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JP2010228307A - 装飾部材 - Google Patents

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JP2010228307A JP2009078756A JP2009078756A JP2010228307A JP 2010228307 A JP2010228307 A JP 2010228307A JP 2009078756 A JP2009078756 A JP 2009078756A JP 2009078756 A JP2009078756 A JP 2009078756A JP 2010228307 A JP2010228307 A JP 2010228307A
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Yasutaro Takasaki
康太郎 高崎
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Abstract

【課題】表面硬度と耐傷性と耐腐食性とに優れ、かつ美しい彩度を有する装飾部材を提供することにある。
【解決手段】本発明の装飾部材は、基材上に硬質被膜を被覆した硬質装飾部材であって、前記硬質被膜上に密着層と複数層の誘電体多層膜とをこの順に積層した構成を備えることを特徴とする。これにより、本発明の装飾部材では基材表面硬度と耐傷性が向上し、硬質被膜と誘電体多層膜との密着性が十分に確保されているので、誘電体多層膜が硬質被膜から剥離するのを抑止しさらに耐傷性が向上する。また、密着層の上に複数層の誘電体多層膜を形成することで、透明感と高い彩度を呈する装飾部材を提供できる。さらに、最表層にあたる誘電体多層膜は絶縁膜であるので、耐孔蝕性や耐腐蝕性が向上する。
【選択図】図1

Description

本発明は、時計の外装部品、眼鏡やアクセサリーなどの装身具、装飾品などに用いる色彩を有する装飾部材に関し、特に、多種の色彩を有し長期間にわたる耐傷性、耐孔蝕性、耐腐蝕性に優れた硬質装飾部材に関するものである。
従来において、外装部品、眼鏡やアクセサリーなどの装身具、装飾品などに用いる色彩を有する装飾部材の外観色は、ほとんどの場合材料そのものの色であり、装飾部材の硬度も材料自体の硬さであることが通常であった。このために、外観色は透明感と鮮やかさに欠け、硬度面では表面傷が付きやすい、という問題を抱えていた。
これらの問題に対して、装飾部材の表面硬度を向上させて耐傷性を向上させる従来技術としては、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)を始めとする硬質膜を装飾部材表面に形成することが挙げられる。この手法によれば、装飾部材の表面硬度を確実に向上させることができ、耐傷性も向上することは発明者らも確認している。
一方、装飾部材の外観に透明感と鮮やかさとを付与する従来技術としては、特許文献1に挙げた誘電体膜の干渉を用いる技術がある。
特許文献1に記載の従来技術では、部材上に所定の反射率を有する反射面を設け、その反射面上に4b族元素の炭化物と酸化物とを複合して有する単一層の透光性被膜を設けるか、あるいは反射面上に4b族元素の窒化物と酸化物とを複合して有する単一層の透光性被膜を設けることによって、干渉を用いて色を生じさせている。
また、特許文献1に記載の従来技術では、反射面上の4b族元素の炭化物と酸化物とを複合して有する単一層の透光性被膜は、SiCとSiOとを複合する200〜3000オングストロームの厚さであってSiOの成分比が5〜80重量%であること、反射面上の4b族元素の窒化物と酸化物とを複合して有する単一層の透光性被膜は、SiとSiOとを複合する400〜4000オングストロームの厚さであってSiOの成分比が5〜80重量%であることが開示されている。この従来技術を用いれば、さまざまな部材上に透明感と色彩を有する被膜を形成することができる。
しかしながら、特許文献1に記載の従来技術を用いた有色物品の外観色は彩度が低く、鮮やかさ、入射角度による色調の安定性、色調の選択性に欠ける(青、紫色しかできない)。これは干渉に寄与する透光性被膜層が単一層であることが原因のひとつである。
また、特許文献1に記載の従来技術を用いても、装飾部材の耐傷性はほとんど向上しない。耐傷性は、表面層の硬度だけではなく、表面層と下地層との密着性や下地層自体の硬さにも依存しているからである。
一方、装飾部材の外観に深みのある色を付与する従来技術としては、特許文献2に挙げた誘電体膜の干渉を用いる技術がある。
特許文献2に記載の従来技術では、Ti系硬質膜上にTi膜あるいはTixOy膜からなる反射面を設け、その反射面上にTiの酸化物膜とを複合して有する単一層の透光性被膜を設け干渉を用いて色を生じさせている。
また、特許文献2に記載の従来技術では、反射面上のTi膜あるいはTixOy膜はTi系硬質膜との密着性を高め、反射面上に形成するTiの酸化物膜の色調を安定させ、Tiの酸化物膜の厚さにより得られる干渉色によりさまざまな部材上に透明感と色彩を有する被膜を形成させている。
しかしながら、特許文献2に記載の従来技術を用いても有色物品の外観色は彩度が低く、鮮やかさ、入射角度による色調の安定性、色調の選択性(青、紫色しかできない)に欠ける。これも干渉に寄与する透光性被膜層が単一層であることが原因のひとつである。
また、特許文献2に記載の従来技術を用いても、装飾部材の耐傷性はほとんど向上せず、耐腐食性や耐孔蝕性も改善されない。これは最表面層に使用されるTi酸化物膜の硬度が低いことと単層膜の膜欠陥が多いことがあげられる。単層膜を形成するときに膜欠陥が発生しやすいことは良く知られた事実である。
特公平04−024425号 1〜2頁
特開平09−176836号 1〜2頁
本発明の目的は、上記課題を解決して、表面硬度による耐傷性の向上、耐孔蝕性、耐腐蝕性に優れ、かつ美しい彩度、色調の安定性を有する装飾部材を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の装飾部材は、下記に記載の構成を採用する。
本発明の装飾部材は、基材上に硬質被膜を被覆した硬質装飾部材であって、前記硬質被膜上に密着効果および干渉効果とを併せ持った薄膜と複数層の誘電体多層膜とをこの順に積層した構成を備えることを特徴とする。
基材上に形成する硬質被膜は、硬質被膜はDLC(ダイヤモンドライクカーボン)あるいはSi、Ti、Zr、Hf、Ta、W、Nb、Cr及びそれら合金の窒化物、炭化物、窒炭化物、酸窒化物を主たる成分とすることが好ましい。
硬質被膜上には、硬質被膜と誘電体多層膜との密着性を向上させるための密着層を設ける。密着層はSi及び、Siの酸化物、窒化物、炭化物、窒炭化物、酸窒化物から成ることが好ましい。さらに、密着層の上にSiの酸化物、窒化物、炭化物、窒炭化物、酸窒化物から成る複数層の誘電体多層膜を形成して、本発明の装飾部品を得る。誘電体多層膜の反射色や彩度は、広く知られた誘電体多層膜干渉設計技術によって設計・制御することができる。
前記誘電体多層膜は、反応性スパッタリング法によって形成されていることが好ましい。
本発明の装飾部材は、基材上に硬質被膜を被覆した硬質装飾部材であって、前記硬質被膜上に密着層と複数層の誘電体多層膜とをこの順に積層した構成を備えている。
基材上にDLC(ダイヤモンドライクカーボン)あるいはSi、Ti、Zr、Hf、Ta、W、Nb、Cr及びそれら合金の窒化物、炭化物、窒炭化物、酸窒化物を主たる成分とする硬質被膜を形成しているので、基材表面硬度と耐傷性が著しく向上する。
硬質被膜上には、硬質被膜と誘電体多層膜との密着性を向上させるための密着層を設け
ている。この密着層がないと、硬質被膜と誘電体多層膜との密着性が十分に確保できずに耐傷性の低下及び膜剥離を招きやすい。密着層を設けることによって、硬質被膜と誘電体多層膜との密着性が十分に確保され、誘電体多層膜が硬質被膜から剥離するのを抑止し、さらに耐傷性向上にも寄与する。
また、密着層の上に複数層の誘電体多層膜を形成することで、透明感と高い彩度、様々な色調を呈する装飾部材を得ることができる。誘電体多層膜の反射色や彩度は、広く知られた誘電体多層膜干渉設計技術によって設計・制御することができる。
また密着層に屈折率、消衰係数の高い膜を選択する事で、硬質被膜の色調に関係なく誘電体多層膜干渉設計技術によって得られた設計が再現性よく製造でき、入射角度による色調の変化を抑制する事ができる。
さらに、誘電体多層膜を反応性スパッタリング法によって形成し、さらに反応ガスの混合化等の技術を付与することにより誘電体多層膜部の硬度を高くすることができる。
以上、説明したように、本発明の装飾部材は、基材上に硬質被膜を被覆した硬質装飾部材であって、前記硬質被膜上に密着層と複数層の誘電体多層膜とをこの順に積層した構成を備えているので、誘電体多層膜が硬質被膜から剥離するのを抑止し、硬質被膜と誘電体多層膜との密着性が十分に確保されているため耐傷性が飛躍的に向上する。また、密着層の上に複数層の誘電体多層膜を形成することで、透明感と高い彩度、高い色選択性を呈する装飾部材となるのである。
さらに、最表層にあたる誘電体多層膜は絶縁膜であり、電位的に耐孔蝕性や耐腐蝕性を向上させる効果もある。多層構成することで膜欠陥を抑止できることも、耐孔蝕性や耐腐蝕性の向上に寄与する。
本発明の実施形態1による装飾部材の構造を示す断面模式図である。 本発明の実施例1の装飾部材の断面模式図である。 本発明の実施例1の装飾部材の分光反射率特性図である。 本発明の実施例2の装飾部材の断面模式図である。 本発明の実施例2の装飾部材の分光反射率特性図である。 本発明の実施例3の装飾部材の断面模式図である。 本発明の実施例3の装飾部材の断面模式図である。 本発明の実施例4の装飾部材の分光反射率特性図である。 本発明の実施例4の装飾部材と比較例との耐食性試験図である。 従来技術による比較例のカラー装飾部材の断面模式図である。 従来技術による比較例のカラー装飾部材の分光反射率特性図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
<装飾部材>
図1は本発明に係る装飾部材の構造の一例を示す断面模式図である。基材としてJISに定める純Ti基材11の表面に、アモルファスダイヤモンドライクカーボン(DLC)からなる硬質膜12が被覆され、硬質膜12上にSiからなる密着層13およびSiとSiOとを積層してなる誘電体多層膜層14をこの順に積層して装飾部材10を構成している。
本発明に係る装飾部材では、硬質膜12で表面硬度を確保しており、その上に密着・干渉層13と誘電体多層膜層14を形成しているので、硬質膜12の高い耐傷性を維持でき
、装飾部材10としても高硬度と高い耐傷性を得ることができる。また誘電体多層膜層14の中に絶縁膜を導入することで、耐孔蝕性や耐腐蝕性を向上できる。
装飾部材10の外観色などの外観特性は、密着層13と誘電体多層膜14において積層する膜の層数、膜配置順序、各層膜の屈折率と膜厚に依存しており、仕様に沿った反射率スペクトルを計算・設計し、最適化することができる。また、設計を最適化することで、入射角度による色の変化を抑止してどの角度から見ても一定の外観色を得ることができる。
また、誘電体多層膜による干渉層にTiNx、TiC、HfC等の吸収膜を導入する事も可能で、吸収膜を含めて積層した誘電体多層膜では、色の深みを増加させる効果や、外観色の角度依存性を抑制する効果を付与できる。
このようにして、本発明に係る装飾部材では、従来技術の問題点を解決しているのである。
本発明の実施形態1に係る装飾部材10は、基材11と、基材11表面に被覆形成された硬質膜12と、硬質膜12上に被覆形成された密着層13および密着層13上に被覆形成された誘電体多層膜層14から形成される。
(基材)
上記基材11としては材料に制限は無く、また形状にも限定されない。
(硬質膜)
実施形態1に用いられる硬質膜12としては、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)あるいはSi、Ti、Zr、Hf、Ta、W、Nb、Cr及びそれら合金の(4a族、4b族、5a族、5b族、6b族)の窒化物、炭化物、窒炭化物、酸窒化物等が挙げられる。
(密着層)
実施形態1に用いられる密着層および干渉層の13としては、Siまたはそれらの酸化物、窒化物、炭化物、窒炭化物、酸窒化物等が挙げられる。
(誘電体多層膜)
実施形態1に用いられる誘電体多層膜14の材質としては、
Siの酸化物、窒化物、炭化物、窒炭化物、酸窒化物
Alの酸化物、窒化物、酸窒化物、フッ化物
Znの酸化物、硫化物
Ce、Laの酸化物、フッ化物
Ti,Zr,Hfの酸化物
Cr、Biの酸化物
V、Nb、Taの酸化物
Yの酸化物、フッ化物
Mg、Caの酸化物、フッ化物、Baのフッ化物
Liの酸化物、フッ化物
Kのフッ化物
Naのフッ化物 Na5Al3F14 Na3AlF6 NaF
ITO膜
等が挙げられる。どの材質をどのような厚さでどのような順序で積層するのかは、設計の問題である。
(製造方法)
実施形態1に係る装飾部材の誘電体多層膜14は、反応性スパッタリング法によって、製造される。スパッタリング法は、真空に排気されたチャンバー内に不活性ガス(主にArガス)を導入しながら、基材と被膜の構成原子からなるターゲット間に直流または交流の高電圧を印加し、イオン化したArをターゲットに衝突させて、はじき飛ばされたターゲット物質を基材に形成させる方法である。不活性ガスとともに微量の反応性ガスを導入することで、ターゲット構成原子と反応性ガスとの化合物被膜を基材上に形成させることができる。実施形態1に係る装飾部材10の誘電体多層膜14は、ターゲット構成原子と反応性ガスの選択により、屈折率、消衰係数、被膜硬度を調整し、誘電体多層膜干渉設計技術によって設計された層構成および膜厚を精密にコントロールすることにより製造される。
反応性スパッタリング法は膜質や膜厚の制御性が高く自動化も容易である。またスパッタリングされた原子のエネルギーが高いことから、密着性を向上させるための基材加熱が必要なく、融点の低いプラスチックのような基材でも被膜形成が可能となる。また反応性ガスの選択や混合により酸化物被膜、窒化物被膜、炭化物被膜、窒炭化物被膜、酸窒化物被膜、フッ化物被膜、酸フッ化物被膜の形成が容易に行える。さらにターゲット構成原子を合金化することにより、合金被膜の形成、合金の酸化物被膜、窒化物被膜、炭化物被膜、窒炭化物被膜、酸窒化物被膜、フッ化物被膜、酸フッ化物被膜の形成も可能となる。
以上の製造方法によれば、上述したような特性を有する装飾部材を得ることができる。
<時計>
本発明に係る時計は、その構成部品の一部に上述した装飾部材を有することを特徴とする。時計は、光発電時計、熱発電時計、標準時電波受信型自己修正時計、機械式時計、一般の電子式時計のいずれであってもよい。このような時計は、上記装飾部材を用いて公知の方法により製造される。
[実施例1]
本発明の装飾部材の第1の実施例を図2及び図3を用いて説明する。図2は装飾部材20の断面模式図、図3は装飾部材の分光反射率特性を示すグラフである。基材21としてSUS316Lを用い、基材21上にスパッタリング法でダイヤモンドライクカーボン(DLC)からなる硬質被膜22を形成する。次に硬質被膜22上にスパッタリングでSiの密着・干渉層23を100nmの厚さで形成する。その後、密着・干渉膜23上に膜厚をコントロールしたSi3N4膜、SiO2膜、Si3N4膜をこの順におのおの231nm、85nm、155nm積層した3層からなる誘電体多層膜24を積層形成して装飾部材21を得る。この実施例1で得られる装飾部材20の外観カラーは図2の分光反射率特性および色座標から、入射角度によらず鮮やかな青色となる。
実施例1の装飾部材20は図3に示すように、誘電体多層膜24を積層する事で、従来の単層で形成した場合と比較して彩度が高くまた色鮮やかである。また従来の単層では入射角度によって色調の変化が起こるのに対し、誘電体積層膜24を積層する事により入射角度による色調の変化を抑止する事が可能となっている。
また装飾部材20の最表面層を硬度の高いSi3N4膜(硬度24.6GPa程度)にしたことにより、耐傷性の著しい向上が確認された。
また、実施例1の装飾部材20に対してJIS D0202-1988に準拠する碁盤目
テープ剥離試験を行ったところ、剥離しないマス目の数が100個中100個であったのに対して、Siの密着・干渉層23を導入せずに誘電体多層膜24を硬質被膜22上に形成したサンプルでは剥離しないマス目の数が100個中50個であった。このことから、Siの密着・干渉層23を導入することによって密着性が飛躍的に向上することが確認できた。
また、実施例1の誘電体多層膜24において、Si3N4膜、SiO2膜の代わりにSiOxNy膜、SiOxCy膜、SiCxNy膜を用いた場合も、膜厚、膜構成を設計変更する事で同様の効果を得る事ができた。SiOxNy膜、SiOxCy膜、SiCxNy膜等を使用した場合、誘電体膜内部で薄膜による若干の吸収があるため、得られる色調が若干暗めになるものの、入射角度による色調の変化を極めて少なくする事ができた。
[実施例2]
本発明の第2の実施例を図4及び図5を用いて説明する。図4は実施例2における装飾部材30の断面模式図、図5は分光反射率特性を示すグラフである。基材31としてSUS316Lを用い、基材31上にスパッタリング法でダイヤモンドライクカーボン(DLC)からなる硬質被膜32を形成する。次に硬質被膜32上にスパッタリングでSiの密着・干渉層33を120nmの厚さで形成し、さらに膜厚をコントロールしたSi3N4膜、SiOxNy膜、Si3N4膜をこの順におのおの175nm、35nm、135nm積層した3層からなる誘電体多層膜34を積層形成して、装飾部材30を得る。この実施例2で得られる装飾部材30の外観カラーは鮮やかな赤色となる。実施例2による装飾部材30の分光反射率特性を測定したスペクトル図が図5である。図5の分光反射率特性および色座標から装飾部材30の外観カラーは入射角度によらず赤色である。
[実施例3]
本発明の第3の実施例を図6を用いて説明する。図6は実施例3における装飾部材40の断面模式図である。実施例2と同様の被膜構成で、基材41としてSUS316Lを用い、基材41上に硬質被膜42形成する。次に硬質被膜42上にマスキング(図示せず)を施し、その後Siの密着・干渉層43及び誘電体多層膜44を積層形成した後に、このマスキングを除去する。このように作成することによって、装飾部材40の外観を硬質被膜42であるダイヤモンドライクカーボン(DLC)の黒色と密着・干渉層43と誘電体多層膜44からなる赤色とのツートンカラーとして形成できる。
[実施例4]
本発明の第4の実施例を図7及び図8を用いて説明する。図7は実施例4における部材50の断面模式図、図8は分光反射率特性を示すグラフである。基材51としてSUS316Lを用い、基材51上にスパッタリング法でTiNからなる硬質被膜52を形成する。次に硬質被膜52上にスパッタリングでSiの密着・干渉層53を100nmの厚さで形成し、その後、密着・干渉層53上に膜厚をコントロールしたSi3N4膜、SiO2膜、Si3N4膜をこの順におのおの156nm、57nm、120nm積層した3層からなる誘電体多層膜54を積層形成して装飾部材50を得る。この実施例4で得られる装飾部材50の外観カラーは鮮やかなライムグリーン色となる。実施例4による装飾部材50の分光反射率特性を測定したスペクトル図が図8である。図8の分光反射率特性および色座標から装飾部材30の外観カラーは入射角度によらず緑色である。
図9は基材51にTiN硬質被膜52のみを形成した部材(従来技術で作成したカラー装飾部材比較サンプル)と、実施例4で形成した装飾部材50とで耐腐食性能を評価する為に0.5N Na2SO4溶液での耐食性試験を実施したものである。図9から分かるように、本発明による装飾部材50の方が従来技術による比較サンプルと比して腐食電流の発生する電位が貴(+方向)になっており、孔色による腐食がおきにくくなっていることが分かる。
また腐食による電流密度の上昇も低下していることが分かる。これは誘電体多層膜54の絶縁膜形成によるものである。
[比較例]
図10、図11は比較例として特公平09−176836号を参考に作成した装飾部材110を示し、図10はその断面模式図、図11は分光反射率特性を示すグラフである。基材111としてSUS316Lを用い、その基材111上にスパッタリング法でTiNからなる硬質被膜112を形成する。次に硬質被膜112上にスパッタリングでTiの密着層113を100nmの厚さで形成する。その後、密着層113上に膜厚をコントロールしたTiO2層からなる誘電体膜114を250nmの厚さで形成した。このようにして従来技術で作成したカラー装飾部材110の表面分光反射率が図11である。図11からも明らかなように、このような従来技術の実施の形態では、特公平09−176836号にあるように青色や赤紫色の反射色は出す事ができるが、緑や赤、黄色といった長波長側の反射色を得る事はできない。また得られた青色や赤紫色も彩度が低く、鮮やかさ、入射角度による色調の安定性に欠ける。さらに最表面のTiO2誘電体膜の硬度は14.7GPa程度であり、実施例1に記載する装飾部材と比較し耐傷性において明確な差が確認された。
以上に述べたように、本発明に係る装飾部材では、基材上に形成した硬質膜で表面硬度を確保しており、前記硬質膜上に密着・感傷槽と誘電体多層膜層とを形成しているので、硬質膜の高い耐傷性を維持でき、装飾部材して高硬度と高い耐傷性を得ることができる。また誘電体多層膜層中に絶縁膜を導入することで、耐孔蝕性や耐腐蝕性を向上できる。このようにして、従来技術では得られない高水準の高硬度、耐傷性、耐腐食性および耐孔蝕性を併せ持った装飾部品を得ることができるのである。
本発明は、時計の外装部品、眼鏡やアクセサリーなどの装身具、装飾品、スポーツ用品などに用いる色彩を有する装飾部材に利用できる。
10、 20、 30、 40、 50、 110 装飾部材
11、 21、 31、 41、 51、 111 製品基材
12、 22、 32、 42、 52、 112 硬質被膜
13、 23、 33、 43、 53、 113 密着・干渉層
14、 24、 34、 44、 54、 114 誘電体多層膜












Claims (5)

  1. 基材上に硬質被膜を被覆した装飾部材であって、前記硬質被膜上に密着兼干渉層と誘電体多層膜とをこの順に積層してあることを特徴とする装飾部材。
  2. 前記基材上の硬質被膜がDLC(ダイヤモンドライクカーボン)あるいはSi、Ti、Zr、Hf、Ta、W、Nb、Cr及びそれら合金の窒化物、炭化物、窒炭化物、酸窒化物を主たる成分とすることを特徴とする請求項1に記載の装飾部材。
  3. 前記密着層・兼干渉層がSiまたはそれらの酸化物、窒化物、炭化物、窒炭化物、酸窒化物からなることを特徴とする請求項2に記載の装飾部材。
  4. 前記誘電体多層膜が、反応性スパッタリング法によって形成されていることを特徴とする請求項2〜3のいずれかに記載の装飾部材。
  5. 外装部品の一部または全部が、請求項1〜4のいずれかに記載の装飾部材で構成されていることを特徴とする時計。






















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