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JP2010215747A - プロピレン系樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

プロピレン系樹脂組成物及びその製造方法 Download PDF

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JP2010215747A
JP2010215747A JP2009062526A JP2009062526A JP2010215747A JP 2010215747 A JP2010215747 A JP 2010215747A JP 2009062526 A JP2009062526 A JP 2009062526A JP 2009062526 A JP2009062526 A JP 2009062526A JP 2010215747 A JP2010215747 A JP 2010215747A
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mass
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copolymer
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JP2009062526A
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Shinichi Kondo
慎一 近藤
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】湯ジワの発生を抑制することが可能なプロピレン系樹脂組成物を提供する。
【解決手段】プロピレン重合体(A−1)25〜90質量%と、プロピレン重合体(A−2)1〜10質量%と、繊維状無機充填材(B)1〜15質量%と、非繊維状無機充填材(C)3〜20質量%と、オレフィン系エラストマー及び/又はビニル芳香族化合物含有エラストマー(D)3〜30質量%と、を含有するプロピレン系樹脂組成物であって、(ただし、前記(A−1)〜(D)の合計を100質量%とする)。前記プロピレン重合体(A−1)を所定の結晶性ポリプロピレン部分60〜85質量%と、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分(EP−1)15〜40質量%と、を含有するものとし、かつ、前記プロピレン重合体(A−2)を、前記結晶性ポリプロピレン部分60〜85質量%と、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分(EP−2)15〜40質量%と、を含有するものとした。
【選択図】なし

Description

本発明は、プロピレン系樹脂組成物及びその製造方法に関するものである。
ポリプロピレン系樹脂組成物は、機械的特性等に優れる材料であることから、広範な用途、例えば、自動車の内外装部品や電気製品の部品に用いられている。例えば、特許文献1には、比重が小さく、剛性、耐衝撃性に優れるプロピレン系樹脂組成物、その製造方法及び、該樹脂組成物からなる射出成形体が記載されている。
また、特許文献2には、比重が小さく、耐衝撃性に優れ、フローマークの発生が抑制されたプロピレン系樹脂組成物、その製造方法及び、該樹脂組成物からなる射出成形体が記載されている
しかし、上記の公報等に記載されているポリプロピレン系樹脂組成物において、所謂湯ジワと呼ばれる成形品の表面に線状の模様が発生する場合があり、商品価値を損ねていたため、この湯ジワ発生を抑制することが求められていた。
特開2007−92050号公報 特開2008−208303号公報
以上の課題に鑑み、本発明は湯ジワの発生を抑制することが可能なプロピレン系樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者等は検討の結果、下記の構成を採用することにより上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、
プロピレン重合体(A−1)25〜90質量%と、
プロピレン重合体(A−2)1〜10質量%と、
繊維状無機充填材(B)1〜15質量%と、
非繊維状無機充填材(C)3〜20質量%と、
オレフィン系エラストマー及び/又はビニル芳香族化合物含有エラストマー(D)3〜30質量%と、を含有するプロピレン系樹脂組成物であって、(ただし、前記(A−1)、(A−2)、(B)、(C)及び、(D)の合計を100質量%とする)。
前記プロピレン重合体(A−1)は、
プロピレン単独重合体と、プロピレン単独重合体とエチレンとの共重合体であってエチレンの含有量が1モル%以下のプロピレン−エチレン共重合体と、若しくはプロピレン単独重合体と炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体であるプロピレン−α−オレフィン共重合体と、からなる群から選ばれる少なくともいずれかである結晶性ポリプロピレン部分60〜85質量%と、
エチレン含量[(C2’)EP]が20質量%以上、80質量%未満であるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分(EP−1)15〜40質量%と、を含有し、かつ、
下記要件(1)及び要件(2)を満足するプロピレン−エチレンブロック共重合体であり(ただし、プロピレン−エチレンブロック共重合体の全量を100質量%とする)、
要件(1)結晶性ポリプロピレン部分の極限粘度[η]が0.7dl/g以上、1.7dl/g以下である。
要件(2)プロピレン重合体(A−1)の230℃でのメルトフローレート(MFR)が15g/10分以上、500g/10分以下である。
前記プロピレン重合体(A−2)は、
前記結晶性ポリプロピレン部分60〜85質量%と、
エチレン含量[(C2’)EP]が20質量%以上、80質量%未満であるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分(EP−2)15〜40質量%と、を含有し、かつ、
下記要件(3)及び要件(4)を満足するプロピレン−エチレンブロック共重合体である(ただし、プロピレン−エチレンブロック共重合体の全量を100質量%とする)ことを特徴とするプロピレン系樹脂組成物に関するものである。
要件(3)結晶性ポリプロピレン部分の極限粘度[η]が1.7dl/gより大きく、4.0dl/g以下である。
要件(4)プロピレン重合体(A−2)の230℃でのメルトフローレート(MFR)が0.1g/10分以上、15g/10分未満である。
ここで、本発明における「湯ジワ」とは、射出成形における成形不良の一種であって、リブ等の厚みや段差がある成形品において、ゲートから直接流れてきた比較的温度が高めの溶融樹脂と、リブ等の厚みや段差がある部分を迂回して流れることで冷却され、比較的温度が低めの溶融樹脂が合流することで粘度差によるズリが生じ、線状の模様が発生して生じる現象をいう。
本発明によれば、湯ジワの発生を抑制することが可能なプロピレン系樹脂組成物を提供することが可能である。
〔プロピレン重合体(A−1)〕
本発明に係るプロピレン系樹脂組成物は、プロピレン重合体(A−1)を含有する。このプロピレン重合体(A−1)は、
プロピレン単独重合体と、プロピレン単独重合体とエチレンとの共重合体であってエチレンの含有量が1モル%以下のプロピレン−エチレン共重合体と、若しくはプロピレン単独重合体と炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体であるプロピレン−α−オレフィン共重合体と、からなる群から選ばれる少なくともいずれかである結晶性ポリプロピレン部分60〜85質量%と、エチレン含量[(C2’)EP]が20質量%以上、80質量%未満であるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分(EP−1)15〜40質量%と、を含有し、かつ、下記要件(1)及び要件(2)を満足するプロピレン−エチレンブロック共重合体である(ただし、プロピレン−エチレンブロック共重合体の全量を100質量%とする)。
要件(1)結晶性ポリプロピレン部分の極限粘度[η]が0.7dl/g以上、1.7dl/g以下である。
要件(2)プロピレン重合体(A−1)の230℃でのメルトフローレート(MFR)が15g/10分以上、500g/10分以下である。
プロピレン重合体(A−1)中の結晶性ポリプロピレン部分の含有量が60質量%未満の場合(すなわち、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分が40質量%を超えた場合)、プロピレン系樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)が低下して十分な成形性が得られない場合があったり、成形体を製造した場合に成形体の剛性や硬度が低下したりする場合がある。また、結晶性ポリプロピレン部分の含有量が85質量%を超えた場合(すなわち、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分が15質量%未満の場合)、成形体の靭性や耐衝撃性が低下する場合がある。
上記結晶性ポリプロピレン部分は、プロピレン単独重合体と、プロピレン単独重合体とエチレンとの共重合体であってエチレンの含有量が1モル%以下のプロピレン−エチレン共重合体と、若しくはプロピレン単独重合体と炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体であるプロピレン−α−オレフィン共重合体と、からなる群から選ばれる少なくともいずれかである。上記プロピレン−エチレン共重合体を使用する場合、エチレンの含有量が1モル%を超えると、成形体の剛性や耐熱性が低下する場合がある。
結晶性ポリプロピレン部分は、得られる成形体の剛性、耐熱性又は硬度を高めるという観点から、プロピレン単独重合体であることが好ましく、13C−NMRにより計算されるアイソタクチックペンタッド分率が0.95以上であるプロピレン単独重合体であることがより好ましい。
ここで、アイソタクチック・ペンタッド分率とは、A.ZambelliらによってMacromolecules,6,925(1973)に発表されている方法、すなわち、13C−NMRを使用して測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖、換言すればプロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率である(ただし、NMR吸収ピークの帰属は、Macromolecules,8,687(1975)に基づいて行う)。具体的には、13C−NMRスペクトルのメチル炭素領域の全吸収ピーク中のmmmmピークの面積分率としてアイソタクチック・ペンタッド分率を測定する。この方法によって英国 NATIONAL PHYSICAL LABORATORYのNPL標準物質 CRM No.M19−14Polypropylene PP/MWD/2のアイソタクチック・ペンタッド分率を測定したところ、0.944であった。
結晶性ポリプロピレン部分は、溶融時の流動性と成形体の靭性とのバランスの観点から、極限粘度[η]が0.7dl/g以上、1.7dl/g以下である(要件(1))。好ましくは0.75dl/g以上、1.3dl/g以下であり、更に好ましくは0.75dl/g以上、1.1dl/g以下である。
またゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定した分子量分布(Q値、Mw/Mn)は、好ましくは3以上7未満であり、より好ましくは3〜5である。
また、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−1)のエチレン含量[(C2’)EP]は、20質量%以上80質量%未満であり、好ましくは25質量%以上45質量%以下である(ただし、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−1)共重合体成分の全量を100質量%とする)。エチレン含量[(C2’)EP]が上記の範囲にない場合、機械的物性バランス、例えば、剛性や靭性、耐衝撃性が低下する場合がある。
プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−1)の極限粘度[η]EPは1.0dl/gを超え10dl/g以下であり、好ましくは3.0dl/g以上6.0dl/g以下である。極限粘度[η]EPが1.0dl/g未満の場合、靭性や耐衝撃性が低下する場合がある。極限粘度[η]EPが10dl/gを超える場合、成形体にブツが発生する場合がある。
本発明で用いられるプロピレン重合体(A−1)のメルトフローレート(MFR)は15g/10分以上、500g/10分以下であり、好ましくは20〜350g/10分である(要件(2))。15g/10分未満の場合、成形体の耐衝撃性が不充分なことがある。また、後に繊維状無機充填材(B)と溶融混練する際に繊維状無機充填材(B)がせん断によって折れてしまう可能性がある。そして、500g/10分を超えた場合、耐衝撃性が低下する場合がある。
〔プロピレン重合体(A−2)〕
本発明に係るプロピレン系樹脂組成物は、プロピレン重合体(A−2)を含有する。このプロピレン重合体(A−2)は、
プロピレン重合体(A−1)中の結晶性ポリプロピレン部分60〜85質量%と、
エチレン含量[(C2’)EP]が20質量%以上、80質量%未満であるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分(EP−2)15〜40質量%と、を含有し、かつ、
下記要件(3)及び要件(4)を満足するプロピレン−エチレンブロック共重合体である(ただし、プロピレン−エチレンブロック共重合体の全量を100質量%とする)。
要件(3)結晶性ポリプロピレン部分の極限粘度[η]が1.7dl/gより大きく、4.0dl/g以下である。
要件(4)プロピレン重合体(A−2)の230℃でのメルトフローレート(MFR)が0.1以上、15g/10分未満である。
プロピレン重合体(A−2)中の結晶性ポリプロピレン部分の含有量が60質量%未満の場合(すなわち、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分が40質量%を超えた場合)、上記と同様に、プロピレン系樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)が低下して十分な成形性が得られない場合があったり、成形体を製造した場合に成形体の剛性や硬度が低下したりする場合がある。また、結晶性ポリプロピレン部分の含有量が85質量%を超えた場合(すなわち、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分が15質量%未満の場合)、成形体の靭性や耐衝撃性が低下する場合がある。
上記結晶性ポリプロピレン部分は、プロピレン単独重合体と、プロピレン単独重合体とエチレンとの共重合体であってエチレンの含有量が1モル%以下のプロピレン−エチレン共重合体と、若しくはプロピレン単独重合体と炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体であるプロピレン−α−オレフィン共重合体と、からなる群から選ばれる少なくともいずれかである。上記プロピレン−エチレン共重合体を使用する場合、エチレンの含有量が1モル%を超えると、成形体の剛性や耐熱性が低下する場合がある。
プロピレン重合体(A−2)に含有される結晶性ポリプロピレン部分は、成形体の湯ジワ防止の観点から、極限粘度[η]が1.7dl/gより大きく、4.0dl/g以下である(要件(3))。好ましくは1.7dl/gより大きく、3.5dl/g以下であり、更に好ましくは1.7dl/gより大きく、3.3dl/g以下である。
またゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定した分子量分布(Q値、Mw/Mn)は、好ましくは3以上7未満であり、より好ましくは3〜5である。
また、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−2)のエチレン含量[(C2’)EP]は、20質量%以上80質量%未満であり、好ましくは25質量%以上45質量%以下である(ただし、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−2)共重合体成分の全量を100質量%とする)。エチレン含量[(C2’)EP]が上記の範囲にない場合、機械的物性バランス、例えば、剛性や靭性、耐衝撃性が低下する場合がある。
プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(EP−2)の極限粘度[η]EPは1.0dl/gを超え10dl/g以下であり、好ましくは3.0dl/g以上6.0dl/g以下である。極限粘度[η]EPが3.0dl/g未満の場合、靭性や耐衝撃性が低下する場合がある。極限粘度[η]EPが10dl/gを超える場合、成形体にブツが発生する場合がある。
本発明で用いられるプロピレン重合体(A−2)のメルトフローレート(MFR)は0.1g/10分以上、15g/10分未満であり、好ましくは0.3g/10分以上、5g/10分である(要件(4))。0.1g/10分未満の場合、プロピレン系樹脂組成物の流動性が不十分なことがある。また、15g/10分を超えた場合、湯ジワの発生が抑制できない場合がある。
プロピレン重合体(A−1)及びプロピレン重合体(A−2)の製造方法としては、例えば、プロピレン単独重合体又は、プロピレンと含有量が1モル%以下のエチレン又は炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体である結晶性ポリプロピレン部分(第1セグメントと称する)を第1工程で製造し、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分(第2セグメントと称する)を第2工程で製造する方法が挙げられる。
そして、公知の重合触媒を用いて、公知の重合方法によって製造する方法が挙げられる。公知の重合触媒としては、例えば、チーグラー触媒やメタロセン触媒が挙げられ、チーグラー触媒としては、(a)マグネシウム、チタン、ハロゲン及び電子供与体を必須成分として含有する固体触媒成分、(b)有機アルミニウム化合物、及び(c)電子供与体成分から形成される触媒系などが挙げられる。この触媒の製造方法は例えば、特開平1−319508、特開平7−216017、特開平10−212319号、特開2004−182876号公報等に詳しく記載されている。
公知の重合方法としては、例えば、バルク重合、溶液重合、スラリー重合、気相重合等が挙げられる。これらの重合方法は、バッチ式、連続式のいずれでも可能であり、また、これらの重合方法を任意に組合せてもよい。より具体的な製造方法としては、前述の固体触媒成分(a)、有機アルミニウム化合物(b)及び電子供与体成分(c)からなる触媒系の存在下に少なくとも3槽からなる重合槽を直列に配置し、第1の槽で第1セグメントを重合し、得られた生成物を、第2の槽へ移し、その第2の槽で第2セグメントを重合し、得られた生成物を、第3の槽へ移し、その第3の槽で第3セグメントを重合し、プロピレン系重合体を連続的に製造する方法が挙げられる。工業的かつ経済的な観点から、好ましくは連続式の気相重合法である。
上記の重合方法における固体触媒成分(a)、有機アルミニウム化合物(b)及び電子供与体成分(c)の使用量や、各触媒成分を重合槽へ供給する方法は、公知の触媒の使用方法によって、適宜、決めることができる。
重合温度は、−30〜300℃であり、好ましくは20〜180℃である。重合圧力は、常圧〜10MPaであり、好ましくは0.2〜5MPaである。分子量調整剤として、例えば、水素を用いることができる。
本発明で用いられるプロピレン重合体の製造において重合(本重合)の実施前に、公知の方法によって、予備重合を行っても良い。公知の予備重合の方法としては、例えば、固体触媒成分(a)及び有機アルミニウム化合物(b)の存在下、少量のプロピレンを供給して溶媒を用いてスラリー状態で実施する方法が挙げられる。
〔繊維状無機充填材(B)〕
本発明に係るプロピレン系樹脂組成物は、繊維状無機充填材(B)を含有する。繊維状無機充填材(B)としては、例えば、繊維状マグネシウムオキシサルフェート、チタン酸カリウム繊維、水酸化マグネシウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、ケイ酸カルシウム繊維、炭酸カルシウム繊維、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維等が挙げられる。このうち、繊維状マグネシウムオキシサルフェート、ケイ酸カルシウム繊維を用いることが好ましく、繊維状マグネシウムオキシサルフェートを用いることがより好ましい。
繊維状無機充填材(B)の平均繊維長は、3μm以上であり、好ましくは3〜20μmであり、更に好ましくは8〜15μmである。平均繊維径は0.2〜1.5μmであることが好ましく、アスペクト比は10以上であり、好ましくは10〜30である。なお、平均繊維長、平均繊維径は電子顕微鏡観察によって測定される。
平均繊維長、平均繊維径、アスペクト比を上記のような範囲とすることにより、成形体の剛性の改良効果を高めることが可能となる。
繊維状無機充填材(B)は無処理のまま使用しても良く、ポリプロピレン系樹脂との界面接着性を向上させ、ポリプロピレン系樹脂に対する分散性を向上させるために、公知のシランカップリング剤や高級脂肪酸金属塩で表面を処理して使用しても良い。高級脂肪酸金属塩としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
また、繊維状無機充填材(B)の形態としては、粉状、フレーク状、顆粒状などが挙げられ、いずれの形態のものを用いても良い。ハンドリングしやすいという観点から、顆粒状のものを用いることが好ましい。
〔非繊維状無機充填材(C)〕
本発明に係るプロピレン系樹脂組成物は、非繊維状無機充填材(C)を含有する。非繊維状無機充填材(C)としては、例えば、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、クレー、アルミナ、シリカ、硫酸カルシウム、けい砂、カーボンブラック、酸化チタン、水酸化マグネシウム、ゼオライト、モリブデン、けいそう土、セリサイト、シラス、水酸化カルシウム、亜硫酸カルシウム、硫酸ソーダ、ベントナイト、黒鉛等が挙げられる。このうち、良好な衝撃強度、良好な成形体の光沢や良好な外観を得るという観点から、好ましくは、タルクである。
非繊維状無機充填材(C)の平均粒子径は、10μm以下であり、好ましくは5μm以下である。ここで平均粒子径とは、遠心沈降式粒度分布測定装置を用いて水、アルコール等の分散媒中に懸濁させて測定した篩下法の積分分布曲線から求めた50%相当粒子径D50のことを意味する。
非繊維状無機充填材(C)は繊維状無機充填材(B)と同様に、無処理のまま使用してもよいが、プロピレン系重合体(A−1)及びプロピレン系重合体(A−2)との界面接着性を向上させ、かつ、分散性を向上させるために、通常、用いられるシランカップリング剤、チタンカップリング剤や界面活性剤で表面を処理して使用しても良い。界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸塩類等が挙げられる。
〔オレフィン系エラストマー及び/又はビニル芳香族化合物含有エラストマー(D)〕
本発明に係るプロピレン系樹脂組成物は、オレフィン系エラストマー(D−1)及び/又はビニル芳香族化合物含有エラストマー(D−2)を含有する。
オレフィン系エラストマー(D−1)は、エチレンと炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体である。炭素数4〜20のα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等が挙げられる。このうち1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンを用いることが好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
オレフィン系エラストマー(D−1)の密度は、プロピレン重合体(A−1)及び(A−2)に対する分散性を高めるという観点や、得られる成形体の室温又は低温での衝撃強度を高めるという観点から、0.85〜0.885g/cmであり、好ましくは0.85〜0.88g/cmであり、より好ましくは0.855〜0.875g/cmである。
オレフィン系エラストマー(D−1)の分子量分布としては、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって測定される重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)から求められる分子量分布(Q値)として、好ましくは4以下であり、より好ましくは3以下である。
オレフィン系エラストマー(D−1)の190℃のメルトフローレート(MFR、JIS−K−6758、230℃)は、衝撃強度の観点から、通常、0.1〜30g/10分であり、好ましくは0.5〜20g/10分である。
オレフィン系エラストマー(D−1)の製造方法としては、公知の重合触媒を用いて、公知の重合方法による製造方法が挙げられる。公知の重合触媒としては、例えば、バナジウム化合物、有機アルミニウム化合物及びハロゲン化エステル化合物からなるチーグラー・ナッタ触媒系や、チタン原子、ジルコニウム原子又はハフニウム原子に少なくとも1種以上のシクロペンタジエニルアニオン骨格を有する基が配位したメタロセン化合物とアルモキサンあるいはホウ素化合物とを組み合わせた触媒系、いわゆるメタロセン触媒系が挙げられる。
公知の重合方法としては、例えば、炭化水素化合物のような不活性有機溶媒中でエチレンとα−オレフィンを共重合させる方法や、溶媒を用いずにエチレン及びα−オレフィン中で共重合させる方法が挙げられる。
ビニル芳香族化合物含有エラストマー(D−2)としては、例えば、ビニル芳香族化合物重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックからなるブロック共重合体、前記ブロック共重合体の共役ジエン部分の二重結合が水素添加されているブロック重合体等が挙げられる。このうちブロック共重合体の共役ジエン部分の二重結合が80%以上水素添加されているブロック重合体であることが好ましく、85%以上水素添加されているブロック重合体であることがより好ましい。例えば、スチレン−エチレン−ブテン−スチレン系ゴム(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン系ゴム(SEPS)、スチレン−ブタジエン系ゴム(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレン系ゴム(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン系ゴム(SIS)等のブロック共重合体又はこれらのゴム成分を水添したブロック共重合体等が挙げられる。これらは単独又は2種以上併用して用いてもよい。
また、エチレン−プロピレン−非共役ジエン系ゴム(EPDM)等のオレフィン系共重合体ゴムとスチレン等のビニル芳香族化合物を反応させて得られるゴムも好適に使用することができる。これらは単独又は2種以上併用して用いてもよい。
ビニル芳香族化合物含有エラストマー(D−2)に含有されるビニル芳香族化合物の平均含有量として、好ましくは10〜20質量%であり、より好ましくは12〜19質量%である(ただし、ビニル芳香族化合物含有エラストマー(D−2)の全量を100質量%とする)。
ビニル芳香族化合物含有エラストマー(D−2)の密度は、プロピレン重合体(A−1)及び(A−2)に対する分散性を高めるという観点や、得られる成形体の室温又は低温での衝撃強度を高めるという観点から、0.8〜0.97g/cmであり、好ましくは0.86〜0.9g/cmである。
ビニル芳香族化合物含有エラストマー(D−2)の分子量分布としては、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって測定される重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)から求められる分子量分布(Q値)として、好ましくは2.5以下であり、より好ましくは2.3以下である。
ビニル芳香族化合物含有エラストマー(D−2)のメルトフローレート(MFR、JIS−K−6758、230℃)として、好ましくは1〜15g/10分であり、より好ましくは2〜13g/10分である。
ビニル芳香族化合物含有エラストマー(D−2)の製造方法としては、例えば、オレフィン系共重合体ゴムもしくは共役ジエンゴムに対し、ビニル芳香族化合物を重合、反応等により結合させる方法等が挙げられる。
〔プロピレン系樹脂組成物の製造方法〕
本発明のプロピレン系樹脂組成物の製造方法は、プロピレン重合体(A−1)及び(A−2)と繊維状無機充填材(B)と非繊維状無機充填材(C)とオレフィン系エラストマー及び/又はビニル芳香族化合物含有エラストマー(D)とを混合し、混練する方法が挙げられる。混練に用いられる装置としては、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、熱ロール等が挙げられ、好ましくは一軸押出機、二軸押出機である。
繊維状無機充填材(B)の分散性を高めるため、プロピレン重合体(A−1)と繊維状無機充填材(B)とを、(A−1)と(B)の質量比((A−1)/(B))を3/7〜7/3にして、溶融混練してマスターバッジを得る第1工程と、第1工程で得られたマスターバッジに、プロピレン重合体(A−2)と非繊維状無機充填材(C)とオレフィン系エラストマー及び/又はビニル芳香族化合物含有エラストマー(D)とをさらに加えて溶融混練して樹脂組成物を得る第2工程からなる製造方法を用いることが好ましい。
上記第1工程において、溶融混練されるプロピレン重合体(A−1)と繊維状無機充填材(B)の質量比((A−1)/(B))は3/7〜7/3であり、好ましくは、4/6〜6/4である。
質量比((A−1)/(B))が3/7未満の場合(すなわち、(A−1)は過少で、(B)が過多である場合)、(B)が多すぎて、混練ができなくなることがある。質量比((A−1)/(B))が7/3を超えた場合(すなわち、(A−1)が過多で、(B)が過少である場合)、(B)の量が不足し、剛性の改良効果が小さくなることがある。
プロピレン重合体(A−1)と繊維状無機充填材(B)を溶融混練する方法としては、各成分を混合し、混練する方法が挙げられる。溶融混練するときの樹脂の温度は、170〜250℃であることが好ましく、溶融混練の時間は、30秒〜10分であることが好ましい。
プロピレン重合体(A−1)と繊維状無機充填材(B)を溶融混練する方法として、好ましくは、繊維状無機充填材(B)が折れない方法であり、例えば、プロピレン重合体(A−1)として、粉状のプロピレン重合体(A−1)を用いる方法である。さらに好ましい方法としては、プロピレン重合体(A−1)と繊維状無機充填材(B)の合計質量100質量部に対して、滑剤(E)を0.3〜3質量部添加し、スクリュー長さをL、スクリュー径をDとして、L/Dが10〜35のスクリューを用いて溶融混練する方法である。
上記第2工程は、第1工程で得られたマスターバッジに、さらにプロピレン重合体(A−2)と非繊維状無機充填材(C)とオレフィン系エラストマー及び/又はビニル芳香族化合物含有エラストマー(D)とを加えて溶融混練して樹脂組成物を得る工程である。
第2工程の溶融混練での樹脂の温度は、170〜250℃であり、溶融混練の時間は、1〜20分である。また、各成分の混合は同時に行なってもよく、分割して行なってもよい。また、性能に影響の無い程度に少量の繊維状無機充填材(B)を第2工程で加えてもよい。
上記第1工程と第2工程は、1つの押出機で連続で行ってもよく、第1工程で樹脂組成物を一度ペレットとして製造して、その後、第1工程で得られたペレットを用いて第2工程を行ってもよい。
第2工程では、第1工程で得られたマスターバッジと、プロピレン重合体(A−2)、非繊維状無機充填材(C)及びオレフィン系エラストマー及び/又はビニル芳香族化合物含有エラストマー(D)を一括して溶融混練してもよく、分割して溶融混練してもよい。分割して溶融混練する方法としては、例えば、次の(1)〜(4)の方法が挙げられる。
(1)プロピレン重合体(A−2)、非繊維状無機充填材(C)及びオレフィン系エラストマー及び/又はビニル芳香族化合物含有エラストマー(D)を溶融混練した後、第1工程で得られたマスターバッジを添加し、溶融混練する方法。
(2)第1工程で得られたマスターバッジ、プロピレン重合体(A−2)及び非繊維状無機充填材(C)を溶融混練した後、オレフィン系エラストマー及び/又はビニル芳香族化合物含有エラストマー(D)を添加し、溶融混練する方法。
(3)第1工程で得られたマスターバッジ、プロピレン重合体(A−2)及びオレフィン系エラストマー及び/又はビニル芳香族化合物含有エラストマー(D)を溶融混練した後、非繊維状無機充填材(C)を添加し、溶融混練する方法。
(4)予め、プロピレン重合体(A−2)にオレフィン系エラストマー及び/又はビニル芳香族化合物含有エラストマー(D)を高濃度に溶融混練してマスターバッチとし、第1工程で得られたマスターバッジ及び非繊維状無機充填材(C)を添加し、溶融混練する方法。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に含有されるプロピレン重合体(A−1)、プロピレン重合体(A−2)、非繊維状無機充填材(C)及びオレフィン系エラストマー及び/又はビニル芳香族化合物含有エラストマー(D)の含有量は、湯ジワの発生を抑制する観点から、プロピレン重合体(A−1)の含有量は25〜90質量%であり、プロピレン重合体(A−2)の含有量は1〜10質量%であり、繊維状無機充填材(B)の含有量は1〜15質量%であり、非繊維状無機充填材(C)の含有量は3〜20質量%であり、オレフィン系エラストマー及び/又はビニル芳香族化合物含有エラストマー(D)の含有量は5〜30質量%である。(ただし、該樹脂組成物の全量を100質量%とする。)
好ましくは、プロピレン重合体(A−1)の含有量が45〜80質量%であり、プロピレン重合体(A−2)の含有量が1〜8質量%であり、繊維状無機充填材(B)の含有量は2〜10質量%であり、非繊維状無機充填材(C)の含有量が2〜8質量%であり、オレフィン系エラストマー及び/又はビニル芳香族化合物含有エラストマー(D)の含有量が6〜15質量%である。(ただし、プロピレン系樹脂組成物の全量を100質量%とする。)
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、上記のプロピレン系樹脂組成物の製造方法を用いて得られたプロピレン系樹脂組成物である。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物には、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、帯電防止剤、銅害防止剤、難燃剤、滑剤、中和剤、発泡剤、可塑剤、造核剤、気泡防止剤、架橋剤等の添加剤を配合してもよい。
本発明の射出成形体は、本発明のプロピレン系樹脂組成物を、公知の射出成形法によって、成形して得られるものである。本発明の射出成形体の用途としては、例えば、自動車用部品、電気製品・電子製品用部品、建材部品等が挙げられ、好ましくは自動車用部品である。
物性値の測定法を以下に示す。
(1)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
JIS−K−6758に規定された方法に従い、測定した。特に断りのない限り、測定温度は230℃であり、荷重は2.16kgである。
(2)極限粘度([η]、単位:dl/g)
ウベローデ型粘度計を用いて濃度0.1、0.2及び0.5g/dlの3点について還元粘度を測定した。極限粘度は、「高分子溶液、高分子実験学11」(1982年共立出版株式会社刊)第491頁に記載の計算方法、すなわち、還元粘度を濃度に対しプロットし、濃度をゼロに外挿する外挿法によって求めた。ポリプロピレンについては、溶媒としてテトラリンを用い、温度135℃で評価した。
(3)プロピレン−エチレンランダム共重合体部分の含量(EP含量、質量%)
EP含量は、プロピレン単独重合体部分と全ブロック共重合体の各々の結晶融解熱量を測定することによって、次式から算出した。
X=1−(ΔHf)T/(ΔHf)P
(ΔHf)T:ブロック共重合体全体の融解熱量(cal/g)
(ΔHf)P:プロピレンホモポリマー部分の融解熱量(cal/g)
(4)プロピレン−エチレンランダム共重合体部分のエチレン含量[(C2’)EP]
プロピレン−エチレンランダム共重合体部分のエチレン含量は、赤外線吸収スペクトル法により全ブロック共重合体におけるエチレン含量(質量%)で測定し、次式から算出した。
(C2’)EP=(C2’)T/X
(C2’)T:全ブロック共重合体におけるエチレン含量(質量%)
(C2’)EP:プロピレン−エチレンランダム共重合体部分のエチレン含量(質量%)
(5)プロピレン−エチレンブロック共重合体におけるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分の極限粘度([η]EP、単位:dl/g)
プロピレン−エチレンブロック共重合体におけるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分の極限粘度[η]EPは、プロピレン単独重合体部分と全ブロック共重合体の各々の極限粘度を測定することにより、次式から算出した。
[η]EP=[η]/X−(1/X−1)[η]
[η]:プロピレン単独重合体部分の極限粘度(dl/g)
[η]:ブロック共重合体全体の極限粘度(dl/g)
なお、プロピレン−エチレンブロック共重合体の第1セグメントであるプロピレン単独重合体部分の極限粘度[η]は、その製造時に、第一工程であるプロピレン単独重合体部分の製造後に重合槽内より取り出し、取り出されたプロピレン単独重合体から[η]を求めた。
(6)湯ジワ
物性評価用試験片は、東芝機械製IS650E型射出成形機にて、140×440×3mmの平板に50mmのリブが付いた金型を用いて成形温度200℃で射出成形を行い得られたものを試験片として用いた。目視にて湯ジワ発生無しを○、湯ジワ発生ありを×として評価した。
〔実施例1〜4、比較例1,2〕
実施例1、2、3、4及び比較例1、2では、下記表1及び2の通りの成分を、表3に記載の配合割合で各成分を用いた。
〔プロピレン重合体(A)〕
(1)プロピレン−エチレンブロック共重合体(BC−1)
プロピレン単独重合体部分の極限粘度([η])は1.0dl/gであり、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分の極限粘度([η]EP)は5.0dl/gであり、プロピレン−エチレンブロック共重合体に対するプロピレン−エチレンランダム共重合体部分の含量は16質量%であり、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分のエチレン含量は35質量%であり、MFR(230℃)が32g/10分であった。
(2)プロピレン−エチレンブロック共重合体(BC−2)
プロピレン単独重合体部分の極限粘度([η])は2.8dl/gであり、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分の極限粘度([η]EP)は2.8dl/gであり、プロピレン−エチレンブロック共重合体に対するプロピレン−エチレンランダム共重合体部分の含量は16質量%であり、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分のエチレン含量は38質量%であり、MFR(230℃)が0.6g/10分であった。
(3)プロピレン−エチレンブロック共重合体(BC−3)
プロピレン単独重合体部分の極限粘度([η])は1.8dl/gであり、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分の極限粘度([η]EP)は4.5dl/gであり、プロピレン−エチレンブロック共重合体に対するプロピレン−エチレンランダム共重合体部分の含量は19質量%であり、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分のエチレン含量は40質量%であり、MFR(230℃)が2.9g/10分であった。
(4)プロピレン単独重合体(H−1)
極限粘度([η])が3.0dl/gであり、MFR(230℃)が0.5g/10分であるプロピレン単独重合体を用いた。
(5)プロピレン単独重合体(H−2)
極限粘度([η])が2.0dl/gであり、MFR(230℃)が3.3g/10分であるプロピレン単独重合体を用いた。
(6)プロピレン単独重合体(H−3)
極限粘度([η])が1.3dl/gであり、MFR(230℃)が19g/10分であるプロピレン単独重合体を用いた。
(7)プロピレン単独重合体(H−4)
極限粘度([η])が1.5dl/gであり、MFR(230℃)が13g/10分であるプロピレン単独重合体を用いた。
(8)プロピレン単独重合体(H−5)
極限粘度([η])が0.8dl/gであり、MFR(230℃)が300g/10分である粉末状のプロピレン単独重合体を用いた。
〔繊維状無機充填材(B)〕
宇部マテリアルズ社製のモスハイジA(繊維状マグネシウムオキシサルフェート)を用いた。平均繊維径0.5μm、平均繊維長10μm、平均アスペクト比20であった。
〔非繊維状無機充填材(C)〕
非繊維状無機充填材としては、タルク(林化成社製 MWHST)を用いた。平均粒子径は、2.7μmであった。
〔オレフィン系エラストマー及び/又はビニル芳香族化合物含有エラストマー(D)〕
(1)エラストマー(D−1−1)
デュポンダウエラストマー社製のエチレン−1−オクテン共重合体ゴム(商品名:ENGAGEENR7380(密度:0.870g/cm、MFR(190℃):0.3g/10分))を用いた。
(2)エラストマー(D−2−2)
デュポンダウエラストマー社製のエチレン−1−オクテン共重合体ゴム(商品名:ENGAGE8842(密度:0.858g/cm、MFR(190℃):1g/10分))を用いた。
Figure 2010215747
〔ポリプロピレン系樹脂組成物の製造〕
(1)繊維状無機充填材(B)のマスターバッチ化
プロピレン単独重合体(H−5)及び繊維状無機充填材(B)を表2に示した処方になるように計重機からフィードし、2軸混練押出機(神戸製鋼社製4FCM)を用いて混練した。スクリューはフルフライト形状であり、L/D=18.5であった。2軸混練機にて溶融混練後、続いて大阪精機社製120mm単軸押出機により、ペレット化してマスターバッチ(表3中のMB−1)を得た。
Figure 2010215747
(2)ポリプロピレン系樹脂組成物の製造
プロピレン重合体及び、繊維状無機充填材(B)、非繊維状無機充填材(C)、オレフィン系エラストマー及び/又はビニル芳香族化合物含有エラストマー(D)を表3記載の組成比で配合し、これらをヘンシェルミキサー及びタンブラーで均一に予備混合した後、二軸混練押出機(日本製鋼所社製TEX44αII)を用いて、シリンダー温度200℃、押出量50kg/hr、スクリュー回転数200rpm、ベント吸引下で、ポリプロピレン系樹脂組成物を製造した。
Figure 2010215747

Claims (2)

  1. プロピレン重合体(A−1)25〜90質量%と、
    プロピレン重合体(A−2)1〜10質量%と、
    繊維状無機充填材(B)1〜15質量%と、
    非繊維状無機充填材(C)3〜20質量%と、
    オレフィン系エラストマー及び/又はビニル芳香族化合物含有エラストマー(D)3〜30質量%と、を含有するプロピレン系樹脂組成物であって、(ただし、前記(A−1)、(A−2)、(B)、(C)及び、(D)の合計を100質量%とする)。
    前記プロピレン重合体(A−1)は、
    プロピレン単独重合体と、プロピレン単独重合体とエチレンとの共重合体であってエチレンの含有量が1モル%以下のプロピレン−エチレン共重合体と、若しくはプロピレン単独重合体と炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体であるプロピレン−α−オレフィン共重合体と、からなる群から選ばれる少なくともいずれかである結晶性ポリプロピレン部分60〜85質量%と、
    エチレン含量[(C2’)EP]が20質量%以上、80質量%未満であるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分(EP−1)15〜40質量%と、を含有し、かつ、
    下記要件(1)及び要件(2)を満足するプロピレン−エチレンブロック共重合体であり(ただし、プロピレン−エチレンブロック共重合体の全量を100質量%とする)、
    要件(1)結晶性ポリプロピレン部分の極限粘度[η]が0.7dl/g以上、1.7dl/g以下である。
    要件(2)プロピレン重合体(A−1)の230℃でのメルトフローレート(MFR)が15g/10分以上、500g/10分以下である。
    前記プロピレン重合体(A−2)は、
    前記結晶性ポリプロピレン部分60〜85質量%と、
    エチレン含量[(C2’)EP]が20質量%以上、80質量%未満であるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分(EP−2)15〜40質量%と、を含有し、かつ、
    下記要件(3)及び要件(4)を満足するプロピレン−エチレンブロック共重合体である(ただし、プロピレン−エチレンブロック共重合体の全量を100質量%とする)ことを特徴とするプロピレン系樹脂組成物。
    要件(3)結晶性ポリプロピレン部分の極限粘度[η]が1.7dl/gより大きく、4.0dl/g以下である。
    要件(4)プロピレン重合体(A−2)の230℃でのメルトフローレート(MFR)が0.1g/10分以上、15g/10分未満である。
  2. 請求項1に記載のプロピレン系樹脂組成物の製造方法であって、
    前記プロピレン重合体(A−1)と繊維状無機充填材(B)とを、(A−1)と(B)の質量比((A−1)/(B))を3/7〜7/3にして、溶融混練してマスターバッジを得る第1工程と、
    前記マスターバッジに、前記プロピレン重合体(A−2)と、前記非繊維状無機充填材(C)と、前記オレフィン系エラストマー及び/又はビニル芳香族化合物含有エラストマー(D)と、を更に加えて溶融混練して樹脂組成物を得る第2工程と、を有するプロピレン系樹脂組成物の製造方法。
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