JP2010502462A - 切削挿入体及びそれを備える切削工具 - Google Patents

Abstract

【課題】本発明は切削挿入体及びこれと用いられる切削工具を提供する。
【解決手段】工具本体は少なくとも一つの装着面と装着面に対して傾斜に延長するネジ山が形成された孔を備える。貫通する装着孔を有する少なくとも一つの切削挿入体が装着面に除去可能に固定される。ネジが装着孔を介して前記ネジ山が形成された孔に締結されることによって切削挿入体を工具本体に除去可能に固定する。装着孔の壁面は、ネジの頭部と少なくとも一つの第１の接触部と少なくとも一つの第２の接触部で接触する。少なくとも一つの第１の接触部は前記装着孔の縦軸に沿って前記少なくとも一つの第２の接触部と異なる高さで形成される。第１の接触部と前記第２の接触部での接触角は互いに異なる。
【選択図】図３

Description

本発明は、切削挿入体及び切削挿入体を備える切削工具に関する。

切削工具の切削刃を提供する切削挿入体（ｃｕｔｔｉｎｇ ｉｎｓｅｒｔ）は、炭化タングステン（ｔｕｎｇｓｔｅｎ ｃａｒｂｉｄｅ）等の耐摩耗性が高い材料で作られ、切削作業中に安定に切削機能を行うことができるようにネジなどを介して工具本体に堅固に結合する。図１は、従来の切削挿入体が用いられたミーリングカッターの斜視図であって、ネジが切削挿入体の底面に接するカッター本体の切削挿入体の装着面に垂直に締結されて切削挿入体がカッター本体に固定されている。この場合、ネジは切削挿入体に垂直方向の締結力のみを作用するので、切削力による反力を十分に支持できず、ミーリングカッターの使用中に緩むようになり、切削挿入体がカッター本体に堅固に固定されないという問題がある。

図２は、そのような問題を解決するためにネジの締結構造を変更した従来の他のミーリングカッターの斜視図である。この構造ではネジがカッター本体の切削挿入体装着面に対して所定角度で傾斜するように締結されている。このようにネジが傾斜するように締結されていることによって、ネジの締結力は垂直方向分力と水平方向分力をいずれも有するようになり、切削力による反力にもかかわらず、ネジの締結状態が維持されて切削挿入体がカッター本体に、より安定的に固定できる。しかし、このようなネジ締結構造においても激しい振動が発生する切削環境ではネジがこれに耐えられず、緩むという問題がある。

本発明は、このような従来技術の問題を解決するためのものであって、工具本体に切削挿入体を固定させるネジが激しい振動が伴う作業環境でも緩まず、切削挿入体が工具本体に堅固に固定された状態が維持できる構造を提供することをその目的とする。

本発明はまた、一旦締結されたネジを緩める力が大幅に増強したネジ接触構造を有する切削挿入体及びそのような切削挿入体を備える切削工具を提供することを目的とする。

このような目的を達成するために、本発明による切削工具は、少なくとも一つの装着面と前記装着面から遠くなる方向へ延長するネジ山が形成された孔を備える工具本体と、前記装着面に除去可能に固定され、貫通する装着孔を有する少なくとも一つの切削挿入体と、前記装着孔を介して前記ネジ山が形成された孔に締結されることによって前記切削挿入体を前記工具本体に除去可能に固定するネジを備える。前記ネジ山が形成された孔は前記装着面に対して傾けられている。前記装着孔の壁面は、前記ネジの頭部と少なくとも一つの第１の接触部と少なくとも一つの第２の接触部で接触する。前記少なくとも一つの第１の接触部は前記装着孔の縦軸に沿って前記少なくとも一つの第２の接触部と異なる高さで形成される。前記第１の接触部と前記第２の接触部での接触角は互いに異なる。

本発明の一実施形態によれば、第１の接触部は、約６０°の接触角を提供し、前記第２の接触部は約６０°未満の接触角、望ましくは約４０°の接触角を提供する。また、第１の接触部は、前記装着孔の縦軸に沿って前記第２の接触部より低く配置することもできる。

本発明の一実施形態によれば、装着孔の壁面は、前記ネジの頭部と少なくとも一つの第３の接触部でさらに接触する。前記少なくとも一つの第１の接触部、前記少なくとも一つの第２の接触部及び前記少なくとも一つの第３の接触部は、前記ネジの頭部周り全体に亘って連続する接触線を形成する。

本発明の一実施形態によれば、装着孔は、中央に対して対称である。また、切削挿入体は、直六面体形状であり、前記装着孔の上端部と下端部は円形であり、中央部は角が丸い長方形である。

従来の切削挿入体が備えられたミーリングカッターの斜視図である。 ネジの締結構造を変更した従来の他のミーリングカッターの斜視図である。 本発明によるミーリングカッター用の切削挿入体の平面図である。 図３のＡ−Ａ線に沿う断面図である。 図３のＢ−Ｂ線に沿う断面図である。 本発明の実施形態によってネジが締結された後に締結が解除された切削挿入体の斜視図である。 本発明の実施形態によってネジが締結された後に締結が解除された他の切削挿入体の斜視図である。

図３は、本発明の一実施形態によるミーリングカッター切削挿入体の平面図である。切削挿入体１０は略直六面体の形状を有する。切削挿入体１４は上下面の各コーナー部ごとに備えられた切削刃を用いて被削材を切削加工できるように中央に対して対称になる。切削挿入体の中央には上下面を貫通する装着孔１４が形成されている。一方、カッター本体４０には切削挿入体１０を収容する装着面部が形成されている。切削挿入体１０の底面と接する装着面４６には切削挿入体１０の装着孔１４を貫通したネジ３０が締結されるネジ山が形成された孔４２が形成されている。ネジ山が形成された孔４２は装着面４６に対して傾斜するように配置されており、その壁面にネジ３０のネジ山３４と結合するネジ山４４が形成されている。従って、ネジ３０が切削挿入体１０の装着孔１４を介してカッター本体４０のネジ山が形成された孔４２に締結されることによって、切削挿入体１０はカッター本体４０に堅固に固定される。

図４は、図３のＡ−Ａ線に沿う断面図であり、図５は図３のＢ−Ｂ線に沿う断面図である。ネジ３０がカッター本体４０のネジ山が形成された孔４２に締結されて切削挿入体１０を固定させる時、ネジの頭部３２は、切削挿入体１０の装着孔１４の壁面１６に対して、切削挿入体１０の側面部１８に対向する部分とコーナー部１２に対向する部分がそれぞれ異なる高さで異なる接触角で接触する。ここで、接触角とは、図４及び図５の切削挿入体１０の断面図から分かるように、切削挿入体１０の断面においてネジの頭部３２が装着孔１４の壁面１６と当接する二つの点からそれぞれ延長する二つの接線がなす角度である。図４は切削挿入の体側面部１８に対向する部分でのネジの頭部３２と装着孔の壁面１６の接触を示し、接触角Ａは約５５°〜約６５°、望ましくは約６０°である。図５は切削挿入体のコーナー部１２に対向する部分でのネジ頭部３２と装着孔壁面１６の接触を示し、図５に示した接触部は図４の接触部より高い位置に形成され、接触角Ｂは約２０°〜約５０°、望ましくは約４０°である。

下記表１は、それぞれ３０°の接触角及び６０°の接触角を提供する切削挿入体に対して同一のネジ締め力（ｃｌａｍｐｉｎｇ ｆｏｒｃｅ）を加えてネジを締結した後、ネジ緩め力（ｕｎｃｌａｍｐｉｎｇ ｆｏｒｃｅ）を測定した結果である。ネジ締め力及びネジ緩め力の大きさは公知の方法を用いて測定した。同一のネジ締め力を加える時、３０°の接触角を有する場合が６０°の接触角を有する場合より約２７％〜約４７％程度大きいネジ緩め力を必要とすることが表１から分かる。

このように、接触角を小さくすれば振動によるネジの緩みはなくなるが、ネジを緩める時に切削挿入体の装着孔にネジが挟まるという問題が生じる。本発明の前述した実施形態では、ネジが締結されてネジ頭部３２と装着孔壁面１６が接触する時、切削挿入体の側面部１８に対向する部分で約６０°の接触角と、切削挿入体のコーナー部１２に対向する部分で約４０°の接触角が同時に形成される。このような構造では、加工中に発生する振動によるネジの緩みが防止されるとともに、ネジを緩める時にネジが切削挿入体の装着孔に挟まるという問題も発生しない。

図６は、図４及び図５のようにネジが締結された後に締結が解除された切削挿入体の斜視図であり、ネジの頭部３２が切削挿入体１０の側面部１８に対向する装着孔の壁面１６に接触して生じた接触線２２と、コーナー部１２に対向する装着孔の壁面１６に接触して生じた接触線２４が互いに異なる高さで形成されたことを示す。切削挿入体１０の側面部１８に対向する装着孔の壁面１６における接触線２２は、コーナー部１２に対向する装着孔の壁面１６における接触線２４より装着孔１４の縦軸Ｘに沿って低い高さで形成されている。ここで、ネジ３０が締結されてネジの頭部３２と装着孔の壁面１６が接触する時、切削挿入体の側面部１８に対向する部分で接触角は約６０°であり、切削挿入体のコーナー部１２に対向する部分で接触角は約４０°である。

図６に示すように、ネジの頭部が装着孔の壁面に接触する接触線は互いに分離されていてもよい。

これと異なり、図７に示すように、ネジの頭部が装着孔の壁面に接触する接触線は連結されていてもよい。即ち、ネジの頭部３２と装着孔１４は一つ以上の接触部でさらに接触し、この接触部は、切削挿入体のコーナー部１２に対向する部分でのネジの頭部３２と装着孔の壁面１６との間の接触部及び切削挿入体の側面部１８に対向する部分でのネジの頭部３２と装着孔の壁面１６の間の接触部と共に、ネジの頭部周りの全体に亘って連続する接触線を形成している。これは装着孔壁面１６の幾何学的形状を適切に設計することによって具現することができる。または、ネジの頭部３２の適切な幾何学的形状を選択して具現することができる。このように、接触線が連結される場合、接触線が分離された場合より長い接触線を有するので、ネジが高荷重で締結される時、相対的に硬度の低いネジの頭部の損傷が減る。

装着孔１４は、上下対称であり、図３に示すように、入口部は円形であり、中央部で角が丸い四角形の形状を有する。従って、切削挿入体の側面部１８から装着孔の壁面１６までの距離が中央部へ行くほど増加し、切削挿入体の断面積が増加し、従って切削挿入体の剛性が向上する。

本発明を、実施形態を介して記述したが、本発明はこの他にも多様な形態で実施できる。例えば、本発明の切削挿入体はミーリングカッターだけでなく、他の切削工具に用いても良く、また、切削挿入体は直六面体状だけでなく、三角柱状など異なる形状を有することができる。このような変形はこの技術分野の専門家には自明なものであり、本発明の範囲に当然含まれるものである。

前述したように、本発明によれば、一旦締結されたネジを緩める力が大幅に増強されたネジ接触構造を有する切削挿入体及びそのような切削挿入体を備える切削工具が提供される。このような構造では、加工中に発生する振動によるネジの緩みが防止されるとともに、ネジを緩める時にネジが切削挿入体の装着孔に挟まるという問題も発生しない。

１０：切削挿入体
１２：コーナー部
１４：装着孔
１６：装着孔の壁面
１８：側面部
２２、２４：接触線
３０：ネジ
３２：ネジの頭部
３４：ネジのネジ山
４０：工具本体
４２：ネジ山が形成された孔
４４：孔のネジ山
４６：装着面

Claims (11)

1. 少なくとも一つの装着面と前記装着面から遠くなる方向へ延長するネジ山が形成された孔を備える工具本体と、
   前記装着面に除去可能に固定され、貫通する装着孔を有する少なくとも一つの切削挿入体と、
   前記装着孔を介して前記ネジ山が形成された孔に締結されることによって前記切削挿入体を前記工具本体に除去可能に固定するネジと、を備え、
   前記ネジ山が形成された孔は前記装着面に対して傾斜しており、
   前記装着孔の壁面は、前記ネジの頭部と少なくとも一つの第１の接触部と少なくとも一つの第２の接触部で接触し、前記少なくとも一つの第１の接触部は前記装着孔の縦軸に沿って前記少なくとも一つの第２の接触部と異なる高さで形成され、前記第１の接触部と前記第２の接触部での接触角は互いに異なる、切削工具。
2. 前記第１の接触部は、約６０°の接触角を提供し、前記第２の接触部は約４０°の接触角を提供する、請求項１に記載の切削工具。
3. 前記第１の接触部は、前記装着孔の縦軸に沿って前記第２の接触部より低く配置される、請求項２に記載の切削工具。
4. 前記装着孔の壁面は、前記ネジの頭部と少なくとも一つの第３の接触部でさらに接触し、前記少なくとも一つの第１の接触部、前記少なくとも一つの第２の接触部及び前記少なくとも一つの第３の接触部は、前記ネジの頭部周り全体に亘って連続する接触線を形成する、請求項１〜３のいずれか１項に記載の切削工具。
5. 前記装着孔は、中央に対して対称である、請求項１〜３のいずれか１項に記載の切削工具。
6. 前記切削挿入体は、直六面体形状であり、前記装着孔の上端部と下端部は円形であり、中央部は角が丸い長方形である、請求項５に記載の切削工具。
7. ネジが貫通する装着孔を有して前記ネジにより工具本体に装着されて工具の切削刃を提供する切削挿入体であって、
   前記装着孔の壁面は、前記ネジの頭部と少なくとも一つの第１の接触部と少なくとも一つの第２の接触部で接触し、前記少なくとも一つの第１の接触部は前記装着孔の縦軸に沿って前記少なくとも一つの第２の接触部と異なる高さで形成され、前記第１の接触部と前記第２の接触部での接触角は互いに異なる、切削挿入体。
8. 前記装着孔の壁面は、前記ネジに対して前記第１の接触部が約６０°の接触角を提供し、前記第２の接触部が約４０°の接触角を提供する幾何学的形状を有する、請求項７に記載の切削挿入体。
9. 前記第１の接触部は、前記装着孔の縦軸に沿って前記第２の接触部より低く配置される、請求項８に記載の切削挿入体。
10. 前記装着孔の壁面は前記ネジに対して少なくとも一つの第３の接触部をさらに提供し、前記少なくとも一つの第１の接触部、前記少なくとも一つの第２の接触部及び前記少なくとも一つの第３の接触部は閉曲線を形成する、請求項７〜９のいずれか１項に記載の切削挿入体。
11. 前記切削挿入体は、直六面体形状であり、前記装着孔は中央に対して対称であり、上端部と下端部は円形であり、中央部は角が丸い長方形である、請求項７〜９のいずれか１項に記載の切削挿入体。

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