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JP2010174359A - 有機溶媒の活性化処理方法 - Google Patents

有機溶媒の活性化処理方法 Download PDF

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JP2010174359A JP2009021163A JP2009021163A JP2010174359A JP 2010174359 A JP2010174359 A JP 2010174359A JP 2009021163 A JP2009021163 A JP 2009021163A JP 2009021163 A JP2009021163 A JP 2009021163A JP 2010174359 A JP2010174359 A JP 2010174359A
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Tomohiko Yokogawa
友彦 横川
Minoru Kakimoto
稔 柿本
Kazuyuki Takaishi
和幸 高石
Shigeki Matsuki
茂喜 松木
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Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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Abstract

【課題】金属塩化物水溶液からなる抽出始液とアミン系抽出剤を含む有機溶媒とを用いる金属の溶媒抽出工程において、塩酸を付加することにより活性化処理する際、大掛かりな設備を用いることなく行なうことができ、抽出段の各段の有機相を常に活性化された状態に保ちつつ、さらに、抽出始液中に微量の固形分を含有する場合においても、クラッドの発生を抑制することができる方法を提供する。
【解決手段】溶媒抽出工程を構成する抽出段に、前記有機溶媒は、活性化処理を施さないでそのまま供給し、一方、前記抽出始液は、下記の要件(1)或いは(2)を満足するように塩酸を添加した後に、供給する。要件(1):塩酸を添加した後の抽出始液の遊離塩酸濃度は、0.5〜5g/Lである。要件(2):塩酸を添加した後の抽出始液のpHは、−0.5〜0.5である。
【選択図】なし

Description

本発明は、有機溶媒の活性化処理方法に関し、さらに詳しくは、金属塩化物水溶液からなる抽出始液とアミン系抽出剤を含む有機溶媒とを用いる金属の溶媒抽出工程において、アミン系抽出剤に塩酸を付加することにより該有機溶媒を活性化処理する際、従来方法のように油水混合装置及び油水分離装置など、例えばミキサーセトラー等の大掛かりな設備を用いることなく、簡便な設備で行なうことができ、しかも、多段からなる抽出段の各段の有機相を常に活性化された状態に保ちつつ、さらに、抽出始液中に微量の固形分を含有する場合においても、溶媒抽出工程でのクラッドの発生を抑制することができる有機溶媒の活性化処理方法に関する。
なお、前記溶媒抽出工程は、有機相を構成するアミン系抽出剤により原料水溶液中に含有される対象金属のクロロ錯イオンを抽出剤上に担持する抽出段と、必要により、有機相を純度の高い対象金属塩化物水溶液で洗浄して有機相中に混入された水相を除去する洗浄段と、それに続く、水相を形成する水溶液により有機相に担持された対象金属を脱離する逆抽出段を含む。
非鉄金属の湿式製錬法においては、鉱石その他の原料から有価金属を浸出し、得られた浸出液からそれらを分離精製する種々の方法が行なわれている。例えば、ニッケルの湿式製錬法において、酸性塩化物水溶液中に含まれるニッケルとコバルトの分離は重要な技術要素であり、一般的には、ニッケルに対しコバルトが酸化されやすいことを利用した酸化中和法、或いは各種の有機抽出剤による溶媒抽出法が用いられている。
このうち、ニッケルとコバルトを分離する溶媒抽出法では、使用する有機抽出剤が、Cyanex272に代表される燐酸エステル系酸性抽出剤と、TNOA(Tri−n−octylamine)、TIOA(Tri−i−octylamine)等に代表されるアミン系抽出剤とに別けられるが、両者ともに優れたコバルトとニッケルの分離性能を有している。しかしながら、一般的には、液中の金属イオン及び塩化物イオン濃度が高い塩化物水溶液の場合には、アミン系抽出剤が用いられる。この理由としては、上記のような条件の水溶液では、コバルトはクロロ錯イオンを形成しているため、アミン系抽出剤の方が、酸性抽出剤に比べてより優れたコバルトとニッケルの分離係数を持つこと、そして、抽出操作に際し中和剤を必要とする酸性抽出剤では、コスト高であり、かつクラッドを発生させずに操業することが困難であることによる。なお、クラッドとは、溶媒抽出工程に流入又は溶媒抽出工程で生成した微粒子状の不溶解性残渣が、溶媒劣化生成物等とともに、有機相と水相の界面に集まり第三相を形成するものであり、生産効率上の重要な問題となるものである。
なお、溶媒抽出操作において、アミン系抽出剤は、次のような特性を有している。
アミン系抽出剤は、通常、下記の化学反応式1にしたがって、塩酸付加することにより、十分な抽出特性を有するようになり、下記の化学反応式2に従ってクロロ錯イオンの抽出が行われるので、優れたコバルトとニッケルの分離特性を示す。
Figure 2010174359
この反応により、アミン(RN:)は、塩酸により塩酸付加されたアミンを生成する。
Figure 2010174359
(式中Mは、Zn、Fe、Cu、Co等のクロロ錯イオンを形成する金属種を表す。)
この反応により、Zn、Fe、Cu、Co等のクロロ錯イオンを形成する金属種が抽出され、金属元素のクロロ錯イオンを担持したアミンを生成する。なお、ニッケルはクロロ錯イオンを形成しないので、抽出残液に残留して分離される。したがって、ニッケル水溶液中に、コバルトよりもクロロ錯体の形成能が高い、すなわち強く担持される金属、例えば鉄、亜鉛、銅等のクロロ錯イオンが含まれている場合には、これらの金属も抽出される。
上記のような金属元素のクロロ錯イオンを担持したアミン系抽出剤からのコバルトの逆抽出段では、該抽出剤を弱酸性水溶液と接触させることにより、容易に該水溶液中に脱離される。ところが、鉄、亜鉛、銅等のコバルトよりも強く担持される金属元素のクロロ錯イオンは、コバルトほど容易には脱離されない。したがって、溶媒抽出工程でアミン系抽出剤を繰り返し再利用する際には、鉄、亜鉛、銅等が次第に抽出剤中に蓄積するようになる。
ところで、金属塩化物水溶液からなる抽出始液とアミン系抽出剤を含む有機溶媒とを用いる金属の溶媒抽出工程において、アミン系抽出剤に塩酸を付加することにより該有機溶媒を活性化処理する必要がある。例えば、スクラビング段において、鉄、亜鉛等の金属のクロロ錯イオンを担持したアミン系抽出剤からなる有機溶媒を、硫酸、硝酸、燐酸イオンのいずれかを含有し、かつ塩化物イオンを実質的に含有しない水溶液と接触させて、これら金属を脱離し、その後、脱離されたアミン系抽出剤からなる有機溶媒を塩化物イオン含有溶液と接触させて、アミンを塩化水素化する方法(例えば、特許文献1参照。)が提案されている。
しかしながら、例えば、コバルトを含む塩化ニッケル水溶液からなる抽出始液から、塩酸付加されたアミン系抽出剤を含む有機相を使用した向流多段抽出でコバルトを抽出する溶媒抽出工程において、アミン系抽出剤に付加された塩酸は、有機相が抽出段、洗浄段、逆抽出段を順次循環する間に、水相と接触することにより一部が水相側に分配してしまうため、その活性度が低下する。したがって、逆抽出後の有機溶媒を再び抽出段に使用する際には塩酸の付加が必要となる。そのため、逆抽出後の有機溶媒は、抽出段への添加前に塩酸と直接混合して再活性化処理される。しかしながら、前述したとおり、抽出段への添加後は水相と接触するため、抽出残液中に塩酸が脱離し、通常実用設備で用いられる向流多段抽出では、有機相が段を重ねるごとに活性度合いは低下することとなる。このような状況から、アミン系抽出剤を含む有機溶媒の塩酸付加には、次の問題点があった。
すなわち、第一に、有機溶媒を活性化処理する方法としては、有機溶媒と塩酸を直接混合する方法が一般的であり、例えば、ミキサーセトラー等の油水混合装置及び油水分離装置が用いられる。それにより、設備投資が大きくなるという問題があった。
第二に、向流多段抽出を行う場合、抽出段で、抽出残液中への塩酸の持ち去りがあるため、各段での有機相の塩酸付加による活性度合いが変化し、金属イオンの抽出挙動が不安定になるという問題があった。
第三に、溶媒抽出工程に使用される抽出始液に固形分が存在するときには、抽出装置内で油水界面にクラッドと呼ばれる固形物層が形成されるため、界面制御が不可能になったり、物質移動を妨げたり、或いは溶媒を劣化させるといった問題があった。なお、抽出始液中の固形分としては、鉄水酸化物の混入が挙げられる。例えば、ニッケルの湿式製錬法において、得られる浸出液中には、ニッケルとコバルトのほか、アミン系抽出剤を用いた溶媒抽出法によりニッケルとコバルトを分離する際に、コバルトの抽出を妨害する鉄が大量に溶解されており、事前に鉄水酸化物として除去する工程が設けられる。しかしながら、鉄水酸化物を完全に分離するろ過設備を用いて操業することは、コスト上昇を伴うため、通常の場合、この工程から得られる抽出始液には、微量の鉄水酸化物からなる固形分が懸濁物として含有されている。
以上の状況から、有機溶媒を活性化処理する際、その設備投資を削減し、かつ各段での有機相の活性度合いを安定に保ち、さらに、抽出始液中に微量の固形分を含有する場合においても、溶媒抽出工程でクラッドを発生させないことが望まれていた。
特開2004−107791(第1頁、第2頁)
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、金属塩化物水溶液からなる抽出始液とアミン系抽出剤を含む有機溶媒とを用いる金属の溶媒抽出工程において、アミン系抽出剤に塩酸を付加することにより該有機溶媒を活性化処理する際、従来方法のように油水混合装置及び油水分離装置など、例えばミキサーセトラー等の大掛かりな設備を用いることなく、簡便な設備で行なうことができ、しかも、多段からなる抽出段の各段の有機相を常に活性化された状態に保ちつつ、さらに、抽出始液中に微量の固形分を含有する場合においても、溶媒抽出工程でのクラッドの発生を抑制することができる有機溶媒の活性化処理方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために、金属塩化物水溶液からなる抽出始液とアミン系抽出剤を含む有機溶媒とを用いる金属の溶媒抽出工程において、アミン系抽出剤に塩酸を付加することにより該有機溶媒を活性化処理する方法について、鋭意研究を重ねた結果、前記溶媒抽出工程を構成する抽出段に、前記有機溶媒は、活性化処理を施さないでそのまま供給し、一方、前記抽出始液は、塩酸を添加した後の抽出始液の遊離塩酸濃度或いはpHが所定値になるように塩酸を添加した後に、供給したところ、有機溶媒の活性化処理が、ミキサーセトラー等の大掛かりな活性化処理設備を必要とせずに、既存の抽出段において行なわれ、しかも、多段からなる抽出段の各段の有機相を常に活性化された状態に保ちつつ、さらに、抽出始液中に微量の固形分を含有する場合においても、溶媒抽出工程でのクラッドの発生を抑制することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、金属塩化物水溶液からなる抽出始液とアミン系抽出剤を含む有機溶媒とを用いる金属の溶媒抽出工程において、アミン系抽出剤に塩酸を付加することにより該有機溶媒を活性化処理する際、
前記溶媒抽出工程を構成する抽出段に、前記有機溶媒は、活性化処理を施さないでそのまま供給し、一方、前記抽出始液は、下記の要件(1)或いは(2)を満足するように塩酸を添加した後に、供給することを特徴とする有機溶媒の活性化処理方法が提供される。
要件(1):塩酸を添加した後の抽出始液の遊離塩酸濃度は、0.5〜5g/Lである。
要件(2):塩酸を添加した後の抽出始液のpHは、−0.5〜0.5である。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記抽出始液は、鉄水酸化物からなる固形分をその固形分濃度が0.5g/L以下含有することを特徴とする有機溶媒の活性化処理方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、前記溶媒抽出工程は、アミン系抽出剤によりコバルトを含む塩化ニッケル水溶液中に含有されるコバルトその他の金属元素のクロロ錯イオンを該抽出剤上に担持する抽出段と、それに続く、水相を形成する水溶液により該抽出剤上に担持されたコバルトを脱離する逆抽出段とを含むことを特徴とする有機相からの有機溶媒の活性化処理方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1又は2の発明において、前記アミン系抽出剤は、トリ−ノルマル−オクチルアミン(TNOA)、又はトリ−イソ−オクチルアミン(TIOA)から選ばれる少なくとも1種の3級アミンであることを特徴とする有機溶媒の活性化処理方法が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1又は2の発明において、前記有機溶媒は、アミン系抽出剤を芳香族炭化水素又は脂肪族炭化水素からなる希釈剤と混合してなるものであり、アミン系抽出剤を有機溶媒の全量に対し20〜40容量%含有することを特徴とする有機溶媒の活性化処理方法が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1又は2の発明において、前記抽出始液の組成は、Niが160〜200g/L、Clが190〜240g/L、及びCoが2〜8g/Lであり、かつFe、Zn及びCuが、いずれも0.05g/L以下であることを特徴とする有機溶媒の活性化処理方法が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1又は2の発明において、前記有機溶媒は、前記溶媒抽出工程を構成する逆抽出工程から産出される、亜鉛、鉄又は銅から選ばれる少なくとも1種の金属元素の合計濃度は、5g/L以下であることを特徴とする有機溶媒の活性化処理方法が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第1又は2の発明において、前記抽出段は、向流3段であることを特徴とする有機溶媒の活性化処理方法が提供される。
また、本発明の第9の発明によれば、第1又は2の発明において、前記抽出段の有機相と水相の容量比(有機相/水相)は、0.5〜1であることを特徴とする有機溶媒の活性化処理方法が提供される。
本発明の有機溶媒の活性化処理方法は、金属塩化物水溶液からなる抽出始液とアミン系抽出剤を含む有機溶媒とを用いる金属の溶媒抽出工程において、アミン系抽出剤に塩酸を付加することにより該有機溶媒を活性化処理する際、従来方法のように油水混合装置及び油水分離装置等、例えばミキサーセトラー等の大掛かりな設備を用いることなく、抽出段で同時に行なうことができ、しかも、多段からなる抽出段の各段の有機相を常に活性化された状態に保ちつつ、さらに、抽出始液中に微量の固形分を含有する場合においても、簡便な混合設備を備えることにより、溶媒抽出工程でのクラッドの発生を抑制することができるので、その工業的価値は極めて大きい。
抽出始液中に鉄水酸化物からなる固形分を含有する場合の塩酸を添加した後の抽出始液のpHと抽出始液中の固形分濃度の関係を示す図である。
以下、本発明の有機相からの金属元素の除去方法を詳細に説明する。
本発明の有機溶媒の活性化処理方法は、金属塩化物水溶液からなる抽出始液とアミン系抽出剤を含む有機溶媒とを用いる金属の溶媒抽出工程において、アミン系抽出剤に塩酸を付加することにより該有機溶媒を活性化処理する際、前記溶媒抽出工程を構成する抽出段に、前記有機溶媒は、活性化処理を施さないでそのまま供給し、一方、前記抽出始液は、下記の要件(1)或いは(2)を満足するように塩酸を添加した後に、供給することを特徴とする。
要件(1):塩酸を添加した後の抽出始液の遊離塩酸濃度は、0.5〜5g/Lである。
要件(2):塩酸を添加した後の抽出始液のpHは、−0.5〜0.5である。
本発明において、アミン系抽出剤に塩酸を付加することにより該有機溶媒を活性化処理する際、前記溶媒抽出工程を構成する抽出段に、前記有機溶媒は、活性化処理を施さないでそのまま供給し、一方、前記抽出始液は、塩酸を添加した後の抽出始液の遊離塩酸濃度或いはpHが所定値になるように塩酸を添加した後に、供給することが重要である。これによって、有機溶媒を塩酸付加による活性化処理を施すための設備が不要であり、抽出段の各段の有機相を常に活性化された状態に保ちつつ、さらに、抽出始液中に鉄水酸化物等の微量の固形分を含有する場合においても、溶媒抽出工程でのクラッドの発生を抑制することができる。
ここで、有機溶媒に含有されるアミン系抽出剤の活性化処理は、抽出段において、有機相と水相が撹拌混合される際に、下記の式(1)に従って行なわれる。なお、抽出段の各段において、水相中には常に遊離塩酸が存在するため、塩酸の脱離は起こらず有機相の活性度合いを保つことができる。
式(1):RN+HCl=RN:HCl
(式中のRは、C17で、RNは、トリ−ノルマル−オクチルアミンを表す。)
すなわち、抽出始液中に、有機溶媒中のアミン系抽出剤の活性化に必要な量と抽出段での水相中への脱離量との合計量以上である塩酸を添加すれば、各段にてアミン系抽出剤からの塩酸の脱離は起こらないので、有機相は常に活性化された状態を保持し、抽出能力の低下を防止することができる。さらに、抽出始液中に鉄水酸化物等の微量の固形分を含有する場合においては、抽出始液と添加する塩酸を混合する混合槽を設けるとともに、そこで、前記合計量に、固形分の溶解に必要な量を加えた量以上である塩酸を添加することにより、固形分を容易に溶解することができるので、溶媒抽出工程でのクラッドの発生を抑制することができる。なお、ここで用いられる混合槽は、有機溶媒を取り扱う油水混合装置及び油水分離装置などと異なり、簡便な設備である。
上記方法において、塩酸を添加した後の抽出始液の遊離塩酸濃度としては、0.5〜5g/Lである。或いは、塩酸を添加した後の抽出始液のpHとしては、−0.5〜0.5である。これによって、抽出始液中に、有機溶媒中のアミン系抽出剤の活性化に必要な量と抽出段での水相中への脱離量との合計量以上、さらに抽出始液中に鉄水酸化物からなる固形分を含有する場合には、前記合計量に固形分の溶解に必要な量を加えた量以上である塩酸を添加することができる。すなわち、その遊離塩酸濃度が0.5g/L未満、又はそのpHが−0.5未満では、塩酸の添加量が不足であるため、アミン系抽出剤の活性化、抽出段での活性度合いの安定、又は固形分の溶解のいずれかにおいて満足すべき結果が得られない。一方、その遊離塩酸濃度が5g/L、又はそのpHが0.5を超えると、塩酸の添加量が過剰であるので、コスト的に不利である。
上記抽出始液としては、鉄水酸化物からなる固形分をその固形分濃度が0.5g/L以下含有するものを用いることができる。すなわち、抽出始液中に鉄水酸化物からなる微量の固形分を含有する場合においても、事前に簡便な混合槽中で、抽出始液中に塩酸を添加し混合することにより前記固形分を溶解した後、抽出段に供給すれば、後続の溶媒抽出工程でのクラッドの発生を抑制することができる。すなわち、その固形分濃度が0.5g/Lを超えると、溶解のため必要な塩酸量が増加し、かつ抽出始液中の鉄濃度が上昇して溶媒抽出においてコバルトの抽出を妨害するので好ましくない。
ここで、抽出始液中に鉄水酸化物からなる固形分を含有する場合、下記の式(2)に従って、鉄水酸化物が溶解される。
式(2):2Fe(OH)+6HCl=2FeCl+6H
以下に、図を用いて、抽出始液中に鉄水酸化物からなる固形分を含有する場合について、塩酸を添加した後の抽出始液のpHと抽出始液中の固形分濃度の関係を説明する。図1は、抽出始液中に鉄水酸化物からなる固形分を含有する場合の塩酸を添加した後の抽出始液のpHと抽出始液中の固形分濃度の関係を示す。なお、鉄水酸化物からなる固形分をその固形分濃度が0.4g/Lで含有する抽出始液を用いた。
図1より、塩酸を添加した後の抽出始液のpHが0.5以下では、固形分(スラリー)濃度が0.01g/L以下にまで、固形分を溶解することができることが分かる。
上記方法に用いる金属塩化物水溶液からなる抽出始液とアミン系抽出剤を含む有機溶媒とを用いる金属の溶媒抽出工程としては、特に限定されるものではないが、例えば、コバルトを含む塩化ニッケル水溶液中に含有されるコバルトその他の金属元素のクロロ錯イオンをアミン系抽出剤上に担持する抽出段と、必要により、有機相を純度の高い塩化コバルト水溶液で洗浄して有機相中に混入された水相(塩化ニッケル水溶液)を除去する洗浄段と、それに続く、水相を形成する水溶液により該抽出剤上に担持されたコバルトを脱離する逆抽出段とを含むものが好ましい。
上記抽出始液は、例えば、ニッケル鉱石又はニッケル硫化物の硫酸浸出法又は塩素浸出法から産出されるニッケルとコバルトとともに微量のその他の金属を含有する酸性塩化物水溶液からなる浸出液である。なお、硫酸浸出法では、浸出液の酸性塩化物水溶液への転換が行われたものである。
上記抽出始液の組成としては、例えば、Niが160〜200g/L、Clが190〜240g/L、及びCoが2〜8g/Lであり、かつFe、Zn及びCuが、いずれも0.05g/L以下であるものが好ましく用いられる。
上記有機溶媒は、アミン系抽出剤を含むものであるが、アミン系抽出剤としては、特に限定されるものではなく、ニッケルとコバルトとの選択性に優れる3級アミンが用いられるが、この中で、トリ−ノルマル−オクチルアミン(TNOA)、又はトリ−イソ−オクチルアミン(TIOA)から選ばれる少なくとも1種の3級アミンが好ましく、TNOAがより好ましい。
上記有機溶媒は、その粘性と抽出効率から、必要により、アミン系抽出剤を芳香族炭化水素又は脂肪族炭化水素からなる希釈剤と混合してなるものであり、その際アミン系抽出剤を有機溶媒の全量に対し20〜40容量%含有するようにして用いることができる。
上記有機溶媒の調製としては、特に限定されるものではなく、新規に調製した有機溶媒のほか、前記溶媒抽出工程を構成する逆抽出工程から産出される、亜鉛、鉄又は銅から選ばれる少なくとも1種の金属元素の合計濃度が5g/L以下であるものが用いられる。これによって、使用済みの有機溶媒を再生して、その循環使用が可能となる。すなわち、亜鉛、鉄又は銅の合計濃度が5g/Lを超えると、クラッド発生の原因となる。
上記方法に用いる抽出段としては、特に限定されるものではなく、その段数としては、1〜3段が用いられるが、例えば、十分な抽出反応が行なえる向流3段であることが好ましく、また、その際有機相と水相の容量比(有機相/水相)は0.5〜1であることが好ましい。
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いた金属の分析は、ICP発光分析法で行った。
(実施例1)
まず、コバルトを含有する塩化ニッケル水溶液からなる抽出始液(Ni濃度:180g/L、Co濃度:6g/L、遊離塩酸濃度:0.07g/L、pH:1.15)に、塩酸を添加して、抽出始液の遊離塩酸濃度を2.9g/Lに調整した。このとき、抽出始液のpHは、−0.47であった。
次いで、抽出段(向流3段、(有機相/水相)容量比:0.7)と逆抽出段を含む溶媒抽出装置を用いて、その抽出段に塩酸混合後の抽出始液と逆抽出後有機溶媒を供給して、コバルトの抽出を行なった。なお、逆抽出後有機溶媒は、逆抽出段から産出されたコバルトを脱離後の有機相であり、その組成は、トリ−ノルマル−オクチルアミンが30容量%及び芳香族炭化水素が70容量%であった。
その後、抽出段から得られた抽出残液の遊離塩酸濃度とpHを測定し、水相から有機相への塩酸移動量を求めた。結果を表1に示す。
Figure 2010174359
表1より、水相から有機相中に塩酸が移動していることが分かる。すなわち、有機相中のトリ−ノルマル−オクチルアミンへの塩酸付加による活性化がなされたことを示している。また、抽出残液中に遊離塩酸が十分に存在していることから、有機相中に付加した塩酸は有機相中に保たれ、トリ−ノルマル−オクチルアミンの活性度合いは保たれていることが分かる。なお、各段においても同様であり、抽出反応中も常に活性化された状態であることが示唆される。
(比較例2)
まず、逆抽出後有機溶媒に直接塩酸を混合し、活性化処理を行い、活性化後有機溶媒を得た。なお、逆抽出後有機溶媒は、逆抽出段から産出されたコバルトを脱離後の有機相であり、その組成は、トリ−ノルマル−オクチルアミンが30容量%及び芳香族炭化水素が70容量%であった。
次いで、抽出段(向流3段、(有機相/水相)容量比:0.5)と逆抽出段を含む溶媒抽出装置を用いて、その抽出段に抽出始液と活性化後有機溶媒を供給して、コバルトの抽出を行なった。なお、抽出始液は、コバルトを含有する塩化ニッケル水溶液(Ni濃度:170g/L、Co濃度:5g/L、遊離塩酸濃度:0.07g/L、pH:1.15)であった。
その後、抽出段から得られた抽出残液の遊離塩酸濃度とpHを測定し、有機相から水相への塩酸移動量を求めた。結果を表2に示す。
Figure 2010174359
表2より、有機相から水相中に塩酸が移動していることが分かる。これより、抽出段で、有機溶媒中に付加した塩酸が脱離し、トリ−ノルマル−オクチルアミンの活性度合いが低下していることが示唆される。
以上より、実施例1では、有機溶媒の活性化処理として、溶媒抽出工程を構成する抽出段に、有機溶媒は、活性化処理を施さないでそのまま供給し、一方、抽出始液は、塩酸を添加した後の抽出始液の遊離塩酸濃度或いはpHが、所定値を満足するように塩酸を添加した後に供給し、本発明の方法に従って行なわれたので、抽出後のアミン系抽出剤の活性度合いは保たれていることが分かる。これに対して、比較例1では、従来方法に従って有機溶媒を直接活性化処理したので、抽出後のアミン系抽出剤の活性度合いが低下することが分かる。
以上より明らかなように、本発明の有機溶媒の活性化処理方法は、鉄水酸化物からなる固形分を所定固形分濃度以下含有する金属塩化物水溶液からなる抽出始液とアミン系抽出剤を含む有機溶媒とを用いる金属の溶媒抽出工程において、アミン系抽出剤に塩酸を付加することにより該有機溶媒を活性化処理する際、従来方法のように大掛かりな設備を用いることなく、簡便な設備で行なうことができ、しかも、多段からなる抽出段の各段の有機相を常に活性化された状態に保ちつつ、さらに、抽出始液中に微量の固形分を含有する場合においても、溶媒抽出工程でのクラッドの発生を抑制することができるので、コバルトを含む塩化ニッケル水溶液からコバルトを分離する溶媒抽出方法として好適である。

Claims (9)

  1. 金属塩化物水溶液からなる抽出始液とアミン系抽出剤を含む有機溶媒とを用いる金属の溶媒抽出工程において、アミン系抽出剤に塩酸を付加することにより該有機溶媒を活性化処理する際、
    前記溶媒抽出工程を構成する抽出段に、前記有機溶媒は、活性化処理を施さないでそのまま供給し、一方、前記抽出始液は、下記の要件(1)或いは(2)を満足するように塩酸を添加した後に、供給することを特徴とする有機溶媒の活性化処理方法。
    要件(1):塩酸を添加した後の抽出始液の遊離塩酸濃度は、0.5〜5g/Lである。
    要件(2):塩酸を添加した後の抽出始液のpHは、−0.5〜0.5である。
  2. 前記抽出始液は、鉄水酸化物からなる固形分をその固形分濃度が0.5g/L以下含有することを特徴とする請求項1に記載の有機溶媒の活性化処理方法。
  3. 前記溶媒抽出工程は、アミン系抽出剤によりコバルトを含む塩化ニッケル水溶液中に含有されるコバルトその他の金属元素のクロロ錯イオンを該抽出剤上に担持する抽出段と、それに続く、水相を形成する水溶液により該抽出剤上に担持されたコバルトを脱離する逆抽出段とを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の有機相からの有機溶媒の活性化処理方法。
  4. 前記アミン系抽出剤は、トリ−ノルマル−オクチルアミン(TNOA)、又はトリ−イソ−オクチルアミン(TIOA)から選ばれる少なくとも1種の3級アミンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機溶媒の活性化処理方法。
  5. 前記有機溶媒は、アミン系抽出剤を芳香族炭化水素又は脂肪族炭化水素からなる希釈剤と混合してなるものであり、アミン系抽出剤を有機溶媒の全量に対し20〜40容量%含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の有機溶媒の活性化処理方法。
  6. 前記抽出始液の組成は、Niが160〜200g/L、Clが190〜240g/L、及びCoが2〜8g/Lであり、かつFe、Zn及びCuが、いずれも0.05g/L以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機溶媒の活性化処理方法。
  7. 前記有機溶媒は、前記溶媒抽出工程を構成する逆抽出工程から産出される、亜鉛、鉄又は銅から選ばれる少なくとも1種の金属元素の合計濃度は、5g/L以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機溶媒の活性化処理方法。
  8. 前記抽出段は、向流3段であることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機溶媒の活性化処理方法。
  9. 前記抽出段の有機相と水相の容量比(有機相/水相)は、0.5〜1であることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機溶媒の活性化処理方法。
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