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JP2010241050A - インクジェット記録方法 - Google Patents

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JP2010241050A JP2009094281A JP2009094281A JP2010241050A JP 2010241050 A JP2010241050 A JP 2010241050A JP 2009094281 A JP2009094281 A JP 2009094281A JP 2009094281 A JP2009094281 A JP 2009094281A JP 2010241050 A JP2010241050 A JP 2010241050A
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Abstract

【課題】多色画像を記録する際の例えば凝集不均一による複数のインク間のインクドットの径バラツキを抑え、高速に高画質な画像を記録することができるインクジェット記録方法を提供する。
【解決手段】少なくとも顔料を含む2種以上のインク組成物をインクジェット法で吐出して画像を記録する画像記録工程14と、インク組成物中の成分を凝集及び/又は不溶化させる酸性物質を含む処理液を、インク組成物の吐出前に、60°光沢度が30以上の記録媒体のインク組成物が付与される領域に付与する処理液付与工程12とを有し、前記吐出により記録される少なくとも1色目の画像は、前記顔料と共に酸価が70〜120mgKOH/gである自己分散性ポリマーと水溶性有機溶剤とを含むインク組成物を用いて記録する。
【選択図】図1

Description

本発明は、インクジェット法でインクを吐出して画像を記録するインクジェット記録方法に関する。
カラー画像を記録する画像記録方法としては、近年、様々な方法が提案されているが、いずれにおいても画像の品質、風合い、記録後のカールなど、記録物の品位に対する要求は高い。
例えば、インクジェット技術は、オフィスプリンタ、ホームプリンタ等の分野に適用されてきたが、近年では、POD(print on demand)の実現が求められ、商業印刷分野での応用が期待されている。この商業印刷分野では、完全にインク溶剤の原紙への浸透をシャットアウトする、写真のような表面を有するものではなく、汎用の印刷紙のような印刷の風合いが要求されている。
印刷の風合いを持つ印刷物近似の画像を得る観点から、インクジェット記録に用いるインクには、従来からオフセット印刷に使用されている顔料インクが注目されている。また、近年の環境負荷に対応する観点からは、溶剤系よりも水系のインクが望ましい。そのため、水性の顔料インクを用いてインクジェット法により画像を記録する方法も広く利用されているが、一般に顔料インクは耐擦過性が悪いため、インクにはバインダー成分としてラテックスを用いることが知られている。
更に、インクジェット技術を利用した記録方法において、従来以上に高速で記録が行なえる技術が求められている。これに関連して、例えば、顔料を含むインクと該インクを凝集させる作用を有する液体組成物とを含んで構成され、インクと液体組成物の一方をアルカリ性とし、他方を酸性としたインクジェット記録用インクセットが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、50〜120mgKOH/gの酸価を有するポリマーで分散された顔料と、50〜120mgKOH/gの酸価を有するポリマーからなる樹脂微粒子の樹脂エマルジョンを含有するインクが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2004−10633号公報 特開2007−99913号公報
しかしながら、顔料インクとこれを凝集させる別液を用いたインクジェット技術により高速記録しようとすると、初期に打滴された例えば1色目のインクでは、ドット密度の低い領域で光沢度が下がってしまう傾向がある。これは、記録初期はドットが広がる前に凝集が早く進行することにより、ドット径が狭く、ドット高さの高い状態で画像を形成するためと推定される。これに対応するために、顔料インクとは別にあらかじめ支持体に供される別液を調整し、酸量を下げる等で凝集性をコントロールすることで光沢を上げることは可能であるが、この方法によると、酸の消費量が多くなる2次色画像などの多色画像を記録する場合に、2色目以降のインクのドットの解像性が悪化してしまう。つまり、1色目に打滴されたインクに重ねて打滴された2色目以降のインクは凝集が起こり難く、凝集作用により画像の品質向上、高速化を期待するにも関わらず、2色目以降のインク滴のドット径が大きく拡がってしまうのである。
このように、例えば1色目に打滴されたインクでの低濃度画像部の光沢性を高めようとすると、2色目以降のドットバランスが崩れ、所期径よりドット径が大きくなりやすく、従来から低濃度部の光沢度と2色目以降の画像部の解像度との両立は難しいとされてきた。ドット径が大きくなると、それに伴なって細線や微細な画像部分等を精細にかつ均質に描画できず、画像の解像度は低下する。
この傾向は、2色目以降に打滴されるインクの液滴量が多くなるとより顕著になる。
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、多色画像を記録する際の例えば凝集不均一による複数のインク間のインクドットの径バラツキを抑え、高速に高画質な画像を記録することができるインクジェット記録方法を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
本発明は、打滴初期の例えば1次色目のインクのドット径にある程度広がりを持たせて低濃度部(例えば網点40%以下)の光沢性を保ちつつ、その後の例えば2次色目以降のインクではそのドット径が広がり過ぎないように保ち、解像度を維持できるようにするためには、顔料インク中の成分を凝集させる別液を用いた2液系とし、60°光沢度が30以上の記録媒体に対して記録初期のインクに比較的酸価の高い自己分散性ポリマーを用いる構成が効果的との知見を得、かかる知見に基づいて達成されたものである。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 少なくとも顔料を含む2種以上のインク組成物をインクジェット法で吐出して画像を記録する画像記録工程と、前記インク組成物中の成分を凝集及び/又は不溶化させる酸性物質を含む処理液を、前記インク組成物の吐出前に、60°光沢度が30以上の記録媒体のインク組成物が付与される領域に付与する処理液付与工程とを有し、前記吐出により記録される少なくとも1色目の画像は、前記顔料と共に酸価が70〜120mgKOH/gである自己分散性ポリマーと水溶性有機溶剤とを含むインク組成物を用いて記録するインクジェット記録方法である。
<2> 更に、記録された画像を加熱及び/又は圧着により定着する定着工程を有する前記<1>に記載のインクジェット記録方法である。
<3> 前記顔料は、その表面の少なくとも一部がポリマー分散剤で被覆された水分散性顔料であることを特徴とする前記<1>又は前記<2>に記載のインクジェット記録方法である。
<4> 前記ポリマー分散剤がカルボキシル基を有することを特徴とする前記<3>に記載のインクジェット記録方法である。
<5> 前記ポリマー分散剤は、酸価が70〜120mgKOH/gであることを特徴とする前記<3>又は前記<4>に記載のインクジェット記録方法である。
<6> 前記自己分散性ポリマー及び前記ポリマー分散剤の重量平均酸価が70〜120mgKOH/gであることを特徴とする前記<3>〜前記<5>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法である。
<7> 前記画像記録工程は、2色目以降の画像を、解像度1200dpiとしたときに前記インク組成物の液滴量を4〜10pl(ピコリットル;以下同様)として記録する前記<1>〜前記<6>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法である。
<8> 前記画像記録工程は、最大総吐出量を8〜15ml/mとしてインク組成物を、酸性物質の付与量が0.2〜0.7g/mの酸性面に付与することを特徴とする前記<1>〜前記<7>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法である。
<9> 前記自己分散性ポリマーの平均粒子径が、体積平均粒子径で50nm以下であることを特徴とする前記<1>〜前記<8>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法である。
<10> 前記酸性物質が2価以上の有機酸であることを特徴とする前記<1>〜前記<9>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法である。
<11> 前記記録媒体が、原紙と無機顔料を含むコート層とを有する塗工紙であることを特徴とする前記<1>〜前記<10>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法である。
本発明によれば、多色画像を記録する際の例えば凝集不均一による複数のインク間のインクドットの径バラツキを抑え、高速に高画質な画像を記録することができるインクジェット記録方法を提供することができる。
本発明のインクジェット記録方法の実施に用いるインクジェット記録装置の構成例を示す概略構成図である。
以下、本発明のインクジェット記録方法について詳細に説明する。
本発明のインクジェット記録方法は、少なくとも顔料を含む2種以上のインク組成物をインクジェット法で吐出して画像を記録する画像記録工程と、インク組成物中の成分を凝集及び/又は不溶化させる酸性物質を含む処理液を、インク組成物の吐出前に、60°光沢度が30以上の記録媒体のインク組成物が付与される領域に付与する処理液付与工程と、を設けると共に、前記画像記録工程で吐出により記録される少なくとも1色目の画像を、酸価が70〜120mgKOH/gである自己分散性ポリマーと水溶性有機溶剤と顔料とを含むインク組成物を用いて記録する構成としたものである。
本発明においては、顔料系の2種以上のインク組成物(以下、単に「インク」ともいう。)を用い、異なるインク種を(好ましくは2色目以降のインクを4pl以上の液滴量で)打滴して複数種のインクからなる画像を高速記録する場合に、所望画像のうち少なくとも最初の1種(1色目)のインクで形成される1次色画像を、比較的酸価の高い自己分散性ポリマーを用いたインクで、所定の光沢度以上の記録媒体にあらかじめ酸性物質を付与した上に形成することで、続いて付与される2種類目以降(例えば2色目以降)のインク付与前における酸性面の酸消費が抑えられ、少なくとも1次色画像をなすインクの凝集は緩和しながらも、例えば2次色画像以降のインクは、凝集性を保って着滴後のドット広がりが起こり難くなるので、1次色画像の濃度(網点密度)の高低に関わらず光沢度を維持でき、同時に2次色目以降のインクを1次色画像に接触させて(例えば1次色画像に重ねて)付与して形成する画像の解像度も維持することができる。これは、1次色画像に続いて2種類目・・・n種類目(例えば3種類目)のインクを付与して形成される2次色・・・n次色画像(例えば3次色画像)のいずれも同様であり、特に2次色目以降に打滴されるインクの液滴量が多い系(好ましくは液滴量が4〜10pl)で顕著に現れる。
これにより、複数種のインクを用いて例えば多色画像を記録した場合にも、インク種間でのドット均一性が高く、細線や微細な画像部分等を精細にかつ均質に描画でき、高品質な画像を安定して得ることができる。
−画像記録工程−
画像記録工程は、少なくとも顔料を含む2種以上のインク組成物をインクジェット法で吐出して画像を記録する。
インクジェット法による画像記録は、エネルギーを供与することにより、処理液が付与された記録媒体(好ましくは塗工紙)に処理液と接触するようにインクを吐出し、着色画像を記録する。なお、本発明に好ましいインクジェット記録方法として、特開2003−306623号公報の段落番号0093〜0105に記載の方法が適用できる。
このとき、最初(1色目)に付与されるインク組成物のみが、70〜120mgKOH/gの酸価を持つ自己分散性ポリマーを含む形態であってもよいし、3種以上のインク組成物を用いる場合に、最初の2種(例えば1色目及び2色目のインク組成物)に70〜120mgKOH/gの酸価を持つ自己分散性ポリマーを含む形態でもよい。また、全てのインク組成物に70〜120mgKOH/gの酸価を持つ自己分散性ポリマーを用いて記録する形態であってもよい。
インクジェット法には、特に制限はなく、公知の方式、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式等のいずれであってもよい。インクジェット法としては、特に、特開昭54−59936号公報に記載の方法で、熱エネルギーの作用を受けたインクが急激な体積変化を生じ、この状態変化による作用力によって、インクをノズルから吐出させるインクジェット法を有効に利用することができる。
尚、前記インクジェット法には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
また、インクジェット法で用いるインクジェットヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また、吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを具体的な例として挙げることができるが、いずれの吐出方式を用いても構わない。
尚、前記インクジェット法により記録を行なう際に使用するインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができる。
画像記録工程で吐出するインクの液滴量(インク滴量)は、所望とする濃度、解像度に応じて調整されるべきものであるため、特に制限はないが、解像度とドット密度の高い画像部の色濃度を両立させる観点から、0.5〜40pl(ピコリットル)が好ましく、より好ましくは1〜30plであり、更に好ましくは1.5〜20plであり、特に好ましくは1.5〜10plであり、最も好ましくは4〜10plである。また、画像により吐出量を調整することが好ましく、特に高い解像度が求められる高精彩な画像を記録する場合には、インク滴量は0.5〜10plが好ましく、1.0〜8plがより好ましく、1.5〜6plが更に好ましく、2〜6plが特に好ましい。また、ベタ画像などのドット密度が高く高濃度が求められる画像を記録する場合は、インク滴量は1.5〜40plが好ましく、1.5〜10plがより好ましく、4〜10plが特に好ましい。インク滴量は、0.5pl以上にすると、着弾精度が良好であり、40pl以下にすると、着弾干渉を制御しやすく、均一な画像を得ることができる。具体的には、例えば、1次色目のインク(画像)のインク滴量を2〜6plとし、2次色目以降のインク(画像)を、解像度1200dpiとしたときにインク滴量を4〜10plとして記録するのが好適である。吐出される液滴の量としては比較的多い記録系では、記録初期の例えば1次色画像の光沢度と2色目以降に形成される画像の解像度との両立を保ちにくいが、本発明においては、例えば1次色画像の光沢度を低濃度でも高く保ちつつ、2次色以上のインクが吐出された場合のドット径バラツキを抑え、高画質な画像の記録を高速に行なうことができる。
画像記録工程で吐出されるインクは、水性インクであり、水分の蒸発に多くのエネルギーが必要になると装置構成上、環境負荷の点等が大きくなるため、インクの総打滴量は少ない方が望ましい。一方、記録方法としては色再現域を広くとることが望ましいが、この観点ではインクの総打滴量は多い方が好ましい。
これらの観点を総合的に満足するには、インク組成物の最大総吐出量としては、5〜30ml/mが好ましく、8〜15ml/mがより好ましく、10〜13ml/mが特に好ましい。この場合において、インク組成物が吐出される記録媒体の記録面は、酸性物質の付与量が0.2〜0.7g/mである酸性面であることが好ましい。
ここで、最大総吐出量[ml/m]は、使用する装置における単位面積当たりの各インク吐出量の合計の最大量であり、下記式から求められる。
最大総吐出量=Σ(各インクの最大吐出量[ml/m]×各インクの吐出率)
例えば、グレー像を記録する際の実吐出量がY=M=C=K=30%であるときには、最大総吐出量は、各色の最大吐出量を例えば20ml/mとすると、20×0.3+20×0.3+20×0.3+20×0.3=24ml/mとなる。
インク組成物は、単色画像の形成のみならず、多色画像(例えばフルカラー画像)の形成に用いられ、所望の1色又は2色以上を選択して画像記録することができる。フルカラー画像を記録する場合は、インク組成物としてマゼンタ色調インク、シアン色調インク、及びイエロー色調インクを用いることができる。また、色調を整えるために、更にブラック色調インクを用いてもよい。また、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の色調以外のレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)、白色(W)の色調のインク組成物や、いわゆる印刷分野における特色のインク組成物等を用いることができる。各色調のインク組成物は、着色剤として用いる顔料の色相を所望により変更することにより調製できる。
−インク組成物−
次に、本発明のインクジェット記録方法に用いるインク組成物について詳述する。
本発明においては2種以上のインク組成物が用いられ、これらインク組成物は少なくとも顔料を含んでおり、インク組成物の少なくとも1種は、顔料に加え、酸価が70〜120mgKOH/gである自己分散性ポリマーと水溶性有機溶剤とを含有する。本発明におけるインク組成物は、一般に水を含有することができ、必要に応じて、更に界面活性剤等の他の添加剤を用いて構成することができる。
<顔料>
本発明におけるインク組成物は、色材成分として顔料の少なくとも一種を含有する。顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機顔料、無機顔料のいずれであってもよい。顔料は、水に殆ど不溶であるか又は難溶である顔料であることが、インク着色性の点で好ましい。
前記有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、多環式顔料などがより好ましい。また、前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー、カーボンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、カーボンブラックが特に好ましい。
〜分散剤〜
本発明のインク組成物は、分散剤の少なくとも1種を含有することができる。前記顔料の分散剤としては、ポリマー分散剤、又は低分子の界面活性剤型分散剤のいずれでもよい。また、ポリマー分散剤は、水溶性の分散剤、又は非水溶性の分散剤のいずれでもよい。
前記低分子の界面活性剤型分散剤は、インクを低粘度に保ちつつ、顔料を水溶媒に安定に分散させることができる。低分子の界面活性剤型分散剤は、分子量2,000以下の低分子分散剤である。また、低分子の界面活性剤型分散剤の分子量は、100〜2,000が好ましく、200〜2,000がより好ましい。
前記低分子の界面活性剤型分散剤は、親水性基と疎水性基とを含む構造を有している。また、親水性基と疎水性基とは、それぞれ独立に1分子に1以上含まれていればよく、また、複数種類の親水性基、疎水性基を有していてもよい。また、親水性基と疎水性基とを連結するための連結基も適宜有することができる。
前記親水性基は、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、あるいはこれらを組み合わせたベタイン型等である。
前記アニオン性基は、マイナスの電荷を有するものであればいずれでもよいが、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、硫酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基又はカルボン酸基であることが好ましく、リン酸基、カルボン酸基であることがより好ましく、カルボン酸基であることがさらに好ましい。また、前記カチオン性基は、プラスの荷電を有するものであればいずれでもよいが、有機のカチオン性置換基であることが好ましく、窒素又はリンのカチオン性基であることがより好ましい。また、ピリジニウムカチオン又はアンモニウムカチオンであることがさらに好ましい。また、前記ノニオン性基は、ポリエチレンオキシドやポリグリセリン、糖ユニットの一部等が挙げられる。
前記親水性基は、アニオン性基であることが好ましい。アニオン性基は、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、硫酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基、又はカルボキシル基であることが好ましく、リン酸基、カルボキシル基であることがより好ましく、カルボキシル基であることがさらに好ましい。
また、低分子の界面活性剤型分散剤がアニオン性の親水性基を有する場合、酸性の処理液と接触させて凝集反応を促進させる観点から、pKaが3以上であることが好ましい。低分子の界面活性剤型分散剤のpKaは、テトラヒドロフラン−水(3:2=V/V)溶液に低分子の界面活性剤型分散剤1mmol/Lを溶解した液を酸あるいはアルカリ水溶液で滴定し、滴定曲線より実験的に求めた値のことである。低分子の界面活性剤型分散剤のpKaが3以上であると、理論上pH3程度の液と接したときにアニオン性基の50%以上が非解離状態になる。したがって、低分子の界面活性剤型分散剤の水溶性が著しく低下し、凝集反応が起こる。すなわち、凝集反応性が向上する。かかる観点からも、低分子の界面活性剤型分散剤は、アニオン性基としてカルボン酸基を有する場合が好ましい。
前記疎水性基は、炭化水素系、フッ化炭素系、シリコーン系等の構造を有しており、特に炭化水素系であることが好ましい。また、疎水性基は、直鎖状構造又は分岐状構造のいずれであってもよい。また、疎水性基は、1本鎖状構造又はこれ以上の鎖状構造でもよく、2本鎖状以上の構造である場合は、複数種類の疎水性基を有していてもよい。
また、疎水性基は、炭素数2〜24の炭化水素基が好ましく、炭素数4〜24の炭化水素基がより好ましく、炭素数6〜20の炭化水素基がさらに好ましい。
前記ポリマー分散剤のうち、水溶性分散剤としては、親水性高分子化合物が挙げられる。例えば、天然の親水性高分子化合物では、アラビアガム、トラガンガム、グーアガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、アラビノガラクトン、ペクチン、クインスシードデンプン等の植物性高分子、アルギン酸、カラギーナン、寒天等の海藻系高分子、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン等の動物系高分子、キサンテンガム、デキストラン等の微生物系高分子等が挙げられる。
また、天然物を原料に修飾した親水性高分子化合物では、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の繊維素系高分子、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム等のデンプン系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等の海藻系高分子等が挙げられる。
更に、合成系の親水性高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル等のビニル系高分子、非架橋ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸又はそのアルカリ金属塩、水溶性スチレンアクリル樹脂等のアクリル系樹脂、水溶性スチレンマレイン酸樹脂、水溶性ビニルナフタレンアクリル樹脂、水溶性ビニルナフタレンマレイン酸樹脂、ポリビニルピロリドン、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のアルカリ金属塩、四級アンモニウムやアミノ基等のカチオン性官能基の塩を側鎖に有する高分子化合物、セラック等の天然高分子化合物等が挙げられる。
これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸、スチレンアクリル酸のホモポリマーや、他の親水基を有するモノマーとの共重合体などのように、カルボキシル基が導入された水溶性分散剤が親水性高分子化合物として好ましい。
ポリマー分散剤のうち、非水溶性分散剤としては、疎水性部と親水性部の両方を有するポリマーを用いることができる。例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体等が挙げられる。
ポリマー分散剤の重量平均分子量は、3,000〜100,000が好ましく、より好ましくは5,000〜50,000であり、更に好ましくは5,000〜40,000であり、特に好ましくは10,000〜40,000である。
ポリマー分散剤の酸価としては、2種(例えば2色)以上のインク組成物の1種(1色目)を付与した後、付与されたインク組成物(例えば1色目の1次色画像)の上に該1種以外の他のインク組成物の1種又は2種以上(例えば2色目)を重ねた際のインク組成物の凝集性を良好に保つ観点から、70〜120mgKOH/gが好ましい。更には、同様の理由から、酸価としては75〜120mgKOH/gがより好ましく、90〜120mgKOH/gが更に好ましい。
ポリマー分散剤は、自己分散性と処理液が接触したときの凝集速度の観点から、カルボキシル基を有するポリマーを含むことが好ましく、カルボキシル基を有し、酸価が70〜120mgKOH/gのポリマーを含むことがより好ましい。
顔料(p)と分散剤(s)との混合質量比(p:s)としては、1:0.06〜1:3の範囲が好ましく、1:0.125〜1:2の範囲がより好ましく、更に好ましくは1:0.125〜1:1.5である。
本発明においては、画像の耐光性や品質などの観点から、顔料と分散剤と含むことが好ましく、有機顔料とポリマー分散剤とを含むことがより好ましく、有機顔料とカルボキシル基を含むポリマー分散剤とを含むことが特に好ましい。また、顔料は、凝集性の観点から、カルボキシル基を有するポリマー分散剤に被覆され、水不溶性であることが好ましい。
顔料の平均粒子径としては、10〜200nmが好ましく、10〜150nmがより好ましく、10〜100nmがさらに好ましい。平均粒子径は、200nm以下であると色再現性が良好になり、インクジェット法で打滴する際の打滴特性が良好になり、10nm以上であると耐光性が良好になる。また、色材の粒径分布に関しては、特に制限はなく、広い粒径分布又は単分散性の粒径分布のいずれであってもよい。また、単分散性の粒径分布を持つ色材を2種以上混合して使用してもよい。
なお、ポリマー粒子の平均粒子径及び粒径分布は、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)を用いて、動的光散乱法により体積平均粒径を測定することにより求められるものである。
顔料は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
顔料の含有量としては、画像濃度の観点から、インク組成物の全質量に対して、1〜25質量%が好ましく、2〜20質量%がより好ましく、5〜20質量%が更に好ましく、5〜15質量%が特に好ましい。
<自己分散性ポリマー>
本発明におけるインク組成物の1種又は2種以上は、酸価が70〜120mgKOH/gである自己分散性ポリマーの少なくとも1種を含有する。自己分散性ポリマーは、後述の酸性物質を含む処理液、又は酸性物質が付与された記録媒体の領域と接触した際に分散不安定化して凝集し、インク自体を増粘させることにより画像を固定化する機能を有し、画像の記録媒体への定着性及び耐擦過性をより向上させることができる。
各種ポリマーのうち、特に自己分散性ポリマーを用いることで、従来から液中に樹脂粒子を含有する際に一般に混入する遊離乳化剤が減りあるいは除去され、凝集成分が直接的に作用しやすくなる。これより、インク組成物中の成分の凝集をより高速に行なえる。よって、インク滴間の干渉で生じる滲みや色間混色が防止され、色相及び描画性(画像中の細線や微細部分の再現性)に優れた画像をより高速に得られる。
本発明においては、特に用いる自己分散性ポリマーの酸価を、比較的高めの70〜120mgKOH/gの範囲とする。酸価は、70mgKOH/g未満であると、最初の1種(例えば1色目)のインクで形成された1次色画像の光沢が著しく低下し、この1次色画像に接触させて(例えば重ねて)打滴されたインク滴の液滴径が1次色画像に比べて増大しやすく、逆に120mgKOH/gを超えると、酸依存性が大きくなり、あらかじめ記録媒体に付与する処理液により多くの酸性物質が必要になる。自己分散性ポリマーの酸価としては、処理液のムラの影響を低減し、ドット径をより安定化する観点から、75〜120mgKOH/gが好ましく、90〜120mgKOH/gがより好ましい。
酸化は、JIS規格(JIS K0070:1992)に記載の方法により測定される値である。以下、同様である。
自己分散性ポリマーとしては、前記酸価の範囲を満たすものであれば、特に制限なく選択することができ、自己分散性ポリマーの粒子を含むラテックスを用いることができる。
自己分散性ポリマーとは、他の界面活性剤の不存在下に、ポリマー自身が有する官能基(特に酸性基又はその塩)によって、水性媒体中で分散状態となり得る水不溶性ポリマーであって、遊離の乳化剤を含有しない水不溶性ポリマーを意味する。
ここで、分散状態とは、水性媒体中に水不溶性ポリマーが液体状態で分散された乳化状態(エマルジョン)、及び、水性媒体中に水不溶性ポリマーが固体状態で分散された分散状態(サスペンジョン)の両方の状態を含むものである。
本発明における水不溶性ポリマーにおいては、液体組成物としたときの凝集速度と定着性の観点から、水不溶性ポリマーが固体状態で分散された分散状態となりうる水不溶性ポリマーであることが好ましい。
自己分散性ポリマーの分散状態とは、水不溶性ポリマー30gを70gの有機溶媒(例えば、メチルエチルケトン)に溶解した溶液、該水不溶性ポリマーの塩生成基を100%中和できる中和剤(塩生成基がアニオン性であれば水酸化ナトリウム、カチオン性であれば酢酸)、及び水200gを混合、攪拌(装置:攪拌羽根付き攪拌装置、回転数200rpm、30分間、25℃)した後、該混合液から該有機溶媒を除去した後でも、分散状態が25℃で少なくとも1週間安定に存在することを目視で確認することができる状態をいう。
また、水不溶性ポリマーとは、ポリマーを105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100g中に溶解させたときに、その溶解量が10g以下であるポリマーをいい、その溶解量が好ましくは5g以下、更に好ましくは1g以下である。前記溶解量は、水不溶性ポリマーの塩生成基の種類に応じて、水酸化ナトリウム又は酢酸で100%中和した時の溶解量である。
前記水性媒体は、水を含んで構成され、必要に応じて親水性有機溶媒を含んでいてもよい。本発明においては、水と水に対して0.2質量%以下の親水性有機溶媒とから構成されることが好ましく、水から構成されることがより好ましい。
前記水不溶性ポリマーの主鎖骨格としては、特に制限は無く、例えば、ビニルポリマー、縮合系ポリマー(エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、セルロース、ポリエーテル、ポリウレア、ポリイミド、ポリカーボネート等)を用いることができる。その中で、特にビニルポリマーが好ましい。
ビニルポリマー及びビニルポリマーを構成するモノマーの好適な例としては、特開2001−181549号公報及び特開2002−88294号公報に記載されているものを挙げることができる。また、解離性基(あるいは解離性基に誘導できる置換基)を有する連鎖移動剤や重合開始剤、イニファーターを用いたビニルモノマーのラジカル重合や、開始剤或いは停止剤のどちらかに解離性基(あるいは解離性基に誘導できる置換基)を有する化合物を用いたイオン重合によって高分子鎖の末端に解離性基を導入したビニルポリマーも使用できる。
また、縮合系ポリマーと縮合系ポリマーを構成するモノマーの好適な例としては、特開2001−247787号公報に記載されているものを挙げることができる。
自己分散性ポリマーは、自己分散性の観点から、親水性の構成単位と芳香族基含有モノマーに由来する構成単位とを含む水不溶性ポリマーを含むことが好ましい。
前記親水性の構成単位は、親水性基含有モノマーに由来するものであれば特に制限はなく、1種の親水性基含有モノマーに由来するものであっても、2種以上の親水性基含有モノマーに由来するものであってもよい。前記親水性基としては、特に制限はなく、解離性基であってもノニオン性親水性基であってもよい。
本発明において前記親水性基は、自己分散促進の観点、形成された乳化又は分散状態の安定性の観点から、解離性基であることが好ましく、アニオン性の解離基であることがより好ましい。前記解離性基としては、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基などが挙げられ、中でも、インク組成物を構成した場合の定着性の観点から、カルボキシル基が好ましい。
本発明における親水性基含有モノマーは、自己分散性と凝集性の観点から、解離性基含有モノマーであることが好ましく、解離性基とエチレン性不飽和結合とを有する解離性基含有モノマーであることが好ましい。
解離性基含有モノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。
前記不飽和カルボン酸モノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。
前記不飽和スルホン酸モノマーの具体例としては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等が挙げられる。
前記不飽和リン酸モノマーの具体例としては、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等が挙げられる。
前記解離性基含有モノマーの中では、分散安定性、吐出安定性の観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル系モノマーがより好ましく、特にはアクリル酸及びメタクリル酸が好ましい。
本発明における自己分散性ポリマーは、自己分散性と処理液が接触したときの凝集速度の観点から、カルボキシル基を有するポリマーを含むことが好ましく、カルボキシル基を有し、酸価が70〜120mgKOH/gのポリマーを含むことがより好ましく、カルボキシル基を有し、酸価が90〜120mgKOH/gのポリマーを含むことがより好ましい。
前記芳香族基含有モノマーは、芳香族基と重合性基とを含む化合物であれば特に制限はない。前記芳香族基は芳香族炭化水素に由来する基であっても、芳香族複素環に由来する基であってもよい。本発明においては水性媒体中での粒子形状安定性の観点から、芳香族炭化水素に由来する芳香族基であることが好ましい。
また、前記重合性基は、縮重合性の重合性基であっても、付加重合性の重合性基であってもよい。本発明においては水性媒体中での粒子形状安定性の観点から、付加重合性の重合性基であることが好ましく、エチレン性不飽和結合を含む基であることがより好ましい。
本発明における芳香族基含有モノマーは、芳香族炭化水素に由来する芳香族基とエチレン性不飽和結合とを有するモノマーであることが好ましい。芳香族基含有モノマーは、1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記芳香族基含有モノマーとしては、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、スチレン系モノマー等が挙げられる。中でも、ポリマー鎖の親水性と疎水性のバランスとインク定着性の観点から、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーが好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、及びフェニル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種がより好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートが更に好ましい。
なお、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
本発明における自己分散性ポリマーは、(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位を含むアクリル系樹脂が好ましく、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位を含むアクリル系樹脂が好ましく、更には、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位を含み、その含有量が10質量%〜95質量%であることが好ましい。芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーの含有量が10質量%〜95質量%であることで、自己乳化又は分散状態の安定性が向上し、更にインク粘度の上昇を抑制することができる。
本発明においては、自己分散状態の安定性、芳香環同士の疎水性相互作用による水性媒体中での粒子形状の安定化、粒子の適度な疎水化による水溶性成分量の低下の観点から、15質量%〜90質量%であることがより好ましく、15質量%〜80質量%であることがより好ましく、25質量%〜70質量%であることが特に好ましい。
本発明における自己分散性ポリマーは、例えば、芳香族基含有モノマーに由来する構成単位と、解離性基含有モノマーに由来する構成単位とを用いて構成することができる。更に、必要に応じて、その他の構成単位を更に含んでもよい。
前記その他の構成単位を形成するモノマーとしては、前記芳香族基含有モノマーと解離性基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば特に制限はない。中でも、ポリマー骨格の柔軟性やガラス転移温度(Tg)制御の容易さの観点から、アルキル基含有モノマーであることが好ましい。前記アルキル基含有モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、並びにヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するエチレン性不飽和モノマー、並びにジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、等の(メタ)アクリルエステル系モノマー;N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、Nーヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド等のN−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、並びにN−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(n−,イソ)ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−(n−,イソ)ブトキシエチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド等、等の(メタ)アクリルアミド系モノマーが挙げられる。
自己分散性ポリマーを構成する水不溶性ポリマーの分子量としては、重量平均分子量で3000〜20万であることが好ましく、5000〜15万であることがより好ましく、10000〜10万であることが更に好ましい。重量平均分子量を3000以上とすることで水溶性成分量を効果的に抑制することができる。また、重量平均分子量を20万以下とすることで、自己分散安定性を高めることができる。
なお、重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)で測定される。GPCは、HLC−8220GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとして、TSKgeL SuperHZM-H、TSKgeL SuperHZ4000、TSKgeL SuperHZ2000(東ソー(株)製、4.6mmID×15cm)を3本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いる。また、条件としては、試料濃度を0.35質量%、流速を0.35ml/min、サンプル注入量を10μl、測定温度を40℃とし、IR検出器を用いて行なう。また、検量線は、東ソー(株)製「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F-40」、「F-20」、「F-4」、「F-1」、「A-5000」、「A-2500」、「A-1000」、「n−プロピルベンゼン」の8サンプルから作製する。
自己分散性ポリマーを構成する水不溶性ポリマーは、ポリマーの親疎水性制御の観点から、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーに由来する構造単位(好ましくは、フェノキシエチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位及び/又はベンジル(メタ)アクリレートに由来する構造単位)を共重合比率として自己分散性ポリマー粒子の全質量の15〜80質量%を含むことが好ましい。
また、水不溶性ポリマーは、ポリマーの親疎水性制御の観点から、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位を共重合比率として15〜80質量%と、カルボキシル基含有モノマーに由来する構成単位と、アルキル基含有モノマーに由来する構成単位(好ましくは、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルに由来する構造単位)とを含むことが好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位及び/又はベンジル(メタ)アクリレートに由来する構造単位を共重合比率として15〜80質量%と、カルボキシル基含有モノマーに由来する構成単位と、アルキル基含有モノマーに由来する構成単位(好ましくは、(メタ)アクリル酸の炭素数1〜4のアルキルエステルに由来する構造単位)とを含むことがより好ましく、更には加えて、酸価が25〜100mgKOH/gであって重量平均分子量が3000〜20万であることが好ましく、酸価が25〜95mgKOH/gであって重量平均分子量が5000〜15万であることがより好ましい。
以下に、自己分散性ポリマーを構成する水不溶性ポリマーの具体例(例示化合物B−01〜B−19)を挙げる。但し、本発明においては、これらに限定されるものではない。なお、括弧内は、共重合成分の質量比を表す。
B−01:フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(50/45/5)
B−02:フェノキシエチルアクリレート/ベンジルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(30/35/29/6)
B−03:フェノキシエチルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(50/44/6)
B−04:フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリル酸共重合体(30/55/10/5)
B−05:ベンジルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/メタクリル酸 共重合体(35/59/6)
B−06:スチレン/フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(10/50/35/5)
B−07:ベンジルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(55/40/5)
B−08:フェノキシエチルメタクリレート/ベンジルアクリレート/メタクリル酸共重合体(45/47/8)
B−09:スチレン/フェノキシエチルアクリレート/ブチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(5/48/40/7)
B−10:ベンジルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/シクロヘキシルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(35/30/30/5)
B−11:フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/ブチルアクリレート/メタクリル酸共重合体(12/50/30/8)
B−12:ベンジルアクリレート/イソブチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(93/2/5)
B−13:スチレン/フェノキシエチルメタクリレート/ブチルアクリレート/アクリル酸 共重合体(50/5/20/25)
B−14:スチレン/ブチルアクリレート/アクリル酸 共重合体(62/35/3)
B−15:メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸共重合体(45/51/4)
B−16:メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸共重合体(45/49/6)
B−17:メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸共重合体(45/48/7)
B−18:メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸共重合体(45/47/8)
B−19:メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸共重合体(45/45/10)
本発明における自己分散性ポリマーを構成する水不溶性ポリマーの製造方法としては特に制限はなく、例えば、重合性界面活性剤の存在下に、乳化重合を行ない、界面活性剤と水不溶性ポリマーとを共有結合させる方法、上記親水性基含有モノマーと芳香族基含有モノマーとを含むモノマー混合物を溶液重合法、塊状重合法等の公知の重合法により、共重合させる方法を挙げることができる。前記重合法の中でも、凝集速度とインク組成物としたときの打滴安定性の観点から、溶液重合法が好ましく、有機溶媒を用いた溶液重合法がより好ましい。
本発明における自己分散性ポリマーは、凝集速度の観点から、有機溶媒中で合成されたポリマーを含み、該ポリマーはカルボキシル基を有し、(好ましくは酸価が25〜50mgKOH/gであって)該ポリマーのカルボキシル基の一部又は全部は中和され、水を連続相とするポリマー分散物として調製されたものであることが好ましい。すなわち、本発明における自己分散性ポリマー粒子の製造は、有機溶媒中でポリマーを合成する工程と、前記ポリマーのカルボキシル基の少なくとも一部が中和された水性分散物とする分散工程とを設けて行なうことが好ましい。
前記分散工程は、次の工程(1)及び工程(2)を含むことが好ましい。
工程(1):ポリマー(水不溶性ポリマー)、有機溶媒、中和剤、及び水性媒体を含有する混合物を、攪拌する工程
工程(2):前記混合物から前記有機溶媒を除去する工程
前記工程(1)は、まずポリマー(水不溶性ポリマー)を有機溶媒に溶解させ、次に中和剤と水性媒体を徐々に加えて混合、攪拌して分散体を得る処理であることが好ましい。このように、有機溶媒中に溶解した水不溶性ポリマー溶液中に中和剤と水性媒体を添加することで、強いせん断力を必要とせずに、より保存安定性の高い粒径の自己分散性ポリマー粒子を得ることができる。
該混合物の攪拌方法に特に制限はなく、一般に用いられる混合攪拌装置や、必要に応じて超音波分散機や高圧ホモジナイザー等の分散機を用いることができる。
有機溶媒としては、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒及びエーテル系溶媒が好ましく挙げられる。
アルコール系溶媒としては、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、エタノール等が挙げられる。ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、ジオキサン等が挙げられる。これらの溶媒の中では、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒とイソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒が好ましい。また、油系から水系への転相時への極性変化を穏和にする目的で、イソプロピルアルコールとメチルエチルケトンを併用することも好ましい。該溶剤を併用することで、凝集沈降や粒子同士の融着が無く、分散安定性の高い微粒径の自己分散性ポリマー粒子を得ることができる。
中和剤は、解離性基の一部又は全部が中和され、自己分散性ポリマーが水中で安定した乳化又は分散状態を形成するために用いられる。自己分散性ポリマーが解離性基としてアニオン性の解離基(例えば、カルボキシル基)を有する場合、用いられる中和剤としては有機アミン化合物、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物等の塩基性化合物が挙げられる。有機アミン化合物の例としては、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、ジプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチル−エタノールアミン、N,N−ジエチル−エタノールアミン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等が挙げられる。アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。中でも、本発明の自己分散性ポリマー粒子の水中への分散安定化の観点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン、トリエタノールアミンが好ましい。
これら塩基性化合物は、解離性基100モル%に対して、5〜120モル%使用することが好ましく、10〜110モル%であることがより好ましく、15〜100モル%であることが更に好ましい。5モル%以上とすることで、水中での粒子の分散を安定化する効果が発現し、120モル%以下とすることで、水溶性成分を低下させる効果がある。
前記工程(2)においては、前記工程(1)で得られた分散体から、減圧蒸留等の常法により有機溶剤を留去して水系へと転相することで自己分散性ポリマー粒子の水性分散物を得ることができる。得られた水性分散物中の有機溶媒は実質的に除去されており、有機溶媒の量は、好ましくは0.2質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下である。
自己分散性ポリマーの平均粒子径は、体積平均粒子径で50nm以下であることが好ましく、40nm以下であることがより好ましい。この体積平均粒子径の下限値は5nmが望ましい。中でも、7〜30nmの範囲が特に好ましい。体積平均粒子径は、5nm以上であると製造適性が向上し、50nm以下であると吐出信頼性を向上できる。
また、自己分散性ポリマーの粒径分布に関しては、特に制限はなく、広い粒径分布を持つもの又は単分散の粒径分布を持つもののいずれでもよい。
なお、自己分散性ポリマーの平均粒子径及び粒径分布は、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)を用いて、動的光散乱法により体積平均粒径を測定することにより求められるものである。
自己分散性ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、インク組成物の保存安定性の観点から、30℃以上であることが好ましく、40℃以上がより好ましく、50℃以上がさらに好ましい。
自己分散性ポリマーは、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。自己分散性ポリマーのインク組成物中における含有量としては、凝集速度や画像の光沢性などの観点から、インク組成物に対して、1〜30質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましい。
また、インク組成物中の顔料(例えば水不溶性顔料)と自己分散性ポリマーとの含有比率としては、画像の耐擦過性などの観点から、1/0.5〜1/10であることが好ましく、1/1〜1/4であることがより好ましい。
上記の中でも、本発明においては特に、前記自己分散性ポリマー及び前記顔料におけるポリマー分散剤の重量平均酸価が70〜120mgKOH/gであることが好ましい。この重量平均酸価が前記範囲内であると、付与されたインク組成物(1色目の1次色画像)に接触させて(例えば重ねて)他のインク組成物の1種又は2種以上(例えば2色目)を付与した際のインク組成物の凝集性が良好に保たれる。
重量平均酸価は、自己分散性ポリマー及びポリマー分散剤の少なくとも2種の酸価の合計を、これらの合計重量で除算して求められる酸価である。
本発明における重量平均酸価としては、上記同様の観点から、70〜120mgKOH/gが好ましく、80〜120mgKOH/gがより好ましい。
<水溶性有機溶剤>
本発明におけるインク組成物は、水溶性有機溶剤の少なくとも1種を含有することができる。水溶性有機溶剤は、乾燥防止、湿潤あるいは浸透促進の効果を得ることができる。乾燥防止には、噴射ノズルのインク吐出口においてインク組成物が付着乾燥して凝集体ができ、目詰まりするのを防止する乾燥防止剤として用いられ、乾燥防止や湿潤には、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。また、浸透促進には、紙へのインク浸透性を高める浸透促進剤として用いることができる。
水溶性有機溶剤の例としては、例えば、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、4−メチル−1,2−ペンタンジオール等のアルカンジオール(多価アルコール類);エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの炭素数1〜4のアルキルアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテルなどのグリコールエーテル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビット、ソルビタン、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、スルホラン等が挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
乾燥防止や湿潤の目的としては、多価アルコール類が有用であり、例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、テトラエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
浸透促進の目的としては、ポリオール化合物が好ましく、脂肪族ジオールが好適である。脂肪族ジオールとしては、例えば、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、5−ヘキセン−1,2−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールなどが挙げられる。これらの中でも、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールが好ましい例として挙げることができる。
水溶性有機溶剤は、1種単独で使用しても2種以上混合して使用してもよい。
水溶性有機溶剤のインク組成物中における含有量としては、1〜60質量%が好ましく、より好ましくは5〜40質量%である。
<水>
本発明におけるインク組成物は、水を含有することができるが、水の量には特に制限はない。中でも、好ましくは10質量%以上99質量%以下であり、より好ましくは、30質量%以上80質量%以下である。
<界面活性剤>
本発明におけるインクは、必要に応じて、界面活性剤を含むことができる。界面活性剤は、表面張力調整剤として用いることができる。表面張力調整剤として、分子内に親水部と疎水部を合わせ持つ構造を有する化合物等が有効に使用することができ、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、ベタイン系界面活性剤のいずれも用いることができる。更に、上記の分散剤(高分子分散剤)を界面活性剤としても用いてもよい。
前記アニオン性界面活性剤の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルポコハク酸ナトリウム等が挙げられ、これらの1種、又は2種以上を選択することができる。
前記ノニオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックコポリマー、t−オクチルフェノキシエチルポリエトキシエタノール、ノニルフェノキシエチルポリエトキシエタノール等が挙げられ、これらの1種、又は2種以上を選択することができる。
前記カチオン性界面活性剤の具体例としては、テトラアルキルアンモニウム塩、アルキルアミン塩、ベンザルコニウム塩、アルキルピリジウム塩、イミダゾリウム塩等が挙げられる。
界面活性剤をインクに含有する場合、界面活性剤はインクジェット法によりインクの吐出を良好に行なう観点から、インクの表面張力を20〜60mN/mに調整できる範囲の量を含有するのが好ましく、表面張力の点からはより好ましくは20〜45mN/mであり、更に好ましくは25〜40mN/mである。
界面活性剤のインク中における界面活性剤の具体的な量としては、前記表面張力となる範囲が好ましいこと以外は特に制限はなく、1質量%以上が好ましく、より好ましくは1〜10質量%であり、更に好ましくは1〜3質量%である。
<その他成分>
インクは、上記の成分に加え、必要に応じて、更にその他成分として各種の添加剤を含むことができる。
前記各種の添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、褪色防止剤、防黴剤、pH調整剤、防錆剤、酸化防止剤、乳化安定剤、防腐剤、消泡剤、粘度調整剤、分散安定剤、キレート剤、固体湿潤剤等の公知の添加剤が挙げられる。
固体湿潤剤としては、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトール、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース 等の糖類;糖アルコール類;ヒアルロン酸類;尿素類等が挙げられる。
〜インクの物性〜
本発明におけるインクの表面張力(25℃)としては、20mN/m以上60mN/m以下であることが好ましい。より好ましくは、20mN以上45mN/m以下であり、更に好ましくは、25mN/m以上40mN/m以下である。
表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP-Z(協和界面科学株式会社製)を用い、インクを25℃の条件下で測定されるものである。
また、本発明におけるインクの25℃での粘度は、1.2mPa・s以上15.0mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは2mPa・s以上13mPa・s未満であり、更に好ましくは2.5mPa・s以上10mPa・s未満である。
粘度は、VISCOMETER TV-22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用い、インクを25℃の条件下で測定されるものである。
−処理液付与工程−
処理液付与工程は、前記画像記録工程の前に設けられ、インク組成物中の成分を凝集及び/又は不溶化させる酸性物質を含む処理液を、前記画像記録工程でのインク組成物の吐出前にあらかじめ、60°光沢度が30以上の記録媒体のインク組成物が付与される領域に付与する。記録媒体上に酸性面が形成され、この上にインク組成物が付与されると、処理液中の酸性物質と接触したインク組成物は被記録面で凝集し、画像様に固定化される。
前記画像記録工程前において、1次色目及びその後の2次色以降のインクの凝集性の観点から、記録媒体の記録面は、pH(膜面pH;25±1℃)が3.0〜6.9の範囲にあることが好ましく、4.0〜6.6の範囲にあることがより好ましい。
ここで、処理液付与工程で用いられる処理液について詳述する。
<処理液>
処理液は、既述のインク組成物中の成分を凝集及び/又は不溶化させる凝集剤として酸性物質を少なくとも含有する。また、処理液は、必要に応じて、更に他の成分を用いて構成することができる。インク組成物と共に処理液を用いることで、インクジェット記録を高速化でき、高速記録しても濃度、解像度の高い描画性(例えば細線や微細部分の再現性)に優れた画像が得られる。
酸性物質は、インク組成物のpHを低下させ得る化合物であり、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、ポリアクリル酸、酢酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、スルホン酸、オルトリン酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩等が好適に挙げられる。酸性物質は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
処理液のpH(25℃)は、6以下が好ましく、より好ましくはpHは4以下である。中でも、pH(25℃)は0.5〜4の範囲が好ましく、0.6〜4の範囲がより好ましく、特に好ましくはpHは0.6〜3.0の範囲である。このとき、前記インク組成物のpH(25℃)は、7.5以上(より好ましくは8.0以上)であることが好ましい。
中でも、画像濃度、解像度、及びインクジェット記録の高速化の観点から、インク組成物のpH(25℃)が8.0以上であって、処理液のpH(25℃)が0.5〜4である場合が好ましい。
中でも、水溶性の高い酸性物質が好ましく、凝集性を高め、インク全体を固定化させる点で、有機酸が好ましく、2価以上の有機酸がより好ましく、2価以上3価以下の酸性物質が特に好ましい。前記2価以上の有機酸としては、その第1pKaが3.5以下の有機酸が好ましく、より好ましくは3.0以下の有機酸である。具体的には、例えば、リン酸、シュウ酸、マロン酸、クエン酸、マレイン酸などが好適に挙げられる。
酸性物質は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
インク組成物を凝集させる酸性物質の処理液中における含有量としては、1〜50質量%が好ましく、より好ましくは3〜45質量%であり、更に好ましくは5〜40質量%の範囲である。
処理液の付与量としては、インク組成物を既述の最大総吐出量で吐出した際にもインク中の成分を良好に凝集させ得るだけの酸性物質が塗設される量が好ましい。具体的には、酸性物質(凝集剤)の記録媒体上への付与量は、0.1〜1g/mの範囲とするのが好ましく、0.15〜0.7g/mの範囲とするのがより好ましく、0.2〜0.5g/mの範囲とするのが更に好ましい。酸性物質の付与量は、0.1g/m以上であることにより、インク組成物の種々の使用形態に応じ良好な高速凝集性が保て、インクが効果的に固定されて解像度の高い画像が得られ、1g/m以下であることにより、記録媒体の表面(例えば、塗工紙のコート層表面)へのダメージ(光沢の変化等)を抑えて、耐擦過性の良好な画像が得られる。
処理液は、本発明の効果を損なわない範囲内で、更にその他の成分として他の添加剤を含有することができる。他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。
本発明においては、カルボキシル基を有し酸価が70〜120mgKOH/gのポリマー分散剤で被覆された水分散性顔料、酸価が70〜120mgKOH/gの自己分散性ポリマーの粒子、及び水溶性有機溶剤を含有するインク組成物と、有機酸を含む処理液とを組み合わせた記録形態が好ましく、更には、カルボキシル基を有し酸価が75〜120mgKOH/gのポリマー分散剤で被覆された水分散性顔料、酸価が90〜120mgKOH/gの自己分散性ポリマーの粒子、及び水溶性有機溶剤を含有するインク組成物と、2価以上の有機酸を含む処理液とを組み合わせた記録形態がより好ましい。
処理液付与工程を設ける場合、記録媒体上に、インク組成物を付与する前に、予めインク組成物中の顔料及び/又は自己分散性ポリマーの粒子を凝集及び/又は不溶化させるための処理液を付与しておき、記録媒体上に付与された処理液に接触するようにインク組成物を付与して画像化する。このとき、インク組成物中の顔料及びポリマー粒子をはじめとする分散粒子が凝集及び/又は不溶化し、記録媒体上に画像が固定化される。これより、インクジェット記録を高速化でき、高速記録しても濃度、解像度の高い画像が得られる。
処理液の付与は、塗布法、インクジェット法、浸漬法などの公知の方法を適用して行なうことができる。塗布法としては、バーコーター、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター等を用いた公知の塗布方法によって行なうことができる。インクジェット法の詳細については、既述の通りである。
また、本発明においては、処理液を記録媒体上に付与した後インク組成物が付与されるまでの間に、記録媒体上の処理液を加熱乾燥する加熱乾燥工程を更に設けることが好ましい。インク付与工程前に予め処理液を加熱乾燥させることにより、滲み防止などのインク着色性が良好になり、色濃度及び色相の良好な可視画像を記録できる。
加熱乾燥は、ヒータ等の公知の加熱手段やドライヤ等の送風を利用した送風手段、あるいはこれらを組み合わせた手段により行なえる。加熱方法としては、例えば、記録媒体の処理液の付与面と反対側からヒータ等で熱を与える方法や、記録媒体の処理液の付与面に温風又は熱風をあてる方法、赤外線ヒータを用いた加熱法などが挙げられ、これらの複数を組み合わせて加熱してもよい。
−定着工程−
本発明のインクジェット記録方法では、記録された画像を加熱及び/又は圧着により定着する定着工程を有することが好ましい。定着により、画像の光沢性等の風合い、耐擦過性(例えば紙との密着性)が良好で画像品質に優れた画像が高速に記録できる。
定着工程は、前記画像記録工程で記録された画像を加熱定着して固定化する。画像の固定化は、画像部をなす記録媒体上のインクに圧着部材を圧接することにより行なうことができる。
画像部の固定化は、画像記録工程の後に、例えば、少なくとも画像に圧力を付与する圧力付与手段を用い、この圧力付与手段を画像部に圧接して画像部を加圧することにより固定化(定着処理)する加圧工程を設けて行なってもよい。また、圧力付与手段に画像部を加熱する加熱手段を組み合わせ、画像部を加熱圧着することにより固定化(定着処理)する加熱圧着工程を設けてもよい。圧力付与手段としては、例えば、互いに圧接するロール対や加圧板などが挙げられ、加熱手段としては、例えば、加熱ロールや熱板などが挙げられる。具体的には、例えば、画像記録工程の後に、記録媒体の表面を加熱された加熱ロールや熱板などで圧着する処理を行なうことができる。この場合、インク中に含まれる樹脂粒子を溶融させることができる。このとき、加熱温度は、インク組成物中の自己分散性ポリマーのTgより高いことが好ましい。
−記録媒体−
記録媒体には、特に制限はないが、一般のオフセット印刷などに用いられる、いわゆる上質紙、コート紙、アート紙などのセルロースを主体とする一般印刷用紙を用いることができる。セルロースを主体とする一般印刷用紙は、水性インクを用いた一般のインクジェット法による画像記録においては比較的インクの吸収、乾燥が遅く、打滴後に色材移動が起こりやすく、画像品質が低下しやすいが、本発明のインクジェット記録方法によると、色材移動を抑制して色濃度、色相に優れた高品位の画像の記録が可能である。
記録媒体としては、一般に市販されているものを使用することができ、例えば、王子製紙(株)製の「OKプリンス上質」、日本製紙(株)製の「しおらい」、及び日本製紙(株)製の「ニューNPI上質」等の上質紙(A)、王子製紙(株)製の「OKエバーライトコート」及び日本製紙(株)製の「オーロラS」等の微塗工紙、王子製紙(株)製の「OKコートL」及び日本製紙(株)製の「オーロラL」等の軽量コート紙(A3)、王子製紙(株)製の「OKトップコート+」及び日本製紙(株)製の「オーロラコート」等のコート紙(A2、B2)、王子製紙(株)製の「OK金藤+」及び三菱製紙(株)製の「特菱アート」等のアート紙(A1)等が挙げられる。また、インクジェット記録用の各種写真専用紙を用いることも可能である。
記録媒体の中でも、一般のオフセット印刷などに用いられるいわゆる塗工紙が好ましい。塗工紙は、セルロースを主体とした一般に表面処理されていない上質紙や中性紙等の表面にコート材を塗布してコート層を設けたものである。塗工紙は、通常の水性インクジェットによる画像形成においては、画像の光沢や擦過耐性など、品質上の問題を生じやすいが、本発明のインクジェット記録方法では、光沢ムラが抑制されて光沢性、耐擦性の良好な画像を得ることができる。特に、原紙と無機顔料を含むコート層とを有する塗工紙を用いるのが好ましく、原紙とカオリン及び/又は重炭酸カルシウムを含むコート層とを有する塗工紙を用いるのがより好ましい。具体的には、アート紙、コート紙、軽量コート紙、又は微塗工紙がより好ましい。
〜インクジェット記録装置〜
次に、本発明のインクジェット記録方法を実施するのに好適なインクジェット記録装置の一例を図1を参照して具体的に説明する。図1は、インクジェット記録装置全体の構成例を示す概略構成図である。
図1に示すように、インクジェット記録装置は、記録媒体の搬送方向(図中の矢印方向)に向かって順次、処理液を吐出する処理液吐出用ヘッド12Sを備えた処理液付与部12と、付与された処理液を乾燥させる加熱手段(不図示)を備えた処理液乾燥ゾーン13と、各種インク組成物を吐出するインク吐出部14と、吐出されたインク組成物を乾燥させるインク乾燥ゾーン15とが配設されている。また、記録媒体の搬送方向におけるインク乾燥ゾーン15の下流側には、更に記録媒体上の画像を定着する画像定着部16が配設されている。
このインクジェット記録装置に供給された記録媒体は、記録媒体が装填されたケースから記録媒体を給紙する給紙部から、搬送ローラによって、処理液付与部12、処理液乾燥ゾーン13、インク吐出部14、インク乾燥ゾーン15と順に送られ、更に必要に応じて画像定着部16での定着処理を経て集積部に送られる。搬送は、搬送ローラによる方法のほか、ドラム状部材を用いたドラム搬送方式やベルト搬送方式、ステージを用いたステージ搬送方式などを採用してもよい。
複数配置された搬送ローラのうち、少なくとも1つのローラはモータ(不図示)の動力が伝達された駆動ローラとすることができる。モータで回転する駆動ローラを定速回転することにより、記録媒体は所定の方向に所定の搬送量で搬送されるようになっている。
処理液付与部12には、処理液を貯留する貯留タンクに繋がる処理液吐出用ヘッド12Sが設けられている。処理液吐出用ヘッド12Sは、記録媒体の記録面と対向配置された吐出ノズルから処理液を吐出し、記録媒体の上に処理液を液滴付与できるようになっている。なお、処理液付与部12は、ノズル状のヘッドから吐出する方式に限らず、塗布ローラを用いた塗布方式を採用することもできる。この塗布方式は、下流側に配置されたインク吐出部14で記録媒体上にインク滴が着弾する画像領域を含むほぼ全面に処理液を容易に付与することができる。記録媒体上の処理液の厚みを一定にするために、例えば、エアナイフを用いたり、あるいは尖鋭な角を有する部材を、処理液の規定量に対応するギャップを記録媒体との間に設けて設置する等の方法を設けてもよい。
処理液付与部12の記録媒体搬送方向の下流側には、処理液乾燥ゾーン13が配置されている。処理液乾燥ゾーン13は、ヒータ等の公知の加熱手段やドライヤ等の送風を利用した送風手段、あるいはこれらを組み合わせた手段を用いて構成することができる。加熱手段は、記録媒体の処理液付与面と反対側(例えば、記録媒体を自動搬送する場合は記録媒体を載せて搬送する搬送機構の下方)にヒータ等の発熱体を設置する方法や、記録媒体の処理液付与面に温風又は熱風をあてる方法、赤外線ヒータを用いた加熱法などが挙げられ、これらの複数を組み合わせて加熱してもよい。
また、記録媒体の種類(材質、厚み等)や環境温度等によって、記録媒体の表面温度は変化するため、記録媒体の表面温度を計測する計測部と該計測部で計測された記録媒体の表面温度の値を加熱制御部にフィードバックする制御機構を設けて温度制御することが好ましい。記録媒体の表面温度を計測する計測部としては、接触又は非接触の温度計が好ましい。
また、溶媒除去ローラー等を用いて溶媒除去を行なってもよい。他の態様として、エアナイフで余剰な溶媒を記録媒体から取り除く方式も用いられる。
インク吐出部14は、処理液乾燥ゾーン13の記録媒体搬送方向下流側に配置されている。インク吐出部14には、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)の各色インクを貯留するインク貯留部の各々と繋がる記録用ヘッド(インク吐出用ヘッド)30K、30C、30M、30Yが配置されている。不図示の各インク貯留部には、各色相に対応する顔料(並びに場合により自己分散性ポリマー、水溶性有機溶剤)を少なくとも含むインク組成物が貯留されており、画像の記録に際して必要に応じて各インク吐出用ヘッド30K、30C、30M、30Yに供給されるようになっている。また、インク吐出用ヘッド30K、30C、30M、及び30Yの搬送方向下流側には、図1に示すように、必要に応じて特色インクを吐出可能なように、特色インク吐出用の記録ヘッド30A、30Bを更に配設することもできる。
インク吐出用ヘッド30K、30C、30M、30Yは、記録媒体の記録面と対向配置された吐出ノズルから、それぞれ画像に対応するインクを吐出する。これにより、記録媒体の記録面上に各色インクが付与され、カラー画像が記録される。
処理液吐出用ヘッド12S、並びにインク吐出用ヘッド30K、30C、30M、30Y、30A、及び30Bはいずれも、記録媒体上に記録される画像の最大記録幅(最大記録幅)にわたって多数の吐出口(ノズル)が配列されたフルラインヘッドとなっている。記録媒体の幅方向(記録媒体搬送面において搬送方向と直交する方向)に短尺のシャトルヘッドを往復走査しながら記録を行なうシリアル型のものに比べて、記録媒体に高速に画像記録を行なうことができる。本発明においては、シリアル型での記録、又は比較的高速記録が可能な方式、例えば1回の走査で1ラインを形成するシングルパスで主走査方向に吐出して記録できる方式での記録のいずれを採用してもよいが、本発明の画像記録方法によればシングルパスによる方式でも再現性の高い高品位の画像が得られる。
ここでは、処理液吐出用ヘッド12S、並びにインク吐出用ヘッド30K、30C、30M、30Y、30A、及び30Bは、全て同一構造になっている。
処理液の付与量とインク組成物の付与量とは、必要に応じて調節することが好ましい。例えば、記録媒体に応じて、処理液とインク組成物とが混合してできる凝集物の粘弾性等の物性を調節する等のために、処理液の付与量を変えてもよい。
インク乾燥ゾーン15は、インク吐出部14の記録媒体搬送方向下流側に配置されている。インク乾燥ゾーン15は、処理液乾燥ゾーン13と同様に構成することができる。
画像乾燥後、記録媒体により強固な定着性を付与するために別途必要に応じて、画像定着部16を設けてもよい。
画像定着部16は、インク乾燥ゾーン15の記録媒体搬送方向の更に下流側に配置されている。画像定着部16には、定着ローラ40A,40Bが互いに圧接するローラ対が設けられており、定着ローラ40A及び40Bの間を記録媒体が通過することにより、記録媒体上に形成された画像は加圧、加熱され、記録媒体上に記録された画像の定着性を向上させることができる。なお、定着ローラ40A、40Bとしては、1個の加圧ローラと1個の加熱ローラからなるローラ対が好ましいが、これに限定されるものではない。
また、インクジェット記録装置には、給紙部から集積部までの搬送路に、記録媒体に加熱処理を施す加熱手段を配置することもできる。例えば、処理液乾燥ゾーン13の上流側や、インク吐出部14とインク乾燥ゾーン15との間、などの所望の位置に加熱手段を配置することで、記録媒体を所望の温度に昇温させることにより、乾燥、定着を効果的に行なうようにすることが可能である。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定した。GPCは、HLC-8220GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとして、TSKgeL SuperHZM-H、TSKgeL SuperHZ4000、TSKgeL SuperHZ2000(東ソー(株)製)を3本直列につなぎ、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。また、条件としては、試料濃度を0.35質量%、流速を0.35ml/min、サンプル注入量を10μl、測定温度を40℃とし、IR検出器を用いて行なった。また、検量線は、東ソー(株)製「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F-40」、「F-20」、「F-4」、「F-1」、「A-5000」、「A-2500」、「A-1000」、「n−プロピルベンゼン」の8サンプルから作製した。
[水性インクの調製]
−ポリマー分散剤aの合成−
反応容器に、スチレン6部、ステアリルメタクリレート11部、スチレンマクロマーAS−6(東亜合成(株)製)4部、プレンマーPP−500(日本油脂(株)製)5部、メタクリル酸5部、2−メルカプトエタノール0.05部、及びメチルエチルケトン24部を加え、混合溶液を調液した。
一方、滴下ロートに、スチレン14部、ステアリルメタクリレート24部、スチレンマクロマーAS−6(東亜合成(株)製)9部、プレンマーPP−500(日本油脂(株)製)9部、メタクリル酸10部、2−メルカプトエタノール0.13部、メチルエチルケトン56部、及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.2部を加え、混合溶液を調液した。
そして、窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら75℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を1時間かけて徐々に滴下した。滴下終了から2時間経過後これに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.2部をメチルエチルケトン12部に溶解した溶液を3時間かけて滴下し、更に75℃で2時間、80℃で2時間熟成させ、ポリマー分散剤aの溶液を得た。
得られたポリマー分散剤aの溶液の一部について、溶媒を除去することによって単離し、得られた固形分をテトラヒドロフランにて0.1質量%に希釈し、高速GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により、重量平均分子量を測定した。その結果、重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算で25,000であった。また、酸価は117mgKOH/gであった。なお、酸化は、JIS規格(JIS K0070:1992)記載の方法により測定した。以下、実施例において同様である。
−自己分散性ポリマー粒子の合成−
(自己分散性ポリマーラテックスAの合成)
攪拌機、温度計、還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた2リットル三口フラスコに、メチルエチルケトン360.0gを仕込んで、75℃まで昇温した。その後、フラスコ内温度を75℃に保ちながら、フェノキシエチルアクリレート(PhOEMA)50g、メチルメタクリレート(MMA)44g、アクリル酸(MAA)6g、メチルエチルケトン72g、及び「V−601」(和光純薬工業(株)製)1.44gからなる混合溶液を、2時間で滴下が完了するように等速で滴下した。滴下完了後、これに「V−601」0.72g及びメチルエチルケトン36.0gからなる溶液を加え、75℃で2時間攪拌後、さらに「V−601」0.72g及びイソプロパノール36.0gからなる溶液を加え、75℃で2時間攪拌した。その後、85℃に昇温して、さらに2時間攪拌を続け、フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリル酸(=50/44/6[質量比])共重合体の樹脂溶液を得た。
得られた共重合体の上記同様に測定した重量平均分子量(Mw)は、64,000(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算で算出)であり、酸価は46.8mgKOH/gであった。
次に、得られた樹脂溶液668.3gを秤量し、これにイソプロパノール388.3g及び1mol/L NaOH水溶液145.7mlを加え、反応容器内温度を80℃に昇温した。次に、蒸留水720.1gを20ml/minの速度で滴下し、水分散化した後、大気圧下にて反応容器内温度80℃で2時間、85℃で2時間、90℃で2時間保った後、反応容器内を減圧にし、イソプロパノール、メチルエチルケトン、蒸留水を合計で913.7g留去し、固形分濃度28.0質量%の自己分散性ポリマーラテックスA(自己分散性ポリマー微粒子の水分散物)を得た。このポリマーラテックスAの体積平均粒子径を、ナノトラック粒度分布測定装置(UPA−EX150、日機装(株)製)用いて動的光散乱法により測定したところ、20nmであった。
(自己分散性ポリマーラテックスB〜Fの合成)
前記自己分散性ポリマーラテックスAの合成において、アクリル酸の割合を増やし、フェノキシエチルアクリレート(PhOEMA)、メチルメタクリレート(MMA)、及びアクリル酸(MAA)の比率(質量比)を下記表1に示すように変更したこと以外は、自己分散性ポリマーラテックスAと同様にして、自己分散性ポリマーラテックスB〜Fを合成した。
各自己分散性ポリマーラテックスの重量平均分子量(Mw)、体積平均粒子径、及び酸価を併せて示す。
−インクの調製−
《シアンインクC−1の調製》
上記のポリマー分散剤aの溶液を固形分換算で5.0g、シアン顔料Pigment Blue 15:3(大日精化(株)製)10.0g、メチルエチルケトン40.0g、1mol/L(リットル;以下同様)の水酸化ナトリウム8.0g、及びイオン交換水82.0gを、0.1mmジルコニアビーズ300gと共にベッセルに供給し、レディーミル分散機(アイメックス社製)で1000rpmにて6時間分散した。得られた分散液をエバポレーターでメチルエチルケトンが充分に留去できるまで減圧濃縮し、さらに顔料濃度が10%になるまで濃縮して、水分散性顔料が分散したシアン分散液C1を調製した。
得られたシアン分散液C1の体積平均粒子径(二次粒子)を、Micorotrac粒度分布測定装置(Version 10.1.2−211BH(商品名)、日機装(株)製)で動的光散乱法により測定したところ、77nmであった。
上記のようにシアン分散液C1を調製した後、これに上記の自己分散性ポリマーラテックスA、有機溶剤、界面活性剤、及びイオン交換水を用いることにより、下記組成になるようにインクを調製した。調製後、得られたインクを5μmメンブランフィルタに通して粗大粒子を除去し、シアンインクC−1を調製した。シアンインクC−1の重量平均酸価は、70.2mgKOH/gである。
pHメーター(東亜DKK(株)製のWM−50EG)を用いて、シアンインクC−1のpHを測定したところ、pH値(25±1℃)は8.7であった。
<シアンインクC−1の組成>
・シアン顔料 ・・・ 4質量%
(Pigment Blue 15:3、大日精化(株)製)
・前記ポリマー分散剤a(固形分) ・・・ 2質量%
・前記自己分散性ポリマーラテックスA(固形分)・・・ 4質量%
・サンニックスGP250 ・・・10質量%
(三洋化成工業(株)製;親水性有機溶剤)
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル ・・・ 5質量%
(DEGmEE;和光純薬工業(株)製)
・オルフィンE1010(日信化学工業(株)製)・・・ 1質量%
・イオン交換水 ・・・74質量%
《シアンインクC−2〜C−6の調製》
シアンインクC−1の調製において、自己分散性ポリマーラテックスAを、それぞれ上記の自己分散性ポリマーラテックスB〜Fに代えたこと以外は、シアンインクC−1と同様にして、シアンインクC−2〜C−6を調製した。なお、各シアンインクC−2〜C−6のpHを上記同様にそれぞれ測定したところ、pH値(25±1℃)は8.6であった。各インクの重量平均酸価は下記表2に示す。
《マゼンタインクM−1の調製》
前記シアンインクC−1の調製において、顔料として用いたPigment Blue 15:3をCromophtal Jet Magenta DMQ(PR−122、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)に代えたこと以外は、上記のシアンインクC−1の調製と同様の方法により、マゼンタインクM−1を調製した。マゼンタインクM−1の重量平均酸価は、70.2mgKOH/gである。
pHメーター(東亜DKK(株)製のWM−50EG)を用いて、マゼンタ顔料インクM−1のpHを測定したところ、pH値(25±1℃)は8.7であった。
《マゼンタインクM−2〜M−6の調製》
マゼンタインクM−1の調製において、自己分散性ポリマーラテックスAを、それぞれ上記の自己分散性ポリマーラテックスB〜Fに代えたこと以外は、マゼンタインクM−1と同様にして、マゼンタインクC−2〜C−6を調製した。各インクの重量平均酸価は下記表2に示す。なお、各マゼンタインクM−2〜M−6のpHを上記同様にそれぞれ測定したところ、pH値(25±1℃)は8.7であった。
[水性処理液の調製]
下記組成の成分を混合して、処理液を調製した。処理液の上記と同様にして測定したpH(25±1℃)は0.6であった。
<処理液の組成>
・マレイン酸(和光純薬工業(株)製) ・・・25質量%
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル・・・20質量%
(DEGmEE;和光純薬工業(株)製)
・イオン交換水 ・・・55質量%
[画像記録及び評価]
上記で得られた各色のインク及び水性処理液を用い、下記のように画像を記録し、記録された画像について、下記の方法により画像の解像性(凝集性)及び光沢性を評価した。評価結果は、下記表2に示す。
《画像記録》
まず、図1に示すように、記録媒体の搬送方向(図中の矢印方向)に向かって順次、水性処理液を吐出する処理液吐出用ヘッド12Sを備えた処理液付与部12と、付与された水性処理液を乾燥させる処理液乾燥ゾーン13と、各種水性インクを吐出するインク吐出部14と、吐出された水性インクを乾燥させるインク乾燥ゾーン15と、加熱された圧着ロールを備え乾燥後の画像を加熱圧着により定着する画像定着部16とが配設されたインクジェット装置を準備した。
処理液乾燥ゾーン13は、図示しないが、記録媒体の記録面側には乾燥風を送って乾燥を行なう送風器を備え、記録媒体の非記録面側には赤外線ヒータを備えており、処理液付与部で処理液の付与を開始後、温度・風量を調節して水性処理液中の水を蒸発(乾燥)させることができるように構成されている。また、インク吐出部14は、搬送方向(矢印方向)にブラックインク吐出用ヘッド30K、シアンインク吐出用ヘッド30C、マゼンタインク吐出用ヘッド30M、及びイエローインク吐出用ヘッド30Yが順次配置されており、各ヘッドは1200dpi/10inch幅フルラインヘッド(駆動周波数:25kHz、記録媒体の搬送速度530mm/sec)であり、各色をシングルパスで主走査方向に吐出して記録できるようになっている。また、圧着ロール40A,40Bは、80℃に調温されている。
図1に示すように構成されたインクジェット装置の処理液吐出用ヘッド12S、シアンインク吐出用ヘッド30C、マゼンタインク吐出用ヘッド30Mにそれぞれ繋がる貯留タンク(不図示)に、上記で得た水性処理液、シアンインク、マゼンタインクを装填し、下記のようにして、60°光沢度45の記録媒体(特菱アート、三菱製紙(株)製)、60°光沢度35の記録媒体(OKトップコート+、王子製紙(株)製)、及び60°光沢度27の記録媒体(リサイクルコートT-6、日本製紙(株)製)に解像度1200dpiの網点画像及び文字画像を記録した。記録に際し、水性処理液の記録媒体への付与量は1.7g/mとした。このときのマレイン酸(酸性物質)の付与量は、0.425g/mであった。
〜網点画像〜
はじめに水性処理液を記録媒体上に吐出した後、吐出された水性処理液の一部に、マゼンタインクをインク滴量2pl、解像度1200dpiにて吐出し(最大総吐出量4.4ml/m)、30%網点画像を記録した。
〜文字画像〜
はじめに水性処理液を記録媒体上に吐出した後、吐出された水性処理液上に1色目(1次色)のインクとして、マゼンタインクをインク滴量2pl、解像度1200dpiにて吐出し、ベタ画像を形成した後、このベタ画像上に重ねて2色目(2次色)のインクとして、シアンインクをインク滴量4pl、解像度1200dpiにて吐出し、3ポイント,4ポイント,5ポイントの文字サイズにて「鷹」の文字を記録した。この画像の最大吐出量は12.7g/mである。
具体的には、はじめに記録媒体上に処理液吐出用ヘッド12Sから処理液をシングルパスで吐出した後、水性処理液の乾燥は処理液乾燥ゾーン13で行ない、処理液乾燥ゾーンを水性処理液の吐出開始から900msec迄に通過するようにした。処理液乾燥ゾーン13では、着滴した水性処理液を着滴面の裏側(背面)から赤外線ヒータで膜面温度が40〜45℃となるように加熱しながら、送風器により記録面に120℃の温風をあて、風量を変えて所定の乾燥量になるように調整した。続いて、マゼンタインク吐出用ヘッド30Mにより、マゼンタインクをシングルパスで吐出してマゼンタ色の1次色画像を記録した後、シアンインク吐出用ヘッド30Cにより、マゼンタインクに重ねてシアンインクをシングルパスで吐出し、1次色画像の上にシアン色の2次色画像を記録した。その後、インク乾燥ゾーン15で前記同様にインク着滴面の裏側(背面)から赤外線ヒータで加熱しながら、送風器により120℃、5m/secの温風を記録面に15秒間あてて乾燥させた。画像乾燥後、80℃に調温されたPFA(テトラフルオロエチレン(TFE)とパーフルオロアルコキシエチレンとの共重合体である完全フッ素化の熱可塑性フッ素樹脂)製の圧着ローラ40A,40Bでニップ圧1.0mPaにて加熱圧着する操作(工程)を3回繰り返して画像を定着した。
《画像評価》
−1.光沢度−
上記のようにマゼンタ色の1次色画像(網点画像)が記録された記録媒体について、非画像部及び30%網点画像部の光沢度をGLOSS CHECKER IG-331(堀場製作所(株)製)により求め、非画像部の60°光沢度から30%網点画像部の60°光沢度を減算し、両者間の光沢度の差を算出した。光沢度の値の差は小さいほど画像としての品位が高いことを示し、値の差が8以下であるのが好ましい。
−2.解像性−
上記のように、マゼンタ色のベタ画像上に記録されたシアン色の2次色画像(文字画像)中のドットを50倍の顕微鏡で観察し、文字が潰れずに認識できる最も小さい文字サイズ(ポイント数)を測定した。
前記表2に示すように、本発明では、1次色目に低濃度画像(網点40%以下)を記録したが、低濃度域での光沢度の低下が抑制されており、低濃度域の光沢を良好に保ちつつも、解像性の高い2次色画像を記録することができた。
これに対し、ポリマーラテックスの酸価が低すぎる比較例では、低濃度とした1次色画像の光沢度の低下が著しく、画像の品位が保てず、逆にポリマーラテックスの酸価が高すぎる比較例では、酸量依存度が増し、凝集性も低下してしまい、ドット径の揃った多色の高画質画像を記録することができなかった。また、ポリマーラテックスを用いなかった比較例では、凝集性が著しく低下した。
12・・・処理液付与部
12S・・・処理液吐出用ヘッド
13・・・処理液乾燥ゾーン
14・・・インク吐出部
15・・・インク乾燥ゾーン
16・・・紫外線照射部
16S・・・紫外線照射ランプ
30K,30C,30M,30Y・・・インク吐出用ヘッド

Claims (11)

  1. 少なくとも顔料を含む2種以上のインク組成物をインクジェット法で吐出して画像を記録する画像記録工程と、
    前記インク組成物中の成分を凝集及び/又は不溶化させる酸性物質を含む処理液を、前記インク組成物の吐出前に、60°光沢度が30以上の記録媒体のインク組成物が付与される領域に付与する処理液付与工程と、
    を有し、前記吐出により記録される少なくとも1色目の画像は、前記顔料と共に酸価が70〜120mgKOH/gである自己分散性ポリマーと水溶性有機溶剤とを含むインク組成物を用いて記録するインクジェット記録方法。
  2. 更に、記録された画像を加熱及び/又は圧着により定着する定着工程を有する請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記顔料は、その表面の少なくとも一部がポリマー分散剤で被覆された水分散性顔料であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記ポリマー分散剤がカルボキシル基を有することを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記ポリマー分散剤は、酸価が70〜120mgKOH/gであることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記自己分散性ポリマー及び前記ポリマー分散剤の重量平均酸価が70〜120mgKOH/gであることを特徴とする請求項3〜請求項5のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  7. 前記画像記録工程は、2色目以降の画像を、前記インク組成物の液滴量を4〜10plとして記録する請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  8. 前記画像記録工程は、最大総吐出量を8〜15ml/mとしてインク組成物を、酸性物質の付与量が0.2〜0.7g/mの酸性面に付与することを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  9. 前記自己分散性ポリマーの平均粒子径が、体積平均粒子径で50nm以下であることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  10. 前記酸性物質が2価以上の有機酸であることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  11. 前記記録媒体が、原紙と無機顔料を含むコート層とを有する塗工紙であることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
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