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JP2010202032A - スタビライザー装置およびその製造方法 - Google Patents

スタビライザー装置およびその製造方法 Download PDF

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JP2010202032A
JP2010202032A JP2009049327A JP2009049327A JP2010202032A JP 2010202032 A JP2010202032 A JP 2010202032A JP 2009049327 A JP2009049327 A JP 2009049327A JP 2009049327 A JP2009049327 A JP 2009049327A JP 2010202032 A JP2010202032 A JP 2010202032A
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bracket
stabilizer bar
stabilizer
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JP2009049327A
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Shigeki Ichimura
茂樹 市村
Tairyo Suwa
泰亮 諏訪
Junichi Yano
純一 矢野
Daisuke Kitahara
大輔 北原
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NHK Spring Co Ltd
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Abstract

【課題】煩雑な工法や揮発系有機溶剤を用いた接着を必要とせず、且つ、異音や効きの不安定性が次第に増加してゆく現象を防止できる技術を提供する。
【解決手段】スタビライザーバー100の外周面とブラケット32の内側面との間に橋渡しされ4箇所に空隙が形成されて4個のブロック20aから構成されるブッシュ20を熱可塑性エラストマーにより構成する。この熱可塑性エラストマーにより構成されるブッシュ20は、溶融させた熱可塑性エラストマーを材料とした射出成型法により形成する。ブッシュ20を射出成型法により形成することで、ブッシュ20がスタビライザーバー100に溶着し、またブッシュ20がブラケット32に溶着する。これにより、スタビライザーバー100にブッシュ20とブラケット32とが一体化された構造となる。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両用のスタビライザー装置に関する。
自動車のコーナー舵取り時のローリング偏重による車体の傾きや、路面の凹凸などによる車体の傾きを緩和する部品として、スタビライザー装置が知られている。スタビライザー装置のスタビライザーバーを車体に取り付ける構造としては、スタビライザーバーに取り付けたゴムブッシュをブラケットで押さえ、このブラケットを車体に取り付ける構造が知られている。この技術に関しては、例えば特許文献1〜3に記載されている。
また、直接ブラケットとスタビライザーバーとを接着させる方法が、例えば特許文献4に記載されている。また、ブラケットとブッシュを先に加硫接着しておき、これをスタビライザーバーに接着剤を用いて後で接着する方法が、例えば特許文献5に記載されている。また、ブッシュとして機能する部材を熱可塑性樹脂素材単体から構成する方法が、例えば特許文献6に記載されている。
実公開平1−60910号公報 特開2000−142068号公報 特開2008―168756号公報 米国公開2005/0263943A1号公報 特開2006−264435号公報 特開2000−233626号公報
上述した従来のゴムブッシュを用いた固定方法では、スタビライザー軸廻りでのスタビライザーの捩れによるゴムブッシュとの擦れを伴う異音、またスタビライザー軸方向のスタビライザーバーの位置ズレによるブッシュとの擦れを伴う異音やスタビライザーの効きの不安定性が問題となる。
本発明者らの解析によれば、これらの擦れ面は、隙間ができ、スタビライザーバーが捩れの度にブッシュとの間でスティック・スリップ現象を起こし、少しずつ磨耗されながら、異音や効きの不安定性が次第に増加してゆく現象が確認されている。
単体として構成されているブッシュをブラケットにより押さえ込むことで、スタビライザーバーに取り付ける構造は、摩擦力に頼っているので、上述した擦れ面で隙間が生じ、摩耗が進むうちに異音や効きの不安定性が次第に増加してゆく現象を防止することは原理的に困難である。
また、接着剤による接着を行う方法は、工法が煩雑であること、また有機溶剤系のプライマーや接着剤を用いなければならないことで、揮発性有機溶剤を用いることから作業環境的にも良好とは言えない。また、実験によれば、接着剤に強力なものを採用しても、接着界面の剥離を抑えることは困難であることが判明している。
このような背景において、本発明は、煩雑な工法を必要とせず、且つ、異音や効きの不安定性が次第に増加してゆく現象を防止できる技術を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、スタビライザーバーと、車体に固定されるブラケットと、前記スタビライザーバーの外周面と前記ブラケットの内側面との間に橋渡しされ2箇所以上に空隙が形成され、且つ、前記スタビライザーバーおよび前記ブラケットとの間の界面が熱溶着により固定された熱可塑性エラストマーにより構成されたブッシュとを備えることを特徴とするスタビライザー装置である。
請求項1に記載の発明によれば、熱可塑性エラストマーの熱溶着による固着機能により、スタビライザーバーにブッシュが固定され、ブッシュにブラケットが固定される。この溶着による固定は、摩擦や接着を利用した固定構造とは異なり、ブッシュを構成する熱可塑性エラストマーが溶融した状態から固化する過程で、接触した部材と一体化する性質を利用している。このため、ブッシュとスタビライザーバーとの界面、ブッシュとブラケットとの界面における剥離が原理的に生じがたいものとできる。
また、2箇所以上に空隙を形成したブッシュを固定しているため、ブッシュがスタビライザーバーおよびブラケットに固定された状態においても、スタビライザーバーがその軸周りに相対的に回転した場合、スタビライザーバーが回転するのに伴って、ブッシュが変形しやすい。そのため、ブッシュ自体またはブッシュとスタビライザーバーとの界面、ブッシュとブラケットとの界面にかかる負荷を軽減することができ、ブッシュの破損や界面における剥離が生じるのを防止することができる。さらに、スタビライザー装置の軽量化を図ることができると共に、製造コストを低減することができる。
空隙を形成する箇所は、ブッシュの形状が均等となる箇所でもよいし、均等とならない箇所でもよい。また、ブッシュの製造上、あるいは組み付け上の理由から2箇所、または2箇所以上の3箇所や4箇所などの複数個所が好ましい。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ブラケットに対して前記スタビライザーバーをその軸回りに相対的に回転させた際に、前記ブッシュは、前記回転の回転角が60°以上で材料破壊され、前記材料破壊が起こる段階で、前記ブッシュの前記スタビライザーバーおよび前記ブラケットとの間の界面における剥離破壊が生じないことを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、ブッシュを構成する熱可塑性エラストマーが破壊する前の段階で、ブッシュとスタビライザーバーとの間の界面での剥離、さらにブッシュとブラケットとの間の界面での剥離が生じない。このため、ブッシュとスタビライザーバーとの間の界面での剥離、さらにブッシュとブラケットとの間の界面での剥離が生じることによる異音の発生や、スタビライザーの効果の低下が生じないスタビライザー装置が得られる。
請求項3に記載に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記空隙を挟んで向き合う面の動摩擦係数が0.4以下であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、スタビライザーバーがその軸周りに相対的に回転すると、スタビライザーバーが回転するのに伴ってブッシュが変形し、空隙を挟んで向き合う面が接触して摩擦力が発生する。その際、向き合う面の動摩擦係数が0.4以下であれば、向き合う面の摩擦力がスタビライザーバーの回転の妨げとならない。そのため、ブッシュがスタビライザーバーの回転動作を制限するのを防止し、スタビライザー装置が所定の設計意図した性能を発揮することができ、スタビライザー装置の信頼性を高めることができる。
請求項4に記載の発明は、金型内に軸方向に所定の長さを有するブラケットとスタビライザーバーを配置する工程と、前記金型内に溶融した熱可塑性エラストマーを射出し、前記ブラケットに熱溶着すると共に、前記スタビライザーバーに熱溶着し、前記スタビライザーバーの外周面と前記ブラケットの内側面との間に橋渡しされ2箇所以上に空隙が形成されるブッシュを射出成型法により形成する工程とを備えることを特徴とするスタビライザー装置の製造方法である。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明を利用したスタビライザー装置を製造する方法が提供される。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記ブラケットに対して前記スタビライザーバーをその軸回りに相対的に回転させた際に、前記ブッシュは、前記回転の回転角が60°以上で材料破壊され、前記材料破壊が起こる段階で、前記ブッシュの前記スタビライザーバーおよび前記ブラケットとの間の界面における剥離破壊が生じないことを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項4または5に記載の発明において、前記空隙を挟んで向き合う面の動摩擦係数が0.4以下に形成されることを特徴とする。
本発明によれば、煩雑な工法や揮発系有機溶剤を用いた接着を必要とせず、且つ、異音や効きの不安定性が次第に増加してゆく現象を防止できる技術を提供される。
車両に取り付けられた状態のスタビライザー装置を示す模式図である。 スタビライザー装置の車体への取り付けを行う取り付け部の概要を示す断面図である。 図2の取り付け部の製造工程を示す工程図である。 図2の取り付け部の製造工程を示す工程図である。 スタビライザー装置の車体への取り付けを行う取り付け部の概要を示す断面図である。 スタビライザー装置の車体への取り付けを行う取り付け部の概要を示す断面図である。 スタビライザー装置の車体への取り付けを行う取り付け部の概要を示す断面図である。 スタビライザー装置の車体への取り付けを行う取り付け部の概要を示す断面図である。 スタビライザー装置の車体への取り付けを行う取り付け部の概要を示す断面図である。 スタビライザー装置の車体への取り付けを行う取り付け部の概要を示す断面図である。 スタビライザー装置の車体への取り付けを行う取り付け部の概要を示す断面図である。 従来の取り付け部の概要を示す断面図である。 従来の取り付け部の概要を示す断面図である。 従来の取り付け部の概要を示す断面図である。
(スタビライザー装置:全体の概要)
以下、本発明を利用したスタビライザー装置の一例を説明する。まず、スタビライザー装置を車体に取り付けた状態を簡単に説明する。図1は、スタビライザー装置およびその周辺の構造を示す模式図である。図1には、車両の前車輪側にスタビライザー装置1を取り付けた状態が示されている。この例では、スタビライザー装置1は、略コの字形状に屈曲したスタビライザーバー100を備えている。スタビライザーバー100の一端には、棒状の部材であるスタビリンク11が取り付けられ、スタビリンク11の他端は、可動継ぎ手12を介して、サスペンション装置3のアーム13に固定されている。アーム13の下端は、タイヤ2の軸を支持する軸受に固定され、アーム13の上端は、アーム13に対して相対的に、且つ、弾性的に変位可能なシリンダ14に接続されている。シリンダ14は、サスペンション装置3の一部であり、シリンダ14に図示省略した車体の重量が加わる構造とされている。
図示省略されているが、アーム13とシリンダ14とは、コイルバネを介して結合しており、両者間の弾性的な連結機構が実現されている。また、図示されていないが、スタビライザーバー100の他端側もサスペンション5に接続され、またサスペンション5は、タイヤ4に加わる車体の重量を支えている。また、スタビライザーバー100は、取り付け部30および31を用いて図示省略した車体のシャーシ(骨格構造)に取り付けられている。
取り付け部31について簡単に説明する。図2は、取り付け部31をX軸の正方向から見た状態を示す断面図である。図2には図1の取り付け部31の断面構造が示されている。図1および図2に示されるように、スタビライザーバー100には、熱可塑性エラストマーにより構成されるブッシュ20が熱溶着した状態で固定され、熱可塑性エラストマーにより構成されるブッシュ20の外周には、フランジ33を備えた金属性のブラケット32が固定されている。ブッシュ20とブラケット32との固定もブッシュ20を構成する熱可塑性エラストマーのブラケット32に対する熱溶着により行われている。フランジ33には、ブラケット32を図示省略した車体側の構造体に取り付けるためのボルト孔34が形成されている。なお、取り付け部30は、取り付け部31と同様な構造とされている。
ブッシュ20は、スタビライザーバー100の外周面とブラケット32の内側面との間を橋渡しされ、4個のブロック20aから構成されている。ブッシュ20は、4箇所に空隙が形成されてブロック20aが形成されている。空隙を挟んで隣り合うブロック20a間の向き合う面は、隣り合うブロック20a間の向き合う面の動摩擦係数(μ)が0.4以下となるように形成されている。
ブロック20aとブロック20aとの境界は、向かい合うブラケット32とスタビライザーバー100との面間で、ブラケット32側面の任意点からスタビライザーバー100の表面に垂線を下ろしたときの間の距離をブッシュ20の厚みとした時、このブッシュ20の厚みが30%未満から30%以上となる箇所である。
利用可能な熱可塑性エラストマーは、射出成型可能であることが条件で、具体的には、オレフィン(TPO)系、スチレンブタジエンスチレン(SBS)系、スチレンエチレンブタジエンスチレン(SEBS)系、スチレンエチレンブタジエンスチレン(SEBS)系、ポリエステル(TPEE)系、ポリウレタン(TPU)系、塩化ビニル(TPVC)系、ポリアミド(TPAE)系を利用可能である。
これらの中でもオレフィン(TPO)系、及びポリウレタン(TPU)系が、硬度、柔軟性、機械物性が幅広く設定でき、また耐候性や耐寒耐熱性が優れているので好ましい。各々の材料系での機械特性は、硬さ(JISA硬度)が40〜80、引張り破断強度が5〜50MPa、引張り弾性率が1〜20MPa、引張り伸びが150%以上、圧縮永久歪が70℃・22時間、25%圧縮で50%以下であることが好ましい。
これらのブッシュを構成する部材の物性値は、採用される各々の車種に依り、車両の重量や重心から設計され、スタビライザーバーの仕様(例えば、主な仕様要素で言えば、バー径や、中実であるか中空であるか等)によって設定される。
(取り付け部の製造方法)
図3および図4は、取り付け部の製造方法の一例を示す工程断面図である。図3(A)には、ブラケット32とスタビライザーバー100を配置した状態の金型131が示されている。金型131の手前側と奧側には、スタビライザーバー100が貫通する孔が形成された図示省略した前後押さえ金型が前後から金型131に接触して固定されている。この図示省略した前後押さえ金型によってスタビライザーバー100が図示する位置に保持されている。また、ブッシュ20に空隙を形成するための前後押さえ金型の一部133が、ブラケット32の内側に軸方向から挿入されている。
スタビライザーバー100およびブラケット32は、後述する射出成型時において熱可塑性エラストマーと接触する部分に粗面化の処理が施されている。この粗面化の処理は、ショットピーニング等のブラスト処理、コロナ放電やプラズマ放電による放電処理、アセトンやキシレンなどの有機溶剤での洗浄処理、酸による処理を挙げることができる。
なお、熱可塑性エラストマーの濡れ性を向上させ、さらに溶着強度を高めるために、スタビライザーバー100およびブラケット32のブッシュ20に接触する表面に対して、ホットメルトによる表面改質処理を更に施すことは好ましい。この処理は、市販のオレフィン系やウレタン系などのホットメルトで、予めこれらをフィルム状にしたものを、被着体に予め溶着させておく方法や、揮発性溶媒に溶かして溶液にし、これを被着体に塗布・乾燥させる方法が採用できるが、環境保護の点から、フィルム状溶着が好ましい。
また現在スタビライザーバーは丸断面の棒状が標準だが、ブッシュ固着部の範囲は、多角形状や偏平形状の断面形状にすることで、軸方向の横ズレスリップや、軸廻りの回転ズレスリップを抑えることもできる。
図3(A)に示す状態を得たら、上部押さえ金型132を上方に配置し、金型内に空間134を形成する(図3(B))。上部押さえ金型132は、加熱により流動化した熱可塑性エラストマーを空間134に射出するための射出孔135が設けられている。なお、符号136は射出成型を行う際の空気抜き孔である。
図3(B)に示す状態を得たら、射出孔135から、加熱により溶融した熱可塑性エラストマーを空間134に射出し、射出成形を行う。この際、熱可塑性エラストマーがブラケット32の内側面およびスタビライザーバー100の外周面に溶着する。
この工程によれば、ブラケット32の内側面およびスタビライザーバー100の外周面が粗面化され、微少な凹凸が無数に形成されているので、この微少な凹凸に溶融した熱可塑性エラストマーが入り込む。このため、熱可塑性エラストマーが固化する過程において、熱可塑性エラストマーとブラケット32、更に熱可塑性エラストマーとスタビライザーバー100とが互いに接着された状態となり一体化する。
こうして図4に示す状態が得られる。この状態では、固化した熱可塑性エラストマーにより構成されるブッシュ20は、ブラケット32およびスタビライザーバー100と溶着し、これら3つの部材が一体化した構造が得られる。図4に示す状態を得たら、金型を外すことで、図2に示す状態が得られる。
以上述べたように、本実施形態では、スタビライザーバー100とブラケット32との間に介在するブッシュ20を熱可塑性エラストマーにより構成する。この熱可塑性エラストマーにより構成されるブッシュ20は、溶融させた熱可塑性エラストマーを材料とした射出成型法により形成する。ブッシュ20を射出成型法により形成することで、ブッシュ20がスタビライザーバー100に溶着し、またブッシュ20がブラケット32に溶着する。これにより、スタビライザーバー100にブッシュ20とブラケット32とが一体化された構造が得られる。
(変形例1)
図5〜7は、図2の変形例である。図5〜7には、取り付け部40、50、60が示されている。取り付け部40、50、60は、図1の取り付け部30、31の部分に適用できる。図5の例では、ブッシュ41は、4箇所に空隙が形成されてブロック20aと形状が異なる4個のブロック41aから構成されている。図6の例では、ブッシュ51は、2箇所に空隙が形成されて2個のブロック51aから構成されている。
図7の例では、ブッシュ61は、3箇所に空隙が形成されて3個のブロック61aから構成されている。また、ブロック61aを形成するための空隙がスタビライザーバー100の外周面およびブラケット32の内側面に面しておらず、ブッシュ61の内部に形成されている。つまり、射出成形される範囲においてスタビライザーバー100の外周面およびブラケット32の内側面の全面にブッシュ61が熱溶着されている。そのため、ブッシュ20とスタビライザーバー100およびブラケット32との固着強度が、スタビライザーバー100の外周面またはブラケット32の内側面に空隙が面する場合に比べて高くなる。
(変形例2)
図8は、図2の変形例である。図8には、取り付け部70が示されている。取り付け部70は、図1の取り付け部30、31の部分に適用できる。この例では、スタビライザーバー100の外周に、4箇所に空隙が形成されて4個のブロック71aから構成されるブッシュ71が溶着されている。ブッシュ71は、ブラケット72の筒形状を有した内側の空間に充填される形で設けられている。
ブラケット72には、フランジ73が設けられ、フランジ73には、ボルト孔74が設けられている。ボルト孔74を利用してフランジ73が図示省略した車体のシャーシにボルトにより固定される。
この構成でもスタビライザーバー100とブッシュ71、ブラケット72とが溶着により一体化された構造となる。
(変形例3)
図9〜11は、図2の変形例である。図9〜11には、取り付け部80、90、110が示されている。取り付け部80、90、110は、図1の取り付け部30、31の部分に適用できる。図9の例では、スタビライザーバー100の外周に、6箇所に空隙が形成されて6個のブロック81aから構成されたブッシュ81が溶着されている。ブッシュ81は、半割り形状の81bと81cとが溶着し、一体化した構造を有している。
図10の例では、スタビライザーバー100の外周に、4箇所に空隙が形成されて4個のブロック91aから構成されたブッシュ91が溶着されている。ブッシュ91は、半割り形状の91bと91cとが溶着し、一体化した構造を有している。図11の例では、スタビライザーバー100の外周に、3箇所に空隙が形成されて3個のブロック111aから構成されたブッシュ111が溶着されている。ブッシュ111は、半割り形状の111bと111cとが溶着し、一体化した構造を有している。なお、取り付け部80、90、110は、ブロックの形状や個数が異なるだけなので、図9の取り付け部80について以下説明する。
ブッシュ81の外周は、上下からブラケット82と83により挟まれ、ブッシュ81のブロック81aの外周がこれらブラケット82および83の内側面に溶着している。ブラケット82は、フランジ82aを有し、フランジ82aには、ボルト孔82bが形成されている。ブラケット83は、フランジ83aを有し、フランジ83aには、ボルト孔83bが形成されている。ボルト孔82bと83bを利用して、図示省略した車両のフレームに、スタビライザーバー100、ブッシュ81およびブラケット82、83が一体化したものが固定される。
取り付け部80を得る工程の一例を説明する。取り付け部80の製造法を簡単に述べると、下半分をまず作り、ついで上半分を作る。すなわち、ブラケット82を金型に配置し、更に図3の場合と同様にスタビライザーバー100を配置する。この状態で、ブッシュ81cを形成するための金型を上から被せ、溶融状態とした熱可塑性エラストマーを射出成形し、ブッシュ81cを形成する。この際、ブッシュ81cは、ブラケット83の内側面に溶着し、またスタビライザーバー100の下半分の外周面に溶着する。
次いでブラケット82を上から被せた状態で、溶融状態とした熱可塑性エラストマーを射出成形し、ブッシュ81bを形成する。この際、ブッシュ81bはブッシュ81cと溶着し、さらにブッシュ81bは、スタビライザーバー100の上半分の外周面とブラケット82の内側面に溶着する。また、ブラケット82と83とを予め金型にセットした状態で射出成形を行うことで、符号81bと81cの部分を同時に形成することもできる。この場合、1回の射出成形により、ブラケット82と83の内側面に溶着し、更にスタビライザーバー100に溶着した符号81で示されるブッシュが成形される。
(その他)
溶着による接着力を出す為に、少量の熱硬化性の接着剤を併用することもできる。この場合は、熱硬化性接着剤が、硬化前に、スタビライザーバーの塗装表面や非塗装表面の微細な凹凸に入り込み、その後熱硬化して固化されることによるアンカー効果で接着力が発現される。熱硬化性の接着剤は2液のエポキシ系接着剤が好ましい。
また、隣り合うブロック同士間に完全に空隙が入り、隣り合うブロック同士がまったく接していない状態であってもよい。この場合のブロックとブロックとの境界は、図2に示すような隣り合うブロック20aの両側がつながった状態で空隙が形成されている場合と同様である。なお、この場合には、ブッシュとスタビライザーバー100との溶着している面積が少なくなるため、ブッシュとスタビライザーバー100との固着強度が、図2に示すような隣り合うブロック20aの両側がつながった状態に比べて低くなる。
(実施例1)
図2に示す構造を試作した。この例では、スタビライザーバー100として14mmφの棒状の鋼材を用い、ブラケット32として10mm厚のアルミニウムの押し出し材を30mmの長さ(軸方向の長さ)に切断したものを用いた。ブッシュ20の厚みは、円弧の部分で7mm、上部の部分で15mmとした。ブッシュ20のブロック20aの個数は4個とした。また、熱可塑エラストマーとしては、オレフィン系のものを用いた。また、スタビライザーバーの溶着面には、予めショットピーニングによるブラスト処理を施した後にエポキシ塗装による下処理を施した。
得られたオレフィン系の熱可塑性エラストマーは、引張り破断強度が20MPa、100%引張り弾性率が4MPa、引張り伸びが600%であった。
(実施例2)
図10に示す構造を試作した。ブラケット92、93は、厚み7mm厚の亜鉛メッキされた普通鋼板をプレス加工したものを用いた。ブッシュ91の厚みは、円弧の部分で7mmとした。ブッシュ91のブロック91aの個数は4個とした。また、熱可塑エラストマーとしては、ウレタン系のものを用いた。得られたウレタン系の熱可塑性エラストマーは、引張り破断強度が25MPa、100%引張り弾性率が6MPa、引張り伸びが800%であった。他は、実施例1と同じである。
(実施例3)
図9に示す構造を試作した。ブッシュ81の厚みは、円弧の部分で7mmとした。ブッシュ81のブロック81aの個数は6個とした。また、熱可塑エラストマーとしては、オレフィン系のものを用いた。得られたオレフィン系の熱可塑性エラストマーは、引張り破断強度が20MPa、100%引張り弾性率が4MPa、引張り伸びが600%であった。他は、実施例1と同じである。
(実施例4)
図8に示す構造を試作した。ブラケット72は、厚み7mm厚の亜鉛メッキされた普通鋼板をプレス加工したものを用いた。ブッシュ71のブロック71aの個数は4個とした。また、熱可塑エラストマーとしては、ウレタン系のものを用いた。得られたウレタン系の熱可塑性エラストマーは、引張り破断強度が25MPa、100%引張り弾性率が6MPa、引張り伸びが800%であった。他は、実施例1と同じである。
(比較例1)
図12は、従来の取り付け部の概要を示す断面図である。図12に示す実施形態では、ブッシュ220として天然ゴム(引張り破断強度:20MPa、100%引張り弾性率:5MPa、引張り伸び:400%)を用い、この天然ゴムのブッシュ220をスタビライザーバー100とブラケット272にエポキシ系接着剤により接着した構造とした。なお、スタビライザーバー100とブラケット272の接着面には、予めプライマー塗装を施す下地処理を行った。また、ブラケット272は、厚み10mm厚のアルミニウムをプレス加工したものを用いた。
(比較例2)
図13は、従来の取り付け部の概要を示す断面図である。図13に示す実施形態では、ブッシュ220として天然ゴム(引張り破断強度:20MPa、100%引張り弾性率:5MPa、引張り伸び:400%)を用い、この天然ゴムのブッシュ220をスタビライザーバー100とブラケット282、283とに、エポキシ系接着剤により接着した構造とした。なお、スタビライザーバー100とブラケット282、283の接着面には、予めプライマー塗装を施す下地処理を行った。また、ブラケット282、283は、厚み7mm厚の亜鉛メッキされた普通鋼板をプレス加工したものを用いた。
(比較例3)
図14は、従来の取り付け部の概要を示す断面図である。図14に示す実施形態では、ブッシュ220として天然ゴム(引張り破断強度:20MPa、100%引張り弾性率:5MPa、引張り伸び:400%)を用い、この天然ゴムのブッシュ220をスタビライザーバー100とブラケット232とに、エポキシ系接着剤により接着した構造とした。なお、スタビライザーバー100とブラケット232の接着面には、予めプライマー塗装を施す下地処理を行った。また、ブラケット232は、厚み10mm厚のアルミニウムをプレス加工したものを用いた。
(比較例4)
図14に示す構造を試作した。この例では、ブッシュ220がスタビライザーバー100およびブラケット232に熱溶着して固定された構造とした。ブラケット232は、厚み10mm厚のアルミニウムをプレス加工したものを用いた。ブッシュ20の厚みは、円弧の部分で7mm、上部の部分で15mmとした。熱可塑エラストマーとしては、オレフィン系のものを用いた。得られたオレフィン系の熱可塑性エラストマーは、引張り破断強度が20MPa、100%引張り弾性率が4MPa、引張り伸びが600%であった。スタビライザーバーの溶着面には、予めショットピーニングによるブラスト処理を施した後にエポキシ塗装による下処理を施した。
(破壊試験の結果)
得られたサンプルに対して、破壊試験を行った。この破壊試験は、ブラケットを固定して、スタビライザーバー100を軸に対して任意の一定方向に捩じり、破壊が生じる回転角を測定する試験である。そして、破壊が「スタビライザーバー/ブッシュ」の間、または「スタビライザーバー/ブッシュ/ブラケット」の「ブッシュ」からか、または「ブッシュ/ブラケット」の間の何れで起こったか、また何度捩じったところで破壊が起こったかの評価を行った。
「表1」は、実施例についてまとめたものである。「表2」は、比較例についてまとめたものである。
Figure 2010202032
Figure 2010202032
表1と表2から明らかなように、ブッシュに天然ゴムを採用し、このブッシュを接着剤によってスタビライザーバーとブラケットに固定した場合、破壊角が相対的に小さく、また破壊が接着した界面において生じている。これは、接着剤を用いた接着では、ブッシュとスタビライザーバー、およびブッシュとブラケットとの固着強度が、本発明の熱可塑性エラストマーを用いた溶着に比較して、低いことを示している。このように表1および表2には、本発明を利用した熱可塑性エラストマーを用いたスタビライザーバーに対するブッシュ/ブラケットの一体成形による優位性が明確に示されている。
また、表2の比較例1〜3に示すように、破壊が接着されたバー界面またはブラケットにおいて生じる場合に比べて、表2の比較例4に示すように、ブッシュ220を溶着させた場合、ブッシュを構成する熱可塑性エラストマーの層において生じるため、固着強度の点では優位性が示されている。さらに、表2の比較例4の場合に比べて、表1の実施例1〜4は、破壊角が大きい。これは、ブッシュに空隙を設けることで、ブッシュが変形しやすくなり、ブッシュにかかる負担を軽減していることを示している。
以上述べたように、本実施形態の構造は、射出成形により製造できるので、複雑な工法を必要としない。また、接着剤を用いないので、揮発系有機溶剤は必要とされない。そして、上記の破壊試験から明らかなように、破壊が溶着された界面において生じる前に、ブッシュを構成する熱可塑性エラストマーの層において生じる。このことは、界面の固着強度の高さを示している。
この特性は、繰り返し、捻れや軸方向の力が加わることで、ブッシュと接触する相手部材との間で隙間ができ、それが徐々に拡大してゆき、異音やスタビライザーの効きの不安定性が次第に増加してゆく現象を抑える上で有効なものとなる。
本発明は、車両用のスタビライザー装置に利用することができる。
1…スタビライザー装置、2…タイヤ、3…サスペンション装置、4…タイヤ、11…スタビリンク、12…可動部材、13…アーム、20…ブッシュ、20a…ブロック、30…取り付け部、31…取り付け部、32…ブラケット、33…フランジ、34…ボルト孔、100…スタビライザーバー、131…金型、132…上部押さえ金型、134…金型内の空間、135…射出孔、136…空気抜き孔。

Claims (6)

  1. スタビライザーバーと、
    車体に固定されるブラケットと、
    前記スタビライザーバーの外周面と前記ブラケットの内側面との間に橋渡しされ2箇所以上に空隙が形成され、且つ、前記スタビライザーバーおよび前記ブラケットとの間の界面が熱溶着により固定された熱可塑性エラストマーにより構成されたブッシュと
    を備えることを特徴とするスタビライザー装置。
  2. 前記ブラケットに対して前記スタビライザーバーをその軸回りに相対的に回転させた際に、
    前記ブッシュは、前記回転の回転角が60°以上で材料破壊され、
    前記材料破壊が起こる段階で、前記ブッシュの前記スタビライザーバーおよび前記ブラケットとの間の界面における剥離破壊が生じないことを特徴とする請求項1に記載のスタビライザー装置。
  3. 前記空隙を挟んで向き合う面の動摩擦係数が0.4以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のスタビライザー装置。
  4. 金型内に軸方向に所定の長さを有するブラケットとスタビライザーバーを配置する工程と、
    前記金型内に溶融した熱可塑性エラストマーを射出し、前記ブラケットに熱溶着すると共に、前記スタビライザーバーに熱溶着し、前記スタビライザーバーの外周面と前記ブラケットの内側面との間に橋渡しされ2箇所以上に空隙が形成されるブッシュを射出成型法により形成する工程と
    を備えることを特徴とするスタビライザー装置の製造方法。
  5. 前記ブラケットに対して前記スタビライザーバーをその軸回りに相対的に回転させた際に、
    前記ブッシュは、前記回転の回転角が60°以上で材料破壊され、
    前記材料破壊が起こる段階で、前記ブッシュの前記スタビライザーバーおよび前記ブラケットとの間の界面における剥離破壊が生じないことを特徴とする請求項4に記載のスタビライザー装置の製造方法。
  6. 前記空隙を挟んで向き合う面の動摩擦係数が0.4以下に形成されることを特徴とする請求項4または5に記載のスタビライザー装置の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN104369640A (zh) * 2014-11-13 2015-02-25 郑州宇通客车股份有限公司 汽车及其转角相关变刚度横向稳定装置
JP2017100587A (ja) * 2015-12-02 2017-06-08 日本発條株式会社 車両用スタビライザ装置

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