JP2010274788A - ハイブリッド車両用動力伝達装置の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】エンジン始動処理中に変速機の変速判断が為された場合において、変速時間を短縮化してドライバビリティを向上することができるハイブリッド車両用動力伝達装置の制御装置を提供する。
【解決手段】エンジン始動処理中に自動変速機22の変速判断が為されると、自動変速機22の変速処理時において開放される第1ブレーキB1の油圧PB1が第2電動機MG2の出力トルクTmg2に相当する油圧に制御される。このようにすれば、エンジン24の始動処理が終了すると、油圧PB1の油圧を排圧する制御が実施されるが、油圧PB1が第2電動機MG2の出力トルクTmg2に相当する油圧とされているので、油圧PB1の油圧が完全に排圧される時間が通常よりも短くなる。したがって、変速時間が短くなり、ドライバビリティが向上する。
【選択図】図1
【解決手段】エンジン始動処理中に自動変速機22の変速判断が為されると、自動変速機22の変速処理時において開放される第1ブレーキB1の油圧PB1が第2電動機MG2の出力トルクTmg2に相当する油圧に制御される。このようにすれば、エンジン24の始動処理が終了すると、油圧PB1の油圧を排圧する制御が実施されるが、油圧PB1が第2電動機MG2の出力トルクTmg2に相当する油圧とされているので、油圧PB1の油圧が完全に排圧される時間が通常よりも短くなる。したがって、変速時間が短くなり、ドライバビリティが向上する。
【選択図】図1
Description
本発明は、ハイブリッド車両用動力伝達装置の制御装置に係り、特に、エンジン始動制御中に変速判断が為されたときの制御に関するものである。
電動機と駆動輪との間の動力伝達経路に変速機を備えるハイブリッド形式の車両用動力伝達装置がよく知られている。上記のような車両用動力伝達装置では、電動機から出力される駆動力(トルク)を変速機を介して増幅させて駆動輪へ伝達することができる。変速機として例えば油圧によって制御される油圧式摩擦係合装置を有する自動変速機が使用され、車両の走行状態に応じて適宜変速される。例えば、車両発進時において変速機を低速段側に変速させることで駆動力を増加させ、その後、車速が大きくなると、変速機を高速段側に変速させて電動機の回転速度を低下させることで、電動機の高回転化を抑制する。上記のように制御することで、電動機の駆動効率を良好な状態に維持することができる。例えば特許文献1のハイブリッド駆動装置の制御装置もその一例である。特許文献1では、第2モータ・ジェネレータ(MG2)と駆動輪に連結されている出力軸(2)との間に、2段変速可能な変速機(6)が介装されており、走行状態に応じて変速機(6)が適宜変速されるように構成されている。また、特許文献1では、エンジン始動中に変速機の変速判断が為されても、その変速を制限(禁止)することで、出力軸に伝達されるトルク変動もしくはトルク低下を抑制して、エンジンを確実もしくは円滑に始動する技術が開示されている。
ところで、特許文献1においてエンジン始動処理中に変速判断が為されても、エンジン始動処理が終了するまでその変速が制限(禁止)されるが、エンジン始動処理終了後に変速制御が開始され、変速機の変速時に開放される開放側摩擦係合要素の開放側油圧を完全に抜く(排圧)制御が実施された場合、開放側油圧を完全に抜くのに時間がかかり、変速時間が長くなる問題があった。具体的に説明すると、エンジン始動処理中に変速判断が為されると、変速処理は制限(禁止)され、エンジン始動処理、変速処理の順番で制御が実施される。したがって、変速機の動力伝達状態が維持され、エンジン始動時に必要となる反力トルクが変速機を介してモータトルク(MG2)から伝達される。これにより、エンジン回転が点火可能な回転速度まで引き上げられ、エンジン始動処理が終了する。そして、変速判断に基づく変速処理が実施されるが、開放側油圧が通常係合圧のままで変速処理が開始されるので、開放側油圧を完全に抜ききるのに時間がかかるために変速時間が長くなり、加速時のもたつきなどドライバビリティが低下する。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、エンジン始動処理中に変速機の変速判断が為された場合において、変速時間を短縮化してドライバビリティを向上することができるハイブリッド車両用動力伝達装置の制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するための、請求項1にかかる発明の要旨とするところは、(a)エンジンに動力伝達可能に連結されて差動状態が電気的に制御される差動機構と、その差動機構の出力軸に変速機を介して動力伝達可能に連結される電動機とを備え、前記エンジンを始動させる際には、その電動機によって反力トルクを発生させた状態でそのエンジンの回転速度を点火可能な回転速度まで引き上げるエンジン始動処理が実施されるハイブリッド車両用動力伝達装置の制御装置において、(b)前記エンジン始動処理中に前記変速機の変速判断が為されると、前記変速機の変速時において開放される開放側摩擦係合装置の開放側油圧が前記電動機の出力トルクに相当する油圧に制御されることを特徴とする。
また、上記目的を達成するための請求項2にかかる発明の要旨とするところは、(a)エンジンに動力伝達可能に連結されて差動状態が電気的に制御される差動機構と、その差動機構の出力軸に変速機を介して動力伝達可能に連結される電動機とを備え、前記エンジンを始動させる際には、その電動機によって反力トルクを発生させた状態でそのエンジンの回転速度を点火可能な回転速度まで引き上げるエンジン始動処理が実施されるハイブリッド車両用動力伝達装置の制御装置において、(b)前記エンジン始動処理中に前記変速機の変速判断が為されると、前記変速機の変速時において開放される開放側摩擦係合装置の開放側油圧が前記エンジンの始動に必要とされる前記電動機の最大トルクに相当する油圧に制御されることを特徴とする。
また、請求項3にかかる発明の要旨とするところは、請求項1または2のハイブリッド車両用動力伝達装置の制御装置において、前記差動機構は、シングルピニオン型の遊星歯車装置で構成され、サンギヤが差動用電動機に連結され、キャリヤが前記エンジンに動力伝達可能に連結され、リングギヤが前記出力軸に連結されていることを特徴とする。
また、請求項4にかかる発明の要旨とするところは、請求項3のハイブリッド車両用動力伝達装置の制御装置において、前記変速機の変速の際には、前記開放側摩擦係合装置が開放された状態で、前記電動機の回転速度を変速後に設定される目標回転速度に同期させる回転同期制御が実施されることを特徴とする。
請求項1にかかる発明のハイブリッド車両用動力伝達装置の制御装置によれば、前記エンジン始動処理中に前記変速機の変速判断が為されると、前記変速機の変速時において開放される開放側摩擦係合装置の開放側油圧が前記電動機の出力トルクに相当する油圧に制御されるものである。このようにすれば、エンジン始動時において必要となる電動機による反力トルクが変速機を介して差動機構に伝達されるので、エンジンの始動処理が好適に実施される。そして、エンジンの始動処理が終了すると、開放側油圧の油圧を排圧する制御が実施されるが、開放側油圧が電動機の出力トルクに相当する油圧とされているので、通常の油圧よりも低くなっており、開放側油圧が完全に排圧される時間が通常よりも短くなる。したがって、変速時間が短くなり、ドライバビリティが向上する。
また、請求項2にかかる発明のハイブリッド車両用動力伝達装置の制御装置によれば、前記エンジン始動処理中に前記変速機の変速判断が為されると、前記変速機の変速時において開放される開放側摩擦係合装置の開放側油圧が前記エンジンの始動に必要とされる前記電動機の最大トルクに相当する油圧に制御されるものである。このようにすれば、エンジン始動時において必要となる電動機による反力トルクが変速機を介して差動機構に伝達されるので、エンジンの始動処理が好適に実施される。そして、エンジンの始動処理が終了すると、開放側油圧の油圧を抜く制御が実施されるが、開放側油圧がエンジンの始動に必要な電動機の最大トルクに相当する油圧とされているので、通常の油圧よりも低くなっており、開放側油圧の油圧を抜く時間が通常よりも短くなる。したがって、変速時間が短くなり、ドライバビリティが向上する。また、開放側油圧がエンジンの始動に必要とされる電動機の最大トルクに相当する油圧とされるので、電動機のトルクが変速機の伝達可能なトルクを越えることが確実に防止され、電動機の回転が意図しない回転速度に変化するなどしてショックが発生することが防止される。
また、請求項3にかかる発明のハイブリッド車両用動力伝達装置の制御装置によれば、前記差動機構は、シングルピニオン型の遊星歯車装置で構成され、サンギヤが差動用電動機に連結され、キャリヤが前記エンジンに動力伝達可能に連結され、リングギヤが前記出力軸に連結されているため、前記差動用電動機を回転上昇させると共に、前記電動機の反力トルクをリングギヤに伝達することで、前記差動機構の差動作用によってキャリヤに連結されてるエンジンが回転上昇させられる。したがって、エンジンの回転を点火可能回転速度まで引き上げることができ、エンジンの始動が可能となる。
また、請求項4にかかる発明のハイブリッド車両用動力伝達装置の制御装置によれば、前記変速機の変速の際には、前記開放側摩擦係合装置が開放された状態で、前記電動機の回転速度を変速後に設定される目標回転速度に同期させる回転同期制御が実施されるので、開放側油圧が完全に抜けて開放側摩擦係合装置が開放されるまでの時間が短くなると、変速時間が短くなる。したがって、本発明によって開放側油圧が通常よりも低い状態から変速が開始されるので、開放側油圧が完全に抜けるまでの時間が短くなるに従い、変速時間が短くなる。
ここで、好適には、電動機の出力トルクに相当する油圧とは、電動機の出力トルクが差動機構に伝達可能となるトルク容量が確保される油圧であり、予め実験や計算によって求められた出力トルクに対する油圧の関係マップに基づいて設定される。このようにすれば、電動機の出力トルクに応じて開放側油圧が設定され、変速機を介して電動機の出力トルクが差動機構へ伝達される。
また、好適には、エンジンの始動に必要な前記電動機の最大トルクに相当する油圧とは、車両の走行状態に応じて変化するエンジン始動に必要な電動機の最大トルクが伝達可能な油圧であり、予め実験や計算によって求められて記憶されている。このようにすれば、電動機の出力トルクが開放側摩擦係合装置の許容するトルク容量を越えることがないので、電動機の回転速度が意図しない回転速度に変化するなどしてショックが発生することが防止される。
また、好適には、電動機による回転同期制御とは、開放側摩擦係合装置の開放側油圧を完全に抜いた状態で、変速機の入力軸に連結されている電動機によって、変速機の入力軸の回転速度を、変速後に設定される同期回転速度もしくは同期回転速度に基づいて設定された目標回転速度となるように制御するものである。このようにすれば、係合側の摩擦係合装置が係合される際に発生するショックが抑制される。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明が適用されたハイブリッド車両用動力伝達装置10(以下、車両用動力伝達装置10と記載)を説明する概略構成図である。図1において、この車両用動力伝達装置10では、車両において、主駆動源である第1駆動源12のトルクが出力部材として機能する車輪側出力軸(以下、出力軸という)14に伝達され、その出力軸14(本発明の出力軸に相当)から差動歯車装置16を介して左右一対の駆動輪18にトルクが伝達されるようになっている。また、この車両用動力伝達装置10には、走行のための駆動力を出力する力行制御およびエネルギを回収するための回生制御を選択的に実行可能な第2電動機MG2が自動変速機22(本発明の変速機に相当)を介して動力伝達可能に出力軸14に連結されている。したがって、第2電動機MG2から出力軸14へ伝達される出力トルクがその自動変速機22で設定される変速比γs(=第2電動機MG2の回転速度Nmg2/出力軸14の回転速度Nout)に応じて増減されるようになっている。
第2電動機MG2(本発明の電動機に相当)と出力軸14(駆動輪18)との間の動力伝達経路に介装されている自動変速機22は、変速比γsが「1」より大きい複数段を成立させることができるように構成されており、第2電動機MG2からトルクを出力する力行時にはそのトルクを増大させて出力軸14へ伝達することができるので、第2電動機MG2が一層低容量もしくは小型に構成される。これにより、例えば高車速に伴って出力軸14の回転速度Noutが増大した場合には、第2電動機MG2の運転効率を良好な状態に維持するために、変速比γsを小さくして第2電動機MG2の回転速度(以下、第2電動機回転速度という)Nmg2を低下させたり、また出力軸14の回転速度Noutが低下した場合には、変速比γsを大きくして第2電動機回転速度Nmg2を増大させる。
上記第1駆動源12は、主動力源としてのエンジン24と、第1電動機MG1と、これらエンジン24と第1電動機MG1(本発明の差動用電動機に相当)との間でトルクを合成もしくは分配するための動力分配機構(差動機構)としての遊星歯車装置26とを主体として構成されている。上記エンジン24は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの燃料を燃焼させて動力を出力する公知の内燃機関であって、マイクロコンピュータを主体とするエンジン制御用の電子制御装置(E−ECU)28によって、スロットル弁開度や吸入空気量、燃料供給量、点火時期などの運転状態が電気的に制御されるように構成されている。
上記第1電動機MG1(差動用電動機)は、例えば同期電動機であって、駆動トルクを発生させる電動機としての機能と発電機としての機能とを選択的に生じるように構成され、インバータ30を介してバッテリー、コンデンサなどの蓄電装置32に接続されている。そして、マイクロコンピュータを主体とするモータジェネレータ制御用の電子制御装置(MG−ECU)28によってそのインバータ30が制御されることにより、第1電動機MG1の出力トルクあるいは回生トルクが調節或いは設定されるようになっている。
前記遊星歯車装置26(本発明の差動機構に相当)は、サンギヤS0と、そのサンギヤS0に対して同心円上に配置されたリングギヤR0と、これらサンギヤS0およびリングギヤR0に噛み合うピニオンギヤP0を自転かつ公転自在に支持するキャリヤCA0とを三つの回転要素として備えて公知の差動作用を生じるシングルピニオン型の遊星歯車機構である。遊星歯車装置26はエンジン24および自動変速機22と同心に設けられている。遊星歯車装置26および自動変速機22は中心線に対して対称的に構成されているため、図1ではそれらの下半分が省略されている。
本実施例では、エンジン24のクランク軸36はダンパー38を介して遊星歯車装置26のキャリヤCA0に連結されている。これに対してサンギヤS0には第1電動機MG1が連結され、リングギヤR0には出力軸14が連結されている。このキャリヤCA0は入力要素として機能し、サンギヤS0は反力要素として機能し、リングギヤR0は出力要素として機能している。
差動機構として機能するシングルピニオン型の遊星歯車装置26の各回転要素の回転速度の相対的関係は、図2の共線図により示される。この共線図において、縦軸S0、縦軸CA0、および縦軸R0は、サンギヤS0の回転速度、キャリヤCA0の回転速度、およびリングギヤR0の回転速度をそれぞれ表す軸であり、縦軸S0、縦軸CA0、および縦軸R0の相互の間隔は、縦軸S0と縦軸CA0との間隔を1としたとき、縦軸CA0と縦軸R0との間隔がρ(サンギヤS0の歯数Zs/リングギヤR0の歯数Zr)となるように設定されたものである。
上記遊星歯車装置26において、キャリヤCA0に入力されるエンジン24の出力トルクに対して、第1電動機MG1による反力トルクがサンギヤS0に入力されると、出力要素となっているリングギヤR0には、直達トルクが現れるので、第1電動機MG1は発電機として機能する。また、リングギヤR0の回転速度すなわち出力軸14の回転速度(出力軸回転速度)Noutが一定であるとき、第1電動機MG1の回転速度Nmg1を上下に変化させることにより、エンジン24の回転速度(エンジン回転速度)Neを連続的に(無段階に)変化させることができる。図2の破線は第1電動機MG1の回転速度Nmg1を実線に示す値から下げたときにエンジン回転速度Neが低下する状態を示している。すなわち、エンジン回転速度Neを例えば燃費が最もよい回転速度に設定する制御を、第1電動機MG1を制御することによって実行することができる。この種のハイブリッド形式は、機械分配式あるいはスプリットタイプと称される。上記より、遊星歯車装置26の差動状態が第1電動機MG1によって電気的に制御される。
図1に戻って、自動変速機22は、一組のラビニョ型遊星歯車機構によって構成されている。すなわち自動変速機22では、第1サンギヤS1と第2サンギヤS2とが設けられており、その第1サンギヤS1にステップドピニオンP1の大径部が噛合するとともに、そのステップドピニオンP1がピニオンP2に噛合し、そのピニオンP2が前記各サンギヤS1、S2と同心に配置されたリングギヤR1(R2)に噛合している。上記各ピニオンP1、P2は、共通のキャリヤCA1(CA2)によって自転かつ公転自在にそれぞれ保持されている。また、第2サンギヤS2がピニオンP2に噛合している。
前記第2電動機MG2は、前記モータジェネレータ制御用の電子制御装置(MG−ECU)28によりインバータ40を介して制御されることにより、電動機または発電機として機能させられ、アシスト用出力トルクあるいは回生トルクが調節或いは設定される。第2サンギヤS2にはその第2電動機MG2が連結され、上記キャリヤCA1が出力軸14に連結されている。第1サンギヤS1とリングギヤR1とは、各ピニオンP1、P2と共にダブルピニオン型遊星歯車装置に相当する機構を構成し、また第2サンギヤS2とリングギヤR1とは、ピニオンP2と共にシングルピニオン型遊星歯車装置に相当する機構を構成している。
そして、自動変速機22には、第1サンギヤS1を選択的に固定するためにその第1サンギヤS1と非回転部材であるハウジング42との間に設けられた第1ブレーキB1と、リングギヤR1を選択的に固定するためにそのリングギヤR1とハウジング42との間に設けられた第2ブレーキB2とが設けられている。これらのブレーキB1、B2は摩擦力によって制動力を生じるいわゆる摩擦係合装置であり、多板形式の係合装置あるいはバンド形式の係合装置を採用することができる。そして、これらのブレーキB1、B2は、それぞれ油圧シリンダ等のブレーキB1用油圧アクチュエータ、ブレーキB2用油圧アクチュエータにより発生させられる係合圧に応じてそのトルク容量が連続的に変化するように構成されている。
以上のように構成された自動変速機22は、第2サンギヤS2が入力要素として機能し、またキャリヤCA1が出力要素として機能し、第1ブレーキB1が係合させられると「1」より大きい変速比γshの高速段Hiが成立させられ、第1ブレーキB1に替えて第2ブレーキB2が係合させられるとその高速段Hiの変速比γshより大きい変速比γslの低速段Loが成立させられるように構成されている。すなわち、自動変速機22は2段変速機で、これらの変速段HおよびLの間での変速は、車速Vや要求駆動力(もしくはアクセル操作量)などの走行状態に基づいて実行される。より具体的には、変速段領域を予めマップ(変速線図)として定めておき、検出された運転状態に応じていずれかの変速段を設定するように制御される。その制御を行うためのマイクロコンピュータを主体とした変速制御用の電子制御装置(T−ECU)28が設けられている。
上記電子制御装置28は、例えばエンジン24を制御するためのエンジン制御用電子制御装置(E−ECU)、第1電動機MG1および第2電動機MG2を制御するためのMG制御用電子制御装置(MG−ECU)、および自動変速機22を制御するための変速制御用電子制御装置(T−ECU)を含んで構成されている。電子制御装置28には、第1電動機回転速度センサ41からの第1電動機回転速度Nmg1を表す信号、第2電動機回転速度センサ43からの第2電動機回転速度Nmg2を表す信号、出力軸回転速度センサ45からの車速Vに対応する出力軸回転速度Noutを表す信号、油圧スイッチ信号SW1からの第1ブレーキB1の油圧PB1を表す信号、油圧スイッチSW2からの第2ブレーキB2の油圧PB2を表す信号、操作位置センサSSからのシフトレバー35の操作位置を表す信号、アクセル操作量センサASからのアクセルペダル27の操作量を表す信号、ブレーキセンサBSからのブレーキペダル29の操作の有無を表す信号等が供給される。その他、図示しないセンサ等から、蓄電装置32の充電電流または放電電流(以下、充放電電流或いは入出力電流という)Icdを表す信号、蓄電装置32の電圧Vbatを表す信号、蓄電装置32の充電容量(充電状態)SOCを表す信号、インバータ30の供給電力(供給電流)に基づく第1電動機MG1の出力トルクTmg1あるいは回生トルクを表す信号、インバータ40の供給電力(供給電流)に基づく第2電動機MG2の出力トルクTmg2あるいは回生トルクを表す信号などが、それぞれ供給される。なお、エンジン制御用電子制御装置(E−ECU)、MG制御用電子制御装置(MG−ECU)、変速制御用電子制御装置(T−ECU)は、必ずしも別体で構成されるものではなく、一体で構成されても構わない。
図3は、上記自動変速機22を構成しているラビニョ型遊星歯車機構についての各回転要素の相互関係を表すために4本の縦軸S1、縦軸R1、縦軸CA1、および縦軸S2を有する共線図を示している。それら縦軸S1、縦軸R1、縦軸CA1、および縦軸S2は、第1サンギヤS1の回転速度、リングギヤR1の回転速度、キャリヤCA1の回転速度、および第2サンギヤS2の回転速度をそれぞれ示すためのものである。
以上のように構成された自動変速機22では、第2ブレーキB2によってリングギヤR1が固定されると、低速段Loが設定され、第2電動機MG2の出力したアシストトルクがそのときの変速比γslに応じて増幅されて出力軸14に付加される。これに替えて、第1ブレーキB1によって第1サンギヤS1が固定されると、低速段Loの変速比γslよりも小さい変速比γshを有する高速段Hiが設定される。この高速段Hiにおける変速比γshも「1」より大きいので、第2電動機MG2の出力したアシストトルクがその変速比γshに応じて増大させられて出力軸14に付加される。
なお、各変速段L,Hが定常的に設定されている状態では、出力軸14に付加されるトルクは、第2電動機MG2の出力トルクTmg2を各変速比に応じて増大させたトルクとなるが、自動変速機22の変速過渡状態では各ブレーキB1、B2でのトルク容量や回転速度変化に伴う慣性トルクなどの影響を受けたトルクとなる。また、出力軸14に付加されるトルクは、第2電動機MG2の駆動状態では、正トルクとなり、被駆動状態では負トルクとなる。第2電動機MG2の被駆動状態とは、出力軸14の回転が自動変速機22を介して第2電動機MG2に伝達されることによりその第2電動機MG2が回転駆動される状態であり、車両の駆動、被駆動と必ずしも一致するわけではない。
図4は、電子制御装置28の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図4において、ハイブリッド駆動制御手段60は、例えば、キーがキースロットに挿入された後、ブレーキペダルが操作された状態でパワースイッチが操作されることにより制御が起動されると、アクセル操作量に基づいて運転者の要求出力を算出し、低燃費で排ガス量の少ない運転となるようにエンジン24および/または第2電動機MG2から要求出力を発生させる。例えば、エンジン24を停止し専ら第2電動機MG2を駆動源とするモータ走行モード、エンジン24の動力で第1電動機MG1により発電を行いながら第2電動機MG2を駆動源として走行する充電走行モード、エンジン24の動力を機械的に駆動輪18に伝えて走行するエンジン走行モード等を、走行状態に応じて切り換える。
上記ハイブリッド駆動制御手段60は、エンジン24が最適燃費曲線上で作動するように第1電動機MG1によってエンジン回転速度Neを制御する。また、第2電動機MG2を駆動してトルクアシストする場合、車速Vが遅い状態では自動変速機22を低速段Loに設定して出力軸14に付加するトルクを大きくし、車速Vが増大した状態では自動変速機22を高速段Hiに設定して第2電動機回転速度Nmg2を相対的に低下させて損失を低減し、効率の良いトルクアシストを実行させる。さらに、コースト走行時には車両の有する慣性エネルギーで第1電動機MG1或いは第2電動機MG2を回転駆動することにより電力として回生し、蓄電装置32にその電力を蓄える。
また、後進走行は、例えば自動変速機22を低速段Loとした状態で、第2電動機MG2を逆方向へ回転駆動することによって達成される。この時、第1駆動源12の第1電動機MG1は空転状態とされ、エンジン24の作動状態に関係なく出力軸14が逆回転することを許容する。
前記エンジン走行モードにおける制御を一例としてより具体的に説明すると、ハイブリッド駆動制御手段60は、動力性能や燃費向上などのために、エンジン24を効率のよい作動域で作動させる一方で、エンジン24と第2電動機MG2との駆動力の配分や第1電動機MG1の発電による反力を最適になるよう制御する。
例えば、ハイブリッド駆動制御手段60は、予め記憶された駆動力マップから運転者の出力要求量としてのアクセル操作量や車速などに基づいて目標駆動力関連値例えば要求出力軸トルクTR(要求駆動トルクに相当)を決定し、その要求出力軸トルクTRから充電要求値等を考慮して要求出力軸パワーを算出し、その要求出力軸パワーが得られるように伝達損失、補機負荷、第2電動機MG2のアシストトルクや自動変速機22の変速段等を考慮して目標エンジンパワーを算出し、例えばエンジン回転速度とエンジントルクとで構成される二次元座標内において運転性と燃費性とを両立するように予め実験的に求められて記憶されたエンジンの最適燃費率曲線(燃費マップ、関係)に沿ってエンジン24を作動させつつ上記目標エンジンパワーが得られるエンジン回転速度とエンジントルクとなるように、エンジン24を制御すると共に第1電動機MG1の発電量を制御する。
ハイブリッド駆動制御手段60は、第1電動機MG1により発電された電気エネルギをインバータ30、40を通して蓄電装置32や第2電動機MG2へ供給するので、エンジン24の動力の主要部は機械的に出力軸14へ伝達されるが、エンジン24の動力の一部は第1電動機MG1の発電のために消費されてそこで電気エネルギに変換され、インバータ30、40を通してその電気エネルギが第2電動機MG2へ供給され、その第2電動機MG2が駆動されて第2電動機MG2から出力軸14へ伝達される。この電気エネルギの発生から第2電動機MG2で消費されるまでに関連する機器により、エンジン24の動力の一部を電気エネルギに変換し、その電気エネルギを機械的エネルギに変換するまでの電気パスが構成される。なお、ハイブリッド駆動制御手段60は、電気パスによる電気エネルギ以外に、蓄電装置32からインバータ40を介して直接的に電気エネルギを第2電動機MG2へ供給してその第2電動機MG2を駆動することが可能である。
また、ハイブリッド駆動制御手段60は、車両の停止中又は走行中に拘わらず、遊星歯車装置26の差動作用によって第1電動機MG1を制御してエンジン回転速度を略一定に維持したり任意の回転速度に回転制御させられる。言い換えれば、ハイブリッド駆動制御手段60は、エンジン回転速度を略一定に維持したり任意の回転速度に制御しつつ第1電動機MG1を任意の回転速度に回転制御することができる。
また、ハイブリッド駆動制御手段60は、スロットル制御のためにスロットルアクチュエータにより電子スロットル弁を開閉制御させる他、燃料噴射制御のために燃料噴射装置による燃料噴射量や噴射時期を制御させ、点火時期制御のためにイグナイタ等の点火装置による点火時期を制御させる指令を単独で或いは組み合わせて図示しないエンジン出力制御装置に出力して、必要なエンジン出力を発生するようにエンジン24の出力制御を実行するエンジン出力制御手段を機能的に備えている。
エンジン始動制御手段62は、例えば予め設定されている車両の走行モードを切り替えるための図示しない走行モード切替マップに基づいて、第2電動機MG2によるモータ走行モードからエンジン24によるエンジン走行モードへの切替を判断すると、エンジン24の回転速度Neを第1電動機MG1および第2電動機MG2の制御によって電気的に引き上げ、エンジン回転速度Neが予め設定されている点火可能回転速度Nigまで上昇すると、燃料噴射装置による燃料噴射制御を実施すると共に、点火装置による点火時期制御を実施することで、エンジン24を始動させるエンジン始動処理を実施する。なお、走行モード切替マップは、例えば車速Vとアクセルペダル27の操作量に相当するアクセル開度Accとからなる2次元マップから成り、上記に基づいて第2電動機MG2によるモータ走行領域とエンジン24によるエンジン走行領域とに領域分けされている。例えば、比較的低車速、低駆動力領域(低アクセル開度領域)では、モータ走行領域とされ、中・高車速、中・高駆動力領域(中・高アクセル開度領域)では、エンジン走行領域とされている。
したがって、例えば車両発進時や軽負荷走行時では、第2電動機M2によるモータ走行が実施され、その状態から加速走行されるなどすると、モータ走行モードからエンジン走行モードへ切り替えられる。このような場合、エンジン始動制御手段62によるエンジン始動処理が実施される。また、蓄電装置32の充電容量SOCが予め設定されている下限容量を下回ると、現在の走行状態がモータ走行モード領域内にあっても、エンジン始動制御手段62は、エンジン24の始動処理を実施する。
図5は、エンジン始動制御手段62によるエンジン始動制御(エンジン始動処理)を実施した際の遊星歯車装置26の各回転要素の回転状態を示す共線図である。なお、図5の共線図の基本的な構成は、上述した図2の共線図と同様であるため、詳しい説明を省略する。ここで、実線が第2電動機MG2によるモータ走行時の回転状態を示している。第2電動機MG2によって駆動される場合、第2電動機MG2の回転が自動変速機22を介して減速されて出力軸14に伝達される。したがって、出力軸14(リングギヤR0)が回転駆動させられる。そして、第1電動機MG1(サンギヤS0)が無負荷状態とされるなどして、逆回転(負回転)させられることで、エンジン24(CA0)が零回転に維持される。この状態で、エンジン始動処理が開始されると、破線に示すように、出力軸14(リングギヤR0)の回転が維持された状態で、第1電動機MG1が正の方向に回転駆動させられる。これに伴い、遊星歯車装置26の差動作用によってキャリヤCA0の回転速度すなわちエンジン回転速度Neが引き上げられる。そして、エンジン回転速度Neが点火可能回転速度Nigまで引き上げられると、エンジン24の燃料噴射制御および点火時期制御が実施されることで、エンジン24が始動される。ここで、第1電動機MG1によるエンジン回転引き上げの際、出力軸14の回転速度を維持するための反力トルクが第2電動機MG2から伝達される。この第2電動機MG2から発生させられた反力トルクが出力軸14から遊星歯車装置26(リングギヤR0)へ伝達されることにより、第1電動機MG1によるエンジン回転速度Neの引き上げが可能となる。なお、反力トルクは、例えば出力軸14の回転速度Noutが変化しないように、その大きさが第2電動機MG2の出力トルクTmg2によって制御される。したがって、エンジン24を始動させる際には、第1電動機MG1および第2電動機MG2によってエンジン回転速度Neを引き上げる制御が実施される。なお、第2電動機MG2によって反力トルクを遊星歯車装置26へ伝達する際には、自動変速機22が動力伝達状態とされることで、第2電動機MG2から遊星歯車装置26(リングギヤR0)への動力伝達が可能となる。
変速制御手段66は、例えば図6に示す予め記憶された変速線図(変速マップ)から、車速Vに対応する出力軸回転速度Noutおよび要求駆動力(例えば予め記憶された駆動力マップからアクセル操作量や車速などに基づいて前記ハイブリッド駆動制御手段60により決定された目標駆動力)に対応する要求出力軸トルクTRに基づいて自動変速機22の変速を判断し、その判断結果に基づいて決定した変速段に切り換えるように第1ブレーキB1および第2ブレーキB2を制御する変速処理を実施する。図6において、実線は低速段Loから高速段Hiへ切り換えるアップシフト線(アップ線)であり、一点鎖線は高速段Hiから低速段Loへ切り換えるダウンシフト線(ダウン線)であって、アップシフトとダウンシフトとの間に所定のヒステリシスが設けられている。これらの実線および一点鎖線で示す変速線は変速規則に相当するものであり、これ等の変速線に従って変速が行われる。すなわち、変速制御手段66は、図6に示す変速線図に基づいて自動変速機22の変速を判断する変速判断手段を機能的に備えている。
そして、前記変速制御手段66は、前記決定した変速段に切り換えるための変速指令を自動変速機22の油圧制御回路50へ出力する。油圧制御回路50は、その変速指令に従って、図示しない油圧制御回路に備えられるリニヤソレノイド弁を駆動して第1ブレーキB1および第2ブレーキB2のそれぞれの作動状態を切り換える。
例えば、低速段Lo(第2ブレーキB2係合)で走行中に、車両の走行状態がアップシフト線を通過すると、第2ブレーキB2が開放されると共に、第1ブレーキB1が係合される変速制御が実施される。また、高速段Hi(第1ブレーキ係合)で走行中に、車両の走行状態がダウンシフト線を通過すると、第1ブレーキB1が開放されると共に、第2ブレーキB2が係合される変速制御が実施される。
また、アクセルペダル27の踏み込みに伴って、図6に示すように走行状態がa状態からb状態変化してダウンシフト線を通過すると、高速段Hiから低速段Loへのダウンシフト制御、所謂キックダウン制御が開始される。このとき、本実施例の変速制御手段62は、自動変速機22の動力伝達経路を遮断した状態で、第2サンギヤS2に連結されている自動変速機22の入力軸64(図1参照)の回転速度Nin(以下、入力軸回転速度Nin)を、第2電動機MG2を制御することにより変速後の回転速度に同期させる回転同期制御を実行する。
第2電動機MG2による回転同期制御について説明する。第2電動機MG2による回転同期制御では、変速期間内において開放側摩擦係合装置(ダウンシフト時において第1ブレーキB1)を急激に低下させて開放することで、自動変速機22の伝達トルク容量を所定値以下、具体的には、自動変速機22をニュートラル状態(動力伝達遮断状態)とした状態で、自動変速機22の入力軸回転速度Ninが自動変速機22の変速後に設定される目標同期回転速度Npとなるように第2電動機MG2の回転速度Nmg2が同期制御される。具体的には、入力軸回転速度Nin(第2電動機回転速度Nmg2)と目標同期回転速度Npとの偏差δを逐次算出し、算出された偏差δに基づいて、第2電動機MG2の出力トルクTmg2がフィードバック制御される。これに従い、入力軸回転速度Nin(第2電動機回転速度Nmg2)が目標同期回転速度Npに追従するように変化する。なお、目標同期回転速度Npは、変速後の自動変速機22のギヤ比と出力軸14の回転速度Noutとの積で算出される。そして、回転同期制御が終了すると、自動変速機22の変速後に係合される係合側摩擦係合装置(ダウンシフト時において第2ブレーキB2に相当)の係合油圧が急激に引き上げられて係合されると変速が終了する。
ところで、エンジン始動制御手段62によるエンジン始動処理(エンジン始動制御)中に、自動変速機22の変速判断が為されたとき、エンジン24のエンジン始動処理と自動変速機22の変速処理(変速制御)とが同時に実施されると、変速過渡期に第2電動機MG2と遊星歯車装置26との動力伝達経路が遮断されるので、遊星歯車装置26への第2電動機MG2の反力トルクの伝達が不可能となる。したがって、エンジン始動処理が不可能となるため、エンジン始動制御手段62実施中は変速制御手段66の実施が制限される。そして、エンジン24のエンジン始動処理が終了すると、変速制御手段66が実施される。
上記のように、エンジン始動処理中に自動変速機22の変速判断がされた場合、エンジン始動処理終了後に変速処理(変速制御)が実施されるが、自動変速機22の変速時間が長くなってドライバビリティが低下する問題がある。具体的には、変速制御手段66による変速では、変速の際に開放される側の摩擦係合装置(ダウンシフトではブレーキB1)の油圧が一気に排圧されるが、エンジン始動制御が終了するまでの間は排圧されず、油圧が保持される。そして、エンジン始動処理が終了すると摩擦係合装置の油圧が排圧されるが、実際に油圧が完全に排圧されるのには油圧の大きさに比例して時間がかかる。したがって、自動変速機22の変速時間が長くなり、加速時のもたつきなどドライバビリティが低下する。
これに対して、本実施例では、エンジン始動処理中に自動変速機22の変速判断が為されると、自動変速機22の変速の際に開放される側の摩擦係合要素の油圧を第2電動機MG2の出力トルクTmg2に相当する油圧に制御することで、変速時間を短縮化してドライバビリティを向上させる。以下、上記制御について説明する。
開放側油圧制御手段68は、エンジン始動制御手段62の実施中において、変速の際に開放される側の摩擦係合要素の油圧を制御する。なお、以下の説明では、図6に示したa状態からb状態への変速すなわち高速段Hi(第1ブレーキB1係合、第2ブレーキB2開放)から低速段Lo(第1ブレーキB1開放、第2ブレーキB2係合)へのダウン変速を一例にして説明する。
エンジン始動制御手段62の実施中に、車両の走行状態が図6に示すa状態からb状態へ移動することで、変速制御手段66(変速判断手段)によって自動変速機22が高速段Hiから低速段Loへのダウン変速が判断されると、エンジン始動制御手段62は、変速制御手段66による変速処理を制限(禁止)し、開放側油圧制御手段68に対して変速時に開放される摩擦係合要素の油圧を制御する指令を出力する。上記指令を受けて、開放側油圧制御手段68は、変速時に開放される摩擦係合要素の油圧を第2電動機MG2の出力トルクTmg2に応じた油圧に制御する。なお、本実施例のダウン変速において、開放される摩擦係合要素は第1ブレーキB1であるので、開放側油圧制御手段68は、制御対象として第1ブレーキB1の油圧を制御することとなる。したがって、本実施例の第1ブレーキB1が、本発明の変速時において開放される開放側摩擦係合装置に対応しており、ブレーキB1の油圧PB1が本発明の開放側油圧に対応している。
開放側油圧制御手段68は、第2電動機MG2の出力トルクTmg2を検出し、その出力トルクTmg2に応じて第1ブレーキB1の油圧PB1を制御する。ここで、第2電動機MG2の出力トルクTmg2は、モータトルク検出手段70によって逐次検出される。モータトルク検出手段70は、第2電動機MG2の出力トルクTmg2を、例えばインバータ40によって制御される第2電動機MG2への供給電力(供給電流)に基づいて逐次検出する。
開放側油圧制御手段68は、モータトルク検出手段70によって検出された第2電動機MG2の出力トルクTmg2に基づいて、第1ブレーキB1の目標油圧PB1*を逐次設定する。なお、出力トルクTmg2に対する目標油圧PB1*は、予め実験或いは計算によって求められており、例えば関係マップ等で記憶されている。具体的には、目標油圧PB1*は、第2電動機MG2の出力トルクTmg2が自動変速機22を介して出力軸14(遊星歯車装置26)に伝達可能となる油圧、すなわち第1ブレーキB1が滑らないで出力トルクTmg2を伝達することができる程度にトルク容量を有する油圧であって、且つ、その油圧がその範囲での必要最小限の値またはそれと略同等の油圧に設定されている。例えば、本実施例において、完全係合時の油圧PB1が元圧(ライン圧PL)であるとすると、その元圧よりも低い値となる。開放側油圧制御手段68は、油圧PB1が設定された目標油圧PB1*となるように、変速制御手段66を介して油圧制御回路50を制御して、油圧PB1を逐次制御する。
上記のように第1ブレーキB1の油圧PB1が制御されると、油圧PB1が通常よりも低い状態でエンジン始動制御が実施されることとなる。なお、上記通常の状態とは、第1ブレーキB1が完全係合されている状態に相当する。この状態でエンジン始動制御が実施されても、第2電動機MG2の出力トルクTmg2は自動変速機22を介して出力軸14(遊星歯車装置26)へ伝達されるようにに油圧PB1が制御されているので、エンジン始動制御時にショックを生じることなくエンジン回転速度Neが引き上げられる。そして、エンジン始動処理が終了すると、自動変速機22の変速処理(変速制御)が開始され、第1ブレーキB1の油圧PB1の排圧が開始されるが、開放側油圧制御手段68によって予め油圧PB1が低下されているので、通常よりも排圧に要する時間が短くなる。したがって、変速時間が短くなりドライバビリティが向上する。
図7は、電子制御装置28の制御作動の要部すなわちエンジン24の始動処理中に自動変速機22の変速が判断されたとき、変速時間を短縮化することで、ドライバビリティを向上する制御作動を説明するフローチャートであって、例えば数msec乃至数十msec程度の極めて短いサイクルタイムで繰り返し実行されるものである。また、図8は、エンジン24の始動制御中に自動変速機22の変速が判断された場合における、電子制御装置28による作動状態を説明するタイムチャートである。
図7において、変速制御手段66(変速判断手段)に対応するステップSA1(以下、ステップを省略)において、例えば図6に示す変速線図に基づいて自動変速機22の変速が判断されたか否かが判定される。SA1が否定されると、本制御が終了させられる。SA1が肯定されると、エンジン始動制御手段62に対応するSA2において、SA1の変速判断時において、エンジン始動処理(エンジン始動制御)が実行中であるか否かが判定される。SA2が否定されると、変速制御手段66に対応するSA4において、従来の自動変速機22の変速制御が実行される。具体的には、エンジン始動処理が実施されないので、第1ブレーキB1の油圧PB1の排圧が開始され、油圧PB1が完全に排圧されると、第2電動機MG2による回転同期制御が実施される。一方、SA2が肯定されると、開放側油圧制御手段68に対応するSA3において、エンジン始動処理中の開放側油圧に対応する第1ブレーキB1の油圧PB1が第2電動機MG2の出力トルクTmg2に対応する目標油圧PB1*となるように制御される。なお、上記目標油圧PB1*は、第1ブレーキB1の完全係合時の油圧に比べても低くなっており、エンジン始動処理が終了すると、油圧PB1の排圧が開始されるが、予め第1ブレーキB1の油圧PB1が目標油圧PB1*と従来よりも低く制御されているので、変速時間が短くなる。
図8について説明すると、アクセルペダルの踏み込み(アクセル開度増加)に伴ってt1時点において、エンジン始動制御手段62によるエンジン始動制御が開始される。これより、図5に示すように遊星歯車装置26が制御され、第1電動機MG1の回転速度引き上げに伴って、エンジン回転速度Neが上昇させられる。このとき、第1電動機MG1の回転速度を引き上げるために第1電動機MG1の出力トルクTmg1が増加する。また、遊星歯車装置26の出力軸14(リングギヤR0)の回転速度を維持するために必要となる反力トルクが第2電動機MG2から出力される。したがって、第2電動機MG2の出力トルクTmg2も同様に増加する。次いで、t2時点において、高速段Hiから低速段Loへのダウン変速判断が為されると、エンジン始動制御を優先させるため、自動変速機22の変速処理(変速制御)が制限(禁止)制限される。これに伴い、t2時点〜t3時点において、変速処理が制限された状態でエンジン始動処理が継続して実施される。このとき、開放側油圧制御手段68が実施されるに伴い、実線(油圧指令値)で示すように、第1ブレーキB1の油圧PB1が第2電動機MG2の出力トルクTmg2に基づいて通常よりも低下した目標油圧PB1*に制御される。なお、従来では、一点鎖線で示すように、第1ブレーキB1の油圧PB1が完全係合された状態のまま維持される。なお、実線に示す油圧は油圧指令値であるので、実際の油圧は油圧指令値に対して破線で示すように、所定時間の遅れが生じる。
t3時点において、エンジン回転速度Neが点火可能回転速度Nigまで引き上げられると、エンジン24の自律運転が開始されるに伴い、エンジン始動処理が終了する。したがって、第1電動機MG1の出力トルクTmg1および第2電動機MG2の出力トルクTmg2のトルク制御が終了する。これに併せて制限されていた自動変速機22の変速処理(変速制御)が開始される。これより、t3時点では、開放側油圧である第1ブレーキB1の油圧PB1が実線に示すよう低下させられる。なお、実際には油圧の応答遅れに伴って破線に示すように油圧が変化して遅れが生じるに伴って、第1ブレーキB1の油圧PB1が完全に抜けるまでの待ち時間td1が発生する。したがって、待ち時間td1経過した後、t4時点において、第2電動機MG2による回転同期制御が開始される。なお、回転同期制御時において目標となる回転速度は、自動変速機22の低速段Loのギヤ比および車速Vに相当する出力軸回転速度Noutに基づいて算出される。そして、例えば現在の第2電動機MG2の回転速度Nmg2と目標となる目標回転速度Nmg2*との偏差に基づくフィードバック制御が実行される。また、t5時点において、第2電動機MG2の回転速度Nmg2が目標となる目標回転速度Nmg2*に同期されると、二点鎖線で示すように、係合側摩擦係合装置に相当する第2ブレーキB2の係合油圧PB2が例えばライン圧PLまで増圧されて変速が完了する。
ここで、従来においては、一点鎖線で示すように、t3時点においてエンジン始動制御が終了すると、第1ブレーキB1の油圧PB1が排圧されるが、第1ブレーキB1が完全係合された状態からの排圧であるので、第1ブレーキB1が完全に排圧されるまでの待ち時間がtd2となり、本実施例と比べても待ち時間が長くなる。これに対して、本実施例では、従来と比べて待ち時間が短くなる(td1<td2)ので、変速時間が短くなりドライバビリティが向上する。
上述のように、本実施例によれば、エンジン始動処理中に自動変速機22の変速判断が為されると、自動変速機22の変速処理時において開放される第1ブレーキB1の油圧PB1が第2電動機MG2の出力トルクTmg2に相当する油圧に制御されるものである。このようにすれば、エンジン始動時において必要となる第2電動機MG2による反力トルクが自動変速機22を介して遊星歯車装置26に伝達されるので、エンジン24の始動処理が好適に実施される。そして、エンジ24ンの始動処理が終了すると、油圧PB1の油圧を排圧する制御が実施されるが、油圧PB1が第2電動機MG2の出力トルクTmg2に相当する油圧とされているので、通常の油圧よりも低くなっており、油圧PB1の油圧が完全に排圧される時間が通常よりも短くなる。したがって、変速時間が短くなり、ドライバビリティが向上する。
また、本実施例によれば、遊星歯車装置26は、シングルピニオン型の遊星歯車装置で構成され、サンギヤS0が第1電動機MG1に連結され、キャリヤCA0がエンジン24に動力伝達可能に連結され、リングギヤR0が出力軸14に連結されているため、第1電動機MG1を回転駆動させると共に、第2電動機MG2の反力トルクをリングギヤR0に伝達することで、キャリヤCA0に連結されてるエンジン24が回転駆動させられる。したがって、エンジンの回転を点火可能回転速度まで引き上げることができ、エンジン24の始動が可能となる。
また、本実施例によれば、自動変速機22のダウン変速の際には、油圧PB1を急激に低下させ、第2電動機MG2の回転速度Nmg2を変速後に設定される目標回転速度Nmg2*に同期させる回転同期制御が実施されるので、油圧PB1が完全に抜けて第1ブレーキB1が開放されるまでの時間が短くなると、変速時間が短くなる。したがって、本発明によって油圧PB1が通常よりも低い状態から変速が開始されるので、油圧PB1が完全に抜けるまでの時間が短くなるに従い、変速時間が短くなる。
また、前述の実施例によれば、第2電動機MG2の出力トルクTmg2に相当する油圧とは、第2電動機MG2の出力トルクTmg2が遊星歯車装置26に伝達可能となるトルク容量が確保される油圧であり、予め実験や計算によって求められた出力トルクに対する油圧の関係マップに基づいて設定される。このようにすれば、第2電動機MG2の出力トルクTmg2に応じて油圧PB1が設定され、自動変速機22を介して第2電動機MG2の出力トルクTmg2が遊星歯車装置26へ伝達される。
つぎに、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の説明において前述の実施例と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
図9は、本発明の他の実施例における電子制御装置28の制御作動の要部すなわちエンジン24の始動制御中に自動変速機22の変速が判断されたとき、変速時間を短縮化することで、ドライバビリティを向上する制御作動を説明する他のフローチャートである。また、図10は、エンジン24の始動制御中に自動変速機22の変速が判断された場合における、電子制御装置28による作動状態を説明するタイムチャートであり、図9のフローチャートに対応するものである。
図9においては、前述した図7のフローチャートのステップSA3がSB3に変更された以外は図7と同様であるため、ステップSB3について説明する。SA2が肯定される、すなわちエンジン始動処理中に自動変速機22の変速判断が為されると、開放側油圧制御手段68に対応するSB3において、自動変速機22の変速において開放される側の摩擦係合装置である第1ブレーキB1の油圧PB1が後述するエンジン24の始動に必要とされる最大トルクTmaxに相当する油圧に制御される。
本実施例において、開放側油圧制御手段68は、開放される側の摩擦係合装置である第1ブレーキB1の油圧PB1を、エンジン24の始動に必要とされる第2電動機MG2の最大トルクTmaxに相当する予め設定された目標油圧PB1*に制御する。この目標油圧PB1*は、第2電動機MG2の最大トルクTmaxが出力されても第1ブレーキB1を滑らせないように必要且つ十分な値に設定される。また、上記最大トルクTmaxは、例えば車速Vやエンジン油温などの車両の走行状態を考慮してエンジン始動時に必要とされる第2電動機MG2の最大トルクTmaxであり、予め実験的に求められる。開放側油圧制御手段68は、油圧PB1が前記最大トルクTmaxに相当する目標油圧PB1*となるように油圧制御回路50に油圧制御指令を出力する。なお、第2電動機MG2の最大トルクTmaxは、エンジン始動時に必要とされる最大トルクであって、第2電動機MG2の定格的に定められている最大トルクとは異なるものである。
上記より、ステップSB3において、第1ブレーキB1の油圧PB1がエンジン24の始動に必要とされる最大トルクTmaxに相当する目標油圧PB1*に制御される。したがって、エンジン始動制御の際に自動変速機22の伝達可能なトルクが第2電動機MG2の出力トルクTmg2よりも低くなることが確実に防止され、エンジン始動制御時のショック等が防止される。具体的には、前述の実施例では、第1ブレーキB1の油圧PB1が第2電動機MG2の出力トルクTmg2に応じて設定されるが、出力トルクTmg2の変動にあわせて油圧PB1が変動することとなる。ここで、実際の油圧(実油圧)は、油圧指令値に対して応答遅れがあるので、実油圧と油圧指令値との差が大きくなると、出力トルクTmg2が自動変速機22の伝達可能なトルクよりも大きくなり、第2電動機MG2の回転速度Nmg2が意図せず変動してショック等が発生する可能性がある。これに対して、油圧PB1が最大トルクTmaxに相当する目標油圧PB1*に制御されると、自動変速機22が伝達可能なトルクが出力トルクTmg2よりも常時大きくなるので、ショック発生が確実に防止される。
上記のように制御されると、図10に示すように、第2電動機MG2の出力トルクTmg2が車両の走行状態を考慮してエンジン始動時に必要とされる最大トルクTmaxに設定されており、実線で示すように、油圧PB1がその最大トルクTmaxに相当する目標油圧PB1*に制御される。そして、t3時点においてエンジン始動処理が終了すると、第1ブレーキB1の油圧PB1が完全に排圧されるまでの待ち時間td3が発生する。上記待ち時間td3は、前述した実施例の待ち時間td1よりは長くなるものの、従来の待ち時間td2に比べて短くなる。したがって、従来に比べて変速時間が短くなると共に、エンジン始動制御時に発生するショックが確実に防止される。そして、待ち時間td3経過した後、t4’時点において、第2電動機MG2による回転同期制御が開始される。さらに、t5’時点において、第2電動機MG2の回転同期制御が終了すると、二点鎖線で示すように、係合側の摩擦係合装置に相当する第2ブレーキB2の係合油圧PB2が例えばライン圧PLまで増圧されて変速が完了する。
上述のように、本実施例によれば、エンジン始動処理中に自動変速機22の変速判断が為されると、自動変速機22の変速時において開放される第1ブレーキB1の油圧PB1がエンジン24の始動に必要な第2電動機MG2の最大トルクTmaxに相当する目標油圧PB1*に制御されるものである。このようにすれば、エンジン始動時において必要となる第2電動機MG2による反力トルクが自動変速機22を介して遊星歯車装置26に伝達されるので、エンジン24の始動処理が好適に実施される。そして、エンジン24の始動処理が終了すると、油圧PB1を排圧する制御が実施されるが、油圧PB1がエンジン24の始動に必要とされる最大トルクTmaxに相当する油圧とされているので、通常の油圧よりも低くなっており、油圧のPB1油圧を完全に排圧する時間が通常よりも短くなる。したがって、変速時間が短くなり、ドライバビリティが向上する。また、油圧油圧PB1がエンジン24の始動に必要とされる最大トルクTmaxに相当する油圧とされるので、第2電動機MG2のトルクTmg2が自動変速機22の伝達可能なトルクを越えることが確実に防止され、第2電動機MG2の回転が意図しない回転速度に変化するなどしてショックが発生することが確実に防止される。
また、本実施例によれば、エンジン247の始動に必要とされる最大トルクTmaxに相当する油圧とは、車両の走行状態に応じて変化するエンジン始動に必要な第2電動機MG2の最大トルクTmaxが伝達可能なる油圧であり、予め実験や計算によって求められて記憶されている。このようにすれば、第2電動機MG2の出力トルクTmg2が第1ブレーキB1の許容するトルク容量を越えることがないので、第2電動機MG2の回転速度Nmg2が意図しない回転速度に変化するなどしてショックが発生することが確実に防止される。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例のハイブリッド車両用動力伝達装置10は、2段変速が可能な自動変速機22であったが、自動変速機22の変速段は2段変速に限定されず、3段以上の変速が可能な自動変速機22であっても本発明を適用することができる。
また、前述の実施例では、キックダウン変速時において、本発明が適用されているが、必ずしもキックダウン変速に限定されず、アップ変速時においても本発明が適用されても構わない。要するに、変速時において電動機による回転同期制御が実施される変速処理(変速制御)であれば、本発明を適用することができる。
また、前述の実施例では、開放側油圧制御手段68は、変速制御手段66を介して、油圧制御回路50に油圧指令を出力しているが、変速制御手段66を介さず、直接に油圧制御回路50に油圧指令を出力するものであっても構わない。
また、前述の実施例において、図7および図9に示すステップSA1およびSA2を逆にして実施しても構わない。
また、前述の実施例において、第1ブレーキB1および第2ブレーキB2が完全係合されるときの油圧は、それぞれ元圧(ライン圧PL)としたが、必ずしもライン圧PLとする必要はなく、ライン圧PL以下の油圧であっても構わない。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:ハイブリッド車両用動力伝達装置
14:車輪側出力軸(出力軸)
22:自動変速機(変速機)
24:エンジン
26:遊星歯車装置(差動機構)
28:電子制御装置
MG1:第1電動機(差動用電動機)
MG2:第2電動機(電動機)
B1:第1ブレーキ(開放側摩擦係合装置)
S0:サンギヤ
CA0:キャリヤ
R0:リングギヤ
PB1:第1ブレーキの油圧(開放側油圧)
Tmg2:第2電動機の出力トルク(電動機の出力トルク)
Tmax:最大トルク(エンジンの始動に必要とされる最大トルク)
14:車輪側出力軸(出力軸)
22:自動変速機(変速機)
24:エンジン
26:遊星歯車装置(差動機構)
28:電子制御装置
MG1:第1電動機(差動用電動機)
MG2:第2電動機(電動機)
B1:第1ブレーキ(開放側摩擦係合装置)
S0:サンギヤ
CA0:キャリヤ
R0:リングギヤ
PB1:第1ブレーキの油圧(開放側油圧)
Tmg2:第2電動機の出力トルク(電動機の出力トルク)
Tmax:最大トルク(エンジンの始動に必要とされる最大トルク)
Claims (4)
- エンジンに動力伝達可能に連結されて差動状態が電気的に制御される差動機構と、該差動機構の出力軸に変速機を介して動力伝達可能に連結される電動機とを備え、前記エンジンを始動させる際には、該電動機によって反力トルクを発生させた状態で該エンジンの回転速度を点火可能な回転速度まで引き上げるエンジン始動処理が実施されるハイブリッド車両用動力伝達装置の制御装置であって、
前記エンジン始動処理中に前記変速機の変速判断が為されると、前記変速機の変速時において開放される開放側摩擦係合装置の開放側油圧が前記電動機の出力トルクに相当する油圧に制御されることを特徴とするハイブリッド車両用動力伝達装置の制御装置。 - エンジンに動力伝達可能に連結されて差動状態が電気的に制御される差動機構と、該差動機構の出力軸に変速機を介して動力伝達可能に連結される電動機とを備え、前記エンジンを始動させる際には、該電動機によって反力トルクを発生させた状態で該エンジンの回転速度を点火可能な回転速度まで引き上げるエンジン始動処理が実施されるハイブリッド車両用動力伝達装置の制御装置であって、
前記エンジン始動処理中に前記変速機の変速判断が為されると、前記変速機の変速時において開放される開放側摩擦係合装置の開放側油圧が前記エンジンの始動に必要とされる前記電動機の最大トルクに相当する油圧に制御されることを特徴とするハイブリッド車両用動力伝達装置の制御装置。 - 前記差動機構は、シングルピニオン型の遊星歯車装置で構成され、
サンギヤが差動用電動機に連結され、キャリヤが前記エンジンに動力伝達可能に連結され、リングギヤが前記出力軸に連結されていることを特徴とする請求項1または2のハイブリッド車両用動力伝達装置の制御装置。 - 前記変速機の変速の際には、前記開放側摩擦係合装置が開放された状態で、前記電動機の回転速度を変速後に設定される目標回転速度に同期させる回転同期制御が実施されることを特徴とする請求項3のハイブリッド車両用動力伝達装置の制御装置。
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JP2009129485A JP2010274788A (ja) | 2009-05-28 | 2009-05-28 | ハイブリッド車両用動力伝達装置の制御装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2009
- 2009-05-28 JP JP2009129485A patent/JP2010274788A/ja active Pending
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