JP2010246407A - 油脂製造システム及び油脂製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】少ない環境負荷で油脂を製造可能な油脂製造システム及び油脂製造方法を提供する。
【解決手段】微生物を分解する分解装置4と、分解された微生物を栄養源として、従属栄養性藻類を培養する培養装置6と、従属栄養性藻類から油脂を抽出する抽出装置7と、を備える油脂製造システムを提供する。また、微生物を分解することと、分解された微生物を添加して、従属栄養性藻類を培養することと、従属栄養性藻類から油脂を抽出することと、を含む、油脂製造方法を提供する。
【選択図】図1
【解決手段】微生物を分解する分解装置4と、分解された微生物を栄養源として、従属栄養性藻類を培養する培養装置6と、従属栄養性藻類から油脂を抽出する抽出装置7と、を備える油脂製造システムを提供する。また、微生物を分解することと、分解された微生物を添加して、従属栄養性藻類を培養することと、従属栄養性藻類から油脂を抽出することと、を含む、油脂製造方法を提供する。
【選択図】図1
Description
本発明は、環境技術に係り、より詳細には、油脂製造システム及び油脂製造方法に関する。
自治体等の下水処理施設において、有機性排水を処理する際、活性汚泥法が採用されている(例えば、特許文献1参照。)。活性汚泥法を用いることにより、下水は、上澄み液と余剰汚泥とに分離される。近年、下水処理施設で発生する余剰汚泥の量は、日本国内で年間4億トンに達している。余剰汚泥の8割は、現在、焼却処理されており、焼却処理によって生じた灰の2/3がセメントや建築資材に利用され、1/3が港湾の埋め立てや緑農地に使用されている。
しかし、余剰汚泥を通常の脱水処理した場合の含水率は約80乃至90%あり、余剰汚泥の焼却処理には、大量の重油や天然ガス等の化石燃料を必要とする。そのため、大量の二酸化炭素(CO2)が排出され、環境への負荷が多い。さらに港湾への埋め立ても、海洋生物への負担が大きいという問題がある。
そこで、本発明は、余剰汚泥等に含まれる微生物を用いて、少ない環境負荷で油脂を製造可能な油脂製造システム及び油脂製造方法を提供することを目的の一つとする。
本発明の態様は、微生物を分解する分解装置と、分解された微生物を栄養源として、従属栄養性藻類を培養する培養装置と、従属栄養性藻類から油脂を抽出する抽出装置と、を備える油脂製造システムであることを要旨とする。
本発明の他の態様は、微生物を分解することと、分解された微生物を栄養源として、従属栄養性藻類を培養することと、従属栄養性藻類から油脂を抽出することと、を含む油脂製造方法であることを要旨とする。
本発明によれば、少ない環境負荷で油脂を製造可能な油脂製造システム及び油脂製造方法を提供可能である。
以下、図面を用いて、本発明の実施の形態を説明する。但し、図面は模式的なものである。したがって、具体的な寸法等は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
実施の形態に係る油脂製造システムは、図1に示すように、微生物を分解する分解装置4と、分解された微生物を栄養源として、従属栄養性藻類を培養する培養装置6と、従属栄養性藻類から油脂を抽出する抽出装置7と、を備える。なお、「従属栄養性藻類」とは、発育及び増殖の際に、炭素源として糖、脂肪酸、及びアミノ酸等の有機化合物を必要とする藻類である。
実施の形態に係る油脂製造システムは、調整槽1をさらに備える。調整槽1には、排水が溜められる。後述する曝気槽2において活性汚泥がよりよく働くよう、調整槽1において、排水の有機物濃度、窒素成分、及び燐成分等の栄養素が適正化される。また、調整槽1において、排水の組成変動が抑制される。排水は、少量の食塩、燐化合物、及び窒素化合物等を含みうる。排水は、下水処理場へ搬送される下水であってもよいし、食品産業や化学産業等のあらゆる産業から排出される産業排水であってもよい。さらに、排水は、従属栄養性藻類の炭素源及び窒素源を含みうる。
例えば排水は、炭素源として、ガラクトース、グルコース、フルクトース、キシロース、サッカロース、マルトース、可溶性デンプン、フコース、グルコサミン、及びデキストラン等の炭水化物を含みうる。さらに、排水は、炭素源として、菜種油、オレイン酸、及びダイズ油等の油脂類や、エタノール等のアルコール類や、グルタミン酸、糖蜜、グリセロール、マンニトール、乳酸、酢酸及び酢酸ナトリウム等を含みうる。
またさらに、排水は、天然窒素源として、ペプトン、酵母エキス、麦芽エキス、肉エキス、カザミノ酸、ペプトン、廃糖蜜、及びコーンスティープリカー等を含みうる。さらにまた排水は、有機窒素源として、グルタミン酸ナトリウム、及び尿素等を含み、無機窒素源として、酢酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、及び硫酸ナトリウム等を含みうる。
加えて、排水は、リン酸カリウム及びリン酸二水素カリウム等のリン酸塩や、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸鉄、硫酸銅、塩化ナトリウム、及び塩化カルシウム等の無機塩や、ビタミン類も含みうる。さらに排水は、カドミウム、シアン、有機燐、鉛、六価クロム、砒素、総水銀、アルキル水銀、ポリ塩化ビフェニル、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエチレン、シス−1,2−ジクロロエチレン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,3−ジクロロプロペン、チウラム、シマジン、チオベンカルブ、ベンゼン、セレン、ホウ素、及びフッ素等の少量の有害物質も含みうる。
調整槽1には、配管11を介して、曝気槽2が接続されている。調整槽1に溜められた排水は、配管11を経て曝気槽2に運搬される。曝気槽2には、活性汚泥が存在する。活性汚泥には、細菌、カビ類、原生生物、輪虫類、線虫類、及び後生生物等の微生物が含まれている。より具体的には、活性汚泥には、例えば、Herpetomonas sp、Monas sp.、小形のAmoeba sp.、Trochilioides sp.、Chilodonella sp.、Uroleptus sp.、Oxylricha sp.、Euplotes sp.、Aspidisca sp.、Vorticella sp.、Opercularia sp.、Tokophrya sp.、Podophrya sp.、Acineta sp.、Rotaria sp.、Philodina sp.、Lecane sp.、Nematada sp.、Arcella sp.、Amoeba proteus、Peranema sp.等が含まれている。曝気槽2においては、好気的条件によって、排水中の有機物が、微生物によって二酸化炭素及び水等に酸化分解される。なお、曝気槽2には、酸化分解を促進する微生物として、シュードモナス(Pseudomonas)属等のグラム陰性桿菌や、バチルス(Bacillus)属等のグラム陽性桿菌が添加されうる。また、曝気槽2は、排水に空気を供給するブロアー、あるいは排水表面を攪拌する攪拌装置を備えていてもよい。
曝気槽2には、配管12を介して、沈殿装置3が接続されている。曝気槽2で処理された排水は、配管12を経て沈殿装置3に運搬される。沈殿装置3において、曝気処理された排水は、上澄み液と余剰汚泥に分離される。上澄み液は、例えば沈殿装置3に接続された配管23を介して、河川等に放流される。なお、必要に応じて、上澄み液に硝化脱窒素処理又はオゾン処理等を施してもよい。
また、沈殿装置3には、曝気槽2に活性汚泥を返送する配管33が接続されている。さらに、沈殿装置3には、配管13を介して、分解装置4が接続されている。沈殿装置3で分離された活性汚泥は、配管33を介して曝気槽2に再び戻され、曝気槽2の運転を安定化させる機能を発揮する。また、このシステムで蓄積してきた余剰汚泥は、沈殿装置3から配管13を経て分解装置4に運搬される。分解装置4において、余剰汚泥は、微生物を分解して死滅させ、滅菌可能な温度、例えば60℃以上、好ましくは70℃以上の温度で加熱され、可溶化される。60℃未満の低温では、可溶化に時間がかかる傾向にある。なお、分解装置4が余剰汚泥に含まれる微生物を分解する方法は、加熱処理に限定されない。例えば、余剰汚泥に磁性粒子及び磁性攪拌子を入れ、余剰汚泥に磁場を与えることによって磁性粒子及び磁性攪拌子を振動させて、余剰汚泥に含まれる微生物を分解してもよい。あるいは、微生物を機械的に磨り潰してもよいし、粉砕してもよい。また、あるいは、微生物をオゾン処理してもよいし、超音波を用いて微生物の細胞を破壊して可溶化してもよい。
分解装置4には、配管14を介して、培地調製装置5が接続されている。分解装置4で可溶化された余剰汚泥は、配管14を経て培地調製装置5に運搬される。ここで、培養装置6で培養される従属栄養性藻類が、米国特許第5,340,742号明細書に報告された海洋性のシゾキトリウム・エスピー・エス31(Schizochytrium sp. S31、ATCC No.20888)やシゾキトリウム・エスピー・エス8(Schizochytrium sp. S8、ATCC No.20889)等である場合、培地調製装置5は、可溶化された余剰汚泥を海水又は人工海水に溶し、分解された微生物が添加された培地を調製する。
また、培地調製装置5において、上述した炭素源、窒素源、リン酸塩、無機塩、及びビタミン類等を培地に添加してもよい。なお、従属栄養性藻類が海洋性でない場合、培地調製装置5は、可溶化された余剰汚泥を水等に溶し、培地を調製してもよい。
培地調製装置5には、配管15を介して、培養装置6が接続されている。培地調製装置5で調製された培地は、配管15を経て培養装置6に運搬される。培養装置6は、静置培養法、振盪培養法、及び通気撹拌培養法等を実施可能である。培養装置6において、運搬されてきた培地を用いて、分解された微生物を栄養源としてシゾキトリウム・エスピー等の従属栄養性藻類が培養される。培養温度は、例えば5℃から50℃であり、好ましくは15℃から40℃である。温泉に生息する藻類を使用する場合は、50℃以下の範囲内で、高温で培養すればよい。また、培養期間は、例えば1日から20日間であるが、10日以下でもよい。培養によって、シゾキトリウム・エスピーは、培地に含まれる分解された微生物を栄養源とし、例えば乾燥重量の約50〜77%の油脂を蓄える。
培養装置6には、配管16を介して、抽出装置7が接続されている。培養装置6中の従属栄養性藻類を含む培地は、配管16を経て抽出装置7に運搬される。抽出装置7は、遠心分離法及びろ過法等を用いて、培地から従属栄養性藻類を分離する。さらに抽出装置7は、ノルマルエヘキサン等を用いて、従属栄養性藻類から、トリアシルグリセロール(Triacylglycerol、慣用名:トリグリセリド)を含む油脂を抽出する。
なお、抽出装置7は、例えばダイノミルや超音波等で従属栄養性藻類を破砕し、窒素気流下で有機溶媒を用いて油脂を抽出してもよい。従属栄養性藻類が水分を含んでいる場合、有機溶媒としては、ペンタン、ペンテン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、n−オクタン、n−デカン、n−ドデカン、デカヒドロナフタレン(デカリン)、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、p−キシレン、クメン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、3−メチル−1−ブタノール(イソアミルアルコール)、1−ヘキサノール、1−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、ジイソプロピルエーテル、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセチルアセトン、酢酸ブチル、ニトロベンゼン、ベンゼンニトリル、キノリン、リン酸トリブチル(TBP)、及び石油エーテル等が使用可能である。また、従属栄養性藻類が乾燥している場合、有機溶媒としては、メタノール、エタノール、クロロホルム、ジクロロメタン、ペンタン、ペンテン、シクロペンタン、シクロペンテン、3−メチル−1−ブタノール(イソアミルアルコール)、及びアセチルアセトン等が使用可能である。さらに、メタノールと石油エーテルとを交互に用いて油脂を抽出してもよいし、クロロホルム−メタノール−水の一層系の溶媒を用いて油脂を抽出してもよい。なお、残留する有機溶媒は、減圧下で留去可能である。
あるいは、抽出装置7は、CO2超臨界抽出法、酵素法、及び浸透ショック法等を用いて油脂を抽出してもよい。
抽出装置7には、配管17を介して、精製装置8が接続されている。抽出装置7で抽出された油脂は、配管17を経て精製装置8に運搬される。精製装置8は、メタノール等のアルコール類とのエステル交換反応を用いて、油脂に含まれるトリアシルグリセロールから、脂肪酸メチルエステル等とグリセリンとを生成する。例えば、エステル交換反応に水酸化カリウムを用いた場合、アルコールに触媒を混合しメトキシ体を作り、それを添加する事で、反応を行う。さらに、精製装置8は、脂肪酸メチルエステル生成物からメタノールとグリセリンを除去し、脂肪酸メチルエステル生成物を水で洗浄して相分離し、高純度脂肪酸メチルエステルとしてバイオディーゼル燃料を精製する。洗浄水側には残留するグリセリンとアルカリ触媒とが分離される。エステル交換する反応触媒は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び炭酸カルシウム、アニオン交換樹脂等のアルカリでもよく、硫酸や酸強度の高い固体酸を用いてもよい。更に、無触媒下の超臨界状態でエステル交換してもよい。また、エステル交換反応以外の精製装置として水素化分解装置がある。油脂を水素化分解して油脂中の酸素成分を水にして除去し、低分子化した炭化水素のみの軽油相当にしてもよい。
次に、図2に示すフローチャートを用いて、実施の形態に係る油脂製造方法を説明する。
(a)ステップS101で活性汚泥を採取する。ステップS102で、活性汚泥が適正に働くよう希釈水で有機物濃度を調整したり、栄養源を添加したりした排水を、図1に示す調整槽1に溜める。排水は、従属栄養性藻類の炭素源、窒素源、リン酸塩、無機塩、及びビタミン類を含んでいてもよい。ステップS103で、配管11を用いて調整槽1から活性汚泥を含む曝気槽2に排水を運搬し、曝気槽2で排水中の有機物を酸化分解する。曝気槽2に、酸化分解を促進する微生物を添加してもよい。
(a)ステップS101で活性汚泥を採取する。ステップS102で、活性汚泥が適正に働くよう希釈水で有機物濃度を調整したり、栄養源を添加したりした排水を、図1に示す調整槽1に溜める。排水は、従属栄養性藻類の炭素源、窒素源、リン酸塩、無機塩、及びビタミン類を含んでいてもよい。ステップS103で、配管11を用いて調整槽1から活性汚泥を含む曝気槽2に排水を運搬し、曝気槽2で排水中の有機物を酸化分解する。曝気槽2に、酸化分解を促進する微生物を添加してもよい。
(b)ステップS104で、配管12を用いて曝気槽2から沈殿装置3に曝気処理された排水を運搬する。次に、沈殿装置3で、曝気処理された排水を、上澄み液と汚泥とに分離する。さらに、分離された汚泥の一部を、活性汚泥として曝気槽2に返送し、他の一部を、余剰汚泥として採集する。一方、上澄み液は、河川等に放流する。ステップS105で、配管13を用いて沈殿装置3から分解装置4に余剰汚泥を運搬する。次に、分解装置4で、余剰汚泥に含まれる微生物を分解し、余剰汚泥を可溶化する。
(c)ステップS106で、配管14を用いて分解装置4から可溶化された余剰汚泥を培養調製装置5に運搬する。次に、培養調製装置5で、余剰汚泥を海水等に溶かし、培地を調製する。培地に、炭素源、窒素源、リン酸塩、無機塩、及びビタミン類等を培地に添加してもよい。ステップS107で、配管15を用いて培地調製装置5から培養装置6に培地を運搬する。次に、培養装置6で、運搬されてきた培地を用いて、分解された微生物を栄養源として従属栄養性藻類を培養する。
(d)ステップS108で、配管16を用いて培養装置から従属栄養性藻類を含む培地を抽出装置7に運搬する。次に、抽出装置7で、従属栄養性藻類からトリアシルグリセロールを含む油脂を抽出する。ステップS109で、配管17を用いて抽出装置7から精製装置8に油脂を運搬する。次に、精製装置8でトリアシルグリセロールの油脂からバイオディーゼル燃料を精製し、実施の形態に係る油脂製造方法を終了する。
以上説明した実施の形態に係る油脂製造システム及び方法によれば、排水処理場で生じる余剰汚泥に含まれる微生物を栄養源にして、従属栄養性藻類で油脂を製造することが可能となる。また、分解装置4で、余剰汚泥に含まれる微生物を分解するため、従属栄養性藻類が分解された微生物を栄養源として容易に吸収できるようになる。また、余剰汚泥に含まれる微生物の中には、従属栄養性藻類の天敵が含まれる場合がある。この場合、天敵となる微生物を分解しないと、従属栄養性藻類が分解され、油脂を抽出できない。これに対し、分解装置4で微生物を分解することにより、従属栄養性藻類が分解されることを防止することが可能となる。
また、従来、余剰汚泥は焼却処分されていたが、実施の形態に係る油脂製造システム及び方法によれば、余剰汚泥を油脂の原料として利用することを可能にする。したがって、余剰汚泥の焼却処分の際に排出されていた二酸化炭素の大幅な減少を可能にする。なお、微生物の分解する際に放出される二酸化炭素量は、余剰汚泥の焼却処分の際に放出される二酸化炭素量より大幅に少ないことはいうまでもない。
また、従来、汚泥から発酵法等を用いてメタン発酵ガスを製造することが提案されていた。しかし、メタン発酵ガスは、需要と供給にアンバランスがあり、また貯蔵設備や輸送設備にコストがかかるという問題があった。また、バイオマスからガスや炭を製造することも提案されていたが、ガスや固体の燃料は取り扱いが困難であるという問題があった。これに対し、実施の形態に係る油脂製造システム及び方法によれば、取り扱いが容易で需要が大きい油脂を、低いコストで製造することが可能となる。
(実施例1)
まず、日本国栃木県真岡市の生活排水の下水処理場から、活性汚泥を採取した。次に、採取した活性汚泥を用いて、人工下水を調製した。なお、人工下水の調製には、ペプトン、酢酸カリウム、尿素、KH3PO4、Mg、NaCl、CaCl2、及びエタノール等を用いた。調製した人工下水の二クロム酸カリウムによる酸素要求量(CODCr:Chemical Oxygen Demand Cr)は1,000mg/Lであり、生物化学的酸素要求量(BOD:Biochemical Oxygen Demand)は150mg/Lであった。また、調製した人工下水の全窒素(T−N:Total Nitrogen)は45mg/Lであり、全燐(T−P:Total Phosphate)は5mg/Lであり、エタノール濃度は100mg/Lであった。
まず、日本国栃木県真岡市の生活排水の下水処理場から、活性汚泥を採取した。次に、採取した活性汚泥を用いて、人工下水を調製した。なお、人工下水の調製には、ペプトン、酢酸カリウム、尿素、KH3PO4、Mg、NaCl、CaCl2、及びエタノール等を用いた。調製した人工下水の二クロム酸カリウムによる酸素要求量(CODCr:Chemical Oxygen Demand Cr)は1,000mg/Lであり、生物化学的酸素要求量(BOD:Biochemical Oxygen Demand)は150mg/Lであった。また、調製した人工下水の全窒素(T−N:Total Nitrogen)は45mg/Lであり、全燐(T−P:Total Phosphate)は5mg/Lであり、エタノール濃度は100mg/Lであった。
次に、活性汚泥浮遊物質(MLSS:Mixed Liquor Suspended Solids)を約2000乃至4000mg/Lの範囲に保ちながら、人工下水を曝気槽で連続的に曝気した。余剰汚泥は必要に応じて沈殿装置から抜き出した。100日間経過後、曝気槽から余剰汚泥を試料として採取した。採取した余剰汚泥の固形分濃度は1.1重量%であった。次に、1L容量のオートクレーブに0.6Lの余剰汚泥を仕込み、120℃で20分間加熱処理し、余剰汚泥を可溶化すると共に、余剰汚泥に含まれる微生物を分解し、滅菌した。
次に、300mlの三角フラスコに、可溶化された余剰汚泥200mlを培養液として仕込んだ。さらに、人工海水組成になるよう培養液に塩を添加して調整した。ここで、実際の海水の塩分濃度は約3.5重量%であり、塩分は、78重量%の塩化ナトリウム(NaCl)、9.6重量%の塩化マグネシウム(MgCl)、6重量%の硫酸マグネシウム(MgSO4)、4重量%の硫酸カルシウム(CaSO4)、2重量%の塩化カリウム(KCl)、及び0.3重量%のその他の成分を含む。調製した人工海水は、実際の海水よりも塩分濃度が低く、塩分濃度が2.4重量%であった。
さらに、財団法人発酵研究所より購入したシゾキトリウムSR21を用意した。シゾキトリウムSR21は、詳細には、Schizochytrium limacium IFO32693である。次に、シゾキトリウムSR21を含む0.1mlの水溶液を三角フラスコに加えた。その直後のシゾキトリウムの細胞数は、1,000個/Lであった。その後、25℃の恒温暗室にてシゾキトリウムを7日間培養した。7日間培養した後、培養液中において、シゾキトリウムを主成分とする細胞数1,000,000個/Lのバイオマスが生成した。図3に示すように、シゾキトリウムは、内部に顆粒状に油脂を保有していた。
次に、バイオマスを遠心分離機にかけて濃縮し、バイオマス中の油脂をノルマルヘキサンで抽出した。バイオマス中、油脂の占める割合は乾燥重量で50%であった。さらに、抽出した油脂の96重量%がトリアシルグリセロールで、その他にモノアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、及び遊離脂肪酸等を含んでいた。よって、実施の形態で説明したように、バイオディーゼル燃料の原料となる油脂を化学合成従属栄養性藻類で製造可能であることが示された。
(実施例2)
実施例1では真岡市の下水処理場から活性汚泥を採取したが、実施例2では取手市の下水処理場から活性汚泥を採取した。これ以外は、実施例1と同様の方法で、油脂を得ることが可能であった。
実施例1では真岡市の下水処理場から活性汚泥を採取したが、実施例2では取手市の下水処理場から活性汚泥を採取した。これ以外は、実施例1と同様の方法で、油脂を得ることが可能であった。
(実施例3)
実施例1では、バイオマス中の油脂をノルマルヘキサンで抽出した。これに対し、実施例3では、バイオマス中のシゾキトリウムSR21を押しつぶし、さらにシクロヘキサンで油脂を抽出した。これ以外は、実施例1と同様の方法で、油脂を得ることが可能であった。
実施例1では、バイオマス中の油脂をノルマルヘキサンで抽出した。これに対し、実施例3では、バイオマス中のシゾキトリウムSR21を押しつぶし、さらにシクロヘキサンで油脂を抽出した。これ以外は、実施例1と同様の方法で、油脂を得ることが可能であった。
(実施例4)
実施例1では、バイオマス中の油脂をノルマルヘキサンで抽出した。これに対し、実施例4では、CO2超臨界抽出法により油脂を抽出した。これ以外は、実施例1と同様の方法で、油脂を得ることが可能であった。
実施例1では、バイオマス中の油脂をノルマルヘキサンで抽出した。これに対し、実施例4では、CO2超臨界抽出法により油脂を抽出した。これ以外は、実施例1と同様の方法で、油脂を得ることが可能であった。
(その他の実施の形態)
上記のように本発明を実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす記述及び図面はこの発明を限定するものであると理解するべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかになるはずである。例えば、実施の形態においては、溶液等が配管11−23で運搬される例を示したが、溶液等の運搬はこれに限定されないことはもちろんである。この様に、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を包含するということを理解すべきである。また、生活排水汚泥のみでなく産業排水汚泥などにも適用できるのはいうまでもない。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ限定されるものである。
上記のように本発明を実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす記述及び図面はこの発明を限定するものであると理解するべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかになるはずである。例えば、実施の形態においては、溶液等が配管11−23で運搬される例を示したが、溶液等の運搬はこれに限定されないことはもちろんである。この様に、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を包含するということを理解すべきである。また、生活排水汚泥のみでなく産業排水汚泥などにも適用できるのはいうまでもない。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ限定されるものである。
本発明の油脂製造システム及び油脂製造方法は、排水処理事業等に利用可能である。
1 調整槽
2 曝気槽
3 沈殿装置
4 分解装置
5 培地調製装置
6 培養装置
7 抽出装置
8 精製装置
11,12,13,14,15,16,17,23,33 配管
2 曝気槽
3 沈殿装置
4 分解装置
5 培地調製装置
6 培養装置
7 抽出装置
8 精製装置
11,12,13,14,15,16,17,23,33 配管
Claims (14)
- 微生物を分解する分解装置と、
前記分解された微生物を栄養源として、従属栄養性藻類を培養する培養装置と、
前記従属栄養性藻類から油脂を抽出する抽出装置と、
を備える、油脂製造システム。 - 前記従属栄養性藻類が、シゾキトリウムである、請求項1に記載の油脂製造システム。
- 前記微生物が活性汚泥に含まれている、請求項1又は2に記載の油脂製造システム。
- 前記微生物が排水に含まれている、請求項1又は2に記載の油脂製造システム。
- 前記分解装置が、加熱処理により前記微生物を分解する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の油脂製造システム。
- 前記分解装置が、粉砕処理により前記微生物を分解する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の油脂製造システム。
- 前記分解装置が、オゾン処理により前記微生物を分解する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の油脂製造システム。
- 微生物を分解することと、
前記分解された微生物を栄養源として、従属栄養性藻類を培養することと、
前記従属栄養性藻類から油脂を抽出することと、
を含む、油脂製造方法。 - 前記従属栄養性藻類が、シゾキトリウムである、請求項8に記載の油脂製造方法。
- 前記微生物が活性汚泥に含まれている、請求項8又は9に記載の油脂製造方法。
- 前記微生物が排水に含まれている、請求項8又は9に記載の油脂製造方法。
- 加熱処理により、前記微生物が分解される、請求項8乃至11のいずれか1項に記載の油脂製造方法。
- 粉砕処理により、前記微生物が分解される、請求項8乃至11のいずれか1項に記載の油脂製造方法。
- オゾン処理により、前記微生物が分解される、請求項8乃至11のいずれか1項に記載の油脂製造方法。
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---|---|---|---|
JP2009096201A JP2010246407A (ja) | 2009-04-10 | 2009-04-10 | 油脂製造システム及び油脂製造方法 |
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Cited By (3)
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JP2014030383A (ja) * | 2012-08-03 | 2014-02-20 | Fuji Electric Co Ltd | 油脂製造方法及び油脂製造装置 |
JP2014515931A (ja) * | 2011-05-25 | 2014-07-07 | コリア インスティチュート オブ オーシャン サイエンス アンド テクノロジー | 微細藻類バイオ燃料製造用プラント、バイオ燃料製造用培養槽、及び微細藻類バイオ燃料製造方法 |
JP2014140308A (ja) * | 2013-01-22 | 2014-08-07 | Fuji Electric Co Ltd | 油脂製造方法 |
-
2009
- 2009-04-10 JP JP2009096201A patent/JP2010246407A/ja active Pending
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