JP2010143756A - パッケージ及びその製造方法並びに糸巻取機 - Google Patents
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Abstract
【課題】巻取ボビンに糸を巻き取って形成されるパッケージにおいて、解舒性とコンパクト性を両立させた構成を提供する。
【解決手段】パッケージ31は、巻取ボビン22と、巻き部30と、を備える。巻き部30は、巻取ボビン22の周囲に糸を巻かれて形成される。巻き部30の外周面は巻取ボビン22の軸22cと平行である。一方で、巻き部30の内部に形成される糸層30b,30b・・・は、巻取ボビン22の軸22cに対して傾斜している。
【選択図】図5
【解決手段】パッケージ31は、巻取ボビン22と、巻き部30と、を備える。巻き部30は、巻取ボビン22の周囲に糸を巻かれて形成される。巻き部30の外周面は巻取ボビン22の軸22cと平行である。一方で、巻き部30の内部に形成される糸層30b,30b・・・は、巻取ボビン22の軸22cに対して傾斜している。
【選択図】図5
Description
本発明は、主要には、巻取ボビンに糸を巻いて形成されるパッケージの構成に関する。
特許文献1は、この種のパッケージを形成するための糸のトラバース装置を開示する。特許文献1に開示されるアーム式のトラバース装置は、その基端部が駆動装置の回転軸に取り付けられたアームと、このアームの先端部に取り付けられた糸ガイドと、を備えている。また、特許文献1はベルト式のトラバース装置についても開示しており、このトラバース装置は、駆動プーリと従動プーリに巻回された無端ベルトと、この無端ベルトに取り付けられて、駆動プーリの正逆回転により往復移動する糸ガイドと、を備えている。
特開2006−298499号公報
ところで、上記のようなパッケージの種類としては、円筒形状のチーズパッケージと、円錐形状のコーンパッケージとが知られている。一般的に、コーンパッケージは円錐状の外周面から糸を小径側に引き出して供給できるため、いったん解舒された糸がパッケージの外周に巻き掛かってしまうことが少なく、チーズパッケージに比べて解舒性が良いとされている。
この点に関し、特許文献2には、ボビンを平行ボビンとし、クレードルアームが持ち上がるとともにボビン軸を綾振ドラムに対して傾斜させるようにクレードルアームを回転させる構成が開示されている。特許文献2は、この構成により、巻始めの糸のスリップを少なくしてコーンパッケージを得ることができるとする。
特開平4−308165号公報
しかし、前記コーンパッケージは上述のように解舒性に優れる一方で、所定長さの糸を巻き取った場合の巻き径がチーズパッケージに比べて増大してしまい、コンパクト性の点で改善の余地があった。
また、特許文献2は綾振ドラムによって糸をトラバースさせる構成であるので、糸のトラバースの態様が溝の形状によって決まってしまい、巻取可能なパッケージの形状の種類が限られていた。また、特許文献2の巻取方法で形成されるコーンパッケージは、大径側と小径側とで糸の巻き密度が大きく変化するためにパッケージの形が崩れ易く、この点でも改善の余地が残されていた。
本願発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、巻取ボビンに糸を巻き取って形成されるパッケージにおいて、解舒性とコンパクト性を両立させた構成を提供することにある。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
本発明の第1の観点によれば、以下の構成のパッケージが提供される。即ち、このパッケージは、巻取ボビンと、巻き部と、を備える。前記巻き部は、前記巻取ボビンの周囲に糸を巻かれて形成される。前記巻き部の外周面は、前記巻取ボビンの軸と平行である。前記巻き部の内部に形成される糸層の少なくとも一部が、前記巻取ボビンの軸に対して傾斜している。なお、「平行」には、完全に平行な状態のみならず、略平行な状態や全体として平行な状態も含むものとし、これは以降についても同様である。
本発明の第2の観点によれば、以下の構成のパッケージが提供される。即ち、このパッケージは、巻取ボビンと、巻き部と、を備える。前記巻き部は、前記巻取ボビンの周囲に糸を巻かれて形成される。糸を解舒する前の状態では、前記巻き部の外周面は前記巻取ボビンの軸と平行である。糸を一部解舒した状態では、残った前記巻き部の外周面が前記巻取ボビンの軸に対して傾斜している。
以上の構成により、解舒性の良さとコンパクト性(糸の量目の多さ)を両立したパッケージを実現することができる。
前記のパッケージにおいては、前記巻取ボビンは、当該巻取ボビンの軸と平行な外周面を有するように構成することができる。
この場合、安価なチーズ形状の巻取ボビンを用いて、解舒性の良いパッケージを実現することができる。
前記のパッケージにおいては、前記巻取ボビンは、当該巻取ボビンの軸に対して傾斜した外周面を有するように構成することもできる。
この場合、コーン形状の巻取ボビンを使用しつつ、コンパクト性(糸の量目の多さ)を良好に確保できるパッケージを実現することができる。
前記のパッケージにおいては、前記巻き部の内部に形成される円錐状の糸層の少なくとも小径側における当該巻き部の端面は、前記巻取ボビンの軸に対して垂直に形成されていることが好ましい。
これにより、パッケージ端面における形状の崩れを防止し、良好な形状のパッケージを実現することができる。
前記のパッケージにおいては、前記巻き部の外周面と、前記巻き部の内部に形成される円錐状の糸層の少なくとも小径側における当該巻き部の端面と、を接続するように、面取り部が形成されていることが好ましい。
これにより、巻き部の端面の外周部分におけるパッケージの変形を防止できるので、より高品質なパッケージを提供することができる。
本発明の第3の観点によれば、巻取ボビンの周囲に糸を巻いて巻き部を形成するパッケージの製造方法において、以下の2つの工程を含む製造方法が提供される。即ち、前記第1工程では、糸を巻くことにより、前記巻取ボビンの軸に対して傾斜する糸層を前記巻き部の一部として形成する。前記第2工程では、糸を巻くことにより、前記巻き部の外周面を前記巻取ボビンの軸と平行に形成する。
本発明の第4の観点によれば、巻取ボビンの周囲に糸を巻いて巻き部を形成するパッケージの製造方法において、以下の2つの工程を含む製造方法が提供される。前記第1工程では、前記巻取ボビンの周囲に糸を巻くことにより、前記巻取ボビンの軸に対して傾斜する外周面を有する第1巻き部分を形成する。前記第2工程では、前記第1巻き部分の周囲に糸を巻くことにより、前記巻取ボビンの軸と平行な外周面を有する第2巻き部分を形成する。
以上の方法により、解舒性の良さとコンパクト性(糸の量目の多さ)を両立したパッケージを提供することができる。
本発明の第5の観点によれば、以下の構成の糸巻取機が提供される。即ち、この糸巻取機は、巻取ボビンに糸を巻き取って巻き部を形成し、パッケージを製造する。前記糸巻取機は、糸ガイドと、糸ガイド駆動部と、接触ローラと、駆動部と、クレードルと、位置関係調整部と、を備える。前記糸ガイドは、前記巻取ボビンに巻き取られる糸を案内する。前記糸ガイド駆動部は、前記糸ガイドを駆動することで前記糸を綾振るとともに、その綾振り幅を変更可能である。前記接触ローラは、前記巻取ボビンの外周面又は前記巻き部の外周面に接触して回転する。前記駆動部は、前記巻取ボビンと前記接触ローラの少なくとも何れか一方を駆動する。前記クレードルは、前記巻取ボビンを着脱可能に支持する。前記位置関係調整部は、前記クレードル、前記巻取ボビン、及び前記糸ガイドのうち少なくとも何れかと前記接触ローラの相対的な位置関係を調整可能である。
これにより、糸ガイドによる綾振り幅、及び接触ローラ等の相対的な位置関係を適宜変更することで、巻き部の外形形状を高い自由度で形成することができる。この結果、機能性の高いパッケージを製造することができる。
前記の糸巻取機においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記クレードルは、前記接触ローラに対して相対的に傾斜するように前記巻取ボビンを支持可能である。前記糸巻取機は、前記パッケージが完成する直前に、前記位置関係調整部が前記クレードルと前記接触ローラの相対的な位置関係を調整するのと連動して、前記糸ガイドによる糸の前記綾振り幅を徐々に狭める。
これにより、巻き部の内部に形成される糸層を巻取ボビンの軸に対して傾斜させつつ、当該巻取ボビンの軸に平行な外周面を形成することができる。従って、解舒性の良さとコンパクト性(糸の量目の多さ)を両立したパッケージを製造することができる。
前記の糸巻取機においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記位置関係調整部はスライド機構を備える。前記スライド機構は、前記接触ローラの前記巻取ボビンに対する相対位置を、当該接触ローラの軸方向又は前記巻取ボビンの軸方向に平行移動させることが可能である。
これにより、糸層の向きを変更することなく当該糸層の端部の位置を調整できるので、巻き部の外形形状を適切に形成することができる。
前記の糸巻取機においては、前記位置関係調整部は、前記接触ローラに対する前記巻取ボビンの相対傾斜角度を変更可能な傾斜角変更機構を備えることが好ましい。
これにより、巻き部の内部における糸層の傾斜角を変更できるので、より自由度の高い糸の巻取りが可能になる。
前記の糸巻取機においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この糸巻取機は、前記巻き部の径を検出する径検出部を更に備える。前記位置関係調整部は、前記径検出部の検出結果に応じて、前記クレードルと前記接触ローラの相対的な位置関係を調整する。
これにより、糸の巻取りの進行度合いを径検出部で的確に検出できるので、綾振り幅の変更、及び接触ローラ等の相対的な位置関係の調整を確実かつスムーズに行うことができる。
次に、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る糸巻取機としての自動ワインダが備えるワインダユニット10の概略図である。
図1に示すワインダユニット10は、給糸ボビン21から解舒される紡績糸(糸)20をトラバースさせながら巻取ボビン(巻取管)22に巻き付けて、所定長で所定形状のパッケージとするものである。本実施形態の自動ワインダ(糸巻取機)は、並べて配置された複数のワインダユニット10と、図略の機台制御装置を備えている。
それぞれのワインダユニット10は、巻取ユニット本体16と、ユニット制御部50と、を備えている。
ユニット制御部50は、演算部及び制御部としてのCPUと、記憶部としてのRAM及びROMと、通信部としてのI/Oポートと、を備えて構成されている。前記ROMには、巻取ユニット本体16の各構成を制御するためのプログラムが記録されている。また、前記I/Oポートには前記機台制御装置が接続されている。以上の構成で、オペレータが機台制御装置を適宜操作することにより、複数のワインダユニット10を一括して管理或いは制御することができる。
前記巻取ユニット本体16は、給糸ボビン21と巻取ボビン22との間の糸走行経路中に、給糸ボビン21側から順に、解舒補助装置12と、テンション付与装置13と、スプライサ装置14と、クリアラ(糸品質測定器)15と、を配置した構成となっている。
解舒補助装置12は、給糸ボビン21の芯管に被さる規制部材40を給糸ボビン21からの糸の解舒と連動して下降させることにより、給糸ボビン21からの糸の解舒を補助するものである。規制部材40は、給糸ボビン21から解舒された糸の回転と遠心力によって給糸ボビン21上部に形成されたバルーンに対し接触し、当該バルーンを適切な大きさに制御することによって糸の解舒を補助する。規制部材40の近傍には前記給糸ボビン21のチェース部を検出するための図略のセンサが備えられており、このセンサがチェース部の下降を検出すると、それに追従して前記規制部材40を例えばエアシリンダ(図略)によって下降させることができる。
テンション付与装置13は、走行する紡績糸20に所定のテンションを付与するものである。テンション付与装置13としては、例えば、固定の櫛歯に対して可動の櫛歯を配置するゲート式のものを用いることができる。可動側の櫛歯は、櫛歯同士が噛み合わせ状態又は解放状態になるように、例えばロータリ式に構成された図略のソレノイドにより回動することができる。このテンション付与装置13によって、巻き取られる紡績糸20に一定のテンションを付与し、パッケージの品質を高めることができる。なお、テンション付与装置13には、上記ゲート式のもの以外にも、例えばディスク式のものを採用することができる。
スプライサ装置14は、クリアラ15が糸欠点を検出して行う糸切断時、又は給糸ボビン21からの解舒中の糸切れ時等に、給糸ボビン21側の下糸と、巻取ボビン22側の上糸とを糸継ぎするものである。このような上糸と下糸とを糸継ぎする糸継装置としては、機械式のものや、圧縮空気等の流体を用いるもの等を使用することができる。
クリアラ15のクリアラヘッド49には、紡績糸20の太さを検出するための図略のセンサが備えられている。クリアラ15は、このセンサからの糸太さ信号を監視することにより糸欠陥を検出するように構成されている。また、前記クリアラヘッド49の近傍には、前記クリアラ15が糸欠点を検出したときに直ちに紡績糸20を切断するための図略のカッタが取り付けられている。
前記スプライサ装置14の下側及び上側には、給糸ボビン21側の下糸を捕捉してスプライサ装置14に案内する下糸案内パイプ25と、巻取ボビン22側の上糸を捕捉してスプライサ装置14に案内する上糸案内パイプ26と、が設けられている。また、下糸案内パイプ25と上糸案内パイプ26は、それぞれ軸33,35を中心にして回動可能に構成されている。下糸案内パイプ25の先端には吸引口32が形成され、上糸案内パイプ26の先端にはサクションマウス34が備えられている。下糸案内パイプ25及び上糸案内パイプ26には適宜の負圧源がそれぞれ接続されており、前記吸引口32及びサクションマウス34に吸引流を発生させて、上糸及び下糸の糸端を吸引捕捉できるように構成されている。
スプライサ装置14の更に上側には、巻取ボビン(紙管、芯管)22を回転可能に挟持できるように構成されたクレードル23と、巻取ボビン22に対向するように配置された接触ローラ24と、糸を綾振るためのトラバース装置11と、が設けられている。
前記接触ローラ24は、巻取ボビン22に下側から対面するように配置されるとともに、回転可能に支持されている。この接触ローラ24は円筒状の外周面を有しており、この外周面を、巻取ボビン22の外周に糸が巻かれて形成された巻き部30の外周面に接触させることができる。接触ローラ24は接触ローラ駆動モータ(駆動部)53の出力軸に連結されているので、接触ローラ駆動モータ53を駆動することにより接触ローラ24を回転させることができる。この接触ローラ駆動モータ53の作動は、接触ローラ回転制御部54によって制御されている。
前記接触ローラ24及び接触ローラ駆動モータ53は、スライド体としてのベース部材71に設けられている。このベース部材71は、回転可能に支持されたネジ軸72に対してネジ結合されている。ネジ軸72は、前記接触ローラ24の回転軸と平行に配置されるとともに、その一端が接触ローラ送りモータ73の出力軸に連結されている。従って、接触ローラ送りモータ73を駆動することにより、接触ローラ24をその回転軸方向にネジ移動させることができる。
これらネジ軸72、接触ローラ送りモータ73、及びベース部材71等によって、接触ローラ24をその軸方向に平行移動させることが可能な接触ローラスライド機構82が構成されている。接触ローラ送りモータ73の作動は、接触ローラ位置制御部74によって制御されている。
クレードル23は、一対のアームの間に巻取ボビン22の両端を挟み込むようにして装着し、当該巻取ボビン22を回転可能に支持することができる。本実施形態において巻取ボビン22は、円筒状の外周面を有する、いわゆるチーズボビンとされている。巻取ボビン22がクレードル23に取り付けられた状態では、巻取ボビン22は、前記接触ローラ24に対して所定の角度だけ傾斜している。
前記クレードル23は、スライド体としての支持部材75に、回動軸76を中心にして回動可能に設けられている。従って、クレードル23は接触ローラ24に対し近接又は離間する方向に回動可能とされ、このクレードル23の回動によって、巻取ボビン22への紡績糸20の巻取りに伴う巻き部30の径の増大を吸収することができる。これにより、空の巻取ボビン22への巻始めから巻取完了となるまでの間、前記巻き部30の表面を常に適切に接触ローラ24に接触させた状態で紡績糸20を巻き取ることができる。
クレードル23は、巻き部30の外周面と接触ローラ24との接圧を調整するための図略の接圧調整機構を備えている。この接圧調整機構は、空の巻取ボビン22に糸を巻き始める当初においては接圧を増加するように動作する一方で、巻き部30の径が増大した場合にはその重量の一部を支持して、巻き部30と接触ローラ24の間の接圧が過大とならないように動作する。この接圧調整機構の構成としては、例えば流体シリンダを備えたものが考えられる。
クレードル23の前記一対のアームのうち一方には、ボビン駆動モータ(駆動部)55が設けられている。この構成で、クレードル23に巻取ボビン22を装着すると、当該巻取ボビン22は前記ボビン駆動モータ55の出力軸と相対回転不能に連結される。この状態でボビン駆動モータ55を駆動することにより、巻取ボビン22を回転させることができる。このボビン駆動モータ55の作動は、ボビン回転制御部56によって制御されている。
前記支持部材75は、回転可能に支持されたネジ軸77に対してネジ結合されている。ネジ軸77は、前記接触ローラ24の回転軸と平行に配置されるとともに、その一端がクレードル送りモータ(ボビン送りモータ)78の出力軸に連結されている。従って、クレードル送りモータ78を駆動することにより、クレードル23に支持された巻取ボビン22を、接触ローラ24の回転軸方向にネジ移動させることができる。
これらネジ軸77、ボビン送りモータ78、及び支持部材75等によって、巻取ボビン22を接触ローラ24の軸方向に平行移動させることが可能なクレードルスライド機構(ボビンスライド機構)83が構成されている。前記ボビン送りモータ78の作動は、ボビン位置制御部79によって制御されている。
トラバース装置11は、前記接触ローラ24の近傍に設けられている。このトラバース装置11は、タイミングベルト41と、糸ガイド42と、糸ガイド駆動モータ(糸ガイド駆動部)43と、を備える。タイミングベルト41は無端状のベルトとして構成され、駆動プーリ45及び一対のアイドラプーリ46,46に巻き掛けられている。前記糸ガイド42はフック状に形成されており、前記タイミングベルト41の適宜の箇所に固定されている。前記駆動プーリ45は、糸ガイド駆動モータ43の出力軸に連結されている。
そして、前記糸ガイド42を糸ガイド駆動モータ43により図1の矢印のように直線的に往復動させることにより、紡績糸20を接触ローラ24の回転軸と平行な方向に綾振る構成になっている。この綾振り運動により、巻取ボビン22の軸方向中央部に設定されている所定幅の領域(以下、糸巻付け領域と称する)に糸を分配しながら供給し、適切に巻き取ることができる。この糸ガイド駆動モータ43の作動は、トラバース制御部47によって制御されている。
前記クレードル23の回動軸76には、クレードル23の角度(回動角)を検知するための角度センサ(径検出部)80が取り付けられている。この角度センサ80は例えばロータリエンコーダからなり、クレードル23の角度に応じた角度信号をユニット制御部50に対して送信することができる。クレードル23は巻き部30の径が増大するのに従って角度が変化するので、クレードル23の回動角を前記角度センサ80によって検出することにより、巻き部30の径を検知することができる。
前述した各種の制御部(トラバース制御部47、接触ローラ回転制御部54、ボビン回転制御部56、接触ローラ位置制御部74、及びボビン位置制御部79)は、何れも、演算部及び処理部としてのCPUと、記憶部としてのROM及びRAMと、を備えている。これらのハードウェアのうち前記ROMには、制御対象としてのモータの回転及び停止、あるいは回転速度を適切に制御するための各種のソフトウェアが記憶されている。
この構成で、ユニット制御部50は、前記角度センサ80が検出する巻き部30の径や、その他各種センサからの情報に基づいて、接触ローラ24及び巻取ボビン22の回転速度を決定し、制御信号を接触ローラ回転制御部54及びボビン回転制御部56に出力する。また、ユニット制御部50は上記と並行して、接触ローラ24及び巻取ボビン22の位置、及び糸ガイド42によるトラバース幅を決定し、接触ローラ位置制御部74、ボビン位置制御部79、及びトラバース制御部47のそれぞれに制御信号を出力するように構成されている。
次に、以上のように構成されたワインダユニット10による紡績糸20の巻取方法について詳細に説明する。図2(a)から図4(g)までには、ワインダユニット10が空の巻取ボビン22に糸を巻き始めてから巻取完了になるまでの巻取ボビン22周辺の様子が順に示されている。なお、これらの図においては、巻取ボビン22、接触ローラ24及びトラバース装置11の位置関係をより良く示すために、巻取ユニット本体16の他の細部(クレードル23、ネジ軸、モータ等)は省略されている。
ワインダユニット10が糸を巻き始める前においては、前記ユニット制御部50はボビン位置制御部79及び接触ローラ位置制御部74に所定の位置指令信号を出力し、空の巻取ボビン22及び前記接触ローラ24を図2(a)に示すように位置させる。この図2(a)の状態では、巻取ボビン22の糸巻付け領域22aの軸方向一端が、トラバース装置11における糸ガイド42の往復動ストロークの中央に一致している。また、接触ローラ24が有する円筒状の外周面の軸方向一端も、同様に糸ガイド42の往復動ストロークの中央に一致している。
このように、糸の巻始めの状態では巻取ボビン22及び接触ローラ24はそれぞれ軸方向に退避した位置にあり、糸のニップのための小さな領域を除いて相互に殆ど対面しない位置関係となっている。これにより、回転軸同士が互いに傾斜かつ近接して配置される巻取ボビン22及び接触ローラ24が干渉して回転の邪魔になることを防止できる。
ワインダユニット10は上記のように巻取ボビン22(クレードル23)及び接触ローラ24を移動させた後、接触ローラ駆動モータ53及びボビン駆動モータ55を駆動し、糸の巻取りを開始する。図2(b)には、巻取ボビン22に若干の長さの糸が巻き取られた状態が示されている。トラバース装置11の糸ガイド駆動モータ43は、巻取開始直後においては僅かなストロークで糸ガイド42を往復動させているが、巻き部30が形成されてその巻き径が増大するに伴い、トラバース制御部47からの指令に基づいて糸ガイド42の往復動ストロークを徐々に広げる。これにより、糸の綾振り幅が徐々に拡大する。巻き径の変化量に対する綾振り幅の変化量の比は一定の値であり、巻取ボビン22の接触ローラ24に対する傾斜角に応じて定められる。
なお、本実施形態のトラバース装置11は、糸ガイド42の往復動ストロークが変化してもその中央位置は不変であり、常にその中央位置に関して対称となるように糸ガイド42を往復移動させる構成となっている(図2(a)〜図2(c)を参照)。従って、糸の綾振り幅は、その中央位置を一定に保った状態で、その両端が対称的に変化することになる。
そして本実施形態では、ボビン位置制御部79がボビン送りモータ78を制御することで、徐々に拡大する糸の綾振り幅の一端に前記糸巻付け領域22aの軸方向一端を常に一致させるように、図2(a)〜図2(c)の矢印Pの方向に巻取ボビン22(クレードル23)を移動させる。また同様に、接触ローラ位置制御部74が接触ローラ送りモータ73を制御することで、徐々に拡大する糸の綾振り幅の他端に接触ローラ24の軸方向一端を常に一致させるように、図2(a)〜図2(c)の矢印Qの方向に接触ローラ24を移動させる。この結果、糸の綾振り幅の拡大に同期して、巻取ボビン22及び接触ローラ24はそれぞれ綾振り幅の中央へ向かって進出するように移動する。
以上の制御により、巻取初期においては図2(b)及び図2(c)に示すように、糸は巻取ボビン22における糸巻付け領域22aの一端側に偏在して巻かれ、当該部分に小さい円錐状の巻き部30が形成される。なお、以降の説明では、巻取ボビン22の軸方向において最初に巻き部30が形成される側を先行巻付け側と称し、反対側を後続巻付け側と称することがある。
巻き部30の円錐角は、巻取ボビン22の接触ローラ24に対する傾斜角と一致する。巻取りが進むに従い、円錐状の巻き部30の外周面に糸層が次々に形成され、トラバース装置11の綾振り幅もそれに応じて拡大するので、図2(b)〜図3(d)に示すように、巻き部30はその円錐角を一定に保ちながら径及び巻き幅を増大させていく。
なお、本実施形態では上述したように、ボビン位置制御部79は巻取りの進行に伴ってボビン送りモータ78を適宜駆動し、綾振り幅の先行巻付け側の端部に、巻取ボビン22の糸巻付け領域22aの端部(先行巻付け側の端部)を常に一致させるように制御する。この結果、巻取ボビン22は図2の矢印Pの方向に徐々に移動する。
この制御により、糸は糸巻付け領域22aの端部の位置で常に反転するようにトラバース装置11によって綾振られるので、巻取ボビン22に形成される巻き部30の端面(先行巻付け側の端面)30cは、巻取ボビン22の軸方向に垂直な平面状に形成されることになる。
巻き部30の軸方向長さは糸の巻取りに従って徐々に増大し、やがて図3(d)に示すように、糸巻付け領域22aの長さと等しくなる。なお、巻取ボビン22は糸の綾振り方向に対して傾斜して配置されているので、この図3(d)の状態では、糸の綾振り幅は糸巻付け領域22aの長さよりも若干長くなる。
図3(d)のように糸巻付け領域22aの全体にわたって糸が巻かれた後は、トラバース制御部47は糸の綾振り幅の拡大を中止し、綾振り幅が一定となるように制御する。この結果、巻き部30は巻き幅を一定としつつ、巻取ボビン22の径方向に巻き太っていく。
なお、図3(d)の状態からは、ボビン位置制御部79は巻取りの進行に伴ってボビン送りモータ78を適宜駆動し、綾振り幅の後続巻付け側の端部に、巻取ボビン22の糸巻付け領域22aの端部(後続巻付け側の端部)を常に一致させるように制御する。これにより、巻取ボビンは図3(d)の矢印Rの方向に徐々に移動する。なお、糸の巻取終期(図3(e)、図3(f))においては糸の綾振り幅が縮小されるが(詳細は後述)、この場合においても上記の移動制御は継続され、この結果、巻取ボビンは図3(e)、図3(f)の矢印Sの方向に移動する。この巻取ボビン22の移動制御は、糸巻取作業が完了するまで継続される。
上記のボビン位置制御部79の制御により、巻取ボビン22に形成される巻き部30において後続巻付け側の端面30dを、(先行巻付け側の端面30cと同様に)巻取ボビン22の軸方向に垂直な平面状に形成することができる(図3(e)〜図4(g)を参照)。
ここで、仮に上記のような巻取ボビン22の移動制御を行わなかった場合、糸層は巻取ボビン22の径方向ではなく、その円錐状の外周面(内側の糸層)と垂直な方向に積層されることになる。従って、巻き部30の径の増大に伴って糸の供給が巻取ボビン22の軸方向一側(巻き部30の小径側)へ相対的に偏るので、巻き部30の後続巻付け側の端面は中心側が凹となる円錐面となって、端面形状が崩れ易くなるおそれがある。
この点、本実施形態では上述のように、巻き部30の後続巻付け側の端面30dを巻取ボビン22の軸方向と垂直に形成できるので、高品質なパッケージを得ることができる。
一方、接触ローラ位置制御部74は、図3(d)の状態まで糸の巻取りが進んだ段階で接触ローラ送りモータ73の回転を停止させ、前記接触ローラ24の軸方向の移動を中止する。その後、接触ローラ24は、糸巻取作業が完了した図4(g)の状態となるまでその位置を維持する。
図3(e)に示すように、巻き部30の先行巻付け側の端面30cが所定の径まで巻き太ると、巻き部30の円筒状の外周面(巻取ボビン22の軸に平行な外周面)を形成するために、糸の巻取りに伴って糸ガイド42の往復動ストローク(ひいては、糸の綾振り幅)を徐々に縮小させる制御が行われる。この縮小制御においても、巻き径の変化量に対する綾振り幅の変化量の比は一定であり、この比は、巻取ボビン22と接触ローラ24とがなす傾斜角に応じて定められる。これにより、図3(f)、図4(g)に示すように、巻き部30の円筒状の外周面30aが先行巻付け側から後続巻付け側に向かって徐々に形成され、円錐状の外周面は徐々に小さくなっていく。
上記の制御を継続しながら糸を巻き取っていくと、図4(g)に示すように巻き部30のほぼ全体にわたって円筒状の外周面30aが形成される。また、この状態では、円錐状の外周面は、巻き部30の軸方向一端が面取りされているかのように、後続巻付け側の端部に小さく残るだけとなっている(面取り部30e)。この図4(g)の状態で巻取完了(満巻き)となり、完成したパッケージ31はクレードル23から取り外される。
以上の巻取方法により製造されたパッケージの一例が図5に示され、このパッケージ31において前記巻き部30の外周面30aは、前記面取り部30eを除いて、巻取ボビン22の軸22cの方向と平行な円筒面となっている。そして、図5に示すように、巻き部30の内部には糸層30b,30b・・・が一様な密度で積層されている。
これらの糸層30b,30b・・・の断面の長手方向は、前記巻取ボビン22の軸22cに対して若干傾斜している。また、外周面30aと一側の端面30dとの間には円錐面状の面取り部30eが形成され、この面取り部30eは前記糸層30bと平行に形成されている。
このパッケージ31を後工程で使用するときは、巻き部30から、巻取ボビン22の軸方向一側(円錐状の糸層30bの小径側、後続巻付け側)へ糸を引き出すようにする。すると、当初において糸は図5のように面取り部30eから引き出されるが、解舒が進行するに従って当該面取り部30eが広がるとともに円筒状の外周面30aが削られていく。一定程度の糸が引き出されると、巻き部30の全体が、糸引出し側が小径となる円錐状の外周面を呈するようになり、糸はその外周面から引き出されることになる。
このように、本実施形態のパッケージ31は、その巻き部30の当初の輪郭が円筒状に構成されているにもかかわらず、糸は常に円錐状の外周面から解舒されることになる。従って、いわゆるコーン形状のパッケージと同等の良好な解舒性を実現できる。
しかも、糸を巻き取って完成した形状のパッケージは図5に示すように円筒状の外周面30aを有しているので、通常のチーズ形状のパッケージと同様にコンパクトなパッケージを形成することができる。逆に言えば、本実施形態のパッケージは、同じ外径を有するのコーン形状のパッケージに比べて、糸の量目を大幅に増加させることができる。
なお、本実施形態のパッケージ31では円筒形の巻取ボビン22を用いているが、図6の変形例に示すように、円錐形の巻取ボビン22xを適用してパッケージ31xを形成することもできる。なお、この変形例において図5のパッケージと同一又は類似の構成には、図面に同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
この円錐形の巻取ボビン22xに糸を巻き始めるときの状態は図3(d)に実質的に相当するので、巻取時の制御としては、図3(d)以降に示された制御を行うこととすれば良い。これにより、巻取ボビン22xの円錐面に平行な糸層30b,30b・・・を巻き部30の内部に有する一方で、当該巻き部30の外周面30aが巻取ボビン22xの軸22cと平行であるパッケージ31xを提供することができる。
なお、円錐形の巻取ボビン22xに糸を巻き取る変形例では、巻き部30の径の増大に従って綾振り幅を徐々に狭める制御を行っている。従って、図6に示すパッケージ31xにおいて、巻取ボビン22xの大径側における巻き部30の端面30cは、巻取ボビン22xの軸22cに垂直ではなく、巻取ボビン22xの外周面に垂直な向きとなっている。この構成は、パッケージのコンパクト性は若干低下するが、解舒時の糸切れに繋がり易い大径側の綾落ちを確実に防止できる点で有利である。
以上に説明したように、本実施形態の自動ワインダで形成されるパッケージ31は、巻取ボビン22と、巻き部30と、を備える。巻き部30は、巻取ボビン22の周囲に糸を巻かれて形成される。巻き部30の外周面30aは、図5に示すように巻取ボビン22の軸22cと平行となっている。また、巻き部30の内部に形成される糸層30b,30b・・・は、巻取ボビン22の軸22cに対して傾斜している。
また、このパッケージ31は、糸を解舒する前の状態では、巻き部30の外周面30aの大部分が、巻取ボビン22の軸22cと平行な面として構成されている。一方、糸を一部解舒した状態では、残った巻き部30の外周面が巻取ボビン22の軸22cに対して傾斜することになる。
これにより、解舒性の良さとコンパクト性(糸の量目の多さ)を両立したパッケージを実現することができる。
また、図5に示すパッケージ31においては、巻取ボビン22は、当該巻取ボビン22の軸22cと平行な外周面を有している。
これにより、安価なチーズ形状の巻取ボビン22を用いて、解舒性の良いパッケージを実現することができる。
また、図6に示す変形例としてのパッケージ31xにおいては、巻取ボビン22xは、当該巻取ボビン22xの軸22cに対して傾斜した外周面を有している。
これにより、コーン形状の巻取ボビン22xを用いつつ、コンパクト性(糸の量目)を良好に確保できるパッケージを実現することができる。
また、本実施形態のパッケージ31においては、巻き部30の内部に形成される円錐状の糸層30b,30b・・・の小径側(後続巻付け側)における当該巻き部30の端面30dが、前記巻取ボビン22の軸に対して垂直に形成されている。
これにより、パッケージ端面における形状の崩れを防止し、良好な形状のパッケージを実現することができる。
また、本実施形態のパッケージ31においては、巻き部30の外周面30aと、前記巻き部30の内部に形成される円錐状の糸層30b,30b・・・の小径側における当該巻き部30の端面30dと、を接続するように、面取り部30eが形成されている。
これにより、巻き部30の端面30dの外周部分におけるパッケージの変形を防止できるので、より高品質なパッケージを提供することができる。
また、本実施形態の自動ワインダは、以下の工程を含む方法によって、巻取ボビン22の周囲に糸を巻いて巻き部30を形成してパッケージ31を製造している。即ち、第1工程(図2(a)〜図3(e))では、糸を巻くことにより、前記巻取ボビン22の軸22cに対して傾斜する糸層30b,30b・・・を前記巻き部30の一部として形成する。第2工程(図3(f)〜図4(g))では、糸を巻くことにより、前記巻き部30の外周面30aを巻取ボビン22の軸22cに平行に形成する。
なお、前記第1工程(図2(a)〜図3(e))は、巻取ボビン22の周囲に糸を巻くことにより、巻取ボビン22の軸22cに対して傾斜する外周面(円錐面)を有する第1巻き部分を形成する工程と言い換えることができる。また、前記第2工程(図3(f)〜図4(g))は、前記第1巻き部分の周囲に糸を巻くことにより、巻取ボビン22の軸22cと平行な外周面(円筒面)を有する第2巻き部分を形成する工程と言い換えることができる。
これにより、解舒性の良さとコンパクト性(糸の量目の多さ)を両立したパッケージを実現することができる。
また、本実施形態の自動ワインダは、巻取ボビン22に糸を巻き取って巻き部30を形成し、パッケージ31を製造できるように構成されている。そして、この自動ワインダのワインダユニット10は、糸ガイド42と、糸ガイド駆動モータ43と、接触ローラ24と、ボビン駆動モータ55と、接触ローラ駆動モータ53と、クレードル23と、位置関係調整部81と、を備える。糸ガイド42は、巻取ボビン22に巻き取られる糸を案内する。糸ガイド駆動モータ43は、糸ガイド42を駆動することで糸を綾振るとともに、その綾振り幅を変更可能に構成されている。接触ローラ24は、巻き部30の外周面に接触して回転する。ボビン駆動モータ55は巻取ボビン22を駆動し、接触ローラ駆動モータ53は接触ローラ24を駆動する。クレードル23は、巻取ボビン22を着脱可能に支持する。位置関係調整部81は、クレードル23と前記接触ローラ24(巻取ボビン22と接触ローラ24)の相対的な位置関係を調整可能に構成されている。
これにより、糸ガイド42による綾振り幅、及び接触ローラ24等の相対的な位置関係を適宜変更することで、巻き部30の外形形状を高い自由度で形成することができる。この結果、機能性の高いパッケージ31を形成することができる。
また、本実施形態の自動ワインダにおいて、前記クレードル23は、前記接触ローラ24に対して相対的に傾斜するように前記巻取ボビン22を支持することができる。そして自動ワインダは、パッケージ31が完成する直前に、位置関係調整部81がクレードル23と接触ローラ24の相対的な位置関係を調整するのと連動して、糸ガイド42による糸の綾振り幅を徐々に狭める(図3(f)、図4(g)を参照)。
これにより、巻き部30の内部に形成される糸層30b,30b・・・を巻取ボビン22の軸22cに対して傾斜させつつ、当該巻取ボビン22の軸22cに平行な外周面30aを形成することができる。従って、解舒性の良さとコンパクト性(糸の量目の多さ)を両立したパッケージを製造することができる。
また、本実施形態の自動ワインダにおいて、位置関係調整部81はスライド機構(クレードルスライド機構83及び接触ローラスライド機構82)を備えている。このスライド機構は、接触ローラ24の巻取ボビン22に対する相対位置を当該接触ローラ24の軸方向に平行移動させることが可能に構成されている。
これにより、糸層30bの向きを変更することなく当該糸層30bの端部の位置を調整できるので、巻き部30の外形形状(外周面30a及び端面30c,30dの形状)を適切に形成することができる。
なお、前記位置関係調整部81には、接触ローラ24に対する巻取ボビン22の相対傾斜角度を変更可能な傾斜角変更機構を備えても良い。この傾斜角変更機構としては、例えば、回動軸76の傾斜角度を変更するための流体シリンダを備えることが考えられる。
この場合、巻き部30の内部における糸層の傾斜角を変更できるので、より自由度の高い糸の巻取りが可能になる。
また、本実施形態の自動ワインダは、巻き部30の径を検出する角度センサ80を更に備える。そして位置関係調整部81は、角度センサ80の検出結果に応じて、クレードル23と前記接触ローラ24(巻取ボビン22と接触ローラ24)の相対的な位置関係を図2〜図4に示すように調整する。
これにより、糸の巻取りの進行度合いを角度センサ80で的確に検出できるので、綾振り幅の変更、及び接触ローラ24等の相対的な位置関係の調整を確実かつスムーズに行うことができる。
以上に本実施形態の好適な実施形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
パッケージ31において面取り部30eは、巻き部30の一端側だけでなく両端に形成されていても良い。また、パッケージ31に面取り部30eを形成しない構成に変更することもできる。
トラバース装置11は、糸ガイド42の往復動ストローク(糸の綾振り幅)を任意に変更できる構成であれば良く、上記実施形態の構成に限定されない。例えば、往復旋回アームの先端に糸ガイドを固定した構成のトラバース装置に変更することができる。
上記実施形態では、クレードル23と接触ローラ24が同時に移動することで、両者の相対的な位置関係を調整する構成となっている。しかしながらこれに限定されず、クレードル23と接触ローラ24の何れか一方のみが移動する構成に変更することもできる。
クレードル23及び接触ローラ24をスライド移動させる構成としては、上記のようにネジによる送り移動に代えて、例えば流体シリンダの駆動によって移動させる構成に変更することができる。
クレードルスライド機構83は、クレードル23を接触ローラ24の軸方向に平行移動させる構成に代えて、例えば巻取ボビン22の軸方向に平行移動させる構成に変更することができる。
また、クレードル23は平行移動させずに、当該クレードル23に支持されている巻取ボビン22のみを平行移動させるように変更することもできる。
クレードル23が移動する構成に代えて、あるいはそれに加えて、トラバース装置11の全体(即ち、糸ガイド42及びその往復動ストローク)を平行移動可能とし、その位置を適宜調整する構成に変更することもできる。
角度センサ80からの角度信号によって巻き部30の径を検知する構成に代えて、ワインダユニット10は、他の検知信号に基づき巻き部30の径を検知するように構成されても良い。例えばパッケージに巻き取られる糸の長さを測定する定長センサを糸の走行路に配置しても良い。この場合、ユニット制御部50は、定長センサからの糸長さ信号を加味して巻き部30の径を検出する。
上記実施形態のワインダユニット10において、接触ローラ駆動モータ53及びボビン駆動モータ55の何れか一方を省略することができる。例えば、接触ローラ駆動モータ53を省略するとともに、接触ローラ24が巻き部30の外周面によって従動回転する構成に変更することができる。あるいは、ボビン駆動モータ55を省略するとともに、接触ローラ24の回転によって巻取ボビン22を従動回転させる構成に変更することができる。ただし、本実施形態では図2(b)、図4(g)等のように、巻き部30の外周面と接触ローラ24との接触面積を大きく確保できず、一方が他方を円滑に従動回転させることができない可能性もある。この点を考慮すれば、上記実施形態のように、接触ローラ24と巻取ボビン22を個別のモータでそれぞれ回転駆動することが好ましい。
本発明の構成は、自動ワインダに限らず、糸を綾振って巻取ボビンに巻き取る構成の糸巻取機(例えば、精紡機等)に広く適用することができる。
10 自動ワインダのワインダユニット
11 トラバース装置
20 紡績糸(糸)
22 巻取ボビン
22c 巻取ボビンの軸
24 接触ローラ
30 巻き部
30a 外周面
30b 糸層
30c 端面
30d 端面
30e 面取り部
31 パッケージ
42 糸ガイド
43 糸ガイド駆動モータ(糸ガイド駆動部)
53 接触ローラ駆動モータ(駆動部)
55 ボビン駆動モータ(駆動部)
80 角度センサ(径検出部)
81 位置関係調整部
82 接触ローラスライド機構(スライド機構)
83 クレードルスライド機構(スライド機構)
11 トラバース装置
20 紡績糸(糸)
22 巻取ボビン
22c 巻取ボビンの軸
24 接触ローラ
30 巻き部
30a 外周面
30b 糸層
30c 端面
30d 端面
30e 面取り部
31 パッケージ
42 糸ガイド
43 糸ガイド駆動モータ(糸ガイド駆動部)
53 接触ローラ駆動モータ(駆動部)
55 ボビン駆動モータ(駆動部)
80 角度センサ(径検出部)
81 位置関係調整部
82 接触ローラスライド機構(スライド機構)
83 クレードルスライド機構(スライド機構)
Claims (15)
- 巻取ボビンと、
前記巻取ボビンの周囲に糸を巻かれて形成された巻き部と、
を備えるパッケージにおいて、
前記巻き部の外周面は前記巻取ボビンの軸と平行であり、
前記巻き部の内部に形成される糸層の少なくとも一部が、前記巻取ボビンの軸に対して傾斜していることを特徴とするパッケージ。 - 巻取ボビンと、
前記巻取ボビンの周囲に糸を巻かれて形成された巻き部と、
を備えるパッケージにおいて、
糸を解舒する前の状態では、前記巻き部の外周面は前記巻取ボビンの軸と平行であり、
糸を一部解舒した状態では、残った前記巻き部の外周面が前記巻取ボビンの軸に対して傾斜していることを特徴とするパッケージ。 - 請求項1又は2に記載のパッケージであって、
前記巻取ボビンは、当該巻取ボビンの軸と平行な外周面を有することを特徴とするパッケージ。 - 請求項1又は2に記載のパッケージであって、
前記巻取ボビンは、当該巻取ボビンの軸に対して傾斜した外周面を有することを特徴とするパッケージ。 - 請求項1から4までの何れか一項に記載のパッケージであって、
前記巻き部の内部に形成される円錐状の糸層の少なくとも小径側における当該巻き部の端面は、前記巻取ボビンの軸に対して垂直に形成されていることを特徴とするパッケージ。 - 請求項1から5までの何れか一項に記載のパッケージであって、
前記巻き部の外周面と、前記巻き部の内部に形成される円錐状の糸層の少なくとも小径側における当該巻き部の端面と、を接続するように、面取り部が形成されていることを特徴とするパッケージ。 - 巻取ボビンの周囲に糸を巻いて巻き部を形成するパッケージの製造方法において、
糸を巻くことにより、前記巻取ボビンの軸に対して傾斜する糸層を前記巻き部の一部として形成する第1工程と、
糸を巻くことにより、前記巻き部の外周面を前記巻取ボビンの軸と平行に形成する第2工程と、
を含むことを特徴とするパッケージの製造方法。 - 巻取ボビンの周囲に糸を巻いて巻き部を形成するパッケージの製造方法において、
前記巻取ボビンの周囲に糸を巻くことにより、前記巻取ボビンの軸に対して傾斜する外周面を有する第1巻き部分を形成する第1工程と、
前記第1巻き部分の周囲に糸を巻くことにより、前記巻取ボビンの軸と平行な外周面を有する第2巻き部分を形成する第2工程と、
を含むことを特徴とするパッケージの製造方法。 - 請求項7又は8に記載のパッケージの製造方法であって、
前記巻取ボビンは、当該巻取ボビンの軸と平行な外周面を有することを特徴とするパッケージの製造方法。 - 請求項7又は8に記載のパッケージの製造方法であって、
前記巻取ボビンは、当該巻取ボビンの軸に対して傾斜する外周面を有することを特徴とするパッケージの製造方法。 - 巻取ボビンに糸を巻き取って巻き部を形成し、パッケージを製造する糸巻取機において、
前記巻取ボビンに巻き取られる糸を案内する糸ガイドと、
前記糸ガイドを駆動することで前記糸を綾振るとともに、その綾振り幅を変更可能な糸ガイド駆動部と、
前記巻取ボビンの外周面又は前記巻き部の外周面に接触して回転する接触ローラと、
前記巻取ボビンと前記接触ローラの少なくとも何れか一方を駆動する駆動部と、
前記巻取ボビンを着脱可能に支持するクレードルと、
前記クレードル、前記巻取ボビン、及び前記糸ガイドのうち少なくとも何れかと前記接触ローラの相対的な位置関係を調整可能な位置関係調整部と、
を備えることを特徴とする糸巻取機。 - 請求項11に記載の糸巻取機であって、
前記クレードルは、前記接触ローラに対して相対的に傾斜するように前記巻取ボビンを支持可能であり、
前記パッケージが完成する直前に、前記位置関係調整部が前記接触ローラの相対的な位置関係を調整するのと連動して、前記糸ガイドによる糸の前記綾振り幅を徐々に狭めることを特徴とする糸巻取機。 - 請求項11又は12に記載の糸巻取機であって、
前記位置関係調整部はスライド機構を備え、
前記スライド機構は、前記接触ローラの前記巻取ボビン又は糸ガイドに対する相対位置を、当該接触ローラの軸方向又は前記巻取ボビンの軸方向に平行移動させることが可能であることを特徴とする糸巻取機。 - 請求項11又は12に記載の糸巻取機であって、
前記位置関係調整部は、前記接触ローラに対する前記巻取ボビンの相対傾斜角度を変更可能な傾斜角変更機構を備えることを特徴とする糸巻取機。 - 請求項11から14までの何れか一項に記載の糸巻取機であって、
前記巻き部の径を検出する径検出部を更に備え、
前記位置関係調整部は、前記径検出部の検出結果に応じて、前記クレードルと前記接触ローラの相対的な位置関係を調整することを特徴とする糸巻取機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008326072A JP2010143756A (ja) | 2008-12-22 | 2008-12-22 | パッケージ及びその製造方法並びに糸巻取機 |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2008326072A Pending JP2010143756A (ja) | 2008-12-22 | 2008-12-22 | パッケージ及びその製造方法並びに糸巻取機 |
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JP (1) | JP2010143756A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107697730A (zh) * | 2017-11-16 | 2018-02-16 | 湖州市练市聚丰线缆厂 | 一种漆包线收线装置 |
CN112267240A (zh) * | 2020-09-30 | 2021-01-26 | 际华三五四二纺织有限公司 | 一种浆纱生产线用的纱线断头检测装置 |
-
2008
- 2008-12-22 JP JP2008326072A patent/JP2010143756A/ja active Pending
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