本発明は、式I〜VIIIの化合物の塩及びそれらの製造方法を提供する。式I〜IVの化合物の塩は、1価のアルカリ金属カチオンと、1またはそれ以上の第三級アミンまたは第四級アンモニウム残基を含む化合物を用いて調製できる。このような塩では、式I〜IVの化合物は、アニオンの形で存在している。さらに、これらの塩の調製にとって溶媒の選択は、塩の形成において重要な役割を演じていることが見いだされている。本明細書で記載しているように、米国特許第2,096,573に記載の方法を用いてアルカリ金属アルコキシドからジアゾキシドの塩を得ることには失敗している。
式V〜VIIIの化合物は、アニオンとカチオンの両方を形成することができ、このような塩は、アニオンとカチオンの両方を含む、対応する種々のイオンを用いて調製され得る。式VからVIIIの化合物のカチオンは、アミノ基で形成され得るし、式VからVIIIの化合物のアニオンは、アミノ基またはスルフォニル基のいずれかで形成され得る。式VからVIIIの化合物の塩の形成は、種々の溶媒中でなし得るが、好ましくは有機溶媒中でなし得る
本明細書で記載しているように、ジアゾキシドのコリン(choline)塩の2種の多型(すなわち、A形とB形)が確認されている。要するに、A形とB形が、ジアゾキシドのコリン塩の無水結晶である。ジアゾキシドコリン塩A形は、本明細書で提供したように、急速冷却法を用いて形成され得る。一方、緩和な冷却では一般的には、B形の形成が有利になる。スラリーの研究では、A形は、容易にB形に転換することが示されている。理論により縛られていることを望んでいないのであるが、スラリーの研究は、ジアゾキシドコリン塩のB形が熱力学的により安定型であることを示している。
ジアゾキシドのカリウム塩については、7つの多型の形が確認されている(すなわち、A形〜G形)。ジアゾキシドカリウム塩のC形、D形及びF形は、アセトン溶媒、半水和物(半水化物)、ジオキサン溶媒の各々で観察されている。A形、B形、E形、及びG形は、通常、スクリーニング中は観察されなかった。元素分析ではA形、B形、E形およびG形は混合物であり得て、残存溶媒が存するか、または少なくとも一部がカリウム塩ではない。理論で縛られるのを望んでいないのであるが、スラリーの検討は、D形がジアゾキサイドカリウム多形の中で熱力学的に最も安定した多型である。
さらに、被験者に投与されたとき、新規な薬理作用、薬物動態、治療、生理作用、および代謝による結果をもたらす式I〜VIIIの化合物の塩の特定のKATPチャンネルオープナの製薬学的製剤を提供する。さらに、副作用の頻度を減少させる一方で、治療効果をもたらす式I〜VIIIにより定義された化合物の塩から選択された特定のKATPチャンネルオープナの製薬学的製剤製剤、投与方法および用量を提供する。
特に、式I〜VIIIにより定義された化合物の塩から選択され、そして経口剤用に製剤化された製薬学的な製剤は、以下のことを提示している、すなわち、一貫した吸収性の促進、投与患者についての薬物動態、薬力学、患者の服薬遵守への貢献および重篤な副作用の頻度を減少させるような、製品の安全性の改良である。前記製剤の投与による、ヒトおよび動物の代謝性疾患および他の疾患の治療方法を提供する。
下記に示すように、ジアゾキシドおよびその誘導体は、プロトン互変異性体として提示することができる。プロトン互変異性は、水素原子と二重結合の位置においてのみ相互に異なる異性体である。水素原子と二重結合は、炭素原子とヘテロ原子、例えば、N、の位置を切り替える。このように窒素上の置換基が水素原子である場合、2つの異性体の化学構造が交互に用いられている。
本発明で用いられる特定のKATPチャンネルオープナは、式I〜VIIIの範囲内のあらゆる化合物の塩を含んでいる。以前に報告した典型的な化合物は、ジアゾキシド、BPDZ62、BPDZ73、NN414およびBPDZ154である(例えば、Schou et.al.Bioorg. Med.Chem.,13,141〜155(2005)を参照)。化合物BPDZ154は、インシュリン過剰症やインスリノーマ(膵島細胞腫)の患者に有効なKATPチャンネル活性化剤である。化合物BPDZの合成は、Cosgrove等によりJ.Clin.Endocrinol.Metab.,87,4860〜4868(2000)において提供されている。
インシュリン放出阻害における減少活性と、血管性平滑筋での増強活性を示すチャンネルオープナは、以前に報告されており、例えば、3−イソプロピルアミノ−7−メトキシ−4H−1,2,4−ベンゾチアジアジン1,1−ヂオキシド(a selective Kir6.2/SUR1 channel opener, Dabrowski等、51,1896〜1906(2002)、および2−アルキル置換ジアゾオキシド(例えば、Ouedraogo等、Biol.Chem.,383,1759〜1768(2002)。)を参照)である。2−アルキル置換ジアザオキシドは、一般に、従来のカリウムチャンネル活性化剤としては機能しない、しかし、その代わり、Ca2+ブロッカーとして有用である。
以前に報告されている他のジアザオキシドアナログは、Schou等によるBioorg. Med.Chem.,13,141〜155(2005)に記載されているものを含むが、それらは下記に示されている。
分子内の3位に異なるアルキル置換基をもつジアザオキシドのアナログ(下記に、R
3として認識されている)は、Bertolono等によりReceptors and Channels,1,267〜278(1993))に記載されている。
化合物I〜VIIIおよび関連化合物の塩のKATPチャンネル活性は、Schou等の、Bioorg. Med.Chem.,13,141〜155(2005)およびDabrowski等のDiabetes,51,1896〜1906(2002)による、膜電位試験により測定し得た。
βTC6細胞からのグルコース刺激インシュリン放出の阻害測定は、Schou等によるBioorg. Med.Chem.,13,141〜155(2005)に記載されている。培養ラット膵臓小島からのインシュリンの放出を阻害する特定のKATPチャンネルオープナの活性試験は、Ouedraogo等Biol.Chem.,383,1759〜1768(2002)の記載により行うことができる。
KATPチャンネルオープナによる組替えKATPチャンネルの活性化は、Kir6.2およびSUR1、SUR2AまたはSUR2Bのいずれかが共発現しているアフリカツメカエル卵母細胞から裏返しにした膜パッチ(膜片)の肉眼で見える電流モニターにより試験することができる。SUR発現膜は、公知の方法により調製できる。例えば、Dabrowski等、Diabetes,51、1896−1906(2002)を参照されたい。
SUR1、SUR2AまたはSUR2Bを結合するKATPチャンネルオープナの活性を測定するために、結合試験を用いることができる。例えば、Schwanstecher等におるEMBO J.,17,5529〜5535(1998)、を参照されたい。
SUR1とSUR2Aとのキメラの調製は、Babenko等らの記載のように、そのSUR1/Kir6.2とSUR2A/Kir6.2カリウムチャンネルの薬理学的性状(すなわち、スルフォニル感受性およびジアザオキシドまたは他のカリウムチャンネルオープナへの反応性)の比較を可能にする。Babeko等のJ.Ciol.Chem.,
275(2)、717−720(2000)を参照されたい。スルフォニルウレア受容体のクローニングと密かにK+チャンネルの修正はIsomoto等による、J.Biol.Chem.271(40),24321〜24324(1996)により、また、D’hahan等によるPNAS、96(21), 12162〜12167(1999)に記載されている。
ヒトSUR1とヒトSUR2遺伝子の間の相違が、Aguilar−Bryan等ら、Physiological Review78(1):227〜245(1998)、に記載され示されている。
「ハロ」および「ハロゲン」は、すべて、ハロゲンを意味し、すなわち、塩素(Cl)、フッ素(F)、臭素(Br)、またはヨード(I)である。
「Hydroxy」と「hydoxy」は、「−OH」を意味する。
「置換オキシ」は、−ORaa基を意味し、Raaは、アルキル、置換アルキル、アシル、置換アシル、アリル、置換アリル、ヘテロアリル、置換へテロアリル、アラルキル、置換アラルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリルまたは置換ヘテロシクリルを意味する。
「置換チオール」は、基−SRbbを意味し、ここでRbbは、アルキル、置換アルキル、アシル、置換アシル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アラルキル、置換アラルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリルまたは置換ヘテロシクリルであり得る。
「アルキル」は、炭素数1〜10、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜2のラジカル由来のアルカンを意味する。アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル等のような、直鎖アルキル、分岐アルキルおよびシクロアルキルを含んでいる。アルキル基は、それらは安定な化合物をつくるあらゆる位置に付することができる。「アルキレン」は、2価のアルキルである。
「置換アルキル」は、1またはそれ以上の、例えば、1,2または3であり、基または置換基で、独立して、置換されたアルキル基であり、それらは、ハロ、ヒドロキシ、置換基を有することもあるアルコキシ、置換基を有することもあるアルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルフォニル、置換基を有することもあるアミノ、置換基を有することもあるアミド、アミジノ、アルキル基を有することもあるウレア、N−モノまたは、アルキルN,N−ジ置換されることもあるアミノスルフォニル、アルキルスルフォニルアミノ、カルボキシル、ヘテロシクロ、置換ヘテロシクロ、ニトロ、シアノ、チオール、スルフォニルアミノ、または、それらは安定な化合物をつくるあらゆる位置に付することができる。特に、「フルオロ置換」は、1またはそれ以上の例えば、1、2、または3のフッ素原子、による置換を意味する。「フッ素原子により置換することもある」とは、フッ素原子が存在するかもしれない置換を意味するが、必ずしもその必要はないことを意味する。「置換基を有することもある」の用語は、ここでは、置換がされ得る、しかし必ずしもその必要はない、ことを意味する。
「低級アルキル」は、炭素原子1〜6をもつアルキル基を意味する。
「置換低級アルキル」は、1またはそれ以上で置換されたもの、例えば、1、2又は3の、上記で定義した基または置換基であり、それらは安定な化合物をつくるあらゆる位置に付することができる。
「シクロアルキル」は、飽和または不飽和であり、環あたりの環員が3〜8、好ましくは3〜6員環の、非芳香性単環性、2環性または3環性の炭素環系であり、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロへキシル、アダマンチル、およびそのようなものを含む。「シクロアルキレン」は、2価のシクロアルキルである。
「置換シクロアルキル」は、飽和または不飽和、環あたりの環員が3〜8、より好ましくは3〜6の非芳香性単環性、2環性または3環性の炭素環系であり、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロへキシル、アダマンチル、およびそのようなものであって、独立して1又はそれ以上、例えば、1、2または3の基または置換基をもつ、それらとしては、ハロ、ヒドロキシ、置換基を有することもあるアルコキシ、置換基を有することもあるアルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルフォニル、置換基を有することもあるアミノ、置換基を有することもあるアミド、アミジノ、アルキル基で置換されることもあるウレア、N-モノアルキル置換またはN,N−ジアルキル置換されることもあるアミノスルフォニル基、アルキルスルフォニルアミノ、カルボキシル、ヘテロ環、置換ヘテロ環、ニトロ、シアノ、チオール、スルフォニルアミノ、又はそれらは安定な化合物をつくるあらゆる位置に付することができる。
「アリール」は、単独または組み合わせて、フェニルまたはナフチルを意味し、好ましくは5〜7員環、より好ましくは、5〜6員環と融合することもある炭素環を意味する。
「置換アリール」とは、上記で定義したように、1またはそれ以上のにより独立に置換されたアリール基であり、例えば、1、2または3の基または置換基であり、それには、ハロゲン、水酸基、置換基を有することもあるアルコキシ基、置換基を有することもあるアルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルフォニル、置換基を有することもあるアミノ、置換基を有することもあるアミド、アミジノ、アルキル基が置換することもある尿素、アルキルとのN-モノアルキル置換またはN,N−ジアルキル置換することもあるアミノスルフォニル、アルキルスルフォニルアミノ、カルボキシル、複素環、置換複素環、ニトロ、シアノ、チオール、スルフォニルアミノ、またはそれらと同様なものであり、それらは安定な化合物をつくるあらゆる位置に付することができる。
「アルコキシ」は、基−ORccを意味し、ここで、Rccはアルキルである。「低級アルコキシ」は、基−ORcccを意味し、ここで、Rcccは、低級アルキルである。
「置換アルコキシ」は、基−ORddを意味し、ここでRddは、置換されたアルキルである。「置換低級アルコキシ」は、基−ORdddを意味し、ここでRdddは、置換された低級アルキルである。
「アルキルチオ」または「チオアルコキシ」は、基−S−Reeを意味し、ここでReeは、アルキルである。
「置換アルキルチオ」または「置換チオアルコキシ」は、基−S−Rを意味し、ここでRは置換されたアルキルである。
「スルフィニル」は、基−S(O)−を意味する。
「スルフォニル」は、基−S(O)2−を意味する。
「置換スルフィニル」は、基−S(O)−Rffを意味し、ここで、Rff は、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、置換シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、置換 ヘテロシクリルアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換へテロアリール、ヘテロアラルキル、置換ヘテロアラルキル、アラルキルまたは置換アラルキルである。
「置換スルフォニル」は、基−S(O)2Rggを意味し、ここで、Rgg は、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、置換シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、置換ヘテロシクリルアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換へテロアリール、ヘテロアラルキル、置換へテロアラルキル、アラルキルまたは置換アラルキルである。
「スルフォニルアミノ」は、基−S(O)2NRhh−を意味し、ここでRhhは、ハロゲンまたはアルキルである。
「置換スルフォニルアミノ」は、基−S(O)2NRii−Rjjを意味し、ここでRiiは、水素または置換基を有することもあるアルキル、そして Rjj は、アルキル、置換アルキル、
シクロアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換へテロアリール、ヘテロアラルキル、置換へテロアラルキル、アラルキルまたは置換アラルキルである。
「アミノ」または「アミン」は、基−NH2を意味する。「2級アミン」は、基−NH−を意味する。「置換2級アミン」は、基−NRkk−を意味し、ここで、Rkkは、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換へテロアリール、アシル、
置換アシル、スルフォニルまたは置換スルフォニルである。
「置換アミノ」または「置換アミン」は、基−NRmm−Rnnを意味し、ここで、RmmおよびRnnは、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換へテロアリール、アシル、置換アシル、スルフォニル、置換スルフォニルまたはシクロアルキルが提供される。しかしながら、RmmとRnnの少なくとも1つは、水素ではない。RmmRnn は、窒素と一緒になって、置換基を有することもあるヘテロシクロ環、またはヘテロアリール環を形成する。
である。
「アルキルスルフィニル」は、基−S(O)Rooを意味し、ここで、Rooは、置換基を有することもあるアルキルである。
「アルキルスルフォニル」は、基−S(O)2Rppを意味し、Rppは、置換基を有することもあるアルキルである。
「アルキルスルフォニルアミノ」は、基−NRqqS(O)2Rrrを意味し、ここで、Rrrは、置換基を有することもあるアルキルであり、Rqqは、水素またはアルキルである。
「第1級アミノ置換基」は、基−NH2を意味する。
「第2級アミノ置換基」は、基−NHRssを意味し、ここでRssは、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換へテロアリール、アシル、置換アシル、スルフォニル、置換スルフォニルまたはシクロアルキルである。
「第三級アミノ置換基」は、基−RssRRttを意味し、RssとRttは、独立して、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換へテロアリール、アシル、置換アシル、スルフォニル、置換スルフォニルまたはシクロアルキルである。
「第四級アンモニウム置換基」は、基−N+RssRffRuuを意味し、ここで、Rss、
RffおよびRuuは、独立して、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換へテロアリール、アシル、置換アシル、スルフォニル、置換スルフォニルまたはシクロアルキルである。
「ヘテロアリール」は、5または6員環原子を含む単環性芳香環構造または8〜10原始をもつ2環性芳香環で、1またはそれ以上、好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜3、さらにより好ましくは1〜2のO、SおよびNからなる群から選択されるヘテロ原子を、独立に有しているものを意味する。ヘテロアリールは、また、スルフィニル、スルフォニル、第三級環状窒素のN−酸化物のような、酸化硫黄または窒素を含むことを意味する。炭素または窒素原子が、安定な芳香環を保つヘテロ環構造の接点である。ヘテロアリール基の例としては、ピリジニル、ピリダジニル、ピラジニル、キナオキサリル、インドリジニル、ベンゾ[b]チエニル、キナゾリニル、プリニル、インドリル、キノリニル、ピリミジニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、チエニル、イソキサゾリル、オキサチアジアゾリル、イソチアゾリル、テトラゾリル、イミダゾリル、トリアジニル、フラニル、ベンゾフラニル、インドリルおよび同様なものをあげることができる。「ヘテロアリーレン」は、2価のへテロアリールを意味する。
「ヘテロ環」または「ヘテロ環状」は、単環または多環縮合環基を有する飽和または不飽和の非芳香性環状炭素基であり、例えば、環内にある1〜3の炭素原子が、O、SまたはN等のヘテロ原子で置換されている5〜10原子のシクロアルキル基、ベンゾまたは5〜6員環のヘテロアリールと融合することもある、シクロアルキル基である。ヘテロ環基は、スルフィニル、スルフォニル、第三級環窒素のN−酸化物等の酸化硫黄または窒素を含むことを意味する。ヘテロ環またはヘテロ環基の例としては、モルホリノ、テトラヒドロフラニル、ジヒドロピリジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、ピペラジニル、ジヒドロベンゾフリル、ジヒドロインドリルおよびそのようなものを含むことを意味する。
「ヘテロシクリルアルキル」は、基−R−Hetを意味し、ここで、Hetは、ヘテロシクリル基であり、Rはアルキレン基である。
「置換ヘテロアリール」、「置換ヘテロシクリル」、または「置換ヘテロシクリルアルキル」は、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリルアルキルが、各々独立に、1またはそれ以上の、例えば、1、2または3の次のような基または置換基に置換されたものである;つまり、ハロゲン、水酸基、置換基を有することもあるアルコキシ、置換基を有することもアルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルフォニル、アシルオキシ、置換基を有することもあるアリール、置換基を有することもあるアリルオキシ、置換基を有することもあるヘテロアリルオキシ、置換基を有することもあるアミノ、置換基を有することもあるアミド、アミジノ、アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリル基が置換することもあるウレア、アルキル、アリールまたはヘテロアリール基とのN−モノアルキル置換またはN,N−ジアルキル置換することもあるアミノスルフォニル、アルキルスルフォニルアミノ、アリールスルフォニルアミノ、ヘテロアリールスルフォニルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、カルボキシ、ヘテロ環、置換ヘテロ環、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ニトロ、シアノ、チオール、スルフォニルアミノ、置換基を有することもあるアルキル、置換基を有することもあるアルケニル、または置換基を有することもあるアルキニル、それらは安定な化合物をつくるためにあらゆる位置に付することができる。
「アミド」は、基−C(O)NH2を意味する。「置換アミド」は、基−C(O)NRkR1を意味し、ここでRkとRlは、独立して、水素、低級アルキル、置換低級アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、RkとRlは置換ヘテロアリールであるが、ただし、少なくとも、RkRlは、窒素と組み合わせて、置換基を有することもあるヘテロ環またはヘテロアリール環およびそのようなものを形成することができる。
「アミジノ」は、基−C(=NRm)NRnRoを意味する、ここで、Rm、RnおよびRo
は、独立して水素、または置換基を有することもある低級アルキルである。
「アシルオキシ」は、基−OC(O)Rhを意味し、ここで、Rhは、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリールおよびそのようなものである。
「アリールオキシ」は、基−OArを意味し、ここで、Arは、アリールまたは置換アリール基である。「ヘテロアリールオキシ」は、基−OHetを意味し、ここでHetは、置換基を有することもあるヘテロアリール基である。
「アリールスルフォニルアミノ」は、基−NRqS(O)2Rsを意味し、ここでRsは、
置換アリールであり、Rqは、水素、または低級アルキルである。「ヘテロアリールスルフォニルアミノ」は、基−NRqS(O)2Rtを意味し、ここで、Rtは、置換基を有することもあるヘテロアリールであり、Rqは、水素または低級アルキルである。
「アルキルカルボニルアミノ」は、基−NRqC(O)Rpを意味し、Rpは、置換基を有することもあるアルキル、Rpは、水素または低級アルキルである。
「アリールカルボニルアミノ」は、基−NRqC(O)Rsを意味し、Rsは、置換基を有することもあるアリール、Rpは、水素または低級アルキルである。
「ヘテロアリールカルボニルアミノ」は、基−NRqC(O)Rlを意味し、Rlは、置換基を有することもあるアリール、Rqは、水素または低級アルキルである。
KATPチャンネルオープナを含む製薬学的製剤は、式I〜VIIIのいずれかによっって定義される化合物の遊離塩基またはその塩を含む。本明細書で提供される式I〜VIIIの化合物の塩は、次の1またはそれ以上の特徴をもつ、すなわち、(1)合成中および製剤中の安定性、(2)固体での安定性、(3)錠剤製剤の製造中において使用する賦形剤とのKATPチャンネルオープナ適合性、(4)刺激したまたは現実に働いている胃および十二指腸への接触に対するKATPチャンネルオープナ定量的な回収性、(5)容易に溶解し、吸収されるに十分な微細粒子からのKATPチャンネルオープナの放出、(6)製剤学的製剤に取り込まれたとき、投与量の80%以上の吸収、(7)KATPチャンネルオープナの遊離塩基と比較して毒性の上昇がないこと、(8)肥満およびヒトのその他の病気の治療のために製薬学的に許容できる製剤に製剤化され得ること、(9)薬剤生産物の基準としてFDAに受け入り可能であり、(10)純度を上げるために再結晶され得る、(11)そのKATPチャンネルオープナの2以上の塩の共結晶を造るために使用できること、(12)安定性を改善するために吸湿性が限定的なものであること、(13)塩が形成される合成および結晶条件が様々であり、その結果、異なる結晶構造(多形)が、塩の合成において調節し得るものであること、(14)生理的なpH値で水系で遊離塩基に比べて溶解性が改善されていること、である。
式I〜VIIIに提供されたKATPチャンネルオープナは、好ましくは、製薬的に許容可能な塩に製剤化される。製薬学的に許容可能な塩は、投与された容量と濃度において非毒性である。このような塩の製剤は、生理効果を発揮することを妨げることのなく化合物の物性を変えることにより、製薬学的な用途を促進し得る。生理的な特性の有用な改変は、経粘膜吸収と促進するための融点の低下、および薬剤の低い有効量の投与をもたらすような溶解度の増加を含んでいる。
カチオンは、I族アルカリ金属から選択することができる。アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム、カルシウムおよびそのようなもの)のような、2価の金属カチオンは、式I〜IVの化合物と塩基を形成するために有用でないことがわかっている。
アルカリ金属カチオンを含む式I〜IVの化合物の塩は、式I〜IVの化合物を、NaOH、KOHまたはNaOCH3のようなアルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属と共に低分子量ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン)、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルフォルムアミド(DMF)およびn−メチルピロリドン等から選択される種々の溶媒中で反応させることにより調製することができる。驚くべきことに、アルコール特に、メタノールまたはエタノールのような低級アルコールは溶媒として用いたときは、アルカリ金属水酸化物またはアルコキシドとの塩の形成は認められないこと。このことは、粉末X線解析およびNMRにより確認された、そして、アルコール中でジアゾキシド塩の形成を記載している米国特許第2,986,573、とは正反対である。
式I〜IVの化合物は、少なくとも1つの第三級アミンまたはアンモニウムを含む有機カチオン塩を形成し得る。有機カチオン化合物は、第三級アミンまたは四級アンモニウムカチオンを1つ、2つ、3つまたは4つを各々、分子内に含むことにより、1価、2価、3価および4価であり得る。多価化合物を用いたとき、第三級または第四級アンモニウム残基は、好ましくは、少なくとも4原子の鎖で、より好ましくは少なくとも6原子の鎖で離れているが、例えば、ヘキサメチルヘキサメチレンジアンモニウム2水酸化物の例があるが、ここで、第四級アンモニウム残基は、−(CH2)6−で離れている。第1級および第2級アミンは、式I〜IVの化合物とは効率的に塩を形成しない。
式I〜IVの化合物の塩は、式I〜IVの化合物を低分子量ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン)、テトラヒドロフラン、ジメチルフォルムアミドおよびn−メチルピロリドン等から選択される溶媒中で、少なくとも1つの第三級アミンまたは第四級アンモニウムイオン(例えば、コリン水酸化物、ヘキサメチルヘキサメチレンジアンモニウム2水酸化物)を含む化合物と反応させることにより調製することができる。アルカリ金属水酸化物からの塩の調製と同じように、アミンおよびアンモニウム含有化合物は、溶媒がアルコールである場合は塩を形成しない。
式I〜IVの化合物の製薬学的に許容できる塩は、また、塩基性付加塩を含んでいる、それには、ベンザチン、クロロプロカイン、コリン、ジエチルアミノーエタノール、ハイドロキシエチルピロリジン、アンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルホスホニウム、ヘキサブチルジアンモニウム、メチルジエタナミン、トリエチルアミン、メグルミンおよびプロカインが含まれ、適切な対応する塩基を用いて調製し得る。。
式I〜IVの化合物の好ましい塩基性付加塩は、ヘキサメチルヘキサメチレンジアンモニウム、コリン、ナトリウム、カリウム、メチルエチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミノ−エタノール、ハイドロキシエチルピロリジン、テトラプロピルアンモニウムおよびテトラブチルホスホニウム イオンを含むそれらを含んでいる。
式I〜IVの好ましい塩基性付加塩は、ヘキサメチルメチレンジアンモニウム、ジアンモニウム2水酸化物、コリン水酸化物、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、水酸化カリウム、水酸化メトキシド、水酸化アンモニウム、テトラプロピルアンモニウム水酸化物、およびテトラブチルホスホニウム水酸化物を用いて調製することができる。塩基性付加塩は、無機塩(例えば、ナトリウム、カリウム等)および有機塩(例えば、コリン、ヘキサメチルヘキサメチレンジアンモニウム水酸化物およびそのようなもの)に分けることができる。
式V〜VIIIの化合物は、アニオンとカチオンの両方を形成し得るユニークな性質をもつ。塩基性媒体中で、式V〜VIIIの化合物は、典型的にはアニオンを形成する。アニオンは、アミノ、置換アミノ基、またはスルフォニル基のいずれかにより形成され得る。酸性媒体中では、式V〜VIIIの化合物は、アミノ基のプロトン付加により一般的にはカチオンを形成し、それによりアンモニウム残基を形成する。
式V〜VIIIの化合物の塩は、金属カチオンを含むことができ、それには、I族アルカリ金属の1価のいずれかの金属カチオン、(例えば、ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属の2価金属カチオン(例えば、カルシウム、マグネシウム等)およびアルミニウムカチオンを含んでいる。
金属カチオンを含む式V〜VIIIの化合物の塩は、式V〜VIIIの化合物をアルカリまたはアルカリ土類金属水酸化物またはアルコキシド、例えば、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシドのようなものを、有機溶媒中、例えば、低級アルコール、低分子量ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、等)、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、およびn−メチルピロリジノン等で、反応させることにより調製することができる。
式V〜VIIIの化合物の塩は、有機または無機の対イオンとしては、アセテート、アセトニド、アセチル、アジペート、アスパルテート、ベシレート、ビアセテート、ビタートレート、ブロミド、ブトキシド、ブチレート、カルシウム、カンシレート、カプロエート、カルボネート、シトレート、シプリオネート(cyprionate)、デカロエート、ジアセテート、ジメグルミン、ジニトレート、ジカリウム、ジプロピオネート、ジナトリウム、ジスルフィド、エジシレート、エナンテート、エストレート、エタボネート、エチルサクシネート、フマレート、フロエート、グルセプテート、グルコネート、ヘキサセトニド、ヒップレート(hippulate)、ヒクレート(hyclate)、ヒドロブロミド、塩化水素、イセチオネート、ラクトビオネート、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、メグルミン、メチルブロミド、メチルスルフェート、メトリゾ酸塩、ナフェート、ナプシレート、ニトレート、オレエート、パルミテート、パモエート、フェンプロピオネート、フォスフェート、ピバレート、ポリスチレックス(polistirex)、ポリガラクツロネート(Polygalacturonate)、プロブテート(probutate)、プロピオネート、サッカレート、グリシン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ステート(state)、スクシネート、スルフェート、スルフォネート、スルフォサリチレート(sulfosalicylate)、酒石酸塩(tartrate)、テブト酸塩、テレファレート、テレフタレート、トシレート、トリフルテート、トリヒドレート、トリシリケート、トロメタミン、バレレート、又はキシナフォレート(xinaforate)が挙げられるが、ただしこれらに限定されない。
他の、式V〜VIIIの化合物の薬学的に許容できる塩は、硫酸塩、塩化物、塩酸塩、フマール酸塩、マレイン酸塩、リン酸塩、スルファミン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、シクロヘキサスルホン酸塩およびキニン酸を含む。式V〜VIIIの化合物の薬的に許容できる塩は、塩酸、マレイン酸、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクロヘキサスルホン酸、フマール酸、およびキニン酸のような酸から得ることができる。
式V〜VIIIの化合物の薬学的に許容できる塩は、また、カルボン酸またはフェノールのような、酸性官能基が存する場合は、ベンザチン、クロロプロカイン、コリン、ジエチルエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン、プロカイン、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、アンモニウム、アルキルアミン、および亜鉛のような塩基性付加塩を含有する。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,19th ed.,Mark Publishing Co.,Easton,PA,Vol.2.p.1457,1995.を参照されたい。式V〜VIIIの化合物のこのような塩は、適切な対応する塩基を用いて調製され得る。
式V〜VIIIの化合物の塩は、化合物の遊離塩基形を、適切な酸を含む、水またはアルコール水溶液等の好適な溶媒に溶解させることにより、そして溶液を蒸発させることにより単離することができる。別の例では、塩は、遊離塩基と酸を有機溶媒中で反応させることにより調製される。
式V〜VIIIの化合物の塩は、錯体として存在することができる。錯体の例としては、8−クロロテオフィリン錯体(例えば、ジメンヒドリネート:ジフェニルヒドラミン8−クロロテオフィリン(1:1)錯体:Dramamine)及び、各種のシクロデキストリン包摂錯体が挙げられる。
式V〜VIIIの化合物の製薬学的に許容できる塩の調製における有用な溶媒は、アセトニトリル、アセトン、アルコール(メタノール、エタノールおよびイソプロピルアルコ−ル)、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン(MEK)、エーテル(例えば、ジエチルエーテル)、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド(DMF)、およびN−メチルピロリドン(NMP)等の有機溶媒を含む。有機溶媒は、アセトニトリルおよびMEKから選択することが好ましい。
式V〜VIIIの化合物の塩は、錯体として存在することができる。錯体の例としては、8−クロロテオフィリン錯体(例えば、ジメンヒドリネート:ジフェニルヒドラミン8−クロロテオフィリン(1:1)錯体:Dramamine)及び、各種のシクロデキストリン包接錯体が挙げられる。
本明細書で提供した式I〜VIIIの化合物の塩の製剤は、次に述べる特徴の少なくとも1つ、好ましくはいくつかの、より好ましくはさらにいくつかの特徴を示す、すなわ
(1)それらは、最小1年間周囲温で安定である、(2)それらは、経口投与が簡単である、(3)それらは、患者の服用順守を促進する、(4)投与されると、それらは、活性処方の高い吸収レベルを一貫して促進する、(5)1日1回又は2回経口投与されると、それらは、長時間枠に渡って式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの放出を可能とし、そのために、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナ、又は代謝的に活性な代謝産物の循環濃度は、治療的に有効な濃度以下に低下することはない、(6)それらは、治療される個人の消化管のpHに依存しない結果を達成する、及び、(7)それらは、胃内通過が完了する、又はほとんど完了するまで放出を遅らせる。
式I〜VIIIの化合物の塩の経口投与用に設計された処方は、例えば、カプセル又は錠剤または速溶錠またはフィルムとして提供される。カプセル又は錠剤製剤は、いくつかの、それぞれ異なる成分を含む。一つは、KATPチャンネルオープナの吸収を改善する成分である。もう一つは、薬剤の放出を2時間以上に渡って持続する。第3のものは、胃内通過が完了するまで薬剤の実質的放出を遅らせる。
式I〜VIIIの化合物の塩の経口剤が、提供され得る。例えば、経口用懸濁液、経口用溶液、カプセル化した経口用懸濁液、カプセル化した経口用溶液である。製剤は、即時放出用または放出調整用に設計することができる。ジアゾキシドのナトリウム塩の溶液型から経口製剤が製造されることは好ましくない。
式I〜VIIIの化合物の塩の製剤は、経皮用に、経鼻用、静脈(I.V.)投与用、に調製し得るが、アニオンがジアゾキシドであり、カチオンが、ナトリウムであるときは製剤は静脈内用には用いられない。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩の製剤は、経皮用または経鼻用、に調製される、ただし、アニオンがジアゾキシドであり、カチオンがナトリウムであるときは、製剤は式I〜VIIIの化合物の塩の液体溶液型を用いて製造されることはない。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩の製剤は、経皮用、経鼻用、静脈投与用に調製される。ただし、前記において、ジアゾキシドのナトリウム塩は除かれる。
本明細書に開示される製剤は、従来のこの種の薬剤の製剤に比べて、KATPチャンネルオープナの可溶性及び吸収の改善を示す。これらの有利な性質は、下記の方法の中から任意に選択される1つまたはそれ以上によって実現される。すなわち、(1)粉砕、噴霧乾燥、又はその他の微細化技術による、製剤の粒子径の低減、(2)処方におけるイオン交換樹脂の使用、(3)包接錯体、例えば、シクロデキストリンの使用、(5)低粘度ヒプロメルロース、低粘度メチルセルロース、又は同様に機能する賦形剤、又はそれらの併用を含む可溶化剤とKATPチャンネルオープナの圧縮化、(6)製剤前に、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナを塩との会合、(7)KATPチャンネルオープナの固体分散、(8)自己乳化システムの使用、(9)1種又はそれ以上の界面活性剤の製剤への添加、(10)ナノ粒子の製剤への使用、又は、(11)上記の方法の組み合わせ、である。
式I〜VIIIの化合物の塩から、(2〜30時間)の持続時間を超えるKATPチャンネルオープナの放出が、下記の方法の1つ以上を用いることによって実現され得る、すなわち、(1)pH感受性ポリマーコーティングの使用、(2)ヒドロゲルの使用、(3)被覆マトリックスからの薬剤拡散速度を調節するフィルムコーティングの使用、(4)薬剤の放出速度を調節する侵食性マトリックスの使用、(5)更に被覆され、または錠剤に圧縮されてもよいてもよい、ポリマー被覆ペレット、顆粒または微粒子の使用、(6)浸透圧ポンプシステムの使用、(7)加圧被覆錠剤の使用、又は(8)上記の手段の組み合わせ、である。
胃内通過が完了するまで式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの製剤からの放出を遅らせることは、いくつかのメカニズムのいずれかにより本発明で提供される製剤において達成される。pH感受性ポリマー又はコポリマーは、薬剤マトリックスの周囲に適用されると、pH3.0以下では、活性成分の放出に対して有効な障壁として機能し、pH5.5以上では機能が不安定になる。これによって、胃内における活性化合物の放出が調節されるが、一旦製剤が小腸へ移行すると、急速に放出が可能となる。pH感受性ポリマーまたはコポリマーの代替は、非水溶性であるポリマー又はコポリマーである。胃環境における放出に対する抵抗性の程度は、非水性可溶性ポリマー及び水性可溶性ポリマーの混合物によるコーティングにより調節が可能である。この方法では、混合されるポリマー又はコポリマーのいずれのものもpH感受性ではない。pH感受性コポリマーの一つの例は、Eudragit(商標)メタクリル酸コポリマーであり、例えば、Eudragit L100、S100、またはL100−55固体、L30D−55、またはFS30D分散液、または、L12,5またはS12,5有機溶液を含む。
放出を遅らせるポリマーは、噴霧コーティング(薄層として)、または加圧コーティングのいずれかによって錠剤に適用可能である。カプセルを用いるのであれば、ポリマーは、カプセルの表面に適用されるか、または、薬剤の微粒子に適用され、次にこの粒子を、例えばカプセルまたはゲルに被覆してもよい。カプセルが被覆されると、それは、胃内通過が終わるまで崩壊に抵抗する。微粒子が被覆されると、カプセルは胃の中で崩壊するが、薬剤は、遊離微粒子が胃内通過を完了するまではほとんど、又は全く放出されない。最後に、浸透圧ポンプシステムが使用される場合には、例えば、膨潤性ヒドロゲルを用いて、胃における薬剤放出を遅らせることが可能である。膨潤性ヒドロゲルは、投与後水分を吸収する。ゲルの膨張は、薬剤のシステムからの位置ずれを引き起こす。薬剤放出のタイミングと速度は、使用されるゲル、及び、水分がゲルに達する速度に依存する。後の速度は、流体が進入するシステムの開口のサイズによって調節することが可能である。Dong等によるオンライン記事における薬剤搬送技術、「L−OROS(商標)SOFTCAPTM for Controlled Release of Non−Aqueous Liquid Formulations」を参照されたい。
従って、本発明の製剤において、胃内通過が完了するまでは、式I〜VIIIの化合物の塩として調製した KATPチャンネルオープナの製剤の放出を遅らせることは、限定されるものではないが、いくつかのメカニズムの中の任意のものによって達成が可能である。その機構とは、(a)錠剤の表面上に加圧コーティングとして適用されるpH感受性ポリマー又はコポリマー、(b)錠剤の表意面上に薄膜として適用されるpH感受性ポリマー又はコポリマー、(c)カプセルシステムに対して薄膜として適用されるpH感受性ポリマー又はコポリマー、(d)カプセル化微粒子に適用されるpH感受性ポリマー又はコポリマー、(e)錠剤の表面上に加圧コーティングとして適用される非水溶性ポリマー又はコポリマー、(f)錠剤の表面上に薄膜として適用される非水溶性ポリマーまたはコポリマー、(g)カプセルシステムに対して薄膜として適用される非水溶性ポリマー又はコポリマー、(h)微粒子に適用される非水溶性ポリマー又はコポリマー、(i)浸透圧ポンプシステムにおける製剤への取り込み、または(j)イオン交換樹脂によって調節されるシステムの使用、又は(k)これらの手段の組み合わせであって、pH感受性ポリマー又はコポリマーは、酸性条件下での分解に対し抵抗性をもつ。
1日(例えば、24時間に1回)1回投与のために設計される製剤が提供される。これらは、式I〜VIIIの化合物の25〜500mgまでのKATPチャンネルオープナを含むことができる。1日(24時間当たり)2回の投与のために設計される製剤も提供される。これらは、25〜250mgのKATPチャンネルオープナを含んでもよい。
本発明において提供される製剤は、投与される薬剤製品の改善された安全性を示している。この安全性の改善は、少なくとも二つのメカニズムによって起こる。先ず、胃内通過が完了するまでは活性薬剤の放出が遅れるが、これが、悪心、嘔吐、消化不良、腹痛、下痢、及び腸閉塞を含むある範囲の消化管の有害副作用の発生率を下げることを可能とする。第2に、活性剤の放出を、2時間以上〜24時間の長期間に渡って持続することによって、ピーク薬剤レベルが、持続又は調節放出をもたない経口剤による同じ投与用量で観察されるピーク薬剤レベルに比べて、低下させることができる。このピーク薬剤レベルにおける低下は、有害副作用の低下に寄与する。なぜなら、副作用は、ピーク薬剤レベルによって部分的にまたは完全に決められるからである。このような有害作用としては、ナトリウム、塩化物、及び尿酸の排泄速度の低下と関連するむくみ、高血糖症、及び、ケトアシドーシスへの潜在的に伴う進行、白内障、及び、非ケトン体高浸透圧性昏睡、頭痛、頻脈、及び動悸が挙げられる。
さらに、本発明で提供されるのは、表1に示すA〜Dのそれぞれから1つの特質をもつ、式I〜V IIIの化合物の塩からの調製されたK
ATPチャンネルオープナの調節放出製剤である。
例えば、調節放出組成物は、式I〜VIIIの化合物の塩の25〜100mgを含む錠剤であって、2〜4時間の調節放出時間を達成するために1日1回投与される錠剤であってもよい。上記製剤は全て、さらに、胃内通過が完了するまで活性薬剤の放出を実質的に遅らせる特質を含んでもよい。
さらに、表1の上記製剤のいずれもKATPチャンネルオープナの可溶性又は吸収を向上させる少なくとも1つの特質を含んでもよい。
本明細書に示される調節放出製剤は、活性化合物(すなわち、式I〜VIIIのいずれかの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナ)及び、水性流体に接触すると膨張するゲル剤を含むマトリックスを具える。ゲルの中に捕捉される活性化合物は、ゲルの溶解と共に生体の中に放出される。活性化合物は、マトリックスの中に均等に分散してもよいし、或いは、マトリクス中に薬剤ポケットとして存在してもよい。例えば、薬剤は、マトリックス中に分散される小顆粒として製剤されてもよい。さらに、薬剤顆粒はまたマトリックスを含んでもよく、このようにして、Rhodesらによる米国特許第4,880,830号に記載されているように、一次及び二次マトリックスを形成してもよい。
ゲル化剤は、重合性材料であることが好ましい。この材料は、例えば、製薬学的に許容可能な、水可溶性の、又は水不溶性の徐放性ポリマー、例えば、キサンタンゴム、ゼラチン、セルロースエーテル、アラビアゴム、ローカストビーンゴム、グアゴム、カルボキシビニルポリマー、寒天、アカシアゴム、トラガカント、ヴィーゴム(veegum)、アルギン酸ナトリウム又はアルギン酸、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、又はフィルム形成ポリマー、例えば、メチルセルロース(MC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、エチルセルロース(EC)、アクリル樹脂、又は上記の混合物を含む(例えば、米国特許第5,415,871号参照)。
マトリックスのゲル化剤は、また米国特許第5,399,359号に記載されるように、速やかに形成される硬質ゲルを製造するヘテロポリサッカライド成分及びホモポリサッカライド成分を含むヘテロ分散ゴムであってもよい。マトリックスはまた、架橋剤、例えば、一価又は多価の金属カチオンであって、さらにマトリックスの剛性を加え、解離性を下げ、したがって薬剤の放出速度を下げる架橋剤を含んでもよい。加えるべき架橋剤の量は、当業者にとっては通例の方法を用いて決められる。
調節放出組成物のマトリックスはまた、当業者には認識済みの、1種又はそれ以上の薬学的に許容できる賦形剤、すなわち、製剤賦形剤を含んでもよい。このような賦形剤としては、例えば、結合剤:ポリビニルピロリドン、ゼラチン、でん粉ペースト、微細結晶セルロース;希釈剤(又は充填剤):でん粉、スクロース、デキストロース、ラクトース、フルクトース、キシリトール、ソルビトール、塩化ナトリウム、デキストリン、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム;及び潤滑剤:ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、プレシロール(登録商標)、及び流動補助剤、例えば、タルク、又はコロイド状二酸化シリコンが挙げられる。
調節放出組成物のマトリックスはさらに、米国特許第5,399,359号に記載されるように、マトリックスの親水性を壊すことなくゲル化剤の水和を遅くする疎水性物質を含んでもよい。疎水性ポリマーとしては、例えば、エチルセルロースのようなアルキルセルロース、他の疎水性セルロース物質、アクリルまたはメタクリル酸エステルから得られるポリマー又はコポリマー、アクリル及びメタクリル酸エステルのコポリマー、ゼイン、ワックス、シェラック、水素添加植物油、ワックス及びワックス様物質、例えば、カルノーバワックス、スペルマセチワックス、キャンデリラワックス、カカオバター、セトステリルアルコール、蜜蝋、セレシン、パラフィン、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコール及びステアリン酸、及び、当業者に公知の他の任意の製薬学的に許容可能な組成性物質が挙げられる。
調節された放出組成物の中に含まれる疎水性物質の量は、環境流体への暴露に対して、マトリックスの親水性を壊すことなくゲル化剤の水和を遅くするのに有効な量である。ある好ましい実施態様では、疎水性物質は、約1から約20重量パーセントの量としてマトリックスに含まれ、対応量の製剤賦形剤を置換する。疎水性物質の溶媒は、水性溶媒、又は有機溶媒、又は両者の混合物であってもよい。
市販のアルキルセルロースの例として、Aquacoat(商標)(エチルセルロースの水性分散液、FMCから市販される)、及びSurelease(商標)(エチルセルロースの水性分散液、Colorconから市販される)がある。疎水性物質として使用するのに好適な、市販のアクリルポリマーの例としては、Eudragit(商標)RS及びRL(低含量(例えば、1:20又は1:40)の第四級アンモニウム化合物を含む、アクリル酸及びメタクリル酸エステルのコポリマー)がある。
調節された徐放組成物は、また、液体の活性化合物への接触を遅らせるために、及び/又は、フィルムコーティングを貫通する活性化合物の放出を遅らせるために、被覆されてもよい。フィルムコーティングは、消化管における組成物の急速な溶解を抑えることによって、胃内抵抗性及び腸管内溶解性という特徴を与える。フィルムコーティングは一般に、調節された徐放組成物の約5〜15重量%を占める。コアが重量にして組成物の約90%を占め、残りの10%がコーティングによって与えられるのが好ましい。このようなコーティングは、従来技術でよく知られたコーティングであり、ゲル、ワックス、脂肪、乳化剤、脂肪及び乳化剤の組み合わせ、ポリマー、でん粉等を含む。
ポリマー及びコポリマーは、薄膜コーティングとして有用である。活性化合物を単独で、又はマトリックスと組み合わせて被覆するには、溶液コーティング又は分散コーティングが用いられる。コーティングは、従来技術でよく知られるように、薬剤、又は、薬剤とマトリックスの併用を、固形のコア物質として適用することが好ましい。
コーティング液は、有機溶媒及び水性溶媒の両方から成るシステムにポリマを含んでもよく、通常さらに、可塑剤として働く1種又はそれ以上の化合物を含む。コーティング組成物に有用なポリマーとしては、例えば、メチルセルロース(Methocel(商標)A;Dow Chemical Co.)、分子量が1,000から4,000,000のヒドロキシプロピルメチルセルロース(Methocel(商標)E;Dow Chemical Co.,または、Pharmacoat(商標);Shin Etsu)、分子量が2,000から2,000,000のヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート(Eastman Kodak)、カルボキシメチルセルロース(Duodcel(商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、エチルセルロース、メチルセルロース、及び、一般に、セルロース誘導体、オリメタクリル酸・メタクリル酸コポリマー(olymethacrylic−acid methacrylic−acid copolymer)(A型1:1 Eudragit L100;B型1:2 Eudragit S100;及びC型1:1Eudragit L100−55、水性分散液30%固体、EudragitL30D)、ポリ(メタ)クリルエステル;ポリ(エチルアクリレート、メチルメタクリレート2:1)、Eudragit NE30D水性分散液30%固体、ポリアミノメタクリレートEudragit E100、ポリ(トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド)アンモニオメタクリレート・コポリマー、Eudragit RL30D及びEudragit RS30D、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、グルカン、スクレログルカン、マンナン、及び、キサンタンが挙げられる。
水性ポリマー分散液としては、Eudragit L30D及びRS/RL30D、及びNE30D、Aquacoat(商標)ブランドのエチルセルロース、Sureleaseブランドのエチルセルロース、ECブランドのN−10Fエチルセルロース、Aquatericブランドのセルロースアセテートフタレート、Coatericブランドのポリ(ビニルアセテートフタテート)、Aquacoatブランドのヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネートが挙げられる。これらの分散液の多くはラテックス、擬似ラテックス粉末、又は、微細粉末媒体である。
ポリマーフィルムの弾性及び安定性を改善するために、また、長期の保存時にポリマー透過性の変化を防ぐために、コーティングには可塑剤を含めてもよい。そのような変化は、薬剤の放出速度に悪影響を及ぼす可能性がある。好適な従来の可塑化剤としては、例えば、フタル酸ジエチル、グリセロールトリアセテート、アセチル化モノグリセリド、アセチルトリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、ヒマシ油、クエン酸エステル、ジブチルフタレート、ジブチルセバケート、ジエチルオキサレート、ジエチルマレート、ジエチルフマレート、フタル酸ジエチル、ジエチルスクシネート、ジエチルマロネート、ジエチルタートレート、ジメチルフタレート、グリセリン、グリセロール、グリセリルトリアセテート、グリセリルトリブチレート、鉱油及びラノリンアルコール、ワセリン及びラノリンアルコール、フタル酸エステル、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、菜種油、ごま油、トリアセチン、トリブチルシトレート、トリエチルシトレート及びトリエチルアセチルシトレート、或いは、上記の、任意の二つ以上のものの混合物が挙げられる。水性コーティングのために有用な可塑剤としては、例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG400)、トリアセチン、ポリソルベート80、トリエチルシトレート、及びジエチルd−タルトレートが挙げられる。
可塑剤としてのポリマー及びジブチルセバケートとして、ヒドロキシメチルセルロースと水性エチルセルロース(例えば、Aquacoatブランド)の混合物を含むコーティング液は、微細粒子をコートするために使用されてよい。(Aquacoatは、エチルセルロースの水性ポリマー分散液で、ラウリル硫酸ナトリウムとセチルアルコールを含む)。可塑剤は、組成物の約1〜2%を占めるのが好ましい。
このポリマに加えてさらに、コーティング層は、コーティング液の調製を補助する賦形剤を含んでもよい。そのような賦形剤として、潤滑剤又は湿潤剤が挙げられる。フィルムコーティング用の賦形剤として好適な潤滑剤としては、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、コロイド状二酸化ケイ素、グリセリン、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、ポリエチレングリコール及びステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、または、上記の任意の二つ以上のものの混合物が挙げられる。好適な湿潤剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、アカシア、塩化ベンザルコニウム、セトマクロゴール乳化ワックス、セトステアリルアルコール、セチルアルコール、コレステロール、ジエタノールアミン、ドキュセート ナトリウム(docusate sodium)、ステアリン酸ナトリウム、乳化ワックス、モノステアリン酸グリセロール、ヒドロキシプロピルセルロース、ラノリンアルコール、レシチン、鉱油、オノエタノールアミン(onoethanolamine)、ポロキサマー、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンひまし油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンステアレート、プロピレングリコールアルギネート、ソルビタンエステル、ステアリルアルコール及びトリエタノールアミン、又は、上記の、任意の二つ以上のものの混合物が挙げられる。
表1の特定の錠剤又はカプセル製剤は、肥満症治療薬剤(KATPチャンネルオープナに加えて)を含む共製剤を含んでもよい。使用してもよい肥満症治療剤としては、例えば、シブトラミン塩酸(5〜30mg/単位)、オルリスタット(5〜360mg/単位)、フェンテルミン塩酸又は樹脂複合体(15〜40mg/単位)、ゾニサミド(100〜600mg/単位)、トピラメート(64〜400mg/単位)、ナルトレキソン塩酸(50〜600mg/単位)、リモナバント(5〜20mg/単位)、ADP356(5〜25mg/単位)、ATL962(20〜400mg/単位)、又はAOD9604(1〜10mg/単位)が挙げられる。これらの製剤は1日1回使用されるのが好ましい。1日2回投与では、KATPチャンネルオープナの量は、1日1回処方に含まれる量の半分であり、共製剤の肥満治療薬は、その特定量の半分である。別の肥満治療薬は下記を含んでよい、すなわち、選択的セロトニン2c受容体作用剤、ドーパミン拮抗剤、カンナビノイド1受容体作用剤、レプチン アナログ、レプチン輸送及び/又はレプチン受容体プロモーター、ニューロペプチドY及びアグーチ関連ペプチド拮抗剤、プロオピオメラノコルチン及びコカイン、及び、アンフェタミン調節転写プロモーター、メラノサイト刺激ホルモン アナログ、メラノコルチン−4−受容体アゴニスト、及び、インスリン代謝/活性に影響を及ぼす薬剤であって、タンパク−チロシンフォスファターゼ−1B阻害剤、ペルオキシソム増殖因子活性化受容体拮抗剤、短期活性型ブロモクリプチン(エルゴセット)、ソマトスタチンアゴニスト(オクトレオチド)、及び、アジポネクチン、消化管神経経路に作用する薬剤、例えば、コレシストキニン活性を増すもの、グルカゴン様ペプチドI活性を増すもの(エキステンジン4、リラグルチド、ジペプチジルペプチダーゼIV抑制)、及び、タンパクYY3−36活性を増すもの、グレリン活性を下げるもの、及び、アミリン類縁体、すなわち、休息時の代謝率を増す薬剤(「選択的」β−3刺激因子/アゴニスト、脱共役タンパク相同体、及び、甲状腺受容体アゴニスト)、メラニン濃縮ホルモン拮抗剤、フィトスタノール類縁体、アミラーゼ阻害剤、成長ホルモン断片、硫酸デヒドロエピアンドロステロンの合成類縁体、脂肪細胞11Bヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1タイプ活性の拮抗剤、副腎皮質刺激放出ホルモンアゴニスト、脂肪酸合成の阻害剤、カルボキシペプチダーゼ阻害剤、インダノン/インダノール、アミノステロール、及び、その他の消化管リパーゼ阻害剤である。
表1の特定錠剤又はカプセル製剤は、(式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナに加えて)糖尿病治療薬剤を含む共製剤を含んでもよい。使用してもよい糖尿病治療剤としては、例えば、アカルボース(50〜300mg/単位)、ミグリトール(25〜300mg/単位)、塩酸メトフォルミン(300〜2000mg/単位)、レパグリニド(1〜16mg/単位)、ナテグリニド(200〜400mg/単位)、ロシグリチゾン(5〜50mg/単位)、メタグリダセン(100〜400mg/単位)、又は、インスリン感受性を改善しグルコースの利用及び取り込みを改善する任意の薬剤が挙げられるが、ただしそれらに限定されない。これらの製剤は、1日1回使用されるのが好ましい。1日2回投与では、KATPチャンネルオープナの量は、1日1回製剤に含まれる量の半分であり、共製剤の糖尿病治療薬は、その特定量の半分である。
表1の特定錠剤又はカプセル製剤は、コレステロール低下剤との共製剤を含んでもよい。使用してもよいコレステロール低下剤としては、例えば、プラバスタチン又はシンバスタチン又はアトルバスタチン又はフルバスタチン、ロスバスタチン又はロバスタチン(全て10〜80mg/単位)が挙げられるが、ただしそれらに限定されない。これらの製剤は、1日1回使用されるのが好ましい。1日2回投与では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの量25〜200mg/単位は、1日1回製剤に含まれる量の半分であり、共製剤の糖尿病治療薬は、その特定量の半分である。
表1の特定錠剤又はカプセル製剤は、鬱治療剤との共製剤を含んでもよい。使用してもよい鬱治療剤としては、例えば、臭化水素酸シタロプラム(10〜80mg/単位)、臭化水素酸エシタロプラム(5〜40mg/単位)、マレイン酸フルボキサミン(25〜300mg/単位)、塩酸パロキセチン(12.5〜75mg/単位)、塩酸フルオキセチン(30〜100mg/単位)、塩酸セトラリン(25〜200mg/単位)、塩酸アミトリプチリン(10〜200mg/単位)、塩酸デシプラミン(10〜300mg/単位)、塩酸ノルトリプチリン(10〜150mg/単位)、塩酸デュロキセチン(20〜210mg/単位)、塩酸ベンラファキシン(37.5〜150mg/単位)、硫酸フェネルジン(10〜30mg/単位)、塩酸ブプロピオン(200〜400mg/単位)、又はミルタザピン(7.5〜90mg/単位)が挙げられるが、ただしそれらに限定されない。これらの製剤は、1日1回使用されるのが好ましい。1日2回投与では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの量は、1日1回製剤に含まれる量の半分であり、共製剤の糖尿病治療薬は、その特定量の半分である。
表1の特定錠剤又はカプセル製剤は、高血圧治療剤との共製剤を含んでいてもよい。使用してもよい高血圧治療剤としては、例えば、マレイン酸エナラプリル(2.5〜40mg/単位)、カプトプリル(2.5〜150mg/単位)、リシノプリル(10〜40mg/単位)、塩酸ベンザエプリル(10〜80mg/単位)、キナプリル塩酸(10〜80mg/単位)、ペリドプリルエルブミン(4〜8mg/単位)、ラミプリル(1.25〜20mg/単位)、トランドラプリル(1〜8mg/単位)、フォシノプリルナトリウム(10〜80mg/単位)、塩酸モエキシプリル(5〜20mg/単位)、ロサルタンカリウム(25〜200mg/単位)、イルベサルタン(75〜600mg/単位)、バルサルタン(40〜600mg/単位)、カンデサルタンシレキセチル(4〜64mg/単位)、オルメサルタンメドキサミル(5〜80mg/単位)、テルミサルタン(20〜160mg/単位)、エプロサルタンメシレート(75〜600mg/単位)、アテノロール(25〜200mg/単位)、プロパノロール塩酸(10〜180mg/単位)、メトプロロールタルテート、スクシネート、又はフマレート(全て25〜400mg/単位)、ナドロール(20〜160mg/単位)、ベータキソロール塩酸(10〜40mg/単位)、アセブトロール塩酸(200〜800mg/単位)、ピンドロール(5〜20mg/単位)、フマル酸ビソプロロール(5〜20mg/単位)、ニフェジピン(15〜100mg/単位)、フェロジピン(2.5〜20mg/単位)、アムロジピンベシレート(2.5〜20mg/単位)、ニカルジピン(10〜40mg/単位)、ニソルジピン(10〜80mg/単位)、塩酸テラゾシン(1〜20mg/単位)、ドキサソシンメシレート(4〜16mg/単位)、塩酸プラゾシン(2.5〜10mg/単位)、又は塩酸アルフゾシン(10〜20mg/単位)が挙げられるが、ただしそれらに限定されない。これらの処方は、1日1回使用されるのが好ましい。1日2回投与では、KATPチャンネルオープナの量は、1日1回製剤に含まれる量の半分であり、共製剤の糖尿病治療薬は、その特定量の半分である。
表1の特定錠剤又はカプセル製剤は、浮腫を治療する利尿剤との共製剤を含んでもよい。使用してもよい利尿剤としては、例えば、塩酸アミロリド(1〜10mg/単位)、スピロノラクトン(10〜100mg/単位)、トリアムテレン(25〜200mg/単位)、ブメタニド(0.5〜4mg/単位)、フロセミド(10〜160mg/単位)、エタクリル酸又はエタクリネートナトリウム(各10〜50mg/単位)、トルセミド(5〜100mg/単位)、クロルタリドン(10〜200mg/単位)、インダパミド(1〜5mg/単位)、ヒドロクロロチアジド(10〜100mg/単位)、クロロチアジド(50〜500mg/単位)、ベンドロフルメチアジド(5〜25mg/単位)、ヒドロフルメチアジド(10〜50mg/単位)、メチクロチアジド(1〜5mg/単位)、又はポリチアジド(1〜10mg/単位)が挙げられるが、ただしそれらに限定されない。これらの製剤は、1日1回使用されるのが好ましい。1日2回投与では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの量は、1日1回製剤に含まれる量の半分であり、共製剤の糖尿病治療薬は、その特定量の半分である。
表1の特定錠剤又はカプセル製剤は、炎症又は疼痛を治療する薬剤との共製剤を含んでもよい。使用してもよい炎症又は疼痛の治療薬としては、例えば、アスピリン(100〜1000mg/単位)、塩酸トラマドール(25〜150mg/単位)、ガバペンチン(100〜800mg/単位)、アセトミノフェン(100〜1000mg/単位)、カルバマゼピン(100〜400mg/単位)、イブプロフェン(100〜1600mg/単位)、ケトプロフェン(12〜200mg/単位)、フェンプロフェンナトリウム(100〜600mg/単位)、フルルビプロフェンナトリウム又はフルルビプロフェン(両方共50〜200mg/単位)、又は、上記の任意のものとステロイド又はアスピリンの組み合わせが挙げられるが、ただしそれらに限定されない。これらの処方は、1日1回使用されるのが好ましい。1日2回投与では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの量は、1日1回処方に含まれる量の半分であり、共製剤の糖尿病治療薬は、その特定量の半分である。
表1の特定錠剤又はカプセル製剤は、肥満付随病態を治療する薬剤との共製剤を含んでもよい。使用してもよい肥満付随病態を治療する薬剤としては、例えば、糖尿病、コレステロール、鬱病、高血圧、及び浮腫を治療するための上述したもの、或いは、アテローム硬化症、関節変形症、円板ヘルニア、膝と腰の変性、乳ガン、子宮内膜ガン、子宮頸部ガン、結腸ガン、白血病、及び前立腺ガン、高脂血症、喘息/反応性気道疾患、胆石、GERD、閉塞性睡眠時無呼吸、肥満過剰換気症候群、反復性腹部ヘルニア、月経不順及び不妊を治療するための薬剤が挙げられる。
表1の特定錠剤又はカプセル製剤は、抗精神病薬との共製剤であって、組み合わせは、治療される被験者における精神病状態を治療し、かつ、体重増加、不全脂質血症、又はグルコース耐性障害を治療するのに使用される共製剤を含んでもよい。使用してもよい、各種精神病の治療薬としては、例えば、リチウム又はその塩(250〜2500mg/単位)、カルバマゼピン又はその塩(50〜1200mg/単位)、バルプロエート、バルプロ酸、又はジバルプロエックス(125〜2500mg/単位)、ラモトリジン(12.5〜200mg/単位)、オランザピン(5〜20mg/単位)、クロザピン(12.5〜450mg/単位)、又はリスペリドン(0.25〜4mg/単位)が挙げられるが、ただしそれらに限定されない。これらの処方は、1日1回使用されるのが好ましい。1日2回投与では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの量は、1日1回製剤に含まれる量の半分であり、共製剤の抗精神病治療薬は、その特定量の半分である。
表1の特定錠剤又はカプセル製剤は、虚血性又は再環流損傷を治療又は予防する薬剤との共製剤を含んでもよい。使用してもよい虚血性又は再環流損傷を治療又は予防する薬剤としては、例えば、低分子量ヘパリン(ダルテパリン、エノキサパリン、ナドロパリン、チンザパリン、又は、ダナパロイド)、アンクルド(ancrd)、ペントキシフィリン、ニモジピン、フルナリジン、エブセレン、チリラザド、クロメチアゾール、AMPAアゴニスト(GYKI52466,NBQX,YM90K,ゾナムパネル、又はMPOX)、SYM2081、セルフォテル、セレスタット、CP−101,606、デキストロファン、デキストロメトルファン、MK−801、NPS1502、レマセミド、ACEA1021、GV150526、エリプロジル、エリプロジルイフェンプロジル、ルベルゾール、ナロキソン、ナルフェメン、シチコリン、アセチル−l−カルニチン、ニフェジピン、レスベラトロル、ニトロン誘導体、クロピドグレル、ダビガトラム、プラスグレル、トロキソプロジル、AGY−94806、又はKAI−9803が挙げられるが、ただし、それらに限定されない。
肥満又は体重過剰な被験者に、1日に1回又は2回連続的に投与されると、減量を誘発するのに十分な循環濃度の式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナをもたらす製剤が提供される。減量は、特に体脂肪を減らすことによって起こる。更にその上の減量は、製剤を、低カロリー食事と組み合わせて投与された場合に起こることがある。
肥満、体重過剰、又は肥満傾向をもつ被験者に単回用量として投与される式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの製剤であって、空腹時、又はグルコース刺激によるインスリン分泌の阻止を約24時間、又は約18時間達成する製剤が提供される。
肥満、体重過剰、又は肥満傾向を持つ被験者に単回用量として投与される式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの製剤であって、エネルギー消費の上昇を約24時間、又は約18時間達成する製剤が提供される。
肥満、体重過剰、又は肥満傾向を持つ被験者に単回用量として投与される式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの処方であって、脂肪のβ酸化の上昇を約24時間、又は約18時間達成する製剤が提供される。
肥満、体重過剰、又は肥満傾向を持つ被験者に単回用量として投与される式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの製剤であって、過食症の抑制を約24時間、又は約18時間実現する製剤が提供される。
被験者に、1日(24時間当たり)に1回又は2回連続的に投与されると、β細胞の休息又はインスリン感度の改善のいずれか、又はその両方を誘発するのに十分な循環濃度の式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナをもたらす製剤が提供される。このようなβ細胞の休息及びインスリン感度の改善は、I型糖尿病、II型糖尿病、及び、前糖尿病の効果的治療に貢献することができる。このようなβ細胞の休息及びインスリン感度の改善は、II型糖尿病及び糖尿病前駆病態の被験者において、正常なグルコース耐性の効果的回復に貢献することができる。
各種式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの製剤は、様々な応用、例えば、下記を含む応用がある、すなわち、(1)肥満症の治療、(2)肥満になりやすい被験者における体重増加の阻止、(3)高インスリン血症又は高インスリン症の治療、(4)低血糖症の治療、(5)高脂血症の治療、(6)II型糖尿病の治療、(7)I型糖尿病における膵臓機能の維持、(8)代謝症候群(又はX症候群)の治療、(9)前糖尿病から糖尿病への移行の阻止、(10)インスリン分泌欠損の是正及びインスリン感度の是正による前糖尿病及びII型糖尿病への貢献、(11)多嚢胞性卵巣症候群の治療、(12)虚血性又は再環流損傷の治療、(13)抗精神病薬による治療を受ける被験者の体重増加、脂質異常症、又はグルコース耐性障害の治療、(14)抗精神病薬による治療を受ける被験者の体重増加、脂質異常症、又はグルコース耐性障害の予防、(15)高脂血症、高インスリン血症、高インスリン症、過食症、又は肥満が病気の重度又は進行に対する寄与因子である病気、例えば、プラーダー・ヴィリ症候群、フレーリッヒ症候群、コーエン症候群、サミット症候群、アルストレーム症候群、ベルエソン症候群、バルデー・ビードル症候群、又は、I、II、III、及びIV型高脂質タンパク血症を含む、ただしこれらに限定されない、病気の治療、である。
ある1つの態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナは、体重過剰、又は肥満の被験者に対し、減量を誘発するために、経口剤として、24時間当たり1回投与される。更に別の態様では、該被験者は、(a)I型糖尿病ではなく、(b)II型糖尿病ではなく、(c)慢性、反復性、又は薬剤誘発性低血糖症を経験しておらず、(d)代謝症候群を持たず、又は、(e)悪性高血圧を経験していない。
1つの態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナは、体重過剰、又は肥満の被験者に対し、減量を誘発するために、経口投与剤として、24時間当たり2回投与される。更に別の態様では、被験者は、(a)インスリン分泌性腫瘍を持たず、(b)多嚢胞性卵巣症候群を患っておらず、(c)I型糖尿病ではなく、(d)II型糖尿病ではなく、(e)代謝症候群を持たず、(f)慢性、反復性、又は薬剤誘発性低血糖症を経験しておらず、(g)ハロペリドールによる統合失調症の治療を受けておらず、又は、(h)悪性高血圧を経験していない。更に別の態様では、体重過剰又は肥満の青年は、(a)I型又はII型糖尿病と診断されたことはなく、(b)慢性、反復性、又は薬剤誘発性低血糖症を経験しておらず、又は、(c)代謝症候群を持つと診断されたことはない。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナは、体重過剰、又は肥満の被験者に対し、減量を誘発するために、経口投与剤として、24時間当たり3回投与される。この治療が、減量を誘発するための唯一の治療であってもよい。更に別の実施態様では、体重過剰、又は肥満の被験者は、(a)インスリン分泌性腫瘍を持たず、(b)多嚢胞性卵巣症候群を患っておらず、(c)I型糖尿病ではなく、(d)II型糖尿病ではなく、(e)代謝症候群を持たず、又は、(f)慢性、反復性、又は薬剤誘発性低血糖症を経験していない。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナは、体重過剰、又は肥満の青年に対し、減量を誘発するために、経口剤型として、24時間当たり3回投与される。この治療が、減量を誘発するための唯一の治療であってもよい。更に別の態様では、体重過剰、又は肥満の青年は、(a)I型糖尿病か、II型糖尿病であり、(b)慢性、反復性、又は薬剤誘発性低血糖症を経験しておらず、又は、(c)代謝症候群を持たない。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナは、体重過剰、又は肥満の成人に対し、減量を誘発するために、経口剤型として、24時間当たり3回投与される。該成人は、(a)同時に、グルカゴン注射、トリヨードチロキシン、又はフロセミドを服用せず、(b)ハロペリドールによる統合失調症の治療を受けておらず、又は、(c)悪性高血圧を経験していない。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナは、体重過剰、又は肥満の個人に対し、減量を誘発するために、経口剤型として、24時間当たり4回投与される。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナは、体重過剰、又は肥満の被験者に対し、減量を誘発するために、経口剤形として、24時間当たり1、2、3、又は4回投与される。更に別の態様では、体重過剰、又は肥満の個人は、(a)I型糖尿病ではなく、(b)II型糖尿病ではなく、(c)慢性、反復性、又は薬剤誘発性低血糖症を経験しておらず、又は、(d)代謝症候群を持たない。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナは、体重過剰、又は肥満の被験者に対し、減量を誘発するために、経口剤形として、1日当たりの用量130から275 mgとして24時間当たり1、2、3、又は4回投与される。更に別の実施態様では、体重過剰、又は肥満の個人は、(a)I型糖尿病ではなく、(b)II型糖尿病ではなく、(c)慢性、反復性、又は薬剤誘発性低血糖症を経験しておらず、又は、(d)代謝症候群を持たない。
他の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナは、体重過剰、又は肥満傾向の被験者に対し、減量を維持するために、経口剤型として、24時間当たり1、2、3、又は4回投与される。なぜなら、一旦若干の減量が見られたならば、代替治療は再度の体重増加となるので、肥満被験者の体重を維持することが好ましいからである。ある別の態様では、KATPチャンネルオープナの1日当たりの投与用量は、50から275mgである。
他の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナは、体重過剰、又は肥満の被験者に対し、(a)エネルギー消費を上昇させるため、(b)脂肪のβ酸化を上昇させるため、又は、(c)トリグリセリドの循環濃度を下げるため、に経口剤型として投与される。
他の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの経口剤は、減量を必要とする被験者に対し、初期体脂肪の25%、50%、又は75%の減量を誘発するために投与される。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの経口剤は、長期治療を必要とする被験者に対し、(a)体脂肪の選択的減少、又は、(b)内臓体脂肪の選択的減少のために投与される。
更に付け加えられる態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの経口投与量は、被験者に対し、1日当たりの投与量50から275mgとして24時間当たり1、2、3、又は4回、(a)初期体脂肪の25%、50%、又は75%の減量を誘発する、又は、(b)内臓脂肪の選択的減少のために投与される。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの経口剤は、被験者に対し、初期体脂肪の減量を誘発するため、及び、循環トリグリセリドの低下を誘発するために投与される。
別の実施では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの経口剤は、シブトラミン、オルリスタット、リモナバント、食欲抑制剤、抗鬱剤、抗癲癇剤、フロセミドではない利尿剤、KATPチャンネルオープナとは異なるメカニズムを通じて減量を誘発する薬剤、KATPチャンネルオープナとは異なるメカニズムを通じて減量を誘発する薬剤ではあるが、メトフォルミンではない薬剤、フロセミド、又はトリヨードチロキシン、又は血圧を下げる薬、と共に、体重過剰、肥満、又は肥満傾向の被験者において、減量を誘発する、及び/又は、肥満関連付随病態を治療するために投与される。更に別の態様では、体重過剰、肥満、又は肥満傾向の被験者は、(a)I型糖尿病であり、(b)II型糖尿病ではなく、(c)慢性、反復性、又は薬剤誘発性低血糖症を経験しておらず、又は、(d)代謝症候群をもたない。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの経口投与用量は、抗鬱剤、血圧を下げる薬、コレステロールを下げる薬、HDLを上げる薬、Cox−2阻害剤ではない抗炎症剤、循環トリグリセリドを下げる薬、と共に、体重過剰、肥満、又は肥満傾向の個人において、減量を誘発する、及び/又は、肥満関連付随病態を治療するために投与される。更に別の態様では、体重過剰、肥満、又は肥満傾向の個人は、(a)I型糖尿病ではなく、(b)II型糖尿病ではなく、(c)慢性、反復性、又は薬剤誘発性低血糖症を患っておらず、又は、(d)代謝症候群を持たない。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの経口投与用量は、血圧を下げる薬、コレステロールを下げる薬、HDLを上げる薬、Cox−2阻害剤ではない抗炎症剤、循環トリグリセリドを下げる薬、と共に、体重過剰、肥満、又は肥満傾向の被験者において、体重を維持する、及び/又は、肥満関連付随病態を治療するために投与される。なぜなら、一旦若干の減量が見られたならば、代替治療は再度の体重増加となるので、肥満被験者の体重を維持することが好ましいからである。更に別の態様では、体重過剰、肥満、又は肥満傾向の個人は、(a)I型糖尿病ではなく、(b)II型糖尿病ではなく、(c)慢性、反復性、又は薬剤誘発性低血糖症を患っておらず、又は、(d)代謝症候群を持たない。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの錠剤製剤は、肥満治療を必要とする、肥満、体重過剰、又は肥満傾向の被験者に対し、(a)β細胞の休息を実現する、(b)I型又はII型糖尿病を治療する、又は、(c)糖尿病の発生を予防するために、KATPチャンネルオープナの治療的有効量の投与のために使用される。
更に別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの経口投与剤は、フェンテルミン又はその誘導体と共に、肥満の成人又は青年に対し、減量を誘発するため、及び/又は、肥満関連付随病態を治療するために同時投与される。別の態様では、KATPチャンネルオープナの経口固体剤型又は錠剤製剤は、フェンテルミン又はその誘導体と共に、肥満の成人又は成人に対し、治療を必要とする患者の代謝症候群を治療するために同時投与される。
更に別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの製薬学的に許容可能な製剤は、1日当たり50から700mgの用量において、フェンテルミン又はその誘導体の1日当たりの用量15から37.5mgと共に、体重過剰、又は肥満の成人に対し、減量を誘発するため、代謝症候群を治療するため、又は、減量を誘発し、肥満関連付随病態を治療するために投与される。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの速溶剤は、治療を必要とする患者に対し治療的有効量を供給するために使用される。
更に別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナは、24時間当たり1回、50から700mgの用量において、体重過剰、又は肥満の被験者に対し投与される。
更に別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナは、経口投与用錠剤又はカプセルとして処方される。この錠剤又はカプセルは、メトフォルミンと共同投与されてもよい。別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナは、経口懸濁液または溶液として製剤されるが、この経口懸濁液または溶液は、別の態様ではカプセル化することもできる。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの製薬塩は、経口投与用の錠剤又はカプセルとして、又は経口懸濁液として、又は経口溶液として、又はカプセルにカプセル化される経口溶液として製剤化される。この式I〜VIIIの化合物の塩からオープナがジアゾキシドである場合、塩はナトリウム塩ではないことが好ましい。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナは、経口投与に好適な製薬学的な製剤において、ヒドロクロロチアジド、クロロチアジド、シクロチアジド、ベンズチアジド、メチクロチアジド、ベンドロフルメチアジド、ヒドロフルメチアジド、トリクロロメチアジド、又は、ポリジアジド、と共製剤化される。
本発明において提供される製剤をヒト又は動物に投与すると、下記の作用の内のいくつか又は全てが観察される。すなわち、(1)脂肪細胞による脂質タンパクリパーゼの生産が減少する;(2)脂肪細胞による脂肪分解の増強;(3)脂肪細胞による脂肪酸合成酵素の発現が減少する;(4)脂肪細胞のグリセルアルデヒドフォスフェートデヒドロゲナーゼ(glyceraldehides phosphate dehydrogenase)の活性が抑えられる;(5)脂肪細胞で新規トリグリセリドはほとんど又は全く合成、保存されない、(6)β3アドレナリン受容体(β3AR)の発現強化、すなわち、脂肪細胞におけるアドレナン機能の改善;(7)膵臓B細胞による、グルコース刺激インスリン分泌の低下;(8)インスリン血症の緩和;(9)血糖レベルの増加;(10)脂肪細胞における脱共役蛋白質1の発現増大、(11)白色及び褐色脂肪組織における熱発生の強調;(12)血漿トリグリセリド濃度の低下;(13)循環レプチン濃度の減少;(14)インスリン受容体の上方調整;(15)グルコース取り込みの強化;(16)脂肪組織過形成の緩和;(17)脂肪細胞肥大の緩和;(18)脂肪細胞前駆細胞から脂肪細胞への変換率の低下;(19)過食症発生率の低下;(20)CNS、心臓、その他の組織の、虚血性又は再環流損傷からの保護の増大;(21)インスリン感度の改善;(22)CSFインスリン濃度の上昇;(23)循環アジポネクチン濃度の上昇;(24)循環トリグリセリド濃度の低下;(25)β細胞の休息の増強である。
本発明の閾値濃度は、体重過剰、又は肥満の被験者に対して、静注製剤、速放経口製剤、調節放出製剤、経皮製剤、又は、経鼻投与製剤の投与により得られる式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの循環濃度であって、下記の事象をもたらす濃度を含む。すなわち、(1)空腹時インスリンレベルの測定可能な抑制、(2)同じ被験者において、KATPチャンネルオープナによる治療前の基礎測定値に対し、少なくとも20%の空腹時インスリンレベルの抑制、(3)同じ被験者において、KATPチャンネルオープナによる治療前の基礎測定値に対し、少なくとも30%の空腹時インスリンレベルの抑制、(4) 同じ被験者において、KATPチャンネルオープナによる治療前の基礎測定値に対し、少なくとも40%の空腹時インスリンレベルの抑制、(5)同じ被験者において、KATPチャンネルオープナによる治療前の基礎測定値に対し、少なくとも50%の空腹時インスリンレベルの抑制、(6)同じ被験者において、KATPチャンネルオープナによる治療前の基礎測定値に対し、少なくとも60%の空腹時インスリンレベルの抑制、(7)同じ被験者において、KATPチャンネルオープナによる治療前の基礎測定値に対し、少なくとも70%の空腹時インスリンレベルの抑制、(8)同じ被験者において、KATPチャンネルオープナによる治療前の基礎測定値に対し、少なくとも80%の空腹時インスリンレベルの抑制、(9)減量、(10)休息時のエネルギー消費の上昇、又は、(11)脂肪又は脂肪酸酸化の上昇、である。本発明の閾値作用は、(1)体重減少、および(2)体重維持をもたらしている肥満傾向にある被験者に対し、本薬剤の静注製剤、本薬剤の経口速放製剤、本薬剤の調節放出製剤又は持続放出製剤、経皮投与製剤、又は、経鼻投与製剤により得られるKATPチャンネルオープナの循環濃度を含む。本発明の閾値作用は、I型糖尿病の個人に対して、静注製剤、速放経口製剤、調節放出製剤又は持続放出製剤、経皮用製剤、又は、経鼻投与製剤により得られる式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの循環濃度であって、前糖尿病から糖尿病への移行を防ぐ結果をもたらす濃度を含む。本発明の閾値作用は、I型糖尿病の被験者に対して、静注製剤、速放経口製剤、調節放出製剤又は持続放出製剤、経皮用製剤、又は、経鼻投与製剤により得られる式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの循環濃度であって、β細胞の休息をもたらす濃度を含む。
本発明によって提供されるように、体重過剰、肥満、又は肥満傾向の被験者に対するKATPチャンネル式I〜VIIIの化合物の塩からオープナの持続投与によって体重が維持される、又は減量する、その作用機作は、下記の内の1つ以上を含むが、ただしそれらに限定されない。すなわち、(1)エネルギー消費の強化、(2)脂肪及び脂肪酸酸化の増強、(3)脂肪組織における脂質分解の増強、(4)組織によるグルコース取り込みの増強とインスリン感度の増強、及び、(5)βアドレナリン応答の向上である。肥満または肥満傾向にある患者に、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの長期投与によって体重が維持される、又は減量する、その作用機作はまた、食欲の抑制を含んでいる。
体重過剰、又は肥満のヒト又は動物に対する式I〜VIIIの化合物の塩からKATPチャンネルオープナの製剤の長期投与によって、実質的で持続的な減量がもたらされるが、それは、下記の作用の内のいくつか、或いはその全てを含む。すなわち、(1)体脂肪の優先的減少;(2)初期体脂肪質量の25%を超える低下;(3)初期体脂肪質量の50%を超える低下;(4)初期体脂肪質量の75%を超える低下;(5)休息時のエネルギー消費の有意の増加;(6)脂肪及び脂肪酸酸化の上昇、(7)血圧の低下、(8)脂肪細胞による脂質タンパクリパーゼの生産が抑えられる;(9)脂肪細胞による脂質分解の強化;(10)脂肪細胞による脂肪酸合成酵素の発現抑制;(11)脂肪細胞のグリセルアルデヒドフォスフェートデヒドロゲナーゼの活性が抑えられる;(12)脂肪細胞によって、新規トリグリセリドはほとんど又は全く合成、保存されない、(13) β3アドレナリン受容体(β3AR)の発現強化、すなわち、脂肪細胞におけるアドレナン機能の改善;(14)膵臓B細胞による、グルコース刺激によるインスリン分泌の低下;(15)インスリン血症の緩和;(16)血糖レベルの強化;(17)脂肪細胞における脱共役タンパク1の発現増大、(18)白色及び褐色脂肪組織における熱発生の増強;(19)血漿トリグリセリド濃度の低下;(20)循環レプチン濃度の減少;(21)インスリン受容体の上方調整;(22)グルコース取り込みの増強;(23)脂肪組織過形成の緩和;(24)脂肪細胞肥大の緩和;(25)脂肪細胞前駆細胞から脂肪細胞への変換率の低下;(26)過食症発生率の低下;(27)順序的減量であって、先ず代謝的にもっとも活動的な脂肪組織(内臓)の減量、次いで代謝的に活動度の低い脂肪組織の減量、(28)循環アジポネクチン濃度の上昇;(29)脳脊髄液インスリンレベルの上昇;(30)ランゲルハンス島のインスリンmRNA及びインスリン含量の増加;又は、(31)インスリンの代謝効率の向上である。
種々のタイプの肥満手術を受けた被験者を含む、肥満傾向にあるヒトまたは動物に対する式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの製剤の長期投与によって、持続的な体重維持がもたらされるが、それは、下記の作用の内のいくつか、或いはその全てを含む。すなわち、(1)休息時のエネルギー消費の増加;(2)脂肪及び脂肪酸酸化の上昇;(3)血圧の低下、(4)脂肪細胞による脂質タンパクリパーゼの生産が抑えられる;(5)脂肪細胞による脂質分解の増強;(6)脂肪細胞による脂肪酸合成酵素の発現抑制;(7)脂肪細胞のグリセルアルデヒドフォスフェートデヒドロゲナーゼの活性が抑えられる;(8)脂肪細胞によって、新規トリグリセリドはほとんど又は全く合成、保存されない、(9) β3アドレナリン受容体(β3AR)の発現強化、すなわち、脂肪細胞におけるアドレナン機能の改善;(10)膵臓B細胞による、グルコース刺激インスリン分泌の低下;(11)インスリン血症の緩和;(12)血糖レベルの強化;(13)脂肪細胞における脱共役タンパク1の発現増大、(14)白色及び褐色脂肪組織における熱発生の強調;(15)血漿トリグリセリド濃度の低下;(16)循環レプチン濃度の減少;(17)インスリン受容体の上方調整;(18)グルコース取り込みの強化;(19)脂肪組織過形成の緩和;(20)脂肪細胞肥大の緩和;(21)脂肪細胞前駆細胞から脂肪細胞への変換率の低下;(22)過食症発生率の低下;(23)循環アジポネクチン濃度の上昇;(24)脳脊髄液インスリンレベルの上昇;(25)ランゲルハンス島のインスリンmRNA及びインスリン含量の増加;又は、(26)インスリンの代謝効率の向上である。
ヒト又は動物の前糖尿病、又はI型糖尿病に対する式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの製剤の即時投与又は長期投与によって、β細胞不能の阻止がもたらされるが、それは、下記の作用の内のいくつか、或いはその全てを含む。すなわち、(1)休息時のエネルギー消費の増加;(2)脂肪及び脂肪酸酸化の上昇;(3)血圧の低下、(4)脂肪細胞による脂質タンパクリパーゼの生産が抑えられる;(5)脂肪細胞による脂質分解の強化;(6)脂肪細胞による脂肪酸シンターゼ発現の抑制;(7)脂肪細胞のグリセルアルデヒドフォスフェートデヒドロゲナーゼ(glyceraldehides phosphate dehydrogenase)の活性が抑えられる;(8)脂肪細胞によって、新規トリグリセリドはほとんど又は全く合成、保存されない、(9) β3アドレナリン受容体(β3AR)の発現強化、すなわち、脂肪細胞におけるアドレナン機能の改善;(10)膵臓B細胞による、グルコース刺激インスリン分泌の低下;(11)インスリン血症の緩和;(12)血糖レベルの強化;(13)脂肪細胞における脱共役タンパク1の発現増大、(14)白色及び褐色脂肪組織における熱発生の強調;(15)血漿トリグリセリド濃度の低下;(16)循環レプチン濃度の減少;(17)インスリン受容体の上方調整;(18)グルコース取り込みの強化;(19)脂肪組織過形成の緩和;(20)脂肪細胞肥大の緩和;(21)脂肪細胞前駆細胞から脂肪細胞への変換率の低下;(22)過食症発生率の低下;(23)循環アジポネクチン濃度の上昇;(24)脳脊髄液インスリンレベルの上昇;(25)ランゲルハンス島のインスリンmRNA及びインスリン含量の増加;又は、(26)インスリンの代謝効率の向上である。
心筋梗塞又は発作の危険性をもつ、又は、心臓又は脳への血流回復の外科処置を受けたヒト又は動物に対する式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの製剤の、即時又は長期投与によって、術後の治療成績が改善され、或いは、心筋梗塞又は発作の発生の後、血流回復後、組織の生存が改善され、組織の不能状態が緩和され、かつ、炎症反応の性質が変わる。
本発明において提供される製薬学的製剤は、肥満症、高脂血症、高血圧、体重維持、I型糖尿病、糖尿病前駆状態、II型糖尿病、或いは、減量、トリグリセリド循環の低下、又はベータ細胞休息が治療効果をもたらすとされる任意の病態において、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの投与用量にたいする薬理動態学及び薬物速度論反応において、ある範囲の重要な変化をもたらすが、その変化は下記の内の1つ以上を含む。すなわち、(1)投与用量の薬理動態作用を、インスリン分泌の抑制で測定した場合、24時間を超える長さに延長する、(2)小腸における活性製薬成分の実質的取り込みを実現する、(3)大腸における活性製薬成分の実質的取り込みを実現する、(4)活性製薬成分の同じ投与用量において、現行の経口懸濁液又はカプセル製剤と比べて、Cmaxが低下される、(5)単一投与量により、24時間以上に渡って、閾値濃度よりも高い、非結合活性有効成分の循環濃度を達成する、及び、(6)既存のカプセル処方と比べて、治療される被験者においてより一貫性をもって薬剤吸収が達成される。
ヒト及び動物におけるある範囲の病態を治療するように設計された本発明の共製剤は、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナと、下記のものの組み合わせを含む。すなわち、(1)利尿剤、(2)血圧を下げる薬、(3)食欲を抑える薬、(4)カンナビノイド受容体拮抗剤、(5)胃のリパーゼの活動を抑える薬、(6)減量を誘発するのに使用される任意の薬、(7)コレステロールを下げる薬、(8)LDL結合コレステロールを上げる薬、(9)インスリン感度を改善する薬、(10)グルコース利用又は取り込みを改善する薬、(11)アテローム硬化性プラークの発生を抑える薬、(12)炎症を抑える薬、(13)抗鬱性を持つ薬、(14)抗癲癇作用をもつ薬、又は(15)抗精神病作用をもつ薬、である。
式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの製剤による、本発明のヒト又は動物の治療は、下記を含む有害副作用の発生率の低下をもたらす。すなわち、むくみ、塩化ナトリウム及び尿酸排泄率の低下、高血糖、ケトアシドーシス、悪心、嘔吐、消化不良、腸閉塞、及び頭痛であるが、ただしこれらに限定されない。有害副作用の頻度の、この低下は、下記によって実現される。すなわち、(1)個人への投与を治療作用以下の用量で始め、治療的用量に達するまで毎日段階的に用量を増していき、その際、用量のステップアップが行われた日数が2から10日とする、(2)所望の治療効果を実現するための最小有効用量の使用、(3)胃内移行が完了するまで活性成分の放出を遅らせる製剤処方の使用、(4) 胃内移行が完了するまで活性成分の放出を遅らせる製剤処方の使用、(5)同じ投与用量において、瞬時放出経口懸濁液又はカプセル処方と比べ、低い循環ピーク薬剤レベルをもたらす製剤の使用、及び、(6)1日の内で、食事に対し、用量の投与のタイミングの最適化、である。
プラーダー・ヴィリ症候群、フレーリッヒ症候群、コーエン症候群、サミット症候群、アルストレーム症候群、ベルエソン症候群、バルデー・ビードル症候群、又は、I、II、III、及びIV型高脂質タンパク血症を患う患者の、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの製剤に基づく本発明による治療は、下記の治療結果のいくつか、又は全てをもたらす。すなわち、(1)減量、(2)体重増加率の低下、(3)過食症の抑制、(4)グルコース耐性障害、糖尿病前駆病態、又は糖尿病発生率の低下、(5)先天的心臓不全発生率の低下、及び、(6)高血圧の緩和、(7)全ての死亡原因の発生率の低下である。
前糖尿病被験者の、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの製剤に基づく本発明による治療は、下記の治療結果のいくつか、又は全てをもたらす。すなわち、(1)減量、(2)正常なグルコース耐性の回復、(3)糖尿病への進行速度の低下、(4)高血圧の緩和、及び、(5)全ての死亡原因の発生率の低下である。
糖尿病被験者の、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの製剤に基づく本発明による治療は、下記の治療結果のいくつか、又は全てをもたらす。すなわち、(1)減量、(2)正常なグルコース耐性の回復、(3)糖尿病の進行速度の低下、(4)グルコース耐性の改善、(5)高血圧の緩和、及び、(6)全ての死亡原因の発生率の低下である。
体重過剰、肥満、又は肥満傾向のヒト及び動物被験体における疾患の治療において、薬剤と、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの同時投与は、KATPチャンネルオープナの製薬学的に許容可能な製剤と、下記の薬剤の受容可能な処方との共同投与を含む。すなわち、(1)シブトラミン、(2)オルリスタット、(3)リモナバント、(4)食欲抑制剤、(5)肥満又は体重過剰な被験者において減量を誘発するために使用される任意の薬、(6)非サイアザイド利尿剤、(7)コレステロールを下げる薬、(8)HDLコレステロールを上げる薬、(9)LDL結合コレステロールを下げる薬、(10)血圧を下げる薬、(11)抗鬱作用をもつ薬、(12)インスリン感度を改善する薬、(13)グルコース利用又は取り込みを改善する薬、(14)抗癲癇作用をもつ薬、(15)抗炎症作用をもつ薬、又は、(16)循環トリグリセリドを下げる薬、である。
抗精神病薬で治療される被験者における、体重増加、不全脂血症、又はグルコース耐性障害の治療と予防において、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナと同時投与できる薬剤は、KATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤と同時投与を許容できる下記の薬剤を含む;すなわち、リチウム、カルバマゼピン、バルプロ酸及びジバルプロエックス、ラモトリジン、一般にモノアミンオキシダーゼ阻害剤と分類される抗鬱剤で、イソカルボキサジド、硫化フェネルジン及び硫化トラニルシプロサミンを含む、トリサイクル抗鬱剤で、ドキセピン、クロミプラミン、アミトリプチリン、マプロイリン(maproiline)、デシプロミン、ノルトリプチリン、デシプラミン、ドキセピン、トリミプラミン、及びプロトリプチリンを含む、テトラサイクル抗鬱剤で、ミアンセリン、ミルタザピン、マプロチリン、オキサプロチリン、デレクヮミン、レボプロトリン(levoprotline)、トリフルカルビン(triflucarbine)、セチプチリン、ロルタラリン(lortalaline)、アジプラミン、マレイン酸アプタザピン及びピルリンドールを含む、及び、主要鎮静剤及び非典型的抗精神病薬で、パロプロキシドール(paloproxidol)、ペルフェナジン、チオリダジン、リスペリドン、クロザピン、オランザピン、及び、クロルプロマジンを含む抗精神病薬である。
1つの態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナは、体重過剰、又は肥満の被験者に対し、経口、経皮、経鼻用製剤として投与され、空腹時インスリンレベルを長期に渡って測定可能な程度に下げるのに必要な閾値濃度に達し、かつ維持する。好ましくは、KATPチャンネルオープナは、空腹時インスリンレベルを、少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%下げる。絶食時インスリンレベルは、通常、グルコース耐性試験(OGTT)を用いて測定される。一晩の絶食後、患者は既知の量のグルコースを服用する。初期グルコースレベルは、血液及び尿における試験前のグルコースレベルを測定することによって求められる。血液のインスリンレベルは、グルコースが服用されて後最大3時間まで毎時間抽出される血液によって測定される。絶食時グルコースアッセイにおいて、グルコース負荷後2時間において200mg/dlを超える血漿グルコース値をもつ被験者は、グルコース耐性障害を示す。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナは、体重過剰、又は肥満の被験者に対し、経口、経皮、又は経鼻用製剤として投与され、長期に渡って減量を誘発するのに必要な閾値濃度に達し、かつ維持する。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナは、体重過剰、又は肥満の被験者に対し、経口、経皮又は経鼻用製剤として投与され、長期に渡って休息時のエネルギー消費を上げるのに必要な閾値濃度に達し、かつ維持する。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナは、体重過剰、又は肥満の被験者に対し、経口、経皮又は経鼻用製剤として投与され、長期に渡って脂肪酸の酸化を上昇させるに必要な閾値濃度に達し、かつ維持する。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナは、体重過剰、又は肥満の被験者に対し、経口、経皮、又は経鼻用製剤として投与され、長期に渡って体重減少を誘発するのに必要な閾値濃度に達し、かつ維持する。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナは、体重過剰、又は肥満の被験者に対し、経口、経皮、又は経鼻用製剤として投与され、長期に渡って体重を維持するのに必要な閾値濃度に達し、かつ維持する。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナは、体重過剰、又は肥満の被験者に対し、経口、経皮、又は経鼻用製剤として投与され、長期に渡って減量を誘発するのに必要な閾値濃度を超える薬剤濃度に達し、かつ維持する。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナは、体重過剰、又は肥満の個人に対し、経口、経皮、又は経鼻用製剤として、長期に渡って体脂肪を25%以上、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%下げるために投与される。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナは、体重過剰、又は肥満の被験者に対し、経口、経皮、又は経鼻用製剤として、長期に渡って内臓脂肪の堆積を選択的に下げるために投与される。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナは、体重過剰、又は肥満の被験者に対し、経口、経皮、又は経鼻用製剤として、長期に渡って内臓脂肪の堆積及び他の脂肪堆積を下げるために投与される。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナは、正常血中インスリンをもつ体重過剰、又は肥満の被験者に対し、経口、経皮、又は経鼻用製剤として投与され、長期に渡って減量を誘発するのに必要な閾値濃度を超える薬剤濃度に達し、かつ維持する。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナは、前糖尿病の被験者に対し、経口、経皮、又は経鼻用製剤として投与され、長期に渡って糖尿病への移行を阻止するのに必要な閾値濃度を超える薬剤濃度に達し、かつ維持する。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナは、I型糖尿病の被験者に対し、経口、経皮又は経鼻用製剤として投与され、長期に渡ってベータ細胞の休息を誘発するのに必要な閾値濃度を超える薬剤濃度に達し、かつ維持する。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの製薬学的に許容可能な製剤の単回投与が、治療を必要とする被験者に対し投与され、インスリンの分泌を24時間以上に渡って下げるのに十分な活性薬剤循環濃度をもたらす。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの製薬学的に許容可能な製剤が、治療を必要とする被験者に対し24時間当たり1回以下長期的に投与され、インスリンの分泌を連続的に下げるのに十分な活性薬剤循環濃度をもたらす。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの製薬学的に許容可能な製剤の単回投与が、治療を必要とする被験者に対し投与され、循環における非エステル化脂肪酸を24時間以上に渡って上げるのに十分な活性薬剤循環濃度をもたらす。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの製薬学的に許容可能な製剤が、治療を必要とする被験者に対し24時間当たり1回以下長期的に投与され、循環における非エステル化脂肪酸を連続的に上げるのに十分な活性薬剤循環濃度をもたらす。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの製薬学的に許容可能な製剤の単回投与が、治療を必要とする被験者に対し投与され、循環における低血糖を24時間以上に渡って治療するのに十分な活性薬剤循環濃度をもたらす。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤が、治療を必要とする被験者に対し長期的に24時間当たり1回以下投与され、低血糖を連続的に治療するのに十分な活性薬剤循環濃度をもたらす。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤が、治療を必要とする被験者に対し長期的に24時間当たり1回以下投与され、減量を連続的に誘発するのに十分な活性薬剤循環濃度をもたらす。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤が、治療を必要とする被験者に対し長期的に24時間当たり1回以下投与され、減量を連続的に誘発するのに十分な活性薬剤循環濃度をもたらす。なぜなら、一旦若干の減量が見られたならば、代替治療は再度の体重増加となるので、肥満被験者の体重を維持することが好ましいからである。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤が、治療を必要とする被験者に対し長期的に24時間当たり1回以下投与され、循環グリセリドレベルを連続的に下げるのに十分な活性薬剤循環濃度をもたらす。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤の単回投与が、治療を必要とする被験者に対し投与され、循環における虚血性又は再循環損傷を24時間以上抑えるか、又は阻止するのに十分な活性薬剤循環濃度をもたらす。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤が、治療を必要とする被験者に対し長期的に24時間当たり1回より多くなく投与され、循環における虚血性又は再循環損傷を連続的に抑えるか、又は阻止するのに十分な活性薬剤循環濃度をもたらす。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの治療における副作用頻度は、治療を必要とする被験者に対し、ジアゾキシド又はその誘導体の薬学的に許容可能な製剤を日替わりベースで用いることによって低減される。すなわち、最初の用量は、公知の治療量以下とし、その後、毎日の用量を、治療量に達するまで、段階的に上昇させる。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの治療における副作用頻度は、治療を必要とする被験者に対し、Kチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤を日替わりベースで用いることによって低減される。すなわち、活性成分は、胃内通過が完了するまでは製剤から放出されない。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの治療における副作用頻度は、治療を必要とする被験者に対し、KATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤を日替わりベースで用いることによって低減される。すなわち、活性成分の最大循環濃度は、プログリセム(商標)の経口懸濁液またはカプセル製剤を用いた同じ容量の投与によって達成されるものよりも低い。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの治療における副作用頻度は、治療を必要とする被験者に対し、KATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤を日替わりベースで用いることによって低減される。すなわち、第1用量は、公知の治療用量以下とし、その後、毎日の用量を、治療量に達するまで、段階的に上昇させ、活性成分は、胃内通過が完了するまでは製剤から放出されず、活性成分の最大循環濃度は、プログリセム(商標)の経口懸濁液またはカプセル製剤を用いた同じ容量の投与によって達成されるものよりも低い。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの治療における副作用頻度は、治療を必要とする被験者に対し、KATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤を日替わりベースで用いることによって低減される。すなわち、最初の用量は、公知の治療用量以下とし、その後、毎日の用量を、治療量に達するまで、段階的に上昇させ、活性成分は、胃内通過が完了するまでは製剤から放出されず、活性成分の最大循環濃度は、プログリセム(商標)の経口懸濁液またはカプセル製剤を用いた同じ容量の投与によって実現されるものよりも低く、かつ、その最大用量は、5mg/kg/日未満である。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの治療における副作用頻度は、治療を必要とする被験者に対し、KATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な処方を日替わりベースで用いることによって低減される。すなわち、最初の用量は、公知の治療用量以下とし、その後、毎日の用量を、治療用量に達するまで、段階的に上昇させ、活性成分は、胃内移行が完了するまでは処方から放出されず、活性成分の最大循環濃度は、経口懸濁液又はカプセル製剤による同じ用量投与によって達成されるものよりも低く、かつ、最大用量は、2.5mg/kg/日未満である。
別の態様では、体重過剰又は肥満の被験者の治療は、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤の24時間当たり1回の投与によって減量に関して最適化される。すなわち、製剤からの活性成分の放出は、少なくとも6時間は、連続的な放出を達成するように改良される。
別の態様では、体重過剰又は肥満の被験者の治療は、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤の24時間当たり1回の投与によって減量に関して最適化される。すなわち、製剤からの活性成分の放出は、少なくとも12時間は、連続的な放出を達成するように改良される。
別の態様では、体重過剰又は肥満の被験者の治療は、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤の24時間当たり1回の投与によって減量に関して最適化される。すなわち、製剤からの活性成分の放出は、少なくとも8時間薬剤循環濃度の上昇を達成するように改良される。
別の態様では、体重過剰又は肥満の被験者の治療は、KATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤の24時間当たり1回の投与によって減量に関して最適化される。すなわち、製剤からの活性成分の放出は、少なくとも12時間薬剤循環濃度の上昇を達成するように改良される。
別の態様では、体重過剰又は肥満の被験者の治療は、KATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤の24時間当たり1回の投与によって減量に関して最適化される。すなわち、製剤からの活性成分の放出は、インスリンの基礎分泌のパターンにマッチするように改良される。
別の態様では、KATPチャンネルオープナの治療における副作用頻度は、治療を必要とする肥満傾向の被験者に対し、KATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤を日替わりベースで用いることによって低減される。すなわち、最初の用量は、公知の治療用量以下とし、その後、毎日の用量を、治療用量に達するまで、段階的に上昇させ、活性成分は、胃内通過が完了するまでは製剤から放出されず、活性成分の最大循環濃度は、経口懸濁液又はカプセル製剤による同じ用量投与によって達成されるものよりも低く、かつ、最大用量は、5mg/kg/日未満である。
別の態様では、KATPチャンネルオープナの治療における副作用頻度は、治療を必要とする肥満傾向の被験者に対し、KATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤を日替わりベースで用いることによって低減される。すなわち、最初の用量は、公知の治療用量以下とし、その後、毎日の用量を、治療用量に達するまで、段階的に上昇させ、活性成分は、胃内通過が完了するまでは製剤から放出されず、活性成分の最大循環濃度は、経口懸濁液又はカプセル製剤による同じ用量投与によって達成されるものよりも低く、かつ、最大用量は、2.5mg/kg/日未満である。
別の態様では、肥満の傾向にある被験者の治療は、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤の24時間当たり1回の投与によって体重維持に関して最適化される。すなわち、製剤からの活性成分の放出は、少なくとも6時間は、連続的な放出を達成するように改良される。
別の態様では、肥満の傾向にある被験者の治療は、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤の24時間当たり1回の投与によって体重維持に関して最適化される。すなわち、製剤からの活性成分の放出は、少なくとも12時間は、連続的な放出を達成するように改良される。
別の態様では、肥満の傾向にある被験者の治療は、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤の24時間当たり1回の投与によって体重維持に関して最適化される。すなわち、製剤からの活性成分の放出は、少なくとも8時間薬剤循環濃度の上昇を達成するように改良される。
別の態様では、肥満の傾向にある被験者の治療は、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤の24時間当たり1回の投与によって体重維持に関して最適化される。すなわち、製剤からの活性成分の放出は、少なくとも12時間薬剤循環濃度の上昇を達成するように改良される。
別の態様では、肥満の傾向にある被験者の治療は、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤の24時間当たり1回の投与によって減量に関して最適化される。すなわち、製剤からの活性成分の放出は、インスリンの基礎分泌のパターンにマッチするように改良される。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤は、減量を誘発するようにシブトラミンと同時投与される。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤は、体重過剰、又は肥満の被験者に対し減量を誘発するようにオルリスタットと同時投与される。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤は、体重過剰、又は肥満の被験者に対し減量を誘発するようにリモナバンと同時投与される。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤は、体重過剰、又は肥満の個人に対し減量を誘発するように食欲抑制剤と同時投与される。
別の態様では、KATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤は、体重過剰、肥満傾向又は肥満の被験者に対し、減量を誘発し肥満関連付随病態を治療するために、製薬学的に許容可能な製剤に溶解した抗鬱剤と同時投与される。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤は、体重過剰、肥満傾向又は肥満の被験者に対し、減量を誘発し肥満関連付随病態を治療するために、薬学的に許容可能な製剤に溶解した抗癲癇活性剤と同時投与される。
別の態様では、K式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤は、体重過剰、又は肥満の個人に対し減量を誘発するように非サイアザイド利尿剤と共に投与される。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤は、体重過剰、又は肥満の被験者に対し減量を誘発するようにジアゾキシドとは異なるメカニズムによって減量を誘発する薬剤と同時投与される。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤は、体重過剰、肥満傾向又は肥満の被験者に対し、減量を誘発し肥満関連付随病態を治療するために、血圧を低下させる薬剤と共に同時投与される。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤は、体重過剰、肥満傾向又は肥満の被験者に対し、減量を誘発し肥満関連付随病態を治療するために、コレステロールを低下させる薬剤と同時投与される。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤は、体重過剰、肥満傾向又は肥満の被験者に対し、減量を誘発し肥満関連付随病態を治療するために、コレステロールに会合したHDL濃度を上昇させる薬剤と同時投与される。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤は、体重過剰、肥満傾向又は肥満の被験者に対し、減量を誘発し肥満関連付随病態を治療するために、インスリン感受性を改善する薬剤と同時投与される。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤は、体重過剰、肥満傾向又は肥満の被験者に対し、減量を誘発し肥満関連付随病態を治療するために、抗炎症活性剤と同時投与される。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤は、体重過剰、肥満傾向又は肥満の被験者に対し、減量を誘発し肥満関連付随病態を治療するために、循環しているトリグリセライドを低下させる薬剤と同時投与される。
別の実施態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの製薬学的に許容可能な製剤は、体重過剰、肥満傾向又は肥満の被験者に対し、減量を誘発し肥満関連付随病態を治療するために、薬学的に許容可能な製剤中でジブトラミンと同時投与される。
別の実施態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤は、体重過剰、肥満傾向又は肥満の被験者に対し、減量を誘発し肥満関連付随病態を治療するために、薬学的に許容可能な製剤中でオルリスタットまたは、胃リパーゼの作用を抑制する他剤と同時投与される。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤は、体重過剰、肥満傾向又は肥満の被験者に対し、減量を誘発し肥満関連付随病態を治療するために、薬学的に許容可能な製剤中で 非サイアザイド利尿剤と共製剤される。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤は、体重過剰、肥満傾向又は肥満の被験者に対し、減量を誘発し肥満関連付随病態を治療するために、薬学的に許容可能な製剤で食欲抑制剤と同時投与される。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤は、体重過剰、肥満傾向又は肥満の被験者に対し、減量を誘発し肥満関連付随病態を治療するために、薬学的に許容可能なカンナビノイド受容体拮抗剤と同時投与される。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤は、体重過剰、肥満傾向又は肥満の被験者に対し、減量を誘発し肥満関連付随病態を治療するために、薬学的に許容可能なコレステロール活性低下剤と同時投与される。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤は、体重過剰、肥満傾向又は肥満の被験者に対し、減量を誘発し肥満関連付随病態を治療するために、薬学的に許容可能な抗高血圧剤と同時投与される。
別の実施態様では、KATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤は、体重過剰、肥満傾向又は肥式I〜VIIIの化合物の塩から選択される満の被験者に対し、減量を誘発し肥満関連付随病態を治療するために、薬学的に許容可能なインスリン感受性活性化剤と同時投与される。
別の実施態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤は、体重過剰、肥満傾向又は肥満の被験者に対し、減量を誘発し肥満関連付随病態を治療するために、薬学的に許容可能な抗炎症剤と同時投与される。
別の実施態様では、KATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤は、体重過剰、肥満傾向又は肥式I〜VIIIの化合物の塩から選択される満の被験者に対し、減量を誘発し肥満関連付随病態を治療するために、薬学的に許容可能な抗鬱剤と同時投与される。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤は、体重過剰、肥満傾向又は肥満の被験者に対し、減量を誘発し肥満関連付随病態を治療するために、薬学的に許容可能な抗てんかん剤と同時投与される。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤は、体重過剰、肥満傾向又は肥満の被験者に対し、減量を誘発し肥満関連付随病態を治療するために、薬学的に許容可能な、アテローム性動脈硬化巣の発生頻度を減少させる薬剤と同時投与される。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの薬学的に許容可能な製剤は、体重過剰、肥満傾向又は肥満の被験者に対し、減量を誘発し肥満関連付随病態を治療するために、薬学的に許容可能な、体循環中のトリグリセライドを低下させる薬剤と同時投与される。
体重過剰、肥満、又は肥満傾向被験者における体循環トリグリセリドの低下は、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの有効量の経口剤の投与によって達成される。
式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの経口剤は、治療を必要とする体重過剰又は肥満傾向の被験者に対し体重の維持のために投与される。なぜなら、一旦若干の減量が見られたならば、代替は再度の体重回復となるので、肥満の被験者の体重を維持することが好ましいからである。
別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナは、肥満の被験者を治療薬と同時投与される。このような同時投与剤は、24時間に1回経口投与として、胃内を完全に通過する放出が遅延されるように、また、2時間から24時間の期間にわたり薬剤の放出が維持されるように、製剤することができる。このような肥満治療剤は、限定されるものではないが、塩酸ジブトラミン5〜30mg)、オルリスタット(50〜360mg)、塩酸フェンテルミンまたは樹脂錯体(15〜40mg)、ゾニサミド(100〜600mg)、トピラメート(64〜400mg)、塩酸ナルトレキソン(50〜600mg)またはリモナバント(5〜20mg)を含む。
同時投与される別の態様は、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナおよび肥満を治療するための薬剤を含む。このような同時投与剤は、24時間に1回経口投与として、胃内を完全に通過する放出が遅延されるように、また、2時間から24時間の期間にわたり薬剤の放出が維持されるように、製剤することができる。このような肥満治療剤は、限定されるものではないが、塩酸ジブトラミン2.5〜15mg/単位)、オルリスタット(25〜180mg)、塩酸フェンテルミンまたは樹脂錯体(7.5〜20mg)、ゾニサミド(50〜300mg)、トピラメート(32〜200mg)、塩酸ナルトレキソン(25〜300mg)またはリモナバント(2.5〜10mg)を含む。
式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの別の態様は、肥満、糖尿病、代謝性疾患、または肥満関連病態の治療薬と同時投与される。このような症状を治療するこのような薬剤は、α1−ノルアドレナリン受容体刺激、β2−ノルアドレナリン受容体を刺激し;ノルアドレナリン放出を刺激し、ノルアドレナリンの取り込みを阻害し;5−HT放出を刺激シ、5−HT放出を阻害し、セロトニン(5−ヒドロキシトリプタミン)2C受容体アゴニストであり、アセチルCoAカルボキシラーゼ2に拮抗し、D1受容体を刺激し;H3−受容体に拮抗し;レプチンアナログであり;レプチン受容体に拮抗し;レプチン受容体に対しCNS組織を感作する;MC4受容体を刺激し;NPY−1を刺激し;NPY−Y2を刺激し;NPY−Y4を刺激し; NPY−Y5を刺激し;MCH受容体に拮抗し;CRH−BPを阻害し;CRH受容体を刺激し;ウロコルチン受容体を刺激し;ガラニン受容体に拮抗し;オレキシン受容体に拮抗し;CART受容体を刺激し;Amylin受容体を刺激し;Apo(AIV)受容体を刺激し;CB−1受容体に拮抗し;αMSHアナログであり;PTP−1Bを阻害し;PPARγ受容体に拮抗し;短時間作用のブロモクリプチンであり;ソマトスタチンを刺激し;アジポネクチンを増加させ;CCK活性を増強させ;PYY活性を増加させ;GLP−1活性を増加させ;グレリン活性を減少させ;選択的なB3の刺激剤であるか、またはアゴニストであり;甲状腺受容体を刺激し;腸管内リパーゼまたは他の消化酵素を阻害し;食事性の脂肪吸収を阻害し;または脂肪酸デノボ(新規)合成を阻害する。付け加えると、肥満を治療するためのこのような薬剤は、これらに限定されるものではないが、以下を含むことができる;すなわち、11Bハイドロキシステロイド脱水素酵素タイプIの機能または発現に拮抗するか刺激するもの;アセチル−CoAカルボキシラーゼ1;ADAM12、ディスインテグリン(インテグリン阻害物質)またはメタロプロテアーゼファミリーの員12、またはその短分泌型;アグーチ関連蛋白;アンギオテンシノーゲン;脂肪細胞脂肪結合蛋白;アドレナリン作動性受容体;アセチル化刺激蛋白;ボンベシン受容体サブタイプ−3;C/EBP、CCAAT/増強結合蛋白; コカイン−およびアンフェタミン転写物;コレシストキニン;コレシストキニンA受容体;CD36、脂肪酸転移酵素;副腎皮質放出ホルモン;ジアシルグリセロールアセチルトランスフェラーゼ;E2F転写因子;真核細胞翻訳開始因子4e結合蛋白1;エストロゲン受容体;脂肪酸合成酵素;繊維芽細胞増殖因子;フォークヘッド ボックスC2;グルコース依存性インシュリン分泌性蛋白;GIP受容体;G蛋白αサブユニット阻害;グルカゴン様蛋白1;GLP−1受容体;グリセロール3リン酸アセチルトランスフェラーゼ;グリセロール3リン酸デハイドロゲナーゼ;刺激性G蛋白αサブユニット;高移動度群リン酸化タンパク質イソフォームI−C;ホルモン感受性リパーゼ;誘導し得る一酸化窒素合成酵素;Janusキナーゼ;リポ蛋白リパーゼ;メラノコルチン−3受容体;メラノコルチン−4受容体;ミトコンドリアGPAT;メタロチオネイン−IおよびII;nescientへリックス−ループ−ヘリックス2;ニュロペプチドY;ニュロペプチドY−1受容体; ニュロペプチドY−2受容体; ニュロペプチドY−4受容体; ニュロペプチドY−5受容体;プラスミノーゲンアクチベー阻害剤;PPARγコアクチベータ1; プロ−オピオメラノコルチン; ペルオキシソーム増殖活性化受容体;蛋白チロシンリン酸化酵素1B;プロテインキナーゼAの調節スブユニトIIβ;レチノイドX受容体;ステロイド産生の因子1; シングルマインド1(single−minded 1);ステロール調節要素結合蛋白;チロシン水酸化酵素; 甲状腺ホルモン受容体a2; 脱共役蛋白;蛋白誘導神経増殖因子;ロイシンジッパー転写因子;a−メラニン刺激ホルモン。
本発明の別の態様では、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナは、糖尿病の治療薬と共製剤される。このような共製剤は、24時間に1回経口投与用に製剤化することができ、胃内通過が完了するまで活性体薬剤の放出遅延用の、そして2〜24時間にわたる薬剤の持続放出用に製剤化することができる。このよな糖尿病治療薬には、これらに限定されるものではないが、アカルボース(50〜300mg)、ミグリトール(25〜300mg)、塩酸メトフォルミン(300〜2000mg)、レパグリニド(1〜16mg)、ナテグリニド(200〜400mg)またはロシグリチゾン(5〜50mg)を含む。
さらなる態様においては、同時投与製剤は、1日2回経口投与のために共製剤化をすることができ、胃内通過が完了するまで薬剤の遅延放出するため、2〜12時間にわたる薬剤の持続放出するために製剤化をすることができる。このような糖尿病を治療する薬剤には、これらの限定されるものではないが、アカルボース(25〜150mg)、ミグリトール(12.5〜150mg)、塩酸メトフォルミン(150〜1000mg)、レパグリニド(0.5〜8mg)、ナテグリニド(100〜200mg)またはロシグリチゾン(2.5〜25mg)を含む。
本発明の別の態様においては、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナは、上昇したコレステロールを治療する薬剤と共製剤化することができる。このような共製剤は、24時間に1回経口投与するために共製剤することができ、胃内通過が完了するまで活性体薬剤の放出遅延するため、そして2〜24時間にわたる薬剤の持続放出にするための製剤化することができる。このような上昇したコレステロール治療をする薬剤には、これらに限定されるものではないが、プラバスタチン、シンバスタチン、アトロバスタチン、フラバスタチン、ロスバスタチン、または、マタハロバスタチン(10〜80mg)が含まれる。
さらなる態様においては、共製剤は、24時間に2回経口投与のために、胃内通過が完了するまで薬剤の遅延放出するため、2〜12時間にわたる薬剤の持続放出するための製剤化することができる。このような上昇したコレステロールの治療をする薬剤には、これらに限定されるものではないが、プラバスタチン、シンバスタチン、アトロバスタチン、フラバスタチン、ロスバスタチン、マタハロバスタチン(5〜40mg)が含まれる。
本発明の別の態様においては、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナは、鬱病を治療する薬剤と共製剤化され得る。このような共製剤は、24時間に1回経口投与するために製剤化することができ、胃内通過が完了するまで活性体薬剤の放出遅延するため、そして2〜24時間にわたる薬剤の持続放出にするための製剤化することができる。このような鬱病を治療するための薬剤は、これらに限定されるものではないが、臭化水素酸シタロプラム(10〜80mg)、臭化水素酸エシタロプラム(5〜40mg)、マレイン酸フルボキサミン(25〜300mg)、塩酸パロキセチン(12.5〜75mg)、塩酸フルオキセチン(30〜100mg)、塩酸セトラリン(25〜200mg)、塩酸アミトリプチリン(10〜200mg)、塩酸デシプラミン(10〜300mg)、塩酸ノルトリプチリン(10〜150mg)、塩酸デュロキセチン(20〜210mg)、塩酸ベンラファキシン(37.5〜150mg)、硫酸フェネルジン(10〜30mg)、塩酸ブプロピオン(200〜400mg)、又はミルタザピン(7.5〜90mg)を含む。
本発明の別の態様においては、24時間に2回経口投与するための共製剤は、胃内通過が完了するまで活性薬剤の放出遅延をするために、そして2〜12時間にわたる薬剤の持続放出にするために、製剤化することができる。このような鬱病を治療するための薬剤は、これらに限定されるものではないが、臭化水素酸シタロプラム(5〜40mg)、臭化水素酸エシタロプラム(2.5〜20mg)、マレイン酸フルボキサミン(12.5〜150mg)、塩酸パロキセチン(6.25〜37.5mg)、塩酸フルオキセチン(15〜50mg)、塩酸セトラリン(12.5〜100mg)、塩酸アミトリプチリン(5〜100mg)、塩酸デシプラミン(5〜150mg)、塩酸ノルトリプチリン(5〜75mg)、塩酸デュロキセチン(10〜100mg)、塩酸ベンラファキシン(18〜75mg)、硫酸フェネルジン(5〜15mg)、塩酸ブプロピオン(100〜200mg)、又はミルタザピン(4〜45mg)を含む。
本発明の別の態様においては、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナは、高血圧を治療する薬剤と共製剤化することができる。このような共製剤は、24時間に2回経口投与するために、胃内通過が完了するまで活性体薬剤の放出遅延するため、そして2〜24時間にわたる薬剤の持続放出にするために製剤化することができる。このような高血圧を治療するための薬剤は、これらに限定されるものではないが、マレイン酸エナラプリル(2.5〜40mg)、カプトプリル(2.5〜150mg)、リシノプリル(10〜40mg)、塩酸ベンザエプリル(10〜80mg)、塩酸キナプリル(10〜80mg)、ペリドプリルエルブミン(4〜8mg)、ラミプリル(1.25〜20mg)、トランドラプリル(1〜8mg)、フォシノプリルナトリウム(10〜80mg)、塩酸モエキシプリル(5〜20mg)、ロサルタンカリウム(25〜200mg)、イルベサルタン(75〜600mg)、バルサルタン(40〜600mg)、カンデサルタンシレキセチル(4〜64mg)、オルメサルタンメドキサミル(5〜80mg)、テルミサルタン(20〜160mg)、エプロサルタンメシレート(75〜600mg)、アテノロール(25〜200mg)、塩酸プロパノロール(10〜180mg)、メトプロロールタルテート、スクシネート、又はフマレート(全て25〜400mg)、ナドロール(20〜160mg)、塩酸ベータキソロール(10〜40mg)、塩酸アセブトロール(200〜800mg)、ピンドロール(5〜20mg)、フマル酸ビソプロロール(5〜20mg)、ニフェジピン(15〜100mg)、フェロジピン(2.5〜20mg)、アムロジピンベシレート(2.5〜20mg)、ニカルジピン(10〜40mg)、ニソルジピン(10〜80mg)、塩酸テラゾシン(1〜20mg)、ドキサソシンメシレート(4〜16mg)、塩酸プラゾシン(2.5〜10mg)、又は塩酸アルフゾシン(10〜20mg)が挙げられる。
本発明の別の態様においては、24時間に2回経口投与するための共製剤は、胃内通過が完了するまで活性薬剤の放出遅延をするために、そして2〜12時間にわたる薬剤の持続放出にするために、製剤化することができる。このような高血圧を治療するための薬剤は、これらに限定されるものではないが、マレイン酸エナラプリル(1.25〜20mg)、カプトプリル(2〜75mg)、リシノプリル(5〜20mg)、塩酸ベンザエプリル(5〜40mg)、塩酸キナプリル(5〜40mg)、ペリドプリルエルブミン(2〜4mg)、ラミプリル(1〜10mg)、トランドラプリル(1〜4mg)、フォシノプリルナトリウム(5〜40mg)、塩酸モエキシプリル(2.5〜10mg)、ロサルタンカリウム(12.5〜100mg)、イルベサルタン(37.5〜300mg)、バルサルタン(20〜300mg)、カンデサルタンシレキセチル(2〜32mg)、オルメサルタンメドキサミル(2.5〜40mg)、テルミサルタン(10〜80mg)、エプロサルタンメシレート(37.5〜300mg)、アテノロール(12.5〜100mg)、塩酸プロパノロール(5〜90mg)、メトプロロールタルテート、スクシネート、又はフマレート(全て12.5〜200mg)、ナドロール(10〜80mg)、塩酸ベータキソロール(5〜20mg)、塩酸アセブトロール(100〜400mg)、ピンドロール(2.5〜10mg)、フマル酸ビソプロロール(2.5〜10mg)、ニフェジピン(7.5〜50mg)、フェロジピン(1〜10mg)、アムロジピンベシレート(1〜10mg)、ニカルジピン(5〜20mg)、ニソルジピン(5〜40mg)、塩酸テラゾシン(1〜10mg)、ドキサソシンメシレート(2〜8mg)、塩酸プラゾシン(1〜5mg)、又は塩酸アルフゾシン(5〜10mg)が挙げられる。
本発明の別の態様においては、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナは、利尿剤と共製剤にされる。このような共製剤は、24時間に1回経口投与するために、胃内通過が完了するまで活性体薬剤の放出遅延するため、そして2〜24時間にわたる薬剤の持続放出にするために製剤化することができる。このような利尿剤としては、これらに限定されるものではないが、塩酸アミロリド(1〜10mg)、スピロノラクトン(10〜100mg)、トリアムテレン(25〜200mg)、ブメタニド(0.5〜4mg)、フロセミド(10〜160mg)、エタクリル酸又はエタクリネートナトリウム(各10〜50mg)、トルセミド(5〜100mg)、クロルタリドン(10〜200mg)、インダパミド(1〜5mg)、ヒドロクロロチアジド(10〜100mg)、クロロチアジド(50〜500mg)、ベンドロフルメチアジド(5〜25mg)、ヒドロフルメチアジド(10〜50mg)、メチクロチアジド(1〜5mg)、又はポリチアジド(1〜10mg)が挙げられる。
さらなる態様においては、共製剤は、24時間に2回経口投与のために、胃内通過が完了するまで薬剤の遅延放出するため、2〜12時間にわたる薬剤の持続放出するための製剤化することができる。このような利尿剤には、これらの限定されるものではないが、塩酸アミロリド(0.5〜5mg)、スピロノラクトン(5〜50mg)、トリアムテレン(12〜100mg)、ブメタニド(0.2〜2mg)、フロセミド(5〜160mg)、エタクリル酸又はエタクリネートナトリウム(各5〜25mg)、トルセミド(2〜50mg)、クロルタリドン(5〜100mg)、インダパミド(0.5〜2.5mg)、ヒドロクロロチアジド(5〜50mg)、クロロチアジド(25〜250mg)、ベンドロフルメチアジド(2〜12.5mg)、ヒドロフルメチアジド(5〜25mg)、メチクロチアジド(0.5〜2.5mg)、又はポリチアジド(0.5〜5mg)が挙げられる。
本発明の別の態様においては、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナは、炎症または痛みを治療する薬剤と共製剤化され得る。このような共製剤は、24時間に1回経口投与するために、胃内通過が完了するまで活性体薬剤の放出遅延するため、そして2〜24時間にわたる薬剤の持続放出にするための製剤化することができる。このような炎症または痛みを治療するための薬剤は、これらに限定されるものではないが、アスピリン(100〜1000mg)、塩酸トラマドール(25〜150mg)、ガバペンチン(100〜800mg)、アセトミノフェン(100〜1000mg)、カルバマゼピン(100〜400mg)、イブプロフェン(100〜1600mg)、ケトプロフェン(12〜200mg)、フェンプロフェンナトリウム(100〜600mg)、フルルビプロフェンナトリウム又はフルルビプロフェン(両方共50〜200mg)、又は、上記の任意のものとステロイド又はアスピリンの組み合わせが挙げられる。
さらなる態様においては、共製剤は、24時間に2回経口投与のために、胃内通過が完了するまで薬剤の遅延放出するため、2〜12時間にわたる薬剤の持続放出するための製剤化することができる。このような炎症または痛みを治療する薬剤には、これらの限定されるものではないが、アスピリン(100〜650mg)、塩酸トラマドール(12〜75mg)、ガバペンチン(50〜400mg)、アセトミノフェン(50〜500mg)、カルバマゼピン(50〜200mg)、イブプロフェン(50〜800mg)、ケトプロフェン(6〜100mg)、フェンプロフェンナトリウム(50〜300mg)、フルルビプロフェンナトリウム又はフルルビプロフェン(両方共25〜100mg)、又は、上記の任意のものとステロイド又はアスピリンの組み合わせが挙げられる。
体重過剰又は肥満の被験者において初期体脂肪の25%を超える減量を誘発する方法は、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの経口剤形の長期投与によって達成される。
体重過剰又は肥満の被験者において初期体脂肪の50%を超える減量を誘発する方法は、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの経口剤形の長期投与によって達成される。
体重過剰又は肥満の被験者において初期体脂肪の75%を超える減量を誘発する方法は、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの経口剤形の長期投与によって達成される。
体重過剰又は肥満の被験者において内臓脂肪の好ましい減量を誘発する方法は、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの経口剤形の長期投与によって達成される。
体重過剰又は肥満の被験者において体脂肪の減少および循環トリグリセライドの減少を誘導する方法は、式I〜VIIIの化合物の塩から選択されるKATPチャンネルオープナの経口剤形の長期投与によって達成される。
ある態様においては、本発明は、塩の多形を提供するが、その塩には、ジアゾキシドおよびアルカリ金属からなる群、および第三級アミンまたは第四級アンモニウム基を含む化合物から選択されるカチオンを含んでいる。ある態様においては、カチオンは、コリンである。
ある態様においては、ジアゾキシドコリン塩の多形は、2つのシータ(θ)(CuKα、40kV、40mA)値で、XRPDにおけるパターンにおいて、約9.8、10.5、14.9、17.8、17.9、18.5、19.5、22.1、22.6、26.2、29.6、および31.2度において特徴的なピークをもつForm Aである。
ある態様においては、ジアゾキシドコリン塩の多形体は、XRPDパターンにおいて、2θ値(CuKα、40kV、40mA)が、約8.9、10.3、12.0、18.3、20.6、24.1、24.5、26.3、27.1および28.9°である特徴的ピークを有するフォームBである。
ある態様においては、ジアゾキシドコリン塩の多形体は、2926、2654、1592、1449および1248cm−1で、特徴的な赤外吸光度を有するフォームAである。
ある態様においては、ジアゾキシドコリン塩の多形体は、3256、2174、2890、1605、1463および1235cm−1で、特徴的な赤外吸光度を有するフォームBである。
ある態様においては、ジアゾキシドの多形体は、カチオンとしてカリウムを含む。
ある態様においては、ジアゾキシドカリウム塩の多形体は、XRPDパターンにおいて、2θ値(CuKα、40kV、40mA)が、約6.0、8.1、16.3、17.7、18.6、19.1、22.9、23.3、23.7、24.7、25.4、26.1、28.2、29.6、30.2°である特徴的ピークを有するフォームAである。
ある態様においては、ジアゾキシドカリウム塩の多形体は、XRPDパターンにおいて、2θ値(CuKα、40kV、40mA)が、約8.5、10.8、16.9、18.2、21.6、25.5、26.1および28.9°である特徴的なピークを有するフォームBである。
ある態様においては、ジアゾキシドカリウム塩の多形体は、XRPDパターンにおいて、2θ値(CuKα、40kV、40mA)が、約5.7、6.1、17.9、23.9、25.1および37.3°である特徴的なピークを有するフォームCである。
ある態様においては、ジアゾキシドカリウム塩の多形体は、XRPDパターンにおいて、2θ値(CuKα、40kV、40mA)が、約5.7、6.2、8.1、8.5、8.8、16.9、18.6、23.2、24.5、25.8および26.1°である特徴的なピークを有するフォームDである。
ある態様においては、ジアゾキシドカリウム塩の多形体は、XRPDパターンにおいて、2θ値(CuKα、40kV、40mA)が、約6.7、7.1、および21.2度で特徴的なピークを有するフォームEである。
あるの態様においては、ジアゾキシドカリウム塩の多形体は、XRPDパターンにおいて、2θ値(CuKα、40kV、40mA)が、約8.5、9.0、18.7、20.6、23.5、27.5および36.3度で特徴的なピークを有するフォームFである。
あるの態様においては、ジアゾキシドカリウム塩の多形体は、XRPDパターンにおいて、2θ値(CuKα、40kV、40mA)が、約5.2、5.5、13.1、16.5、19.3、22.8、24.8、26.4、28.7および34.1度で特徴的なピークを有するフォームGである
ある態様においては、ジアゾキシドカリウム塩の多形体は、1503、1374、1339、1207、1131,1056および771cm−1で、特徴的な赤外吸光度を有するフォームAである。
ある態様においては、ジアゾキシドカリウム塩の多形体は、1509、1464、1378および1347cm−1で、特徴的な赤外吸光度を有するフォームBである。
ある態様においては、ジアゾキシドカリウム塩の多形体は、1706、1208、1146および746cm−1で、特徴的な赤外吸光度を有するフォームCである。
ある態様においては、ジアゾキシドカリウム塩の多形体は、1595、1258、1219および890cm−1で、特徴的な赤外吸光度を有するフォームDである。
ある態様においては、ジアゾキシドカリウム塩の多形体は、1550、1508、1268、1101および1006cm−1で、特徴的な赤外吸光度を有するフォームEである。
ある態様においては、ジアゾキシドカリウム塩の多形体は、1643、1595、1234、1145および810cm−1で、特徴的な赤外吸光度を有するフォームFである。
ある態様においては、ジアゾキシドカリウム塩の多形体は、1675、1591、1504、1458、1432、1266、999、958、905および872cm−1で、特徴的な赤外吸光度を有するフォームGである。
ある態様においては、ジアゾキシドコリン塩の多形体は、実質的に図16(a)に示されるXRPDパターン、および、実質的に図17(a)に示されるNMRスペクトルにおける特徴的なピークを有するフォームAである。
ある態様においては、ジアゾキシドコリン塩の多形体は、実質的に図16(c)に示されるXRPDパターン、および、実質的に図17(b)に示されるNMRスペクトルにおける特徴的なピークを有するフォームBである。
ある態様においては、ジアゾキシドカリウム塩の多形体は、1つ又は複数のフォームA〜Gを含み、これらのフォームA〜Gの各々は、実質的に図18および19に示されるXRPDパターンにおいて特徴的なピークを有する。
本発明のある態様において、ジアゾキシドコリン塩を製造する方法を提供する。この方法は、溶媒(例えば、メタノール、I〜BuOH、I〜AmOH、t−BuOHなどのアルコール、ケトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、n−メチルピロリジノンなど)中にジアゾキシドを懸濁し、前記ジアゾキシドコリンの形成および析出が生じるのに十分な条件下で、コリン塩(例えば、コリンヒドロキシド)と混合し、共溶媒(例えば、MTBE、EtOA、IPA、c−ヘキサン、ヘプタン、トルエン、CH2Cl2、ジオキサンなど)を上述の懸濁液に加え、析出物を回収し、ジアゾキシドコリン塩を得る。
ある態様においては、この溶媒は、テトラヒドロフランである。ある態様において、上記溶媒は、2メチルテトラヒドロフラン(2−MeTHF)である。
ある態様においては、ジアゾキシドおよび溶媒は、溶媒1mlあたり約1gジアゾキシドから溶媒5mlあたり約1gジアゾキシドまでの範囲の比率で存在する。ある態様においては、溶媒3mlあたり約1gのジアゾキシドの比率で存在する。
ある態様においては、コリン塩は、MeOH溶液である。ある態様においては、コリン塩は、メタノール溶液中で約45%(例えば、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%)のコリンヒドロキシドである。
ある態様においては、コリン塩は、1モル当量のジアゾキシドとして加えられる。
ある態様においては、共溶媒は、MTBEである。
ある態様においては、共溶媒は、溶媒量との比率が約3:14(溶媒:共溶媒)(例えば、3:12、3:13、3:14、3:15、3:16)となるように加える。
ある態様においては、ジアゾキシドコリン塩の多形体を製造する方法は、回収ステップの前に、ジアゾキシドコリン塩多形体フォームBの結晶を播種するステップを含む。
ジアゾキシドコリン塩の製造方法に関するある態様においては、前記塩は、実質的に多形体フォームAのない多形体フォームBを含み、この多形体フォームBは、XRPDパターンにおいて、2θ値(CuKα、40kV、40mA)が、約8.5、10.8、16.9、18.2、21.6、25.5、26.1および28.9°である特徴的なピークを有する。
肥満被験者(対象)における肥満または肥満関連付随病態の治療に関するある態様においては、化合物は、式Vの化合物である。
肥満被験者(対象)における肥満または肥満関連付随病態の治療に関するある態様においては、化合物は、式VIの化合物である。
肥満被験者(対象)における肥満または肥満関連病態の治療に関するある態様においては、化合物は、式VIIの化合物である。
肥満被験者(対象)における肥満または肥満関連付随病態の治療に関するある態様においては、化合物は、式VIIIの化合物である。
肥満被験者(対象)における肥満または肥満関連付随病態の治療に関するある態様において、この方法は、シブトラミン、オルリスタット、リモナバント、食欲抑制剤、チアジド系利尿剤、コレステロール低下薬剤、HCLコレステロール上昇薬剤、LDLコレステロール低下薬剤、血圧低下薬剤、抗うつ薬剤、抗てんかん薬剤、抗炎症薬剤、食欲抑制薬剤、トリグリセリドの循環を低下させる薬剤、体重超過または肥満の被験者(対象)における体重低減を誘導するのに使用される薬剤、からなる群から選択される薬剤の投与をさらに具える。
肥満被験者(対象)における肥満または肥満関連付随病態を治療する方法に関するある態様においては、この方法は、KATPチャンネルオープナではない、他の薬学的に活性のある薬剤の投与を具える。ある態様においては、この他の薬学的に活性のある薬剤は、肥満、糖尿病前段階、糖尿病、高血圧、うつ病、コレステロール上昇、むくみ、肥満関連付随病態、虚血性及び再かん流損傷、てんかん、認識機能障害、統合失調症、躁病、又はその他の精神病から成る群より選択される症状の治療に有用である薬剤、からなる群から選択される症状を治療するのに有効な薬剤である。
アルツハイマ疾患(AD)、またはその危険性に苦しむ被験者(対象)を治療する方法に関するある態様において、この方法が、本明細書において提供される塩を含む、治療効果のある量のジアゾキシド塩を被験者(対象)への投与を含む。アルツハイマ疾患、またはその危険性に苦しむ被験者(対象)を治療する方法に関するある態様において、この方法は、任意の式I〜VIIIによる治療効果のある量を被験者(対象)への投与を含む。ある態様においては、この化合物は、ジアゾキシド、またはその塩である。
アルツハイマ疾患(AD)は、脳の皮質および辺縁系に亘り、細胞内神経原繊維のもつれ、および、細胞外アミロイドプラークの異常な蓄積、ならびに、シナプスおよびニューロンによって特徴付けられる神経変性疾患である。さらに、アルツハイマ疾患は、認識および記憶の重度の機能障害によって特徴付けられる。βアミロイドプラークは、βアミロイドペプチド(すなわち、“αβ”、H−Asp−Ala−Glu−Phe−Arg−His−Asp−Ser−Gly−Tyr−Glu−Val−His−His−Gln−Lys−Leu−Val−Phe−Ala−Glu−Asp−Val−Gly−Ser−Asn−Lys−Gly−Ala−Ile−Ile−Gly−Leu−Met−Val−Gly−Gly−Val−Val−Ile−Ala−OH、SEQ ID NO: )、あるいは、ガンマ分泌酵素による切断後のアミロイド前駆ペプチドから放出される1−40または1−42ペプチド、から形成される。プラーク形成に加えて、βアミロイドペプチドは、モノマとして、または、寿命の短いオリゴマー中間体として、細胞毒性がある。βアミロイドペプチド(モノマー、ダイマーまたはオリゴマー)は、CSF(脳脊髄液)および血清の両者において、同定することができる。アミロイド血管症は、αβ堆積物によって特徴付けられ、アルツハイマの開始に先立つ脳血管異常の原因となる。
本発明は、以下の非限定的な例示を参考として記載する。
実施例
A.カリウムATPチャンネル活性化因子含有製剤
1.ジアゾキシド塩またはその誘導体の圧縮錠剤製剤
約15〜30重量%のジアゾキシド塩またはその誘導体を、約55〜80重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、約3〜10重量/体積%のエチルセルロース、ならびに、各々3重量%以下のマグネシウムステアレート(潤滑剤)およびタルク(流動促進剤)と混合する。この混合液を、圧縮錠剤を製造するために使用する(Reddyら、AAPS Pharm Sci Tech4(4):1−9(2003))。この錠剤を、微粒子に関して下記で示すように、薄膜状にコーティングしてもよい。
100mgのジアゾキシド塩またはその誘導体を含む錠剤は、さらに、約400mgのヒドロキシプロピルセルロースおよび10mgのエチルセルロースを含む。50mgのジアゾキシド塩またはその誘導体を含む錠剤は、さらに、約200mgのヒドロキシプロピルおよび5mgのエチルセルロースを含む。25mgのジアゾキシド塩またはその誘導体を含む錠剤は、さらに、約100mgのヒドロキシプロピルセルロースおよび2.5mgのエチルセルロースを含む。
2.ジアゾキシド塩またはその誘導体のカプセル化かつコーティングされた微粒子製剤
ジアゾキシド塩またはその誘導体を、周知の方法(米国特許第6,022,562号参照)で微粒子内にカプセル化させる。ジアゾキシド塩またはその誘導体を含む直径100〜500ミクロンの微粒子を、単独でまたは1つまたは複数の適宜な賦形剤と組み合わせて、造粒機(グラニュレータ)を利用しながら形成し、篩過し、適宜のサイズの微粒子を分離する。微粒子を、商業的に入手可能な器具(例えばUniglatt噴霧コーティング機械)を用いて噴霧乾燥させる。この薄膜は、エチルセルロース、セルロースアセテート、ポリビニルピロリドン、および/または、ポリアクリルアミドを含む。薄膜のコーティング溶液は、ひまし油、ジエチルフタル酸エステル、トリエチルクエン酸塩、および、サリチル酸、でもよい可塑剤を含むことが可能である。コーティング溶液は、さらに、マグネシウムステアレート、オレイン酸ナトリウム、またはポリオキシエチレン化ソルビタンラウレートでもよい潤滑剤を含むことが可能である。さらに、コーティング溶液は、タルク、コロイド状の珪酸、または、この薄膜でコーティングされた粒子のケーキングを防ぐために、1.5〜3重量%で上記2つを加えた混合物、でもよい賦形剤を含むことが可能である。
3.ジアゾキシドまたはその誘導体の放出調節製剤
3.1.放出調節されるジアゾキシドまたはその誘導体の錠剤形状の製剤
混合前に、活性化成分およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(Dow Methocel K4MP)の両方を、ASTM80メッシュの篩にかける。混合物は、1部のジアゾキシド塩またはその誘導体から4部のヒドロキシプロピルメチルセルロースまでで形成される。混合を介した後、造粒剤としての十分な量のエチルセルロースのエタノール溶液を、ゆっくり加える。最終的な製剤における錠剤あたりのエチルセルロースの量は、約10分の1部である。造粒剤を混合した塊(mass)を、22/24メッシュを介して篩にかける。得られた粒子を、40℃で12時間乾燥させ、12時間室温のデシケータ内で保持する。44メッシュに捕獲された乾燥粒子を、15%の微細粒子(44メッシュを通過した粒子)と混合する。タルクおよびマグネシウムステアレートを、流動促進剤および潤滑剤として、各々2重量%ずつ加える。さらに、着色剤を加える。この錠剤を、単一のパンチ式錠剤圧縮機械を用いて圧縮する。
3.2.ジアゾキシドまたはその誘導体を放出調製する圧縮錠剤形状の製剤
ジアゾキシドまたはその誘導体を、20〜40重量%で、30重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース(Dow Methocel K100LVP)および極微量の20〜40重量%のラクトースと混合する。この混合物に、水を付加して粒子化した。粒子化された混合物を、湿式粉砕して、110℃で12時間乾燥させる。乾燥させた混合物を乾燥粉砕する。粉砕後、25重量%のエチルセルロール樹脂を加え(Dow Ethocel 10FpまたはEthocel100FP)、続いて、0.5重量%のマグネシウムステアレートを加える。さらに、着色剤を加える。この錠剤を、単一のパンチ式錠剤圧縮機械を用いて圧縮する(Dasbachら、AAPSの2002年大会のポスター(Nov.10−14))。
3.3.ジアゾキシドまたはその誘導体を放出調節する圧縮コーティング錠剤の製剤
錠剤のコアを、100mgのジアゾキシド塩またはその誘導体をエチルセルロース(Dow Ethocel 10FP)と混合することによって、あるいは、75mgのジアゾキシドまたはその誘導体を25mgのラクトースおよび10mgのエチルセルロース(Dow Ethocel 10FP)と混合することによって、もしくは、50mgのジアゾキシドまたはその誘導体を50mgのラクトースおよび10mgのエチルセルロース(Dow Ethocel 10FP)と混合することによって、製剤化する。この錠剤コアを、凹状器具を具えた自動プレス機で成形する。400mgのポリエチレン酸化物(Union Carbide POLYOX WSR Coagulant)からなる圧縮コーティング錠剤に、3000psiを適用し圧縮する(Dasbachら、AAPSの2003年大会のポスター(Oct.26−30))。
3.4.ジアゾキシドコリン塩の放出調節錠剤形状の製剤
3.4.1.放出調節製剤
放出調節される錠剤化したジアゾキシドコリン塩製剤を、錠剤化した製剤の製造に関する製薬分野の当業者に周知の各種特性について、例えば、製造の容易性および一貫性、外観(例えば、光沢、圧縮性、顕微鏡観察による外観)、および、溶解特性(例えば、溶解速度、溶解度および溶解限度)について、開発や調査がなされた。圧縮する前に、ジアゾキシドコリン塩と賦形剤との得られた混合物を、所定の錠剤総重量にして、錠剤を各々プレス機で製造した。表2に示されるように、製剤A−H、JおよびLは、コリン塩として50.0mgのジアゾキシドを含み(すなわち全体として72.5mgのジアゾキシドコリン塩として示される)、製剤IおよびKは、コリン塩として200mgジアゾキシド(すなわち、全体として290.0mgのジアゾキシドコリン塩)を含む。製剤Lの製造は、例示的な当業者に可能な製造方法である。製剤Lに関して、ジアゾキシド塩、タルク、および、約半分のコロイド状二酸化珪素(Cab−o−sil)を、KG−5混合ボールにおいて、約300rpmのインペラ速度、約3000rpmのチョッパ速度で4分間、混合した。この混合物を、024Rスクリーン、四角形パドルおよび0.175’’スペーサを具えた共粉砕器(co−mil)にかけた。8−qtのV字シェル中のミキサの上記の粉砕混合物に対して、約10分間混合しながら、#20メッシュハンドスクリーンを介して、エンコンプレス(Emcompress)を加えた。この混合物に、#20メッシュのハンドスクリーンを介したPEO N750およびPEO303を加え、10分間混合した。この混合物に、#20のハンドスクリーンを介した、PruvおよびCab−o−silの残りを加え、5分間撹拌した。この混合物を、0.2220’’×0.5720’’のカプレット形状器具を用いて加圧した(Manesty Beta Press)。
製剤Aを有する錠剤の顕微鏡観察によって、ジアゾキシドコリン塩の粒状の外観が明らかになり、製剤A中のジアゾキシドコリン塩が29%の充填率で、この混合は弱い流れ特性を有した。従って、製剤B中では、ジアゾキシドコリンの充填率を減少させた。約6mm×15mmのカプレット形状器具は、許容できる錠剤の外観、光沢、および、圧縮容易性を得られることがわかった。しかしながら、製剤Bも、流れの混合が弱かった。
これに続く製剤(例えば、製剤C〜L)は、錠剤混合物内に組み込む前に、ジアゾキシドコリン塩の粉砕ステップを組み込んだ。適宜な粉砕プロセスを評価し判定するために、各種スクリーン寸法を設けた試験用粉砕機を用いて、粉砕試験を行った。40μmの参照用ビーズと視覚的に比較することによって、粒子寸法を判定した。表3に示されるように、024Rスクリーンを用いることで、API(すなわち、“活性成分、active pharmaceutical ingredient”=ジアゾキシドコリン塩としてのジアゾキシド)の回収が最良となり、最も広範囲の粒子寸法を得た。従って、024Rスクリーンを介して粉砕した物質を、その後の製剤用に選択した。
3.4.2.溶解試験
表4に記載の製剤を有する錠剤の溶解を詳細に調べた。表示された錠剤化製剤の1つまたは複数の錠剤(例えば、1または2)を、既知の緩衝液の塩濃度(例えば、pH8.6の0.05Mカリウムリン酸塩;pH7.5の0.05Mカリウムリン酸塩)、界面活性剤(例えば、0.05%CTAB)、あるいは界面活性剤なしで、既知の温度(例えば、37℃)で、ある量の緩衝液(例えば900mL)内に移した。撹拌条件は、例えば50RPMでパドルを用いた。時間の関数として除去した一定分量(アリコート:例えば、10ml)を分析前にろ過した(例えば、0.45μmGMFフィルタ)。
プログリセム(登録商標)カプセル(100mg)および本明細書に記載されるジアゾキシドの放出調節錠剤製剤の溶解プロファイル(すなわち、時間での溶解度%)を、表5に示す。表5の50mgの錠剤の項目は、製剤J(表2)を参照し、タルクおよびCab−o−silは、各々、2%および1%存在した。表5の項目である200mg錠剤は、製剤K(表2)を参照し、タルクおよびCab−o−silは、各々、2%および1%存在した。
表5によって明らかになったのは、100mgのプログリセム(登録商標)カプセルは、本明細書に記載される錠剤に対してジアゾキシドは比較的早く溶解する。約79%のプログリセム(登録商標)のジアゾキシド成分は、3時間後、溶解緩衝液より回収される。一方、表5に記載の50mgおよび200mgの錠剤は、各々3時間で、25%および22%の濃度で溶解した。12時間で、100mgのプログリセム(登録商標)カプセルは、92%溶解し、50mgおよび200mgの錠剤は、各々、70%および54%溶解した。100mgのプログリセム(登録商標)カプセルおよび50mgの錠剤は、24時間で、ほぼ全て溶解した。
3.4.3.賦形剤の適合性試験
各種賦形剤に対するジアゾキシドコリン塩の適合性を判定する試験を、表6にまとめる。賦形剤(100mg)およびジアゾキシドコリン塩(100mg)の各々の混合液を、アセトニトリル中で10ml作成した。サンプルをすぐに分析し(すなわち、表6中の「初期値」の列)、条件a)、40℃/75%RH(相対湿度)、およびb)50℃で、1ヶ月保存した。
エチルセルロース、コリドン(Kollidon)SR、および、ポリエチレンオキシドの初期値の低い値は、ジアゾキシドコリン塩および賦形剤のサンプルを再調製することで詳細に調べた。表6に示されるように、再調製されたサンプルの初期サンプルの回復は、方法の精度を示している。
任意のサンプルにおいて、報告されるような不純物は検出されず、50℃で1ヶ月後に、ジアゾキシドの回収率が81%だったマンニトールを除いて、1ヶ月間貯蔵されたサンプルに分解は観察されなかった。
3.4.4.ジアゾキシドコリンの放出調節錠剤の安定性試験
放出調節錠剤としてのジアゾキシドコリン塩製剤の安定性を判定するための試験を、表2に記載したサンプル製剤を基に行い、その結果を表7に示す。これらの試験において、保存条件を以下のようにした:a)25℃/60%RH、およびb)40℃/75%RH。表7において、用語「外観」は、試験の錠剤の物理的外観を指す。用語「アッセイ%」は、サンプルの名目上(50mgまたは200mg)の含有量に対して、分析したジアゾキシドコリン塩の割合を指す。用語「溶解(%)」は、本明細書に記載の方法によって分析されたジアゾキシドコリン塩のパーセントで示される量を指す。
3.5.浸透圧的な放出調節システムを用いたジアゾキシドまたはその誘導体の放出調節形態の投与量
ジアゾキシド塩またはその誘導体は、浸透圧的調節放出システムとして製剤化される。一般的に、2つの成分、および、活性のある薬剤を放出させる膨張可能なヒドロゲルを、ジアゾキシド塩またはその誘導体とともに、半透性の二重層シェル内に集める。集める際に、ヒドロゲルの水和反応に基づいて活性化因子の放出を促進させるように、シェルに穴を開ける。
浸透圧輸送システムとして構成、設計および形状化される投与形状を以下のように作製する:第1に、ポリエチレンオキシド、ジアゾキシド塩またはその誘導体、および、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを均一な混合物に、混合することによって、ジアゾキシド塩またはその誘導体の組成を得る。次に、乾燥質量で70重量%のある量の変性無水エタノールを、5分間かけて継続的に混合しながらゆっくり加えた。新しく調製した湿潤な粒子(グラニュエーション)を、20メッシュスクリーンを介して篩にかけ、16時間室温で乾燥させ、再度、20メッシュスクリーンを介して篩にかけた。最終的に、篩にかけた粒子を、0.5重量%のマグネシウムステアレートと5分間混合する。
ヒドロゲル組成を、以下のように調製した:まず、69重量%のポリエチレンオキシド、25重量%の塩化ナトリウムおよび1重量%の酸化鉄を、別々に、40メッシュスクリーンを介して篩にかけた。次に、篩にかけた成分を5重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロースと混合し、均一な混合物を作製した。次に、50%の乾燥質量に等しい、ある量の変性無水アルコールを、5分間継続的に混合しながら、混合物にゆっくり加えた。新たに調製した湿潤な粒子(グラニュエーション)を、20メッシュ篩にかけた。篩にかけた粒子を、0.5重量%のマグネシウムステアレートと5分間混合した(Kuczynskiらに付与された米国特許第6,361,795号参照)。
ジアゾキシド塩の組成、またはその誘導体、およびヒドロゲルの組成を、二重層の錠剤に圧縮した。まず、ジアゾキシド塩またはその誘導体の組成を加えて、詰め込んだ。次に、ヒドロゲル組成を加え、二層を、接触している層構造内に、2トンの圧力水頭で加圧した。
二重層構造を、半透性の壁(すなわち、薄膜)でコーティングする。この壁を形成する成分は、39.8%のアセチル基を含む93%の酢酸セルロースと、7%のポリエチレングリコールと、を含む。この壁を形成する組成を、二重層の上、および、その周囲に噴霧する。
最後に、半透壁に穴をあけて出口経路をつくり、ジアゾキシド塩またはその誘導体の薬剤層を、投与システム外部とつなぐことができる。残りの溶媒を、50℃かつ50%湿度で乾燥させることで除去する。この浸透圧システムを50℃で乾燥させ、過剰な水分を除去する(Kuczynskiらに付与された米国特許第6,361,795号参照)。
4.ジアゾキシド塩の調製
4.1.ナトリウム塩の調製
ジアゾキシドのナトリウム塩を、300mgのジアゾキシドを約45mlのメチルエチルケトン(MEK)に溶解することで調製した。このジアゾキシド/MEK溶液を、確実に溶解させるためにオービタルシェーカで75℃に加熱した。溶液に1.3mlの1M水酸化ナトリウム(1モル当量)を加えた。この混合液を75℃で約30分間加熱し、室温に戻した。この混合液を減圧下で濃縮し、真空中で55℃、30水銀柱インチ(inHg)で乾燥させた。元素分析:Calculated、38.03%C、2.39%H、11.09%N、および9.1%Na;Found、38.40%C、2.25%H、10.83%Nおよび7.4%Na。
さらに、ジアゾキシドのナトリウム塩を、300mgのジアゾキシドを約45mlのアセトニトリルに溶解することによって調製した。このジアゾキシド/アセトニトリル溶液を確実に溶解するためにオービタルシェーカで75℃に加熱した。この溶液に1.3mlの1M水酸化ナトリウム(約1モル当量)を加えた。この混合溶液を75℃で約30分間加熱してから、室温に戻した。この混合液を減圧下で濃縮し、真空中で55℃、30水銀柱インチ(inHg)で乾燥させた。
4.2.カリウム塩の調製
300mgのジアゾキシドを、約45mlのメチルエチルケトン(MEK)に溶解することによって、ジアゾキシドのカリウム塩を調製した。ジアゾキシド/MEK溶液を確実に溶解するためにオービタルシェーカで75℃に加熱した。この溶液に1.3mlの1M水酸化カリウム(約1モル当量)を加えた。この混合溶液をオービタルシェーカに戻し、75℃で約30分間加熱してから、室温まで冷却した。溶媒を減圧下で除去し、固体を真空中で55℃、30水銀柱インチ(inHg)で乾燥させた。元素分析:Calculated、33.59%C、2.81%H、9.77%N、および、13.63%K、Found、34.71%C、2.62%H、9.60%N、および10.60%K。
さらに、ジアゾキシドのカリウム塩を、約45mlのテトラヒドロフラン(THF)に溶解することによって、ジアゾキシドのカリウム塩を調製した。このジアゾキシド/THF溶液を確実に溶解するためにオービタルシェーカで75℃に加熱した。この溶液に1.3mlの1M水酸化カリウム(約1モル当量)を加え、得られた溶液をオービタルシェーカに戻し、75℃で約30分間、室温まで冷却した。減圧下でTHFを除去し、固体を真空中で55℃、30水銀柱インチ(inHg)で乾燥させた。
4.3.コリン塩の調製
4.3.1.コリン塩の調製:薬効の実証(POC)
300mgのジアゾキシドを約45mlのメチルエチルケトン(MEK)に溶解することによって、ジアゾキシドのコリン塩を調製した。ジアゾキシド/MEK溶液を確実に溶解するためにオービタルシェーカで75℃に加熱した。この溶液に約50重量%のコリンヒドロキシド(約1モル当量)約315mgを加え、この溶液をオービタルシェーカに戻し、75℃で約30分間撹拌した。この溶媒を減圧下で除去し、固体を真空中で55℃、30水銀柱インチ(inHg)で乾燥させた。元素分析:Calculated、46.77%C、5.86%H、および、12.00%N;Found、46.25%C、6.04%H、12.59%Nである。
4.3.2.コリン塩の調製プロセス
ジアゾキシドのコリン塩製剤を最適化するのに必要な最小量の溶媒量の詳細な検討を、MTBEの存在下および非存在下のスモールスケールで、MeCN、THF、MEKおよび2−MeTHFで行った。全ての反応物の1HNMRおよびXRPDの分析は、割り当てられた構造およびジアゾキシドコリン塩のフォームBに一致した。
4.3.2.1.単一の溶媒システムを具えた溶媒効率試験
溶媒THF、MEKおよび2−MeTHFを用いて、ジアゾキシドコリン塩の単一の溶媒システム合成の詳細な検討を行い、その結果を表8に示す。これらの結果が示すことは、THFまたは2−MeTHFにおける単一の溶媒システムとともに得られる。これらの結果が示すことは、THFまたは2−MeTHFにおける単一溶媒システムから析出物を得ることができることである。最良の結果(すなわち、表8の「項目」14−17)を、2−MeTHFで得た。しかしながら、2−MeTHFの3つ溶媒量(volumes)、および、それ以上において、完全な溶解は、コリンヒドロキシドを加えた後ではなされなかったことが観察された。
4.3.2.2.二成分溶媒システムでの溶媒効率試験
表8の溶媒量に対して1〜20の溶媒量(すなわち、1〜8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20)の第二の溶媒を加えることで、ジアゾキシド塩製造収率が最適化されると予想した。溶媒であるTHF、アセトニトリル(以下、MeCN)、MEK、および、2−MeTHF、ならびに、共溶媒であるMTBEを用いて、ジアゾキシドコリン塩の二成分溶媒合成システムを使用して、析出を促進し、収率を上昇させる方法の詳細な検討結果を、表9に示す。ジアゾキシドコリン塩の調製に関して最適な条件として、THFの1〜3の溶媒量(表8項目1〜3参照)を得て、この3つの溶媒量(volume)は、ラージスケールでスラリを撹拌する間に、過剰な薬剤を除去するために選択する比率である。
4.3.2.3.共溶媒効率およびMTBEとの最適化
3つの溶媒量において、最適な共溶媒(MTBE)の溶媒量(volume)の結果を表10に示す。
二成分溶媒システムにおけるジアゾキシドコリン塩の製造に最適化された条件として、3:14(すなわち、1:4.7)THF/MTBE(v/v)を得た。
4.3.2.4.冷却プロファイルの最適化
ジアゾキシドコリン塩の析出調節を最適化することを、冷却温度および保持時間を変化させることで行った。反応を、MeCN、THF、および、2−MeTHF(3vol)にMTBE(14vol)を加えた中で行った。この結果を表11に示す。これらの結果が示唆することは、最適な結晶成長は、MeCN(項目1、2および4)と比較した場合、THFおよび2−MeTHF(項目5、6)中で8時間、0〜5℃に冷却することで得られることである。しかしながら、これらの結果は、スラリが2時間撹拌されたときのTHFおよび2−MeTHFで行われた先の試験と比べて、析出が改善されたことを示していなかった。また、−15℃までさらに冷却しても、あるいは、室温でろ過しても、顕著な改善はみられなかった。
4.3.2.5.共溶媒付加の最適速度
ジアゾキシドコリン塩の析出に関して、共溶媒付加の速度および保持時間の効果を試験した。この反応を、3溶媒量の主要な溶媒と14溶媒量のMTBE(THFおよび2−MeTHF)、または、溶媒量比率1:3(MeCN)において、500mgスケールで行った。項目1に関しては、共溶媒の付加は、一部を液滴状で行い、項目2、3に関しては、共溶媒を1mL/20分の速度で加え、7mLを付加するのにかかった総保持時間は、140分であった。表12に示されるこれらの結果から、ジアゾキシドコリン塩の最適な析出は、THFまたは2−MeTHF(項目2、3)の双方で、20分の保持時間でMTBEを加えることによって得た。
4.3.2.6.熱安定性試験
単離したジアゾキシド塩の安定性を詳細に検討し、分解が生じることなく、残りの溶媒を最小限にする最適な乾燥条件を決定した。THFおよびMTBE(項目1〜4)で調製されたジアゾキシドコリン塩のサンプルを、スモールスケール(100mg)で、各々の継続時間の間に亘り、真空中40℃で乾燥させた。次にこの試験を5gのスケール(項目5)で、真空中、30℃、8時間で行い、ラージスケールでの再現性を示した。これらの結果を表13に示す。表13に示される
1HNMR、XRPD、および、HPLCによるサンプルの分析は、温度上昇および乾燥時間の延長によって、化合物が分解されたり、または、化合物の形状に影響が生じることがないことを示している。
4.3.2.6. 50gスケールでのTHF中のジアゾキシドコリン塩の合成の実証
ジアゾキシドコリン塩の調製を、THFおよびMTBEの体積比が1:4.7(溶媒/共溶媒)のTHFおよびMTBEの二成分溶媒システムで行い、2時間撹拌しながら0〜5℃に冷却した。ラージスケールに関する実証を、修正した手順に従って、50gスケールで行った。高温(62℃)のTHF懸濁液としてのジアゾキシド(50g)に、コリンヒドロキシド(45%メタノール溶液、1.0モル当量)を2ml/分で30分かけて加えながら処理した。得られた溶液を30分間撹拌し、52℃に冷却し、45分かけてMTBE(14vol)を加えた。2容量の共溶媒の添加によって、析出が観察された。次に、得られたスラリを、室温まで自然に冷却し、それから、氷/水槽で、0〜5℃まで冷却して、さらに2時間撹拌した。析出物を真空ろ過で単離し、フィルターケーキを氷冷したMTBE(〜50mL)で洗浄し、真空中、室温で12時間乾燥させた。OVI分析は、THF濃度が、推奨のICHガイドライン(799ppm)以上であることを示唆し、この物質を30℃で8時間オーブンに戻して、白色結晶固体として、ジアゾキシドコリン塩[70.87g、97%収率、97%純度AUC]を得た。1HNMR、XRPDおよびHPLCによる分析は、フォームBの構造に帰属し、高収率とともに高純度を維持した。
4.3.2.7. 50gスケールでの2−MeTHF中のジアゾキシドコリン塩の合成の実証
上記のようにジアゾキシドコリン塩のラージスケールでの製造に用いたTHF/MTBEの代替として、2−MeTHF/MTBEで50g程の合成を再現した。反応の間に何も問題や懸案事項は生じなかったが、コリンヒドロキシドを添加した後は、溶解は完全にはなされなかった。共溶媒の添加後、白色沈殿が形成され、真空ろ過を介して単離し、真空中で30℃8時間乾燥させ、白色結晶固体として、ジアゾキシドコリン塩[71.51g、97%収率]を得た。XRPDおよびHPLCによる分析は、割り当てられた構造およびフォームBに一致した。OVI分析は、2−MeTHFおよびMTBEの濃度が、各々、125ppmおよび191ppmで、ICHガイドライン未満であった。
4.3.2.8. 250gスケールのTHFでのジアゾキシドコリン塩の合成
ジアゾキシドコリン塩のラージスケールの析出を、1:4.7(v/v)体積比で、THFおよびMTBEの二成分溶媒システムで行った。高温(62℃)のTHF(745ml)懸濁液としてジアゾキシドに、45%メタノール溶液(1.0モル当量)としてコリンヒドロキシドを30分かけて加えて、処理した。この溶液を30分間撹拌し、52℃に冷却し、45分かけてMTBE(14vol)を加えた。2容量の共溶媒を加え、析出が観察された。次に、このスラリを、周囲温度まで自然に冷却し、さらに氷/水槽で0〜5℃に冷却した。析出物を真空ろ過で単離し、フィルターケーキを氷冷したMTBE(約250mL)で洗浄し、真空中、30℃、38時間で乾燥させ、白色結晶固体として、ジアゾキシドコリン塩(350.28g、97.7%収率)を得た。1HNMR、XRPDおよびHPLCによる分析は、フォームBの帰属構造に一致し、高収率とともに高純度を維持した。
4.3.2.9. 2kgスケールのTHFでのジアゾキシドコリン塩の合成
12Lの反応用フラスコに、2.0kgのジアゾキシドおよび5.0LのTHFを充填し、撹拌し55℃まで加熱した。コリンヒドロキシド(45%メタノール溶液2.32L)を、この反応混合液に、2.5時間かけて撹拌しながら、液滴状で加えた。温度を、60±5℃に保った。コリンヒドロキシドの添加後、約30分間、撹拌を続けた。あらかじめろ過した2LのTHFがすでに充填された22Lフラスコに移す際に、この反応混合液を10ミクロンのインライン式フィルターでろ過して透明化し、それから、このフラスコ内にあらかじめろ過した10LのMTBEを液滴状で加えた。この反応混合液を、別のフラスコに移し、それから、このフラスコにあらかじめろ過した、さらなる30LのMTBEを液滴状に加え、温度を5℃未満に調整し、約2時間撹拌した。真空ろ過によってジアゾキシドコリン塩を回収し、2.724kg(94%)のジアゾキシドコリン塩(99.8%、HPLC純度)を得て、1HNMR、IRおよびUV/可視光分析で確認した。
4.4.ヘキサメチルヘキサメチレンジアンモニウムヒドロキシド塩の調製
ジアゾキシドのヘキサメチルヘキサメチレンアンモニウム塩を、約7.5mlのメチルエチルケトン(MEK)中に50mgのジアゾキシドを溶解することによって調製した。このジアゾキシド/MEK溶液を確実に溶解するためにオービタルシェーカで75℃に加熱した。この溶液に、約2.17mlの0.1Mヘキサメチルヘキサメチレンアンモニウムヒドロキシド溶液(1モル当量)を加え、75℃でさらに10分間撹拌し、次に、30℃/時間の速度で室温まで冷却した。溶媒を減圧下で除去し、固体を真空中、55℃、30水銀柱で乾燥させた。
4.5.ジアゾキシドおよびその誘導体の塩を取得することの失敗
4.5.1.アルカリ金属水酸化物からの塩を取得することの失敗
米国特許第2,986,573号(「’573特許」)は、アルカリ金属アルコキシドの存在下で、水溶性、または、非水溶性の溶液において、ジアゾキシド金属塩の合成を記載している。’573特許によると、ジアゾキシドをアルカリ金属溶液に溶解し、気化させ、塩を得る。さらに開示されているのは、非水溶性媒体から塩を形成する方法であり、ジアゾキシドおよびナトリウムメトキシドを、無水メタノールに溶解し、溶媒を気化させ、白色固体のジアゾキシドのナトリウム塩を得る。
’573特許に記載された方法によって、アルカリ金属水酸化物からジアゾキシド塩の調製を試みた。塩の析出が、基本溶液の1M水酸化ナトリウムにジアゾキシドを溶解することによって水溶性媒体で生じ、それから溶媒を気化した。固体を得て、XRPD(粉末X線回析)およびNMRによって分析した。しかしながら、この分析からわかったことは、得られた固体は、ジアゾキシド、つまり出発材料であり、塩ではなかったことである。
塩の調製を、ナトリウムメトキシドまたはカリウムメトキシドの存在下で、無水メタノールにジアゾキシドを溶解することによって、非水溶性の媒体で行い、この混合物を60℃15分間撹拌した。約2時間後、固体が回収され、ろ過して単離し、真空中で乾燥させた。XRPDによる分析によって、この得られた固体は、ジアゾキシド、つまり出発物質であって、塩ではないことがわかった。
4.5.2. ’573特許によるメタノールまたはエタノールの塩の調製
メタノールおよびエタノールのジアゾキシド塩の調製を、’573特許に記載された方法によって、22個の様々な対イオンを用いて行った。例えば、20mgのジアゾキシドを5mlのメタノールに溶解し、撹拌し、加熱して、ジアゾキシドを完全に溶解した。この撹拌した溶液に、約1モル当量のナトリウムメトキシドを加えた。この溶液を約10〜15分間、60℃で撹拌し、約2時間かけて室温まで冷却した。得られた固体の析出物を、窒素硫化で濃縮し、ろ過して回収した。この製造物を真空中で乾燥させて、XRPDによって分析した。図15に示されるように、ナトリウムメトキシドの試験から回収した固体(ならびに、同様の条件下で行ったカリウムメトキシドの試験から回収された固体)をXRPDにかけることによって、固体は、ジアゾキシド、つまり出発材料であり、ナトリウム塩またはカリウム塩が調製されたのではないことが明らかとなった。図15において、(a)は、フリーフォームジアゾキシドのXRPDパターンであり、(b)は、メタノール中のカリウムメトキシドの生成物のXRPDパターンであり、(c)は、メタノール中のナトリウムメトキシドの生成物のXRPDパターンである。
いずれの理論にも拘束されるべきではないが、’573特許の方法によって(すなわち、例えばメタノールやエタノールなどアルコールの存在下で)ジアゾキシド塩を調製するのに失敗した可能性のある要因は、アルコールがジアゾキシドのアルカリ塩を安定化させる効果を有することであると考えられる。このことは、ジアゾキシドのアルカリ塩(ナトリウムおよびカリウム)のUV分光学的分析によって支持される。ジアゾキシドのナトリウム塩およびカリウム塩の双方を、MEK中のNaOHあるいはKOHとジアゾキシドを反応することによって合成した。元素分析、NMRおよびSRPDは、これらの塩が形成されたことを裏付けた。
アセトニトリル中のナトリウムまたはカリウムの溶解に際し、UVスペクトルは、フリーフォームジアゾキシドの約268nmから、カリウム塩およびナトリウム塩の両方の約298nmへと、λmaxのスペクトルの赤色領域にシフトする(図1参照)。同様に、これらの塩は、pHが9.0より上に上昇することによって、水溶液中で安定化可能である。UV分光学を用いて、pH9.0における最大吸収において同様のシフトがみられた。続いて、pH9.0以上からpH6.2以下に調整することで、塩が加水分解され、ジアゾキシド遊離塩基のUV吸収パターンの回復によって測定される(図2参照)。対照的に、ナトリウムまたはカリウムが、メタノールに溶解される場合、UV−Visの塩のスペクトルが、ジアゾキシド、つまり出発材料のスペクトルとして同定される(図3参照)。
これらの結果は、溶媒としてメタノールを用いることは、ジアゾキシドのアルカリ塩の合成と相性が悪いことを示している。さらに、これらの結果は、ジアゾキシドのアルカリ金属塩(あるいは他の任意の塩)の単離は、メタノールなどのアルコールの存在下では、不可能であることを示している。
4.5.3.酸性対イオンから塩を得られなかった
例えば、塩酸、マレイン酸、硫酸、リン酸、スルファミン酸、酢酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、マロン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクロヘキシルスルファミン酸、フマル酸、安息香酸、ウンデシレン酸、サリチル酸、および、キナ酸、などの酸性対イオンを用いて、ジアゾキシドとの塩形成を試した。しかしながら、あらゆる溶媒におけるあらゆる酸に関して塩形成は観察されなかった。
例えば、100mgのジアゾキシドを50mlのアセトンに溶解し、35℃まで加熱した。撹拌した溶液に、約4.65モル当量のHClを加えた。反応混合液を、約3時間室温まで冷却し、析出物は観察されなかった。溶媒を真空中で除去した。得られた固体をXRPDによって分析し、観察されたXRPDパターンは、フリーフォームのジアゾキシド開始物質と一致した。これらの全ての場合、酸からジアゾキシド塩を合成する試しみは、試した全ての溶媒で不成功となった。
4.6.式V−VIIIの化合物の塩の調製
3−アミノ−4−メチル−1,2,4−ベンゾチアジアジン−1,1−ジオキシドの塩化物を、45mlのアセトニトリルに約300mg(1.4mmol)溶解することによって調製した。この混合液を約75℃まで加熱し、30分間撹拌した。撹拌した溶液に対して、約1モル当量のHClを液滴状で加え、約30分間75℃で撹拌した。この混合液を室温まで冷却し、溶媒を減圧下で除去し、固体として塩化物を得た。
3−アミノ−4−メチル−1,2,4−ベンゾチアジアジン−1,1−ジオキシドのナトリウム塩を、45mlアセトニトリルに約300mg(1.4mmol)溶解した。混合液を約75℃まで加熱し、30分間撹拌した。撹拌した溶液に、約1モル当量のNaOHを液滴状で加え、約30分間75℃で撹拌した。この混合液を室温まで冷却し、溶媒を減圧下で除去し、固体のナトリウム塩を得た。
5.調製したジアゾキシド塩の特性
所望の塩の合成を、粉末X線回析(XRPD)、UV−Vis分光分析法およびNMRによって確認した。すべてのスペクトルを、フリーフォームのジアゾキシド(すなわち、塩ではない)のスペクトルと比較した。さらに、示差走査熱量計(DSC)、熱重量分析(TGA)、FTIR(フーリエ変換赤外分光法)、NMR、UV−Vis分光分析法および吸湿分析を行った。
5.1.試験手順
DSC分析については、サンプルを30℃から、300〜500℃まで、10℃/分の速度で加熱する際、サンプルによって放出されるエネルギ量を測定することでMettler822DSCで行った。DSC分析の通常の適用は、融点温度、および、融解熱の決定、ガラス遷移温度の測定、硬化および結晶化研究、相変態の特定を含む。
TGA測定については、サンプルを30℃から230℃まで、10℃/分の速度で加熱する際、上昇する温度の関数として重量損失を測定することにより、Mettler851SDTA/TGAで行った。このTGA法を、脱吸収および分解特性を分析し、酸化特性を特徴化し、バーンアウトまたは条件パラメータ(温度/傾斜率/時間)を設定し、化学組成を決定するのに使用することができる。
CuKα、40kV、40mAX線チューブを用いて、XRPDサンプルをShimadzuXRD−6000システムで分析した。発散スリットおよび散乱スリットは、1.00degとし、受光スリットを0.3mmとした。サンプルを3.0〜45.0deg、ステップ寸法を0.04deg、スキャン速度を2deg、の範囲で継続的にスキャンした。
フーリエ変換赤外分光法を、Smart Endurance Attenuated Total Reflection(減衰全反射:ATR)付属品とともに、Thermo−Nicolet Avatar370で行った。圧縮されたサンプルを、バックグラウンドのノイズを較正しながら分析した。IRスペクトルを用いて、化学結合および有機化合物の分子構造を特定した。減衰全反射(ATR)によって、薄膜、有機および無機物の分析を、10〜15ミクロンほどの小さな領域において行った。
4mmのCP/MASのH−Xプローブを用いた400MHzのBrukerAvanceで、核磁気共鳴(NMR)を行った。1HNMRスペクトルの取得を、約0.78mLのDMSO−d6に溶解したサンプルを5〜10mgとって行った。スペクトルを、10μ秒(30°)パルス幅、1.0秒のパルスディレイを用いて、16または32スキャンで得た。
UV分光学を、Perkin−Elmer Lambda25スペクトロメータで行った。サンプルを、アセトニトリル、水及びpHが5.6〜10のバッファシステムに溶解した。バックグランド較正を行いながら1cm経路長を用いて、340nm〜190nmの間のスペクトルを得た。
吸湿分析を、Hiden社製IGAsorp吸湿装置で行った。まず、サンプルが、重量が平衡状態に達するまで、もしくは、最大で4時間、相対湿度0%、25℃で乾燥させた。次に、相対湿度10〜90%で、10%のステップで、サンプルを等温(25℃)スキャンにかけた。サンプルは、最大4時間、各ポイントで、ある重量に漸近して平衡状態になった。吸収後、相対湿度85%(25℃)から脱離(desorption)スキャンを、−10%のステップで行い、サンプルが平衡するように、最大で4時間再び行った。脱離後、得られたサンプルを80℃で2時間乾燥させ、XRPDによって分析した。
5.2.フリーフォームジアゾキシドの特性
フリーフォームジアゾキシドは、XRPD、示差走査熱量計(DSC)、熱重量分析(TGA)、吸湿、1HNMR、FTIRおよびUV−Vis分光分析法によって特性化され、(ジアゾキシド)塩との比較用のベースラインを得た。フリーフォームジアゾキシドは、XRPDパターンによって示されるように、高結晶性である(図4(a)参照)。DSC法によって、330℃で大きな吸熱が示され、TGA法によって、フリーフォームジアゾキシドは無水物であり、このジアゾキシドは、200℃未満では質量損失はみられず、230℃未満で0.2%のみ質量損失があったことが示される。フリーフォームジアゾキシドの吸湿(分析)は、物質が非吸湿性であることを示している。ジアゾキシドによる吸湿を、0〜90%相対湿度(RH)、25℃で試験し、60%RHで約0.04重量%、90%RHで約0.20重量%を示した。この分子は、脱離中にヒステリシスが欠如することが示されるように、安定した水和物を形成しない。さらに、ジアゾキシドに関するXRPDパターンは、水分を吸収する前後で、同様の結晶フォームを示した。
中性水溶液中のフリーフォームジアゾキシドから得たUV−Visスペクトルの測定値は、約268nmのλmaxを示す。アセトニトリル中で、λmaxは、264nmであり、小さなソルバトクロミック(solvatochromic)シフトを示した。図2で示されるように、分子の電子におけるの変化により、pHが上昇し、λmaxも、約265nmから約280nmまで上昇した。
さらに、熱応力下での変換および分解の可能性を評価するために研究を行った。サンプルを、60℃で約14日間、閉環境で加熱し、光を遮断した。このジアゾキシドは、7日または14日で変換または分解しなかったことが示された。ジアゾキシドのサンプルは、XRPDおよびDSCに関して、開始物質と一致した。
室温で、光が存在せず、水、イソプロピルアルコール、ジクロロメタンおよびトルエンを用いて、フリーフォームジアゾキシドについて、固体形状(フォーム)の内部変換の性質を決定するためのスラリ試験を行った。約20mgのフリーフォームジアゾキシドを14日間撹拌した。XRPD、DSCおよびHPLCによる分析は、開始物質と一致し、フリーフォームジアゾキシドは、結晶構造を変化させるように変換されなかったことが示された。
5.3.ジアゾキシドナトリウム塩の特性
ジアゾキシドナトリウム塩のXRPDパターンを分析したところ、結晶性のある物質が示された(図4(d)参照)。DSC分析は、448℃で、主な発熱事象があることを明らかにした。400℃未満でのわずかな遷移は、サンプルの不完全性によると思われる。TGA分析は、120℃未満で、結合溶媒によると思われる0.2および0.03%の重量損失を示した。25℃、0〜90%相対湿度で行われた吸湿は、サンプルが90%相対湿度で潮解する場合、物質が吸湿性であることが示された。サンプルは、60%のRHで1.2重量%の水を吸収し、80%RHで6.6重量%の水を吸収した。65%RHおよび55%RHで、脱離の際、ヒステリシスが観察され、このことによって、水和物形成の可能性が示唆される。(吸収された水分量は、0.5モル未満だが、水和物形成の可能性は、注目すべきである)。1HNMRは、芳香族系の変化に起因すると思われる、ナトリウム塩の芳香族およびメチル共鳴における化学シフトを示した。フリーフォームジアゾキシド(a)、および、ジアゾキシドのナトリウム塩(c)のNMRスペクトルを示す図5を参照されたい。FTIRは、ナトリウム塩に対する予測された変化を示した。
塩の元素分析は、塩が、約1:1の比率で形成され、ナトリウムの割合がわずかに低かった(約3.4%)ことが示された。NMRは、サンプルが比較的高い純度を有していることを示唆しているので、このような不足は、マトリックス効果によると思われる。
中性水溶液のUV−Vis測定は、約271nm(図1参照)のλmaxを示している。この値は、フリーフォームジアゾキシド(265nm)よりもわずかに高い。アセトニトリル中では、ナトリウム塩のλmaxは、約296nmへのソルバトクロミックシフトを示す(図3参照)。溶液のpHの増加によって、約265nmから約280nmへの深色(bathochromic)シフトが生じると思われる。
室温で、pH2,7および12の10mMリン酸緩衝液で行われる溶解度測定によって、各々が、13.0mg/ml、18.1mg/mlおよび48.6mg/mlとなるジアゾキシドのナトリウム塩の溶解度を示した。
フリーフォームジアゾキシド塩に関して記載したように、熱応力下での構造変換および分解を行い、14日間に亘り、塩には、構造変化または分解の傾向をほとんどなかったことが示された。同様に、スラリ試験を、nヘプタン、ジクロロメタンおよびトルエンにおけるフリーフォームジアゾキシドに関して記載したように行い、内在的な変換が生じる傾向は示されなかった。図6を参照すると、(a)は、ジアゾキシドのナトリウム塩のXRPDパターンであり、(b)は、スラリ試験後のナトリウム塩に関するXRPDパターンであり、(c)は、フリーフォームジアゾキシドのXRPDパターンである。
5.4.カリウムジアゾキシド塩の特性
ジアゾキシドのカリウム塩に関するXRPDパターンを分析し、その結果、結晶性のある物質が示された(図4(b)参照)。DSC分析は、128℃および354℃での2つの発熱を明らかにした(図7参照)。わずかな吸熱反応は、サンプルの不純度または溶媒の存在に起因すると思われる。TGA分析は、220℃未満で7.7%の重量損失を示し、これは吸湿の結果であると思われる(図8参照)。ジアゾキシド塩の一水和物に対する理論上の質量損失は、6.6%である。25℃、0〜90%RHで行われた吸湿によって、90%RHでこのサンプルが潮解するので、この物質が吸湿性であることが示され、38.3重量%の水分を示した。このサンプルは、60%RHで、5.4重量%の水分を吸収した。物質は、0〜30%のRHで0.5水和物(hemihydrate)、35〜75%RHで一水和物であることがわかったが、脱離に関してヒステリシスが観察された。離脱分析後のXRPDは、サンプルが別の結晶性構造に変化したことを示した。1HNMRは、芳香族系に対する変化に起因していると考えられる、芳香族における化学シフトおよびナトリウム塩のメチル共鳴を示した。(フリーフォームジアゾキシド(a)およびジアゾキシドカリウム塩(b)のスペクトルを示す図5参照)。FTIRは、カリウム塩に関する予想された変化を示した。
カリウム塩の元素分析によって、塩が約1:1の比率で形成されることが示され、このカリウム比率は、わずかに低かった(約1.6%)。NMRは、サンプルが高い純度を有していることを示しているので、このような損失は、マトリックス効果に起因していると思われる。
中性水溶液においてカリウムジアゾキシド塩のUV−Vis測定によって、フリーフォームジアゾキシドλmaxと等しい、約265nmのλmaxが示された(図1参照)。アセトニトリル中で、カリウム塩のλmaxは、約296nmへのソルバトクロミック移動を示した(図3参照)。pH関連性試験においてカリウム塩を用いて、溶液のpHを上昇させることで、約265nmから約280nmにλmaxの深色移動(bathochromic)が生じることが示された。
室温で、pH2、7および12の10mMリン酸緩衝液で行った溶解度測定によって、ジアゾキシドナトリウム塩の溶解度は、各々、9.9mg/ml、14.4mg/mgおよび43.0mg/mlを示した。カリウム塩は、フリーフォームジアゾキシドよりも高い溶解度を示し、ジアゾキシドナトリウム塩に関しても同様の溶解度を示した。溶解度分析後に得られた固体のXRPDパターンは、カリウム塩が、フリーフォームジアゾキシド物質へと戻ったことを示した。
熱応力下において構造変換および分解に関する傾向分析は、フリーフォームジアゾキシド塩に関して記載されているように行った。7日および14日後のサンプルのSRPDパターンは、カリウム塩出発材料と比較して、独自のピークを示した。さらに、14日後のDSC分析でも、同様に、独自のピークを示した。グラジエントエリアパーセント(gradient area percent)分析を用いるHPLCは、カリウム塩の有意な分解が全くなかったことを示した。
n−ヘプタン、ジクロロメタンおよびトルエン中のフリーフォームジアゾキシドに関して記載されるように行ったスラリ試験は、内在性の変換が生じる傾向が示されなかった。7日および14日後のサンプルのXRPD分析は、熱応力研究で観察されたのと同様の独自のピークを示した。図9を参照、ここで、(a)は、ジアゾキシドカリウム塩のXRPDパターン、(b)は、トルエンでのスラリ試験後の、ジアゾキシドカリウム塩のXRPDパターン、および、(c)トルエンでのスラリ試験の14日後の、カリウム塩のXRPDパターンである。さらに、14日後のDSC分析は、出発材料と比較して、独自のピークを示した。グラジエントエリアパーセント分析を用いるHPLCは、試験後に有意な分解が全くなかったことを示した。
5.5.コリンジアゾキシド塩の特性
ジアゾキシドのコリン塩のXRPDパターンを分析し、結晶性のある物質が示された(図10b参照)。DSC分析は、主な発熱が167℃で生じることを明らかにした(図11参照)。比較的に小さな吸熱が、119℃でみられ、これは、サンプル不純度または残りの溶媒の存在によるものと思われる。TGA分析は、100〜140℃の間で0.8%の重量損失を示し、これは、残りの溶媒によるものと思われる(図12参照)。0〜90%の相対湿度(RH)で行われた吸湿によって、このサンプルが80%湿度で、28%を超えて吸収し、90%RHで潮解したので、物質が吸湿性があることが示された。脱離に際してヒステリシスは観察されず、コリン塩は、安定的な水和物を形成しなかったことが示された。この脱離分析後のXRPDパターンは、サンプルが、水和とそれに続く脱離の間で別の結晶構造へと変化していたことが示唆された(図13c参照)。1HNMRは、対イオンに対するジアゾキシドのモル比率1:1と一致した。また、1HNMRは、コリンの対イオンの存在による、芳香族システムの局所的な環境における変化に起因すると思われる、芳香族の化学シフトおよびメチル共鳴における予想される差異を有していた(図14b参照)。FTIRは、コリン塩に関する予想される変化を示し、同様に、ナトリウム塩およびカリウム塩でも、この変化はみられた。
コリン塩の元素分析は、約1:1の比率において、塩を形成することを示した。これは、1HNMRと一致する。
中性水溶液でのジアゾキシドコリン塩のUV−Vis測定は、フリーフォームジアゾキシドのλmaxである265nmに近い約268nmのλmaxを示した。アセトニトリル中では、コリン塩のλmaxは、296nmへのソルバトクロミック移動を示し、これは、ナトリウム塩およびカリウム塩のジアゾキシドと一致した。このカリウム塩を、pH関連性試験において使用し、溶液pHの上昇によって、約265nmから約280nmへのλmaxの深色(bathochromic)移動が生じたことが示された。
pH2、7および12の10mMリン酸緩衝液(室温)で行われた溶解度測定は、各々、28.2mg/ml、41.5mg/ml、および、293mg/ml以上、のジアゾキシドのナトリウム塩の溶解度を示した。コリン塩は、12時間の平衡を保持することができた後で、フリーフォームジアゾキシドよりも高い溶解度を示した。溶解度分析後に、得られた固体(pH2および7のみ)のXRPDパターンは、コリン塩がフリーフォームジアゾキシド物質へと戻ったことが示した。
熱応力下で構造変換および分解に関するコリン塩の傾向分析は、フリーフォームジアゾキシド塩に関して記載されているように行った。7日および14日後のサンプルのXRPD分析は、XRPDパターンが出発材料と一致したこと、ならびに、さらなる独自のピークの存在を示した。(より多くの独自のピークが、7日後より14日後に存在した)。14日後のDSC分析は、重要な差異を示さず、117℃で小さな吸熱、168℃で大きな吸熱があった。(最初のDSC分析は、119℃での吸熱、および、167℃での大きな吸熱があった)。グラジエントエリアパーセント分析を用いるHPLCは、コリン塩の有意な分解が全くなかったことを示した。
n−ヘプタン、ジクロロメタンおよびトルエン中のフリーフォームジアゾキシドに関して記載されるように行ったスラリ試験は、内在的な変換の傾向を示さなかった。7日および14日後のサンプルのXRPD分析は、さらなる独自のピークが存在することともに、開始物質に関連したシグナルを示した(図13(c))。n−ヘプタンからのスラリ試験用サンプルのXRPDパターンは、開始物質に関連したシグナル、ならびに、他の独自のシグナルを示した。ジクロロメタンおよびトルエンからのスラリ試験用サンプルのXRPDパターンは、熱試験および吸湿分析後に得られたスペクトルと一致した。14日後のDSC分析は、109℃での小さな吸熱があり、および、167℃で主な吸熱があることを示した。グラジエントエリアパーセント分析を用いるHPLCは、試験後に有意な分解が全くなかったことを示した。
5.6.ヘキサメチルヘキサメチレンジアンモニウムヒドロキシド(HHDADH)のジアゾキシド塩の特性
ジアゾキシドのHHDADH塩のXRPDを分析し、結晶性のある固体物質が示された。(図10(c)参照)。1NMRスペクトルの集積は、ジアゾキシドに対する対イオンのモル比率2:1と一致し(HHDADHの対イオンは、二価である場合)、また、コリンの対イオンの存在による芳香族系の局所的環境における変化、芳香族の化学シフトおよびメチル共鳴における予想される差異を有した。UV−visで測定したアセトニトリルでのHHDADHジアゾキシド塩のλmaxは、296nmであり、これは、ナトリウム塩、カリウム塩およびコリン塩のジアゾキシドと一致した。
フリーフォームジアゾキシドの特性、およびカリウム、ナトリウム、コリンおよびヘキサメチルヘキサメチレンジアンモニウムヒドロキシド塩のジアゾキシドの特性を表14に示す。
さらなる溶解度試験を、遊離塩基形態のジアゾキシド、および、ジアゾキシドコリン塩に関して行い、表15に示した。2度繰り返して行って決定し、pH7の100mMのリン酸緩衝液において、各サンプルをスラリ化した。2つのサンプルを、0.1Nのリン酸溶液を用いて、pH7.0およびpH8.8に滴定して、周囲温度で18時間撹拌した。その後、全てのサンプルを遠心分離し、上澄液を移動相(mobile phase)(MeCN/水)で希釈した。次に、溶解度を、HPLC分析によるジアゾキシドに関する検量線を用いて得た。表15において、用語「フリーフォームジアゾキシド」は、遊離塩基のジアゾキシドを指し;「ジアゾキシドコリン塩」は、本明細書で記載されるようにジアゾキシドのコリン塩であり;用語「粉砕されたジアゾキシドコリン塩」は、本明細書に記載された方法で粉砕されたジアゾキシドのコリン塩を指す。表15は、100mMのリン酸緩衝液(pH7)中で、0.1Nリン酸(pH約6.8〜8.8)で滴定した溶解度が、pH10〜11での溶解度と比較して、顕著に抑制されたことを示す。さらに、ジアゾキシドのコリン塩については、遊離塩基と比較した場合に、溶解度が上昇したことがわかった。
6.ジアゾキシド塩の多形体
ジアゾキシド塩の多形体、特性およびその調製について、記載する。
6.1.ジアゾキシドのコリン塩の多形体
6.1.1.ジアゾキシドコリン塩の多形体フォームBの実証
1Lの丸底フラスコに、ジアゾキシド(5g)、MEK(750ml)およびコリンヒドロキシド(5.25gの50重量%水溶液)を充填し、77℃に加熱した。この混合液を約30℃以下に冷却し、ろ過して不溶性の褐色残さを除去した。次に、ろ液を減圧下で濃縮し、黄色オイルを得て、これを、真空中、55℃、30水銀柱インチで乾燥させ、約7.8gのろう質の固体を得た。この固体を、真空中、55℃、30水銀柱インチで乾燥させ、7.13gの結晶固体としてのジアゾキシドコリン塩を得た。元素分析。理論上:C46.77%、H6.04%、および、N12.59%。測定値:C45.44%、H5.98%、および、N11.46%。
6.1.2.ジアゾキシドコリン塩の多形体フォームBの特性
ジアゾキシドコリン塩の多形体フォームBを、XRPD、DSCおよび1HNMRによって分析した。図16に示されるように、2つの特定されたジアゾキシドコリン塩の多形体は、異なるXRPDパターンを示した。図16を参照されたい。ここでは、(a)は、ジアゾキシドコリン塩の多形体フォームAを示し、(c)は、ジアゾキシドコリン塩の多形体フォームBを示す。
図17に示されるように、ジアゾキシドコリン塩の多形体フォームBの1HNMRは、多形体フォームAから変わっていないことが示された。
25℃、0〜80%相対湿度(RH)で行われたジアゾキシドコリン塩の多形体フォームB結晶構造の吸湿によって、このサンプルが70%相対湿度で14.5%以上吸収し、80%RHで潮解したので、物質が吸湿性であることが示された。この脱離分析後のXRPDパターンは、サンプルが、水和およびそれに続く脱離の間にフォームB結晶構造に保持されることを示唆する。
pH2、7および12の10mMリン酸緩衝液(室温)で行われる溶解度測定は、ジアゾキシドコリン塩のフォームB結晶構造の溶解度が、各々、32.8mg/ml、80.1mg/ml、および、216mg/mlであった。溶解度分析後に得られた固体のXRPDパターン(pH2および7)は、ジアゾキシドコリン塩のフォームBが依然として存在していたことを示唆した。
スラリ試験を、各構造について行て、変換の傾向を判定し、起こりうる新規および/またはユニークなフォームを探索した。構造BをCH2Cl2、n−ヘプタン、およびトルエンでスラリ化する際、構造変換は観察されなかった。
6.1.3.ジアゾキシドコリン塩の多形体フォームBからジアゾキシドコリン塩の多形体フォームAの調製の実証
約20mgのジアゾキシドコリン塩の多形体フォームBを、約1mlのアセトンに加え、約55℃まで加熱した。この混合液を高温のままろ過し、冷蔵庫(4℃)に16時間置いた。析出物は観察されなかった。この溶媒を、緩流窒素を用いて乾燥度を下げ、気化した。さらに、この固体を、真空中、室温、30水銀柱で乾燥させた。XRPD分析によって、塩が多形体フォームBから多形体フォームAへと変換されたことが示された。
6.1.4.ジアゾキシドコリン塩の多形体フォームAの特性
フォームAは、DSCにおける約165℃の吸熱反応を伴う、ジアゾキシドコリンの無水結晶体である(図20参照)。フォームAのXRPDパターンは、図21に示されるフォームBのXRPDパターンと比較して、独自なものである。FTIR(ATR)分光分析法は、2つの構造間での差異をさらに示している。1HNMR分析によって、ジアゾキシドと一致するスペクトルおよび化合物/対応イオンの1:1の比率を得た。さらに、NMRデータは、芳香族の化学シフトにおける移動およびメチルプロトン共鳴による証拠から、ジアゾキシド構造の磁場環境が、フリーフォームと多形体との間で変化することを示唆した。加えて、アミンプロトンに起因した共鳴は、観察されず、これは溶液における脱プロトン化を示唆する。TGAによる重量損失は、1%未満であり、これは、残った溶媒によるものと思われる。重量損失の温度は、100℃より上で、これは、溶媒が結合していること(すなわち、溶媒和物(solvate))を示唆する。25℃で0〜80RH(吸収)および75〜0%RH(脱離)で行われた吸湿分析は、フォームAが吸湿性固体であり、60%RHでの2.4重量%の水を示した。このサンプルは、75%RH以上で潮解することがわかった。一方、フォームBも吸収性であり、60%RHで7.4重量%の水、80%RHで潮解することを示した。吸湿試験後のXRPD分析によって、フォームAと一致するパターンを得た。pH2、7および12のリン酸緩衝液で行った2つのフォームに関する溶解度試験は、差異を示し、フォームAは、各々、28、41および293mg/mlを示した。溶解度濃度は、HPLC較正曲線とともに領域割合(エリアパーセント)計算法を用いて決定した。変換の傾向を決定するために、および、独自のフォームが生成したかを確認するために、各フォームについてスラリ試験を行った。CH2Cl2、n−ヘプタン、および、トルエンのフォームAのスラリ化では、7日後、フォームBへの変換が観察された。これらの結果が提示するのは、ステージのオストワルド(Ostwald)法則によると、フォームAが、上記の条件下では、フォームBよりも熱力学的安定性が少ないことである。
6.1.5.ジアゾキシドコリン塩の多形体フォームに関するスクリーニング
ジアゾキシドコリン塩の多形体スクリーニングを、一連の結晶化条件およびスラリ条件で行った。本明細書に記載するように、ジアゾキシドコリン塩のフォームAおよびBの相互交換は、この研究の際に観察された。この研究に起因するジアゾキシドコリン塩の多形体の各々は、本明細書に記載の技術および手順を用いて特徴化された。特性試験の概要は、表16に掲載する。
6.1.5.1.有機溶媒の溶解度スクリーニング
50重量%水溶液としてのコリンヒドロキシドを用いて、MEK中で調製したジアゾキシドコリン(上述)は、以下の溶媒:アセトニトリル、アセトン、エタノール、IPA、MEK、DMFおよびメタノールにおいて、ある程度の溶解度を示した。これらの溶媒を、機能性、極性、沸点およびジアゾキシドの溶解能における差異によって選択した。塩の溶解能が低い他の溶媒は、アンチ溶媒(antisolvent)として、および、スラリ試験において使用し、いくらかの溶解度が、ジオキサン、MTBE、EtOAc、IPAc、THF、水、シクロヘキサン、ヘプタン、CH2Cl2、および、トルエンにおいて観察された。
スクリーニング中の結晶化用溶媒を、表17にまとめた溶解度スクリーニングに基づいて選択した。全条件からジアゾキシドコリンの結晶化によって、全部で2つのフォームAおよびBを得た。フォームAおよびBは、ジアゾキシドコリンの無水多形体として発見された。フォームBは、使用したほとんどの溶媒から生成されることが観察された。フォームAを生成することが確認されるスモールスケール(約50mgまたはそれ未満)の条件と同様に、ラージスケール(>50mg)でピュアなフォームAを単離することは困難であり、ラージスケールでは、フォームBまたは両方のフォームの混合液となることがわかった。室温のスラリ試験に基づいて、無水フォームBは、この試験において熱力学的に安定な構造であることがわかった。フォームAは、使用した全てのスラリ溶媒において、フォームBに変換された。
6.1.5.2.単一溶媒結晶
高速冷却手順;ジアゾキシド(約20mg)を検量して、バイアルに入れ、十分な溶媒(0.25mlから開始)を、物質が高温で完全に溶解するまで加えた。高温のままろ過した後、バイアルを冷蔵庫(4℃)に16時間置いた。冷却手順後、サンプルに析出物が観察され、ろ過によって単離した。析出物のないバイアルを、緩流窒素を用いて乾燥度を下げ、気化した。全ての固体を真空中で、周囲温度、30水銀柱で乾燥させた。
低速冷却手順:ジアゾキシド(コリン塩約30g)を検量して、バイアルに入れ、十分な溶媒を、物質が高温で溶解するまで加えた。高温ろ過後、次に、バイアルを20℃/時の速度でゆっくりと室温まで冷却し、室温で1〜2時間撹拌した。全ての固体を真空中、周囲温度、30水銀柱で乾燥させた。
最初の溶解度試験に基づいて、7つの溶媒を高速冷却結晶化に関して選択した:アセトニトリル、アセトン、エタノール、IPA、MEK、DMFおよびメタノール。表18は、使用される溶媒、および、上記物質を溶解するのに必要な溶媒量、のリストを示す。冷却手順後、析出物が、サンプル#2、3、5および6において確認され、これらの固体をろ過により単離した。他のサンプル(#1、4および7)を、緩流窒素を用いて乾燥度を下げ気化した。ジアゾキシドコリン塩は、全ての固体について、XRPD分析を行うと、例外としてのサンプル#2(フリーフォームに一致し)とサンプル#5(観察された好適な方向でフォームBと一致)を除いて、フォームAと一致することがわかった。
高速冷却試験から得られたデータによると、固体の析出がみられる4つの溶媒を、低速冷却試験のために選択した:メタノール、エタノール、MeCN、および、IPA(表19)。得られた分析可能なコリン塩の固体全ては、XRPDによって、フォームBに一致していたが、例外として、項目#1は、フリーフォームジアゾキシドと一致し、項目#2は、分析不可能であった。項目#2の母液を濃縮して乾燥し、残さの固体をXRPDによって分析して、フォームB物質であることがわかった。メタノール中の単一溶媒結晶からフリーフォーム物質を得た結果から、さらなる3つのアルコールを、高速冷却および低速冷却手順を用いて、単一溶媒結晶用に試験した。表20および21は、使用された溶媒、および、物質を溶解するのに必要な溶媒量、のリストを提供する。高速冷却手順のXRPDパターンは、3つの溶媒すべてからフォームBの物質を得た低速冷却手順と比べた場合、イソブタノールからフリーフォームジアゾキシド、イソアミルアルコールからフォームB、および、第三級アミルアルコールからフォームAを得たことを示した。
コリン塩の単一溶媒の高速冷却結晶、および低速冷却結晶の結果は(表19〜21参照)、フォームAが、高速冷却プロファイルで単離される傾向にあり、フォームBが、低速冷却プロファイルで単離される傾向にあることを示している。
6.1.5.3.二成分溶媒結晶
コリン塩の二成分溶媒再結晶を、高速冷却プロファイルを用いて(上述)、4つの主な溶媒(メタノール、エタノール、IPAおよびMeCN)および9つの共溶媒(MTBE、EtOAc、IPAc、THF、c−ヘキサン、ヘプタン、トルエン、CH
2Cl
2、および、ジオキサン)を用いて行った。XRPDパターンは、MTBE、EtOAc、IPAc、トルエン、および、ジオキサンとメタノールとの混合液からフォームBを得たことを示した。表22に示されるように、THFとメタノール混合液乾燥させて、溶媒を気化した後CH
2Cl
2を加えて、フォームAを得た。シクロヘキサンおよびヘプタンのメタノール混合液より、フリーフォームジアゾキシドを得た。主溶媒としてエタノール、IPAおよびMeCNを用いた高速冷却手順から得られた固体全てから、フォームB物質を得た。
2つの主溶媒(IPAおよびMeCN)、ならびに、9つの共溶媒(MTBE、EtOAc、IPAc、THF、c−ヘキサン、ヘプタン、トルエン、CH2Cl2、および、ジオキサン)を用いて、低速冷却手順によるコリン塩の二成分溶媒結晶化を行った。主溶媒としてのIPAおよびMeCNを用いる低速冷却手順から、全ての固体を得た。二成分溶媒結晶に関するこれらの結果が示唆するのは、フォームBが、ジアゾキシドコリンの中で熱力学的に最も安定な構造であることである。
6.1.5.4.共溶媒として水を用いる二成分溶媒結晶
コリン塩の水和物形成を研究する試みにおいて、高速冷却および低速冷却手順、ならびに、共溶媒としての水、を用いて試験を行った。
高速冷却手順(上述)を、水と混和性のあった以下の様々な主溶媒を除いて行った:アセトン、アセトニトリル、DMF、IPA、i−BuOH(イソブタノール)、i−AmOH(アミルアルコール)、t−AmOH。これらの結晶において水を共溶媒として使用した。共溶媒として水を用いた高速冷却手順から得られた全固体は、XRPD分析によって、フリーフォームジアゾキシド物質であることがわかった。
高速冷却手順から得られた結果と比較するために、低速冷却手順および共溶媒としての水を用いて、一対の試験を行った。得られた固体全てを、XRPDによって分析し、フリーフォームジアゾキシドに一致するパターンを得た。いかなる理論にも拘束されるべきではないが、これらの結果が示唆するのは、結晶化に利用するための条件によって、コリン塩の解離が生じたことである。第2の収穫物(crop)の少量を、各サンプルより得たが、そのうちの2つのサンプルのみをXRPDで分析し、サンプルがフリーフォーム物質であることが示唆された。母液全てを気化して乾燥させ、残渣の固体をさらに、XRPDで分析し、コリン塩のフォームBと一致するパターンを得た。
6.1.5.5.準安定ゾーン幅(MSZW)の評価
フォームB:おおよその工程を作製するために、検討中の各種固体フォームの溶解度プロファイルを把握することが必要である。実用上の観点から、これには、ピュアな構造の準安定ゾーン幅(MSZW)の測定が含まれ、これにより、十分に明確な濃度および温度範囲に亘って、各種フォームの飽和曲線および不飽和曲線が形成される。次に、このような知見を、所望のフォームの選択的な結晶成長に理想的に作用する結晶化プロトコルの設計に利用することができる。
ジアゾキシドコリン塩のフォームBは、MeCN/MeOH/MtBE(10:1:12、体積比)からなる溶媒混合液中で、中程度の溶解度を示した。表23に示される準安定化ゾーンの幅広な幅によって、多くのシーディング(seeding)オプションを得た。準安定ゾーン幅(MSZW)測定中、結晶物質の一定量をとりだし、試験中にフォームの変換が生じていないことを確認するために、XRPDによって分析した。実際に、試験中に、物質は変化しなかった。
フォームA:この多形体は、試験中にフォームBに変換されたので、フォームに対する準安定ゾーン幅は、測定できなかった。
6.1.5.6.ジアゾキシドコリン塩フォームAの結晶化
ジアゾキシドコリン塩(160.3mg)を、1mLのIPAに55℃で溶解し、次に、Millipore0.45μMフィルタを介して、透明なバイアルに入れた。このバイアルを、−20℃の冷凍庫に一晩置いた。固体は認められなかったが、小型へらでフラスコを掻き取った。このバイアルを冷凍庫に戻し、10分後に結晶の核形成がされた。この固体を真空ろ過によって回収し、1mlのMtBE(メチル第三級ブチルエーテル)で洗浄した。固体を真空中、40℃、30水銀柱インチで乾燥させ、XRPDによって確認した70mg(回収率43.6%)のフォームAを得た。
6.1.5.7. 500mgスケールのジアゾキシドコリン塩フォームBの結晶
ジアゾキシドコリン塩(524.3mg)を78℃、IPA3mlに溶解し、次にこの溶液を、MtBEを加えるために55℃に冷却した。核形成が観察されるまでMtBE(4ml)を加えた。核形成後、バッチ処理して、20℃/時の速度で室温まで冷却した。真空ろ過によって固体を回収し、1mlのMtBEで洗浄した。これらの固体を、真空中、40℃、30水銀柱インチで乾燥させ、XRPDによって確認した426.7mgのフォームB(回収率81.3%)を得た。
6.1.5.8. 2gスケールのジアゾキシドコリン塩フォームBの結晶
ジアゾキシドコリン塩(2.0015g)を、78℃で5.5mlのIPAに溶解し、透明な溶液を得た。この溶液をMillipore Millex FH0.45μMフィルタに通した。次に、この溶液を55℃に冷却した。MtBEを、1mlづつ、2分間隔で加えた。核形成は、2回目のMtBEの添加後にみられた。この懸濁液を20℃/時の速度で室温まで冷却し、16時間この温度で撹拌した。この固体を、真空ろ過によって回収し、1mlのMtBEで洗浄した。固体を真空中、40℃、30水銀柱インチで乾燥させ、XRPDで確認した1.6901gのフォームB(回収率80.4%)を得た。
6.1.5.9.フォーム不純物の検出
少量の方のフォームAをフォームBに加えることによって、ジアゾキシドコリンのフォームAおよびBの混合物を調製した。約1分間、乳鉢および乳棒を用いて手で軽くすりつぶした。それから、サンプルをXRPDによって分析した。XRPD分析によって、フォームB中では5%のフォームAが好適であることがわかった。
6.2.ジアゾキシドカリウム塩の多形体フォーム
ジアゾキシドカリウム塩の3つの共通の結晶フォームに関する特性試験の概要を、表24に挙げた。結晶用溶媒を、下記でまとめたように、溶解度スクリーニングに基づいて選択した。本明細書に使用される全条件によるジアゾキシドカリウム塩の結晶は、全体で7つとなるフォームA〜Gの独自の結晶となった。フォームC、D、およびFは、結晶化スクリーニングの間にもっとも共通なものであり、従って、さらなる特性試験のためにスケールアップした。
ジアゾキシドカリウム塩のフォームC、DおよびFは、各々、アセトン溶媒、1/2水和物、およびジアゾキシドカリウムのジオキサン溶媒和物であったことが観察された。フォームCは、アセトンが結晶化に使用された場合に、主として生成されたアセトン和物であった。フォームDの1/2水和物は、用いたほとんどの溶媒から生成された。フォームFは、ジオキサンがアンチ溶媒として使用された場合に生成されるジオキサン溶媒和物である。フォームA、B、EおよびGは、通常は、結晶化中には観察されない。元素分析のデータは、観察された独自のフォームが混合物であること、および/または、残留溶媒が存在することを示している。
提示された室温のスラリ試験に基づいて、フォームDは、この試験において発見されたフォームの中で熱力学的に最も安定なフォームであることがわかった。フォームCおよびFは、使用した全てのスラリ溶媒でフォームDに容易に変換された。いかなる理論にも拘束されるべきではないが、非水溶性溶媒を用いていたので、溶媒を除去する際に、物質は、1/2水和物であるフォームDに変換されたと考えられる。
6.2.1.ジアゾキシドのカリウム塩の多形体フォームAの調製の実証
ジアゾキシドカリウム塩の多形体フォームAを、上記のように調製した。
6.2.2.ジアゾキシドのカリウム塩の多形体フォームBの調製の実証
ジアゾキシド(2.95g)を、450mlのメチルエチルケトンと混合し、約77℃に加熱して、ジアゾキシドを溶解した。この溶液に、約13mlの1M水酸化カリウムを、約20ml/分の速度で加え、撹拌し、室温まで冷却した。この溶液を室温で約16時間撹拌した。この溶媒を減圧下で除去し、残渣の固体を、真空中、57℃、30水銀柱インチで乾燥させ、3.7gのカリウム塩を得た。
6.2.3.ジアゾキシドのカリウム塩の多形体フォームBの特性
ジアゾキシドのカリウム塩の多形体フォームBを、XRPDおよび1HNMRで分析した。図18は、(a)ジアゾキシドの多形体フォームA、(b)ジアゾキシドのカリウム塩の多形体フォームB、のXRPDパターンを示す。
フォームBの1HNMRのジアゾキシドカリウム塩は、多形体フォームAからの変化を示さなかった。
6.2.4.フォームBからのジアゾキシドカリウム塩の多形体フォームAの調製の実証
ジアゾキシドカリウム塩の多形体フォームB、約20mgを、2mlのアセトンに加え、物質が完全に溶解するまで55℃に加熱した。この溶液を高温のままろ過し、4℃の冷蔵庫に16時間置いた。析出物は形成されなかった。暖流窒素を用いて溶媒を気化して乾燥させ、得られた固体を、真空中、室温、30水銀柱インチで乾燥させた。この固体をXRPDによって分析し、物理的フォームを決定した。図18(a)参照。
6.2.5.フォームBからのジアゾキシドカリウム塩の多形体フォームCの調製
約20mgのジアゾキシドカリウム塩のフォームB多形体を、6mlの酢酸エチルに加え、物質が完全に溶解するまで約75℃に加熱した。この溶液を高温のままろ過し、4℃の冷蔵庫に16時間置いた。析出物は形成されなかった。暖流窒素を用いて溶媒を気化して乾燥させ、得られた固体を、真空中、室温、30水銀柱インチで乾燥させた。この固体をXRPDによって分析し、物理的フォームを決定した。図18(c)参照。
6.2.6.フォームBからのジアゾキシドカリウム塩の多形体フォームDの調製
約20mgのジアゾキシドカリウム塩のフォームB多形体を、0.3mlのイソプロピルアルコールに加え、物質が完全に溶解するまで62℃に加熱した。この溶液を高温のままろ過し、4℃の冷蔵庫に16時間置いた。析出物は形成されなかった。緩流窒素を用いて溶媒を気化して乾燥させ、得られた固体を、真空中、室温、30水銀柱インチで乾燥させた。この固体をXRPDによって分析し、物理的フォームを決定した。図19(a)参照。
6.2.7.フォームBからのジアゾキシドカリウム塩の多形体フォームEの調製
約20mgのジアゾキシドカリウム塩のフォームB多形体を、2.5mlの第三級アミルアルコールに加え、物質が完全に溶解するまで95℃に加熱した。この溶液を高温のままろ過し、4℃の冷蔵庫に16時間置いた。析出物は形成されなかった。緩流窒素を用いて溶媒を気化して乾燥させ、得られた固体を、真空中、室温、30水銀柱で乾燥させた。この固体をXRPDによって分析し、物理的フォームを決定した。図19(b)参照。
6.2.8.フォームBからのジアゾキシドカリウム塩の多形体フォームFの調製
約20mgのジアゾキシドカリウム塩のフォームB多形体を、0.6mlのアセトニトリルに加え、物質が完全に溶解するまで80℃に加熱した。この溶液を高温のままろ過し、6mlのジオキサンを加え、4℃の冷蔵庫に16時間置いた。析出物は形成されなかった。緩流窒素を用いて溶媒を気化して乾燥させ、得られた固体を、真空中、室温、30水銀柱インチで乾燥させた。この固体をXRPDによって分析し、物理的フォームを決定した。図19(c)参照。
6.2.9.フォームBからのジアゾキシドカリウム塩の多形体フォームGの調製
約22.3mgのフォームB多形体のジアゾキシドカリウム塩を0.5mlのイソアミルアルコールに加え、物質が完全に溶解するまで73℃に加熱した。この溶液を高温のままろ過し、6mlの酢酸イソプロピルを加え、この溶液を4℃の冷蔵庫に16時間置いた。析出物は形成されなかった。緩流窒素を用いて溶媒を気化して乾燥させ、得られた固体を、真空中、室温、30水銀柱インチで乾燥させた。この固体をXRPDによって分析し、物理的フォームを決定した。図19(d)参照。
表25および26に示されるように、再結晶化に使用される溶媒および冷却速度(すなわち、再結晶化の間における高速冷却vs低速冷却)の両者は、一度、生成物を単離して得られる結晶構造に影響を与える。
6.2.10.二成分溶媒におけるジアゾキシドカリウム塩の再結晶によって得られる多形体
表27および28に示されるように、各種二成分溶媒システムからジアゾキシドカリウム塩を再結晶化することは、別のフォームにカリウム塩を変換することを示している。主溶媒としてのアセトニトリルを使用することは表27に示されており、主溶媒としてアセトンを使用することは、表28に示されている。表27に示されるように、第二溶媒として、メチル第三級ブチルエーテル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、テトラヒドロフラン、c−ヘキサン、ヘプタン、トルエンおよびジクロロメタンを用いて、アセトニトリルからジアゾキシドカリウム塩のフォームB多形体を再結晶化することによって、全てから、カリウム塩のフォームD多形体を得た。第二溶媒としてジオキサンを用いてアセトニトリルから再結晶化することによって、ジアゾキシドカリウム塩のフォームF多形体を得た。
表28に示されるように、第二溶媒として、メチル第三級ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、およびc−ヘキサンを用いて、アセトンからジアゾキシドカリウム塩のフォームB多形体を再結晶化することによって、ジアゾキシドのカリウム塩のフォームA多形体を得た。第二溶媒として酢酸エチル、ヘプタン、トルエンおよびジクロロメタンを用いて、アセトンから再結晶化することによって、カリウム塩のフォームC多形体を得た。第二の溶媒として酢酸イソプロピルを用いてアセトンから再結晶化することによって、ジアゾキシドカリウム塩のフォームD多形体を得た。第二溶媒としてジオキサンを用いて、アセトンから再結晶化することによって、ジアゾキシドカリウム塩のフォームF多形体を得た。
6.2.11.ジアゾキシドカリウム塩の多形体フォームのスクリーニング
ジアゾキシドカリウム塩の多形体スクリーニング試験を、下記のように、一連の結晶化条件に従って行った。
6.2.11.1.ジアゾキシドカリウム塩の多形体の溶解度スクリーニング
1M水酸化カリウム水溶液を用いて、MEKに調製したジアゾキシドカリウムは、下記の10個の溶媒において、溶解度を示した:アセトン、THF、EtOAc、MEK、MeCN、IPA、水、t−AmOH、i−AmOH、および、DMF。これらの溶媒は、機能性、極性および沸点、ならびに、ジオキサンの溶解度における差異によって選択した。低い溶解度から中程度の溶解度の溶媒を、二成分/三成分溶媒結晶ならびにスラリ試験におけるアンチ溶媒として使用した。表29に、溶解度スクリーニングの結果をまとめる。
6.2.11.2.ジアゾキシドカリウム塩の多形体の単一溶媒スクリーニング
カリウム塩の単一溶媒結晶化を、以下の10種の溶媒を用いて行った:アセトン、THF、EtOAc、MEK、MeCN、IPA、水、t−AmOH、i−AmOH、およびDMFを高速冷却手順、ならびに、6つの溶媒(EtOAc、MeCN、IPA、水、t−AmOH、および、i−AmOH)を低速冷却手順、に用いた。この「高速」および「低速」手順は、上述の通りである。溶媒のうちの4つは、急速冷却試験の間に固体を得られず、気化して乾燥させる必要があったため、低速冷却試験から除外した。表30および表31は、使用した溶媒、および、物質を溶解するのに必要な溶媒量を提供する。全ての固体を、XRPDで分析し、物理的フォームを決定し、6つの独自のパターン(フォームA〜E、G)が観察された。
6.2.11.3.ジアゾキシドカリウム塩の多形体の二成分溶媒スクリーニング
高速冷却手順を用いたカリウム塩の二成分溶媒結晶化を、主溶媒としてMeCN、アセトンおよびイソアミルアルコール、ならびに、以下の9つの共溶媒を使用して行った:MTBE、EtOAc、IPAc、THF、c−ヘキサン、ヘプタン、トルエン、CH
2Cl
2およびジオキサン。表32は、主溶媒としてアセトニトリルを用いた代表例である。主溶媒としてアセトニトリルを用いた結晶からのXRPDパターンは、フォームDと一致し、1つの例外として、MeCN/ジオキサンの混合液から得られた固体は、独自のパターン(フォームF)の物質であった。
高速冷却手順を利用して、主溶媒としてアセトンを用いた二成分溶媒結晶からのXRPDパターンは、4つのフォームA、C、DおよびFとなった。MTBE、THFおよびシクロヘキサンとのアセトン混合液から、フォームA物質を得た;フォームCを、EtOAc、ヘプタン、トルエン、および、CH2Cl2とのアセトン混合液から得た。IPACとアセトン混合液から、フォームDを得て、ジオキサンとアセトン混合液からフォームF固体を得た。
高速冷却手順を利用して、主溶媒としてイソアミルアルコールを用いた二成分溶媒結晶からのXRPDパターンは、5つのフォームC、D、E、FおよびGとなった。フォームCを、共溶媒としてMTBEおよびEtOAcを用いた結晶から得た。フォームDを、ヘプタン、トルエンおよびCH2Cl2とのイソアミルアルコール混合液から得た。フォームEを、i−AmOH/THFおよびi−AmOH/シクロヘキサンから結晶化した。フォームFをi−AmOH/IPAcから得て、フォームGをi−AmOH/ジオキサンから得た。フォームDは、結晶から観察される最も一般的なフォームであった。フォームFは、アンチ溶媒としてジオキサンを使用した場合のみに観察された。
低速冷却手順を用いたカリウム塩の二成分溶媒結晶化を、3つの溶媒(MeCN、アセトンおよびi−AmOH)および8つの共溶媒(MTBE、EtOAc、IPAc、c−ヘキサン、ヘプタン、トルエン、CH2Cl2およびジオキサン)を用いて行った。全ての固体を、XRPDで分析して、物理的フォームを決定した。2つのパターンは、付加的なピークを示すとともに、各々、フォームCおよびDとして観察された。他の結晶化によって、フォームD、CまたはFを得た。フォームDを、以下の溶媒混合液から得た:MeCN/MTBE、MeCN/IPAc、MeCN/トルエン、MeCN/CH2Cl2、さらに、MTBE、IPAc、シクロヘキサン、ヘプタンおよびトルエンとのi−AmOH混合液からも得た。フォームCは、MeCN/ヘプタン、i−AmOH/EtOAc、ならびに、MTBE、EtOAc、IPAc、シクロヘキサン、ヘプタン、トルエンおよびCH2Cl2とのアセトン混合液、から得た。フォームFを、MeCN/ジオキサンおよびI〜AmOH/ジオキサン混合液から結晶化した。MeCN/EtOH溶媒混合液よりアモルファス物質を得た。元素分析の結果から、観察されたフォームは、純粋なものではなく、かつ/または、結合した溶媒または残りの溶媒があることが示唆された。フォームC、DおよびFは、単離されたカリウム塩の最も一般的なフォームであることがわかり、これらの結果に基づいて、これらのフォームを、スケールアップして、さらなる特性試験のために選択した。不純物プロファイル、結晶化度、およびフォーム純度における差異があったので、多量にスケールアップしたXRPDパターンおよびFTIRスペクトルに、差異がみられた。
6.2.11.4.ジアゾキシドカリウム塩の多形体Cの特性
ジアゾキシドカリウム塩のフォームCは、ジアゾキシド/溶媒の比が2:1のアセトン溶媒であった。ジアゾキシドカリウム塩の結晶フォームは、DSC分析において、187℃および360℃で吸熱を伴った。フォームCに関するXRPDパターンは、他の全ての観察されたフォームと比較して、独自なものであった。FTIR(ATR)分光分析法は、フォーム同士の間の差異を示した。1HNMRスペクトルは、アセトン0.5モル当量を用いたジアゾキシド構造と一致した。さらに、NMRデータが示唆するのは、ジアゾキシド構造の磁気環境が変化したことが、芳香族の化学シフトおよびメチルプロトン共鳴における移動によって、裏付けられたことであった。さらに、アミンプロトンによる共鳴が観察されず、このことは溶液中での脱プロトンを示唆する。TGAによる重量損失は、8.9%であり、アセトンの0.5モル当量に一致し、180℃付近で生じ、DSC試験において観察された吸熱と一致した。吸湿分析は、0〜90%RH(吸収)および85〜0℃RH(脱離)、25℃で行い、フォームCが吸湿性であり、サンプルが潮解したことを示す90%RHで、約47重量%の水を有することが示された。比較すると、フォームDおよびF(1/2水和物およびジオキサン溶媒和物)は、各々、90%RHで、約26重量%および22重量%の水であることが示された。吸湿試験に続くXRPD分析では、フォームDに一致するパターンを得た。変換傾向を判定し、独自のフォームが生成されたかどうかをみるために、スラリ試験を、フォームC、D、およびFで50/50混合液で行った。酢酸エチル、アセトニトリルおよびイソプロパノール中のいずれのフォームC混合液をスラリ化する際、フォームDへの変換が、全ての溶媒中で観察された。いずれのの理論にも拘束されるべきではないが、これらの結果、ならびに、このような条件におけるフォームFからフォームDへの変換は、フォームDが、ステージのオストワルド法則に従って、フォームCおよびフォームFよりも熱的に安定であることを示唆している。60℃でのフォームCにおける熱安定試験より、フォームCが安定であることがわかった。他のフォームへの変換はみられなかった。
6.2.11.5.ジアゾキシドカリウム塩の多形体フォームDの特性
ジアゾキシドカリウム塩のフォームDは、1/2水和物である。ジアゾキシドカリウムの結晶形態は、DSC分析での130℃、191℃、および、352℃で吸熱を伴う。1HNMRスペクトルは、ジアゾキシド構造に一致したことがわかった。さらに、NMRデータが示唆することは、ジアゾキシド構造の磁気環境に変化が生じたことが、芳香族の化学シフト、および、メチルプロトン共鳴における移動によって裏付けられることである。さらに、溶液中での脱プロトンを示唆するアミンプロトンによる共鳴は、観察されなかった。TGAによる重量損失は、4.5%で、0.5モル当量の水と一致し、110℃付近で生じ、DSC試験で観察される吸熱と一致した。25℃、0〜90%RH(吸熱)および85〜0%RH(脱離)で行われる吸湿分析によって示されるのは、フォームDが、90%RHで約26重量%の水を示す吸湿性である。比較として、フォームCおよびF(アセトンおよびジオキサン溶媒和物)は、90%RHで、各々、47重量%および22重量%の水を示した。吸湿試験に続くXRPD分析によって、フォームDと一致するパターンを得た。溶解度試験を、フォームDに関してpH2、7および12で行い、各々、29、33、および59mg/mlを示した。溶解度濃度を、HPLC較正曲線とともにエリアパーセント計算法を用いて、決定した。変換傾向を判定し、独自のフォームが形成されたかどうかをみるために、スラリ試験を、フォームC、DおよびFの50/50混合液で行った。酢酸エチル、アセトニトリル、およびイソプロパノールにおいて、フォームCまたはフォームFとともにフォームDの混合液をスラリ化する際、フォームDへの変換が、全ての溶媒において、観察された。
6.2.11.6.ジアゾキシドカリウム塩の多形体フォームFの特性
ジアゾキシドカリウム塩のフォームFは、ジアゾキシド/溶媒が2:1の比率のジオキサン溶媒和物である。ジアゾキシドカリウム塩の結晶フォームは、DSC分析で191℃および363℃で吸熱を伴う。フォームFに関するXRPDパターンは、観察される他の全てのフォームと比較して、独自なものであった。FTIR(ATR)分光法は、フォーム間での差異を示した。1HNMRスペクトルは、表示されるジオキサンの0.5モル当量を有するジアゾキシド構造と一致したことがわかった。NMRデータは、さらに、ジアゾキシド構造の磁気環境が変化したことが、芳香族の化学シフトおよびメチルプロトン共鳴の移動によって裏付けられた。さらに、溶液中での脱プロトンを示唆する、アミンプロトンによる共鳴が観察されなかった。TGAによる重量損失は、13.1%で、ジオキサンの0.5モル当量に一致し、180℃付近で生じ、DSC試験で観察される吸熱と一致した。25℃、0〜90%RH(吸収)および85〜0%RH(脱離)で行った吸湿分析によって、90%RHで約22重量%の水を示すフォームFが吸湿性固体であることが示された。比較として、フォームCおよびD(アセトン和物および1/2水和物)は、90%RHで、各々、47重要%および26重量%の水を示した。吸湿試験に続くXRPD分析によってフォームDと一致したパターンを得た。変換傾向を判定し、独自のフォームが形成されたかどうかをみるために、スラリ試験を、フォームC、DおよびFの50/50混合液で行った。酢酸エチル、アセトニトリル、およびイソプロパノールにおいて、フォームCおよびフォームDとフォームFとの混合液をスラリ化する際、フォームDへの変換が、全ての溶媒において、観察された。
B.インビボ肥満試験
1.肥満症動物モデル
本明細書に記載されるように調製された式I〜IVの任意の化合物の塩の製剤を、Suritらによって記載されたように、肥満のモデル動物における有効性について試験可能である(Endocrinology141:3630−3637(2000))。簡単には、4週齢B6雄マウスを、温度調節された試験室(22℃)において、12時間の明期、12時間の暗期サイクルで、ケージあたり5匹を飼育した。高脂肪(HF)および低脂肪(LF)試験食は、各々、58%および11%の脂肪からのカロリを含む。マウス群に、試験の最初の4週間に関してはHF食を与え、残りの15匹のマウスには、LF食を与えた。LF食を割り当てられたマウスは、やせ型マウス群のコントロールとして、試験中にLF食を与え続けた。4週目、全てのHF食マウスを、2つの群に分けた。第1の群は、肥満群のコントロールとして試験中に、HF食を与え続けた。残りの3つのマウス群には、HF食を与え、経口カテーテル(gavage)によって単回投与として、約150mg/kg/日で式I〜IVの化合物のいずれかの塩の放出調節製剤を投与した。動物(マウス)を週毎に体重測定し、食餌消費量を、週に2回、ケージ毎に測定し、これを食餌が4週目に変更されるまで続け、4週目からは、体重および食餌摂取量を毎日測定した。食餌効率(消費カロリあたりの得られた体重g)は、ケージ毎に計算される。インスリン、グルコースおよびレプチンの分析用サンプルを、24日目(食餌を変更する4日前)、32日目(食餌を変更して4日後)、その後は週に2回、回収する。全てのケースについて、サンプル回収の8時間前に食餌を取り除く。グルコースを、グルコースオキシターゼ方法で分析する。インスリンおよびレプチンの濃度を、二重抗体RIAによって決定する。このインスリン分析は、ラット標準に基づいており、レプチン分析は、マウス標準に基づいている。試験の終わりに、食餌後の血漿サンプルを回収し、トリグリセリドおよび非エステル脂肪酸濃度を分析する。薬剤処置から4週後、各群から10匹のサブセットを屠殺する。この精巣上体白色脂肪細胞(EWAT)、腹膜後方(RP)脂肪、肩甲間の褐色脂肪細胞(IBAT)脂肪パッド、腓腹筋を、取り出し、切り取り、重量測定する。体脂肪割合は、精巣上体脂肪パッドの重量から測定する。各群からの5匹のサブセットに、0.5g/kgグルコースを腹腔内注射した。注射の30分後、血漿サンプルを回収し、グルコースオキシダーゼ方法によって、グルコース含量を分析した。
2.ヒト肥満症治療
本明細書に記載される式I〜IVの任意の化合物の製剤によって、Alemzadeh(Alemzadehら、J Clin Endocr Metab 83:1911−1915(1998))に記載されるヒト肥満症における有効性の試験をした。被験者は、ボディマス指数(BMI)が30kg/m2またはそれ以上の、中程度から病的な肥満症の成人からなる。各試験者は、初期評価で、完全な身体検査を受け、標準的な電子秤で体重を測定し、DEXAによって身体組成を測定した。
試験開始前に、全ての被験者に、開始前の1週間の間、低カロリ食を与える。これは、協力的でない被験者を除外し、治療前に安定的な体重となるように、設計される。最大50人の被験者を、各々の薬剤投与に供した。1日量を100、200および300mg/日に設定した。1日量を、2回にわけて投与する。各投与時間での投与量を、1つ、2つまたは3つの50mgカプセルまたは錠剤として投与する。被験者に、最大12ヶ月の間、毎日投与する。被験者を毎週検査し、体重測定し、副作用またはそのときの病状を聞く。
各患者から、24時間食事想起(リコール)が得られる。食事想起は、標準的コンピュータソフトウェアプログラムを用いて分析する。全ての患者に低カロリー食が与えられ、かつ、規則的運動に参加することが奨励される。
開始前と、試験の終了後、下記の臨床検査を得た:すなわち、血圧、空腹時血漿グルコース、インスリン、コレステロール、トリグリセリド、遊離脂肪酸(FFA)、グリコヘモグロビン、及び、血漿由来脂肪酸の出現(appearance)速度及び酸化速度の測定値。更に、グルコース不寛容(不耐性)及び/又は電解質異常の証拠を示す被験者を特定するために、通例の化学的プロフィールと空腹時血漿グルコースを得た。血漿中で、グルコースはグルコースオキシダーゼ法によって分析する。
インスリン濃度は、二重抗体キットを用いRIAによって定量される。コレステロール及びトリグリセリドの濃度は、酵素法によって測定される。血漿FFAは、酵素比色法によって定量される。SIは、修正最小モデル(modified minimal model)を用いた静脈グルコース耐性テスト(IVGTT)によって評価される。一晩の絶食の後、グルコース(300mg/kg)をボーラス投与し、次いで(20分後)、インスリンをボーラス投与した。グルコース及びインスリン定量用血液を、対側静脈から、−30,−15,0,2,3,4,5,6,8,10,19,22,25,30,40,50,70,100,140,及び180分時に得る。SI及びグルコース効果(SG)は、Bergmanの修正最小モデルコンピュータプログラムを用いて、試験前及び完了後において計算する。グルコースに対する急性反応は、IVGTTの最初の19分間にかけて決定し、グルコースの消失(disappearance)速度(Kg)は、IVGTTの8〜19分から決定する。体組成は、試験前及び完了後において生体電気インピーダンスによって測定する。休息時のエネルギー消費(REE)は、一晩12時間の絶食後、被験者を30分仰向けに寝かせて間接的熱量測定によって測定する。試験前後の、総窒素の測定及び基質利用の定量を行うために、尿を、対応する24時間に亘って採取する。
3.ジアゾキシドおよびフェタミンの同時投与によるヒト肥満症の治療
中等度から病的肥満で、ボディマス指数(BMI)が30kg/m2以上の肥満したヒトにおいて、式I〜IVの任意の化合物の塩の固体経口投与形態、及びフェンテルミンの長期同時投与の評価を行う。各被験者は、最初の評価において徹底的な身体検査を受ける。体重は、標準的な電子秤で測定され、体組成はDEXAによって測定される。
試験開始前に、全ての被験者に、開始前の1週間の間、低カロリ食を与える。これは、協力的でない被験者を除外し、治療前に体重が安定するように、設計される。最大100人の被験者を試験した。式I〜IVの化合物のいずれかの塩の1日量を、200gに設定した。1日量を、2回にわけて投与する。投与は、投与の各時間において、100mgカプセルまたは錠剤として行う。被験者に、最大12ヶ月の間、毎日投与する。フェンテルミンは、単回1日量を15mgとして投与した。被験者を、毎週検査し、体重測定し、副作用またはそのときの病状を聞いた。
全ての被験者は低カロリー食の食事を続け、規則的運動に参加することが奨励される。開始前と、試験の終了後、上述の例示において記載したように、臨床検査試験を行う。
4.前ヒト糖尿病における糖尿病の予防
本実施例は、糖尿病前段階の被験者(対象)において、糖尿病の発症を予防するための式I〜IVの化合物のいずれかの塩の使用を記載する。試験に含まれる被験者は皆、二つの方法の内の一方で測定した場合の糖尿病を発症する危険度が高かった。空腹時グルコースアッセイでは、被験者は、100〜125mg/dlの血漿グルコース値を有し、これは、空腹時グルコースの欠陥を示唆しており、また、経口グルコース耐性試験では、グルコース負荷後2時間で140〜199mg/dlの血漿グルコース値を有し、これも、グルコース耐性の欠陥を示唆している。治療は、どちらかの基準に適合した全ての被験者に対して行われる。治療される被験者は、1日当たり200mgのジアゾキシドを、100mgのカプセル又は錠剤を1日当たり2回か、或いは、2個の100mgカプセル又は錠剤を1日当たり1回として服用する。プラシーボ処置される被験者は、1個のプラシーボカプセル又は錠剤を1日当たり2回、或いは、2個のプラシーボカプセル又は錠剤を1日当たり1回として服用する。
治療は、OGTT又は空腹時グルコースを毎月測定しながら1年間続ける。
5.糖尿病患者治療のための、ジアゾキシドHCl及びメトフォルミンHClの徐放性放出共通製剤の使用
ジアゾキシドHCl及びメトフォルミンHClの持続放出共製剤は、750mgのメトフォルミンHCl及び100mgのジアゾキシドHClを含む圧縮錠剤マトリックスを形成することによって製造される。これらの活性成分を、カルボキシメチルセルロースナトリウム(約5%(w/w))、ヒプロメロース(約25%(w/w))、及び、マグネシウムステアレート(<2%(w/w))と混合する。圧縮錠剤は更に、水和速度と薬剤放出を調節するために、エチルセルロース(80%(w/w))、及びメチルセルロース(20%(w/w))の混合物の薄層でコートされる。
II型糖尿病患者は、1日当たり1回2つ錠剤、又は12時間置きに1つの錠剤からなる経口投与によって治療を受ける。薬剤による患者の治療は、二つの治療評価項目の内の一方が達せられるまで、又は、患者が投与によって治療利益を得ている限り、続けられる。治療を止める決断の根拠となる二つの治療評価項目は、患者のボディマス指数(BMI(kg/m2))が18乃至25に達すること、又は、治療の無い場合でも正常なグルコース耐性が再び確立すること、を含む。患者は定期的に(a)経口グルコース耐性試験によるグルコース耐性、(b)標準的血中グルコースアッセイによる血糖調節、(c)体重増加又は減少、(d)糖尿病合併症の進行、及び(e)上記活性成分の使用に関連する有害作用、について監視される。
6.オランザピンによって治療される患者における体重増加の予防又は治療
統合失調症に対する薬物療法は、統合失調症に関するDSMIII−Rの基準に合致した患者に対して開始される。患者には、10mgのオランザピン(Zyprexa,Lilly)が1日1回投与される。統合失調症患者に対する補助療法は、250mg当量のバルプロ酸を、ジバルプロエックスナトリウム(Depakote,Abbott Labs)として与えることを含む。このような抗精神病薬の組み合わせで治療される患者において高頻度に見られる有害事象は、体重増加、不全脂血症、グルコース耐性障害、または、メタボリック症候群である。体重増加、不全脂血症及びグルコース耐性障害、または、メタボリック症候群は、治療的有効量のKATPチャンネルオープナの同時投与によって治療される。患者は、任意の式I〜IVの化合物の塩200mg/日を、1日1回の錠剤製剤として投与されて治療される。式I〜IVの任意の化合物の塩の投与は、体重増加、不全脂血症、グルコース耐性障害、または、メタボリック症候群が適正に回復されるまで、あるいは、オランザピンによる患者の治療が中断されるまで続けられる。不全脂血症は、HDL及びLDLコレステロール、トリグリセリド、及び、非エステル化脂肪酸の循環濃度の総計を測定することによって検出される。グルコース耐性障害は、経口による、又は、静注によるグルコース耐性試験によって検出される。メタボリック症候群は、その最重要危険因子、すなわち、中心肥満、不全脂血症、グルコース耐性障害、及び、炎症に先行する重要サイトカインの循環濃度を含む危険因子を測定することによって検出される。
7.肥満被験者に、プログリセム(登録商標)経口懸濁剤、または、ジアゾキシドコリン放出調節錠剤、として投与されるジアゾキシドの単一投与の比較
7.1.試験設計
7.1.1. 試験目標
プログリセム(登録商標)(経口懸濁剤)およびジアゾキシドコリン塩(放出調節錠剤)が投与される肥満被験者に対して、任意抽出して、非盲検試験を含み、かつ安全性、耐性およびバイオアベイラビリティ(すなわち、薬物動態学)を比較することを同時に行うプロトコルを用いた臨床試験を行った。このような試験によって、ジアゾキシドの単一投与量、200mg(約2mg/kg)の安全性および耐性を評価した。さらにこの試験によって、断食中の肥満被験者で、フリーベースのジアゾキシド(ポリグリセム(登録商標))の経口懸濁剤の単一投与と、ジアゾキシドコリンの放出調節錠剤化製剤と、を比較した。
7.1.2.試験の論理的根拠
ジアゾキシドの経口投与に代わる他の分子として、ジアゾキシドコリンを選択したのは、フリーベースのジアゾキシドよりも水溶性溶解度が大幅に上昇すること、水溶性環境にさらされた際のジアゾキシド塩基への高速変換、および、徐放性放出製剤に組み込むことの不適合性からである。インビトロの水溶性媒体におけるジアゾキシドコリンの動態は、広い範囲で認知されている。任意の理論に拘束されるべきではないが、この塩は、放出調節された錠剤製剤から溶解すると、吸収前に、フリーベースのジアゾキシドとコリン水酸化物とに加水分解される。このことは、UV/Vis吸収を用いて、広い範囲で認知されており、pH2.0〜8.5の生理的に関連のあるpH値で生じる。このような加水分解は、脱イオン水、緩衝化水溶液、および、微量の水を含む極性溶媒において生じる。従って、動物またはヒトに対してジアゾキシドコリン塩を経口投与した後、遊離塩基としてのジアゾキシドが、吸収される分子形状である。TKおよびPK分析に用いられた血清および血漿アッセイによって、ジアゾキシド遊離塩基の濃度を測定する。溶解アッセイによって、ジアゾキシド遊離塩基を測定する。ジアゾキシドの血漿濃度−時間プロファイルの差異は、腸管における錠剤マトリックスからのジアゾキシドコリンの放出に依存するであろう。歴史的に、ジオキサンの経口懸濁剤および速放性カプセルの両製剤は、商業的に入手可能であり、プログリセム(登録商標)として市販されている。経口懸濁剤は、投与に際し、高いバイオアベイラビリティおよび迅速な吸収を示した。経口懸濁剤からの溶解特性を示すのは困難であるので、プログリセム(登録商標)カプセルのインビトロでの溶解を、標準化状態で、ジアゾキシドコリンの放出調節錠剤(50mgおよび200mg)と比較した。
7.1.3.試験対象患者基準
本試験に関する試験対象患者の基準は、年齢が18〜65歳、BMIが30〜45kg/m
2、インフォームドコンセントに署名していること、を含む。女性の参加者には、閉経後少なくとも1年経過していること、外科的不妊(両側卵管結紮、卵巣摘出手術、子宮切除)、または、薬学的に許容される方法による妊娠調節を行うこと、のいずれかを要求した。試験対象患者基準は、腎臓、消化器官、心臓および血管、肺、肝臓、目、神経、脳、肌、内分泌系、骨、または、血を含む重大な内科的疾患がないことを、さらに含む。被験者は、メディカルヒストリ、健康診断、バイタルサイン(生命情報)、12誘導心電図、臨床検査評価によって記録されるように、肥満状態以外、概ね健康である。被験者の特性を、表33に記載される試験において任意抽出した。
7.1.4.除外基準
除外基準は、投与前28日間における試験研究中の薬剤での治療、臨床上の重大な疾患の存在および履歴、受容される基準範囲外の臨床検査値、HBV、HCVまたはHIVに対するスクリーニング反応性、体重、脂質またはグルコース代謝、に影響を与える全ての2ヶ月間内の薬剤使用、ホルモン避妊薬を除いた、投与スクリーニングの前14日前からシステム的処方薬の使用、薬物乱用に対する陽性反応、現時点での喫煙、妊娠中、授乳中、を含む。
7.1.5.無作為に抽出(Randmomization)
本研究において、総被験者30人を無作為に抽出した。15人の被験者を、各治療群に無作為に抽出した。便宜上のため、30人の被験者を2つの集団に分けた。2006年10月12日に病院にチェックインした集団1に、2006年10月14日に投与し、投与後72時間病院内に滞在し、投与後96時間、120時間で戻る。集団1は、プログリセム経口懸濁剤を投与される、無作為に抽出した10人、および、ジアゾキシドコリン放出調節錠剤を投与される、無作為に抽出した10人、を含む。2006年10月14日にチェックインした集団2に、2006年10月16日に投与し、投与後72時間病院内に滞在し、投与後96時間、120時間で戻る。集団2は、プログリセム(登録商標)経口懸濁剤を投与される無作為に抽出した5人、および、ジアゾキシドコリン放出調節錠剤を投与される無作為に抽出した10人、を含む。全ての被験者が、試験を完了させた。
7.1.6.投薬
プログリセム(登録商標)経口懸濁剤群として無作為に抽出された被験者は、単回用量200mg(4ml)を、室温の水240mlと一緒に摂取した。ジオキサイドコリン放出調節錠剤群に無作為抽出された被験者は、 ジアゾキシド200mgに等しい、290mgのジアゾキシドコリンを含む単回用錠剤を摂取した。一晩絶食した後、投与し、投与後約4.25時間まで絶食を続け、投与後各時間で、標準的食事を配給した。
7.1.7.安全モニタ試験
血液学、臨床血清化学、および尿検査を含む臨床検査試験を、スクリーニング時点および研究の終了時点で行った。血清学は、ヘモグロビン、ヘマトクリット、および、白血球細胞の数の差(with differential)、赤血球の数および血漿板の数、を含む。臨床血清化学は、ナトリウム、カリウム、BUN(血中尿素窒素)、クレアチニン、総ビリルビン、総タンパク、アルブミン、アルカリ、ホスファターゼ、AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)、ALT(アラニンアミノトラスフェラーゼ)、グルコース、総コレステロール、HDLコレステロール、および、トリグリセリド、の評価を含む。尿検査は、pH、比重、タンパク質、グルコース、ケトン、ビリルビン、血、亜硝酸化合物、ウロビリノーゲン、(免疫)白血球分析、および、サンプルが尿検査陽性の場合の顕微鏡尿分析を含む。有害事象の全てを記録した。バイタルサインを、投与後1、3、6、9、12、24、48、72および120時間の投与前の1時間に、スクリーニングして収集した。継続的に2つのリード心臓モニタリング(テレメトリ)を、投与前24時間から、投与後24時間まで、(基準データを作成するために)、被験者に行った。
7.1.8.調査評価項目
本試験における3つの調査評価項目を評価した。血中グルコース、インスリン、および、非エステル化脂肪酸(NEFA)を、投与前、および、投与後1、3、6、9、12、24および48時間に測定した。血中グルコースおよびインスリン濃度を試験終了時に評価した。投与後、1、3、24および48時間で回収したデータを、断食条件下で得た。残りのデータポイントは、食餌後に測定した。バイオベイラビリティを評価する薬物動態学分析に対するサンプルを、投与前、および、投与後1、2、4、6、8、12、16、20、24、32、40、48、72、96および120時間で回収した。
7.2.結果
7.2.1.有害事象
2つの製剤の各々で観察される有害事象を表34および表35にまとめる。プログリセム(登録商標)経口懸濁剤で治療された被験者において、アセトアミノフェンの治療を必要とする中程度の頭痛のあった1つの例外を除いて、全ての有害事象は、軽度ものであった。2つの製剤は、試験において、良い耐性を示した。ジアゾキシドコリン放出調節錠剤を投与した一人の被験者に、軽度の食欲低下が生じた。ほとんどの肥満症および肥満糖尿病動物に関するジアゾキシド研究によって、供給消費量が減量することが示されるので、従って、食欲低下は、有害事象ではなく、肥満患者における薬剤に対する薬力学的応答の一部と考えられる。
7.2.2.臨床化学
空腹時のグルコース、空腹時のインスリン、NEFA、および、血清ナトリウム(Na)、カリウム(K)、および、クレアチニン濃度の概要を、表36に示す。どの治療も、研究目的に対する基準から、血清中のナトリウム、カリウム、または、クレアチニンにおいて、大幅な変化を示さなかった。ジアゾキシドでの治療は主に、基礎的なインスリン分泌ではなく、グルコース誘発性インスリン分泌に影響を与える。空腹時グルコース濃度は、投与後の最初の3時間において、わずかに上昇した。このような上昇は、ジアゾキシドコリン放出調節錠剤群と比較して、プログリセム(登録商標)経口懸濁剤群において比較的顕著にみられた。これらの結果は、これらの製剤からの測定された溶解速度(本明細書中の表5参照)の差、および、PKレベル(本明細書の表24および表25)と一致する。この試験において、ジアゾキシドの単回投与の後、空腹時インスリンに関する減少の証拠は何もない。さらに、投与後24時間、または48時間で測定される空腹時グルコースの大幅な増加に関する証拠もない。最も敏感な薬力学的反応測定法は、NEFAである。ジアゾキシド治療は、NEFAに関して、短期間で上昇がみられ、約6時間で、基準線上の、または、それ以下の濃度に戻る。2つの製剤は、NEFAに関して、一時的に上昇することを示す。プログリセム(登録商標)経口懸濁剤での処置は、3時間で、NEFAに関して、統計的に大幅な上昇(p<0.001)がみられ、投与後6時間で、十分に基準以下の濃度に戻った。同様に、ジアゾキシドコリン放出調節錠剤の投与後3時間で、NEFAの上昇は、統計的に大きかった(p<0.0012)。ジアゾキシドコリン放出調節錠剤におけるNEFA濃度は、投与後6時間で、十分に基準以下の濃度に戻る。
血液学、臨床血清化学、尿検査を含む他の全ての臨床検査試験は、肥満被験者に関して通常の範囲であった。
7.2.3.バイタルサイン
投薬後、基準および各時間で、血圧が基準に位置することを示す表を、図22に示す。治療は、徐放的に低下、あるいは、上昇する血圧との関連はなく、投与後6、9、12または24時間に亘り、基準に対して顕著な動向はなかった。脈拍数は、投与後から投与後3時間までの間において、基準濃度から徐々に低下する(図23)。投与後、6時間から12時間の期間において、脈拍数は、基準と等しいレベルか、もしくは基準よりもわずかに高いレベルまで上昇し、投与後24時間から研究終了まで基準レベルは維持される(図23)。全ての被験者に関する基準心電図遠隔測定データのレビューを朝の投与時に行った。臨床的に重大な異常がないことを確認して、全ての被験者に、投与を開始した。投与後0〜24時間の試験から心電図遠隔測定データを評価した。臨床的に重大な異常(例えば、不整脈)は、観察されなかった。
7.2.4.ジアゾキシド血漿薬物動態の予備評価
プログリセム(登録商標)経口懸濁剤と比較して、ジアゾキシドコリン放出調節錠剤は、これらの製剤がジアゾキシドの200mg当量として経口で投与された場合、ピーク値(peak exposure)(Cmax)が30%、および、総計値(total exposure)(AUC)が15%、低かった(表37)。血漿濃度(Tmax)のピークの時期は、経口懸濁剤の投与の4時間後、および、ジアゾキシドコリン放出調節錠剤の投与の20時間後、に生じた。得られたジアゾキシドの半減期は、2つの製剤と同様であった(経口懸濁剤は29時間、および、錠剤は32時間)。これらの2つの製剤のCmaxおよびAUCに対する患者間のばらつきは、同様だった。単一投与後、2つの製剤間の最も特徴的な差異は、錠剤製剤の濃度−時間プロファイルの方が、ピークが低く、幅広いだったことである(図24および図25)。錠剤製剤に関するピーク濃度は、懸濁剤と比べて、約30%未満、および、約16時間後であった。図24および図25は、平均ピーク濃度が、ジアゾキシドコリン放出調節錠剤製剤投与後12〜24時間の間で、実質的に変化しなかったことを示している。錠剤製剤は、より徐放パターンであるので、経口懸濁剤よりも、長期間投与でより大きな蓄積率(accumlation factor)を有すると考えられる(3.96vs2.84)。2つの製剤を用いて、投与を毎日繰り返すことをシミュレーションすると(直線的な薬力学を仮定した場合)、2つの製剤は、安定状態(22−23μg/ml)で、同様のトラフ型濃度変化(trough concentration)を有するものと予想される(図26参照)。
7.3.肥満被験者において、プログリセム(登録商標)経口懸濁剤、または、ジアゾキシドコリン放出調節錠剤、としてのジアゾキシドの単回投与の比較結果
肥満患者において、ジアゾキシドコリン放出調節錠剤の単回投与と、プログリセム(登録商標)経口懸濁剤として投与される等量のジアゾキシドと、の比較に関する本臨床試験は、両製剤が十分に許容されることを示唆する。1つの例外として、プログリセム(登録商標)で治療された被験者において、アセトアミノフェンの治療を必要とする中程度の頭痛があったことを除いて、全ての有害事象は、軽度なものだった。頭痛がなくなり、めまいの頻度が減ることから、ジアゾキシドコリン放出調節錠剤は、プログリセム(登録商標)経口懸濁剤より、優れたCNS安全性プロファイルをもつものと考えられる。調査評価項目は、有害な影響を示さなかった。予備的な薬動力学的分析は、プログリセム(登録商標)経口懸濁剤と比較して、ジアゾキシドコリン放出調節錠剤は、200mgジアゾキシド当量に関して、ピーク値(Cmax)が30%、および、総計値(AUC)が15%低かった。ピーク血漿濃度(Tmax)の時期は、経口懸濁剤の投与後平均して4時間(median time)で生じ、ジアゾキシドコリン錠剤の投与後20時間で生じた。ジアゾキシドの最終的な半減期は、2つの製剤と同様だった(経口懸濁剤は、29時間、および、錠剤は、32時間)。これらの2つの製剤は、CmaxおよびAUCに関する患者間のばらつきは、同様だった。
本明細書に引用された特許及びその他の参考文献は全て、本発明が関わる当業者の技術レベルを示すものであり、これらの引用文献は、参照することにより、表及び図を含むその全体を、各参考文献を個別に参照することによってその全体を含む場合と同様に、本明細書に含まれる。
当業者であれば、本発明は、言及された目的及び利点を獲得するためばかりでなく、その中に内在する目的や利点を獲得するにもよく適応していることがすぐに了解されるであろう。本明細書において、現在好ましい態様を表すものとして記載される方法、変法、及び組成物は例示であって、本発明の範囲を限定する意図ではない。該範囲内での変化、及び他の用法が、当業者には思い浮かぶであろう。これらは、本発明の意図の中に含まれるもので、特許請求の範囲によって定義される。
本明細書に与えられる定義は、特に指示しない限り、当業者によって一般的に理解される意味から離れることを意図しない。
本明細書に具体的に説明された本発明は、本明細書に特異的に開示されない何かの要素(単複)、又は、何かの限定(単複)が無くとも、適切に実施することが可能である。従って、例えば、「具える(comprising)」、「含む(including)」、「含む(containing)」等は、広く、限定無く読み取らなければならない。更に、本明細書に用いられる用語及び表現は、記述するための用語として用いられるのであって、限定を意味するものではなく、また、これらの用語及び表現の使用には、示された特性、記述された特性、又は特性の一部、の等価物を排除する意図ではなく、むしろ、ここにクレームされる本発明の範囲内において種々の修飾が可能であることが認識される。従って、本発明は、好ましい態様及び選択的特性に基づいて詳細に開示されてきたわけであるが、本明細書に具体化された本発明の変更及び変形に当業者が関係することもあるかもしれないが、そのような変更及び変形は、本発明の範囲内にあるものと見なされることを理解されたい。
本発明を、広く、一般的に記述してきた。一般的開示の範囲の中に入る、より狭い種及び下位群もそれぞれ、本発明の一部を形成する。これは、属から任意の主題を外すことは、使用される物質が本明細書の中で特異的に記述されると否とを問わず、消極的な限定であるとする条件付きで、本発明の一般的記述を含む。他の実施例は、添付のクレームに含まれる。さらに、本発明の特性および側面が、マーカッシュグループの用語で記載される場合、当業者は、マーカッシュグループのサブグループの個々のメンバーの用語において記載されることを理解されたい。