[go: up one dir, main page]

JP2010281444A - 断熱材 - Google Patents

断熱材 Download PDF

Info

Publication number
JP2010281444A
JP2010281444A JP2010106927A JP2010106927A JP2010281444A JP 2010281444 A JP2010281444 A JP 2010281444A JP 2010106927 A JP2010106927 A JP 2010106927A JP 2010106927 A JP2010106927 A JP 2010106927A JP 2010281444 A JP2010281444 A JP 2010281444A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
heat insulating
insulating material
fiber
gas
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2010106927A
Other languages
English (en)
Inventor
Hirotaka Takeda
寛貴 武田
Masanobu Takeda
昌信 武田
Makoto Nakahara
誠 中原
Takayuki Kaneko
隆行 金子
Masahiro Kimura
将弘 木村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2010106927A priority Critical patent/JP2010281444A/ja
Publication of JP2010281444A publication Critical patent/JP2010281444A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Thermal Insulation (AREA)

Abstract

【課題】優れた断熱性能を有し、柔軟で対象物の形状に合わせて密着させることにより、隙間に充填することが容易であり、十分な形態保持性を有しているため長期間にわたって、変形や厚み変化がない耐久性に優れた断熱材を提供する。
【解決手段】繊維集積体であって内部に空隙を有する芯材2が、ガスバリア性を有する外皮材1で包まれ、内部に窒素より熱伝導率の低いガスが充填された断熱材であって、外皮材1の炭酸ガスの透過率が15ml/m・day(測定条件23℃、0%RH)以下のガスバリア性を有する断熱材であって、好ましい態様として繊維集積体が、繊維径が15μm以下の繊維を前記繊維集積体の全重量に対して70重量%以上含む。
【選択図】図1

Description

本発明は断熱材に関する。
冷蔵庫や炊飯器などの家庭用電気製品や自販機や保冷車などの業務用機器など、または住宅やビル、保冷倉庫などの建築物などエネルギーを大量に使用する場所に省エネの観点から断熱材が使用されている。例えば、ポリスチレンやウレタン、フェノール樹脂をフロンや炭化水素、炭酸ガス(二酸化炭素)などで発泡させた発泡樹脂の断熱材(以下、発泡系断熱材と呼ぶ)は、高い断熱性を有することから使用量が増加しているが比較的高価である。
上記の発泡系断熱材以外にはガラス繊維や鉄鋼スラグなどから得られる人造鉱物繊維にフェノール樹脂などをバインダーとして不織布に成型した無機繊維系断熱材があり、発泡系断熱材に比べれば安価であり、柔軟で形状が自由に変形できることから、様々な場所に使用可能である。しかしながら断熱材内部が空気であるため、熱伝導率が低いフロンや炭化水素、二酸化炭素を内部に有する発泡系断熱材と比較して性能が低く、それを補うために断熱材が厚くなる問題があった。
近年、地球温暖化防止、環境保護の観点から、断熱材の性能に対する要求は高まっており、より断熱性能の高い真空断熱材が様々な場所で使用されるようになってきている。真空断熱材とは、芯材を外皮材で包み、内部を減圧して真空にしたものであり、非常に高い断熱性能を達成したものである。芯材としてパーライトやシリカなど無機粒子を充填したものやウレタン樹脂の連続発泡体などの樹脂発泡体、ガラス繊維などの不織布などにより内部に空隙を作る。そして、ポリエステル樹脂などの樹脂フィルムにガスバリア性を高めるため、金属蒸着や金属箔をラミネートしたガスバリア性フィルムなどを外皮材として芯材を包んだ後、減圧しながら、外皮材の端部をヒートシールすることにより密閉して作られる(特許文献1、2)。
真空断熱材は内部が減圧されているため、大気圧に耐えて厚みを保持するため、芯材には耐圧縮性のあるものが使用されおり、更に芯材の上下から外皮材が密着している構造となり、非常に剛性の高いものになる。芯材がガラス繊維など繊維状のものである場合は、真空断熱材を曲げることが可能であるが、剛性が高いため、湾曲部分や凹凸部、角部分などに断熱材を密着させることが困難である。そのため、断熱したい部分と断熱材の間に隙間ができ、そこから熱損失が発生してしまう問題がある。また、真空断熱材の廃棄時にも問題がある。たとえば、芯材がガラス繊維など無機繊維の場合は、焼却できないので、分別するコストがかかり、ウレタン樹脂の場合は燃焼時に健康上好ましくないガスが発生する場合があるため、環境負荷が高く、作業者にとっても好ましくないである。近年では芯材にポリエステル繊維を使用したものが使用されるようになってきており(特許文献3)、この場合は廃棄時の問題は少ないが、ポリエステル繊維など合成繊維はグラスウールと比較してクリープ特性に劣るため、大気圧を受け続けることにより厚みが減少してしまうという別の問題がある。
なお、分離解体の容易性を目的として、樹脂を多孔質に成型した薄板をフィルムで包み、内部に炭酸ガスやオゾン非破壊ガスを充填した断熱材が開示されている(特許文献4)。ただし対象物の形状に合わせて密着させるための柔軟性には乏しく、内部ガスの漏洩防止手段についてはなんら開示がなく、断熱性能の耐久性にも問題があった。
また、断熱性能を向上させる観点から圧縮板をシートで包み、ガスを充填する方法(特許文献5)や容器の断熱部分に繊維を充填し固め、ガスを充填する方法(特許文献6)や発泡系断熱材をフィルムで包みガスを充填する方法(特許文献7)が開示されている。しかしながら、これらの断熱材は、芯材または外皮材が硬いため、非常に剛性が高く、柔軟性に乏しいものであった。
特開平7−091594号公報 特開2008−69820号公報 特開2008−286282号公報 特開平4−285396号公報 特開昭60−260796号公報 特開平6−283217号公報 特開平7−10338号公報
本発明の目的は、優れた断熱性能を有し、柔軟で対象物の形状に合わせて密着させることにより、隙間に充填することが容易であり、十分な形態保持性を有しているため長期間にわたって、変形や厚み変化がない耐久性に優れた断熱材を提供することである。
かかる課題を解決するために本発明は、次の構成を特徴とするものである。
(1) 繊維集積体であって内部に空隙を有する芯材が、ガスバリア性を有する外皮材で包まれ、内部に窒素より熱伝導率の低いガスが充填された断熱材であって、外皮材の炭酸ガスの透過率が15ml/m・day(測定条件23℃、0%RH)以下のガスバリア性を有することを特徴とする断熱材。
(2)前記繊維集積体が、繊維径が15μm以下の繊維を前記繊維集積体の全重量に対して70重量%以上含み、密度が10kg/m以上150kg/m以下であるであることを特徴とする前記断熱材。
(3)前記繊維集積体がマトリックス繊維とバインダー繊維とを含む繊維集積体であることを特徴とする前記いずれかに記載の断熱材。
(4)前記バインダー繊維が熱可塑性樹脂からなる芯部と、該芯部の熱可塑性樹脂に比べ低い融点の熱可塑性樹脂からなる鞘部を有し、該鞘部の構成比率がバインダー繊維の全重量に対して40〜80重量%であることを特徴とする前記断熱材。
(5) 前記断熱材がJIS K7221−2(2006)に準じて測定した曲げ強さが20N/cm以下であることを特徴とする前記いずれかの断熱材。
(6)前記窒素より熱伝導率の低いガスが、炭化水素、炭酸ガス、アルゴン、クリプトン及びキセノンからなる群から選ばれた少なくとも1種類のガスで、該ガスの充填濃度が30〜100%であることを特徴とする前記いずれかに記載の断熱材。
(7)前記外皮材が多層構造を有するフィルムであり、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリアミド、ポリグリコール酸、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)及びフッ素系樹脂からなる群から選ばれた樹脂からなるガスバリア性樹脂フィルム層を少なくとも1層有することを特徴とする前記いずれかに記載の断熱材。
(8)前記外皮材の多層構造のうち少なくとも1層が、ポリアミド、芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステル及びポリオレフィン系樹脂からなる群から選ばれた樹脂の単独または2種類以上をブレンドした補強フィルム層であることを特徴とする前記いずれかに記載の断熱材。
(9)前記ガスバリア性樹脂フィルム層および補強フィルム層のうち少なくとも1層、またはガスバリア性樹脂フィルム層と補強フィルム層を積層したフィルム層が、面積倍率で2.0倍以上の1軸または2軸延伸したフィルム層であることを特徴とす前記いずれかに記載の断熱材。
(10) 前記外皮材の少なくとも1層が、金属または金属酸化物から選ばれた蒸着層からなることを特徴とする前記いずれかに記載の断熱材。
本発明によれば、優れた断熱性能を有し、柔軟となりうる。その結果断熱対象物の形状に合わせて密着させたり、隙間に充填することが容易である。また、十分な形態保持性を有しているため長期間にわたり、変形や厚み変化もない耐久性に優れた断熱材を提供することができる。本発明の断熱材は、家電製品や産業機械、住宅など建築物用の断熱材として好適に活用できる。
本発明の実施例で作製した断熱材の断面の概略図である。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の断熱材は内部に空隙を有する芯材がガスバリア性を有する外皮材で包まれ、該外皮材の内部に空気よりも熱伝導率の低いガスが充填していることを特長とする。
内部に充填されるガスは窒素よりも熱伝導率が低いガスから選ばれる。窒素の熱伝導率は、26.5mW/m・K(298K,101kPa時、以下に記載の気体の熱伝導率も同じ温度、圧力条件とする)と平均的な空気の熱伝導率は26.6mW/m・Kとほぼおなじである。断熱材の内部に窒素よりも熱伝導率の低い気体を充填することにより、断熱材の断熱性能が向上する。窒素よりも熱伝導率が低いガスであれば何れも使用可能である。
フロンガスなどハロゲン化合物も窒素より熱伝導率が低く、使用可能であるが、地球温暖化の原因物質の1つとされているため、好ましくない。本発明に好ましく使用でき、工業的に安価に入手できるガスとしては、イソブタン(16.3mW/m・K)などの炭化水素や炭酸ガス(16.8mW/m・K)やアルゴン(18.01mW/m・K)、クリプトン(9.4mW/m・K)、キセノン(5.6mW/m・K)などの希ガスがある。その中でも炭酸ガス、希ガスは不燃性ガスであり、万が一にも断熱材に着火したときには延焼を防ぐ効果があるため、安全で好ましい。その中でも炭酸ガス、アルゴンガスを用いた断熱材は、工業的にも安価であり、低価格が求められる住宅用断熱材に最適である。また、クリプトンガス、キセノンガスを用いた断熱材は、熱伝導率が低いため、高性能が求められる住設用断熱材、家庭用電気製品、業務用断熱材などに最適である。本発明では窒素よりも熱伝導率の低いガスを「低熱伝導率ガス」と呼ぶ。低熱伝導率ガスの濃度は、高いほど断熱材の断熱性能は高くなるので、100%が好ましい。ただし、断熱材の製造時に内部を充填ガスに置換するにはコストが高くなる。工業的に性能とコストが両立できる濃度は、30%以上であることが好ましい。更に好ましくは80%以上である。低熱伝導率の濃度が30%未満であると断熱材内部に残る空気の熱伝導が大きく、十分な断熱性能が得られない。
低熱伝導率ガスの充填量は、内部の圧力が大気圧とほぼ同じが望ましい。大気圧は場所や温度によって多少異なるので、使用する場所や温度領域を考慮して決定する。内部の圧力が大気圧を大きく越えると、断熱材が膨らみ、断熱材を折り曲げなど変形させることが困難となり、最悪破裂してしまう。内部の圧力が大気圧より小さく減圧されていると、大気圧により断熱材が圧縮されてしまう可能性がある。なお、本発明におけるガスの充填濃度は、後述する実施例の欄の測定方法(1)及び(2)に記載された方法によるが、測定装置は同等の測定のできるものであればいかなる装置であってもよい。
本発明の断熱材の外皮材は厚みが、50〜400μmである。厚みが50μm以下になると強度が十分でなく使用中に破れてしまう可能性がある。また、400μm以上であると剛性が高くなり、断熱材の柔軟性が失われ、使用し難いものになってしまう。
本発明の外皮材はJIS K7126−2(2006)に記載のガスクロマトグラフ法に基づいて測定される炭酸ガス透過性が15[ml/m・day・atm(23℃、0%RH)]以下である。炭酸ガス透過性が15[ml/m・day・atm(23℃、0%RH)]を超えると場合、内部に充填した気体が早期に空気と置換されてしまうため、断熱材の耐使用期間が短くなってしまう。さらに断熱材使用期間が10年以上必要な場合は、好ましくは、炭酸ガス透過性が5[ml/m・day・atm(23℃、0%RH)]以下、さらに長期間使用する場合は、炭酸ガス透過性が0.1[ml/m・day・atm(23℃、0%RH)]以下であることが好ましい。炭酸ガスは樹脂などの親和性が非常に高く、他の気体と比べて透過性が高いので、断熱材の内部に充填するガスが炭酸ガス以外であっても、フィルムの性能が上記性能以上であれば、十分に使用できる。なお、本発明における炭酸ガス透過性は、後述する実施例の欄の測定方法(3)に記載された方法によるが、測定装置は同等の測定のできるものであればいかなる装置であってもよい。
本発明の外皮材について更に望ましくは、JIS K7129(2008)に記載の赤外センサー法に基づいて測定される水蒸気透過率が5.0[g/m・day]以下である。水は熱伝導率が非常に高く、水蒸気が断熱材内部に侵入してしまうと断熱性能が極端に低下してしまう。なお、本発明における水蒸気透過率は、後述する実施例の欄の測定方法(3)に記載された方法によるが、測定装置は同等の測定のできるものであればいかなる装置であってもよい。
上記性能を達成するために、本発明の外皮材は、多層構造を有するフィルムであることが好ましい。
さらに本発明の外皮材は、多層構造のうちの少なくとも1層が、ガスバリア性の高い樹脂フィルム層であることが好ましい。ガスバリア性の高い樹脂としては、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリアミド、ポリグリコール酸、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、フッ素系樹脂など、ポリマー主鎖間の相互作用が強く、自由体積の小さい樹脂を使用するとよい。中でもポリグリコール酸、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、フッ素系樹脂は吸湿性が小さく、ガスバリア性の湿度依存性が極めて小さいので好適である。更にガスバリア性を向上させるために上記樹脂から選ばれる1種類の樹脂フィルムを2層以上積層することができる。また、2種類以上の樹脂を選択して、複数層積層することも可能である。以上のガスバリア性樹脂のフィルム層を本発明では「ガスバリア性樹脂フィルム層」と呼ぶ。
本発明の外皮材は上記ガスバリア性樹脂フィルム層以外にポリアミド、芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステル、ポリオレフィンからなる群から選ばれた少なくとも1種類または2種類以上をブレンドした樹脂フィルムを積層していることが好ましい。上記樹脂は、強度、耐候性、耐薬品性に優れており、ガスバリアフィルム性樹脂フィルム層を補強し、保護することができる。以上に記載したフィルム層を本発明では「補強フィルム層」と呼ぶ。
上記の本発明の外皮材を構成するフィルム、すなわちガスバリア性樹脂フィルムや補強フィルム層は、面積倍率で2.0倍以上、1軸または2軸延伸されていることが好ましい。更に好ましくは、面積倍率で4.0倍以上で2軸延伸されていること好ましい。フィルムを延伸することにより、フィルムのポリマー主鎖の規則性が高まり、ポリマー主鎖間の相互作用が強くなり、自由体積が小さくなる。即ち、ガスバリア樹脂フィルム層のガスバリア性が向上し、補強フィルム層の強度や耐久性が向上する。フィルムを延伸する方法は、速度差を設けたロール間にフィルムを通すことにより、フィルムの進行方向(長手方向)に延伸した後、幅方向に広がるクリップにフィルム両端を把持させ、幅方向に延伸する逐次二軸延伸やチューブ状に吹き上げたフィルムに内圧をかけることにより、長手方向、幅方向同時に延伸する同時二軸延伸が挙げられる。フィルム層の延伸は、ガスバリア性樹脂フィルム層と補強フィルム層を積層した後に延伸してもよいし、一方のフィルム層を単独で延伸した後にもう一方のフィルム層に積層してもよいし、いずれのフィルム層をそれぞれ別に延伸した後に積層してもよい。
本発明の外皮材は、少なくとも1層が金属または金属酸化物から選ばれた蒸着層を有することが好ましい。蒸着層を有することでガスバリア性が向上する。ガスバリア性を向上させる方法としては、金属箔をフィルムにラミネートする方法も可能であるが、金属箔は厚く、硬いことから外皮材および断熱材の柔軟性を損なうため、蒸着層の方が好ましい。更に好ましくは、ガスバリア性樹脂フィルム層の少なくとも片面に蒸着されていることが好ましい。蒸着層がガスバリア性樹脂フィルム層に接することにより、ガスバリア性を向上させると共に、蒸着層によりガスバリア性樹脂フィルム層を保護することができる。蒸着はフィルム層の延伸後に行う。
蒸着層に用いる金属としては、アルミニウム、インジウム、亜鉛、金、銀、プラチナ、ニッケル、クロムなどが挙げられる。また、蒸着層に用いる金属酸化物としては、チタン、ジルコニウム、ケイ素、マグネシウムなどの酸化物が挙げられる。中でも、炭酸ガスおよび水蒸気の透過性が低く、幅広く用いられているアルミニウムが好適に用いられる。
金属あるいは金属酸化物の蒸着方法としては、真空蒸着法、EB蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理的蒸着法、プラズマCVDなどの化学蒸着法などを用いることができるが、生産性の観点からは真空蒸着法が特に好ましく用いられる。
蒸着層を積層する際には、蒸着膜密着性を向上させるため、あらかじめ基材となる樹脂フィルムの被蒸着面にコロナ放電処理などの前処理を施しておくことが好ましい。
また蒸着層を形成する際、基材となるフィルム上にあらかじめプライマー剤をインラインまたはオフラインで塗布しておくことも好ましい。プライマー剤のコーティング層を設けておくことは、密着性の高い蒸着膜が得られ、ガスバリア性向上に有効であるため好ましい。
更に好ましくは、外皮材の蒸着層を形成した後に150℃以上で熱処理することが望ましい。熱処理することにより蒸着層とフィルムの親和性を高めることができ、断熱材の製造時や使用時に蒸着層の割れや剥離を防ぐことができる。
なお、本発明の外皮材は、以上に記載した同じ構成もしくは異なる構成のフィルムを複数枚貼り合わせてもよい。
本発明の外皮材の少なくとも一方の表面にヒートシール層を有することが好ましい。外皮材がヒートシール層を有することにより断熱材製造時に袋体を製造したり、外皮材で芯材を包んだ後に外皮材の外周を接着するのに、ヒートシール層を利用することができる。その結果、製造が効率化でき、断熱材の密封性を向上させることができる。ヒートシール層を形成する方法は特に限定されないが、ヒートシール性樹脂を押出ラミネーション法により積層する方法が、低コストである。ヒートシール層を構成するヒートシール性樹脂とは熱可塑性の樹脂が好ましく使用できるが、例えば低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、線状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/α−オレフィン共重合体、無延伸ポリプロピレン(CPP)、2軸延伸ポリプロピレン(OPP)などのポリオレフィン系樹脂や2軸延伸ポリエステル(OPET)、パンアクリル(PAN)、塩化ビニリデン(PVDC)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリクロロトリフルオロエチレンコポリマー(CTFE)などが例示される、温度などの使用条件によって選択して使用することができる。
本発明の芯材は、内部に空隙を有するものを使用する。空隙を有するものであれば、何でも使用することができる。例えば、無機粉体を外皮材に充填する方法や、連続発泡の樹脂発泡体、そして、織物、編物、不織布などの繊維集積体が使用できる。繊維集積体の中で不織布が好ましく、そして繊維成型体は、柔軟で形態保持性にも優れるため、好ましい。
繊維集積体としては、スパンボンド(長繊維)不織布や短繊維不織布などの不織布が使用できるが、特に短繊維からなる不織布は、厚みや密度を自由に設計することができるため、好ましい。
短繊維不織布には、ニードルパンチで繊維を交絡させ、シート状に成型するニードルパンチ不織布や樹脂バインダーを用いで繊維をシート化するケミカルボンド不織布があるが、 ニードルパンチ不織布は、高密度な不織布を製造し易いが、10mm以上の不織布が製造し難く、厚みの細かい制御が難しいところはある。また、ケミカルボンド不織布は、バインダー樹脂からのアウトガスが発生するため、断熱材の断熱性能に悪影響を与える可能性もないわけではない。そこで本発明における繊維集積体は、マトリックス繊維とバインダー繊維を開繊、混合し、カードウェブ化したものを熱成型して製造不織布が最も好ましい。
該製造方法で得られる繊維集積体は、繊維の種類や繊度、密度の組み合わせにより、厚さや弾力性を調整することができる。
本発明の芯材に用いる繊維集積体は、繊維径が15μm以下の繊維を繊維集積体の全重量に対して70重量%以上含むことが好ましい。更に好ましくは12μm以下の繊維を繊維集積体の全重量に対して70重量%以上含むことである。先に説明した範囲の繊維径のものを70重量%以上含むことで、繊維間の空隙が微細化され、断熱材内部の熱伝達における輻射による熱伝達と充填ガスの対流による熱伝達の双方を抑制することが可能となり、断熱性能を向上できる。ここで繊維の断面が円形でない場合には、繊維径は観測された状況での外接円の径を採用する。更に繊維集積体の密度が10kg/m以上、150kg/m以下であることが好ましい。より好ましくは、10kg/m以上、50kg/m以下である。密度が低い場合は、繊維間の空隙が大きくなり、繊維の輻射と対流を抑制する効果が十分に発現しにくくなる。一方、密度が高いと密度アップによる、繊維の輻射と対流を抑制する効果は向上するが、繊維の輻射と対流を抑制する効果よりも繊維自体を伝わる熱量が増加し、断熱性能が上がらなくなる傾向にある。
以下にマトリックス繊維とバインダー繊維の特徴と繊維集積体の製造方法と形態を示す。
(マトリックス繊維)
本発明に使用するマトリックス繊維の平均繊維径が15μm以下であることが好ましい。後述するバインダー繊維の繊維径が大きい場合は、前に示した平均繊維径を有するマトリックス繊維を繊維集積体の全重量に対して70重量%以上含有させることになる。繊維間の空隙微細化による断熱性能のさらなる向上効果を得るためには、平均繊維径は12μm以下であることが好ましい。
本発明に用いられるマトリックス繊維としては、ガラス繊維や人工鉱物繊維、金属繊維などの無機繊維や合成繊維や天然繊維など各種の繊維を用いることができるが、繊維自体の熱伝導率が低く、繊維径のバラつきが少なく、繊維径が小さいものを安定的に得るために、合成繊維を用いることが好ましい。
合成繊維としては、例えば、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸等)繊維、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン510等)繊維、ポリアセタール繊維、アクリル繊維、モダクリル繊維、アラミド繊維、フッ素繊維、炭素繊維等の合成繊維、レーヨンなどの再生繊維等があり、これら1種以上の繊維を組み合わせて用いることも可能である。
中でも汎用性が高く、公定水分率が1%以下であって、水分による断熱性能低下の懸念が少ないポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸等)繊維(公定水分率0.5%)、またはポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン)繊維(公定水分率0%)が好ましく用いられる。特に断熱性能の点で特に好ましくは、素材自体の熱伝導率が低く断熱性能の良好な、ポリプロピレン繊維(熱伝導率0.12W/m・K)を用いることが好ましい。
また、繊維の繊維径を小さくするために、分割型複合繊維を用いることも可能であり、例えばポリエステルとポリアミドからなる分割複合繊維や、ポリエチレンとポリプロピレン、又はポリプロピレンとポリエステルからなる分割複合繊維が用いられる。これらの繊維は、繊維集積体の製造工程において分割し、直径1〜10μm程度の極細繊維に分割され、断熱性能を向上させるため好適に用いられる。
なお、断熱材の長期形態保持性を向上させる目的で、剛性の高い中空断面繊維や異形断面繊維を配合させることもできる。例えば、中空断面、多孔中空断面、三葉断面(三角断面、Y断面、T断面など)等の多葉断面、扁平断面、W断面、X断面等を採用することができる。
中でも中空繊維は、繊維中にガスを包含し、包含したガスの対流を抑制することから断熱性能の向上が図れ、好ましく使用される。
本発明における繊維集積体のマトリックス繊維は、捲縮を有することが好ましい。そうすることで、断熱材において嵩高性が向上することで断熱性能や形態保持性に優れる。また、カーディング法において針にしっかり引っかかり、他の繊維と均一に分散し緻密に絡み合うことができ、安定した高収率な繊維集積体を得ることができる。
マトリックス繊維の平均繊維長は10〜90mmであることが好ましい。繊維長が10mm以上のマトリックス繊維をバインダー繊維で結合することにより、繊維集積体の剛性を高め形態保持性が得られるため好ましい。一方、繊維長を90mm以下とすることで、マトリックス繊維とバインダー繊維とを繊維集積体の製造工程、すなわちカーディング法又はエアレイド法等の繊維分散工程において、均一に分散して緻密に絡み合い、微細な空隙を持つことができ、断熱性能に優れた断熱材が得られる。
(バインダー繊維)
本発明で使用するバインダー繊維はマトリックス繊維より低融点成分を含む繊維である。繊維集積体の成形時に熱を加えることにより、バインダー繊維が繊維集積体中においてマトリックス繊維と繊維間の一部で強固に接着されることが重要であり、これにより形態保持性に優れた断熱材を得ることできる。
更に好ましいバインダー繊維として、例えば芯鞘複合繊維、サイドバイサイド繊維などがある。その中でも鞘成分がマトリックス繊維より低融点の熱可塑性樹脂、芯成分が鞘成分よりも融点の高い熱可塑性樹脂である芯鞘複合繊維を用いることが好ましい。そうすることで、成形時の熱により鞘の形が崩れ、細い芯部分の繊維が残存することにより、マトリックス繊維中でさらに緻密な構造ができ、微細な空隙を作ることができるため、断熱性能が向上し、形態保持性に優れた断熱材を得ることができる。
本発明で使用するバインダー繊維の構成としては、例えば低融点ポリエステルとホモポリエステル、ポリオレフィンとポリエステル、ポリエチレンとポリプロピレンなどが挙げられる。低融点ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレートにジエチレングリコールやイソフタル酸などを共重合したポリエステルを用いることができる。
ここで、バインダー繊維を構成する鞘部の構成比率を、バインダー繊維の全重量に対して40〜80重量%とすることで、優れた断熱性能と長期形態保持性を得ることができるので好ましい。鞘部の構成比率を40重量%以上とすることにより、マトリックス繊維同士が強固に結合され、優れた形態保持性が得られる。さらに、残存する芯部の繊維径が小さくなり微細空隙が得られ、断熱性能を向上させる。一方、80重量%未満とすることで、成形時の搬送コンベア等との融着を防ぎ、効率よく製造することができる。
また、繊維状に残存する芯部の平均繊維径が15μm以下のバインダー繊維を用いることで、マトリックス繊維の微細構造と共に効果を奏し、繊維集積体が緻密な構造になり微細な空隙ができることより断熱性能に優れる断熱材が得られる。
本発明で使用するバインダー繊維は、繊維積層体全体比で10重量%以上60重量%未満であることが形態保持性の観点からが好ましい。10重量%以上とすることで、マトリックス繊維同士が結合され、形態保持性の実効が得られる。一方、60重量%未満とすることで、成形時の搬送コンベア等との融着を防ぎ、効率よく製造することができる。
本発明で使用するバインダー繊維は、マトリックス繊維と同様、捲縮を有することが好ましく、本数平均の平均繊維長は10〜90mmであることが好ましい。
(繊維集積体の製造方法)
本発明の繊維集積体はマトリックス繊維とバインダー繊維を混ぜ合わせ、開繊後、カーディング法又はエアレイド法にてウェブを積層し、熱処理を行うことが好ましい。このカーディング法又はエアレイド法によりマトリックス繊維とバインダー繊維が均一に分散した集積体を作ることができる。熱処理温度はバインダー繊維中の低融点成分が軟化又は溶融する温度より高く、他の成分が溶融する温度より低い温度で行う。これにより、低融点成分が軟化又は溶融し、マトリックス繊維を強固に繋ぎ止めることができ、長期形態保持性に優れる断熱材となる。熱処理の手法は熱風乾燥機、熱風循環式熱処理機、赤外線ヒーター、熱ロールなどが用いられる。
密度の調整方法はウェブ積層工程における送り速度等により、積層量を決定することができ、さらに、熱処理工程の前にロールにてウェブの厚さを調整することで、均一な繊維集積体を得ることができる。
また、好ましくは前記の製造工程において、繊維積層体の片面または両面を加熱ローラーや熱板プレスなどを用いて、繊維同士を融着、結合させることができる。その結果、繊維積層体の表面に緻密な繊維層を形成することができ、断熱材の内部に含有する気体と外部の気体との対流を抑制し、断熱性能を向上できる。さらに前記の緻密な繊維層が断熱材の骨材となって形態保持性を高めることができる。
以下に本発明の断熱材の形態と製造方法の1例について示す。
本発明の断熱材は、芯材を外皮材で包み、内部に低熱伝導率ガスを充填して構成される。
本発明の断熱材の製造方法の1例としては、外皮材で袋体を作製して、芯材をその中に入れ、内部を低熱伝導ガスで置換し、最後に袋体の開口部を閉じて、密閉する方法を採用できる。
外皮材で袋体を製造する方法としては、形状と大きさが同じ外皮材を2枚積層し、その2辺または3辺を接着する方法や、外皮材を二つ折りにし、その1辺また2辺を接着する方法が採用できる。外皮材を接着する方法としては、予め外皮材の表面にヒートシール層を設けておき、ヒートシールする方法や接着剤で貼付ける方法が採用できる。ここで使用する接着剤は特に限定されるものではないが、接着強度とガスの透過性の低いものが好ましい。その例として、ドライラミネーション用の接着剤が挙げられる。ドライラミネーション用接着剤としては、ビニル系、アクリル系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリウレタン系、エポキシ系等で、2液型の硬化タイプや熱硬化タイプの接着剤が使用できる。
該袋体で芯材を包み込む方法としては、予め外皮材から袋体を製造し、該袋体に芯材を挿入する方法や外皮材で芯材を包んだ後に、開口部を閉じる方法も採用することができる。外皮材で芯材を包んだ後に、開口部を閉じる方法としては、横型製袋充填機や3方シール梱包機、4方シール梱包機などの上包み機を使用することができる。
断熱材の内部に低熱伝導率ガスを充填する方法としては、低熱伝導率ガスを供給する管を芯材を内包する該袋体の内部に挿入し、低熱伝率ガスを吹き込むことで内部の空気を置換する方法が好ましい。袋体内部の低熱伝導率ガスを吹き込む際、袋体の低熱伝導率ガスを供給する管を挿入する場所と同じ場所、または異なる場所1箇所以上から内部の空気を吸引する方法、または芯材を内包する袋体を圧縮して内部の空気を押し出した後、圧縮力を開放すると同時に低熱伝導率ガスを吹き込む方法などを採用すると、速やかに断熱材の内部を低熱伝導率ガスに置換することができるので好ましい。断熱材内部の低熱伝導率ガスが所望の濃度に達した後、外皮材の全ての外周を接着することで、密封構造を作ることができる。
このようにして得られる本発明の断熱材は、優れた断熱性能を有し、柔軟性に優れており、その結果曲げ強さ20N/cm以下とすることができる。その結果、断熱対象物の形状に合わせて密着させたり、隙間に充填することが容易である。密着や隙間への充填するという施工性の点では、曲げ強さが15N/cm以下であることがより好ましく、更に好ましくは10N/cm以下である。また、十分な形態保持性を有しているため長期間にわたり、変形や厚み変化もない耐久性に優れており、家電製品や産業機械、住宅など建築物用の断熱材として好適に活用できる。
[測定方法]
(1)断熱材内部の炭酸ガス濃度
ヘッドスペース分析装置を備えたGC/MS装置により分析測定した。キャリアガスとして純度99.8%のヘリウムガスを使用した。
(i)ベースラインとして、キャリアガスのヘリウムのピークを検出し、そのピーク面積(BPh)を算出した。
(ii)次に、断熱材の最も長手方向にサンプリングニードルを5cm以上挿入し、断熱材内部の気体を5mLサンプリングした。
(iii)サンプリング気体をヘリウムキャリアガスと混合しGC/MS装置のカラムに注入した。
(iv)GCにより分離された気体のMS分析により、ヘリウム、窒素、酸素、炭化水素系、二酸化炭素のピークを検出し、それぞれのピーク面積(ヘリウム:Ph)、(窒素:Pn)、(酸素:Po)、(炭化水素系:Phc)、(二酸化炭素:Pc)を算出した。
(v)得られたピーク面積から下記式によって断熱材中の炭酸ガスの濃度を算出した。
炭酸ガス濃度[%]={Pc/(Ph−BPh+Pn+Po+Phc+Pc)}×100。
(vi)測定試料数は、5サンプル(n=5)とし、5回の平均を炭酸ガス濃度とした。
(2)炭酸ガス以外を充填した場合の充填ガス濃度の測定
酸素濃度計(新コスモス電機(株)製、XO−326ALB)で、大気中の酸素濃度と断熱材内部の酸素濃度を測定し、以下の式で求めた。
[充填ガス濃度(w%)]=100−[断熱材内部の酸素濃度(w%)]÷[大気中の酸素濃度(w%)]×100
(3)外皮材の炭酸ガス透過率および水蒸気透過率測定
温度23℃、湿度0%RHの条件で、JIS K7126−2(2006)に記載のガスクロマトグラフ法に基づいて、ガス透過率測定装置(ジーエルサイエンス:GPM−250)を用いて炭酸ガス透過率を測定した。測定は2回行い、2つの測定値の平均値を炭酸ガス透過率の値とした。
また、温度40℃、湿度90%RHの条件で、JIS K7129(2008)に記載の赤外センサー法に基づいて、透湿度測定装置(米国、モコン(MOCON):“パーマトラン”(“PERMATRAN−W3/31”))を用いて水蒸気透過率を測定した。測定は2回行い、2つの測定値の平均値を水蒸気透過率の値とした。
(4)平均繊維径(芯材が繊維集積体である場合)
JIS A 9504:2001 6.7に準じて測定した。
繊維径は断熱材の3ヶ所から、それぞれ約20gの試料を取り、更に、それぞれから20本の繊維を採り、走査電子顕微鏡による拡大鏡によってその外径(外接円の直径)を測定し、平均値をとった(n=60)。繊維径は0.1μmの精度で測定した。
(5)密度(芯材が繊維集積体である場合)
JIS A 9504:2001 6.4.2.3に準じて測定した。
密度は試料について質量及び体積を求め、次の式によって求める。密度は試験回数3回の平均値を求め、体積及び質量も同様に試験回数3回ずつ測定し算出した。
p=m/V
ここに、p:密度(kg/m
m:質量(kg)
V:体積(m
体積は次の式より求めた。
V=t×w×L
ここに、t:厚さ(mm)
w:幅(mm)
L:長さ(mm)。
厚さは次の方法で測定した。まず、450×450mmの試験片を硬質平板の上に置き、試験片の端から100mm以上内側で、質量100gで150×150mmの剛性のある荷重板を用い、荷重板の中央に空けた穴を通して針状のものを差し込み、1分以上経過して荷重板の沈下が止まってから測定した。針状のものは荷重板を載せてから差し込んだ。なお、圧縮梱包されたものは、試料の幅方向の両端を手で持ち、水平方向に波打つようによく振って硬質板の上に置き、上述の方法によって4時間経過した後に測定した。
質量は厚さ測定に用いた試験サンプルを温度20℃、湿度65%RHの標準状態にて24hr放置後、電子天秤により0.1gの精度まで測定した。
(6)融点
(株)島津製作所社製島津示差走査熱量計DSC−60型を用い、試料2.0mgを昇温速度20℃/minにて測定し、得た融解吸熱曲線の極値を与える温度を融点(℃)とした。試験回数は5回とし、その平均値を算出した。
(7)熱伝導率
JIS A 1412−2:1999 6.2に準じて測定した。
熱伝導率は英弘精機(株)製の熱伝導率測定装置HC−074を用いて測定した。試料寸法は幅200mm、長さ200mm、厚さ50mmの断熱材を用意した。標準試料は発泡ポリスチレンを用いた。試料は温度20℃、湿度65%RHの標準状態にて24hr放置後、試料を測定機に入れ、プレートの温度差24℃、平均温度25℃(高温のプレート温度は37℃、低温のプレート温度は13℃)の条件にて測定を行い、試験回数3回の平均値より熱伝導率(W/m・K)を算出した。
(8)断熱材の耐久性
断熱材内部から低熱伝送率ガスが放散されると熱伝導率が低下する。加速試験にて、外皮材から低熱伝導率ガスの放散し難さを確認した。
断熱材を温度60℃、湿度15%RHの雰囲気下に120時間曝露した後、上記(1)と同じ条件で熱伝導率を測定し、熱伝導率の上昇が20%未満を○、20%以上を×と判定した。
(9)断熱材の形態保持性
形態保持性は幅300mm、長さ300mm、厚さ50mmの断熱材を260mm間隔の2本の柱(50mm角)に上載し、柱の最上部と、断熱材の最下部(たわみ部)の長さの差を測定し、たわみ長さとした。試料3個をそれぞれ幅方向と長さ方向で評価し、その平均値を算出した。判定は次のように行った。
判定
○:たわみ長さが10mm未満
△:たわみ長さが10mm以上、20mm未満
×:たわみ長さが20mm以上。
(10)柔軟性
JIS K7221−2(2006)に準じて「曲げ強さ」を測定した。幅25mm、長さ120mm、厚さ20mm試料を縦方向および横方向のそれぞれについて、3個ずつ採取した。(株)島津製作所製オートグラフ(AG−50kG)を用いて、支点間距離100mm、曲げ速度10mm/minにて、曲げ強さの最大点を測定し、6個の平均値を算出した。柔軟性の判定は次のように行った。
判定
○:曲げ強さ20N/cm以下
×:曲げ強さ20N/cmを超える。
[実施例1〜7]
(外皮材)
次に、Tダイの直前に二層積層ピノールを供えた押出機Aに、ポリエチレンテレフタレート樹脂(三井化学(株)製「三井PET J120」)とポリブチレンテレフタレート(東レ(株)製「1200S」)のペレットを重量比で40:60の割合で混合して供給した。次に、前記ピノールと短管で繋がれた押出機Bにポリグリコール酸樹脂(後記注1のように調製したもの)を供給した。押出機A、Bはそれぞれ160〜280℃、160℃〜240℃に加熱し、押出機Aと押出機Bで積層比(厚み)が4:1となるようにTダイからシート状に押出した。押出されたシートを、温度20℃の鏡面ドラムに巻きつけて冷却固化し、予熱温度50℃、延伸温度55℃の延伸ロールを用いて長手方向に3倍に延伸したのち、予熱温度50℃、延伸温度53℃のテンターを用いて幅方向に3倍延伸した。次いで幅方向に5%の弛緩を与えつつ180℃の温度で10秒熱処理をし、二軸延伸フィルムを得た。
該フィルムについて、窒素と炭酸ガスの混合気体(炭酸ガス濃度比15体積%)雰囲気下で、フィルム温度を55℃に保ちつつ、30W・分/mでコロナ放電処理を施して巻き取った。フィルム走行装置を具備した真空蒸着装置内にセットし、1.00×10−2Paの高減圧状態にした後に、20℃の冷却金属ドラムを介して走行させた。このとき、アルミニウム(日本軽金属(株)製「高純度アルミニウムワイヤー」)を加熱蒸発させ、樹脂ポリグリコール酸樹脂が積層されている面に対して蒸着薄膜層を形成した。蒸着後、真空蒸着装置内を常圧に戻して、巻取ったフィルムを巻き返し、40℃の温度で2日間エージングして、蒸着層つきの樹脂フィルムを得た。なお、金属層の光学濃度を蒸着中にインラインで確認し、光学濃度が2.5となるよう制御した。得られた蒸着層つきの樹脂フィルムの厚みは20μmであった。
得られた樹脂フィルムの金属蒸着面と反対側の樹脂面にプライマーとして、アクリロニトリル系コーティング剤を塗布し、金属蒸着面に厚さ15μmのポリプロピレンフィルム(東レ(株)製“トレファン”(登録商標)BO)を、樹脂面に厚さ50μmのポリエチレンフィルム(東レ(株)製“トレテック”(登録商標))をドライラミネートで貼り合わせ、厚さ85μmの外皮材とした。
(注1:ポリグリコール酸樹脂の調製方法)
70%グリコール酸水溶液を窒素気流下、180℃に加熱し、その後1.0×10−2MPaまで徐々に減圧しグリコール酸を濃縮した。グリコール酸水溶液量に対し約30重量%の水が留出した時点で亜リン酸トリフェニルをグリコール酸水溶液量に対し約0.14%添加した。5分後三酸化アンチモンとエチレングリコールをグリコール酸水溶液量に対しそれぞれ約0.13%、約0.57%添加し、攪拌しながら温度、減圧度をさらに上昇させ200℃、5.0×10−4MPaで反応物が固化し始めたら攪拌棒を反応液面より上に揚げ、さらに反応物が完全に固化するまで反応を行った。反応終了後、反応物を窒素雰囲気下で室温まで冷却し、粉末状態まで粉砕した。この微粉化した低重合体を200℃、5.0×10−4MPaで40時間重縮合反応を行い、ほとんど着色していない淡黄色のポリグリコール酸を得た。なお、得られたポリグリコール酸を濃度0.5g/dlのフェノール/2,4,5−テトラクロロフェノール混合溶媒(10/7(重量比))溶液とし、30.0±0.1℃でウベローデ型粘度計を用いて、ηsp/Cを求めたところ、0.63であった。また、この重合体のH−NMR分析より重合体の分子鎖中にエチレングリコール単位がグリコール酸単位1モルに対し、0.004モル含有されていることが確認できた。
(芯材)
以下の方法で繊維集積体を作製した。
マトリックス繊維として平均繊維長35mm、単繊維繊度0.8デシテックス、繊維径10μmのポリエチレンテレフタレート短繊維(東レ(株)“テトロン”(登録商標))を用意した。また、バインダー繊維として平均繊維長51mm、単繊維繊度2.2デシテックス、繊維径14.2μm、芯の繊維径10.0μmのポリエチレンテレフタレート短繊維の芯鞘複合繊維(鞘成分:低融点ポリエチレンテレフタレート(融点110℃)、芯成分:ホモポリエチレンテレフタレート(融点255℃)、鞘比率50重量%、東レ(株)“サフメット”(登録商標)T9611)を用意した。
まず、マトリックス繊維とバインダー繊維の配合比率が80:20となるようにカードマシンを用いて混繊、開繊し、均一なウェブを成形した。次にウェブを単位面積当たりの質量が0.5〜5.0kg/mとなるように積層し、2枚の穴あき鉄板の間に厚さ50mmのスぺーサーと共に挟み込み、熱風乾燥機(設定温度170℃)により20分間加熱し、バインダー繊維を溶融させ、表1に示すように各実施例毎に密度10〜100kg/mの範囲を有し、厚み50mmの繊維集積体を成形した。
(低熱伝導率ガス)
炭酸ガスを使用した。充填濃度は表1に示すとおりとした。
(断熱材)
大きさ300×300mm×厚さ50mmの断熱材を以下の方法で作製した。
外皮材を370×370mmの大きさに2枚切り出し、ポリエチレンフィルムの面を合わせて積層した。そして、3辺をインパルスシーラーで熱接着して袋体を作った。
次に、芯材を300×300mmの大きさに切り出し、前記袋体の中に挿入した。つづけて、炭酸ガスのボンベに繋げたホースを袋体の奥まで挿入し、炭酸ガス濃度計(新コスモ電気(株)製、XP−3140)を袋体の開口部にセットして炭酸ガスを吹き込んだ。炭酸ガス濃度計が所望する濃度に達した後、袋体の開口部をインパルスシーラーで熱接着して密封した。その結果、各実施例共通でフィルムからなる外皮材1、繊維集積体からなる芯材2およびヒートシール部3から構成される図1の概念図に示すような断面形状を有する断熱材を得た。
用いた外皮材、断熱材の評価結果を表1に示す。得られた断熱材は断熱性能、耐久性、形態保持性、柔軟性に優れる。
[実施例8]
外皮材以外は実施例2と同じ芯材と炭酸ガスを使用し、同じ方法で断熱材を作製した。
(外皮材)
ポリエチレンテレフタレート樹脂(三井化学(株)製「三井PET J120」)を単軸押出機に供給し、160〜280℃に加熱し、Tダイからシート状に押出した。押出されたシートを、温度20℃の鏡面ドラムに巻きつけて冷却固化し、予熱温度80℃、延伸温度100℃の延伸ロールを用いて長手方向に3倍に延伸したのち、予熱温度90℃、加熱温度120℃のテンターを用いて幅方向に3倍延伸した。次いで幅方向に5%の弛緩を与えつつ180℃の温度で10秒熱処理をし、樹脂フィルムを得た。該フィルムについて、窒素と炭酸ガスの混合気体(炭酸ガス濃度比15体積%)雰囲気下で、フィルム温度を55℃に保ちつつ、30W・分/mでコロナ放電処理を施して巻き取った。フィルム走行装置を具備した真空蒸着装置内にセットし、1.00×10−2Paの高減圧状態にした後に、20℃の冷却金属ドラムを介して走行させた。このとき、アルミニウム(日本軽金属(株)製「高純度アルミニウムワイヤー」)を加熱蒸発し、片面に対して蒸着薄膜層を形成した。蒸着後、真空蒸着装置内を常圧に戻して、巻取ったフィルムを巻き返し、40℃の温度で2日間エージングして、蒸着層つきの樹脂フィルムを得た。金属層の光学濃度を蒸着中にインラインで確認し、光学濃度が2.5となるよう制御した。得られた蒸着層つきの樹脂フィルムの厚みは120μmであった。得られた樹脂フィルムの金属蒸着面と反対側の樹脂面にプライマーとして、アクリロニトリル系コーティング剤を塗布し、金属蒸着面に厚さ15μmのポリプロピレンフィルム(東レ(株)製“トレファン”(登録商標)BO)を、樹脂面に厚さ50μmのポリエチレンフィルム(東レ(株)製“トレテック”(登録商標))をドライラミネートで貼り合わせ、厚さ185μmの外皮材とした。
得られた外皮材、断熱材の評価結果を表2に示す。得られた断熱材は断熱性能、耐久性、形態保持性、柔軟性に優れる。
[実施例9]
外皮材以外は実施例2と同じ芯材と炭酸ガスを使用し、同じ方法で断熱材を作製した。
(外皮材)
エチレンビニルアルコール樹脂(クラレ“エバール”(登録商標)」)を用いて、予熱温度50℃、延伸温度70℃で、延伸ロールを用いて長手方向に3倍に延伸し、直ちに室温に冷却し予熱温度90℃、延伸温度120℃でテンターを用いて幅方向に3倍延伸し、次いで幅方向に5%の弛緩を与えつつ160℃の温度で10秒熱処理をし、二軸延伸フィルムを得た。
得られた樹脂フィルムの厚みは50μmであった。得られた樹脂フィルムの両面にプライマーとして、アクリロニトリル系コーティング剤を塗布し、一方の面に厚さ15μmのポリプロピレンフィルム(東レ(株)製“トレファン”(登録商標)BO)を、もう一方の面に厚さ50μmのポリエチレンフィルム(東レ(株)製“トレテック”(登録商標))をドライラミネートで貼り合わせ、厚さ115μmの外皮材とした。
得られた外皮材、断熱材の評価結果を表2に示す。得られた断熱材は断熱性能、耐久性、形態保持性、柔軟性に優れる。
[実施例10]
芯材以外は実施例2と同じ外皮材と炭酸ガスを使用し、同じ方法で断熱材を作製した。
(芯材)
以下の方法で繊維集積体を作製した。
マトリックス繊維Aとして平均繊維長35mm、単繊維繊度0.8デシテックス、繊維径10μmのポリエチレンテレフタレート短繊維(東レ(株)“テトロン”(登録商標))を、マトリックス繊維Bとして単繊維繊度6.6デシテックス、繊維径30μmのポリエチレンテレフタレート短繊維(東レ(株)“テトロン”(登録商標))を用意した。また、バインダー繊維として平均繊維長51mm、単繊維繊度2.2デシテックス、繊維径14.2μm、芯の繊維径10.0μmのポリエチレンテレフタレート短繊維の芯鞘複合繊維(鞘成分:低融点ポリエチレンテレフタレート(融点110℃)、芯成分:ホモポリエチレンテレフタレート(融点255℃)、鞘比率50重量%、東レ(株)“サフメット”(登録商標)T9611)を用意した。
まず、マトリックス繊維Aとマトリックス繊維B、バインダー繊維の配合比率が60:20:20となるようにカードマシンを用いて混繊、開繊し、均一なウェブを成形した。次にウェブを単位面積当たりの質量が0.5〜5.0kg/mとなるように積層し、2枚の穴あき鉄板の間に厚さ50mmのスぺーサーと共に挟み込み、熱風乾燥機(設定温度170℃)により20分間加熱し、バインダー繊維を溶融させ、密度15kg/m、厚み50mmの繊維集積体を成形した。
得られた外皮材、断熱材の評価結果を表2に示す。得られた断熱材は断熱性能、耐久性、形態保持性、柔軟性に優れる。
[実施例11]
芯材以外は実施例2と同じ外皮材と炭酸ガスを使用し、同じ方法で断熱材を作製した。
(芯材)
以下の方法で繊維集積体を作製した。
マトリックス繊維Aとして平均繊維長35mm、単繊維繊度0.8デシテックス、繊維径10μmのポリエチレンテレフタレート短繊維(東レ(株)“テトロン”(登録商標))を、マトリックス繊維Bとして単繊維繊度2.2デシテックス、繊維径14μmのポリエチレンテレフタレート短繊維(東レ(株)“テトロン”(登録商標))を用意した。また、バインダー繊維として平均繊維長51mm、単繊維繊度2.2デシテックス、繊維径14.2μm、芯の繊維径10.0μmのポリエチレンテレフタレート短繊維の芯鞘複合繊維(鞘成分:低融点ポリエチレンテレフタレート(融点110℃)、芯成分:ホモポリエチレンテレフタレート(融点255℃)、鞘比率50重量%、東レ(株)“サフメット”(登録商標)T9611)を用意した。
まず、マトリックス繊維Aとマトリックス繊維B、バインダー繊維の配合比率が50:30:20となるようにカードマシンを用いて混繊、開繊し、均一なウェブを成形した。次にウェブを単位面積当たりの質量が0.5〜5.0kg/mとなるように積層し、2枚の穴あき鉄板の間に厚さ50mmのスぺーサーと共に挟み込み、熱風乾燥機(設定温度170℃)により20分間加熱し、バインダー繊維を溶融させ、密度10kg/m、厚み50mmの繊維集積体を成形した。
得られた外皮材、断熱材の評価結果を表2に示す。得られた断熱材は断熱性能、耐久性、形態保持性、柔軟性に優れる。
[実施例12]
実施例2と同じ外皮材と芯材を使用し、内部をアルゴンガスで置換した断熱材を作製した。
大きさ300×300mm×厚さ50mmの断熱材を以下の方法で作製した。
まず、外皮材を370×370mmの大きさに2枚切り出し、ポリエチレンフィルムの面を合わせて積層した。そして、3辺をインパルスシーラーで熱接着して袋体を作った。
次に、芯材を300×300mmの大きさに切り出し、前記袋体の中に挿入した。つづけて、アルゴンガスのボンベに繋げたホースを袋体の奥まで挿入し、酸素濃度計(新コスモ電気(株)製、XO−326ALB)を袋体の開口部にセットして、酸素濃度を測定したところ、21%であった。続けて、袋体内部の酸素濃度を測定しながら、アルゴンガスを吹き込んだ。酸素濃度が4.2%に達した後、袋体の開口部をインパルスシーラーで熱接着して密封した。(このとき、断熱材内部のアルゴンガス濃度は80%である)。
得られた外皮材、断熱材の評価結果を表2に示す。得られた断熱材は断熱性能、耐久性、形態保持性、柔軟性に優れる。
[実施例13]
芯材以外は、実施例1と同様の外皮材と炭酸ガスを使用し、同じ方法で断熱材を作製した。
(芯材)
以下の方法で繊維集積体を作製した。
マトリックス繊維Aとして平均繊維長35mm、単繊維繊度0.8デシテックス、繊維径10μmのポリエチレンテレフタレート短繊維(東レ(株)“テトロン”(登録商標))を、マトリックス繊維Bとして平均繊維長51mm、単繊維繊度3.3デシテックス、繊維径19μmのポリエチレンテレフタレート短繊維(東レ(株)“テトロン”(登録商標))を用意した。また、バインダー繊維として平均繊維長51mm、単繊維繊度2.2デシテックス、繊維径14.2μm、芯の繊維径10.0μmのポリエチレンテレフタレート短繊維の芯鞘複合繊維(鞘成分:低融点ポリエチレンテレフタレート(融点110℃)、芯成分:ホモポリエチレンテレフタレート(融点255℃)、鞘比率50重量%、東レ(株)“サフメット”(登録商標)T9611)を用意した。
まず、マトリックス繊維Aとマトリックス繊維B、バインダー繊維の配合比率が30:50:20となるようにカードマシンを用いて混繊、開繊し、均一なウェブを成形した。次にウェブを単位面積当たりの質量が0.5〜5.0kg/mとなるように積層し、2枚の穴あき鉄板の間に厚さ50mmのスぺーサーと共に挟み込み、熱風乾燥機(設定温度170℃)により20分間加熱し、バインダー繊維を溶融させ、密度10kg/m、厚み50mmの繊維集積体を成形した。
得られた外皮材、断熱材の評価結果を表2に示す。得られた断熱材は耐久性、形態保持性、柔軟性に優れる。
[実施例14〜16]
実施例1と同じ外皮材と芯材を使用し、大きさ300×300mm×厚さ50mmの断熱材を以下の方法で作製した。
まず、外皮材を370×370mmの大きさに2枚切り出し、ポリエチレンフィルムの面を合わせて積層した。そして、3辺をインパルスシーラーで熱接着して袋体を作った。
次に、芯材を300×300mmの大きさに切り出し、前記袋体の中に挿入した。つづけて、クリプトンガスのボンベに繋げたホースを袋体の奥まで挿入し、酸素濃度計(新コスモ電気(株)製、XO−326ALB)を袋体の開口部にセットして、酸素濃度を測定したところ、21%であった。続けて、袋体内部の酸素濃度を測定しながら、クリプトンガスを吹き込んだ。酸素濃度が2.1%に達した後、袋体の開口部をインパルスシーラーで熱接着して密封した。(このとき、断熱材内部のクリプトンガス濃度は90%である)。
得られた外皮材、断熱材の評価結果を表3に示す。得られた断熱材は断熱性能、耐久性、形態保持性、柔軟性に優れる。
[比較例1]
外皮材としてポリエチレンフィルムを用いた以外は実施例2と同じ芯材と炭酸ガスを使用し、同じ方法で断熱材を作製した。
外皮材、断熱材の評価結果を表3に示す。得られた断熱材は、作成直後では断熱性能に優れるが、耐久性がなく、断熱性能の低下が発生した。
[比較例2]
実施例2と同じ外皮材と芯材を使用し、低熱伝導率ガスを充填しない(すなわち、内部は空気)こと以外は同じ方法で断熱材を作製した。
得られた外皮材、断熱材の評価結果を表3に示す。得られた断熱材は、断熱性能が一般のグラスウール並み(熱伝導率0.033〜0.050W/m・K)の性能しか得られなかった。
[比較例3]
実施例5と同様の芯材、実施例8と同様の外皮材を用いて、大きさ300×300mm×厚さ25mmの真空断熱材を以下の方法で作製した。
まず、外皮材を370×370mmの大きさに2枚切り出し、ポリエチレンフィルムの面を合わせて積層した。そして、3辺をインパルスシーラーで熱接着して袋体を作った。
次に、芯材を300×300mmの大きさに切り出し、前記袋体の中に挿入した。つづけて、真空引き装置を用い、内圧が0.01Torrとなるよう減圧排気を行い、袋体の開口部をインパルスシーラーで熱接着して密封した。
得られた外皮材、断熱材の評価結果を表3に示す。得られた断熱材は耐久性が低く、柔軟性に劣るものであった。
[比較例4]
押出法ポリスチレン発泡体であるダウ化工(株)製“スタイロエースII”(3種b、A‐XPS‐B‐3b、厚さ50mm)を芯材、実施例8と同様の外皮材を用いて、大きさ300×300mm×厚さ25mmの断熱材を以下の方法で作製した。
まず、外皮材を370×370mmの大きさに2枚切り出し、ポリエチレンフィルムの面を合わせて積層した。そして、3辺をインパルスシーラーで熱接着して袋体を作った。
次に、芯材を300×300mmの大きさに切り出し、前記袋体の中に挿入した。つづけて、真空引き装置を用い、内圧が0.5Torrとなるよう減圧排気を行い、袋体の開口部をインパルスシーラーで熱接着して密封した。
得られた外皮材、断熱材の評価結果を表3に示す。得られた断熱材は柔軟性に劣るものであった。
Figure 2010281444
Figure 2010281444
Figure 2010281444
本発明によれば、優れた断熱性能を有し、柔軟となりうるので断熱対象物の形状に合わせて密着させたり、隙間に充填することが容易である。また、十分な形態保持性を有しているため長期間にわたり、変形や厚み変化もない耐久性に優れた断熱材を提供することができる。本発明の断熱材は、住宅用断熱材(壁、床、天井、基礎、屋根)に限らず、給湯器、燃料電池、バスユニット用の住設用断熱材や、冷蔵庫、炊飯器等の家庭用電気製品、自動販売機、保冷車、輸送用断熱ケースの業務用断熱材などにも応用することができる。
1:外皮材
2:芯材
3:ヒートシール部

Claims (10)

  1. 繊維集積体であって内部に空隙を有する芯材が、ガスバリア性を有する外皮材で包まれ、内部に窒素より熱伝導率の低いガスが充填された断熱材であって、外皮材の炭酸ガスの透過率が15ml/m・day(測定条件23℃、0%RH)以下のガスバリア性を有することを特徴とする断熱材。
  2. 前記繊維集積体が、繊維径が15μm以下の繊維を前記繊維集積体の全重量に対して70重量%以上含み、密度が10kg/m以上150kg/m以下であるであることを特徴とする請求項1の断熱材。
  3. 前記繊維集積体がマトリックス繊維とバインダー繊維とを含む繊維集積体であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の断熱材。
  4. 前記バインダー繊維が熱可塑性樹脂からなる芯部と、該芯部の熱可塑性樹脂に比べ低い融点の熱可塑性樹脂からなる鞘部を有し、該鞘部の構成比率がバインダー繊維の全重量に対して40〜80重量%であることを特徴とする請求項3に記載の断熱材。
  5. 前記断熱材がJIS K7221−2(2006)に準じて測定した曲げ強さが20N/cm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の断熱材。
  6. 前記窒素より熱伝導率の低いガスが、炭化水素、炭酸ガス、アルゴン、クリプトン及びキセノンからなる群から選ばれた少なくとも1種類のガスで、該ガスの充填濃度が30〜100%であることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の断熱材。
  7. 前記外皮材が多層構造を有するフィルムであり、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリアミド、ポリグリコール酸、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)及びフッ素系樹脂からなる群から選ばれた樹脂からなるガスバリア性樹脂フィルム層を少なくとも1層有することを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載の断熱材。
  8. 前記外皮材の多層構造のうち少なくとも1層が、ポリアミド、芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステル及びポリオレフィン系樹脂からなる群から選ばれた樹脂の単独または2種類以上をブレンドした補強フィルム層であることを特徴とする請求項1〜7いずれかに記載の断熱材。
  9. 前記ガスバリア性樹脂フィルム層および補強フィルム層のうち少なくとも1層、またはガスバリア性樹脂フィルム層と補強フィルム層を積層したフィルム層が、面積倍率で2.0倍以上の1軸または2軸延伸したフィルム層であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の断熱材。
  10. 前記外皮材の少なくとも1層が、金属または金属酸化物から選ばれた蒸着層からなることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の断熱材。
JP2010106927A 2009-05-07 2010-05-07 断熱材 Pending JP2010281444A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010106927A JP2010281444A (ja) 2009-05-07 2010-05-07 断熱材

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009112506 2009-05-07
JP2010106927A JP2010281444A (ja) 2009-05-07 2010-05-07 断熱材

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2010281444A true JP2010281444A (ja) 2010-12-16

Family

ID=43538351

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010106927A Pending JP2010281444A (ja) 2009-05-07 2010-05-07 断熱材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2010281444A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102514306A (zh) * 2011-12-12 2012-06-27 青岛科瑞新型环保材料有限公司 一种复合板材及其制备方法
KR101458537B1 (ko) * 2013-05-09 2014-11-07 (주)동인엔지니어링 착탈식 단열장치
CN106223501A (zh) * 2016-08-30 2016-12-14 河北正翰建筑材料有限公司 包膜型隔热吸音棉
CN107399426A (zh) * 2017-07-21 2017-11-28 苏州市君悦新材料科技股份有限公司 一种航空用隔热保温模块
WO2021080379A1 (ko) * 2019-10-25 2021-04-29 (주) 엘지화학 폴리아릴렌 설파이드 수지 조성물, 이의 제조방법 및 이로부터 제조된 단열재
CN113056522A (zh) * 2019-10-25 2021-06-29 株式会社Lg化学 聚芳硫醚树脂组合物、制备该树脂组合物的方法和使用该树脂组合物制造的绝热材料

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06509755A (ja) * 1991-08-08 1994-11-02 ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア ガス充填パネル絶縁材
JP2002061792A (ja) * 2000-08-24 2002-02-28 Kanebo Ltd 断熱材
JP2002114899A (ja) * 2000-08-02 2002-04-16 Mitsui Chemicals Inc 樹脂組成物およびその用途
JP2006052264A (ja) * 2004-08-10 2006-02-23 Sekisui Chem Co Ltd ポリオレフィン系樹脂発泡体
JP2008286282A (ja) * 2007-05-16 2008-11-27 Unitica Fibers Ltd 真空断熱材
JP2009024813A (ja) * 2007-07-20 2009-02-05 Meisei Ind Co Ltd 断熱材及び断熱対象物に対して断熱材を被覆する断熱構造
JP2009074604A (ja) * 2007-09-20 2009-04-09 Sharp Corp 真空断熱材

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06509755A (ja) * 1991-08-08 1994-11-02 ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア ガス充填パネル絶縁材
JP2002114899A (ja) * 2000-08-02 2002-04-16 Mitsui Chemicals Inc 樹脂組成物およびその用途
JP2002061792A (ja) * 2000-08-24 2002-02-28 Kanebo Ltd 断熱材
JP2006052264A (ja) * 2004-08-10 2006-02-23 Sekisui Chem Co Ltd ポリオレフィン系樹脂発泡体
JP2008286282A (ja) * 2007-05-16 2008-11-27 Unitica Fibers Ltd 真空断熱材
JP2009024813A (ja) * 2007-07-20 2009-02-05 Meisei Ind Co Ltd 断熱材及び断熱対象物に対して断熱材を被覆する断熱構造
JP2009074604A (ja) * 2007-09-20 2009-04-09 Sharp Corp 真空断熱材

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102514306A (zh) * 2011-12-12 2012-06-27 青岛科瑞新型环保材料有限公司 一种复合板材及其制备方法
CN102514306B (zh) * 2011-12-12 2014-07-30 青岛科瑞新型环保材料有限公司 一种复合板材及其制备方法
KR101458537B1 (ko) * 2013-05-09 2014-11-07 (주)동인엔지니어링 착탈식 단열장치
CN106223501A (zh) * 2016-08-30 2016-12-14 河北正翰建筑材料有限公司 包膜型隔热吸音棉
CN107399426A (zh) * 2017-07-21 2017-11-28 苏州市君悦新材料科技股份有限公司 一种航空用隔热保温模块
WO2021080379A1 (ko) * 2019-10-25 2021-04-29 (주) 엘지화학 폴리아릴렌 설파이드 수지 조성물, 이의 제조방법 및 이로부터 제조된 단열재
CN113056522A (zh) * 2019-10-25 2021-06-29 株式会社Lg化学 聚芳硫醚树脂组合物、制备该树脂组合物的方法和使用该树脂组合物制造的绝热材料
CN113056522B (zh) * 2019-10-25 2023-09-29 株式会社Lg化学 聚芳硫醚树脂组合物、制备该树脂组合物的方法和使用该树脂组合物制造的绝热材料

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10968625B2 (en) Vacuum insulation panel
CN107405858B (zh) 真空绝缘板
JP4789886B2 (ja) 真空断熱材および断熱箱
JP2010281444A (ja) 断熱材
JP5388603B2 (ja) 真空断熱材及びこれを備えた断熱箱
KR20090017645A (ko) 진공 단열재
HUP0200652A2 (en) Vacuum insulation panels
JP2014508057A (ja) 複合要素
CN104816517B (zh) 用于真空隔热件的增强复合阻燃性外包装件、其制造方法及包含该外包装件的真空隔热件
JP5111331B2 (ja) 真空断熱材およびこの真空断熱材を用いた断熱箱
EP2657278B1 (en) Core material for a vacuum insulation panel formed of a phenolic resin-cured foam and vacuum insulation panel using same, and method for manufacturing same
JP5611440B2 (ja) 真空断熱材
JP6149997B1 (ja) 真空断熱材用外包材、真空断熱材、および真空断熱材付き物品
KR101820373B1 (ko) 건축 진공단열패널용 외피재, 이를 이용한 건축용 진공단열패널 및 이의 제조방법
JP2011184917A (ja) 断熱材
KR20190051192A (ko) 진공단열패널용 외피재, 이를 이용한 건축용 진공단열패널 및 이의 제조방법
JP2010127421A (ja) 真空断熱材および断熱箱
KR20150021461A (ko) 단열 시트, 그 제조 방법 및 단열 패널
GB2577648A (en) Vacuum insulation panel
KR100965971B1 (ko) 진공 단열재
EP2985376B1 (en) Core material for vacuum insulator, comprising organic synthetic fiber, and vacuum insulator containing same
JP2017137955A (ja) 真空断熱材用外装材及びそれを用いた真空断熱材
JP7106942B2 (ja) 真空断熱材用外包材、真空断熱材、および真空断熱材付き物品
KR20230054599A (ko) 진공단열재용 심재 및 이의 제조방법
KR20150066451A (ko) 진공단열재

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130419

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140219

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140304

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140930

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20141126

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20150210