酵素活性の阻害剤、およびDNAメチル基転移酵素活性の阻害剤、のうちの1または複数種から選択される薬剤の存在下で維持される、請求項73または76に記載の細胞。
- 前記結合剤がレクチン、抗体またはグリコシダーゼである、請求項73〜76のうちいずれか1項に記載の細胞。
- 前記表面が、金属、ガラス、プラスチック、共重合体、コロイド、脂質、細胞表面等からなる群より選択される、上記請求項のうちいずれかに記載される方法または細胞。
- 前記結合剤がグリカン結合タンパク質の複合体であって、好ましくは前記結合剤タンパク質のグリカンから結合する、好ましくはポリバレントな複合体である、請求項1記載の方法。
- 前記結合剤が固定化される、請求項1または81記載の方法。
- 固定化が非共有結合的な相互作用または共有結合的な固定化を含む、請求項82記載の方法。
- (i)少なくとも1個の幹細胞または幹細胞集団を提供すること;ならびに(ii)前記の少なくとも1個の幹細胞または幹細胞集団を、1または複数種の、グリカン構造を結合する結合剤または幹細胞の培養に用いられる他のレクチンと接触させ、または前記結合剤は特異的にもしくは共有結合的に表面に付着し、および任意に、ここで前記結合剤は図のいずれかに記載の結合剤を含むこと;を含む、幹細胞の調節または培養のための結合剤を選択するための方法。
- 幹細胞上の前記グリカン構造が請求項または明細書内の上記グリカン構造の式のうちいずれかを含む、前記請求項のいずれかに記載の方法。
- (i)少なくとも1個の幹細胞または幹細胞集団を提供すること;および(ii)前記の少なくとも1個の幹細胞または幹細胞集団を、1または複数種の結合剤に接触させること;を含み、ここで、任意に、前記結合剤は上記請求項のうちいずれかに記載のグリカン構造に結合し、およびここで幹細胞の増殖の速度が増加し、前記幹細胞の未分化状態が維持される、結合剤の選択または最適化のための方法。
- (i)少なくとも1個の幹細胞または幹細胞集団を提供すること;および(ii)前記の少なくとも1個の幹細胞または幹細胞集団を、1または複数種の結合剤に接触させること;を含み、ここで、任意に、前記結合剤は上記請求項のうちいずれかに記載のグリカン構造に結合し、およびここで幹細胞の増殖の速度が減少し、前記幹細胞の未分化状態が維持される、結合剤の選択のための方法。
- (i)少なくとも1個の幹細胞または幹細胞集団を提供すること;および(ii)前記の少なくとも1個の幹細胞または幹細胞集団を、1または複数種の結合剤に接触させること;を含み、ここで、任意に、前記結合剤は上記請求項のうちいずれかに記載のグリカン構造に結合し、およびここで幹細胞の増殖の速度が減少し、前記幹細胞の未分化状態が維持される、結合剤の選択のための方法。
- (i)少なくとも1個の幹細胞または幹細胞集団を提供すること;および(ii)前記の少なくとも1個の幹細胞または幹細胞集団を、1または複数種の結合剤に接触させること;を含み、ここで、任意に、前記結合剤は上記請求項のうちいずれかに記載のグリカン構造に結合し、ならびにここで幹細胞の接着状態、形態、増殖速度および/または分化状態が変化する、結合剤の選択のための方法。
- グリカン構造がα3−フコシル化構造を含む、上記請求項のうちいずれかに記載の方法または細胞。
- 前記構造がLewis xおよびシアリルLewis xからなる群より選択される、請求項90記載の方法または細胞。
- 前記結合剤が、α3−フコシル化構造、α2−フコシル化構造、非フコシル化シアリルラクトサミン、Galβ3GalNAc構造、GalNAcα構造、ポリ−N−アセチルラクトサミン構造、および特異的マンノース構造からなる群より選択される構造を認識する、上記請求項のうちいずれかに記載の方法。
- 前記表面が、プレート、ディッシュ、バッグ、ロッド、ペレット、ファイバー、粒子およびメッシュからなる群より選択される、請求項73または80に記載の方法。
- 前記粒子が、ビーズ、ミクロスフィア、ナノ粒子、およびコロイド粒子からなる群より選択される、請求項93記載の方法。
- 前記表面が、ガラス、シリカ、シリコン、コラーゲン、ヒドロキシアパタイト、ヒドロゲル、PTFE、ポリプロピレン、ポリスチレン、ナイロン、デキストラン、およびポリアクリルアミドからなる群より選択される、請求項93記載の方法。
- 前記表面が生体適合性、天然、合成であるか、またはポリマーを含む、請求項93記載の方法。
- 前記ポリマーが、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアンヒドリド(polyanhydrides)、ポリアルキルシアノアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン、ポリ酢酸ビニル、ブロック共重合体、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、およびポリウレタンからなる群より選択される、請求項96記載の方法。
- 前記生体適合性表面が、コラーゲン、金属、ヒドロキシアパタイト、バイオガラス、アルミン酸塩、バイオセラミック材料、ヒアルロン酸ポリマー、アルギン酸塩、アクリル酸エステルポリマー、乳酸ポリマー、グリコール酸ポリマー、乳酸/グリコール酸ポリマー、精製タンパク質、精製ペプチド、および細胞外マトリクス組成物からなる群より選択される、請求項96記載の方法。
- 前記結合剤が前記表面に共有結合的に、非共有結合的に、静電的に、疎水的に付着し、または前記結合剤はグリカン結合タンパク質の複合体であって、好ましくは前記結合剤タンパク質のグリカンから結合する、好ましくはポリバレントな複合体である、請求項72〜98のうちいずれか1項に記載の方法。
- 少なくとも1個の幹細胞または幹細胞集団が、培養において、20、40、または100回の継代後に実質的に未分化のままである、請求項72〜99のうちいずれか1項に記載の方法。
- 結合剤と接触させられる前記の少なくとも1個の幹細胞が、前記結合剤を用いて分化するように誘導される、請求項72〜99のうちいずれか1項に記載の方法。
- 前記構造がGalβ4GlcNAc、Fucα2Galβ4GlcNAc、およびGalβ4(Fucα3)GlcNAcからなる群より選択される、請求項1〜101に記載の方法。
- 前記結合剤がECA、DPA、ガレクチン−1、およびUEAからなる植物レクチン群から選択される、請求項1〜102のうちいずれか1項に記載の方法。
- 前記タンパク質のN グリコシル化部位が変異している、組み替え非グリコシル化(aglycosylated)ECAタンパク質。
- 表面に結合した、請求項104記載の組み替え非グリコシル化ECAタンパク質。
- 請求項104記載の組み替え非グリコシル化ECAタンパク質またはその機能断片をコードするアミノ酸配列。
- 請求項104記載の非グリコシル化ECAタンパク質またはその機能断片をコードする核酸配列。
- 請求項107記載の核酸を含む宿主細胞。’
- 式CONJ
B−(G−)mR1−R2−(S1−)nT−
[式中、Bは前記結合剤であり、Gはグリカン(前記結合剤がグリカンを結合する場合)であり、
R1およびR2は化学選択的連結基であり、Tはタグ、好ましくはビオチンであり、Lはタグに特異的に結合するリガンドであり;S1は任意のスペーサー基、好ましくは炭素数1〜10のアルキルであり、
mおよびnは独立に0または1のいずれかの整数である]
の結合剤複合体構造。 - 前記結合剤が、好ましくは酸化グリカンを介してグリカンと複合化する、請求項109記載の結合剤複合体。
- 式COMP
B−(G−)mR1−R2−(S1−)n(T−)p(L−)r−(S2)s−SOL
[式中、Bは結合剤であり、SOLは固相またはマトリクスまたは表面であり、Gはグリカン(前記結合剤がグリカンを結合する場合)であり、R1およびR2は化学選択的連結基であり、Tはタグ、好ましくはビオチンであり、Lはタグに特異的に結合するリガンドであり、S1およびS2は任意のスペーサー基、好ましくは炭素数1〜10のアルキルであり、m、n、p、rおよびsは独立に0または1のいずれかの整数である]
の構造を含む複合体。 - 請求項111に記載の複合化結合剤。
- 前記結合剤が、好ましくはSOLへの酸化グリカンを介してグリカンと複合化する、請求項111記載の結合剤結合複合体。
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